説明

ベアチップ実装面発光体及びその製造方法

【課題】 商用電源を電源モジュールなしに利用でき、発光のチラツキ(明滅)を極力抑えることが可能な面発光体及びその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】 樹脂基板1と、この樹脂基板1上に貼り付けられ、加圧されることで、基板1にピンホール10を形成させると共に、ブリッジ整流回路BCの配線パターン20にエッチングされる金属箔2と、前記配線パターン20に、交流電源ACの極性に対応して点灯可能な範囲の数量で、32a〜32o,33a〜33o及び34a〜34o,35a〜35oで図示するように、直列に、且つ、交流電源ACの極性に対応してそれぞれ反転通電されるものを対にして隣接させて、それぞれの電極30が接続される発光ダイオードのベアチップ3を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアチップを直接基板に実装した面発光体及びその製造方法に関し、特に、電源モジュールを用いることなく、商用電源(例えばAC100V)でLEDを点灯させるベアチップ実装面発光体に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の発明者は、先にチップオンボード方式で面発光体を製造する方法に関し、特許を得ている(特許文献1)。
かかる面発光体は、これを組み込む装置の軽量化を図ることができる、防水性に優れている等のメリットがあり、これらのメリットを生かせるような、電源モジュールを用いることなく、AC100VでLEDを直接点灯させる面発光体が企図された。
【0003】
従来からのLEDを光源に用いた照明装置は、LEDを直流で動作させるため、商用電源からの交流を直流に変換するAC/DCコンバータ(電源モジュール)を組み込んでいる。
しかし、電源モジュールには、電解コンデンサが使用されており、この電解コンデンサはLEDよりも先に寿命が到来する場合もあり、また、電解コンデンサの容量抜け等により、発煙、発火の危険性があった。
他方で、電源モジュールを用いずとも、LEDの整流作用及び発光作用を利用すれば、商用電源のAC100VでLEDを直接点灯させることは、可能であり、かかる技術は既に開示されている(特許文献2)。
しかし、この特許文献2に言及されているように、電流(電圧)の極性が反転する時点で、発光のチラツキ(明滅)が生じてしまう場合もあった(明細書第7頁第3〜12行)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3939891号公報
【特許文献2】実開平03−41390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は、先の特許技術を基礎にして改良を加え、発光のチラツキ(明滅)を極力抑えることが可能な面発光体及びその製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、交流を整流するブリッジ整流回路の配線パターン及びアンカー部が形成される基板と、前記配線パターン上に施される補助メッキ及び金メッキを介して電極が接続されると共に、前記配線パターンに、交流電源の極性に対応して点灯可能な範囲の数量で直列に、且つ、交流電源の極性に対応してそれぞれ反転通電されるものを対にして、それぞれ接続されるベアチップと、前記電極の接続個所を除き、且つ、打ち抜き又は切削される領域を少なくとも除いて形成される印刷層と、前記アンカー部に浸透させるコーティング層を備えたことを特徴とするベアチップ実装面発光体(請求項1の発明)とした。
【0007】
上記発明において、前記コーティング層は、対となるベアチップを単位にレンズ状に形成されていることを特徴とする(請求項2の発明)。
また、前記コーティング層は、前記配線パターンを単位に形成されていることを特徴とする(請求項3の発明)。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、樹脂基板上に、複数の突起を有する金属箔を、該突起を前記樹脂基板に食い込ませて貼り付ける工程と、前記金属箔を、交流を整流するブリッジ整流回路の配線パターンにエッチングする工程と、所定の配線パターン上に、補助メッキ及び金メッキを重ねて形成する工程と、ベアチップの電極の接続個所を除き、且つ、打ち抜き又は切削される領域を少なくとも除いて印刷層を形成する工程と、前記配線パターンに、交流の極性に対応して点灯可能な範囲の数量のベアチップを直列で、且つ、交流の極性に対応してそれぞれ反転通電されるものを対にして接続し、且つ、前記金メッキとをボンディングする工程と、前記金属箔のエッチングによって前記樹脂基板に残った前記突起によるピンホールに、コーティング材を浸入させる工程からなることを特徴とするベアチップ実装面発光体の製造方法(請求項4の発明)とする。
【0009】
樹脂基板上に、配線パターン及びアンカー部を形成する工程と、前記配線パターン上のベアチップの電極の接続個所に補助メッキ及び金メッキを重ねて形成する工程と、ベアチップの電極の接続個所を除き、且つ、打ち抜き又は切削される領域を少なくとも除いて印刷層を形成する工程と、前記配線パターンに、交流の極性に対応して点灯可能な範囲の数量のベアチップを直列で、且つ、交流の極性に対応してそれぞれ反転通電されるものを対にして接続し、且つ、前記金メッキとをボンディングする工程と、前記アンカー部に、コーティング材を浸入させる工程からなることを特徴とするベアチップ実装面発光体の製造方法(請求項5の発明)とする。
【0010】
上記発明において、前記コーティング材により形成されるコーティング層は、対となるベアチップを単位にレンズ状に形成されていることを特徴とする(請求項6に記載の発明)。
また、前記コーティング材により形成されるコーティング層は、前記配線パターンを単位に形成されていることを特徴とする(請求項7に記載の発明)。
【発明の効果】
【0011】
上記発明によれば、樹脂基板に形成されるブリッジ整流回路の配線パターン上に、交流の極性に対応して点灯可能な範囲の数量で直列に、且つ、交流の極性に対応してそれぞれ反転通電されるものを対にして隣接させて発光ダイオードのベアチップが配置されているので、ベアチップの明滅が認識され難くなる。
よって、交流電源を直流化するための特別な電源モジュールが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(イ)〜(ハ)はベアチップ実装面発光体に使用される配線パターンの回路図である。(ニ)は同回路の動作説明図である。
【図2】図1の回路を用いた面発光体の要部断面図である。
【図3】(イ)、(ロ) 図2の拡大断面図である。
【図4】ベアチップ実装面発光体の工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のベアチップ実装面発光体L(以下、面発光体Lと略称する)は,図1乃至図3に図示したように、樹脂基板1と、この樹脂基板1上に貼り付けられ、加圧されることで、基板1にアンカー部としてのピンホール10を形成させると共に、ブリッジ整流回路BCの配線パターン20にエッチングされる金属箔2と、前記配線パターン20に、交流電源ACの極性に対応して点灯可能な範囲の数量で、32a〜32o,33a〜33o及び34a〜34o,35a〜35oで図示するように、直列に、且つ、交流電源ACの極性に対応してそれぞれ反転通電されるものを対にして隣接させて、それぞれの電極30が接続される発光ダイオードのベアチップ3を備えている。
これらのベアチップ3の他方の電極31は、金線6を介して、前記配線パターン20の補助メッキ4上の金メッキ5に接続されている。
前記ベアチップ3と前記金メッキ5間に接続されと、前記ベアチップ3及びベアチップ3の他方の電極31の接続個所を除き、且つ、打ち抜き又は切削される領域を除いて、印刷層7が形成され、これらの上に、前記金属箔2のエッチングによって前記樹脂基板1に残った前記突起によるピンホール10に浸透させるコーティング層8が設けられている。
【0014】
前記樹脂基板(プリント基板)1は、複数のベアチップ3を高密度に実装させる可能性もあることから、放熱性能が優れた耐熱性有機樹脂基板を用いるのが望ましく、具体的には熱伝導性フィラー入りフェノール樹脂系基板を用いる。エポキシ樹脂基板、ガラス織布エポキシ樹脂基板、ガラス不織布エポキシ樹脂基板等を用いてもよい。
【0015】
前記金属箔2は配線パターン20を形成するものであり、例えば銅、銀、金、白金等の導電性に優れた材料が用いられ、廉価な銅箔が好適に用いられる。これらの金属箔の裏面には、予め多数の突起21が形成されている。
【0016】
前記ブリッジ整流回路BCの配線パターン20は、図1(イ)に示したように、交流電源ACからの出力端子AC1、AC2に接続される入力端200、201と、負荷(電流制限抵抗)Rに接続される出力端202、203間で結線される第1〜第4の各アーム204〜207を備えている。各アーム204〜207は、後述するように複数のベアチップ3を直列に接続できるように形成される。
【0017】
前記ベアチップ3の種類は、特に限定されるものではなく、赤色、緑色、青色の発光ダイオードを任意に選択することができる。例えば420〜500nmの波長を発光するGaN系化合物半導体の青色ベアチップを用い、後述のように蛍光体と組み合わせることにより、白色発光の面発光体を作ることができる。
【0018】
これらのベアチップ3は、前記配線パターン20の各アーム204〜207に、交流電源ACの極性に対応して点灯可能な範囲の数量で直列に接続される。
各ベアチップ3の順方向電圧(励起電圧)が、3.3Vで、交流電源の電圧が100Vの場合、約30個のベアチップ3が点灯可能な範囲の数量ということになる。
よって、第1アーム204に15個のベアチップ(32a〜32o)、第2アーム205に15個のベアチップ(33a〜33o)で合計30個のベアチップ3を直列に接続する。また、第3アーム206に15個のベアチップ(34a〜34o)、第4アーム207に15個のベアチップ(35a〜35o)で合計30個のベアチップ3を直列に接続する。
【0019】
上記構成において、交流電源ACの極性に対応してそれぞれ反転通電されるベアチップ3は、第1アーム204の各ベアチップ(32a〜32o)と第4アーム207の各ベアチップ(35a〜35o)であり、また、第2アーム205の各ベアチップ(33a〜33o)と第3アーム206の各ベアチップ(34a〜34o)である。
そこで、それぞれ対となるものとして、入力端子200、201から出力端子202、203にかけて接続順番毎(例えば、ベアチップ32aと35aのように)に、可能な限り隣接させて接続させる。同様に、ベアチップ(33a〜33o)もベアチップ(34a―34o)と可能な限り隣接させて接続させる。
【0020】
以上のように構成された前記配線パターン20は、交流電源ACに対して必要に応じて並列接続させることで、面発光体Lの照明範囲を広げることができる。
【0021】
前記補助メッキ4(図3参照)は、硬い皮膜が形成されるニッケルメッキが好ましい。かかる補助メッキ4は、無電解メッキによって、青色ベアチップ3の電極30を接続する箇所及び青色ベアチップ3の電極31を接続する金線6用のワイヤーボンディングポイントパターン部に施される。
【0022】
前記金メッキ5は、無電解メッキによって形成されるもので、高密度実装に適している。
【0023】
前記金線6としては、ベアチップ3の電極30、31とのオーミック性、機械的接続性、電気伝導性及び熱伝導性がよいものが求められ、具体的には、金、銅、白金、アルミニウム等の金属及びそれらの合金を用いた導電性ワイヤーが挙げられる。
【0024】
前記印刷層7は、配線パターン20を隠蔽したり、発光体の反射率を上げるもので、発光色に適合した色の印刷層を形成する。
印刷層7の印刷方法は特に限定されるものではなく、例えばシルク印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等の印刷方法を用いることができ、通常はシルク印刷によって行われる。
【0025】
前記コーティング層8は、例えば急速硬化性のエポキシ系アクリルを用いる。その他のアクリル系樹脂でもよいし、エポキシ系樹脂でもよい。
【0026】
上述のように、青色ベアチップ3を用いる場合には、前記コーティング層8に対して、黄色蛍光体9を真空脱法により撹拌され、且つ、脱泡されて混入させてもよい。前記黄色蛍光体9として、例えばYAG(YTTRIUM ALUMINUM GARNET)系蛍光体材料、BOS(BARIUM ORTHO−SILICATE)系蛍光体材料を用いる。蛍光体は、青色ベアチップ3の励起光を受けて白色に光るものであればよく、例えば赤と緑を混ぜた蛍光体(RG蛍光体)でもよい。
【0027】
上記構成ではアンカー部のピンホール10は、金属箔2を樹脂基板1上に貼り付け、加圧すること形成されているが、予めアルミニウム等の基板上にサンドブラスト等によりアンカー部を形成し、絶縁体を成膜し、メッキ等で配線パターンを形成してもよい。或いは、アルミニウム等の基板上に絶縁体を成膜し、メッキ等で配線パターンした後に、機械的にアンカー部を形成してもよい。
【0028】
以上のように構成された面発光体Lの動作は次のようである。
交流電源ACの極性がAC1(+)、AC2(―)の場合、入力端200から第2アーム205のベアチップ(33a〜33o)、電流制限抵抗R及び第4アーム207のベアチップ(35a〜35o)に電流を通す経路が形成される。よって、これらの各ベアチップは発光するが、第1アーム204の各ベアチップ(32a〜32o)及び第3アーム206のベアチップ(34a〜34o)はオフとなる。
他方、交流電源ACの極性がAC1(―)、AC2(+)の場合、入力端201から第3アーム206のベアチップ(34a〜34o)、電流制限抵抗R及び第1アーム204のベアチップ(32a〜32o)を通す経路が形成される。
よって、これらの各ベアチップは発光するが、第2アーム205の各ベアチップ(33a〜33o)及び第4アーム207のベアチップ(35a〜35o)はオフとなる。
このとき、各ベアチップは、隣接して対となっているので、対となるベアチップ、例えばベアチップ32aと35aの場合のように、ベアチップ32aの発光がベアチップ35aの消灯を補い、またベアチップ35aの発光がベアチップ32aの消灯を補う関係が形成される。
即ち、図1(ニ)は、交流電源の周波数の1サイクルの波形を示したもので、上記構成により、対となるベアチップにおいては合成されることを示している。例えば交流電源が、50サイクルの周波数の場合、対となるベアチップにおいては、その倍の100サイクルの周波数で点灯されることとなり、恰も1つの光源が形成され、各ベアチップのオン/オフが認識し難くなっており、連続発光が可能となる。
【0029】
上記構成ではアンカー部のピンホール10は、金属箔2を樹脂基板1上に貼り付けられ、加圧されること形成されているが、予めアルミニウム等の基板上にサンドブラスト等によりアンカー部を形成し、絶縁体を成膜し、メッキ等で配線パターンを形成してもよい。或いは、アルミニウム等の基板上に絶縁体を成膜し、メッキ等で配線パターンした後に、機械的にアンカー部を形成してもよい。
【0030】
以上の構成よる面発光体Lの作用効果は、次の通りである。
(1) 各ベアチップは、交流電圧値に合わせて直列接続され、また、対となるベアチップ(32a―35a)〜(32o―35o)及びベアチップ(33a―34a)〜(33o―34o)は、一方の発光が他方の消灯を補う関係が形成されるので、恰も1つの光源が形成され、各ベアチップのオン/オフが認識し難くなっており、連続発光が可能となる。
よって、特別な電源モジュールを必要とすることなく、商用電源を直接使用することができる。
(2) 前記補助メッキ4は、ボンディングポイントに加えられる溶接機による熱溶着と圧力溶着によって、樹脂基板1が変形しないように保護すると共に、ボンディングの信頼を向上させるものである。よって、前記金メッキ5の下に補助メッキ4を介在させることで、薄型の樹脂基板(例えば、厚さ0.3mm)にベアチップ3を実装することが可能となった。
(3) (1)の作用により、樹脂基板1の表面に塗布するコーティング層を含めて、厚さが1.3mm±0.1の厚さの面発光体Lが製造可能である。
(4) また、基板1に形成されたピンホール10のアンカー効果により、基板1に対するコーティング層8の付着力、密着力が強まり、耐衝撃、耐振動、耐防水性に優れている。
(5) 青色ベアチップ3より発光される光は、蛍光体により白色に変換され、コーティング層内で拡散されて、コーティング層から放出され、面発光が形成される。
即ち、LEDチップを基板に実装する構成と異なり、ベアチップ3を樹脂基板1に実装することから、それらのベアチップ3を高密度で実装することができる。また、LEDチップの場合の輝度むらが20〜30%程度であっても、蛍光体の撹拌量を補正することで、一様な面発光の照度とすることができる。
(6) 急速硬化性のエポキシ系アクリルを利用して、文字や図柄に合わせて塗布して硬化させることができる。
【0031】
上記の構成において、複数のベアチップ3が高密度に実装されている1つの基板上を、平坦なコーティング層8がカバーしているが、図1(ロ)の2点鎖線で図示したように、対となるベアチップ(32a―35a)〜(32o―35o)及びベアチップ(33a―34a)〜(33o―34o)を単位にレンズ状に形成してもよい。
この場合、対なるチップからの光が拡散されて、出射されることから、ベアチップのオン/オフがさらに認識し難くなっている。
【0032】
また、図1(ハ)の2点鎖線で図示したように、前記コーティング層8をベアチップの接続列を単位に形成してもよい。
この場合、各種照明機器に応じることができる面発光体Lとなっている。
【0033】
次に以上のように構成された面発光体Lの製造方法を、図4(A)〜(F)に基いて説明する。
(A) 前記樹脂基板1上に、多数の突起21を有する金属箔2を、該突起21を前記樹脂基板1に食い込ませて貼り付ける(図4(A))。
即ち、金属箔2の貼り付け面には予め接着剤を塗布しておき、また、突起21が樹脂基板1に食い込むように加圧接着する。
【0034】
(B) 前記金属箔2を、ブリッジ整流回路BCの配線パターン20に形成する(図4(B))。
即ち、金属箔2をエッチングしブリッジ整流回路BCの配線パターン20を形成する。
配線パターン20の形成方法は、エッチドフォイル法等の従来公知の技術を用いて行うことができる。このエッチングにより金属箔が無くなった樹脂基板1の表面には、前記突起21の食い込みによって形成されたピンホール10が残ることになる。
【0035】
(C) 所定の配線パターン20上に、補助メッキ4及びその上に無電解金メッキ5を重ねて形成する(図4(C))。
ベアチップ3が固着される配線パターン20に隣接する配線パターン20上に、無電解メッキにより、無電解メッキにより、実装密度を上げることができ、また皮膜の強いニッケルをメッキする。次に、この補助メッキ層の上に、無電解メッキにより金メッキ5を施す。
【0036】
(D) 前記金メッキ5、ベアチップ3、その他の素子が配置される領域を少なくとも除いた領域に印刷層7を形成する(図4(D))。
これは、配線パターン20を隠蔽したり、ベアチップ3の反射率を上げたり、ベアチップ3、電流制限抵抗Rの配置個所、前記金メッキ5の配置個所等を明示する等のために、白色の発光色に適合した色の印刷層をシルク印刷によって形成する。
なお、この時、本発明においては、印刷層7の範囲を加減し、面発光体Lに対する、打ち抜き又は切削等の2次加工によって、面発光体Lを分割する場合には、その外周部分となる領域には印刷層7を形成しない。
【0037】
(E) 前記配線パターン20上に、交流電源ACの極性に対応して点灯可能な範囲の数量のベアチップ3を直列で、且つ、交流電源ACの極性に対応してそれぞれ反転通電されるものを対にして隣接させて接続し、且つ、前記金メッキとをボンディングする(図4(E))。
即ち、ベアチップ3の一方の電極(例えばN側電極)30は、前記配線パターン20の各アーム204〜207上に直接接続され、他方の電極(例えばP側電極)31は、金線6によって近接の各アーム204〜207上の前記金メッキ5と接続される。各ベアチップ3の電極と配線はワイヤーボンディング機器によって容易に接続させることができるが、この場合には、上述のように、前記補助メッキ4は、ボンディングポイントに加えられる溶接機による熱溶着と圧力溶着によって、前記樹脂基板1が変形しないように保護すると共に、ボンディングの信頼を向上させる。
【0038】
(F) 前記金属箔2の除去によって前記樹脂基板1に残った前記突起21によるピンホール10に、コーティング材を浸透させてコーティング層8を形成する(図4(F))。
【0039】
コーティング材としては急速硬化性のアクリル樹脂を用い硬化させる。
【0040】
上記工程ではアンカー部のピンホール10は、金属箔2を樹脂基板1上に貼り付け、加圧すること形成されているが、予めアルミニウム等の基板上にサンドブラスト等によりアンカー部を形成し、絶縁体を成膜し、メッキ等で配線パターンを形成してもよい。或いは、アルミニウム等の基板上に絶縁体を成膜し、メッキ等で配線パターンした後に、機械的にアンカー部を形成してもよい。
【0041】
以上の工程からなるベアチップ実装面発光体の製造方法による効果は、上記(1)〜(6)に加えて、次の通りである。
(7) LEDチップを別工程にて作り込む必要がなく、基板1へのマウンティングからコーティングまで1回の工程でベアチップ実装面発光体Lを生産することができる。即ち、従来は、白色LEDチップをそのLEDメーカーが作り、それを照明機器メーカーが購入して、基板に実装していたが、本発明では、一度に、少ない工程で効率よく白色の面発光体Lを生産することができる。
(8) コーティング材に対する蛍光体9の撹拌量を調整することにより、面発光体全体の白色の色合を変化させることができる。
(9) 蛍光体9の撹拌量が調整可能であり、またベアチップ3の高密度の実装ができることから、輝度ムラを少なくすることができる。
【0042】
なお、コーティング材としてエポキシ樹脂を用いることができ、これに用いられる硬化剤としては、エポキシ樹脂と硬化反応を示すものであれば特に制限されず、公知の硬化剤が使用され、例えば、フェノール樹脂又は酸無水物が好ましい。特に酸無水物系硬化剤を用いると、硬化体の光学特性が著しく改善されるため、酸無水物を用いることがより好ましい。
【0043】
また、上記各樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、着色剤、カップリング剤、変性剤、光線(紫外線、可視光線、赤外線)吸収剤、充填剤等の従来公知の添加剤を配合することができる。
【0044】
以上のようにして得られるチップオンボード方式の面発光体Lでは、樹脂基板1に残されたピンホール10にコーティング層8が食い込んだ状態となっているため、樹脂基板1との接着性が極めて高いものとなる。このため、ピンホール10にコーティング層8が食い込んだ領域を利用して、プレスで打ち抜き又は切削加工等による2次加工を施すことにより、樹脂基板1とコーティング層8との剥離を引き起こすことなく、所望の形状の面発光体Lを得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
L ベアチップ実装面発光体
1 樹脂基板 10 ピンホール
2 金属箔
20 配線パターン
21 突起
200、201 入力端 202、203 出力端
204 第1アーム 205 第2アーム
206 第3アーム 207 第4アーム

3 ベアチップ 30 31 電極
32a〜32o ベアチップ 33a〜33o ベアチップ
34a〜34o ベアチップ 35a〜35o ベアチップ

4 補助メッキ
5 金メッキ
6 金線
7 印刷層
8 コーティング層
9 黄色蛍光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流を整流するブリッジ整流回路の配線パターン及びアンカー部が形成される基板と、
前記配線パターン上に施される補助メッキ及び金メッキを介して電極が接続されると共に、前記配線パターンに、交流電源の極性に対応して点灯可能な範囲の数量で直列に、且つ、交流電源の極性に対応してそれぞれ反転通電されるものを対にして、それぞれ接続されるベアチップと、
前記電極の接続個所を除き、且つ、打ち抜き又は切削される領域を少なくとも除いて形成される印刷層と、
前記アンカー部に浸入させるコーティング層を備えたことを特徴とするベアチップ実装面発光体。
【請求項2】
前記コーティング層は、対となるベアチップを単位にレンズ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発明。
【請求項3】
前記コーティング層は、前記配線パターンを単位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発明。
【請求項4】
樹脂基板上に、複数の突起を有する金属箔を、該突起を前記樹脂基板に食い込ませて貼り付ける工程と、
前記金属箔を、交流を整流するブリッジ整流回路の配線パターンにエッチングする工程と、
所定の配線パターン上に、補助メッキ及び金メッキを重ねて形成する工程と、
ベアチップの電極の接続個所を除き、且つ、打ち抜き又は切削される領域を少なくとも除いて印刷層を形成する工程と、
前記配線パターンに、交流の極性に対応して点灯可能な範囲の数量のベアチップを直列で、且つ、交流の極性に対応してそれぞれ反転通電されるものを対にして接続し、且つ、前記金メッキとをボンディングする工程と、
前記金属箔のエッチングによって前記樹脂基板に残った前記突起によるピンホールに、コーティング材を浸入させる工程からなることを特徴とするベアチップ実装面発光体の製造方法。
【請求項5】
樹脂基板上に、配線パターン及びアンカー部を形成する工程と、
前記配線パターン上のベアチップの電極の接続個所に補助メッキ及び金メッキを重ねて形成する工程と、
ベアチップの電極の接続個所を除き、且つ、打ち抜き又は切削される領域を少なくとも除いて印刷層を形成する工程と、
前記配線パターンに、交流の極性に対応して点灯可能な範囲の数量のベアチップを直列で、且つ、交流の極性に対応してそれぞれ反転通電されるものを対にして接続し、且つ、前記金メッキとをボンディングする工程と、
前記アンカー部に、コーティング材を浸入させる工程からなることを特徴とするベアチップ実装面発光体の製造方法。
【請求項6】
前記コーティング材により形成されるコーティング層は、対となるベアチップを単位にレンズ状に形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の発明。
【請求項7】
前記コーティング材により形成されるコーティング層は、前記配線パターンを単位に形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−187661(P2011−187661A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51070(P2010−51070)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(591255634)
【出願人】(302018503)サティスボンバー株式会社 (6)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】