説明

ベッド

【課題】在床者の生体情報を無拘束で検知し、前記在床者の頭部位置と脚部位置を特定するベッドを提供する。
【解決手段】本発明に係るベッド1は、在床者12の生体情報を検知する生体情報検知センサ2、室内の照度を検出する室内照度検出センサ3、在床者12が起床予定時刻をセットするタイマ4、在床者12の顔周辺の温度を検出する寝具周辺温度センサ5、寝床内の温度を検出する寝床内温度センサ6、寝床内を加温する温熱機器7、生体情報検知センサ2で検知された生体情報を基にベッド1での在床者12の頭部位置と脚部位置を特定する体位特定装置8、および温熱器具7、空調器具10および照明器具11を制御する機器制御装置9とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を基に在床者の頭部位置および脚部位置を特定するベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
人が快適に睡眠するには、寝室の環境を頭寒足熱に保つことが好ましいと言われている。そのために、ベッドでの在床者の就寝位置を特定し、その特定結果に応じて、室内に設置された空調器具を制御する装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被験者が滞在するベッドの脚部に荷重センサを備え、前記荷重センサの出力信号を解析して、ベッド上の被験者の位置を求める位置検出装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、検出手段で検出した各種の生理量に基づいて、被験者に適した室内環境を提供する空気調和装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−149957号公報
【特許文献2】特開2001−74292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の位置検出装置は、ベッドの脚部に設けられた4つのセンサで検出される呼吸信号の振幅から、被験者の胸部位置を特定するが、頭部位置や脚部位置を特定することはできない。
【0006】
また、特許文献2の空気調和装置は、被験者の各種の生理量を検出して、その検出結果に応じて空気調和装置の温度を調節する。しかし、室内の特定の場所の温度を制御することについては言及されていない。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、在床者の生理情報を無拘束で検知し、前記在床者の頭部位置と脚部位置を特定するベッドを提供するものである。また、特定結果に応じて空調、照明および温熱器具を適切に制御するベッドを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るベッドは、在床者の生体情報を検知する生体情報検知センサと、前記生体情報検知センサが検知する前記在床者の生体情報に基づいて、前記在床者の頭部位置と脚部位置を特定する体位特定装置を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記生体情報検知センサは、体重と呼吸を検知するとともに、前記体位特定装置は、前記生体情報検知センサが検知する前記在床者の呼吸に基づいて、前記在床者の胸部位置を特定する胸部位置特定手段と、前記生体情報検知手段が検知する前記在床者の体重に基づいて、前記ベッド上の前記在床者の重量分布を求める重量分布特定手段と、前記胸部位置特定手段が特定する前記在床者の胸部位置と前記重量分布特定手段が特定する前記在床者の重量分布に基づいて、前記在床者の頭部位置と脚部位置を特定する端部特定手段を有してもよい。
【0010】
また、前記端部特定手段は、前記重量分布特定手段で求めた重量分布の長さ方向の両端部の位置を特定する位置特定手段と、前記胸部位置と前記両端部の位置との距離を算出する距離算出手段を備え、前記両端部の位置のうち、前記胸部位置に近い方の端部の位置を前記在床者の頭部位置と特定し、遠い方の端部の位置を前記在床者の脚部位置と特定してもよい。
【0011】
また、前記生体情報検知センサは、呼吸と心拍を検知するとともに、前記体位特定装置は、前記生体情報検知センサが検知する前記在床者の呼吸と心拍に基づいて、前記在床者の胸部位置を特定する胸部位置特定手段を有してもよい。
【0012】
また、前記生体情報検知センサは、前記在床者の体動を検知するとともに、前記体位特定装置は、前記生体情報検知センサが前記在床者の体動を検知したときに、前記在床者の頭部位置と脚部位置を特定してもよい。
【0013】
また、在床者識別コード読み出し手段と、サーバ装置を備えるとともに、前記在床者識別コード読み出し手段は、記憶媒体から前記在床者を識別する在床者識別コードを読み出し、前記サーバ装置は、当該ベッドの使用を許可されるユーザを識別するユーザ識別コードを記憶するユーザ識別コード格納手段と、前記在床者の過去の生体情報と当該生体情報に対応する機器の使用状況とを記憶する就寝情報格納手段と、前記在床者識別コード読み出し手段が読み出した前記在床者識別コードと前記ユーザ識別コード格納手段に記憶された前記ユーザ識別コードを照合して両者が一致した場合に就寝情報格納手段へのアクセスを許可するセキュリティ制御手段とを備えてもよい。
【0014】
また、前記在床者識別コード読み出し手段と、前記サーバ装置は無線通信手段を介して接続されてもよい。
【0015】
また、就寝室内に設置された機器を制御する機器制御装置を備えるとともに、前記在床者の頭部位置および脚部位置を特定した位置特定情報に基づいて、就寝室内に設置された空調装置の送風口を前記在床者の脚部位置に向けてもよい。
【0016】
また、前記在床者の顔周辺の温度を検出する寝具周辺温度センサを備えるとともに、前記機器制御装置は、前記寝具周辺温度センサが温度の低下を検出したときは、前記空調器具の設定温度を上げ、前記温度の上昇を検出したときは、前記空調器具の設定温度を下げてもよい。
【0017】
また、前記機器制御装置はさらに、前記位置特定情報に基づいて、就寝室内に設置された照明器具の照明を前記在床者の頭部位置に向けてもよい。
【0018】
また、前記在床者が起床時刻をセットするタイマを備えるとともに、前記機器制御装置は、前記在床者がセットした起床時刻の一定時間前に、前記照明器具を点灯してもよい。
【0019】
また、室内の照度を検出する室内照度検出センサを備えるとともに、前記機器制御装置は、前記室内照度検出センサが起床時刻の一定時間前に室内の照度を検出しないときに、前記照明器具を点灯してもよい。
【0020】
また、寝床内を加温する温熱器具を備えるとともに、前記機器制御装置は、前記位置特定情報に基づいて、前記温熱器具の加温位置を前記在床者の脚部位置としてもよい。
【0021】
また、寝床内の温度を検出する寝床内温度センサを備えるとともに、前記機器制御装置は、前記寝床内温度センサが寝床内の温度の低下を検出したとき、前記温熱器具の設定温度を上げてもよい。
【0022】
また、前記温熱器具は、導電性樹脂を面状に形成した面状発熱体を備えることを特徴とする。
【0023】
また、生体情報に基づいて在床者の身体異常を検出した場合に、警告音を発して異常通報を行う異常通報装置を備えてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、在床者の頭部位置および脚部位置を特定するベッドを提供できる。また、特定結果に応じて空調、照明、温熱器具を適切に制御するベッドを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るベッドの概念的な構成を示す図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は側面図である。図1に示すように、ベッド1は、生体情報検知センサ2、室内照度検出センサ3、タイマ4、寝具周辺温度センサ5、寝床内温度センサ6、温熱器具7、体位特定装置8、および機器制御装置9から構成される。
【0027】
生体情報検知センサ2は、スチレンやカーボンなどの導電性繊維を綿やポリエステルなどの非導電性繊維で被覆した繊維を用いた織物を利用したシート状センサであり、ベッド1の上面に配置されて、在床者12の生体情報(体動、体重、心拍および呼吸)を検知する。
【0028】
生体情報検知センサ2を構成する織物の縦糸と横糸の交差部は、導電性繊維を非導電性繊維で挟む形で、一種のコンデンサーを形成しているので、生体情報検知センサ2に圧力が加わって変形すると、このコンデンサーの静電容量が変化する。そのため、生体情報検知センサ2は、圧力の変化を静電容量の変化として検知することができる。また、生体情報検知センサ2は、圧力の分布を検知することができる。そのため、生体情報検知センサ2は、ベッド1に加わる在床者12の体重の分布を検知できる。
【0029】
また、生体情報検知センサ2に加わる圧力の変化を時間軸で解析すれば、振動を検知することもできる。そのため、生体情報検知センサ2は、在床者12の呼吸および心拍を検知することもできる。
【0030】
室内照度検出センサ3は、室内の照度を検出するフォトトランジスタであり、光学フィルムを内蔵する。検出した室内の照度は機器制御装置9に通知され、照明器具11の制御に供される。
【0031】
タイマ4は、在床者12によって設定された起床予定時刻の一定時間前になると、機器制御装置9に通知して照明器具11を点灯させるタイマである。
【0032】
寝具周辺温度センサ5は、在床者12の顔周辺の温度を常時検出する温度センサである。検出した温度は機器制御装置9に通知され、空調器具10の制御に供される。
【0033】
寝床内温度センサ6は、ベッド1に載置されたマットレス等の寝具内に設置されて、寝床内の温度を常時検出する温度センサである。検出した温度は機器制御装置9に通知され、温熱器具7の制御に供される。
【0034】
なお、寝具周辺温度センサ5および寝床内温度センサ6の形式は特に限定されないが、例えば、白金測温抵抗を検出素子とするものなどを選べばよい。
【0035】
温熱器具7は、在床者12の快眠に適した温度に加温するヒータである。温熱器具7の形式は特に限定されないが、例えば、導電性樹脂を面状に形成した面状発熱体等を利用すればよい。
【0036】
体位特定装置8は、生体情報検知センサ2で生体情報を解析するコンピュータであり、図2に示すように、重量分布特定プログラム21、胸部位置特定プログラム22、端部特定プログラム23と、位置特定プログラム24、および距離算出プログラム25がインストールされている。
【0037】
重量分布特定プログラム21は、ベッド1上での在床者12の重量分布を特定するプログラムであり、生体情報検知センサ2が体重による圧力変化を検知したときに実行される。
【0038】
胸部位置特定プログラム22は、在床者12の胸部位置を特定するプログラムであり、生体情報検知センサ2が呼吸による圧力変化を検知したときに実行される。
【0039】
端部特定プログラム23は、位置特定プログラム24と距離算出プログラム25とを備え、在床者12の頭部位置と脚部位置を特定するプログラムであり、重量分布特定プログラム21による在床者12の重量分布特定と胸部特定プログラム22による在床者12の胸部位置特定の終了したときに実行される。
【0040】
位置特定プログラム24は、重量分布特定プログラム21で求めた重量分布の長さ方向の両端部の位置を特定するプログラムであり、端部特定プログラム23の一部を構成する。
【0041】
距離算出プログラム25は、胸部位置特定プログラム22で特定した胸部位置と位置特定プログラム24で特定した両端部の位置との距離を算出するプログラムであり、端部特定プログラム23の一部を構成する。
【0042】
なお、体位特定装置8は必ずしも専用のハードウェアを備える必要はなく、後述する機器制御装置9に所定のプログラムをインストールして体位特定装置8として機能するようにしてもよい。
【0043】
機器制御装置9は、体位特定装置8で特定された在床者12の頭部位置および脚部位置を基に、空調器具10の送風口の向き、照明器具11の照明の向きおよび温熱器具7の加温位置を制御するコンピュータである。なお、温熱器具7の加温位置は、温熱器具7上での在床者12の脚部位置を含む特定の範囲を求めることにより設定すればよい。
【0044】
なお、機器制御装置9の各種機能は、所定のプログラムを機器制御装置9にインストールして実現される。
【0045】
(在床者の体位特定)
ベッド1における在床者12の体位特定の手順について図3を参照しながら説明する。
【0046】
図3(a)に示すように、ベッド1の長手方向をX軸、短手方向をY軸とし、ベッド1の中心位置を原点O(0,0)とするX−Y座標系を設定する。
【0047】
在床者12がベッド1に仰臥すると、生体情報検知センサ2が、在床者12の体重による圧力変化を検知する。
【0048】
次に、重量分布特定プログラム21が、生体情報検知センサ2が検知した圧力変化を解析して、図3(b)に示すようなベッド1の重量分布を特定する。
【0049】
前述したように、生体情報検知センサ2は、在床者12の呼吸および心拍による圧力変化を検出できる。よって、胸部位置特定プログラム22は、生体情報検知センサ2上で呼吸による圧力変化が最も顕著に検知される位置を胸部位置として特定できる。以後、これをX−Y座標系でA(X1,Y1)と表示する。なお、生体情報検知センサ2は、心拍による圧力変化も検知するが、呼吸と心拍の発生周期は異なるので、両者を分離することが可能である。
【0050】
なお、胸部位置A(X1,Y1)は次のような手順で得ることができる。すなわち、図3(c)に示すような生体情報検知センサ2の中心位置を原点とするX’−Y’座標系を設定すると、X’−Y’座標系による胸部位置A(X1,Y1)は次式で得られる。
【0051】
【数1】

【数2】

【0052】
ただし、BX’は、生体情報検知センサ2の長手方向の長さであり、BY’は、生体情報検知センサ2の短手方向の長さである。またPa,Pb,Pc,Pdは生体情報検知センサ2の四隅a,b,c,dで検出される圧力である。
【0053】
式(1)及び(2)で得られた胸部位置Aの座標(X1’,Y1’)をX−Y座標系に変換すれば、X−Y座標系による胸部位置A(X1,Y1)が得られる。
【0054】
次に、体位特定装置8が、在床者12の頭部位置と脚部位置とを特定する。
【0055】
まず、位置特定プログラム24で、重量分布の長さ方向の両端部BおよびC(図3(b)参照)の位置を特定する。ここで、重量分布の長さ方向とは、ベッド1の在床者12の体重が加わる領域に属する2点であって、その2点間の距離が最大になる2点を結ぶ線分の方向をいい、その線分の両端を、重量分布の長さ方向の両端BおよびCとする。以後X−Y座標系を使って、両端BおよびCを、B(X2,Y2)、C(X3,Y3)と表示する。
【0056】
次に、距離算出プログラム25が、胸部位置Aと一端部の位置Bおよび胸部位置Aと他端部の位置Cとの距離を算出する。胸部位置Aと端部Bとの距離をL1、胸部位置Aと端部Cとの距離をL2とすると、L1およびL2は、下記の式から得られる。
【0057】
【数3】

【数4】

【0058】
端部Bおよび端部Cのどちらか一方が頭部位置で、他方が脚部位置であるが、頭部位置と脚部位置は、距離L1とL2の大小で判別する。つまりL1<L2であれば、端部Bが胸部位置に近いので頭部位置と特定され、端部Cは脚部位置と特定される。また、L1>L2の場合は、端部Bが脚部位置と、端部Cが頭部位置とそれぞれ特定される。
【0059】
また、生体情報検知センサ2は、在床者12の心拍が最も顕著に検知される位置も特定できるので、この位置を在床者12の胸部位置とするようにしてもよい。
【0060】
なお、重量分布特定プログラム21で重量分布の中心(重心)を算出するようにして、所定時間毎に重量分布特定プログラム21を実行して重心が所定の閾値を超えるのを検知すれば、在床者12の体動を検知できる。なお、体動とは在床者12の寝返りやジャーキングによる体の動きである。
【0061】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係るベッド1の概念的な構成を示す図である。実施形態2に係るベッド1の基本的な構成は実施形態1に係るベッド1(図1参照)と共通するが、在床者識別コード読み出し手段13、無線通信手段14、サーバ15、無線通信手段16、就寝情報格納手段17、ユーザ識別コード格納手段18、およびセキュリティ制御プログラム19を備える点で異なる。
【0062】
在床者識別コード読み出し手段13は、在床者12が持つICカードに記憶された在床者12のIDコードを読み出すコード読み出し装置である。
【0063】
無線通信手段14は、機器制御装置9に備えられて、サーバ15に備えられる無線通信手段16との間で無線通信を行う無線通信装置である。
【0064】
サーバ15は、無線通信手段16、就寝情報格納手段17、およびユーザ識別コード格納手段18から構成され、セキュリティ制御プログラム19がインストールされたコンピュータである。
【0065】
無線通信手段16は、機器制御装置9の無線通信手段14との間で無線通信を行う無線通信装置である。
【0066】
就寝情報格納手段17は、ベッド1を使用する複数のユーザの就寝情報を格納する記憶装置である。なお、就寝情報とは、在床者12の就寝時に検知される生体情報と当該生体情報が検知されたときの機器の使用状況に関する情報である。また、前記就寝情報には、各ユーザの識別コードが付されていて、当該就寝情報とユーザの関係を明白にしている。
【0067】
ユーザ識別コード格納手段18は、ベッド1の使用資格を有するユーザの識別コードを格納する記憶装置である。なお、ユーザ識別コード格納手段18は必ずしも専用のハードウェアを備える必要はない。就寝情報格納手段17に所定の識別コードを格納してユーザ識別コード格納手段18として機能するようにしてもよい。
【0068】
セキュリティ制御プログラム19は、在床者識別コード読み出し手段13で読み出した識別コードと、ユーザ識別コード格納手段18に格納された正規ユーザの識別コードを照合して、両者が一致した場合に、ユーザの識別コードに対応する就寝情報の読み出し・書き込みをサーバ15に許可するプログラムである。
【0069】
[空調機器の制御]
図5は、機器制御装置9で実行されて、空調器具10を制御する空調器具制御プログラム31の処理手順を示すフローチャートである。以下、図5を参照しながら、空調器具制御プログラム31の処理手順について説明する。
【0070】
ベッド1の主電源を投入すると、空調器具制御プログラム31がスタートする。
【0071】
(ステップ1)在床者12がICカードをスロット(図示せず)に挿入すると、在床者識別コード読み出し手段13が識別コードを読み出して、サーバ15に送信する。サーバ15では、セキュリティ制御プログラム19が、ICカードから読み出された識別コードとユーザ識別コード格納手段18から読み出した識別コードを照合して両者が一致したら、ステップ2に進み、一致をしなかったら空調器具制御プログラム31は終了する。
【0072】
(ステップ2)ユーザの識別コードに対応する就寝情報を就寝情報格納手段17から読み出す。
【0073】
(ステップ3)生体情報検知センサ2が、在床者12の生体情報を検知して体位特定装置8に通知する。
【0074】
(ステップ4)生体情報のうち主に呼吸と心拍が、正常範囲にない場合には、後述する異常通報プログラム34を作動し、正常範囲にある場合には、ステップ5に進む。
【0075】
(ステップ5)生体情報を通知された体位特定装置8は、在床者12の頭部位置および脚部位置を特定し、機器制御装置9に通知する。なお、就寝位置判定は、一定時間毎に、または生体情報検知センサ2が体動を検知したときに実行される。
【0076】
(ステップ6)頭部位置と脚部位置を通知された機器制御装置9は、空調器具10の送風口を、在床者12の脚部位置に向ける。
【0077】
(ステップ7)寝具周辺温度センサ5が、温度を検出して、機器制御装置9に通知する。
【0078】
(ステップ8)機器制御装置9が、寝具周辺温度が基準範囲内となるように空調器具10の出力を調整する。なお、基準範囲とは、基準温度を中心とする所定の温度の範囲のことである。在床者12が、寝具周辺温度を機器制御装置9に設定している場合は、その温度を基準温度とする。在床者12が寝具周辺温度を機器制御装置9に設定していない場合は、就寝情報格納手段17から読み出した在床者12の過去の就寝情報を参照して、在床者12の呼吸または心拍が平常値を示したときの寝具周辺温度を基準温度とする。
【0079】
(ステップ9)在床者12が離床したとき、または、在床者12がベッド1の電源をオフしたときは、ステップ10に進む。在床者12が離床をしないとき、または、在床者12がベッド1の電源をオフしないときは、ステップ3に戻って再び生体情報の検知を行う。なお、離床の判断は、生体情報検知センサ2で行う。つまり、生体情報検知センサ2が生体情報を検知しなくなったときに、在床者12が離床したと判断する。
【0080】
(ステップ10)就寝時の生体情報および寝具周辺温度を、就寝情報格納手段17に保存し、空調制御プログラム31は終了する。
【0081】
[照明機器の制御]
図6は、照明器具11を制御する照明器具制御プログラム32の処理手順を示すフローチャートである。以下、図6を参照しながら、照明器具制御プログラム32の処理手順について説明する。
【0082】
在床者12がタイマ4にセットした起床時刻の一定時間前になると、照明器具制御プログラム32がスタートする。
【0083】
(ステップ1)生体情報検知センサ2が、在床者12の生体情報を検知する(空調器具制御プログラム31のステップ3と同じ)。
【0084】
(ステップ2)体位特定装置8が、在床者12の頭部位置と脚部位置を特定する(空調器具制御プログラム31のステップ5と同じ)。
【0085】
(ステップ3)機器制御装置9が、照明を在床者12の頭部位置に向ける。
【0086】
(ステップ4)照明器具11が点灯し、照明器具制御プログラム32は終了する。
【0087】
なお、機器制御装置9が、室内照度検出センサ3が検出する照度を基に、照明器具11を点灯するステップを照明器具制御プログラム32に追加してもよい。これにより、室内照度検出センサ3が所定の照度を検出しない場合に、機器制御装置9は再度照明器具11の点灯を試みることができる。
【0088】
[温熱機器の制御]
図7は、温熱器具7を制御する温熱器具制御プログラム33の処理手順を示すフローチャートである。以下、図7を参照しながら、温熱器具制御プログラム33の処理手順について説明する。なお、プログラムのスタートからステップ4までについては、空調器具制御プログラム31と同じであるため、説明を省略する。
【0089】
(ステップ5)機器制御装置9が、温熱器具7の加温位置を、温熱器具7上での在床者12の脚部位置を含む特定の範囲に設定する。
【0090】
(ステップ6)寝床内温度センサ6が、寝床内温度を検出して、機器制御装置9に通知する。
【0091】
(ステップ7)機器制御装置9が、寝床内温度を基準範囲内となるように温熱器具の出力を調整する。在床者12が、寝具内温度を機器制御装置9に設定している場合は、その温度を基準温度とする。在床者12が、寝具内温度を機器制御装置9に設定していない場合は、就寝情報格納手段17から読み出した在床者12の過去の就寝情報を参照して、在床者12の呼吸または心拍が平常値を示した時の寝具内温度を基準温度とする。
【0092】
(ステップ8)在床者12の離床を確認したとき、または、在床者12がベッド1の電源をオフしたことを確認したときは、ステップ9に進み、確認しないときは、ステップ3に戻って再び生体情報の検知を行う。
【0093】
(ステップ9)就寝時の生体情報および寝床内温度を、就寝情報格納手段17に保存し、温熱器具制御プログラム33は終了する。
【0094】
以上、説明したように、機器制御装置9に空調器具制御プログラム31、照明器具制御プログラム32および温熱器具制御プログラム33をインストールして、これらのプログラムを実行することにより、在床者12の頭部位置への照明の点灯、脚部位置への送風および脚部位置の加温を実現できる。
【0095】
[異常通報装置の制御]
図8は、異常通報装置を作動する異常通報プログラム34の処理手順を示すフローチャートである。以下、図8を参照しながら、異常通報プログラム34の処理手順について説明する。
【0096】
前述したように、空調器具制御プログラム31において、在床者12の生体情報のうち主に呼吸と心拍が正常範囲にないことを検知した時に、異常通報プログラム34はスタートする。
【0097】
(ステップ1)異常通報装置が作動して、在床者12の異常を第三者に通報すると、異常通報プログラム34は終了する。
【0098】
なお、ユーザの異常の通報手段は、第三者に通報できるならば形式は特に限定されないが、例えばベッド1にアラームを備えておき、警告音を発すればよい。
【0099】
なお、実施形態2では、ユーザが携帯する識別情報格納手段としてICカードを例に説明したが、識別情報格納手段はこれに限られるものではない。例えば、識別情報を記憶した携帯端末あるいは、人体に埋め込んだICチップであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】実施形態1に係るベッドの概念的な構成を示す図である。
【図2】在床者の頭部位置と脚部位置を特定するブロック図である。
【図3】本発明に係るベッドでの在床者の体位特定の手順を説明する図である。
【図4】実施形態2に係るベッドの概念的な構成を示す図である。
【図5】空調器具制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】照明器具制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】温熱器具制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】異常通報装置作動プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
1 ベッド
2 生体情報検知センサ
3 室内照度検出センサ
4 タイマ
5 寝具周辺温度センサ
6 寝床内温度センサ
7 温熱器具
8 体位特定装置
9 機器制御装置
10 空調器具
11 照明器具
12 在床者
13 在床者識別コード読み出し手段
14 無線通信手段
15 サーバ
16 無線通信手段
17 就寝情報格納手段
18 ユーザ識別コード格納手段
19 セキュリティ制御プログラム
21 重量分布特定プログラム
22 胸部位置特定プログラム
23 端部特定プログラム
24 位置特定プログラム
25 距離算出プログラム
31 空調器具制御プログラム
32 照明器具制御プログラム
33 温熱器具制御プログラム
34 異常通報プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
在床者の生体情報を検知する生体情報検知センサと、
前記生体情報検知センサが検知する前記在床者の生体情報に基づいて、前記在床者の頭部位置と脚部位置を特定する体位特定装置を備える
ことを特徴とするベッド。
【請求項2】
前記生体情報検知センサは、体重と呼吸を検知するとともに、
前記体位特定装置は、
前記生体情報検知センサが検知する前記在床者の呼吸に基づいて、前記在床者の胸部位置を特定する胸部位置特定手段と、
前記生体情報検知センサが検知する前記在床者の体重に基づいて、前記ベッド上の前記在床者の重量分布を求める重量分布特定手段と、
前記胸部位置特定手段が特定する前記在床者の胸部位置と前記重量分布特定手段が特定する前記在床者の重量分布に基づいて、前記在床者の頭部位置と脚部位置を特定する端部特定手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のベッド。
【請求項3】
前記端部特定手段は、
前記重量分布特定手段で求めた重量分布の長さ方向の両端部の位置を特定する位置特定手段と、
前記胸部位置と前記両端部の位置との距離を算出する距離算出手段を備え、
前記両端部の位置のうち、前記胸部位置に近い方の端部の位置を前記在床者の頭部位置と特定し、遠い方の端部の位置を前記在床者の脚部位置と特定する
ことを特徴とする請求項2に記載のベッド。
【請求項4】
前記生体情報検知センサは、呼吸と心拍を検知するとともに、
前記体位特定装置は、
前記生体情報検知センサが検知する前記在床者の呼吸と心拍に基づいて、前記在床者の胸部位置を特定する胸部位置特定手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のベッド。
【請求項5】
前記生体情報検知センサは、前記在床者の体動を検知するとともに、
前記体位特定装置は、
前記生体情報検知センサが前記在床者の体動を検知したときに、前記在床者の頭部位置と脚部位置を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載のベッド。
【請求項6】
在床者識別コード読み出し手段と、
サーバ装置を備えるとともに、
前記在床者識別コード読み出し手段は、記憶媒体から前記在床者を識別する在床者識別コードを読み出し、
前記サーバ装置は、
当該ベッドの使用を許可されるユーザを識別するユーザ識別コードを記憶するユーザ識別コード格納手段と、
前記在床者の過去の生体情報と当該生体情報に対応する機器の使用状況とを記憶する就寝情報格納手段と、
前記在床者識別コード読み出し手段が読み出した前記在床者識別コードと前記ユーザ識別コード格納手段に記憶された前記ユーザ識別コードを照合して両者が一致した場合に就寝情報格納手段へのアクセスを許可するセキュリティ制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のベッド。
【請求項7】
前記在床者識別コード読み出し手段と、前記サーバ装置は無線通信手段を介して接続されている
ことを特徴とする請求項6に記載のベッド。
【請求項8】
就寝室内に設置された機器を制御する機器制御装置を備えるとともに、
前記在床者の頭部位置および脚部位置を特定した位置特定情報に基づいて、就寝室内に設置された空調装置の送風口を前記在床者の脚部位置に向ける
ことを特徴とする請求項1に記載のベッド。
【請求項9】
前記在床者の顔周辺の温度を検出する寝具周辺温度センサを備えるとともに、
前記機器制御装置は、前記寝具周辺温度センサが温度の低下を検出したときは、前記空調器具の設定温度を上げ、前記温度の上昇を検出したときは、前記空調器具の設定温度を下げる
ことを特徴とする請求項8に記載のベッド。
【請求項10】
前記機器制御装置はさらに、
前記位置特定情報に基づいて、就寝室内に設置された照明器具の照明を前記在床者の頭部位置に向ける
ことを特徴とする請求項8に記載のベッド。
【請求項11】
前記在床者が起床時刻をセットするタイマを備えるとともに、
前記機器制御装置は、前記在床者がセットした起床時刻の一定時間前に、前記照明器具を点灯する
ことを特徴とする請求項10に記載のベッド。
【請求項12】
室内の照度を検出する室内照度検出センサを備えるとともに、
前記機器制御装置は、前記室内照度検出センサが起床時刻の一定時間前に室内の照度を検出しないときに、前記照明器具を点灯する
ことを特徴とする請求項10に記載のベッド。
【請求項13】
寝床内を加温する温熱器具を備えるとともに、
前記機器制御装置は、前記位置特定情報に基づいて、前記温熱器具の加温位置を前記在床者の脚部位置とする
ことを特徴とする請求項8に記載のベッド。
【請求項14】
寝床内の温度を検出する寝床内温度センサを備えるとともに、
前記機器制御装置は、前記寝床内温度センサが寝床内の温度の低下を検出したとき、前記温熱器具の設定温度を上げる
ことを特徴とする請求項13に記載のベッド。
【請求項15】
前記温熱器具は、導電性樹脂を面状に形成した面状発熱体を備える
ことを特徴とする請求項13に記載のベッド。
【請求項16】
生体情報に基づいて在床者の身体異常を検出した場合に、警告音を発して異常通報を行う異常通報装置を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のベッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−240660(P2009−240660A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93108(P2008−93108)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】