説明

ベニヤ単板の製造方法

以下の工程(i)〜(iv)を含む、第一のウッドシートからの第二のウッドシートの製造方法:(i)層状に形成された正面及び背面を有する第一のウッドシートを与える工程、ここで前記第一のウッドシートの水分含有量は、その木材の繊維飽和点未満である;(ii)工程(i)で与えられた第一のウッドシートの1以上の正面及び/又は1以上の背面に含水粘着剤を適用する工程;(iii)第一のウッドシートの接着した層を有するブロックを形成するように、工程(ii)からのウッドシート及び随意に工程(i)からのウッドシートを、互いに層状の面で接着する工程であって、接着は、前記形成したブロックの水分含有量を、木材の繊維飽和点以上に高めるように実行する工程;(iv)工程(iii)で形成したブロックをスライスして、第二のウッドシートを形成する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開始材料としてのウッドシートから他の1つのウッドシートを製造するためのプロセスに関する。このウッドシートは、ベニヤ単板(venner)であってもよい。
【背景技術】
【0002】
ベニヤ単板の製造は、本物の木から作られた装飾性のある高品質表面の材料を製造するための生産技術である。従来技術においては、丸太を薄く剥ぐ又は丸太の皮を剥ぐ。この丸太を、半分、三分の一、四分の一又は他の一部に切る(いわゆる「フリッチ(flitch)」)。このフリッチは、ベニヤ単板への切断用、いわゆるベニヤ単板へのスライス用に調製するため、多くの場合、続いて数日間、高温で水中に入れられる。切断プロセスに依存して、スライスドベニヤ単板(水平スライス又は垂直スライス)、剥きベニヤ単板(peeled venner)(回転スライス)又はステイログ(staylog)(偏心ロータリースライス)を製造することができる。
【0003】
約0.45mm〜2.5mm、好ましくは0.45mm〜0.8mmの厚みを通常有する、得られた未加工ベニヤ単板を、好ましくは100℃超の温度で多くは数分以内に乾燥させる。大きなうねり(corrugation)又は「座屈(buckling)」がある場合、このベニヤ単板を、さらに押圧工程に処理する。続いて、乾燥させた未加工ベニヤ単板を、適切なサイズに切断し、そして品質によって分類する。この適切なサイズへの切断に関して、材料の大きな損失を受け入れる必要があり、これは最大60%になることがある。開始材料の「木材」又は「木」が天然物であるということにより、ベニヤ単板の製造に関する材料の損失は大きくなる。丸太にある内包物(Inclusion)、枝の痕(limb rudiment)及び欠損部(imperfections)は、認識できないことがあり、そうしてこれらは欠陥を未加工ベニヤ単板にもたらす場合があり、この欠陥は、多くの場合、さらなる処理を受け入れさせなくする。これら全てによって、原材料の丸太から最終的に許容できる適切なサイズに切断したベニヤ単板の製造までに、85%もの材料廃棄物をもたらす場合がある。
【0004】
上記のプロセス工程は、ベニヤ単板の製造に関して、いわゆる「ヨーロッパ法」又は「北アメリカ法」に含まれる。
【0005】
他の1つの技術プロセス、いわゆる「アジア法」においては、上記の未加工ベニヤ単板を、約0.1mm〜0.8mmの厚みで得る。随意に端部(縦方向)を切り落とした後で、まだ濡れているシート状のベニヤ単板を、接着(gluing)して基材に適用する。多くは、その基材は、合板(plywood)である。需要者は、「化粧合板(fancy plywood)」を購入し、そして彼らが、必要なパネルの一部に切断する。これは、その必要なサイズが必ずしも合板パネルのサイズと合致しないので、低い収率をもたらす。この「アジア法」は、統合されたプロセスを必要とする。フリッチ/ブロックをスライスした後のベニヤ単板は、その木材の繊維飽和点を越えた水分含有量を有する。このシートをしばらくの間、横たえて置くことで、ベニヤ単板に型が造られ、それらを使用不可にする劣化がもたらされる。比較的長い距離に渡る輸送及び保管は、不可能である。ベニヤ単板を基材に押圧するだけで、この製品を輸送/取扱いすることができる。基材の価値は、ベニヤ単板自体よりも顕著に低い。したがって、ベニヤ単板製品は、化粧合板製品よりも大幅に遠くに、経済的に輸送することができる。これは、輸送コストが上がるにつれて、特に重要となる。
【0006】
いわゆる再構成ベニヤ単板(reconstituted veneer)も公知である。その製造プロセスにおいては、最終製品のベニヤ単板の特性をより精確に予測するために、再現性のある装飾的特性、一定の品質及び寸法精確性を達成することが切望されている。通常製造されるベニヤ単板、例えば剥きベニヤ単板を、随意の前処理の後で、例えば構造物の染色又はベーキングの後で、互いに接着させ、それにより得た材料を、続いて再びスライスする。それにより、大部分が所定の表面構造を有するベニヤ単板表面を形成することができる。典型的には、柔軟な種類の木材を用いる必要があり、そうでない場合は、切断プロセスは、悪影響を受け、又は全く機能しない。柔軟な木材を用いることによって、製造したベニヤ単板のスクラッチ耐性が損なわれる場合がある。
【0007】
他の1つの従来の再構成ベニヤ単板の製造プロセスでは、堅い木材のスライスドベニヤ単板又は剥きベニヤ単板を、ブロックに積層し、再びスライスする。ここでは、ブロックは、繊維飽和点未満で水分含有量を有する。乾燥したベニヤ単板を用いるため、生成するシートは、通常脆く、そして取扱いが難しい。乾燥した木材を、狭いパラメーター内でのみスライスすることができるため、ベニヤ単板の幅及び長さ等のパラメーターに関して、プロセスが制限される。典型的には、そのようなベニヤ単板を、さらなるプロセスの前に基材に接着させる必要がある。これは、製造プロセスにコストを付加する。
【0008】
ベニヤ単板の特定の製造プロセスが、例えば以下の先行技術文献に開示されている。
【0009】
特許文献1は、木材ベニヤ単板の製造方法を開示しており、ここでは約4%の水分含有量を有するプリントされたウッドシートを、共に接着して、フリッチを形成している。接着硬化の後で、この生成したフリッチをスライスする。
【0010】
特許文献2及び3は、木材ベニヤ単板の製造方法を開示しており、ここでは個々のフリッチを、粘着剤によって互いに接着して、複合フリッチを形成している。この複合フリッチを、次にスライスして、ウッドシート、例えばベニヤ単板を形成する。これは、粘着剤によって基材に接着される。全てのプロセス工程を通じて、この木材を、その木材の繊維飽和点以上の水分含有量に維持しながら、プロセス工程を実行する。得られるベニヤ単板の水分含有量も、基材に接着する前に、繊維飽和点に維持又は飽和点を超えて維持する。
【0011】
特許文献4は、木材の梁の小片を互いに接着し、これを後にスライスできることを開示している。接着に関して、粘着剤、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びレゾルシノール樹脂が提案されている。全プロセス中で、木材の水分含有量は、繊維飽和点以上で恒久的に保持される。木材の繊維飽和点を超えて水分含有量を有する生産したベニヤ単板を、重ね合わせて、そして基材に接着させる。
【0012】
特許文献5は、ベニヤ単板及びそれからの化粧合板の製造プロセスを開示している。ここでは、比較的小さい接着したフリッチ、又はスライスした大きなベニヤ単板から作製した複合フリッチを、スライスしてベニヤ単板とすることができ、これを次に基材に接着する。全ての工程は、繊維飽和点以上で実行する。
【0013】
特許文献6は、ベニヤ単板のシートからフリッチを形成する方法を開示しており、ここではフリッチをスライスする前に水中で加熱処理する。
【0014】
特許文献7は、木材ベニヤ単板の製造方法を開示しており、ここでは25%超の水分含有量を有する湿潤している木材片を、無水イソシアネート含有液体粘着剤を用いて互いに接着する。こうして結合した木材を、ロータリーレース、スライサー又は丸鋸を用いて切断することができる。
【0015】
特許文献8は、接着した木材シートからなる複合材を小片に切断するプロセスを開示している。この小片を、裏当て部材に接着する。
【0016】
特許文献9は、材料のベニヤ単板を、バインダーによって接合してフリッチを形成する、ベニヤ単板の製造方法を開示している。続いて、このフリッチをスライスして、人造木材ベニヤ単板を形成する。
【0017】
特許文献10は、合板用の通常のベニヤ単板を、発泡粘着剤で互いに結合して丸太状形成体を作製する、合板用の再構成ベニヤ単板を開示している。この形成体を、通常の丸太と同じプロセスで、ベニヤ単板に形成する。
【0018】
特許文献11は、約2mmの厚みで再構成ベニヤ単板を製造するプロセスを開示している。
【0019】
特許文献12は、積層したベニヤ単板及びアルミニウムシートの構造体を開示している。
【0020】
特許文献13は、積層したフリッチをスライスすることによって得られる人造ベニヤ単板を開示している。
【0021】
特許文献14は、再構成木材の製造方法を開示している。
【0022】
特許文献15は、ブランク(blank)に統合する複数の木材単一プレートを切断する方法を開示している。
【0023】
特許文献16は、木材ベニヤ単板の製造プロセスを開示しており、ここでは木材のボード状の平面片を、互いに接着して木材の梁状ブロックを形成する。スライスする前に、このブロックを湿らせる。得られるベニヤ単板を、この木材の水分含有量が繊維飽和点未満になるまで乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1275481号
【特許文献2】米国特許第US3,977,449号
【特許文献3】米国特許第US3,878,016号
【特許文献4】米国特許第US3,969,558号
【特許文献5】米国特許第US3,977,933号
【特許文献6】米国特許第US5,143,792号
【特許文献7】米国特許第US3,897,581号
【特許文献8】米国特許第US4,293,362号
【特許文献9】米国特許第US4,388,133号
【特許文献10】特開平10−086107号
【特許文献11】仏国特許出願公開第2591933号
【特許文献12】特許第3083632号
【特許文献13】特開2003−276002号
【特許文献14】中国特許出願公開第101357470号
【特許文献15】中国特許出願公開第101294442号
【特許文献16】欧州特許出願公開第1688228号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、木材シート、例えばベニヤ単板を作製するための課題に基づいており、これは次の1つ以上の点をできる限り回避する:色の不一致の問題;用いる原材料中の天然欠陥により生み出されるベニヤ単板中の欠陥;もろさ;材料廃棄物。さらに、この木材シートの外観、構造及び美観は、用いる丸太又は原材料によってのみ予め決められるべきではなく、使用者又は設計者の望みによっても決められるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
この課題は、望ましいデザイン及び/又は視覚的特性に依存する望ましい厚みのウッドシート、例えばスライスした又は桂剥きした乾燥ベニヤ単板シートを与えることによる、ウッドシートの製造プロセス、例えばベニヤ単板の製造プロセスによって解決される。これらを、接着したウッドシートを含むブロックに接着させる。水性接着剤を接着に用いる。接着剤からウッドシートの木材に水を浸透させて、それにより木材の繊維飽和点以上に木材の水分含有量を上げるように、接着を行う。ベニヤ単板を、上記ブロックをスライスすることによって製造することができる。木材の水分含有量に起因して、このようなスライスを、水性接着剤によって与えられる強力な接着接合に影響を与えることなく、スムースに実行することができる。生産されるベニヤ単板を、所定の審美特性を与えるように設計することができる。用いる木材及び接着剤を、着色又は染色することができる。さらに、硬質木材を用いることにより、スクラッチ耐性のあるベニヤ単板を製造することができる。機械的特性及び視覚的特性を変えるために、異なる種類の木材を用いること、及び非木材材料、例えば金属又は金属粉体、光輝材(glitter)、プラスティック等を組み込むことも可能である。生産したシート又はベニヤ単板を、容易に処理することができる。さらに、製造するベニヤ単板の特性に影響を与えることなく、比較的低いグレードのベニヤ単板を、上記ブロック又はフリッチの製造のために有利に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
第一の態様では、本発明は、以下の工程(i)〜(iv)を含む、第一のウッドシートから第二のウッドシートを製造するプロセスに関する:
(i)層状に形成された正面及び背面を有する第一のウッドシートを与える工程、ここで上記第一のウッドシートの水分含有量は、その木材の繊維飽和点未満である;
(ii)工程(i)で与えられた1つ以上の上記第一のウッドシートの正面及び/又は背面に含水粘着剤を適用する工程;
(iii)前記第一のウッドシートの接着した層を有するブロックを形成するように、工程(ii)からのウッドシート及び随意に工程(i)からのウッドシートを、互いに層状の面で接着する工程であって、この接着は、上記形成したブロックの水分含有量を、上記木材の繊維飽和点以上に高めるように実行する工程;
(iv)工程(iii)で形成した上記ブロックをスライスして、上記第二のウッドシートを形成する工程。
【0028】
用語「ウッドシート」は、層状に形成された正面及び背面を有するあらゆる木材片のことを定義している。上記正面及び背面は互いに、シートの厚み寸法で間隔がある。好ましくは、シートを通じて厚みは、一定又は略一定である。これは正面及び背面が好ましくは、互いに平行方向であることを意味している。上記木材の長さ及び幅が厚みより大きい限りでは、厚みには制限はない。
【0029】
用語「乾燥ウッドシート」は、その木材の繊維飽和点未満で水分含有量を有するウッドシートのことを定義している。
【0030】
用語「繊維飽和点」は、木材の大部分が「遊離」水を含まず、「結合」水のみを含む、湿った木材の乾燥プロセスにおける点のことを定義している。「遊離」水は、木材の細胞膣にあり、「結合」水は、木材の細胞壁にある。
【0031】
水分含有量は、DIN52183に従って測定される。他の測定法も用いることができ、例えば電気的方法(オーム抵抗の測定)又は赤外光の反射による測定を用いることができる。しかし、比較可能な値を得るために、校正法として上記DIN法を用いることが望ましい。
【0032】
用語「木材」には、軟質木材及び硬質木材が含まれる。用語「硬質木材」には、広葉樹の木材が含まれる。
【0033】
用語「含水粘着剤」は、上記第一のウッドシートを含むブロックを形成するために上記第一のウッドシートの少なくとも2つを互いに結合できる、水を含むあらゆる化合物のことを定義している。上記化合物は、溶液、エマルション、懸濁体又は分散体の形態で、その水中に存在していてもよい。したがって、用語「溶液」、「懸濁体」、「エマルション」及び「分散体」は、本明細書において、相互に入れ換えられるものとして用いられている。用語「粘着剤」は、用語「接着剤」と相互に入れ換えられるものとして用いられている。用語「粘着する」及び「接着する」は、相互に入れ換えられるものとして用いられている。
【0034】
用語「ベニヤ単板」は、上記の背景技術において論じたような意味で用いられ、0.1mm〜3mm、好ましくは約0.45〜2.5、より好ましくは0.45〜0.8mmの厚みを有する、区別される種類のウッドシートを表す。用語「ベニヤシート」又は「ベニヤ単板のシート」は、用語「ベニヤ単板」と相互に入れ換えられるものとして用いられている。
【0035】
用語「ブロック」は、ウッドシート又はベニヤ単板から作製した複合材のことを定義している。この用語は、用語「フリッチ」と相互に入れ換えられるものとして用いられている。
【0036】
用語「スライス」は、用語「切断」と相互に入れ換えられるものとして用いられている。このスライス又は切断は、ナイフ、ブレード等によってフリッチからウッドシート、例えばベニヤ単板を形成することに関連している。本発明の文脈内においては、ブロック又はフリッチの形態での第一のウッドシート、例えばベニヤ単板を、切断又はスライスするが、繊維除去(加工)プロセスにおいて、製材され又は他に形成されない。
【0037】
用語「粘着層」は、第一のウッドシートの2つの板面間を、互いに接着する接着剤の層のことを定義している。
【0038】
工程(i)
工程(i)では、層状に形成された正面及び背面を有する第一のウッドシートを与えることが必要である。ここでは、その第一のウッドシートの水分含有量は、その木材の繊維飽和点未満である。
【0039】
好ましくはベニヤ単板の形態である、そのようなウッドシートを、「ヨーロッパ法」によるプロセスに従って製造してもよい。しかし、そのようなシートを、丸太を製材することによって得られる挽板の形態で与えることもできる。
【0040】
必要ならば、上記シートを、木材の繊維飽和点未満である必要な水分含有量とするために、工程(i)で与える前に乾燥工程に処理する。乾燥を、上記シートに熱風を適用することによって行ってもよい。
【0041】
好ましくは、上記第一のウッドシートの水分含有量を50%未満、さらに好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満にする。特には、水分含有量は、20%未満である。非常に特に好ましいウッドシートは、5〜20%の水分含有量を有する。
【0042】
工程(i)で与えられる第一のウッドシートの厚みは、0.1mm〜3mmである。
【0043】
1つの実施態様では、工程(i)で与えられる上記ウッドシートは、ベニヤ単板であり、好ましくはスライスドベニヤ単板又は剥きベニヤ単板である。好ましくは、上記ベニヤ単板は、約0.45mm〜2.5mm、より好ましくは0.45mm〜0.8mmの厚みを有する。
【0044】
1つの実施態様では、工程(i)で与えられるような上記第一のウッドシートは、好ましくはベニヤ単板の形態であり、硬質木材を含み、又は硬質木材から作られる。硬質木材の例は、限定されないが、オーク材、メープル材、及びブナ材である。
【0045】
1つの実施態様では、第一のウッドシートの木材の密度は、DIN52182に従って測定して、0.1〜1.5g/cmの範囲とされる。他の1つの実施態様では、その密度は、0.4〜1.3g/cm又は0.5〜1.2g/cmである。1つの実施態様では、その密度は、0.6〜0.9g/cmである。
【0046】
1つの実施態様では、第一のウッドシートの木材の密度は、0.1〜1.5g/cmの範囲とされ、かつ第一のウッドシートの水分含有量は、50%未満、さらに好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、特には20%未満であり、又は5〜50%の範囲、5〜40%の範囲、5〜30%の範囲若しくは5〜20%の範囲である。
【0047】
1つの実施態様では、第一のウッドシートの木材の密度は、0.4〜1.3g/cmの範囲とされ、かつ第一のウッドシートの水分含有量は、50%未満、さらに好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、特には20%未満であり、又は5〜50%の範囲、5〜40%の範囲、5〜30%の範囲若しくは5〜20%の範囲である。
【0048】
他の1つの実施態様では、第一のウッドシートの木材の密度は、0.5〜1.2g/cmの範囲とされ、かつ第一のウッドシートの水分含有量は、50%未満、さらに好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、特には20%未満であり、又は5〜50%の範囲、5〜40%の範囲、5〜30%の範囲若しくは5〜20%の範囲である。
【0049】
1つの実施態様では、第一のウッドシートの木材の密度は、0.6〜0.9g/cmの範囲とされ、かつ第一のウッドシートの水分含有量は、50%未満、さらに好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、特には20%未満であり、又は5〜50%の範囲、5〜40%の範囲、5〜30%の範囲若しくは5〜20%の範囲である。基本的には、任意のウッドシートを、工程(i)で用いることができる。例えば、丸太の様々な中実木材部分からのウッドシートを、用いることができる。このような中実ウッドシートの厚み又は「ゲージ(gage)」は、本発明によるプロセスに関して重要ではない。
【0050】
工程(i)で、異なる木材種を含む1つの第一のウッドシートを与えることができる。異なる木材種からそれぞれ作られた複数の第一のウッドシートを与えることもできる。本発明の1つの実施態様では、異なる木材種のウッドシートを互いに接着させる。この方法では、工程(i)から工程(ii)を通じて工程(iv)までに、縞のある、薄い、線状の外観のベニヤ単板又はベニヤパターンを作製することができ、これは従来の技術、例えば「ヨーロッパ法」又は「アジア法」によって製造することはできない。このようなベニヤ単板又はベニヤパターンを、「産業インレー」又は背景技術において論じた「再構成ベニヤ単板」と呼ぶことができる。
【0051】
工程(ii)
工程(ii)では、含水接着剤を、工程(i)で与えた第一のウッドシートの1以上の正面及び/又は背面に適用することが必要である。
【0052】
様々な含水接着剤が公知であり、これらを本発明のプロセスにおいて用いることができる。好ましくは、含水接着剤に存在している化合物は、天然又は合成の有機ポリマーから選択される。
【0053】
1つの実施態様では、そのポリマーを、できる限り安定で、かつ第一のウッドシートを互いに良好に接着させる水性分散体をもたらすように選択する。そのような分散体を製造する方法は、本分野で公知である。
【0054】
本発明によるプロセスに関して特に適切なポリマーを、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、及び部分的に鹸化したポリ酢酸ビニルからなる群より選択する。エチレン酢酸ビニルコポリマー、フェノール樹脂及び尿素樹脂も適切である。ポリウレタンも用いることができる。
【0055】
1つの実施態様では、含水接着剤の固形分は、含水接着剤の合計重量に基づいて、30〜80wt%の範囲である。他の実施態様では、その固形分は、40〜70wt%又は50〜60wt%の範囲である。
【0056】
好ましくは上記のポリマーの1種を含む含水接着剤は、本分野で公知の通常の方法によって、第一のウッドシートの正面及び/又は背面に適用することができる。1つの実施態様では、接着剤を、スプレー、ローラー、はけ塗り又は浸液によって、適用することができる。
【0057】
1つの実施態様では、含水接着剤を、第一のウッドシート1m当たり100g〜150gの量又は110〜140g/mで適用する。
【0058】
工程(iii)
工程(iii)は、第一のウッドシートの接着した層を有するブロックを形成するように、工程(ii)からのウッドシート及び随意に工程(i)からのウッドシートを、互いに層状の面で接着することが必要である。ここでは、接着を、形成したブロックの水分含有量を、その木材の繊維飽和点以上に高めるように実行する
【0059】
特に好ましい実施態様では、含水接着剤からの水が、接着中に、木材の繊維飽和点以上に水分含有率を高める。
【0060】
したがって、ポリマーに対する水の比率は、接着中に、木材の繊維飽和点以上に木材の水分含有量を高めるのに十分な水が存在するように選択される。必要な量の水は、例えば、実験によって決定しても良い。その量は、第一のウッドシートを互いに接着させる際に用いるポリマー及び用いる木材種に依存する場合がある。
【0061】
1つの実施態様では、工程(iv)によるスライス前の、工程(iii)で得られるブロック又はフリッチの水分含有量は、30%超であり、好ましくは40%超、更に好ましくは50%超である。この上限は、個々に100%である。
【0062】
1つの実施態様では、その水分含有量は、30〜40%である。他の1つの実施態様では、水分含有量は、40〜50%である。さらに他の1つの実施態様では、水分含有量は、50〜60%である。他の1つの実施態様では、水分含有量は、60〜80%である。
【0063】
工程(iii)による接着及び水分含有量の上昇を促進するために、かつ/又は強めるために、工程(iii)を、互いに接着させる第一のウッドシートに圧力を適用して、実行することができる。適切な圧力は、好ましくは1bar〜200barの範囲である。1つの実施態様では、その圧力は、1〜160barである。
【0064】
さらに、上記含水接着剤は、接合させる第一のウッドシート間に、少なくとも満足する接着剤の結合を与える必要がある。これは、好ましくは工程(iv)によるさらなる処理に影響を与えない。この文脈では、上記接着剤/接合剤が、接合したウッドシート間に、定着した安定な複合材を与えることができる必要があると理解される。この接着剤は、接着によって得られる木材のブロックのスライス又は切断による処理、及びスライス後に得られるベニヤ単板の処理、例えば乾燥による処理に耐える必要がある。
【0065】
さらに、接合する第一のウッドシートの木材種に応じて、その木材種に適合する異なる含水接着剤を用いることができる。
【0066】
1つの実施態様では、工程(iii)で形成したブロックを、その水分含有量を高めるためには、水を用いたさらなる処理又は他の1つの処理にさらさない。1つの実施態様では、工程(iii)で形成したブロックを、温水、例えば沸騰水にさらさない。特に、工程(iii)で形成したブロックを、水での沸騰工程にさらさない。
【0067】
工程(iv)
工程(iv)では、工程(iii)で形成したブロックをスライスして、上記第二のウッドシートを形成することが必要である。第二のウッドシートを製造するための工程(iv)によるスライスを、標準的なベニヤ単板スライス装置を用いて、背景技術において述べたスライス方法によって実行することができる。
【0068】
本発明の方法に従って製造される第二のウッドシートの様々な表面パターンを生成するために、工程(iii)で得られる木材のブロックを切断又はスライスする面に沿う断面を、自由に選択することができる。ここでは、断面の適切な選択によって、回転スライス又はステイログプロセスを実行することもできる。好ましくは、横に切断する方法で、特に第一のウッドシートの接着層によって規定される平面に垂直に切断する方法で処理する。
【0069】
1つの実施態様では、工程(iv)のスライスを、ブロックを第一のウッドシートの接着層によって規定される平面と垂直の方向にスライスするように実行する、又は工程(iv)において、第一のウッドシートの接着層によって規定される平面と水平の方向に、ブロックをスライスする、若しくは工程(iv)において、第一のウッドシートの接着層によって規定される平面と斜めの方向に、ブロックをスライスする。
【0070】
1つの実施態様では、工程(iv)で生産される第二のウッドシートは、ベニヤ単板である。好ましい実施態様では、第一のウッドシート及び第二のウッドシートの両方が、ベニヤ単板である。
【0071】
1つの実施態様では、上記第二のウッドシート、好ましくはベニヤ単板は、0.1mm〜2.5mmの厚みを有する。好ましくは、第二のウッドシートは、正面及び背面が与えられて生産され、それぞれの表面は、0.5〜4mである。1つの実施態様では、0.9〜1.5mである。他の1つの実施態様では、表面は、1.5〜3.5mである。
【0072】
好ましい実施態様では、工程(iv)で得られるベニヤ単板の長さは、ウッドシートのブロックの長さに本質的に一致する。
【0073】
1つの実施態様では、本発明は、以下の工程(i)〜(iv)を含む、第一のウッドシートからの第二のウッドシートの製造方法に関する:
(i)層状に形成された正面及び背面を有する第一のウッドシートを与える工程、ここで上記第一のウッドシートの水分含有量は、その木材の繊維飽和点未満である;
(ii)工程(i)で与えられた上記第一のウッドシートの1つ以上の正面及び/又は1つ以上の背面に含水粘着剤を適用する工程;
(iii)前記第一のウッドシートの接着した層を有するブロックを形成するように、工程(ii)からのウッドシート及び随意に工程(i)からのウッドシートを、互いに層状の面で接着する工程であって、この接着は、上記形成したブロックの水分含有量を、上記木材の繊維飽和点以上に高めるように実行する工程;
(iv)工程(iii)で形成した上記ブロックをスライスして、上記第二のウッドシートを形成する工程、
ここで、工程(iii)で形成したブロックは、その水分含有量を高めるために水による他の1つの処理にさらさない。
【0074】
随意の工程
好ましくは、工程(iv)で製造される第二のウッドシート、好ましくはベニヤ単板を、乾燥工程にさらす。好ましくは、水分含有量がその木材の繊維飽和点未満に達するまで、乾燥を行う。したがって、1つの実施態様では、この方法は、以下の工程(v)を含む:
(v)工程(iv)で形成した第二のウッドシートを、水分含有量が、その木材の繊維飽和点未満に達するまで乾燥させる工程。
【0075】
好ましくは、その乾燥は、高い温度で実行され、その水分含有量及び木材種に依存するが、特に70℃〜100℃の範囲の温度で実行される。高い温度を適用すれば、特に90℃超を適用すれば、得られる第二のウッドシートを十分に乾燥させるためには、通常数分までの乾燥時間で十分である。好ましくは、乾燥を、工程(iv)でのスライス直後に行う。
【0076】
第二のウッドシートの機械的特性及び視覚的特性は、工程(iv)の切断/スライスプロセスの間のスライスする平面の選択によってのみ変わるのではない。
【0077】
1つの実施態様では、木材とは異なる材料を、工程(iii)による接合前に第一のウッドシートの間に挿入又は組み込むことができる。好ましくは、上記材料を、粉体の薄い層又はシートの形態で与える。
【0078】
好ましくは、上記木材とは異なる材料は、金属又は金属合金、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金である。プラスティック、例えばポリプロピレン等のポリオレフィン又はそのようなポリオレフィンのコポリマーを用いることもできる。
【0079】
1つの実施態様では、そのような材料は、金属シート又はプラスティックシートであってもよい。他の1つの実施態様では、金属粉体又は光輝材を用いる。
【0080】
1つの実施態様では、上記木材とは異なる材料を、接合によって挿入又は組み込む。1つの実施態様では、対処する接着剤(addressed adhesive)を用いる。第一のウッドシートと他の材料の配置の順序を、任意に変更することができる。この方法では、木材だけからなるのではなく、木材及び木材とは異なる材料を含む複合材からなる新しい第二のウッドシート、好ましくはベニヤ単板を、作製することができる。
【0081】
木材と木材とは異なる材料との組合せによってのみ、新規な表面パターン及びそれが有する完全に新しい材料審美性を生むことができ、これは木材ベニヤ単板の適用範囲を拡大させる。様々に構造化され、縞のある、薄い、線上の外観のベニヤ単板の製造が可能である。
【0082】
1つの実施態様では、着色した接着剤又は染色した接着剤を、含水接着剤として用いる。これを用いて、その接着剤の色を取り込んで、新たな装飾効果ももたらすことができる。その接着剤の色を、用いる第一のウッドシートの色及び第一のウッドシートの間に挿入する材料の色に、適合させることができる。しかし、接着剤の色を、用いる第一のウッドシート及び第一のウッドシートの間に挿入する材料の色に対比させて選択することもできる。それにより、工程(iv)で製造される第二のウッドシートには、さらなる装飾効果を与えることができる。この目的のため、接着の技術的機能に求められる場合には、随意に増粘接着層を用いることもできる。
【0083】
他の1つの実施態様では、第一のウッドシートも、着色又は染色する。上記の木材とは異なる材料を着色又は染色することもできる。したがって、本発明による方法で用いられる材料を、その「天然」色に限定するのではなく、さらに追加の装飾的効果を与えることができる。
【0084】
異なる種類のベニヤ単板(異なる木材種、木材及び他の材料からの異なるパターン、着色又は染色した接着剤からの異なるパターン)を製造することができ、また顧客の要求に従って、これを変えることができる。
【0085】
1つの実施態様では、第一のウッドシート及び第二のウッドシートの正面及び背面を、平削りプロセス又はサンディングプロセスに処理する。第一のウッドシートの正面及び背面の平削り又はサンディングによって、第一のウッドシート間の密な結合及び恒久的な結合を改良することができる。平削り又はサンディングの後で、製造した第二のウッドシートに、外観が好ましく、かつ殆ど見えない接合剤の接合部がもたらされる。
【0086】
本発明によるプロセスから得られる第二のウッドシート、好ましくはベニヤ単板を、ベニヤ単板の製造者によって、例えば合板等の基材に適用することによって、さらに加工することができる。
【0087】
本発明による方法は、次の工程(vi)〜(xi)の1以上の工程を含むことができる:
(vi)工程(ii)で適用する前又は工程(ii)で適用した後に、上記接着剤を染色する工程;
(vii)工程(ii)で適用する前、又は工程(iii)で接着する前に、上記第一のウッドシートを染色する工程;
(viii)工程(iii)で接着する2つのウッドシート間に光輝材を挿入する工程;
(ix)工程(iii)で接着する2つのウッドシート間に金属粉体を挿入する工程;
(v)工程(iii)で接着する2つのウッドシート間に金属シートを挿入する工程;
(vi)工程(iii)で接着する2つのウッドシート間にプラスティックシートを挿入する工程;
(vii)第二のウッドシートの正面及び/又は背面を平削り及び/又はサンディングする工程;
(viii)前記第二のウッドシートを基材に接合する工程。
【0088】
この新規のプロセスは、工程(i)で多数の種類の木材を使用することを可能とする。殆ど全ての商業的に用いられている種類の木材を用いることができる。これは、比較的柔らかい種類の木材を必要とする、従来技術の再構成プロセスとは対照的である。このプロセスは、工程(iii)での追加の含水化プロセスを必要としないため、比較的短い製造時間を達成することができる。また、木材に汚れが付くおそれのある不利益を回避する。この方法を、本分野で用いられる標準的な機械を用いて実行することができる。これは、形成される第二のウッドシートの高い品質を維持しながら、製造コストを顕著に低下させる。
【0089】
第二の態様では、本発明は、以下の工程(i)〜(iv)を含む、第一のウッドシートから第二のウッドシートを製造するプロセスに関する:
(i)層状に形成された正面及び背面を有する第一のウッドシートを与える工程、ここで上記第一のウッドシートの水分含有量は、その木材の繊維飽和点より高い;
(ii)工程(i)で与えられた上記第一のウッドシートの1つ以上の正面及び/又は1つ以上の背面に粘着剤を適用する工程;
(iii)前記第一のウッドシートの接着した層を有するブロックを形成するように、工程(ii)からのウッドシート及び随意に工程(i)からのウッドシートを、互いに層状の面で接着する工程;
(iv)工程(iii)で形成した上記ブロックをスライスして、上記第二のウッドシートを形成する工程。
【0090】
1つの実施態様では、工程(ii)で適用する接着剤は、水を含まない接着剤である。
【0091】
工程(ii)に関して適切な接着剤は、多くの他の種類の中でも、ポリウレタン系接着剤、例えば一成分ポリウレタン接着剤又は二成分ポリウレタン接着剤である。熱ポリウレタン接着剤も用いることができる。そのようなポリウレタンは、本分野で知られている。
【0092】
1成分ポリウレタン接着剤を、単一の製品として適用する。ここでは接着剤は、木材の水分及び/又は木材に含まれる極性基と反応するイソシアネート基の存在によって、非水溶性樹脂に硬化する。熱ポリウレタン接着剤(いわゆる「ホットメルト接着剤」)は、加熱した形態で適用され、これを素早く処理する必要がある。ここではまた、木材の水分及び/又は木材に含まれる極性基により硬化させる。硬化プロセスでは、上記ホットメルト接着剤は、熱可塑状態から熱硬化状態に変化する。
【0093】
好ましくは、イソシアネート基を含有する1成分ポリウレタンは、米国特許第3,897,581号に開示されているものであり、この開示は参照により本発明に組み込まれる。適切なポリグリコールと適切なポリイソシアネートとの反応によって調製されるポリウレタンを適用することが好ましい。好ましくは、接合する木材のブロックの必要特性に調節できるポリウレタンのイソシアネート含量を確実するために、上記ポリイソシアネートを化学量論的な余剰量で適用するように、反応を実行する。
【0094】
好ましいポリグリコールは、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールである。特に上記ポリグリコールは、ポリプロピレングリコールである。
【0095】
好ましくは、ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート及びこれらの混合物からなる群より選択される。
【0096】
ジフェニルメタンジイソシアネート及び/又は水素化ジフェニルメタンジイソシアネートと、ポリグリコールとの反応生成物が特に好ましく、特にポリプロピレングリコールとの反応生成物が好ましい。
【0097】
ジフェニルメタンジイソシアネートと、ポリグリコールとの、特にプロピレングリコールとの反応生成物を含むポリウレタン接着剤を用いる場合、有利な特性を達成することができる。
【0098】
1つの実施態様では、上記ジフェニルメタンジイソシアネートは、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート及びジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネートを含む。
【0099】
上記特に好ましい実施態様の上記ジイソシアネートは、変性したジフェニルメタンジイソシアネート、例えば水素化ジフェニルメタンジイソシアネート又は同類のイソシアネート(homologous isocyanate)も随意に含む。
【0100】
好ましくは、上記ポリウレタン中のイソシアネート含量は、上記接着剤の合計重量に基づいて、5〜25wt%の範囲、より好ましくは10〜20%、特には13〜16%としてもよい。
【0101】
1つの実施態様では、工程(i)で与えられるような第一のウッドシート及び/又は工程(iii)で形成されるブロックを、水分含有量を高めるための水を用いた処理にさらさない。1つの実施態様では、工程(iii)で形成されるブロックを、水分含有量を高めるための水を用いた処理にさらさない。1つの実施態様では、工程(iii)で形成されるブロックを、温水、例えば沸騰水にさらさない。特に工程(iii)で与えられるブロックを、水中での沸騰工程にさらさない。
【0102】
1つの実施態様では、本発明は、以下の工程(i)〜(iv)を含む、第一のウッドシートから第二のウッドシートを製造するプロセスに関する:
(i)層状に形成された正面及び背面を有する第一のウッドシートを与える工程、ここで上記第一のウッドシートの水分含有量は、その木材の繊維飽和点より高い;
(ii)工程(i)で与えられた上記第一のウッドシートの1つ以上の正面及び/又は1つ以上の背面に粘着剤を適用する工程;
(iii)前記第一のウッドシートの接着した層を有するブロックを形成するように、工程(ii)からのウッドシート及び随意に工程(i)からのウッドシートを、互いに層状の面で接着する工程;
(iv)工程(iii)で形成した上記ブロックをスライスして、上記第二のウッドシートを形成する工程、
ここで、工程(ii)で適用される接着剤は、水を含まない接着剤であり、かつ工程(i)で与えられる上記第一のウッドシート及び/又は工程(iii)で形成されるブロックは、水分含有量を向上させるための水を用いた処理にさらさない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程(i)〜(iv)を含む、第一のウッドシートからの第二のウッドシートの製造方法:
(i)層状に形成された正面及び背面を有する第一のウッドシートを与える工程、ここで前記第一のウッドシートの水分含有量は、その木材の繊維飽和点未満である;
(ii)工程(i)で与えられた前記第一のウッドシートの1以上の正面及び/又は1以上の背面に含水粘着剤を適用する工程;
(iii)前記第一のウッドシートの接着した層を有するブロックを形成するように、工程(ii)からのウッドシート及び随意に工程(i)からのウッドシートを、互いに層状の面で接着する工程であって、前記接着は、前記形成したブロックの水分含有量を、前記木材の繊維飽和点以上に高めるように実行する工程;
(iv)工程(iii)で形成した前記ブロックをスライスして、前記第二のウッドシートを形成する工程。
【請求項2】
工程(iii)において、前記含水接着剤の水が、前記木材の飽和点以上に前記水分含有量を高める、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一のウッドシートの厚みが、0.1mm〜3mmである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(i)で与えられる前記第一のウッドシートの水分含有量が、30%未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第一のウッドシート及び/又は前記第二のウッドシートがベニヤ単板である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第一のウッドシートが、スライスドベニヤ単板又は剥きベニヤ単板である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(i)で与えられる前記第一のウッドシートが硬質木材を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(i)で与えられる前記第一のウッドシートが少なくとも2種の異なる木材種を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接着剤が有機ポリマーの水系懸濁体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーが、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、部分的に鹸化しているポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、及びこれらの2種以上の混合物からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(iii)を圧力下で実行する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(iii)で得られ、そして工程(iv)でスライスされるウッドブロックの水分含有量が30%超である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程(iv)において、前記接着した第一のウッドシートの接着層によって規定される平面に対して垂直の方向に、前記ブロックをスライスする;又は工程(iv)において、前記接着した第一のウッドシートの接着層によって規定される平面に対して水平の方向に、前記ブロックをスライスする;若しくは工程(iv)において、前記接着した第一のウッドシートの接着層によって規定される平面に対して斜めの方向に前記ブロックをスライスする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
次の工程(v)を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法:
(v)工程(iv)で形成した前記第二のウッドシートを、水分含有量がその木材の繊維飽和点未満に達するまで乾燥させる工程。
【請求項15】
次の工程(vi)〜(xi)の1以上をさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法:
(vi)工程(ii)での前記適用前、又は工程(ii)での前記適用後に、前記接着剤を染色する工程;
(vii)工程(ii)での前記適用前、又は工程(iii)での前記接着前に、前記第一のウッドシートを染色する工程;
(viii)工程(iii)で接着する2つのウッドシート間に光輝材を挿入する工程;
(ix)工程(iii)で接着する2つのウッドシート間に金属粉体を挿入する工程;
(x)工程(iii)で接着する2つのウッドシート間に金属シートを挿入する工程;
(xi)工程(iii)で接着する2つのウッドシート間にプラスティックシートを挿入する工程;
(xii)前記第二のウッドシートの正面及び/又は背面を、平削り及び/又はサンディングする工程;
(xiii)前記第二のウッドシートを、基材に接合する工程。

【公表番号】特表2013−519540(P2013−519540A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552316(P2012−552316)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000716
【国際公開番号】WO2011/098302
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512212173)エイチディー ウッド テクノロジーズ リミティド (1)
【Fターム(参考)】