説明

ベルト式無段変速機

【課題】 可動シーブを固定シーブに対して移動させるための液室を画成する可動側部材を可動シーブに圧入することに起因した可動シーブの背面付近の変形を抑制する。
【解決手段】 無段変速機9は、プライマリプーリ35を構成する固定シーブ37および可動シーブ38と、固定シーブ37および可動シーブ38に巻き掛けられるベルトBとを含む。可動シーブ38の拡径部38には可動シリンダ70が軸方向に圧入され、可動シリンダ70は、固定シーブ37に対して固定されたピストン80と共に、可動シーブ38を固定シーブ37に対して移動させるための油室40aを画成する。可動シリンダ70は、拡径部38aへの圧入に際して、可動シーブ38の背面と接触しないように可動シリンダ70を可動シーブ38に対して軸方向に位置決めする係合突起74を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得ることができるベルト式無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用の変速装置として、ベルト式無段変速機が知られている。この種のベルト式無段変速機は、互いに平行に配列されたプライマリシャフト(駆動側回転軸)およびセカンダリシャフト(従動側回転軸)と、プライマリシャフトに設けられたプライマリプーリと、セカンダリシャフトに設けられたセカンダリプーリとを備える。プライマリプーリおよびセカンダリプーリは、何れも、固定シーブと、固定シーブに対して移動可能な可動シーブとを含む。固定シーブと可動シーブとの間には、略V字形状のプーリ溝が形成され、プライマリプーリおよびセカンダリプーリそれぞれのプーリ溝には、無端ベルトが巻き掛けられる。更に、プライマリプーリおよびセカンダリプーリに対しては、それぞれの可動シーブを対応する固定シーブに対して接近離間させるための油室が設けられる。
【0003】
また、上述のようなベルト式無段変速機として、可動シーブと共に移動可能な可動シリンダと、固定シーブに対して固定されて可動シリンダと共に油室を画成するピストン(固定プランジャ)とを有するものが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。このベルト式無段変速機において、製造コストを削減すると共に可動シーブの汎用性を高め、更にメインテナンス性を向上させる観点から、可動シリンダは、可動シーブに対して軸方向に圧入され、可動シーブの背面と当接することにより位置決め・固定される。また、上述のような可動シリンダ(シリンダ部材)を有するベルト式無段変速機として、可動シリンダの応力設計を高精度に行うために、可動シリンダと可動シーブの背面とが局所的に当接するように構成されたものも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第3055747号公報
【特許文献2】特許第3116035号公報
【特許文献3】特開平11−6549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように構成される従来のベルト式無段変速機では、可動シーブに対して可動シリンダを圧入し、可動シリンダを可動シーブの背面と当接させることにより、可動シーブの背面付近の変形が大きくなってしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、可動シーブを固定シーブに対して移動させるための液室を画成する可動側部材を可動シーブに圧入することに起因した可動シーブの背面付近の変形を抑制することができるベルト式無断変速機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるベルト式無段変速機は、固定シーブおよび可動シーブと、これらの固定シーブおよび可動シーブに巻き掛けられるベルトとを含み、可動シーブを固定シーブに対して移動させてベルトの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得ることができるベルト式無段変速機において、可動シーブに対して軸方向に圧入される可動側部材と、固定シーブに対して固定されており、可動側部材と協働して可動シーブを固定シーブに対して移動させるための液室を画成する固定側部材と、可動シーブの背面と可動側部材とが接触しないように可動シーブに圧入される可動側部材を軸方向に位置決めする位置決め手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によるベルト式無段変速機には、可動シーブの背面と可動側部材とが接触しないように可動シーブに圧入される可動側部材を軸方向に位置決めする位置決め手段が備えられる。これにより、可動シーブに対する可動側部材の圧入に際して、可動シーブの背面付近に対する荷重の伝達を抑制することができるので、圧入に起因した可動シーブの背面付近の変形を抑制することが可能となる。
【0009】
この場合、可動側部材は、可動シーブに嵌め込まれる嵌合部と、この嵌合部の一端部から外方に延出されて可動シーブの背面と対向する環状部とを含み、嵌合部には、位置決め手段として、可動シーブと係合する係合部が形成されると好ましい。また、係合部は、嵌合部の他端部から内方に延出(突出)されると好ましく、嵌合部の内周面の他端側領域から径方向に延出されてもよい。
【0010】
更に、可動側部材は、液室を画成するシリンダである一方、固定側部材は、シリンダと共に液室を画成するピストンであると好ましい。また、可動側部材は、液室を画成するピストンである一方、固定側部材は、ピストンと共に液室を画成するシリンダであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、可動シーブを固定シーブに対して移動させるための液室を画成する可動側部材を可動シーブに圧入することに起因した可動シーブの背面付近の変形を抑制することができるベルト式無断変速機の実現が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明によるベルト式無段変速機が適用された車両を示す概略構成図である。図1に示される車両1は、いわゆるFF車両(フロントエンジンフロントドライブ:エンジン前置き前輪駆動車両)として構成されており、駆動源としてのエンジン2を備える。エンジン2としては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジン、水素エンジン、あるいは、バイフューエルエンジン等が採用され得るが、ここでは、エンジン2としてガソリンエンジンが用いられるものとして説明する。
【0014】
図1に示されるように、車両1は、横置きにされたエンジン2の側方に配置され、エンジン2のクランクシャフトSCと連結されるトランスアクスル3を有する。トランスアクスル3は、トランスアクスルハウジング4、トランスアクスルケース5およびトランスアクスルリヤカバー6を含む。ハウジング4は、エンジン2の側方に配置され、ケース5は、ハウジング4のエンジン2とは反対側の開口端に固定されている。また、リヤカバー6は、ケース5のハウジング4とは反対側の開口端に固定されている。そして、トランスアクスルハウジング4の内部には、トルクコンバータ7が配置されており、トランスアクスルケース5およびトランスアクスルリヤカバー6の内部には、前後進切り換え機構8、本発明によるベルト式無段変速機(CVT)9、減速歯車装置および差動装置を含む最終減速機10が配置されている。
【0015】
トルクコンバータ7は、ドライブプレート11と、ドライブプレート11を介してエンジン2のクランクシャフトSCに固定されるフロントカバー12とを有する。フロントカバー12には、図1に示されるように、ポンプインペラ14が取り付けられている。また、トルクコンバータ7は、ポンプインペラ14と対向する状態で回転可能なタービンランナ15を含む。
【0016】
タービンランナ15は、クランクシャフトSCと概ね同軸に延びる入力シャフトSIに固定されている。更に、ポンプインペラ14およびタービンランナ15の内側にはステータ16が配置されており、ステータ16の回転方向は、ワンウェイクラッチ17によって一方向にのみ設定される。ステータ16には、ワンウェイクラッチ17を介して中空軸18が固定されており、上述の入力シャフトSIは、この中空軸18の内部に挿通されている。そして、入力シャフトSIのフロントカバー12側の端部には、ダンパ機構19を介してロックアップクラッチ20が取り付けられている。
【0017】
上述のポンプインペラ14、タービンランナ15およびステータ16は、作動液室を画成し、この作動液室には、トルクコンバータ7と前後進切り換え機構8との間に配置されたオイルポンプ21から作動液が供給される。そして、エンジン2が作動し、フロントカバー12およびポンプインペラ14が回転すると、作動液の流れによりタービンランナ15が引きずられるようにして回転し始める。また、ステータ16は、ポンプインペラ14とタービンランナ15との回転速度差が大きい時に、作動液の流れをポンプインペラ14の回転を助ける方向に変換する。
【0018】
これにより、トルクコンバータ7は、ポンプインペラ14とタービンランナ15との回転速度差が大きい時には、トルク増幅機として作動し、両者の回転速度差が小さくなると、流体継手として作動する。そして、車両1の発進後、車速が所定速度に達すると、ロックアップクラッチ20が作動され、エンジン2からフロントカバー12に伝えられた動力が入力シャフトSIに機械的かつ直接に伝達されるようになる。また、フロントカバー12から入力シャフトSIに伝達されるトルクの変動は、ダンパ機構19によって吸収される。
【0019】
トルクコンバータ7と前後進切り換え機構8との間のオイルポンプ21は、ロータ22を有し、このロータ22は、ハブ23を介してポンプインペラ14と接続されている。また、ハブ23は、中空軸18に対してスプライン嵌合されており、オイルポンプ21の本体24は、トランスアクスルケース5側に固定されている。従って、エンジン2の動力は、ポンプインペラ14を介してロータ22に伝達されることになり、これにより、オイルポンプ21が駆動される。
【0020】
前後進切り換え機構8は、ダブルピニオン形式の遊星歯車機構25を有している。遊星歯車機構25は、入力シャフトSIの無段変速機9側の端部に取り付けられたサンギヤ26と、サンギヤ26の外周側に同心状に配置されたリングギヤ27と、サンギヤ26と噛み合う複数のピニオンギヤ28と、リングギヤ27およびピニオンギヤ28の双方と噛み合う複数のピニオンギヤ29と、各ピニオンギヤ28を自転可能に保持し、かつ、ピニオンギヤ28をサンギヤ26の周囲で一体的に公転可能な状態に保持するキャリヤ30とを含む。
【0021】
前後進切り換え機構8のキャリヤ30は、ベルト式無段変速機9に含まれるプライマリ軸であるプライマリシャフトSPに固定され、キャリヤ30と入力シャフトSIとの間の動力伝達経路は、フォワードクラッチCLを用いて接続または遮断される。また、前後進切り換え機構8は、リングギヤ27の回転・固定を制御するリバースブレーキBRを有している。
【0022】
一方、本発明によるベルト式無段変速機9は、入力シャフトSIと概ね同軸に延びる上述のプライマリシャフト(駆動側回転軸)SPと、プライマリシャフトSPと平行をなすように配置されたセカンダリシャフト(従動側回転軸)SSとを有する。プライマリシャフトSPは、軸受31および32によって回転自在に支持されており、セカンダリシャフトSSは、軸受33および34によって回転自在に支持されている。そして、プライマリシャフトSPには、プライマリプーリ35が、セカンダリシャフトSSには、セカンダリプーリ36がそれぞれ装備されている。
【0023】
プライマリプーリ35は、プライマリシャフトSPの外周に一体に形成された固定シーブ37と、プライマリシャフトSPの外周に摺動自在に装着された可動シーブ38とにより構成されている。可動シーブ38は、後述の可動シリンダ70の位置決めに用いられる拡径部38aと、可動シーブ38の背面とベルト摺動面38cとを定める肉薄部分38bとを含む。可動シーブ38の内周面には、図示されない複数のスプラインが形成されており、可動シーブ38を摺動自在に支持するプライマリシャフトSPの外周面には、可動シーブ38のスプラインと噛み合う複数のスプライン溝が形成されている。これにより、スプラインおよびスプライン溝によって、可動シーブ38がプライマリシャフトSPに対し軸方向に移動可能とされる一方、プライマリシャフトSPに対する可動シーブ38の回転が規制される。固定シーブ37と可動シーブ38とは互いに対向し合い、両者間には、略V字形状のプーリ溝39が形成される。また、可動シーブ38は、固定シーブ37に対してプライマリシャフトSPの軸方向に移動可能であり、無段変速機9は、可動シーブ38をプライマリシャフトSPの軸方向に移動させて固定シーブ37と可動シーブ38とを接近・離間させる油圧アクチュエータ40を有している。
【0024】
同様に、セカンダリプーリ36も、セカンダリシャフトSSの外周に一体に形成された固定シーブ41と、セカンダリシャフトSSの外周に摺動自在に装着された可動シーブ42とにより構成されている。固定シーブ41と可動シーブ42とは互いに対向し合い、両者間には、略V字形状のプーリ溝44が形成される。また、可動シーブ42は、後述の可動シリンダ75の位置決めに用いられる拡径部42aと、可動シーブ42の背面とベルト摺動面42cとを定める肉薄部分42bとを含む。可動シーブ42も、固定シーブ41に対してセカンダリシャフトSSの軸方向に移動可能であり、無段変速機9は、可動シーブ42をセカンダリシャフトSSの軸方向に移動させて固定シーブ41と可動シーブ42とを接近・離間させる油圧アクチュエータ45を有している。
【0025】
上述のプライマリプーリ35のプーリ溝39と、セカンダリプーリ36のプーリ溝44とには、多数の金属製の駒および複数本のスチールリングにより構成されるベルトBが巻き掛けられる。そして、各油圧アクチュエータ40および45による油圧が別個に制御され、これにより、プライマリプーリ35およびセカンダリプーリ36の溝幅が変更されてベルトBの巻き掛け半径が変化する。この結果、無段変速機9による変速比が所望の値に設定されると共に、ベルトBの張力が調整されることになる。なお、セカンダリシャフトSSを支持する軸受34はトランスアクスルリヤカバー6に固定されており、軸受34とセカンダリプーリ36との間には、パーキングギヤPGが設けられている。
【0026】
更に、ベルト式無段変速機9のセカンダリシャフトSSは、図1に示されるように、軸受33を超えて延長されており、セカンダリシャフトSSの延長部には、リダクションドライブギヤ47が固設されている。このリダクションドライブギヤ47を介して、ベルト式無段変速機9から最終減速機10に動力が伝達される。最終減速機10は、セカンダリシャフトSSと平行をなすように配置された中間軸であるインターミディエイトシャフト50を含んでいる。インターミディエイトシャフト50は、軸受51および52によって支持されており、インターミディエイトシャフト50には、減速歯車装置の一部としてセカンダリシャフトSSのリダクションドライブギヤ47と噛み合うリダクションドリブンギヤ53が設けられている。
【0027】
また、最終減速機10は、中空のデフケース55を有している。デフケース55は、軸受56および57によって回転自在に支持されており、その外周には、リングギヤ58が設けられている。このリングギヤ58は、インターミディエイトシャフト50のリダクションドリブンギヤ53と噛み合っている。更に、デフケース55は、その内部にピニオンシャフト59を支持しており、ピニオンシャフト59には、2体のピニオンギヤ60が固定されている。各ピニオンギヤ60には、2体のサイドギヤ61が噛み合わされており、各サイドギヤ61には、フロントドライブシャフト62がそれぞれ別個に接続され、各フロントドライブシャフト62には、車輪(前輪)FWが固定されている。
【0028】
図2は、上述の車両1に含まれる本発明によるベルト式無段変速機9の要部を示す拡大断面図であり、同図は、無段変速機9のプライマリプーリ35およびプライマリシャフトSPに関連する構成を示している。図2に示されるように、無段変速機9は、環状の可動シリンダ(可動側部材)70を含む。可動シリンダ70は、可動シーブ38に形成されている拡径部38aに対してプライマリシャフトSPの軸方向に圧入・固定される嵌合部71と、嵌合部71の一端部(図2における右側の端部、すなわち、固定シーブ37側の端部)から外方(概ねプライマリシャフトSPの径方向)に延出された環状部72と、環状部72の外周端から固定シーブ37とは反対側に向けてプライマリシャフトSPと概ね平行に延出された外側筒状部73とを有する。
【0029】
また、プライマリシャフトSPには、ピストン80が固定されている。ピストン80は、プライマリシャフトSPの径方向に延びる基部81と、この基部81から可動シーブ38の背面に沿うようにして外方に延びる外周部82とを有する。ピストン80の基部81は、軸受32と共に、プライマリシャフトSPに形成された凹部内に位置決め・固定されており、ピストン80の外周部82は、可動シリンダ70の環状部72を挟んで可動シーブ38の背面と対向する。そして、外周部82の外縁は、可動シリンダ70の外側筒状部73の内周面と摺接する。また、外周部82の外縁には、外側筒状部73の内周面との隙間を封止するためのシールリング83が配置されている。これにより、可動シリンダ70、ピストン80および可動シーブ38の一部により、上述の油圧アクチュエータ40を構成する油室40aが画成される。
【0030】
一方、プライマリシャフトSPの内部には、その一端から他端まで軸方向に延びる貫通孔が形成されており、この貫通孔は、可動シーブ38を移動させるために用いられる作動油を流通させる内部流路SPaとして利用される。また、プライマリシャフトSPには、内部流路SPaと連通する2本の径方向油路(図示省略)が軸方向に所定の間隔をおいて形成されている。更に、可動シーブ38には、プライマリシャフトSPの2本の径方向油路と連通可能な1本の油路が形成されている。これにより、可動シリンダ70、ピストン80および可動シーブ38の一部によって画成される油室40aは、可動シーブ38の油路と、プライマリシャフトSPの2本の径方向油路の何れか一方とを介して、プライマリシャフトSPの内部流路SPaと連通する。
【0031】
プライマリシャフトSPの内部流路SPaには、トランスアクスルリヤカバー6に形成されている油路等を介して作動油が供給される。そして、プライマリシャフトSPの内部流路SPa、何れかの径方向油路および可動シーブ38の油路を介して、油室40a内の油圧を制御することにより、可動シリンダ70および可動シーブ38を固定シーブ37に対して共に移動させてベルトBの巻き掛け半径を変化させ、それにより、所望の変速比を得ることが可能となる。
【0032】
さて、上述のように、ピストン80と協働して油室40aを画成する可動シリンダ70は、可動シーブ38の拡径部38aに圧入され、それにより、可動シーブ38に固定されることになる。ところが、このように可動シリンダ70を可動シーブ38に圧入する際に、可動シリンダ70(環状部72)と可動シーブ38の背面とを接触させてしまうと、可動シーブ38の外周側の肉薄部分38bに圧入による荷重が伝わり、それにより、当該肉薄部分38bが変形してしまうおそれがある。
【0033】
このような点に鑑みて、本発明による無段変速機9では、可動シーブ38の背面と可動シリンダ70の環状部72とが接触しないように、可動シリンダ70が可動シーブ38に対してプライマリシャフトSPの軸方向に位置決めされる。すなわち、本実施形態では、可動シリンダ70の嵌合部71の他端部(図2における左側の端部、すなわち、固定シーブ37とは反対側の端部)からは、位置決め手段として、可動シーブ38の拡径部38aの端面と係合するように係合突起74が内方(径方向)に延出されている。そして、図2に示されるように、係合突起74の固定シーブ37側の面と環状部72の固定シーブ37側の面との間の長さL1は、可動シーブ38の拡径部38aの端面と可動シーブ38の背面との間の長さL2よりも短く設定されている(L1<L2)。
【0034】
これにより、可動シリンダ70を可動シーブ38の拡径部38aに圧入していくと、やがて、係合突起74と拡径部38aの端面とが互いに当接し合い、それにより、可動シリンダ70が可動シーブ38に対して位置決め・固定されることになる。従って、可動シーブ38の背面と可動シリンダ70の環状部72とが互いに接触し合うことはなく、可動シーブ38の背面と環状部72との間には、隙間Gが画成される。
【0035】
この結果、本発明による無段変速機9では、プライマリプーリ35の可動シーブ38に対する可動シリンダ70の圧入に際して、可動シーブ38の背面付近や肉薄部分38bに対する荷重の伝達を抑制することができるので、圧入に起因した可動シーブ38の背面付近の変形、更には、可動シーブ38のベルト摺動面38cの変形を抑制することが可能となる。また、可動シーブ38の背面と環状部72との間に隙間Gが画成されることから、無段変速機9のオーバーホール時等に例えば可動シリンダ70あるいはピストン80の交換を行うような場合、上記隙間Gに治具を差し込んで可動シーブ38から可動シリンダ70等を取り外すことが可能となる。これにより、無段変速機9の分解時等の作業性を向上させることができる。
【0036】
図3は、ベルト式無段変速機9の要部を示す拡大断面図であり、同図は、無段変速機9のセカンダリプーリ36およびセカンダリシャフトSSに関連する構成を示している。図3に示されるように、無段変速機9は、セカンダリプーリ36についても、環状の可動シリンダ(可動側部材)75を含んでいる。可動シリンダ75は、セカンダリプーリ36の可動シーブ42に形成されている拡径部42aに対してプライマリシャフトSPの軸方向に圧入・固定される嵌合部76と、嵌合部76の一端部(図3における左側の端部、すなわち、固定シーブ41側の端部)から外方(概ねセカンダリシャフトSSの径方向)に延出された環状部77と、環状部77の外周端から固定シーブ41とは反対側に向けてセカンダリシャフトSSと概ね平行に延出された外側筒状部78とを有する。
【0037】
また、セカンダリシャフトSSには、ピストン85が固定されている。ピストン85は、セカンダリシャフトSSの径方向に延びる基部86と、この基部86から可動シーブ42の背面に沿うようにして外方に延びる外周部87とを有する。ピストン85の基部86は、セカンダリシャフトSSに対して位置決め・固定されており、ピストン85の外周部87は、可動シリンダ75の環状部77を挟んで可動シーブ42の背面と対向する。そして、外周部87の外縁は、可動シリンダ75の外側筒状部78の内周面と摺接する。また、外周部87の外縁には、外側筒状部78の内周面との隙間を封止するためのシールリング88が配置されている。
【0038】
これにより、可動シリンダ75、ピストン85および可動シーブ42の一部により、上述の油圧アクチュエータ45を構成する油室45aが画成される。そして、油室45a内の油圧を制御することにより、可動シリンダ75および可動シーブ42を固定シーブ41に対して共に移動させてベルトBの巻き掛け半径を変化させることが可能となる。なお、図3に示されるように、可動シリンダ75の外側筒状部78には、ピストン85の背後にバランス室を画成するためのバランスプレート90が固定されており、セカンダリシャフトSSには、上記バランス室に作動油を導くための油路を画成するオイルレシーバ91が固定されている。
【0039】
そして、セカンダリプーリ36においても、可動シーブ42の背面と可動シリンダ75の環状部77とが接触しないように可動シリンダ75が可動シーブ42に対してセカンダリシャフトSSの軸方向に位置決めされる。すなわち、可動シリンダ75の嵌合部76の他端部(図3における右側の端部、すなわち、固定シーブ41とは反対側の端部)からは、位置決め手段として、可動シーブ42の拡径部42aの端面と係合するように係合突起79が内方(径方向)に延出されている。図3に示されるように、係合突起79の固定シーブ41側の面と環状部77の固定シーブ41側の面との間の長さL10は、可動シーブ42の拡径部42aの端面と可動シーブ42の背面との間の長さL20よりも短く設定されている(L10<L20)。
【0040】
これにより、可動シリンダ75を可動シーブ42の拡径部42aに圧入していくと、やがて、係合突起79と拡径部42aの端面とが互いに当接し合い、それにより、可動シリンダ75が可動シーブ42に対して位置決め・固定されることになる。従って、可動シーブ42の背面と可動シリンダ75の環状部77とが互いに接触し合うことはなく、可動シーブ42の背面と環状部77との間には、隙間G0が画成される。
【0041】
この結果、本発明による無段変速機9では、セカンダリプーリ36の可動シーブ42に対する可動シリンダ75の圧入に際しても、可動シーブ42の背面付近や肉薄部分42bに対する荷重の伝達を抑制することができるので、圧入に起因した可動シーブ42の背面付近の変形、更には、可動シーブ42のベルト摺動面42cの変形を抑制することが可能となる。また、無段変速機9のオーバーホール時等には、上記隙間G0に治具を差し込んで可動シーブ42から可動シリンダ75等を取り外すことが可能となる。
【0042】
更に、セカンダリプーリ36においては、図3に示されるように、可動シーブ42の拡径部42aとピストン85との間にスプリング(コイルスプリング)89が配置されている。そして、スプリング89の固定シーブ41側の端部は、可動シリンダ75の係合突起79の先端により可動シーブ42に対して位置決めされている。このように、可動シーブ42と可動シリンダ75との間にスプリング89が配置される場合には、可動シリンダ75の係合突起79を内方に延長し、係合突起79の先端(内側端部)によってスプリング89を位置決めすることにより、可動シーブ42の拡径部42aの厚さ(内径と外径との差)Tをできる限り大きくすることが可能となる。これにより、可動シーブ42の拡径部42aを増強することができるので、可動シーブ42に対する可動シリンダ75の圧入に際して、可動シーブ42の拡径部42aの変形(拡径部42aの内周面の内側への膨出)を抑制することが可能となる。なお、かかる構成がプライマリプーリ35に対して適用され得ることはいうまでもない。
【0043】
ところで、プライマリプーリ35を構成する固定シーブ37と可動シーブ38との間や、セカンダリプーリ36を構成する固定シーブ41と可動シーブ42との間には、固定シーブ37,41に対する可動シーブ38,42の摺動を許容する関係上、多少の隙間が存在する。このため、プライマリプーリ35とセカンダリプーリ36とにベルトBが巻き掛けられると、ベルトBの張力により、可動シーブ38,42は固定シーブ37,41に対して多少傾いた状態で固定シーブ37,41に対して摺動することになる。このため、可動シーブ38,42の内周面(摺動面)の何れかの端部における面圧が局所的に高まって摺動部が偏磨耗してしまうおそれがある。
【0044】
このような現象を考慮して、本実施形態の無段変速機9では、図2に示されるように、プライマリプーリ35を構成する可動シーブ38の内周面(摺動面)の端部のうち、固定シーブ37側の端部に曲面部38rが形成されている。また、プライマリシャフトSPには、可動シーブ38の摺動範囲の端部(固定シーブ37側の端部)に曲面状の凹部SPrが形成されている。同様に、セカンダリプーリ36を構成する可動シーブ42の内周面(摺動面)の端部のうち、図3に示されるように、固定シーブ41側の端部に曲面部42rが形成されている。また、セカンダリシャフトSSには、可動シーブ42の摺動範囲の端部(固定シーブ41側の端部)に曲面状の凹部SSrが形成されている。
【0045】
このように、可動シーブ38,42に対して曲面部38r、42rを形成したり、プライマリシャフトSPやセカンダリシャフトSSに対して凹部SPr,SSrを形成したりすることにより、可動シーブ38,42が固定シーブ37,41に対して多少傾いた状態で固定シーブ37,41に対して摺動したとしても、可動シーブ38,42の内周面(摺動面)の端部における面圧が局所的に高まることを抑制することが可能となる。従って、無段変速機9では、可動シーブ38,42、プライマリシャフトSPおよびセカンダリシャフトSSが偏磨耗してしまうことを抑制することができる。
【0046】
ここで、可動シーブ38,42の内周面(摺動面)に対して曲面部38r,42rがなす角度α(図4参照)は、固定シーブ37,41に対する可動シーブ38,42の最大傾き角度以上とされることが好ましい。これにより、可動シーブ38,42の内周面の端部における面圧を低下させると共に、可動シーブ38,42等の偏磨耗を良好に抑制することが可能となる。
【0047】
また、可動シーブ38,42の曲面部38r,42rは、無段変速機9の動作中にベルトBが最も内側に位置した際に、図4に示されるように、ベルトBの摺動面(可動シーブ38,42のベルト摺動面38c,42c上を摺動する面)と接触しないように形成されると好ましい。これにより、可動シーブ38,42が固定シーブ37,41に対して多少傾き、それにより、ベルト摺動面38c,42cが傾いたとしても、ベルトBを構成するエレメントの面圧が局所的に高まってしまうことを抑制することができる。また、可動シーブ38,42の曲面部38r,42rと、ベルトBの摺動面とが互いに接触しない状態では、ベルト摺動面38c,42cと、ベルトBの摺動面との間に微小な隙間gが形成されることから、この隙間gを利用して、可動シーブ38,42とベルトBとの間に潤滑媒体(作動油)を流通させることが可能となる。
【0048】
これらと同様の理由から、プライマリシャフトSPやセカンダリシャフトSSの凹部SPr,SSrは、無段変速機9の動作中にベルトBが最も内側に位置した際に、ベルトBの摺動面と接触しないように形成されてもよい。また、上述の曲面部38r,42rは、可動シーブ38,42の内周面(摺動面)と滑らかに連続していればよい。すなわち、曲面部38r,42rは、図5に示されるように、ベルト摺動面38c,42cと滑らかに連続していなくてもよい。
【0049】
一方、図2に示されるように、固定シーブ37(41)と可動シーブ38(42)との間に、両者を軸方向に摺動自在にすると共に、両者の相対回転を規制するための複数のボール100が配置される場合、ボール100に近接する可動シーブ38の内周面(摺動面)の端部には、曲面部を設けないことが好ましい。すなわち、ボール100に近接する可動シーブ38の内周面の端部には、ボール100の移動を規制するためのスナップリング101が配置される溝が形成される。従って、ボール100に近接する可動シーブ38の内周面の端部から曲面部を省略することにより、スナップリング101が配置される溝の強度を充分に確保することが可能となる。固定シーブ37(41)と可動シーブ38(42)との間に複数のボール100が配置される場合、固定シーブ37,41に対する可動シーブ38,42の傾きに起因した上述の面圧上昇を比較的小さくすることができるので、曲面部を省略しても、可動シーブ38,42の過剰な偏磨耗を抑制可能となる。
【0050】
図6は、本発明による無段変速機の変形例を示す拡大断面図である。図6に示される無段変速機9Aでは、プライマリプーリ35を構成する可動シーブ38の拡径部38aに対して可動ピストン800が圧入・固定される一方、プライマリシャフトSPにシリンダ700が固定されている。この場合、可動ピストン800は、拡径部38aに対してプライマリシャフトSPの軸方向に圧入・固定される嵌合部801と、嵌合部801の一端部(図6における右側の端部、すなわち、固定シーブ37側の端部)から外方(概ねプライマリシャフトSPの径方向)に延出された環状部802とを有する。また、シリンダ700は、プライマリシャフトSPの径方向に延びる基部701と、この基部701から外方に延びる環状部702と、この環状部702の外周端から固定シーブ37に向けてプライマリシャフトSPと概ね平行に延出された外側筒状部703とを含む。
【0051】
シリンダ700の環状部702は、可動ピストン800を挟んで可動シーブ38の背面と対向する。また、可動ピストン800の環状部802の外縁は、シリンダ700の外側筒状部703の内周面と摺接する。更に、可動ピストン800の環状部802の外縁には、外側筒状部703の内周面との隙間を封止するためのシールリング803が配置されている。これにより、可動ピストン800、シリンダ700および可動シーブ38の一部により、油圧アクチュエータ40を構成する油室40aが画成される。
【0052】
そして、図6の無段変速機9Aでは、可動シーブ38の背面と可動ピストン800の環状部802とが接触しないように可動ピストン800が可動シーブ38に対してプライマリシャフトSPの軸方向に位置決めされる。すなわち、可動ピストン800の嵌合部801の他端部(図6における左側の端部、すなわち、固定シーブ37とは反対側の端部)からは、位置決め手段として、可動シーブ38の拡径部38aの端面と係合するように係合突起804が内方(径方向)に延出されている。図6に示されるように、係合突起804の固定シーブ37側の面と環状部802の固定シーブ37側の面との間の長さL11は、可動シーブ38の拡径部38aの端面と可動シーブ38の背面との間の長さL21よりも短く設定されている(L11<L21)。
【0053】
これにより、可動ピストン800を可動シーブ38の拡径部38aに圧入していくと、やがて、係合突起804と拡径部38aの端面とが互いに当接し合い、それにより、可動ピストン800が可動シーブ38に対して位置決め・固定されることになる。従って、可動シーブ38の背面と可動ピストン800の環状部802とが互いに接触し合うことはなく、可動シーブ38の背面と環状部802との間には、隙間G1が画成される。この結果、図6の無段変速機9Aでは、可動シーブ38に対する可動ピストン800の圧入に際して、可動シーブ38の背面付近や肉薄部分38bに対する荷重の伝達を抑制することができるので、圧入に起因した可動シーブ38の背面付近の変形、更には、可動シーブ38のベルト摺動面38cの変形を抑制することが可能となる。
【0054】
このように、可動シーブ38に対して可動側部材としての可動ピストン800が圧入される場合には、可動ピストン800に対して位置決め手段としての係合突起804が設けられるとよい。なお、図6の構成がセカンダリプーリ36に対して適用され得ることはいうまでもない。
【0055】
図7は、本発明によるベルト式無段変速機の他の変形例を示す拡大断面図である。図7に示される無段変速機9Bでは、プライマリプーリ35を構成する可動シーブ38Bの拡径部38aに対して可動ピストン800Bが圧入・固定される一方、プライマリシャフトSPにシリンダ700が固定される。この場合、図7および図8に示されるように、可動ピストン800Bの嵌合部801の内周面には、径方向に延びる係合突起804Bが少なくとも一つ形成されている。本実施形態では、二つの係合突起804Bが、嵌合部801の内周面のシリンダ側領域(他端側領域)に180°間隔で形成されている。また、拡径部38aのシリンダ側領域(他端側領域)には、図7および図9に示されるように、可動ピストン800Bの係合突起804Bと係合する係合凹部38xが少なくとも一つ(本実施形態では、180°間隔で周方向に二つ)形成されている。
【0056】
図7に示されるように、係合突起804Bの端面(固定シーブ37側の端面)と環状部802の固定シーブ37側の面との間の長さL12は、可動シーブ38Bの係合凹部38xの端面(固定シーブ37側の端面)と可動シーブ38Bの背面との間の長さL22よりも短く設定されている(L12<L22)。これにより、係合突起804Bを係合凹部38xに係合させた状態で可動ピストン800Bを可動シーブ38Bの拡径部38aに圧入していくと、やがて、係合突起804Bの端面と係合凹部38xの端面とが互いに当接し合い、それにより、可動ピストン800Bが可動シーブ38Bに対して位置決め・固定されることになる。
【0057】
従って、可動シーブ38Bの背面と可動ピストン800Bの環状部802とが互いに接触し合うことはなく、可動シーブ38の背面と環状部802との間には、隙間G2が画成される。この結果、図7の無段変速機9Bにおいても、可動シーブ38Bに対する可動ピストン800Bの圧入に際して、可動シーブ38Bの背面付近や肉薄部分38bに対する荷重の伝達を抑制することができるので、圧入に起因した可動シーブ38Bの背面付近の変形、更には、可動シーブ38Bのベルト摺動面38cの変形を抑制することが可能となる。
【0058】
なお、図7の構成がセカンダリプーリ36に対して適用され得ることはいうまでもない。また、図6の構成が図2および図3に関連して説明されたプライマリプーリやセカンダリプーリの可動シリンダに対しても適用され得ることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明によるベルト式無段変速機を含む車両の概略構成図である。
【図2】図1に示されるベルト式無段変速機の要部を示す拡大断面図である。
【図3】図1に示されるベルト式無段変速機の要部を示す拡大断面図である。
【図4】図1に示されるベルト式無段変速機の拡大断面図である。
【図5】図1に示されるベルト式無段変速機の拡大断面図である。
【図6】本発明によるベルト式無段変速機の変形例を示す拡大断面図である。
【図7】本発明によるベルト式無段変速機の他の変形例を示す拡大断面図である。
【図8】図7のベルト式無段変速機に含まれる可動ピストンを示す正面図である。
【図9】図7のベルト式無段変速機に含まれる可動シーブを示す背面図である。
【符号の説明】
【0060】
9,9A,9B ベルト式無段変速機
35 プライマリプーリ
36 セカンダリプーリ
37,41 固定シーブ
38,38B,42 可動シーブ
38a,42a 拡径部
38c,42c ベルト摺動面
38x 係合凹部
38r,42r 曲面部
39、44 プーリ溝
40,45 油圧アクチュエータ
40a,45a 油室
70,75 可動シリンダ
71,76 嵌合部
72,77 環状部
73,78 外側筒状部
74,79 係合突起
80,85 ピストン
81,86 基部
82,87 外周部
83,88 シールリング
89 スプリング
700 シリンダ
701 基部
702 環状部
703 外側筒状部
800,800B 可動ピストン
801 嵌合部
802 環状部
803 シールリング
804,804B 係合突起
B ベルト
G,G0,G1,G2 隙間
SP プライマリシャフト
SS セカンダリシャフト
SPr,SSr 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定シーブおよび可動シーブと、これらの固定シーブおよび可動シーブに巻き掛けられるベルトとを含み、前記可動シーブを前記固定シーブに対して移動させて前記ベルトの巻き掛け半径を変化させることにより所望の変速比を得ることができるベルト式無段変速機において、
前記可動シーブに対して軸方向に圧入される可動側部材と、
前記固定シーブに対して固定されており、前記可動側部材と協働して前記可動シーブを前記固定シーブに対して移動させるための液室を画成する固定側部材と、
前記可動シーブの背面と前記可動側部材とが接触しないように前記可動シーブに圧入される前記可動側部材を前記軸方向に位置決めする位置決め手段とを備えることを特徴とするベルト式無段変速機。
【請求項2】
前記可動側部材は、前記可動シーブに嵌め込まれる嵌合部と、この嵌合部の一端部から外方に延出されて前記可動シーブの背面と対向する環状部とを含み、前記嵌合部には、前記位置決め手段として、前記可動シーブと係合する係合部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項3】
前記可動側部材は、前記液室を画成するシリンダであり、前記固定側部材は、前記シリンダと共に前記液室を画成するピストンであることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機。
【請求項4】
前記可動側部材は、前記液室を画成するピストンであり、前記固定側部材は、前記ピストンと共に前記液室を画成するシリンダであることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−29562(P2006−29562A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213444(P2004−213444)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】