説明

ベルト成形方法及び装置並びにベルト保持治具

【課題】ベルト成形方法及び装置並びにベルト保持治具において、タイヤ生産性を向上する。
【解決手段】成形ドラム11を回転しながらその外周面に第1、第2ベルトB1,B2を巻き付け(ベルト層巻付装置13)、成形ドラム11を回転しながら各ベルトB1,B2の外周面にスチールコードSを巻き付け(コード巻付装置14)、各ベルトB1,B2とスチールコードSから構成されるベルト層Bの内側にベルト保持治具15を挿入し、ベルト層Bを保持したベルト保持治具15を成形ドラム11から取外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの構成部材の一つとして機能するベルトを成形するベルト成形方法及び装置並びにベルト保持治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている一般的な空気入りタイヤは、カーカス層の外周側に一つまたは複数のベルト層を設け、このベルト層の外周側にトレッドを設けて構成されている。そして、このベルト層として、タイヤ周方向に対する巻付け角度が実質的に0度となるようにスチールコードなどを巻き付ける補強層を設けることが提案されている。
【0003】
また、従来、空気入りタイヤを製造する場合、カーカスやインナーライナなどのシート状部材をバンドドラムに巻き付けて筒状のバンド部材を成形する一方、ベルト層やトレッドなどのシート状部材をベルトドラムに巻き付けて筒状のベルト部材を成形し、バンド部材を外側のベルト部材の内側に組付けてタイヤの形状に成形し、加硫処理をなしている。
【0004】
このようなタイヤ製造装置として、下記特許文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−116817号公報
【特許文献2】特開2006−347003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のタイヤの製造装置にて、補強層を有する空気入りタイヤを製造する場合には、ベルト層をベルトドラムに巻き付けた上にスチールコードを巻き付け、その上にトレッドを巻き付けて筒状のベルト部材を成形する必要がある。このスチールコードは、1本巻きの場合、長さが200m〜500mであり、ベルトドラムに巻き付けるのに長時間を要してしまう。そのため、バンド部材の成形時間に対して、ベルト部材の成形時間が長くなり、待ち時間が増加することでタイヤ成形時間が長くなり、タイヤ製造の生産性が大幅に低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、タイヤの生産性を向上することのできるベルト成形方法及び装置並びにベルト保持治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のベルト成形方法は、成形ドラムを回転しながらその外周面に補強コードを巻き付けるコード巻付工程と、前記補強コードの内側にベルト保持治具を挿入する治具取付工程と、前記補強コードを保持した前記ベルト保持治具を前記成形ドラムから取外す治具取外工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
このベルト成形方法によれば、成形ドラムを回転しながらその外周面に補強コードを巻き付け、補強コードの内側にベルト保持治具を挿入し、補強コードを保持したベルト保持治具を成形ドラムから取外すので、他のベルト層とは別に、補強コードにより構成された補強層をベルト保持治具に保持した状態を形成して貯留することとなり、必要に応じて、補強層をベルト保持治具から外して使用することができ、タイヤ成形作業を連続して効率良く行うことで、タイヤの生産性を向上することができる。
【0010】
本発明のベルト成形方法では、前記治具取付工程の終了後に、前記治具取外工程にて、前記成形ドラムの外径を縮径することで前記補強コードの保持を解除することを特徴とする。
【0011】
このベルト成形方法によれば、成形ドラムの外周面に補強コードを巻き付け、この補強コードの内側にベルト保持治具を挿入した後、成形ドラムの外径を縮径して補強コードの保持を解除し、補強コードを保持したベルト保持治具を成形ドラムから取外すことができ、作業性を向上することができる。
【0012】
本発明のベルト成形方法では、前記コード巻付工程の終了後に、前記補強コードを外側から保持するコード保持工程を設け、該補強コード保持工程の終了後に、前記成形ドラムの外径を縮径することで前記補強コードの保持を解除し、前記治具取付工程にて、前記補強コードの内側にベルト保持治具を挿入することを特徴とする。
【0013】
このベルト成形方法によれば、成形ドラムの外周面に補強コードを巻き付け、この補強コードを外側から保持した後、成形ドラムの外径を縮径して補強コードの保持を解除し、補強コードの内側にベルト保持治具を挿入することで、補強コードの変形を抑制しながら、ベルト保持治具により補強コードを適正に保持することができる。
【0014】
本発明のベルト成形方法では、前記成形ドラムを回転しながらその外周面に1つまたは複数の内側ベルト層を巻き付ける内側ベルト巻付工程を設け、前記コード巻付工程にて、前記成形ドラムに巻き付けられた前記内側ベルト層の外周面に前記補強コードを巻き付けることを特徴とする。
【0015】
このベルト成形方法によれば、成形ドラムを回転しながらその外周面に内側ベルト層を巻き付け、このベルト層の外周面に補強コードを巻き付け、内側ベルト層と補強コードが巻き付けられたその内側にベルト保持治具を挿入し、内側ベルト層と補強コードを保持したベルト保持治具を前記成形ドラムから取外すので、内側ベルト層及び補強層をベルト保持治具に保持した状態で形成して貯留することができ、必要に応じてこれをベルト保持治具から外して使用することができる。
【0016】
本発明のベルト成形方法では、前記成形ドラムを回転しながら前記補強コードの外周面に1つまたは複数の外側ベルト層を巻き付ける外側ベルト巻付工程を設けることを特徴とする。
【0017】
このベルト成形方法によれば、成形ドラムを回転しながらその外周面に内側ベルト層を巻き付け、このベルト層の外周面に補強コードを巻き付け、この補強コードの外周面に外側ベルト層を巻き付け、内側ベルト層と補強コードと外側ベルト層が巻き付けられたその内側にベルト保持治具を挿入し、ベルト保持治具を成形ドラムから取外すので、内側ベルト層及び補強層及び外側ベルト層をベルト保持治具に保持した状態で形成して貯留することができ、必要に応じてこれをベルト保持治具から外して使用することができる。
【0018】
本発明のベルト成形方法では、前記ベルト保持治具は、リング形状に均等間隔をもって配列される複数の保持ロッドを有し、前記複数の保持ロッドを前記補強コードの内側に挿入して前記補強コードを保持することを特徴とする。
【0019】
このベルト成形方法によれば、ベルト保持治具における複数の保持ロッドを補強コードの内側に挿入して保持することで、この複数の保持ロッドにより補強コードを容易に、且つ、安定して保持することができる。
【0020】
また、本発明のベルト成形装置は、回転可能な成形ドラムと、前記成形ドラムの外周面に補強コードを巻き付けるコード巻付装置と、前記補強コードの内側に挿入して前記補強コードを保持可能なベルト保持治具と、を備えることを特徴とする。
【0021】
このベルト成形装置によれば、成形ドラムを回転しながらその外周面に補強コードを巻き付け、補強コードの内側にベルト保持治具を挿入し、補強コードを保持したベルト保持治具を前記成形ドラムから取外すので、他のベルト層とは別に、補強コードにより構成された補強層をベルト保持治具に保持した状態を形成して貯留することとなり、必要に応じて、補強層をベルト保持治具から外して使用することができ、タイヤ成形作業を連続して効率良く行うことで、タイヤの生産性を向上することができる。
【0022】
また、本発明のベルト成形装置では、前記ベルト保持治具は、リング形状に均等間隔をもって配列される複数の保持ロッドを有し、前記複数の保持ロッドが前記補強コードの内側に挿入されて前記補強コードを保持可能であることを特徴とする。
【0023】
このベルト成形装置によれば、ベルト保持治具における複数の保持ロッドを補強コードの内側に挿入して保持することで、この複数の保持ロッドにより補強コードを容易に、且つ、安定して保持することができる。
【0024】
また、本発明のベルト成形装置では、前記成形ドラムは、リング形状に所定間隔をもって配列されて径方向に移動可能な複数のセグメントを有し、前記ベルト保持治具は、前記複数の保持ロッドを前記複数のセグメントの間に挿入して前記補強コードを保持可能であることを特徴とする。
【0025】
このベルト成形装置によれば、ベルト保持治具における複数の保持ロッドを各セグメントの間に挿入することから、補強コードを容易に保持することができ、また、複数のセグメントの移動により補強コードの保持解除作業を短時間で容易に行うことができる。
【0026】
また、本発明のベルト成形装置では、前記成形ドラムに巻き付けられた前記補強コードの外側を保持可能なトランスファーを設け、前記トランスファーが前記補強コードの外側を保持する一方、前記成形ドラムが前記補強コードの内側の保持を解除した状態で、前記ベルト保持治具は、前記複数の保持ロッドを前記補強コードの内側に挿入して保持可能であることを特徴とする。
【0027】
このベルト成形装置によれば、トランスファーが補強コードの外側を保持し、成形ドラムが補強コードの内側の保持を解除した状態で、ベルト保持治具の各保持ロッドを補強コードの内側に挿入して保持することで、補強コードの変形を抑制しながら、ベルト保持治具により補強コードを適正に保持することができる。
【0028】
また、本発明のベルト成形装置では、前記成形ドラムの外周面にベルト層を巻き付けるベルト層巻付装置を設けることを特徴とする。
【0029】
このベルト成形装置によれば、補強コードにより構成された補強層の内側または外側または両側にベルト層を形成することができ、補強層及びベルト層における組付作業の作業性を向上することができる。
【0030】
また、本発明のベルト保持治具は、回転可能な成形ドラムの外周面に少なくとも補強コードが巻き付けられて形成される補強層に対して、前記成形ドラムの回転軸心方向から前記補強コードの内側に複数の保持ロッドを挿入して前記補強層を保持可能であることを特徴とする。
【0031】
このベルト保持治具によれば、補強コードにより形成される補強層を保持可能であることから、他のベルト層とは別に、補強コードにより構成された補強層をベルト保持治具に保持した状態を形成して貯留することができ、必要に応じて、補強層をベルト保持治具から外して使用することができ、タイヤ成形作業を連続して効率良く行うことで、タイヤの生産性を向上することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るベルト成形方法及び装置並びにベルト保持治具は、成形ドラムを回転しながら補強コードを巻き付け、補強コードの内側にベルト保持治具を挿入し、補強コードを保持したベルト保持治具を成形ドラムから取外すので、補強コードにより構成された補強層をベルト保持治具に保持した状態で貯留することとなり、必要に応じて補強層をベルト保持治具から外して使用することで、タイヤ成形作業を連続して効率良く行ってタイヤの生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るベルト成形方法及び装置を表す概略図である。
【図2】図2は、第1実施形態のベルト成形装置における概略構成図である。
【図3】図3は、第1実施形態のベルト成形装置におけるベルト層の貯留状態を表す概略図である。
【図4】図4は、第1実施形態のベルト保持治具を表す概略図である。
【図5】図5は、第1実施形態のベルト成形装置の動作を表す説明図である。
【図6】図6は、第1実施形態のベルト成形装置の動作を表す説明図である。
【図7】図7は、第1実施形態のベルト成形装置の動作を表す説明図である。
【図8】図8は、第1実施形態のベルト成形装置の動作を表す説明図である。
【図9】図9は、第1実施形態のベルト成形装置の動作を表す説明図である。
【図10】図10は、第1実施形態のベルト成形装置の動作を表す説明図である。
【図11】図11は、第1実施形態のベルト成形装置の動作を表す説明図である。
【図12】図12は、本発明の第2実施形態に係るベルト成形方法及び装置を表す概略図である。
【図13】図13は、本発明の第3実施形態に係るベルト成形方法及び装置におけるベルト保持方法を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施形態に記載された複数の実施形態は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0035】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るベルト成形方法及び装置を表す概略図、図2は、第1実施形態のベルト成形装置における概略構成図、図3は、第1実施形態のベルト成形装置におけるベルト層の貯留状態を表す概略図、図4は、第1実施形態のベルト保持治具を表す概略図、図5乃至図11は、第1実施形態のベルト成形装置の動作を表す説明図である。
【0036】
第1実施形態で適用される空気入りタイヤは、図示しないが、トレッド部と、このトレッド部の両側に配置されるショルダー部と、この各ショルダー部から順次連続するサイドウォール部及びビード部から構成されるものである。そして、この空気入りタイヤは、内側から、カーカス層、インナーライナ層、第1ベルト層、第2ベルト層、補強層、第3ベルト層、第4ベルト層、ベルトエッジクッション(BEC)、トレッド層などが積層されて構成されている。
【0037】
ベルト成形装置は、上述した空気入りタイヤにおける一部のベルト層を成形するものであり、第1実施形態のベルト成形装置は、第1ベルト層と第2ベルト層とベルトエッジクッションと補強層を成形するものである。
【0038】
この第1実施形態において、ベルト成形装置10は、図1及び図2に示すように、回転可能な成形ドラム11と、この成形ドラム11の外周面にベルト層を巻き付けるベルト層巻付装置13と、成形ドラム11の外周面に補強コードを巻き付けるコード巻付装置14と、ベルト層や補強コードの内側に挿入してこれらを保持可能なベルト保持治具15とから構成されている。
【0039】
成形ドラム11は、第1ドラム21と第2ドラム22からなり、この第1ドラム21と第2ドラム22の各駆動軸23,24が直線上に配置され、支持装置25により回転可能に支持されている。そして、第1、第2駆動装置26,27により各駆動軸23,24を介して第1、第2ドラム21,22を正転方向及びまたは逆転方向に回転させることができる。また、支持装置25は、回転装置(反転装置)28により駆動することで、この支持装置25を支点として第1、第2ドラム21,22を横方向に180度だけ回転させることで、その位置を反転することができる。
【0040】
また、成形ドラム11(第1ドラム21、第2ドラム22)は、図3に示すように、ベルト保持治具12を着脱可能となっている。この成形ドラム11は、リング形状に配列された複数のセグメント29を有しており、図示しない駆動装置によりこの複数のセグメント29を同期して径方向に移動させることができる。従って、複数のセグメント29を径方向における内方に移動させる状態で、その外側にベルト保持治具12を配置し、複数のセグメント29を径方向における外方に移動させると、各セグメント29がベルト保持治具12の内周面を押圧することで、このベルト保持治具12を保持することができる。一方、各セグメント29がベルト保持治具12を保持した状態で、各セグメント29を径方向における内方に移動すると、各セグメント29がベルト保持治具12の内周面から離間して押圧を解除することで、このベルト保持治具12の保持を解除することができる。
【0041】
ベルト層巻付装置13は、図1及び図2に示すように、第1ベルト(第1ベルト層)B1を供給する第1ベルト供給装置31と、第2ベルト(第2ベルト層)B2を供給する第2ベルト供給装置32と、ベルトエッジクッション(BEC)E1を供給するBEC供給装置33とから構成されている。この場合、第1ベルトB1と第2ベルトB2は、ゴムで被覆されるコードがタイヤ周方向、つまり、タイヤ赤道線に対して、所定の角度を有して配置されている。また、この第1ベルトB1と第2ベルトB2は、タイヤ周方向に対して角度をなすコードが積層された相互のベルトに交差するように配置されている。
【0042】
コード巻付装置14は、補強層を形成するためのスチールコード(補強コード)Sを供給するものである。このコード巻付装置14は、スチールコードSを収容するコードリール41と、スチールコードSにゴムを連続的に被覆するゴム被覆機42と、ゴムが被覆されたスチールコードSを送給する送給機43と、スチールコードSを上下動自在の複数のローラ間に掛け回してこのスチールコードSの過不足を調整するフェスツーン44と、スチールコードSを成形ドラム11に貼り付ける貼り付け機45と、フェスツーン44の前後に設けられるガイドローラ46,47とから構成されている。この場合、ゴムが被覆されたスチールコードSは、タイヤ周方向、つまり、タイヤ赤道線に対して平行(略0度、例えば、0〜5度)な方向に沿って配置されるように、ベルト保持治具12の周方向に供給されて巻き付けられる。
【0043】
ベルト保持治具15は、図3及び図4に示すように、円盤形状をなす本体51と、この本体51の外周部から一方方向に突出する複数の保持ロッド52とから構成されている。この複数の保持ロッド52は、本体51の外周部から直交する方向に同じ長さをもって突出するように固定され、周方向に沿って均等間隔に配置されることで、ほぼリング形状をなしている。なお、このベルト保持治具15は、金属(スチールなど)や樹脂など形状の変化しにくい硬質な材料により構成されている。そして、ベルト保持治具15は、複数の保持ロッド52を成形ドラム11(第1ドラム21、第2ドラム22)の外周面に巻き付けられたベルト層や補強コードなどの内側に挿入することができる。即ち、成形ドラム11は、リング形状に配列された複数のセグメント29が径方向に移動することができることから、複数のセグメント29が径方向の内方に移動すると、隣接する同士が密着し、複数のセグメント29が径方向の外方に移動すると、隣接する同士の間に隙間が形成される。ベルト保持治具15は、複数の保持ロッド52が外方に移動した各セグメント29同士の隙間に挿入されることで、ベルト層や補強コードなどの内側に挿入されてこれを保持することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、図1に示すように、ベルト成形装置10によりベルト保持治具12の外周面にベルト層B(第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1、スチールコードS)が巻き付けられた後、この状態で貯留される。そして、別のベルト成形装置100によりベルト積層体が成形される。このベルト成形装置100は、第3ベルト(第3ベルト層)B3を供給する第3ベルト供給装置101と、第4ベルト(第4ベルト層)B4を供給する第4ベルト供給装置102と、ベルトエッジクッション(BEC)E2を供給するBEC供給装置103、トレッドTを供給するトレッド供給装置104とから構成されている。
【0045】
即ち、ベルト成形装置100は、ベルト保持治具12から取外したベルト層B(第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1、スチールコードS)に対して、その外周面に第3ベルトB3と第4ベルトB4とベルトエッジクッションE2とトレッドTを巻き付けた後、図示しないカーカスの内側にインナーライナが装着されたものを内周面に供給され、グリーンタイヤを成形する。
【0046】
そして、このように構成された第1実施形態のベルト成形装置10は、以下の工程をもってベルトを成形することができる。
1.成形ドラム11を回転しながらその外周面に第1、第2ベルトB1,B2を巻き付ける内側ベルト巻付工程
2.成形ドラム11を回転しながら成形ドラム11に巻き付けられた第1、第2ベルトB1,B2の外側にスチールコードSを巻き付けるコード巻付工程
3.成形ドラム11に巻き付けられた第1、第2ベルトB1,B2、スチールコードSの内側にベルト保持治具15を挿入する治具取付工程
4.第1、第2ベルトB1,B2及びスチールコードSを保持したベルト保持治具15を成形ドラム11から取外す治具取外工程
【0047】
以下、第1実施形態のベルト成形装置10によるベルト成形方法について、図5乃至図11を用いて具体的に説明する。
【0048】
第1実施形態のベルト成形装置10によるベルト成形方法において、まず、図5に示すように、成形ドラム11における第1ドラム21をベルト層巻付装置13に対向する位置に配置する一方、第2ドラム22をコード巻付装置14に対向する位置に配置する。
【0049】
次に、図6に示すように、第1ドラム21を駆動回転する一方、ベルト層巻付装置13を作動し、第1ベルト供給装置31により第1ベルトB1を供給し、回転する第1ドラム21の外周面に第1ベルトB1を巻き付けていく。続いて、第2ベルト供給装置32により第2ベルトB2を供給し、回転する第1ドラム21(第1ベルトB1)の外周面に第2ベルトB2を巻き付けていく。更に、BEC供給装置33によりベルトエッジクッションE1を供給し、回転する第1ドラム21(ベルトB1,B2)の外周面にベルトエッジクッションE1を巻き付けていく。
【0050】
そして、第1ドラム21の外周面に第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1が巻き付けられたら、図7に示すように、回転装置28により成形ドラム11を180度回転し、第1ドラム21と第2ドラム22の位置を逆にする。即ち、成形ドラム11における第1ドラム21をコード巻付装置14に対向する位置に配置する一方、第2ドラム22をベルト層巻付装置13に対向する位置に配置する。この状態で、コード巻付装置14を作動し、スチールコードSを供給し、回転する第1ドラム21における第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1の外周面にスチールコードSを巻き付けていく。
【0051】
一方、図8に示すように、第2ドラム22を駆動回転する一方、ベルト層巻付装置13を作動し、第1ベルト供給装置31により第1ベルトB1を供給し、回転する第2ドラム22の外周面に第1ベルトB1を巻き付けていく。続いて、第2ベルト供給装置32により第2ベルトB2を供給し、回転する第2ドラム22(第1ベルトB1)の外周面に第2ベルトB2を巻き付けていく。更に、BEC供給装置33によりベルトエッジクッションE1を供給し、回転する第2ドラム22(ベルトB1,B2)の外周面にベルトエッジクッションE1を巻き付けていく。
【0052】
第1ドラム21にて、図9に示すように、スチールコードSの巻き付けが完了すると、スチールコードSを切断して端末処理をする。そして、図10に示すように、回転装置28により成形ドラム11を180度回転し、第1ドラム21と第2ドラム22の位置を逆にする。即ち、成形ドラム11における第1ドラム21をベルト層巻付装置13に対向する位置に配置する一方、第2ドラム22をコード巻付装置14に対向する位置に配置する。この状態で、第1ドラム21にて、ベルト保持治具15(複数の保持ロッド52)を第1ベルトB1の内側に挿入することで、第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1、スチールコードSを保持する。
【0053】
また、第2ドラム22に対して、コード巻付装置14を作動し、スチールコードSを供給し、回転する第2ドラム22における第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1の外周面にスチールコードSを巻き付けていく。
【0054】
そして、第1ドラム21にて、ベルト保持治具15が第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1、スチールコードSを保持したことから、図11に示すように、第1ドラム21からベルト保持治具15を取外す。即ち、第1ドラム21における各セグメント29を内側に移動することでベルト層Bの保持を解除し、これをベルト保持治具15に受け渡す。すると、この第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1、スチールコードSからなるベルト層Bがベルト保持治具15に保持された状態で、これを所定の位置に貯留する。そして、図6に示すように、各セグメント29を外側に移動した後、第1ドラム21に対して第1ベルトB1の巻き付け作業を開始し、図7以降の処理を繰り返し行う。
【0055】
また、第2ドラム22にて、スチールコードSの巻き付けが完了すると、スチールコードSを切断して端末処理をし、回転装置28により成形ドラム11を180度回転し、第1ドラム21と第2ドラム22の位置を逆にする。この状態で、第2ドラム22にて、ベルト保持治具15(複数の保持ロッド52)を第1ベルトB1の内側に挿入することで、第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1、スチールコードSを保持する。そして、第2ドラム22にて、ベルト保持治具15が第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1、スチールコードSを保持したことから、第2ドラム22からベルト保持治具15を取外す。即ち、第2ドラム22における各セグメント29を内側に移動することでベルト層Bの保持を解除し、これをベルト保持治具15に受け渡す。すると、この第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1、スチールコードSからなるベルト層Bがベルト保持治具15に保持された状態で、これを所定の位置に貯留する。
【0056】
そして、図8に示すように、第2ドラム22にて、各セグメント29を外側に移動した後、第2ドラム22に対して第1ベルトB1の巻き付け作業を開始し、図9以降の処理を繰り返し行う。
【0057】
その後、図1に示すように、ベルト成形装置100は、ベルト層Bが保持されているベルト保持治具12からこのベルト層Bを取外し、成形ドラムに装着する。そして、このベルト層B(第1ベルトB1、第2ベルトB2、ベルトエッジクッションE1、スチールコードS)に対して、その外周面に第3ベルトB3と第4ベルトB4とベルトエッジクッションE2とトレッドTを順に巻き付けた後、カーカスの内側にインナーライナが装着されたものを内周面に供給され、グリーンタイヤを成形する。
【0058】
このように第1実施形態のベルト成形方法にあっては、成形ドラム11を回転しながらその外周面に第1、第2ベルトB1,B2を巻き付ける内側ベルト巻付工程と、成形ドラム11を回転しながらこの成形ベルト11に巻き付けられた各ベルトB1,B2の外周面にスチールコードSを巻き付けるコード巻付工程と、ベルトB1,B2及びスチールコードSの内側にベルト保持治具15を挿入する治具取付工程と、各ベルトB1,B2とスチールコードSが巻き付けられたベルト保持治具15を成形ドラム11から取外す治具取外工程とを設けている。
【0059】
従って、成形ドラム11を回転しながらその外周面に第1、第2ベルトB1,B2を巻き付け、この第1、第2ベルトB1,B2の外周面にスチールコードSを巻き付け、第1ベルトB1の内側にベルト保持治具15を挿入し、各ベルトB1,B2とスチールコードSからなるベルト層Bが巻き付けられたベルト保持治具15を成形ドラム11から取外すこととなる。そのため、ベルトB1,B2とスチールコードSからなるベルト層Bをベルト保持治具15に保持した状態を形成して貯留することとなり、必要に応じて、ベルト層Bをベルト保持治具15から外して使用することができ、タイヤ成形作業を連続して効率良く行うことで、タイヤの生産性を向上することができる。
【0060】
また、第1実施形態のベルト成形方法では、治具取付工程の終了後に、治具取外工程にて、成形ドラム11における各セグメント29を内側に移動することで外径を縮径し、スチールコードSの保持を解除するようにしている。従って、成形ドラム11の外周面に第1、第2ベルトB1,B2及びスチールコードSを巻き付け、その内側にベルト保持治具15を挿入した後、各セグメント29を内側に移動することで外径を縮径して保持を解除し、スチールコードSを保持したベルト保持治具15を成形ドラム11から取外すことができ、作業性を向上することができる。
【0061】
また、第1実施形態のベルト成形装置にあっては、回転可能な成形ドラム11と、成形ドラム11の外周面に第1、第2ベルトB1,B2を巻き付けるベルト層巻付装置13と、成形ドラム11の外周面にスチールコードSを巻き付けるコード巻付装置14と、第1、第2ベルトB1,B2及びスチールコードSの内側に挿入してこれらを保持可能なベルト保持治具15とを設けている。
【0062】
従って、ベルト層巻付装置13により成形ドラム11の外周面に第1、第2ベルトB1,B2を巻き付け、コード巻付装置14によりベルトB1,B2の外周面にスチールコードSを巻き付け、この各ベルトB1,B2及びスチールコードSの内側にベルト保持治具15を挿入し、このベルト保持治具15を成形ドラム11から取外す。そのため、ベルトB1,B2とスチールコードSからなるベルト層Bをベルト保持治具15に保持した状態を形成して貯留することとなり、必要に応じて、ベルト層Bをベルト保持治具15から外して使用することができ、タイヤ成形作業を連続して効率良く行うことで、タイヤの生産性を向上することができる。
【0063】
また、第1実施形態のベルト成形装置では、ベルト保持治具15として、本体51から突出してリング形状に均等間隔をもって配置される複数の保持ロッド52を設け、この複数の保持ロッド52をベルト層Bの内側に挿入して保持可能としている。従って、ベルト保持治具15における複数の保持ロッド52をベルト層Bの内側に挿入して保持することで、この複数の保持ロッド52によりベルト層Bを容易に、且つ、安定して保持することができる。
【0064】
また、第1実施形態のベルト成形装置では、成形ドラム11として、リング形状に所定間隔をもって配列されて径方向に移動可能な複数のセグメント29を設け、ベルト保持治具15は複数の保持ロッド52を複数のセグメント29の間に挿入してベルト層Bを保持可能としている。従って、ベルト保持治具15における複数の保持ロッド52を各セグメント29の間に挿入することから、ベルト層Bを容易に保持することができ、また、複数のセグメント29の移動によりベルト層Bの保持解除作業を短時間で容易に行うことができる。
【0065】
また、第1実施形態のベルト保持治具にあっては、回転可能な成形ドラム11の外周面に各ベルトB1,B2及びスチールコードSが巻き付けられて形成されるベルト層Bに対して、成形ドラム11の回転軸心方向からベルト層Bの内側に複数の保持ロッド52を挿入して保持可能としている。
【0066】
従って、ベルト保持治具15がベルト層Bを保持可能であることから、他のベルト層とは別に、このベルト層Bを保持した状態を形成して貯留することができ、必要に応じて、ベルト層Bを外して使用することができ、タイヤ成形作業を連続して効率良く行うことで、タイヤの生産性を向上することができる。
【0067】
[第2実施形態]
図12は、本発明の第2実施形態に係るベルト成形方法及び装置を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
ベルト成形装置は、空気入りタイヤにおける一部のベルト層を成形するものであり、第2実施形態のベルト成形装置は、補強層を成形するものである。
【0069】
第2実施形態において、ベルト成形装置60は、図12に示すように、回転可能な成形ドラム61と、成形ドラム61の外周面にスチールコードSを巻き付けるコード巻付装置14と、補強コードの内側に挿入してこれらを保持可能なベルト保持治具15とから構成されている。
【0070】
成形ドラム61は、1つのドラムからなり、駆動装置(図示略)により正転方向及びまたは逆転方向に回転させることができる。この成形ドラム61は、第1実施形態の各ドラム21,22と同様に、セグメント29によりベルト保持治具12を着脱可能となっている。コード巻付装置14は、コードリール41、ゴム被覆機42、送給機43、フェスツーン44、貼り付け機45、ガイドローラ46,47とから構成されている。
【0071】
また、第2実施形態では、ベルト成形装置60により成形ドラム61の外周面にスチールコードSが巻き付けられた後、スチールコードSの内側にベルト保持治具15を挿入して保持し、このベルト保持治具15を成形ドラム61から取外した状態で貯留される。そして、別のベルト成形装置100によりベルト積層体が成形される。ベルト成形装置100は、第3ベルトB3を供給する第3ベルト供給装置101と、第4ベルトB4を供給する第4ベルト供給装置102と、ベルトエッジクッションE2を供給するBEC供給装置103と、トレッドTを供給するトレッド供給装置104とから構成されている。
【0072】
即ち、ベルト成形装置100は、ベルト保持治具15から取外したスチールコードSに対して、その外周面に各ベルトB3,B4とベルトエッジクッションE2とトレッドT1を巻き付ける。その後、図示しないカーカスの内側にインナーライナが装着されたものを内周面に供給され、グリーンタイヤを成形する。
【0073】
このように第2実施形態のベルト成形方法にあっては、成形ドラム61を回転しながらその外周面にスチールコードSを巻き付けるコード巻付工程と、スチールコードSの内側にベルト保持治具15を挿入する治具取付工程と、スチールコードSが巻き付けられたベルト保持治具15を成形ドラム11から取外す治具取外工程とを設けている。
【0074】
従って、成形ドラム61を回転しながらその外周面にスチールコードSを巻き付け、スチールコードSの内側にベルト保持治具15を挿入し、スチールコードSが巻き付けられたベルト保持治具15を成形ドラム11から取外すこととなる。そのため、他のベルトB1〜B4とは別に、スチールコードSにより構成された補強層をベルト保持治具15に保持した状態を形成して貯留することとなり、必要に応じて、補強層をベルト保持治具15から外して使用することができ、タイヤ成形作業を連続して効率良く行うことで、タイヤの生産性を向上することができる。
【0075】
[第3実施形態]
図13は、本発明の第3実施形態に係るベルト成形方法及び装置を表す概略図である。なお、本実施形態のベルト成形装置の基本的な構成は、上述した実施形態1とほぼ同様の構成であり、図1を用いて説明すると共に、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
第3実施形態において、図1に示すように、ベルト成形装置10は、回転可能な成形ドラム11と、この成形ドラム11の外周面にベルト層を巻き付けるベルト層巻付装置13と、成形ドラム11の外周面に補強コードを巻き付けるコード巻付装置14と、ベルト層や補強コードの内側に挿入してこれらを保持可能なベルト保持治具15とから構成されている。
【0077】
成形ドラム11は、第1ドラム21と第2ドラム22からなり、支持装置25により回転可能に支持され、且つ、この支持装置25を支点として第1、第2ドラム21,22を180度だけ回転することで、その位置を反転することができる。また、成形ドラム11(第1ドラム21、第2ドラム22)は、図13に示すように、外周面に巻き付けられたベルト層Bの内側にベルト保持治具15を挿入した後に保持を解除することで、このベルト層Bをベルト保持治具15に受け渡し可能となっている。この成形ドラム11は、リング形状に配列された複数のセグメント29を有し、この複数のセグメント29を外方に移動した状態で、その外側にベルト層Bを巻き付けることができる。一方、このベルト層Bの内側にベルト保持治具15を挿入することで、ベルト層Bをベルト保持治具15に受け渡すことができる。
【0078】
また、第3実施形態のベルト成形装置10は、成形ドラム11に巻き付けられたベルト層Bの外側を保持可能なトランスファー71を有している。このトランスファー71は、成形ドラム11の外側に各セグメント29と対向するように、リング形状に配列された複数の保持部材72を有している。このトランスファー71の各保持部材72は、図示しない駆動装置によりこの複数の保持部材72を同期して径方向に移動することができる。
【0079】
従って、複数の保持部材72を径方向における外方に移動した状態で、成形ドラム11の外側にベルト層Bを巻き付けることができる。そして、成形ドラム11にベルト層Bが巻き付けられた状態で、各保持部材72を径方向における内方に移動すると、ベルト層Bの外側を保持することができる。その後、成形ドラム11の各セグメント29を径方向における内方に移動すると、各セグメント29がベルト層Bの内周面から離間してその保持を解除することができる。そして、この状態で、ベルト層Bの内側にベルト保持治具15を挿入することで、このベルト保持治具15がベルト層Bを保持することができる。続いて、各保持部材72を径方向における外方に移動すると、各保持部材72がベルト層Bの外周面から離間してその保持を解除し、このベルト層Bをベルト保持治具15に受け渡すことができ、成形ドラム11からベルト層Bを保持したベルト保持治具15を取外すことができる。
【0080】
即ち、第3実施形態のベルト成形装置10は、以下の工程をもってベルトを成形することができる。
1.成形ドラム11を回転しながらその外周面に第1、第2ベルトB1,B2を巻き付ける内側ベルト巻付工程
2.成形ドラム11を回転しながら成形ドラム11に巻き付けられた第1、第2ベルトB1,B2の外側にスチールコードSを巻き付けるコード巻付工程
3.トランスファー71によりスチールコードSを外側から保持するコード保持工程
4.成形ドラム11に巻き付けられた第1、第2ベルトB1,B2、スチールコードSの内側にベルト保持治具15を挿入する治具取付工程
5.第1、第2ベルトB1,B2及びスチールコードSを保持したベルト保持治具15を成形ドラム11から取外す治具取外工程
【0081】
このように第3実施形態のベルト成形方法にあっては、コード巻付工程の終了後に、ベルト層Bを外側から保持するコード保持工程を設け、コード保持工程の終了後に、成形ドラム11の外径を縮径することでベルト層Bの保持を解除し、治具取付工程にて、ベルト層Bの内側にベルト保持治具15を挿入するようにしている。
【0082】
従って、成形ドラム11の外周面にスチールコードSを巻き付け、ベルト層Bを外側から保持した後、成形ドラム11の外径を縮径してベルト層Bの保持を解除し、ベルト層Bの内側にベルト保持治具15を挿入することで、ベルト層Bの変形を抑制しながら、ベルト保持治具15によりベルト層Bを適正に保持することができる。
【0083】
また、第3実施形態のベルト成形装置にあっては、成形ドラム11に巻き付けられたベルト層Bの外側を保持可能なトランスファー71を設け、トランスファー71がベルト層Bの外側を保持する一方、セグメント29が移動して成形ドラム11によるベルト層Bの内側保持を解除した状態で、ベルト保持治具15の各保持ロッド52をベルト層Bの内側に挿入して保持可能としている。
【0084】
従って、トランスファー71がベルト層Bの外側を保持し、成形ドラム11がベルト層Bの内側の保持を解除した状態で、ベルト保持治具15の各保持ロッド52をベルト層Bの内側に挿入して保持することで、ベルト層Bの変形を抑制しながら、ベルト保持治具15によりベルト層Bを適正に保持することができる。
【0085】
なお、上述した各実施形態では、コード巻付装置14が1本のスチールコードSを連続して巻き付けるように構成したが、複数のスチールコードSを順に、または、同時に巻き付けるように構成してもよい。この構成によれば、成形ドラム11,61を回転しながら、スチールコードSを分割して複数巻き付けることで、スチールコードSの巻き付け時間を短縮することができる。
【0086】
また、上述した各実施形態では、成形ドラム11,61にて、1つまたは2つのドラムを有するものとしたが、3つ以上のドラムを反転装置により所定角度ずつ回動して各ドラムを反転するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10,60 ベルト成形装置
11,61 成形ドラム
13 ベルト層巻付装置
14 コード巻付装置
15 ベルト保持治具
21 第1ドラム
22 第2ドラム
25 支持装置
29 セグメント
31 第1ベルト供給装置
32 第2ベルト供給装置
33 BEC供給装置
51 本体
52 保持ロッド
71 トランスファー
101 第3ベルト供給装置
102 第4ベルト供給装置
103 BEC供給装置
104 トレッド供給装置
B ベルト層
B1 第1ベルト(第1ベルト層)
B2 第2ベルト(第2ベルト層)
B3 第3ベルト(第3ベルト層)
B4 第4ベルト(第4ベルト層)
E1,E2 ベルトエッジクッション(BEC)
S スチールコード(補強コード、補強層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形ドラムを回転しながらその外周面に補強コードを巻き付けるコード巻付工程と、
前記補強コードの内側にベルト保持治具を挿入する治具取付工程と、
前記補強コードを保持した前記ベルト保持治具を前記成形ドラムから取外す治具取外工程と、
を有することを特徴とするベルト成形方法。
【請求項2】
前記治具取付工程の終了後に、前記治具取外工程にて、前記成形ドラムの外径を縮径することで前記補強コードの保持を解除することを特徴とする請求項1に記載のベルト成形方法。
【請求項3】
前記コード巻付工程の終了後に、前記補強コードを外側から保持するコード保持工程を設け、該補強コード保持工程の終了後に、前記成形ドラムの外径を縮径することで前記補強コードの保持を解除し、前記治具取付工程にて、前記補強コードの内側にベルト保持治具を挿入することを特徴とする請求項1に記載のベルト成形方法。
【請求項4】
前記成形ドラムを回転させながらその外周面に1つまたは複数の内側ベルト層を巻き付ける内側ベルト巻付工程を設け、前記コード巻付工程にて、前記成形ドラムに巻き付けられた前記内側ベルト層の外周面に前記補強コードを巻き付けることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のベルト成形方法。
【請求項5】
前記成形ドラムを回転させながら前記補強コードの外周面に1つまたは複数の外側ベルト層を巻き付ける外側ベルト巻付工程を設けることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のベルト成形方法。
【請求項6】
前記ベルト保持治具は、リング形状に均等間隔をもって配列される複数の保持ロッドを有し、前記複数の保持ロッドを前記補強コードの内側に挿入して前記補強コードを保持することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のベルト成形方法。
【請求項7】
回転可能な成形ドラムと、
前記成形ドラムの外周面に補強コードを巻き付けるコード巻付装置と、
前記補強コードの内側に挿入して前記補強コードを保持可能なベルト保持治具と、
を備えることを特徴とするベルト成形装置。
【請求項8】
前記ベルト保持治具は、リング形状に均等間隔をもって配列される複数の保持ロッドを有し、前記複数の保持ロッドが前記補強コードの内側に挿入されて前記補強コードを保持可能であることを特徴とする請求項7に記載のベルト成形装置。
【請求項9】
前記成形ドラムは、リング形状に所定間隔をもって配列されて径方向に移動可能な複数のセグメントを有し、前記ベルト保持治具は、前記複数の保持ロッドを前記複数のセグメントの間に挿入して前記補強コードを保持可能であることを特徴とする請求項8に記載のベルト成形装置。
【請求項10】
前記成形ドラムに巻き付けられた前記補強コードの外側を保持可能なトランスファーを設け、前記トランスファーが前記補強コードの外側を保持する一方、前記成形ドラムが前記補強コードの内側の保持を解除した状態で、前記ベルト保持治具は、前記複数の保持ロッドを前記補強コードの内側に挿入して保持可能であることを特徴とする請求項7または8に記載のベルト成形装置。
【請求項11】
前記成形ドラムの外周面にベルト層を巻き付けるベルト層巻付装置を設けることを特徴とする請求項7から10のいずれか一つに記載のベルト成形装置。
【請求項12】
回転可能な成形ドラムの外周面に少なくとも補強コードが巻き付けられて形成される補強層に対して、前記成形ドラムの回転軸心方向から前記補強コードの内側に複数の保持ロッドを挿入して前記補強層を保持可能であることを特徴とするベルト保持治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−35220(P2013−35220A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173447(P2011−173447)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】