説明

ベンゼンスルホニルアミノメチレン置換チオールピロリジンカルバペネム誘導体

本発明は医学技術分野に関与する。特に、本発明は、一般式(I)の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物、また一般式(II)の中間体に関し、式中、R、R、R、R及びRは、本明細書において定義されたとおりである。本発明は更に、このような化合物及び中間体を調製するための方法、このような化合物を含む医薬組成物、このような化合物の、感染症を治療及び/又は予防するための薬物の製造における使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゼンスルホニルアミノメチレン置換チオールピロリジン置換カルバペネム誘導体、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物、前述のエステル又は塩の水和物及びその中間体、これらの化合物及び中間体の調製方法、このような化合物を含有する医薬組成物並びに感染症を治療及び/又は予防するための薬物の製造におけるこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
幅広い抗菌スペクトル及び強力な抗菌活性を有し、β−ラクタマーゼに対して安定であることから、カルバペネム抗生物質は高い関心を集めている。臨床的に使用されているカルバペネム抗生物質には、イミペネム(Imipenem)、パニペネム(Panipenem)、メロペネム(Meropenem)、ビアペネム(Biapenem)及びドリペネム(Doripenem)が含まれる。ドリペネムは、日本の塩野義製薬(Shionogi&Co.Ltd.)によって開発されたカルバペネム抗生物質であり、以下の構造式を有する。
【化1】

【0003】
ドリペネムは、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対してイミペネムより良好な抗菌作用を有し、またイミペネム耐性菌に対する抗菌作用を有する。ドリペネムは、腎デヒドロペプチダーゼI(DHP−I)に対して安定である。ドリペネムは主に尿路系及び呼吸器系における重症感染症の治療に使用される。しかしながら、ドリペネムを臨床的に適用しすぎたことから、細菌はドリペネムに対する耐性を増してきている。
【0004】
メロペネムは、日本の住友製薬(Sumitomo Pharmaceuticals Co.Ltd.)によって開発されたカルバペネム抗生物質である。メロペネムは、1995年にイタリアで最初に商品化された。メロペネムは以下の構造式を有する。
【化2】

【0005】
メロペネムは、最初に商品化された1β−メチルカルバペネム抗生物質である。メロペネムの臨床的な適用が増えるにつれて、細菌は徐々にメロペネムに対する耐性を示し始めている。
【0006】
抗生物質の乱用は、細菌の薬剤耐性の増大を引き起こす。消化管における消化には限界があるため、現在商品化されているカルバペネムは診療所にて注射としてしか投与されず、臨床的な利用度は高くない。加えて、メロペネム及びドリペネムは共に半減期が短い。メロペネム及びドリペネムの半減期は共にヒトの体内において約1時間であり、これでは臨床的なニーズを満たすことはできない。
【0007】
現在臨床的に使用されているメロペネム及びドリペネムに対する菌株の薬剤耐性を克服するために、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対してドリペネム及びメロペネムの抗菌活性より高い又はそれと同等の抗菌活性を示し、またDHP−Iに対する安定性を有する新しいカルバペネムを探す必要がある。更に、このような新しいカルバペネムは、臨床的な適用におけるニーズを満たすためにより長い半減期を有するものでなくてはならない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、以下の技術的解決策を提供する。
【0009】
1.一般式(I):
【化3】

(式中、R1は、カルボキシ、−COOR6又は加水分解性エステルを表し、R6はカルボキシ保護基を表し、
2及びR3は、それぞれ独立して水素、アミノ保護基又は加水分解性エステルを表し、
4は、水素、低級アルキル又はカルボキシを表し、
フェニル環は、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、アミノスルホニル、低級アルキルアミノスルホニル、カルバモイル、スルホン酸基、低級アルキルアミノ及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1〜2個の置換基により更に置換され、低級アルキル及び低級アルキルを含む低級アルキル構造部分は、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、アミド、アミノスルホニル、カルボキシ及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1個以上の置換基により置換され、
5は、水素又は低級アルキルを表す)の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物。
【0010】
2.技術的解決策1による一般式(I)の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物であって、一般式(I)の化合物は、一般式(I´):
【化4】

(式中、R1は、カルボキシ、−COOR6又は加水分解性エステルを表し、R6はカルボキシ保護基を表し、
2は及びR3は、それぞれ独立して水素、アミノ保護基又は加水分解性エステルを表し、
4は、水素、低級アルキル又はカルボキシを表し、
フェニル環は、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、アミノスルホニル、低級アルキルアミノスルホニル、カルバモイル、スルホン酸基、低級アルキルアミノ及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1〜2個の置換基により更に置換され、低級アルキル及び低級アルキルを含む低級アルキル構造部分は、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、アミド、アミノスルホニル、カルボキシ及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1個以上の置換基により置換され、
5は、水素又は低級アルキルを表す)を有する。
【0011】
3.技術的解決策1又は2による化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物であって、
1は、カルボキシ、−COOR6又は加水分解性エステルを表し、R6は、メチル、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンゾキシメチル、ベンゾイルメチル、エチル、tert−ブチル、アリル、ベンジル、p−ニトロベンジル、p−メトキシベンジル及びジフェニルメチルから成る群から選択されるカルボキシ保護基を表し、前述の加水分解性エステルは、アルキルアシルオキシアルキルエステル、アルコキシアシルオキシアルキルエステル、シクロアルキルアシルオキシアルキルエステル、シクロアルコキシアシルオキシアルキルエステル及び(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソル−4−イル)メチルエステルから成る群から選択され、
2及びR3は、それぞれ独立して水素、アミノ保護基又は加水分解性エステルを表し、前述のアミノ保護基は、メチル、エチル、tert−ブチル、ベンジル、ホルミル、アセチル、tert−ブトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、ジアゾ、ベンゾイルメチル及び3−アセトキシプロピルから成る群から選択され、前述の加水分解性エステルは、アルキルアシルオキシアルキルエステル、アルコキシアシルオキシアルキルエステル、シクロアルキルアシルオキシアルキルエステル、シクロアルコキシアシルオキシアルキルエステル及び(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソル−4−イル)メチルエステルから成る群から選択され、
4は、水素、メチル又はカルボキシを表し、
フェニル環は、任意に、フッ素、塩素、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、カルバモイル、スルホン酸基及びメチルアミノから成る群から選択される1〜2個の置換基により更に置換され、
5は、水素又はメチルを表す。
【0012】
4.技術的解決策1〜3のいずれかによる化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物であって、
1はカルボキシを表し、
2及びR3は、それぞれ独立して水素を表し、
4は、水素、メチル又はカルボキシを表し、
フェニル環は、任意に、フッ素、塩素、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、シアノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、カルバモイル及びメチルアミノから成る群から選択される1〜2個の置換基により更に置換され、
5は、水素又はメチルを表す。
【0013】
5.技術的解決策1〜4のいずれかによる化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物であって、
1はカルボキシを表し、
2及びR3は、それぞれ独立して水素を表し、
4は、水素、メチル又はカルボキシを表し、
フェニル環は、任意に、フッ素、塩素、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、カルバモイル及びメチルアミノから成る群から選択される1〜2個の置換基により更に置換され、
5はメチルを表す。
【0014】
6.技術的解決策1〜5のいずれかによる化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物であって、前述の化合物は、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−アミノスルホニル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸及び
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−カルボキシ−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸から選択される。
【0015】
7.技術的解決策1〜6のいずれかによる化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物を、1種以上の薬学的に許容可能な担体及び/又は希釈剤と組み合わせて含む医薬組成物。
【0016】
8.技術的解決策7による医薬組成物であって、薬学的に許容可能ないずれの剤形である。
【0017】
9.技術的解決策1〜6のいずれかによる化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物の、感染症を治療及び/又は予防するための薬物の製造における使用。
【0018】
10.一般式(I)の化合物を調製するための方法であって、一般式(II)の化合物又はその塩/エステル/異性体と、一般式(III)の化合物との求核置換反応を実行することを含む。
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、技術的解決策1において定義されたとおりであり、式(II)中のフェニル環は、技術的解決策1において定義されたように置換基により更に置換されてもよく、Lは脱離基を表す。)
【0019】
11.式(II):
【化6】

(式中、R2、R3及びR4は、技術的解決策1において定義されたとおりであり、式(II)中のフェニル環は、技術的解決策1において定義されたように置換基により更に置換されてもよい)の化合物、その塩、その加水分解性エステル又はその異性体。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、一般式(I):
【化7】

(式中、R1は、カルボキシ、−COOR6又は加水分解性エステルを表し、R6はカルボキシ保護基を表し、
2及びR3は、それぞれ独立して水素、アミノ保護基又は加水分解性エステルを表し、
4は、水素、低級アルキル又はカルボキシを表し、
フェニル環は、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、アミノスルホニル、低級アルキルアミノスルホニル、カルバモイル、スルホン酸基、低級アルキルアミノ及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1〜2個の置換基により更に置換され、低級アルキル及び低級アルキルを含む低級アルキル構造部分は、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、アミド、アミノスルホニル、カルボキシ及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1個以上の置換基により置換され、
5は、水素又は低級アルキルを表す)の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物を提供する。
【0021】
本発明における「ハロゲン」には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。
【0022】
本発明における「低級アルキル」は、C1〜6直鎖又は分岐アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル又はこれらの類似体である。
【0023】
本発明における「低級アルコキシ」は、C1〜6直鎖又は分岐アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ又はこれらの類似体である。
【0024】
上記の低級アルキル及び低級アルコキシは、任意に、ヒドロキシ、アミノ、アミド、アミノスルホニル、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメチル及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1個以上の置換基により置換される。前述の「アミド」には、カルバモイル、アミノアセチル、アミノプロピオニル、アミノブタノイル等が含まれる。
【0025】
本発明における前述の「低級アルコキシカルボニル」は、C1〜6直鎖又は分岐アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル又はこれらの類似体である。
【0026】
本発明における前述の「低級アルキルアミノスルホニル」は、C1〜6直鎖又は分岐アルキルアミノスルホニル、例えばメチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、プロピルアミノスルホニル、イソプロピルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、イソブチルアミノスルホニル、tert−ブチルアミノスルホニル、sec−ブチルアミノスルホニル、ペンチルアミノスルホニル、ネオペンチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル又はその類似体である。
【0027】
本発明における「低級アルキルアミノ」は、C1〜6直鎖又は分岐アルキルアミノ、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、ペンチルオキシアミノ、ネオペンチルアミノ、ヘキシルオキシアミノ又はその類似体である。
【0028】
本発明における前述の「カルボキシ保護基」は、カルボン酸の酸性プロトンの置換に慣用的に使用される保護基である。このような基の例には、メチル、メトキシメチル、メチルチオメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、メトキシエチルメチル、アリル、ベンジルオキシメチル、ベンゾイルメチル、パラ−ブロモベンゾイルメチル、α−メチル−ベンゾイルメチル、パラ−メチオキシベンゾイルメチル、ジアシルメチル、N−フタルイミドメチル、エチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−ハロエチル、ω−クロロアルキル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−メチルチオエチル、2−(パラ−ニトロフェニルチオ)エチル、2−(パラ−トリルチオ)エチル、1−メチル−1−フェネチル、tert−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビス−(オルト−ニトロフェニル)メチル、9−フルオレニルメチル、2−(9,10−ジオキソ)フルオレニルメチル、5−ジフェニルチオ、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、パラ−ブロモベンジル、オルト−ニトロベンジル、パラ−ニトロベンジル、パラ−メトキシベンジル、ピペロニル、4−ピリジルメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、S−tert−ブチル、S−フェニル、S−2−ピリジル、N−ヒドロキシピペリジル、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾリル、O−アシルオキシム、2,4−ジニトロフェニルチオ、2−アルキル−1,3−オキサゾリン、4−アルキル−5−オキソ−1,3−オキサゾリジン、5−アルキル−4−オキソ−1,3−ジオキサン、トリエチルスタンナン、トリ−n−ブチルスタンナン、N,N´−ジイソプロピルヒドラジド及びこれらの類似体が含まれる。
【0029】
本発明における前述の「アミノ保護基」は、アミノ酸のプロトンの置換に慣用的に使用される保護基である。このような基の例には、ジイソプロピルメチル、9−フルオレニルメチル、9−(2−チオキソ)フルオレニルメチル、2−フラニルメチル、2,2,2−トリクロロメチル、2−ハロメチル、2−ヨードエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−メチルチオエチル、2−メチルスルホニルエチル、2−(パラ−トリルスルホニル)エチル、2−ホスホニウムメチル、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルホルムアミド)プロピル、1,1−ジフェニル−3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル、1−メチル−1−(アダマンタニル)エチル、1−メチル−1−フェネチル、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル、1−メチル−1−(4−ビフェニル)エチル、1−メチル−1−(パラ−ベンゼンアゾフェニル)エチル、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチル、1,1−ジメチル−2−シアノエチル、1−メチルシクロヘキシル、1−アダマンタニル、イソボルネオリル、シンナミル、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル、メタ−ニトロフェニル、S−フェニル、8−キノリニル、N´−ヒドロキシピペリジニル、4−(1,4−ジメチルピペリジル)、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、2,4,6−トリメチルベンジル、パラ−メトキシベンジル、パラ−メトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジル、パラ−デシルオキシベンジル、パラ−ニトロベンジル、パラ−ニトロベンジルオキシカルボニル、オルト−ニトロベンジル、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、パラ−シアノベンジル、オルト(N,N−ジメチルホルムアミド)ベンジル、メタ−クロロ−パラ−アシルオキシベンジル、パラ(ジヒドロキシボラニル)ベンジル、パラ(ベンゼンアゾ)ベンジル、パラ(パラメトキシベンゼンアゾ)ベンジル、5−ベンゾイソオキサゾリルメチル、9−アントリルメチル、ジフェニルメチル、フェニル(オルト−ニトロフェニル)メチル、ジ(2−ピリジル)メチル、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチル、イソニコチニル、S−ベンジル、N´−ピペリジルカルボニル、N´−パラ−トリルスルホニルアミノカルボニル、N´−アニリノチオカルボニルカルバメート、ホルミル、アセチル、アセチル−ピリジニウム、(N´−ジチオキソベンジルオキシカルボニルアミノ)アセチル、3−フェニルプロピオニル、3−(パラ−ヒドロキシフェニル)プロピオニル、3−(オルト−ニトロフェニル)プロピオニル、2−メチル−2−(オルト−ニトロフェノキシ)プロピオニル、2−メチル−2−(オルト−ベンゼンアゾフェノキシ)プロピオニル、4−クロロブタノイル、イソブタノイル、オルト−ニトロシンナモイル、ピリジルホルミル、N´−アセチルメチオニル、N´−ベンゾイル−フェニルアルキル、ベンゾイル、パラ−フェニルベンゾイル、パラ−メトキシベンゾイル、オルト−ニトロベンゾイル、オルト(ベンゾイルオキシメチル)ベンゾイルアミド、パラ−P−ベンゾイルアミド、フタロイル、2,3−ジフェニルマレオイル及びジチオキソサクシニルの環状イミド、tert−ブトキシカルボニル、アリル、アリルオキシカルボニル、ベンゾイルメチル、3−アセチルオキシプロピル、4−ニトロ−1−シクロヘキシル−2−オキソ−3−ピロリジン−3−イル、第四級アンモニウム塩、メトキシメチル、2−クロロエトキシメチル、ベンジルオキシメチル、ネオ−ペントイルメチル、[1−(アルコキシカルボニルアミノ)]−2,2,2−トリフルオロエチル、[1−トリフルオロメチル−1−(パラ−クロロフェノキシメトキシ)−2,2,2−トリフルオロ]エチル、2−テトラヒドロピラニル、2,4−ジニトロフェニル、3,4−ジメトキシベンジル、オルト−ニトロベンジル、ジ(パラ−メトキシフェニル)メチル、トリフェニルメチル、(パラ−メトキシフェニル)ジフェニルメチル、ジフェニル−4−ピリジニルメチル、2−ピリジルメチル−N´−オキシド、5−ジフェニルプロピルシクロヘプチル、N´,N´−ジメチルアミノメチレン、N´−イソプロピレン、ベンジレン、パラ−メトキシベンジレン、パラ−ニトロベンジレン、サリチレン、5−クロロサリチレン、ジフェニルメチレン、(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレン、(アシルエテニル)、5,6−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル、ボラン、[フェニル(ペンタカルボニルクロミウム又はタングステン)]カルボニル、銅又は亜鉛キレート、ニトロソ、オキシド、ジフェニルホスフィノ、ジメチルチオホスフィニル、ジフェニルチオホスフィニル、ジエチルホスホリル、ジベンジルホスホリル、ジフェニルホスホリル、ホスホリル、トリメチルシリル、フェニルチオ、オルト−ニトロフェニルチオ、2,4−ジニトロフェニルチオ、2−ニトロ−4−メトキシフェニルチオ、トリフェニルメチルチオ、ベンゼンスルホニル、パラ−メトキシベンゼンスルホニル、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニル、メチルスルホニル、フェニルメシル、パラ−トリルメシル、トリフルオロメシル、ベンゾイルメシル、ジアゾ及びこれらの類似体が含まれる。
【0030】
本発明の更に好ましい化合物は以下のとおりである。化合物名:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(略称:化合物1)、化合物名:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(略称:化合物2)、化合物名:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(略称:化合物3)、化合物名:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(略称:化合物4)、化合物名:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(略称:化合物5)、化合物名:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−アミノスルホニル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(略称:化合物6)、化合物名:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(略称:化合物7)、化合物名:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(略称:化合物8)及び化合物名:(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−カルボキシ−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(略称:化合物9)。
【0031】
加えて、本発明は、一般式(I)の化合物を調製するための方法を更に提供し、この方法は、一般式(II)の化合物又はその塩/エステル/異性体と、一般式(III)の化合物との求核置換反応を実行することを含む。
【化8】

(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、上記にて定義されたとおりであり、式(II)中のフェニル環は、上記にて定義されたように置換基により更に置換されてもよく、Lは脱離基を表す)
【0032】
「脱離基」には、例えばスルホネート(例えば、低級アルカンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、ホスフェート(例えば、ジアリールホスフェート、例えばジフェニルホスフェート)またはハロゲン化物(例えば、塩化物)などのヒドロキシ基、例えば−SOCH=CH−NHCOCH3などのスルホキシドを例とする、迅速な置換が可能な反応基が含まれる。好ましい脱離基は、ジフェニルホスフェート(−OP(O)(OPh)2)である。
【0033】
本発明は、前述の化合物を調製するための方法を更に提供する。前述の方法は、以下の反応式を有する方法を含むが、これに限定はされない。
【化9】

【0034】
反応工程
工程1:式(a)の化合物の調製
原料1及びメタノールを乾燥した反応フラスコに加えて均質に混合した。塩化チオニルをこの反応混合物に滴加した。得られた混合物をある時間に亘って攪拌してから冷却した。固形物が混合物から沈殿した。固形物を濾過し、濾過ケーキを乾燥させると式(a)の化合物が得られた。
【0035】
工程2:式(b)の化合物の調製
乾燥した反応フラスコにおいて、トリエチルアミンの溶液を、ジクロロメタン中の前述の工程で得られた式(a)の化合物の溶液に添加した。得られた混合物を攪拌し、トリエチルアミン及び塩化メチルスルホニルを添加して反応を起こした。反応後に得られた生成物を水で洗浄し、乾燥させ、濃縮すると式(b)の化合物が得られた。
【0036】
工程3:式(c)の化合物の調製
乾燥した反応フラスコにおいて、無水塩化亜鉛及び水素化ホウ素カリウムをジオキサンに添加した。混合物を周囲温度で攪拌し、前述の工程で得られた式(b)の化合物を少しずつ添加した。得られた混合物を攪拌しながら還流するまで緩やかに加熱し、還流をその温度である時間に亘って維持した。得られた混合物を周囲温度にまで冷却し、濾過し、塩酸を添加して反応をクエンチした。得られた混合物に溶媒を添加して希釈し、混合物を溶媒で抽出した。得られた抽出物を水で洗浄し、乾燥させ、濃縮すると式(c)の化合物が得られた。
【0037】
工程4:式(d)の化合物の調製
乾燥したフラスコに、前述の工程で得られた式(c)の化合物の溶液及びDMF中のチオ酢酸カリウムを加えた。反応を起こすために得られた混合物をある時間に亘って加熱し、次に周囲温度にまで冷却した。得られた混合物に溶媒を添加して希釈し、混合物を溶媒で抽出した。得られた抽出物を洗浄し、乾燥させ、濃縮すると式(d)の化合物が得られた。
【0038】
工程5:式(II)の化合物の調製
原料2及びトリフェニルホスフィンを、THF中の前述の工程で得られた式(d)の化合物の溶液に添加した。ジエチルアゾジカルボキレートをこの混合物に滴加し、反応をある時間に亘って起こした。反応後、得られた混合物にトルエンを添加した。得られた混合物を、固形物が沈殿するまで濃縮した。沈殿した固形物を濾別し、濾液を濃縮した。得られた残留物をジクロロメタンに溶解し、塩酸の溶液を添加した。ある時間に亘る反応の後、得られた混合物から有機相を分離し、水で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。得られた残留物を酢酸エチル−シクロヘキサン中で再結晶させると式(II)の化合物が得られた。
【0039】
工程6:式(e)の化合物の調製
乾燥した反応フラスコに、前述の工程で得られた式(II)の化合物、アセトニトリル、ジイソプロピルエチルアミン及び式(III´)の化合物を加え、攪拌した。この混合物を溶媒で希釈し、水、引き続いて飽和塩水で洗浄した。得られたものを水相と有機相とに分離した。有機相を乾燥させ、濃縮すると式(e)の化合物が得られた。
【0040】
工程7:式(f)の化合物の調製
前述の工程で得られた式(e)の化合物をジクロロメタンに溶解し、次にアニソールとニトロメタンとの溶液を添加した。ニトロメタン中の三塩化アルミニウムの溶液を添加し、攪拌した。得られた混合物に水を添加し、固形物を沈殿させた。濾過後、濾過ケーキが得られた。濾過ケーキをTHFと水との混合物に溶解し、10%のリンドラーPd−Cを添加した。得られたものを、周囲温度にて5Mpaの水素加圧下である時間に亘って攪拌した。Pd−Cは濾過により除去され、THFを濾液に添加し、次にTHF相と水相とに分離した。水相を回収し、THF相には5%塩化マグネシウム溶液を添加した。得られた混合物を静置し、この混合物から水相を分離した。濾液についての上記の作業を繰り返し、得られた水相を合わせた。得られた水層にメタノールをゆっくりと0℃で滴加した。混合物を−10℃にまで冷却し、攪拌し、濾過した。得られた濾過ケーキを水−イソプロパノールから再結晶させると、式(f)の化合物が得られた。
【0041】
上記の反応式においてR2、R3、R4及びR5によって表される基は上記にて定義されたとおりであり、フェニル環は、任意に、上記にて定義されたように1〜2個の置換基により更に置換され、R7は、カルボキシ保護基を表す。
【0042】
加えて、本発明の別の実施形態は、式(II):
【化10】

(式中、R2、R3及びR4により表される基は上記にて定義されたとおりであり、フェニル環は、上記にて定義されたように置換基により更に置換されてもよい)の化合物、その塩、その加水分解性エステル又はその異性体である。式(II)の具体的な化合物の例は、調製例1の工程5で得られた化合物1の中間体及び調製例2〜9の工程1で得られた化合物2〜9の中間体である。
【0043】
本発明による一般式(I)のいずれの化合物の薬学的に許容可能な塩は、有機酸塩、無機酸塩、有機塩基塩又は無機塩基塩であり、有機酸には、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸及びフマル酸が含まれ、無機酸には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及びリン酸が含まれ、有機塩基には、メグルミン及びデキストロサミン(dextrosamine)が含まれ、無機塩基には、ナトリウム、カリウム、バリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛又はリチウムのアルカリ性化合物が含まれる。好ましい薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩及びカリウム塩、例えば(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム(つまり、本発明の化合物8のナトリウム塩)である。
【0044】
本発明による一般式(I)のいずれの化合物の加水分解性エステルは、生物の体内で対応するカルボン酸に加水分解可能なエステルである。カルボキシル基を備えた化合物により生成される加水分解性エステルの例には、例えば、アルキルアシルオキシアルキルエステル(例えばアセトキシメチルエステル、プロピオニルオキシメチルエステル、ブチリルオキシメチルエステル、イソプロピルホルミルオキシメチルエステル、tert−ブチルホルミルオキシメチルエステル、ネオ−ペンチルホルミルオキシメチルエステル、イソブチルホルミルオキシメチルエステル、ネオ−ペンチルアセトキシメチルエステル、オクタノイルオキシメチルエステル、デカノイルオキシメチルエステル及びこれらの類似体);アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル(例えばメトキシホルミルオキシメチルエステル、エトキシホルミルオキシメチルエステル、イソプロポキシホルミルオキシ−1−エチルエステル、ヘキシルオキシホルミルオキシ−1−エチルエステル、オクチルオキシホルミルオキシ−1−エチルエステル、デシルオキシホルミルオキシ−1−エチルエステル、ドデシルオキシホルミルオキシ−1−エチルエステル及びこれらの類似体);アルコキシメチルエステル(例えばメトキシメチルエステル、1−イソプロポキシメチルエステル及びこれらの類似体);アルキルアシルアミノメチルエステル(例えばホルミルアミノメチルエステル、アセチルアミノメチルエステル及びこれらの類似体);シクロアルキルアシルオキシアルキルエステル(例えばシクロヘキシルホルミルオキシメチルエステル、シクロヘキシルホルミルオキシ−1−エチルエステル、1−メチル−シクロヘキシルホルミルオキシ−1−エチルエステル、4−メチル−シクロヘキシルホルミルオキシメチルエステル及びこれらの類似体);シクロアルキルオキシアシルオキシアルキルエステル(例えばシクロペンタニルオキシホルミルオキシ−1−エチルエステル、シクロヘキシルオキシホルミルオキシ−1−エチルエステル及びこれらの類似体);(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソル−4−イル)メチルエステル、2−[(2−メチルプロポキシ)カルボニル]−2−ペンテニルエステル及びこれらの類似体などの低級アルカノイルオキシアルキルエステルが含まれる。好ましい加水分解性エステルには、プロピオニルオキシメチルエステル、ブチリルオキシメチルエステル、tert−ブチルホルミルオキシメチルエステル、イソプロポキシホルミルオキシメチルエステル、イソプロポキシホルミルオキシ−1−エチルエステル、シクロヘキシルオキシホルミルオキシ−1−エチルエステル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソル−4−イル)メチルエステル及びこれらの類似体が含まれる。好ましいエステルは、ピバロイルオキシメチルエステル、イソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソル−4−イル)メチルエステル及び1−シクロヘキシルオキシカルボニルオキシエチルエステル、例えばピバロイルオキシメチル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート(すなわち、本発明による化合物7のピバロイルオキシメチルエステル)である。ヒドロキシに関しては、生体における適した加水分解性エステルには、C1〜6アルキルアシル、例えばアセチル、プロピオニル及びピバロイル、C1〜6アルコキシカルボニル、例えばエトキシカルボニル並びにフェニルアセチル等が含まれる。
【0045】
本願で使用される用語「異性体」は、全てのエピマー、ジアステレオマー及び互変異性体の形態について言及している。結合が楔状に描かれている場合、これは三次元において、結合が紙から手前に飛び出ることを示し、結合がストライプ線で描かれている場合、これは三次元において、結合が紙の後ろ側に向かうことを示す。式(I)の化合物は多数の立体中心を含み、4位、5位及び/又は6位のものを含む。本発明の化合物がオレフィン二重結合を含む場合、化合物はシス及びトランス幾何異性体を有する。
【0046】
式(I)の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体は、水和物の形態であってもよい。水和は、調製過程で完遂しても、或いは当初の無水生成物の吸湿性を利用して徐々に行ってもよい。
【0047】
本発明は、一般式(I)の化合物のいずれか、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物並びにその他の薬学的に活性な成分(例えば、シラスタチン及びそのナトリウム塩及び/又はベタミプロン等)を含む医薬組成物について更に請求する。
【0048】
本発明は、一般式(I)の化合物のいずれか、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物を、1種以上の薬学的に許容可能な担体及び/又は希釈剤と組み合わせて含む医薬組成物を更に請求する。この組成物は、いずれの臨床的又は薬学的に許容可能な剤形であってもよく、好ましくは経口又は注入可能な配合物である。組成物の単位用量には、0.01〜10g、例えば0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.04g、0.05g、0.1g、0.125g、0.2g、0.25g、0.3g、0.4g、0.5g、0.6g、0.75g、1g、1.25g、1.5g、1.75g、2g、2.5g、3g、4g、5g、6g、7g、8g、9g及び10g等に亘る生理学的に有効な量の一般式(I)の化合物が含まれる。
【0049】
一般式(I)の化合物のいずれか、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物は、それを必要とする患者に経口又は非経口投与経路により適用することができる。
【0050】
非経口経路で投与する場合、化合物は、注入可能な配合物に処方することができる。本願で使用の用語「注入可能な配合物(injectable formulation)」は、薬物から成り且つ生体に注入可能な配合物について言及しており、溶液、エマルション、懸濁液、使用直前に溶液又は懸濁液に再構築又は希釈するための滅菌粉末及び注入用の凍結乾燥粉末の滅菌配合物を含む。注入可能な配合物は、注入可能な溶液、注入用の滅菌粉末及び注入用の濃縮溶液に分類することができる。本願で使用の用語「注入可能な溶液(injectable solution)」は、薬物から成る滅菌溶液タイプ、エマルションタイプ又は懸濁液タイプの溶液について言及しており、生体に注入することができ、筋肉内投与、静脈内投与、点滴静注による投与等ができる。注入量の規格は、1ml、2ml、5ml、10ml、20ml、50ml、100ml、200ml、250ml、500ml等であってよく、点滴静注用の大量(通常、100mlより多い)の注入溶液は、静脈内輸液としても知られる。本願で使用の用語「注入用の滅菌粉末(sterile powder for injection)」は、使用直前に、適した滅菌溶液でもって透明な溶液又は均質な懸濁液へと再構築するための、薬物から成る滅菌粉末又は滅菌された塊の多い物質について言及している。注入用の滅菌粉末は、注入用の適した溶媒で再構築した後に注射剤として使用することができ、或いは静脈内輸液で再構築した後に点滴静注液として使用することができる。滅菌粉末は、溶媒中での結晶化、噴霧乾燥法又は凍結乾燥法により調製することができる。本願で使用の用語「注入用の濃縮溶液(concentrated solution for injection)」は、薬物から成る滅菌された濃縮溶液を意味し、使用直前に点滴静注液へと希釈することができる。
【0051】
経口で投与する場合、化合物は、経口投与用の慣用の固形の剤形に処方することができ、例えば錠剤、カプセル、丸薬、顆粒等である。経口投与用の液状の剤形に処方することもでき、例えば経口液剤、経口懸濁液、シロップ等である。本願で使用の用語「錠剤(tablet)」は、薬物及び適した補助原料を均質に混合し、円形又は不規則な形状のトローチ固形製剤に圧縮することにより調製される固形製剤について言及しており、主に経口投与用の一般的な錠剤であり、バッカル錠、舌下錠、バッカルウェハ、チュアブル錠、分散錠、溶解錠、発泡錠、徐放性錠、放出制御錠、腸溶錠等も含む。本願で使用の用語「カプセル」は、薬物若しくは薬物と適した補助材料とを中空のカプセルに充填する又はソフトカプセル材料に閉じ込めることにより調製される固形製剤について言及している。溶解度及び放出特性に応じて、カプセルをハードカプセル(一般にカプセルと称される)、ソフトカプセル(ソフトシェルカプセル)、徐放性カプセル、放出制御カプセル、腸溶性カプセル等に分類することができる。本願で使用の用語「丸薬(pill)」は、薬物及び適した補助材料を適した方法で均質に混合することにより調製される球体又は球体様の固形製剤について言及しており、ドロッピングピル(dropping pill)、糖衣錠、小丸薬(pilule)等を含む。本願で使用の用語「顆粒(granule)」は、薬物及び適した補助材料を混合して特定の粒径とすることにより調製される乾燥した顆粒製剤について言及している。顆粒は、可溶性の顆粒(一般に顆粒と称される)、懸濁顆粒、発泡顆粒、腸溶性顆粒、徐放性顆粒、放出制御顆粒等に分類することができる。本願で使用の用語「経口液剤(oral solution)」は、薬物を経口投与に適した溶媒に溶解することにより調製される透明な液体製剤について言及している。本願で使用の用語「経口懸濁液(oral suspension)」は、経口投与用の懸濁液について言及しており、不溶性の固形の薬物を液体ビヒクルに分散させることにより調製され、懸濁用配合顆粒(dry suspension)及び濃縮懸濁液を含む。本願で使用の用語「シロップ(syrup)」は、薬物を含有する濃縮された蔗糖の水溶液について言及している。
【0052】
適した増量剤、糊料、崩壊剤、潤滑剤等を、経口製剤の調製に使用することができる。一般に使用される増量剤には、でんぷん、砂糖粉末、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム二水塩、デキストリン、微結晶性セルロース、乳糖、アルファ化デンプン、マンニトール等が含まれる。一般に使用される糊料には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、PVP−K30、ヒドロキシプロピルセルロース、でんぷんスラリー、メチルセルロース、エチルセルロール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゲル化でんぷん等が含まれる。一般に使用される崩壊剤には、乾燥でんぷん、クロスポビドン、クロスカルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等が含まれる。一般に使用される潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ドデシル硫酸ナトリウム、微粉化シリカゲル等が含まれる。
【0053】
本発明は、一般式(I)の化合物のいずれか、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前述のエステル若しくは塩の水和物を、感染症を治療及び/又は予防するための薬物の製造において使用することを更に提供する。この感染症には、例えば、(1)呼吸器感染症、例えば慢性気管支炎、肺炎、肺膿瘍及び膿胸、(2)腹腔内感染症、例えば胆のう炎、胆管炎、肝腫瘍及び腹膜炎、(3)泌尿生殖器感染症、例えば腎盂腎炎、複雑性膀胱炎、子宮付属器炎、子宮内感染症、骨盤内炎症及び子宮傍組織炎、(4)骨、関節、皮膚及び実質感染症、例えば蜂巣炎、肛門周囲膿瘍、骨髄炎、関節炎、外傷性感染症、熱傷創感染症、外科的切開感染症、下顎骨及び下顎骨周囲の疎性結合組織における炎症、(5)眼感染症及び耳鼻咽喉感染症並びに(6)更なる重症感染症、例えば髄膜炎及び敗血症が含まれる。
【0054】
本発明による一般式(I)の化合物のいずれもが、グラム陽性菌、グラム陰性菌、好気性菌及び嫌気性菌に対するより良好な抗菌活性を有しており、また低毒性を示す。化合物は、病原微生物によって引き起こされる様々な疾患の治療及び/又は予防に使用することができる。本発明の化合物は、ペニシリン結合タンパク質(PBP)に対する強力な親和性、広範囲の抗菌スペクトル、高い抗菌活性及び、グラム陽性菌、グラム陰性菌、好気性菌、嫌気性菌、院内臨床病原体に対するより良好な抗菌活性を有する。特に、本発明の化合物は、薬物耐性グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して極めて優れた抗菌活性を有する。本発明の化合物は、β−ラクタマーゼ及びDHP−Iに対して安定であり、また一回分ずつ投与することができる。本発明の化合物は、長い後抗生物質効果及び長続きする抗菌作用を有する。従って、薬剤の投与回数を減らすことができる。
【0055】
カルバペネムは通常、温血動物に対して毒性がないことが判明している。またこの発見は、本発明の化合物にも当てはまる。本発明の好ましい化合物を、細菌感染の予防に必要とされる用量を超えた過剰量でマウスに投与しても、投与後、本発明の化合物によって誘発される明白な中毒兆候又は副作用は観察されない。
【実施例】
【0056】
本発明の前述の内容を以下の実施例を用いて詳細に説明するが、本発明の保護範囲は、以下の実施例に限定されるとはみなされない。本発明の請求項の範囲を限定することにより得られるいずれの技術的解決策も、本発明の範囲内にあると意図される。以下の実施例において、様々な剤形で使用される補助材料は、薬学的に許容可能な補助材料で置き換えてもよく、或いは減量、増量してもよい。
【0057】
本発明による化合物の調製例
実施例1
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸の調製
【化11】

【0058】
工程1
(2S,4R)−4−ヒドロキシ−2−メトキシカルボニルピロリジン塩酸塩の調製
13.1g(100mmol)のトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン(Shanghai Qiude Biochemistry社から購入)及び50mLのメタノールを乾燥した反応フラスコに加え、均質に混合した。8mLの二塩化チオニルをこの混合物に0℃で滴加した。添加後、得られた混合物を周囲温度にまで温め、20分に亘って攪拌し、引き続いて40℃にまで加熱し、更に14時間に亘って攪拌した。得られた混合物を冷却すると、白色の沈殿物が混合物から生成された。濾過後、濾過ケーキが得られ、得られた濾過ケーキを乾燥させると13.9gの生成物が得られた。収率は95.6%であった。
【0059】
工程2
(2S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−メチルスルホニルオキシ−2−メトキシカルボニルピロリジンの調製
前述の工程で得られたジクロロメタン中の7.3g(50mmol)の(2S,4R)−4−ヒドロキシ−2−メトキシカルボニルピロリジン塩酸塩の溶液50mlを氷浴中で0℃にまで冷却し、8mLのトリエチルアミンを添加した。得られた混合物を10分間に亘って攪拌し、次にジクロロメタン中の13g(60mmol)の(Boc)2Oの溶液50mLをこの反応混合物に滴加し、混合物を1時間に亘って攪拌した。8mLのトリエチルアミンを得られた混合物に添加し、4.0mL(51mmol)の塩化メタンスルホニルを滴加することにより反応を8〜10℃で起こさせ、2時間に亘って攪拌した。得られた混合物を水で洗浄し、乾燥させ、濃縮すると15gの白色の固形の生成物が得られた。収率は92.5%であった。
【0060】
工程3
(2S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−メタンスルホニルオキシピロリジン−2−メタノールの調製
6.8g(50mmol)の無水塩化亜鉛及び5.4g(100mmol)の水素化ホウ素カリウムを100mLのジオキサンに添加した。得られた混合物を周囲温度にて2時間に亘って攪拌し、前述の工程で得られた8.1g(22.4mmol)の(2S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−メチルスルホニルオキシ−2−メトキシカルボニルピロリジンを少しずつ添加した。この反応混合物を還流するまでゆっくりと加熱し、2時間に亘って攪拌した。周囲温度にまで冷却した後、反応混合物を濾過し、濾液を10mLの5mol/L塩酸でクエンチした。得られた混合物に100mLの水を添加して希釈し、混合物を酢酸エチルで抽出した(100mLx2)。有機相を合わせたものを飽和塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮すると13.3gの生成物が得られた。収率は90.1%であった。
【0061】
工程4
(2S,4S)−4−アセチルチオ−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−メタノールの調製
前述の工程で得られた8.9g(30mmol)の(2S,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−メタンスルホニルオキシピロリジン−2−メタノール及び6.9g(60mmol)のチオ酢酸カリウムを100mLのDMFに溶解した。得られた混合物を65℃にまで10時間に亘って加熱し、次に周囲温度にまで冷却した。得られた混合物に200mLの水を添加して希釈し、混合物を酢酸エチルで抽出した(100mLx2)。有機相を合わせたものを水で洗浄し、乾燥させ、濃縮すると7.9gの黄色の油状物質が得られた。収率は95.6%であった。
【0062】
工程5
(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンの調製
7.8g(30mmol)のトリフェニルホスフィン及び9.0g(33mmol)のN−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチル−ベンゼンスルホニルアミン(Hengzhou Rui´er Chemical社から購入)を前述の工程で得られた、THF中の5.5g(20mmol)の(2S,4S)−4−アセチルチオ−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−メタノールの溶液40mLに添加した。5.4g(30mmol)のジエチルアゾジカルボキシレートを、反応混合物に0℃で滴加し、0〜2℃で6時間に亘って攪拌した。反応の完了後、50mLのトルエンを添加した。得られたものを濃縮し、80mLのトルエンを添加した。沈殿した固形物を濾別し、濾液を濃縮した。得られた残留物を30mLのジクロロメタンに溶解し、100mLの5mol/Lの塩酸溶液を添加した。得られた混合物を40℃にまで加熱し、2時間に亘って攪拌した。有機相を混合物から分離し、水で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。得られたものを酢酸エチル・シクロヘキサンを用いて再結晶化させると、5.8gの白色の固形物が得られた。収率は60.0%であった。
【0063】
工程6
p−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートの調製
乾燥したフラスコにおいて、120mLのアセトニトリル中の11.9g(20mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート(Xinxiang Hongchen Science&Technology社から購入)の溶液を、−10℃未満にまで冷却した。次に、5mLのジイソプロピルエチルアミン及び前述の工程で得られた80mLのアセトニトリル中の10.7g(22mmol)の(2S,4S)−4−チオ−2− [N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンの溶液を添加した。得られた混合物を0℃にまで冷却し、15時間に亘って攪拌した。混合物を300mLの酢酸エチルで希釈し、水、引き続いて飽和塩水で洗浄した。有機相を分離し、乾燥させ、濃縮すると11.3gの生成物が黄色の固形物として得られた。収率は68.1%であった。
【0064】
工程7
化合物1の調製
前述の工程で得られた8.3g(10mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを50mLのジクロロメタンに添加し、次に10mLのアニソール及び20mLのニトロメタンを添加し、続いて塩化アルミニウムの100mLの1mol/Lニトロメタン溶液を−50℃で添加した。得られた混合物を−40℃にまで冷却し、2時間に亘って攪拌した。この反応混合物に200mLの水を添加すると、沈殿物が生成された。濾過後、沈殿物をTHF(400mL)と水(30mL)との混合物に溶解し、2gの10%リンドラーPd−C(Shanghai Hufeng Biological Science&Technology社から購入)を添加した。得られたものを2時間に亘って周囲温度で5Mpa水素圧力下で攪拌した。Pd−Cを濾過により除去し、150mLのTHFを濾液に添加した。層を分けた後、THF層と水相とに分離した。水相を回収し、20mLの5%塩化マグネシウム溶液をTHF相に添加した。得られたものを静置し、水相を分離した。上記の作業をもう一度繰り返し、得られた水相を合わせた。水層を合わせたものに30mLのメタノールを0℃でゆっくりと滴下した。混合物を−10℃にまで冷却し、1時間に亘って攪拌し、濾過した。濾過ケーキを水・イソプロパノールから再結晶化させると、2.5gの生成物が白色の固形物として得られた。収率は49.6%であった。
【0065】
分子式:C2229362
分子量:495.61
元素分析:C、53.20%;H、6.16%;N、8.31%;S、12.77%
(計算:C、53.31%;H、5.90%;N、8.48%;S、12.94%)
質量スペクトル(m/e):526(M+1)
1H NMR(600MHz、CDCl3):δ1.16(d、3H)、1.24(d、3H)、1.62(m、1H)、2.24(s、3H)、2.61(m、1H)、3.22〜3.45(m、5H)、3.74(q、1H)、3.82(q、1H)、3.96(m、1H)、4.24(t、2H)、7.22(d、2H)、7.50(d、2H)
【0066】
実施例2
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物2)の調製
【化12】

【0067】
工程1
(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンの調製
実施例1の工程5の調製方法に従って、実施例1の工程4で得られた5.5g(20mmol)の(2S,4S)−4−アセチルチオ−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−メタノール及び9.0g(33mmol)のN−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メチル−ベンゼンスルホニルアミン(Hengzhou Rui´er Chemical社から購入)を使用して、5.3gの(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを得た。収率は54.6%であった。
【0068】
工程2
p−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2− [N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートの調製
実施例1の工程6の調製方法に従って、11.9g(20mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート及び前述の工程で得られた10.7g(22mmol)の(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを添加すると、10.6gの生成物が得られた。収率は61.3%であった。
【0069】
工程3:化合物2の調製
実施例1の工程7の調製方法に従って、前述の工程で得られた8.6g(10mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3− [(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを使用して、2.5gの目的の生成物を得た。収率は48.1%であった。
【0070】
分子式:C2229362
分子量:495.61
元素分析:C、50.39%;H、5.39%;N、7.65%;S、12.11%
(計算:C、50.27%;H、5.18%;N、7.99%;S、12.20%)
質量スペクトル(m/e):526(M+1)
1H NMR(600MHz、CDCl3):δ1.16(d、3H)、1.24(d、3H)、1.61(m、1H)、2.23(s、3H)、2.60(m、1H)、3.21〜3.42(m、5H)、3.74(q、1H)、3.83(q、1H)、3.95(m、1H)、4.21(t、2H)、7.03(t、1H)、7.24(d、1H)、7.35(d、1H)、7.49(s、1H)
【0071】
実施例3
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物3)の調製
【化13】

【0072】
工程1
(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンの調製
実施例1の工程5の調製方法に従って、実施例1の工程4で得られた5.5g(20mmol)の(2S,4S)−4−アセチルチオ−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−メタノール及び10.5g(35mmol)のN−(tert−ブトキシカルボニル)−4−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミン(Hengzhou Rui´er Chemical社から購入)を使用して、5.5gの(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを得た。収率は53%であった。
【0073】
工程2
p−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートの調製
実施例1の工程6の調製方法に従って、11.9g(20mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート及び前述の工程で得られた11.4g(22mmol)の(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを使用して、10.9gの生成物を得た。収率は63.5%であった。
【0074】
工程3:化合物3の調製
実施例1の工程7の調製方法に従って、前述の工程で得られた8.6g(10mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを使用して、2.7gの目的の生成物を得た。収率は51.7%であった。
【0075】
分子式:C2227382
分子量:525.60
元素分析:C、50.11%;H、5.35%;N、8.07%;S、12.05%
(計算:C、50.27%;H、5.18%;N、7.99%;S、12.20%)
質量スペクトル(m/e):526(M+1)
1H NMR(600MHz、CDCl3):δ1.16(d、3H)、1.24(d、3H)、1.63(m、1H)、2.63(m、1H)、3.25〜3.42(m、5H)、3.76(q、1H)、3.85(q、1H)、3.96(m、1H)、4.21(t、2H)、7.87(d、2H)、8.06(d、2H)
【0076】
実施例4
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物4)の調製
【化14】

【0077】
工程1
(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンの調製
実施例1の工程5の調製方法に従って、実施例1の工程4で得られた5.5g(20mmol)の(2S,4S)−4−アセチルチオ−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−メタノール及び10.5g(35mmol)のN−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミン(Hengzhou Rui´er Chemical社から購入)を使用して、5.3gの(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを得た。収率は51.6%であった。
【0078】
工程2
p−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジジクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートの調製
実施例1の工程6の調製方法に従って、11.9g(20mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート及び11.4g(22mmol)の(2S,4S)−4−チオール−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを使用して、10.6gの生成物を得た。収率は64.8%であった。
【0079】
工程3:化合物4の調製
実施例1の工程7の調製方法に従って、前述の工程で得られた8.6g(10mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを使用して、2.5gの目的の生成物を得た。収率は48.1%であった。
【0080】
分子式:C2227382
分子量:525.60
元素分析:C、50.39%;H、5.39%;N、7.65%;S、12.11%
(計算:C、50.27%;H、5.18%;N、7.99%;S、12.20%)
質量スペクトル(m/e):526(M+1)
1H NMR(600MHz、CDCl3):δ1.16(d、3H)、1.24(d、3H)、1.63(m、1H)、2.63(m、1H)、3.26〜3.44(m、5H)、3.77(q、1H)、3.84(q、1H)、3.97(m、1H)、4.20(t、2H)、7.69(t、1H)、7.99(d、1H)、8.15(d、1H)、8.29(s、1H)
【0081】
実施例5
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物5)の調製
【化15】

【0082】
工程1
(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンの調製
実施例1の工程5の調製方法に従って、実施例1の工程4で得られた5.5g(20mmol)の(2S,4S)−4−アセチルチオ−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−メタノール及び10.6g(31mmol)のN−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼンスルホニルアミン(Beijing Fengsite Chemical Materials社から購入)を使用して、6.1gの(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを得た。収率は55.2%であった。
【0083】
工程2
p−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートの調製
実施例1の工程6の調製方法に従って、11.9g(20mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート及び前述の工程で得られた12.2g(22mmol)の(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを使用して、11.0gの生成物を得た。収率は61.2%であった。
【0084】
工程3:化合物5の調製
実施例1の工程7の調製方法に従って、前述の工程で得られた9.0g(10mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを使用して、3.0gの目的の生成物を得た。収率は52.5%であった。
【0085】
分子式:C22263372
分子量:565.58
元素分析:C、46.54%;H、4.85%;F、9.92%;N、7.23%、S、11.50%
(計算:C、46.72%;H、4.63%;F、10.08%;N、7.43%、S、11.34%)
質量スペクトル(m/e):566(M+1)
1H NMR(600MHz、CDCl3):δ1.16(d、3H)、1.24(d、3H)、1.61(m、1H)、2.60(m、1H)、3.21〜3.42(m、5H)、3.74(q、1H)、3.83(q、1H)、3.95(m、1H)、4.21(t、2H)、6.98(t、1H)、7.22(d、1H)、7.34(d、1H)、7.45(s、1H)
【0086】
実施例6
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−アミノスルホニル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物6)の調製
【化16】

【0087】
工程1
(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(N−tert−ブトキシカルボニル−アミノスルホニル)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンの調製
実施例1の工程5の調製方法に従って、実施例1の工程4で得られた5.5g(20mmol)の(2S,4S)−4−アセチルチオ−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−メタノール及び14.0g(32mmol)のN−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(N−tert−ブトキシカルボニル−アミノスルホニル)−ベンゼンスルホニルアミン(J&K Chemical社から購入)を使用して、6.4gの(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(N−tert−ブトキシカルボニル−アミノスルホニル)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを得た。収率は48.9%であった。
【0088】
工程2
p−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−アミノスルホニル]−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートの調製
実施例1の工程6の調製方法に従って、11.9g(20mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート及び前述の工程で得られた14.3g(22mmol)の(2S,4S)−4−チオール−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(N−tert−ブトキシカルボニル)−アミノスルホニル)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを使用して、11.7gの生成物を得た。収率は58.5%であった。
【0089】
工程3:化合物6の調製
実施例1の工程7の調製方法に従って、前述の工程で得られた10.0g(10mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−アミノスルホニル]−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを使用して、2.5gの目的の生成物を得た。収率は47.5%であった。
【0090】
分子式:C2128483
分子量:560.66
元素分析:C、44.78%;H、5.24%;N、9.71%;S、17.32%
(計算:C、44.99%;H、5.03%;N、9.99%;S、17.16%)
質量スペクトル(m/e):561(M+1)
1H NMR(600MHz、CDCl3):δ1.16(d、3H)、1.24(d、3H)、1.63(m、1H)、2.63(m、1H)、3.26〜3.44(m、5H)、3.77(q、1H)、3.84(q、1H)、3.97(m、1H)、4.20(t、2H)、7.79(t、1H)、7.85(d、1H)、8.07(d、1H)、8.18(s、1H)
【0091】
実施例7
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物7)の調製
【化17】

【0092】
工程1
(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンの調製
実施例1の工程5の調製方法に従って、実施例1の工程4で得られた5.5g(20mmol)の(2S,4S)−4−アセチルチオ−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−メタノール及び9.5g(30mmol)のN−(tert−ブトキシカルボニル)−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミン(J&K Chemical社から購入)を使用して、6.0gの(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを得た。収率は、56.1%であった。
【0093】
工程2
p−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)]−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートの調製
実施例1の工程6の調製方法に従って、11.9g(20mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート及び前述の工程で得られた11.7g(22mmol)の(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを使用して、11.5gの生成物を得た。収率は65.4%であった。
【0094】
工程3:化合物7の調製
実施例1の工程7の調製方法に従って、前述の工程で得られた8.8g(10mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを使用して、2.5gの目的の生成物を得た。収率は57.6%であった。
【0095】
分子式:C2331382
分子量:541.64
元素分析:C、50.78%;H、5.95%;N、7.56%;S、12.09%
(計算:C、51.00%;H、5.77%;N、7.76%;S、11.84%)
質量スペクトル(m/e):542(M+1)
1H NMR(600MHz、CDCl3):δ1.16(d、3H)、1.24(d、3H)、1.61(m、1H)、2.60(m、1H)、3.21〜3.42(m、5H)、3.55(s、6H)、3.74(q、1H)、3.83(q、1H)、3.95(m、1H)、4.21(t、2H)、6.76(t、1H)、7.12(d、1H)、7.24(s、1H)
【0096】
実施例8
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物8)の調製
【化18】

【0097】
工程1
(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンの調製
実施例1の工程5の調製方法に従って、実施例1の工程4で得られた5.5g(20mmol)の(2S,4S)−4−アセチルチオ−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−メタノール及び8.8g(30mmol)のN−(tert−ブトキシカルボニル)−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミン(Changzhou Mengda Fine Chemicals社から購入)を使用して、5.4gの(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを得た。収率は53.6%であった。
【0098】
工程2
p−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートの調製
実施例1の工程6の調製方法に従って、11.9g(20mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート及び前述の工程で得られた11.2g(22mmol)の(2S,4S)−4−チオール−N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを使用して、10.4gの生成物を得た。収率は60.8%であった。
【0099】
工程3:化合物8の調製
実施例1の工程7の調製方法に従って、前述の工程で得られた8.5g(10mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2− [N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを使用して、2.7gの目的の生成物を得た。収率は52.4%であった。
【0100】
分子式:C2126ClN362
分子量:516.03
元素分析:C、48.76%;H、5.29%;Cl、6.94%;N、7.89%;S、12.51%
(計算:C、48.88%;H、5.08%;Cl、6.87%;N、8.14%;S、12.43%)
質量スペクトル(m/e):517(M+1)
1H NMR(600MHz、CDCl3):δ1.16(d、3H)、1.24(d、3H)、1.63(m、1H)、2.62(m、1H)、3.21〜3.44(m、5H)、3.72(q、1H)、3.81(q、1H)、3.95(m、1H)、4.22(t、2H)、7.18(d、2H)、7.44(d、2H)
【0101】
実施例9
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−カルボキシ−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(化合物9)の調製
【化19】

【0102】
工程1
(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンの調製
実施例1の工程5の調製方法に従って、実施例1の工程4で得られた5.5g(20mmol)の(2S,4S)−4−アセチルチオ−1−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−メタノール及び11.8g(35mmol)のN−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミン(Shanghai Zhuorui Chemicals社から購入)を使用して、5.5gの(2S,4S)−4−チオール−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを得た。収率は49.5%であった。
【0103】
工程2
p−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2− [N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートの調製
実施例1の工程6の調製方法に従って、11.9g(20mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−ジフェノキシホスホリルオキシ−6− [(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート及び前述の工程で得られた12.1g(22mmol)の(2S,4S)−4−チオール−N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジンを使用して、10.5gの生成物を得た。収率は58.7%であった。
【0104】
工程3:化合物9の調製
実施例1の工程7の調製方法に従って、前述の工程で得られた9.0g(10mmol)のp−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−カルボキシ−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを使用して、2.5gの目的の生成物を得た。収率は46.3%であった。
【0105】
分子式:C2226ClN382
分子量:560.04
元素分析:C、46.97%;H、4.84%;Cl、6.41%;N、7.26%;S、11.59%
(計算:C、47.18%;H、4.68%;Cl、6.33%;N、7.50%;S、11.45%)
質量スペクトル(m/e):561(M+1)
1H NMR(600MHz、CDCl3):δ1.16(d、3H)、1.24(d、3H)、1.65(m、1H)、2.63(m、1H)、3.22〜3.45(m、5H)、3.71(q、1H)、3.84(q、1H)、3.96(m、1H)、4.23(t、2H)、7.32(d、1H)、8.11(d、1H)、8.27(d、1H)
【0106】
実施例10
ピバロイルオキシメチル(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート(つまり、化合物7のピバロイルオキシメチルエステル)の調製
【化20】

【0107】
実施例7で得られた2.7g(5mmol)の(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸を、35mLのN,N−ジメチルホルムアミドに添加した。得られた混合物を氷浴において0℃にまで冷却し、トリエチルアミン(1g)を添加した。反応混合物に1.3g(5.5mmol)のピバル酸ヨードメチルを添加し、1時間に亘って攪拌した。反応の完了後、反応混合物を水(150mL)と酢酸エチル(150mL)との混合物に注ぎ、重炭酸ナトリウムでpHを約7.0に調節した。得られた混合物を濾過し、有機層を分離し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶解し、得られたものにHClを含有するエーテル溶液を滴下した。生成された沈殿物を濾過により回収し、クロロホルムから再結晶化させると1.9gの生成物が白色の固形物として得られた。収率は57.2%であった。
【0108】
実施例11
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−クロロベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸ナトリウム(つまり、化合物8のナトリウム塩)の調製
【化21】

【0109】
実施例8で得られた5.2g(10mmol)の(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸を20mLの脱イオン水に溶解し、氷浴中にて0℃にまで冷却した。0.85gの粉末重炭酸ナトリウムを緩やかに添加し、得られた混合物を0℃にて2時間に亘って攪拌した。次に、得られたものを0.2μmの細孔濾過膜を通して濾過した。濾液を凍結乾燥させ、固形物を回収した。固形物を無水エタノールで十分に洗浄した。得られた固形物を周囲温度で24時間に亘って真空乾燥させると、4.1gのナトリウム塩生成物が得られた。収率は75.5%であった。
【0110】
本発明による配合物の調製例
配合物例1
本発明による化合物の注入用滅菌粉末の調製
1.配合
配合1

配合2

配合3

配合4

配合5

配合6

【0111】
2.調製手順
配合物の調製に使用するガラス瓶及びゴム栓等を殺菌した。上記の配合率に従って、原料(転換後に供給)及び補助材料を計量し、得られたものを、ガラス瓶に充填するその量を測定しながらラッキング装置で各瓶に詰めた。栓を瓶首に挿入し、蓋を加圧により取り付けた。完成品をくまなく検査し、次に包装し、倉庫に保存した。
【0112】
配合物例2
本発明による化合物の凍結乾燥粉末の調製
1.配合
配合1

配合2

【0113】
2.調製手順
前述の配合における主要薬剤と補助材料との混合物に、注射水の約40〜80%を加えて溶解させた。残りの注射水を補った。次に、得られたものを吸着させるために注射用活性炭を混合液の0.01〜0.1%の量で15〜30分に亘って添加した。得られたものを濾過して活性炭を除去し、細濾過した。半完成品が得られ、半完成品中の本発明の化合物の内容量を検査した。引き続いて、半完成品を凍結乾燥させた。凍結乾燥工程は、以下の通りである。半完成品を−35〜−45℃で2〜5時間に亘って予備凍結させ、温度を1時間あたり平均1〜2℃の割合で0℃にまで上昇させることにより低温真空乾燥を行い、得られたものを20〜40℃に急速に加熱することにより高温真空乾燥を行った。上記の乾燥過程における真空は、0.1mmHg未満となるように制御された。
【0114】
配合物例3
本発明の化合物の錠剤の調製
配合

配合2

【0115】
調製手順
本発明の化合物及び補助材料を上記の配合の割合に従って別々に計量し、以下の作業に供した。本発明の化合物を粉にし、篩(100メッシュ)にかけ、前述の配合における補助材料をそれぞれ篩(100メッシュ)にかけた。本発明の化合物、アルファ化デンプン(又はデンプン)及び微結晶性セルロース(又は低置換ヒドロキシプロピルセルロース)を均質に混合し、得られたものを混合・造粒機に供給した。次に、適量の1%HPMC水溶液(又は2%PVP(K30)水溶液)を得られたものに添加し、混合物を15分に亘って攪拌して顆粒を製造した。得られた顆粒を60℃未満の温度で乾燥させた。次に、乾燥させた顆粒に微粉化シリカゲル(及びステアリン酸マグネシウム)を添加し、次に篩にかけ、均質に混合することにより半完成品を得た。半完成品を検査するために試料の採取を実行した。打錠は、検査の結果に基づいて求められた錠剤重量に従って行われた。得られた完成品をくまなく検査し、次に包装し、倉庫に保存した。
【0116】
本発明の化合物の抗菌活性
試験対象の菌株:菌株は全て公共団体から購入する。
1.標準菌株
スタフィロコッカス・オウレウス(Staphylococcus aureus) ATCC25923、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)ATCC25922、スードモナス・アウレギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)ATCC27853
2.臨床的に単離された菌株
グラム陽性菌:メチシリン感受性スタフィロコッカス・オウレウス(MSSA)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・オウレウス(MRSA)、メチシリン感受性スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)(MSSE)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)(MRSE)、ペニシリン感受性ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae)(PSSP)、ペニシリン耐性ペニシリン感受性ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae)(PRSP)、ストレプトコッカス・パイロゲンス(Streptococcus pyogenes)及びE.ファエカリス(faecalis)
グラム陰性菌:エシェリキア・コリ、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、クレブシエラ・ニューモニア(Klebsiella pneumonia)、エンテロバクター・クロアセアエ(Enterobacter cloacae)、シトロバクター・フレウンディー(Citrobacter freundii)、ヘモフィラス・インフルエンザ(Hemophilus influenza)、イミペネム感受性スードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、イミペネム耐性スードモナス・アエルギノーサ及びセフタジジム耐性スードモナス・アエルギノーサ
【0117】
試験対象薬剤
本発明の化合物(本発明の実施例において調製された化合物)。その化学名、その構造式、調製材料及び調製方法は、化合物の調製例において提供される。
市販のメロペネム(注入用メロペネム)、イミペネム(注入用イミペネム)及びドリペネム(注入用ドリペネム)
【0118】
実験方法:Methodology of Pharmacological Experiment(XU Shuyunら。Peoples Medical Publishing House発行。第一版。1982年8月。第三版、第五刷、2002年1月。1659〜1660頁)の参照による寒天希釈法。
【0119】
実験結果及び結論
【表1】

【0120】
【表2】

【0121】
【表3】

【0122】
結論:表1〜3の試験結果は、メロペネム、ドリペネム及びイミペネムと比較すると、本発明の化合物が臨床的に単離されたグラム陽性菌及び/又はグラム陰性菌に対して良好な抗菌活性を有することを示した。これは、本発明の化合物が、グラム陽性菌、グラム陰性菌及び診療所におけるこれらの薬剤耐性菌に対して強力な抗菌効果を有することを意味した。従って、本発明の化合物は、PBPに対して極めて強力な親和性を有すると推測することができる。最も近い従来技術と比較すると、本発明の化合物はそれと同等又はそれより良好な抗菌活性を有し、また広範囲に亘る抗菌スペクトルを有する。本発明の化合物は、臨床的な応用において高い将来性を有する。
【0123】
本発明による化合物の薬物動態研究
SDラットの生体における本発明の化合物の薬物動態研究。
試験対象となる薬剤及びその調製
試験対象の薬剤:本発明の実施例において調製された化合物2、化合物4、化合物5、化合物6及び化合物8のナトリウム塩。
対照薬剤:市販のメロペネム(注入用メロペネム)、市販のドリペネム(注入用ドリペネム)
内部標準物質:ワルファリン。白色の粉末、純度99%、バッチ番号0072−8501、Shanghai Institute for Drug Controlから提供された。
薬剤の配合:生理食塩水に溶解させて、静脈内注射のために最終濃度を5mg/mLにし、投与前に配合した。
試験動物:オスのSDラット。重量:200〜250g。Shanghai Slac Laboratory Animal社から購入。
【0124】
動物実験
試験対象の薬剤の投与:オスのSDラットを無作為に5つのグループ(各グループに3匹)に分割し、静脈内注射により10mg/kgを投与した。投与前に計量した。
試料の回収:投与前をゼロ時とした。眼窩静脈叢から0.5mLの血液をヘパリン化遠心分離管に投与から5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間後にそれぞれ採取した。試料を8000rpmで6分に亘って遠心分離することにより上澄み血漿を分離した。LC−MS/MS分析のために血漿を−20℃で凍結した。
【0125】
血漿試料におけるLC−MS/MS方法論の確立
クロマトグラフィ条件:クロマトグラフィカラム:Gemini C6−フェニル(50mmx4.6mm、5μm)、移動相:0.1%のギ酸−水−アセトニトリル(5:35:60、v/v/v)、流量:1mL/分、カラム温度:35〜40℃、注入量:5μL、分割比:1/5
質量分析計条件:走査パターン:カチオン多重反応モニタリング(MRM)、イオン源:エレクトロスプレーイオン化(ESI)、噴霧器ガス:8L/分、カーテンガス:8L/分、衝突ガス:4L/分、イオンスプレー電圧:4500v、温度:400℃/500℃
検量線及び品質管理試料の調製:適量の試験対象薬剤を精確に計量し、次に超純水を使用して原液(2.60mg/mL)を処方した。原液をメタノールで希釈することにより、一連の使用液(working solution)を濃度25000、5000、2500、500、250及び50ng/mLでそれぞれ得た。100μLの血漿試料をそれぞれ取り出し、前述の使用液20μLを添加して濃度5000、1000、500、100、50及び10ng/mLの較正液を得た。同じ方法で、濃度4000、800及び20ng/Lの品質管理試料溶液を調製することができる。検量線を、試料のクロマトグラフィ分析により得た。
試料の取り扱い方法:20μLのアセトニトリル及びアセトニトリル中の200μLのワルファリンの溶液(200ng/mL)を100μLの血漿試料に添加し、次に1分間に亘って回転させ、また15000rpmで5分間に亘って遠心分離を行った。100μLの上澄みを採り、3μLの上澄みをLC/MS/MS試料分析に使用した。
【0126】
結果及び考察
投与濃度:HPLCを使用して配合された薬剤の測定が行われ、検量線と比較することにより、静脈内注射により投与された薬剤溶液の濃度の精度は103.2%であると判明した。
データ分析:検出限界(10ng/mL)未満の場合、血漿中の薬剤濃度はゼロとみなされる。薬物動態パラメータは、Winnonlin Professional 5.2薬物動態学ソフトウェアを使用して、ノンコンパートメントモデルにより計算された。
薬物動態:薬物動態パラメータ及び薬剤・時間曲線は、異なる時点での血漿中の薬剤濃度を測定することにより得られた。血漿中の試験化合物の半減期(t1/2)を以下の表にまとめた。表において、ラット実験(静脈内注射)における本発明の化合物の血漿中での半減期は、メロペネムの半減期より明らかに長かった。
【0127】
【表4】

【0128】
上記の結果から見て取れるように、本発明の化合物は、より長い半減期及びメロペネム又はドリペネムと同等の抗菌活性を有することによって特徴づけられる。本発明の化合物の半減期は、メロペネム又はドリペネムの半減期より2〜3倍長い。当業者に周知であるように、カルバペネムは時間依存性の抗生物質である。より長い半減期とは、生体における有効血漿薬物濃度の期間が長くなることを示し、また細菌の増殖の阻害及び滅菌にとってより好適であり、つまり効力がより高い。従って、抗菌活性の評価において、半減期は非常に重要な要素である。本発明の化合物は、メロペネム又はドリペネムと比較すると著しく長い半減期を有することから、本発明の化合物は、より長い後抗生物質効果及びより長続きする抗菌効果を有する。また、薬剤の投与回数を減らすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

(式中、R1は、カルボキシ、−COOR6又は加水分解性エステルを表し、R6はカルボキシ保護基を表し、
2及びR3は、それぞれ独立して水素、アミノ保護基又は加水分解性エステルを表し、
4は、水素、低級アルキル又はカルボキシを表し、
フェニル環は、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、アミノスルホニル、低級アルキルアミノスルホニル、カルバモイル、スルホン酸基、低級アルキルアミノ及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1〜2個の置換基により更に置換され、低級アルキル及び低級アルキルを含む低級アルキル構造部分は、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、アミド、アミノスルホニル、カルボキシ及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1個以上の置換基により置換され、
5は、水素又は低級アルキルを表す)の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前記エステル若しくは塩の水和物。
【請求項2】
一般式(I)の化合物は、一般式(I´):
【化2】

(式中、R1は、カルボキシ、−COOR6又は加水分解性エステルを表し、R6はカルボキシ保護基を表し、
2は及びR3は、それぞれ独立して水素、アミノ保護基又は加水分解性エステルを表し、
4は、水素、低級アルキル又はカルボキシを表し、
フェニル環は、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、アミノスルホニル、低級アルキルアミノスルホニル、カルバモイル、スルホン酸基、低級アルキルアミノ及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1〜2個の置換基により更に置換され、低級アルキル及び低級アルキルを含む低級アルキル構造部分は、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、アミド、アミノスルホニル、カルボキシ及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1個以上の置換基により置換され、
5は、水素又は低級アルキルを表す)を有する、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前記エステル若しくは塩の水和物。
【請求項3】
1は、カルボキシ、−COOR6又は加水分解性エステルを表し、R6は、メチル、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンゾキシメチル、ベンゾイルメチル、エチル、tert−ブチル、アリル、ベンジル、p−ニトロベンジル、p−メトキシベンジル及びジフェニルメチルから成る群から選択されるカルボキシ保護基を表し、前記加水分解性エステルは、アルキルアシルオキシアルキルエステル、アルコキシアシルオキシアルキルエステル、シクロアルキルアシルオキシアルキルエステル、シクロアルコキシアシルオキシアルキルエステル及び(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソル−4−イル)メチルエステルから成る群から選択され、
2及びR3は、それぞれ独立して水素、アミノ保護基又は加水分解性エステルを表し、前記アミノ保護基は、メチル、エチル、tert−ブチル、ベンジル、ホルミル、アセチル、tert−ブトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、ジアゾ、ベンゾイルメチル及び3−アセトキシプロピルから成る群から選択され、前記加水分解性エステルは、アルキルアシルオキシアルキルエステル、アルコキシアシルオキシアルキルエステル、シクロアルキルアシルオキシアルキルエステル、シクロアルコキシアシルオキシアルキルエステル及び(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソル−4−イル)メチルエステルから成る群から選択され、
4は、水素、メチル又はカルボキシを表し、
フェニル環は、任意に、フッ素、塩素、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、カルバモイル、スルホン酸基及びメチルアミノから成る群から選択される1〜2個の置換基により更に置換され、
5は、水素又はメチルを表す、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前記エステル若しくは塩の水和物。
【請求項4】
1はカルボキシを表し、
2及びR3は、それぞれ独立して水素を表し、
4は、水素、メチル又はカルボキシを表し、
フェニル環は、任意に、フッ素、塩素、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、シアノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、カルバモイル及びメチルアミノから成る群から選択される1〜2個の置換基により更に置換され、
5は、水素又はメチルを表す、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前記エステル若しくは塩の水和物。
【請求項5】
1はカルボキシを表し、
2及びR3は、それぞれ独立して水素を表し、
4は、水素、メチル又はカルボキシを表し、
フェニル環は、任意に、フッ素、塩素、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、カルバモイル及びメチルアミノから成る群から選択される1〜2個の置換基により更に置換され、
5はメチルを表す、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前記エステル若しくは塩の水和物。
【請求項6】
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−メチル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−カルボキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−(トリフルオロメトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−アミノスルホニル−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸及び
(4R,5S,6S)−3−[(2S,4S)−2−[3−カルボキシ−4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ]メチレン−ピロリジン−4−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキシ−1−アザジシクロ−[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前記エステル若しくは塩の水和物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前記エステル若しくは塩の水和物を、1種以上の薬学的に許容可能な担体及び/又は希釈剤と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項8】
薬学的に許容可能ないずれの剤形である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その加水分解性エステル、その異性体、その水和物又は前記エステル若しくは塩の水和物の、感染症を治療及び/又は予防するための薬物の製造における使用。
【請求項10】
一般式(I)の化合物を調製するための方法であって、一般式(II)の化合物又はその塩/エステル/異性体と一般式(III)の化合物との求核置換反応を実行することを含むことを特徴とする方法。
【化3】

(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、請求項1において定義されたとおりであり、式(II)中のフェニル環は、請求項1において定義されたように置換基により更に置換されてもよく、Lは脱離基を表す)
【請求項11】
式(II):
【化4】

(式中、R2、R3及びR4は、請求項1において定義されたとおりであり、式(II)中のフェニル環は、請求項1において定義されたように置換基により更に置換されてもよい)の化合物、その塩、その加水分解性エステル又はその異性体。

【公表番号】特表2010−536888(P2010−536888A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522167(P2010−522167)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001532
【国際公開番号】WO2009/030107
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(509350077)山東軒竹醫藥科技有限公司 (2)
【Fターム(参考)】