説明

ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂

【課題】液状ゴムとの相溶性に優れる、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂。
一般式(1):
【化1】


(式(1)中、Arは二官能性フェノールの残基である4価の芳香族有機基を、Rは炭素数6〜30の芳香族ジアミンの残基である芳香族有機基を、Rは炭素数1〜30の脂肪族ジアミンの残基である脂肪族有機基を、m及びnは、それぞれ独立して1〜200の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂に関する。具体的には、本発明は、液状ゴムとの相溶性に優れる、ベンゾキサジン環構造を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾオキサジン化合物とは、例えば、Scheme 1に示すようなオキサジン環がベンゼン環に隣接した構造を持つ化合物である。ベンゾオキサジン化合物が熱による開環重合を起こすことにより、ポリベンゾオキサジンが生成する。Scheme 1には、フェノール、アニリン及びホルムアルデヒドから合成されるベンゾオキサジン化合物が例示されている。
Scheme 1
【化1】

【0003】
分子構造中にベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、(1)重合に際して触媒が不要である、(2)硬化過程で揮発物を発生しない、(3)原料は安価なフェノール類、アルデヒド類及びアミン類であり、分子設計の自由度が大きい、という特長を有している。
また、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、耐熱性や難燃性はもちろん、寸法安定性、電気絶縁性及び低吸水性等、他の熱硬化性樹脂には見られない優れた特性を有するため、積層板や半導体封止材等のエレクトロニクス材料及び摩擦材や砥石等の結合材として注目されている。
【0004】
特許文献1及び非特許文献1−3には、ベンゾオキサジン化合物が開示されているものの、該ベンゾオキサジン化合物単独の場合、硬化フィルム等の最終製品において、5%重量減少温度やガラス転移温度等を指標とした耐熱性が十分ではなく、また、その硬化フィルム等の最終製品が脆弱であるといった欠点を有している。
【0005】
そこで、ベンゾオキサジン化合物を硬化することで得られる、フィルム等の最終製品の耐熱性や靭性を改善するために、様々な取り組みが行われている。
【0006】
特許文献2及び非特許文献4−6には、ビスフェノール類と、直鎖脂肪族ジアミン類又は芳香族ジアミン類と、及びアルデヒド類と、を反応させ、プレポリマータイプのベンゾオキサジン化合物、すなわち、繰り返し単位中にベンゾオキサジン環を有する構造の熱硬化性樹脂が開示されている。
【0007】
また、特許文献3及び非特許文献7には、硬化後フィルムの靭性を改善するために、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂と液状ゴムやエラストマーとの混合物との組成物とすることが開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2000−154225号公報
【特許文献2】特開2003−64180号公報
【特許文献3】特許第3612824号
【非特許文献1】曙ブレーキ中研、青柳佳宏、栗原生、Polymer Preprints,Japan Vol.57, No.1(2008),p.1481,2Pa143
【非特許文献2】大阪市工研、木村肇、松本明博、大塚恵子、Polymer Preprints,Japan Vol.57, No.1(2008),p.1468,2Pb130
【非特許文献3】小西化学工業株式会社ホームページ,http://www.konishi−chem.co.jp/technology/oxazin.html,[on line](検索日:2008.8.1)
【非特許文献4】Andrey Chernykh, Jinping Liu, Hatsuo Ishida, Polymer Vol.47,p.7664−7669, 2006
【非特許文献5】Tsutomu Takeichi, Takuya Kano, Tarek Agag, Polymer Vol.46,p.12172−12180, 2005
【非特許文献6】豊橋技科大工,村井勇太、河内岳大、竹市力、佐世保高専古川信之,Polymer Preprints,Japan Vol.57, No.1(2008),p.1480,2Pb142
【非特許文献7】豊橋技科大工,勝田盛三朗、SUWITANINGSIH DWI NGESTI、河内岳大、竹市力,Polymer Preprints,Japan Vol.57, No.1(2008),p.1478,2Pb140
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2及び非特許文献4−6に開示された、ビスフェノール類、直鎖脂肪族ジアミン類及びアルデヒド類から合成した、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を硬化させることで得られるフィルム等の最終製品は、靭性が向上するものの、より高い5%重量減少温度やより高いガラス転移温度を有する耐熱性に優れる熱硬化性樹脂が望まれている。また、ビスフェノール類、芳香族ジアミン類、アルデヒド類から合成した、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を硬化させることで得られる、フィルム等の最終製品は、5%重量減少温度やガラス転移温度等の耐熱性には優れているものの、より靱性の高いフィルムを得ることのできる熱硬化性樹脂が望まれている。
【0010】
そこで、耐熱性に優れる、ビスフェノール類、芳香族ジアミン類、アルデヒド類から合成した、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を硬化させることで得られるフィルム等の最終製品に、さらに靭性を付与しようと考え、液状ゴムとの組成物を作成しようと試みた。芳香族ジアミンを原料とするベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂と液状ゴムを共溶媒によって共に溶解した溶液(以下、塗工液)を調製後、塗工、乾燥、熱処理することで硬化フィルムを作製しようと試みた。
しかしながら、ビスフェノール類、芳香族ジアミン類、アルデヒド類から合成した、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂と液状ゴムの相溶性が悪く、均一(透明又は半透明)な塗工液を得ることができなかった。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、液状ゴムとの相溶性に優れており、透明又は半透明な塗工液を得ることができる、新規なベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、新規なベンゾキサジン環構造を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂が、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、以下のベンゾキサジン環構造を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂組成物、シート状形成体、樹脂フィルム及びプリント基板を提供する。
[1]
下記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂。
一般式(1):
【化1】


(式(1)中、Arは二官能性フェノールの残基である4価の芳香族有機基を、Rは炭素数6〜30の芳香族ジアミンの残基である芳香族有機基を、Rは炭素数1〜30の脂肪族ジアミンの残基である脂肪族有機基を、m及びnは、それぞれ独立して1〜200の整数を示す。)
[2]
m:nが、10:90〜90:10である、[1]に記載の熱硬化性樹脂。
[3]
前記Arが、下記一般式(3)、(4)及び/又は(5)で示される基である、[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂。
【化2】


(上記一般式(3)、(4)及び(5)において、*はオキサジン環1位の酸素原子への結合部位を示し、**はオキサジン環4位の炭素原子への結合部位を示す。上記一般式(3)におけるXは、直接結合手(原子若しくは原子団が存在しない)、又はヘテロ元素若しくは官能基を含んでいてもよい、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基又は芳香環基を示す。)
[4]
前記Rが、下記一般式(6)、(7)及び/又は(8)で示される基である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
【化3】


(上記一般式(6)、(7)及び(8)において、*は窒素原子への結合部位を示す。上記一般式(6)におけるYは、直接結合手(原子若しくは原子団が存在しない)、又はヘテロ元素若しくは官能基を含んでいてもよい、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基又は芳香環基を示す。)
[5]
前記Rが、炭素数1〜20の直鎖脂肪族炭化水素基である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
[6]
二官能フェノール、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン及びホルムアルデヒドを反応させて得られる、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
[7]
単官能フェノールをさらに添加して反応させて得られる、[6]に記載の熱硬化性樹脂。
[8]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂と、液状ゴムとを含む熱硬化性樹脂組成物。
[9]
液状ゴム質量/(熱硬化性樹脂質量+液状ゴム質量)が5〜50質量%である、[8]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[10]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、又は[8]若しくは[9]に記載の熱硬化性樹脂組成物からなるシート状形成体。
[11]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、[8]若しくは[9]に記載の熱硬化性樹脂組成物、又は[10]に記載のシート状形成体からなる樹脂フィルム。
[12]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、[8]若しくは[9]に記載の熱硬化性樹脂組成物、[10]に記載のシート状形成体、又は[11]に記載の樹脂フィルムからなるプリント基板。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、液状ゴムとの相溶性に優れ、また、均一な塗工液とすることのできる、新規なベンゾキサジン環構造を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂を提供することができる。また、該熱硬化性樹脂を用いて硬化させることにより、耐熱性及び靭性に優れる、フィルム等の最終製品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本発明を実施するための最良の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0016】
本発明のベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂(以下、単に「熱硬化性樹脂」と記載する場合がある。)は、下記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂である。
一般式(1):
【化4】


(式(1)中、Arは二官能フェノールの残基である4価の芳香族有機基を、Rは炭素数6〜30の芳香族ジアミンの残基である芳香族有機基を、Rは炭素数1〜30の脂肪族ジアミンの残基である脂肪族有機基を、m及びnは、それぞれ独立して1〜200の整数を示す。)
本発明において、上記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂は、液状ゴムとの相溶性に優れる熱硬化性樹脂である。
【0017】
本発明において、「ベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂」とは、プレポリマータイプのベンゾオキサジン化合物、すなわち、繰り返し単位中にベンゾオキサジン環構造を有する熱硬化性樹脂であることを意味する。
本発明において、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂としては、主鎖中にベンゾオキサジン環構造を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂であってもよく、主鎖から分岐した側鎖中にベンゾオキサジン環構造を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂であってもよい。
【0018】
本発明において、上記一般式(1)におけるArとして、二官能フェノールの残基である4価の芳香族基であれば、特に限定されないが、例えば、下記一般式(3)、(4)及び/又は(5)で示される基が挙げられる。Arとして、下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される少なくとも一種で示される基が挙げられ、一種のみの下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基であってもよく、二種以上の下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基であってもよい。
本発明の熱硬化性樹脂としては、上記一般式(1)における2つのArの一方が、Arとして表されるベンゾキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂であってもよい。Arは、Arと同様に二官能フェノールの残基である4価の芳香族有機基である。
この場合、ArとArとは同一の二官能フェノールの残基である4価の芳香族基であってもよく、異なった二官能フェノールの残基である4価の芳香族基であってもよい。
【化5】

【0019】
上記一般式(3)、(4)及び(5)において、*はオキサジン環1位の酸素原子への結合部位を示し、**はオキサジン環4位の炭素原子への結合部位を示す。
上記一般式(3)、(4)及び(5)における各芳香環の水素は、例えば、炭素数1〜10の直鎖、分岐若しくは環状の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは無置換のフェニル基で置換されていてもよい。
【0020】
上記一般式(3)におけるXは、直接結合手(原子若しくは原子団が存在しない)、又はヘテロ元素若しくは官能基を含んでいてもよい、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基又は芳香環基を示す。
【0021】
上記一般式(3)におけるXの結合位置は、オキサジン環1位の酸素への結合部位に対してオルト位、メタ位及びパラ位であり、メタ位及びパラ位であることが好ましい。
Xの結合位置は、左右のベンゼン環に対して、同一の、例えば、パラ位−パラ位であってもよく、例えば、一方がパラ位で、他方がメタ位というように異なった位置であってもよい。
【0022】
上記一般式(4)において、*と**の結合部位は、隣接する炭素原子に結合して、片方の*と**の組み合わせは1,2位、2,3位及び3,4位であり、もう一方の*と**の組み合わせは5,6位、6,7位、7,8位である。
*と**の結合部位は、2,3位及び6,7位であることが好ましい。
上記一般式(4)において、例えば、*の結合部位が1位の場合には、**の結合部位は、2位であり、*の結合部位が2位の場合には、**の結合部位は、1位又は3位であることができる。
【0023】
上記一般式(5)において、*と**の結合部位は、隣接する炭素原子に結合して、片方の*と**の組み合わせが1,2位である場合、もう一方の*と**の組み合わせが結合しうる部位は3,4位、4,5位、5,6位である。
片方の*と**の組み合わせの*が1位であり、**2位である場合、もう一方の*の結合部位としては、3位、4位、5位、6位があり得、例えば、もう一方の*の結合部位が3位である場合には、もう一方の**の結合部位は4位であり、もう一方の*の結合部位が4位である場合には、もう一方の**の結合部位は3位又は5位であり得る。
【0024】
上記一般式(3)におけるXとして、例えば、下記群Aから選択される少なくとも一つで示される基が挙げられる。
群A:
【化6】


上記群A中、*はベンゼン環への結合部位を示す。
【0025】
本発明において、上記一般式(1)におけるRとして、炭素数6〜30の芳香族ジアミンの残基である芳香族有機基であれば、特に限定されないが、例えば、下記一般式(6)、(7)及び/又は(8)で示される基が挙げられる。Rとして、下記一般式(6)、(7)及び(8)で示される基から選択される少なくとも一種で示される基が挙げられ、一種のみの下記一般式(6)、(7)及び(8)で示される基であってもよく、二種以上の下記一般式(6)、(7)及び(8)で示される基であってもよい。
【化7】

【0026】
上記一般式(6)、(7)及び(8)において、*は窒素原子への結合部位を示す。
上記一般式(6)、(7)及び(8)における各芳香環の水素は、例えば、炭素数1〜10の直鎖、分岐若しくは環状の脂肪族炭化水素基又は置換若しくは無置換フェニル基で置換されていてもよい。
【0027】
上記一般式(6)におけるYは、直接結合手(原子若しくは原子団が存在しない)、又はヘテロ元素若しくは官能基を含んでいてもよい、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基又は芳香環基を示す。
【0028】
上記一般式(6)におけるYの結合位置は、窒素原子への結合部位に対してオルト位、メタ位及びパラ位であり、メタ位及びパラ位であることが好ましい。
Yの結合位置は、左右のベンゼン環に対して、同一の、例えば、パラ位−パラ位であってもよく、例えば、一方がパラ位で、他方がメタ位というように異なった位置であってもよい。
【0029】
上記一般式(7)において、*の結合部位は、(1位、2位、3位、4位)と(5位、6位、7位、8位)の組み合わせであれば特に限定されるものではない。
【0030】
上記一般式(8)において、可変の*の結合部位は、オルト位、メタ位又はパラ位である。
【0031】
上記一般式(6)におけるYとして、例えば、下記群Bから選択される少なくとも一種で示される基が挙げられる。
群B:
【化8】


上記群B中、*はベンゼン環への結合部位を示す。
【0032】
本発明において、上記一般式(1)におけるRとして、炭素数1〜20の脂肪族ジアミンの残基である脂肪族有機基であれば、特に限定されない。
としては、例えば、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基及び炭素数1〜20の直鎖脂肪族炭化水素基が挙げられる。
【0033】
が脂環式炭化水素基である場合、Rとしては、例えば、下記群Cから選択される少なくとも一種で示される基が挙げられる。
群C:
【化9】


上記群C中、*はオキサジン環3位の窒素原子への結合部位を示す。
群C中、*が結合するメチレン基は、シス結合であってもよく、トランス結合であってもよい。また、シス及びトランス結合が混合して結合していてもよい。
【0034】
が直鎖脂肪族炭化水素基である場合、Rとしては、例えば、下記群Dから選択される少なくとも一種で示される基が挙げられる。
群D:
【化10】


上記群C中、*はオキサジン環3位の窒素原子への結合部位を示す。
【0035】
本発明の熱硬化性樹脂としては、下記一般式(1’)で示される熱硬化性樹脂であることが好ましい。
一般式(1’):
【化11】


(上記一般式(1’)中、Ar、R、R、m及びnついては、上記一般式(1)におけるAr、R、R、m及びnと同様であり、lは1〜700の整数である。)
【0036】
本発明の熱硬化性樹脂としては、下記一般式(1’’)で示される熱硬化性樹脂であることが好ましい。
一般式(1’’):
【化12】


(上記一般式(1’’)中、Ar、R、R、m及びnついては、上記一般式(1)におけるAr、R、R、m及びnと同様であり、lは1〜700の整数である。)
上記一般式(1’’)におけるEが、例えば、下記群Eから選択される少なくとも一種で示される基が挙げられる。
群E:
【化13】


(*は窒素原子への結合部位を示す。)
上記一般式(1’’)におけるFが、例えば、下記群Fから選択される少なくとも一種で示される基が挙げられる。
群F:
【化14】


(*はRへの結合部位を示す。)
【0037】
本発明の熱硬化性樹脂は、二官能フェノール、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン及びホルムアルデヒドを反応させて得ることのできる上記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂である。
本発明の熱硬化性樹脂は、上記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環を有する共重合体を含有する。本発明における共重合体において、ベンゾオキサジン環構造は、主鎖中にあってもよく、側鎖中にあってもよい。上記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体は、二官能フェノール、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン及びホルムアルデヒドを反応させて得ることのできる共重合体である。
【0038】
本発明において用いられる二官能フェノールとしては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(9)、(10)及び/又は(11)で示されるフェノール化合物が挙げられる。
【化15】


上記一般式(9)におけるXは、上記一般式(3)におけるXと同様である。
【0039】
二官能フェノールとしては、例えば、4,4’-ジヒドロキシジフェニル-2,2-プロパン(ビスフェノールA)、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール(ビスフェノールM)、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール(ビスフェノールP)、4,4’-メチレンジフェノール(ビスフェノールF)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、4,4’-ビフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン,1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン,2,7−ジヒドロキシナフタレン,1,4-ベンゼンジオール(ヒドロキノン),1,3−ベンゼンジオール(レゾルシノール)、及び1,2−ベンゼンジオール(カテコール)等が挙げられる。
これらの二官能フェノールは、単独で用いても2種類以上を併用して用いてもよい。
【0040】
本発明において用いられる芳香族ジアミンとしては、下記一般式(12)で示されるジアミン化合物である。
一般式(12):
【化16】


上記一般式(12)におけるRは、上記一般式(1)におけるRと同様である。
【0041】
芳香族ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(13)、(14)及び/又は(15)で示されるジアミン化合物が挙げられる。
【化17】


上記一般式(13)におけるYは、上記一般式(6)におけYと同様である。
【0042】
芳香族ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、1,4−ジアミノベンゼン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンジ−o−トルイジン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化工業株式会社製、製品名 BAPP)、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンM)、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンP)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。
これらの芳香族ジアミン化合物は、単独で用いても2種類以上を併用して用いてもよい。
【0043】
本発明において用いられる脂肪族ジアミンとしては、下記一般式(16)で示されるジアミン化合物である。
一般式(16):
【化18】


上記一般式(16)におけるRは、上記一般式(1)におけるRと同様である。
【0044】
脂肪族ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、下記群G及び群Hで示されるジアミン化合物が挙げられる。
群G:
【化19】


群H:
【化20】

【0045】
脂肪族ジアミンとしては、例えば、3(4),8(9),−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン(オクセア社製 製品名 TCDジアミン)、2,5(6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,18−ジアミノオクタデカン等が挙げられる。
これらの脂肪族ジアミンは、単独で用いても2種類以上を併用しても用いてもよい。
【0046】
本発明において、芳香族ジアミン及び脂肪族ジアミン(以下、両者を総称して単に「ジアミン」と記載する場合がある。)の合計の使用量は、二官能フェノール 1.00molに対して、0.90〜1.20molであることが好ましい。
ジアミンの使用量が1.20molを超えると、反応溶液がゲル化する傾向にある。ジアミンの使用量が0.90mol未満であると、未反応の二官能フェノール化合物類が残存する傾向にある。
【0047】
本発明において、脂肪族ジアミンの使用量は、全ジアミンのうち、10〜90mol%であることが好ましい。
脂肪族ジアミンの使用量が全ジアミンの90mol%を超えると、反応溶液がゲル化する傾向にあり、脂肪族ジアミンの使用量が10mol%未満であると、液状ゴムとの相溶性が発現しにくくなる傾向にある。
脂肪族ジアミンの使用量が、全ジアミンのうち、10〜90mol%であることにより、熱硬化性樹脂においてm:nが、10:90〜90:10の範囲となる。
【0048】
本発明において用いられるホルムアルデヒドとしては、その重合体であるパラホルムアルデヒドや、水溶液の形であるホルマリン等の形態で使用することが可能である。
ホルムアルデヒドと、アセトアルデヒド等の他のアルデヒドと、を併用して用いることもできる。
【0049】
本発明において、熱硬化性樹脂を製造する場合に、ホルムアルデヒドの使用量は、二官能フェノール 1molに対して、4.0〜6.5molであることが好ましい。
ホルムアルデヒドの使用量が6.5molを超えると、残存するホルムアルデヒドによって、人体及び環境に与える負荷が多大となる傾向にある。ホルムアルデヒドの使用量が4.0mol未満であると、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂が高分子量化しにくくなる傾向にある。
【0050】
本発明においては、二官能フェノールと共に単官能フェノールを使用してもよい。単官能フェノールを二官能フェノールと併用する場合、反応性末端がベンゾオキサジン環で封止された重合体が生成することになる。その結果、合成反応中の分子量の制御が可能であり、反応溶液のゲル化を防ぐことができる。また、反応性末端の封止は、得られたベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の保存安定性も向上させ、不溶化を防止することができる。
本発明において、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の不溶化とは、反応溶媒や、塗工液を調整する際に用いられる溶媒に対するベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の溶解性が0.01質量%以下であることを意味する。
【0051】
本発明において、熱硬化性樹脂を製造する場合に、単官能フェノールの使用量は、二官能フェノール 1.00molに対して、0.50mol以下であることが好ましい。
単官能フェノールの使用量が0.50molを超えると、合成反応中にベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の分子量が伸びにくくなり、また、多量の単官能フェノールが残存する傾向がある。残存した単官能フェノールはベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の開環反応に対して酸触媒として作用するため、塗工液とした場合に保存安定性が低下し、ゲル化につながるおそれがある。
【0052】
単官能フェノールとしては、特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、ドデシルフェノール、o−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、m−エトキシフェノール、p−エトキシフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール等が挙げられる。中でも、汎用性、コストの面からフェノールが好ましい。
これらの単官能フェノールは、単独で用いても2種類以上を併用して用いてもよい。
【0053】
本発明において、熱硬化性樹脂を製造する場合に用いられる反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、プソイドキュメン及びメシチレン等の芳香族系の非極性溶媒、並びにクロロホルム及びジクロロメタン等のハロゲン溶媒等が挙げられる。中でも、環境及び人体への負荷が小さく、かつ、汎用性が高く安価であるため、トルエン、キシレンが好ましく、トルエンがより好ましい。上記溶媒は、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
【0054】
反応溶媒として芳香族系の非極性溶媒を用いる場合は、アルコール類を非極性溶媒と併用しても用いてもよい。
アルコール類としては、特に限定されないが、芳香族系の非極性溶媒よりも沸点が低いアルコールを用いることが好ましい。このようなアルコールとしては、例えば、炭素数が4以下のアルコールが挙げられ、中でも、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール等が好ましい。これらアルコールは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
【0055】
本発明において、アルコールは、その溶媒和作用により、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の合成反応の急激な進行を抑制する作用を有している。従って、上記芳香族系の非極性溶媒にアルコールを混合させることで、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の合成反応が急激に進行することによる反応溶液のゲル化及び合成物であるベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の不溶化の可能性を低減することができる。
【0056】
本発明において、芳香族系の非極性溶媒とアルコールの混合溶媒を使用する場合、混合溶媒中のアルコールの割合は、特に限定されないが、混合溶媒全体に対して、40体積%以下が好ましい。
アルコールの割合が40体積%を超えると、アルコールによる溶媒和作用の影響が大きくなりすぎるため、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の合成反応に長時間を要することとなり、合成効率が低下するおそれがある。
【0057】
本発明において、合成反応溶媒量は、二官能フェノール基準で、モル濃度が0.1mol/L〜1.2mol/Lとなる量であることが好ましい。二官能フェノールのモル濃度が0.1mol/L未満であると、溶媒量に対する原料濃度が低く、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の合成反応が遅くなり、合成効率が低下するおそれがある。二官能フェノールのモル濃度が1.2mol/Lを超えると、合成反応時に、反応溶液のゲル化及び合成物であるベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の不溶化のリスクが高まるおそれがある。
【0058】
本発明においては、合成時に加温処理を行う。その方法としては、特に限定されず、例えば、油浴等の温度調節器を用いて、所定の温度まで上昇させた後に、その温度で一定に保つことにより行われる。加温処理の際の所定の温度とは、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の合成反応の効率化が図られる温度であれば、特に限定されないが、反応溶液温度が50℃〜130℃となるように調節することが好ましい。
反応溶液温度が50℃未満では、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の合成反応が遅くなり、合成効率が低下するおそれがある。反応溶液温度が130℃を越えると、熱硬化性樹脂の合成反応時に、反応溶液のゲル化及び合成物であるベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の不溶化のリスクが高まるおそれがある。
【0059】
反応中、反応溶媒は還流させてもよい。熱硬化性樹脂を製造する反応においては、反応系中に水が生成する。その水は、アルコール類と同様に、溶媒和作用により、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の合成反応の進行を抑制する作用を有している。水と共沸する溶媒を合成溶媒として使用した際は、反応を効率よく進行させるため、反応中に生成する水を共沸により系外へ留去してもよい。その場合、例えば、コック付きの等圧滴下ロート、ジムロート冷却器、ディーン・スターク装置等を用いることで、反応中に生成する水を留去することができる。
【0060】
加温処理の継続時間は、特に制限されないが、加温開始後1時間〜10時間程度加温を継続させるのが好ましい。加温処理の継続時間が1時間未満では、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の合成反応の進行が不十分であり、合成収率が低下するおそれがある。加温処理の継続時間が10時間を越えると、反応溶液のゲル化及び合成物であるベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の不溶化のリスクが高まるおそれがある。
【0061】
加温終了後は、反応媒体を、油浴等の温度調節器の接触から開放して放冷してもよいし、あるいは冷媒等を用いて冷却してもよい。冷却後、反応溶液からベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂合成物を取り出す方法は特に限定されないが、例えば、貧溶媒再沈法、濃縮固化法(溶媒減圧留去)、スプレードライ法等が挙げられる。
【0062】
本発明において、熱硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2000〜500000であることが好ましい。
Mwが2000未満であると、その後の開環反応により得られる最終製品の耐熱性、可撓性が低下する傾向がある。Mwが500000を超えると、ベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂の不溶化につながるおそれがある。
本発明において、Mwは以下の実施例に示す方法により測定することができる。
【0063】
本発明において、熱硬化性樹脂の重合形態は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれの形態であってもよい。
【0064】
本発明の熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂を含有する塗工液などの熱硬化性樹脂組成物として得ることもできる。
熱硬化性樹脂組成物に対して、熱硬化性樹脂は30質量%〜100質量%であることが好ましい。
【0065】
本発明において、塗工液を調製する際の溶媒としては、熱硬化性樹脂が溶解するものであれば、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、プソイドキュメン及びメシチレン等の芳香族系非極性溶媒、クロロホルム及びジクロロメタン等のハロゲン溶媒、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル溶媒、並びにN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等が挙げられる。中でも、環境及び人体への負荷が小さく、かつ、汎用性が高く安価であるため、トルエン及びキシレンが好ましく、トルエンがより好ましい。上記溶媒は、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
【0066】
本発明において熱硬化性樹脂組成物として、熱硬化性樹脂と、前記溶媒及び/又は液状ゴムと、を含有していてもよい。
本発明において、液状ゴムとは、1種以上の単量体化合物が重合したポリマー化合物のうち、常温で流動性があり、有機溶媒に可溶で、Mw500〜20000のものであれば、特に限定されない。
単量体化合物としては、ブタジエン、イソプレン及びアクリロニトリル等が挙げられる。ポリマー化合物の両末端は、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボシシル基、イソシアネート基、ビニル基及びエポキシ基等の構造を有していてもよい。
ポリマー化合物の主鎖構造としては、二重結合が存在している構造であってもよく、水素添加された構造であってもよい。
【0067】
液状ゴムとしては、特に限定されないが、例えば、末端ヒドロキシポリブタジエン(例えば、出光興産製「Poly bd」、日本曹達製「NISSO PB」、末端ヒドロキシポリイソプレン(例えば、出光興産製「Poly ip」)、末端ヒドロキシポリブタジエンの水素添加物(例えば、日本曹達製「GIシリーズ」、末端ヒドロキシポリイソプレンの水素添加物(例えば、出光興産製「エポール」)、末端カルボン酸ポリブタジエン(例えば、日本曹達製「Cシリーズ」、宇部興産製「Hycar CTBシリーズ」)、末端カルボン酸ポリブタジエンの水素添加物(例えば、日本曹達製「CIシリーズ」、末端カルボン酸のブタジエン−アクリロニトリル共重合物(例えば、宇部興産製「Hycar CTBNシリーズ」)、末端アミノ基のブタジエン−アクリロニトリル共重合物(例えば、宇部興産製「Hycar ATBNシリーズ」)、末端ビニル基のブタジエン−アクリロニトリル共重合物(例えば、宇部興産製「Hycar VTBNシリーズ」)、末端メルカプト基のポリスルフィド(例えば、東レ・ファインケミカル製「チオコール LPシリーズ」)等が挙げられる。
【0068】
本発明において、塗工液を調製する際の濃度は、特に限定されないが、(熱硬化性樹脂の質量+液状ゴムの質量)/(熱硬化性樹脂の質量+液状ゴムの質量+溶媒の質量)が10〜90質量%となることが好ましい。
上記濃度が10質量%未満では、塗工するのに十分な塗工液粘度が得られない傾向がある。上記濃度が90質量%を超えると、塗工液がゲル化しやすい傾向がある。
【0069】
塗工液を調製する際の液状ゴム質量濃度は、特に限定されないが、(液状ゴムの質量)/(熱硬化性樹脂の質量+液状ゴムの質量)が5〜50質量%となることが好ましく、10〜35質量%となることがより好ましい。
液状ゴム質量濃度が5質量%未満では、硬化後のフィルム等の最終製品が十分な靭性を得られない傾向がある。液状ゴム質量濃度が50質量%を超えると、塗工液が不均一化する傾向がある。
【0070】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、難燃剤、造核剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃助剤、帯電防止剤、防曇剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤をさらに含有してもよい。添加剤は、それぞれ単独に用いられてもよく、2種以上が併用して用いられてもよい。
【0071】
本発明のシート状形成体について、一例を挙げるが、これに限定されることなく公知の方法を用いて製造することができる。例えば、本発明の樹脂組成物を押出機でTダイから押出してシート状成形体を製造することができる。本発明の樹脂組成物に適当な溶媒を加えて粘度を調整したワニスを作成し、ロールコーターを用いて、基材となるフィルム上にワニスを塗布し、溶剤を揮発させてシート状成形体を製造することができる。
シート状成形体は、銅箔と張り合わせて、銅張り積層板用材料とすることができる。また、そのまま硬化させて基板材料としたり、回路基板に積層して回路基板に絶縁層を形成したりすることができる。
【0072】
本発明における
プリント基板の製造方法としては、例えば、絶縁層と回路層が交互に積層成形されるビルドアップ法による多層プリント基板の製造方法などが挙げられる。回路層が形成されたコア材に本発明のシート状成形体をラミネートして、本発明のシート状成形体による絶縁層を形成する。必要に応じて穴開けを行った後、この絶縁層に、銅めっき層を形成し、更に回路を形成する。更に表層回路に本発明のシート状成形体を積層して、(これを必要回数繰り返してもよい)多層プリント基板を製造することができる。
【実施例】
【0073】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。実施例及び比較例中の「%」は特記しない限り質量基準である。なお、本実施例で用いた測定方法は以下のとおりである。
【0074】
[重量平均分子量(Mw)の測定]
高速液体クロマトグラフシステム、メーカー:SHIMADZU
システムコントローラー:SCL−10A VP
送液ユニット:LC−10AD VP
デガッサー:DGU−12A
示差屈折計(RI)検出器:RID−10A
オートインジェクター:SIL−10AD VP
カラムオーブン:CTO−10AS VP
カラム:SHODEX KF804L(排除限界分子量400000)×2(直列)
カラム温度:40℃
流量:1mL/分
溶離液:テトラヒドロフラン(和光純薬製、安定剤不含、HPLC用)
サンプル:0.7質量%
検出器:RI
を使用した。
Mw(Mw/Mn)がそれぞれ、354000(1.02)、189000(1.04)、98900(1.01)、37200(1.01)、17100(1.02)、9830(1.02)、5870(1.05)、2500(1.05)、1050(1.13)、500(1.14)300(1.20)の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した(Mnは、数平均分子量を意味する。)。
標準ポリスチレン換算により分子量を計算して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られたポリスチレン換算値での重量平均分子量を測定した。
【0075】
H−NMRの測定]
装置名:ECX400(400MHz) メーカー:JEOL
溶媒:重クロロホルム
(Cambridge Isotope Laboratories 株式会社製、0.05体積%TMS含有)
サンプル濃度:1.3質量%
で測定した。
【0076】
(実施例1)
トルエン190mL、イソブタノール10mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、その後、三井化学製4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノールビスフェノール(以下、ビスフェノールM) 48.6g(0.14mol)、三井化学製4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン(以下、ビスアニリンM) 37.6g(0.11mol)、1,12−ジアミノドデカン 7.31g(0.04mol)、フェノール 1.06g(0.01mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 24.3g(0.74mol)を、フラスコ内に、一括して添加混合した。反応溶液が入ったフラスコを、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から2時間後、反応中に生成した水を、トルエン、イソブタノールと共沸させることで系外に留去した。生成水留去開始後、5時間還流させながら反応を進行させた。その後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。トルエン210mLで反応溶液を希釈し、ろ過した後、スプレードライヤーを用いて、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られたポリスチレン換算値での重量平均分子量(Mw)は17031であった。
また、H−NMR測定において、ビスフェノールM+ビスアニリンMの組み合わせで得られるオキサジン環2位のメチレンプロトンピークが5.27ppmに、オキサジン環4位のメチレンプロトンピークが4.49ppmに観測され、ビスフェノールM+1,12−ジアミノドデカンの組み合わせで得られるオキサジン環2位のメチレンプロトンピークが4.80ppmに、オキサジン環4位のメチレンプロトンピークが3.89ppmに観測されたことから、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が得られたことを確認した。以下、本合成で得られた熱硬化性樹脂を樹脂Aとする。
【0077】
(実施例2)
トルエン35mL、イソブタノール15mLを110mLのガラス製サンプル瓶内に、室温下で一括して添加混合し、その後、三井化学製ビスフェノールM 13.9g(40mmol)、三井化学製ビスアニリンM 10.8g(31mmol)、1,12−ジアミノドデカン 2.1g(10mmol)、フェノール 0.30g(3mmol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 6.3g(193mmol)を、サンプル瓶内に、一括して添加混合した。サンプル瓶の口を、軽くアルミホイルで覆い、サンプル瓶内を、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から3時間後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。反応混合溶液をろ過した後、100mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂のMwは6090であった。
また、H−NMR測定を行うことで、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂が得られたことを確認した。
【0078】
(実施例3)
トルエン35mL、イソブタノール15mLを110mLサンプル瓶内に、室温下で一括して添加混合し、その後、三井化学製ビスフェノールM 10.4g(30mmol)、三井化学製ビスアニリンM 5.4g(16mmol)、1,12−ジアミノドデカン 3.1g(16mmol)、フェノール 0.2g(2mmol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を目視にて確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 5.2g(159mmol)を、サンプル瓶内に、一括して添加混合した。サンプル瓶の口を、軽くアルミホイルで覆い、サンプル瓶内を、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から6時間後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。反応混合溶液をろ過した後、100mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂のMwは9682であった。
また、H−NMR測定を行うことで、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂が得られたことを確認した。
【0079】
(実施例4)
トルエン35mL、イソブタノール15mLを110mLのガラス製サンプル瓶内に、室温下で一括して添加混合し、その後、三井化学製ビスフェノールM 6.9g(20mmol)、三井化学製ビスアニリンM 1.8g(5mmol)、1,12−ジアミノドデカン 3.1g(16mmol)、フェノール 0.2g(2mmol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 3.8g(115mmol)を、前記サンプル瓶内に、一括して添加混合した。サンプル瓶の口を、軽くアルミホイルで覆い、サンプル瓶内を、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から6時間後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。反応混合溶液をろ過した後、100mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂のMwは10587であった。
また、H−NMR測定を行うことで、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化樹脂が得られたことを確認した。
【0080】
(合成例1)
還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた10L反応装置中、トルエン2000mL、三井化学製ビスフェノールM 555.1g(1.6mol)、三井化学製ビスアニリンM 551.3g(1.6mol)を室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 251.6g(7.7mol)を、反応装置内に、一括して添加混合した。反応溶液が入った反応装置を、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から2時間後、反応中に生成した水を、トルエンと共沸させることで系外に留去した。生成水留去開始後、7時間還流させながら反応を進行させた。その後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。トルエン2500mLで反応溶液を希釈し、ろ過した後、15Lのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは12269であった。
また、H−NMR測定において、オキサジン環2位のメチレンプロトンピークが5.27ppmに、オキサジン環4位のメチレンプロトンピークが4.49ppmに観測されたことから、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が得られたことを確認した。以下、本合成で得られた熱硬化性樹脂を樹脂Bとする。
【0081】
(合成例2)
トルエン160mL、イソブタノール40mLを還流管、コック付きの等圧滴下ロート及びジムロート冷却器がセットされた500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混合し、その後、三井化学製ビスフェノールM 27.8g(80mmol)、1,12−ジアミノドデカン 16.1g(80mmol)、フェノール 0.7g(6mmol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確認後、三菱ガス化学製パラホルムアルデヒド(91.60%) 15.7g(480mmol)を、フラスコ内に、一括して添加混合した。反応溶液が入ったフラスコを、120℃まで加温することで反応を進行させた。還流開始から7時間後、得られた反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液をろ過した後、500mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂のMwは13348であった。
また、H−NMR測定において、オキサジン環2位のメチレンプロトンピークが4.80ppmに、オキサジン環4位のメチレンプロトンピークが3.89ppmに観測されたことから、目的のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が得られたことを確認した。以下、本合成で得られた熱硬化性樹脂を樹脂Cとする。
【0082】
(実施例5)
樹脂A:9.0g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 18mol%) 1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下で5日経過後も、流動性を維持していた。
ANは、アクリロニトリル由来の部位の含有率を示す。
【0083】
(実施例6)
樹脂A:9.0g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 10mol%) 1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下で5日後も、流動性を維持していた。
【0084】
(実施例7)
樹脂A:9.0g、日本曹達製 NISSO−PB C−1000 1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下で5日経過後も、流動性を維持していた。
【0085】
(参考例1)
樹脂B:6.75g、樹脂C:2.25g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 18mol%)1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下では5日後にゲル化した。
【0086】
(参考例2)
樹脂B:6.75g、樹脂C:2.25g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 10mol%)1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下では5日後にゲル化した。
【0087】
(参考例3)
樹脂B:6.75g、樹脂C:2.25g、日本曹達製 NISSO−PB C−1000 1.0gをトルエン10.0gに溶解させたところ、均一(透明)な塗工液が得られた。この塗工液は、室温下では5日後にゲル化した。
【0088】
(比較例1)
樹脂B:9.0g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 18mol%)1.0gをトルエン10.0gに溶解させようとしたが、白濁し、均一(透明)な塗工液が得られなかった。
【0089】
(比較例2)
樹脂B:9.0g、宇部興産製 液状合成ゴム CTBN(AN 10mol%)1.0gをトルエン10.0gに溶解させようとしたが、白濁し、均一(透明)な塗工液が得られなかった。
【0090】
(比較例3)
樹脂B:9.0g、日本曹達製 NISSO−PB C−1000 1.0gをトルエン10.0gに溶解させようとしたが、白濁し、均一(透明)な塗工液が得られなかった。
【0091】
実施例5から7の塗工液を、離形処理を行ったPETフィルム(厚さ50μm、ピューレックス A31 帝人株式会社)上に400μmのスリットとしたドクターブレードにて塗工し、80℃30分、120℃30分、180℃2時間、の乾燥、硬化を行ったところ、透明で強靭なフィルムを得ることができた。
比較例1〜3の塗工液を同様に乾燥、硬化を行ったところ、10μmより大きな不均一部が光学顕微鏡で観察できるような白濁したフィルムしか作製できなかった。
【0092】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明によれば、液状ゴムとの相溶性に優れており、均一(透明)な塗工液を得ることができる、新規なベンゾオキサジン環を有する共重合体からなる熱硬化性樹脂を提供することができる。
熱硬化性樹脂を硬化した場合には、耐熱性及び靭性に優れるフィルムを得ることができるので、本発明の熱硬化性樹脂は、積層板や半導体封止材等のエレクトロニクス材料及び摩擦材や砥石等の結合材の分野において産業上の利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有する共重合体からなる熱硬化性樹脂。
一般式(1):
【化1】


(式(1)中、Arは二官能性フェノールの残基である4価の芳香族有機基を、Rは炭素数6〜30の芳香族ジアミンの残基である芳香族有機基を、Rは炭素数1〜30の脂肪族ジアミンの残基である脂肪族有機基を、m及びnは、それぞれ独立して1〜200の整数を示す。)
【請求項2】
m:nが、10:90〜90:10である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂。
【請求項3】
前記Arが、下記一般式(3)、(4)及び/又は(5)で示される基である、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂。
【化2】


(上記一般式(3)、(4)及び(5)において、*はオキサジン環1位の酸素原子への結合部位を示し、**はオキサジン環4位の炭素原子への結合部位を示す。上記一般式(3)におけるXは、直接結合手(原子若しくは原子団が存在しない)、又はヘテロ元素若しくは官能基を含んでいてもよい、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基又は芳香環基を示す。)
【請求項4】
前記Rが、下記一般式(6)、(7)及び/又は(8)で示される基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
【化3】


(上記一般式(6)、(7)及び(8)において、*は窒素原子への結合部位を示す。上記一般式(6)におけるYは、直接結合手(原子若しくは原子団が存在しない)、又はヘテロ元素若しくは官能基を含んでいてもよい、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基又は芳香環基を示す。)
【請求項5】
前記Rが、炭素数1〜20の直鎖脂肪族炭化水素基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
【請求項6】
二官能フェノール、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン及びホルムアルデヒドを反応させて得られる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂。
【請求項7】
単官能フェノールをさらに添加して反応させて得られる、請求項6に記載の熱硬化性樹脂。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂と、液状ゴムとを含む熱硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
液状ゴム質量/(熱硬化性樹脂質量+液状ゴム質量)が5〜50質量%である、請求項8に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、又は請求項8若しくは9に記載の熱硬化性樹脂組成物からなるシート状形成体。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、請求項8若しくは9に記載の熱硬化性樹脂組成物、又は請求項10に記載のシート状形成体からなる樹脂フィルム。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂、請求項8若しくは9に記載の熱硬化性樹脂組成物、請求項10に記載のシート状形成体、又は請求項11に記載の樹脂フィルムからなるプリント基板。


【公開番号】特開2010−53325(P2010−53325A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222930(P2008−222930)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】