説明

ベータ作用薬の吸入用エアロゾル製剤

本発明は、噴射剤を含まず、一般式(1)の化合物を1種以上と追加の有効成分(2)とを含む、吸入用エアロゾル製剤に関する。式中、基R、R、R及びXは請求の範囲及び明細書中に示すように定義することができる。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、一般式1で表される化合物:
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、基R1、R2、R3及びX-は請求の範囲及び明細書中に示す定義を有する)の1種以上と、更なる有効成分2とを含む、噴射剤を含有しない吸入用エアロゾル製剤に関する。
(発明の詳細な説明)
本発明の医薬製剤は噴射剤を含有しない医薬製剤であって、有効成分として一般式1で表される化合物:
【0004】
【化2】

【0005】
(式中、
1は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル又はハロゲンを表し、
2は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル又はハロゲンを表し、
3は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル、ハロゲン、OH、-O-C1-4-アルキレン-COOH又はO-C1-4-アルキレン-COO-C1-4-アルキルを表し、
-は1個の負電荷を有するアニオンを示し、好ましくは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp−トルエンスルホネートから選択される1個の負電荷を有するアニオンを示す)の1種以上(これらは、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい)と、チオトロピウム塩、オキシトロピウム塩、フルトロピウム塩、イプラトロピウム塩、グリコピロニウム塩及びトロスピウム塩から選択される更なる有効成分2(これらは互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい)と、少なくとも1種の医薬的に許容される酸と、さらに他の医薬的に許容される賦形剤及び/又は錯化剤を含んでもよく、溶媒としての水、エタノール又は水とエタノールとの混合物を含む。
好適な医薬製剤は前記有効成分2と一般式1の化合物とを含み、式1の化合物は、
式中、
1が、水素、メチル、エチル、フッ素又は塩素を表し、
2が、水素、メチル、エチル、フッ素又は塩素を表し、
3が、水素、メチル、エチル、プロピル、OH、メトキシ、エトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOH、O-CH2-COOメチルもしくはO-CH2-COOエチル、-O-CH2-CH2COOH、O-CH2-CH2COOメチルもしくはO-CH2-CH2COOエチル、-O-CH2-CH2-CH2COOH、O-CH2-CH2-CH2COOメチルもしくは-O-CH2-CH2-CH2COOエチルを表し、
-が1個の負電荷を有するアニオンを示し、好ましくは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp−トルエンスルホネートから選択される1個の負電荷を有するアニオンを示し、該化合物が互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい。
【0006】
好適な医薬製剤は前記有効成分2と一般式1の化合物とを含み、式1の化合物は、
式中、
1が水素又はメチルを表し、好ましくは水素を表し、
2が水素又はメチルを表し、好ましくは水素を表し、
3が、メチル、OH、メトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOH又は-O-CH2-COOエチルを表し、
-が、塩化物、臭化物、スルフェート、メタンスルホネート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート及びスクシネートから選択される1個の負電荷を有するアニオンを示し、該化合物が互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい。
また、前記有効成分2と、式1中、
3が、メトキシ、エトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOH、-O-CH2-COOメチル又はO-CH2-COOエチルを表し、
1、R2及びX-が前記に示す定義を有する化合物で、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい一般式1の化合物とを含む医薬製剤が好ましい。
【0007】
また、前記有効成分2と、式1中、
1が水素を表し、
2が水素を表し、
3がOH、フッ素、塩素、メトキシ、エトキシ、-O-CH2-COOHを表し、好ましくはOH、フッ素、塩素、エトキシ又はメトキシを表し、
-が前記に示す定義を有する化合物で、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい一般式1の化合物とを含む医薬製剤が好ましい。
また、前記有効成分2と下記から選択される一般式1の化合物:
6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(エチル4-フェノキシ-アセテート)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-フェノキシ-酢酸)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチルフェニル)-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-ヒドロキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
【0008】
6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-イソプロピル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-エチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-フルオロ-3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-フルオロ-2-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(2.4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(3,5-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
4-(4-{2-[2-ヒドロキシ-2-(6-ヒドロキシ-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[1,4]オキサジン-8-イル)-エチルアミノ]-2-メチル-プロピル}-フェノキシ)-酪酸、
【0009】
8-{2-[2-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-クロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-フルオロ-2,6-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-クロロ-2-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
【0010】
8-{2-[2-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(2.5-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-フルオロ-3,5-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(3,5-ジクロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(4-クロロ-3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(3.4.5-トリフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、
8-{2-[2-(3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン及び
8-{2-[2-(3,4-ジクロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンであって、いずれの場合も、酸HX(X-が前記に示す定義のいずれかである)との酸付加塩の状態、ならびに、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい化合物とを含む医薬製剤が好ましい。
【0011】
本発明の医薬製剤において、有効成分2は、チオトロピウム塩(2.1)、オキシトロピウム塩(2.2)、フルトロピウム塩(2.3)、イプラトロピウム塩(2.4)、グリコピロニウム塩(2.5)及びトロスピウム塩(2.6)からなる抗コリン作用薬のなかから選択される。前記抗コリン作用薬は不斉炭素原子を有していてもよい。この場合、本発明の医薬製剤は、抗コリン作用薬をその鏡像異性体、鏡像異性体混合物又はラセミ体の状態で含んでいてもよく、鏡像異性的に純粋な抗コリン作用薬の使用が好ましい。
前記の塩2.1〜2.6において、チオトロピウム、オキシトロピウム、フルトロピウム、イプラトロピウム、グリコピロニウム及びトロスピウムカチオンが薬理学的に有効な構成成分である。前記カチオンに明確に言及する場合は、2.1'〜2.6'という呼称で示す。前記塩2.1〜2.6に言及する場合はいずれも、それぞれに対応するカチオンであるチオトロピウム(2.1')、オキシトロピウム(2.2')、フルトロピウム(2.3')、イプラトロピウム(2.4')、グリコピロニウム(2.5')及びトロスピウム(2.6')を当然のことながら含む。
本発明の塩2.1〜2.6は、カチオンであるチオトロピウム(2.1')、オキシトロピウム(2.2')、フルトロピウム(2.3')、イプラトロピウム(2.4')、グリコピロニウム(2.5')及びトロスピウム(2.6')に加えて、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、シトレート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート又はp−トルエンスルホネートを対イオン(アニオン)として含む化合物を意味する。対イオンとしては塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルフェート、メタンスルホネート又はp−トルエンスルホネートが好ましい。すべての塩のなかでは、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びメタンスルホネートが特に好ましい。
【0012】
トロスピウム塩(2.6)の場合、塩化物が特に好ましい。他の2.2〜2.6の塩の場合は、メタンスルホネート及び臭化物がとりわけ重要である。チオトロピウム塩(2.1)、オキシトロピウム塩(2.2)又はイプラトロピウム塩(2.4)を含む医薬製剤が特に重要であるが、それぞれの臭化物が本発明ではとりわけ重要である。なかでも臭化チオトロピウム(2.1が重要である。
本発明の医薬製剤中、前記の塩は、溶媒和物又は水和物、好ましくは水和物の状態で存在していてもよい。臭化チオトロピウムの場合、結晶性臭化チオトロピウム一水和物の状態で本発明の医薬製剤中に含有することが好ましく、これはWO02/30928から公知である。本発明の医薬製剤において臭化チオトロピウムを無水物の状態で使用する場合、WO03/000265から公知であるが、無水結晶性臭化チオトロピウムを用いることが好ましい。
(本明細書において使用した用語と定義)
「C1-4-アルキル」(他の基の一部としてのC1-4-アルキルも含む)という用語は、炭素原子1〜4個を有する分岐又は分岐していないアルキル基を意味する。例としては、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルが挙げられる。上記の基を表すのに、Me、Et、n-Pr、i-Pr、n-Bu、i-Bu、t-Bu等の短縮形を使うこともできる。特に記載のない限り、プロピル及びブチルの定義にはそれぞれの基の存在可能な異性体の形をすべて含む。即ち、例えばプロピルの場合は、n-プロピル及びiso-プロピル、ブチルの場合はiso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が含まれる。
「C1-4-アルキレン」(他の基の一部としてのC1-4-アルキレンも含む)という用語は、炭素原子1〜4個を有する分岐又は分岐していないアルキレン基を意味する。例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、1-メチルエチレン、ブチレン、1-メチルプロピレン、1,1-ジメチルエチレン又は1,2-ジメチルエチレンが挙げられる。特に記載のない限り、プロピレン及びブチレンの定義にはそれぞれの基で同じ炭素原子数を有する存在可能な異性体の形をすべて含む。即ち、例えば、プロピレンの場合は1-メチルエチレンを、ブチレンの場合は1-メチルプロピレン、1,1-ジメチルエチレン、1,2-ジメチルエチレンを含む。
【0013】
本発明の範囲におけるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表す。特に記載のない限り、フッ素、塩素及び臭素が好ましいハロゲンである。
薬理学的に許容される酸との酸付加塩とは、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩を含む群から選択される塩を意味し、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、フマル酸塩及びメタンスルホン酸塩を意味する。前記酸付加塩のなかで、塩酸、メタンスルホン酸、安息香酸及び酢酸の塩が本発明ではとりわけ好ましい。
本発明の医薬製剤は溶媒として純水、純粋なエタノール又はエタノールと水との混合物を含む。エタノールと水との混合物を用いる場合は、混合物中のエタノールの質量比が5〜99%の範囲であることが好ましく、特に10〜96%の範囲が好ましい。本発明の目的に最も好適な医薬製剤は、溶媒として純水、純粋なエタノール又はエタノールを50〜92%、とりわけ好ましくは69〜91%含むエタノールと水との混合物を含有する。
所望であれば、他の補助溶媒をエタノール及び水に加えて使用してもよい。しかしながら、本発明では他の溶媒を使用しない方が好ましい。
本発明の化合物は、先行技術から既に公知である方法と同様にして調製することができる。好適な調製方法は、例えば米国特許第4460581号から公知であり、この文献の全体をここに引用するものである。
本発明の医薬製剤において、式1の化合物は互変異性体の状態で存在してもよい。互変異性とは、σ結合又はπ結合の転移により形成され、平衡状態で存在することができる異性体化合物の出現を意味する。式1の化合物について、可能な互変異性体の例は以下のとおりである。
【0014】
【化3】

【0015】
又は
【0016】
【化4】

【0017】
本発明の別の態様は、式1で表される前記化合物を個々の光学異性体、個々の鏡像異性体混合物又はラセミ体の状態で含む医薬製剤に関する。式1で表される前記化合物を鏡像異性的に純粋な化合物の状態で含む医薬製剤が特に好ましく、本発明によれば式1の化合物のR-鏡像異性体がとりわけ重要である。このR-鏡像異性体は下記一般式R−1で表すことができる。
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、基R1、R2、R3及びX-は前述の定義を有する)
本発明の範囲において、式1の化合物は、式中のX-が塩化物、マレエート、サリチレート、フマレート又はスクシネートから選択される化合物であって、水和物又は溶媒和物の状態であってもよい化合物を使用することが特に好ましい。式1中、X-が塩化物を示す化合物を含む製剤が本発明では特に好ましい。
式1の化合物に言及する場合、この化合物の存在可能なすべての非晶質及び結晶性の変形も本発明の範囲に常に含まれる。また、式1の化合物に言及する場合、本発明の範囲においては該化合物から形成しうるすべての可能な溶媒和物及び水和物も含まれる。
本発明の範囲において化合物1’に言及する場合はいずれも、塩1(式中、基R1、R2、R3及びX-は前述の定義を有する)に含まれる下記式で表される医薬的に有効な遊離塩基を指すとみなすべきである。
【0020】
【化6】

【0021】
本発明の別の態様は、有効成分2と、式1’で表される遊離塩基(式中、基R1、R2、R3及びX-は前述の定義を有す)であって、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい化合物と、少なくとも1種の医薬的に許容される酸とを含み、任意で他の医薬的に許容される賦形剤及び/又は錯化剤を含んでもよく、溶媒としての水、エタノール又は水とエタノールとの混合物を含む、医薬製剤に関する。
別の本発明の態様は、様々な原因による閉塞性肺疾患、様々な原因による肺気腫、拘束性肺疾患、間質性肺疾患、嚢胞性繊維症、様々な原因による気管支炎、気管支拡張症、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)及びあらゆる形態の肺浮腫を含む群から選択される呼吸器系疾患治療用の医薬組成物を製造するための、本発明による医薬製剤の使用に関する。
好ましくは、気管支喘息、小児喘息、重症喘息、急性喘息発作、慢性気管支炎及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される閉塞性肺疾患の治療用の医薬組成物を製造するために、前記記載のごとく本発明の医薬製剤を使用することが好ましく、気管支喘息又はCOPDの治療用医薬組成物を製造するためにこれらを使用することが、本発明ではとりわけ好ましい。
また、その原因が慢性閉塞性肺疾患(COPD)又はα1−プロテイナーゼ阻害剤の欠乏である肺気腫の治療用医薬組成物を製造するために、本発明の医薬製剤を使用することも好ましい。
【0022】
また、アレルギー性肺胞炎、職業に関連した有毒物質によって引き起こされる拘束性肺疾患、例えば石綿症又は珪肺症、ならびに肺の腫瘍が原因となる拘束、例えば癌性リンパ管症、気管支肺胞癌及びリンパ腫から選択される拘束性肺疾患の治療用医薬組成物を製造するために、本発明の医薬製剤を使用することも好ましい。
また、感染による肺炎、例えば、ウイルス、細菌、菌類、原生動物、蠕虫又は他の病原体で感染する肺炎、様々な要因、例えば誤嚥や左心室不全による肺臓炎、放射線による肺臓炎又は繊維症、例えば紅斑性狼瘡、全身性強皮症又はサルコイドーシスなどの膠原病、例えばベック症などの肉芽腫症、特発性間質性肺炎あるいは特発性肺繊維症(IPF)から選択される間質性肺疾患の治療用医薬組成物を製造するために、本発明の医薬製剤を使用することも好ましい。
また、膵嚢胞性繊維炎又は膵線維症の治療用医薬組成物を製造するために、本発明の医薬製剤を使用することも好ましい。
また、例えば細菌又はウイルス感染による気管支炎、アレルギー性気管支炎及び毒性の気管支炎等の気管支炎治療用の医薬組成物を製造するために、本発明の医薬製剤を使用することも好ましい。
また、気管支拡張症の治療用医薬組成物を製造するために、本発明の医薬製剤を使用することも好ましい。
また、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)治療用の医薬組成物を製造するために、本発明の医薬製剤を使用することも好ましい。
また、例えば有毒物質及び異物の吸引、吸入後の毒性肺浮腫等の肺浮腫の治療用医薬組成物を製造するために、本発明の医薬製剤を使用することも好ましい。
特に好ましくは、本発明は、喘息又はCOPDの治療用医薬組成物を製造するための本発明による医薬製剤の使用に関する。また、炎症性及び閉塞性の呼吸器系疾患の1日1回の治療、とりわけ喘息又はCOPDの1日1回の治療用の医薬組成物を製造するための前記使用が特に重要である。
【0023】
さらに、本発明は、本発明による前記医薬製剤1種以上を治療上有効量で投与することを特徴とする、前記疾患の治療方法に関する。
また、本発明は、前記化合物を含む、吸入により投与できる有効成分液体製剤に関するもので、本発明の液体製剤は高い品質基準を満たしていなければならない。本発明の製剤は経口又は鼻からの経路で吸入することができる。有効成分を肺の中で最適に分散させるためには、適切な吸入器を使って投与される、噴射剤を含有しない液体製剤の使用が有用である。この種の製剤は口からの経路と鼻からの経路の両方で吸入することができる。治療目的に必要な用量である少量の液体製剤を噴霧して、数秒以内で治療用吸入に適したエアロゾルにすることができる吸入器が特に好適である。本発明の範囲において、好ましくはひと吹き又はふた吹きで100μL未満、好ましくは50μL未満、より好ましくは25μL未満の量の有効成分溶液を霧状にして、平均粒径が20μm未満、好ましくは10μm未満のエアロゾルを形成し、エアロゾルの吸入されうる部分が治療上の有効量に相当するようにすることが可能な吸入器が好ましい吸入器である。
吸入用液状医薬組成物の定量を、噴射剤を使わずに投与するこの種の装置については、例えば、国際特許出願WO91/14468 "Atomizing Device and Methods(噴霧装置及び噴霧方法)及びWO97/12687に詳述されており、図6a及び図6bならびに付随する説明が参照される。この種の噴霧器では、500barまでの高圧により液体製剤は肺に向けて分散されるエアロゾルに変換され、このエアロゾルが噴霧される。本願明細書の範囲に、前記文献のすべての内容を特別に引用するものである。
【0024】
この種の吸入器では、液体製剤はリザーバーに貯蔵される。使用される有効成分製剤が貯蔵時に十分安定していること、また同時に、その医療上の目的に応じて、できれば特別な取り扱いをすることなくそのまま投与できる状態であることが重要である。さらに、有効成分製剤は、吸入器と反応して吸入器又は液体もしくは生成されたエアロゾルの製薬上の品質を損なうような成分は含有しない。
液体を噴霧するために、例えばWO94/07607又はWO99/16530に記載されているような特殊なノズルが使用される。これらの公報はいずれも本願に特別に引用するものである。
本発明の目的は、式1で表される化合物(互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい)と、チオトロピウム塩、オキシトロピウム塩、フルトロピウム塩、イプラトロピウム塩、グリコピロニウム塩及びトロスピウム塩から選択されるさらなる有効成分2(互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい)とを含む、水性、エタノール性又は水性-エタノール性の製剤であって、前記吸入器を用いて液体を最適に確実に噴霧するのに必要とされる高い水準を満足する製剤を提供することである。本発明の有効成分製剤の製薬上の品質は、十分に高くなければいけないということである。数年にわたり、少なくとも1年間、より好ましくは2年間の保存期間にわたって製薬上安定していることが望ましい。
また、この噴射剤を含有しない液体製剤は、圧力のかかった吸入器による噴霧が可能で、生成されたエアロゾルの状態で組成物が所定の範囲内に送達される。
本発明によると、製剤は、好ましくは、式1で表される化合物1種のみと有効成分2とを含む。しかしながら、製剤は式1で表される異なる塩の混合物を含んでもよい。本発明の医薬製剤が式1で表される異なる塩を含む場合、その様々な塩が、同一の式1’で表される遊離塩基の異なる塩である製剤が本発明では好ましい。
【0025】
本発明の医薬製剤において、医薬的に有効な遊離塩基1’の割合を基準とした式1の化合物の濃度は、本発明によると100mlにつき約0.1〜2000mg、好ましくは100mlにつき約0.5〜1100mg、特に好ましくは100mlにつき0.75〜500mgである。とりわけ好ましくは、本発明の100mlの製剤には約1〜約250mgの1’が含まれる。
本発明の医薬製剤中の式2の化合物の濃度は、塩2.1の医薬的に有効な遊離カチオンの割合を基準として、本発明では100mlにつき約0.1〜2000mg、好ましくは100mlにつき約0.5〜1100mg、特に好ましくは100mlにつき0.75〜500mgである。とりわけ好ましくは、本発明の100mlの製剤には塩2.1の遊離カチオンが約1〜約250mg含まれる。
本発明による製剤のpH値は、純粋な水溶液状態の場合、好ましくは2.0〜6.5の範囲、より好ましくは2.5〜3.5の範囲、とりわけ好ましくは約2.7〜3.1の範囲であるとよい。
化合物1及び2をエタノール又はエタノールと水との混合物に溶解させる場合、本発明の製剤のpH値は、好ましくは2.0〜6.5の範囲、より好ましくは2.5〜5.5の範囲、とりわけ好ましくは2.7〜5.0の範囲であるとよい。
pH値は医薬的に許容される酸を添加して調整する。医薬的に許容される無機酸又は有機酸をこの目的のために使用することができる。好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及びリン酸からなる群から選択される。特に好適な有機酸の例は、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、ソルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸からなる群から選択される。推奨される無機酸は塩酸、リン酸及び硫酸で、なかでも塩酸が本発明では特に好ましい。有機酸の中では、アスコルビン酸、フマル酸、メタンスルホン酸及びクエン酸が好ましい。所望であれば、上記酸の混合物を用いることもでき、特に、酸性化特性に加えて他の特性を有する酸、例えば、クエン酸又はアスコルビン酸等のように香料又は酸化防止剤として作用する酸の場合は、混合して用いるとよい。所望であれば、医薬的に許容される塩基を使用して正確にpHを滴定してもよい。好適な塩基としては、例えばアルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属炭酸塩が挙げられる。好適なアルカリ金属イオンはナトリウムである。この種の塩基を使用する場合、得られる塩は最終的に医薬製剤に含有させるので、該塩が前記の酸と薬理学的に相溶性があることを確認するよう注意しなければならない。
【0026】
本発明の製剤は別の成分として錯化剤を含んでもよい。錯化剤とは、本発明の範囲においては錯体結合に入り込むことができる分子を意味する。こうした化合物は、カチオン、特に好ましくは金属カチオンの錯化作用を有しているとよい。本発明の製剤はエデト酸(EDTA)又はエデト酸の公知の塩の1つ、例えばエデト酸ナトリウム又はエデト酸二ナトリウムを錯化剤として含有することが好ましい。エデト酸ナトリウムの使用が好ましく、水和物の状態で、より好ましくは二水和物の状態で使用するとよい。錯化剤を本発明の製剤中に使用する場合、錯化剤の量は本発明の製剤100mlにつき0.1〜50mg、より好ましくは製剤100mlにつき0.5〜25mgがよい。とりわけ、本発明の製剤には、製剤100mlにつき約0.75〜15mg、より好ましくは製剤100mlにつき約1〜12mgの錯化剤が含有されるとよい。
エデト酸二ナトリウムについての摘要は、EDTA又はその塩と同等であり、錯体形成性を有しEDTA又はその塩の替わりに使用可能な他の添加剤、例えばニトリロ三酢酸やその塩にも当てはまる。
他の医薬的に許容できる賦形剤も、本発明の製剤に添加することができる。アジュバント及び添加剤とは、本願においては、それ自体は活性物質ではないが、薬理学的に好適な溶媒中で活性物質と共に製剤化して、活性物質を含む調剤の特質を改善することができる、医薬的に許容でき、かつ、治療上有用な物質を意味する。これらの物質は薬理的作用を持たないことが好ましく、所望の療法との関連において容易に認識できるような薬理作用は持たないか、少なくとも望ましくない薬理作用を有していないことが好ましい。アジュバント及び添加剤としては、例えば、安定化剤、最終的な医薬製剤の貯蔵寿命を延長させる酸化防止剤及び/又は防腐剤、ならびに、香味付与剤、ビタミン類及び/又は当分野で公知の他の添加剤が挙げられる。また、添加剤には、例えば塩化ナトリウムなどの薬理学的に許容される塩も含まれる。
好適な賦形剤としては、例えば、pHの調整に使用されていないのであればアスコルビン酸が挙げられ、また、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ターシャリーブチルヒドロキシキノン(TBHQ)、ビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び人体内で産生する同様なビタミン類及びプロビタミン類等の酸化防止剤が挙げられる。
【0027】
防腐剤を添加して病原菌による汚染から製剤を保護することができる。適当な防腐剤は当該分野において公知のものであり、特に当該分野で既知の濃度の、塩化ベンザルコニウム又は安息香酸もしくは安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩である。好ましくは、塩化ベンザルコニウムを本発明の製剤に添加するとよい。塩化ベンザルコニウムの量は、製剤100mlにつき1mg〜50mg、好ましくは約2〜15mg/100ml、より好ましくは約3〜12mg/100ml、極めて好ましくは本発明の製剤100mlにつき約4〜11mgである。また、塩化ベンザルコニウムは本発明によると、他の防腐剤と共に使用することもできる。
好ましい製剤は、溶剤としての水、式1の化合物、有効成分2に加えて、塩化ベンザルコニウムと、エデト酸ナトリウムと、pHの調整に必要な酸のみを含むものである。
本発明の医薬製剤は、本発明によると、噴射剤を含まないエアロゾルを生成するために、本願明細書前記に示したタイプの吸入器で使用することが好ましい。この点について、本願明細書前述の特許文献を再度明確に言及し、本願明細書に引用する。最初に記載のごとく、好適な吸入器をさらに展開した実施形態がWO97/12687に開示されている(特に図6a及び図6bならびに関連の明細書箇所参照)。この噴霧器(Respimat(登録商標))を効果的に利用して、本発明の吸入エアロゾルを生成することができる。この装置は、形状が円筒状で、長さ9〜15cm及び幅2〜4cmそこそこの取り扱い易いサイズであるために、患者はどこへでも携行することができる。この噴霧器は、高圧を利用して小さなノズルから所定量の医薬製剤を噴霧して、吸入用エアロゾルを生成する。好ましい噴霧器は、上部ハウジング部と、ポンプハウジングと、ノズルと、ロッキングクランプと、バネハウジングと、バネと、貯蔵容器から本質的になり、
【0028】
− 上部ハウジング部内に固定され、その一端にはノズル又はノズル装置を備えたノズル本体を保持するポンプハウジング、
− バルブ本体を備えた中空ピストン、
− 中空体(hollow body)が中に固定され、上部ハウジング部に配置された動力取出しフランジ、
− 上部ハウジング部に位置するロッキングクランプ機構、
− 内部にバネを収容し、回転軸受けによって上部ハウジング部に回動可能に取り付けられているバネハウジング、
− バネハウジング上に軸方向に取り付けられている下部ハウジング部、とによって特徴づけられる。
バルブ本体を備えた中空ピストンは、WO97/12687に開示の装置に対応する。中空ピストンは、ポンプハウジングのシリンダ内に一部が突き出ており、シリンダ内を軸方向に移動可能に配置されている。前記国際特許出願の特に図1乃至図4、とりわけ図3、及びそれに関連する明細書の説明箇所に記載されている。バルブ本体を備えた中空ピストンは、バネが緩んだ瞬間に、その高圧末端において、流体、即ち定量の有効成分溶液に対して5〜60Mpa(約50〜600bar)、好ましくは10〜60Mpa(約100〜600bar)の圧力を及ぼす。1回の作動による量は、好ましくは10〜50μL、より好ましくは10〜20μLで、10〜15μLの量が特に好ましい。
バルブ本体は、ノズル本体に面した中空ピストンの端部に好ましくは取り付けられる。
ノズル本体内のノズルは微細構造を有することが好ましく、即ち、マイクロ技術によって作製される。微細構造を有するノズル本体については、例えばWO99/16530に開示されており、この明細書の内容、特に図1及びその関連説明の内容を本願明細書に引用する。ノズル本体は、例えば、強固に結合した2枚のガラス及び/又はシリコンシートからなり、2枚のうちの少なくとも1枚には、1本以上の微細構造により作製された溝があり、この溝によってノズル入口端部がノズル出口端部と連結する。ノズル出口端部には、深さ2〜10μmで幅5〜15μm、好ましくは深さが4.5〜6.5μmで、長さが7〜9μmの少なくとも1個の円形又は非円形開口部がある。
【0029】
ノズル開口部が複数個、好ましくは2個ある場合、ノズル本体内におけるノズルのスプレー方向は互いに平行に延びてもよいし、あるいはノズル開口方向に互いに対して傾斜していてもよい。出口端部に少なくとも2個のノズル開口部を有するノズル本体の場合、スプレー方向は、互いに対して20〜160°、好ましくは60〜150°、最も好ましくは80〜100°の角度がよい。ノズル開口部は、好ましくは10〜200μm、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは30〜70μmの間隔をおいて配置される。50μmの間隔が最も好ましい。
したがって、スプレー方向はノズル開口部近傍でぶつかることになる。
前述のとおり、液体医薬製剤は、600barまでの導入圧力、好ましくは200〜300barの導入圧力でノズル本体に突き当たり、ノズル開口部を通って吸入エアロゾル状態に霧化される。エアロゾルの好ましい粒径は20μmまで、好ましくは3〜10μmである。
ロッキングクランプ機構には、機械的エネルギーを保存するためのバネ、好ましくは円筒状の圧縮コイルバネが含まれる。このバネはバネ部材として動力取出しフランジに作用するが、フランジの移動はロック部材の位置によって決まる。この動力取出しフランジの移動は、上部および下部の止め(stop)によって正確に定められている。上部ハウジング部を下部ハウジング部内のバネハウジングに対して回転させる時に発生する外部トルクによって、バネは、ステッピングアップギア、例えば斜歯スライディングギア(helical sliding gear)を介して張力がかけられると好ましい。この場合、上部ハウジング部及び動力取出しフランジは、1速又は多速スプラインギア(single- or multi-speed spline gear)を有する。
噛合するロック面を有するロック部材は、動力取出しフランジの回りにリング状に配置されている。ロック部材は、例えば、本質的に径方向に弾性変形するプラスチック又は金属のリングで構成される。このリングは、噴霧器の軸に対して直角をなす面に配置される。バネがロックされると、ロック部材のロック面は動力取出しフランジの通路内に移動し、バネが緩まないようにする。ロック部材はボタンによって作動する。この作動ボタンはロック部材に接続又は連結している。ロッキングクランプ機構を作動させるには、作動ボタンをリング面に対して水平に移動させ、好ましくは噴霧器内に移動させる。これによって変形性リングはリング面方向に変形する。ロッキングクランプ機構の構成に関する詳細は、WO97/20590に記載されている。
【0030】
バネハウジングの上から下部ハウジング部が軸方向にはめこまれ、ベアリング、スピンドルの駆動装置及び流体用貯蔵容器を収容する。
噴霧器を作動させると、ハウジングの上部は下部に対して相対的に回転し、下部ハウジング部はバネハウジングを一緒に回転させる。その間、バネは斜歯スライディングギアによって圧縮、偏向され、クランプ機構が自動的に嵌合する。回転角は360度分の整数度、例えば180度が好ましい。バネが引張られると同時に、上部ハウジング部における動力取出し部が所定の距離だけ移動し、中空ピストンがポンプハウジング内のシリンダ内部に引き戻され、その結果として、流体の一部が貯蔵容器からノズル前方の高圧チャンバー内に吸い込まれる。
所望であれば、噴霧する流体を収容する複数の交換可能な貯蔵容器を順次噴霧器に挿入して使用することもできる。貯蔵容器には、本発明による水性エアロゾル調剤が収容される。
噴霧工程は、作動ボタンを軽く押すことにより開始される。この結果、クランプ機構により動力取出し部の通路が開けられる。偏向したバネによって、ポンプハウジングのシリンダ内にピストンが押し込まれる。流体が霧状になって噴霧器のノズルから放出される。
構造についての更なる詳細は、PCT出願WO97/12683及びWO97/20590に開示されており、これらを本願明細書に引用する。
噴霧器(ネブライザー)の構成部品は、その機能に合った材料で作られる。噴霧器のハウジング、さらには機能上可能であれば他の部品も同様に、例えば射出成型によって好ましくはプラスチックで作製される。医療用途には、生理学的に許容される材料が用いられる。
WO97/12687の図6a/図6bには、本発明による水性エアロゾル製剤の吸入に有利に使用できるネブライザーRespimat(登録商標)が示されている。図6aは、バネが引張られた状態の噴霧器の長手方向断面図であり、図6bは、バネが緩んだ状態の噴霧器の長手方向断面図である。
【0031】
上部ハウジング部(51)はポンプハウジング(52)を収容し、その端部には噴霧器ノズル用のホルダ(53)が取付けられている。ホルダにはノズル本体(54)及びフィルタ(55)がある。ロッキングクランプ機構の動力取出しフランジ(56)内に固定された中空ピストン(57)は、ポンプハウジングのシリンダ内にその一部が突き出している。中空ピストンは、その端部においてバルブ本体(58)を担持する。中空ピストンはガスケット(59)によって封止される。上部ハウジング部内には止め(60)があり、バネが緩むと動力取出しフランジが止めの上に載る。動力取出しフランジ上には止め(61)があり、バネが引っ張られると動力取出しフランジがこの止めの上に載る。バネが引っ張られると、ロック部材(62)は、上部ハウジング部内の止め(61)と支持体(63)との間を移動する。作動ボタン(64)は、ロック部材に連結している。上部ハウジング部は、マウスピース(65)で終端しており、取り外しできる保護キャップ(66)によって閉められる。
圧縮バネ(68)を備えたバネハウジング(67)は、カチッとはまる爪(69)及び回転軸受けによって上部ハウジング部に回動自在に取付けられている。下部ハウジング部(70)はバネハウジングの上に押し込まれている。バネハウジング内部には、噴霧する流体(72)用の交換可能な貯蔵容器(71)がある。貯蔵容器はストッパー(73)により封止され、ストッパーを介して中空ピストンは貯蔵容器内に突き出し、その端部が流体中に浸漬する(有効成分溶液の供給)。
機械的カウンタ用のスピンドル(74)はバネハウジングの外側に取付けられている。上部ハウジング部に面したスピンドルの端部には、駆動ピニオン(75)が配置される。スライダ(76)はスピンドル上に位置する。
【0032】
上記ネブライザーは、本発明のエアロゾル製剤を噴霧して吸入に適したエアロゾルを生成するのに好適である。
本発明の製剤を、上記方法(Respimat(登録商標))を用いて噴霧する場合、吸入器の全操作(スプレー作動)の少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%の達成で、放出される質量が、許容差25%以下、好ましくは20%以下の範囲で規定量に相当するとよい。好ましくは、5〜30mg、より好ましくは5〜20mgの製剤が、所定量として1回のスプレー動作で放出されることが好ましい。
本発明の製剤は、上記以外の吸入器、例えば、ジェット流吸入器等によって噴霧することもできる。
そこで、本発明は、上記の本発明による医薬製剤の1種と、該医薬製剤の噴霧に適した吸入器とからなる吸入キットに関する。好ましくは、本発明は、上記の本発明による医薬製剤の1種と、前記記載の吸入器Respimat(登録商標)とからなる吸入キットに関する。
前記装置Respimat(登録商標)を用いて鼻から製剤を投与する場合、この噴霧器には筒状錐形の、即ち、円形又は楕円断面を有する錐体又は先が細くなった円形又は楕円の円筒状態に設計されているマウスピースにアタッチメントを付けることができる。このアタッチメントは内側が空洞で、2個の開口部を有する。開口部の1つはマウスピースに嵌合し、他方の開口部は先端がとがっており鼻孔に挿入することができる。
このアタッチメントは従来のスプレー式点鼻薬の噴出口の形態であることが好ましい。
このアタッチメントは、マウスピースに取り外し可能に又は取り外しができないよう取り付けられていてもよい。また、この種のアタッチメントはマウスピースの代わりでもよい。
以下の製剤実施例は、一例として示す組成物に本発明の主題を限定することなく、例示を意図するものである。
【0033】
実施例
既に記載のように、式1の化合物はそれ自体公知である方法で調製することができる。一例として記載した、本発明の範囲において好適である化合物を以下に挙げる。即ち、有効成分2と、下記から選択される一般式1で表される化合物とを含む医薬製剤が好適な医薬製剤である。
実施例1:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-メタンスルホネート
実施例2:8-{2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例3:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例 4:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-( エチル 4-フェノキシ-アセテート)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例5:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-フェノキシ-酢酸)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例6:8-{2-[1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチルフェニル)-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例7:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-ヒドロキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例8:6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-イソプロピル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
【0034】
実施例9:8-{2-[2-(4-エチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例10:8-{2-[2-(4-フルオロ-3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例11:8-{2-[2-(4-フルオロ-2-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例12:8-{2-[2-(2.4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例13:8-{2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例14:8-{2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例15:8-{2-[2-(3,5-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-塩酸塩
実施例16:4-(4-{2-[2-ヒドロキシ-2-(6-ヒドロキシ-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[1,4]オキサジン-8-イル)-エチルアミノ]-2-メチル-プロピル}-フェノキシ)-酪酸-酸付加塩
実施例17:8-{2-[2-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-トリフルオロアセテート
【0035】
実施例18:8-{2-[2-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-トリフルオロアセテート
実施例19:8-{2-[2-(4-クロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例20:8-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例21:8-{2-[2-(3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例22:8-{2-[2-(4-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例23:8-{2-[2-(4-フルオロ-2,6-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例24:8-{2-[2-(4-クロロ-2-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例25:8-{2-[2-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例26:8-{2-[2-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
【0036】
実施例27:8-{2-[2-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例28:8-{2-[2-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例29:8-{2-[2-(2.5-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例30:8-{2-[2-(4-フルオロ-3,5-ジメチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例31:8-{2-[2-(3,5-ジクロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例32:8-{2-[2-(4-クロロ-3-メチル-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例33:8-{2-[2-(3.4.5-トリフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
実施例34:8-{2-[2-(3,4-ジクロロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン 酸付加塩
これらは、酸HX(X-が前記に示す定義のいずれかである)との酸付加塩の状態、ならびに、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい。
【0037】
以下の表は、本発明の製剤例をまとめたものである。略号BA-Clは塩化ベンザルコニウムを示し、EDTAはエデト酸二ナトリウム二水和物を表す。
記載の有効成分1及び2.1は塩及び/又は水和物の状態で使用されるが、ここでは1は遊離塩基、2.1は遊離カチオンの質量を基準として規定する。以下の実施例では化合物1は塩酸塩、テトラフルオロ酢酸塩又はメタンスルホン酸塩の状態で使用され、一方、化合物2は臭化物の一水和物として使用される。
A)下表は、塩基及びカチオンを基準とした、実施例1の化合物のR-鏡像異性体と有効成分2.1との本発明による製剤例をまとめたものである。医薬製剤100mlは、精製水又は注射用蒸留水に下記を含む。
【0038】
【表1】

【0039】
B)下表は、塩基及びカチオンを基準とした、実施例3の化合物のR-鏡像異性体と有効成分2.1との本発明による製剤例をまとめたものである。医薬製剤100mlは、精製水又は注射用蒸留水に下記を含む。
【0040】
【表2】

【0041】
C)下表は、塩基及びカチオンを基準とした、実施例7の化合物のR-鏡像異性体と有効成分2.1との本発明による製剤例をまとめたものである。医薬製剤100mlは、精製水又は注射用蒸留水に下記を含む。
【0042】
【表3】

【0043】
D)下表は、塩基及びカチオンを基準とした、実施例9の化合物のR-鏡像異性体と有効成分2.1との本発明による製剤例をまとめたものである。医薬製剤100mlは、精製水又は注射用蒸留水に下記を含む。
【0044】
【表4】

【0045】
E)下表は、塩基及びカチオンを基準とした、実施例14の化合物のR-鏡像異性体と有効成分2.1との本発明による製剤例をまとめたものである。医薬製剤100mlは、精製水又は注射用蒸留水に下記を含む。
【0046】
【表5】

【0047】
F)下表は、塩基及びカチオンを基準とした、実施例17の化合物のR-鏡像異性体と有効成分2.1との本発明による製剤例をまとめたものである。医薬製剤100mlは、精製水又は注射用蒸留水に下記を含む。
【0048】
【表6】

【0049】
G)下表は、塩基及びカチオンを基準とした、実施例1の化合物のR-鏡像異性体と有効成分2.1との本発明による製剤例をまとめたものである。医薬製剤100mlには以下を含む。
【0050】
【表7】

【0051】
【表8】

【0052】
H)下表は、塩基及びカチオンを基準とした、実施例3の化合物のR-鏡像異性体と有効成分2.1との本発明による製剤例をまとめたものである。医薬製剤100mlには以下を含む。
【0053】
【表9】

【0054】
【表10】

【0055】
I)下表は、塩基及びカチオンを基準とした、実施例17の化合物のR-鏡像異性体と有効成分2.1との本発明による製剤例をまとめたものである。医薬製剤100mlには以下を含む。
【0056】
【表11】

【0057】
【表12】

【0058】
J)下表は、塩基及びカチオンを基準とした、実施例13の化合物のR-鏡像異性体と有効成分2.1との本発明による製剤例をまとめたものである。医薬製剤100mlには以下を含む。
【0059】
【表13】

【0060】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として一般式1で表される化合物:
【化1】

(式中、
1は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル又はハロゲンを表し、
2は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル又はハロゲンを表し、
3は、水素、C1-4-アルキル、O-C1-4-アルキル、ハロゲン、OH、-O-C1-4-アルキレン-COOH又はO-C1-4-アルキレン-COO-C1-4-アルキルを表し、
-は1個の負電荷を有するアニオンを示し、好ましくは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp−トルエンスルホネートから選択される1個の負電荷を有するアニオンを示す)の1種以上であって、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい化合物と、チオトロピウム塩、オキシトロピウム塩、フルトロピウム塩、イプラトロピウム塩、グリコピロニウム塩及びトロスピウム塩から選択される更なる有効成分2であって、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい有効成分2と、少なくとも1種の医薬的に許容される酸とを含み、さらに医薬的に許容される他の賦形剤及び/又は錯化剤を含んでもよく、溶媒として水、エタノール又は水とエタノールとの混合物を含む、医薬製剤。
【請求項2】
前記医薬製剤が前記有効成分2と前記一般式1の化合物1種以上とを含み、前記一般式1の化合物が、式中、
1が、水素、メチル、エチル、フッ素又は塩素を表し、
2が、水素、メチル、エチル、フッ素又は塩素を表し、
3が、水素、メチル、エチル、プロピル、OH、メトキシ、エトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOH、O-CH2-COOメチルもしくはO-CH2-COOエチル、-O-CH2-CH2COOH、O-CH2-CH2COOメチルもしくはO-CH2-CH2COOエチル、-O-CH2-CH2-CH2COOH、O-CH2-CH2-CH2COOメチルもしくは-O-CH2-CH2-CH2COOエチルを表し、
-が1個の負電荷を有するアニオンを示し、好ましくは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp−トルエンスルホネートから選択される1個の負電荷を有するアニオンを示す化合物であるか、又はその互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物である、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記医薬製剤が前記有効成分2と前記一般式1の化合物1種以上とを含み、前記一般式の化合物が、式中、
1が水素又はメチルを表し、好ましくは水素を表し、
2が水素又はメチルを表し、好ましくは水素を表し、
3が、メチル、OH、メトキシ、フッ素、塩素、臭素、O-CH2-COOH又は-O-CH2-COOエチルを表し、
-が、塩化物、臭化物、スルフェート、メタンスルホネート、マレエート、アセテート、ベンゾエート、シトレート、サリチレート、トリフルオロアセテート、フマレート、タルトレート及びスクシネートから選択される1個の負電荷を有するアニオンを示す化合物であるか、又はその互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物である、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記有効成分2が臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム又は臭化イプラトロピウムから選択され、その互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記医薬的に許容される酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及びリン酸の無機酸から、あるいは、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、ソルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸の有機酸から選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記医薬製剤のpH値が2.0〜6.5であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記医薬製剤が賦形剤として塩化ベンザルコニウムを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記塩化ベンザルコニウムの量が溶液100mlにつき1〜50mgであることを特徴とする、請求項7記載の医薬製剤。
【請求項9】
遊離塩基1’とカチオン2.1'の量は互いに独立していずれの場合も100mlの溶液につき約0.1〜2000mgであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記医薬製剤が、医薬的に許容される更なる賦形剤として酸化防止剤を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記医薬製剤が、医薬的に許容される更なる賦形剤として、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、ターシャリーブチルヒドロキシキノン及びトコフェロールから選択される酸化防止剤を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記医薬製剤が更に錯化剤を含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記錯化剤の量が溶液100mlにつき0.1〜50mgであることを特徴とする、請求項12記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記医薬製剤が溶媒として純水を含む、請求項1〜13のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記医薬製剤が溶媒として純粋なエタノールを含む、請求項1〜13のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記医薬製剤が溶媒として水とエタノールとの混合物を含む、請求項1〜13のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記医薬製剤が溶媒として水とエタノールとの混合物を含み、エタノールの質量比が5〜99%の範囲であることを特徴とする、請求項16記載の医薬製剤。
【請求項18】
有効成分として式1’で表される遊離塩基:
【化2】

(式中、基R1、R2及びR3は請求項1〜3に示す定義を有する)であって、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい化合物と、チオトロピウム塩、オキシトロピウム塩、フルトロピウム塩、イプラトロピウム塩、グリコピロニウム塩及びトロスピウム塩から選択される更なる有効成分2であって、互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい有効成分2と、少なくとも1種の医薬的に許容される酸とを含み、さらに医薬的に許容される他の賦形剤及び/又は錯化剤を含んでもよく、溶媒として水、エタノール又は水とエタノールとの混合物を含む、医薬製剤。
【請求項19】
前記有効成分2が臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム又は臭化イプラトロピウムから選択され、その互変異性体、鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい、請求項18記載の医薬製剤。
【請求項20】
呼吸器系疾患の治療用医薬組成物を製造するための、請求項1〜19のいずれか1項記載の医薬製剤の使用。
【請求項21】
前記請求項1〜19のいずれか1項記載の医薬製剤と、前記医薬製剤を噴霧するのに適した吸入器とからなる吸入キット。
【請求項22】
前記吸入器がRespimat(登録商標)である、請求項21記載の吸入キット。

【公表番号】特表2009−511542(P2009−511542A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535001(P2008−535001)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067126
【国際公開番号】WO2007/042468
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】