説明

ペニシリウム・カプスラタムアラビノフラノシダーゼ

本発明は、α−L−アラビノフラノシダーゼ活性を有する単離されたポリペプチド、及び前記ペプチドをコードする単離された核酸配列に関する。本発明はまた、前記核酸配列を含んで成る、核酸構造体、ベクター及び宿主細胞、及びポリペプチドの生成方法及び使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、α−L−アラビノフラノシダーゼ活性を有する単離されたポリペプチド、及び前記ペプチドをコードする単離された核酸配列に関する。本発明はまた、前記核酸配列を含んで成る、核酸構造体、ベクター及び宿主細胞、及びポリペプチドの生成方法及び使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
アラビノフラノシダーゼは、α−L−アラビノシドにおける末端の非還元性α−L−アラビノフラノシド残基加水分解でき、そしてEC 3. 2. 1. 55として分類される。
Filhoなど.(Appl. Environ. Microbiol. 1996, Vol. 62, 168-173)は、それぞれ64.5kDa及び62.7kDaの分子量を有する、P. カプスラタムからの2種のα−L−アラビノフラノシダーゼの精製及び特徴を開示する。
アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)からのα−L−アラビノフラノシダーゼ及びその配列は、WO9606935号から既知である。
【発明の開示】
【0003】
発明の要約:
本発明者は現在、驚くべきことには、ペニシリウム・カプスラタム(Penicillium copsulatum)の株からα−L−アラビノフラノシダーゼを単離している。α−L−アラビノフラノシダーゼは、約35kDaのサイズを有する。本発明の成熟アミノ配列は、WO9606935号からのアスペルギラス・ニガーアラビノフラノシダーゼと76%の相同性を有する。本発明者はまた、新規α−L−アラビノフラノシダーゼをコードする遺伝子を単離した。
【0004】
従って、第1の観点においては、本発明は、a)配列番号2で示される成熟ペプチドとしてアミノ酸配列を有するか、又は1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入により、それから得られるポリペプチド;b)i)前記ポリペプチドと少なくとも80%の相同性を有し、ii)前記ポリペプチドの対立遺伝子変異体である、(a)又は(b)で定義されるポリペプチドの類似体;c)成熟ポリペプチド又は少なくとも100個のヌクレオチドを有するその副配列をコードする配列番号2の核酸配列の相補的鎖と、高い緊縮条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされるポリペプチド、であるアラビノフラノシダーゼを供給する。
【0005】
第2の観点においては、本発明は、第1の観点のアラビノフラノシダーゼをコードする核酸配列を含んで成る核酸配列を供給する。
第3の観点においては、本発明は、a)配列番号2で示されるアラビノフラノシダーゼをコードするDNA配列;b)i)前記DNA配列のいずれかと少なくとも80%の相同性を有するか、又はii)前記DNA配列又は少なくとも100個のヌクレオチドを有するその副配列の相補的鎖と高い緊縮性下でハイブリダイズし、又はiii)その対立遺伝子変異体である類似体DNA配列、又はa)又はb)に対する相補的鎖を含んで成る核酸配列を供給する。
【0006】
第4の観点においては、本発明は、配列番号1で示されるDNA配列と少なくとも80%の相同性を有するか、又はa)前記DNA配列、又は少なくとも100個のヌクレオチドを有するその副配列の相補的鎖と高い緊縮性下でハイブリダイズし、b)その対立遺伝子変異体であり、又はa)又はb)に対する相補的鎖である核酸配列を供給する。
第5の観点においては、本発明は、適切な発現宿主において、アラビノフラノシダーゼの発現を指図できる1又は複数の制御配列に操作可能的に結合される第2、第3及び第4の観点の核酸配列を含んで成る核酸構造体を供給する。
【0007】
第6の観点においては、本発明は、第5の観点の核酸構造体を含んで成る組換え発現ベクターを供給する。
第7の観点においては、本発明は、第6の観点の核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞を供給する。
第8の観点においては、本発明は、第7の観点の宿主細胞を、アラビノフラノシダーゼの生成の助けとなる条件下で培養し、そして前記アラビノフラノシダーゼを回収することを含んで成る、アラビノフラノシダーゼの生成方法を供給する。
第9の観点においては、本発明は、前記第1の観点のアラビノフラノシダーゼの使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
発明の特定の記載:
本発明の第1の態様においては、単離されたポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1−328として示されるアミノ酸配列(すなわち、成熟ポリペプチド)と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。本発明の興味ある態様においては、前記ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1−328として示されるアミノ酸配列(この後、“相同ポリペプチド”と称する)と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有する。
【0009】
好ましい態様においては、相同ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1−328として示されるアミノ酸配列とは、5個のアミノ酸、例えば4個のアミノ酸、例えば3個のアミノ酸、2個のアミノ酸、又は1個のアミノ酸により異なるアミノ酸配列を有する。
【0010】
配列の一列整列及び相同性の計算は、当業界において知られているコンピュータープログラム、例えばGCGプログラムパッケージ(Program Manual for the Wisconsin Package, Version 8, August 1994, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, Wisconsin, USA 53711)に提供されるGAPにより適切に決定され得る(Needleman, S.B. and Wunsch, CD., (1970), Journal of Molecular Biology, 48, 443-453)。アミノ酸比較について次の設定が使用される:3.0のGAP創造ペナルティー及び0.1のGAP拡張ペナルティー。相同性決定のためのアミノ酸配列の適切な部分は、成熟ポリペプチドであり、すなわちシグナルペプチドを有さない。
【0011】
好ましくは、本発明のポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1−328として示されるアミノ酸配列、その対立遺伝子変異体、又はアラビノフラノシダーゼ活性を有するそのフラグメントを含んで成る。明白に、本発明のポリペプチドはまた、配列番号2のアミノ酸1−328として示されるアミノ酸配列から成ることもできる。
【0012】
対立遺伝子変異体とは、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子の複数の他の形のいずれかを示す。対立遺伝子変動は、天然においては、突然変異を通して発生し、そして集団内の多形現象をもたらすことができる。遺伝子突然変異はサイレントであり得るか(コードされるポリペプチドの変化が存在しない)、又は変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。ポリペプチドの対立遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子によりコードされるポリペプチドである。
【0013】
本発明の第2の態様においては、単離されたポリペプチドは、(i)配列番号1のヌクレオチド1−987として示される核酸配列の相補的鎖、又は(ii)少なくとも100個のヌクレオチド(i)の副配列と、低い緊縮条件下で、好ましくは中位の緊縮条件下で、より好ましくは高い緊縮条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされる(J. Sambrook, E.F. Fritsch, and T. Maniatus, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d edition, Cold Spring Harbor, New York)。
【0014】
配列番号1のヌクレオチド1−987として示される核酸配列の相補的鎖の副配列は、少なくとも100個のヌクレオチド又は好ましくは少なくとも200個のヌクレオチドであり得る。さらに、前記副配列は、アラビノフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドフラグメントをコードすべきである。前記ポリペプチドはまた、アラビノフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドの対立遺伝子変異体又はフラグメントでもあり得る。
【0015】
配列番号1の核酸配列又はその副配列、並びに配列番号2のアミノ酸配列又はそのフラグメントは、当業界において良く知られている方法に従って、異なった属又は種の株からのアラビノフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAを同定し、そしてクローン化するための核酸プローブを企画するために使用され得る。特に、そのようなプローブは、そこにおける対応する遺伝子を同定し、そして単離するために、標準のサザンブロット方法に従って、興味ある属又は種のゲノム又はcDNAとのハイブリダイゼーションのために使用され得る。
【0016】
そのようなプローブは、完全な配列よりも相当に短いが、しかし少なくとも15個、好ましくは少なくとも25個、及びより好ましくは少なくとも35個の長さのヌクレオチドであるべきである。より長いプローブがまた使用され得る。DNA及びRNAの両プローブが使用され得る。プローブは典型的には、対応する遺伝子を検出するためにラベルされる(例えば、32P, 3H, 35S, ビオチン、又はアビジンにより)。そのようなプローブは、本発明により包含される。
【0017】
従って、そのような他の生物から調製されたゲノムDNAライブラリーは、上記に記載されるプローブとハイブリダイズし、そしてアラビノフラノシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAについてスクリーンされ得る。そのような生物からのゲノム又は他のDNAは、アガロース又はポリアクリルアミドゲル電気泳動、又は当業者に知られている他の分離技法により分離され得る。ライブラリーからのDNA又は分離されたDNAが、ニトロセルロース又は他の適切なキャリヤー材料に移行され、そしてその上に固定され得る。
【0018】
配列番号1、又はその副配列と相同であるクローン又はDNA、又はその副配列を同定するためには、キャリヤー材料がサザンブロットに使用される。本発明のためには、ハイブリダイゼーションは、ヌクレオチド配列が、低い〜高い緊縮条件下で、配列番号1で示される核酸配列、その相補的鎖、又はその副配列に対応するラベルにされた核酸プローブにハイブリダイズすることを示す。核酸プローブがそれらの条件下でハイブリダイズする分子は、X−線フィルムを用いて検出される。
【0019】
もう1つの興味ある態様においては、核酸プローブは、配列番号2の(成熟)ポリペプチドをコードする核酸配列、又はその副配列である。第3の興味ある態様においては、核酸プローブは、配列番号1である。第4の興味ある態様においては、核酸プローブは、配列番号1の成熟ポリペプチドコード領域である。
【0020】
少なくとも100個の長さのヌクレオチドの長さの長いプローブに関して、低い〜高い緊縮条件は、最適には12〜24時間の標準のサザンブロット方法に従っての、5×SSPE、 0.3%SDS、 200μg/ml の剪断され、そして変性されたサケ精子DNA、及び25%ホルムアミド(低い緊縮に関して)、35%ホルムアミド(中位の緊縮に関して)、又は50%ホルムアミド(高い緊縮に関して)における42℃でのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションとして定義される。
【0021】
少なくとも100個の長さのヌクレオチドの長いプローブに関しては、キャリヤー材料は最終的に、2×SSC、 0.2%SDS溶液を用いて、好ましくは少なくとも45℃(非常に低い緊縮)、より好ましくは少なくとも50℃(低い緊縮)、より好ましくは少なくとも55℃(中位の緊縮)、さらにより好ましくは少なくとも60℃(高い緊縮)で、それぞれ15分間、3度洗浄される。
【0022】
約15個〜約70個の長さのヌクレオチドである短いプローブに関しては、緊縮条件は、0.9MのNaCl、0.09Mのトリス−HCl, pH7.6、 6mM のEDTA、 0.5のNP-40, 1×Denhardt’s溶液、1mMのピロリン酸ナトリウム、1mMの一塩基性リン酸ナトリウム、0.1mMのATP及び0.2mgの酵母RNA(ml当たり)における、Bolton and McCarthy(1962、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 48: 1390)に従って計算されたTmよりも約5℃〜約10℃低い温度での標準のサザンブロット方法に従ってのプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、及び後−ハイブリダイゼーション洗浄として定義される。
【0023】
約15個〜約70個の長さのヌクレオチドである短いプローブに関しては、キャリヤー材料は、6×SSC及び0.1%SDSにより15分間、1度、及び6×SSCを用いて、計算されたTmよりも約5℃〜約10℃低い温度でそれぞれ15分間、2度、洗浄される。
上記に示されたように、本発明のポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、又はその成熟ポリペプチドであり得、ここで1又は複数のアミノ酸がもう1つの(他の)アミノ酸により置換されており、1又は複数のアミノ酸が欠失されており、そして/又は1又は複数のアミノ酸が挿入されている。
【0024】
好ましくは、アミノ酸変更は、タンパク質の折りたたみ及び/又は活性に実質的に影響を及ぼさない保存性アミノ酸置換又は挿入;典型的には1〜約30個のアミノ酸の小さな欠失;小さなアミノ−又はカルボキシル−末端延長、例えばアミノ末端メチオニン残基の延長;約20〜25個までの残基の小さなリンカーペプチドの延長;又は実効電荷又は他の機能、例えばポリヒスチジン系、抗原性エピトープ又は結合ドメインを変えることにより精製を促進する小さな延長であるマイナーな性質のものである。
【0025】
保存性置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン及びメチオニン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小さなアミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、及びトレオニン)のグループ内である。一般的に、非活性を変更しないアミノ酸置換は当業界において知られており、そしてたとえば、H. Neurath and R.L. Hill, 1979, The Proteins, Academic Press, New York により記載されている。最も通常生じる交換は次のものである: Ala/Ser, Val/Ile, Asp/Glu, Thr/Ser, Ala/Gly, Ala/Thr, Ser/Asn, Ala/Val, Ser/Gly, Tyr/Phe, Ala/ Pro, Lys/Arg, Asp/Asn, Leu/Ile, Leu/Val, Ala/Glu及びAsp/Gly並びにそれらの逆。
【0026】
一般的に、本発明のポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1−328として示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのアラビノフラノシダーゼ活性の少なくとも20%を有することが好ましい。配列番号2のアミノ酸1−328として示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのアラビノフラノシダーゼ活性の少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、又は少なくとも95%を有するポリペプチドが特に好ましい。
【0027】
配列番号2で示されるα−L−アラビノフラノシダーゼは、約35kDaのサイズを有する。好ましくは、本発明のポリペプチドは、30〜40kDa、より好ましくは32〜36kDa及び最も好ましくは35kDaのサイズを有する。
配列番号2で示されるα−L−アラビノフラノシダーゼは、グリコシドヒドロラーゼファミリー62(GH62)に属する。好ましくは、本発明のポリペプチドは、グリコシドヒドロラーゼファミリー62(GH62)に属するα−L−アラビノフラノシダーゼである。
【0028】
この開示に適用されるグリコンドヒドロラーゼファミリー(GH)の番号付けは、Coutinho, P.M. & Henrissat, B. (1999) CAZy - Carbohydrate-Active Enzymes server at URL: http://afmb.cnrs-mrs.fr/~cazy/CAZY/index.html、又は他方では、Coutinho, P.M. & Henrissat, B. 1999;セルラーゼ及び他の炭水化物−活性酵素のモジュラー構造:結合されたデータベースアプローチの概念をもたらす。
【0029】
本発明のポリペプチドは、いずれかの属の微生物から得られる。本発明のためには、用語“〜から得られる”とは、所定の源に関して本明細書において使用される場合、核酸配列によりコードされるポリペプチドが前記源により、又はその源からの核酸配列が挿入されている細胞により生成されることを意味する。好ましい態様においては、ポリペプチドは細胞外に分泌される。
【0030】
本発明のポリペプチドは、菌類ポリペプチド、及びより好ましくは、糸状菌ポリペプチド、例えばアクレモニウム(Acremonium)、アスペルギラス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、クリプトコーカス(Cryptococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フサリウム(Fusarium)、ヒューミコラ(Humicola)、マグナポリス(Magnaporthe)、ムコル(Mucor)、ミセリオプソラ(Myceliophthora)、ネオカノマスチックス(Neocallimastix)、ネウロスポラ(Neurospora)、パエシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピロミセス(Piromyces)、シゾフィラム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)又はトリコダーマ(Trichoderma)ポリペプチドであり得る。
【0031】
もう1つの好ましい態様においては、ポリペプチドは、アスペルギラス・アキュレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギラス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギラス・ホエチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギラス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギラス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギラス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、フサリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フサリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フサリウム・クロックウェレンズ(Fusarium crookwellense)、フサリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フサリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearium)、フサリウム・グラミナム(Fusarium graminum)、フサリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、フサリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、
【0032】
フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・レチキュラタム(Fusarium reticulatum)、フサリウム・ロゼウム(Fusariumu roseum)、フサリウム・サムブシウム(Fusarium sambucinum)、フサリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フサリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フサリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フサリウム・トルロサム(Fusarium torulosaum)、フサリウム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)又はフサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)、ヒュミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、ヒュミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコル・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオプラソ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ネウロスポラ・クラサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プルプロゲナム(Penicillium purpurogenum)、トリコダーマ・ハルジアナル(Trichoderma harzianum)、トリコダーマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコダーマ・ロンジブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコダーマ・レセイ(Trichoderma reesei)又はトリコダーマ・ビリデ(Trichoderma viride)ポリペプチドである。
【0033】
最も好ましい態様においては、ポリペプチドは、トリココマセアエ科(Trichocomaceae)内の、例えばペニシリウム属内の、例えばP. カプスラタム内の様に、特にペニシリウム・カプスラタム株CBS292.62に由来する。
前述の種に関しては、本発明は完全及び不完全状態の両者、及び他の分類学的同等物、例えばアナモルフを、それらが知られている種の名称にかかわらず、包含することが理解されるであろう。当業者は適切な同等物の正体を容易に理解するであろう。
【0034】
それらの種の株は、次の多くの培養物寄託所から容易に入手できる:American Type Culture Collection (ATCC), Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSM), Centraalbureau Voor Schimmelcaltures (CBS), 及びAgricultural Research Service Patent Culture Collection, Northern Regional Research Center (NRRL)。
【0035】
本発明のポリペプチドが単離されるペニシリウム・カプスラタムの特定株は、受託番号CBS292.62として、Centraalbureau Voor Schimmelcultures (CBS), Uppsalalaan 8, 3584 CT Utrecht, The Netherlands (他方では、 P.O.Box 85167, 3508 AD Utrecht, The Netherlands)から入手できる。
【0036】
さらに、そのようなポリペプチドは、他の源、例えば天然源(例えば、土壌、培養土、水、等)から単離された微生物から、上記プローブを用いて同定され、そして得られる。天然の生息地から微生物を単離する技法は当業界において良く知られている。次に、核酸配列は、もう1つの微生物のゲノム又はcDNAライブラリーを同様にスクリーニングすることによって誘導され得る。ポリペプチドをコードする核酸配列がプローブにより検出されると、配列は当業者に知られている技法を用いることによって同定され、又はクローン化され得る(例えば、Sambrook など.,1989年、前記を参照のこと)。
【0037】
本発明の核酸配列によりコードされるポリペプチドはまた、もう1つのポリペプチドが前記ポリペプチド又はフラグメントのN−末端又はC−末端で融合されている、融合された又は切断可能な融合ポリペプチドも包含することができる。融合されたポリペプチドは、1つのポリペプチドをコードする核酸配列(又はその一部)を、本発明の核酸配列(又はその一部)に融合することによって生成される。融合ポリペプチドを生成するための技法は、当業界において知られており、そしてポリペプチドをコードするコード配列を、それらが整合して存在し、そして融合されたポリペプチドの発現が同じプロモーター及びターミネーターの制御下にあるよう、連結することを包含する。
【0038】
核酸配列
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸配列にも関する。
1つの興味ある態様においては、核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1−987として示される核酸配列と、少なくとも80%の同一性を有する。好ましくは、核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1−987として示される核酸配列と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有する。本発明のもう1つの興味ある態様においては、核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1−987、その対立遺伝子変異体、又は本発明のポリペプチドをコードできるそのフラグメントとして示されるアミノ酸配列を含んで成る。明らかに、核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド1−987として示されるアミノ酸配列から成る。
【0039】
本発明はまた、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は遺伝子コードの縮重により配列番号1とは異なる、その成熟ポリペプチドをコードする核酸配列も包含する。本発明はまた、アラビノフラノシダーゼ活性を有する配列番号2のフラグメントをコードする配列番号1の副配列にも関する。
配列番号1の副配列は、配列番号1のヌクレオチド1−987により包含される核酸配列(但し、5’及び/又は3’末端からの1又は複数のヌクレオチドが欠失されている)である。
【0040】
本発明はまた、(i)配列番号1のヌクレオチド1−987として示される核酸配列のいずれかの相補的鎖、又は(ii)少なくとも100個のヌクレオチドの(i)の副配列と、低い緊縮条件下で、好ましくは中位の緊縮条件下で、より好ましくは高い緊縮条件下でハイブリダイズする、本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸配列にも関する。本発明はまた、(i), (ii)及び(iii)の相補的鎖にも関する。
【0041】
ポリペプチドをコードする核酸配列を単離し、又はクローン化するために使用される技法は、当業界において知られており、そしてゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、又はそれらの組み合わせを包含する。そのようなゲノムDNAからの本発明の核酸配列のクローニングは、例えば良く知られているポリメラーゼ鎖反応(PCR)、又は共有する構造特徴を有するクローン化されたDNAフラグメントを検出するために発現ライブラリーの抗体スクリーニングを用いることによってもたらされ得る。例えば、Innisなど., 1990, PCR: A Guide to Methods and Application; Academic Press, New York を参照のこと。他の核酸増幅方法、例えばリガーゼ鎖反応(LCR)、連結された活性化転写(LAT)及び核酸配列に基づく増幅(NASBA)が使用され得る。核酸配列は、ペニシリウム・カプスラタム株、又はもう1つの又は関連する生物からクローン化され得、そして従って、核酸配列のポリペプチドコード領域の対立遺伝子又は種変異体であり得る。
【0042】
単離された核酸配列は、それが再生されるであろう異なった部位にその天然の位置から核酸配列を再配置するために遺伝子工学に使用される標準のクローニング方法により得られる。クローニング方法は、ポリペプチドをコードする核酸配列を含んで成る所望する核酸フラグメントの切除及び単離、ベクター分子中へのフラグメントの挿入、及び核酸配列の複数コピー又はクローンが複製されるであろう宿主細胞中への組換えベクターの組み込みを包含する。核酸配列は、ゲノム、cDNA, RNA, 半合成、合成起源、又はそれらのいずれかの組み合わせのものであり得る。
本発明のためには、2種の核酸配列間の同一性の程度は、上記のようにして決定される。
【0043】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の修飾は、そのポリペプチドに実質的に類似するポリペプチドの合成のために必要である。用語、ポリペプチドに“実質的に類似する”とは、ポリペプチドの天然に存在しない形を言及する。それらのポリペプチドは、その天然源から単離されたポリペプチドとは、いくつかの構築された態様で異なり、例えば非活性、熱安定性、pH最適性又は同様のものにおいて異なる変異体であり得る。
【0044】
変異体配列は、配列番号1のポリペプチドコード部分として提供される核酸配列、例えばその副配列に基づいて、及び/又は核酸配列によりコードされるポリペプチドのもう1つのアミノ酸配列を生ぜしめないが、しかしポリペプチドの生成のために意図された宿主生物のコドン使用法に対応するヌクレオチド置換の導入により、又は異なったアミノ酸配列を生ぜしめることができるヌクレオチド置換の導入により構成され得る。ヌクレオチド置換の一般的記載のためには、Fordなど., 1991, Protein Expression and Purification 2:95-107を参照のこと。
【0045】
そのような置換は、分子の機能に対して決定的である領域外で行われ、そしてさらに活性ポリペプチドをもたらすことは、当業者に明らかであろう。本発明の単離された核酸配列によりコードされるポリペプチドの活性に必須であり、そして従って、好ましくは置換を受けやすくないアミノ酸残基は、当業界において知られている方法、例えば特定部位の突然変異誘発又はアラニン−走査突然変異誘発に従って同定され得る(例えば、Cunningham and Wells, 1989, Science 244: 1081-1085を参照のこと)。
【0046】
後者の技法においては、突然変異は分子における正に荷電された残基ごとに導入され、そしてその得られる変異体分子は、分子の活性に対して決定的であるアミノ酸残基を同定するためにアラビノフラノシダーゼ活性について試験される。基質−酵素相互作用の部位はまた、核磁気共鳴分析、クリスタログラフィー又は光親和性ラベリングのような技法により決定されるように、立体構造体の分析により決定され得る(例えば、de Vos など., 1992, Science 255: 306-312; Smith など., 1992, Journal of Molecular Biology 224: 899-904; Wlodaver など., 1992, FEBS Letters 309: 59-64を参照のこと)。
【0047】
核酸構造体
本発明はまた、適切な発現宿主において、ポリペプチドの発現を指図できる1又は複数の制御配列に操作可能的に結合される本発明の核酸配列を含んで成る核酸構造体にも関する。
本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸配列は、ポリペプチドの発現を提供するために種々の手段で操作され得る。ベクター中へのその挿入の前、核酸配列の操作は、発現ベクターに依存して、所望されるか又は必要とされる。組換えDNA方法を用いて核酸配列を修飾するための技法は、当業界において良く知られている。
【0048】
制御配列は、本発明のポリペプチドの発現のために必要であるか、又はそのために好都合であるすべての成分を包含するよう定義される。個々の制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列に対して生来であっても又は外来性であっても良い。そのような制御配列は、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネーターを包含するが、但しそれらだけには限定されない。最少で、制御配列は、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを包含する。制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域と制御配列との連結を促進する特定の制限部位を導入するためにリンカーを提供され得る。
【0049】
制御配列は、適切なプロモーター配列、すなわち核酸配列の発現のために宿主細胞により認識される核酸配列であり得る。プロモーター配列は、ポリペプチドの発現を仲介する転写制御配列を含む。プロモーターは、宿主細胞において転写活性を示すいずれかの核酸配列、例えば変異体の、切断された、及びハイブリッドのプロモーターであり得、そして宿主細胞に対して相同であるか又は異種である細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られる。
【0050】
特に細胞宿主細胞において本発明の核酸構造体の転写を方向づけるための適切なプロモーターの例は、E.コリlacオペロン、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子(dagA)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)Lバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)α−アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)マルトゲン性アミラーゼ遺伝子(amyM)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliguefaciens) α−アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バチルス・リケニホルミスペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バチルス・サブチリスxylA及びzylB遺伝子及び原生動物のβ−ラクタマーゼ遺伝子から得られるプロモーター(Villa−Kamaroffなど., 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 3727-3731)、及びtac プロモーター(De Boer など., 1983, Proceedings of the National Academy of Science USA 80: 21-25)である。さらなるプロモーターは、“Useful proteins from recombinant bacteria” in Scientific American, 1980, 242: 74-94; 及びSambrookなど., 1989, 前記に記載される。
【0051】
糸状菌宿主細胞における本発明の核酸構造体の転写を方向づけるための適切なプロモーターの例は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・アワモリグルコアミラーゼ(glaA)、リゾムコル・ミエヘイリパーゼ、アスペルギラス・オリザエ アルカリプロテアーゼ、アスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼ、アスペルギラス・ニジュランスアセトアミダーゼ、及びフサリウム・オキシスポラムトリプシン様プロテアーゼ(WO96/00787号)、並びにNA2-tpiプロモーター(アスペルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ及びアスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼをコードする遺伝子からのプロモーターのハイブリッ)ド、及びそれらの変異体の切断され、及びハイブリッドのプロモーターである。
【0052】
酵母宿主においては、有用なプロモーターは、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセス・セレビシアエガラクトキナーゼ(GAL1)、サッカロミセス・セレビシアエアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)、及びサッカロミセス・セレビシアエ3−ホスホグリセレートキナーゼから得られる。酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは、Romunosなど., 1992, Yeast8:423−488により記載される。
【0053】
制御配列はまた、適切な転写ターミネーター配列、すなわち転写を終結するために宿主細胞により認識される配列でもあり得る。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の3’側末端に操作可能的に連結される。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのターミネーターが本発明において使用され得る。
【0054】
糸状菌宿主細胞のための好ましいターミネーターは、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、アスペルギラス・ニジュランスアントラニル酸シンターゼ、アスペルギラス・ニガーα−グルコシダーゼ及びフサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼについての遺伝子から得られる。
【0055】
酵母宿主細胞のための好ましいターミネーターは、サッカロミセス・セレビシアエエノラーゼ、サッカロミセス・セレビシアエチトクロムC(CYC1)、及びサッカロミセス・セレビシアエグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼについての遺伝子から得られる。酵母宿主細胞のための他の有用なターミネーターは、Romanosなど., 1992, 前記により記載される。
【0056】
制御配列はまた、適切なリーダー配列、すなわち宿主細胞による翻訳のために重要であるmRNAの非翻訳領域でもあり得る。リーダー配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の5’末端に操作可能的に連結される。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのリーダー配列が、本発明において使用され得る。
糸状菌宿主細胞のための好ましいリーダーは、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニジュランストリオースリン酸イソメラーゼについての遺伝子から得られる。
【0057】
酵母宿主細胞のための適切なリーダーは、サッカロミセス・セレビシアエエノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセル・セレビシアエ3−ホスホグリセレートキナーゼ、サッカロミセス・セレビシアエα−因子及びサッカロミセス・セレビシアエアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)についての遺伝子から得られる。
【0058】
制御配列はまた、ポリアデニル化配列、すなわち核酸配列の3’末端に操作可能に連結され、そして転写される場合、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加するためにシグナルとして宿主細胞により認識される配列でもあり得る。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのポリアデニル化配列が,本発明において使用される。
【0059】
糸状菌宿主細胞のための好ましいポリアデニル化配列は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、アスペルギキラス・ニジュランスアントラニル酸シンターゼ、フサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼ及びアスペルギラス・ニガーα−グルコシダーゼについての遺伝子から得られる。
酵母宿主細胞のための有用なポリアデニル化配列は、Guo and Sherman, 1995, Molecular Cellular Biology 15: 5983-5990により記載されている。
【0060】
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端に連結されるアミノ酸配列をコードし、そしてそのコードされたポリペプチドを細胞の分泌路中に方向づけるシグナルペプチドコード領域でもあり得る。核酸配列のコード配列の5’側末端は、本来、分泌されたポロペプチドをコードするコード領域のセグメントと翻訳読み取り枠を整合して、天然において連結されるシグナルペプチドコード領域を含むことができる。他方では、コード配列の5’側末端は、そのコード配列に対して外来性であるシグナルペプチドコード領域を含むことができる。そのコード配列が天然において、シグナルペプチドコード領域を含まない外来性シグナルペプチドコード領域が必要とされる。他方では、外来性シグナルペプチドコード領域は、ポリペプチドの増強された分泌を得るために、天然のシグナルペプチドコード領域を単純に置換することができる。しかしながら、分泌路中に発現されたポリペプチドを方向づけるいずれかのシグナルペプチドコード領域が、本発明に使用され得る。
【0061】
細菌宿主細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域は、バチルスNCIB11837マルトゲン性アミラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィラスα−アミラーゼ、バチルス・リケニホルミススブチリシン、バチルス・リケニホルミスβ−ラクタマーゼ、バチルス・アステロサーモフィラス中性プロテアーゼ(nprT, nprS, nprM)、及びバチルス・スブチリスprsAについての遺伝子から得られるシグナルペプチド領域である。追加のシグナルペプチドは、Sinomen and Palva, 1993, Microbiological Reviews 57: 109-137 により記載される。
【0062】
糸状菌宿主細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガー中性アミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイアスペラギン酸プロテイナーゼ、ヒューミコラ・インソレンスセルラーゼ及びヒューミコラ・ラヌギノサリパーゼについての遺伝子から得られたシグナルペプチドコート領域である。
【0063】
酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドは、サッカロミセス・セレビシアエα−因子及びサッカロミセル・セレビシアエインバーターゼについての遺伝子から得られる。他の有用なシグナルペプチドコード領域は、Romanos など., 1992, 前記により記載される。
【0064】
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端で位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域であり得る。得られるポリペプチドは、プロ酵素又はプロポリペプチド(又は多くの場合、チモーゲン)として知られている。プロポリペプチドは一般的に不活性であり、そしてプロポリペプチドからプロペプチドの触媒又は自己触媒分解により成熟した活性ポリペプチドに転換され得る。プロペプチドコード領域は、バチルス・サブチリスアルカリプロテアーゼ(aprE)、バチルス・サブチリス中性プロテアーゼ(nprT)、サッカロミセス・セレビシアエα−因子、リゾムコル・ミエヘイ アスパラギン酸プロテイナーゼ遺伝子、及びミセリオプソラ・サーモフィリア ラッカーゼについての遺伝子から得られる(WO95/33836号)。
【0065】
シグナルペプチド及びプロペプチド領域の両者がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、そのプロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の次に位置し、そしてシグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の次に位置する。
【0066】
宿主細胞の増殖に関して、ポリペプチドの発現の調節を可能にする調節配列を付加することがまた所望される。調節システムの例は、調節化合物の存在を包含する、化学的又は物理的刺激に応答して、遺伝子の発現の開始又は停止を引き起こすそれらのシステムである。原核生物系における調節システムは、lac, tac及びtrpオペレーターシステムお包含する。酵母においては、ADH2システム又はGAL1システムが使用され得る。
【0067】
糸状菌においては、TAKAα−アミラーゼプロモーター、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼプロモーター及びアスペルギラス・オリザエグルコアミラーゼプロモーターが、調節配列として使用さえ得る。調節配列の他の列は、遺伝子増幅を可能にするそれらの配列である。真核システムにおいては、それらはメトトレキセートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、及び重金属と共に増幅されるメタロチオネイン遺伝子を包含する。それらの場合、ポリペプチドをコードする核酸配列が、調節配列により操作可能的に連結される。
【0068】
発現ベクター
本発明はまた、本発明の核酸配列、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを含んで成る組換え発現ベクターにも関する。上記の種々の核酸及び制御配列は、1又は複数の便利な制限部位でポリペプチドをコードする核酸配列の挿入又は置換を可能にするためにそれらの部位を含むことができる組換え発現ベクターを生成するために一緒に連結され得る。他方では、本発明の核酸配列は、前記核酸配列又は前記配列を含んで成る核酸構造体を、発現のための適切なベクター中に挿入することによって発現され得る。発現ベクターを創造する場合、そのコード配列はベクターに位置し、その結果、コード配列は発現のための適切な制御配列により操作可能的に連結される。
【0069】
組換え発現ベクターは、組換えDNA方法に便利にゆだねられ得、そして核酸配列の発現をもたらすことができるいずれかのベクター(例えば、プラスミド又はウィルス)であり得る。ベクターの選択は典型的には、ベクターが導入される予定である宿主細胞とベクターとの適合性に依存するであろう。ベクターは、線状又は閉環された環状プラスミドであり得る。
【0070】
ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち染色体存在物として存在するベクター(その複製は染色体複製には無関係である)、例えばプラスミド、染色体外要素、ミニクロモソーム又は人工染色体であり得る。ベクターは自己複製を確かめるためのいずれかの手段を含むことができる。他方では、ベクターは、糸状菌細胞中に導入される場合、ゲノム中に組み込まれ、そしてそれが組み込まれている染色体と一緒に複製されるベクターであり得る。さらに、宿主細胞のゲノム中に導入される全DNA又はトランスポゾンを一緒に含む、単一のベクター又はプラスミド、又は複数のベクター又はプラスミドが使用され得る。
【0071】
本発明のベクターは好ましくは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする1又は複数の選択マーカーを含む。選択マーカーは、1つの遺伝子であり、その生成物は、殺生物剤又はウィルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求性に対する原栄養要求性、及び同様のものを提供する。細菌選択マーカーの例は、バチルス・サブチリス又はバチルス・リケニホルミスからのdal遺伝子、又は抗生物質耐性、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性を付与するマーカーである。酵母宿主細胞のための適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1及びURA3である。
【0072】
糸状菌宿主細胞に使用するための選択マーカーは、次の群から選択されるが、但しそれらだけには限定されない;amdS (アセトアミダーゼ)、argB (オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar (ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hygB (ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD (硝酸レダクターゼ)、pyrG (オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC (硫酸アデニルトランスフェラーゼ) 及びtrpC (アントラニル酸シンターゼ)、並びにそれらの同等物。アスペルギラス・ニジュランス又はアスペルギラス・オリザエのamdS及びpyrG遺伝子及びストレプトミセス・ヒグロスコピカスのbar遺伝子が、アスペルギラス細胞への使用のために好ましい。
【0073】
本発明のベクターは好ましくは、宿主細胞ゲノム中へのベクターの安定した組み込み、又は細胞のゲノムに無関係に細胞におけるベクターの自律的複製を可能にする要素を含む。
【0074】
宿主細胞のゲノム中への組み込みのためには、ベクターは、相同又は非相同組換えによるゲノム中へのベクターの安定した組み込みのためのベクター中のポリペプチド、又はいずれか他の要素をコードする核酸配列に依存する。追加の核酸配列は、染色体における正確な位置での宿主細胞ゲノム中へのベクターの組込みを可能にする。正確な位置での組み込みの可能性を高めるために、組み込み要素は好ましくは、相同組換えの可能性を高めるためにその対応する標的配列と高い相同である十分な数の核酸、例えば100〜15、00個の塩基対、好ましくは400〜15、00個の塩基対、及び最も好ましくは800〜15、00個の塩基対を含むべきである。組み込み要素は、宿主細胞のゲノムにおける標的配合と相同であるいずれかの配列であり得る。さらに、組み込み要素は、非コード又はコード核酸配列であり得る。他方では、ベクターは非相同組換えにより宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得る。
【0075】
自律複製のためには、ベクターはさらに、問題の宿主細胞においてのベクターの自律的な複製を可能にする複製の起点を含んで成る。複製の細菌起点の例は、E.コリにおける複製を可能にするプラスミドpBR322, pUC19, pACYC177及びpACYC184, 及びバチルスにおける複製を可能にするpUB110, pE194, pTA1060及びpAMβ1の複製の起点である。酵母宿主細胞への使用のための複製の起点の例は、複製の2ミクロン起点、すなわちARS1, ARS4, ARS1及びCEN3の組み合わせ、及びARS4及びCEN6の組み合わせである。複数の起点は、宿主細胞においてその機能を温度感受性にする突然変異を有する起点であり得る(Ehrlich, 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 1433を参照のこと)。
【0076】
本発明の核酸配列の1以上のコピーが、遺伝子生成物の生成を高めるために宿主細胞中に挿入され得る。核酸配列のコピー数の上昇は、宿主細胞ゲノム中に配列の少なくとも1つの追加のコピーを組み込むことによって、又は核酸配列と共に増幅可能な選択マーカー遺伝子を含むことによって得られ、ここで細胞は選択マーカー遺伝子の増幅されたコピーを含み、そしてそれにより、核酸配列の追加のコピーが、適切な選択剤の存在下で前記細胞を培養することによって選択され得る。
本発明の組換え発現ベクターを構成するために上記要素を連結するために使用される方法は、当業者に良く知られている(例えば、Sambrookなど., 1989, 前記を参照のこと)。
【0077】
宿主細胞
本発明はまた、ポリペプチドの組換え生成において都合良く使用される、本発明の核酸配列を含んで成る組換え宿主にも関する。
本発明の核酸配列を含んで成るベクターは、そのベクターが染色体組み込み体として、又は前記のような自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞中に導入される。宿主細胞の選択は、ポリペプチドをコードする遺伝子及びその源に、かなりの程度依存するであろう。
宿主細胞は、単細胞微生物、例えば原核生物、又は単細胞微生物、真核生物であり得る。
【0078】
有用な単細胞微生物は、細菌細胞、例えば次のグラム陽性細菌バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウシ(Bacillus clausii)、バチルス・コアギランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、又はストレプトミセス細胞、例えばストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)又はストレプトミセス・ムリナス(Streptomyces murinus)、又は次のグラム陰性細菌:E.コリ及びプソイドモナスsp.(但し、それらだけには限定されない)である。好ましい態様においては、細菌宿主細胞は、バチルス・レンタス、バチルス・リケニホルミス、バチルス・ステアロサーモフィラス又はバチルス・サブチリス細胞である。もう1つの好ましい態様においては、バチルス細胞は、好アルカリ性バチルスである。
【0079】
細菌宿主細胞中へのベクターの導入は例えば、コンピテント細胞(例えば、Young and Spizizin, 1961, Journal of Bacteriology 81: 823-829, 又はDubnau and Davidoff-Abelson, 1971, Journal of Molecular Biology 56: 209-221 を参照のこと)を用いてプロトプラスト形質転換(例えば、Changand Cohen, 1979, Molecular General Genetics 168: 111-115)、エレクトロポレーション(例えば、Shigekawa and Dower, 1988, Biotechniques 6: 742-751を参照のこと)又は接合(例えば、Koehler and Thorne, 1987, Journal of Bacteriology 169: 5771-5278を参照のこと)によりもたらされ得る。
【0080】
宿主細胞は、真核生物、例えば哺乳類、昆虫、植物、又は菌類細胞であり得る。好ましい態様においては、宿主細胞は菌類細胞である“菌類”とは、本明細書において使用される場合、門アスコミコタ(Ascomycota)、バシジオミコタ(Basidiomycota)、キトリジオミコタ(Chytridiomycota)及びヅイゴミコタ(Zygomycota)(Hawksworth など., Ainsworth and Bisby’s Dictionary of the Fungi, 8th edition, 1995, CAB International, University Press, Cambridge, UKにより定義される)、及びオーミコタ(Oomycota)(Hawksworth など., 1995, 前記、171ページに引用される)、並びに栄養胞子菌(Hawksworh など., 1995, 前記)を包含する。
【0081】
より好ましい態様においては、菌類宿主細胞は酵母細胞である“酵母”とは、本明細書において使用される場合、子嚢胞子酵母(Endomycetals)、担子胞子酵母、及び不完全菌類(Blastomycetes)に属する酵母を包含する。酵母の分類は未来において変化し得るので、本発明のためには、酵母は、Biology and Activities of Yeast (Skinner, F.A., Passmore, S.M., and Davenport, R.R., eds. Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9, 1980) に記載のようにして定義されるであろう。
【0082】
さらにより好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hunsenula)、クレベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)又はヤロウィア(Yarrowia)である。
【0083】
最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、サッカロミセス・カルスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyses cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイビリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensisi)、又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、クルベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)である。もう1つの最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)細胞である。
【0084】
もう1つのより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は糸状菌細胞である。“糸状菌”とは、ユーミコタ(Eumycota)及びオーミコタ(Oomycota)のすべての糸状形を包含する(Hawksworthなど., 1995, 前記により定義されるような)。糸状菌は一般的に、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン及び他の複合多糖類から構成される菌子体壁により特徴づけられる。成長増殖は、菌子拡張によってであり、そして炭素代謝は絶対好気性である。対照的に、酵母、例えばサッカロミセス・セレビシアエによる成長増殖は、単細胞葉状体の発芽によってであり、そして炭素代謝は発酵性である。
【0085】
さらにより好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギラス(Aspergillus)、フサリウム(Fusarium)、ヒューミコラ(Humicola)、ムコル(Mucor)、ミセリオプソラ(Myceliophthora)、ネウロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicilium)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、又はトリコダーマ(Trichoderma)の種の細胞であるが、但しそれらだけには限定されない。
【0086】
最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アスペルギラス・アワモリ、アスペルギラス・ホエチダス、アスペルギラス・ジャポニカ、アスペルギラス・ニジュランス、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・オリザエ細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、フサリウム・バクトリジオイデス、フサリウム・クロックウェレンズ 、フサリウム・セレアリス、フサリウム・クルモラム、フサリウム・グラミネアラム、フサリウム・グラミナム、フサリウム・ヘテロスポラム、フサリウム・ネグンジ、フサリウム・オキシスポラム、フサリウム・レチキュラタム、フサリウム・ロゼウム、フサリウム・サムブシウム、フサリウム・サルコクロウム、フサリウム・ソラニ、フサリウム・スポロトリキオイデス、フサリウム・スルフレウム、フサリウム・トルロサム、フサリウム・トリコセシオイデス又はフサリウム・ベネナタム細胞である。
【0087】
さらに最も好ましい態様においては、糸状菌親宿主細胞は、フサリウム・ベネナタム(Nirenberg sp. Nov.)細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、ヒューミコラ・インソレンス、ヒューミコラ・ラヌギノサ、ムコル・ミエヘイ、ミセリオプソラ・サーモフィリア、ネウロスポラ・クラサ、ペニシリウム・プルプロゲナム、チエラビア・テレストリス、トリコダーマ・ハルジアナム、トリコダーマ・コニンギ、トリコダーマ・ロンジブラキアタム、トリコダーマ・レセイ又はトリコダーマ・ビリデ細胞である。
【0088】
菌類細胞は、プロトプラスト形質転換、プロトプラストの形質転換、及びそれ自体知られている態様での細胞壁の再生を包含する工程により形質転換され得る。アスペルギラス宿主細胞の形質転換のための適切な方法は、ヨーロッパ特許第238023号及びYeltonなど., 1984, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81; 1474-1874に記載される。フラリウム種を形質転換するための適切な方法は、Malardierなど., 1989, Gene78: 147-156, 及びWO96/00787号により記載される。酵母は、Becker and Guarente. In Abelson, J.N. and Simon, M.I., editors, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology, Volume 194, pp 182-187, Academic Press, Inc., New York; Ito など, 1983, Journal of Bacteriology 153: 163; 及びHinnen など, 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75; 1920により記載される方法を用いて形質転換され得る。
【0089】
生成方法
本発明はまた、(a)ポリペプチドを含んで成る上清液を生成するために、ペニシリウム属からの株を培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る、本発明のポリペプチドの生成方法にも関する。好ましくは、前記株は、ペニシリウム・カプスラタムのものである。
本発明はまた、(a)ポリペプチドの生成を助ける条件下で組換え宿主細胞を培養し;そして(b)ポリペプチドを回収することを含んで成る、本発明のポリペプチドを生成するための方法にも関する。
【0090】
本発明の生成方法においては、細胞は、当業界において知られている方法を用いて、ポリペプチドの生成のために適切な栄養培地において培養される。例えば、細胞は、ポリペプチドの発現及び/又は単離を可能にする、適切な培地において、及び条件下で行われる実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、又は団体状態発酵を包含する)により培養され得る。培養は、炭素及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において、当業界において知られている方法を用いて行われる。適切な培地は、市販されているか、又は公開されている組成(例えば、American Type Culture Collection のカタログにおける)に従って調製され得る。ポリペプチドが栄養培地に分泌される場合、ポリペプチドは培地から直接的に回収され得る。ポリペプチドが分泌されない場合、それは細胞溶解物から回収され得る。
【0091】
ポリペプチドは、そのポリペプチドに対して特異的である、当業界において知られている方法を用いて検出され得る。それらの検出方法は、特定の抗体の使用、酵素生成物の形成、又は酵素基質の消出を包含する。例えば、酵素アッセイは、本明細書に記載されるようなポリペプチドの活性を決定するために使用され得る。
得られるポリペプチドは、当業界において知られている方法により回収され得る。例えば、ポリペプチドは、従来の方法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧−乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から回収され得る。
【0092】
本発明のポリペプチドは、当業界において知られている種々の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、分離用等電点電気泳動)、示差溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS−PAGE又は抽出(但し、それらだけには限定されない)により精製され得る(例えば、Protein Purification, J.C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publlishers, New York, 1989を参照のこと)。
【0093】
植物における酵素の発現
興味あるポリペプチド、例えば本発明のアラビノフラノシダーゼをコードするDNA配列は、下記のようにしてトランスジェニック植物において形質転換され、そして発現され得る。
【0094】
トランスジェニック植物は、双子葉植物又は単子葉植物であり得る。単子葉植物の例は、草、例えば湿潤地の草本(ブルーグラス、イチゴツナギ属)、飼草、例えばウシノケグサ、ドクムギ、温帯性草本、例えばヌカボ、及び穀類、例えば小麦、オート麦、ライ麦、イネ、モロコシ、ライコムギ(小麦(Triticum)及びライ麦(Secale)の安定化されたハイブリッド)及びトウモロコシ(サトウモロコシ)である。
【0095】
双子葉植物の例は、タバコ、マメ科植物、例えばルピナス、ジャガイモ、砂糖大根、エンドウ、インゲン豆及び大豆、及びアブラナ科植物(ブラシカセアエ科(Brassicaceae))、例えばカリフラワー、ナタネ種子及び密接に関連するモデル生物アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)である。
【0096】
植物部分の例は、茎、カルス、葉、根、果物、種子及び塊茎、並びにそれらの部分を含んで成る個々の組織、例えば表皮、葉肉、柔組織、維管束組織、分裂組織である。また特定の植物細胞区画、例えばクロロプラスト、アポプラスト、ミトコンドリア、液胞、ペルオキシゾーム及び細胞質が、植物部分であると思われる。さらに、組織起源が何であろうと、いずれの植物細胞でも、植物部分であると思われる。同様に、植物部分、例えば本発明の利用を促進するために単離された特定の組織及び細胞はまた、植物部分、例えば胚、内生精子、アリューロン及び被膜であると思われる。
そのような植物、植物部分及び植物細胞の子孫はまた、本発明の範囲内に包含される。
【0097】
本発明のポリペプチドを発現するトランスジェニック植物又は植物細胞は、当業界において知られている方法に従って構成され得る。手短には、植物又は植物細胞は、本発明のポリペプチドをコードする、1又は複数の発現構造体を、植物宿主ゲノム中に導入し、そして得られる修飾された植物又は植物細胞をトランスジェニック植物又は植物細胞中に成長せしめることによって構成される。
【0098】
便利には、発現構造体は、選択の植物又は植物における興味あるポリペプチドをコードする遺伝子の発現のために必要とされる適切な調節配列により操作可能的に連結される前記遺伝子を含んで成るDNA構造体である。さらに、発現構造体は、発現構造体が組み込まれている宿主細胞を同定するために有用な選択マーカー、及び問題の植物中への構造体の導入のために必要なDNA配列を含んで成る(後者は、使用されるDBA導入方法に依存する)。
【0099】
調節配列、例えばプロモーター及びターミネーター配列、及び任意には、シグナル又は遷移配列の選択は、ポリペプチドがいつ、どこで及びいかにして、発現されるかの所望に基づいて決定される。例えば、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の発現は、構造的又は誘発的であり、又は進行的、段階的又は組織特異的であり、そして遺伝子生成物は特定の組織又は植物部分、たとえば種子又は葉に標的化され得る。調節配列は、たとえばTague など., Plant Phys., 86: 506, 1988により記載されている。
【0100】
構成的発現のために、35S−CaMVプロモーター、トウモロコシユビキチン1及びイネアクチン1プロモーターが使用され得る(Franck など. 1980. Cell 21 : 285-294, Christensen AH, Sharrock RA and Quail 1992. Maize polyubiquitin genes: structure, thermal perturbation of expression and transcript splicing, and promoter activity following transfer to protoplasts by electroporation. Plant Mo. Biol. 18, 675-689.; Zhang W, McElroy D. and Wu R 1991 , Analysis of rice Act1 5' region activity in transgenic rice plants. Plant Cell 3, 1155-1165)。
【0101】
器官特異的プロモーターは例えば、貯蔵吸込み組織、例えば種子、ジャガイモ塊茎及び果物(Edwards & Coruzzi, 1990, Ann. Rev. Genet. 24: 275-303)、又は代謝吸込み組織、例えば分裂組織(Ito など., 1994, Plant Mol. Biol. 24: 863-878)からのプロモーター、種子特異的プロモーター、例えばイネからのグルテリン、プロラミン、グロブリン又はアルブミンプロモーター(Wu など., 1998, Plant and Cell Physiology 39: 885- 889)、Vicia fabaからのレグニンB4及び未知の種子タンパク質遺伝子からのVicia fabaプロモーター(Conrad など., 1998, Journal of Plant Physiology 152: 708-711)、種子油体タンパク質からのプロモーター(Chen など., 1998, Plant and Cell Physiology 39: 935-941)、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)からの貯蔵タンパク質napAプロモーター又は当業界において知られている、例えばWO91/14772号に記載されるようないずれか他の種子特異的プロモーターであり得る。
【0102】
さらに、プロモーターは、葉特異的プロモーター、例えばイネ又はトマトからのrbcsプロモーター(Kyozuka など., 1993, Plant Physiology 102: 991-1000)、クロレラウィルスアデニンメチルトランスフェラーゼ遺伝子プロモーター(Mitra and Higgins, 1994, Plant Molecular Biology 26: 85-93)、又はイネからのaldP遺伝子プロモーター(Kagaya など., 1995, Molecular and General Genetics 248: 668-674)、又は創傷誘発性プロモーター、例えばジャガイモpin2プロモーター(Xu など., 1993, Plant Molecular Biology 22 : 573-588)であり得る。同様に、プロモーターは、非生物学的処理、例えば温度、渇水又は塩分の変更により誘発できるか、又はプロモータを活性化する外部的に適用される物質、例えばエタノール、エストロゲン、植物ホルモン様エチレン、アブシジン酸、ジベレリン酸及び/又は重金属により誘発できる。
【0103】
プロモーターエンハンサー要素がまた、植物における酵素のより高い発現を達成するために使用され得る。例えば、プロモーターエンハンサー要素は、プロモーターと、前記酵素をコードするヌクレオチド配列との間に位置するイントロンであり得る。例えば、Xuなど., 1993(前記)は、発現を増強するためへのイネアクチン1遺伝子の最初のイントロンの使用を開示する。
【0104】
発現構造体の選択マーカー遺伝子及びいずれか他の部分は、当業界において入手できるそれらから選択され得る。
DNA構造体は、当業界において知られている従来の技法、例えばアグロバクテリウム介在性形質転換、ウィルス介在性形質転換、マイクロインジェクション、粒子衝撃、バイオリステック形質転換及びエレクトロポレーションに従って、植物ゲノム中に組込まれる(Gasserなど., 1990, Science 244: 1293; Potrykus, 1990, BiolTechnology 8 : 535; Shimamoto など., 1989, Nature 338: 274)。
【0105】
現在、アグロバクテリウム・ツメファシエンス介在性遺伝子トランスファーは、トランスジェニック双子葉類を生成するための選択方法であり(再考のためには、Hooykas and Schilperoort, 1992, Plant Molecular Biology 19: 15-38を参照のこと)、そして、それはまた、単子葉類を形質転換するためにも使用され得るが、しかし他の形質転換方法が一般的にそれらの植物のために好ましい。現在、アグロバクテリウムアプローチを補充するトランスジェニック単子葉類を生成するための選択方法は、胚細胞又は成長胚の粒子衝撃である(形質転換DNAにより被覆された微小金又はタングステン粒子)(Christou, 1992, Plant Journal 2 : 275-281; Shimamoto, 1994, Current Opinion Biotechnology 5: 158-162; Vasil など., 1992, BiolTechnology 10: 667-674)。単子葉類の形質転換のための他の方法は、Omirullehなど., 1993, Plant Molecular Biology21: 415-428により記載されるようにプロトプラスト形質転換に基づかれる。
【0106】
形質転換に続いて、そこに組込まれた発現構造体を有する形質転換体が選択され、そして当業界において良く知られていた方法に従って、完全な植物に再生される。しばすば、形質転換方法は、2種の別々のT-DNA構造体による同時形質転換を用いることによる、再生の間又は次の生成において、選択遺伝子の選択的排除、又は特異的組換え酵素による選択遺伝子の部位特異的排除のために企画される。
【0107】
アラビノフラノシダーゼ
本発明はまた、本発明のポリペプチド、すなわちアラビノフラノシダーゼを含んで成る組成物、前記ポリペプチドの使用、又は前記ポリペプチドを含んで成る組成物の使用にも関する。
【0108】
本発明のポリペプチド、すなわちアラビノフラノシダーゼ、又は前記アラビノフラノシダーゼを含んで成る組成物は、種々の産業的適用に、例えばバイオマス転換に、例えばセルロース含有バイオマスからの燃料エタノールの生成に、澱粉からの燃料及び/又は飲料エタノールの生成に、ビール製造のためのマッシングに、飼料組成物に、又はパン製造のための生地に使用され得る。
【0109】
材料及び方法
アラビノース及びキシロースは、Merck(Darmstadt, Germany)から購入された。水溶性及び水不溶性小麦アラビノキシランは、Megazyme (Bray, County Wicklow, Ireland)から得られた。
【0110】
酵素
α−L−アラビノフラノシダーゼを、基本的分子技法を用いてクローン化した(Sambrook など., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d edition, Cold Spring Harbor, New York, Christgau など. 1995, Curr. Genet. 27, 135-141 , Ausubel など., 2003, Curr. Prot. MoI. Biol., John Wiley & Sons, Cambridge, USA)。
【0111】
Shearzyme (GH10) 及び Pentopan Mono (GH11)、すなわち、それぞれアスペルギラス・アキュレアタス及びサーモミセス・ラヌギノサスにより製造された一成分エンド−1,4−β−キシラン調製物は、Novozymes A/S (Bagsvaerd, Denmark)からの市販の製品であった。
【0112】
特定のアラビノキシランオリゴ糖の調製
末端に結合されるアラビノシル基を含むオリゴ糖(1→3)を、0.1Mの酢酸緩衝液(100ml)(pH6.0)中、水不溶性小麦アラビノキシラン(1g)を、kg水不溶性小麦アラビノキシラン当たり、6.67gのShearzyme (キシラナーゼ GH10)と共に30℃で2時間インキュベートすることにより調製した。内部に結合されるアラビノシル基を含むオリゴ糖(1→3)を、0.1Mの酢酸緩衝液(100ml)(pH6.0)中、水不溶性小麦アラビノキシラン(1g)を、kg水不溶性小麦アラビノキシラン当たり、0.03gのPentopan Mono (キシラナーゼ GH11)と共に30℃で2時間インキュベートすることにより調製した。
【0113】
内部に結合されるアラビノシル基を含むオリゴ糖を、0.1Mの酢酸緩衝液(100ml)(pH6.0)中、水不溶性小麦アラビノキシラン(1g)を、kg水不溶性小麦アラビノキシラン当たり0.03gのPentopan Mono (キシラナーゼ GH11)及びkg水溶性小麦アラビノキシラン当たりH. インソレンス(GH43)からのα−L−アラビノフラノシダーゼと共に、30℃で2時間インキュベートすることにより調製した。酵素反応を停止するために、前記混合物を100℃に10分間、加熱した。アラビノキシロ−オリゴ糖を、回転蒸発器上で濃縮し、そして1H−NMRにより評価した。
【0114】
最適反応条件の決定
P. カプスラタムからのGH62α−L−アラビノフラノシダーゼについての最適反応条件を、2−因子Box−Behnken応答表面企画鋳型(Montgomery, 2001)において評価した。個々の鋳型は、3個の中心点と共に、pH(3〜7)及び反応温度(30〜70℃)の11種の異なった組合せを含んで成る。水溶性小麦アラビノキシラン(0.002g)を、脱イオン水(2ml)に溶解した。次に、その溶液を、アッセイ当たりの0.1gの酵素タンパク質/kg水溶性アラビノキシランDMと共にインキュベートした。サンプルを、正確に24時間の反応の後、採取し、そしてすぐに、100℃で10分間、加熱し、酵素反応を停止した。サンプルを、20.000gでの10分間、遠心分離し、そして上清液上のアラビノースのレベルをHPAEC分析により決定した。報告される値は、mg/g小麦アラビノキシランDMである。
【0115】
α−L−アラビノフラノシダーゼの作用のモード
P. カプスラタムからのGH62α−L−アラビノフラノシダーゼを、0.1Mの酢酸緩衝液(1ml)中、水溶性小麦アラビノキシラン(0.01g)、末端に結合されるアラビノシル基を含むオリゴ糖(1→3)(0.01g)、内部に結合されるアラビノシル基を含むオリゴ糖(1→3)(0.01g)、又は内部に結合されるアラビノシル基を含むオリゴ糖(1→2)(0.01g)に、pH6.4、40℃で2時間にわたって添加した。酵素反応を、100℃で10分間、不活性化した。サンプルを回転蒸発器上で濃縮し、そして1H−NMRにより分析した。
【0116】
HPAEC
加水分解物(10μl)を、CarboPacTM PA1 プレカラム (4 x 50 mm)により組合されたDionex CarboPacTM PA1 ガードカラム (4 x 250 mm) (Dionex Corporation, Sunnyvale, CA, USA)を備えたDionex BioLCシステム上に適用した。アラビノースを、10mMのKOHにより、1ml/分の流速で15分間、分離した。アラビノースを、パルスされた電流滴定検出モードで、パルスされた電気化学的検出器により検出した。電極の電位を、+0.1V(t=0−0.4秒)〜−2.0V(t−0.41−k0.42秒)〜0.6V(t=0.43秒)及び最終的に、−0.1V(t=0.44−0.50秒)にプログラムし、そしてt=0.2−0.4秒からの得られるシグナルを積分した。アラビノース及びキシロース(個々の成分の濃度:0.0025−0.1g/l)の混合物を、標準とし使用した。
【0117】
1H−NMR分析
すべての分解生成物を、99.0%のD2Oから2度、凍結乾燥し、そして99.9%のD2Oに再溶解した。いくらかの加水分解物を透析し(1000の分子量カットオフのSpectra/Por膜)、スペクトル分析の前、遊離アラビノースを除去した。1H−NMRスペクトルを、400MHzで作動し、そして4−核自動−スイッチできるプローブを備えたVarian Mercury-VX計測器において30℃で記録した。データを、128〜512の走査から集め、そしてHDOシグナルを、参照シグナル(4.67ppm)として使用した。
【実施例】
【0118】
例1
小麦アラビノキシランは、内部キシロースの3−位置(A)に結合される一置換基としてアラビノフラノシド、及び二置換されたキシロース上の3−(B)及び2−(C)に結合されるアラビノフラノシドを含んで成る。3種のタイプのアラビノフラノシド結合の1つのみを、それぞれ含んで成る基質を生成した。それらの基質に対するアラビノフラノシダーゼの活性を、1H NMRを用いて調べた。
【0119】
【表1】

【0120】
xxは75%以上の加水分解、x(x)は50〜75%の加水分解、xは25〜50%の加水分解、及び(x)は5〜25%の加水分解を言及する。−は、検出できない加水分解を言及する。
【0121】
例2
可溶性小麦アラビノキシランを、P. カプスラタム(GH62)からのα−L−アラビノフラノシダーゼのKg DM当たり0.1gの酵素タンパク質と共に、pH6、40℃で24時間インキュベートした。開放されるアラビノースは、三重反復測定の平均として、1gの水溶性小麦アラビノキシラン当たり139mgのアラビノースであることが決定された。
最適なpH及び温度反応条件は、それぞれpH4〜6及び30〜50℃であることが決定された。活性における有意な変動はそれらの間隔内で検出されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)配列番号2で示される成熟ペプチドとしてアミノ酸配列を有するか、又は1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入により、それから得られるポリペプチド;
b)i)前記ポリペプチドと少なくとも80%の相同性を有し、
ii)前記ポリペプチドの対立遺伝子変異体である、(a)又は(b)で定義されるポリペプチドの類似体;
c)成熟ポリペプチド又は少なくとも100個のヌクレオチドを有するその副配列をコードする配列番号2の核酸配列の相補的鎖と、高い緊縮条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされるポリペプチド、であるアラビノフラノシダーゼ。
【請求項2】
ペニシリウム(Penicillium)の株、好ましくはP.カプスラタム(P. capsulatum)、より好ましくはP. カプスラタム株CBS292.62に生得である請求項1記載のアラビノフラノシダーゼ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のアラビノフラノシダーゼをコードする核酸配列を含んで成る核酸配列。
【請求項4】
a)配列番号2で示されるアラビノフラノシダーゼをコードするDNA配列;
b)i)前記DNA配列のいずれかと少なくとも80%の相同性を有するか、又は
ii)前記DNA配列又は少なくとも100個のヌクレオチドを有するその副配列の相補的鎖と高い緊縮性下でハイブリダイズし、又は
iii)その対立遺伝子変異体である類似体DNA配列、又は
a)又はb)に対する相補的鎖を含んで成る核酸配列。
【請求項5】
配列番号1で示されるDNA配列と少なくとも80%の相同性を有するか、又は
a)前記DNA配列、又は少なくとも100個のヌクレオチドを有するその副配列の相補的鎖と高い緊縮性下でハイブリダイズし、
b)その対立遺伝子変異体であり、又は
a)又はb)に対する相補的鎖である核酸配列。
【請求項6】
適切な発現宿主において、アラビノフラノシダーゼの発現を指図できる1又は複数の制御配列に操作可能的に結合される請求項3,4又は5のいずれか1項記載の核酸配列を含んで成る核酸構造体。
【請求項7】
請求項6記載の核酸構造体を含んで成る組換え発現ベクター。
【請求項8】
請求項7記載の核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞。
【請求項9】
請求項8記載の宿主細胞を、アラビノフラノシダーゼの生成の助けとなる条件下で培養し、そして前記アラビノフラノシダーゼを回収することを含んで成る、アラビノフラノシダーゼの生成方法。
【請求項10】
請求項1又は2記載のアラビノフラノシダーゼを含んで成る組成物。
【請求項11】
請求項1又は2記載のアラビノフラノシダーゼの生地への使用。
【請求項12】
請求項1又は2記載のアラビノフラノシダーゼのエタノール工程への使用。
【請求項13】
請求項1又は2記載のアラビノフラノシダーゼのマッシュ工程への使用。
【請求項14】
請求項1又は4記載のアラビノフラノシダーゼの飼料製品の生成方法への使用。

【公表番号】特表2008−541707(P2008−541707A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512687(P2008−512687)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000281
【国際公開番号】WO2006/125438
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】