説明

ペプチドおよびその使用

本発明は、抗細菌剤として用いるペプチドおよびそのペプチド変異体であって、前記ペプチドのアミノ配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである、ペプチドおよびそのペプチド変異体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌感染症の処置におけるペプチドおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗微生物ペプチドは、自然免疫系の重要なエフェクター分子であり、全真核生物の微生物感染に対する防御の最前線の不可欠な構成要素である。いくつかの原核生物もまた、他の微生物からの攻撃に対して競争する手段として抗微生物ペプチドを利用する。多くの抗微生物ペプチドは、カチオン性によって特徴づけられ、そのカチオン性が、微生物膜の負に帯電したリン脂質との相互作用を促進し、それに続く膜透過化の後、微生物の溶解および死がもたらされる。例えば、抗微生物ペプチド分子は凝集し、脂質二重層に電位依存性チャネルを形成することができ、その結果として、微生物の内膜および外膜の両方の透過化を生じることは示されている(Lehrer,R.I.、J.Clin.Investigation、84:553(1989))。これらの分子の両親媒性はまた、疎水性残基の脂質二重層への静電気引力による挿入を促進することができ、その間、極性残基は、膜の内と外へ突出する。
【0003】
薬剤耐性微生物、特に薬剤耐性細菌は、感染率が上昇し続け、効果的な制御方法がますます限られてくるにつれて、ますます問題になってきている。抗生物質の無差別な処方および患者の処置計画順守不良と共に、最近の50年間くらいにわたる抗生物質の大量使用により、抗生物質の効果を切り抜ける方法を発現または獲得している微生物が選択されてしまった。薬剤耐性生物の伝播および制御は、健康管理の中で最も重要な問題の1つになりつつある。
【0004】
特に注目すべきなのは、メチシリンなどの抗生物質に対して様々なレベルの耐性を発現または獲得しているスタフィロコッカス属菌種(Staphylococcus spp.)の菌株である。これらの菌株は、一般に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus))(MRSA)として知られている。加えて、表皮ブドウ球菌(スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis))などの凝固酵素陰性ブドウ球菌(Staphylococci)もまた、重要な院内病原菌として浮上している。器具関連感染症からの表皮ブドウ球菌単離物の約80%は、メチシリン耐性(MRSE)および多剤耐性である。MRSAおよびMRSEなどのメチシリン耐性細菌に起因する、またはメチシリン耐性細菌によって引き起こされる感染症の処置選択肢は、今、限定されており、そのような生物を抑制する、または殺す新しい治療を発見する緊急の必要性がある。
【0005】
緑膿菌(シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))は、特に重度の火傷の被害者ならびに免疫が抑制されている癌およびAIDS患者において、尿路感染症、呼吸器系感染症、皮膚炎、軟部組織感染症、菌血症、および様々な全身性感染症を引き起こす日和見病原菌である。緑膿菌により引き起こされる呼吸器感染症は、ほぼ例外なく、下気道障害または全身性防御機構障害を有する個体に発生する。原発性肺炎は、慢性肺疾患およびうっ血性心不全を有する患者に発生する。菌血症性肺炎は、化学療法を受けた好中球減少性癌患者によく見られる。ムコイド型の緑膿菌株による嚢胞性線維症患者の下気道コロニー形成はよく起こり、処置が困難である。緑膿菌感染症を処置する効果的手段を開発する必要性がある。
【0006】
微生物病原体は、何百万年間という共存からの進化的圧力にもかかわらず、カチオン性ペプチドに対する耐性を容易には獲得しないので、可能性のある抗微生物性治療用物質としてカチオン性ペプチドを開発することへの商業的関心と努力の点ではかなりのものがあった。例えば、本発明者らの同時係属中の出願、WO2006/018652において、本発明者らは、特定の細菌感染症を含む微生物感染症を処置するのに用いることができるペプチドの同定を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開パンフレット第WO2006/018652号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Lehrer,R.I.、J.Clin.Investigation、84:553(1989)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ブドウ球菌株およびシュードモナス菌株によって引き起こされる感染症などの細菌感染症の処置に用いることができる、さらなる抗微生物活性剤の差し迫った必要性がなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、アルギニンまたはリジンのホモポリマーの殺菌性が高く、したがって、細菌感染症の処置に効果的であるという知見に一部、基づいている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の態様によれば、本発明は、抗細菌剤として用いるペプチドであって、前記ペプチドのアミノ配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである、ペプチドを提供する。
本発明の好ましいペプチドにおいて、前記配列のアミノ酸は塩基性アミノ酸である。
好ましいペプチドにおいて、塩基性アミノ酸は、リジン、アルギニン、およびヒスチジン、特にリジンおよびアルギニンから選択される。さらに好ましくは、塩基性アミノ酸はアルギニンである。
【0012】
本明細書に用いられる場合、「実質的に」とは、そのように修飾された特性からの許容ばらつきを示すことを意図した関係修飾語句である。具体的には、「前記アミノ酸配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである」とは、配列におけるアミノ酸の全部か、または高い割合のいずれかが同一であることを意味する。「高い割合」とは、1つまたは2つの置換が配列に生じてもよいことを企図する。
【0013】
好ましい態様において、本発明は、薬物として用いる、下記式(I)によるアミノ酸配列を含むペプチドまたはそのペプチド変異体を提供する:
(X) (I)
(式中、Xはアミノ酸アルギニンまたはリジンである。)
本発明のペプチドにおいて、Xはアルギニンであってもよい。
本発明のペプチドにおいて、Xはリジンであってもよい。
本発明のペプチドにおいて、Xはヒスチジンであってもよい。
【0014】
本発明の好ましい態様において、ペプチドは、5〜15個の塩基性アミノ酸の配列を含む。
好ましい態様において、本発明のペプチドは、9〜15個、例えば10〜15個、または10〜13個の塩基性アミノ酸の配列を含み、前記のアミノ酸配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである。さらに好ましくは、本発明のペプチドは、9〜13個、例えば11〜13個の塩基性アミノ酸の配列を含み、前記配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである。
【0015】
さらに好ましい態様において、本発明は、薬物として用いる、下記式(II)によるアミノ酸配列を含むペプチドまたはそのペプチド変異体を提供する:
(X) (II)
(式中、Xはアミノ酸アルギニンまたはリジンであり、nは5から15の間の整数である。)。
本発明の好ましいペプチドにおいて、Xはアルギニンである。
【0016】
本発明のペプチドにおいて、nは、9から15の間、例えば、9、10、11、12、13、14、または15であってもよい。本発明の好ましいペプチドにおいて、nは、9から14の間、例えば、11から14の間の整数である。好ましくは、nは13または14である。
式(I)のペプチドにおいて、XはD−アミノ酸であってもL−アミノ酸であってもよい。
【0017】
好ましい態様において、本発明は、式(I)によるアミノ酸からなる線状ペプチドを提供する。
本発明はまた、ペプチド模倣体、ならびに非排他的に、リン酸化、グリコシル化、スルホニル化、および/または水酸化を含む天然(例えば、翻訳後修飾)または化学的のいずれかで修飾されたものを含む、上記アミノ酸の既知の異性体(構造、立体、立体配座、および立体配置)および構造類似体を含む。
【0018】
加えて、ペプチドのアミノ酸配列は、L型よりむしろD型を利用する置換を含む、ペプチドにおける少なくとも1個のアミノ酸残基が別のアミノ酸残基、例えば、塩基性または非塩基性残基の代わりになっている置換を含むペプチド変異体であって、対応する非変異体ペプチドの生物活性の一部(典型的には、少なくとも10%)または全部を保持する、ペプチド変異体を生じるように改変することができる。このように、本発明は、式(I)の1個または複数のリジン残基またはアルギニン残基が1個または複数の異なる(例えば、ヒスチジン)残基によって置換されているペプチド変異体を提供する。
【0019】
本明細書に用いられる場合、用語「ペプチド」とは、大まかに言えば、ペプチド結合によって連結した複数のアミノ酸残基を意味する。それは、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質と交換可能に用いられ、同じ意味をもつ。
本発明のペプチドは、一般的に、合成ペプチドである。ペプチドは、単離され、精製されたペプチドまたはその変異体であってもよく、インビトロで、例えば、固相ペプチド合成法により、酵素触媒ペプチド合成により、または組換えDNAテクノロジーを用いて、合成することができる。
本発明のペプチドは、例えば、遊離酸、遊離塩基、エステルおよび他のプロドラッグ、塩、ならびに互変異性体などの異なる形で存在することができ、本発明は、ペプチドのすべての変異型を含む。このように、本発明は、ペプチドの塩またはプロドラッグを含む。
【0020】
本発明のペプチドは、薬学的に許容される塩の形で投与されてもよい。したがって、本発明は、本発明のペプチドの薬学的に許容される塩であって、親化合物がその酸性塩または塩基性塩を生成することによって修飾されている塩を含み、例としては、通常の非毒性塩、または、例えば無機酸もしくは有機酸または無機塩基もしくは有機塩基から形成される四級アンモニウム塩がある。そのような酸付加塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。塩基性塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルタミンなどの有機塩基との塩、ならびにアルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩、その他が挙げられる。また、塩基性窒素含有基は、塩化、臭化、およびヨウ化メチル、塩化、臭化、およびヨウ化エチル、塩化、臭化、およびヨウ化プロピル、ならびに塩化、臭化、およびヨウ化ブチルなどのハロゲン化低級アルキル;ジメチル、ジエチル、ジブチルのような硫酸ジアルキル;および硫酸ジアミル、ならびに塩化、臭化、およびヨウ化デシル、塩化、臭化、およびヨウ化ラウリル、塩化、臭化、およびヨウ化ミリスチル、ならびに塩化、臭化、およびヨウ化ステアリルなどの長鎖ハロゲン化物、臭化ベンジルおよび臭化フェネチルのようなハロゲン化アラルキルなどのような作用物質で四級化されてもよい。
【0021】
本発明のペプチドまたはペプチド変異体のカルボキシル基の塩は、例えば、金属水酸化物塩基、例えば、水酸化ナトリウム;例えば、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウムなどの金属炭酸塩もしくは重炭酸塩;または、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩基などの所望の塩基の1つまたは複数の等価物とペプチドを接触させることによる通常の方法で調製することができる。
【0022】
投与および製剤
本発明のさらなる態様は、薬学的有効量の本発明のペプチドを含む医薬組成物を提供する。
組成物はまた、薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む。句「薬学的に許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内において、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしの、妥当な利益/リスク比に見合った、人間、または場合によっては、動物の組織との接触に用いるのに適している、化合物、材料、組成物、および/または剤形、を述べるために本明細書で用いられる。
【0023】
所望の効果を達成するために、ペプチド、その変異体、またはそれらの組合せを、例えば、少なくとも約0.01mg/kg体重から約500〜750mg/kg体重まで、少なくとも約0.01mg/kg体重から約300〜500mg/kg体重まで、少なくとも約0.1mg/kg体重から約100〜300mg/kg体重まで、または少なくとも約1mg/kg体重から約50〜100mg/kg体重まで、または少なくとも約1mg/kg体重から約20mg/kg体重までの単一用量または分割用量として投与されてもよいが、他の用量が有益な結果をもたらす場合がある。
【0024】
組成物を調製するために、ペプチドは、合成され、または別な方法で獲得され、必要または要望に応じて精製され、その後、凍結乾燥および安定化される。その後、ペプチドは、適切な濃度に調整することができ、他の作用物質と組み合わせてもよい。
【0025】
このように、本発明の治療用ペプチドを含む1つまたは複数の適切な単位剤形を、経口、局所、非経口(皮下、静脈内、筋肉内、および腹腔内)、膣、直腸、皮膚、経皮、胸内、肺内、および鼻腔内(呼吸)経路を含む様々な経路によって投与することができる。治療用ペプチドをまた、脂質製剤に、または徐放用に製剤化してもよい(例えば、マイクロカプセル化を用いて。WO94/07529および米国特許第4,962,091号を参照)。適切な場合、製剤を、便利には、別々の単位剤形で提供してもよく、薬学的分野に周知の方法のいずれによっても調製することができる。そのような方法は、液体担体、固体マトリックス、半固体担体、微粉化した固体担体、またはそれらの組合せと治療剤を混合する段階、およびその後、必要に応じて、生成物を所望の送達系へ導入する、または形づくる段階を含んでもよい。
【0026】
本発明の治療用ペプチドを経口投与用に調製する場合、一般的に、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とそれらを組み合わせて、製剤または単位剤形を形成する。経口投与について、ペプチドは、粉末、粒剤、溶液、懸濁液、乳濁液として存在してもよい。
本発明の治療用ペプチドを含む製剤を、通常の賦形剤、希釈剤、または担体と共に製剤化し、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、粉末、エアロゾルなどへ形成することができる。
【0027】
本発明の治療用ペプチドをまた、簡便な経口投与用のエリキシル剤もしくは溶液として、または、例えば筋肉内、皮下、腹腔内、または静脈内経路による、非経口投与に適切な溶液として、製剤化することができる。本発明の治療用ペプチドの製剤はまた、水性または無水性の溶液または分散液の形、あるいは乳濁液または懸濁液または軟膏の形をとることができる。
治療用ペプチドを、非経口投与(例えば、注入、例えば、ボーラス注入または持続点滴による)用に製剤化してもよく、アンプル、充填済み型注射器、小容量注入容器における、または複数回用量容器における単位剤形として提供してもよい。
【0028】
これらの製剤は、当技術分野において周知である、薬学的に許容される担体、媒体、および補助剤を含むことができる。例えば、水に加えて、アセトン、酢酸、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、「Dowanol」という名前で販売されている製品などのグリコールエーテル、ポリグリコールおよびポリエチレングルコール、短鎖酸のC〜Cアルキルエステル、乳酸エチルまたは乳酸イソプロピル、「Miglyol」という名前で市販されている製品などの脂肪酸トリグリセリド、イソプロピルミトリセート、動物油、鉱油、および植物油、ならびにポリシロキサンなどの溶媒から選択された、生理学的視点から許容される1つまたは複数の有機溶媒を用いて溶液を調製することは可能である。
【0029】
好ましい投与経路は局所である。局所投与について、標的領域、例えば、爪および皮膚への直接適用として当技術分野で公知であるように、ペプチドを製剤化してもよい。主として局所適用として調整された形は、例えば、ラッカー、クリーム、乳液、ゲル、粉末、分散液またはマイクロエマルジョン、多かれ少なかれ濃縮されたローション、含浸パッド、軟膏またはスティック、エアロゾル製剤(例えば、スプレーまたは泡)、石けん、洗浄剤、ローション型または固形石けんの形をとる。この目的のための他の通常の形としては、創傷包帯、絆創膏または他のポリマー被覆剤、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゼリー、スプレー、およびエアロゾルが挙げられる。このように、本発明の治療用ペプチドは、皮膚投与用のパッチまたは包帯を介して送達することができる。
【0030】
本発明のペプチドを、例えば、ある種の経皮的な送達(デリバリー)装置を介して、経皮的に投与することが可能な場合がある。そのような装置は、例えば経口薬または静脈内投与薬と比較して、長期間の処置を可能にする場合があるため、特に抗生物質化合物の投与にとって、有利である。経皮的送達装置の例としては、例えば、患者の皮膚を通してペプチドを放出するのに適応した、パッチ、包帯、絆創膏、または硬膏を挙げることができる。当業者は、化合物または物質を経皮的に送達するのに用いることができる材料および技術を熟知していると考えられ、例示的な経皮的送達装置は、GB2185187、US3249109、US3598122、US4144317、US4262003、およびUS4307717によって提供されている。例として、本発明のペプチドについては、それを経皮的送達系に用いるのに適しているようにするために、非水性ポリマー担体などのある種のマトリックスまたは基質と組み合わせてもよい。ペプチド/マトリックスまたは基質混合物は、織物または編み物、非織物、比較的目の粗いメッシュ生地を用いて患者の身体の特定領域に一時的に付着することができるパッチ、絆創膏、硬膏などを作製することによって、さらに増強することができる。このように、患者の皮膚と接触している間、経皮的送達装置は、必要に応じて、感染部位へ直接に、または皮膚を通して、化合物または物質を放出する。
【0031】
本発明のペプチドはまた、細菌による汚染を低減および/または除去するために、例えば表面に用いる、滅菌補助剤または洗浄補助剤として用いてもよい。例えば、本発明のペプチドを、滅菌剤または洗浄剤として用いる前に適切な賦形剤または溶液に添加または希釈してもよい。例示的な賦形剤は、上に記載されている。そのような滅菌溶液または洗浄溶液は、例えば、家具、床、例えば、特殊な病院用機器および/または手術用機器を含む機器を除染するために用いてもよい。さらなる実施形態において、本発明のペプチドは、身体の部分、特に例えば、手における細菌汚染を除去および/または低減するために用いてもよい。ペプチドを、水性または非水性溶液として希釈(水性、非水性、または有機溶媒に溶解)してもよく、それを身体部分、例えば、手に適用してもよい。
【0032】
本発明のペプチドはまた、気道に投与することができる。したがって、本発明はまた、本発明の方法に用いるエアロゾル製剤および剤形を提供する。一般的に、そのような剤形は、特定の感染症、徴候、または疾患の臨床症状を処置または予防するのに効果的な量の本発明の作用物質の少なくとも1つを含む。本発明の方法に従って処置されている感染症、徴候、または疾患の1つまたは複数の症状のいかなる統計学的に有意な減衰も、本発明の範囲内におけるそのような感染症、徴候、または疾患の処置であるとみなされる。
本発明のペプチドを、併用療法として1つまたは複数の既知の抗微生物剤と共に提供してもよい。典型的には、本発明のペプチドを、感染症の処置の単剤療法として提供する。
【0033】
使用
本発明のペプチドは、様々な細菌感染症の処置または予防に有用でありうる。
したがって、本発明のさらなる態様は、細菌に起因する、または細菌によって引き起こされる感染症を処置または軽減するための医薬の製造における、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。細菌は、グラム陰性細菌であってもグラム陽性細菌であってもよい。
【0034】
本発明による使用において、細菌感染症は、限定されるわけではないが、アビオトロファ属菌種(Abiotropha spp)、アクロモバクター属菌種(Achromobacter spp)、アシダミナコッカス属菌種(Acidaminacoccus spp)、アシネトバクター属菌種(Acinetobacter spp)、アクチノバチルス属菌種(Actinobacillus spp)、アクチノマデュラ属菌種(Actinomadura spp)、アクチノマイセス属菌種(Actinomyces spp)、アエロコッカス属菌種(Aerococcus spp)、アエロモナス属菌種(Aeromonas spp)、アルカリゲネス属菌種(Alcaligenes spp)、アナエロビブリオ属菌種(Anaerovibrio spp)、アナプラズマ属菌種(Anaplasma spp)、アルカノバクテリウム属菌種(Arcanobacterium spp)、アルスロバクター属菌種(Arthrobacter spp)、バチルス属菌種(Bacillus spp)、バクテロイデス属菌種(Bacteroides spp)、バルトネラ属菌種(Bartonella spp)、ボルダテラ属菌種(Bordatella spp)、ボルデテラ属菌種(Bordetella spp)、ボレリア属菌種(Borrelia spp)、ブラキスピラ属菌種(Brachyspira spp)、ブルセラ属菌種(Brucella spp)、ブルクホルデリア属菌種(Burkholderia spp)、カリマトバクテリウム属菌種(Calymmatobacterium spp)、カンピロバクター属菌種(Campylobacter spp)、キャプノサイトファーガ属菌種(Capnocytophaga spp)、カルジオバクテリウム属菌種(Cardiobacterium spp)、カトネラ属菌種(Catonella spp)、クラミジア属菌種(Chlamydia spp)、クリセオバクテリウム属菌種(Chryseobacterium spp)、シトロバクター属菌種(Citrobacter spp)、クロストリジウム属菌種(Clostridium spp)、コリネバクテリウム属菌種(Corynebacterium spp)、コクシエラ属菌種(Coxiella spp)、デルマバクター属菌種(Dermabacter spp)、デスルホビブリオ属菌種(Desulfovibrio spp)、ジアリスタ属菌種(Dialister spp)、ドロシコッカス属菌種(Dolosicoccus spp)、ドロシグラヌルム属菌種(Dolosigranulum spp)、エドワードジエラ属菌種(Edwardsiella spp)、エガセラ属菌種(Eggerthella spp)、エーリキア属菌種(Ehrlichia)、エイキネラ属菌種(Eikinella spp)、エムペドバクター属菌種(Empedobacter spp)、エンテロバクター属菌種(Enterobacter spp)、エンテロコッカス属菌種(Enterococcus spp)、エリシペロスリクス属菌種(Erysipelothrix spp)、エシェリキア属菌種(Escherichia spp)、ユーバクテリウム属菌種(Eubacterium spp)、ファクラミア属菌種(Facklamia spp)、フィリファクター属菌種(Filifactor spp)、フラビモナス属菌種(Flavimonas spp)、フラボバクテリウム属菌種(Flavobacterium spp)、フルオリバクター属菌種(Fluoribacter spp)、フランシセラ属菌種(Francisella spp)、フソバクテリウム属菌種(Fusobacterium spp)、ガルドネレラ属菌種(Gardnerella spp)、ゲメラ属菌種(Gemella spp)、グロビカテラ属菌種(Globicatella spp)、グラニュリカテラ属菌種(Granulicatella spp)、ヘモフィラス属菌種(Haemophilus spp)、ハフニア属菌種(Hafnia spp)、ヘリコバクター属菌種(Helicobacter spp)、ヘロコッカス属菌種(Helococcus spp)、イグナビグラナム属菌種(Ignavigranum spp)、インキリナス属菌種(Inquilinus spp)、キンゲラ属菌種(Kingella spp)、クレブシエラ属菌種(Klebsiella spp)、クルイベラ属菌種(Kluyvera spp)、キトコッカス属菌種(Kytococcus spp)、ラクトバチルス属菌種(Lactobacillus spp)、ラクトコッカス属菌種(Lactococcus spp)、レジオネラ属菌種(Legionella spp)、レプトスピラ属菌種(Leptospira spp)、レプトトリキア属菌種(Leptotrichia spp)、ロイコノストック属菌種(Leuconostoc spp)、リステリア属菌種(Listeria spp)、メガスフェラ属菌種(Megasphaera spp)、ミクロコッカス属菌種(Micrococcus spp)、ミクロポリスポラ属菌種(Micropolyspora spp)、モビルンカス属菌種(Mobiluncus spp)、モラキセラ属菌種(Moraxella spp)、モルガネラ属菌種(Morganella spp)、マイコバクテリウム属菌種(Mycobacterium spp)、マイコプラズマ属菌種(Mycoplasma spp)、ミロイデス属菌種(Myroides spp)、ナイセリア属菌種(Neisseria spp)、ノカルジア属菌種(Nocardia spp)、オリエンティア属菌種(Orientia spp)、パンドレア属菌種(Pandoraea spp)、パスツレラ属菌種(Pasteurella spp)、ペディオコッカス属菌種(Pediococcus spp)、ペプトストレプトコッカス属菌種(Peptostreptococcus spp)、フォトラブダス属菌種(Photorhabdus)、プレシオモナス属菌種(Plesiomonas spp)、ポルフィロモナス属菌種(Porphyromonas spp)、プレボテラ属菌種(Prevotella spp)、プロピオニバクテリウム属菌種(Propionibacterium spp)、プロテウス属菌種(Proteus spp)、プロビデンシア属菌種(Providencia spp)、シュードモナス属菌種(Pseudomonas spp)、ラルストニア属菌種(Ralstonia spp)、リゾビウム属菌種(Rhizobium spp)、ロドコッカス属菌種(Rhodococcus spp)、リケッチア属菌種(Rickettsia spp)、ロシャリメア属菌種(Rochalimaea spp)、ロゼオモナス属菌種(Roseomonas spp)、ロチア属菌種(Rothia spp)、サルモネラ属菌種(Salmonella spp)、セレノモナス属菌種(Selenomonas spp)、セルプリナ属菌種(Serpulina spp)、セラチア属菌種(Serratia spp)、シゲラ属菌種(Shigella spp)、スネアチア属菌種(Sneathia spp)、スタフィロコッカス属菌種、ステノトロフォモナス属菌種(Stenotrophomonas spp)、ストレプトバチルス属菌種(Streptobacillus spp)、ステプトコッカス属菌種(Steptococcus spp)、ストレプトミセス属菌種(Streptomyces spp)、ストレプトフォモナス属菌種(Streptophomonas spp)、サーモアクチノミセス属菌種(Thermoactinomyces spp)、サーモモノスポラ属菌種(Thermomonospora spp)、トレポネーマ属菌種(Treponema spp)、トロフェリマ属菌種(Tropheryma spp)、ウレアプラズマ属菌種(Ureaplasma spp)、バゴコッカス属菌種(Vagococcus spp)、ベイロネラ属菌種(Veillonella spp)、ビブリオ属菌種(Vibrio spp)、ワイセラ属菌種(Weisella spp)、ウィリアムシア属菌種(Williamsia spp)、エルシニア属菌種(Yersinia spp)からなる群より選択される細菌によって引き起こされていてもよい。
【0035】
本発明による使用において、細菌感染症は、スタフィロコッカス属菌種、例えば、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌に引き起こされていてもよい、または関連していてもよい。黄色ブドウ球菌感染症は、黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性菌株であってもメチシリン感受性菌株であってもよい。
本発明による使用において、細菌感染症は、シュードモナス属菌種、例えば、緑膿菌に引き起こされていてもよい、または関連していてもよい。
本発明による使用において、細菌感染症は、プロピオニバクテリウム属菌種、例えば、アクネ菌(プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes))に引き起こされていてもよい、または関連していてもよい。
本発明による使用において、細菌感染症は、院内病原性細菌、例えば、スタフィロコッカス属菌種(例えば、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌)またはシュードモナス属菌種(例えば、緑膿菌)に引き起こされていてもよい、または関連していてもよい。
【0036】
本発明はさらに、細菌感染症に起因する、または細菌感染症によって引き起こされる疾患または状態を処置または軽減するための医薬の製造における、本発明のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
疾患または状態は、グラム陽性細菌感染症に引き起こされていてもよく、または関連していてもよく、例えば、おでき、せつ、蜂巣炎、膿痂疹、院内感染症、菌血症、肺炎、骨髄炎、心内膜炎、髄膜炎、膿瘍、嚢胞性線維症、胃腸感染症、泌尿生殖器感染症、敗血症、咽頭炎、壊死性筋膜炎、急性糸球体腎炎、中耳炎、創傷感染症(火傷を含む)、炭疽、脳炎、ジフテリア、ガス壊疽、ボツリヌス中毒、および破傷風が挙げられる。
【0037】
疾患または状態は、グラム陰性細菌感染症に引き起こされていてもよく、または関連していてもよく、淋病、髄膜炎、肺炎、中耳炎、骨髄炎、嚢胞性線維症、泌尿生殖器感染症、腹膜炎、結膜炎、敗血症、性病、菌血症、院内感染症、赤痢、胃腸感染症、腸チフス熱、肺ペスト、創傷感染症、コレラ、腎臓感染症、類鼻疽、結膜炎、百日咳、野兎病、ブルセラ症、レジオネラ病、消化性潰瘍疾患、チフス、咽頭炎が挙げられる。
本発明により処置可能な他の疾患または状態としては、膿皮症、結核、ハンセン病、ブルーリ潰瘍、回帰熱、ライム病、梅毒、呼吸器感染症、泌尿生殖器感染症が挙げられる。
【0038】
本発明による使用において、処置される疾患または状態は、日和見細菌感染症、例えば、通常では病原性ではない細菌によって引き起こされる細菌感染症、または既知の病原性細菌によってこの病原性細菌による感染に通常には関連していない身体部位に引き起こされる細菌感染症であってもよい。例えば、日和見感染症は、スタフィロコッカス属菌種、例えば、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌によって引き起こされていてもよい。別の使用において、処置される疾患または状態は、日和見細菌感染症、例えば、シュードモナス属菌種、例えば、緑膿菌に引き起こされる、または関連している細菌感染症であってもよい。
【0039】
細菌感染症に起因する、または細菌感染症によって引き起こされる免疫低下宿主における主要な臨床疾患には、限定されるわけではないが、特に重度火傷、癌、嚢胞性線維症、またはAIDSを有する患者における、尿路感染症、気道感染症、皮膚炎、軟部組織感染症、菌血症、骨関節感染症、胃腸感染症、および様々な全身性感染症が挙げられる。これらの疾患の処置は本発明の好ましい態様である。
【0040】
1つの実施形態において、本発明は、細菌感染症、例えば、日和見細菌感染症を処置するための医薬の製造における、式(I)(式中、nは11から15の間(特に、11から13の間)の整数である)のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0041】
本発明のさらなる態様は、治療有効量の本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、細菌感染症の処置、予防、または進行遅延のための方法を提供する。
好ましくは、患者は哺乳動物、特に、ヒトである。
【0042】
本発明の方法により処置可能な細菌感染症は、日和見感染症、例えば、市中感染症または院内感染症であってもよい。
本発明の好ましい方法において、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、吸入、または非経口投与用の製剤として意図される。
【0043】
このように、1つの実施形態において、本発明は、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含むエアロゾル製剤の治療有効量を患者に投与することを含む、細菌感染症の処置、予防、または進行遅延のための方法を提供する。本発明はさらに、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含むエアロゾル製剤を含む吸入器を含め、エアロゾル製剤を提供する。
【0044】
さらなる実施形態において、本発明は、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む非経口製剤の治療有効量を患者に投与することを含む、細菌感染症の処置、予防、または進行遅延のための方法を提供する。本発明はさらに、本発明によるペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む非経口製剤(特に、静脈注射用)を提供する。
【0045】
表1は、その内容が本発明に含まれており、本発明により処置可能である細菌感染症、およびその原因細菌の非排他的な一覧表を提供する。
【0046】
【表1】



【0047】
本発明により処置可能な特定の疾患および状態の診断については、血液、組織、尿などから原因細菌を単離し、続いて、ペプチドの殺菌性/静菌性効果をアッセイすることによって、当業者が容易に決定することができる。
防御の程度は、本発明の化合物を含む、または含むと主張する偽または詐欺の製品を含み、それらが実際、そのような化合物を含むかどうかを問わず、かつ任意のそのような化合物が治療有効量で含まれているかどうかを問わない。
本発明の特定の態様、実施形態、または実施例と共に記載された特徴、整数、特性、化合物、化学的部分または化学基は、本明細書に記載された任意の他の態様、実施形態、または実施例に、それらと矛盾しない限り、適用できると理解されるべきである。
【実施例】
【0048】
以下の実施例は本発明を例示する。
実施例
材料および方法
すべてのペプチドについては、ペプチド供給業者、NeoMPS SA(Strasbourg、France)による契約によって固相合成で作製したか、またはSigma−Aldrich Chemical Company Ltd.(Poole、UK)から購入したかのいずれかであった。
【0049】
カチオン性ペプチドの配列
分析されるペプチドの配列は表2に示されている。Acは、オリゴペプチドのC末端へのアセチル化修飾を表し、NHは、オリゴペプチドのN末端のアミド化を表す。
ブロス希釈抗細菌薬感受性試験
ペプチドに対する関連細菌株の感受性を、Clinical Laboratory Standard Institute(CLSI;元NCCLS)認可標準(Approved Standards)を用いて測定した。細菌の感受性を、「嫌気的に増殖する細菌の希釈抗微生物薬感受性試験についての方法;認可標準−第7版 M7−A7(Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Anaerobically;Approved Standard−Seventh Edition M7−A7)」を用いて試験した。
【0050】
結果
ペプチドの抗細菌活性は表2に示されている。
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗細菌剤として用いるペプチドであって、前記ペプチドのアミノ配列におけるアミノ酸の実質的に全部が同じである、ペプチド。
【請求項2】
前記配列におけるアミノ酸の実質的に全部が塩基性アミノ酸である、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
塩基性アミノ酸がリジン、アルギニン、およびヒスチジンから選択される、請求項1または2に記載のペプチド。
【請求項4】
塩基性アミノ酸がリジンおよびアルギニンから選択される、請求項3に記載のペプチド。
【請求項5】
薬物として用いる、下記式(I)によるアミノ酸配列を含む、ペプチドまたはそのペプチド変異体:
(X) (I)
(式中、Xは塩基性アミノ酸である。)。
【請求項6】
5〜15個の塩基性アミノ酸の配列を含む、請求項5に記載のペプチド。
【請求項7】
Xがアルギニンである、請求項5または請求項6に記載のペプチド。
【請求項8】
Xがリジンである、請求項5または請求項6に記載のペプチド。
【請求項9】
Xがヒスチジンである、請求項5または請求項6に記載のペプチド。
【請求項10】
細菌に起因する、または細菌によって引き起こされる感染症を処置または軽減するための医薬の製造における、前記請求項のいずれか一項に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項11】
細菌がスタフィロコッカス属菌種(Staphylococcus spp)である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
細菌がシュードモナス属菌種(Pseudomonas spp)である、請求項10に記載の使用。
【請求項13】
細菌感染症に起因する、または細菌感染症によって引き起こされる疾患または状態を処置または軽減するための医薬の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項14】
疾患または状態が、おでき、せつ、蜂巣炎、膿痂疹、院内感染症、菌血症、肺炎、骨髄炎、心内膜炎、髄膜炎、膿瘍、嚢胞性線維症、胃腸感染症、泌尿生殖器感染症、敗血症、咽頭炎、壊死性筋膜炎、急性糸球体腎炎、中耳炎、創傷、炭疽、脳炎、ジフテリア、ガス壊疽、ボツリヌス中毒、および破傷風からなる群より選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
疾患または状態が、淋病、髄膜炎、肺炎、中耳炎、骨髄炎、嚢胞性線維症、泌尿生殖器感染症、腹膜炎、結膜炎、敗血症、性病、菌血症、院内感染症、赤痢、胃腸感染症、腸チフス熱、肺ペスト、創傷、コレラ、腎臓感染症、類鼻疽、結膜炎、百日咳、野兎病、ブルセラ症、レジオネラ病、消化性潰瘍疾患、チフス、咽頭炎からなる群より選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
処置される疾患または状態が、日和見細菌感染症に起因する、または日和見細菌感染症によって引き起こされる、請求項13に記載の使用。
【請求項17】
疾患または状態が、重度火傷、癌、嚢胞性線維症、またはAIDSを有する患者における、尿路感染症、気道感染症、皮膚炎、軟部組織感染症、菌血症、骨関節感染症、胃腸感染症、および全身性細菌感染症からなる群より選択される、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の治療有効量を患者に投与することを含む、細菌感染症の処置、予防、または進行遅延のための方法。
【請求項19】
ペプチドまたはその薬学的に許容される塩が非経口的に投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ペプチドまたはその薬学的に許容される塩が吸入により投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む、エアロゾル製剤。

【公表番号】特表2010−517986(P2010−517986A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547748(P2009−547748)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000281
【国際公開番号】WO2008/093058
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(508066991)ノバビオティクス・リミテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】NOVABIOTICS LIMITED
【Fターム(参考)】