説明

ペプチドベースの体表面発色試薬

毛髪、爪、歯、歯肉、皮膚、および口腔表面などの体表面に、高親和力で結合するペプチドを同定する。直接またはスペーサーにより色素結合ペプチドに、体表面結合ペプチドを結合させることにより形成されたジブロックおよびトリブロックのペプチドベースの体表面発色試薬を記載する。ペプチドベースの体表面発色試薬は、色素と関連して体表面を発色するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2005年3月8日に出願された一部継続出願の米国特許出願第11/074473号明細書であり、これは、2003年9月8日に出願された米国仮特許出願第60/501498号明細書の利益を主張する、2004年9月7日に出願された一部継続出願の米国特許出願第10/935642号明細書である。
【0002】
本発明は、パーソナルケア製品の分野に関する。より具体的には、本発明は、色素を体表面に結合させるために使用することができる体表面結合ペプチドおよび色素結合ペプチドを含んでなるジブロックおよびトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬に関する。
【背景技術】
【0003】
毛髪、皮膚、および爪などの体表面に対する発色剤は周知であり、パーソナルケア製品に使用されることが多い。毛髪発色剤は、3つのカテゴリー、具体的には、永続的、半永続的または直接的、および一時的なものに分けることができる。永続的な毛髪染料は一般に、約4〜6週間持続する毛髪発色を提供する酸化染料である。これらの酸化毛髪染料は、2つの部分からなり、1つの部分は、他の成分に加えて酸化染料を含有し、一方、第2の部分は、過酸化水素などの酸化剤を含有する。この2つの成分は、使用直前に混合する。この酸化剤は、染料前駆体を酸化し、次いで毛幹内に大型の発色分子を形成するために組合わせる。酸化毛髪染料は、長期持続発色を提供するが、それらを含有する酸化剤は毛髪損傷を引き起こす。半永続的または直接的毛髪染料は、毛髪に塗布される予め形成された染料分子であり、約6回から12回シャンプーするまでの発色を提供する。このタイプの毛髪染料は、ペルオキシドを含有しないことから毛髪に対してより優しいが、毛髪発色が長期に持続しない。幾つかの耐久性の改善は、ヘンセン(Hensen)らにより国際公開第01045652号パンフレットに記載されているように、10から500nmの粒度を有するナノ粒子の毛髪発色材料の使用により達成される。これらのナノ粒子の毛髪発色材料は、ナノスケールの寸法を得るため、および毛髪への吸収増大を示すために処理される従来の直接的毛髪染料である。一時的な毛髪染料は、毛髪表面に塗布され、1回のシャンプー後に除去される発色剤である。毛髪を損傷する酸化剤を使用しないで永続的毛髪染料の耐久性を提供する毛髪発色剤を開発することは望ましいと思われる。
【0004】
現在の皮膚発色剤、非酸化毛髪染料、ならびに爪発色剤が有する主な問題は、それらが、長期持続作用に求められる必要な耐久性を欠くことである。この理由のために、化粧品剤の毛髪、皮膚または爪への結合を増強させる試みが成されている。例えば、米国特許第5,490,980号明細書のリチャードソン(Richardson)らおよび米国特許第6,267,957号明細書のグリーン(Green)らは、スキンコンディショナー、ヘアコンディショナー、発色剤、日焼け止め、および香料などの化粧品剤の、酵素トランスグルタミナーゼを用いた毛髪、皮膚、および爪に対する共有結合を記載している。この酵素は、皮膚、毛髪および爪のグルタミン残基に対して化粧品剤のアミン部分を架橋する。同様に、国際公開第0107009号パンフレットのグリーン(Green)らは、化粧品剤を毛髪、皮膚および爪に共有結合させるために酵素リシンオキシダーゼの使用を記載している。
【0005】
別のアプローチにおいて、化粧品剤は、タンパク質またはタンパク質加水分解物に共有結合している。例えば、米国特許第5,192,332号明細書のラング(Lang)らは、タンパク質鎖上にグラフト化された染料分子の残基を含有する動物または植物タンパク質、またはその加水分解物を含有する一時的発色組成物を記載している。これらの組成物において、タンパク質は、コンディショニング剤として役立ち、化粧品剤の毛髪、皮膚、または爪への結合を増強しない。特開平08−104614号公報のホリコシ(Horikoshi)らおよび米国特許第5,597,386号明細書のイガラシ(Igarashi)らは、染料または色素に共有結合された抗ケラチン抗体からなる毛髪発色剤を記載している。この抗体は毛髪に結合し、それによって毛髪発色剤の毛髪への結合を増強させる。同様に、特開平09−003100号公報のキザワ(Kizawa)らは、毛髪の表層を認識する抗体および毛髪を処理するためのその使用を記載している。発色ラテックス粒子に結合された抗毛髪抗体からなる毛髪発色剤もまた記載されている。染料の毛髪への結合を増強させる抗体の使用は、毛髪発色の耐久性を増加させるのに有効であるが、これらの抗体は、製造することが困難であり、かつ高価である。特開2002−363026号公報のテラダ(Terada)は、皮膚およびヘアケア組成物用の、染料、リガンド、ならびに化粧品剤に結合された単鎖抗体、好ましくは抗ケラチンからなる複合体を記載している。単鎖抗体は、遺伝子工学技術を用いて調製できるが、それらの大型サイズのため調製することが困難であり、かつ高価である。国際公開第00048558号パンフレットのフィンドレイ(Findlay)は、化粧品剤に関する結合ドメインおよびコンディショナー、染料、および香料に関して毛髪繊維の表面または皮膚表面の少なくとも一部に結合する別の結合ドメインを含有するβ−ラクトグロブリンなどのカリシンタンパク質の使用を記載している。また、これらのタンパク質は大型であり、製造することが困難であり、かつ高価である。
【0006】
米国特許第6,620,419号明細書のリンター(Linter)は、脂肪酸鎖にグラフト化されたペプチドおよび化粧品ならびに皮膚用医薬品適用においてそれらの使用を記載している。その開示に記載されたペプチドは、それらがコラーゲンの合成を刺激することから選択されるが、それらは、毛髪およびスキンコンディショナー、ならびに毛髪、爪、および皮膚発色剤の耐久性を増強する特異的な結合ペプチドではない。
【0007】
ペプチドベースのヘアコンディショナー、毛髪発色剤、および他の有益な薬剤もまた、これらの組成物の耐久性を改善するために開発されている(ファン(Huang)ら、同時係属および共同所有の米国特許出願公開第2005/0050656号明細書および米国特許出願公開第2005/0226839号明細書)。ペプチドベースのヘアコンディショナーまたは発色剤は、それぞれコンディショニング剤または発色剤により毛髪に対し高結合親和力を有する特異的なペプチド配列を結合させることにより調製される。ペプチド部分は毛髪に結合し、それによってコンディショニング剤または発色剤を強力に結合する。毛髪に対して高結合親和力を有するペプチドは、ファージディスプレイスクリーニング技法を用いて同定されている(ファンら、上記文献;エステル(Estell)ら、国際公開第0179479号パンフレット;ムレイ(Murray)ら、米国特許出願公開第2002/0098524号明細書;ジャンセン(Janssen)ら、米国特許出願公開第2003/0152976号明細書;およびジャンセン(Janssen)ら、国際公開第04048399号パンフレット)。
【0008】
さらに、ライシュ(Reisch)(Chem.Eng.News80:16−21頁(2002年))は、特定のヒト組織の成分をターゲットにするために設計されたペプチドのファミリーが、パーソナルケア適用のために開発されていることを報告している。しかしながら、その刊行物には、ペプチドベースのコンディショナーまたは発色剤の説明が開示されていない。これらのペプチドベースの試薬は、パーソナルケア適用において多くの見込みが提供されているが、それらは一般的に、ペプチドの発色剤に対する共有結合を必要とする。この共役化学反応は、複雑でかつ時間がかかる可能性があり、ならびに試薬の費用が加算される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に鑑みて、毛髪、皮膚、爪、および歯などの体表面に対する発色剤に関して、長期持続作用に対する改善された耐久性を提供し、調製するのが容易でかつ安価である必要性がある。
【0010】
出願者は、高親和力で毛髪、皮膚、爪、歯、歯肉、および口腔表面などの体表面に特異的に結合するファージディスプレイスクリーニングを用いてペプチド配列を同定するとともに、それを特異的な色素結合ペプチドと結合させることによって、述べられた必要性に対処して、表面を発色するために色素と併せて使用できるジブロックおよびトリブロックペプチチドベースの試薬を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、体表面結合ペプチドおよび色素結合ペプチドを含んでなるペプチドベースの体表面発色試薬を提供する。これらのペプチドベースの試薬は、毛髪、皮膚、爪、および歯などの体表面を発色するために色素と併せて使用することができる。体表面結合ペプチドは、体表面に強力に結合し、色素結合ペプチドは、色素に結合し、それによって体表面に色素が結合する。
【0012】
したがって、一実施形態において、本発明は、
a)BSBPが、体表面結合ペプチドであり;
b)PBPが、色素結合ペプチドであり;
c)m、n、およびxが、独立して1から約10の範囲である、
一般構造[(BSBP)−(PBP)を有するジブロックペプチドベースの体表面発色剤を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、
a)BSBPが、体表面結合ペプチドであり;
b)PBPが、色素結合ペプチドであり;
c)Sが、分子スペーサーであり;
d)m、n、xおよびzが、独立して1から約10、yが、1から約5の範囲であり、rおよびqの双方が0ではないという条件で、qおよびrが、各々独立して0または1である、一般構造[[(BSBP)−S−[(PBP)−Sを有するトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、体表面結合ペプチドが:
(i)組合わせにより生成されたファージ−ペプチドのライブラリーを提供する段階と;(ii)(i)のライブラリーを体表面と接触させて:
(A)ファージ−ペプチド−体表面複合体と;
(B)非結合体表面と;
(C)非複合化ペプチドと、
を含んでなる反応液を形成する段階と;
(iii)(ii)のファージ−ペプチド−体表面複合体を単離する段階と;
(iv)(iii)の単離ペプチド複合体から結合の弱いペプチドを溶出させる段階と;(v)段階(iv)の後に残存しているファージ−ペプチド−体表面複合体と直接ポリメラーゼ連鎖反応を用いることにより、または段階(iv)の後に残存しているファージ−ペプチド−体表面複合体により直接細菌宿主細胞を感染させることにより、残存する結合ファージ−ペプチドを同定し、好適な培地中で感染細胞を増殖させ、増殖細胞からファージ−ペプチドを単離し、同定する段階と、
を含んでなる工程により単離される本発明による水性ペプチドベースの体表面発色試薬を提供する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、体表面結合ペプチドおよび色素結合ペプチドを含んでなる、本発明のペプチドベースの体表面発色試薬の有効量を含んでなるパーソナルケア組成物を提供する。
【0016】
同様の実施形態において、本発明は、
a)色素を提供すること;
b)体表面結合ペプチドが、体表面に対する親和力を有し、色素結合ペプチドが、色素に対する親和力を有する本発明によるペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を提供すること;
c)ペプチドベースの体表面発色試薬が色素と体表面とに結合するのに十分な時間、(b)の組成物と一緒に(a)の色素を体表面に塗布することと、
を含んでなる体表面を発色するための方法を提供する。
【0017】
さらに本発明は、ペプチドベースの体表面発色試薬を含む、毛髪発色剤、毛髪コンディショニング、皮膚発色剤、皮膚コンディショニング、化粧品、口腔ケア、およびマニキュア組成物などのパーソナルケア組成物を提供する。
【0018】
図面および配列の簡単な説明
本発明は、本出願の一部を形成する以下の詳細な説明、図および添付の配列説明からより十分に理解することができる。
【0019】
以下の配列は、米国特許施行規則集第1.821〜1.825条(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を包含する特許出願のための要件−配列規則(Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures−the Sequence Rules)」)に準拠し、世界知的所有権機構(WIPO)基準ST.25(1998年)およびEPOならびにPCTの配列一覧表要件(規則5.2および49.5(aの2)、および実施細則の第208条および付録C)に従う。ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列データに用いられる記号およびフォーマットは、米国特許施行規則集第1.822条に説明される規則に準拠する。
【0020】
配列一覧表は、コンパクトディスク上に本明細書に添えられて提供される。配列一覧表を包含するコンパクトディスクの内容は、米国特許施行規則集第1.52(e)条に従って参照として本明細書に援用される。
【0021】
配列番号1は、毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0022】
配列番号2は、皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0023】
配列番号3〜52、54〜59は、毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0024】
配列番号53は、毛髪結合ペプチドおよび爪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0025】
配列番号60は、爪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0026】
配列番号61は、皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0027】
配列番号62は、配列ファージDNAに用いられたオリゴヌクレオチドプライマーである。
【0028】
配列番号63は、実施例5に記載されたELISA結合アッセイにおける対照として用いられるペプチドのアミノ酸配列である。
【0029】
配列番号64は、システイン結合の毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0030】
配列番号65は、カスパーゼ3開裂部位のアミノ酸配列である。
【0031】
配列番号66、69、および70は、シャンプー抵抗性毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0032】
配列番号67および68は、実施例8に記載されたシャンプー抵抗性毛髪結合ファージペプチドを増幅させるために用いられるプライマーのヌクレオチド配列である。
【0033】
配列番号71〜74は、実施例9に使用されたビオチン化毛髪結合ペプチドおよび皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0034】
配列番号75は、ヘアコンディショナー抵抗性毛髪結合ぺプチドのアミノ酸配列である。
【0035】
配列番号76〜98は、毛髪結合ぺプチドのアミノ酸配列である。
【0036】
配列番号99〜104は、皮膚結合ぺプチドのアミノ酸配列である。
【0037】
配列番号105〜109は、経験的に生成された毛髪および皮膚結合ぺプチドのアミノ酸配列である。
【0038】
配列番号110〜134は、色素結合ぺプチドのアミノ酸配列である。
【0039】
配列番号135〜137は、ぺプチドスペーサーのアミノ酸配列である。
【0040】
配列番号138〜147は、トリブロックのペプチドベースの体表面発色試薬のアミノ酸配列である。
【0041】
配列番号148〜151は、配列番号144〜147として与えられたペプチドベースの体表面発色試薬をコードするヌクレオチド配列である。
【0042】
配列番号152は、実施例17〜20に記載されているプラスミドpKSIC4−HCC77623のヌクレオチド配列である。
【0043】
配列番号153〜156は、ヘアコンディショナーおよびシャンプー抵抗性毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明は、直接または分子スペーサーにより、少なくとも1種の色素結合ペプチドに結合された少なくとも1種の体表面結合ペプチドを含んでなるジブロックおよびトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬を提供する。これらのジブロックおよびトリブロックペプチドベースの試薬は、体表面を発色するために色素と併せて使用することができる。本発明の典型的な組成物は、ペプチドベースの毛髪および皮膚発色剤ならびにマニキュア組成物である。
【0045】
本発明のジブロックおよびトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬は、パーソナルケア製品の開発において当該技術分野全体に利益と進歩を提供する。試薬はペプチドベースであるため、それらは、水性環境から体表面に強力に結合することができ、ひいては多くの場合、水溶性および耐水性の双方である。さらに、試薬の水性の性質のため、それらを、臭気発生化学物質を使用することなく体表面から除去することができる。本発明の試剤は、標的体表面にほぼ瞬時に結合し、パーソナルケア適用に典型的である長時間乾燥の必要性が除かれる。さらに、ペプチドベースの体表面発色試薬は、体表面結合ペプチドを発色剤に共有結合させる必要がなく使用される。最も重要なこととして、試薬のペプチドの性質は、皮膚および眼ならびに口の粘膜などの露出した体表面に対して実質的に非毒性および非刺激性である。
【0046】
以下の定義は、本明細書に使用され、特許請求の範囲および本明細書を解釈するために参照されるべきである。
【0047】
「HBP」とは、毛髪結合ペプチドを意味する。
【0048】
「SBP」とは、皮膚結合ペプチドを意味する。
【0049】
「NBP」とは、爪結合ペプチドを意味する。
【0050】
「OBP」とは、口腔表面結合ペプチドを意味する。
【0051】
「TBP」とは、歯結合ペプチドを意味する。
【0052】
「PBP」とは、色素結合ペプチドを意味する。
【0053】
「C」とは、毛髪、皮膚、爪、または歯などの体表面用の発色剤を意味する。
【0054】
「S」とは、スペーサーを意味する。
【0055】
「BSBP」とは、体表面結合ペプチドを意味する。
【0056】
本明細書に用いられる用語「本発明」または「発明」とは、提示され、または後に補正され、補足される特許請求の範囲に列挙されるとおりの本発明の全ての実施形態に対し一般に適用されることを意味する。
【0057】
用語「ペプチド」とは、ペプチド結合または修飾ペプチド結合により互いに結合された2つ以上のアミノ酸のことである。
【0058】
用語「体表面」とは、少なくとも1種の体表面結合ペプチドおよび少なくとも1種の色素結合ペプチドを含んでなるジブロックまたはトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬の結合に対する基質として供され得る人体の任意の表面のことである。典型的な体表面としては、これらに限定はしないが、毛髪、皮膚、爪、歯、および歯肉が挙げられる。
【0059】
本明細書に用いられる用語「毛髪」とは、眉毛、睫毛、および他の顔面毛髪など、任意のタイプのヒト毛髪のことである。
【0060】
本明細書に用いられる用語「皮膚」とは、ヒト皮膚、またはブタ皮膚、Vitro−Skin(登録商標)およびEpiDerm(登録商標)などのヒト皮膚の代替物のことである。体表面として本明細書に用いられる皮膚は、一般に上皮細胞層を含んでなり、さらに内皮細胞層を含んでなり得る。
【0061】
本明細書に用いられる用語「爪」とは、ヒトの指の爪および足の爪のことである。
【0062】
本明細書に用いられる用語「結合」および「結合された」とは、任意の化学結合のことであり、共有および非共有双方の相互作用を含む。
【0063】
体表面結合ペプチドの選択に適用される用語「ストリンジェンシー」とは、体表面からペプチドを溶出させるために用いられる溶出剤(通常界面活性剤)の濃度のことである。溶出剤のより高い濃度は、よりストリンジェントな条件を提供する。
【0064】
用語「ペプチド−体表面複合体」とは、ペプチド上の結合部位を介して体表面のサンプルに結合されたペプチドを含んでなる構造を意味する。
【0065】
用語「ペプチド−毛髪複合体」とは、ペプチド上の結合部位を介して毛髪繊維に結合されたペプチドを含んでなる構造を意味する。
【0066】
用語「ペプチド−皮膚複合体」とは、ペプチド上の結合部位を介して皮膚に結合されたペプチドを含んでなる構造を意味する。
【0067】
用語「ペプチド−爪複合体」とは、ペプチド上の結合部位を介して指の爪または足の爪に結合されたペプチドを含んでなる構造を意味する。
【0068】
用語「ペプチド−基質複合体」とは、ペプチド−毛髪、ペプチド−皮膚、ペプチド−爪、またはペプチド歯複合体のことである。
【0069】
用語「MB50」とは、実施例9に記載されるように、ELISAベースの結合アッセイで得られた最大シグナルの50%のシグナルを与える結合ペプチドの濃度のことである。MB50は、複合体の成分の結合相互作用または親和力の強度の指標を提供する。MB50の値が低くなると、ペプチドとその対応する基質との相互作用が強まる。
【0070】
用語「結合親和力」とは、結合ペプチドとそのそれぞれの基質との相互作用の強度のことである。結合親和力は、ELISAベースの結合アッセイで測定されたMB50値によって本明細書に定義される。
【0071】
用語「ナノ粒子」とは、1〜200nmの平均粒径を有する粒子として本明細書に定義される。粒子の平均粒径は、1〜40nmであることが好ましい。本明細書に用いられる用語「粒度」と「粒径」とは、同一の意味を有する。ナノ粒子としては、これらに限定はしないが、金属、半導体、ポリマー、またはシリカ粒子が挙げられる。
【0072】
用語「アミノ酸」とは、タンパク質またはポリペプチドの基本的な化学構造単位のことである。以下の略語は、特定のアミノ酸を識別するために本明細書で用いられる:
【0073】
【表1】

【0074】
「遺伝子」とは、先行の制御配列(5’非コード配列)および後続のコード配列(3’非コード配列)など、特定のタンパク質を発現する核酸断片のことである。「天然遺伝子」とは、それ自身制御配列を有し、天然に見られる遺伝子のことである。「キメラ遺伝子」とは、天然に共に見られない制御配列およびコード配列を含んでなり、天然遺伝子ではない任意の遺伝子のことである。したがって、キメラ遺伝子は、異なる供給源に由来する制御配列およびコード配列、または同一の供給源に由来する制御配列およびコード配列を含むことができるが、天然に見られるものとは異なった様式で配列される。「外来」遺伝子とは、通常、宿主生物に見られない遺伝子のことであるが、それは、遺伝子導入によって宿主生物に導入される。外来遺伝子は、非天然生物に挿入された天然遺伝子、またはキメラ遺伝子を含むことができる。
【0075】
「合成遺伝子」は、当業者に公知の手法を用いて化学的に合成されるオリゴヌクレオチド構成単位から組立てることができる。これらの構成単位をライゲートし、次いで酵素的に組立てられる遺伝子セグメントを形成するためにアニールして全遺伝子を構築する。DNAの配列に関連した「化学的に合成された」とは、成分のヌクレオチドがインビトロで組立てられたことを意味する。手動でのDNAの化学合成は、十分に確立された手法を用いて達成し得るか、または自動化化学合成は、多くの市販機械のうちの1つを用いて実施することができる。したがって、遺伝子は、宿主細胞のコドンバイアスを反映させるためにヌクレオチド配列の最適化に基づく最適な遺伝子発現に合わせて製造することができる。当業者は、コドンの使用法が、宿主に好ましいこれらのコドンに対してバイアスされる場合、好結果の遺伝子発現の可能性を認識する。好ましいコドンの判定は、配列情報が入手できる宿主細胞に由来する遺伝子の調査に基づくことができる。
【0076】
「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列のことである。「好適な制御配列」とは、コード配列の上流に位置するヌクレオチド配列(5’非コード配列)、その内部に位置するヌクレオチド配列、またはその下流に位置するヌクレオチド配列(3’非コード配列)のことであり、関連コード配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性、または翻訳に影響を及ぼす。制御配列としては、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステムループ構造を挙げることができる。
【0077】
「プロモーター」とは、コード配列または機能性RNAの発現を調節できるDNA配列のことである。一般に、コード配列は、プロモーター配列に対して3’に配置される。プロモーターは、それらの全体が天然遺伝子に由来するか、天然に見られる種々のプロモーターに由来する異なる要素から構成されるか、またはさらに合成DNAセグメントを含んでなり得る。種々のプロモーターは、種々の組織または細胞型において、または種々の発生段階において、もしくは種々の環境または生理的条件に応答して、遺伝子発現を誘導し得ることが当業者により理解される。大部分の時間、大部分の細胞型において、遺伝子を発現させるプロモーターは、通常、「構成的プロモーター」と称される。大抵の場合、制御配列の正確な境界が完全に定義されていないため、種々の長さのDNA断片が、同一のプロモーター活性を有し得る。
【0078】
本明細書に用いられる用語「発現」とは、本発明の核酸断片に由来するセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定な蓄積のことである。発現とは、mRNAのポリペプチドへの翻訳のことでもあり得る。
【0079】
用語「形質転換」とは、核酸断片の宿主生物のゲノムへの導入のことであり、遺伝子的に安定な遺伝形質を生じる。形質転換された核酸断片を含有する宿主生物は、「遺伝子導入」または「組換え」または「形質転換」生物と称される。
【0080】
用語「宿主細胞」とは、形質転換もしくは形質移入された、または外因性ポリヌクレオチド配列により形質転換または形質移入できる細胞のことである。
【0081】
用語「プラスミド」、「ベクター」および「カセット」とは、通常、円形二本鎖DNA分子の形態で、細胞の中枢代謝の一部ではない遺伝子をしばしば担持する染色体外要素のことである。このような要素は、任意の供給源に由来する自己複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列、直鎖状または環状の一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAである可能性があり、多くのヌクレオチド配列は、細胞への適切な3’非翻訳配列と共に選択された遺伝子産物に対してプロモーター断片およびDNA配列を導入できるユニークな構築物に結合または組換えされている。「形質転換カセット」とは、外来遺伝子を含有し、特定の宿主細胞の形質転換を促進する外来遺伝子に加えた要素を有する特定のベクターのことである。「発現カセット」とは、外来遺伝子を含有し、外来宿主においてその遺伝子の発現増強を可能にする外来遺伝子に加えた要素を有する特定のベクターのことである。
【0082】
用語「ファージ」または「バクテリオファージ」とは、細菌に感染するウィルスのことである。変化形態は、本発明の目的のために使用することができる。好ましいバクテリオファージは、M13と呼ばれる「野生型」ファージに由来する。M13系は、感染細胞を破壊しないが、連続的に新規なファージを作成させるように、細菌内で増殖することができる。それは一本鎖DNAファージである。
【0083】
用語「ファージディスプレイ」とは、バクテリオファージまたはファージミド粒子の表面上への機能性外来ペプチドの提示のことである。遺伝子改変されたファージは、それらの天然表面タンパク質のセグメントとしてそのペプチドを出現させるために使用することができる。ペプチドライブラリーは、種々の遺伝子配列を有するファージ集団により産生することができる。
【0084】
「PCR」または「ポリメラーゼ連鎖反応」は、特定のDNAセグメントの増幅に使用される技法である(米国特許第4,683,195号明細書および米国特許第4,800,159号明細書)。
【0085】
本明細書に使用された標準的な組換えDNAおよび分子クローニング技法は、当該技術分野において周知であり、サムブルック,J.(Sambrook,J.)、フリッシュ,E.F.(Fritsch,E.F.)およびマニアチス,T.(Maniatis,T.)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第二版、コールドスプリングハーバー・ラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州(1989年)(以後「マニアチス」);シルヘイヴィ,T.J.(Silhavy,T.J.)、ベンナン,M.L.(Bennan,M.L.)、およびエンキスト,L.W.(Enquist,L.W.)、「Experiments with Gene Fusions」、コールドスプリングハーバー・ラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州(1984年);およびオースベル,F.M.(Ausubel,F.M.)ら、「Current Protocols in Molecular Biology」、グリーン・パブリッシングアソシエート・アンド・ウィリー−インターサイエンス(Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience)(1987年)により記載されている。
【0086】
本発明は、直接的または分子スペーサーを介して、少なくとも1種の色素結合ペプチドに結合された少なくとも1種の体表面結合ペプチドを含んでなるジブロックおよびトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬を提供する。体表面結合ペプチド配列および色素結合ペプチド配列は、ファージディスプレイなどの組合わせ法を用いて同定することができる。さらに、体表面結合ペプチド配列は、経験的に生成することができる。本発明のジブロックおよびトリブロックペプチドベースの試薬は、直接的または分子スペーサーを介して、ペプチド配列を共有結合させることによって調製することができる。あるいは、ジブロックおよびトリブロックペプチドベースの試薬全体を、生物学的に製造することができる。ジブロックおよびトリブロックのペプチドベースの体表面発色試薬は、毛髪、皮膚、爪、および歯などの体表面を発色するために色素と併せて使用することができる。
【0087】
体表面
本発明の体表面は、結合ペプチドに対する基質として働く人体上の任意の表面である。典型的な体表面としては、これらに限定はしないが、毛髪、皮膚、爪、歯、歯肉、および口腔組織が挙げられる。多くの場合、本発明の体表面は、空気に曝されるが、幾つかの場合、例えば口腔は、表面が内部にある。したがって、体表面としては、上皮細胞ならびに内皮細胞双方の層を挙げることができる。
【0088】
体表面のサンプルは、種々の供給源から入手できる。例えば、ヒト毛髪サンプルは、例えば、茶色、黒色、赤色、および金色などの種々の色で、およびアフリカ系アメリカ人、コーカサス人、およびアジア人などの種々のタイプでインターナショナル・ヘアインポーターズ・アンド・プロダクツ(International Hair Importers and Products)(ニューヨーク州、ベルローズ(Bellerose))から市販されている。さらに、毛髪サンプルは、例えば、脱色した毛髪を得るために過酸化水素を用いて処理することができる。ヒト皮膚サンプルは、死体またはインビトロのヒト皮膚培養物から入手することができる。さらに、精肉店およびスーパーマーケットから入手できる、ブタ皮膚、IMS社(コネチカット州、ミルフォード(Milford))から入手できるVitro−Skin(登録商標)およびマットテク(MatTek)社(マサチューセッツ州、アシュランド(Ashland))から入手できるEpiDerm(商標)は、ヒト皮膚の良好な代替物である。ヒトの指の爪および足の爪は、志願者から入手することができる。取り出されたヒト歯および偽歯は、歯科医院から入手することができる。さらに、例えば、バークレー・アドバンスド・バイオマテリアルス社(Berkeley Advanced Biomaterials,Inc.)(カリフォルニア州、サンリアンドロ(San Leandro))から多くの形態で入手できるヒドロキシアパタイトは、ヒト歯用のモデルとして使用することができる。
【0089】
体表面結合ペプチド
本明細書で定義される体表面結合ペプチドは、例えば、これらに限定はしないが、毛髪、爪、歯、歯肉、皮膚、および口腔組織など、特定の体表面に高親和力で特異的に結合するペプチド配列である。好適な体表面結合ペプチド配列は、当該技術分野において周知である組合わせ法を用いて選択できるか、または経験的に作成できる。本発明の体表面結合ペプチド配列は、約10−2M以下、約10−3M以下、約10−4M以下、約10−5M以下、好ましくは約10−6M以下、より好ましくは約10−7M以下のMB50値により測定された、それぞれの基質に対する結合親和力を有する。
【0090】
本発明の組合わせにより作成された体表面結合ペプチドは、長さが約7から約50アミノ酸、より好ましくは約7から約25アミノ酸である。本発明の体表面結合ペプチド類は、無作為に作成することができ、対象表面に対する結合親和力に基づいて、特定の体表面、例えば、毛髪、皮膚、爪、または歯サンプルに対して選択できる。ペプチドの無作為ライブラリーの作成は周知であり、細菌ディスプレイ(ケンプ,D.J.(Kemp,D.J.)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78(7):4520−4524頁(1981年)、およびヘルフマン(Helfman)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80(1):31−35頁、(1983年))、酵母ディスプレイ(チエン(Chien)ら、Proc Natl Acad Sci USA 88(21):9678−82頁(1991年))、組合わせ固相ペプチド合成(米国特許第5,449,754号明細書、米国特許第5,480,971号明細書、米国特許第5,585,275号明細書、米国特許第5,639,603号明細書)、およびファージディスプレイ技術(米国特許第5,223,409号明細書、米国特許第5,403,484号明細書、米国特許第5,571,698号明細書、米国特許第5,837,500号明細書)など、種々の技法により達成することができる。このような生物学的ペプチドライブラリーを作成する技法は、ダニー,M.J.(Dani,M.、J.)のReceptor & Signal Transduction Res.、21(4):447−468頁(2001年)に記載されている。さらに、ファージディスプレイライブラリーは、ニューイングランド・バイオラブス(New England BioLabs)(マサチューセッツ州ビバリー(Beverly))などの会社から市販されている。
【0091】
ペプチドを無作為に作成する好ましい方法は、ファージディスプレイによる。ファージディスプレイは、ペプチドまたはタンパク質がバクテリオファージのコートタンパク質に遺伝子的に融合されてファージビリオンの外面上に融合ペプチドの提示をもたらし、一方、この融合物をコードするDNAは、ビリオン内に残留する。提示されたペプチドとそれをコードするDNAとの間のこの物理的結合は、ペプチドの膨大な数の変異体のスクリーニングを可能にし、各々は、「バイオパニング」と呼ばれる簡便なインビトロ選択法により、対応するDNA配列に結合する。その最も簡単な形態において、バイオパニングは、ファージディスプレイ変異体のプールを、プレートまたはビーズ上に固定化された対象のターゲットとインキュベートし、未結合ファージを洗浄し、ファージとターゲットとの間の結合相互作用を破壊して特異的結合のファージを溶出させることによって実施される。次に溶出されたファージをインビボで増幅させてこの工程を反復し、ステップごとに最も堅固な結合配列の選ばれたファージプールに富む結果を得る。選択/増幅の3ラウンド以上の後、個々のクローンは、DNA配列決定により特性化される。
【0092】
より具体的には、ペプチドの好適なライブラリーを作成または購入した後、次にこのライブラリーを、適量の試験基質、特に体表面サンプルと接触させる。ペプチドのライブラリーは、サンプルを接触させるために好適な溶液に溶解させる。体表面サンプルを、溶液中に懸濁させるか、またはプレートもしくはビーズ上に固定化することができる。好ましい溶液は、界面活性剤を含有する水性緩衝生理食塩液である。好適な溶液は、0.5%Tween(登録商標)20を含むトリス緩衝生理食塩水(TBS)である。溶液はさらに、ペプチドの体表面サンプルへの物質移動速度を増加させるための任意の手段により攪拌し、それによって最大結合を達成させるのに必要な時間を短縮する。
【0093】
接触させることにより、体表面サンプルに無作為に作成されたペプチドの多くが結合して、ペプチド−体表面複合体、例えば、ペプチド−毛髪、ペプチド−皮膚、ペプチド−爪、またはペプチド−歯複合体を形成する。未結合ペプチドは、洗浄により除去することができる。全ての未結合物質を除去した後、試験表面に対して種々の程度の結合親和力を有するペプチドは、種々のストリンジェンシーを有する緩衝液中での選択的な洗浄により分別化することができる。使用される緩衝液のストリンジェンシーを増加させることにより、ペプチド−体表面複合体中のペプチドと体表面との間の必要な結合強度が増加する。
【0094】
ペプチドの選択において緩衝液のストリンジェンシーを変えるために多くの物質を使用でき、これらに限定はしないが、酸性pH(1.5〜3.0);塩基性pH(10〜12.5);MgCl(3〜5M)およびLiCl(5〜10M)などの高塩濃度;水;エチレングリコール(25〜50%);ジオキサン(5〜20%);チオシアネート(1〜5M);グアニジン(2〜5M);尿素(2〜8M);およびSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、DOC(デオキシコール酸ナトリウム)、ノニデットP−40、トリトンX−100、Tween(登録商標)20が挙げられ、その中でもTween(登録商標)20が好ましい。これらの物質は、緩衝液中で調製でき、これらに限定はしないが、トリス−HCl、トリス緩衝生理食塩液、トリス−ホウ酸、トリス−酢酸、トリエチルアミン、リン酸緩衝液、およびグリシン−HClが挙げられ、その中でもトリス緩衝生理食塩液が好ましい。
【0095】
体表面物質に対して結合親和力が増加したペプチドは、ストリンジェンシーを増加させた緩衝液を用いる選択工程を、反復させることによって溶出し得ることが認められるであろう。溶出されたペプチドは同定することができ、当該技術分野に公知の任意の手段により配列決定することができる。
【0096】
このように、体表面結合ペプチド、例えば、毛髪結合ペプチド、皮膚結合ペプチド、爪結合ペプチド、または歯結合ペプチドを作成するために以下の方法を使用できる。組合わせで作成されたファージペプチドのライブラリーを、対象の体表面と接触させてファージペプチド体表面複合体を形成する。ファージペプチド体表面複合体は、非複合化ペプチドおよび非結合基質から分離し、ファージペプチド体表面複合体から結合ファージペプチドを、酸処理によりこの複合体から溶出させることが好ましい。次いで、溶出されたファージペプチドを同定し、配列決定する。1つの基質には結合するが、別の基質には結合しないペプチド配列、例えば、毛髪には結合するが皮膚には結合しないペプチド、または皮膚には結合するが毛髪には結合しないペプチドを同定するために、減算のパニング段階が加えられる。具体的には、組合わせで作成されたファージペプチドのライブラリーを、最初に非ターゲットと接触させて、それに結合するファージペプチドを除去する。次に、非結合ファージペプチドを所望の基質と接触させて上記の工程が続く。あるいは、組合わせで作成されたファージペプチドのライブラリーを、非ターゲットおよび所望の基質と同時に接触させることができる。次いで、ファージペプチド体表面複合体を、ファージペプチド非ターゲット複合体から分離し、所望のファージペプチド体表面複合体について上記の方法が続く。
【0097】
一実施形態において、体表面に対してより高い親和力のペプチドを単離するための改良されたファージディスプレイスクリーニング法が使用される。この改良された方法において、ファージペプチド体表面複合体を上記のとおり形成する。次にこれらの複合体を溶出用緩衝液で処理する。任意の上記溶出用緩衝液を使用することができる。溶出用緩衝液は酸性液であることが好ましい。次に残存の溶出抵抗ファージペプチド体表面複合体を、大腸菌(E.coli)ER2738などの細菌宿主細胞に直接感染させるために使用する。LB(Luria−Bertani)培地などの適切な増殖培地中で、感染宿主細胞を増殖させ、この培養物を、IPTG(イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド)およびS−Gal(商標)を有するLB培地など、好適な増殖培地を含有する寒天上に広げる。増殖後、DNA単離のためにプラークを選び取って配列決定し、対象の体表面に対し高結合親和力をもつペプチド配列を同定する。
【0098】
別の実施形態において、参照として本明細書に援用されている米国特許出願公開第2003/0152976号明細書においてジャンセン(Janssen)らにより記載されているように、適切なプライマーを用いてファージペプチド体表面複合体に対してPCRを直接実施することによって、上記の改良されたファージディスプレイスクリーニング法からPCRを用いて溶出抵抗性ファージペプチドを同定することができる。
【0099】
毛髪結合、皮膚結合、および爪結合ペプチドは、同時係属および共同所有の米国特許出願公開第2005/0050656号明細書および米国特許出願公開第2005/0226839号明細書においてファンらにより記載され、それらの双方が参照として本明細書に援用されている、上記の方法を用いて同定されている。具体的には、配列番号3〜18、28〜38、40〜56、および64として与えられる正常な茶色の毛髪に対する高親和力を有し;配列番号66、69および70として与えられる正常な茶色の毛髪に対して親和力を有するシャンプー抵抗性ペプチド;配列番号7、8、19〜27、38〜40、43、44、47、57、58および59として与えられる脱色毛髪、配列番号53および60として与えられる指の爪;および配列番号61として得られる皮膚に対して親和力を有する結合ペプチドが単離された。さらに、指の爪結合ペプチドは、脱色毛髪に結合することが判明しており、本発明のペプチドベースの毛髪用試薬に使用することができる。脱色毛髪結合ペプチドは、指の爪に結合し、本発明のペプチドベースの爪用試薬に使用することができる。
【0100】
あるいは、毛髪および皮膚結合ペプチド配列は、ローセ(Rothe)らにより記載されるように(国際公開第2004/000257号パンフレット)、静電気相互作用により毛髪および皮膚に結合できる正に帯電したアミノ酸を含んでなるペプチドを設計することにより経験的に作成することができる。経験的に作成された毛髪および皮膚結合ペプチドは、約4個のアミノ酸から約50個のアミノ酸、好ましくは、約4個のアミノ酸から約25個のアミノ酸を有し、リシン、アルギニン、およびヒスチジンなど、少なくとも約40モル%の正に帯電したアミノ酸を含んでなる。HRK、RHK、HKR、RKH、KRH、KHR、HKX、KRX、RKX、HRX、KHXおよびRHXなどのトリペプチドモチーフを含有するペプチド配列は最も好ましく、Xは、任意の天然アミノ酸であるが、グリシン、アラニン、プロリン、ロイシン、イソロイシン、バリンおよびフェニルアラニンなどの中性側鎖のアミノ酸から選択されることが最も好ましい。さらに、当然のことながら、ペプチド配列は、溶解度、粘度および製剤製品における他の成分との適合性など、最終使用において他の機能的要件に合致しなければならず、したがって適用のニーズによって変わり得る。幾つかの場合、ペプチドは、ヒスチジン、リシンまたはアルギニンを含まない60モル%までのアミノ酸を含有することができる。好適な経験的に作成された毛髪結合および皮膚ペプチドとしては、これらに限定はしないが、配列番号105〜109が挙げられる。
【0101】
色素結合ペプチド
本明細書に定義された色素結合ペプチド(PBP)は、色素に対して高親和力で特異的に結合するペプチド配列である。色素結合ペプチドは、長さが約5アミノ酸から50アミノ酸、より好ましくは、約7アミノ酸から約12アミノ酸である。
【0102】
好適な色素結合ペプチド配列は、当該技術分野において周知である方法を用いて選択することができる。例えば、色素結合ペプチドを無作為に作成することができ、次いで、参照として本明細書に援用される米国特許出願公開第2005/0054752号明細書においてオブライエン(O’Brien)らにより記載されているように、対象の色素に対する結合親和力に基づいて特定の色素に対して選択することができる。その方法は、体表面結合ペプチドの選択についての上記の方法と同様である。
【0103】
本明細書に用いられる用語「色素」とは、不溶性発色剤を意味する。多種多様の有機および無機色素を単独または組合わせて本発明に使用できる。好適な色素としては、これらに限定はしないが、D&Cレッド番号36、D&Cレッド番号30、D&Cオレンジ番号17、グリーン3レーキ、Ext.イエロー7レーキ、オレンジ4レーキおよびレッド28レーキ;D&Cレッド番号7、11、31および34のカルシウムレーキ、D&Cレッド番号12のバリウムレーキ、D&Cレッド番号13のストロンチウムレーキ、FD&Cイエロー番号5、FD&Cイエロー番号6、FD&C番号40、D&Cレッド番号21、22、27、および28、FD&Cブルー番号1、D&Cオレンジ番号5、D&Cイエロー番号10のアルミニウムレーキ、D&Cレッド番号33のジルコニウムレーキ;Cromophthal(登録商標)イエロー131AK(チバ・スペシャルティーケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))、Sunfast(登録商標)マゼンタ122(サンケミカル(Sun Chemical))およびSunfast(登録商標)ブルー15:3(サンケミカル(Sun Chemical))、酸化鉄、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、第二鉄アンモニウムフェロシアン化物、炭酸マグネシウム、カルミン、硫酸バリウム、マイカ、ビスマスオキシクロリド、ステアリン酸亜鉛、マンガンバイオレット、酸化クロム、二酸化チタン、二酸化チタンナノ粒子、酸化亜鉛、酸化バリウム、ウルトラマリンブルー、クエン酸ビスマス、およびヒドロキシアパタイトなどの白色鉱物、およびジルコン(ケイ酸ジルコニウム)、およびカーボンブラック粒子が挙げられる。
【0104】
好適な色素結合ペプチドの例としては、これらに限定はしないが、配列番号110〜113として与えられる色素カーボンブラック、配列番号114〜122として与えられるCromophtal(登録商標)イエロー、配列番号123〜125として与えられるSunfast(登録商標)マゼンタ、および配列番号122、126〜134として与えられるSunfast(登録商標)ブルーに対して高親和力を有する上記文献のオブライエン(O’Brien)らにより記載されているもの、カーボンブラック、銅フタロシアニン、二酸化チタン、および二酸化シリコンに対して高親和力を有する欧州特許第1275728号明細書においてノモト(Nomoto)らにより記載されているものが挙げられる。
【0105】
結合ペプチドの製造
本発明の体表面結合ペプチドおよび色素結合ペプチドは、当該技術分野において周知である(例えば、スチュワート(Stewart)ら、「Solid Phase Peptide Synthesis」、ピアスケミカル社(Pierce Chemical Co.)、イリノイ州、ロックフォード(Rockford)、1984年;ボダンスキー(Bodanszky)、「Principles of Peptide Synthesis」、スプリンガー−ベルラーグ(Springer−Verlag)、ニューヨーク、1984年;およびペニングトン(Pennington)ら、「Peptide Synthesis Protocols」,ヒューマナプレス(Humana Press)、ニュージャージー州、トトワ(Totowa)、1994年を参照)標準的なペプチド合成方法を用いて調製することができる。さらに、多くの会社は、特別注文のペプチド合成サービスを提供する。
【0106】
あるいは、本発明のペプチドは、組換えDNAおよび分子クローニング技法を用いて調製することができる。毛髪結合、皮膚結合または爪結合ペプチドをコードする遺伝子を、異種宿主細胞、特に微生物宿主細胞において産生させることができる。
【0107】
本発明の結合ペプチド発現のために好ましい異種宿主細胞は、真菌または細菌ファミリー内に幅広く見ることができ、広範な温度、pH値、および溶媒耐容性に亘って増殖させることができる微生物宿主である。転写、翻訳、およびタンパク質生合成装置は、細胞供給材料にかかわりなく同じであることから、機能性遺伝子は、細胞バイオマスを生成するために使用される炭素供給材料にかかわりなく発現される。宿主株の例としては、これらに限定はしないが、アスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ピチア属(Pichia)、カンジダ属(Candida)、ハンゼヌラ属(Hansenula)などの真菌または酵母種、またはサルモネラ属(Salmonella)、バチルス属(Bacillus)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、エシェリキア属(Escherichia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、メチロモナス属(Methylomonas)、メチロバクター属(Methylobacter)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、シネコシスチス属(Synechocystis)、アナベナ属(Anabaena)、チオバチルス属(Thiobacillus)、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)およびクレブシエラ属(Klebsiella)などの細菌種が挙げられる。
【0108】
種々の発現系は、本発明のペプチドを製造するために使用することができる。このようなベクターとしては、これらに限定はしないが、染色体、エピソームおよびウィルス由来のベクター、例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、挿入要素、酵母エピソーム、バキュロウィルス、レトロウィルスなどのウィルスに由来のベクター、プラスミドならびにコスミドおよびファージミドなどのバクテリオファージの遺伝子要素に由来のものなど、それらの組合わせに由来のベクターが挙げられる。この発現系の構築物は、発現を調節し、ならびに発生させる調節領域を含有することができる。一般に、宿主細胞においてポリヌクレオチドまたはポリペプチドを維持し、増殖させまたは発現するのに好適な任意の系またはベクターは、この点に関する発現のために使用することができる。微生物発現系および発現ベクターは、宿主細胞の増殖に関連する外来タンパク質の高レベル発現を方向づける調節配列を含有する。調節配列は、当業者に周知であり、例としては、これらに限定はしないが、ベクターにおける調節要素、例えば、エンハンサー配列の存在など、遺伝子発現が化学的または物理的刺激に応答させるか、または応答させないものが挙げられる。本発明の任意の結合ペプチドの製造に関して、これらのいずれもキメラ遺伝子を構築するために使用することができるであろう。次いで、これらのキメラ遺伝子は、形質変換を介して適切な微生物に導入してペプチドの高レベルの発現を提供し得るであろう。
【0109】
好適な宿主細胞の形質変換に有用なベクターまたはカセットは当該技術分野において周知である。典型的にベクターまたはカセットは、関連遺伝子、1つまたは複数の選択可能なマーカー、および自律複製または染色体の組込みを可能にする配列を含有する。好適なベクターは、転写開始制御部を保護する遺伝子の5’領域、および転写終了を制御するDNA断片の3’領域を含んでなる。両制御領域は、形質変換された宿主細胞と相同性の遺伝子に由来する場合が最も好ましいが、当然のことながら、このような制御領域は、産生宿主として選択される特定種に対して天然の遺伝子に由来する必要はない。選択可能なマーカー遺伝子は、大腸菌においてテトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性のような形質転換宿主細胞の選択のための表現型特性を提供する。
【0110】
所望の宿主細胞においてキメラ細胞の発現を駆動させるのに有用な開始制御領域またはプロモーターは、多数存在し、当業者に知られている。実質的に遺伝子を駆動できるいずれのプロモーターも、本発明の結合ペプチドを産生させるために好適であり、これらに限定はしないが、CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI(サッカロミセス属(Saccharomyces)の発現に有用);およびlac、ara、tet、trp、IP,IP、T7、tac、およびtrc(大腸菌の発現に有用)ならびにamy、apr、nprプロモーターおよびバチルス属の発現に有用な種々のファージプロモーターが挙げられる。
【0111】
終了制御領域はまた、好ましい宿主に対して天然の種々のファージに由来し得る。終了部位は、不必要な場合もあり得るが、その部位を包含することが最も好ましい。
【0112】
宿主が本発明のペプチドを発現するために、上記の文献に記載された適切なDNA配列を含有するベクター、ならびに適切なプロモーターまたは制御配列は、適切な宿主を形質転換させるために使用することができる。無細胞翻訳系もまた、本発明のDNA構築物に由来するRNAを用いて、このようなペプチドを産生させるために使用することができる。形質転換宿主の分泌産物として、当該遺伝子産物を産生することが望ましいことであり得る場合もある。所望のタンパク質の増殖培地への分泌により、簡便でコストのより低い精製法に関する利点を有している。分泌シグナル配列により、細胞膜を通して発現可能なタンパク質の能動輸送を促進させるのにしばしば有用であることは当該技術分野において周知である。分泌できる形質変換宿主の作成は、製造宿主において機能的である分泌シグナルをコードするDNA配列の取込みにより達成することができる。適切なシグナル配列を選択する方法は、当該技術分野において周知である(例えば、欧州特許第546049号明細書および国際公開第9324631号パンフレットを参照)。分泌シグナルDNAまたは促進因子を、発現制御DNAと当該遺伝子または遺伝子断片との間に、ならびに後者と同じリーディングフレームに配置させることができる。
【0113】
ジブロックおよびトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬
本発明のジブロックペプチドベースおよびトリブロックペプチドベースの体表面発色剤は、直接または分子スペーサーを介して少なくとも1種の色素結合ペプチドに対して少なくとも1種の体表面結合ペプチドを結合させることによって形成される。この試薬の体表面結合ペプチド部分は、体表面に強力に結合するが、一方、色素結合配列は、色素に強力に結合し、それによって色素が体表面に結合する。本発明のジブロックおよびトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬は、長さが約14から約200アミノ酸、好ましくは、長さが約30から約130アミノ酸である。
【0114】
好適な体表面結合ペプチドは、上記に説明されたとおり、これらに限定はしないが、上記に説明されたスクリーニング法により選択された毛髪結合、皮膚結合、爪結合および歯結合ペプチドが挙げられ、上記に説明されたとおり、毛髪および皮膚結合ペプチドを経験的に作成される。さらに、任意の公知の体表面結合ペプチドは、米国特許出願公開第2003/0152976号明細書においてジャンセン(Janssen)らにより記載された配列番号1などの毛髪結合ペプチド、および配列番号2などの皮膚結合ペプチド、国際公開第04048399号パンフレットにおいてジャンセン(Janssen)らにより記載された配列番号76〜98などの毛髪結合ペプチド、および配列番号99〜104などの皮膚結合ペプチドなどを使用することができ、それら双方の文献は、参照として本明細書に援用されている。さらに、ワン(Wang)ら(米国仮特許出願第60/657496号明細書)により記載された配列番号75などのヘアコンディショナー抵抗性毛髪結合ペプチド、およびオブライエン(O’Brien)ら(米国特許出願第11/251715号明細書)により記載された配列番号153〜156などのヘアコンディショナーおよびシャンプー抵抗性毛髪結合ペプチドを使用することができる。
【0115】
好適な色素結合ペプチドは、上記に説明されており、上記に説明されたスクリーニング法により選択された色素結合ペプチドを含む。さらに、任意の公知の色素結合ペプチドは、EP1275728においてノモト(Nomoto)らにより記載されているカーボンブラック、銅フタロシアニン、二酸化チタン、および二酸化シリコンに結合するペプチドなどを使用することができる。
【0116】
本発明のジブロックおよびトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬は、直接または任意のスペーサーを介して少なくとも1種の色素結合ペプチドに対して少なくとも1種の体表面結合ペプチドを結合させることによって調製される。結合相互作用は、共有結合、または水素結合、静電気相互作用、疎水性相互作用、またはファンデルワールス相互作用などの非共有結合相互作用であり得る。非共有結合相互作用の場合、ペプチドベースの体表面発色試薬は、少なくとも1種の体表面結合ペプチド、少なくとも1種の色素結合ペプチドおよび任意のスペーサー(使用される場合)を混合し、十分な時間相互作用を生じさせることにより調製することができる。非結合物質は、当該技術分野に公知の方法、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて生じたペプチドベースの体表面発色試薬から分離することができる。
【0117】
本発明のペプチドベースの体表面発色試薬は、直接または任意のスペーサーを介して少なくとも1種の色素結合ペプチドに対して少なくとも1種の体表面結合ペプチドを共有結合させることによっても調製することができる。任意の既知のペプチドまたはタンパク質の共役化学を用いて、本発明のペプチドベースの体表面発色試薬を形成することができる。共役化学は、当該技術分野において周知である(例えば、ハーマンソン(Hermanson)、「Bioconjugate Techniques」、アカデミックプレス(Academic Press)、ニューヨーク(1996年)を参照)。好適な結合剤としては、これらに限定はしないが、カルボジイミド結合剤、二酸クロリド、ジイソシアネート類およびペプチド上の末端アミン基および/またはカルボン酸基に対して反応性である他の二官能性結合剤が挙げられる。好ましい結合剤は、活性なカルボン酸基に使用することができる1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)およびN,N’−ジシクロヘキシル−カルボジイミド(DCC)などのカルボジイミド結合剤である。さらに、ペプチドベースの体表面発色試薬に関して所望の構造を製造するために、ペプチド上の活性なアミン基またはカルボン酸基を保護する必要があり得る。t−ブトキシカルボニル(t−BOC)などのアミノ酸に対する保護基の使用は、当該技術分野において周知である(例えば、スチュワートら、上記文献;ボダンスキー、上記文献;およびペニングトンら、上記文献を参照)。
【0118】
さらに、1種の体表面結合ペプチドおよび少なくとも1種の色素結合ペプチドからなるジブロックペプチドベースの体表面発色試薬は、上記文献に記載された組換えDNAおよび分子クローニング技法を用いて調製することができる。
【0119】
また、トリブロックペプチドベースの体表面発色試薬を形成するために、スペーサーを介して体表面結合ペプチドを色素結合ペプチドに結合させることが望ましいと考えられる。このスペーサーは、個々のペプチドの結合親和力が結合によって悪影響を及ぼさないことを確保するために、結合ペプチド配列の分離に役立つ。このスペーサーはまた、親水性、疎水性、またはペプチド配列を開裂させる手段などの他の望ましい性質を提供して、発色剤の除去を促進することができる。
【0120】
スペーサーは、アルキル鎖、フェニル化合物、エチレングリコール、アミド類、エステル類などの種々の分子のいずれかであり得る。好ましいスペーサーは、親水性であり、1個から約100個の原子、より好ましくは、2個から約30個の原子の鎖長を有する。好ましいスペーサーの例としては、これらに限定はしないが、エタノールアミン、エチレングリコール、6個の炭素原子の鎖長を有するポリエチレン、3つから6つの反復単位を有するポリエチレングリコール、フェノキシエタノール、プロパノールアミド、ブチレングリコール、ブチレングリコールアミド、プロピルフェニル鎖、およびエチル、プロピル、ヘキシル、ステリル、セチル、およびパルミトイルアルキル鎖が挙げられる。スペーサーは、上記の任意の結合化学を用いて体表面結合ペプチド配列および色素結合ペプチド配列に共有結合させることができる。スペーサーの取込みを促進させるために、スペーサーおよびペプチドに対する結合のために両末端に反応性基を含有する二官能性架橋剤を使用することができる。好適な二官能性架橋剤は当該技術分野において周知であり、これらに限定はしないが、1,6−ジアミノヘキサンなどのジアミン類;グルタルアルデヒドなどのジアルデヒド類;エチレングリコール−ビス(コハク酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ジスクシンイミジルグルタレート、ジスクシンイミジルスベレート、およびエチレングリコール−ビス(スクシンイミジルスクシネート)などのビス−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル類;ヘキサンメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート類;1,4ブタンジイルジグリシジルエーテルなどのビスオキシラン類;スクシニルジサリシレートなどのジカルボン酸類;などが挙げられる。各末端に異なる反応性基を含有するヘテロ二官能性架橋剤もまた使用することができる。ヘテロ二官能性架橋剤の例としては、これらに限定はしないが、以下の構造:
【0121】
【化1】

【0122】
を有する化合物が挙げられ、
式中:Rは、Hまたは−SONa、−NO、または−Brなどの置換基であり;Rは、−CHCH(エチル)、−(CH(プロピル)、または−(CH(プロピルフェニル)などのスペーサーである。このようなヘテロ二官能性架橋剤の例は、3−マレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。これら試剤のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基は、一ペプチド上のアミン基と反応するが、一方、マレイミド基は、他のペプチド上に存在するチオール基と反応する。少なくとも1つのシステイン基を、結合ペプチド配列の少なくとも一端(すなわち、C−末端またはN−末端)に付加させることによって、チオール基をペプチドに取り込ませることができる。グリシンなどの幾つかのスペーサーアミノ酸残基は、結合ペプチド配列と末端システインとの間に取り込ませて、反応性チオール基を結合配列から分離することができる。さらに、少なくとも1つのリシン残基を、結合ペプチド配列の少なくとも一端、すなわち、C−末端またはN−末端に付加させて、結合用のアミノ基を提供することができる。
【0123】
さらに、スペーサーは、任意のアミノ酸およびその混合物を含んでなるペプチドであり得る。好ましいペプチドスペーサーは、アミノ酸、すなわち、グリシン、アラニン、セリン、およびそれらの混合物を含んでなる。さらに、ペプチドスペーサーは、毛髪から色素の酵素的除去を可能にする配列番号65により得られるプロテアーゼのカスパーゼ3部位など、特定の酵素開裂部位を含有することができる。ペプチドスペーサーは、長さが1から約50アミノ酸、好ましくは、1から約20アミノ酸であり得る。好適なスペーサーの例としては、これらに限定はしないが、配列番号135〜137により与えられる配列が挙げられる。これらのペプチドスペーサーは、当該技術分野に公知の任意の方法により結合ペプチド配列に結合することができる。例えば、全体トリブロックのペプチドベースの体表面発色試薬は、上記文献に記載された標準的なペプチド合成法を用いて調製することができる。さらに、カルボジイミド結合剤(例えば、ハーマンソン、「Bioconjugate Techniques」、アカデミックプレス(Academic Press)、ニューヨーク(1996年)を参照)、二酸クロリド、ジイソシアネート類および上記に説明されたペプチド上の末端アミン基および/またはカルボン酸基に対して反応性である他の二官能性結合剤を用いて、結合ペプチドおよびペプチドスペーサーブロックを結合させることができる。あるいは、全体トリブロックのペプチドベースの体表面発色試薬は、組換えDNAおよび上記文献に記載された分子クローニング技法を用いて調製することができる。スペーサーは、上記に説明された方法を用いて調製できるペプチドスペーサーと有機スペーサー分子との組合わせでもあり得る。トリブロックの体表面発色試薬の例としては、これらに限定はしないが、配列番号138〜147として得られた配列が挙げられる。
【0124】
また、体表面結合ペプチドおよび一緒に結合された色素結合ペプチドの複数コピーを有することが望ましく、ファンら(米国特許出願公開第2005/0050656号明細書)により記載されたペプチドベースの体表面発色試薬と体表面と色素との間の相互作用を増強させることができる。同じ体表面結合ペプチドおよび色素結合ペプチドの複数コピーまたは異なる体表面結合ペプチドおよび色素結合ペプチドの組合わせを使用することができる。複数コピーのペプチドベースの体表面発色試薬は、上記の種々のスペーサーを含むことができる。複数コピーの体表面結合ペプチド−色素結合ペプチドの体表面発色試薬としては、これらに限定はしないが、配列番号144、145、および147として与えられる配列が挙げられる。
【0125】
本発明の一実施形態において、ペプチドベースの体表面発色試薬は、一般構造[(BSBP)−(PBP)を有する体表面結合ペプチド(BSBP)および色素結合ペプチド(PBP)を含んでなるジブロック組成物であり、式中、nおよびmは、独立して1から約10、好ましくは1から約5の範囲であり、xは1から約10であり得る。
【0126】
別の実施形態において、ペプチドベースの体表面発色試薬は、上記のとおり、体表面結合ペプチドを色素結合ペプチドから分離する分子スペーサー(S)を含んでなる。体表面結合ペプチドおよび色素結合ペプチドの複数コピーもまた使用することができ、体表面結合ペプチドおよび色素結合ペプチドの複数コピーは、それら自体から、ならびに分子スペーサーにより互いに分離することができる。この実施形態において、ペプチドベースの体表面発色試薬は、一般構造[[(BSBP)−S−[(PBP)−Sを有する、体表面結合ペプチド、スペーサー、および色素結合ペプチドを含んでなるトリブロック組成物であり、式中、n、m、xおよびzは、独立して1から約10の範囲であり、yが、1から約5であり、qおよびrの双方が0ではないという条件で、qおよびrは、各々独立して0または1である。mおよびnは、独立して1から約5の範囲であり、xおよびzは、1から約3の範囲であることが好ましい。
【0127】
別の実施形態において、体表面結合ペプチドは、毛髪結合ペプチドであり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、一般構造[(HBP)−(PBP)を有する毛髪結合ペプチド(HBP)および色素結合ペプチド(PBP)を含んでなるジブロック組成物であり、式中、nおよびmは、独立して1から約10、好ましくは1から約5の範囲であり、xは1から約10であり得る。
【0128】
別の実施形態において、体表面結合ペプチドは、毛髪結合ペプチドであり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、一般構造[[(HBP)−S−[(PBP)−Sを有する、毛髪結合ペプチド(HBP)、スペーサー(S)、および色素結合ペプチド(PBP)を含んでなるトリブロック組成物であり、式中、n、m、xおよびzは、独立して1から約10の範囲であり、yが、1から約5であり、qおよびrの双方が0ではないという条件で、qおよびrは、各々独立して0または1である。mおよびnは、独立して1から約5の範囲であり、xおよびzは、1から約3の範囲であることが好ましい。
【0129】
別の実施形態において、体表面結合ペプチドは、皮膚結合ペプチドであり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、一般構造[(SBP)−(PBP)を有する皮膚結合ペプチド(SBP)および色素結合ペプチド(PBP)を含んでなるジブロック組成物であり、式中、nおよびmは、独立して1から約10、好ましくは1から約5の範囲であり、xは1から約10であり得る。
【0130】
別の実施形態において、体表面結合ペプチドは、皮膚結合ペプチドであり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、一般構造[[(SBP)−S−[(PBP)−Sを有する、皮膚結合ペプチド(SBP)、スペーサー(S)、および色素結合ペプチド(PBP)を含んでなるトリブロック組成物であり、式中、n、m、xおよびzは、独立して1から約10の範囲であり、yが、1から約5であり、qおよびrの双方が0ではないという条件で、qおよびrは、各々独立して0または1である。mおよびnは、独立して1から約5の範囲であり、xおよびzは、1から約3の範囲であることが好ましい。
【0131】
別の実施形態において、体表面結合ペプチドは、爪ペプチドであり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、一般構造[(NBP)−(PBP)を有する爪結合ペプチド(NBP)および色素結合ペプチド(PBP)を含んでなるジブロック組成物であり、式中、nおよびmは、独立して1から約10、好ましくは1から約5の範囲であり、xは1から約10であり得る。
【0132】
別の実施形態において、体表面結合ペプチドは、爪結合ペプチドであり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、一般構造[[(NBP)−S−[(PBP)−Sを有する、爪結合ペプチド(NBP)、スペーサー(S)、および色素結合ペプチド(PBP)を含んでなるトリブロック組成物であり、式中、n、m、xおよびzは、独立して1から約10の範囲であり、yが、1から約5であり、qおよびrの双方が0ではないという条件で、qおよびrは、各々独立して0または1である。mおよびnは、独立して1から約5の範囲であり、xおよびzは、1から約3の範囲であることが好ましい。
【0133】
別の実施形態において、体表面結合ペプチドは、歯結合ペプチドであり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、一般構造[(TBP)−(PBP)を有する歯結合ペプチド(TBP)および色素結合ペプチド(PBP)を含んでなるジブロック組成物であり、式中、nおよびmは、独立して1から約10、好ましくは1から約5の範囲であり、xは1から約10であり得る。
【0134】
別の実施形態において、体表面結合ペプチドは、歯結合ペプチドであり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、一般構造[[(TBP)−S−[(PBP)−Sを有する、歯結合ペプチド(TBP)、スペーサー(S)、および色素結合ペプチド(PBP)を含んでなるトリブロック組成物であり、式中、n、m、xおよびzは、独立して1から約10の範囲であり、yが、1から約5であり、qおよびrの双方が0ではないという条件で、qおよびrは、各々独立して0または1である。mおよびnは、独立して1から約5の範囲であり、xおよびzは、1から約3の範囲であることが好ましい。
【0135】
当然のことながら、本発明に用いられるBSBP、HBP、SBP、NBP、TBP、およびPBPは総称であり、それぞれ単一の体表面結合ペプチド、毛髪結合ペプチド、皮膚結合ペプチド、爪結合ペプチド、歯結合ペプチドまたは色素結合ペプチド配列のことを称していない。上記に用いられるmまたはnが、1より大きい場合、一連の異なる配列の体表面結合ペプチドおよび異なる配列の色素結合ペプチドが組成物の一部を形成し得る状況を提供することは、十分に本発明の範囲内に入る。さらにSは総称であり、単一のスペーサーのことを称していない。トリブロック組成物に関して上記に用いられるxまたはyが、1より大きい場合、一連の異なるスペーサーが組成物の一部を形成し得る状況を提供することは、十分に本発明の範囲内に入る。また当然のことながら、これらの構造は、必ずしもペプチドと任意の分子スペーサーとの間の共有結合を表していない。上記のとおり、ペプチドと任意のスペーサーとの間の結合相互作用は、共有結合または非共有結合のいずれであってもよい。
【0136】
パーソナルケア組成物
本発明のジブロックおよびトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬は、毛髪、皮膚、爪、および歯などの体表面を発色する1種または複数種の色素と関連してパーソナルケア組成物に使用することができる。ペプチドベースの体表面発色試薬の体表面結合ペプチドブロックは、体表面に対する親和力を有するが、一方、色素結合ペプチドブロックは、使用される色素に対する親和力を有し、それによって色素が体表面に付着する。ペプチドベースの体表面発色試薬は、色素と同じ組成物中に存在することができるか、またはペプチドベースの体表面発色試薬および色素は、下記のように任意の順序で体表面に塗布される2つの異なるパーソナルケア組成物中に存在することができる。パーソナルケア組成物としては、これらに限定はしないが、ヘアケア組成物、毛髪発色組成物、スキンケア組成物、化粧品組成物、マニキュア組成物、および口腔ケア組成物が挙げられる。
【0137】
ヘアケア組成物
一実施形態において、ペプチドベースの体表面発色試薬は、ヘアケア組成物の一成分であり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、少なくとも1種の毛髪結合ペプチドを含んでなる。ヘアケア組成物は、これらに限定はしないが、シャンプー、コンディショナー、リンス、ローション、エアゾール、ゲル、およびムースなどの毛髪処理用組成物として本明細書に定義されている。ヘアケア組成物を使用するために有効量のペプチドベースの体表面発色試薬は、組成物の全重量に対して約0.01重量%から約10重量%、好ましくは約0.01重量%から約5重量%の濃度である。この割合は、ヘアケア組成物のタイプにより変わり得る。さらに、ヘアケア組成物は、少なくとも1種の色素をさらに含むことができる。好適な色素は上記に説明している。色素の濃度に関連してペプチドベースの体表面発色試薬の濃度は、最良の結果を得るために最適化される必要があり得る。さらに、異なる色素に対して親和力を有するペプチドベースの体表面発色試薬の混合物は、組成物中に使用することができる。ペプチド間での相互作用により有益な効果を軽減させないように、混合物中のペプチドベースの体表面発色試薬を選択する必要がある。ペプチドベースの体表面発色試薬の適切な混合物は所定の実験を用いて当業者により判定され得る。ペプチドベースの体表面発色試薬の混合物が組成物に使用される場合、試薬の全濃度は、組成物の全重量に対して約0.01重量%から約10重量%である。
【0138】
この組成物は、ヘアケア組成物の化粧品として許容できる媒体をさらに含むことができ、その例としては、米国特許第6,280,747号明細書においてフィリップ(Philippe)らにより、米国特許第6,139,851号明細書においてオームラ(Omura)らにより、ならびに米国特許第6,013,250号明細書においてキャンネル(Cannell)らにより記載されており、それらの全ては、参照として本明細書に援用されている。例えば、これらのヘアケア組成物は、水性、アルコール性または水性−アルコール性液であり得る。このアルコールは、水性−アルコール性液の全重量に対して約1重量%から約75重量%の割合でエタノールまたはイソプロパノールであることが好ましい。さらに、ヘアケア組成物は、これらに限定はしないが、抗酸化剤、保存剤、増量剤、界面活性剤、UVAおよび/またはUVB日焼け止め、芳香剤、増粘剤、湿潤剤、およびアニオン性、非イオン性または両性ポリマー、および染料など、1種または複数種の従来の化粧品用または皮膚科用添加物またはアジュバントを含有することができる。
【0139】
毛髪発色組成物
別の実施形態において、ペプチドベースの体表面発色試薬は、毛髪発色組成物の成分であり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、少なくとも1種の毛髪結合ペプチドを含んでなる。毛髪発色組成物は、1種または複数種の発色剤を含んでなる毛髪の発色用または染色用組成物として本明細書に定義されている。本明細書に定義された発色剤は、毛髪、皮膚、爪または歯などの体表面の色を変化させるために使用することができる任意の染料、色素などである。毛髪発色剤は、当該技術分野において周知であり(例えば、グリーン(Green)ら、上記文献、CFTA International Color Handbook、第二版、ミセルプレス(Micelle Press)、英国(1992年)およびCosmetic Handbook、米国食品・医薬品局、FDA/IAS Booklet(1992年)を参照)、および種々の供給源から市販されている(例えば、バイエル(Bayer)、ピッツバーグ州、ピッツバーグ、;チバガイギー(Chiba−Geigy)、ニューヨーク州、テリータウン;ICI、ニュージャージー州、ブリッジウォーター。サンド(Sandoz)、オーストリア国ウィーン、;BASF、ニュージャージー州、マウントオリーブ;およびヘキスト、独国、フランクフルト)。
【0140】
毛髪発色組成物に使用するために有効量のペプチドベースの体表面発色試薬は、組成物の全重量に対して約0.01重量%から約20重量%の割合として本明細書に定義されている。さらに、異なる色素に対して親和力を有する異なるペプチドベースの体表面発色試薬の混合物を、組成物中に使用することができる。ペプチド間での相互作用により有益な効果を軽減させないように、混合物中のペプチドベースの体表面発色試薬を選択する必要がある。ペプチドベースの体表面発色試薬の好適な混合物は、所定の実験を用いて当業者により判定することができる。ペプチドベースの体表面発色試薬の混合物が組成物中に使用される場合、試薬の全濃度は、組成物の全重量に対して約0.01重量%から約20重量%である。
【0141】
毛髪発色組成物に対して化粧品として許容できる媒体の成分は、米国特許第6,398,821号明細書においてディアス(Dias)らにより、ならびに米国特許第6,129,770号明細書においてデューツ(Deutz)らにより記載されており、それらの双方は、参照として本明細書に援用されている。例えば、毛髪発色組成物は、金属イオン封鎖剤、安定化剤、増粘剤、緩衝剤、担体、界面活性剤、溶剤、抗酸化剤、ポリマー、およびコンディショナーを含有できる。
【0142】
スキンケア組成物
別の実施形態において、ペプチドベースの体表面発色試薬は、スキンケア組成物の成分であり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、少なくとも1種の皮膚結合ペプチドを含んでなる。スキンケア組成物は、これらに限定はしないが、皮膚ケア、皮膚クレンジング、メーキャップ、および抗しわ剤製品など、皮膚の処理用組成物として本明細書に定義されている。スキンケア組成物に使用するために有効量のペプチドベースの体表面発色試薬は、組成物の全重量に対して約0.01重量%から約10重量%、好ましくは約0.01重量%から約5重量%の濃度である。この割合は、スキンケア組成物のタイプにより変わり得る。さらに、異なる色素に対して親和力を有するペプチドベースの体表面発色試薬の混合物は、組成物中に使用することができる。ペプチド間での相互作用により有益な効果を軽減させないように、混合物中のペプチドベースの体表面発色試薬を選択する必要がある。ペプチドベースの体表面発色試薬の好適な混合物は、所定の実験を用いて当業者により判定することができる。ペプチドベースの体表面発色試薬の好適な混合物が組成物中に使用される場合、試薬の全濃度は、組成物の全重量に対して約0.01重量%から約10重量%である。スキンケア組成物は、少なくとも1種の色素をさらに含むことができ、その好適な例は上記に得られる。色素の濃度に関連してペプチドベースの体表面発色試薬の濃度は、最良の結果を得るために最適化される必要があり得る。
【0143】
本組成物は、スキンケア組成物に対して化粧品として許容できる媒体をさらに含むことができ、その例は、上記文献のフィリップらにより記載されている。例えば、化粧品として許容できる媒体は、組成物の全重量に対して一般に約10重量%から約90重量%の割合で脂肪物質を含有する無水組成物であり得るが、その脂肪相は、少なくとも1種の液体、固体または半固体脂肪物質を含有する。脂肪物質としては、これらに限定はしないが、油類、ワックス類、ゴム類、およびいわゆるペースト状脂肪物質が挙げられる。あるいは、本組成物は、油中水または水中油乳濁液などの安定な分散液の形態であり得る。さらに、本組成物は、これらに限定はしないが、抗酸化剤、保存剤、増量剤、界面活性剤、UVAおよび/またはUVB日焼け止め、芳香剤、増粘剤、湿潤剤、およびアニオン性、非イオン性または両性ポリマー、および染料など、1種または複数種の従来の化粧品用または皮膚科用添加物またはアジュバントを含有することができる。
【0144】
皮膚発色組成物
別実施形態において、ペプチドベースの体表面発色試薬は、皮膚発色組成物の成分であり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、少なくとも1種の皮膚結合ペプチドを含んでなる。皮膚発色組成物は、1種または複数種の発色剤を含んでなる。上記の任意の発色剤を使用することができる。
【0145】
皮膚発色組成物は、これらに限定はしないが、ファンデーション、ブラシ、口紅、リップライナー、リップグロス、アイシャドウおよびアイライナーなど、任意の化粧品またはメーキャップ製品であり得る。これらは、脂肪物質を含有する化粧品として許容できる媒体を含んでなる無水メーキャップ製品であり得るか、またはそれらは、上記の油中水または水中油乳濁液などの安定な分散液の形態であり得る。これらの組成物において、ペプチドベースの体表面発色試薬の有効量は、組成物の全重量に対して一般に約0.01重量%から約40重量%である。さらに、異なる色素に対して親和力を有する異なるペプチドベースの体表面発色試薬の混合物を、組成物中に使用することができる。ペプチド間での相互作用により有益な効果を軽減させないように、この混合物中のペプチドベースの体表面発色試薬を選択する必要がある。ペプチドベースの体表面発色試薬の好適な混合物は、所定の実験を用いて当業者により判定することができる。ペプチドベースの体表面発色試薬の混合物が組成物中に使用される場合、試薬の全濃度は、組成物の全重量に対して約0.01重量%から約40重量%である。
【0146】
化粧品組成物
別の実施形態において、ペプチドベースの体表面発色試薬は、化粧品組成物の成分であり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、少なくとも1種の毛髪結合ペプチドを含んでなる。本明細書で定義された化粧品組成物は、これらに限定はしないが、マスカラ、および眉毛ペンシルなどの睫毛または眉毛に塗布できる組成物である。これらの化粧品組成物は、1種または複数種の発色剤を含んでなる。上記の発色剤のいずれも使用することができる。
【0147】
化粧品組成物に使用するペプチドベースの体表面発色試薬の有効量は、組成物の全重量に対して約0.01重量%から約20重量%の割合として本明細書に定義される。さらに、異なる色素に対して親和力を有する異なるペプチドベースの体表面発色試薬の混合物を、組成物中に使用することができる。ペプチド間での相互作用により有益な効果を軽減させないように、この混合物中のペプチドベースの体表面発色試薬を選択する必要がある。ペプチドベースの体表面発色試薬の好適な混合物は、所定の実験を用いて当業者により判定することができる。ペプチドベースの体表面発色試薬の混合物が組成物中に使用される場合、試薬の全濃度は、組成物の全重量に対して約0.01重量%から約20重量%である。
【0148】
化粧品組成物は、組成物の全重量に対して一般に約10重量%から約90重量%の割合で脂肪物質を含有する化粧品として許容できる媒体を含んでなる無水メーキャップ製品であり得るが、本脂肪相は、上記のとおり少なくとも1種の液体、固体または半固体物質を含有する。脂肪物質としては、これらに限定はしないが、油類、ワックス類、ゴム類、およびいわゆるペースト状脂肪物質が挙げられる。あるいは、これらの組成物は、上記のとおり油中水または水中油乳濁液などの安定な分散液の形態であり得る。
【0149】
マニキュア組成物
別の実施形態において、ペプチドベースの体表面発色試薬は、マニキュア組成物の成分であり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、少なくとも1種の爪結合ペプチドを含んでなる。マニキュア組成物は、指の爪および足の爪を発色させるために使用され、1種または複数種の発色剤を含んでなる。上記の発色剤のいずれも使用することができる。
【0150】
マニキュア組成物に使用のペプチドベースの体表面発色試薬の有効量は、組成物の全重量に対して約0.01重量%から約20重量%の割合として本明細書に定義される。さらに、異なる色素に対して親和力を有する異なるペプチドベースの体表面発色試薬の混合物を、組成物中に使用することができる。ペプチド間での相互作用により有益な効果を軽減させないように、この混合物中のペプチドベースの体表面発色試薬を選択する必要がある。ペプチドベースの体表面発色試薬の好適な混合物は、所定の実験を用いて当業者により判定することができる。ペプチドベースの体表面発色試薬の混合物が組成物中に使用される場合、試薬の全濃度は、組成物の全重量に対して約0.01重量%から約20重量%である。
【0151】
マニキュア組成物に関して化粧品として許容できる媒体の成分は、上記文献のフィリッペ(Philippe)らにより記載されている。マニキュア組成物は典型的に、溶剤およびセルロース誘導体、ポリビニル誘導体、アクリルポリマー類またはコポリマー類、ビニルコポリマー類およびポリエステルポリマー類などの皮膜形成物質を含有する。さらに、マニキュア剤は、トリクレシルホスフェート、ベンジルベンゾエート、トリブチルホスフェート、ブチルアセチルレシノレエート、トリエチルシトレート、リシノール酸トリブチルアセチル、ジブチルフタレートまたはカンファーなどの可塑剤を含有することができる。
【0152】
口腔ケア組成物
別の実施形態において、ペプチドベースの体表面発色試薬は、口腔ケア組成物の成分であり、ペプチドベースの体表面発色試薬は、少なくとも1種の歯結合ペプチドを含んでなる。本発明の口腔ケア組成物は、少なくとも1種の白色発色剤を含んでなり、歯を白くするために使用される。口腔ケア組成物に使用できる好適な白色発色剤としては、これらに限定はしないが、二酸化チタンおよび二酸化チタンナノ粒子などの白色色素;およびヒドロキシアパタイト、ならびにジルコン(ジルコニウムシリケート)などの白色無機質が挙げられる。
【0153】
本発明の口腔ケア組成物は、粉末、ペースト、ゲル、液体、軟膏、または錠剤の形態であり得る。代表的な口腔ケア組成物としては、これらに限定はしないが、練り歯磨き、歯科用クリーム、ゲルまたは歯用粉末、含そう剤、ブレスフレッシュナー、およびデンタルフロスが挙げられる。口腔ケア組成物は、口腔に許容できる担体媒体中に有効量の本発明のペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる。口腔ケア組成物に使用のためにペプチドベースの体表面発色試薬の有効量は、製品のタイプに依って変わり得る。ペプチドベースの体表面発色試薬の有効量は、組成物の全重量に対して典型的に約0.01重量%から約90重量%の割合である。さらに、異なる色素に対して親和力を有する異なるペプチドベースの体表面発色試薬の混合物を、組成物中に使用することができる。ペプチド間での相互作用により有益な効果を軽減させないように、この混合物中のペプチドベースの体表面発色試薬を選択する必要がある。ペプチドベースの体表面発色試薬の好適な混合物は、所定の実験を用いて当業者により判定することができる。ペプチドベースの体表面発色試薬の混合物が組成物中に使用される場合、試薬の全濃度は、組成物の全重量に対して約0.001重量%から約90重量%である。
【0154】
口腔に許容できる担体媒体の成分は、米国特許第第6,740,311号明細書においてホワイト(White)らにより;米国特許6,706,256号明細書においてローラー(Lawler)らにより;および米国特許第6,264,925号明細書においてフグルサング(Fuglsang)らにより記載されており、それらの全ては、参照として本明細書に援用されている。例えば、口腔ケア組成物は、以下のものの1種または複数種を含むことができる:研磨剤、界面活性剤、キレート化剤、フッ化物、増粘剤、緩衝化剤、溶剤、保湿剤、担体、増量剤、および酵素、抗プラーク剤、抗汚染剤、抗菌剤、抗う食剤、風味剤、冷却剤、ならびに唾液分泌剤などの口腔用有益剤。
【0155】
体表面を発色する方法
本発明のペプチドベースの体表面発色試薬を、毛髪、皮膚、爪、および歯などの体表面を発色するために1種または複数種の色素と関連して使用することができる。ペプチドベースの体表面発色試薬の体表面結合ペプチドブロックは、体表面に対する親和力を有するが、一方、色素結合ペプチドブロックは、使用される色素に対する親和力を有する。ペプチドベースの体表面発色試薬は、色素と同じ組成物中に存在し得るか、またはペプチドベースの体表面発色試薬および色素は、2つの異なる組成物中に存在し得る。一実施形態において、少なくとも1種のペプチドベースの体表面発色試薬および少なくとも1種の色素を含んでなるパーソナルケア組成物を、体表面に結合させるために十分な時間、色素結合ペプチドブロックを介して色素に結合されているペプチドベースの体表面発色試薬を体表面に塗布する。別の実施形態において、少なくとも1種のペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物の塗布前に、少なくとも1種の色素を体表面に塗布する。別の実施形態において、少なくとも1種の色素の塗布前に、少なくとも1種のペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を体表面に塗布する。別の実施形態において、少なくとも1種の色素および少なくとも1種のペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を同時に体表面に塗布する。色素の塗布後、およびペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物の最初の塗布後に、ペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を体表面に再塗布する場合もあり得る。さらに、ポリマーシーラントを含んでなる組成物は、色素およびペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物の塗布後に、ポリマーシーラントを含んでなる組成物を体表面に塗布することができる。
【0156】
毛髪を発色する方法
本発明のペプチドベースの体表面発色試薬は、毛髪表面に色素を付着させるために使用することができ、それによって毛髪を発色する。ペプチドベースの体表面発色試薬および色素を、任意の好適なヘアケア組成物、例えば、毛髪発色剤またはヘアコンディショナー組成物により毛髪に塗布することができる。これらのヘアケア組成物は当該技術分野において周知であり、好適な組成物は上記に説明されている。
【0157】
一実施形態において、色素を毛髪に結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間色素を毛髪に塗布する。毛髪に結合しない色素を除去するために、毛髪をリンスする場合もあり得る。次に、ペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を、毛髪および色素に結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間その体表面発色試薬を毛髪に塗布する。ペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を、毛髪からリンスしても毛髪上に残してもよい。
【0158】
別の実施形態において、体表面発色試薬の毛髪結合ペプチドブロックを毛髪に結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間、ペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を毛髪に塗布する。毛髪に結合しない色素を除去するために、毛髪をリンスする場合もあり得る。次に、色素を体表面発色試薬の色素結合ペプチドブロックに結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間色素を毛髪に塗布する。非結合色素を、毛髪からリンスしても毛髪上に残してもよい。
【0159】
別の実施形態において、体表面発色試薬を毛髪および色素に結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間、色素およびペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を毛髪に同時に塗布する。非結合色素およびペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を毛髪から除去するために、毛髪をリンスする場合もあり得る。
【0160】
別の実施形態において、ペプチドベースの体表面発色試薬、例えば、毛髪発色組成物を含んでなる組成物の一部として色素を提供する。色素結合ペプチドブロックを介して色素に結合される体表面発色試薬を毛髪に結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間、色素および体表面発色試薬を含んでなる組成物を毛髪に塗布する。色素および体表面発色試薬を含んでなる組成物を、毛髪からリンスしても毛髪上に残してもよい。
【0161】
上記の任意の方法において、色素の塗布後、および発色剤の耐久性をさらに増強させるためにペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物の最初の塗布後、ペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を毛髪に再塗布する場合もあり得る。
【0162】
さらに、上記の任意の方法において、ポリマーシーラントを含んでなる組成物は、色素の塗布後、および発色剤の耐久性をさらに増強させるためにペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物の塗布後、毛髪に塗布される場合もあり得る。ポリマーシーラントを含んでなる組成物は、ポリマーシーラントを含んでなるコンディショナーまたはリンスなど、水溶液またはヘアケア組成物であり得る。ポリマーシーラントは、典型的に、組成物の全重量に対して典型的に約0.25重量%から約10重量%の濃度で組成物に存在する。ポリマーシーラントは、パーソナルケア製品の当該技術分野において周知であり、これらに限定はしないが、ポリ(アリルアミン)、アクリレート類、アクリレートコポリマー類、ポリウレタン類、カルボマー類、メチコン類、アモジメチコン類、ポリエチレングリコール、蜜蝋、シロキサン類などが挙げられる。ポリマーシーラントの選択は、使用される個々の色素およびペプチドベースの体表面発色試薬に依存する。最適なポリマーシーラントは、所定の実験を用いて当業者により容易に判定することができる。
【0163】
皮膚を発色する方法
本発明のペプチドベースの体表面発色試薬を、色素を皮膚の表面に付着させるために使用することができ、それによって皮膚を発色する。ペプチドベースの体表面発色試薬および色素は、任意の好適なスキンケア組成物、例えば、皮膚発色剤またはスキンコンディショナー組成物により皮膚に塗布することができる。
【0164】
一実施形態において、色素を毛髪に結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間色素を皮膚に塗布する。皮膚に結合しない色素を除去するために、皮膚をリンスする場合もあり得る。次に、体表面発色試薬を皮膚および色素に結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間、ペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を皮膚に塗布する。ペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を、皮膚からリンスしても皮膚上に残してもよい。
【0165】
別の実施形態において、体表面発色試薬の皮膚結合ペプチドブロックを皮膚に結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間ペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を皮膚に塗布する。皮膚に結合しない組成物を除去するために、皮膚をリンスする場合もあり得る。次に、色素を体表面発色試薬の皮膚結合ペプチドブロックに結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間、色素を皮膚に塗布する。非結合色素を、皮膚からリンスしても皮膚上に残してもよい。
【0166】
別の実施形態において、体表面発色試薬を皮膚および色素に結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間色素およびペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を皮膚に同時に塗布する。非結合色素およびペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を皮膚から除去するために、皮膚をリンスする場合もあり得る。
【0167】
別の実施形態において、色素は、ペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物、例えば、皮膚発色組成物の一部として提供される。色素結合ブロックを介して色素に結合される体表面発色試薬を皮膚に結合させるのに十分な時間、典型的には、約5秒から約60分の間、色素および体表面発色試薬を含んでなる組成物を皮膚に塗布する。色素および体表面発色試薬を含んでなる組成物を、皮膚からリンスしても皮膚上に残してもよい。
【0168】
上記の任意の方法において、色素の塗布後、および発色剤の耐久性をさらに増強させるためにペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物の最初の塗布後、ペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物を皮膚に再塗布する場合もあり得る。
【0169】
さらに、上記の任意の方法において、ポリマーシーラントを含んでなる組成物は、色素および発色剤の耐久性をさらに増強させるためにペプチドベースの体表面発色試薬を含んでなる組成物の塗布後、ポリマーシーラントを含んでなる組成物を皮膚に塗布する場合もあり得る。毛髪発色のために上記の任意のポリマーシーラントは、水溶液またはスキンケア組成物の形態で使用することができる。
【0170】
爪、眉毛、睫毛、および歯を発色する方法
毛髪および皮膚を発色するための上記の方法はまた、適切な組成物、具体的にはマニキュア組成物、化粧品組成物、または口腔ケア組成物を、対象の体表面に塗布することにより、指の爪および足の爪、眉毛、睫毛、および歯を発色するために塗布することができる。
【実施例】
【0171】
本発明は、以下の実施例においてさらに定義される。当然のことながら、本発明の好ましい実施例を示しつつ、これらの実施例はあくまでも説明として示すものである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の必須の特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を種々変更および修飾して種々の使用および条件に適合させることができる。
【0172】
使用される略語の意味は以下の通りである:「min」は分を意味し、「sec」は秒を意味し、「h」は時間を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「μm」はマイクロメートルを意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「M」はモル濃度を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmole」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「g」は重力定数を意味し、「rpm」は1分間当りの回転数を意味し、「pfu」はプラーク形成単位を意味し、「BSA」はウシ血清アルブミンを意味し、「ELISA」は酵素免疫測定法を意味し、「IPTG」はイソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシドを意味し、「A」は吸光度を意味し、「A450」は450nmの波長で測定された吸光度を意味し、「OD600」は600ナノメートルで測定された光学密度を意味し、「TBS」はトリス緩衝生理食塩水を意味し、「TBST−X」は、「X」がTween(登録商標)20の重量パーセントであるTween(登録商標)20を含有するトリス緩衝生理食塩水を意味し、「Xgal」は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシドを意味し、「SEM」は平均値の標準誤差を意味し、「ESCA」は化学分析の電子分光法を意味し、「eV」は電子ボルトを意味し、「TGA」は熱重量分析法を意味し、「GPC」はゲル浸透クロマトグラフィーを意味し、「MW」は分子量を意味し、「M」は重量平均分子量を意味し、「vol%」は容量パーセントを意味し、「wt%」は重量パーセントを意味し、「NMR」は核磁気共鳴分光法を意味し、「NALDI mass spectrometry」は、マトリックス・アシスト・レーザー脱離イオン化質量分光法を意味し、「atm」は気圧を意味し、「kPa」は、キロパスカルを意味し、「SLPM」は1分当りの標準リットルを意味し、「psi」は1平方インチ当りのポンドを意味し、「RCF」は相対的遠心場を意味する。
【0173】
一般法:
実施例に用いられる標準的な組換えDNAおよび分子クローニング技法は、当該技術分野において周知であり、サンブルック,J.(Sambrook,J.)、フリッシュ,E.F.(Fritsch,E.F.)およびマニアチス,T.により、「Molecular Cloning」:A Laboratory Manual、第二版、コールドスプリングハーバー・ラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州、1989年、T.J.,シルヘイヴィ(Silhavy,T.J.)、M.L.,ベンナン(Bennan,M.L.)、およびL.W.,エンキスト(Enquist,L.W.)により、「Experiments with Gene Fusions」、コールドスプリングハーバー・ラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州、1984年、オースベル,F.M.(Ausubel,F.M.)らにより、Current Protocols in Molecular Biology、グリーン・パブリッシングアソシエート・アンド・ウィリー−インターサイエンス(Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience)、1987年に記載されている。
【0174】
細菌培養の維持および増殖に好適な材料および方法もまた、当該技術分野において周知である。以下の実施例の使用に好適な技法は、Manual of Methods for General Bacteriology、フィリップ・ゲンハート(Phillipp Genhardt)、R.G.E.ムレイ(R.G.E.Murray)、ラルフN.コスチロウ(Ralph N.Costilow)、ユージーンW.ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリスA.ウッド(Willis A.Wood)、ノエルR.クリーグ(Noel R.Krieg)およびG.ブリッグス・フィリップス(G.Briggs Phillips)編集者、American Society for Microbiology、ワシントン,DC.、1994年、またはトーマスD.ブロック(Thomas D.Brock)によりBiotechnology:「A Textbook of Indutrial Microbiology」、第二版、シナウアーアソシエーツ(Sinauer Associates)社、マサチューセッツ州、サンダーランド、1989年に見ることができる。細菌細胞の増殖および維持に使用される全ての試薬、制限酵素および材料は、他に断らない限り、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)(ウィスコンシン州、ミルウォーキー)、BDダイアグノスティック・システムス(BD Diagnostic Systems)(メリーランド州、スパークス)、ライフテクノロジーズ(Life Technologies)(メリーランド州、ロックビル)、またはシグマケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Company)(ミズーリ州、セントルイス)から入手された。
【0175】
実施例1
標準的なバイオパニングを用いる毛髪結合ファージペプチドの選択
本実施例の目的は、標準的なファージディスプレイバイオパニングを用いて正常な毛髪および脱色毛髪に結合する毛髪結合ファージペプチドを同定することであった。
【0176】
ファージディスプレイペプチドライブラリー:
本発明に使用されるファージライブラリー、Ph.D.−12(商標)ファージディスプレイペプチドライブラリーキットおよびPh.D.−7(商標)ファージディスプレイペプチドライブラリーキットは、ニューイングランド・バイオラブス(New England Biolabs)(マサチューセッツ州、ビバリー)から購入された。これらのキットは、M13ファージのマイナーコートタンパク質(pIII)に融合された無作為ペプチド7または12マーの組合わせライブラリーに基づいている。提示されたペプチドは、シグナルペプチドが開裂された後、コートタンパク質の第一の残基が提示されたタンパク質の第一の残基であるようにpIIIのN−末端に発現される。Ph.D.−7およびPh.D.−12ライブラリーは、それぞれおよそ2.8×10および2.7×10配列からなる。10μLの容量は、各ペプチド配列の約55のコピーを含有する。実験の各々最初のラウンドは、いずれのバイアスをも結果物に導入されること避けるために、製造元により提供された元のライブラリーを用いて実施された。
【0177】
毛髪サンプルの調製:
正常な毛髪として使用されたサンプルは、インターナショナルインポーターズ・アンド・プロダクツ(International Importers and Products)(ニューヨーク州、ベルローズ、)から入手された6インチの褐色ヒト毛髪材料であった。この毛髪を、室温で30分間90%イソプロパノール中に入れてから、各々脱イオン水により10分間5回洗浄した。この毛髪を、室温で一晩風乾した。
【0178】
脱色毛髪サンプルを調製するために、褐色ヒト毛髪材料を、水酸化アンモニウムでpH10.2に調整された6%H中に室温で10分間入れてから、各々脱イオン水により10分間5回洗浄した。この毛髪を、室温で一晩風乾した。
【0179】
正常および脱色毛髪サンプルを、0.5cmから1cmの長さに切断し、約5mgから10mgの毛髪を、ブタ皮膚底を有した注文品の24ウェルバイオパニング装置のウェルに入れた。同数のブタ皮膚底ウェルを空で残した。このブタ皮膚底装置は、皮膚に対する親和力を有するファージペプチドを除去するために減算法として使用された。この装置は、バイオパニング工程を適合させるためにドットブロット装置(シュライチャー・アンド・シュエル(Schleicher & Schuell)から入手、ニューハンプシャー州、キーン(Keene))を修飾することにより作製された。具体的には、ドットブロット装置の上部96ウェルブロックを24ウェルブロックにより置き換えた。4×6インチの処理されたブタ皮膚を、24ウェルブロック下に入れ、ブタ皮膚底を有するパニングウェルは、装置を強化することにより形成された。ブタ皮膚は、地方のスーパーマーケットから購入し、−80℃で貯蔵した。使用前に、皮膚を脱イオン水に入れて解凍し、次にペーパータオルを用いて吸い取って乾燥した。皮膚表面を、90%イソプロパノールで拭き取り、次いで脱イオン水でリンスした。24ウェル装置は、0.5%Tween(登録商標)20を含有するTBST(TBST−0.5%)中、1mg/mLのBSAからなるブロッキング緩衝液で満たし、4℃で1時間インキュベートした。ウェルおよび毛髪を、TBST−0.5%で5回洗浄した。1mg/mLのBSAを含有する1ミリリットルのTBST−0.5%を、各ウェルに加えた。次に、10μLの元のファージライブラリー(2×1011pfu)、12マーまたは7マーライブラリーを、毛髪サンプルを含有しなかったブタ皮膚底ウェルに加え、ファージライブラリーを、室温で15分間インキュベートした。次いで非結合ファージを、毛髪サンプルを含有するブタ皮膚底ウェルに移し、室温で15分間インキュベートした。毛髪サンプルおよびウェルを、TBST−0.5%で10回洗浄した。次いで毛髪を、24ウェルプレートの清浄なプラスチック底ウェルに移し、0.2Mグリシン−HCl、pH2.2中、1mg/mLのBSAからなる1mLの非特異的溶出用緩衝液を各ウェルに加えて10分間インキュベートし、結合ファージを溶出させた。次に、1Mトリス−HCl、pH9.2からなる160μLの中和緩衝液を各ウェルに加えた。各ウェルから溶出されたファージを、滴定用および配列決定用の新しいチューブに移した。
【0180】
結合ファージを滴定するため、溶出されたファージを、SM緩衝液(100mMのNaCl、12.3mMのMgSO−7HO、50mMのトリス−HCl。pH7.5、および0.01wt/vol%ゼラチン)で希釈して10から10の10倍連続希釈液を調製した。各希釈液の10μL分割量を、200μLのミッドログ相の大腸菌ER2738(ニューイングランド・バイオラブス)と共にインキュベートし、LB培地中、20分間増殖させてから、3mLのアガローストップ(5mMのMgCl、および0.7%アガロースを有するLB培地)と45℃で混合した。この混合物をS−Gal(商標)/LB寒天プレート(シグマケミカル社)上に広げて37℃で一晩インキュベートした。S−Gal(商標)/LB寒天ブレンドは、500mLの蒸留水中、5gのトリプトーン、2.5gの酵母抽出物、5gの塩化ナトリウム、6gの寒天、150mgの3,4−シクロヘキセノエスクレチン−β−D−ガラクトピラノシド(S−Gal(商標))、250mgのクエン酸第二鉄アンモニウムおよび15mgのイソプロピルβ−D−チオガラクトシド(IPTG)を含有した。S−Gal(商標)/LBを121〜124℃で15分から20分間オートクレーブにかけてプレートを調製した。単一の黒色プラークを、DNA単離および配列分析のために無作為に採取した。
【0181】
残存する溶出ファージは、LB培地中、1:100に希釈された一晩の培養物を希釈大腸菌ER2738と共に、37℃で4.5時間インキュベートすることにより増幅された。この時間後、細胞培養物を30秒間遠心分離し、上澄液の上層80%を新鮮なチューブに移し、1/6容量のPEG/NaCl(20%ポリエチレングリコ−800、2.5Mの塩化ナトリウム)を加え、ファージを4℃で一晩沈殿させた。沈殿物を、4℃で10,000×gでの遠心分離により採取し、生じたペレットを1mLのTBS中に再懸濁した。これは最初のラウンドの増幅ストックであった。次に増幅された最初のラウンドファージストックを、上記と同じ方法に従って滴定された。バイオパニングの次のラウンド用に、最初のラウンドから2×1011pfu超のファージストックを使用した。バイオパニング工程を、実験に依って3から6ラウンド反復した。
【0182】
単一のプラーク溶解産物を、製造元の取扱説明書(ニューイングランド・バイオラブス)に従って調製し、一本鎖ファージゲノムDNAを、QIAprep Spin M13キット(キアゲン(Quiagen)、カリフォルニア州、バレンシア)を用いて精製し、配列番号62として与えられる−96gIII配列決定プライマー(5’−CCCTCATAGTTAGCGTAACG−3’)を用いてデュポン配列決定施設で配列決定される。提示されたペプチドは、遺伝子IIIのシグナルペプチド直後に配置される。
【0183】
第5ラウンドのバイオパニングから単離され、12マーライブラリーから溶出された正常な毛髪結合ファージペプチドのアミノ酸配列を表1に示している。第5ラウンドのバイオパニングから単離され、12マーライブラリーから溶出された脱色毛髪結合ファージペプチドのアミノ酸配列を表2に示している。第3ラウンドのバイオパニングから単離され、95の無作為選択クローンより7マーライブラリーから溶出された正常な毛髪結合ファージペプチドの反復アミノ酸配列を表3に示している。
【0184】
【表2】

【0185】
【表3】

【0186】
【表4】

【0187】
実施例2
修飾方法を用いる高親和力毛髪結合ファージペプチドの選択
本実施例の目的は、より高い結合親和力を有する毛髪結合ファージペプチドを同定することであった。
【0188】
実施例1に記載されたように、酸性溶出緩衝液で処理された毛髪を溶出用緩衝液で3回以上洗浄してから、TBST−0.5%で3回洗浄した。なお付着している耐酸性ファージペプチドを有したこれらの毛髪は、500μLのミッドログ相の細菌宿主細胞、大腸菌ER2738(ニューイングランド・バイオラブス)を直接感染させるために使用し、次にこれをLB培地中、20分間増殖させてから、3mLのアガローストップ(5mMのMgCl、および0.7%アガロースを有するLB培地)と45℃で混合した。この混合物をLB培地/IPTG/S−Gal(商標)プレート(15g/L寒天、0.05g/LのIPTG、および0.04g/LのS−Gal(商標)を有するLB培地)上に広げて37℃で一晩インキュベートした。黒色プラークをカウントしてファージ力価を算出した。実施例1に記載されたように、DNA単離および配列決定分析用に単一黒色プラークを無作為に採取した。実施例1に記載されたように、この工程は、7マーおよび12マーのファージディスプレイライブラリーによりスクリーンされた正常および脱色毛髪サンプル上で実施された。これらの高親和力の毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列を表4〜7に示している。
【0189】
【表5】

【0190】
【表6】

【0191】
【表7】

【0192】
【表8】

【0193】
実施例3
高親和力の指の爪結合ファージペプチドの選択
本実施例の目的は、指の爪に対して高結合親和力を有するファージペプチドを同定することであった。実施例2に記載された修飾バイオパニング法は、高親和力の指の爪結合ファージペプチドクローンを同定するために使用された。
【0194】
ヒト指の爪を、試験対象から採取された。指の爪を石鹸液でブラシ掛けすることにより洗浄し、脱イオン水でリンスし、室温で風乾した。次にこの指の爪を液体N下で粉砕し、10mgの指の爪を96ウェルフィルタープレートの各ウェルに加えた。指の爪サンプルを、TBST−0.5%中1mg/mのLBSAからなるブロック用緩衝液により1時間処理し、次いでTBST−0.5%で洗浄した。指の爪サンプルを、ファージライブラリー(Ph.D−12ファージディスプレイペプチドライブラリーキット)と共にインキュベートし、実施例1に記載された同じ条件を用いて10回洗浄した。実施例1に記載された酸性溶出段階後、指の爪サンプルを溶出用緩衝液で3回以上洗浄してから、TBST−0.5%で3回洗浄した。なお付着している耐酸性ファージペプチドを有した酸処理指の爪は、実施例2に記載されたように、大腸菌ER2738細胞を直接感染させるために使用した。このバイオパニング工程は3回繰り返した。DNA単離および配列決定分析用に全部で75の単一黒色ファージプラークを無作為に採取し、2つの反復クローンを同定した。これらファージペプチドのアミノ酸配列を表8に記載している。これらの指の爪結合ペプチドもまた、脱色毛髪に十分に結合することが判明した。
【0195】
【表9】

【0196】
実施例4
高親和力皮膚結合ファージペプチドの選択
本実施例の目的は、皮膚に対して高結合親和力を有するファージペプチドを同定することであった。実施例2および4に記載された修飾バイオパニング法は、高親和力の皮膚結合ファージペプチドクローンを同定することであった。ブタ皮膚は、この工程におけるヒト皮膚のモデルとして役立つ。
【0197】
ブタ皮膚を、実施例1に記載されたとおり調製した。3回ラウンドのスクリーニングを、実施例4に記載されたものと同じ手法を用いて注文品のブタ皮膚底バイオパニング装置により実施した。DNA単離および配列決定分析用に全部で28の単一黒色ファージプラークを無作為に採取し、1つの反復クローンを同定した。28の配列から9回出現したこのファージペプチドのアミノ酸配列は、配列番号61として得られたTPFHSPENAPGSであった。
【0198】
実施例5
毛髪結合ファージクローンの結合親和力の定量的特性化
本実施例の目的は、滴定およびELISAによりファージクローンの結合親和力を定量化することであった。
【0199】
毛髪結合ファージクローンの滴定:
特定のペプチドを提示するファージクローンは、種々のペプチド配列の結合特性を比較するために使用された。力価ベースアッセイは、ファージ結合を定量化するために使用された。このアッセイは、ノイズ対シグナル比が10から10を有する10mgの毛髪表面により保持された出力pfuを測定する。全てのファージクローンに関する入力は1014pfuであった。このアッセイは、ペプチド結合よりもペプチド発現ファージ粒子を測定することを強調する必要がある。
【0200】
正常な毛髪は、0.5cmの長さに切断し、10mgの切断毛髪を96ウェルフィルタープレート(キアゲン)の各ウェルに入れた。次に、ウェルをTBST−0.5%中、1mg/mLのBSAからなるブロッキング緩衝液で満たし、4℃で1時間インキュベートした。毛髪を、TBST−0.5%で5回洗浄した。次いで1mg/mLのBSAを含有する1ミリリットルのTBST−0.5%で満たしてから、精製ファージクローン(1014pfu)を各ウェルに加えた。毛髪サンプルを、室温で15分間インキュベートしてからTBST−0.5%で10回洗浄した。毛髪を清浄なウェルに移し、0.2Mグリシン−HCl中、pH2.2で1mg/mLのBSAからなる1.0mLの非特異的溶出用緩衝液を各ウェルに加えた。このサンプルを10分間インキュベートしてから、160μLの中和緩衝液(1Mトリス−HCl、pH9.2)を各ウェルに加えた。各ウェルから溶出されたファージを、滴定用および配列決定分析用の新しいチューブに移した。
【0201】
結合ファージを滴定するために、溶出されたファージを、SM緩衝液で希釈して10から10の10倍連続希釈液を調製した。各希釈液の10μL分割量を、200μLのミッドログ相の大腸菌ER2738(ニューイングランド・バイオラブス)と共にインキュベートし、LB培地中、20分間増殖させてから、3mLのアガローストップ(5mMのMgCl、および0.7%アガロースを有するLB培地)と45℃で混合した。この混合物をLB培地/IPTG/Xgalプレート(15g/L寒天、0.05g/LのIPTG、および0.04g/LのXgalを有するLB培地)上に広げて37℃で一晩インキュベートした。青色プラークをカウントして表9に示されるファージ力価を算出した。
【0202】
【表10】

【0203】
ELISAによる毛髪結合ファージクローンの特性化
酵素免疫測定法(ELISA)を用いて、選択されたファージペプチドクローンの毛髪結合特異性を評価した。無作為選択の対照G−F9、KHGPDLLRSAPR(配列番号63として得られた)と共に実施例1および2で同定されたファージペプチドクローンを増幅させた。また、1014pfu超のファージをブロック前の毛髪表面に加えた。同数のファージを対照としてブロック前のブタ皮膚表面にさらに加えて、毛髪結合特異性を立証した。
【0204】
ユニークな毛髪またはブタ皮膚底の96ウェル装置を、ミニフォールドI(Minifold I)ドットブロットシステム(シュライチャー・アンド・シュエル社、ニューハンプシャー州、キーン)の上部96ウェルブロック下で1層のParafilm(登録商標)を貼り付けることにより作製し、Parafilm(登録商標)カバーの上部に毛髪または無毛のブタ皮膚層を加えてから装置を固定した。試験される各クローンに関しては、毛髪カバーウェルを、TBS中2%脱脂粉乳(シュライチャー・アンド・シュエル社)からなる200μLのブロッキング緩衝液により室温で1時間インキュベートした。ウェルの底にブタ皮膚を有する第二のミニフォールドシステムを、ブロッキング緩衝液と同時に処理して対照として供した。ブロッキング緩衝液は、本システムを反転させることにより除去し、ペーパータオルで吸い取って乾燥した。本システムを、TBST−0.05%からなる洗浄用緩衝液で6回リンスした。ウェルを、1mg/mLのBSAを含有する200μLのTBST−0.5%で満たしてから、精製ファージストックの10μL(1012超のコピー)を各ウェルに加えた。サンプルは、37℃で15分間緩徐に振とうしながらインキュベートした。非結合ファージは、ウェルをTBS−0.05%で10回から20回洗浄することにより除去された。次に、ブロッキング緩衝液で1:500希釈の100μLの西洋わさびペルオキシダーゼ/抗M13抗体複合体(アマーシャム(Amersham)USA、ニュージャージー州、ピスカタウェイ)を各ウェルに加えて、室温で1時間インキュベートした。複合体溶液を除去し、ウェルをTBST−0.05%で6回洗浄した。ピアース・バイオテクノロジー(Pierce Biotechnology)(イリノイ州、ロックフォード)から入手したTMB基質(200μL)を各ウェルに加え、室温で5分から30分の間、典型的には10分間展開させた。次に停止溶液(200μLの2M HSO)を各ウェルに加え、この溶液を96ウェルプレートに移し、A450を、マイクロプレート分光光度計(モレキュラーデバシズ(Molecular Devices)、カリフォルニア州、サニーベール)を用いて測定した。少なくとも3回反復試験の平均値として報告されて生じた吸光度値、および平均値の標準誤差(SEM)を表10に示している。
【0205】
【表11】

【0206】
表10のデータからわかるように、全ての毛髪結合クローンは、毛髪に関して対照よりも有意に高い結合親和力を有した。さらに、毛髪結合クローンは、ブタ皮膚と比較して毛髪では種々の程度の選択性を示した。
【0207】
実施例6
ペプチド結合特異性および親和力の確認
本実施例の目的は、競合ELISAを用いてペプチド結合部位特異性および毛髪結合ペプチドD21の親和力を試験することであった。ELISAアッセイは、毛髪表面に結合されたままであるファージ粒子を検出するだけである。したがって、合成ペプチドが、毛髪表面上の同じ結合部位に関してファージ粒子と競合する場合、合成ペプチドのELISA系への付加により、ペプチド競合のためELISA結果を有意に減少させるであろう。
【0208】
配列番号46として得られた合成毛髪結合ペプチドD21は、シンペップ(SynPep)(カリフォルニア州、ダブリン)により合成された。対照として、配列番号61として得られた関連のない合成皮膚結合ペプチドをこの系に加えた。実験条件は、実施例5に記載されたELISA法に用いられたものと同様であった。手短に言えば、100μLの結合用緩衝液(0.1%Tween(登録商標)20および1mg/mLのBSAを有する1×TBS)および1011pfuの精製D21ファージ粒子を、正常な毛髪サンプルを含有した96ウェルフィルタープレートの各ウェルに添加した。合成ペプチド(100μg)を各ウェル(0.8mM濃度に相当する)に添加した。この反応は、緩やかに振とうさせながら室温で1時間実施し、次いでTBST−0.5%で5回洗浄した。残りの段階は、実施例5に記載されたELISA法に用いられたものと同一であった。450nmでの吸光度(A450)として表されたELISA結果を表11に示している。各々個々のELISA試験は、三重反復試験で実施された。表11の値は、三重反復試験の測定値の平均である。
【0209】
【表12】

【0210】
これらの結果により、合成ペプチドD21は、毛髪表面に対して同じ結合部位に対してファージクローンD21と競合することが立証された。
【0211】
実施例7
バイオパニングを用いたシャンプー抵抗性毛髪結合ファージペプチドの選択
本実施例の目的は、シャンプー洗浄によるバイオパニングを用いたシャンプー抵抗性毛髪結合ファージペプチドを選択することであった。
【0212】
シャンプー抵抗性毛髪結合ファージペプチドを選択するために、正常および脱色毛髪に対する12マーファージペプチドライブラリーを用いたバイオパニング実験は、実施例2に記載された通りに実施された。非結合ファージを洗い落とすために通常のTBST緩衝液を使用する代わりに、10%、30%および50%シャンプー液(Pantene Pro−Vシャンプー、Sheer Volume、プロクター・アンド・ギャンブル(Proctor & Gamble)、オハイオ州、シンシナチ)でファージ複合毛髪を、別個のチューブ中で5分間洗浄し、次いでTBS緩衝液で6回洗浄した。実施例2に記載された通り、修飾バイオパニング法に記載された宿主細菌細胞を感染させるために洗浄毛髪を直接使用した。
【0213】
本法が有する可能性のある問題は、細菌宿主細胞を感染させるファージの能力に対するシャンプーの作用である。対照実験において、既知量のファージ粒子を、10%シャンプー液に5分間加え、次にこの溶液の一部を、細菌細胞を感染させるために用いた。シャンプー処理のファージ力価は、未処理ファージ力価よりも90%低かった。30%および50%のシャンプー処理により、宿主細胞を感染させるファージの能力に対してさらにより厳しい損傷を与えた。それもかかわらず、2種のシャンプー抵抗性毛髪結合ファージペプチドは、表12に示されるように同定された。
【0214】
【表13】

【0215】
実施例8
PCRを用いたシャンプー抵抗性毛髪結合ファージペプチドの選択
本実施例の目的は、ファージに対するシャンプー誘導損傷の問題を避けるためにPCR法を用いたシャンプー抵抗性毛髪結合ファージペプチドを選択することであった。PCR法のこの原理は、ファージ粒子内のDNA断片が、ファージの生存度にかかわらずPCRを用いて回収できることであり、次いで毛髪結合ペプチド配列に対応する回収DNA断片が、ファージベクターに戻ってクローン化でき、健常なファージ粒子内にパッケージできることである。
【0216】
バイオパニング実験は、実施例1に記載された通り、正常および脱色毛髪に対して7マーおよび12マーファージペプチドライブラリーを用いて実施された。最終洗浄後、ファージ処理毛髪を5分のシャンプー洗浄に供し、次いで6回のTBS緩衝液の洗浄に供した。シャンプー洗浄毛髪を1mLの水で満たされた新鮮なチューブに入れて、15分間沸騰してDNAを放出させた。このDNA含有沸騰液を、PCR反応用にDNAテンプレートとして使用した。PCR反応に使用されたプライマーは、配列番号67として得られたプライマー:M13KE−1412順方向5’−CAAGCCTCAGCGACCGAATA−3’、および配列番号68として得られたプライマー:M13KE−1794逆方向5’−CGTAACACTGAGTTTCGTCACCA−3’であった。PCR条件は:96℃での3分の変性、次いで94℃30秒間、50℃で30秒間および60℃で2分間の35サイクルであった。PCR産物(約400bp)、およびM13KEベクター(ニューイングランド・バイオラブス)を、制限酵素Eag IおよびAcc65 Iにより消化した。Ph.D(商標)ペプチドディスプレーキローニングシステム(ニューイングランド・バイオラブス)に記載された連結および形質変換条件を用いた。生じたシャンプー抵抗性毛髪結合ファージペプチドのアミノ酸配列は、配列番号70として得られたNTSQLSTである。
【0217】
実施例9
毛髪結合および皮膚結合ペプチドの親和力の測定
本実施例の目的は、ELISAアッセイを用いてMB50値として測定された、それぞれの基質に対する毛髪結合および皮膚結合ペプチドの親和力を測定することであった。
【0218】
毛髪結合および皮膚結合ペプチドは、シンペップ(SynPep)社(カリフォルニア州、ダブリン)により合成された。ペプチドは、検出目的のためにアミノ酸結合配列のC−末端にビオチン化リシン残基を付加させることによってビオチン化され、アミド化されたシステインは配列のC−末端に付加させた。試験されたペプチドのアミノ酸配列は、表13に示されるように配列番号71〜74として与えられる。
【0219】
毛髪サンプルに関して、使用された手法は以下の通りである。使用された表面特異的96ウェルシステムの構成は、実施例5に記載されたものと同じであった。手短に言うと、毛髪またはブタ皮膚表面を有する96ウェルは、ブロッキング用緩衝液(ピアースケミカル(Pierce Chemical)社からのSuperBlock(商標)、イリノイ州、ロックフォード)により室温で1時間ブロックし、次いで室温で各々2分間、TBST−0.5%により6回の洗浄を行った。種々の濃度のビオチン化結合ペプチドを各ウェルに加え、37℃で15分間インキュベートし、室温で各々2分間、TBST−0.5%により6回の洗浄を行った。次に、ストレプトアビジン−西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)複合体(ピアースケミカル社)を、各ウェル(1ウェル当り1.0μg)に加え、室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後、このウェルを、室温で各々2分間、TBST−0.5%により6回の洗浄を行った。最後に、発色および測定は、実施例5に記載された通り実施された。
【0220】
ペプチド皮膚複合体のMB50の測定に関して、以下の手法が使用された。最初に、ブタ皮膚を処理して皮膚内の内因性ビオチンをブロックした。これは、ストレプトアビジンのブロッキング用緩衝液に添加することによって実行された。ブタ皮膚サンプルをブロッキング後、皮膚をD−ビオチンで処理して過剰のストレプトアビジン結合部位をブロックした。残りの段階は、毛髪サンプルに使用されたものと同一であった。
【0221】
これらの結果を、GraphPad Prism4.0(グラフパッド・ソフトウェア(GraphPad Software)社、カリフォルニア州、サンディエゴ)を用いてA450対ペプチドの濃度としてプロットした。MB50値は、スキャッチャードプロットから算出され、表13に要約している。これらの結果により、それぞれの基質に対する毛髪結合ペプチド(D21、F35、およびI−B5)および皮膚結合ペプチド(配列番号61)の結合親和力は高く、一方、皮膚に対する毛髪結合ペプチド(D21およびI−B5)の結合親和力は、比較的低かったことが立証されている。
【0222】
【表14】

【0223】
実施例10
バイオパニングを用いる歯結合ペプチドの選択
この予言的な実施例の目的は、高親和力で歯に結合するファージペプチドを同定する方法を記載することである。
【0224】
歯科医院から入手することができる抜歯を、石鹸液でブラシに掛けて清浄にし、脱イオン水でリンスし、室温で風乾した。この歯は、1チューブ当り1本の歯で遠心分離用チューブ(コーニング(Corning)社、マサチューセッツ州、アクトン)に入れた。歯サンプルは、TBST−0.5%中、1mg/mLのBSAからなるブロッキング用緩衝液により1時間処理してから、TBST−0.5%で洗浄した。歯サンプルをファージライブラリー(Ph.D−12ファージディスプレイペプチドライブラリーキット)と共にインキュベートし、実施例1に記載された同じ条件を用いて10回洗浄した。実施例1に記載された酸性溶出段階後、歯サンプルを溶出緩衝液で3回以上洗浄してから、TBST−0.5%で3回洗浄した。実施例2に記載されたように、なお付着している耐酸性ファージペプチドを有する酸処理歯は、大腸菌ER2738細胞を直接感染させるために使用する。増幅および単離されたファージを、新鮮な歯サンプルと接触させ、バイオパニング手法を2回以上反復する。バイオパニングの第3ラウンド後、酸処理歯は、大腸菌ER2738細胞を直接感染させるために使用し、細胞を実施例1に記載された通りに培養する。DNA単離および配列分析のために、単一黒色プラークを無作為に採取した。この単一プラーク溶解物は、実施例1に記載されたとおり、製造元(ニューイングランド・バイオラブス)の取扱説明書に従って調製され、一本鎖ファージDNAは、QIAprep Spin M13キット(キアゲン、カリフォルニア州、バレンシア)を用いて精製され、−96gIII配列決定プライマーを用いて配列決定される。
【0225】
同定されたペプチド配列は、歯に対する結合親和力を有するであろう。同定された歯結合ペプチドの結合特異性および親和力は、実施例6に記載される通りに測定される。
【0226】
実施例11〜16
トリブロックペプチドベースの体表面発色試薬を用いた毛髪発色
これらの実施例の目的は、カーボンブラック色素と組合わせてトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬を用いた毛髪発色を立証することであった。使用されたトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬は、経験的に作成された毛髪結合ペプチド、プロリンスペーサー、およびカーボンブラック結合ペプチドから構成された。
【0227】
これらの実施例に用いられたトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬の配列は、表14に示している。これらのペプチドベースの試薬は、シンペップ(カリフォルニア州、ダブリン)から入手された。
【0228】
【表15】

【0229】
試験されるペプチドベースの体表面発色試薬の配列の3重量%溶液は、適量のペプチドを水中に溶解させることによって調製された。この水性ペプチド溶液に、イェー(Yeh)らによる米国特許第6,852,156号明細書、実施例1に記載された通り調製された14重量%の固体を含有する1.5mLの自己分散カーボンブラック色素分散液を加えた。生じた混合物を16時間攪拌した。
【0230】
インターナショナル・ヘアインポーターズ(International Hair Importers)から入手された天然白髪スワッチ(natural white hair swatch)を、混合物に30分間攪拌しながら浸した。この時間後、白髪スワッチを、混合物から除去してから、風乾し、水によりリンスして非結合色素を除去した。対照として、ペプチド試薬なしでカーボンブラック色素を用いる同じ手法を用いて毛髪を発色した。試験された全てのペプチドベースの体表面発色試薬に関して、水リンス後、毛髪の色は、ペプチドベースの体表面発色試薬を用いないで発色された対照の毛髪サンプルよりも有意に暗黒色であった。
【0231】
実施例17〜20
トリブロックペプチドベースの体表面発色試薬の生物学的産生
これらの実施例の目的は、組換えDNAおよび分子クローニング技法を用いてペプチドベースの体表面発色試薬を調製することであった。ペプチドベースの体表面発色試薬は、毛髪結合ペプチド配列、およびペプチドスペーサーにより分離されたカーボンブラック結合ペプチド配列からなるトリブロック構造であった。これらのペプチドは、封入体として大腸菌に発現された。さらなるアミノ酸配列(すなわち、ペプチドタグ)は、封入体形成を促進させるために、ペプチドベースの体表面発色試薬に融合された。
【0232】
産生株の構築
ペプチドベースの体表面発色試薬の配列は、表15に示している。DNA配列は、大腸菌に対して好適なコドンを用い、配列反復およびmRNAの二次的構造を回避してこれらのペプチドをコードするように設計された。遺伝子DNA配列は、グスタフソン(Gustafsson)ら(Trends in Biotechnol.22(7):346−355頁(2004年))により記載されているDNA2.0社(カリフォルニア州、メンロパーク)により設計された。各々の場合において、アミノ酸配列をコードする配列は、2つの終止コドンおよびエンドヌクレアーゼAsclに対する認識部位が続いた。N−末端におけるGSアミノ酸配列は、エンドヌクレアーゼBamHI(GGA/TCC)に対する認識部位によりコードされた。DNA配列は、配列番号148〜151により得られている。
【0233】
【表16】

【0234】
遺伝子は、合成オリゴヌクレオチドから組立てられ、DNA2.0社により標準的プラスミドクローニングベクターにクローン化された。配列はDNA2.0社によりDNA配列を決定することで立証された。
【0235】
合成遺伝子は、エンドヌクレアーゼ制限酵素BamHIおよびAsclによりクローニングベクターから切除され、標準的な組換えDNA法を用いて発現ベクターに結合された。ベクターpkSIC4−HC77623は、市販のベクターpDEST17(インビトロゲン(Invitrogen)、カリフォルニア州、カールスバッド)から誘導された。それは、酵素ケトステロイドイソメラーゼ(KSI)の断片をコードする市販のベクターpET31b(ノバゲン(Novagen)、ウィスコンシン州、マジソン)から誘導された配列を含む。KSI断片は、ペプチドの区画を大腸菌の不溶性封入体内に促進させるための融合パートナーとして含まれた。pET31bからのKSIコード配列は、標準的な変異誘発手法(QuickChange II、ストラタジーン(Stratagene)カリフォルニア州、ラホーヤ(La Jolla))を用いて修飾して、野生型KSI配列に見られた1つのCysコドンに加えて、3つのさらなるCysコドンを含んだ。配列番号152により得られ、図1に示されたプラスミドpKSIC4−HC77623は、当業者に周知である標準的な組換えDNAを用いて構築された。
【0236】
ペプチドベースの体表面発色試薬をコードするDNA配列は(表15)、BamHI部位とAscl部位との間のベクター配列の代わりにpKSIC4−HC77623に挿入された。ペプチドコード配列を含有するプラスミドDNAおよびベクターDNAは、エンドヌクレアーゼ制限酵素BamHIおよびAsclにより消化され、次にペプチドコード配列およびベクターDNAを混合し、当業者に周知である標準的なDNAクローニング手法を用いてファージT4DNAリガーゼにより結合された。ペプチドベースの体表面発色試薬をコードする配列が、それぞれpKSIC4−HC77623に挿入された正確な構築物は、標準法を用いて制限分析により同定され、DNA配列決定により確かめられた。
【0237】
これらの構築物において、対象のペプチドをコードする配列は、これらのコード化HC77623の代わりをした。これらの配列は、バクテリオファージT7遺伝子10プロモ−ターに操作的に結合させ、融合タンパク質として発現させ、変異体KSIパートナーと融合させた。
【0238】
ペプチドベースの試薬の発現を試験するために、発現プラスミドは、BL21−Al大腸菌株(インビトロゲン、カタログ番号C6070−03)に形質転換された。組換え融合ペプチドを産生するために、50mLのLB−アンピシリンブロス(10g/Lバクト−トリプトーン、5g/L バクト−酵母抽出物、10g/L NaCl、100mg/Lアンピシリン、pH7.0)に、形質転換細菌を接種し、この培養物を、OD600が0.6に達するまで37℃で振とうした。0.5mLの20重量%のL−アラビノースを培養物に添加することによって発現を誘導し、振とうは別に4時間継続した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動による細胞タンパク質の分析により、融合タンパク質の産生を立証した。
【0239】
発酵
上記の組換え大腸菌株を、最初にバッチ方式で、次いでフェドバッチ方式で操作された6−Lの発酵において増殖させた。発酵培地の組成物を表16に示している。発酵培地のpHは6.7であった。発酵培地をオートクレーブにかけて滅菌し、その後、以下の滅菌組成物:チアミン塩酸塩(4.5mg/L)、グルコース(22.1g/L)、表17(10mL/L)に見られる微量元素、アンピシリン(100mg/L)、および接種物(種菌)(125mL)を加えた。このpHは、水酸化アンモニウム(20容量%)またはリン酸(20容量%)を用いて必要なもののとして調整された。添加された成分は、オートクレーブ処理またはろ過により滅菌した。
【0240】
【表17】

【0241】
【表18】

【0242】
この発酵の操作条件は、表18に要約している。グルコースの初発濃度は、22.1g/Lであった。初発残存グルコースが枯渇された場合、予め計画された指数関数的グルコースフィードを、発酵操作のフェドバッチ相を出発して開始した。グルコースフィード(表19および20)は、500g/Lのグルコースを含有し、5g/Lの酵母抽出物で補足された。フィード培地の成分を、オートクレーブ処理またはろ過により滅菌した。この目標は、0.25g/gの収量係数(グルコースに対するバイオマス)を想定して、0.13h−1の比増殖速度を維持し、極めて低値(すなわち、0.2g/L未満)で発酵容器中の酢酸レベルを維持することであった。グルコースのフィードは、操作終末まで継続した。選択された時間(すなわち、15時間の発酵経過時間)で2g/LのL−アラビノースのボーラスにより誘導が開始された。発酵ブロス1リットル当り5gの酵母抽出物を送達させるためにボーラスを、以下の時間:誘導時間で、誘導1時間前、および誘導1時間後に発酵容器に加えた。発酵操作は、19.97時間の発酵経過時間、および誘導時間の4.97時間後に終了した。
【0243】
【表19】

【0244】
【表20】

【0245】
【表21】

【0246】
ペプチドの単離と精製
発酵操作の完了後、全発酵ブロスは、12,000psi(82,700kPa)でAPVモデル2000 Gaulinタイプのホモジナイザーを3時間かけて通過させた。このブロスを、各均質化前に5℃未満に冷却した。均質化ブロスは直ちに、600mL/分および12,000RCFでWestfalia WhisperFuge(商標)(ウェストファリア・セパレーター(Westfalia Separator)社、ニュージャージー州、ノースヴァーレ)の積重ねディスク遠心分離機を通過させて、懸濁細胞片および溶解不純物から封入体を分離した。回収ペーストを、水中に15gm/L(乾燥基準で)で再懸濁させ、pHを、NaOHを用いて8.0と10.0との間の値に調整した。封入体タンパク質を溶解することなく、封入体から細胞片を除去させるため、このpHを選択した。この懸濁液を、12,000psi(82,700kPa)での単一通過でAPVモデル2000 Gaulinタイプのホモジナイザーを通過させて精密な混合を行った。均質化された高pH懸濁液を直ちに、600mL/分および12,000RCFでWestfalia WhisperFuge(商標)の積重ねディスク遠心分離機を通過させて、懸濁細胞片および溶解不純物から洗浄封入体を分離した。回収ペーストを、純水中に15g/L(乾燥基準で)で再懸濁させた。この懸濁液を、12,000psi(82,700kPa)での単一通過でAPVモデル2000 Gaulinタイプのホモジナイザーを通過させて精密な洗浄を行った。均質化された懸濁液を直ちに、600mL/分および12,000RCFでWestfalia WhisperFuge(商標)の積重ねディスク遠心分離機を通過させて、残存の懸濁細胞片およびNaOHから洗浄封入体を分離した。
【0247】
回収ペーストを、純水中に25g/L(乾燥基準で)で再懸濁させ、混合物のpHを、HClを用いて2.2に調整した。回収されたペプチドが、システイン残基を含有した場合、ジチオトレイトール(DTT、10mM)を加えてジスルフィド結合を切断した。酸性懸濁液を70℃に5時間から14時間加熱して、DP部位の開裂を完了させて、標的ペプチドを損傷することなくペプチド産物から融合ペプチドを分離した。スラリー産物を、NaOHを用いてpH5.1(注:ここで使用されたpHは、回収されたペプチドの溶解度に依って変わり得る)に調整してから、5℃に冷却して12時間保持した。この混合物を9000RCFで30分間遠心分離し、上澄液をデカントした。次に上澄液を0.2μm膜を用いてろ過した。いくらか低溶解性ペプチドに関して、ペプチド回収を増加させるためにペレットの複数洗浄を必要とした。
【0248】
ろ過産物のpHを2.0に調整し、サンプルを安定化させるために、十分なアセトニトリルと混合して10容量%のアセトニトリル溶液を得た。この溶液を、10容量%アセトニトリル、0.1容量%のトリフルオロ酢酸(TFA)を有する90容量%の水で事前調整された10から15μmC18媒体を含有する22×250mmまたは50×250mmの逆相クロマトグラフィーカラムに装填した、水およびアセトニトリル勾配、すなわち0.1容量%でTFAを有する水中10容量%から40容量%のアセトニトリル勾配でカラムを溶出させることにより純粋状態で産物が回収された。ペプチド産物を含有する溶出液を集めて、真空蒸発により凍結乾燥前に2:1のファクターまで濃縮した。220nmおよび278nmでの分光光度計の検出を用いてペプチド産物の溶出をモニターし、追跡した。
【0249】
実施例21
トリブロックペプチドベースの体表面発色試薬を用いた毛髪発色
本実施例の目的は、カーボンブラック色素と組合わせてトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬を用いた毛髪発色を立証することであった。保色性は分光光度計測定技法を用いて定量化された。
【0250】
イェーらによる米国特許第6,852,156号明細書の実施例1に記載された通りに調製された14重量%の固体を含有する自己分散カーボンブラック色素分散液を水で1:10に希釈した。配列番号147(実施例20)として得られた25ミリグラムのトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬を5gの水に溶解した。次いで、10gの希釈カーボンブラック色素分散液をペプチド溶液に徐々に加え、この溶液を少なくとも60分間混合した。
【0251】
インターナショナル・ヘアインポーターズから入手した天然の白髪スワッチを、この混合物に攪拌しながら30分間浸した。この時間後、毛髪スワッチを、混合物から取り出し、風乾してから、水でリンスして未結合色素を除去した。対照として、ペプチド試薬なしのカーボンブラック色素を用いる同じ手法を使用して毛髪を発色した。
【0252】
水リンス後の色の強度は、発色毛髪サンプルをフォトセンサーに入れてX−Rite(登録商標)SP78(商標)Sphere分光光度計(X−ライト(X−Rite)社、ミシガン州、グランドビレ)を用いて測定し、光度計の応答を表すL、aおよびbパラメータを算出した。初発のベースラインL値は、未発色の毛髪を測定し、全ての測定値は、5回の各測定値の平均値であった。デルタE値は、下式1を用いて算出された:
デルタE=((L−L+(a−a+(b−b1/2
(1)

式中L=明度変数およびaならびにbは、International Commission of Illumination(CIE)(Minolta、Precise Color Communication−Color Control From Feeling to Instrumentation、ミノルタカメラ(Minolta Camera)社、1996年)により定義されたCIELAB色空間の色度座標である。より大きなデルタ値は、より良好な保色性を示す。これらの結果は、表21に要約している。
【0253】
【表22】

【0254】
表21のデルタからわかるように、水リンス後の保色性は、色素のみで処理された対象サンプルよりも、ペプチドベースの体表面発色試薬および色素で処理されたサンプルの方が有意に高かった。
【図面の簡単な説明】
【0255】
【図1】実施例17〜20に記載されたベクターpKSIC4−HC77623のプラスミドマップである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)BSBPが、体表面結合ペプチドであり;
b)PBPが、色素結合ペプチドであり;そして
c)m、n、およびxが、独立して1から約10の範囲である、
一般構造[(BSBP)−(PBP)を有するジブロックペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項2】
a)BSBPが、体表面結合ペプチドであり;
b)PBPが、色素結合ペプチドであり;
c)Sが、分子スペーサーであり;そして
d)m、n、xおよびzが、独立して1から約10、yが、1から約5の範囲であり、ここでrおよびqの双方が0ではないという条件で、qおよびrが、各々独立して0または1である、一般構造[[(BSBP)−S−[(PBP)−Sを有するトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項3】
体表面結合ペプチドおよび色素結合ペプチドのいずれか1つまたは双方が、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイおよび組合わせ固相ペプチド合成からなる群から選択される工程により組合わせて生産される請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項4】
体表面結合ペプチドが、約7個から約50個のアミノ酸である請求項3に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項5】
体表面結合ペプチドが、経験的に生産される請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項6】
体表面結合ペプチドが、毛髪、爪、歯、歯肉、皮膚、および口腔組織からなる群から選択される体表面に結合する請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項7】
体表面結合ペプチドが、約7個から約25個のアミノ酸であり、10−5Mに等しいかまたはそれ未満のMB50として測定され、体表面に対する結合親和力を有する請求項6に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項8】
体表面が、上皮細胞層を含む請求項6に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項9】
体表面が、内皮細胞層を含む請求項8に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項10】
体表面結合ペプチドが、配列番号1、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、58、59、60、64、66、69、70、75、105、106、107、108、109、153、154、155、および156からなる群から選択される毛髪結合ペプチドである請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項11】
体表面結合ペプチドが、配列番号2、61、99、100、101、102、103、および104からなる群から選択される皮膚結合ペプチドである請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項12】
体表面結合ペプチドが、配列番号7、8、19〜27、38〜40、43、44、47、53、57、58、59および60からなる群から選択される爪結合ペプチドである請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項13】
色素結合ペプチドが、約5個から約50個のアミノ酸である請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項14】
色素結合ペプチドが、D&CレッドNo.36、D&CレッドNo.30、D&CオレンジNo.17、グリーン3レーキ、Ext.イエロー7レーキ、オレンジ4レーキ、レッド28レーキ;D&CレッドNo.7、11、31および34のカルシウムレーキ、D&CレッドNo.12のバリウムレーキ、D&CレッドNo.13のストロンチウムレーキ、FD&CイエローNo.5、FD&CイエローNo.6、FD&CNo.40、D&CレッドNo.21、22、27、および28、FD&CブルーNo.1、D&CオレンジNo.5、D&CイエローNo.10のアルミニウムレーキ;D&CレッドNo.33のジルコニウムレーキ;Cromophthal(登録商標)イエロー、Sunfast(登録商標)マゼンタ、Sunfast(登録商標)ブルー、酸化鉄、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、第二鉄アンモニウムフェロシアン化物、炭酸マグネシウム、カルミン、硫酸バリウム、マイカ、ビスマスオキシクロリド、ステアリン酸亜鉛、マンガンバイオレット、酸化クロム、二酸化チタン、二酸化チタンナノ粒子、酸化亜鉛、酸化バリウム、群青、クエン酸ビスマス、ヒドロキシアパタイト、ケイ酸ジルコニウム、およびカーボンブラック粒子からなる群から選択される色素に対する親和力を有する請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項15】
色素結合ペプチドが、配列番号110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、および134からなる群から選択される請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項16】
スペーサーが、エタノールアミン、エチレングリコール、6個の炭素原子の鎖長を有するポリエチレン、3つから6つの反復単位を有するポリエチレングリコール、フェノキシエタノール、プロパノールアミド、ブチレングリコール、ブチレングリコールアミド、プロピルフェニル鎖、エチルアルキル鎖、プロピルアルキル鎖、ヘキシルアルキル鎖、ステリルアルキル鎖、セチルアルキル鎖、およびパルミトイルアルキル鎖からなる群から選択される請求項2に記載のトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項17】
スペーサーが、1個から約50個のアミノ酸を含むペプチドである請求項2に記載のトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項18】
スペーサーが、プロリン、リシン、グリシン、アラニン、セリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項17に記載のトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項19】
スペーサーが、配列番号65、135、136、および137からなる群から選択されるペプチド配列を含む請求項17に記載のトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項20】
ペプチドベースの体表面発色試薬が、約14個から約200個のアミノ酸である請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項21】
トリブロックペプチドベースの身体発色試薬が、配列番号138、139、140、141、142、143、144、145、146、および147からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項2に記載のトリブロックペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項22】
体表面結合ペプチドが、
(i)組合わせにより生産されたファージ−ペプチドのライブラリーを提供する工程と;
(ii)(i)のライブラリーを体表面と接触させて、
(A)ファージ−ペプチド−体表面複合体
(B)非結合体表面、および
(C)非複合化ペプチド
を含む反応液を形成する工程;
(iii)(ii)のファージ−ペプチド−体表面複合体を単離する工程;
(iv)(iii)の単離ペプチド複合体から結合の弱いペプチドを溶出させる工程;
(v)工程(iv)の後に残存しているファージ−ペプチド−体表面複合体と直接ポリメラーゼ連鎖反応を用いることにより、または細菌宿主細胞に工程(iv)の後に残存しているファージ−ペプチド−体表面複合体を直接感染させることにより、残存する結合ファージ−ペプチドを同定し、好適な増殖培地中で感染細胞を増殖させ、増殖細胞からファージ−ペプチドを単離し、同定する工程、
を含む方法により単離される請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項23】
体表面が、毛髪、爪、歯、歯肉、皮膚、および口腔組織からなる群から選択される請求項22に記載のペプチドベースの体表面発色試薬。
【請求項24】
体表面結合ペプチドおよび色素結合ペプチドを含む、請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬の有効量を含むパーソナルケア組成物。
【請求項25】
a)体表面結合ペプチドが、毛髪、爪、歯、歯肉、皮膚、および口腔組織からなる群から選択される体表面に対する親和力を有し;そして
b)上記体表面結合ペプチドが、約7個から約25個のアミノ酸であり、10−5Mに等しいかまたはそれ未満のMB50として測定される、体表面に対する結合親和力を有する、
請求項24に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項26】
a)色素を提供することと;
b)体表面結合ペプチドが、体表面に対する親和力を有し、色素結合ペプチドが、色素に対する親和力を有する請求項1または2に記載のペプチドベースの体表面発色試薬を含む組成物を提供することと;そして
c)ペプチドベースの体表面発色試薬が色素と体表面に結合するのに十分な時間、(b)の組成物と一緒に(a)の色素を体表面に塗布すること
を含む体表面を発色させる方法。
【請求項27】
体表面が、毛髪、爪、歯、歯肉、皮膚、および口腔組織からなる群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ペプチドベースの体表面発色試薬を含む色素および組成物が、体表面に同時に塗布される請求項26に記載の方法。
【請求項29】
色素が、ペプチドベースの体表面発色試薬を含む組成物の塗布前に体表面に塗布される請求項26に記載の方法。
【請求項30】
ペプチドベースの体表面発色試薬を含む組成物が、色素の塗布前に体表面に塗布される請求項26に記載の方法。
【請求項31】
d)色素およびペプチドベースの体表面発色試薬を含む組成物の塗布に続いて、ポリマーシーラントを含む組成物を体表面に塗布する工程をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項32】
ポリマーシーラントが、ポリ(アリルアミン)、アクリレート類、アクリレートコポリマー類、ポリウレタン類、カルボマー類、メチコン類、アモジメチコン類、ポリエチレングリコール、蜜蝋、およびシロキサン類からなる群から選択される請求項31に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−531429(P2009−531429A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502859(P2009−502859)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/006942
【国際公開番号】WO2007/126641
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】