説明

ペメトレキセド二酸の新規結晶型及びその製造方法

【課題】製造工程が簡単で、実用性もより高いペメトレキセド二酸の3種類の新規結晶型、その製造方法及び使用を提供する。
【解決手段】H結晶型の粉末X線回折パターンにおいて、2θ値が約9.9°、12.2°、16.1°、18.9°、19.8°、22.6°、25.1°である位置に対応する回折ピークがあるペメトレキセド二酸のH結晶型。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機化学分野や薬学分野に関する。具体的に、葉酸拮抗薬であるN−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸(式Iの化合物、即ちPemetrexed diacid、ペメトレキセド二酸)の新規結晶型及びその製造方法に関する。
【化1】

【0002】
本願は、2008年9月22日に、中国特許庁に出願された発明の名称が「ペメトレキセド二酸の新規結晶型及びその製造方法」である出願200810070345.9号に基づき優先権を主張し、その内容全体を本願に援用する。
【背景技術】
【0003】
ペメトレキセド二酸及びその誘導体は、マルチターゲットの葉酸拮抗薬として、チミジル酸合成酵素(TS)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、およびグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)など含む多種の葉酸依存性酵素を強力に抑制でき、抗腫瘍活性に優れる。今では、その二ナトリウム塩、即ちペメトレキセド二ナトリウム(Pemetrexed disodium)は既に米国、ヨーロッパ、カナダ、中国、日本などで市販されており、悪性胸膜中皮腫の第一線治療及び非小細胞肺癌の第一線や第二線治療として使用されている。ペメトレキセド二ナトリウムは、悪性胸膜中皮腫の治療において、今まで唯一の市販の化学療法薬であり、非小細胞肺癌の第二線治療において、従来の標準薬物としてのドセタキセルに比べて、治療効果が等しいが、副作用がより低いので、非小細胞肺癌の第二線治療に対する新たな標準となる。その他、乳癌、腸癌、膵癌、頭頸部癌、胃癌、膀胱癌などの治療のためのペメトレキセド二ナトリウムへの臨床研究が進んでおり、その結果が期待される。
【0004】
ペメトレキセド二酸は、ペメトレキセド二ナトリウムの製造のための重要な前駆体であり、ペメトレキセド二酸の品質がペメトレキセド二ナトリウムの製造に鍵となる影響を与えると考えられ、そのため、近年ペメトレキセド二酸の物理的・化学的性質に対してより詳しく検討されており、そのうち、ペメトレキセド二酸の多結晶型の現象も注目されてきた。例えば、特許US20080045711には、2種類の水和物結晶型(A結晶型、B結晶型)、1種類のジメチルスルホキシド溶媒和物結晶型(C結晶型)、2種類のN,N−ジメチmnルホルムアミド溶媒和物結晶型(D結晶型、E結晶型)、2種類の無水物結晶型(F結晶型、G結晶型)という7種類のペメトレキセド二酸の結晶型が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願20080045711号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、それらの結晶型では、溶媒和物C結晶型、D結晶型、E結晶型に結合した溶媒は沸点が高いので(ジメチルスルホキシドの沸点が189℃、N,N−ジメチルホルムアミドの沸点が156℃)、ペメトレキセド二ナトリウムの製造時にこれらの沸点の高い溶媒が最終製品に取り入れられ、最終製品の有機残留を制御する負担が増加する恐れがある。無水物F結晶型、G結晶型は高い温度(160〜200℃)で乾燥されて得られるので、このような温度でペメトレキセド二酸がある程度分解されて、製品の純度の保持に良くない場合がある。水和物A結晶型とB結晶型は、上記の短所を克服できるが、A結晶型の製造収量は低く(約40%)、実用価値が高くない。B結晶型の製造時間は長く、結晶を析出するだけで約18時間がかかり、生産性の向上に不利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、ペメトレキセド二酸の既存結晶型の技術における不足を解決するためにペメトレキセド二酸の多結晶型の現象をさらに検討したところ、何種類かのペメトレキセド二酸の新規結晶型が、それらの新規結晶型の製造方法が簡単で実用性も高く、さらに進んだペメトレキセド二ナトリウムの製造に有利であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明は製造工程が簡単で実用性も高いペメトレキセド二酸の新規結晶型、及びその新規結晶型の製造方法の提供を目的とする。
【0009】
本発明は、係る目的を達成するために、一定の粉末X線回折パターンの特徴を有するN−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸(ペメトレキセド二酸)の新規結晶型を3種類(それぞれH結晶型、I結晶型、J結晶型と称する)提供する。
【0010】
本発明が提供するペメトレキセド二酸のH結晶型の粉末X線回折パターンは、2θ値が約9.9°、12.2°、16.1°、18.9°、19.8°、22.6°、25.1°である位置に対応する回折ピークがあることを特徴する。また、2θ値が約6.4°、10.6°、17.1°、18.1°、21.1°、25.8°、27.8°、30.1°等である位置に対応する回折ピークもある。ペメトレキセド二酸のH結晶型は図1で示される粉末X線回折パターンに代表される特徴を有する。
【0011】
本発明が提供するペメトレキセド二酸のH結晶型はペメトレキセド二酸の水和物結晶型であり、その含水量は5〜80%の範囲である。
【0012】
本発明が提供するペメトレキセド二酸のH結晶型の結晶型含有量(質量%)は一般的に80%を超え、90%を超えることが好ましい。
【0013】
本発明が提供するペメトレキセド二酸のI結晶型は図2で示される粉末X線回折パターンに代表される特徴を有する。
【0014】
本発明が提供するペメトレキセド二酸のI結晶型がペメトレキセド二酸の水和物結晶型であり、その含水量が5wt%〜80wt%の範囲である。
【0015】
本発明が提供するペメトレキセド二酸のI結晶型の結晶型含有量(質量%)が一般的に80%を超え、90%を超えることが好ましい。
【0016】
本発明が提供するペメトレキセド二酸の水和物J結晶型の粉末X線回折パターンは、2θ値が約12.2°、20.3°、21.3°、28.9°、32.8°である位置に対応する回折ピークがあることを特徴する。また、2θ値が約5.6°、8.9°、18.4°、19.5°、23.3°、24.5°、25.7°、27.7°、31.4°、34.2°等である位置に対応する回折ピークもある。ペメトレキセド二酸の水和物J結晶型は図3で示される粉末X線回折パターンに代表される特徴を有する。当該ペメトレキセド二酸の水和物J結晶型は含水量が5wt%〜80wt%の範囲である。
【0017】
本発明が提供するペメトレキセド二酸の水和物J結晶型の結晶型含有量(質量%)は一般的に80%を超え、90%を超えることが好ましい。
【0018】
本発明のペメトレキセド二酸の粉末X線回折分析は、PW1710 BASED X線回折装置のCuKα線(α=1.5406A)を使用して、0〜40℃の環境温度、30%〜80%の環境湿度で測定してなるものである。本発明の含水量はMETTLER TOLEDO DL31型Karl Fischer水分計にて測定された。
【0019】
本発明におけるペメトレキセド二酸のH結晶型、I結晶型、J結晶型についての代表的な粉末X線回折パターンを図面に示す。「代表的な粉末X線回折パターン」とは、当該結晶型の粉末X線回折の特徴が当該パターンの回折ピークの全体的な形態に合致する意味である。ただし、粉末X線回折の試験を行う過程中、各種要素、例えばテストサンプルの粒子の大きさ、テスト時のサンプルの処理方法、器械、テストパラメータ、テスト操作などの影響により、同じ結晶型でも測定される粉末X線回折パターンの回折ピークや強度にもある程度の相違があろう。場合によってある回折ピークさえほとんど出現しないこともある。ここで、それらの相違は回折ピークの2θ値の実験誤差が±0.4°であってもよく、一般的に±0.2°である。
【0020】
本発明は同時に前記3種類のペメトレキセド二酸の新規結晶型の製造方法を提供する。
【0021】
本発明はペメトレキセド二酸、水および水と相溶する溶媒を含む混合溶液からペメトレキセド二酸を結晶させるペメトレキセド二酸のH結晶型の製造方法を提供する。具体的には、水及び水と相溶する溶媒を含む混合溶液にペメトレキセド塩(乾燥品或いは湿品を含む)を溶解させて、1〜2.5までpHを調整して、ペメトレキセド二酸の結晶を析出させること;または水及び水と相溶する溶媒からなる混合溶液にペメトレキセド二酸(乾燥品或いは湿品を含む)をそのまま溶解させ、更に結晶を析出させることである。
【0022】
H結晶型の製造方法における「ペメトレキセド塩」とは、ある程度の水溶性を有するものである。それはペメトレキセドのナトリウム塩、ペメトレキセドのリチウム塩、ペメトレキセドのカリウム塩、ペメトレキセドのアンモニウム塩、ペメトレキセドのカルシウム塩などを含むが、これらに限定されるものではなく、その中では、ペメトレキセド二ナトリウム塩が好ましい。
【0023】
H結晶型の製造方法における「水と相溶する溶媒」は、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等或いはそれらの混合物を含み、その中では、エタノール、アセトンが好ましい。「水と相溶する溶媒」の体積は一般的に水に対して0.5〜3倍であり、0.8〜1.5倍が好ましい。水の体積は一般的にペメトレキセド塩或いはペメトレキセド二酸の重量に対して3〜30倍であり、3〜20倍が好ましい。
【0024】
H結晶型の製造方法における「pHを調整して」は、酸の添加によって実現する。酸として、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、蟻酸、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸などを含むが、これらに限定されるものではなく、その中では、塩酸、酢酸が好ましい。使用する酸は一般的に水で希釈した後の酸水溶液であり、その濃度は一般的に0.5〜5mol/Lである。pHを調整する範囲は1〜3である。pHを調整した後の系の温度は一般的に室温から混合溶液の沸点に近い温度までである。
【0025】
H結晶型の製造方法における「水及び水と相溶する溶媒を含む混合溶液にペメトレキセド二酸をそのまま溶解させ」の際に、系のpHの調整や加熱により溶解を促進できる。pHは一般的に1〜3まで調整し、加熱温度は一般的に40℃から混合溶液の沸点に近づく温度までである。
【0026】
H結晶型の製造方法における結晶の析出は一般的に攪拌の状態で行われ、結晶を析出する時間は一般的に0.2〜6時間、好ましくは0.3〜2時間であり、結晶を析出する終了温度は一般的に0℃から室温までである。収量をさらに向上させるために、結晶を析出する過程中でさらに所定量の水を追加し、追加する水の量は一般的に初めの水の量に対して0.5〜4倍である。
【0027】
H結晶型の製造方法に得られるペメトレキセド二酸のH結晶はこの分野で汎用される手法にて分離でき、例えばろ過し、集めたペメトレキセド二酸のH結晶型は含水量が一般的に40wt%〜80wt%であり、この結晶をさらに乾燥することによって含水量を低減させることができる。乾燥は一般的に減圧状態下で行われ、温度は一般的に35〜70℃で、真空度は一般的に0.075〜0.098MPaで、乾燥時間は一般的に10〜40時間である。乾燥した後、ペメトレキセド二酸のH結晶型の含水量は5wt%〜10wt%である。
【0028】
本発明は濃度が0.07mol/L未満であるペメトレキセド塩を含有する水溶液のpHを酸にて2〜3まで調整して、ペメトレキセド二酸の結晶を析出させることを含むペメトレキセド二酸のI結晶型の製造方法を提供する。
【0029】
I結晶型の製造方法における「ペメトレキセド塩」とは、ある程度の水溶性を有するものである。それはペメトレキセドのナトリウム塩、ペメトレキセドのリチウム塩、ペメトレキセドのカリウム塩、ペメトレキセドのアンモニウム塩、ペメトレキセドのカルシウム塩などを含むが、これらに限定されるものではなく、その中では、ペメトレキセド二ナトリウム塩が好ましい。
【0030】
I結晶型の製造方法における「濃度の低いペメトレキセド塩を含む水溶液」でのペメトレキセド塩の濃度は一般的に0.07mol/L未満で、溶液のpHは一般的に7〜14である。この水溶液の調製は水或いはアルカリ水溶液にペメトレキセド塩を溶解させることや、アルカリ水溶液にペメトレキセド二酸を溶解させることや、ペメトレキセド塩を含有する反応水溶液を使用することを含む。その中では、「アルカリ水溶液」の「アルカリ」としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムなど、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではなく、その中では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。この「アルカリ水溶液」には所定量の水と相溶する溶媒を更に含むことができ、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等或いはそれらの混合物が挙げられる。それらの体積は水溶液の体積に対して0.05〜1倍である。
【0031】
I結晶型の製造方法におけるpHを調整するための「酸」として、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、蟻酸、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸など及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではなく、その中では、塩酸、酢酸が好ましい。pHの調整と結晶を析出する温度は一般的に−10℃〜40℃であり、0℃〜室温が好ましい。結晶を析出することは一般的に攪拌の状態で行われ、結晶を析出する時間は一般的に0.1〜3時間、好ましくは0.3〜1時間である。
【0032】
I結晶型の製造方法で得られるペメトレキセド二酸のI結晶型はこの分野で汎用される手法にて分離でき、例えばろ過し、集めたペメトレキセド二酸の結晶は含水量が一般的に40wt%〜80wt%であり、この結晶をさらに乾燥することによって含水量を低減させることができる。乾燥は一般的に減圧状態下で行われ、温度は一般的に35〜70℃で、真空度は一般的に0.075〜0.098MPaで、乾燥時間は一般的に10〜40時間である。乾燥したペメトレキセド二酸のI結晶型の含水量は5wt%〜10wt%である。
【0033】
本発明は濃度が0.07mol/Lを超えるペメトレキセド塩を含有する水溶液のpHを酸にて2〜4まで調整して、ペメトレキセド二酸の結晶を析出させることを含むペメトレキセド二酸のJ結晶型の製造方法を提供する。
【0034】
J結晶型の製造方法における「ペメトレキセド塩」とは、ある程度の水溶性を有するペメトレキセド塩である。それはペメトレキセドのナトリウム塩、ペメトレキセドのリチウム塩、ペメトレキセドのカリウム塩、ペメトレキセドのアンモニウム塩、ペメトレキセドのカルシウム塩などを含むが、これらに限定されるものではなく、その中では、ペメトレキセドの二ナトリウム塩が好ましい。
【0035】
J結晶型の製造方法における「濃度の高いペメトレキセド塩を含む水溶液」でのペメトレキセド塩の濃度は一般的に0.07mol/Lを超え、溶液pHは一般的に7〜14である。この水溶液の調製は水或いはアルカリ水溶液にペメトレキセド塩を溶解させることや、アルカリ水溶液にペメトレキセド二酸を溶解させることや、ペメトレキセド塩を含有する反応水溶液を使用することを含む。その中では、「アルカリ水溶液」の「アルカリ」は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムなど、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではなく、その中では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。この「アルカリ水溶液」には所定量の水と相溶する溶媒を更に含むことができ、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等或いはそれらの混合物が挙げられる。それらの体積は水溶液の体積に対して0.05〜2倍である。
【0036】
J結晶型の製造方法におけるpHを調整するための「酸」として、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、蟻酸、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸など及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではなく、その中では、塩酸、酢酸が好ましい。pHの調整と結晶を析出する温度は一般的に−10℃〜40℃であり、0℃〜室温が好ましい。結晶を析出する過程で析出液を加熱して、冷却することは結晶の成長に寄与し、加熱の温度は一般的に50〜70℃で、冷却の温度は一般的に0℃〜室温である。結晶を析出することは一般的に攪拌の状態で行われ、結晶を析出する時間は一般的に0.1〜5時間、好ましくは0.3〜2時間である。
【0037】
J結晶型の製造方法に得られるペメトレキセド二酸のJ結晶型はこの分野で汎用される手法にて分離でき、例えばろ過し、集めたペメトレキセド二酸の結晶は含水量が一般的に40wt%〜80wt%であり、この結晶をさらに乾燥することによって含水量を低減させることができる。乾燥は一般的に減圧で行われ、温度が一般的に35〜70℃で、真空度が一般的に0.075〜0.098MPaで、乾燥時間が一般的に10〜40時間である。乾燥した後、ペメトレキセド二酸のJ結晶型の含水量は5wt%〜10wt%である。
【0038】
本発明の別の目的はペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得るための前記3種類の新規結晶型のペメトレキセド二酸の使用を提供する。
【0039】
この使用は前記3種類の新規結晶型のペメトレキセド二酸をそれに対応するアルカリと作用させることによってペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得ることを含む。また、この使用はさらにまず本発明における方法で本発明の新規結晶型のペメトレキセド二酸を得、次に対応するアルカリと作用させることによってペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得ることを含む。
【0040】
また、本発明はペメトレキセド二酸を水含有溶媒に添加して対応するアルカリにてペメトレキセド二酸を溶解させ、溶解した後、水と相溶する適切な有機溶媒を添加してペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を析出させ、或いはそのまま凍結乾燥により凍結乾燥した状態でのペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得ることを含み、上記の水含有溶媒は水や、水及び水と相溶する溶媒を含む混合溶媒を含有するペメトレキセド塩の製造方法を提供する。
【0041】
前記方法における「ペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩」とはペメトレキセドのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩などを含む、その中では、ペメトレキセド二ナトリウムが好ましい。
【0042】
前記方法における「対応するアルカリ」とは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムなどを含み、その中では、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0043】
前記方法におけるペメトレキセド二酸を溶解させる際の「対応するアルカリ」の添加量は一般的に二倍のペメトレキセド二酸のモル量よりも多く、溶解した後、調製されるペメトレキセド塩の状況によってpHを調整し、例えばペメトレキセド二ナトリウムを調製するときに一般的に7〜12まで調整する。
【0044】
前記方法における「溶解した後、水と相溶する適切な有機溶媒を添加してペメトレキセド塩を析出させる」際に、「水と相溶する適切な有機溶媒」は、エタノール、アセトン、アセトニトリル、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等及びそれらの混合物を含み、その中では、エタノール、アセトン、アセトニトリルが好ましい。有機溶媒の加入体積量は水量に対して2〜10倍である。析出したペメトレキセド塩はこの分野で汎用される手法にて分離でき、例えばろ過し、集めたペメトレキセド塩をさらに乾燥することができる。
【0045】
前記方法における「溶解した後、そのまま凍結乾燥により凍結乾燥した状態でのペメトレキセド塩が得られる」際に、「水含有溶媒」の中の「水と相溶する適切な有機溶媒」は適当に凍結乾燥されるべきであり、例えばt−ブタノール、ジメチルスルホキシド、ジオキサンなど及びそれらの混合物を含む。凍結乾燥する前に、凍結乾燥の効果を向上させるために、溶液に分散剤を加えても良く、例えばマンニトール、乳糖、フルクトースなどが挙げられる。
【0046】
本発明におけるペメトレキセド二酸とペメトレキセド二ナトリウムは特許CN200410097284.7で開示された方法によって得られるものである。
【発明の効果】
【0047】
即ち、本発明におけるペメトレキセド二酸の3種類の新規結晶型(H結晶型、I結晶型、J結晶型)は再現性が良く且つ製造工程が簡単で、実用性も高いので、ペメトレキセド二酸の改善の新規結晶型である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ペメトレキセド二酸のH結晶型の粉末X線回折パターンである。
【図2】ペメトレキセド二酸のI結晶型の粉末X線回折パターンである。
【図3】ペメトレキセド二酸のJ結晶型の粉末X線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、当業者に更に全般的に理解させるために実施例を結合して本発明を更に説明するが、本発明は如何なる方式よってもこれらの実施例に限定されない。注意しておきたいのは、それらの実施例は実験室の規模によるものであるが、製造の規模の拡大にしたがって、ある工程パラメータが一定に変化する場合があることであり、これは当業者が理解し得るものである。実施例で使用される用語と略語とは汎用される意味を有する。例えば「g」、「ml」、「mol/L」、「℃」、「MPa」はそれぞれ「グラム」、「ミリリットル」、「モル/リットル」、「摂氏温度」、「メガパスカル」を意味する。
【0050】
以下の実施例において、下記の実験条件にてペメトレキセド二酸のX線回折パターンを測定する。
−PW1710 BASED X線回折装置
-CuKα源(λ=1.5406A)
−管電圧:30kV
−管電流:30mA
−受光スリット:0.05
-走査ステップ幅:0.1
-ステップ毎の時間:2s
【実施例1】
【0051】
ペメトレキセド二酸のH結晶型の製造
ペメトレキセド二ナトリウム(乾燥品)5gを水50mlに溶解させ、エタノール60mlを加え、2mol/Lの塩酸水溶液にてpHを1.5〜2.0まで調整し、加熱して清澄させ、室温で1.5時間かけて攪拌しながら結晶を析出させ、ろ過し、適当な量のpH4〜5の水で洗浄し、45〜50℃、減圧(真空度、0.085〜0.090MPa)で30時間乾燥することで、含水量が7.1%であるペメトレキセド二酸のH結晶型2.9gを得た。
【0052】
当該実施例で得られたペメトレキセド二酸をX線回折にて測定したところ、2θ値が5.4°、6.3°、9.8°、10.6°、12.1°、16.1°、17.1°、18.1°、19.0°、19.8°、21.1°、22.6°、23.7°、24.4°、25.1°、25.8°、26.5°、27.8°、30.1°、31.1°、32.4°、38.5°である位置に対応する回折ピークが確認された(相対強度、10%以上)。
【実施例2】
【0053】
ペメトレキセド二酸のH結晶型の製造
ペメトレキセド二ナトリウム(湿品)8gを水24mlに溶解させ、エタノール24mlを加え、1mol/Lの塩酸水溶液にてpHを2.0〜2.5まで調整し、加熱して清澄させ、更に水36mlを加え、攪拌しながら0.5時間で結晶を析出させ、ろ過し、濾過ケーキを適当な量の水で洗浄することで、含水量が約75%であるペメトレキセド二酸のH結晶型を得た。
【0054】
当該実施例で得られたペメトレキセド二酸をX線回折にて測定したところ、2θ値が6.4°、9.9°、10.6°、12.2°、16.1°、17.1°、18.1°、18.9°、19.8°、21.1°、22.6°、25.1°、25.8°、27.8°、30.1°である位置に対応する回折ピークが確認され、粉末X線回折パターンは図1の通りである。
【実施例3】
【0055】
ペメトレキセド二酸のH結晶型の製造
ペメトレキセド二酸(乾燥品)5gを水75mlとアセトン70mlとの混合液に加え、1.5mol/Lの塩酸水溶液にてpHを1.5〜2.0まで調整し、加熱して清澄させ、攪拌しながら1時間で結晶を析出させ、ろ過し、濾過ケーキを適当な量の水で洗浄し、55〜60℃、減圧(真空度、0.090〜0.095MPa)で15時間乾燥することで、含水量が8.5%であるペメトレキセド二酸のH結晶型3.2gを得た。
【0056】
当該実施例で得られたペメトレキセド二酸をX線回折にて測定したところ、H結晶型が確認された。
【実施例4】
【0057】
ペメトレキセド二酸のI結晶型の製造
ペメトレキセド二ナトリウム(乾燥品)10gを水500mlに溶解させ、0〜5℃まで冷却し、酢酸にて溶液のpHを4〜5まで調整し、更に2mol/Lの塩酸水溶液にてpHを2〜3まで調整し、続いて0.5時間攪拌し、ろ過し、濾過ケーキを適当な量の水で洗浄することで、含水量が約65%であるペメトレキセド二酸のI結晶型を得た。
【0058】
当該実施例で得られたペメトレキセド二酸をX線回折にて測定したところ、図2に示された粉末X線回折パターンを有する。
【実施例5】
【0059】
ペメトレキセド二酸のI結晶型の製造
ペメトレキセド二酸(湿品)10gを水400mlとエタノール100mlの混合溶媒に加え、4mol/Lの水酸化ナトリウム溶液にてpHを11〜12まで調整し、攪拌して溶解させ、2mol/Lの塩酸溶液にてpHを2〜3まで調整し、続いて1時間攪拌し、ろ過し、濾過ケーキを適当な量の水で洗浄し、45〜50℃、減圧(真空度、0.085〜0.090MPa)で35時間乾燥することで、含水量が6.7%であるペメトレキセド二酸のI結晶型3.7gを得た。
【0060】
当該実施例で得られるペメトレキセド二酸をX線回折にて測定したところ、I結晶型が確認された。
【実施例6】
【0061】
ペメトレキセド二酸のJ結晶型の製造
ペメトレキセド二ナトリウム(乾燥品)15gを水375mlに攪拌して溶解させ、0〜5℃まで冷却し、酢酸にて溶液pHを3〜4まで調整し、続いて10分攪拌し、ろ過し、濾過ケーキを適当な量の水で洗浄し、J結晶型のペメトレキセド二酸を得、60〜65℃、減圧(真空度、0.090〜0.095MPa)で24時間乾燥することで、含水量が7.7%であるペメトレキセド二酸のJ結晶型12.1gを得た。
【0062】
当該実施例で得られたペメトレキセド二酸をX線回折にて測定したところ、2θ値が約8.8°、12.1°、17.2°、18.3°、19.4°、20.2°、21.1°、23.1°、24.3°、26.2°、27.6°、28.8°、30.0°、31.6°、32.7°、34.1°、34.8°、37.6°である位置に対応する回折ピークが確認された(相対強度が10%以上である)。
【実施例7】
【0063】
ペメトレキセド二酸のJ結晶型の製造
ペメトレキセド二ナトリウム(湿品)15gを水100mlに攪拌して溶解させ、エタノール40mlを加え、1mol/Lの塩酸溶液にてpHを2〜3まで調整し、続いて約0.5時間攪拌し、ろ過し、濾過ケーキを適当な量の水で洗浄することで、含水量が約50%であるペメトレキセド二酸のJ結晶型を得た。
【0064】
当該実施例で得られたペメトレキセド二酸をX線回折にて測定したところ、2θ値が約5.6°、8.9°、12.2°、18.4°、19.5°、20.3°、21.3°、23.3°、24.5°、25.7°、27.7°、28.9°、31.4°、32.8°である位置に対応する回折ピークが確認され、回折パターンは図3の通りである。
【実施例8】
【0065】
ペメトレキセド二酸のJ結晶型の製造
ペメトレキセド二ナトリウム(乾燥品)10gを水100mlに攪拌して溶解させ、アセトン100mlを加え、2mol/Lの塩酸にて溶液pHを3〜4まで調整し、系に固体が多量出現した後、60〜65℃まで加熱して約10分攪拌し、約1.5時間にかけて攪拌して冷却し、ろ過し、濾過ケーキを適当な量の水で洗浄することで、ペメトレキセド二酸のJ結晶型を得た。
【0066】
当該実施例で得られたペメトレキセド二酸をX線回折にて測定したところ、J結晶型が確認された。
【実施例9】
【0067】
ペメトレキセド二ナトリウムの製造
上記実施例で得られたペメトレキセド二酸の新規結晶型(乾燥品)5gを水35mlに加え、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液にてpHを11〜12まで調整し、攪拌して溶解させ、更に2mol/Lの塩酸にてpHを8〜9まで調整し、混合液を40〜45℃まで加熱し、アセトン170mlを加え、約1.5時間にかけて攪拌しながら冷却して結晶を析出させ、ろ過し、濾過ケーキを適当な量のアセトンで洗浄し、50℃、減圧(真空度、0.090〜0.095MPa)で24時間乾燥することで、ペメトレキセド二ナトリウム5.3gを得た。
【実施例10】
【0068】
ペメトレキセド二ナトリウムの製造
上記実施例で得られたペメトレキセド二酸の新規結晶型(湿品)7gを水10mlに加え、5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液にてpHを10〜11まで調整し、攪拌して清澄させ、アセトニトリル44mlを加え、室温で約2時間にかけて攪拌しながら結晶を析出させ、ろ過し、適当な量のアセトニトリル/水の混合液、及びアセトンで洗浄することで、ペメトレキセド二ナトリウムを得た。
【実施例11】
【0069】
凍結乾燥したペメトレキセド二ナトリウムの製造
上記実施例で得られたペメトレキセド二酸の新規結晶型(乾燥品)10.8gを注射用水180mlに加え、2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液にてpHを11〜12まで調整し、攪拌して溶解させ、更に2mol/Lの塩酸にてpHを7.0〜8.5まで調整し、次に250mlに定容した。マンニトール10.0g、0.05%活性炭を加え、10分間攪拌し、ろ過し、更にろ液を滅菌ろ過した。凍結乾燥ボトルに12.5ml/ボトルで装入し、凍結乾燥することで、凍結乾燥したペメトレキセド二ナトリウムを得た。
【0070】
実施例9〜11において、ペメトレキセド二酸の新規結晶型とはH結晶型、I結晶型、J結晶型或いはそれらの混合物を意味する。
【0071】
以上、本発明及び好ましい実施形態を詳しく説明したが、本発明で開示されるものを考えると、当業者は特許請求の範囲の精神を逸脱しない範囲内で発明を変更及び/又は改善することができ、その変更及び改善も本発明の保護範囲にあると見なすべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
H結晶型の粉末X線回折パターンにおいて、2θ値が約9.9°、12.2°、16.1°、18.9°、19.8°、22.6°、25.1°である位置に対応する回折ピークがあるペメトレキセド二酸のH結晶型。
【請求項2】
含水量が5wt%〜80wt%の範囲であることを特徴する請求項1に記載のペメトレキセド二酸のH結晶型。
【請求項3】
ペメトレキセド二酸をペメトレキセド二酸、水および水と相溶する溶媒を含む混合溶液から結晶させることを特徴するペメトレキセド二酸のH結晶型の製造方法。
【請求項4】
ペメトレキセド二酸をペメトレキセド二酸、水および水と相溶する溶媒を含む混合溶液から結晶させることが、具体的に、水及び水と相溶する溶媒からなる混合溶液にペメトレキセド塩を溶解させ、pHを1〜2.5に調整して、ペメトレキセド二酸の結晶を析出させることであり;または水及び水と相溶する溶媒からなる混合溶液にペメトレキセド二酸をそのまま溶解させ、更に結晶を析出させることであることを特徴する請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
対応するアルカリと作用させることによってペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得るための請求項1に記載のペメトレキセド二酸の結晶型の使用。
【請求項6】
対応するアルカリと作用させることによってペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得るためのペメトレキセド二酸の結晶型の使用は、
ペメトレキセド二酸を水含有溶媒に添加して対応するアルカリにてペメトレキセド二酸を溶解させ、溶解した後、適宜な水と相溶する有機溶媒を添加してペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を析出させ、或いはそのまま凍結乾燥して凍結乾燥した状態でのペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得るものを含み、上記の水含有溶媒は、
水や、水及び水と相溶する有機溶媒からなる混合溶媒を含有することを特徴する請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記の対応するアルカリは水酸化ナトリウムであり、前記のペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩はペメトレキセド二ナトリウムであることを特徴する請求項5または請求項6に記載の使用。
【請求項8】
I結晶型は図2で示される粉末X線回折パターンの特徴を有するペメトレキセド二酸のI結晶型。
【請求項9】
含水量が5wt%〜80wt%の範囲であることを特徴する請求項8に記載のペメトレキセド二酸のI結晶型。
【請求項10】
濃度が0.07mol/L未満であるペメトレキセド塩を含有する水溶液のpHを酸にて2〜3に調整して、ペメトレキセド二酸の結晶を析出させることを含むペメトレキセド二酸のI結晶型の製造方法。
【請求項11】
前記の水溶液はさらに1種類の水と相溶する溶媒を含有することを特徴する請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
対応するアルカリと作用させることによってペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得るための請求項8に記載のペメトレキセド二酸の結晶型の使用。
【請求項13】
対応するアルカリと作用させることによってペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得るためのペメトレキセド二酸の結晶型の使用は、
ペメトレキセド二酸を水含有溶媒に添加して対応するアルカリにてペメトレキセド二酸を溶解させ、溶解した後、水と相溶する適切な有機溶媒を添加してペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を析出させ、或いはそのまま凍結乾燥して凍結乾燥した状態でのペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得るものを含み、上記の水含有溶媒は
水や、水及び水と相溶する有機溶媒からなる混合溶媒を含有することを特徴する請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記の対応するアルカリは水酸化ナトリウムであり、前記のペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩はペメトレキセド二ナトリウムであることを特徴する請求項12または請求項13に記載の使用。
【請求項15】
J結晶型の粉末X線回折パターンにおいて、2θ値が約12.2°、20.3°、21.3°、28.9°、32.8°である位置に対応する回折ピークがあるペメトレキセド二酸のJ結晶型。
【請求項16】
含水量が5wt%〜80wt%の範囲であることを特徴する請求項15に記載のペメトレキセド二酸の結晶型。
【請求項17】
濃度が0.07mol/Lを超えるペメトレキセド塩を含有する水溶液のpHを酸にて2〜4に調整して、ペメトレキセド二酸の結晶を析出させることを含むペメトレキセド二酸のJ結晶型の製造方法。
【請求項18】
前記の水溶液はさらに1種類の水と相溶する溶媒を含有することを特徴する請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
対応するアルカリと作用させることによってペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得るための請求項15に記載のペメトレキセド二酸の結晶型の使用。
【請求項20】
対応するアルカリと作用させることによってペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得るためのペメトレキセド二酸の結晶型の使用は、
ペメトレキセド二酸を水含有溶媒に添加して対応するアルカリにてペメトレキセド二酸を溶解させ、溶解した後、適宜な水と相溶する有機溶媒を添加してペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を析出させ、或いはそのまま凍結乾燥して凍結乾燥した状態でのペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩を得るものを含み、上記の水含有溶媒は
水や、水及び水と相溶する溶媒からなる混合溶媒を含有することを特徴する請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記の対応するアルカリは水酸化ナトリウムであり、前記のペメトレキセド二酸の薬学的に許容される塩はペメトレキセド二ナトリウムであることを特徴する請求項19または請求項20に記載の使用。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−502933(P2012−502933A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527193(P2011−527193)
【出願日】平成21年9月21日(2009.9.21)
【国際出願番号】PCT/CN2009/074059
【国際公開番号】WO2010/031357
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(508269363)重▲慶▼医葯工▲業▼研究院有限責任公司 (3)
【Fターム(参考)】