説明

ペルゴリド錠剤の製造方法

【課題】 本発明は、コストがかかる上に内部が視認できないコールドフォーム包装を用いなくても、十分な安定性を示すペルゴリド製剤を製造するための方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係るペルゴリド錠剤の製造方法は、ペルゴリドまたはその医薬的に許容される塩、および糖アルコールを含む主薬粒を調製する工程、ペルゴリドおよびその医薬的に許容される塩を含まず、且つ糖アルコールを含む賦形粒を調製する工程、および当該主薬粒と賦形粒を用い、顆粒圧縮法により圧縮成型する工程、を含むことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキンソン病治療剤として知られるペルゴリドの錠剤を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペルゴリドはジヒドロエリモクラビンを出発原料とする天然麦角アルカロイド誘導体であり、中枢神経黒質線条体のドーパミンD2受容体のみならず、D1受容体に対しても親和性を有するドーパミン受容体作動薬として、パーキンソン病治療に用いられている。
【0003】
しかしこの薬剤には、温度や湿度だけでなく、特に光に対する安定性が悪いという欠点がある。そこで、従来、ペルゴリド製剤の安定性を向上させるための検討が行なわれてきた。
【0004】
ペルゴリド製剤の安定性を向上させるための技術としては、製剤中に安定化剤を添加する方法が知られている。例えば特許文献1には、ペルゴリド製剤の酸化安定性を向上させるための安定化剤として、メチオニン,システインおよびシステイン塩酸塩が挙げられている。また、特許文献2には、光安定性を向上させる安定化剤として、ポリビニルピロリドン,コハク酸α−トコフェロールおよび没食子酸プロピルが開示されている。更にこれら先行技術には、先ずメシル酸ペルゴリドの溶液に乳糖など他の製剤原料を加え、この混合物を乾燥させることにより顆粒とし、次いでこの顆粒を他の添加成分と共に圧縮成型して錠剤を製造する方法(顆粒圧縮法)が記載されている。
【0005】
しかし、これら従来技術でも、ペルゴリド製剤の安定性は必ずしも満足できるものではない。このことは、現在市販されているメシル酸ペルゴリド錠剤が、アルミ箔により包装(いわゆる、コールドフォーム包装)されていることからも明らかである。
【0006】
この様に、市販ペルゴリド製剤の安定性は、コールドフォーム包装を施されることにより補われている。ところが、コールドフォーム包装は遮光性や防湿性の面で優れるものの、他の包装形態よりもコストがかかる上に、内部を視認できないという欠点がある。
【0007】
ところで、ペルゴリドに関するもの以外にも、製剤の安定性を向上させるための技術は種々知られている。例えば特許文献3には、同じくパーキンソン病の治療にも用いられるメシル酸ブロモクリプチンの光安定性を向上させるために、黄色三二酸化鉄を配合した製剤が開示されている。特許文献4には、糖アルコールと乳糖が、パーキンソン病治療にも用いられる化合物の安定性に寄与するとの記載がある。また、特許文献5には、湿式顆粒圧縮法によって、低血圧症治療に用いられる塩酸ミドドリンとマンニトールを含む製剤を製造する方法が記載されている。
【0008】
しかし、これら特許文献3〜5には、ペルゴリド製剤の安定性、特に光安定性を向上させるための技術については、記載も示唆もされていない。
【特許文献1】米国特許第5,114,948号明細書(第4カラム第3〜55行,クレーム1)
【特許文献2】特開平1−146821号公報(請求項1,実施例1)
【特許文献3】特開平4−346929号公報(請求項1)
【特許文献4】特開平11−322604号公報(請求項1,段落[0003])
【特許文献5】特開平5−255080号公報(請求項1,段落[0001])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した様に、これまでにもペルゴリド製剤の安定性を向上させるための検討は行なわれていた。また、他の薬剤において、その製剤安定性を高める技術は知られている。しかし、従来のペルゴリド製剤の安定性はまだ十分ではなかった。
【0010】
そこで、本発明が解決すべき課題は、コストがかかる上に内部が視認できないコールドフォーム包装を用いなくても、十分な安定性を示すペルゴリド錠剤を製造するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を進めた。その結果、ペルゴリド製剤において特に光安定性が低い理由は、製剤の表面付近に存在するペルゴリドが分解することにあることを見出した。そこで、製剤表面におけるペルゴリドの量を低減するべく、先にペルゴリドを含む顆粒(主薬粒)を造粒し、この顆粒を賦形粒と共に圧縮成型する顆粒圧縮法を採用した。その上で、糖アルコールを配合することによって、温度や湿度のみならず光に対してもペルゴリドの安定性を顕著に向上させることに成功して、本発明を完成した。
【0012】
即ち、本発明に係るペルゴリド錠剤の製造方法は、ペルゴリドまたはその医薬的に許容される塩、および糖アルコールを含む主薬粒を調製する工程;ペルゴリドおよびその医薬的に許容される塩を含まず、且つ糖アルコールを含む賦形粒を調製する工程;および当該主薬粒と賦形粒を用い、顆粒圧縮法により圧縮成型する工程、を含むことを特徴とする。
【0013】
上記錠剤に占める上記糖アルコールの配合割合は、上記ペルゴリドまたはその医薬的に許容される塩に対して500〜7000質量倍とすることが好適である。当該範囲であれば、十分な安定性が得られると共に、錠剤が必要以上に大きくなることを抑制することができる。
【0014】
上記製造方法においては、上記賦形粒にも糖アルコールを配合することが好ましい。温度や湿度および光に対する安定性を、より一層高めることができるからである。
【0015】
上記糖アルコールとしては、マンニトール,ソルビトール,キシリトール,マルチトール,エリスリトールからなる群より選択される1または2種以上を用いることが好ましい。後述する実施例により、これらの優れた効果が実証されているからである。
【0016】
上記製造方法においては、更に着色剤を配合することが好ましい。ペルゴリドの光安定性をより一層高めることができるからである。
【0017】
また、上記製造方法により製造された錠剤は、波長が600nm以下の光を実質的に透過しない材料で上記錠剤を包装することが好ましい。本発明者が見出した知見によれば、ペルゴリドの光分解の原因となるのは、波長が600nm以下の光である。従って、波長600nm以下の光をカットできる材料で錠剤を包装することによって、本発明に係る錠剤の光安定性を更に向上させ得ると考えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るペルゴリド製剤の製造方法によれば、コスト高であり内部を視認できないコールドフォーム包装を用いなくても、温湿度のみならず特に光により分解する傾向があるペルゴリドの安定性が顕著に高められた錠剤を得ることができる。従って、本発明方法は、主にパーキンソン病治療に用いられているペルゴリドの安定な錠剤を得られるものとして、非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係るペルゴリド錠剤の製造方法は、ペルゴリドまたはその医薬的に許容される塩(以下、「ペルゴリド等」という場合がある)、および糖アルコールを含む主薬粒を調製する工程;ペルゴリド等を含まず、且つ糖アルコールを含む賦形粒を調製する工程;および当該主薬粒と賦形粒を用い、顆粒圧縮法により圧縮成型する工程、を含むことを特徴とする。以下では、先ず主薬粒の調製工程につき説明する。
【0020】
本発明に係る製剤の薬効成分であり、主薬粒に配合すべきペルゴリドは、化学名を(−)−8β−[(メチルチオ)メチル]−6−プロピルエルゴリンといい、すでにパーキンソン病治療薬として用いられている。本発明方法では、フリー体で用いても塩として用いても、或いはこれらの混合物を用いてもよい。当該塩の種類は、医薬的に許容されるものであれば特に制限されないが、例えば、メシル酸塩,硫酸塩,硝酸塩,リン酸塩,酢酸塩,プロピオン酸塩,カプリル酸塩,シュウ酸塩,マロン酸塩,フェニル酢酸塩,クエン酸塩,乳酸塩,リンゴ酸塩,酒石酸塩,マレイン酸塩,トルエンスルホン酸塩を挙げることができる。これらのうちメシル酸塩が最も一般的である。
【0021】
1錠当たりのペルゴリド等の配合量は、投与量に合わせればよい。例えば、1日2回50μgずつのペルゴリド等の投与から開始し、最終的に1日当たり750〜1250μgを投与する場合には、1錠当たり50〜250μgとすることができる。
【0022】
本発明で配合される糖アルコールは、賦形剤として一般的に用いられるものを使用することができる。斯かる糖アルコールとしては、マンニトール,ソルビトール,キシリトール,マルチトール,エリスリトールを例示することができ、これらから1または2種以上を選択して用いることができる。また、主薬粒には、糖アルコール等の他、乳糖や白糖などの糖類,セルロース誘導体,デンプンなど、医薬上許容できる賦形剤を配合してもよい。
【0023】
本発明方法では、上記必須成分の他、着色剤を添加してもよい。着色剤は、特定の波長の光に対する遮光効果を示すため、ペルゴリド錠剤の光安定性を向上させることができる。斯かる着色剤としては、例えば、黄色三二酸化鉄(Fe23・H2O),酸化鉄(Fe23),青色1号(ブリリアントブルーFCF),青色2号(インジゴカルミン),およびこれらのアルミニウムレーキを挙げることができ、黄色三二酸化鉄を好適に使用する。また、着色剤の添加量は、光安定性の向上効果を発揮することができ且つ不利益が問題とならない程度であれば特に制限されないが、例えば、錠剤質量の1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下とすることができる。
【0024】
顆粒の製造方法は特に限定されず、例えば、液状結合剤を用いる湿式のものであり、攪拌混合造粒法,転動流動層造粒法,押出造粒法,流動層造粒法などを用いることができる。液状結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース溶液など一般的なものを使用すればよい。また、溶媒としては、精製水,蒸留水,純水などや、無水エタノール、或いは水とエタノールとの混合溶媒などを使用することができる。
【0025】
具体的な顆粒の製造方法としては、例えば、ペルゴリド等と他の成分を加えた液状結合剤を調製し、他の成分を流動させているところへ当該液状結合剤を噴霧し、得られた粒子を乾燥する方法を挙げることができる。こうして得られる顆粒は粒度分布が広いため、篩下等することによって、粒子径をある程度揃えてもよい。
【0026】
本発明では、別途、賦形粒を調製する。この賦形粒は、ペルゴリド等を含まない他は、上述した主薬粒と同様の方法により製造することができる。但し、主薬粒と同一の製造方法を採用するという意味ではなく、具体的な製造条件は、上述した範囲内で適宜選択すればよい。
【0027】
本発明においては、主薬粒と賦形粒の両方に糖アルコールを添加する。錠剤に占める合計の糖アルコールの配合割合は、上記ペルゴリドまたはその医薬的に許容される塩に対して500〜7000質量倍とすることが好ましい。500質量倍未満では安定化効果が十分発揮できないおそれがある一方で、7000質量倍を超えると錠剤が必要以上に大きくなり、飲用し難くなる場合があるからである。糖アルコール等は、配合量が多いほどペルゴリドの安定化効果を発揮できることから、当該範囲において、1000質量倍以上がより好ましく、2000質量倍以上がさらに好ましく、3000質量倍以上がさらに好ましい。しかし、錠剤の大きさを考慮して、6000質量倍以下がより好適である。
【0028】
主薬粒と賦形粒のそれぞれにおける糖アルコールの配合割合は特に制限されないが、好適には賦形粒における量をより多くする。錠剤全体に対する主薬粒の体積割合を少なくすることによって、錠剤表面付近に存在するペルゴリド等の量を低減することができ、その結果、安定性をより一層高めることが可能になるからである。斯かる場合における配合割合は特に制限されないが、例えば、糖アルコールを主薬粒中に5〜40%(賦形粒に95〜60%)、より好ましくは主薬粒中に5〜30%(賦形粒に95〜70%)、さらには5〜20%(賦形粒に95〜80%)配合することによって、安定性を高めることができる。
【0029】
本発明に係るペルゴリド錠剤の製造方法では、前もって調製した顆粒(主薬粒と賦形粒)とその他の成分を混合し、圧縮成型する。錠剤表面に存在するペルゴリド等をできる限り低減することによって、温湿度や光の影響を抑制するためである。具体的な圧縮成形方法(打錠方法)は、一般的な方法を採用することができる。
【0030】
顆粒以外に添加する成分は、顆粒圧縮法により錠剤に一般的に添加されるものであれば特に制限されないが、例えばコーンスターチ等のでんぷん,カルメロースナトリウム,クロスカルメロースナトリウム,カルメロースカルシウム,ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;ステアリン酸,ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤等を挙げることができる。
【0031】
上記で説明した本発明方法で製造されたペルゴリド錠剤は、温湿度や光に対する安定性が顕著に向上している。しかし、保存時における安定性をより一層確固たるものにするために、本発明の錠剤は、波長が600nm以下の光を実質的に透過しない材料で包装することが好適である。
【0032】
例えば、赤色のポリ塩化ビニルフィルム(PVCフィルム)に錠剤を入れるためのポケットを成型し、錠剤を入れた後にアルミ箔でパッケージすることによりプリスターパック(PTP)とすることが考えられる。斯かる態様で本発明錠剤を保存すれば、ペルゴリドに対して特に悪影響を及ぼす波長600nm以下の光を遮光できることから、錠剤の光安定性を更に向上させることができる。また、コールドフォーム包装と異なり安価で且つ内部を視認できる形態で包装できる。
【0033】
なお、ここで「波長が600nm以下の光を実質的に透過しない」とは、当該波長の光を完全に遮断できるか、或いは本発明錠剤の安定性にほとんど影響を与えない程度まで当該波長の光をカットできることをいう。例えば、後述する試験例1または2の条件またはより過酷な条件下で、本発明錠剤の安定性を向上させることができることを意味する。
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0035】
製造例1 主薬粒と賦形粒を圧縮することによるペルゴリド錠剤の製造
表1に示す分量で、メシル酸ペルゴリドを無水エタノールに溶解した後、黄色三二酸化鉄を分散させた。ここへヒドロキシプロピルセルロースを溶解させ、結合液とした。当該結合液と糖アルコールまたは乳糖を造粒機(フロイント産業社製,FRC−1)に投入し、造粒した。これを60℃で乾燥し、32M篩で篩下して主薬粒とした。別途、黄色三二酸化鉄、ヒドロキシプロピルセルロースおよび無水エタノールを混合して結合液とし、さらに糖アルコールまたは乳糖を加え、同様に造粒して賦形粒とした。これら主薬粒と賦形粒の混合物へ、さらにクロスカルメロースナトリウムとステアリン酸マグネシウムを混合し、ロータリー打錠機(菊水製作所社製,VIRG19)により圧縮成型し、錠剤を製造した。
【0036】
【表1】

【0037】
比較製造例1 主薬粒を圧縮することによるペルゴリド錠剤の製造
表2に示す成分のうちクロスカルメロースナトリウムとステアリン酸マグネシウムを除くものを用いて、上記製造例1と同様に主薬粒とした。この主薬粒へクロスカルメロースナトリウムとステアリン酸マグネシウムを混合し、賦形粒を用いることなくロータリー打錠機(菊水製作所社製,VIRG19)により直接圧縮成型し、錠剤を製造した。
【0038】
【表2】

【0039】
試験例1 温度および湿度に対する安定性試験
上記で製造した錠剤を、温度:55℃,相対湿度:75%の条件で恒温恒湿器内に静置し、2週間後におけるメシル酸ペルゴリドの残存率を測定した。測定は、錠剤を希釈溶媒(0.01mol/L塩酸500mLに5.0mgのDL−メチオニンを溶解し、さらに500mLのメタノールを加えたもの)に溶解したものを、HPLC法により分析することによって行なった。HPLC法の条件は、以下に示す通りである。
カラム : オクタデシルシリル化シリカゲルカラム(Wakosil II 5C18 HG,内径:約4.6mm,長さ:約15cm)
移動層 : 2.0gの1−オクタンスルホン酸ナトリウムを、1から1000倍の酢酸水溶液に溶解した溶液 / メタノール:アセトニトリル(1:1)の45/55混液
流速 : ペルゴリドの保持時間が約6分になる様に調整
カラム温度 : 約40℃
検出 : 紫外吸光光度計(測定波長:280nm)。
【0040】
結果を表3に示す。
【0041】
【表3】

【0042】
上記結果の通り、顆粒として主薬粒のみを配合して賦形粒を使用しなかった製剤は、賦形剤としてエリスリトールを用いた場合(製剤E)、賦形剤として乳糖を用いた場合(製剤F)共に、温度と湿度に対する安定性は十分でなかった。一方、顆粒として主薬粒と賦形粒を配合した場合は、賦形剤として糖アルコールを用いたもの(製剤AとB)、賦形剤として乳糖を用いたもの(製剤C)共に、温度と湿度に対して良好な安定性を示した。また、顆粒として主薬粒のみを配合した場合であっても、賦形剤としてマンニトールを用いたもの(製剤D)の当該安定性は、良好であった。
【0043】
試験例2 光安定性試験
錠剤を1700ルクスの可視光下で2週間曝光し、その後のメシル酸ペルゴリド残存率を、上記試験例1と同様に測定した。また、波長600nm以下の短波長光を遮断できる赤色のPVCフィルムで各錠剤を覆った上で、同様の条件で曝光したもののメシル酸ペルゴリド残存率も測定した。結果を表4に示す。
【0044】
【表4】

【0045】
上記結果の通り、顆粒として主薬粒のみを配合して賦形粒を使用しなかった製剤(製剤D〜F)の光安定性は、賦形剤としての糖アルコールの有無にかかわらず、満足できるものではなかった。これは、錠剤表面におけるメシル酸ペルゴリドの量が比較的多いことによると考えられる。また、顆粒として主薬粒と賦形粒を配合した場合であっても、糖アルコールを配合しなければ(製剤C)、やはりその光安定性は十分でなかった。一方、顆粒として主薬粒と賦形粒を配合し、且つ賦形剤として糖アルコールを用いた製剤(製剤AとB)は、その光安定性は顕著に向上した。
【0046】
これら結果と上記試験例1の結果を合わせて考察すると、ベルゴリド錠剤において、温度と湿度および光に対する安定性を顕著に向上させるには、顆粒としてペルゴリド等を含む主薬粒と賦形粒の両方を使用し、且つ賦形剤として糖アルコールを添加すべきであることが明らかにされた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペルゴリド錠剤を製造する方法であって、
ペルゴリドまたはその医薬的に許容される塩、および糖アルコールを含む主薬粒を調製する工程、
ペルゴリドおよびその医薬的に許容される塩を含まず、且つ糖アルコールを含む賦形粒を調製する工程、および
当該主薬粒と賦形粒を用い、顆粒圧縮法により圧縮成型する工程、
を含むことを特徴とするペルゴリド錠剤の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のペルゴリド錠剤の製造方法において、上記錠剤に占める上記糖アルコールの配合割合を、上記ペルゴリドまたはその医薬的に許容される塩に対して500〜7000質量倍とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
上記糖アルコールとして、マンニトール,ソルビトール,キシリトール,マルチトール,エリスリトールからなる群より選択される1または2種以上を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項4】
更に着色剤を配合する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
波長が600nm以下の光を実質的に透過しない材料で上記錠剤を包装する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2006−265184(P2006−265184A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86744(P2005−86744)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(593077308)共和薬品工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】