説明

ペンダントのアミドキシム構造又はアミドラゾン構造を有するフルオロポリマー

ペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、又はこれらの組み合わせを有するフルオロポリマーを提供する。また、このようなフルオロポリマーの製造方法、並びに、このようなフルオロポリマーを含有する組成物および物品も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン(amidrazone)基、又はこれらの組み合わせを有するフルオロポリマーに関する。本発明は、また、このようなフルオロポリマーの製造方法、およびこのようなフルオロポリマーを含有する物品にも関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素含有ポリマー(即ち、「フルオロポリマー」)は、商業的に有用な部類の材料である。フルオロポリマーとしては、例えば、架橋フルオロエラストマー、非架橋フルオロエラストマーガム、および半結晶性フッ素樹脂が挙げられる。一般に、フルオロエラストマーは、高温および苛酷な化学環境に対して顕著な耐性を示す。そのため、それらは、高温および/又は刺激の強い化学物質に暴露されるシステムのシール、ガスケット、Oリング、および他の成型部品として使用するのに特に適している。このような部品は、とりわけ、化学処理、半導体、航空宇宙、および石油産業に広く使用されている。
【0003】
フルオロエラストマーは、触媒の存在下で硬化を促進する硬化部位成分を含むことが多い。有用な硬化部位成分の一部類としては、触媒の存在下でトリアジンを形成するニトリル基含有モノマーが挙げられる。これらの硬化触媒は、典型的には、有機スズ触媒、アンモニウム塩、又はアンモニア生成化合物である。しかし、このような触媒は、毒性である場合があり、そして/又は、硬化した材料中に望ましくない抽出可能な金属残留物などのイオンを相当量放出する場合がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要旨)
一態様では、本発明は、少なくとも1つのペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、又はこれらの組み合わせを有する第1の共重合した硬化部位単位を含むフルオロポリマーに関する。幾つかの実施形態では、上記フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、CF2=CF−Rf1、CF2=CF−O−Rf2、CF2=CF−CFX−O−Rf2、およびCH2=CR2(式中、Rf1はパーハロアルキルであり、Rf2はパーハロアルキル又はパーハロアルコキシアルキルであり、XはF又はRf2であり、各Rは水素、ハロゲン、又は脂肪族基からなる群から独立して選択され、ここで、脂肪族基は1つ以上のハロゲン置換基を有してもよい)から選択される少なくとも1つのモノマーから誘導される、共重合単位を含む。
【0005】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つのペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、又はこれらの組み合わせを有する第1の共重合した硬化部位単位と、第2の共重合した硬化部位単位とを含むフルオロポリマーに関する。幾つかの実施形態では、第2の共重合した硬化部位単位は、ニトリル基、イミデート基、ペンタフルオロフェノキシ基、臭素、ヨウ素、およびこれらの組み合わせから選択される反応基を有する。幾つかの実施形態では、第1の共重合した硬化部位単位の第2の共重合した硬化部位単位に対するモル比は、約0.25と約4との間である。
【0006】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つのペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、又はこれらの組み合わせを有する第1の共重合した硬化部位単位を含むフルオロポリマーを含む物品を提供する。幾つかの実施形態では、物品は、ホース、ホースライニング、シール、ガスケット、又はO−リングである。幾つかの実施形態では、フルオロポリマーは少なくとも部分的に硬化される。
【0007】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つのペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、又はこれらの組み合わせを有する第1の共重合した硬化部位単位を含むフルオロポリマーを提供する工程、フルオロポリマーを成形する工程、および、任意に、成形されたフルオロポリマーを硬化させる工程を含む、物品の製造方法を提供する。
【0008】
更に別の態様では、本発明は、少なくとも1つのペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、又はこれらの組み合わせを有する共重合した硬化部位単位を有するフルオロポリマーの製造方法を提供する。幾つかの実施形態では、本方法は、(i)反応基を有する1つ以上の共重合単位を有するフルオロポリマーを提供する工程、および(ii)少なくとも反応基をペンダントのアミドキシム基および/又はペンダントのアミドラゾン基に転換する工程を含む。幾つかの実施形態では、反応基はニトリル基である。幾つかの実施形態では、反応基の転換は、膨潤剤の存在下で実施される。幾つかの実施形態では、本方法は、(i)ペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、これらの塩、又はこれらの組み合わせを有する硬化部位モノマーを提供する工程、および(ii)上記硬化部位モノマーを、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、CF2=CF−Rf1、CF2=CF−O−Rf2、CF2=CF−CFX−O−Rf2、およびCH2=CR2(式中、Rf1はパーハロアルキルであり、Rf2はパーハロアルキル又はパーハロアルコキシアルキルであり、XはF又はRf2であり、各Rは水素、ハロゲン、又は脂肪族基からなる群から独立して選択され、ここで、脂肪族基は1つ以上のハロゲン置換基を有してもよい)から選択される少なくとも1つのモノマーと共重合させる工程を含む。
【0009】
本発明の上記の要旨は、本発明の各実施形態を説明することを意図していない。また、本発明の1つ以上の実施形態の詳細を下記の説明にも記載する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明から、および特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(詳細な説明)
本発明は、1つ以上のペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、又はこれらの組み合わせを有する共重合した硬化部位単位を含むフルオロポリマーを包含する。
【0011】
幾つかの実施形態では、本発明のフルオロポリマーは、1種類以上の主モノマー、および、幾つかの実施形態では、少なくとも2種類の主モノマーから誘導される共重合単位を含む。好適な主モノマーの例としては、パーフルオロオレフィン(例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP))、ハロ置換フルオロオレフィン(例えば、クロロトリフルオロエチレン(CTFE))、パーハロビニルエーテル(例えば、パーフルオロビニルエーテル)、パーハロアリルエーテル(例えば、パーフルオロアリルエーテル)、並びに、例えば、非フッ素化オレフィン(例えば、エチレン、およびプロピレン等)、および部分フッ素化水素含有モノマー(例えば、部分フッ素化オレフィン、フッ化ビニリデン(VDF)、およびフッ化ビニル)を含む水素含有モノマーが挙げられる。
【0012】
幾つかの実施形態では、フルオロポリマー組成物は、式、CF2=CF−Rf1、CF2=CF−O−Rf2、CF2=CF−CFX−O−Rf2、およびCH2=CR2(式中、Rf1はパーハロアルキルであり、Rf2はパーハロアルキル又はパーハロアルコキシアルキルであり、XはF又はRf2であり、各Rは水素、ハロゲン(例えば、Cl又はF)、又は脂肪族基からなる群から独立して選択され、ここで、脂肪族基は1つ以上のハロゲン置換基を有してもよい)によって表される1種類以上のエチレン性不飽和モノマー(ethylenically-unsaturated monomer)から誘導される共重合単位を含むことができる。幾つかの実施形態では、Rf1および/又はRf2は過フッ素化されている。幾つかの実施形態では、Rf1は炭素数1〜8のパーハロアルキルである。幾つかの実施形態では、Rf2は炭素数1〜8のパーハロアルキル又はパーハロアルコキシアルキルである。幾つかの実施形態では、上記フルオロポリマー組成物は、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)およびパーフルオロアルコキシビニルエーテル(PAOVE)を含む過フッ素化ビニルエーテルから誘導される共重合単位を含むことができる。
【0013】
好適な過フッ素化ビニルエーテルとしては、式1のものが挙げられる。
CF2=CFO(R’fO)a(R”fO)b−R’’’f (1)
式中、R’fおよびR”fは、炭素数1〜6の同じ又は異なる直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキレン基であり、aおよびbは独立して0又は1〜10の整数である。幾つかの実施形態では、R’’’fは、炭素数1〜8、幾つかの実施形態では炭素数1〜4、又は、更には炭素数1のパーフルオロアルキルである。幾つかの実施形態では、R’’’fは炭素数1〜15、幾つかの実施形態では炭素数1〜8、更には炭素数1〜3のパーフルオロアルコキシアルキルである。
【0014】
幾つかの実施形態では、上記組成物は、式2の過フッ素化ビニルエーテルから誘導される繰り返し単位を含む。
CF2=CFO(CF2CFXO)nf (2)
式中、XはF又はCF3であり、nは0〜5であり、Rfは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基である。幾つかの実施形態では、パーフルオロアルキルビニルエーテルは、nが0又は1であり、Rfが炭素数1〜3のものである。
【0015】
他の有用な過フッ素化モノマーとしては、式3の化合物が挙げられる。
CF2=CFO[(CF2m(CFX)cO]df (3)
式中、Rfは炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基であり、mは1〜5であり、cは0〜5であり、dは0〜5であり、XはF又はCF3である。幾つかの実施形態では、RfはC37又はCF3であり、mは1〜2であり、cは0〜1であり、dは1であり、X=CF3である。
【0016】
追加の有用な過フッ素化モノマーとしては、式4のものが挙げられる。
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)g(CF2kO(CF2px2x+1 (4)
式中、gは0又は1〜10の整数であり、kは1〜6の整数であり、pは0〜3であり、xは1〜5である。幾つかの実施形態では、gは0又は1であり、kは1〜5であり、pは0又は1であり、xは1である。
【0017】
本発明に有用な追加のパーフルオロアルコキシビニルエーテルとしては、式5のものが挙げられる。
CF2=CFO(CF2t[CF(CF3)]uO(CF2O)wx2x+1 (5)
式中、tは1〜3であり、uは0〜1であり、wは0〜3であり、xは1〜5、好ましくは1である。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態に好適なパーフルオロアルキルビニルエーテルの例としては、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、およびパーフルオロプロピルビニルエーテルが挙げられる。本発明の幾つかの実施形態に好適なパーフルオロアルコキシビニルエーテルの例としては、CF2=CFOCF2OCF2CF2CF3、CF2=CFOCF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2OCF3、CF2=CFO(CF23OCF3、およびCF2=CFOCF2CF2OCF3が挙げられる。また、これらの組み合わせ、並びに、他のパーフルオロアルキルビニルエーテルおよびパーフルオロアルコキシビニルエーテルを使用してもよい。
【0019】
有用なフルオロポリマーの一例は、テトラフルオロエチレンの主モノマー単位と少なくとも1種類のパーフルオロアルキルビニルエーテルとで構成されている。幾つかの実施形態では、共重合パーフルオロアルキルビニルエーテル単位は、ポリマー中に存在する総モノマー単位の少なくとも約10モル%、幾つかの実施形態では少なくとも約15モル%、幾つかの実施形態では少なくとも約30モル%を構成する。幾つかの実施形態では、共重合パーフルオロアルキルビニルエーテル単位は、ポリマー中に存在する総モノマー単位の約45モル%以下、幾つかの実施形態では約40モル%以下、幾つかの実施形態では約35モル%以下を構成する。
【0020】
幾つかの実施形態では、本発明のフルオロエラストマーは、TFE、CTFE、又はHFPから誘導される共重合単位を少なくとも50モル%含有する。幾つかの実施形態では、共重合単位の残部はビニルエーテルと硬化部位モノマーとから誘導される。
【0021】
幾つかの実施形態では、本発明のフルオロポリマーは、ハロゲン置換基(例えば、F又はCl)を有してもよい1種類以上の水素含有モノマーから誘導される共重合単位を含有することができる。幾つかの実施形態では、本発明の部分フッ素化ポリマーは、VDFの単位を5〜95モル%、プロピレンおよび/又はエチレンを1〜50モル%、TFE、CTFEおよび/又はHFPの単位を95〜4モル%、ビニルエーテルの単位を最大35モル%まで、そして/又は、硬化部位モノマーの単位を最大5モル%まで含有することができる。
【0022】
本発明のポリマーは、1つ以上のペンダントのアミドキシム構造(即ち、−C(NR2)=NORおよび/又はその互変異性体−C(NR−OR)=NR)、および/又はペンダントのアミドラゾン構造(即ち、−C(NR2)=NR2および/又はその互変異性体−C(NR−NR2)=NR)を有する共重合単位を含み、式中、各Rは、水素、および、直鎖又は分岐鎖の、置換又は非置換の、過フッ素化、部分フッ素化又は非フッ素化のアルキル基、あるいは直鎖又は分岐鎖の、置換又は非置換の、過フッ素化、部分フッ素化又は非フッ素化のアリール基(任意に1つ以上のヘテロ原子を含有する)からなる群から独立して選択される。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのR基は水素である。幾つかの実施形態では、R基は全部水素である。
【0023】
幾つかの実施形態では、アミドキシム基および/又はアミドラゾン基をポリマー骨格に直接結合させることができる。幾つかの実施形態では、ポリマー骨格とアミドキシム基および/又はアミドラゾン基との間に介在する置換又は非置換の、直鎖又は分岐鎖の脂肪鎖を介して、アミドキシム基および/又はアミドラゾン基の1つ以上を上記骨格に間接的に結合させることもできる。幾つかの実施形態では、アミドキシム基又はアミドラゾン基は、脂肪族基の末端の位置にあるが、アミドキシム基又はアミドラゾン基は、脂肪鎖に沿った任意の位置に存在してもよい。
【0024】
幾つかの実施形態では、アミドキシム基および/又はアミドラゾン基は、アルキル基(例えば、B−(CZ2n−A)を介してポリマー骨格に結合する。B−(CZ2n−Aの式中、Aはアミドキシム又はアミドラゾンであり、Bはポリマー骨格を表し、各Zは、水素、ハロゲン(例えば、F又はCl)、又は、脂肪族基(幾つかの実施形態では、炭素数1〜8の脂肪族基)から独立して選択され、ここで、脂肪族基はハロゲン置換基を有してもよく、n=1〜50、幾つかの実施形態では1〜20、更には1〜10である。幾つかの実施形態では、介在するアルキル鎖は過フッ素化されており、その場合、各ZはFである。
【0025】
幾つかの実施形態では、アミドキシム基および/又はアミドラゾン基をアルコキシ側鎖(例えば、B−(CZ2n−(O−R2m−(O−R3p−(CZ2q−CZX−A)で結合させることもできる。B−(CZ2n−(O−R2m−(O−R3p−(CZ2q−CZX−Aの式中、R2およびR3は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、そして水素を含有しても、部分的にハロゲン化されていても、部分的にフッ素化されていても、過ハロゲン化されていても、過フッ素化されていてもよいC1〜C10(幾つかの実施形態では、C1〜C5)のアルキレンから独立して選択され、nおよびmは、それぞれ独立して1〜50、幾つかの実施形態では1〜20、又は、更には1〜10であり、pは0〜10であり、qは0〜10であり、各Zは独立して水素、ハロゲン(例えば、F、Cl又はBr)であり、XはF又はCF3である。幾つかの実施形態では、アルコキシ側鎖は過フッ素化アルコキシであり、この場合、各ZはFであり、例えば、B−(OCF2)−(CF24−Aになる。
【0026】
幾つかの実施形態では、アミドキシム構造又はアミドラゾン構造は、アルキル側鎖又はアルコキシ側鎖の末端位置にある。幾つかの実施形態では、アミドキシム構造又はアミドラゾン構造は、側鎖に沿った他の任意の位置にある。幾つかの実施形態では、アミドキシム構造又はアミドラゾン構造は、側鎖の分岐鎖のペンダントになっている。
【0027】
フルオロポリマー組成物全体のアミドキシムおよび/又はアミドラゾン単位のレベルは、硬化後、選択された材料中に所望の物理的特性を付与するのに十分な量である。幾つかの実施形態では、アミドキシムおよび/又はアミドラゾン単位のレベルは、少なくとも約0.01モル%、幾つかの実施形態では少なくとも約0.1モル%、幾つかの実施形態では少なくとも約0.2モル%、幾つかの実施形態では少なくとも約0.5モル%、又は更には少なくとも約0.7モル%である。幾つかの実施形態では、アミドキシムおよび/又はアミドラゾン単位のレベルは、約5モル%以下、幾つかの実施形態では約3モル%以下、幾つかの実施形態では約1モル%以下である。
【0028】
アミドキシムおよび/又はアミドラゾン単位を様々な手段でポリマー中に導入してもよい。幾つかの実施形態では、アミドキシムおよび/又はアミドラゾン単位は、ペンダントのアミドキシム構造および/又はアミドラゾン構造を有するモノマーの共重合によりポリマー中に導入される。幾つかの実施形態では、ポリマー骨格のペンダントの官能基が、例えば、付加反応又は置換反応によってアミドキシムおよび/又はアミドラゾン単位に転換される。
【0029】
ペンダントのアミドキシム構造および/又はアミドラゾン構造を有するモノマー(例えば、アミドキシム基又はアミドラゾン基を有するパーフルオロビニルエーテル)を様々な方法で調製することができる。例えば、アミドラゾン基を有するモノマーの例示的調製方法は、「アミジンおよびイミデートの化学(The chemistry of amidines and imidates)」(S.パタイ版、ジョンウィリー・アンド・サンズ社、1巻、494〜513頁(1975年)(S.Patai, Ed., John Wiley & Sons, Ltd., Vol.1, pages 494-513(1975)))に記載されている。
【0030】
所望のモノマーを調製する1つの方法は、反応基を有するモノマーを提供する工程、および、反応基をアミドキシム、アミドラゾン、又はこれらの塩に転換する工程を含む。例えば、幾つかの実施形態では、上記反応基は、ニトリル含有ビニルエーテル(例えば、CF2=CF2−O−(CF)n−CN;n=1〜10)のニトリル官能基とすることができる。幾つかの実施形態では、ビニルエーテルとアルコール(例えば、メタノール)の混合物(例えば、1:1の混合物)をヒドロキシルアミン又はその塩の存在下で、例えば、ヒドロキシルアミン又はその塩の水溶液中で反応させることによって、ニトリル基をアミドキシム構造に転換することができる。同様に、幾つかの実施形態では、ニトリル含有ビニルエーテルとアルコール(例えば、メタノール)の混合物(例えば、1:1の混合物)をヒドラジン又はその塩の存在下で、例えば、ヒドラジン又はその塩の水溶液中で反応させることによって、ニトリル基をアミドラゾン構造に転換してもよい。或いは、幾つかの実施形態では、慣用的なグラフト化技術を使用して、アミドキシム又はアミドラゾンを含有する分子フラグメントをモノマー上にグラフト化させることができる。
【0031】
幾つかの実施形態では、アミドキシムおよび/又はアミドラゾンを含有するモノマーを、遊離アミドキシムおよび/又はアミドラゾン(即ち、−C(=N−OH)−NH2)又は塩(例えば、−C(=N−OH)−NH2・HX、ここでHX=HCl、又は別の有機若しくは無機の遊離酸)として、例えば、水系重合又は溶媒重合により重合させることが望ましい場合がある。例えば、ハロパーフルオロ液(例えば、フレオン(FREON)R113又はFC75)などの非テロゲン性(non-telogenic)有機溶媒中で、溶媒重合を行ってもよい。例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過硫酸カリウム(KPS)、過硫酸アンモニウム(APS)、および次式のビスパーフルオロアシルパーオキサイドを含む、任意の可溶性ラジカル開始剤を使用することができ:
【化1】

式中、Rfは、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシアルキル基である。重合は、典型的には、25〜80℃の範囲の温度および2〜15バールの範囲の圧力で実施される。
【0032】
幾つかの実施形態では、ニトリル含有ポリマーをアミドキシムおよび/又はアミドラゾンに転換することによって、アミドキシム構造および/又はアミドラゾン構造を導入することができる。例えば、ニトリル含有硬化部位モノマーから誘導される繰り返し単位を含有するフルオロポリマーを、ヒドロキシルアミン又はヒドラジン(又はその塩)と反応させて、ニトリル基をそれぞれアミドキシム又はアミドラゾンに転換することよって、アミドキシムおよび/又はアミドラゾンを導入することができる。或いは、幾つかの実施形態では、慣用的なグラフト化技術を使用して、アミドキシム又はアミドラゾンを含有する分子フラグメントをポリマー上にグラフト化させることができる。
【0033】
ポリマー骨格上の既存のニトリル官能基を転換する技術を使用して、ポリマーを調製するのにより好都合な水性乳化重合を使用することができる。更に、後述のものなどの膨潤剤の存在下で、ニトリル基を転換する転換工程を実施することができる。
【0034】
幾つかの実施形態では、他の官能基(例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン化アシル基、アミド基、およびイミデート基)をアミドキシム基および/又はアミドラゾン基に転換してもよい。幾つかの実施形態では、官能基は直接アミドキシム基および/又はアミドラゾン基に転換される。幾つかの実施形態では、官能基はニトリル基に転換され、次いで、これがアミドキシム基および/又はアミドラゾン基に転換される。
【0035】
幾つかの実施形態では、転換可能な官能基を有するモノマーを共重合させてフルオロポリマー骨格を形成することができる。その後、前述のものを含む様々な技術のいずれかを使用して、官能基をアミドキシム基および/又はアミドラゾン基に転換することができる。
【0036】
当該技術分野で既知の方法でニトリル含有フルオロポリマーを調製してもよい。例えば、モノマーを水性エマルジョンとしてフリーラジカル重合させることにより、重合プロセスを実施することができる。幾つかの実施形態では、モノマーが迅速且つほぼ完全に転換されるため、重合の熱が容易に除去されるため、そしてポリマーが直ぐに単離されるため、水性エマルジョン中での重合が好ましい場合がある。乳化重合は、典型的には、過硫酸アンモニウム又は過マンガン酸カリウムなどの無機フリーラジカル開始剤系、および界面活性剤又は懸濁化剤の存在下での水性媒体中におけるモノマーの重合を含む。更に、I−(CF2n−CNのような選択された連鎖移動剤により、又は、CN−(CF2n−SO2Mなどのパーフルオロスルフィネートの存在下で実施されるフリーラジカル重合プロセスの使用によってニトリル基を導入することができる。前記の2式中、nは1〜10、幾つかの実施形態では1〜6の整数であり、Mは水素原子又は1価又は2価のカチオンを表す。
【0037】
アミドキシム基および/又はアミドラゾン基は、好ましくは、選択されたポリマー中のニトリル(−C≡N)基をアミドキシム基および/又はアミドラゾン基に転換することによって導入される。ニトリル含有フルオロポリマーの好ましい転換経路は、アルコール成分の存在下におけるニトリルと好適なヒドロキシルアミン又はヒドラジンとの周囲温度での反応を含む。
【0038】
パーフルオロエラストマーの場合、少なくとも1つの膨潤剤をポリマーに添加してもよい。界面間の相互作用を支持するこのような膨潤剤は、ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、ミネソタ州セントポール、3M社(3M Company, St.Paul, Minnesota)から市販されているノベックTM工学流体(NovecTM Engineered Fluid)HFE-7100又は7200)などの部分フッ素化化合物、又は、他の任意のフッ素含有液体、例えば、FC75(同様に3M社(3M Company)から入手可能なフルオリナートTM(FluorinertTM)フルオロカーボン溶媒)とすることができる。ポリマーのペンダントのニトリル基の転換を室温で又はそれより高温(例えば、100℃)で実施してもよい。一般に、沸点が少なくとも約40℃、幾つかの実施形態では少なくとも約50℃の、任意のフッ素含有不活性液体又は任意のフッ素含有アルカノールを使用することができる。非過フッ素化エラストマーの場合、膨潤剤を使用することもできる。例示的な膨潤剤としては、アルコール、不活性炭化水素溶媒、およびフッ素化化合物が挙げられる。
【0039】
ニトリル基を転換するため、ポリマー、膨潤剤、アルコール、およびヒドロキシルアミン又はヒドラジンの混合物を通常は還流させるが、反応は室温で進行する。幾つかの実施形態では、ヒドロキシルアミン又はヒドラジンを塩として添加してもよい。幾つかの実施形態では、ヒドロキシルアミン又はヒドラジンを水溶液として添加してもよい。一般に、膨潤剤およびアルコールを使用して、ヒドロキシルアミンおよび/又はヒドラジンを含む単相を作製する。これは固体のフルオロポリマーを膨潤させる。一般に、膨潤剤とアルコールの量は重要ではない。
【0040】
所望の転換比に基づいてヒドロキシルアミンおよび/又はヒドラジンの量を選択してもよい。幾つかの実施形態では、ニトリル基の少なくとも約50%がアミドキシムおよび/又はアミドラゾンの官能基に転換され、幾つかの実施形態ではニトリル基の少なくとも約60%、幾つかの実施形態ではニトリル基の少なくとも約80%が転換される。幾つかの実施形態では、ニトリル基の実質的に全部がアミドキシム基および/又はアミドラゾン基に転換される(例えば、ニトリル基の90%より多く、幾つかの実施形態では95%より多く、又は、更には99%より多くが転換される)。
【0041】
反応基(例えば、ニトリル基)のアミドキシム基および/又はアミドラゾン基への完全な転換は必要ではない。例えば、幾つかの実施形態では、転換されない反応基の、アミドキシム基および/又はアミドラゾン基に対する比は約0.1より大きく、幾つかの実施形態では約0.25より大きく、幾つかの実施形態では約0.5より大きく、又は、更には約0.9より大きい。幾つかの実施形態では、転換されない反応基の、アミドキシム基および/又はアミドラゾン基に対する比は約10未満、幾つかの実施形態では約5未満、幾つかの実施形態では約4未満、幾つかの実施形態では約2未満、又は、更には約1.1未満である。
【0042】
一般に、転換に続いて、例えば、洗浄および乾燥(例えば、真空下での乾燥)により、膨潤剤およびあらゆる溶媒(例えば、アルコール)を除去した後、ポリマーは固体として単離される。
【0043】
幾つかの実施形態では、ペンダントのアミドキシム基および/又はペンダントのアミドラゾン基を含むフルオロポリマーは、自己硬化性(self-curable)である(即ち、そのフルオロポリマーは、硬化剤および/又は架橋剤の添加なしでも硬化され得る)。幾つかの実施形態では、硬化性材料を高温に加熱するとフルオロポリマー組成物が硬化する。
【0044】
フルオロポリマーは、本発明のアミドキシム基および/又はアミドラゾン基以外の反応基を有する共重合した硬化部位単位を有することもできる。例えば、幾つかの実施形態では、上記フルオロポリマーは、ニトリル基又はイミデート基を有することができる。幾つかの実施形態では、CF2=CFO(CF2LCN、CF2=CFO(CF2uOCF(CF3)CN、CF2=CF[OCF2CF(CF3)]rO(CF2tCN、および、CF2=CFO[CF2CF(CF3)O]q(CF2O)yCF(CF3)CN(式中、L=2〜12、u=2〜6、r=1〜2、t=1〜4、q=0〜4、およびy=0〜6)などの周知のニトリル含有ビニルエーテルの共重合によって、ニトリル基を導入してもよい。このようなモノマーの代表例としては、CF2=CFO(CF23OCF(CF3)CN、パーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)、およびCF2=CFO(CF25CNが挙げられる。
【0045】
幾つかの実施形態では、硬化部位モノマーは、例えば、米国特許第3,467,638号明細書および同第3,682,872号明細書に記載されるように、ペンタフルオロフェノキシ基を含んでもよい。
【0046】
幾つかの実施形態では、フルオロポリマーは、反応基として過酸化物硬化反応に関与できる、ハロゲンのモノマーから誘導される共重合単位を含有することができる。このようなハロゲンは、フルオロポリマー鎖に沿って、そして/又は末端位置に存在してもよい。幾つかの実施形態では、このハロゲンは臭素又はヨウ素である。フルオロポリマー鎖に沿った位置にハロゲンを導入するための共重合が好ましい。この経路では、前述のフルオロポリマー成分の選択肢を、好適なフッ素化硬化部位モノマーと組み合わせる。このようなモノマーを、例えば、一般式Z−Rf−Ox−CF=CF2(式中、ZはBr又はIであり、Rfは、過フッ素化されていてもよく、1つ以上のエーテル酸素原子を含有してもよい置換又は非置換のC1〜C12フルオロアルキレンであり、xは0又は1である)から選択することができる。例示的な硬化部位モノマーとしては、ブロモジフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレン、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン、および、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1、BrCF2OCF=CF2、BrCF2CF2OCF=CF2、BrCF2CF2CF2OCF=CF2、およびCF3CF(Br)CF2OCF=CF2等を含む、ブロモフルオロオレフィン又はヨードフルオロオレフィンが挙げられる。更に、非フッ素化のブロモオレフィン又はヨードオレフィン(例えば、臭化ビニルおよび4−ブロモ−1−ブテン)を使用することができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、これらの追加の共重合した硬化部位単位の量は、少なくとも約0.01モル%、幾つかの実施形態では少なくとも約0.1モル%である。幾つかの実施形態では、これらの追加の硬化部位モノマーの量は、約5モル%以下、幾つかの実施形態では約3モル%以下である。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、又はこれらの組み合わせを有する共重合した硬化部位単位(即ち、「第1の」共重合した硬化部位単位)の、本発明のアミドキシム基および/又はアミドラゾン基以外の反応性基を有する共重合した硬化部位単位(即ち、「第2の」共重合した硬化部位単位)に対するモル比は、約0.1より大きく、幾つかの実施形態では約0.25より大きく、幾つかの実施形態では約0.5より大きく、又は、更には約0.9より大きい。幾つかの実施形態では、第1の共重合した硬化部位単位の、第2の共重合した硬化部位単位に対する比は、約10未満、幾つかの実施形態では約5未満、幾つかの実施形態では約4未満、幾つかの実施形態では約3未満、又は更には約1.1未満である。
【0048】
幾つかの実施形態では、第2の共重合した硬化部位単位は、未反応の基、即ち、アミドキシム基および/又はアミドラゾン基に転換されなかった反応基を含んでもよい。
【0049】
幾つかの実施形態では、1種類以上の過酸化物硬化剤を使用してフルオロポリマーを硬化させることができる。好適な過酸化物硬化剤としては、一般に、硬化温度でフリーラジカルを生成するものが挙げられる。幾つかの実施形態では、それぞれ50℃より高温で分解するジアルキルパーオキサイドおよびビス(ジアルキルパーオキサイド)がとりわけ好ましい。幾つかの実施形態では、パーオキシ酸素原子に結合している三級炭素原子を有するジ−tert−ブチルパーオキサイドを使用することが好ましい。この種の最も有用な過酸化物の中に、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3−イン、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサンがある。ジクミルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、過安息香酸tert−ブチル、a,a’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピルベンゼン)、およびジ[1,3−ジメチル−3−(t−ブチルパーオキシ)−ブチル]カーボネートのような化合物から他の過酸化物を選択することができる。幾つかの実施形態では、フルオロポリマー100部当たり過酸化物約1〜3部(phr)が使用される。
【0050】
幾つかの実施形態では、米国特許第6,657,012号明細書、および同第6,657,013号明細書に記載されているように、2価の金属アミン錯体触媒を単独で又は様々な組み合わせで使用して、フルオロポリマー組成物を硬化させることができる。このような2価のアミン錯体化合物は、次の一般式で表される:
【化2】

式中、Mは2価の金属であり、Xはアニオン基であり、nは2〜8、幾つかの実施形態では、3〜6、更には3又は5である。好適な2価の金属の例としては、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、コバルト、鉛、鉄、スズ、カドミウム、およびカルシウムが挙げられ、マグネシウムおよび亜鉛が好ましい。好適なアニオン基の例としては、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、又はヨウ化物イオン)、ヒドロキシレートイオン、アルコキシレートイオン、カルボン酸イオン、フェノキシドイオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、炭酸イオン、および硝酸イオン基が挙げられ、塩化物イオンなどのハロゲン化物イオンが好ましい。この式は、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)および1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5−エン(DBN)の錯体を含む。これらの錯体は、例えば、米国特許第4,833,212号明細書に記載の手順に従って、メタノール又はアセトンなどの有機溶媒中でDBU又はDBNを金属塩(例えば、金属ハロゲン化物)と反応させることによって調製することができる。幾つかの実施形態では、1種類以上のこのような錯体を使用することができる。
【0051】
他の好適な触媒としては、米国特許出願公開第20020177666号明細書および同第20020145228号明細書(共に認可済)に記載されているものが挙げられる。
【0052】
幾つかの実施形態では、硬化剤の量は、フルオロポリマー100部当たり少なくとも約0.01部(phr)、幾つかの実施形態では少なくとも約0.5phrである。幾つかの実施形態では、硬化剤の量は約10phr以下、幾つかの実施形態では5phr以下、幾つかの実施形態では3phr以下である。
【0053】
フルオロポリマー組成物は、硬化性フルオロポリマー配合物中に一般に使用される補助剤のいずれかを含むことができる。例えば、過酸化物硬化剤系の一部としてフルオロポリマー組成物とブレンドされることが多い材料の1つは、硬化剤と協働して有用な硬化を提供することができるポリ不飽和化合物で構成される助剤(coagent)(硬化助剤(co-curative)と称されることもある)である。これらの助剤は、一般に、フルオロポリマー100部当たり0.1部と10部(phr)の間の助剤の量、好ましくは1〜5phrの量で添加することができる。有用な助剤の例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリ(メチルアリル)イソシアヌレート、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、トリアリルホスファイト、N,N−ジアリルアクリルアミド、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’、N’−テトラアルキルテトラフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、およびトリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレートが挙げられる。特に有用なのはトリアリルイソシアヌレートである。他の有用な助剤としては、欧州特許出願公開第0 661 304 A1号明細書、同第0 784 064 A1号明細書、同第0 769 521 A1号明細書、および米国特許第5,585,449号明細書に開示されているビス−オレフィンが挙げられる。
【0054】
既知の硬化系の望ましくない特徴が許容可能であるとき、他の種類の硬化剤を一体化アミドキシムおよび/又はアミドラゾン(integral amidoxime and/or amidrazone)と共に使用することにより、フルオロポリマー組成物を硬化させることもできる。このような硬化剤の例は既知であり、ビス−アミノフェノール(例えば、米国特許第5,767,204号明細書および同第5,700,879号明細書に記載)、ビス−アミドキシム(例えば、米国特許第5,621,145号明細書に記載)、およびアンモニウム塩(例えば、米国特許第5,565,512号明細書に記載)が挙げられる。例えば、米国特許第4,281,092号明細書および同第5,554,680号明細書に記載されているように、ヒ素、アンチモン、およびスズの有機金属化合物も使用することができる。特定の例としては、アリル−スズハイドロオキサイド、プロパルギル−スズハイドロオキサイド、アレニル−スズハイドロオキサイド、テトラフェニル−スズハイドロオキサイド、およびトリフェニル−スズハイドロオキサイドが挙げられる。
【0055】
更に、様々な方法で、一体化アミドキシムおよび/又はアミドラゾン硬化系を変更することができる。例えば、アンモニア生成化合物を含めて、特定の組成物の硬化速度を変更してもよいが、このような変更によって本発明1つ以上の利点が失われることもある。このようなアンモニア生成化合物は、典型的には、周囲条件で固体又は液体であり、硬化条件下でアンモニアを生成する。これらの化合物としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(ウロトロピン)、およびジシアンジアミド、並びに、金属含有化合物およびトリアジン誘導体が挙げられる。このようなアンモニア生成化合物に関する更なる詳細は、米国特許第6,281,296号明細書に見出される。
【0056】
フルオロポリマー組成物に1種類以上のオニウム塩を添加することが、加工特性および最終的な最終特性を調整するのに有利な場合がある。好適なオニウム塩の例は、米国特許第4,882,390号明細書に記載されている。具体例としては、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリブチルアルキルホスホニウムクロライド、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、およびトリアリールスルホニウムクロライドが挙げられる。
【0057】
フルオロポリマー混合に典型的に利用される、安定剤、可塑剤、潤滑剤、充填剤、および加工助剤などの添加剤を組成物に組み込むことができるが、但し、それらが意図される使用条件で十分な安定性を有することを条件とする。特に、パーフルオロポリエーテルを組み込むことによって低温性能を向上させることができる。例えば、米国特許第5,268,405号明細書、同第6,255,536号明細書、および同第6,294,627号明細書を参照されたい。
【0058】
弾性(modulus)、引張強度、伸び、硬さ、耐磨耗性、伝導性、および組成物の加工性の均衡を取る手段として、典型的にはカーボンブラックフィラーもフルオロポリマー中に使用される。好適な例としては、N−991、N−990、N−908、およびN−907の名称のMTブラック(ミディアムサーマルブラック)、FEF N−550、および粒度の大きいファーネスブラックが挙げられる。粒度の大きいブラックを使用するとき、フルオロポリマー100部当たり1〜70部(phr)の充填剤で一般に十分である。
【0059】
フルオロポリマー充填剤は、硬化性組成物中に存在してもよい。一般に、1〜50phrのフルオロポリマー充填剤を使用する。フルオロポリマー充填剤を微粉砕し、本発明の組成物の製造および硬化に使用される最も高い温度で固体として容易に分散させることができる。固体は、部分的に結晶性である場合、充填剤材料が、硬化性組成物の加工温度より高い結晶溶融温度を有することを意味する。フルオロポリマー充填剤を組み込む好ましい方法は、ラテックスをブレンドすることである。様々な種類のフルオロポリマー充填剤を含むこの手順は、米国特許第6,720,360号明細書に記載されている。
【0060】
1種類以上の酸受容体を配合物に添加することもできる。しかし、抽出可能な金属化合物の存在が望ましくない場合(半導体用途など)、無機酸受容体の使用を最小限にすべきであり、好ましくは完全に回避すべきである。一般に使用される酸受容体としては、例えば、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらの化合物は、一般に、フルオロポリマー配合物中に使用され、フルオロポリマーが機能することが意図されている高温で生成し得るあらゆるHF又は他の酸と結合する。
【0061】
本発明の硬化性フルオロポリマー組成物を、過酸化物硬化性フルオロポリマー組成物などの他の硬化性フルオロポリマー組成物と組み合わせてもよい。これらの追加の硬化性フルオロポリマー組成物は、典型的には、コモノマーとして少量の硬化部位モノマーを使用する。好適な硬化部位モノマーは、硬化剤(例えば、過酸化物)、好ましくは助剤と組み合わせられると、硬化した組成物を提供するものである。好ましくは、これらの硬化部位モノマーは、少なくとも1つのハロ基(例えば、ブロモ基又はヨード基)を含む。
【0062】
フルオロポリマー、および、任意に、触媒、添加剤、追加の硬化剤、および他の補助剤(使用する場合)を慣用的なゴム加工装置中で混練することにより、硬化性フルオロポリマー組成物を調製することができる。所望の量の混合成分および他の慣用的な補助剤又は成分を硬化性フルオロカーボンガム原料に添加し、密閉式混練機(internal mixer)(例えば、バンバリー(Banbury)ミキサ)、ロールミル、又は他の任意の慣用的な混練デバイスなどの通常のゴム混練デバイスのいずれかを使用して、それと一緒に十分に混和又は混合することができる。幾つかの実施形態では、混練プロセス中の混練物の温度は、約120℃より高温に上昇してはならない。幾つかの実施形態では、効果的な硬化が得られるように、混練中、成分と補助剤をガム全体に均質に分布させることが好ましい。
【0063】
幾つかの実施形態では、その後、例えば、押出し又は成型により、混練物を(例えば、ホース若しくはホースライニング、シール、ガスケット、又はO−リングシールの形状に)加工および成形する。幾つかの実施形態では、その後、成形された物品を加熱して、ガム組成物を硬化させ、硬化した物品を形成することができる。
【0064】
幾つかの実施形態では、混練物をプレス加硫してもよい。混合された混練物のプレスは、通常、好適な圧力下で所望の時間内に混練物を硬化させるのに十分な温度で実施される。幾つかの実施形態では、温度は少なくとも約95℃、幾つかの実施形態では、少なくとも約150℃である。幾つかの実施形態では、温度は約230℃以下、幾つかの実施形態では約205℃以下である。幾つかの実施形態では、所望の時間は約1分と15時間との間、幾つかの実施形態では約5分と30分との間である。幾つかの実施形態では、金型内の混合された混練物に約700kPaと約20,600kPaとの間の圧力が加えられる。まず、金型に離型剤をコーティングし、予備焼付け(prebaked)してもよい。その後、通常、成型された加硫ゴムを(例えば、オーブン内で)後加硫(post-curing)を完了するのに十分な温度および時間、通常約150℃と約300℃との間で、典型的には約232℃で、約2時間〜50時間以上(一般に物品の断面厚さに伴って増加する)、後加硫する。厚い断面では、後加硫中の温度を、通常、範囲の下限から所望の最大温度まで徐々に上昇させる。使用される最大温度は、好ましくは約300℃であり、この値を約4時間以上保持する。
【0065】
フルオロポリマー組成物は、O−リング、ガスケット、チュービング、ホース、ホースライニング、およびシールなどの物品の製造に有用である。このような物品は、フルオロポリマー組成物と様々な添加剤の混合された配合物を圧力下で成型し、物品を硬化させ、その後、後加硫サイクルに供することによって製造される。無機酸受容体なしで配合される硬化性組成物は、半導体デバイスを製造するためのシールおよびガスケットなどの用途に、そして、高温の自動車用途のシールに特に好適である。
【0066】
ここで、以下の実施例により本発明を更に説明する。
【実施例】
【0067】
(試験方法)
以下の実施例において、表示される結果は以下の試験方法を使用して得た。
【0068】
モンサント移動ダイレオメータ(Monsanto Moving Die Rheometer)(MDR)モデル2000を使用し、ASTM D5289−93aに準拠し、177℃(温度、別途明記しない限り)で、予備加熱なし、30分の経過時間、および0.5°の円弧で、混合した未硬化のサンプルについて硬化レオロジー試験を行った。最小トルク(ML)、および、平坦域又は最大トルクが得られなかったときは、指定された時間内に得られた最高トルク(MH)の両方を測定した。また、トルクが、ML+0.5(MH−ML)の値に達する時間(t50)および、トルクがML+0.9(MH−ML)に達する時間(t90)も測定した。
【0069】
別途記載しない限り、実施例および本明細書の残りの部分の全ての部、パーセンテージ、比などは重量により、実施例で使用される全ての試薬は、ミズーリ州セントルイス、シグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company, Saint Louis, Missouri)、又は、ウィスコンシン州ミルウォーキー、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals, Milwaukee, Wisconsin)などの一般的な化学物質供給業者から得られたか、若しくは入手可能であり、又は、慣用的な方法で合成することができる。
【0070】
FT−IR分光法(ニコレット・マグナ560FT−IRスペクトロメータ(Nicolet Magna 560 FT−IR Spectrometer))を使用し、厚さ0.3〜0.4mmのフィルムを使用してニトリル基の転換率を決定した。次式でニトリル基のモル%を決定した。
ニトリルのモル%=2.62*(2263cm-1でのニトリルのピーク高さ/2359cm-1でのC−Fの倍音振動のピーク高さ)
【0071】
実施例全体を通して次の略称を使用する:
【0072】
略称 説明
TFE テトラフルオロエチレン
PMVE パーフルオロメチルビニルエーテル
MV5CN CF2=CFO(CF2)5CN
HFE−710 ミネソタ州セントポール、3M社(3M Company, St.Paul, M
0 N)から市販されているノベックTM工学流体(NovecTM Engine
ered Fluid)HFE−7100(膨潤剤)
THF テトラヒドロフラン
フルオロポリマ テトラフルオロエチレン(TFE)65.7モル%、パーフ
ーA ルオロメチルパーフルオロビニルエーテル(PMVE)33
.0モル%、およびCF2=CFO(CF2)5CN(MV5CN
)1.3モル%のパーフルオロエラストマーを水性乳化重合
で調製した。ムーニー粘度(ML1+10、121℃)は約
80(ASTM D−1646)であった。
硬化剤A 下記の「硬化剤調製」を参照。
硬化剤B 下記の「硬化剤調製」を参照。
ウロトロピン ヘキサメチレンテトラミン
【0073】
(硬化剤調製)
(硬化剤A:パーフルオロアジポニトリルビスアミジン)
NH2(NH=)C(CF24C(=NH)NH2
磁気攪拌を装備した4Lのプラスチックフラスコに、メタノール(188g、5.9モル)を投入した。1時間にわたって、パーフルオロアジポイルフルオライド(454g、1.5モル、エクスフルオール・リサーチ社(テキサス州オースチン)(Exfluor Research Corp.(Austin, Texas))から入手可能)を添加した。フッ化水素酸副生成物の処理のため腐食性スクラバを使用した。水を添加した後、低級フルオロケミカル生成物相を留去することによって、パーフルオロアジペート(446g、1.4モル)を単離した。攪拌機を装備した2Lのフラスコにパーフルオロアジペート(446g、1.4モル)のメタノール溶液を投入し、これを過剰量のアンモニア(54g、3.2モル)と反応させ、パーフルオロアジポイルアミド(385g、1.3モル、真空乾燥後)を得た。攪拌機を備えた3Lのフラスコに、パーフルオロアジポイルアミド(385g、1.3モル)のジメチルホルミアミド溶液を投入し、これを−10℃でまずピリジン(508g、6.4モル)と、続いてトリフルオロ酢酸無水物(674g、3.2モル)と反応させた。水を添加した後、低級フルオロケミカル生成物相を留去することによって、64℃の沸点を有するパーフルオロアジポニトリル(235g、0.9モル)を単離した。攪拌機を装備した1Lのフラスコにパーフルオロアジポニトリル(108g、0.4モル)のジエチルエーテル溶液を投入し、−10℃でアンモニア(17g、1.0モル)と反応させ、132℃の融点を有するパーフルオロアジポニトリルビスアミジン(112g、0.9モル、真空乾燥後)を得た。フッ素およびプロトンNMRで構造を確認した。
【0074】
(硬化剤B:パーフルオロテトラエチレンオキサイドジニトリルビスアミジンの二酢酸塩)
CH3COO(-)(+)NH3(NH=)C(CF2OCF23C(=NH)NH3(-)(+)OOCCH3
メチルパーフルオロテトラエチレンオキサイドジメチルエステル(0.14モル、87%;米国特許第5,488,142号明細書に記載のように調製)73gが入った丸底フラスコに氷浴で冷却しながら4.7%w/wのアンモニアのメタノール混合液55グラム(アンモニア0.15モル)を1滴ずつ添加した。温度を40℃に維持し、メチルエステルカルボニルのIR吸収が消失するまで滴定を続けた。溶媒を除去した(40℃/55mmHg、その後40℃/0.1mmHg)後、パーフルオロテトラエチレンオキサイドジアミド67グラム(0.14モル)を回収した。NMR分析は、ビスアミド98%、ビスエステル1.4%、およびメタノール0.4%を示した。
【0075】
ビスアミド61グラム(0.14モル)をTHF80mLに溶解させ、MgSO4で乾燥させ、THF20mLで3回洗浄し、1Lの丸底フラスコに濾過して入れ、窒素下で−20℃に冷却した。攪拌した溶液に無水ピリジン53グラム(0.67モル)を添加した。−5℃〜−10℃の温度に維持しながら、70分にわたってトリフルオロ酢酸無水物71グラム(0.34モル)を添加した。反応混合物を2時間にわたって周囲温度に加温した。フレオン(Freon)F−113(デラウェア州ウィルミントン、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours & Co., Wilmington, Delaware))を100mL添加し、飽和ブラインで溶液を複数回洗浄した。ガスクロマトグラフィーで70%の粗生成物収量を推定した。短行程蒸留(short path distillation)(103〜107℃)でビスニトリルを精製し、フッ素NMRで特性を決定した。
【0076】
HFE7100、10mL中にビスニトリル12グラム(23ミリモル)が入った溶液を、IRでニトリル伸縮(nitrile stretch)(2269cm-1)が観察されなくなるまで無水アンモニアで滴定した。この溶液に酢酸(2.8g、46ミリモル)を添加し、内容物をそれより大きい丸底フラスコに移した。溶媒をロータリーエバポレーションで除去すると、パーフルオロテトラエチレンオキサイドジニトリルビスアミジンの二酢酸塩、最終重量20.3gが得られた。
【0077】
(実施例1a−1d:ペンダントのアミドラゾン)
凝縮器および攪拌機を備えた2Lの3つ口ガラスフラスコにフルオロポリマーAを300g、HFE−7100を400g、メタノール450g、および25重量%のヒドラジン水溶液6.4gを投入した。室温で3時間攪拌した後、反応を終了させた。サンプルを50℃で15時間乾燥させた後、真空下で3時間更に乾燥させた。ニトリル基のアミドラゾン基への転換をFT−IR測定により−CN吸収については2264cm-1で、アミドラゾン吸収については1660cm-1(1610〜1680cm-1)および1571cm-1で観測した。FT−IRスペクトルは、ニトリル含有量の顕著な減少を示した(残量0.9モル%)。実施例1a〜1dでは、サンプルを表1に示す温度で12分間プレス加硫した。追加の硬化剤なしで実施例1aを硬化させた。硬化剤A、2phrを使用して実施例1bを硬化させた。硬化剤B、2phrで実施例1cを硬化させた。ウロトロピン1phrで実施例1dを硬化させた。後加硫プログラムは、200℃で24時間、続いて300℃で8時間であった。
【0078】
これらの硬化したサンプルのレオロジーデータを表1に表す。各サンプルで、FT−IRは1556cm-1でトリアジンのピークを明瞭に示した。
【0079】
(実施例2:ペンダントのアミドキシム)
凝縮器および攪拌機を備えた2Lの3つ口ガラスフラスコにフルオロポリマーAを300g、HFE−7100を1000g、メタノール800g、および50重量%のヒドロキシルアミン水溶液50gを投入した。47℃で6時間攪拌した後、反応を終了させた。サンプルを50℃で15時間乾燥させた後、真空下で更に3時間乾燥させた。ニトリル基のアミドキシム基への転換をFT−IR測定により観測した。FT−IRスペクトル(2264cm-1)はニトリル基の証拠を示さず、1581cm-1および1685cm-1に新しいピークが現れたが、これらは予測されるアミドキシム構造に属する。サンプルを追加の硬化剤なしでプレス加硫した。レオロジーデータを表1に記載する。
【0080】
ポリマーは、結晶性の透明なMDRスラグ(slug)として成型した。
【0081】
(実施例3:ペンダントのアミドキシム)
凝縮器および攪拌機を備えた2Lの3つ口ガラスフラスコにフルオロポリマーAを300g、HFE−7100を125g、メタノール500g、および50重量%のヒドロキシルアミン水溶液2.6gを投入した。20℃で20時間攪拌した後、反応を終了させた。サンプルを80℃で15時間乾燥させた後、真空下で更に3時間乾燥させた。ニトリル基のアミドキシム基への転換をFT−IR測定により、CN吸収については2264cm-1で、アミドキシム吸収については1686〜1692cm-1で観測した。FT−IRスペクトルは、ニトリル含有量の顕著な減少を示した(残量0.5モル%)。
【0082】
【表1】

【0083】
本発明の多数の実施形態を説明してきた。しかし、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更をなし得ることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、又はこれらの組み合わせを有する第1の共重合した硬化部位単位を含むフルオロポリマー。
【請求項2】
前記フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、CF2=CF−Rf1、CF2=CF−O−Rf2、CF2=CF−CFX−O−Rf2、およびCH2=CR2(式中、Rf1はパーハロアルキルであり、Rf2はパーハロアルキル又はパーハロアルコキシアルキルあり、XはF又はRf2であり、各Rは水素、ハロゲン、又は脂肪族基からなる群から独立して選択され、ここで、前記脂肪族基は1つ以上のハロゲン置換基を有してもよい)から選択される少なくとも1種類のモノマーから誘導される、共重合単位を含む、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項3】
前記フルオロポリマーが、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル、およびこれらの組み合わせから選択される、式CF2=CF−Rf1の少なくとも1つのモノマーから誘導される共重合単位を含む、請求項2に記載のフルオロポリマー。
【請求項4】
前記フルオロポリマーが、CF2=CFOCF2OCF2CF2CF3、CF2=CFOCF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2OCF3、CF2=CFO(CF23OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF3、およびこれらの組み合わせから選択される、式CF2=CF−O−Rf2の少なくとも1種類のモノマーから誘導される共重合単位を含む、請求項2に記載のフルオロポリマー。
【請求項5】
前記フルオロポリマー中に存在する全共重合単位の約10モル%〜約45モル%が1種類以上のパーフルオロビニルエーテルから構成される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
第2の共重合した硬化部位単位を更に含み、任意に、前記第2の共重合した硬化部位単位が、ニトリル基、イミデート基、ペンタフルオロフェノキシ基、臭素、ヨウ素、およびこれらの組み合わせから選択される反応基を有する、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項7】
前記反応基がニトリル基であり、前記第1の共重合した硬化部位単位の前記第2の共重合した硬化部位単位に対するモル比が約0.5と約2との間であり、任意に前記モル比が約0.9と約1.1との間である、請求項6に記載のフルオロポリマー。
【請求項8】
前記第1の共重合した硬化部位単位の前記第2の共重合した硬化部位単位に対するモル比が約0.25と約4との間である、請求項6に記載のフルオロポリマー。
【請求項9】
前記フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、およびヘキサフルオロプロピレンのうちの少なくとも1つから誘導される共重合単位を少なくとも50モル%含む、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項10】
前記フルオロポリマーが、F置換基又はCl置換基を有してもよい1種類以上の水素含有モノマーから誘導される共重合単位を含む、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項11】
前記フルオロポリマーが、パーフルオロオレフィン、部分フッ素化オレフィン、非フッ素化オレフィン、フッ化ビニリデン、およびこれらの組み合わせから選択されるモノマーから誘導される共重合単位を含む、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項12】
ペンダントのアミドキシム基および/又はアミドラゾン基を有する共重合単位の量が、約0.01モル%と約5モル%との間である、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項13】
請求項1に記載のフルオロポリマー、および、1種類以上の硬化剤、触媒および/又は助剤を含む組成物。
【請求項14】
請求項1に記載のフルオロポリマーを含む物品であって、任意に、物品がホース、ホースライニング、シール、ガスケット、又はO−リングであり、任意に前記フルオロポリマーが少なくとも部分的に硬化されている物品。
【請求項15】
請求項1に記載のフルオロポリマーを成形する工程、および、任意に、前記成形されたフルオロポリマーを硬化させる工程を含む、物品の製造方法。
【請求項16】
少なくとも1つのペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、又はこれらの組み合わせを有する共重合した硬化部位単位を有するフルオロポリマーの製造方法であって、
(i)反応基を有する1つ以上の共重合単位を有するフルオロポリマーを提供する工程、および
(ii)前記反応基の少なくとも1つをペンダントのアミドキシム基および/又はペンダントのアミドラゾン基に転換する工程、
を含む方法。
【請求項17】
少なくとも1つの反応基がニトリル基であり、前記ペンダントのアミドキシム基および/又はペンダントのアミドラゾン基がニトリル基を転換することによって導入され、任意に前記ニトリル基の転換が膨潤剤を使用して実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ヒドロキシルアミン又はその塩との反応により前記ニトリル基をアミドキシム基に転換することによって、前記ペンダントのアミドキシム基が前記フルオロポリマーに導入される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ヒドラジン又はその塩との反応により前記ニトリル基をアミドラゾン基に転換することによって、前記ペンダントのアミドラゾン基が前記フルオロポリマーに導入される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つのペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、又はこれらの組み合わせを有する少なくとも1つの共重合した硬化部位単位を有するフルオロポリマーの製造方法であって、
(i)ペンダントのアミドキシム基、ペンダントのアミドラゾン基、これらの塩、又はこれらの組み合わせを有する硬化部位モノマーを提供する工程、および
(ii)前記硬化部位モノマーを、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、CF2=CF−Rf1、CF2=CF−O−Rf2、CF2=CF−CFX−O−Rf2、およびCH2=CR2(式中、Rf1はパーハロアルキルであり、Rf2はパーハロアルキル又はパーハロアルコキシアルキルであり、XはF又はRf2であり、各Rは水素、ハロゲン、又は脂肪族基からなる群から独立して選択され、ここで、前記脂肪族基は1つ以上のハロゲン置換基を有してもよい)から選択される少なくとも1種類のモノマーと共重合させる工程、
を含む方法。

【公表番号】特表2008−524425(P2008−524425A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548201(P2007−548201)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/036224
【国際公開番号】WO2006/068685
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】