説明

ペースト状歯磨き用ポンプ容器

【課題】ペースト状の歯磨きを良好に保存し、1回当りの使用量が使用者によって不均一にならず、簡単な操作で薬剤を吐出できるポンプ容器を提供する。
【解決手段】不撓性の外層と可撓性の内層の少なくとも二層からなり、上部に口部を有し、直立する積層剥離ボトルと、ノズルの吐出口の断面積が5〜10mmであるポンプディスペンサーとを、ペースト状歯磨き用ポンプ容器の構成とする。また、ポンプディスペンサーとしてポンプ吸い込み口の先端が、ボトル部肩部から底面までの長さに対し深さ方向において底面から略10分の1から3の間に位置し、バネ伸張時のシリンダ内部容積とバネ収縮時のシリンダ内部容積との差が0.1から1cmであり、吐出パイプ内部の吐出路に金属製のボール弁を遊置し、ポンプ押圧が9〜25Nのものを使用する。さらに、ペースト状歯磨きを入れて口腔用製品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を安定に保存し、簡単に取り出すことができるペースト状歯磨き用ポンプ容器および口腔用製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースト状の歯磨き、すなわち練り歯磨きの容器としてラミネートチューブ、アルミチューブといったチューブ容器が一般に使用されいる。これらのチューブ容器は使用者が手で本体に圧縮力を加えることにより容器口部から内容物が吐出される機構を有するが1回の歯磨きに使用する量は圧縮力の程度により影響される。このため、使用する人ごとに使用量が異なったり、同一の使用者であっても使用時ごとに異なる量となったりする。歯磨き剤、特に医薬部外品や医薬品の歯磨きにおいては、薬効成分を含有されており、その有効量が口腔内に適用されることが重要であるが、チューブ容器においては1回当りの量を均一に調整することが困難であり、歯磨き剤の量が少ない場合は十分な有効量が歯磨きに使用されないといった問題や、逆に歯磨き剤の量が多い場合は有効量以上の薬効剤が適用され経済性に欠けるといった問題があった。
【0003】
ポンプ容器は1回の押し出し操作により、均一な量が吐出されるといった利点があり、上記のような1回量が不均一であるといった問題については解決できる。しかしながら、ペースト状の歯磨きを、シャンプーなどの汎用のポンプ容器に入れたとしても、歯磨きペーストは付着性、粘性があり、また粉体を多く含有するといった特性を有しているため、容器内部側面に付着して、重力のみによっては下に落ちてこず、ポンプ吸入口から吸入できずに多量の残余薬剤が発生し、不経済であるという問題が生じている。したがって、ペースト状歯磨きの容器としてはポンプ容器は使用されにくいといった現状がある。
【0004】
ポンプ容器としては例えば次のものが開示されている(特許文献1から3)。しかしながら、いずれもペースト状歯磨き容器についての記載はなく、ペースト状歯磨きに適したポンプ容器についての設計とはなっていない。
【0005】
【特許文献1】国際公開WO93/25319号パンフレット
【特許文献2】特開平5−310265号公報
【特許文献3】特開平10−323590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ペースト状の歯磨きを良好に保存し、1回当りの使用量が使用者によって不均一にならず、簡単な操作で薬剤を吐出できるポンプ容器を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討を行った結果、ポンプ容器として積層ボトルを使用し、ポンプディスペンサーのノズル吐出口を特定の断面積にすることにより、ペースト状歯磨きの容器として良好なポンプ容器が創出できることを見出し、本発明のポンプ容器を完成した。さらに、本発明のポンプ容器に、特定粘度のペースト状歯磨きを入れることにより、使用者が簡単に吐出できる口腔用製品ができることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は以下に掲げるものである。
[項1]
不撓性の外層と可撓性の内層の少なくとも二層からなり、上部に口部を有し、直立する積層剥離ボトルと、
ノズルの吐出口の断面積が5〜10mmであるポンプディスペンサーとからなる
ペースト状歯磨き用ポンプ容器。
[項2]
ポンプディスペンサーがさらに、
ポンプ吸い込み口の先端が、ボトル部肩部から底面までの長さに対し深さ方向において底面から略10分の1から3の間に位置し、バネ伸張時のシリンダ内部容積とバネ収縮時のシリンダ内部容積との差が0.1から1cmである項1に記載のペースト状歯磨き用ポンプ容器。
[項3]
ポンプディスペンサーがさらに、吐出パイプ内部の吐出路に金属製のボール弁を遊置するものである項1又は2に記載のペースト状歯磨き用ポンプ容器。
[項4]
ポンプ押圧が9〜25Nである項1から3のいずれかに記載のペースト状歯磨き用ポンプ容器。
[項5]
項1から4のいずれかに記載するペース状歯磨き用ポンプ容器に、
粘度1〜60Pa・Sのペースト状歯磨きを入れたことを特徴とする口腔用製品。
【発明の効果】
【0009】
本発明のペースト状歯磨き用ポンプ容器によれば、内容物を安定に保存し、1回当りの使用量を均一にすることができ、使用者が内容物を簡単に取り出すことができる。すなわち積層剥離ボトルにより、内容物が空気に触れにくいため、酸化防止をすることができる。また、遊置した金属性の球により容器吐出口が外部との空気の接触を遮断し、内容物の出口付近での乾燥や、有効成分の劣化を防ぐことができる。ポンプ吸い込み口が底面から略10分の1から3の間に位置することにより、ポンプからの内容物排出をスムーズに行い、使用終了時の内容物残存量を少なくすることができる。シリンジ内部容積差を0.1から1cmにすることにより、1回当りの使用量を、歯磨き剤としての有効性を発揮できる量にしつつ均一にすることができる。また、ポンプ押圧を9〜25Nにすることにより、指1本の操作で、特に過重な力を要することなく内容物の吐出ができる。吐出口の断面積を5〜10mmにすることにより歯ブラシ上の吐出を容易にすることができる。
【0010】
本発明の口腔用製品によれば、粘度1〜60Pa・Sのペースト状歯磨きを本発明のポンプ容器に入れることにより、ポンプから吐出容易で、かつ、歯ブラシ上で保形性のある製剤とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のペースト状歯磨き用ポンプ容器を、図面を参照しつつ説明する。図1から図3は本発明のポンプ容器の一形態の断面図である。本発明の特徴部分以外については公知のポンプディスペンサーおよびボトル容器を使用することができる。
【0012】
本ポンプ容器1はボトル部2とポンプディスペンサー部3とからなる。ボトル部2には歯磨き剤4が充填される。ボトル部は大きくは二層からなっており外層はポリエチレン樹脂でできており、不撓性である。内層は歯磨き剤を保護するための樹脂が内面にコートされたナイロンでできており、可撓性である。ポンプ使用に応じて内層のナイロンが外層と剥離し、内容物である歯磨き剤の減少に応じて収縮するデラミ構造となっている。このため歯磨き剤はボトル内において空気と接触することはない。また、ボトル内部壁に付着してポンプ吸入口5に歯磨き剤が届かないといった不具合を防げ、歯磨き剤の残存量を少なくすることができる。さらに特開平5−310265の技術を用い外層と内層の一部を接着させ、内層をきれいに収縮させることもできる。内層の収縮時には下部に形成された外気溝から空気を内層と外層の間の空間に取り入れ、歯磨き剤の吐出をスムーズに行うことができる。ボトル部上部には、ポンプディスペンサーを螺合させるためのねじ山6が形成され、中央にはボトル口部7が構成されている。ポンプディスペンサーに付設する吸入管の吸入口先端は、ボトル深さ方向において肩上部から底面までの長さLaに対し、底面から10分の1から3の間に構成されている。すなわち、図1においてLa:Lb=10:1〜3に調整されている。この位置にすることにより、ポンプ吸入口に歯磨き剤がスムーズに吐出することができる。つまり、重力および内層の圧迫力によって下部に歯磨き剤が沈降し、底面に貯留した歯磨き剤はその近上にポンプ吸入口があるため、手動のポンプ吸入力によっても歯磨き剤を吸入することができる。また、内層最下部とは接触していないため、内層内面がポンプ吸入口に密着し、歯磨き剤の吸入を妨げるといった不良も生じることがない。
【0013】
ポンプディスペンサー部3は、ポンプヘッド11、ボトルキャップ12、ピストン部13、シリンダ14、吸入管15を有する。シリンダ14はボトル上口部からボトル内部に侵入している。シリンダ14の下端開口には吸入管15が連結されている。シリンダ上部はリング状となっており、ボトルキャップとボトルキャップ内部の変口部において嵌合する。シリンダのリングの下部にはボトルと連結するためのパッキン19が付設される。シリンダは下部に向けてわずかに幅狭となる構造である。ボトルキャップ12は下部が広口、上部が狭口の変口構造となっており、変口位置において、上部狭口よりも幅狭孔となっており、変口下部において前記シリンダを固定するとともに、変口上部においてピストン部を固定する。ボトルキャップ内側にはボトルと螺合するためのねじ山6bが設けられている。ポンプヘッド11は上部に押圧部16を有する。押圧部において加えられた力を下部のピストン部13に伝える。ポンプヘッド11の内部はピストン部上端の吐出パイプ21と嵌合される構造である。ただし、嵌合位置においてポンプヘッド内部に突壁17が設けられ、密接とならず、内容物を通す構造となっている。ポンプヘッド11には内容物を吐出する吐出口を有するノズル18が設けられている。
【0014】
ピストン部13はピストン部とシリンダ14を連結する結合部20、ポンプヘッド11に嵌合する吐出パイプ21、ピストン管22、および内容物の逆流を防ぐ可動弁23を有する。吐出パイプ内部は内容物が吐出するように円筒状になっているが、内部はピストン管22と嵌合する形状となっている。吐出路中間部21aはやや幅狭となっており、金属製のボール弁24がピストン管に内装される。このボール弁はピストン管22の上部で遊置しており、静置時においては吐出路の幅狭位置において吐出路を封鎖するが、ポンプヘッドを押した際にはピストン管から剥離し、内容物を吐出する構造となっている。本発明においてはボール弁は金属製でできている。ボール弁を内装することにより静置状態において外部空気と内容物である歯磨き剤の接触を防ぐことができ、歯磨き剤の劣化を防ぐことができる。金属製にすることにより、その重さでボール弁を確実に下方向へ移動させ、閉弁され外部空気と接触した状態になるといったことを防ぐことができる。
【0015】
ピストン管下部はシリンダ内部に侵入する。シリンダ内部にはステム25が備えられピストン管内部に差込構造となっている。ピストン管22とステム25の間にはバネ26が内装されている。ピストン管22はシリンダ14と結合部20によって嵌合されている。
【0016】
ポンプヘッド押圧部16に力を加えるとピストン管22がバネ26を収縮し、あらかじめピストン部13の内部に蓄えられた歯磨き剤4が吐出口27を通じて吐出される。吐出後、押圧部への力を除去するとバネの伸張力によりポンプヘッド16が押し上げられると共に、歯磨き剤4がポンプ吸入口5から吸い上げられ、ビストン部13の内部に歯磨き剤4が充填される。なお、使用開始時には、ピストン部13の内部に歯磨き剤4が充填されるまで空押しして内部の空気を除去するとよい。
【0017】
本発明においては、取付状態において、バネ伸張時(図2a)のシリンダ内部容積とバネ収縮時(図2b)のシリンジ内部容積との差が0.1から1cmとなるように構成されている。この容積とすることにより、歯磨き剤を適切な量吐出することができる。バネ伸張時とは取り付け状態において押圧部に力がかかっていない状態である。この状態においても、嵌合されたシリンダ14とピストン管22がバネ26を圧縮するため、通常、バネ26は収縮されているが、取付状態においてはこの状態が最もバネが伸張した状態となっている。ポンプヘッド11の押圧部16に力を加えて、ポンプヘッドがストップする位置がバネ収縮時となる。本実施形態においては、バネ収縮時はバネが最短に圧縮された状態となっているが、シリンダ内にストッパーを設けて、それ以上バネが収縮しないようにすることもできる。シリンダ内部容積とは、シリンダ上部口から吸入管までの内部容積を指す。シリンダ内部容積全体は、シリンダ14の内径と長さ、バネ26、シリンダ侵入部分のピストン管22、ステム25の容積によって決定されるが、バネの伸張時と収縮時の容積差はバネ26の収縮の程度により調整することができる。おおよその内部容積差は次の式で表すことができる。おおよそとしたのは、シリンダ14の形状が下部に向けてやや細くなっている場合や、ステム25が上部に向けてやや細くなっている場合は、断面が完全な円形でないため計算値と実際の値が若干異なるからである。
【0018】
(内部容積差)={(Ya/2)×π−(Yb/2)×π}×(Xa−Xb)−V
Ya:シリンダ内径
Yb:ステム上部直径
Xa:伸張時のバネ全長
Xb:収縮時のバネ全長
V :バネ容積
π :円周率
【0019】
バネ26の応力はポンプヘッド11の押圧力に影響する。本発明のポンプ容器においては、ポンプ押圧力は9〜25Nに設定することが好ましい。押圧力測定の条件は、測定温度:25℃、測定スピード:200mm/minである。この範囲にすることによりボトルを片手で握り指一本の力で歯磨き剤を吐出させることができる。バネ応力はポンプ押圧力がこの範囲になるように適宜設定することができる。
【0020】
ポンプヘッドの吐出口27の断面積は5〜10mmにするのが好ましい。図3にボトルヘッドの左側面図を示す。本実施形態において、吐出口27は直径(R)が3mmの円形であり、約7mmである。円形以外にも楕円、正方形、長方形、ひし形など種々の形状とすることができる。吐出口をこの値にすることによって、歯磨き剤4を容易に吐出することができ、歯ブラシの上に良好に乗せることができる。
【0021】
このようにして構成されたポンプ容器はペースト状歯磨きを良好に保存させるものである。本発明においてペースト状歯磨きには、練り歯磨き、ジェル歯磨き、クリーム状歯磨きなどが含まれる。いわゆる液状歯磨きとは区別されるものである。ペースト状歯磨きは特に限定をされずに使用することができるが、好ましくは粘度が1〜60Pa・S、より好ましくは4〜20Pa・Sのペースト状歯磨きである。粘度測定は、BH型回転式粘度計、ローターNo.5において、薬剤温度30℃で、20rpm、2分後を条件としたものである。この粘度範囲とすることにより、ポンプから吐出容易で、かつ、歯ブラシ上で保形性のある製剤とすることができる。粘度が1Pa・S未満になるとペースト状歯磨きとしての粘性が十分でなく保形性が得られない。また、粘度が60Pa・Sを超えると吐出時の押圧力が高くなり、容易に吐出させることが困難となる。
【0022】
ペースト状歯磨きの配合成分としては、通常、歯磨きに使用する成分を適宜配合することができる。このような成分としては、賦形剤、pH調整剤、発泡剤、界面活性剤、湿潤剤、甘味剤、香料、防腐剤、着色剤、各種の有効成分などが例示できる。具体的には以下のものが例示される。
【0023】
研磨剤としては、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム・2水和物および無水和物、リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、酸化チタン、非晶質シリカ、結晶質シリカ、研磨性シリカ、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、アルミノシリケート、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、軽石(パミス)、ポリメタクリル酸メチル、合成樹脂、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム、レジン、ハイドロキシアパタイトなどを、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、ペースト状歯磨き全量に対して0.01〜40重量%である。
【0024】
発泡剤、洗浄剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウムなどのアシルサルコシンナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステルなどの糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸アルカノールアミド類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジエチルグリシンなどのN−アルキルジアミノエチルグリシン、N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、ペースト状歯磨き全量に対して0.1〜10重量%である。
【0025】
また、一般的に口腔用組成物に用いられる界面活性剤を用いることができる。この様な界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラウリン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステルアルキルグリコシド(例えばアルキル鎖:C8〜C16程度)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば脂肪酸部分のアルキル鎖:C8〜C16程度)、ショ糖脂肪酸エステル(例えば脂肪酸部分のアルキル鎖:C8〜C16程度)等の非イオン性界面活性剤;N−アルキルジアミノエチルグリシン、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン(例えば脂肪酸部分のアルキル鎖:C8〜C16程度)、アルキルスルホベタイン、アルキルベタインイミダゾニウムベタインなどの両性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウムなどのカチオン界面活性剤などを例示することができる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて配合することができ、通常、ペースト状歯磨き全量に対して0.001〜5重量%程度配合することができる。
【0026】
附形剤としては、例えば、火成性シリカ、増粘性シリカ、結晶セルロース、粉体状セルロースなどを例示することができる。その配合量は、通常、ペースト状歯磨き全量に対して0.1〜30重量%である。
【0027】
湿潤剤としては、ソルビット、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、パラチニットなどを、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、ペースト状歯磨き全量に対して5〜70重量%である。
【0028】
pH調節剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、ケイ酸、グルコン酸、マレイン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルクロン酸、フマル酸、アジピン酸、グルタミン酸、またはこれらのナトリウム塩やカリウム塩など化学的に可能な塩や塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウムなどが挙げられ、これらは、組成物のpHが5〜9の範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、ペースト状歯磨き全量に対して0.01〜5重量%である。
【0029】
増粘剤、粘結剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、カラゲナン、アルギン酸ナトリウム等のアルカリ金属アルギネート、キサンタンガム、トラガカントガム、カラヤガム、アラビアガム、ジェランガム等のガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成粘結剤、増粘性シリカ、ビーガム等の無機粘結剤などを配合することができる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて配合することができ、ペースト状歯磨き全量に対して0.001〜30重量%配合することができる。
【0030】
さらに、香料として、メントール、カルボン、オイゲノール、サリチル酸メチル、メチルオイゲノール、チモール、アネトール、バニリン、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネール、α−テルピネオール、ベンジルサクシネート、メチルアセテート、シトロネニルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、タイム、ナツメグ、スペアミント油、ペパーミント油、スターアニス油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、珪藻油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、バジル油、ピメント油、ティーツリー油、ダバナ油などを、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量はペースト状歯磨き全量に対して通常0.1〜5重量%である。
【0031】
また、甘味剤として、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、キシリトール、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール、メトキシシンナミックアルデヒド、キシリットなどを配合することができる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて配合することができ、ペースト状歯磨き全量に対して通常0.01〜1重量%配合することができる。
【0032】
防腐剤としては、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩;メチルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類を例示することができる。防腐剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。防腐剤の配合量は、ペースト状歯磨き全量に対して、通常0.01〜3重量%程度である。
【0033】
さらに、薬効成分として、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸トコフェロール、またはニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルピリジニウム等の第四級アンモニウム塩、塩酸クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アレキシジン、酢酸アレキシジン、グルコン酸アレキシジン等のビグアニド系殺菌剤等のカチオン性殺菌剤、n−ラウロイルサルコンシンナトリウムなどのアニオン性殺菌剤、ドデシルジアミノエチルグリシンなどの両性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールなどの非イオン性殺菌剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)などの酵素、酸化亜鉛、塩化亜鉛などの亜鉛化合物、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウムなどのアルカリ金属モノフルオロフォスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第一錫などのフッ化物、トラネキサム酸やイプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン塩類、グリチルレチン酸、グリセロフォスフェート、クロロフィル、塩化ナトリウム、カロペプタイド、水溶性無機リン酸化合物などを、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて配合することができ、所望の効果が得られる範囲であれば特に配合量を限定しないが、通常、ペースト状歯磨き全量に対して0.001〜30重量%配合することができる。
【0034】
さらに、本発明の口腔用組成物には着色剤として、酸化チタン、グンジョウ、コンジョウ等の顔料、青色1号、赤色3号、赤色104号、赤色202号、赤色226号、黄色4号、黄色203号等の法定色素等を単独または2種以上組み合わせて配合することができる。
【0035】
ペースト状歯磨きが封入された口腔製品はボトル部を片手で握り、人差し指でポンプヘッドを押すことによりノズル孔から歯磨き剤が吐出される。ペースト状歯磨きを吐出する際のポンプ押圧力は9〜25Nに設定することが好ましい。この範囲にすることで指1本の力でも容易に吐出が可能である。押圧力測定の条件は、測定温度:25℃、測定スピード:200mm/minである。ポンプ容器においてはしばしば、ポンプヘッドが戻らない、すなわちバネが伸張状態にすみやかに戻らないといった不具合がしばしば生じるが、本願発明においては上記の容器形態およびペースト状歯磨きの構成をとることによって、そのような不具合は改善され、良好に連続してポンプ容器からの吐出が可能である。吐出の際にはポンプ容器を適宜傾けて歯ブラシの上に吐出口27をもってくると良好に歯ブラシ上に乗せることができる。
【0036】
本発明の口腔用製品に使用するペースト状歯磨きに好適なものとして以下の処方のものが例示される。これらの処方は研磨剤等の粉体を適量範囲にさせており、ポンプ吐出が容易にでき、ポンプヘッドが戻らないという不具合を生じないといった利点がある。
【0037】
[歯磨き剤1]
無水ケイ酸 20
ソルビット液 35
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.6
キサンタンガム 0.5
フッ化ナトリウム 0.2
グリセリン 10
サッカリンナトリウム 0.2
ラウリル硫酸ナトリウム 1
酸化チタン 0.5
香料 1
精製水 残部
合計 100
粘度 60(Pa・S)
【0038】
[歯磨き剤2]
リン酸水素カルシウム 25
結晶セルロース 1
ヒドロキシエチルセルロース 0.7
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 1
濃グリセリン 10
ソルビット液 10
ラウリル硫酸ナトリウム 1
酸化チタン 0.3
安息香酸ナトリウム 0.1
キシリトール 10
香料 0.8
精製水 残部
合計 100
粘度 20(Pa・S)
【0039】
[歯磨き剤3]
無水ケイ酸 10
結晶セルロース 1.5
キサンタンガム 0.3
フッ化ナトリウム 0.2
濃グリセリン 20
ソルビット液 40
ラウリル硫酸ナトリウム 1
酸化チタン 0.3
サッカリンナトリウム 0.1
香料 0.8
精製水 残部
合計 100
粘度 10(Pa・S)
【0040】
[歯磨き剤4]
ヒドロキシエチルセルロース 1
フッ化ナトリウム 0.2
濃グリセリン 40
プロピレングリコール 3
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
サッカリンナトリウム 0.1
香料 0.8
精製水 残部
合計 100
粘度 4(Pa・S)

【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ポンプ容器1の断面図
【図2】(a)バネ伸張時のピストン部の内部構造、(b)バネ収縮時のピストン部の内部構造、(c)シリンダ内部断面上面図
【図3】ポンプヘッド11の左側面図
【符号の説明】
【0042】
1 ポンプ容器
2 ボトル部
3 ポンプディスペンサー部
4 歯磨き剤
5 ポンプ吸入口
6 ねじ山
7 ボトル口部
11 ポンプヘッド
12 ボトルキャップ
13 ピストン部
14 シリンダ
15 吸入管
16 押圧部
17 突壁
18 ノズル
19 パッキン
20 結合部
21 吐出パイプ
21a 吐出路中間部
22 ピストン管
23 可動弁
24 ボール弁
25 ステム
26 バネ
27 吐出口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不撓性の外層と可撓性の内層の少なくとも二層からなり、上部に口部を有し、直立する積層剥離ボトルと、
ノズルの吐出口の断面積が5〜10mmであるポンプディスペンサーとからなる
ペースト状歯磨き用ポンプ容器。
【請求項2】
ポンプディスペンサーがさらに、
ポンプ吸い込み口の先端が、ボトル部肩部から底面までの長さに対し深さ方向において底面から略10分の1から3の間に位置し、バネ伸張時のシリンダ内部容積とバネ収縮時のシリンダ内部容積との差が0.1から1cmである請求項1に記載のペースト状歯磨き用ポンプ容器。
【請求項3】
ポンプディスペンサーがさらに、吐出パイプ内部の吐出路に金属製のボール弁を遊置するものである請求項1又は2に記載のペースト状歯磨き用ポンプ容器。
【請求項4】
ポンプ押圧が9〜25Nである請求項1から3のいずれかに記載のペースト状歯磨き用ポンプ容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載するペース状歯磨き用ポンプ容器に、
粘度1〜60Pa・Sのペースト状歯磨きを入れたことを特徴とする口腔用製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−74446(P2008−74446A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255578(P2006−255578)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)
【Fターム(参考)】