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ペースト組成物
説明

ペースト組成物

【課題】裏面電極の導電性の悪化やBSF効果の低下を引き起こすことがないアルミニウムペースト組成物を提供することである。
【解決手段】太陽電池シリコンウエハ上に電極を形成する、アルミニウム粉末とガラスフリットと有機ビヒクルを成分とするペースト組成物であって、ペースト改質剤が、カルボキシル官能基或いはアミノ官能基を有することを特徴とし、前記総官能基数がアルミニウム粉末10kgに対して0.04〜0.9であるアルミニウムペースト組成物で、有機ビヒクルはアクリル樹脂とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウエハ上に電極を形成するアルミニウムペースト組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
結晶系シリコン太陽電池で、シリコンウエハの上に形成される裏面電極に使用されるアルミニウムペーストは生成キャリアの収集効率を向上させるBSF(Back Surface Field)効果で寄与している。
【0003】
近年、太陽電池の長寿命化に向けて、モジュールの耐久性向上化が進められている。この中で、アルミニウムペースト焼成後の太陽電池セルへの要望が厳しくなっている。アルミニウムペーストに帰因する裏面電極の粉落ちが、次工程のモジュール製造に半田リボンとの溶接不良やEVAとの接着力低下などを引き起こしていた。
【0004】
特許文献1はレーザー回折法に基づく粒度分布のD50が3μm以下であり且つD10とD90との比(D10/D90)が0.2以上であることを特徴とする小粒径アルミニウム粉末と、D50が小粒径アルミニウム粉末のD50の2〜6倍であり且つD10/D90が0.2以上であることを特徴とする大粒径アルミニウム粉末とを混合することにより調製された混合アルミニウム粉末を含む太陽電池用アルミニウムペーストは少ない塗布量で高いBSF効果を保証しつつ焼成時にシリコン基板に反り等の変形が発生するのを防止し得る薄いアルミニウム電極を形成するために使用できることを開示している。
【0005】
特許文献2はシリコン半導体基板の上に電極を形成し、その電極の機械的強度と密着性を低下させることがなく、所望のBSF効果を十分達成することができ、かつ焼成後のシリコン半導体基板の変形(反り)を抑制することが可能なペースト組成物で、アルミニウム粉末と、有機質ビヒクルと、有機質ビヒクルに不溶解性または難溶解性のウィスカーとを含み、そのウィスカーがアルミニウム粉末および有機質ビヒクルと予め混合され、太陽電池素子は、上述の特徴を有するペースト組成物をシリコン半導体基板の上に塗布した後、焼成することにより電極を形成されることを開示している。
【0006】
特許文献3はアルミニウム粉末と、有機質ビヒクルと、ガラスフリットとガラスフリットがアルカリ土類金属酸化物を含むことで焼成時においてブリスターやアルミニウムの玉が裏面電極層に発生するのを抑制することが可能なアルミニウムペースト組成物と、その組成物を用いて形成された電極を備えた太陽電池素子を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−146578号公報
【特許文献2】特開2006−278071号公報
【特許文献3】特開2007−81059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
裏面電極の導電性の悪化やBSF効果の低下を引き起こすことがなく粉落ち抑制できるアルミニウムペースト組成物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、太陽電池シリコンウエハ上に電極を形成するアルミニウム粉末とガラスフリットと有機ビヒクルを成分とするペースト組成物であって、ペースト改質剤が、カルボキシル官能基或いはアミノ官能基を有することを特徴とし、前記総官能基数がアルミニウム粉末10kgに対して0.04〜0.9であるアルミニウムペースト組成物で、太陽電池セルウエハの表面抵抗率の悪化や、BSF効果の低減を防ぎつつ、裏面電極の粉落ちを防ぐことができる。
【0010】
請求項2の発明は、前記有機ビヒクルがアクリル樹脂である請求項1のアルミニウムペースト組成物で、熱分解温度の低い設計が可能で、ペースト組成物の印刷適性も設計し易い。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアルミニウムペースト組成物は裏面電極の表面抵抗率の悪化やBSF効果の減少を引き起こす必須材料以外の添加物の悪影響を抑えて粉落ちを抑制できる特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
アルミニウムペースト組成物は印刷後乾燥により系外に放出され溶剤以外、裏面電極焼成に影響を与える。アルミニウム粉末は主材料で、ガラスフリットは共焼結され必須のものである。裏面電極の粉落ちはアルミニウム粉末が焼成過程で、一部酸化され、裏面電極に取り込まれなかったものと考えられるが、印刷乾燥後残留する成分にカルボキシル基とアミノ基の官能基があることにより、粉落ちが抑制できること、有機ビヒクルは印刷適性や焼成時に残留を少なくする様に設計され、量の選択がし辛いこと、残留する成分が多いと表面抵抗率の悪化やBSF効果の低減に繋がることを見出し、ペースト改質剤に所定量のカルボキシル基とアミノ基の官能基数を持たせることで、粉落ちを抑制できる本発明に到った。
【0013】
本発明に用いるガラスフリットは、溶融後にアルミニウム粒子を結合する無機バインダーとしての役割やアルミニウムとシリコンとの反応促進、アルミニウム粉末自身の焼結助剤として働く。しかしながら、一般的なガラスフリットを使用した場合には、アルミニウムとシリコンとの反応により、局部的に多量のAl−Si合金が生じ、アルミニウムが溶融し、ふくれやアルミニウムの玉の発生の原因となった。太陽電池裏面電極形成用のアルミペーストに使用されるガラスフリットには、主成分としてPbO−B−SiO系、PbO−B−Al系、PbO−B系、SiO−B−RO系(R:アルカリ土類金属)、B−ZnO系、Bi−B−SiO系およびBi−B−ZnO系等の酸化物を含むものなど使用できるが、これらの組成に加えて副成分としてアルカリ金属が含まれているものが良い。アルカリ金属を含んでいるものはアクリル樹脂の焼成性が向上する。また、好ましくは、環境負荷を鑑みて鉛を含まないものが良い。さらに好ましくは、アルカリ金属として反応性が高いリチウムが含まれないものが良い。
【0014】
本発明に用いる有機質ビヒクルはエチルセルロースやアクリル樹脂を、エステル系やグリコールエーテル系、ターピネオール系などの溶剤で溶解したものを使用することができる。有機質ビヒクル中の樹脂の全ペースト中の含有量も特に限定されるものではなく、後で述べるアルミニウム粉末の割合によって決定される。含有量は2〜50重量%が好ましい。有機質ビヒクルの含有量が2重量%未満になるとアルミニウムペーストの印刷性が低下し、50重量%を超えるとアルミニウムペーストの粘度が増大するだけでなく、過剰な有機ビヒクルの存在は、短時間焼成後の電極中に樹脂が残って、抵抗率の低下を引き起こす。
【0015】
本発明に用いるアルミニウム粉末は、平均粒子径0.5〜20μmが望ましい。さらに好ましくは、1〜10μmが好ましい。平均粒子径が1μm未満であるとアルミニウム粉末の比表面積が大きくなり、アルミニウム粉末が高充填できなくなると同時に、アルミニウムの溶融が早く電極のふくれやアルミニウムの玉を促進させてしまう。また、平均粒子径が20μmを超えると、粘性が低くなると同時に、電極の膜厚が大きくなりシリコンウエハの反りが大きくなり使用できない。
【0016】
本発明のアルミニウムペースト組成物は、必要に応じて、分散剤、界面活性剤、可塑剤、カップリング剤、消泡剤、沈降防止剤、レベリング剤などを配合することができる。調製には、各種の混合、混練、分散機を使用することができる。例えば、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、サンドミル、プラネタリーミキサー、高速ミキサー、自公転撹拌機等が挙げられる。
【0017】
本発明のカルボキシル基とアミノ基の官能基数は焼成時に残留するものである。配合原料のアミン価及び酸価を汎用の測定方法で求めるが、焼成前過程で、逸散するものは測定前に、系外に蒸散させる熱処理後測定するが、逸散するものを分析で求め減算補正する。
カルボキシル基とアミノ基の官能基数はアミン価により求められるアミノ基の官能基数と酸価により求められるカルボキシル基の官能基の数の和でアルミニウム粉末10kgに対して、0.4以上で粉落ち抑制が奏し、0.04〜0.9が表面抵抗値やBSF効果の低減がなく好ましい。

以下 実施例・比較例・参考例をあげ、説明する。
【実施例1】
【0018】
有機ビヒクルであるKFA−261(互応化学工業(株)、商品名、アクリル樹脂、固形分22%、溶剤成分ブチルカルビトールアセテート)14.18重量部、ブチルカルビトールアセテートDIAP(山一化学工業(株)、商品名)(以下DIAPと記す)9.03重量部、アルミニウム粉末であるH−3(VALIMET社、商品名、平均粒子径4.6μm、球形)74.12重量部、ガラスフリットであるQPZ−19/500(日本電気硝子(株)、商品名、シリカホウ酸系、粒子径2.2μm)1.91重量部、 Disperbyk−108(ビックケミー・ジャパン(株)、商品名、水酸基含有カルボン酸エステル、アミン価71mgKOH、分散剤)0.76重量部を三本ロールミルを用いて均一に混合し、実施例1のアルミニウムペースト組成物とした。
【実施例2】
【0019】
実施例1のDisperbyk−108をDisperbyk−106(ビックケミー・ジャパン(株)、商品名、酸基を有するポリマー塩、酸価132mgKOH、アミン価74mgKOH、分散剤)に変えた以外同じく行い実施例2のアルミニウムペースト組成物とした。
【実施例3】
【0020】
実施例1のDisperbyk−108をDisperbyk−111(ビックケミー・ジャパン(株)、商品名、酸基を含む共重合物、酸価が129mgKOH、減粘、分散剤)に変えた以外同じく行い実施例3のアルミニウムペースト組成物とした。
【実施例4】
【0021】
実施例1のDisperbyk−108をDisperbyk−111を2重量部に、DIAPを7.79重量部に変えた以外同じく、行い実施例4のアルミニウムペースト組成物とした。
【実施例5】
【0022】
実施例1のDisperbyk−108をDisperbyk−116(ビックケミー・ジャパン(株)、商品名、顔料に親和性のあるアクリル系共重合物、アミン価65mgKOH、分散剤 ) に変えた以外同じく、行い実施例5のアルミニウムペースト組成物とした。
【実施例6】
【0023】
実施例1のDisperbyk−108をBYK−9076(ビックケミー・ジャパン(株)、商品名、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩、酸価38mgKOH、アミン価44mgKOH、分散剤 ) に変えた以外同じく、行い実施例6のアルミニウムペースト組成物とした。
【0024】
比較例1
実施例1のDisperbyk−108をDisperbyk−182(ビックケミー・ジャパン(株)、商品名、顔料に親和性のあるブロック共重合物、溶剤57%含有、アミン価13mgKOH、分散剤 ) に変えた以外同じく、行い比較例1のアルミニウムペースト組成物とした。
【0025】
比較例2
実施例1のDisperbyk−108をDisperbyk−111を0.05重量部、さらにDisperbyk−182を0.71重量部、DIAPを9.03重量部に変えた以外同じく、行い比較例2のアルミニウムペースト組成物とした。
【0026】
比較例3
実施例1のDisperbyk−108をDisperbyk−111を3重量部、DIAPを6.79重量部に変えた以外同じく、行い比較例3のアルミニウムペースト組成物とした。
【0027】
比較例4
実施例1のDisperbyk−108をBYK−9077(ビックケミー・ジャパン(株)、商品名、顔料親和性基を有する高分子共重合体、アミン価48mgKOH、減粘、分散剤) に変えた以外同じく、行い比較例4のアルミニウムペースト組成物とした。
【0028】
【表1】

【0029】
表面抵抗率:実施例・比較例のアルミニウムペースト組成物を、厚みが200μm、大きさが156mm×156mmの多結晶P型シリコンウエハの中央に、250メッシュのスクリーン印刷版を用いて154mm×154mmの大きさで印刷し、熱風乾燥機で150℃30分間で乾燥させ、下記条件で焼成したアルミニウム電極層の表面抵抗率をロレスターEP MCP−T360(三菱化学(株)、四端子四探針方式)を用いて測定した。
【0030】
焼成条件は、3ゾーンのワイヤー式ベルト炉を用い、ゾーン1の温度は590℃、ゾーン2の温度は800℃、ゾーン3の温度は380℃としゾーン5の温度は600℃に設定し、タクト時間を約60秒間とした。焼成後の電極層の膜厚は平均で32μmであった。
【0031】
粉落ち評価:
焼成後のシリコンウエハにメンディングテープ810−1−18C(住友スリーエム(株)、商品名)を貼り付けて剥がした。テープに目視で粉を確認できたない場合を○、確認できるものを×とした。
【0032】
BSF抵抗率:
上記形成されたアルミニウム電極層を10%の塩酸水溶液に15分間浸漬し、アルミニウム電極部分を除去した。そのウエハ表面のBSF層の表面抵抗率をロレスターEP MCP−T360(三菱化学(株)、四端子四探針方式)を用いて測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池シリコンウエハ上に電極を形成するアルミニウム粉末とガラスフリットと有機ビヒクルを成分とするペースト組成物であって、ペースト改質剤が、カルボキシル官能基或いはアミノ官能基を有することを特徴とし、前記総官能基数がアルミニウム粉末10kgに対して0.04〜0.9であるアルミニウムペースト組成物。
【請求項2】
前記有機ビヒクルがアクリル樹脂である請求項1のアルミニウムペースト組成物。

【公開番号】特開2013−89481(P2013−89481A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229541(P2011−229541)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】