説明

ホスフィニックアミノ酸(phosphinicaminoacids)の新規な誘導体、その製造方法およびそれを含有する医薬組成物

本発明は、式(I)を有するホスフィニックアミノ酸の新規な誘導体、その製造方法およびそれを含有する医薬組成物に関する。本発明によれば、Rは、水素、アルキルカルボニルオキシアルキル、アルキルカルボニルチオアルキルを表し、Rは、水素、アルキルカルボニルオキシアルキル、アリールカルボニルチオアルキル、場合により置換されるアリールアルキルを表し、Rは、場合により置換されるフェニル、インドリルを表し、その異性体、ならびにその薬学的に許容され得る塩基または酸付加塩を表す。あるいは、Rが、ヒドロキシ基により置換されるフェニルである場合、Rは、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表すこともでき、Rは、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、その薬学的に許容され得る塩基の付加塩、ならびにその水和物および溶媒和物を表す。本発明のホスフィニックアミノ酸の新規な誘導体は、アンギオテンシン変換酵素およびエンドセリン変換酵素の両方を阻害する能力により特徴づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なホスフィニックアミノ酸化合物、その製造方法およびそれを含有する医薬組成物に関する。
【0002】
本発明の新規なホスフィニックアミノ酸化合物は、アンギオテンシンI変換酵素(ACE)およびエンドセリン変換酵素(ECE)を同時に阻害する注目すべき性質を有する。
【0003】
血管作用性ペプチド類−一方の血管収縮剤(アンギオテンシンII、エンドセリン−1)と他方の血管拡張剤(ナトリウム排泄増加性因子、ブラジキニン)−の間に存在するバランスは、動脈圧を調節する際の重要な要素を構成する。それらのペプチドの合成および分解は、様々な酵素の制御下にあり、そのうち3種の亜鉛メタロプロペテーゼが、重要な役割を担うと思われる:(すなわち)
− 一方で、アンギオテンシンI(不活性デカペプチド)をアンギオテンシンII(活性オクタペプチド)に変換し、他方で、ブラジキニンを不活性ペプチドに分解するアンギオテンシンI変換酵素(ACE)、
− ビッグエンドセリン−1を開裂して、エンドセリン−1を形成し、ブラジキニンの分解に、より少ない程度に関与していると思われるエンドセリン変換酵素(ECE)、
− 動脈ナトリウム排泄増加性ペプチド(ANP)およびブラジキニンを不活性化して、不活性ペプチド類を形成する中性エンドペプチダーゼ(NEP)。
【0004】
アンギオテンシンIIは、血管収縮剤であり、抗ナトリウム排泄増加性オクタペプチドである。エンドセリンは、血管収縮剤であり、システイン残基に結合する、2個のジスルフィド架橋を含む約20のアミノ酸からなる、抗ナトリウム排泄増加性ポリペプチドである。ブラジキニンは、血管拡張剤であり、ナトリウム排泄増加性ナノペプチドである。
【0005】
アンギオテンシンII、エンドセリンおよびブラジキニンは、現在のところ、血管緊張(vascular tone)、心臓血管の再構築(remodeling)および水電解質恒常性(hydroelectrolytic homeostasis)を調節することに関与すると考えられる、最も重要なポリペプチドである。それらの代謝は、基本的には、3種の酵素:ACE、ECEおよびNEPにより制御されている。
【0006】
動脈高血圧および他の心臓血管病は、血管収縮ペプチドに好都合な、ペプチドバランスの不平衡を特徴とし、それは、腎・心臓血管領域で、全体的な相反作用(水およびナトリウム滞留、心臓血管肥大など)を働かせる。選択的ACE阻害剤により、1980年代になされた、大きな治療的進歩にも拘わらず、高血圧患者の血圧制御および彼らの寿命期待(主要な心臓血管危険因子への有利な作用)を更に改善するためには、新規な化合物の開発が必要であることが見出されてきている。
【0007】
従って、3種のメタロプロテアーゼ:ACE、ECEおよびNEPは、心臓血管疾患の処置用の、見込みのあるターゲットのようである。それゆえ、アンギオテンシンIIおよびエンドセリン−1の相反する血管収縮効果に立ち向かい、ANPおよびブラジキニンの防御的血管拡張効果を促進するために、ACE、NEPおよびECE阻害剤が開発されてきた。
【0008】
これらの活性の1つおよび他のものを有する数多くの化合物が公知である。多数の特許出願が、ACEおよびECE阻害剤として有用であり、および、ACE/NEP混合阻害剤およびECE/NEP混合阻害剤として有用であるアミノ酸化合物を記載している。
【0009】
抗高血圧剤として、数年間使用されている選択的ACE阻害剤が、特許明細書 US 4396772に記載されている。記載された化合物の式は:
【0010】
【化25】

【0011】
を含む。
【0012】
特許明細書 WO 97/32874およびUS 5476847は、ECE阻害剤である化合物を記載する。記載された化合物の式は、
・ 特許明細書 WO 97/32874の
【0013】
【化26】

【0014】
・特許明細書 US 5476847の
【0015】
【化27】

【0016】
を含む。
【0017】
特許出願 WO 95/35302によれば、心臓血管疾患の処置に有用な、ECE阻害活性を有する特定のホスフィン酸化合物が公知である。記載された化合物の式は:
【0018】
【化28】

【0019】
を含む。
【0020】
ACE/NEP混合阻害剤(「バソペプチダーゼ阻害剤」類)が合成され、臨床的に試験されている。ACE/NEP混合阻害剤は、特許明細書 WO 97/24341、WO 96/22998、WO 93/08142およびEP 0723974に記載されている。記載された化合物は、ペプチドの硫黄化誘導体である。
Bioorganic and Medical Chemistry Letters, 1996, 6(11), 1257-1260には、心臓血管疾患の処置に有用な、ACE/NEP混合阻害活性を有するホスフィン酸化合物が記載されている。それらの化合物の式は:
【0021】
【化29】

【0022】
を含む。
【0023】
それらの化合物は、選択的ACE阻害剤よりも大きな抗高血圧効果を有する。それにもかわらず、それらは、おそらく、過剰なブラジキニンに関連するであろう、特に、血管性浮腫に関係する重大な第二の作用を有する(Trends in Pharmacological Sci., 2001, 22, 106-109; The Lancet, 2001, 358, 1525-1532)。これにより、結果として、最先端のACE/NEP混合阻害剤(例えば、オマパトリレート)の臨床開発が中止された(Curr Opin Investig Drugs, 2001, 2, 1414-1422)。先行技術に記載される、ACE/NEP混合阻害剤の薬理学的性質は、エンドセリン系の主要な心臓血管的役割(Jornal of Hypertension, 1998, 16(8), 1081-1098)およびエンドセリン−1の分解におけるNEPのかかわりあい(J. Biol. Chem., 1990, 265, 14150-14155)を見落している。したがって、ACE/NEP混合阻害剤を用いる処置は、エンドセリン−1のレベルの上昇という結果をもたらし、それが、長期にわたり、予測される治療的利益を損なうと立証することができる。
【0024】
最後に、ECE/NEP混合阻害剤が、Life Science, 2000, 67(9), 1025-1033およびNaunyn-Schmiedeberg's Arch. Pharmacol., 358(1, suppl 1): R 513-514 (Abstr)に記載されている。それらの化合物の式は:
・ Life Sciencesでは、
【0025】
【化30】

【0026】
・ Naunyn-Schmiedeberg's Arch. Pharmacol.では
【0027】
【化31】

【0028】
である。
【0029】
ECE/NEP混合阻害剤を有することへの興味は、エンドセリンのレベルを低下させながら、ナトリウム排泄増加性ペプチドのレベルを上昇させ、それにより、心臓血管および腎臓の疾患の処置に有利となる、付加効果または相乗効果を得ることである。
【0030】
それにもかわらず、NEPがインビボで、ブラジキニンの分解において、最も重要な担い手の一つであるから、ACE/NEP阻害剤についての臨床開発中止は、バソペプチダーゼの、他の複数の阻害剤(NEPの組合せ的阻害、即ち、ECE/NEP混合阻害剤またはECE/ACE/NEP三種混合阻害剤を含む)の開発を明らかに無効にしてきた。
【0031】
その一方で、ACE/ECE混合阻害剤にかわるものが見込みがあり、増加する血管効果及び使用での良好な安全性を予測させる。そのような化合物は、2種の強力な血管収縮ペプチド:アンギオテンシンIIおよびエンドセリン−1の形成を減少させ、ブラジキニンのレベルを適度に上昇させることを可能にしなければならない。
【0032】
その上、アンギオテンシンおよびエンドセリン系は、まさに独立して機能するが、相互作用的に機能することに気がつくところが興味深い。この2つの系の間の「掛け合い問答」が、実験レベルでも臨床レベルでも研究されてきた。アンギオテンシンIIの特定の心臓血管効果の仲介者としてのエンドセリン−1の役割が、特に探求されてきた(Hypertension, 1997, 30, 29-34; Cardiovasc. Res., 1999, 43, 300-307; Hypertension, 2002, 40, 840-846; Clin. Exp. Pharmacol. Physiol., 2003, 30, 278-283; Hypertension, 2002, 39, 715-720; Hypertension, 2003, 42, 825-830; Bioorg. Med. Chem. Letters, 2003, 13, 1093-1096)。まとめると、得られるデータは、それらの系のうちの一方の阻害が他方の系の異常過敏を起こし、それが、相互の制御(counter-regulation)を避けながら、それらの性質それぞれの治療能力を強化するために、「混合阻害」法に賛成することを示唆する。
【0033】
最後に、ACE/ECE混合阻害の概念、つまり、その方法で予測される治療的利益の証拠が、これまで、3つの治療方向(動脈高血圧、心不全および腎保護)において、実験レベルで解析されてきた。その概念の証拠は、一般に、2種の選択的化合物の組合せ(一方は、アンギオテンシン系を遮断するための、選択的ACE阻害剤またはアンギオテンシンIIAT受容体ブロッカーであり、他方は、エンドセリン−1ET受容体ブロッカーまたはエンドセリン−1 ET/ET混合受容体ブロッカー、または、稀な例では、エンドセリン遮断用のECE阻害剤)により提供されてきた。
【0034】
文献は、その概念を広く支持している。治療的利益は、動物において、動脈高血圧(J. Cardiovasc. Pharmacol., 2000, 36, S337-S341; Clin. Sci., 2002, 103, 363S-366S; Am. J. Hypertens., 2003, 16, 324-328)および心不全(Cardiovasc. Res., 2002, 54, 85-94; Circulation, 2002, 106, 1159-1164)において、構造レベルまたは機能レベルのいずれかで実証されている。特定の標的臓器、例えば、腎臓および脳の保護が、強く予測される(J. Am. Soc. Nephrol., 2001, 12,2572-2584)。それら全ての前臨床結果の臨床へ反映が、混合処置により、正常化される多数の患者であろう。「血圧」利点が、長期にわたって、動脈高血圧の標的臓器(即ち、心臓血管、腎臓および脳レベルでの「標的臓器の損傷」の予防)をよりよく保護することにより、そして特定の危険因子についての好ましい効果により、長期にわたって完全になり、それにより、動脈高血圧の合併症を予防するであろう。
【0035】
本発明は、NEPについての阻害を発揮せずに、ACE/ECE混合阻害剤として挙動する新規な化合物を提供する目的を有する。
【0036】
本発明の化合物は、従って、動脈高血圧およびその合併症(肺動脈高血圧、心筋虚血、狭心症、心不全、血管症、腎障害、糖尿病性網膜症、動脈硬化症および血管形成後の再狭窄、急性または慢性腎不全、卒中およびくも膜下出血を含む脳血管疾患、ならびに末梢性虚血を含む)の処置に非常に有効である。
【0037】
より具体的には、本発明は、式(I):
【0038】
【化32】

【0039】
(式中、
は、水素原子、または、各アルキル部分が直鎖状もしくは分枝状の可能性がある、(C〜C)アルキルカルボニルオキシ−(C〜C)アルキルおよび各アルキル部分が直鎖状もしくは分枝状の可能性がある、(C〜C)アルキルカルボニルチオ−(C〜C)アルキルから選択される基を表し、
は、水素原子、または、各アルキル部分が直鎖状もしくは分枝状の可能性がある、(C〜C)アルキルカルボニルオキシ−(C〜C)アルキル、アルキル部分が直鎖状もしくは分枝状の可能性がある、アリールカルボニルチオ−(C〜C)アルキル、およびアルキル部分が直鎖状もしくは分枝状の可能性があり、アリール部分が(C〜C)アルキルカルボニルオキシ基により、場合により置換されている、アリール−(C〜C)アルキルから選択される基を表し、
は、ヒドロキシ基により、場合により置換されているフェニル基を表すか、またはRは、3−インドリル基を表し、あるいは
が、ヒドロキシ基により置換されているフェニル基を表す場合、Rは、直鎖状または分枝状(C〜C)アルキル基を表すこともでき、Rは、直鎖状または分枝状(C〜C)アルキル基を表す)
で示される化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、および薬学的に許容され得る塩基でのその付加塩、ならびにその水和物および溶媒和物に関する。
【0040】
薬学的に許容され得る塩基としては、非限定的に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、tert−ブチルアミンなどが挙げられる。
【0041】
本発明の有利な実施形態によれば、好ましい化合物は、RおよびRが、それぞれ水素原子を表す化合物である。
【0042】
本発明の第2の有利な実施形態によれば、好ましい化合物は、Rが水素原子を表し、Rがヒドロキシ基により置換されるフェニル基を表す化合物である。
【0043】
本発明の第3の有利な実施形態によれば、好ましい化合物は、Rが水素原子を表し、Rがヒドロキシ基により置換されるフェニル基を表す化合物である。
【0044】
本発明の好ましい化合物としては、より具体的には、
− (5R,8R,11S)−5−ベンジル−6−ヒドロキシ−11−(1H−インドール−3−イルメチル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド、
− (5R,8R,11S)−5,11−ジベンジル−6−ヒドロキシ−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド、
− (5R,8R,11S)−5−ベンジル−6−ヒドロキシ−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド、
が挙げられる。
【0045】
好ましい化合物の、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、および薬学的に許容され得る塩基でのその付加塩は、本発明の不可欠な部分を形成する。
【0046】
本発明は、また、式(I)で示される化合物の製造方法に関し、その方法は、出発原料として、ジフェニルメタンアミン クロリドを用い、それを、ホスフィン酸:HPOの存在下、フェニルアセトアルデヒド、および塩酸と反応させて、式(II):
【0047】
【化33】

【0048】
で示される化合物を得、式(II)で示される化合物を水性臭化水素酸の作用に付し、式(III):
【0049】
【化34】

【0050】
で示される化合物を得、式(III)で示される化合物を、塩基性媒体中、クロロギ酸ベンジルと反応させて、式(IV):
【0051】
【化35】

【0052】
で示される化合物を得、式(IV)で示される化合物を、R−(+)−N,N−(フェニル)(エチル)アミンの存在下に置き、その後、塩酸の作用に付し、式(IV)で示される化合物のR鏡像異性体である式(R−IV):
【0053】
【化36】

【0054】
で示される化合物を得、式(R−IV)で示される化合物を、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの存在下、式(V):
【0055】
【化37】

【0056】
で示される化合物と反応させて、式(R−VI):
【0057】
【化38】

【0058】
で示される化合物を得、式(R−VI)で示される化合物を水酸化ナトリウムの溶液と反応させて、式(R−VII):
【0059】
【化39】

【0060】
で示される化合物を得、式(V−II)で示される化合物を、
1)ジイソプロピルエチルアミン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド クロリドの存在下、式(VIII):
【0061】
【化40】

【0062】
(式中、R’は、直鎖状または分枝状(C〜C)アルキル基を表し、R’は、フェニル(直鎖状または分枝状(C〜C)アルコキシ基により、場合により置換されている)および3−インドリルから選択される基を表す)
で示される化合物の作用に付し、式(R,S−IX):
【0063】
【化41】

【0064】
(式中、R’およびR’は、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、式(R,S−IX)で示される化合物を、塩基性媒体中、N−クロロスクシンイミドの存在、ベンズアルドキシムと反応させて、式(R,S−X):
【0065】
【化42】

【0066】
(式中、R’およびR’は、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、式(R,S−X)で示される化合物を酸媒体中に置き、式(I)で示される化合物の特定の場合である式(I/a):
【0067】
【化43】

【0068】
(式中、RおよびRは、式(I)に関して定義したとおりである)
で示される化合物を得るか、
2)あるいは、式(R,S−IX)で示される化合物と同様の条件に付し、式(R−XI):
【0069】
【化44】

【0070】
で示される化合物を得、式(R−XI)で示される化合物を、
A/ ジイソプロピルエチルアミン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド クロリドの存在下、式(XII):
【0071】
【化45】

【0072】
(式中、Rは、先に定義したとおりであり、PGは、当業者に周知のフェノール官能基用の保護基(T. W. Greene, "Protective Group in Organic Synthesis", Wiley-
Interscience, New-York, 1981)を表す)
で示される化合物の作用に付し、式(R,S−XIII):
【0073】
【化46】

【0074】
(式中、RおよびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、式(R,S−XIII)で示される化合物のフェノール官能基を、当業者に周知の、有機化学の慣用的技術により脱保護して、式(I)で示される化合物の特定の場合である式(I/b):
【0075】
【化47】

【0076】
(式中、Rは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得るか、
B/ または、本明細書の前述と同様の条件下で、式(XIV):
【0077】
【化48】

【0078】
(式中、R’およびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物の作用に付し、式(R,S−XV):
【0079】
【化49】

【0080】
(式中、R’およびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、式(R,S−XV)で示される化合物を、
α)ヨウ化ナトリウム、(nBu)NHSOおよびトリエチルアミンの存在下、式(XVI):
【0081】
【化50】

【0082】
(式中、RおよびRは、それぞれ、他とは独立して、直鎖状または分枝状(C〜C)アルキル基を表す)
で示される化合物の作用に付し、式(R,S−XVII):
【0083】
【化51】

【0084】
(式中、R、R、R’およびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得るか、
β)もしくは、PyBOPおよびジイソプロピルエチルアミンの存在下、式(XVIII):
【0085】
【化52】

【0086】
(式中、RおよびRは、先に定義したとおりである)
で示される化合物の作用に付し、式(R,S−XIX):
【0087】
【化53】

【0088】
(式中、R、R、R’およびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、
式(R,S−XVII)および(R,S−XIX)で示される化合物は、式(R,S−XX):
【0089】
【化54】

【0090】
(式中、Rは、式(I)に関して定義したとおりであり、R’およびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を構成し、式(R,S−XX)で示される化合物のフェノール官能基およびカルボン酸官能基を当業者に周知の、有機化学の慣用的技術により脱保護して、式(I)で示される化合物の特定の場合である式(I/c):
【0091】
【化55】

【0092】
(式中、Rは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、
式(I/a)、(I/b)および(I/c)で示される化合物を、所望により、従来の分離技術により、それらの立体異性体に分離し、必要に応じて、従来の精製技術により精製して、所望により、薬学的に許容され得る塩基で、それらの付加塩に変換することを特徴とする。
【0093】
式(XII):
【0094】
【化56】

【0095】
で示される化合物を、式(XXI):
【0096】
【化57】

【0097】
(式中、PGは、先に定義したとおりであり、PGは、当業者に周知の、アミン官能基用の保護基(T. W. Greene, "Protective Group in Organic Synthesis", Wiley-
Interscience, New-York, 1981)を表す)
で示される化合物から出発して得ることができる、すなわち、式(XXI)で示される化合物を
a)NaI、(nBu)NHSOおよびNEtの存在下、式(XXII):
【0098】
【化58】

【0099】
(式中、Rは、先に定義したとおりである)
で示される化合物と反応させて、式(XXIII):
【0100】
【化59】

【0101】
(式中、PG、PGおよびRは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得るか、
b)または、EDC・HClおよび4−ジメチルアミノピリジンの存在下、式(XXIV):
【0102】
【化60】

【0103】
(式中、Rは、先に定義したとおりである)
で示される化合物と反応させて、先に定義した式(XVIII)で示される化合物を得て、
式(XXIII)で示される化合物のアミン官能基を、当業者に周知の、有機合成の慣用的技術により脱保護する。
【0104】
本発明は、式(I)で示される化合物を、1種以上の薬学的に許容され得る賦形剤と組合せて含む医薬組成物にも関する。
【0105】
本発明による医薬組成物としては、より特別には、経口、非経口、経鼻、経皮(per- ortrans-cutaneous)、経直腸、舌下、眼内または呼吸器投与用に適したもの、および、特に、錠剤または糖剤、舌下錠、サシェ、パケット、ゼラチンカプセル、グロセット(glossettes)、ロゼンジ、坐剤、クリーム、軟膏、皮膚用ゲル、および注射可能もしくは飲用可能なアンプルが挙げられる。
【0106】
有用な用量は、患者の性別、年齢および体重、投与経路、治療適応の性質ならびに関連の処置により変動し、1回以上の投与において、0.1mg〜1g/24時間の範囲内である。
【0107】
以下の実施例は、いかなる態様においても、本発明を限定することなく、本発明を示す。以下の製造例は、本発明の化合物、または本発明の製造において使用される合成中間体を結果として生じる。
【0108】
使用される出発原料は、市販の生成物であるか、または公知の製造方法に従い、製造される。
【0109】
実施例に記載される化合物の構造は、慣用的分光法(赤外、NMR、質量分析)により測定された。
【0110】
(5R,8,11S)化合物は、絶対配置(5S,8S,11S)および(5R,8R,11S)を有する2種のジアステレオ異性体のラセミ混合物を意味するものと理解される。
【0111】
製造例1:エチル 2−メチレン−4−ペンチノアート
無水(absolute)エタノール280mlにナトリウム5.0gを溶解することにより製造した、EtOnaの溶液に、ジメチル マロナート34.9gを緩やかに添加する。反応混合物を50℃で1時間加熱し、その後、無水エタノール100ml中の3−ブロモ−1−プロピン38.8mlを混合物に滴下する。反応混合物をその温度で12時間撹拌する。減圧下での蒸発後、残渣をジエチルエーテルに取り、水で抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、その後、減圧下で蒸発させる。得られる油状物を無水エタノール100mlに取り、その後、KOH(エタノール340ml中の12.2g)の溶液を滴下する。周囲温度で1.5時間撹拌した後、エタノールを減圧下で蒸発させ、残渣を水に溶解し、ジエチルエーテルで抽出する。水相をアイスバスの補助により冷却し、2M HClでpH〜1に酸性化し、ジエチルエーテルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、その後、減圧下で蒸発させる。ピリジン35.0ml、パラホルムアルデヒド13.4gおよびピペリジン1.85mlを得られた残渣に添加し、反応混合物を100〜105℃で3時間撹拌する。周囲温度で冷却した後、混合物をジエチルエーテル400mlで希釈し、有機相を水、2M HCl、5% NaHCO溶液および飽和NaCl溶液で逐次洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、その後、減圧下で蒸発させる。シリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル(40〜60℃)/ジエチルエーテル:9.5/0.5〜8/12)により、予測される生成物を単離することを可能にする。
Rf=0.31(石油エーテル(40〜60℃)/ジエチルエーテル:9.5/0.5)
【0112】
製造例2:2−{[(1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル(ヒドロキシ)ホスホリル]メチル}−4−ペンチン酸
【0113】
ステップA:1−(ベンズヒドリルアミノ)−2−フェニルエチルホスフィン酸
POの50%水溶液51.1mlを、90%エタノール750ml中のジフェニルメタンアミンクロリド109.5gの懸濁液に添加し、その後、反応混合物を85〜90℃に加熱する。その温度で、エタノール175ml中のフェニルアセトアルデヒド58.4mlを3時間かけて添加し、3時間加熱を続け、次に、周囲温度で16時間撹拌する。生成する沈殿をろ別し、低温エタノールおよびジエチルエーテルで洗浄し、その後、乾燥させることにより、予測される生成物を単離することを可能にする。
【0114】
ステップB:1−アミノ−2−フェニルエチルホスフィン酸
臭化水素酸500ml中の上記ステップAの化合物181.1gを、110〜120℃で2時間加熱する。その後、混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水で希釈して、ジエチルエーテルで抽出する。水相を濃縮して、無水エタノール600mlを残渣に添加する。予め冷却したプロピレンオキシド60mlを、0℃に保持した反応混合物に緩やかに添加する。冷却すると沈殿する、予測される生成物をろ別し、ジエチルエーテルで洗浄し、その後、乾燥させる。
【0115】
ステップC:1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチルホスフィン酸
4M 水酸化ナトリウム溶液110mlを、水120ml中のステップBの化合物49.4gの懸濁液に添加する。反応混合物を0℃にし、その後、クロロギ酸ベンジル45.5mlを1時間かけて添加する。混合物を0℃で1時間撹拌し、そして、2M水酸化ナトリウム溶液を添加することにより、溶液のpHを9〜10にしながら、周囲温度で4時間撹拌する。その後、混合物を周囲温度で一晩撹拌し、その後、ジエチルエーテルで抽出した。6M 塩酸を添加することにより、水相を酸性化する。予測される生成物が沈殿し、ろ別し、水およびジエチルエーテルで洗浄し、その後、Pで乾燥させる。
【0116】
ステップD:(1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチルホスフィン酸
無水エタノール1000ml中の上記ステップCの化合物83.4gの溶液を、加熱還流する。エタノール170ml中のR−(+)−N,N−(フェニル)(エチル)アミン34.4mlの溶液を、反応混合物に緩やかに添加する。15分後、反応混合物を周囲温度にして、4℃で一晩冷却する。生成する沈殿をろ別し、無水タノールおよびジエチルエーテルで洗浄する。固体を無水エタノール445mlで再結晶化させる。得られる塩を6M 塩酸300mlに懸濁させ、2〜3時間撹拌する。固体をろ別し、HOおよびEtOで洗浄し、その後、Pで乾燥させる。
光学回転[α]20=−46.7°(絶対エタノール中の1%)
【0117】
ステップE:(1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル−[2−(エトキシカルボニル)−4−ペンチニル]ホスフィン酸
製造例1の化合物1.3mmolを、アルゴン雰囲気下、110℃で1時間加熱する、上記ステップDの化合物1mmolとHMDS 5mmolとの混合物に滴下する。反応混合物を100〜105℃で更に3時間加熱する。その後、70℃に冷却し、無水エタノールをアルゴン雰囲気下で少量ずつ添加する。その温度で、更に15分間、撹拌を続ける。その後、溶媒を減圧下で留去する。シリカゲルのクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/酢酸:7/0.3/0.3)により、予測される生成物を単離することを可能にする。
【0118】
ステップF:2−{[(1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル(ヒドロキシ)ホスホリル]メチル}−4−ペンチン酸
エタノール9ml中の上記ステップEの化合物1mmolの溶液を、0℃に冷却する。1M 水酸化ナトリウム5〜6mmolを少量ずつ添加し、その後、反応混合物を周囲温度で6〜8時間撹拌する。2M HClでの酸性化後、エタノールを蒸発させ、残渣を水に取り、酢酸エチルで抽出する。有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、その後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させる。ジエチルエーテル/石油エーテル混合物から沈殿させることにより、予測される生成物を得る。
【0119】
製造例3:3−[((1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル)(ヒドロキシ)ホスホリル]−2−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]プロパン酸
【0120】
ステップA:2−{[((1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル)(ヒドロキシ)ホスホリル]メチル}−4−ペンチン酸
文献(A. Makaritis et al., Chem. Eur. J. 2003, 9, 2079-2094)に記載される手順に従い、この化合物を得る。
【0121】
ステップB:3−[((1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル)(ヒドロキシ)ホスホリル]−2−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]プロパン酸
文献(A. Makaritis et al., Chem. Eur. J. 2003, 9, 2079-2094)に記載される手順に従い、ベンズアルデヒドオキシムを用いて、上記ステップAの化合物上で、1,3−双極子付加環化を実行する。
【0122】
実施例1:
(5R,8R,11S)−5−ベンジル−6−ヒドロキシ−11−(1H−インドール−3−イルメチル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
【0123】
ステップA:(1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル−[2−({[(1S)−1−(1H−インドール−3−イルメチル)−2−メトキシ−2−オキソエチル]アミノ}カルボニル)−4−ペンチニル]ホスフィン酸
ジクロロメタン20ml中の製造例2の化合物1mmolの懸濁液に、ジイソプロピルエチルアミン3mmol、1−トリプトファンメチルエステル クロリド1mmol、HOBt1mmolおよびEDC・HCl 4mmolを添加する。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌し、その後、ジクロロメタンで希釈する。その後、1M 塩酸を添加して、二相を形成させる。有機相を1M HClで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後、減圧下で濃縮する。ジエチルエーテル/石油エーテル混合物から、沈殿させることにより、予測される生成物を得る。
【0124】
ステップB:(1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル−{3−{[(1S)−1−(1H−インドール−3−イルメチル)−2−メトキシ−2−オキソエチル]アミノ}−3−オキソ−2−[(3−フェニル−4−イソキサゾリル)メチル]プロピル}ホスフィン酸
ベンズアルドキシム6mmolをクロロホルム5mlに溶解し、その溶液にピリジン2滴を添加する。その後、N−クロロスクミンイミド6mmolを添加して、周囲温度での10分間撹拌後、反応混合物を45℃で3〜4時間撹拌する。その後、上記ステップAの化合物1mmolおよびトリエチルアミン7mmolを添加する。反応混合物を45℃で96時間撹拌し、その後、減圧下で濃縮して、残渣を酢酸エチルに取り、1M HClおよび飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。ジエチルエーテル/石油エーテル混合物から、沈殿させることにより、予測される生成物を得る。
【0125】
ステップC:(5R,8,11S)−5−ベンジル−6−ヒドロキシ−11−(1H−インドール−3−イルメチル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−4−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
【0126】
ステップEの化合物の代わりに、上記ステップBの化合物を用い、製造例1のステップFの手順に従い、生成物を得る。
【0127】
ステップD:(5R,8R,11S)−5−ベンジル−6−ヒドロキシ−11−(1H−インドール−3−イルメチル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−4−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
250×30mm AITカラム(固定相:5μm、孔径100ÅのKromasil C18ビーズ)を用い、アセトニトリル40%および83.3mM ギ酸アンモニウム60%の組成の、pH6.4の緩衝液で、イソクラティックモードで、上記ステップCの化合物を精製することにより、(R,R,S)ジアステレオ異性体を得た。
質量分析(ES/MS)=733.2Da。
【0128】
実施例2:
(5R,8R,11S)−5,11−ジベンジル−6−ヒドロキシ−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
【0129】
ステップA:2−({[(1S)−1−ベンジル−2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル]アミノ}カルボニル)−4−ペンチニル−((1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル)−ホスフィン酸
1−トリプトファンメチルエステル クロリドの代わりに、L−フェニルアラニン O−ジ−tert−ブチルエステル クロリドを用い、実施例1のステップAに記載される手順に従い、この化合物を得る。
【0130】
ステップB:3−({[(1S)−1−ベンジル−2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル]アミノ}−3−オキソ−2−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]プロピル((1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル)−ホスフィン酸
上記ステップAの化合物を用い、実施例1のステップBに記載される手順に従い、この化合物を得る。生成物は、シリカゲルのクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/酢酸:7/0.3/0.3)により精製する。
【0131】
ステップC:(5R,8,11S)−5,11−ジベンジル−6−ヒドロキシ−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
上記ステップBの化合物を、85/2.5/10/2.5の割合の、トリフルオロ酢酸、トリイソプロピルアミン、ジクロロメタンおよび水と反応させることにより、生成物を得る。
【0132】
ステップD:(5R,8R,11S)−5,11−ジベンジル−6−ヒドロキシ−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
セミ分取用250×10mm AITカラム(固定相:10μm、孔径100ÅのKromasil C18ビーズ)を用い、イソクラティックモードで、上記ステップCの化合物を精製することにより、(R,R,S)ジアステレオ異性体を得た。酸条件下でのイソクラティック溶出:アセトニトリル52%;トリフルオロ酢酸0.1%。
質量分析(ES/MS)=694.3Da。
【0133】
実施例3:
(5R,8R,11S)−5−ベンジル−6−ヒドロキシ−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
【0134】
ステップA:(1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル−[2−({[(1S)−2−tert−ブトキシ−1−(4−tert−ブトキシベンジル)−2−オキソエチル]アミノ}カルボニル)−4−ペンチニル]ホスフィン酸
1−トリプトファンメチルエステル クロリドの代わりに、L−チロシン O−ジ−tert−ブチルエステル クロリドを用い、実施例1のステップAに記載される手順に従い、この化合物を得る。
【0135】
ステップB:(1R)−1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−フェニルエチル−{3−{[(1S)−2−tert−ブトキシ−1−(4−tert−ブトキシベンジル)−2−オキソエチル]アミノ}−3−オキソ−2−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]プロピル}ホスフィン酸
上記ステップAの化合物を用い、実施例2のステップBに記載される手順に従い、この化合物を得る。
【0136】
ステップC:(5R,8,11S)−5−ベンジル−6−ヒドロキシ−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
上記ステップBの化合物を用い、実施例3のステップCに記載される手順に従い、この化合物を得る。
【0137】
ステップD:(5R,8R,11S)−5−ベンジル−6−ヒドロキシ−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
セミ分取用250×10mm AITカラム(固定相:10μm、孔径100ÅのKromasil C18ビーズ)を用い、イソクラティックモードで、上記ステップCの化合物を精製することにより、(R,R,S)ジアステレオ異性体を得る。酸条件下でのイソクラティック溶出:アセトニトリル43%;トリフルオロ酢酸0.1%。
質量分析(ES/MS)=711.3Da。
【0138】
実施例4:(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9,12,16−テトラオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2,13,15−トリオキサ−4,10−ジアザ−17,17−ジメチルオクタデカン−6−ホスフィン酸
【0139】
ステップA:N−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−[(tert−ブトキシカルボニル)オキシ]フェニルアラニン
pH12になるまで、水酸化カリウムをN−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−ヒドロキシフェニルアラニン10mmolの溶液に添加する。反応混合物をアイスバスで冷却し、BocO 1.5当量を添加し、その後、固体水酸化カリウムを添加することにより、溶液のpHを12に保持しながら、混合物を周囲温度に戻す。2時間後に、BocO0.5当量を更に添加する。18時間後に、混合物を減圧下で濃縮し、水相をEtO/石油エーテルの混合物(1/1)で抽出する。pH1になるまで、水相を2M HClで低温状態で、酸性化し、その後、酢酸エチルで抽出する。クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール:9.5/0.5)が、予測される生成物を単離することを可能にする。
【0140】
ステップB:[(2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−{4−[(tert−ブトキシカルボニル)オキシ]フェニル}プロパノイル)オキシ]メチル ピバラート
クロロホルム15ml中の上記ステップAの化合物2.5mmolの溶液に、(nBu)NHSO(0.5当量)、トリエチルアミン(2当量)、ヨウ化ナトリウム(1当量)およびクロロメチル ピバラート(2当量)を添加する。反応混合物を18時間還流し、その後、濃縮する。残渣をジエチルエーテルに溶解し、水、2回の0.5M HCl、2回の5%NaHCOおよび水で抽出する。有機相を濃縮し、クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:9.9/0.1〜ら9.5/0.5)が、予測される生成物を単離することを可能にする。
【0141】
ステップC:[(2−アミノ−3−{4−[(tert−ブトキシカルボニル)オキシ]フェニル}プロパノイル)オキシ]メチル−2,2−ジメチル プロパノアート 塩酸
上記ステップBの化合物2mmolをエタノール/水の混合物(2/1)に溶解し、pHが1になるまで、0.5M HCl数滴を添加する。反応混合物を、触媒としてのPd/C(300mg)の存在下、水素フラスコ(hydrogen flask)の補助により水素化する。2.5時間後に、混合物をCeliteでろ過し、その後、蒸発乾固して、予測される生成物を得る。
【0142】
ステップD:(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−{4−[(tert−ブトキシカルボニル)オキシ]ベンジル}−3,9,12,16−テトラオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2,13,15−トリオキサ−4,10−ジアザ−17,17−ジメチルオクタデカン−6−ホスフィン酸
ジクロロメタン7ml中の製造例3の化合物1.3mmolの懸濁液に、ジイソプロピルエチルアミン3当量、上記ステップCの化合物1当量、HOBt 1当量およびEDC・HCl 5当量を添加する。反応混合物を75分間撹拌し、その後、減圧下で濃縮する。残渣を酢酸エチル/ジエチルエーテルの混合物(9/1)50mlに溶解し、その後、4回の1M HCl、HO、3回の5%NHHCO、HO、2回の5%NaHCO、HO、1M HCl、および、その後ブラインで抽出する。有機相を濃縮し、クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/酢酸:9.5/0.4/0.1)が、予測される生成物を単離することを可能にする。
【0143】
ステップE:(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9,12,16−テトラオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2,13,15−トリオキサ−4,10−ジアザ−17,17−ジメチルオクタデカン−6−ホスフィン酸
上記ステップDの化合物1mmolを、ギ酸10mlおよびトリイソプロピルシラン200μlに溶解する。反応混合物を周囲温度で50分間撹拌し、その後、減圧下で濃縮する。残渣を酢酸エチルに溶解し、2回のブライン、2回の5%NaHCO、ブライン、1M HClおよびブラインで抽出する。有機相を濃縮して、予測の生成物を得る。
質量分析(MS−ESI)=826.3(M+H)
【0144】
実施例5:
(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9,12−トリオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2,13−ジオキサ−4,10−ジアザペンタデカン−6−ホスフィン酸
【0145】
ステップA:2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−{4−[(tert−ブトキシカルボニル)オキシ]フェニル}エチル プロパノアート
無水エタノール5ml中の実施例4のステップAの化合物4mmolの溶液に、HOBt(1.1当量)、EDC・HCl(1.1当量)、DMAP(触媒量)およびDIPEA(1.1当量)を添加する。反応混合物を周囲温度で18時間撹拌し、その後、濃縮する。残渣をジエチルエーテルに溶解し、水、2回の0.5M HCl、2回の5%NaHCOおよび水で抽出する。水相をNaSOで乾燥させ、その後、濃縮して、予測される生成物を得る。
【0146】
ステップB:2−アミノ−3−{4−[(tert−ブトキシカルボニル)オキシ]フェニル}エチル プロパノアート 塩酸
上記ステップAの化合物を用い、実施例4のステップCの手順に従い、生成物を得る。
【0147】
ステップC:(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−{4−[(tert−ブトキシカルボニル)オキシ]ベンジル}−3,9,12−トリオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2,13−ジオキサ−4,10−ジアザペンタデカン−6−ホスフィン酸
上記ステップBの化合物を用い、実施例4のステップDの手順に従い、生成物を得る。
【0148】
ステップD:(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9,12−トリオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2,13−ジオキサ−4,10−ジアザペンタデカン−6−ホスフィン酸
上記ステップCの化合物を用い、実施例4のステップEの手順により、生成物を得た。
質量分析(MS−ESI)=740.2(M+H)
【0149】
実施例6:
(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9,12,17−テトラオキソ−1,17−ジフェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2,13−ジオキサ−4,10−ジアザ−16−チアヘプタデカン−6−ホスフィン酸
【0150】
ステップA:2−(ベンゾイルスルファニル)−3−(4−tert−ブトキシフェニル)−2−{[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]アミノ}エチル プロパノアート
実施例4のステップAの化合物の代わりに、FmocTyr(OBu)(OH)を用い、そしてジクロロメタン中の無水エタノールの代わりに、PhCOSCHCHOH(文献:I. Lefebvre et al., J. Med. Chem., 1995, 38, 3941-3950に記載されている)を用い、実施例5のステップAの手順に従い、化合物を得る。
【0151】
ステップB:2−(ベンゾイルスルファニル)−2−アミノ−3−(4−tert−ブトキシフェニル)エチル プロパノアート
上記ステップAの化合物1.5mmolをジメチルホルムアミド12mlおよびジエチルアミン3当量に溶解する。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌し、その後、減圧下で濃縮する。残渣を酢酸エチルに溶解し、3回の水、およびブラインで抽出する。クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール:9.5/0.5)と、その後の、石油エーテル/ジエチルエーテルの混合物(2/1)からの沈殿が、予測される生成物を単離することを可能にする。
【0152】
ステップC:(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−tert−ブトキシベンジル)−3,9,12,17−テトラオキソ−1,17−ジフェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2,13−ジオキサ−4,10−ジアザ−16−チアヘプタデカン−6−ホスフィン酸
上記ステップBの化合物を用い、実施例4のステップDの手順に従い、生成物を得る。
【0153】
ステップD:(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9,12,17−テトラオキソ−1,17−ジフェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2,13−ジオキサ−4,10−ジアザ−16−チアヘプタデカン−6−ホスフィン酸
上記ステップCの化合物を用い、実施例4のステップEの手順に従い、生成物を得る。
質量分析(MS−ESI)=874.3(M−H)
【0154】
実施例7:
(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−4−(tert−ブトキシベンジル)−6−[2−(エタンチオアート)エトキシ]−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
【0155】
ステップA:(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−tert−ブトキシベンジル)−3,9,12−トリオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2,13−ジオキサ−4,10−ジアザ−14,14−ジメチルペンタデカン−6−ホスフィン酸
製造例3の化合物およびHCl・HTyr(OBu)OBuを用い、実施例4のステップDの手順に従い、生成物を得る。
【0156】
ステップB:tert−ブチル (5R,8,11S)−5−ベンジル−11−4−(tert−ブトキシベンジル)−6−[2−(エタンチオアート)エトキシ]−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−オアート 6−オキシド
上記ステップAの化合物0.36mmolをジメチルホルムアミド4mlに溶解し、その後、DIPEA 3当量、CHCOSCHCHOH(I. Lefebvre et al., J. Med. Chem., 1995, 38, 3941-3950)3当量およびPyPOB 3当量を添加する。反応混合物を周囲温度で48時間撹拌し、その後、酢酸エチルで希釈する。有機相を、4回の1M HCl、HO、3回の5%NHHCO、2回の1M HCl、および、その後ブラインで抽出する。有機相を乾燥させ、その後、濃縮する。クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール:9.8/0.2)が、予測される生成物を単離することを可能にする。
【0157】
ステップC:(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−4−(tert−ブトキシベンジル)−6−[2−(エタンチオアート)エトキシ]−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
上記ステップBの化合物を用い、実施例4のステップEの手順に従い、生成物を得る。
質量分析(MS−ESI)=814.3(M+H)
【0158】
実施例8:
エチル (5R,8,11S)−5−ベンジル−6−エトキシ−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−オアート 6−オキシド
【0159】
ステップA:エチル (5R,8,11S)−5−ベンジル−11−{4−[(tert−ブトキシカルボニル)オキシ]ベンジル}−6−エトキシ−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−オアート 6−オキシド
実施例5のステップCの化合物およびエタノールを用い、実施例7のステップBの手順に従い、生成物を得る。
【0160】
ステップB:エチル (5R,8,11S)−5−ベンジル−6−エトキシ−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−オアート 6−オキシド
上記ステップAの化合物を用い、実施例4のステップEの手順に従い、生成物を得る。
質量分析(MS−ESI)=768.3(M+H);790.3(M+Na
【0161】
実施例9:
エチル (5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−ヒドロキシベンジル)−6−[2−メチル−1−(プロピオニルオキシ)プロポキシ]−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−オアート 6−オキシド
【0162】
ステップA:エチル (5R,8,11S)−5−ベンジル−11−{4−[(tert−ブトキシカルボニル)オキシ]ベンジル}−6−[2−メチル−1−(プロピオニルオキシ)プロポキシ]−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−オアート 6−オキシド
実施例5のステップCの化合物およびBrCH(CH(CH)OCOEt(M. Neuenschwander et al., Helv. Chim. acta, 1978, 61, 2047-2058)を用い、実施例7のステップBの手順に従い、生成物を得る。
【0163】
ステップB:エチル (5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−ヒドロキシベンジル)−6−[2−メチル−1−(プロピオニルオキシ)プロポキシ]−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−オアート 6−オキシド
上記ステップAの化合物を用い、実施例4のステップEの手順に従い、生成物を得る。
質量分析(MS−APCI)=868.4(M+H);885.5(M+NH
【0164】
実施例10:
(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−ヒドロキシベンジル)−6−[2−メチル−1−(プロピオニルオキシ)プロポキシ]−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
【0165】
ステップA:tert−ブチル (5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−tert−ブトキシベンジル)−6−[2−メチル−1−(プロピオニルオキシ)プロポキシ]−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−オアート 6−オキシド
実施例5のステップCの化合物の代わりに実施例7のステップAの化合物を用い、実施例9のステップAの手順に従い、生成物を得る。
質量分析(MS−ESI)=974.5(M+Na
【0166】
ステップB:(5R,8,11S)−5−ベンジル−11−(4−ヒドロキシベンジル)−6−[2−メチル−1−(プロピオニルオキシ)プロポキシ]−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド
上記ステップAの化合物を用い、実施例4のステップEの手順に従い、生成物を得る。
質量分析(MS−ESI)=838.5(M−H)
【0167】
本発明の化合物の薬理学的研究
【0168】
実施例A:
アンギオテンシン変換酵素(ACE)およびエンドセリン変換酵素(ECE)についての、インビトロの阻害効果
【0169】
特異性を比較するために、実施例の化合物を、2種の酵素:ACE(組換えヒト型)およびECE(イソフォームECE−1cの組換えヒト型)について、試験した。
【0170】
試験は、96穴プレート中で、重復して実施された。クエンチされた蛍光基質を添加する前に、阻害剤を、酵素と共に、45分間インキュベートした。発光した蛍光を検出し、Fluoroscan Ascentプレートリーダー(Thermo-Labsystems)で測定した。用いた蛍光発生基質は、ACEでは、Mca−Arg−Pro−Pro−Gly−Phe−Ser−Pro−DpaCOOH(5μM)であり、そしてECEでは、Mca−Arg−Pro−Pro−Gly−Phe−Ser−Ala−Phc−Lys(Dnp)COOH(5μM;R&D Systems)である。
【0171】
本発明の化合物は、ACEおよびECEの良好な阻害を示し、それぞれ、IC50値が25nMおよび8nMである。
【0172】
得られた結果を、以下の表にまとめる。
【0173】
【表1】

【0174】
実施例B:
医薬組成物
実施例1の化合物 5g
小麦でんぷん 20g
とうもろこしデンプン 20g
ラクトース 30g
ステアリン酸マグネシウム 2g
シリカ 1g
ヒドロキシプロピルセルロース 2g
のうちの5mgをそれぞれ含む錠剤1000錠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


(式中、
は、水素原子、または、各アルキル部分が直鎖状もしくは分枝状の可能性がある、(C〜C)アルキルカルボニルオキシ−(C〜C)アルキル、および、各アルキル部分が直鎖状もしくは分枝状の可能性がある、(C〜C)アルキルカルボニルチオ−(C〜C)アルキルから選択される基を表し、
は、水素原子、または、各アルキル部分が直鎖状もしくは分枝状の可能性がある、(C〜C)アルキルカルボニルオキシ−(C〜C)アルキル、アルキル部分が直鎖状もしくは分枝状の可能性がある、アリールカルボニルチオ−(C〜C)アルキル、および、アルキル部分が直鎖状もしくは分枝状の可能性があり、アリール部分が(C〜C)アルキルカルボニルオキシ基により、場合により置換されている、アリール−(C〜C)アルキルから選択される基を表し、
は、ヒドロキシ基により、場合により置換されているフェニル基を表すか、またはRは、3−インドリル基を表す、あるいは
が、ヒドロキシ基により置換されているフェニル基を表す場合、Rは、直鎖状または分枝状(C〜C)アルキル基を表すこともでき、Rは、直鎖状または分枝状(C〜C)アルキル基を表す)
で示される化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、および薬学的に許容され得る塩基でのその付加塩、ならびにその水和物および溶媒和物。
【請求項2】
およびRが、それぞれ水素原子を表すことを特徴とする、請求項1記載の式(I)で示される化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、および薬学的に許容され得る塩基でのその付加塩。
【請求項3】
が、水素原子を表し、Rが、ヒドロキシ基により置換されているフェニル基を表すことを特徴とする、請求項1または2のいずれか記載の式(I)で示される化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、および薬学的に許容され得る塩基でのその付加塩。
【請求項4】
が、水素原子を表し、Rが、ヒドロキシ基により置換されているフェニル基を表すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の式(I)で示される化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、および薬学的に許容され得る塩基でのその付加塩。
【請求項5】
− (5R,8R,11S)−5−ベンジル−6−ヒドロキシ−11−(1H−インドール−3−イルメチル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド、
− (5R,8R,11S)−5,11−ジベンジル−6−ヒドロキシ−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド、
− (5R,8R,11S)−5−ベンジル−6−ヒドロキシ−11−(4−ヒドロキシベンジル)−3,9−ジオキソ−1−フェニル−8−[(3−フェニル−5−イソキサゾリル)メチル]−2−オキサ−4,10−ジアザ−6−ホスファドデカン−12−酸 6−オキシド、
である、請求項1記載の式(I)で示される化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、および薬学的に許容され得る塩基でのその付加塩。
【請求項6】
出発原料として、ジフェニルメタンアミン クロリドを用い、それを、ホスフィン酸:HPOの存在下、フェニルアセトアルデヒド、および塩酸と反応させて、式(II):
【化2】


で示される化合物を得、式(II)で示される化合物を、水性臭化水素酸の作用に付し、式(III):
【化3】


で示される化合物を得、式(III)で示される化合物を、塩基性媒体中、クロロギ酸ベンジルと反応させて、式(IV):
【化4】


で示される化合物を得、式(IV)で示される化合物を、R−(+)−N,N−(フェニル)(エチル)アミンの存在下に置き、その後、塩酸の作用に付し、式(IV)で示される化合物のR鏡像異性体である式(R−IV):
【化5】


で示される化合物を得、式(R−IV)で示される化合物を、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの存在下、式(V):
【化6】


で示される化合物と反応させ、式(R−VI):
【化7】


で示される化合物を得、式(R−VI)で示される化合物を水酸化ナトリウムの溶液と反応させて、式(R−VII):
【化8】


で示される化合物を得、式(V−II)で示される化合物を、
1)ジイソプロピルエチルアミン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド クロリドの存在下、式(VIII):
【化9】


(式中、R’は、直鎖状または分枝状(C〜C)アルキル基を表し、R’は、フェニル(直鎖状または分枝状(C〜C)アルコキシ基により場合により置換されている)および3−インドリルから選択される基を表す)
で示される化合物の作用に付し、式(R,S−IX):
【化10】


(式中、R’およびR’は、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、式(R,S−IX)で示される化合物を、塩基性媒体中、N−クロロスクシンイミドの存在下、ベンズアルドキシムと反応させて、式(R,S−X):
【化11】


(式中、R’およびR’は、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、式(R,S−X)で示される化合物を酸媒体に置き、式(I)で示される化合物の特定の場合である式(I/a):
【化12】


(式中、RおよびRは、式(I)に関して定義したとおりである)
で示される化合物を得るか、
2)あるいは、式(R,S−IX)で示される化合物と同様の条件に付し、式(R−XI):
【化13】


で示される化合物を得、式(R−XI)で示される化合物を、
A/ ジイソプロピルエチルアミン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド クロリドの存在下、式(XII):
【化14】


(式中、Rは、先に定義したとおりであり、PGは、当業者に周知の、フェノール官能基用の保護基を表す)
で示される化合物の作用に付し、式(R,S−XIII):
【化15】


(式中、RおよびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、式(R,S−XIII)で示される化合物のフェノール官能基を、当業者に周知の有機化学の慣用的技術により脱保護して、式(I)で示される化合物の特定の場合である式(I/b):
【化16】


(式中、Rは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得るか、
B/ または、前述と同様の条件下、式(XIV):
【化17】


(式中、R’およびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物の作用に付し、式(R,S−XV):
【化18】


(式中、R’およびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、式(R,S−XV)で示される化合物を、
α)ヨウ化ナトリウム、(nBu)NHSOおよびトリエチルアミンの存在下、式(XVI):
【化19】


(式中、RおよびRは、それぞれ、他とは独立して、直鎖状または分枝状(C〜C)アルキル基を表す)
で示される化合物の作用に付し、式(R,S−XVII):
【化20】


(式中、R、R、R’およびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得るか、
β)もしくは、PyBOPおよびジイソプロピルエチルアミンの存在下、式(XVIII):
【化21】


(式中、RおよびRは、先に定義したとおりである)
で示される化合物の作用に付し、式(R,S−XIX):
【化22】


(式中、R、R、R’およびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、
式(R,S−XVII)および(R,S−XIX)で示される化合物は、式(R,S−XX):
【化23】


(式中、Rは、式(I)に関して定義したとおりであり、R’およびPGは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を構成し、式(R,S−XX)で示される化合物のフェノール官能基およびカルボン酸官能基を、当業者に周知の有機化学の慣用的技術により脱保護して、式(I)で示される化合物の特定の場合である式(I/c):
【化24】


(式中、Rは、先に定義したとおりである)
で示される化合物を得、
式(I/a)、(I/b)および(I/c)で示される化合物を、所望により、従来の分離技術により、それらの立体異性体に分離し、必要に応じて、従来の精製技術により、精製して、所望により、薬学的に許容され得る塩基でそれらの付加塩に変換することを特徴とする、請求項1記載の式(I)で示される化合物の製造方法。
【請求項7】
活性成分として、請求項1〜5のいずれか1項記載の少なくとも1種の化合物を、1種以上の、薬学的に許容され得る、不活性で、非毒性の賦形剤または担体と組合せて含む医薬組成物。
【請求項8】
動脈高血圧およびその合併症(肺動脈高血圧、心筋虚血、狭心症、心不全、血管症、腎症、糖尿病性網膜症、動脈硬化症および血管形成後の再狭窄、急性または慢性腎不全、発作およびくも膜下出血を含む脳血管疾患、ならびに末梢性虚血を含む)の処置用の医薬の製造に使用される、請求項7記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2008−531661(P2008−531661A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557535(P2007−557535)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000446
【国際公開番号】WO2006/092495
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【出願人】(507294524)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE(CEA)
【Fターム(参考)】