説明

ホッパ清浄機能を有する舗装機械

【課題】 従来の舗装機械は、舗装材を収容するホッパの清浄をその都度作業員の手で行うため、手間が掛かっていた。
【解決手段】 アスファルトフィニッシャ1は、舗装材を収容するホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の各内面に洗浄液を撒布する撒布機構を備える。このため、舗装材を収容して囲むホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の各内面に洗浄液が撒布されることで、ホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の各内面が洗浄され、また、これら各部に舗装材が付着するのが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装材を収容するホッパを備えた舗装機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のホッパを備えた舗装機械としては、例えばアスファルトフィニッシャがある。アスファルトフィニッシャは、ホッパに投入されたアスファルト合材(以下、舗装材という)をコンベヤにより後方へ搬送して路面に落下させ、スクリュスプレッダで路面に撒く。路面に撒かれた舗装材は、ストライクオフにより供給量が調整されて、タンパ装置に供給される。タンパ装置は、タンパモータの駆動によりタンパエッジを上下動させて、路面に撒かれた舗装材を突き固める。突き固められた舗装材はスクリードプレートで敷き均される。
【0003】
ストライクオフおよびスクリードプレートは、例えば、特許文献1に開示されるように、加熱装置によって加熱されるため、舗装面が平滑にアイロン仕上げされると共に、ストライクオフやスクリードプレートに舗装材などが付着するのが防止される。また、ストライクオフおよびスクリードプレートの加熱の際の余熱によりタンパエッジも加熱されて、舗装材などがタンパエッジに付着するのも防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−252012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のアスファルトフィニッシャは、ストライクオフやタンパエッジに舗装材が付着するのは防止されるが、収容した舗装材の周囲を囲むホッパの側壁内面には付着してしまう。このため、付着したこの舗装材は、従来、作業員がホッパの中に入ってホッパの側壁内面に洗浄液を噴霧機にて噴霧することにより、取り除かれていた。従って、上記従来のアスファルトフィニッシャは、ホッパの側壁内面の洗浄をその都度作業員の手で行うため、手間が掛かっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
供給される舗装材をその周囲を側壁で囲んで収容するホッパと、
このホッパの側壁の内面に洗浄剤を撒布する撒布機構と
を備えて、ホッパ清浄機能を有する舗装機械を構成した。
【0007】
この構成によれば、撒布機構により、ホッパの側壁の内面に洗浄剤が撒布されることで、ホッパの側壁の内面が洗浄され、また、ホッパの側壁の内面に舗装材が付着するのが防止される。このため、作業員がホッパの中に入り、ホッパの側壁の内面に洗浄液を噴霧してホッパの側壁内面を従来のようにその都度洗浄しなくてすむようになる。従って、舗装作業後に、ホッパの側壁内面の洗浄を作業員の手で行わずにすみ、また、舗装作業前に、ホッパの側壁内面に洗浄剤を撒布しておくことで舗装材が付着し難くなる。
【発明の効果】
【0008】
この結果、本発明によるホッパ清浄機能を有する舗装機械によれば、ホッパの側壁内面の洗浄および舗装材の付着防止をする保守に、手間が掛からなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態によるアスファルトフィニッシャの構成を示す側面図である。
【図2】(a)は、図1に示すアスファルトフィニッシャのホッパ部分の車台を示す平面図、(b)は(a)に示す車台の側面図である。
【図3】図2に示すアスファルトフィニッシャのホッパ部分の正面図である。
【図4】図1に示すアスファルトフィニッシャが備える撒布機構の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明によるホッパ清浄機能を有する舗装機械をアスファルトフィニッシャに適用した場合における、本発明を実施するための一形態について説明する。
【0011】
アスファルトフィニッシャ1は、ダンプトラックから供給されるアスファルト加熱混合物を舗装材として収容するホッパ2が、車体の前部に設けられている。ホッパ2の底には、ホッパ2に供給された舗装材を搬送するコンベヤが設けられており、コンベヤの後方の車体下部にはスクリュスプレッダが設けられている。スクリュスプレッダは、スクリュ軸の外周にスクリュ羽根が形成されており、スクリュ軸が定速回転するのに伴いスクリュ羽根が旋回し、コンベヤから供給されて路面R上に落下した舗装材を路面Rの幅方向に撒き拡げる。車体の後方には、撒き拡げた舗装材を敷き均して舗装面を平滑に仕上げるスクリード装置5が設けられている。アスファルトフィニッシャ1は、車体の前方および後方に設けられた一対の前輪6L,6Rおよび一対の後輪7L,7Rによって進行方向である同図左方に走行し、スクリード装置5を牽引する。また、車体上部の運転席8には操作部9が設けられており、操作部9には、アスファルトフィニッシャ1の走行を操作する走行スイッチや、スクリード装置5を操作する操作レバーや操作スイッチなどが設けられている。
【0012】
図2(a)は、図1に示すアスファルトフィニッシャ1のホッパ2部分の車台を示す平面図、同図(b)は、同図(a)に示す車台の側面図である。また、図3は、図2に示すアスファルトフィニッシャ1のホッパ2部分の正面図である。
【0013】
アスファルトフィニッシャ1の車台に設けられたホッパ2は、横断面が略L字形をした翼を側壁2aL,2aRとして、アスファルトフィニッシャ1の機械中心線Cを中心に左右対象に有している。これら側壁2aL,2aRは、機械中心線C側に回動自在に、アスファルトフィニッシャ1の車台に取り付けられている。図3では、機械中心線Cから機械進行方向右側半分に側壁2aRが回動された状態が示されており、機械中心線Cから機械進行方向左側半分に回動していない状態の側壁2aLの横断面が示されている。また、ホッパ2の側壁2aL,2aR間の底部には上述したコンベヤ11L,11Rが機械中心線Cを中心に左右対象に設けられており、機械進行方向における前側のホッパ2の底部にはホッパエプロン2bが設けられている。また、ホッパ2の後部には、ホッパ2とエンジン等の積載物とを仕切る仕切り板10が後方側壁として立設されている。ホッパ2に収容される舗装材は、その周囲が側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の各内面で囲まれる。
【0014】
また、仕切り板10で仕切られた車台の後部には洗浄液タンク21が搭載されている。この洗浄液タンク21には、ホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の舗装材を囲む各内面に付着した舗装材を除去して洗浄する、また、ホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の舗装材を囲む各内面に舗装材が付着するのを防止する洗浄液が、洗浄剤として収納されている。また、洗浄液タンク21にはポンプ22が設けられており、ポンプ22にはホース23を介してバルブ24が接続されている。バルブ24には、ホース25Lを介して配管26L、ホース25Rを介して配管26Rが接続されている。配管26L,26Rは、ホース25L,25Rにつながる部分が、ホッパ2の側壁2aL,2aRの外面の下端部から上端部に垂直に延び、この上端部から側壁2aL,2aRを貫通して側壁2aL,2aRの内面に導かれ、ホッパ2の側壁2aL,2aRの内面上縁部に沿って配置されている。これらの配管26L,26Rには、ホッパ2の側壁2aL,2aRの垂直に立つ内面に噴出口が向けられたノズル30が、所定間隔で設けられている。また、バルブ24には、ホース27を介して配管29が接続されている。配管29は、仕切り板10の上縁部に沿って車台の幅方向に配置され、仕切り板10の垂直に立つ内面に噴出口が向けられたノズル31が、所定間隔で設けられている。洗浄液タンク21、ポンプ22、ホース23、バルブ24、ホース25L,25R,27、配管26L,26R,29およびノズル30,31は、アスファルトフィニッシャ1に備えられたホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の各内面に洗浄剤を撒布する撒布機構を構成している。アスファルトフィニッシャ1は、この撒布機構によりホッパ清浄機能を有している。
【0015】
図4(a)は、アスファルトフィニッシャ1が備える上述した撒布機構の構成を示したブロック図である。なお、図4において図2および図3と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0016】
洗浄液タンク21に収納されている洗浄液は、ポンプ22が発生する送圧力によってホース23を介してバルブ24へ送出される。バルブ24は、通常閉じていてホース23からの洗浄液の流れを阻止している。ポンプ22と洗浄液タンク21との間には、バルブ24が開いていない状態において、洗浄液をポンプ22から洗浄液タンク21に戻し、洗浄液タンク21とポンプ22との間で循環させるリリーフ経路33が設けられている。バルブ24は、操作部9などに備えられたスイッチ32の操作に応じて、ホース23からの洗浄液を流路を切り換えて流す。つまり、スイッチ32の操作により、ホッパ2の側壁2aL,2aRの内面に洗浄液を撒布する信号を受けると、バルブ24は、ホース23からの洗浄液をホース25L,25R側に切り換えて流し、配管26L,26Rに設けられた各ノズル30からホッパ2の側壁2aL,2aRの内面に洗浄液を噴霧して撒布させる。また、スイッチ32の操作により、仕切り板10の内面に洗浄液を撒布する信号を受けると、バルブ24は、ホース23からの洗浄液をホース27側に切り換えて流し、配管29に設けられた各ノズル31から仕切り板10の内面に洗浄液を噴霧して撒布させる。また、スイッチ32の操作により、ホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の各内面に洗浄液を撒布する信号を受けると、バルブ24は、ホース23からの洗浄液をホース25L,25Rおよびホース27に流し、配管26L,26Rに設けられた各ノズル30からホッパ2の側壁2aL,2aRの内面に洗浄液を噴霧して撒布させると共に、配管29に設けられた各ノズル31から仕切り板10の内面に洗浄液を噴霧して撒布させる。
【0017】
このような本実施形態によるアスファルトフィニッシャ1によれば、上述した撒布機構により、上記のように、スイッチ32が操作されてポンプ22から送出される洗浄液がバルブ24からホース25L,25R,27へ流され、ホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の各内面に各ノズル30,31から洗浄液が撒布されることで、ホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の各内面が洗浄され、また、ホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の各内面に舗装材が付着するのが防止される。このため、作業員がホッパの中に入り、ホッパ2の側壁2aL,2aRや仕切り板10の各内面に洗浄液を噴霧して従来のようにその都度洗浄しなくてすむようになる。従って、舗装作業後に、ホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の各内面の洗浄を作業員の手で行わずにすみ、また、舗装作業前に、ホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の各内面に洗浄剤を撒布しておくことで舗装材が付着し難くなる。この結果、本発明によるホッパ清浄機能を有するアスファルトフィニッシャ1によれば、ホッパ2の側壁2aL,2aRや仕切り板10の各内面を洗浄したり、舗装材の付着防止をする保守に、手間が掛からなくなる。
【0018】
なお、上記実施形態では、ポンプ22を駆動状態にしておき、スイッチ32の操作に応じてバルブ24を開いて、洗浄液の流路を切り換えて各ノズル30,31から洗浄液を撒布する構成としたが、本発明はこれに限られることはない。例えば、図4(b)に示すように、スイッチ32をポンプ22に接続し、バルブ24を開いた状態にしておき、スイッチ32の操作に応じてポンプ22を駆動制御するように構成してもよい。この構成では、スイッチ32がオン操作されるとポンプ22から洗浄液が送出されてホース23を経由してバルブ24へ送出され、各ノズル30,31から洗浄液が撒布される。この構成によっても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0019】
また、上記実施形態では、配管26L,26Rおよび配管29を、ホッパ2の側壁2aL,2aRの内面上縁部および仕切り板10の上縁部に沿って配置させた構成について説明したが、本発明はこれに限られることはない。例えば、ホッパ2の側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の上縁部にブラケットを設け、このブラケットに配管26L,26Rおよび配管29を支持させて、配管26L,26Rおよび配管29並びに各ノズル30,31を側壁2aL,2aRおよび仕切り板10の上方の空中に配置させる構成にしてもよい。この構成によっても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【産業上の利用可能性】
【0020】
上記の実施形態においては、本発明によるホッパ清浄機能を有する舗装機械をアスファルトフィニッシャに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、リミキサやリペーバといった路上表層再生機などのホッパに本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0021】
1…アスファルトフィニッシャ
2…ホッパ
2aL,2aR…側壁
10…仕切り板
21…洗浄剤タンク
22…ポンプ
23,25L,25R,27…ホース
24…バルブ
26L,26R,29…配管
30,31…ノズル
32…スイッチ
33…リリーフ経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される舗装材をその周囲を側壁で囲んで収容するホッパと、
このホッパの前記側壁の内面に洗浄剤を撒布する撒布機構と
を備えるホッパ清浄機能を有する舗装機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−99203(P2011−99203A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252779(P2009−252779)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】