説明

ホルミルペプチドレセプター様1レセプターに対するリガンドとして有用な組成物およびその使用法

本発明者らは、CKβ8−1短縮改変体(CKβ8−1(25−116))が、2つの異なるGPCR(ケモカインレセプターCCR1およびホルミルペプチドレセプター様1(FPRL1))についての二機能性リガンドであることを発見した。それゆえ、本発明者らは、CCR1のその機能活性に加えて、CKβ8−1(25−116)はまた、単球および好中球を動員することによって、炎症反応および先天免疫に関与するGPCRレセプターFPRL1に対する機能性リガンドであることが発見した。さらに、本発明者らは、CKβ8−1(SHAAGtideと命名される)の選択的スプライシングを受けたエキソンを発見した。SHAAGtideは、その親ケモカインCKβ8−1(25−116)と共に、FPRL1を発現することが公知の単球および好中球の両方で完全に機能的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ホルミルペプチドレセプター様1レセプターに対するリガンドとして有用な組成物およびその使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
ケモカイン(走化性ケモカイン)は、病原との戦場に目印を付ける、Tリンパ球、好中球、およびマクロファージの動員および活性化についての分子ビーコンとして作用する。感染に対する抵抗を担う白色血液細胞である白血球の動員は、ケモカインの濃度に依存する。ケモカインは、多様な生物学的プロセス(白血球の輸送およびホーミング、免疫調節、造血、ならびに新脈管形成が挙げられる)を媒介する小タンパク質(8〜10KD)のスーパーファミリーである。今日までに、24のケモカインレセプターが知られている。ケモカインは、生来の免疫および炎症反応において基礎的な役割を果たしている(Baggioliniら(1994);Baggioliniら(1997);Rollins(1997))。4つのケモカインサブファミリーが、最初の2つの保存されたシステイン残基の間の距離;C、CC、CXC、CX3Cに基づいて記載されている。全ての公知のケモカインは、Gタンパク質共役レセプターおよびGファミリーの百日咳毒素感受性ヘテロトリマーGタンパク質に属する4つの群の7回膜貫通レセプター;XCR、CCR、CXCR、およびCX3CRを通じてシグナルを伝達する(Murphyら(2000))。細胞外結合現象は、種々の応答(例えば、走化性)を導く特定のシグナル伝達経路を活性化し得る。ケモカイン系において、複数のケモカインが、単一のケモカインレセプターを活性化し得る。例えば、レセプターCCR1は、RANTES(活性化されると、発現される正常T細胞を調節する)、MIP−1α(マクロファージタンパク質)、およびMIP−1βケモカインに結合する。同様に、単一のケモカインが、いくつかのレセプターを活性化し得る(Mantovani(1999))。
【0003】
炎症の病理および抗原提示において重要な役割を果たす単球および好中球は、ケモカインに応答する(Leeら(2000))。単球は、ケモカインレセプターCCR1、CCR2、CCR5、CCR8、CXCR2、およびCXCR4を発現する(Uguccioniら(1995);Weberら(2000))。リガンドMIP−1αおよび単球化学誘引タンパク質1(MCP1)は、インビトロでの強力な単球アクチベーターとして報告されている(Fantuzziら(1999))。好中球は、多くの急性炎症の間に重要であり、そして免疫をTh1応答に向かわせるのにも役割を果たし得る(Bonecchiら(1999))。それらは主に、いくつかのCXCケモカインに応答するが、ほとんどのCCケモカインを移動させない。ヒト好中球は、2つの高親和性IL−8レセプター、CXCR1およびCXCR2を発現する。
【0004】
ケモカインCKβ8(CCL23;hmrp−2a;骨髄性前駆体阻害因子1(MPIF−1);SCYA23としても公知(現在の命名法およびゲノムIDシステム))は、6つのシステムを含む99アミノ酸のCCケモカインである。CKβ8は、肝臓、肺、膵臓、および骨髄において構成的に発現される。CKβ8は、単球、樹状細胞、および休止リンパ球に対する走化性を有し(Forssmannら(1997)))、骨髄由来の低増殖能コロニー形成細胞のコロニー形成を阻害する(Patelら(1997))。116アミノ酸長のCKβ8−1(CKβ8の選択的スプライシング形態)が報告されている。CKβ8およびCKβ8−1の両方の成熟形態は、CCR1レセプターに対するリガンドとされている(Younら(1998))。単球および好酸球の交差脱感作研究は、CKβ8−1がCCR1に優先的に結合することを示す。CKβ8のNH2末端でのさらなるプロセシングにより、CCR1発現細胞に対して有意により活性な76または75残基のタンパク質が生じる(Macpheeら(1998)、Berkhoutら(2000))。
【0005】
ケモカインレセプターに加えて、好中球および単球はまた、Gタンパク質共役N−ホルミルペプチドレセプター(FPR)およびそのホモログであるN−ホルミルペプチドレセプター様1(FPRL1)を発現する。FPRL1に対するリガンドは、FPRL1が最初にクリーニングされた当時未知であったので、FPRL1は、当初、孤児レセプターとして規定された(Baoら(1992);Murphyら(1992);Yeら(1992))。それは、リポキシンA4に結合するという理由で、LXAレセプターとされた(Fioreら(1994))。さらに、いくつかの異なるペプチド/タンパク質が、低親和性でFPRL1と結合することが報告されている(図1を参照のこと)。炎症の急性フェーズの間に分泌されるタンパク質である血清アミロイドAは、中程度の親和性の機能的リガンドであると報告されている(Suら(1999))。βアミロイドフラグメント(1〜42)および神経毒プリオンペプチド106〜126もまた、低親和性リガンドであり、このことは、FPRL1が、神経変性疾患において役割を果たし得ることを示す(Leら(2001))。いくつかの他の低親和性リガンドとしては、以下が挙げられる:HIVエンベロープタンパク質由来のペプチド(Suら(1999)、Dengら(1999);およびHelicobacter pyloriペプチドHp(2〜20)。いくつかの合成ペプチド(例えば、Trp−Lys−Try−Met−Val−D−Met−NH(WKYMV)およびTrp−Lys−Met−Val−Met−NH(WKYMVM)(「Wペプチド1および2」))が、このレセプターに対する強力なリガンドとして報告されている(Christopheら(2001);Baekら(1996))。しかし、ランダムヘキサペプチドライブラリー由来の非天然ペプチドは、生理学的に関連することが示されなかった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明者らは、CKβ8−1の短縮改変体CKβ8−1(25−116)が、ホルミルペプチドレセプター様1レセプター(FPRL1)に対する機能的リガンドとしてのその役割を通じて、炎症反応および生来の免疫に関与することを発見した。さらに、本発明者らは、CKβ8−1(25−116)と共に、FPRL1を発現することが知られている両方の細胞において機能的なCKβ8−1の選択的スプライシングを受けたエキソン(SHAAGtideと呼ぶ)、ならびに短縮SAAGtideおよび他のSHAAGtide改変体を発見した。機能的なSHAAGtideは、白血球において、レセプター−リガンド結合の際に、カルシウムフラックスを生じ、そして単球、好中球、成熟樹状細胞(mDC)および未成熟樹状細胞(iDC)を誘引する。
【0007】
1つの実施形態において、本発明は、SHAAGideならびにSHAAGideを含むタンパク質およびペプチド(CKβ8−1(25−116)を除く)を包含する。さらに、本発明はまた、SHAAGideを含むタンパク質およびペプチドをコードする核酸、SHAAGideに特異的に結合する抗体、ならびにSHAAGideを含む融合タンパク質を包含する。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、SHAAGideまたはSHAAGide配列を含むタンパク質もしくはペプチドを含む組成物を包含する。このような組成物としては、FPRL1活性を増強するために被験体に投与するのに適した組成物が挙げられる。
【0009】
さらなる実施形態において、本発明は、このような組成物を包含するキットを包含する。このようなキットは、例えば、薬学的組成物の投与を容易にするよう編集される。
【0010】
別の局面において、本発明は、SHAAGideもしくはSHAAGide配列を含むタンパク質またはペプチドで構成される化合物を投与することによって、FPRL1レセプターの活性を調節する工程を包含する、被験体の障害を処置する方法を包含する。
【0011】
さらなる局面において、本発明は、アゴニストを同定するのに有用な方法およびキットを包含する。このようなアゴニストもまた本発明によって包含される。このような方法は、候補アゴニスト分子の存在下で、生物学的に活性なSHAAGide、またはSHAAGide配列を含むタンパク質もしくはペプチドを含む組成物を、FPRL1レセプターと接触させる工程を包含する。FPRL1レセプター機能に対するアゴニストは、候補化合物の存在下で観察されるレセプター活性と比較して、活性を減少する化合物として同定され得る。
【0012】
(詳細な説明)
本発明者らは、CKβ8−1短縮改変体である、CKβ8−1(25−116)が、2つの異なるGPCR(ケモカインレセプターCCR1およびホルミルペプチドレセプター様1レセプター(FPRL1))に対する二機能的リガンドであることを発見した。本発明者らはまた、CCR1リガンドとしての活性に加えて、CKβ8−1(25−116)が、単球および好中球をFPRL1に対する機能的リガンドとしてのその役割を介して補充することによって、炎症反応および免疫に関与することを発見した。CKβ8は、細胞(単球、樹状細胞および休止リンパ球を含む)を、OCR1を介して攻撃するが、CKβ8−1(25−116)(SHAAGチド)配列において見出される選択的にスプライシングされたエキソンを欠く。CKβ8の選択的スプライシング形態(116アミノ酸)である、CKβ8−1(1−116)は、CKβ8と同様に、CCR1レセプターに対する機能的リガンドである。しかし、CKβ8−1(1−116)は、SHAAGチド配列を介しては、その機能を発揮しない。
【0013】
本発明者らはまた、新規なペプチド(SHAAGチドペプチドおよびSHAAGチドペプチドの改変体(以降は、まとめて「SHAAGチド」として知られる))のクラスである、CCケモカインCCL23のスプライスエキソン、CKβ8−1(25−116)の短縮変異体、(これは、驚くべきことに、FPRL1レセプターに対する有効で価値あるリガンドである)を発見した。これらのペプチドは、FPRL1を発現する白血球において、カルシウムフラックスを生じる。さらに、SHAAGチドは、細胞(単球、好中球、成熟樹状細胞(mDC)および未成熟樹状細胞(iDC)、ならびに他のリンパ球サブセットを含む)を効率的に引きつける。SHAAGチドペプチド(配列番号1)および特定のSHAAGチド改変体は、親ケモカインCKβ8−1(25−116)と共に、FPRL1を発現することが知られている単球および好中球の両方に対して機能的である。機能的SHAAGチドは、リンパ球においてレセプターリガンド結合の際に、カルシウムフラックスを生成し、そして、走化性アッセイにおいて、単球、好中球、成熟樹状細胞(mDC)および未成熟樹状細胞(iDC)を引きつける。これらの観察を考慮すると、SHAAGチドは、潜在的な機能的ペプチド(従って、これは、FPRL1リガンドとして驚くほど有効である)を示す。
【0014】
本発明は、SHAAGチド、ならびにCKβ8−1(25−116)およびCKβ8−1(1−116)以外の、SHAAGチドを含むタンパク質およびペプチドを包含する。さらに、本発明はまた、SHAAGチドをコードする核酸、ならびにCKβ8−1(25−116)およびCKβ8−1(1−116)をコードする核酸以外の、SHAAGチドを含むタンパク質およびペプチドをコードする核酸を含む。SHAAGチド、ならびにCKβ8−1(25−116)を含む、SHAAGチドを含むタンパク質およびペプチドを含有する組成物もまた、本発明に含まれる。このような組成物は、FPRL1活性を増大するために被験体に投与するのに適切な組成物を包含する。このような組成物を含むキットもまた、包含される。このようなキットは、例えば、薬学的組成物の投与を容易にするように構築され得る。
【0015】
本発明はまた、炎症反応および先天免疫の刺激を必要とする被験体を処置する方法を包含する。このような活性の刺激は、疾患(例えば、感染性疾患)に罹患している被験体に(および、同時係属中の特許出願「Methods and Compositions for Inducing an Immune Response」(2002年5月7日出願、代理人参照番号10709/23)に記載されるような、ワクチン摂取においても)、役立ち得る。このような方法は、SHAAGチド、SHAAGチドを含むペプチドまたはタンパク質、または他の刺激分子を含む組成物を投与することによって、FPRL1レセプターを刺激する工程を包含する。
【0016】
本発明はまた、炎症反応および先天免疫の下方制御を必要とする被験体を処置する方法を包含する。このような活性の下方制御は、疾患(神経変性障害(例えば、アルツハイマー病またはクロイツフェルト−ヤーコプ病)を含む)に罹患している被験体に役立ち得る。このような方法は、FPRL1レセプター機能に対するアンタゴニストを含む組成物を投与することによって、FPRL1レセプターを下方制御する工程を包含する。
【0017】
このようなアンタゴニストを同定するための方法およびキットもまた、本発明に包含される。このような方法は、FPRL1レセプターを、生物学的に活性なSHAAGチド配列、活性SHAAGチドを含むペプチドまたはタンパク質を含む組成物と、候補アンタゴニスト分子の存在下で接触させる工程を包含する。FPRL1レセプター機能に対するアンタゴニストは、候補化合物の非存在下で観察されるレセプター活性と比較して、レセプター活性を減少させる化合物として同定され得る。このような方法は、インビトロで実施されてもインビボで実施されてもよい。さらに、キットは、このようなインビトロ試験またはインビボ試験を容易にするように構築され得る。
【0018】
(SHAAGチドおよびSHAAGチドを含む分子)
(SHAAGチドを含むSHAAGチドペプチドおよびSHAAGチドポリペプチド)
表1は、SHAAGチドポリペプチド配列(配列番号1)、ならびに特定のSHAAGチド短縮改変体および他の改変体のポリペプチド配列を示す。表2は、SHAAGチドポリヌクレオチド配列(配列番号12)およびSHAAGチド短縮改変体および他の改変体のポリヌクレオチド配列を示す。表3は、ヒトCKβ8−1(25−116)ヌクレオチド配列(配列番号20)を示す。図2は、ヒトCCL23/CKβ8改変体(CKβ(1−99)−配列番号13;CKβ(25−99)−配列番号14;CKβ(1−116)−配列番号15;CKβ(25−116)−配列番号16)の、ヒトCCL15/MIP−1α(配列番号19);CCL3/MIP−1δ(配列番号17)およびロイコタクチン(leukotactin)(配列番号18)との、アミノ酸配列アライアメントを示す。4個の保存的システイン残基が、四角で囲って示され、そして2個のさらなるシステイン(通常は、CCケモカインファミリーにおいて見出されない)は、破線で囲って示される。CCL23/CKβ8−1の選択的スプライシングエキソンが、下線を付けて示される。
【0019】
(表1 SHAAGチドならびに種々の短縮改変体および他の改変体−アミノ酸配列)
【0020】
【表1】

(表2 SHAAGチドならびに種々の短縮改変体および他の改変体−ポリヌクレオチド配列)
【0021】
【表2】

(表3 ヒトCKβ8−1(25−116)ヌクレオチド配列(配列番号12))
【0022】
【表3】

(SHAAGチド分子、誘導体およびアナログ)
本発明のSHAAGチドペプチドは、表1に列挙される分子を含む。さらにSHAAGチドペプチドおよびヌクレオチドの種々の他の改変体が、標準的な技術を使用して合成され得る。誘導体は、直接的に、または改変もしくは部分的置換によってのいずれかで、ネイティブの化合物から形成される核酸配列またはアミノ酸配列である。アナログは、ネイティブの化合物と同一ではないものの類似している構造を有するが、特定の成分または側鎖においてネイティブの化合物とは異なる核酸配列またはアミノ酸配列である。アナログは、合成され得るか、または異なる進化起源由来であり得る。
【0023】
誘導体およびアナログは、誘導体またはアナログが改変された核酸またはアミノ酸を含む場合、全長または全長以外であり得る。例えば、配列番号3は、SHAAGtide分子(配列番号1)の最初のN末端15アミノ酸のみを含む。SHAAGtideの核酸またはペプチドの誘導体またはアナログとしては、同じサイズの核酸の配列もしくはアミノ酸の配列にわたって、または相同性アルゴリズムによって整列が行われる整列配列と比較された場合に、少なくとも約70%、80%、または95%の同一性でもって、SHAAGtideの核酸またはペプチドに対して実質的に相同である領域を含む分子、あるいはそのコード核酸が、上記のペプチド配列をコードする相補的配列に対してストリンジェントな、中程度にストリンジェントな、もしくは低ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る分子が挙げられるがこれらに限定されない(Ausubelら,1987)。相補的核酸分子は、配列に対して充分に相補的であって、その結果、ミスマッチがほとんどなく水素結合が形成されて安定な二重鎖を形成する核酸分子である。「相補的」とは、ヌクレオチド間のWatson−CrickまたはHoogsteen塩基対合をいう。
【0024】
相補的フラグメントをハイブリダイズする1本鎖DNAの特異性は、反応条件の「ストリンジェンシー」によって決定される。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、DNA二重鎖を形成する傾向が低下するにつれて、増大する。核酸ハイブリダイゼーション反応では、ストリンジェンシーは、いずれかの特異的ハイブリダイゼーション(高ストリンジェンシー)に好都合なように選択され得、特異的ハイブリダイゼーションは、例えば、全長クローンをライブラリーから同定するために用いられ得る。より特異性の低いハイブリダイゼーション(低ストリンジェンシー)は、関連しているが正確ではない(相同であるが同一ではない)DNA分子またはセグメントを同定するために用いられ得る。
【0025】
DNA二重鎖は、以下によって安定化される:(1)相補的塩基対の数、(2)塩基対の種類、(3)反応混合物の塩濃度(イオン強度)、(4)反応温度、および(5)特定の有機溶媒(例えば、DNA二重鎖の安定性を低下させるホルムアミド)の存在。一般に、プローブが長くなるほど、適切なアニーリングに必要な温度は高くなる。一般的アプローチは、温度を変更することである:より高い相対温度は、よりストリンジェントな反応条件をもたらす。(Ausubelら,1987)は、ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーの優れた説明を提供する。
【0026】
「ストリンジェントな条件」下でハイブリダイズするとは、互いに少なくとも60%相同なヌクレオチド配列がハイブリダイズしたままであるハイブリダイゼーションプロトコルをいう。一般に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHでの特定の配列についての熱融点(Tm)よりも約5℃低いように選択される。このTmは、標的配列に対して相補的であるプローブの50%が平衡時に標的配列にハイブリダイズする(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度下での)温度である。標的配列は一般に過剰に存在するので、Tmでは、平衡時にはこのプローブの50%が占有される。
【0027】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドがその標的配列のみにハイブリダイズするのを可能にする。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、そして異なる。ストリンジェントな条件としては、以下が挙げられる:(1)低いイオン強度および高い温度での洗浄(例えば、50℃での、15mM塩化ナトリウム、1.5mMクエン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム);(2)ハイブリダイゼーションの間の変性剤(例えば、50%(v/v)ホルムアミド、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1% Ficoll、0.1%ポリビニルピロリドン、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5;42℃での750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム);または(3)50%ホルムアミド。洗浄はまた代表的に、42℃での5×SSC(0.75M NaCl,75mM クエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1% SDS、および10%デキストラン硫酸を含み、そして42℃での0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中での洗浄、および55℃での50%ホルムアミド中での洗浄、続いて、55℃でのEDTAを含む0.1×SSCからなる高ストリンジェンシー洗浄を含む。好ましくは、この条件は、互いに少なくとも約65%、70%、75%、85%、90%、95%、98%、または99%相同な配列が代表的に、互いにハイブリダイズしたままであるような条件である。これらの条件は、例として提示され、限定されることは意味しない。
【0028】
「中程度にストリンジェントな条件」は、ポリヌクレオチドが配列番号7〜12、14の全体、フラグメント、誘導体またはアナログにハイブリダイズするように、より低いストリンジェントの、洗浄溶液およびハイブリダイゼーション条件(Sambrook,1989)を用いる。一例は、55℃での6×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDSおよび100mg/ml変性サケ精子DNA中でのハイブリダイゼーション、続いて37℃での1×SSC、0.1%SDS中での1回以上の洗浄を含む。温度、イオン強度などは、実験要因(例えば、プローブ長さ)に適応するように調整され得る。他の中程度のストリンジェンシー条件は記載されている(Ausubelら,1987;Kriegler,1990)。
【0029】
「低ストリンジェントな条件」は、ポリヌクレオチドが配列番号7〜12、14の全体、フラグメント、誘導体またはアナログにハイブリダイズするように、中程度のストリンジェンシーについての洗浄溶液およびハイブリダイゼーション条件よりもストリンジェントの低い、洗浄溶液およびハイブリダイゼーション条件(Sambrook,1989)を使用する。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、40℃での35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.2% BSA、100mg/ml変性サケ精子DNA、10%(wt/vol)デキストラン硫酸中でのハイブリダイゼーション、続いて50℃にて2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1% SDS中での1回以上の洗浄である。低ストリンジェンシーの他の条件(例えば、種間交叉ハイブリダイゼーションのための低ストリンジェンシー条件)が充分に記載されている(Ausubelら,1987;Kriegler,1990;ShiloおよびWeinberg,1981)。
【0030】
SHAAGtideの天然に存在する対立遺伝子改変体に加えて、配列番号1への変異によって、SHAAGtide機能を有意には変更しない、コードされるSHAAGtideのアミノ酸配列の変更を受ける変化が導入され得る。例えば、C末端アミノ酸残基でのアミノ酸置換が、配列番号6の配列において行われている。「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を変更することなく、SHAAGtideの野生型配列から変更され得る残基であり、一方、「必須」アミノ酸残基は、このような生物学的活性に必要とされる。例えば、本発明のSHAAGtide間で保存されているアミノ酸残基は、特に変更されにくいと予想される。保存的置換が行われ得るアミノ酸は、当該分野で周知である。
【0031】
有用な保存的置換を、表4の「好ましい置換」に示す。1つのクラスのアミノ酸が、同じ種類の別のアミノ酸で置換される保存的置換は、置換がその化合物の生物学的活性を実質的に変更しない限り、本発明の範囲内に入る。
【0032】
【表4】


以下に影響を与える非保存的置換は、特に、SHAAGtide配列が、より大きなポリペプチド分子の一部分を含む場合、SHAAGtide機能を改変し得る:(1)ポリペプチド骨格の構造(例えば、βシートまたはαヘリックスコンホメーション)、(2)電荷、(3)疎水性、または(4)標的部位の側鎖のかさ。残基は、表5に示されるような一般的側鎖特性に基づいて分類される。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つからのメンバーの、別のクラスのメンバーでの交換を伴う。置換は、保存的置換部位に導入され得るか、より好ましくは非保存的部位に導入され得る。
【0033】
(表5 アミノ酸分類)
【0034】
【表5】

改変体ポリペプチドは、オリゴヌクレオチド媒介性(部位指向性)変異誘発、アラニンスキャニング、およびPCR変異誘発のような、当該分野で公知の方法を使用して生成され得る。部位指向性変異誘発(Carter,1986;ZollerおよびSmith,1987)、カセット変異誘発、制限選択変異誘発(Wellsら、1985)または他の公知の技術は、SHAAGtide改変体DNAを産生するためにクローン化されたDNA上で実施され得る(Ausubelら、1987;Sambrook,1989)。
【0035】
本発明の「単離された」または「精製された」SHAAGtideは、その天然の環境の成分から分離および/または回収された、ポリペプチド、タンパク質または生物学的に活性なフラグメントを含む。単離されたSHAAGtideは、遺伝子操作された細胞において異種発現されるSHAAGtideまたはインビトロで発現されたSHAAGtideを含む。
【0036】
夾雑物成分は、代表的には、ポリペプチドについての診断用途または治療用途に干渉する物質を含む。実質的に単離されるためには、調製物は、30乾燥重量%未満の非SHAAGtide夾雑性物質(夾雑物)、より好ましくは、20乾燥重量%未満の夾雑物、10乾燥重量%未満の夾雑物、そして最も好ましくは、5乾燥重量%未満の夾雑物を有する。
【0037】
目的のポリペプチドおよびフラグメントは、例えば、ベクター(例えば、細菌、ウイルスおよび真核生物細胞)を介する発現による、当該分野で周知の任意の方法によって産生され得る。さらに、インビトロ合成(例えば、ペプチド合成)もまた、使用され得る。
【0038】
「活性ポリペプチドまたはポリペプチドフラグメント」は、生物学的活性および/または免疫学的活性を、表Iに示されるSHAAGtideポリペプチドの活性と同様に保持するが、同一である必要はない。このポリペプチド自体であってSHAAGtideがFPRL1活性を誘発または増強することにおける実際の生物学的な役割ではない本議論の背景において、免疫学的活性は、SHAAGtide抗原性エピトープに対する特異的な抗体がSHAAGtideを結合する場合のSHAAGtideポリペプチドの1局面を参照する。生物学的活性は、ネイティブなSHAAGtideポリペプチドによって引き起こされる、阻害性機能または刺激性機能のいずれかを参照する。SHAAGtideポリペプチドの生物学的活性としては、例えば、FPRL1レセプターに対する結合、またはFPRL1レセプター結合の際の走化性もしくはカルシウムフラックスの誘発が挙げられる。特定の生物学的アッセイ(実施例を参照のこと)は、用量依存性を有しても有さなくても、SHAAGtide活性を決定するために使用される。SHAAGtideの生物学的に活性な部分をコードする核酸フラグメントは、SHAAGtide生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を単離すること、SHAAGtideのコード部分を発現すること(例えば、インビトロでの組換え発現によって)およびSHAAGtideポリペプチドのコード部分の活性を評価することによって調製され得る。
【0039】
一般的に、SHAAGtideポリペプチド改変体は、SHAAGtideポリペプチド様機能を保存し、配列における特定の位置の残基が他のアミノ酸に置換される任意の改変体を含み、親タンパク質の2つの残基の間にさらなる残基を挿入する可能性および親配列から1つ以上の残基を欠失する可能性を、さらに含む。任意の、アミノ酸置換、挿入、または欠失は、本発明によって包含される。好都合な環境において、置換は、上に定義されるような保存的置換である。
【0040】
表1は、SHAAGtide配列のC末端でのアミノ酸の欠失が、N末端での欠失よりFPRL1活性の喪失を引き起こす可能性がより低いことを示す(実施例9を参照のこと)。例えば、SHAAGtide配列の11個のN末端アミノ酸からなる配列番号8は、なお中程度のFPRL1活性を保持する。しかし、3個のN末端アミノ酸の欠失(配列番号2)は、低いFPRL1活性のみを生じる。それにも関わらず、N末端での末端アミノ酸の欠失(配列番号11)は、FPRL1活性の完全な消失を生じない。
【0041】
「SHAAGtide改変体」は、少なくとも以下を有する活性なSHAAGtideポリペプチドを意味する:(1)全長ネイティブ配列のSHAAGtideポリペプチド配列と約80%のアミノ酸配列の同一性、または(2)全長SHAAGtideポリペプチド配列の任意のフラグメント。例えば、SHAAGtideポリペプチド改変体は、1つ以上のアミノ酸残基が付加されたか、または全長ネイティブアミノ酸配列のN末端またはC末端で欠失され、但し、CKβ8およびCKβ8−1に同一なこれらのフラグメントを除く、SHAAGtideポリペプチドを含む。SHAAGtideポリペプチド改変体は、全長ネイティブ配列のSHAAGtideポリペプチド配列と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは、少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは、少なくとも約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%のアミノ酸配列同一性、最も好ましくは、約99%のアミノ酸配列同一性を有する。通常は、SHAAGtide改変体ポリペプチドは、少なくとも約10アミノ酸長、しばしば、少なくとも約20アミノ酸長、よりしばしば、少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、または300アミノ酸長以上である。
【0042】
「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、2つの配列が整列される場合、候補配列中のアミノ酸残基と同一である、SHAAGtide中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。%アミノ酸同一性を決定するために、配列が整列され、必要な場合、ギャップが、導入され、最大の%配列同一性を達成し;保存的置換は、配列同一性の一部として考慮されない。パーセント同一性を決定するためのアミノ酸配列整列手順は、当業者に周知である。しばしば、公的に入手可能なコンピューターソフトウェア(例えば、BLAST、BLAST2、ALIGN2またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア)は、ペプチド配列を整列するために使用される。
【0043】
アミノ酸配列が整列される場合、所定のアミノ酸配列Bへの、所定のアミノ酸配列Bと、または所定のアミノ酸配列Bに対する、所定のアミノ酸配列Aの%アミノ酸配列同一性(これは、代替的に、所定のアミノ酸配列Bに、所定のアミノ酸配列Bと、または所定のアミノ酸配列Bに対して、特定の%アミノ酸配列同一性を有するまたは含む所定のアミノ酸配列Aとして表され得る)は、以下のように計算され得る:
%アミノ酸配列同一性=X/Y 100
ここで、
Xは、配列アライメントプログラムまたはアルゴリズムの、AとBとのアライメントによって同一の一致として評価された、アミノ酸残基の数であり、そして
Yは、Bにおける全アミノ酸残基数である。
【0044】
アミノ酸配列Aの長さが、アミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性に等しくない。
【0045】
融合ポリペプチドは、発現研究、細胞局在化、バイオアッセイ、およびSHAAGtide精製において有用である。SHAAGtide「キメラタンパク質」またはSHAAGtide「融合タンパク質」は、非SHAAGtideポリペプチドに融合されたSHAAGtideを含む。非SHAAGtideポリペプチドは、SHAAGtideポリペプチドに対して実質的に相同ではない。SHAAGtide融合タンパク質は、全SHAAGtideに対する任意の部分を含む、任意の数の生物学的に活性な部分を含む。例えば、SHAAGtideは、GST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)配列のC末端に融合され得る。このような融合タンパク質は、組換えSHAAGtideの精製を容易にする。特定の宿主(例えば、哺乳動物)において、異種シグナル配列融合体は、SHAAGtide発現および/または分泌を改善し得る。
【0046】
SHAAGtideおよびSHAAGtide改変体の配列に特異的な抗体もまた、本発明によって包含される。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体(結合フラグメント(例えば、F(ab)2)および単鎖バージョンを包含する)を産生する方法は周知である。それゆえ、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は、標準技術によって調製され得る。
【0047】
本発明の走化性組成物は、SHAAGtide配列を含む、1以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを含む。1つの実施形態では、この組成物は、単離ポリヌクレオチドもしくは単離ポリペプチドまたは組換えポリヌクレオチドもしくは組換えポリペプチドであるSHAAGtideを含む。1つの実施形態では、このSHAAGtideは、この組成物中の主な(すなわち、この組成物中のこのクラスの分子のメンバーの合計の約50重量%を超える、よりしばしば約80重量%を超える)種(例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、糖質)である。本発明の走化性組成物は、(天然に存在する場合)インサイチュの環境でSHAAGtidesに通常会合している物質を含まないSHAAGtideを含む。
【0048】
単離されたSHAAGtide核酸分子は、天然に見出される状況から精製され、そして少なくとも1つの夾雑核酸分子から分離される。単離されたSHAAGtide分子は、特定のSHAAGtide分子とは区別される。なぜなら、特定のSHAAGtide分子は、細胞中に存在するからである。
【0049】
(疾患の処置におけるSHAAGtide組成物の使用)
本発明は、異常なFPRL1レセプターまたはFPRL1リガンド活性に関連した障害の危険性がある(もしくは感受性である)かまたはこの障害を有する被験体を処置する、予防方法および治療方法の両方を提供する。例としては、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病)が挙げられる。
【0050】
SHAAGtideまたはSHAAGtideを含むタンパク質もしくはペプチド、またはFPLR1−SHAAGtide相互作用のインヒビターもしくはアゴニストを用いて処置され得る、ヒトまたは他の種の疾患または状態としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:末梢の慢性炎症関連疾患(例えば:慢性炎症;血栓症;アテローム性動脈硬化症;再狭窄;慢性静脈不全;再発性細菌感染;敗血症;皮膚感染;腎臓病;糸球体腎炎;線維性肺疾患;アレルギー疾患;IBS;慢性関節リウマチおよび急性細気管支炎)。中枢神経系−大膠細胞および小膠細胞関連疾患(例えば:神経変性疾患;アルツハイマー病;多発性硬化症;パーキンソン病;神経炎症;HIV関連神経学的疾患;HIV関連痴呆;CNS細菌感染症;脳トキソプラスマ;アカントアメーバ感染症;リステリア感染症;プリオン病;亜急性海綿状脳障害および黄斑変性もまた処置され得る。
【0051】
上昇したFPRL1レベルまたは生物学的活性によって特徴付けられる疾患および障害は、活性を拮抗(すなわち、低減または阻害する)治療剤を用いて処置され得る。アンタゴニストは、治療様式または予防様式で投与され得る。用いられ得る治療剤としては、以下が挙げられる:(1)不活性SHAAGtideペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログを含む分子;(2)SHAAGtideアンチセンス核酸;(3)SHAAGtideペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログに対する抗体、あるいは(4)FPRL1レセプターの活性を拮抗するモジュレーター(すなわち、インヒビターおよびアンタゴニスト)。
【0052】
低下したFPRL1レベルまたは生物学的活性によって特徴付けられる疾患および障害は、活性を上昇させる(すなわち、活性に対するアゴニストである)治療剤を用いて処置され得る。活性をアップレギュレートする治療剤は、治療的または予防的に投与され得る。用いられ得る治療剤としては、ペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログ;あるいはバイオアベイラビリティを上昇させるアゴニストが挙げられる。用いられ得る治療剤としては、以下が挙げられる:(1)SHAAGtideペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログを含む分子;(2)SHAAGtide核酸;あるいは(3)FPRL1レセプターの活性をアゴナイズするモジュレーター。
【0053】
本発明は、FPRL1活性を調節する薬剤を投与することによる、被験体における、異常なFPRL1レセプター発現または異常なFPRL1レセプター活性に関連した疾患または状態を予防するための方法を提供する。異常なFPRL1活性によって引き起こされるかまたはそれに起因する疾患の危険性のある被験体は、例えば、診断アッセイまたは予後アッセイのいずれかまたは組み合わせによって同定され得る。予防薬剤の投与は、FPRL1異常に特有の症状の発現前に行われ得、その結果、疾患または症状が予防されるかあるいはその進行が遅延される。FPRL1異常の型に依存して、例えば、FPRL1アゴニストまたはFPRL1アンタゴニストを用いて、その被験体を処置し得る。適切な薬剤は、スクリーニングアッセイに基づいて決定され得る。
【0054】
本発明の別の局面は、治療目的でFPRL1活性を調節する方法に関する。調節方法は、細胞を、この細胞に関連したFPRL1活性のうちの1以上を調節する薬剤と接触させる工程を包含する。FPRL1活性を調節する薬剤は、核酸もしくはタンパク質、FPRL1の天然に存在する同属リガンド、ペプチド、SHAAGtideペプチド模倣物または他の低分子であり得る。この薬剤は、FPRL1活性を刺激し得る。この薬剤は、FPRL1活性を阻害し得る。調節方法は、インビトロで(例えば、この細胞をこの薬剤を伴って培養することによる)、あるいはインビボで(例えば、この薬剤を被験体に投与することによる)行われ得る。例えば、この方法は、FPRL1またはFPRL1リガンドの低減したかまたは異常な発現または活性を補償するために、SHAAGtideまたは核酸分子を治療として施すことを包含し得る。
【0055】
FPRL1活性の刺激は、FPRL1もしくはFPRL1リガンドが異常にダウンレギュレートされている状況、および/またはFPRL1もしくはFPRL1リガンドの活性の上昇が有益な効果を有するようである状況で(例えば、感染を処置する際またはワクチン接種の際に)望ましい。逆に、低下したFPRL1またはFPRL1リガンド活性は、FPRL1もしくはFPRL1リガンドの活性が異常にアップレギュレートされる状態および/またはFPRL1もしくはFPRL1リガンドの活性の低下が、有益な効果を有するようである状態で(例えば、慢性炎症を処置する際に)望ましい。
【0056】
適切なインビトロまたはインビボでのアッセイは、特定の治療の効果、およびその投与がその罹患組織の処置に示されるか否かを決定するために実施され得る。
【0057】
種々の特定の実施形態では、インビトロアッセイは、患者の障害に関与する代表的細胞型について、所定の治療が、その細胞型に対して所望の効果を発揮するか否かを決定するために実施され得る。治療における使用様式は、ヒト被験体における試験の前に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギ、イヌなどを含むがこれらに限定されない適切な動物モデル系で試験され得る。同様に、インビボでの試験について、当該分野で公知の動物モデル系のいずれかを、ヒト被験体への投与前に用い得る。
【0058】
炎症および感染に関連した疾患および状態は、本発明の方法を用いて処置され得る。
この疾患または状態は、免疫応答を調節するために、FPRL1レセプターに対するFPRL1リガンドの作用が阻害または促進されるべき、疾患または状態である。
【0059】
本発明の組成物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、クモ膜下槽内での注射もしくは注入、皮下注射、または移植)、吸入スプレー、鼻腔内、腟内、直腸、舌下、または局所の投与経路によって投与され得、そして各投与経路について適切な、従来の無毒性の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントおよびビヒクルを含む適切な投薬量単位の処方物中に単独または一緒に処方され得る。温血動物(例えば、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなど)の処置に加えて、本発明の組成物は、ヒトにおける使用のために有用である。
【0060】
FPLR1またはFPLR1リガンドの活性を調節し、それによって、感染性疾患または炎症性障害および炎症性疾患を予防および処置するための組み合わせ療法は、本発明の化合物およびこのような有用性が公知の他の化合物の組み合わせによって例示される。
【0061】
例えば、炎症の処置または予防において、本発明の化合物は、以下ものと組み合わせて使用され得る:抗炎症薬剤または鎮痛薬剤(例えば、オピエートアゴニスト)、リポキシゲナーゼインヒビター(例えば、5−リポキシゲナーゼインヒビター)、シクロオキシゲナーゼインヒビター(例えば、シクロオキシゲナーゼ−2インヒビター)、インターロイキンインヒビター(例えば、TNFα、インターロイキン−1インヒビター)、NMDAアンタゴニスト、一酸化窒素のインヒビターまたは一酸化窒素合成インヒビター、非ステロイド抗炎症薬剤、またはサイトカイン抑制抗炎症薬剤、例えば、化合物(例えば、アセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、フェンタニール、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド鎮痛薬、サフェンタニル、スリンダク(sunlindac)、テニダプなど)。同様に、例示の化合物は、以下の疼痛緩和物とともに投与され得る:増強剤(例えば、カフェイン、H2アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウム;充血緩和剤(例えば、フェニルエフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、またはlevo−デスオキシ−エフェドリン);鎮咳薬(anti−itussive)(例えば、コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、またはデキストロメトルファン);ステロイド;シクロスポリンA;メトトレキサート;IL−10;利尿剤;および鎮痛生抗ヒスタミンまたは非鎮痛性抗ヒスタミン)。
【0062】
(薬学的組成物)
FPRL1レセプターのアゴニストまたはアンタゴニストは、薬学的組成物へ組み込まれ得る。このような組成物は、代表的に、アゴニストまたはアンタゴニスト、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的な投与に適合する任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤など(Gannaro(2000))を含む。このようなキャリアまたは希釈剤の好ましい例としては、水、生理食塩水、フィンガー溶液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソームおよび非水性ビヒクル(例えば、不揮発性油)もまた、使用され得る。通常の媒体または薬剤が、活性化合物に適合しない場合を除いて、これらの組成物の使用は、意図される。補助活性化合物もまた、組成物へと組み込まれ得る。
【0063】
アゴニストまたはアンタゴニストの薬学的組成物は、その意図する投与経路(静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口(例えば、吸入)投与、経皮的(すなわち、局所的)投与、経粘膜投与、および直腸投与を含む)に適合するように処方される。非経口適用、皮内適用、または皮下適用について使用される溶液または懸濁液としては、以下が挙げられ得る:滅菌希釈剤(例えば、注射用水)、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));緩衝液(例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩)、および張度の調節のための薬剤(例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース)。pHは、酸または塩基(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム)により調節され得る。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチックから作製されるアンプル、使い捨て注射器または複数用量バイアルに封入され得る。
【0064】
注入に適した薬学的組成物としては、滅菌注入可能な溶液または分散媒の即座の調製のための滅菌水性溶液(水溶性の場合)または分散媒および滅菌粉が挙げられる。静脈内投与について、適したキャリアとしては、生理学的生理食塩水、静菌水、CREMOPHOR ELTM(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン酸緩衝液生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は、滅菌されていなければならず、かつ、注射器を使用して投与されるような流体であるべきである。このような組成物は、製造および貯蔵の間、安定であるべきであり、かつ、微生物(例えば、細菌および真菌)からの汚染に対して保存されなければならない。このキャリアは、以下を含む溶媒または分散媒であり得る:例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコール)、および適切な混合物。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レクチン)を使用することによって、分散物の場合では必要とされる粒子サイズを維持することによって、そして、界面活性剤を使用することによって維持され得る。種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサール)は、微生物汚染を含み得る。等張剤(例えば、糖類、ポリアルコール(マンニトール(manitol)、ソルビトール)および、塩化ナトリウム)は、組成物中に含まれ得る。吸収を遅延させ得る組成物としては、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような薬剤が挙げられる。
【0065】
滅菌注入可能な溶液は、必要とされる成分の1つまたは組み合わせを含む適切な溶媒に、必要とされる量の活性化合物を組み込むことによって調製され得、次いで、滅菌される。一般的に、分散物は、基礎となる分散媒および他の必要とされる成分を含む滅菌ビヒクルに、活性化合物を組み込むことによって、調製される。滅菌注入可能な溶液の調製のための滅菌粉体、調製の方法は、滅菌溶液から、活性成分を含む粉体および任意の所望の成分を生じる減圧乾燥および凍結乾燥を含む。
【0066】
経口組成物は、一般的に、不活性な希釈剤または食用キャリアを含む。それらは、ゼラチンカプセルに封入され得るか、または錠剤へと圧縮され得る。経口治療的投与のために、活性化合物は、賦形剤に組み込まれ得、そして、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用され得る。経口組成物はまた、うがい薬としての使用のための流体キャリアを使用して調製され得、ここで、流体キャリア中の化合物は、経口的に適用される。薬学的に適合する結合薬剤、および/またはアジュバント物質が、含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、以下の任意の成分、または類似の性質の化合物を含み得る:結合剤(例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、PRIMOGEL)、またはコーンスターチ;潤沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSTEROTES);滑剤(glidant)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、ショ糖またはサッカリン);または芳香剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香料)。
【0067】
吸入による投与について、化合物は、噴霧器、または適切な推進薬(例えば、二酸化炭素のようなガス)を含む加圧容器からのエアロゾルスプレーとして送達される。
【0068】
全身投与はまた、経粘膜的または経皮的なものであり得る。経粘膜的投与または経皮的投与について、標的障害を透過し得る浸透剤が、選択される。経粘膜的浸透剤としては、洗剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。鼻スプレーまたは坐剤が、経粘膜的投与のために使用され得る。経皮的投与について、活性化合物は、軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲル、またはクリーム中に処方される。
【0069】
化合物はまた、坐剤(例えば、基材(例えば、ココアバターおよび他のグリセリド)を有する)または直腸送達のための保持浣腸の形態で調製され得る。
【0070】
1つの実施形態において、活性化合物は、体内からの迅速な排除に対して化合物を保護するキャリア(例えば、徐放処方物(移植片およびマイクロカプセル化送達システムを含む))と共に調製される。生分解性ポリマーまたは生体適合性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸)が使用され得る。ポリエチレングリコール類(例えば、PEG)はまた、良好なキャリアである。このような物質は、ALZA Corporation(Mountain View、CA)およびNOVA Pharmaceuticals,Inc.(Lake Elsinore、CA)からの市販品で入手され得るか、または、当業者によって調製され得る。リポソーム懸濁液はまた、薬学的に受容可能なキャリアとして使用され得る。これらは、当業者に対して公知の方法(例えば、Eppsteinら米国特許第4,522,811号、1985における方法)に従って調製され得る。
【0071】
単位投薬形態における経口処方物または非経口組成物が、生成され、投与および投薬均一性を容易にし得る。単位投薬形態とは、処置されるべき被験体に対する単回投薬として適した物理的に個別の単位をいい、これは、必要とされる薬学的キャリアと合わさった治療有効量の活性化合物を含む。本発明の単位投薬形態の仕様は、活性化合物の特性および特定の所望される治療効果、ならびに活性化合物を調剤する際の固有の制限によって規定され、そして、それらに直接依存する。
【0072】
SHAAGtideの核酸分子は、ベクターに挿入され得、遺伝子治療ベクターとして使用され得る。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所的投与によって(NabelおよびNabel,米国特許第5,328,470号,1994)、または定位注射(Chenら(1994))によって被験体に送達され得る。遺伝子治療ベクターの薬学的調製物は、受容可能な希釈剤を含み得るか、または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる遅延放出マトリクスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが、組換え細胞からインタクトな状態で生成され得る場合(例えば、レトロウイルスベクター)、その薬学的調製物は、遺伝子送達系を生成する1つ以上の細胞を含み得る。
【0073】
1つの局面において、SHAAGtideは、そのポリペプチドが、インサイチュで生成されるようなDNAとして送達される。1つの実施形態において、そのDNAは、例えば、Ulmerら(1993)において記載され、Cohen(1993)により総説されるように「裸」である。裸のDNAの取り込みは、そのDNAを、細胞へと効率的に輸送されるキャリア(例えば、生分解性ビーズ)上にコーティングすることによって増大され得る。このようなワクチンにおいて、そのDNAは、核酸発現系、細菌発現系およびウイルス発現系を含む、当業者に公知の任意の種々の送達系内に存在し得る。
【0074】
生物から生物へと遺伝物質を輸送するために使用されるベクターは、2つの一般的クラスに分けられ得る:クローニングベクターは、適切な宿主細胞における増殖に必須ではなく、外来DNAが挿入され得る領域を有する、複製するプラスミドまたはファージである;外来DNAは、ベクターの成分であるかのように複製および増殖される。発現ベクター(例えば、プラスミド、酵母、または動物ウイルスゲノム)は、外来遺伝物質を、外来DNA(例えば、SHAAGtide)を転写および翻訳するために、宿主細胞または組織に導入するために使用される。発現ベクターにおいて、その導入されるDNAは、挿入されるDNAを転写するように宿主細胞にシグナル伝達するプロモーターのようなエレメントに、作動可能に連結される。特定の因子に応答して遺伝子転写を制御する誘導性プロモーターのようないくつかのプロモーターは、極めて有用である。誘導性プロモーターに作動可能に連結しているSHAAGtideポリヌクレオチドは、SHAAGtideポリペプチドまたはフラグメントの発現を制御し得る。伝統的な誘導性プロモーターの例としては、α−インターフェロン、熱ショック、重金属イオン、およびステロイド(例えば、グルココルチコイド(Kaufman,1990.Methods Enzymol 185:487−511.))およびテトラサイクリンに応答するプロモーターが挙げられる。他の所望される誘導性プロモーターとしては、構築物が導入される細胞に対して内因性ではないが、誘導剤が外来から供給される場合にそれらの細胞において応答性であるプロモーターが挙げられる。一般に、有用な発現ベクターは、しばしば、プラスミドである。しかし、他の形態の発現ベクター(例えば、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス))が企図される。
【0075】
ベクターの選択は、使用される生物または細胞およびベクターの所望の結末により決定される。ベクターは、標的細胞において1回複製してもよいし、「自殺」ベクターであってもよい。一般に、ベクターは、シグナル配列、複製起点、マーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列を含む。
【0076】
薬学的組成物は、FPRL1関連状態の処置において通常適用される、本明細書中に記載される他の治療的に活性な化合物をさらに含み得る。
【0077】
FPRL1調節を要する状態の処置または予防において、アゴニストまたはアンタゴニストの適切な投薬レベルは、一般に、1日あたり、約0.01〜500mg/kg患者体重であり、単一用量または複数用量にて投与され得る。好ましくは、この投薬レベルは、1日あたり約0.1〜約250mg/kgであり;より好ましくは、1日あたり約0.5〜約100mg/kgである。適切な投薬レベルは、1日あたり約0.01〜250mg/kg、1日あたり約0.05〜100mg/kg、または1日あたり約0.1〜50mg/kgであり得る。この範囲内で、この投薬量は、1日あたり、0.05〜0.5mg/kg、0.5〜5mg/kgまたは5〜50mg/kgであり得る。経口投与については、この組成物は、好ましくは、処置される患者に対する投薬量の症状による調節のために、1.0〜1000mgの活性成分、特に、1.0mg、5.0mg、10.0mg、15.0mg、20.0mg、25.0mg、50.0mg、75.0mg、100.0mg、150.0mg、200.0mg、250.0mg、300.0mg、400.0mg、500.0mg、600.0mg、750.0mg、800.0mg、900.0mg、および1000.0mgの活性化合物を含有する錠剤の形態にて提供される。この化合物は、1日あたり1〜4回、好ましくは、1日あたり1回または2回のレジメンにて投与され得る。
【0078】
しかし、任意の特定の患者のために、特定の用量レベルおよび投薬頻度が変動され得、使用される特定の化合物の活性、代謝安定性およびその化合物の作用する時間の長さ、年齢、体重、全身的な健康状態、性別、食事、投与様式および投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、特定の状態の重篤度、ならびに治療を受ける宿主を含む、種々の要因に依存する。
【0079】
(キット)
1つの局面において、本発明は、パッケージまたは容器中に以下のうちの1つ以上を含むキットを提供する:(1)本発明の生物学的に活性な組成物またはFPRL1アンタゴニスト;(2)薬学的に受容可能なアジュバントまたは賦形剤;(3)投与のための送達手段(vehicle)(例えば、シリンジ);(4)投与のための指示書。成分(1)〜(4)のうちの2つ以上が同じ容器中に見いだされる実施形態もまた、企図される。
【0080】
キットが供給される場合、組成物の異なる成分が、別個の容器中にパッケージされて、使用直前に混合されてもよい。成分を別々にこのようにパッケージすることは、活性成分の機能を失うことなく、長期間の保存を可能にし得る。
【0081】
キット中に含まれる試薬は、その異なる成分の寿命が維持され、かつその容器の材料によって吸着または変化されないように、任意の種類の容器の中に供給され得る。例えば、密封されたガラスアンプルは、凍結乾燥されたSHAAGtideポリペプチドまたはSHAAGtideポリヌクレオチド、または中性の非反応性気体(例えば、窒素)下でパッケージされた緩衝剤を含み得る。アンプルは、任意の適切な材料(例えば、ガラス)、有機ポリマー(例えば、ポリカーボネート、ポリスチレンなど);セラミック、金属または類似の試薬を保持するために代表的に使用される任意の他の材料からなり得る。適切な容器の他の例としては、アンプルとして類似の物質から製造され得る単純な瓶、およびホイル(例えば、アルミニウムまたは合金)が裏打ちされた内部を含み得る包みが挙げられる。他の容器としては、試験管、バイアル、フラスコ、瓶、シリンジなどが挙げられる。容器は、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、皮下注射針によって穿刺され得るストッパーを有する瓶)。他の容器は、除去した際に成分の混合を可能にする容易に取り外し可能な膜によって分離されている、2区画を有し得る。除去可能な膜は、ガラス、プラスチック、ゴムなどであり得る。
【0082】
キットはまた、指示要素とともに供給され得る。指示は、紙または他の基材に印刷されてもよいし、そして/または電気的に読み取り可能な媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、Zipディスク、ビデオテープ、オーディオテープなど)として供給されてもよい。詳細な指示は、キットと物理的に関連づけられていなくてもよく;代わりに、ユーザーは、キットの製造業者または販売業者によって特定されたインターネットウェブサイトに導かれてもよいし、電子メールとして提供されてもよい。
【0083】
(スクリーニング方法および検出方法)
SHAAGtides(およびSHAAGtidesを発現するために使用されるSHAAGtideヌクレオチド)は、FPRL1レセプター活性を調節する化合物についてスクリーニングするための方法において試薬として使用され得る。このような化合物は、FPRL1レセプターもしくはFPRL1レセプターリガンドの不十分もしくは過剰な生成、または野生型分子と比較して異常な活性を有するFPRL1レセプターもしくはFPRL1レセプターリガンド形態の生成によって特徴付けられる障害を処置する際に有用であり得る。一般に、このような化合物は、FPRL1レセプター/FPRL1レセプターリガンドが関連する生物学的機能を調節するために使用され得る。
【0084】
本発明は、FPRL1レセプターもしくはFPRL1レセプターリガンドに影響を及ぼす性質(すなわち、候補化合物もしくは試験化合物もしくは薬剤(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、低分子または他の薬物)、食品、これらの組み合わせなど)を同定するための方法(スクリーニングアッセイ)を提供する。これは、刺激性効果であってもよいし、阻害性効果であってもよい。本発明はまた、このようなスクリーニングアッセイにおいて同定される化合物を包含する。
【0085】
リガンドに応答して、またはリガンドとは無関係に、FPRL1レセプター活性を上昇または低下させる化合物についての試験が所望される。化合物は、FPRL1レセプター自体の活性を上昇または低下させる(アゴニストおよびアンタゴニスト)ことによってFPRL1レセプター活性を調節し得る。
【0086】
試験化合物は、コンビナトリアルライブラリー法(生物学的ライブラリー;別々にアドレス可能な並行固相ライブラリーまたは液相ライブラリー;逆重畳を必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物(one−bead one−compound)」ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法を含む)における多くのアプローチのいずれかを使用して得られ得る。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドに限定されるが、他の4つのアプローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の低分子ライブラリー(Lam、1997)を包含する。
【0087】
「低分子」とは、約5kD未満、より好ましくは、約4kD未満、そして最も好ましくは、0.6kD未満の分子量を有する構成物をいう。低分子は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖質、脂質または他の有機分子もしくは無機分子であり得る。化学的混合物および/または生物学的混合物(例えば、真菌、細菌、または藻類の抽出物)のライブラリーが当該分野において公知であり、本発明のアッセイのいずれかを用いてスクリーニングされ得る。分子ライブラリーの合成のための方法の例は記載されている(Carellら,1994a;Carellら,1994b;Choら,1993;DeWittら,1993;Gallopら,1994;Zuckermannら,1994)。
【0088】
化合物のライブラリーは、溶液中で(Houghtenら、1992)またはビーズ上で(Lamら、1991)、チップ上で(Fodorら、1993)、細菌、胞子(Ladnerら,米国特許第5,223,409号,1993)、プラスミド(Cullら、1992)またはファージで(Cwirlaら,1990;Devlinら,1990;Feliciら,1991;Ladnerら,米国特許第5,223,409号,1993;ScottおよびSmith,1990)提示され得る。
【0089】
FPRL1レセプターに結合するかまたはFPRL1レセプターの活性を調節する候補化合物または試験化合物をスクリーニングするための多くのアッセイが利用可能である。無細胞アッセイは、例えば、FPRL1レセプターまたは生物学的に活性なフラグメントと、FPRL1レセプターに結合するSHAAGtide化合物とを接触させて、アッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物を、試験化合物と接触させる工程、および試験化合物がFPRL1レセプターと相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、試験化合物がFPRL1レセプターと相互作用する能力を決定する工程が、FPRL1レセプターが優先的に試験化合物に結合するかまたは試験化合物の活性を調節する能力を決定する工程を包含する。細胞ベースのアッセイとしては、例えば、実施例において考察される、カルシウムフラックスアッセイ、結合アッセイおよび細胞移動アッセイが挙げられる。
【0090】
SHAAGtide配列を含む分子、またはそのパートナー分子(例えば、FPRL1)のうちの1つを含む分子のいずれかを固定化することは、一方または両方のタンパク質の非複合体化形態から複合体化形態を分離することを容易にし、そして高いスループットアッセイに適合することを容易にし得る。試験化合物の、SHAAGtide分子またはFPRL1レセプター分子への結合、あるいは候補化合物の存在下および非存在下でのSHAAGtide分子とFPRL1レセプター分子の相互作用は、反応物を含むために適切な任意の容器(例えば、マイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ遠心管)中で達成され得る。一方または両方のタンパク質をマトリクスに結合させ得るドメインを追加する融合タンパク質が提供され得る。例えば、GST(グルタチオン S−トランスフェラーゼ)−SHAAGtide融合タンパク質またはGST−標的融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(SIGMA Chemical,St.Louis,MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着され得、次いで、試験化合物と、あるいは試験化合物と非吸着FPRL1レセプターまたはSHAAGtide分子のいずれかと結合し、そしてこの混合物は、複合体形成を導く条件(例えば、塩およびpHについて生理学的条件)でインキュベートされる。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄して、いかなる非結合成分も除去し、ビーズ場合には、このマトリクスを固定し、複合体を直接的または間接的のいずれかで決定する。あるいは、複合体は、マトリクスから解離され得、そしてSHAAGtideの結合または活性のレベルが、標準的技術を使用して決定され得る。
【0091】
タンパク質をマトリクス上に固定化するための他の技術もまた、スクリーニングアッセイにおいて使用され得る。例えば、同時係属中の米国特許出願番号09/721,902を参照のこと。SHAAGtide分子またはFPRL1レセプター分子のいずれかが、ビオチン−アビジンまたはビオチン−ストレプトアビジンシステムを使用して固定化され得る。ビオチン化は、多くの試薬(例えば、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド;PIERCE Chemicals,Rockford,IL))を使用して達成され得、そしてストレプトアビジンコート96ウェルプレート(PIERCE Chemical)のウェルに固定され得る。あるいは、SHAAGtide分子またはFPRL1レセプター分子と反応性であるが、SHAAGtideの、FPRL1レセプター分子への結合を妨害しない抗体または抗体フラグメントが、プレートのウェルに誘導体化され得、そしてFPRL1レセプター分子またはSHAAGtideが、抗体結合体化によってウェルに捕捉され得る。GST固定化複合体について記載される方法に加えて、このような複合体を検出するための方法は、FPRL1レセプター分子またはSHAAGtide分子と反応性の抗体、および酵素結合アッセイ(FPRL1レセプター分子またはSHAAGtide分子と関連する酵素活性を検出することに依存する)を使用する、複合体の免疫検出を包含する。
【0092】
化合物がFPRL1レセプターのアンタゴニストであることを決定するために、この化合物が、レセプターに対するSHAAGtideの活性を阻害するか否かを決定し得る。好ましくは、このような化合物は、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する:
(1)SHAAGtideまたはSHAAGtide配列を含む分子の、FPRL1レセプターへの結合を潜在的に阻害すること;
(2)SHAAGtideまたはFPRL1レセプター分子に結合するSHAAGtide含有分子のCa2+応答の有意な阻害;
(3)制限された非特異的Ca2+応答;あるいは
(4)化学走化性活性の阻害。
【0093】
標準的なインビトロ結合アッセイは、FPRL1レセプターに対する化合物の親和性(これによって、レセプターとの競合的相互作用により、SHAAGtideの活性を阻害する)を実証するために使用され得る。以下の実施例を参照のこと。好ましくは、活性化合物は、<10μM、より好ましくは、<5μM、最も好ましくは、<1μMのIC50値を示す。
【0094】
SHAAGtide分子の活性を阻害する化合物は、SHAAGtide刺激細胞における細胞内Ca2+濃度に影響する。FPRL1レセプターへのリガンドの結合は、ホスホリパーゼCのGタンパク質誘導活性化を生じ、これは、ホスファチジルイノシトールリン酸を、イノシトールリン酸およびジアシルグリセロールに変換する。次いで、イノシトールリン酸は、細胞内部位に位置するレセプターと結合して、細胞質にCa2+を放出させる。細胞内保存からの放出に起因したCa2+濃度の増加に加えて、イノシトールリン酸の、そのレセプターへの結合は、膜を横切る細胞内への、細胞外カルシウムの増加したフラックスをもたらす。他のGタンパク質シグナル伝達経路が含まれ得る。
【0095】
従って、SHAAGtideによるFPRL1レセプターの活性化、引き続く、本発明の化合物による活性化の阻害は、遊離細胞内Ca2+レベルの増加についてのアッセイによって決定され得る。代表的には、これは、カルシウム感受性蛍光プローブ(例えば、quin−2、fura−2およびindo−1)の使用によって達成され得る。Ca2+応答をブロックする活性化合物の効果は、存在する活性化合物およびケモカインの量に依存する。一般的に、10nMのケモカインが存在する場合、10μMの活性化合物は、Ca2+応答の20〜100%の阻害を生じるはずである。
【0096】
活性化合物が非特異的Ca2+応答を生じるか否かを決定するために、複数のレセプター(活性化合物が標的化するレセプターを含む)を有する細胞が、化合物とともにインキュベートされる。次いで、細胞は、標的レセプターに対するリガンドで刺激され、続いて、サンプル細胞において見出される他のレセプターに対するリガンドで刺激される。化合物の存在下または非存在下での、リガンドに対する非標的レセプターに同等の応答は、活性化合物が標的レセプターに特異的であることを示す。
【0097】
走化性を決定するために、任意の細胞移動アッセイ形式(例えば、ChemoTx(登録商標)システム(NeuroProbe,Rockville,MD)、または任意の他の適切なデバイスもしくはシステム(Baconら,1988;Penfoldら,1999))が使用され得る。簡単に述べると、これらの細胞移動アッセイは、以下のように行う。活性標的ケモカインレセプターを有する細胞を収集および調製した後、この細胞を候補アンタゴニストと混合する。この混合物を、細胞移動装置の上側チャンバに置く。下側チャンバに、刺激濃度のケモカインリガンドを添加する。次いで、移動アッセイを実行し、終了し、そして細胞移動を評価する。
【0098】
本発明者らは、単球、好中球、未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞において発現されているFPRL1レセプターにおけるSHAAGtide活性を示した。従って、このような細胞は、インビトロアッセイ法において使用され得る。富化されたかまたは実質的に精製された細胞集団が、インビトロ走化性アッセイにおいて使用され得る。これらの細胞集団は、所望する細胞型に依存して、当該分野において公知である種々の方法によって、調製され得る。代表的には、実質的に精製された細胞集団が、特定の条件下の培養、密度勾配における挙動のような物理的特性によってか、特性マーカーに従って分類すること(例えば、細胞表面タンパク質に対する抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)を使用する蛍光活性化細胞分類(FACS)、免疫沈降)によってか、または他の方法によって、調製される。
【0099】
細胞は、組織学(例えば、Luna,1968を参照のこと)、免疫染色および類似の方法(例えば、Harlowら 1998;Coliganら,1991を参照のこと)によって同定され得る。インビトロ走化性アッセイの用途のための実質的に精製された細胞組成物を調製するための方法は、以下および実施例において、簡潔に説明されている。しかし、本発明は、所望の細胞が取得され得るかぎり、特定の精製方法が使用されることを必要としない;多くのバリーエーションおよび代替的な方法が、当業者に知られている。さらに、多くの他の精製方法および検出方法(本明細書中で具体的に列挙していない細胞に対して適切な方法も含む)は、当該分野で公知であるかまたは容易に開発され得る。さらに、免疫系組織に由来するクローンニングした細胞株は、所望される場合、本明細書中に記載の走化性アッセイにおいて使用され得る。一般的な免疫学的、精製方法および細胞培養方法は、Coliganら(1991)(1999までの補遺も含む)に記載されている。別段規定されない限り、培養物中の細胞は、5%COのもと37℃でインキュベートされる。
【0100】
単球精製のための適切な方法は、Benderら,1996.(また、米国特許第5,994,126号を参照のこと)に記載されている。簡潔には、単球は、汎T細胞表面マーカーCD2に対する固定した抗体を使用してT細胞を枯渇させることによって、PBMCから単離される。便宜上、磁気ビーズに結合されたCD2抗体の市販元(Dynal;Lake Success,NY)を利用した。従来のFicoll勾配遠心分離法によって軟膜から単離したPBMC(代表的には、400×10PMBCを含む35ml)は、20×10細胞/mlで、MACS緩衝液(DPBS(HyClone;Logan,UT)(1%BSA(Sigma)を伴う))に再懸濁される。DPBSは、ダルベッコリン酸緩衝化生理食塩水(CaCl(0.1g/l)、KCl(0.2g/l)、KHPO(0.2g/l)、MgCl−6HO(0.1g/l)、NaCl(8.0g/l)、NaHPO(2.16g/l))である。適切な量の固定化CD2+磁気ビーズ(代表的には10μl/10細胞)を細胞に添加する。この混合物を穏やかに攪拌しながら4℃で15分間インキュベートする。磁気タグ化T細胞を、磁気セルソーター(Dynal)で、製造者のプロトコルに従って未標識細胞から除去する。未標識細胞は、主に単球およびB細胞を含有する。
【0101】
上記調製物中のB細胞を、差次的な接着特性を利用することにより除去する。簡潔に説明すると、T細胞枯渇PBMCを、T−175組織培養フラスコのプラスチックに、37℃で3時間、接着させる(100×10細胞/フラスコ;Costar;Acton,MA)。非接着細胞(大部分にB細胞を含む)を吸引する。非接着細胞を完全に除去するために、フラスコをDPBSでもう3回リンスする。得られた細胞は、単球について大部分が富化されている(すなわち、>90%)。
【0102】
単球はまた、CD14抗原のポジティブ選択によって単離され得る、簡潔に説明すると、標準的なFicoll勾配遠心分離法により末梢血液から単離したPBMC(例えば、軟膜)を、1×10細胞/mlでMACS緩衝液中に懸濁する。CD14表面抗原に対する固定化抗体(例えば、CD14+磁気マイクロビーズ(Milteyni))を添加し(1μlのビーズ/1×10細胞)、そしてこの混合物を15分間4℃でインキュベートする。混合物を磁気セルソーター(Miltenyi Biotech;Auburn,CA)上で製造者のプロトコルに従ってポジティブ選択カラムに通すことにより、単球を他の細胞集団から分離する。カラムをMACS装置から除去した後、カラム上に保持された単球をMACS緩衝液を用いて溶出する。次いで、細胞を遠心分離によってペレット化し、そして10細胞/mlでRMPI+10%FCS培地中に再懸濁する。この方法により単離した単球をCD2+枯渇法により単離した細胞と本質的に同じようにして培養する。
【0103】
別々の成熟集団および未熟集団を含む樹状細胞の精製のための適切な方法は、当該分野において公知である。実質的に精製された樹状細胞(成熟または未熟細胞の亜集団を含む)は、インビボ培養条件における選択によって調製され得る。
【0104】
樹状細胞は、潜在病原と接触している全ての組織(例えば、皮膚、胃腸管および気道、ならびに二次リンパ組織のT細胞豊富領域)において広範に分布している。皮膚および上気道においては、それらは、高度に樹状化された細胞(皮膚においてランゲルハンス細胞と呼ばれる)の格子を形成する。抗原を捕捉した後、末梢組織(例えば、皮膚および腸)中の樹状細胞は、内部移行された抗原を提示するリンパ節のT細胞領域にリンパ管排液を介して移動する(traffic)。未熟樹状細胞は、抗原を取り込み、そしてプロセシングするように機能する。排液リンパ節への続く遊走の間に、DCは成熟する。成熟樹状細胞は、キーとなるAPCとして機能し、病原特異的細胞傷害性T細胞およびヘルパーT細胞の増殖を誘導することにより、免疫応答を開始させる。
【0105】
樹状細胞の実質的に純粋な集団は、インビトロ培養(下述)によって生成され得る。さらに、細胞段階を同定するために使用され得る樹状細胞成熟の間で、ケモカインレセプターの発現に顕著な変化がある(Campbellら、1998;Chanら、1999;Dieuら、1998;Kellermannら、1999)。例えば、未熟樹状細胞は、主にCCR1、CCR5、およびCXCR4を発現する。成熟の際に、これらのレセプターは、CXCR4を除いて、ダウンレギュレートされる。
【0106】
培養において、未熟形態の樹状細胞は、二次リンパ組織にまでの抗原接触の地点からの樹状細胞の遊走の間、その事象に類似すると考えられる成熟を受ける。種々の発達期のヒトまたはマカクザルの樹状細胞は、特定のサイトカインを用いてCD14血液前駆体から、培養中に生成され得る。樹状細胞の別の系統は、臍帯血または骨髄由来のCD34+前駆細胞から分化され得る。本発明の1つの実施形態では、樹状細胞の亜集団が、走化性組成物の同定(すなわち、走化性能および規定のDCサブタイプに対する選択性を評価する)のためのインビトロアッセイのために生成される。樹状細胞の例示の亜集団は、以下の通りである:(1)未熟末梢血単球由来細胞;(2)成熟末梢血単球由来細胞、および(3)CD34+前駆体由来の細胞。亜集団は、当該分野で公知の種々の方法によって、単離または生成される。例えば、PBMC由来の未熟樹状細胞および成熟樹状細胞は、Benderら、前出に従って生成される。
【0107】
簡潔に説明すると、PBMCを、細胞表面マーカーCD2(全てのT細胞上に存在する)に対する固定化抗体を用いてT細胞枯渇させる。市販のCD2+ダイナビーズ(Dynal)が、製造者のプロトコルに従って使用され得る。T細胞枯渇混合物を、37℃で3時間、組織培養用プラスチック上に細胞をインキュベートすることによって接着画分と非接着画分とに分離する。非接着細胞を穏やかに除去し、そして接着細胞(一般にCD14単球)を、各々1000U/mLのGM−CSFおよびIL−4(R&D Systems,Minneapolis,MN)を補充した培養培地(例えば、RMPI+10%FCS)中に配置する(「1日目(Day 1)」)。3日目〜7日目の間、細胞は、ベールをかぶったような不明瞭な形態を提示し始め、そしてサイトカインを2日目、4日目、および6日目に補充する。その時点で、細胞は、未熟樹状細胞として回収され得る。1つの実施形態では、このインビトロ期での細胞を単離し、そしてこれをアッセイにおいて使用する。代表的には、約10×10の樹状細胞が、400×10PBMCから得られる。
【0108】
7日目の未熟樹状細胞は、代表的な樹状細胞形態を示し、これは、伸長した細胞体および多くの突起を有する。細胞の大きさは、前駆単球に比較して有意に増大する。未熟樹状細胞は、細胞表面マーカーのそれらの発現をモニタリングすることによって表現形的に特徴づけられ得る。
【0109】
未成熟樹状細胞(末梢血単球または骨髄由来のCD34+前駆体から生成される)は、さらに活性化され、そして分化されて、成熟樹状細胞になり得る。以下の2つの方法が、主に使用される:MCM(マクロファージ馴化培地)および二本鎖RNA−ploy(I:C)刺激(Cellaら、1999;Verdijkら、1999)。
【0110】
MCM法において、6日目の未成熟樹状細胞を、遠心分離によって回収し、そして(10% FCSを含むRPMIで1:1まで)希釈した熟成培地(例えば、MCM)中に10細胞/mlで再懸濁する。GM−CSF(1000U/ml)およびIL−4(1000U/ml)を添加する。細胞を、さらに3日間培養し、さらにGM−CSF(1000U/ml)およびIL−4を添加する。9日目の細胞を、成熟樹状細胞として使用する。
【0111】
ポリ(I:C)法において、6日目の未成熟樹状細胞を回収し、そして20μg/mlのポリ(I:C)(Sigma)、1000U/mlのGM−CFSおよびIL−4を補充した標準培養培地(RPMI+10% FCS)中に再懸濁する。細胞を、さらなるサイトカインなしに、さらに3日間培養する。9日目の細胞を、成熟樹状細胞として使用する。
【0112】
これら2つの異なる方法によって生成された成熟樹状細胞は、未成熟樹状細胞とも前駆体単球とも異なる表現型および機能的特性を示す。各調製由来の成熟樹状細胞を、FACSによって完全に特徴付けて、所望の細胞型が得られたことを確認する。
【0113】
特に、生成された成熟樹状細胞は、未成熟細胞よりも、その細胞表面上に顕著により高いレベルのMHCクラスIIを発現する。CD80、CD83およびCD86の発現もまた、アップレギュレートされる。ケモカインレセプター発現もまた、成熟プロセスの間に劇的に変化する。例えば、CCR1、CCR5は、成熟細胞において急激にダウンレギュレートされるが、一方でCCR7は、アップレギュレートされ、そしてMCMの添加の数時間以内に、細胞表面上に出現する。機能的に、成熟樹状細胞は、もはや抗原を充分に摂取することができないが、ナイーブなT細胞およびB細胞の増殖を刺激する能力を獲得する。成熟樹状細胞はまた、それらの移動挙動を変化させる;成熟樹状細胞は、もはや、CCR1、CCR2およびCCR5のリガンド(例えば、MIP−1α、RANTESおよびMIP−1β)に応答しない。その代わり、成熟樹状細胞は、CCR7リガンドであるSLCおよびELCに応答する。
【0114】
MCMは、軽微な改変を加えて、Romaniら、1996に記載されるように調製する。簡潔には、ペトリ皿(100mm、Falcon)を、5mlのヒトIg(10mg/mL)で37℃にて30分間コーティングし、そして使用直前にPBSで2〜3回洗浄する。8ml中50×10のPBMCを、ヒトIgコーティングしたプレート上に、1〜2時間にわたって層状化する。非接着細胞を、洗浄して除去し、そして廃棄する。接着細胞を、新たな完全培地(RPMI+10%正常ヒト血清)中で37℃でインキュベートし、そして得られた培地(MCM)を、24時間後に収集する。MCM中のTNF−α濃度を、標準的なELISA法(例えば、TNF−α ELISAキット(R&D Systems、Minneapolis、MN)を使用する)によって決定する。MCM中の最終TNF−αレベルを、適切な量のMCMをRPMI/10%ウシ胎仔血清と混合することによって、50U/mlに調節する。
【0115】
好中球精製に適切な方法は、当該分野で公知である。1つの適切な方法に従って、新鮮な全血(WB)を、50mlの遠心管中で、3%のデキストランで1:1に希釈し、そして室温で30〜45分間沈降させる。25mlのWB+25mlのデキストランは、30分間の沈降後に、約35mlの上清を生じる。この上清を、12〜15mlのFicoll上に層状化し、そして18〜20℃にて30〜40分間、400×gで遠心分離する。単核細胞およびFicoll−Paqueを含む血漿/血小板層を、吸引によって除去する。好中球は、赤血球(RBC)層上の白色層において見出される(いくつかの調製物において、好中球および赤血球の層は、混合される)。これらの場合、RBCは、低張溶解によって除去される(12.5mlの冷0.2% NaClを、ボルテックスしながら、好中球/RBCペレットに添加する。12.5mlの冷1.6% NaClを、なおボルテックスしながら、直ぐに添加する。これらの細胞を、60〜100×gで10分間遠心分離し、そして回収する。必要な場合、この溶解工程が繰り返される)。得られた好中球は、>95%の純度である(主な残留細胞として、好酸球を含む)。
【0116】
(予後アッセイ)
本明細書中に記載される診断方法は、異常なFPRL1レセプターまたはFPRL1リガンドの発現または活性に関連する疾患または障害を有するかまたは発症する危険性のある被験体を同定するためにさらに利用され得る。例えば、記載されるアッセイは、神経変性障害のような障害を有するかまたは発症する危険性のある被験体を同定するために使用され得る。代表的には、試験サンプルは、被験体から得られ、そしてFPRL1レセプターもしくはFPRL1リガンドが検出されるか、または活性がアッセイされる。例えば、試験サンプルは、生物学的流体(例えば、血清)、細胞サンプルまたは組織であり得る。
【0117】
予後アッセイは、異常なFPRL1レセプターまたはFPRL1リガンドの発現または活性に関連する疾患または障害を処置するために、ある様式(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、食物など)を被験体が投与され得るかどうかを決定するために使用され得る。このような方法は、被験体が、ある障害についての薬剤で効果的に処置され得るかどうかを決定するために使用され得る。本発明は、被験体が、異常なFPRL1レセプターまたは異常なFPRL1リガンドの発現または活性に関連する障害についての薬剤で効果的に処置され得るかどうかを決定するための方法を提供する。このようなアッセイにおいて、試験サンプルが獲得され、そしてSHAAGtideまたは核酸が検出される(例えば、ここで、SHAAGtideまたは核酸の存在は、異常なFPRL1レセプターまたは異常なFPRL1リガンドの発現または活性に関連する障害を処置するための薬剤を投与され得る被験体についての診断である)。
【0118】
以下の実施例は、本発明を例示するために与えられ、そして限定を意図しない。
【実施例】
【0119】
(実施例1:CKβ8−1(25−116)は、他のCKβ8改変体同様に、CCR1発現細胞における細胞内カルシウムフラックスを刺激する)
ヒト組換えケモカインであるロイコタクチン(leukotactin)、3つの既知のCKβ8改変体であるCKβ8(1−99)、CKβ8(25−99)、CKβ8−1(1−116)、およびCKβ8−1の新規NH−末端短縮型であるCKβ8−1(25−116)を、R&D Systems(Minneapolis,MN)から入手した。CKβ8−1(25−116)を、安定なヒトCCR1トランスフェクトHEK239細胞における細胞内カルシウム動員を誘発する能力について、他の3つの改変体と比較した。ヒトHEK293−CCR1細胞を、製造業者のプロトコルに従って、Fugena 6(Roche,IN)を使用して調製した。HEK−293細胞株を、800μg/mlのG−418を補充した、10% FBSを含むDMEM中で維持した。
【0120】
HEK293細胞におけるヒトケモカインレセプターCCR1の安定な発現を、以下のように得た:CCR1をコードする全長cDNAを、ヒト末梢血細胞から単離したゲノムDNAから、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってクローニングした。このPCR産物を、標準的な分子クローニング手順を使用して、pcDNA3.1(Invitrogen,Carlsbad,CA)中にクローニングし、そして正体を確認するために、完全に配列決定した。
【0121】
このCCR1/pcDNA3.1構築物2μgを使用して、以下のようにHEK293細胞をトランスフェクトした。FuGENE:DNA複合体を、100ulの無血清培地(Hyclone,CO)中で、6.0μlのFuGENE 6試薬(Roche Molecular Biochemicals,CA)および2μgのCCR1/pcDNA3.1を混合することによって調製した。室温で30分間のインキュベーション後、この複合体を、10% FBS(Hyclone,CO)を補充したDMEM培地10 ml中に0.5〜1×10細胞を含む、60mmの培養プレートに添加した。混合後、これらの細胞をインキュベータに戻して、37℃で2日間培養した。トランスフェクションの48時間後に、ジェネテシン(G418)(Mediatech,Herndon,VA)を、800ug/mlの最終濃度で添加した。次いで、これらの細胞を、20,000細胞/ウェルの濃度で、96ウェルプレートにプレートした。G418選択下で2〜3週間の後に、安定なジェネテシン耐性CCR1発現細胞を、1〜500nMの濃度のMIP−1αに応答してカルシウムを動員する能力についてアッセイした。
【0122】
Ca2+動員応答を、細胞内比率測定(ratiometric)蛍光色素Indo−1を使用して実施した。細胞に、培養培地中で、Indo−1/AM(3μM;Molecular Probes,Eugene,OR)をロードした(45分、20℃、10細胞/ml)。色素ロード後、細胞を、10mlのPBSで1回洗浄し、そして1% FBSを含むHBSS中に10細胞/mlで再懸濁した。細胞質ゾルCa2+放出を、Photon Technology International蛍光定量器(350nmにて励起、400nmおよび490nmでの比例する(ratioed)二重放射)を使用して、350nmでの励起を使用して決定した。
【0123】
HEKCCR1−293形質転換体を用いて、CKβ8−1(25−116)および他のCKβ8改変体は、100nMで迅速なカルシウムフラックスを誘導した。2つの短縮型改変体CKβ8(25−99)およびCKβ8−1(25−116)は、高いカルシウム応答を誘導したが、一方で、改変体CKβ8(25−99)およびCKβ8−1(1−116)によって生じるシグナルはより低かった。これらのケモカインはいずれも、トランスフェクトされていない親HEK293細胞ではシグナルを誘導しなかった。このことは、この活性がCCR1に起因し、内因性レセプターに起因するものではないことを実証する。100nMのCKβ8(25−99)およびCKβ8−1(25−116)で得られた最大レセプター刺激は、同じ濃度のCCR1アゴニストであるロイコタクチンで得られたレセプター刺激と等しかった。
【0124】
(実施例2:CCL23改変体CKβ8−1(25−116)は、ヒト単球および好中球において、CCR1関連イベントではない特有の活性プロフィールを提示する)
ヒト組換えケモカイン、ロイコタクチン、MIP−1α、3種類の公知のCKβ8改変体(CKβ8(1〜99)、CKβ8(25〜99)、CKβ8−1(1〜116))およびCKβ8−1の新規NH末端短縮形態(CKβ8−1(25〜116))を、R&D Systems(Minneapolis、MN)から得た。ヒト単球を、標準的なプロトコルに従い、軟膜(Standford Blood Center、Palo Alto、CA)から作製した。簡単には、PBMCを、標準的な密度勾配遠心法(Ficoll−Paque−Plus、Pharmacia)により単離した。単球を、CD14マイクロビーズ(Miltenyi、Aubum、CA)磁性陽性選択を用いて精製した。ヒト好中球を、Ficoll−Hypaque(Hyclone、CA)での勾配遠心により、健康な個体由来の新しい末梢血から単離した。
【0125】
CCL23改変体の活性を、実施例1に記載されるカルシウムフラックス試験を用いて、新しく調製したヒト単球および好中球で試験した。全てのケモカインが単球において幾分かのカルシウム放出を刺激したが、CKβ8(1−99)およびCKβ8−1(1−116)は、250nMでさえ乏しい活性を示した。CKβ8(25−99)は、わずかに高いカルシウム刺激を示した。しかし、CKβ8−1(25−116)は、拡張されたカルシウム放出を伴う特有のカルシウムフラックスを示した。100nMのCKβ8−1(25−116)で得られた最大のレセプター刺激は、同じ濃度のロイコタクチンで得られたレセプター刺激より少なくとも2倍高かった。
【0126】
好中球において、100nMのロイコタクチンは、カルシウム流を誘導したが、MIP1αもCKβ8(1−99)も、CKβ8(25−99)も、CKβ8(1−116)もカルシウム流を誘導しなかった。しかし、CKβ8−1(25−116)は、特有のカルシウム放出を誘導した。その強度は、同じ量のロイコトタクリン刺激について観察された強度より非常に高かった。
【0127】
(実施例3:HEK293−CCR1トランスフェクト体、単球および好中球で実施された交差脱感作(cross−desensitization)試験)
交差脱感作試験において、細胞を、ロイコタクチン、次いで、ケモカインCKβ8(1〜99)、CKβ8(25〜99)、CKβ8−1(1〜116)およびCKβ8−1(25〜116)で連続的に刺激した。HEK293−CCR1トランスフェクト体(実施例1におけるように調製した)において、ロイコタクチンは、全ての改変体に対して類似のレセプター脱感作パターンを誘導した。細胞を、100nMのロイコタクチンで前処理した場合、全てのリガンドに対するカルシウムフラックス応答が、完全に阻害された。
【0128】
類似のレセプター交差脱感作試験を、単球および好中球の両方(実施例2におけるように調製した)を用いて実施した。単球において、ロイコタクチンは、CCL23改変体である、CKβ8(1−99)、CKβ8(25−99)、およびCKβ8−1(1−116)を完全に脱感作した。対照的に、ロイコタクチンでの前刺激は、単球でのCKβ8−1(25−116)の活性を脱感作しなかった。好中球において、CKβ8(1−99)、CKβ8(25−99)、およびCKβ8−1(1−116)は、不活性であり、かつロイコタクチンでの前刺激は、効果がなかった。しかし、ロイコタクチンでの前刺激は、CKβ8−1(25−116)での刺激を脱感作しなかった。
【0129】
(実施例4:CCL23改変体は、CCR1発現細胞への結合について、125I−MIP−1αと競合する)
CCL23改変体の結合特性を、ヒトCCR1発現細胞において比較した。MIP−1αおよびCCL23改変体CKβ8(1−99)、CKβ8(25−99)、CKβ8−1(1−116)およびCKβ8−1(25−116)が、125I−MIP−1αと競合する能力を、HEK293−CCR1細胞(実施例1におけるように調製した)において調査した。細胞を、非標識ケモカインの存在下で、125I標識したMIP−1α(最終濃度、約0.05nM)と共にインキュベートした(4℃で3時間:25mM HEPES、140mM NaCl、1mM CaCl、5mM MgCl、および0.2%BSA、pH7.1に調整)。反応混合物を、細胞回収器(Packard)を用いてPEI処理GF/Bガラスフィルター上に吸引した。フィルターを、2回(25mM HEPES、500mM NaCl、1mM CaCl、5mM MgCl、pH7.1に調整)洗浄した。シンチレーション剤(MicroScint−10:35μl)を、乾燥したフィルターに添加し、そしてフィルターを、Packard Topcount scintillation counterにおいて計数した。データを、Prism software(GraphPad Software、San Diego、CA)を用いて解析しおよびプロットした。
【0130】
漸増濃度のMIP−1αまたはCCL23改変体で競合曲線が観察された。MIP−1αは、0.54nMのIC50を与えた。CCL23改変体は、それぞれ、64nM、1.34nM、206nM、および112nMのIC50を与えた。CKβ8−1(1−116)は、このトランスフェクト体において、CCR1からの結合した125I−MIP−1αの置換について、CKβ8(1−99)より1/3〜1/4少ない能力を示した。このことは、CKβ8−1(1−116)のCCR1に対する比較的低い親和性と一致する。また、予想されるようにCKβ8(1−99)の短縮体である、CKβ8(25〜99)は、40倍のIC50の増加を示した。しかし、CKβ8−1(25−116)(同様のCKβ8−1(1−116)のアミノ酸短縮改変体)についてのIC50は、1倍増加したのみであった。
【0131】
同様の結合競合試験を、単球および好中球で実施した。これらの細胞を、実施例2におけるように調製した。MIP−1αは、好中球に結合しなかったので、好中球におけるMIP−1αの間での結合競合は、研究され得なかった。単球において、MIP−1αは、0.27nMのIC50を有し、そしてCCL23改変体は、それぞれ、10nM、0.25nM、55nM、および5nMのIC50を有する。慨して、CKβ8(1−99)およびCKβ8(25−99)は、HEK293−CCR1細胞において観察されたIC50と同様のIC50を示した。しかし、CKβ8−1(1−116)およびCKβ8−1(25−116)は、単球においてより高いMIP−1α置換活性を示し、特に、CKβ8−1(25−116)についての活性は、10倍高かった。125I−MIP−1αの結合競合データ(IC50)を、表6に示す。各々の相互作用についてのIC50を、非線形最小二乗曲線フィッティングから誘導した。
【0132】
(表6、HEK293−CCR1トランスフェクト体および単球についての125I−MIP−1α結合競合データ)
【0133】
【表6】

(実施例5 改変体CKβ8−1(25−116)は、ヒト単球および好中球の新規移動特性での移動を誘導する)
移動アッセイを、単球および好中球において実施した。ヒト単球および好中球(実施例2におけるように調製した)を、回収し、そして走化性培地(CM)中に再懸濁した。このCMは、0.1%BSA(Sigma、St.Louis、MO)を添加した、CaCl(1mM)およびMgSO(1mM)を含むハンクス緩衝化塩溶液(Gibco、MA)から構成されていた。これらのアッセイを、96ウェルChemoTx(登録商標)マイクロプレート(Neuroprobe、MA)中で実施した。ロイコタクチン、MIP−1αおよびケモカイン(実施例1におけるように調製したCKβ8(1−99)、CKβ8(25−99)、CKβ8−1(1−116)またはCKβ8−1(25−116))を、より下部ウェルに添加し(最終容量29μL)、そして20μLの細胞懸濁液(単球について5×10細胞/mL;好中球について2.5×10細胞/mL)をポリカーボネートフィルター(単球について5μm孔径;好中球について3μm孔径)に添加した。90分間のインキュベート(37℃、100%湿度、5%CO)後、細胞を、フィルターの上部表面からかき出した。下部チャンバに移動した細胞を、Quant細胞増殖アッセイキット(Molecular Probes、OR)を用いて定量した。
【0134】
単球において、CKβ8−1(25−99)、CKβ8−1(1−99)、およびCKβ8−1(1−116)は、100nMまでの全ての濃度で中程度に高い活性を示した。CKβ8−1(25−116)の1nMおよび10nMでの活性は他の改変対と非常に類似していたが、CKβ8−1(25−116)は、100nMの濃度で、他の3種類の改変体より劇的に高い活性を示した。
【0135】
同じ試験を、ヒト好中球で実施した。ヒト好中球は、一般的に、CCR1リガンドに対する強力な応答を欠いた。カルシウムフラックスの結果と一致して、ロイコタクチンおよびMIP−1αを含む公知のCCR1リガンドのいずれもが、活性ではなかった。しかし、CKβ8−1(25−116)は、100nMで強力な応答を誘導した。この強度は、IL−8およびGRO−αを含む多くの他の強力なCXCR1およびCXCR1リガンドに匹敵する。
【0136】
(実施例6 CKβ8−1(25−116)は、ホルミルペプチドレセプター様1(FPRL1)発現細胞において細胞内カルシウムフラックスおよび走化性を誘導し得る)
CKβ8−1(25−116)の機能的活性を、ヒトFPRL1−L1.2トランスフェクト体およびネイティブのL1.2細胞において調査した。L1.2細胞におけるホルミルペプチド様レセプター1(FPRL1)の安定した発現を、以下のように得た。FPRL1をコードする全長cDNAを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、未分化HL−60細胞から単離したゲノムDNAからクローニングした。ポリメラーゼ連鎖反応産物を、標準的な分子クローニング手順を用いてpcDNA3.1(Invitrogen、Carlsbad、CA)へとクローニングし、そして完全に配列決定して同一性を確認した。20μgのFPRL1/pcDNA3.1構築物を、BsmI(New England Biolabs、Beverly、MA)での消化により直線状にし、そして以下のようにマウスB細胞株L1.2をトランスフェクトするために用いた。2500万の細胞を、2回洗浄し、そして0.8mlのPBS中に再懸濁した。これらの細胞を、直鎖状FPRL/pcDNA3.1構築物DNAと共に室温で10分間、インキュベートし、そして0.4cmキュベットに移し、そして250V、960μFでシングルエレクトロポレーションパルスを印加した。エレクトロポレートした細胞を、室温で10分間、インキュベートし、そして10%FCSを補充したRPMI中の37℃の培養物中に移した。ジェネチシン(G418)を、トランスフェクションの48時間後に800μg/mlの最終濃度まで添加し、そしてこれらの細胞を、96ウェルプレートに、25,000細胞/ウェルでプレートした。薬物選択下、2〜3週間後、安定なジェネテシン耐性FPLR1発現細胞を、それらが1〜1000nMの濃度のSHAAGtideまたはCKβ8−1に応答してCa++を移動させる能力について評価した。
【0137】
カルシウムフラックス試験を、実施例1に記載される方法を用いて、これらのトランスフェクト体で実施した。CCL23改変体の中で、CKβ8−1(25−116)のみが、FPRL1発現細胞におけるカルシウム放出を刺激した。FPRL1についての非天然リガンドとして知られる合成ペプチドTrp−Lys−Tyr−Met−Val−D−Met−NH(WKYMVm)およびTrp−Lys−Tyr−Met−Val−Met−NH(WKYMVM)(「Wペプチド1および2」)(Phoenix Pharmaceuticals(Belmont、CA)から入手)は、強力なカルシウムフラックスを生成した。CKβ8−1(25−116)誘導されたカルシウム放出は、親(pariental)細胞においても他のケモカインレセプターでトランスフェクトされた細胞においても観察されなかった。CKβ8−1(25−116)誘導されたカルシウムフラックス用量応答アッセイを実施した場合、10〜20nMのEC50が、これらの細胞において観察された。CKβ8−1(1−116)は、200nMでさえもFPRL1発現細胞に対して活性を示さなかった。
【0138】
CKβ8−1(25〜116)が、FPRL1発現細胞の移動を誘発する能力を、試験した。試験条件は、実施例5におけるとおりであった。親(pariental)L1.2細胞は、このアッセイにおいて移動しなかったが、FPRL1を発現する細胞は、1nMから1μMの範囲のCKβ8−1(25−116)濃度に応答してベル型の用量依存性の様式で移動した。最大の半分の(half maximal)細胞移動は、30nMで観察された。この最大の応答の強度は、合成ペプチドWKYMVmおよびWKYMVMを用いて観察された強度より高かった。一般的に、CKβ8−1(25−116)は、FPRL1媒介移動において、他のケモカインと比較して、より広範なベル型曲線を示した。従って、CCR1に対する活性に加えて、CKβ8−1(25−116)はまた、単球および好中球上で発現したレセプターFPRL1を介して機能する。
【0139】
(実施例7 CKβ8−1(25−116)は、ヒト単球およびFPRL1発現細胞上に結合する125Iで標識されたWKYMVmを置換し得る)
FPRL1へのCKβ8−1(25−116)の結合を、CKβ8−1(25−116)が、ヒトFPRL1−L1.2トランスフェクト体およびヒト単球から125Iで標識されたWKYMVm(125Iで標識されたTrp−Lys−Tyr−Met−Val−D−Met−NH、Perkin Elmer Life Science(Boston、MA))を置換する能力を測定することにより決定した。細胞を、漸増濃度の標識していないWKYMVmまたはCKβ8−1(25−116)の存在下で、0.01nMの125I−WKYMVmと共に、4℃で、3時間、インキュベートした。各々の相互作用についてのIC50を、Prismソフトウェア(GraphPad Software)を用いることによる、データの非線形最小二乗曲線フィッティングから導いた。
【0140】
FPRL1−L1.2トランスフェクト体および単球について、競合曲線が、漸増濃度のWKYMVmまたはCKβ8−1(25−116)で観察された(表7)。そのような曲線は、他のCCL23改変体について観察されなかった。
【0141】
(表7 WKYMVmおよびCKβ8−1(25−116)で観察された、125I標識されたWKYMVmの競合曲線)
【0142】
【表7】

(実施例8 ケモカインまたはSHAAGtideは、未熟樹状細胞、成熟樹状細胞、単球または好中球によるカルシウム動員を誘導した)
ヒト組換えCKβ8−1(25−116)ケモカインを、R&D Systems(Minneapolis、MN)から得た。ペプチドSHAAGtide(配列番号1および配列番号6)ならびにコントロールタンパク質(配列番号1の逆配列)を合成し、そしてSambrookら、1989、およびAusubelら、1999に記載される従来技術を用いてHPLCで精製した。
【0143】
ヒト単球を、軟膜(Stanford Blood Center、Palo Also、CA)または健康な個体の新しい血液のいずれかから、標準的なプロトコルに従い作製した。簡単には、PBMCを、Ficoll−Paque密度勾配遠心法(Ficoll−Paque−Plus、Pharmacia)により単離した。単球を、CD14マイクロビーズ(Miltenyi)磁性陽性選択により精製した。ヒト好中球を、デキストラン沈殿および密度勾配遠心Ficoll−Paque密度勾配遠心法によって、新しい血液から単離した。全ての細胞を、洗浄し、そして10%FBSを有するRPMI培地中に再懸濁した(1×10/ml)。
【0144】
未熟DCを、GM−CSFおよびIL4の存在下でCD14+単球を培養することによって、誘導した。簡単には、単球を、T−175フラスコ中で、RPMI/10%FCS中10細胞/mlで培養した。組換えヒトGM−CSFおよびIL4を、0日目、2日目、4日目、および6日目に、それぞれ、1000u/mlおよび500u/mlの最終濃度まで添加した。細胞を、未熟DCとして7日目に回収し、FACS分析により表面タンパク質発現について特徴づけした。DC成熟を、マクロファージ馴化培地(MCM)中で6日目の未熟DCを培養することによって実施した。簡単には、6日目の未熟DCを、遠心分離により回収し、そしてMCMに10細胞/mlで再懸濁した。培地に、1000u/mlのGM−CSFおよび500u/mlのIL4を補充した。さらに3日の培養後、細胞を、成熟DCとして回収し、そして表面タンパク質発現フローサイトメトリーにより特徴付けた。
【0145】
MCMを、以下のように調製した:軟膜から単離したPBMCを、10mg/mlのヒトIgG(Sigma、St Louis、MO)でプレコートしたプラスチックフラスコ中、37℃で、30分間、インキュベートした。30分後、非付着細胞を、除去し、そして付着細胞を、DPBSで3回洗浄し、次いで、RPMI/10%ヒト血清中で培養した。馴化培地を、24時間後に回収した。TNF−α濃度(これは、DC成熟に必須である)を、TNF−αELISAキット(R&D Systems、MN)を用いることによって決定した。MCM中の最終的なTNF−αレベルを、RPMI/10%ヒト血清と混合することによって50u/mlまで調整し、そして−80冷凍庫で、使用するまで貯蔵した。
【0146】
Ca2+移動応答を、細胞内レシオメトリック蛍光色素であるIndo−1を用いて実施した。培養培地中の細胞に、Indo−1/AM(3μM;Molecular Probes(Eugene、OR))を充填した(45分、20℃、10細胞/ml)。色素充填後、細胞を、1回洗浄し(10ml PBS)そして1%FBSを含むHBSS中に10細胞/mlで懸濁した。サイトゾル[Ca2+]放出を、Photon Technology International fluorimeterを用い、350nmでの励起を用いて決定した(350nmで励起、400nmおよび490nmでの分配された(retioed)二重放出)。
【0147】
SHAAGtide(配列番号1および配列番号6)ならびにCKβ8−1(25−116)は、ヒト単球および好中球で強力なカルシウムフラックスを生成し、そして未熟樹状細胞および成熟樹状細胞に対して部分的に活性であった。コントロールペプチドでは、有意なカルシウムフラックスが、観察されなかった。未熟樹状細胞は、高レベルのCCR1を発現し、CKβ8−1(25−116)は、これらの細胞においてCa2+放出を誘導する。
【0148】
(実施例9 ケモカイン、SHAAGtide、およびSHAAGtide短縮改変体は、安定に発現されたFPRL1細胞によってカルシウム動員を誘導した)
L1.2細胞中のヒトFPRL1の安定な発現は、実施例6のとおりに得られた。カルシウムフラックス試験を、実施例1に記載された方法を使用してトランスフェクト体で行なった。ケモカイン(CKβ8(1−99)、CKβ8(25−99)、CKβ8−1(1−116)およびCKβ8−1(25−116)を、実施例1のとおりに調製した。Wペプチド1および2を、実施例6のとおりに得た。さらに、以下のSHAAGtide配列および短縮改変体(実施例8のとおりに調製される)を試験した:
CCXP1 配列番号1
CCXP2 配列番号2
CCXP3 配列番号3
CCXP4 配列番号4
CCXP5 配列番号5
CCXP6 配列番号6
CCXP7 配列番号7
CCXP8 配列番号8
CCXP9 配列番号9
CCXP10 配列番号10。
【0149】
全てのリガンドを、用量応答様式および所定のピークカルシウムフラックス応答で加えた。表8は、CKβ8(25−116)(配列番号16)および特定のSHAAGtideが、FPRL1トランスフェクト体中でカルシウム動員を誘導したことを示す。しかし、CKβ8(1−116)(これは、遊離SHAAGtide N末端を含まない)は、有意な動員を生じなかった。このデータはまた、SHAAGtideのN末端が、FPRL1トランスフェクト体中のその活性のために重要であることを示す。短縮N末端を有するこれらのSHAAGtideは、非常に減少されたカルシウム動員を生じた。短縮C末端または置換C末端を有するSHAAGtideは、N末端の短縮後に観察されたのと同じ活性損失を示さなかった。
【0150】
(表8−FPRL1 L1.2細胞中のカルシウムフラックスの誘導(IC50 −は、IC50値は列挙されず、その配列は、活性が低いかまたは有意な活性がない)
【0151】
【表8】

(実施例10 FPRL1−L1.2細胞上のケモカイン、SHAAGtideおよびSHAAGtide短縮改変体の走化性活性)
FPRL1−L1.2細胞上のケモカイン(CKβ8(1−99)およびCKβ8(25−99)、SHAAGtides(配列番号1および配列番号2)およびWペプチド1および2(実施例6のとおりに得られる)の走化性活性を、移動アッセイで決定した。このケモカインを実施例1のとおりに調製した。SHAAGtide配列(配列番号1および配列番号2)を、実施例8のとおりに調製した。FPRL1−L1.2細胞を、実施例6のとおりに調製した。
【0152】
移動アッセイを、実施例5に記載されるプロトコルを使用して、96ウエルChemoTx(登録商標)マイクロプレート(Neuroprobe)で実施した。配列番号1およびCKb8−1(25−116)の両方が、トランスフェクト体に移動し、配列番号1およびCKb8−1(25−116)は、このレセプターに対して機能的であることを示している。
【0153】
(実施例11 ヒト単球および好中球上ののケモカイン、SHAAGtideおよび and SHAAGtide短縮改変体の走化性活性)
ケモカイン:CKβ8(1−99)、CKβ8(25−99)、CKβ8 (1−116)およびCKβ8(25−116);Wペプチド1および2ならびにSHAAGtide配列(配列番号1および配列番号2)のヒト単球および好中球上の走化性活性を、移動アッセイにおいて決定した。上記のペプチドを、前出の実施例のとおりに調製した。この移動アッセイを、実施例5に記載されるプロトコルを使用して、96ウエルのCHEMOTX(登録商標)マイクロプレート(Neuroprobe)で実施した。SHAAGtide(配列番号1)およびCKb8−1(25−116)は、好中球および単球の両方の移動を生じた。
【0154】
(参考文献)
【0155】
【表9】






【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は、報告されているFPRL1内因性低親和性リガンドおよび非天然リガンドを示す表である。
【図2】図2は、ヒトCCL23/CKβ8改変体と、ヒトCCL15/MIP−1αおよびCCL3/MIP−1δのアミノ酸配列アラインメントを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号16を除いて、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有するN末端配列を含む単離されたタンパク質またはポリペプチド。
【請求項2】
前記タンパク質またはポリペプチドがFPRL1についてのリガンドである、請求項1に記載の単離されたタンパク質またはポリペプチド。
【請求項3】
前記N末端配列が、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項1に記載の単離されたタンパク質またはポリペプチド。
【請求項4】
前記N末端配列が、配列番号1に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1に記載の単離されたタンパク質またはポリペプチド。
【請求項5】
前記N末端配列が、配列番号1に対して少なくとも100%の配列同一性を有する、請求項1に記載の単離されたタンパク質またはポリペプチド。
【請求項6】
前記N末端配列が、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号6である、請求項1に記載の単離されたタンパク質またはポリペプチド。
【請求項7】
配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する単離されたポリペプチド。
【請求項8】
配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項7に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項9】
配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項7に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項10】
配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号6の配列を有する、請求項7に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項11】
配列番号20と少なくとも80%の同一性を含む核酸配列を含む単離された核酸。
【請求項12】
配列番号20に対して少なくとも90%の同一性を含む、請求項11に記載の単離された核酸。
【請求項13】
配列番号20に対して少なくとも95%の同一性を含む、請求項11に記載の単離された核酸。
【請求項14】
配列番号20に対して少なくとも99%の同一性を含む、請求項11に記載の単離された核酸。
【請求項15】
請求項11に記載の核酸に対して相補的な配列を有する単離された核酸。
【請求項16】
配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号25、配列番号27または配列番号30を含む、請求項11に記載の単離された核酸。
【請求項17】
配列番号20を含む請求項15に記載の単離された核酸。
【請求項18】
配列番号25を含む請求項15に記載の単離された核酸。
【請求項19】
請求項1に記載のペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項20】
請求項1に記載のペプチドに融合した非SHAAGtideポリペプチドを含む融合タンパク質。
【請求項21】
請求項1に記載のポリペプチドを含む薬学的組成物および薬学的に受容可能なキャリアおよびシリンジを備えるキット。
【請求項22】
FPRL1レセプターアンタゴニストを同定するための方法であって、以下:
FPRL1レセプターを発現する細胞と、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有するN末端配列を含むタンパク質またはポリペプチドとを接触する工程;ここで、該該レセプターは、刺激される;
該レセプターと候補アンタゴニスト化合物とを接触する工程;および
FPRL1レセプターについて検出する工程
を包含する、方法。
【請求項23】
前記候補化合物が抗体、ペプチド、核酸または低分子である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞が好中球、単球、Tリンパ球または樹状細胞である、請求項22に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号16の配列を除いて、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有するN末端配列を含む単離されたタンパク質またはポリペプチドであって、FPRL1レセプターについてのリガンドである、前記タンパク質またはポリペプチド
【請求項2】
N末端配列が、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項1に記載の単離されたタンパク質またはポリペプチド。
【請求項3】
N末端配列が、配列番号1に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1に記載の単離されたタンパク質またはポリペプチド。
【請求項4】
N末端配列が、配列番号1に対して100%の配列同一性を有する、請求項1に記載の単離されたタンパク質またはポリペプチド。
【請求項5】
N末端配列が、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号6である、請求項1に記載の単離されたタンパク質またはポリペプチド。
【請求項6】
配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、10から90アミノ酸からなる単離されたポリペプチドであって、ここで該ポリペプチドはFPRL1レセプターについてのリガンドである、前記単離されたポリペプチド
【請求項7】
配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項6に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項8】
配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項6に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項9】
配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号6の配列を有する、請求項6に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項10】
配列番号20と少なくとも80%の同一性を有し、そして配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有するN末端配列を含むが、配列番号16の配列を除く、タンパク質またはポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離された核酸であって、ここで、該タンパク質またはポリペプチドはFPRL1レセプターについてのリガンドである、前記単離された核酸
【請求項11】
配列番号20に対して少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項10に記載の単離された核酸。
【請求項12】
配列番号20に対して少なくとも95%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項10に記載の単離された核酸。
【請求項13】
配列番号20に対して少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項10に記載の単離された核酸。
【請求項14】
請求項10に記載の核酸に対して相補的な配列を有する単離された核酸。
【請求項15】
配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号25、配列番号27または配列番号30を含む、請求項10に記載の単離された核酸。
【請求項16】
配列番号20を含む、請求項15に記載の単離された核酸。
【請求項17】
配列番号25を含む、請求項15に記載の単離された核酸。
【請求項18】
請求項1に記載のタンパク質またはポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項19】
請求項1に記載のタンパク質またはポリペプチドに融合した非SHAAGtideポリペプチドを含む融合タンパク質。
【請求項20】
薬学的組成物を含むキットであって、以下:
請求項1に記載のポリペプチド、
薬学的に受容可能なキャリア、および
シリンジ
含む、前記キット。
【請求項21】
FPRL1レセプターアンタゴニストを同定するための方法であって、以下:
FPRL1レセプターを発現する細胞と、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有するN末端配列を含むタンパク質またはポリペプチドとを接触する工程;ここで、該レセプターは刺激される;
該レセプターと候補アンタゴニスト化合物とを接触する工程;および
FPRL1レセプターへの該タンパク質またはポリペプチドの結合を検出する工程;
を包含する、前記方法。
【請求項22】
前記候補化合物が、抗体、ペプチド、核酸、または低分子である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞が、好中球、単球、Tリンパ球、または樹状細胞である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
FPRL1に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントであって、FPRL1の生物学的活性に影響を与える、前記抗体またはその結合フラグメント。
【請求項25】
抗体またはその抗原結合フラグメントがFPRL1活性のアゴニストである、請求項24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項26】
抗体またはその抗原結合フラグメントがFPRL1活性のアンタゴニストである、請求項24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項27】
抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有するN末端配列を含む単離されたタンパク質またはポリペプチドによるFPRL1の生物学的活性に及ぼす効果を実質的に模倣する、請求項24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項28】
N末端配列が、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項27に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項29】
N末端配列が、配列番号1に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項27に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項30】
N末端配列が、配列番号1に対して100%の配列同一性を有する、請求項27に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項31】
N末端配列が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号6である、請求項27に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項32】
抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有する単離されたポリペプチドによるFPRL1の生物学的活性に及ぼす効果を実質的に模倣する、請求項24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項33】
単離されたポリペプチドが、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項32に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項34】
単離されたポリペプチドが、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項32に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項35】
単離されたポリペプチドが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号6の配列を有する、請求項32に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項36】
薬学的組成物を含むキットであって、該薬学的組成物は以下:
FPRL1に結合し、そしてFPRL1の生物学的活性に影響を与える抗体、またはその抗原結合フラグメント;
薬学的に受容可能なキャリア;および
シリンジ
を含む、前記キット。
【請求項37】
抗体またはその抗原結合フラグメントが、FPRL1を発現する白血球においてカルシウムフラックスを引き起こす、請求項24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント
【請求項38】
抗体またはその抗原結合フラグメントが、単球、好中球、成熟樹状細胞または未成熟の樹状細胞から選択される細胞を誘引するまたは機能修飾する、請求項24に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−507791(P2006−507791A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−534573(P2003−534573)
【出願日】平成14年8月19日(2002.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2002/026339
【国際公開番号】WO2003/031603
【国際公開日】平成15年4月17日(2003.4.17)
【出願人】(502129656)ケモセントリックス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】