説明

ホームネットワークシステム

【課題】クライアントよりサーバを自動的に起動するホームネットワークシステムにおいて、サーバの立上げを早め、クライアント側の待ち時間を短縮する。
【解決手段】ホームネットワークシステムでは、クライアントとサーバがLANで接続されている。クライアントのCPUは、クライアントの初期化で(S2)、通信部がデータリンク層のレベルで通信可能になったとき(S3でYES)、サーバに対してサーバを起動する起動コマンド信号を送信する(S5)。サーバはスタンバイ状態にあり(S11)、サーバの通信制御部は、クライアントからの起動コマンド信号を検出すると(S12)、この起動コマンド信号を基にサーバの主電源をオンにする(S13)。これにより、クライアントの初期化と同時にサーバを起動させて、立上げを早めることができるので、クライアント側から見たサーバ利用の待ち時間を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアントとサーバが接続されたホームネットワークシステムに関し、詳しくは、クライアントの電源の投入により、サーバの電源を投入できるホームネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のホームネットワークシステムとしては、家庭内LAN(ホームネットワーク)を用いてAV機器やパソコン、情報家電を相互に接続し、連携して利用するための技術仕様であるDLNAガイドライン(Digital Living Network Alliance guideline、以下、DLNAという)準拠のネットワークシステムが知られている。このDLNAでは、サーバ側として、コンテンツを記録・蓄積・提供するDMS(デジタルメディアサーバ)が、クライアント側として、DMSのコンテンツを再生するDMP(デジタルメディアプレーヤー)が規定され、どちらもネットワークにつなぐだけで利用可能になり、DMPはネットワーク内に存在するDMSを探し出し、利用可能なコンテンツの一覧を自動的に取得する。したがって、このDLNA対応機器はネットワークにつなぐだけで自動的に他の機器からのコンテンツが利用可能になる。DMSとしては、例えば、ファイルサービス専用機のネットワークアタッチトストレージ(Network Attached Storage)、パソコン、DVD/HDDレコーダなどが利用可能であり、DMPとしては、テレビ受像機等のAV機器、ノートパソコン、PDAなどが利用でき、また、1台でDMSとDMPの機能を両方持たせることもできる。
【0003】
しかし、上記ホームネットワークシステムにおいては、DMSサーバおよびDMPが、それぞれ別の部屋に配置される場合に、DMSサーバおよびDMPのそれぞれについて電源をオン、オフ状態にすることは非常に煩雑であった。これに対して、より簡易に(サーバが配置された部屋に行くことなく)サーバの電源をオン、オフ状態にする方法として、ネットワークを介してクライアントとサーバが互いに起動することができる技術であるウェイクオンラン(Wake On Lan、以下、WOLという)が知られている。
【0004】
このWOLを用いたネットワークシステムでは、クライアント機器を立上げた際、クライアント機器がサーバ起動用のパケット信号(マジックパケット(登録商標))をサーバ側に発信し、ネットワークを介してサーバを起動させる。このとき、クライアント機器は、通常、自身のオペレーションシステム(OS)が完全に立上がってから、パケット信号を発信していた。したがって、サーバ側の起動は、クライアント機器の立上りより遅れて行われるので、クライアント機器からサーバにアクセスする際、クライアント機器側において、サーバ側の立上げが完了するまで待つ必要があった。このため、例えば、ホームネットワークシステムにおいて、DMP対応テレビ受像機(クライアント機器)でDMS対応DVDレコーダ(サーバ機器)のコンテンツを見たい場合に、テレビ受像機において、その電源投入からDVDレコーダのコンテンツを視聴できるまで、時間が長く掛かるという問題があった。
【0005】
ところで、特許文献1に示されるように、1つ以上のクライアントと1つ以上のサーバが接続されたクライアント/サーバ型ネットワークシステムにおいて、グループ内の1つのクライアントの電源の投入によりサーバの電源を投入し、グループ内の全てのクライアントの電源を切断するとサーバの電源も切断されるネットワークシステムが知られている。また、特許文献2に示されるように、クライアントがサーバをオフする際の、オフ条件を含むオフ条件登録要求をサーバに送信し、サーバがオフ条件を満たした際に、サーバの電源をオフするネットワーク型コンテンツ再生システムが知られている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に示されるような技術においては、クライアント機器からサーバの電源をオン状態にすることはできるが、必ずしもクライアント機器の立上げの際、これと並行してサーバの立上げを早めることはできず、上記問題を解決するための開示はなされていない。
【特許文献1】特開平5‐165552号公報
【特許文献2】特開2006‐155122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、ホームネットワークシステムにおいて、クライアント機器の電源投入時に自動的にサーバを立上げると共に、サーバの起動を早めて、クライアント機器側の待ち時間を短縮することができるホームネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、少なくとも1つのクライアントと、該クライアントが接続されるサーバとを含み、前記クライアントとサーバとが通信を行うための通信デバイスをそれぞれ備えたホームネットワークシステムにおいて、前記クライアントは、該クライアントに電源が投入されたとき、該クライアント側の通信デバイスをデータリンク層のレベルで通信可能にするための初期化プログラムを記憶する起動用メモリと、前記サーバの電源を起動させるための起動コマンド信号を、該サーバに送信する起動コマンド発行手段と、前記初期化プログラムの実行を含む、前記クライアント側の処理の制御を行うクライアント側制御手段と、を備え、前記サーバは、前記サーバの通信デバイスを制御する通信制御手段と、前記サーバの通信デバイスを常時データリンク層のレベルで通信可能とするために電源を供給する副電源部と、前記サーバの通常使用時に、該サーバの各部に電源を供給する主電源部と、前記起動コマンド発行手段により送信された起動コマンド信号を検知する起動コマンド検知手段と、を備え、前記クライアント側制御手段は、前記クライアントに電源が投入されたときに、前記起動用メモリに記憶された初期化プログラムを実行して、該クライアント側の通信デバイスをデータリンク層のレベルで通信可能にした後に、前記起動コマンド発行手段により、前記サーバの電源を起動させるための起動コマンド信号を前記サーバに送信するように制御し、前記サーバの通信制御手段は、前記起動コマンド検知手段により起動コマンド信号を検知したときに、前記主電源部をオンにするようにしたものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1のホームネットワークシステムにおいて、前記起動用メモリは、前記起動コマンド信号の送信先のサーバを識別するためのサーバ識別情報を記憶するものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2のホームネットワークシステムにおいて、前記クライアントは、ホームネットワーク上のサーバを検出するサーバ検出手段と、前記サーバ検出手段により検出されたサーバの中から、前記起動コマンド信号の送信先のサーバを決定するサーバ決定手段とをさらに備え、前記クライアント側制御手段は、前記サーバ決定手段により決定された送信先のサーバを識別するためのサーバ識別情報を前記起動用メモリに記憶するものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2のホームネットワークシステムにおいて、前記クライアントは、前記起動コマンド信号の送信先のサーバを選択可能なグラフィック・ユーザ・インターフェース(GUIという)を、さらに備え、前記クライアント側制御手段は、予めユーザが前記GUI上で選択したサーバの識別情報を前記起動用メモリに記憶するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、クライアントが初期化プログラムを実行して通信可能になったときに、サーバの主電源をオンしてサーバを直ぐに自動的に起動することができる。これにより、ユーザは、クライアントの起動時にサーバ起動の作業手間を軽減することができると共に、クライアントが立上がってからのサーバの立上りを待つ時間を短縮することができ、クライアント側でサーバのコンテンツをより早く利用することができる。したがって、ホームネットワークシステムにおいて、例えば、クライアント側をDMP対応テレビ受像機とし、サーバ側をDMSサーバとした場合では、ユーザは、テレビ受像機側で電源をオンしてコンテンツを視聴しようとするときに、DMSサーバの立上りを待つ時間を実質的になくすることができるので、コンテンツを直ぐに楽しむことができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、起動用メモリがクライアントの初期化プログラムと共に、起動するサーバの識別情報を記憶しているので、クライントは、その起動と同時に、起動用メモリからサーバ識別情報を得ることができ、起動させたいサーバにサーバ識別情報を直ぐに送信して、サーバを早期に起動させることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、クライアントにおいて、ネットワーク上に接続されるサーバの識別情報を全て検出でき、送信先のサーバ識別情報を決定して、このサーバの識別情報を起動用メモリに自動的に記憶しておくことができる。これにより、クライアントの起動時にサーバ識別情報を簡単に得ることができると共に、サーバ識別情報を起動用メモリに入力する手間を省くことができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、ユーザはGUI画面上でサーバを任意に選択することができるので、サーバの選択作業を容易に確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るホームネットワークシステム(以下、HNWシステムという)について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態のHNWシステムの構成を示すブロック図である。HNWシステムは、少なくとも1つのクライアント機器(本実施形態では、3つのクライアント機器10、20、30)、及び少なくとも1つのサーバ(本実施形態ではサーバ40)を備える。サーバ40およびクライアント機器10、20、30はLANによるネットワーク50を介して接続されている。このHNWシステムにおいては、各クライアント機器10、20、30は、サーバ40にコンテンツを要求し、サーバ40は各クライアント機器からの要求に応じてそれぞれにコンテンツを送信し、各クライアント機器10、20、30は、サーバ40からコンテンツを受信して再生する。
【0017】
図2は、ネットワーク50で接続されるクライアント機器10とサーバ40のそれぞれの電気ブロック図である。ここで、HNWシステムは、例えば、クライアント機器10を、DLNA準拠にしたDMP対応TV受像機とし、サーバ40を、DLNA準拠にしたDMSサーバとすると、DMP対応TV受像機側からDMSサーバのコンテンツを呼び出してTV受像機に表示することができるものである。
【0018】
上記クライアント機器10は、CPU11、メモリ12、通信部(通信デバイス)13、フラッシュROM(起動用メモリ)14、表示部15、電源部16、電源SW17を備える。
【0019】
CPU11は、クライアント機器10の全体を制御し、入出力されるデータのプロトコル処理等を行うと共に、サーバ40の電源を起動させるための起動コマンド信号を発行する起動コマンド発行部11a(起動コマンド発行手段)を有する。また、CPU11は、ネットワーク50上のサーバを検出するサーバ検出部11b(サーバ検出手段)と、サーバ検出部11bにより検出されたサーバの中から、起動コマンド信号の送信先のサーバを決定するサーバ決定部11c(サーバ決定手段)とをさらに備え、サーバ決定部11cにより決定された送信先のサーバを識別するためのサーバ識別情報を予めフラッシュROM14に記憶する。このネットワーク50上のサーバ識別情報の検出は、例えば、クライアント機器10及びサーバ40を、それぞれDLNA準拠のDMP対応機器、DMS対応サーバとすると、DLNAで用いるUPnP Device Architecture規格で規定されたプロトコルによりサーバを自動認識することにより行うことができる。サーバ決定部11cによる送信先の決定は、例えば、予めフラッシュROM14に登録したユーザの希望するサーバと一致するサーバ識別情報を検出することにより決定される。メモリ12は、CPU11が実行する各種制御動作に必要なプログラム等を記憶するROM、RAMから成る。
【0020】
通信部13は、クライアント機器10とサーバ40間で信号を送受信する通信デバイスであり、通信部13を制御する通信制御部13aを有する。通信制御部13aは、ホームネットワークを構成するLANネットワークを制御するLANコントローラとなっている。このような通信デバイスとしては、例えば、イーサネット(登録商標)(Ethenet)、無線LANの規格のWi−Fi(Wireless Fidelity)、電力線搬送通信(Power Line Communications)等を用いることができる。これらは、ネットワークインターフェースカード(Network interface card)として利用できるものである。
【0021】
フラッシュROM14は、クライアント機器10に電源が投入されたとき、クライアント側の通信部13をデータリンク層のレベルで通信可能にするプログラムを含むブートローダやBIOS(Basic Input Output System)からなる初期化プログラム、及びサーバを識別するためのサーバ識別情報を記憶する。初期化プログラムは、通常のパソコン等を立上げる際に、パソコンに接続される通信デバイス、ディスク等の各種デバイスをコントロールするための初期設定プログラムであり、通信プロトコルの少なくともデータリンク層の立上げプログラムを含んでいる。このデータリンク層は、通信プロトコルのOSI(Open system interconnection)参照モデルの第2層に位置するものである。
【0022】
表示部15は、サーバ40より供給されるコンテンツを含むテレビ画像情報を表示すると共に、予めメモリ12又はフラッシュROM14に登録された起動コマンド信号の送信先のサーバリストを表示するグラフィック・ユーザ・インターフェース(GUIという)となる。ユーザは、このGUIにより予めサーバを選択し、GUI上で選択した所望のサーバの識別情報をフラッシュROM14に記憶することができる。
【0023】
電源部16は、クライアント機器10の各部に電源を供給する電源であり、電源SW17は、ユーザがクライアント機器10に電源を投入する際に、電源部16をオンさせる電源スイッチである。
【0024】
次に、サーバ40は、CPU41、メモリ42、通信部(通信デバイス)43、表示部44、ハードディスク45、主電源部46、副電源部47を備える。主電源部46は、CPU41、メモリ42、表示部44、ハードディスク45に電源を供給し、副電源部47は、通信部(通信デバイス)43に電源を供給する。
【0025】
CPU41は、サーバ40の全体を制御し、サーバ40で入出力されるデータのプロトコル処理、クライアント機器10からの要求に応じてコンテンツを選択するデータベース管理、ハードディスク45に格納されたコンテンツの読出しを含むシステム制御等を行う。メモリ42は、CPU41が実行する各種制御動作に必要なプログラム等を記憶するROM、RAMから成る。
【0026】
通信部43は、クライアント機器10とサーバ40間で信号を送受信する通信デバイスであり、通信部43を制御する通信制御部43aを有する。通信制御部43aは、初期設定部43bと起動コマンド検知部43cを備え、LANネットワークを制御するLANコントローラの機能を持つ。初期設定部43bは、不揮発性のメモリ(不図示)を有し、サーバ40立上げ時におけるデータリンク層レベルの初期設定用の初期化プログラム及びサーバ識別情報等を格納している。起動コマンド検知部43cは、クライアント機器10の起動コマンド発行部11aから送信された起動コマンド信号を検知する。
【0027】
上記通信部43は、副電源部47から常時電源が供給され、通信制御部43aは、副電源部47の起動時に、初期設定部43bの初期化プログラムにより通信制御部43a自体の初期化処理を実行し、データリンク層のレベルで常に通信可能のスタンバイ状態となっている。また、通信制御部43aは、起動コマンド検知部43cにより、クライアント機器10の起動コマンド発行部11aから送信された起動コマンド信号を検知したときに、主電源部46を制御する電源制御信号を発信して主電源部46をオンにする。これにより、サーバ40は、サーバ各部に電源が供給され、CPU41、ハードディスク45等のサーバ全体が起動される。
【0028】
表示部44は、CPU41の制御情報や、ハードディスク45のコンテンツ情報等を表示するものである。ハードディスク45は、音楽、映像および/または静止画等のコンテンツを記録し、CPU41によりシステム制御され、記録しているコンテンツをクライアント機器10に供給する。
【0029】
上記構成において、CPU11は、クライアント機器10の電源SW17により電源部16に電源が投入されたときに、フラッシュROM14の初期設定部14aに記憶された初期化プログラムを実行する。そして、CPU11は、クライアント機器10の通信部13をデータリンク層のレベルで通信可能にした後に、起動コマンド発行部11aにより、サーバ40の電源を起動させるための起動コマンド信号をサーバ40に送信するように制御する。この起動コマンド信号には、サーバ40のサーバ識別情報が含まれる。サーバ40の通信制御部43aは、起動コマンド検知部43cでクライアント機器10からの自機のサーバ識別情報を含む起動コマンド信号を検知したときに、主電源部46をオンにする。
【0030】
上記ホームネットワークシステムの動作手順について、図3を参照して説明する。先ず、クライアント機器10側で、ユーザが電源SW17をオンして電源部16を起動させると(S1)、CPU11の立上りをスタートする。CPU11は、先ず、フラッシュROM14の初期設定部14aに格納されているクライアント機器10を起動するための初期プログラムを立上げる(S2)。この初期プログラムの立上げにより通信部13がデータリンク層で通信可能になると(S3でYES)、CPU11は、フラッシュROM14の初期設定部14aから起動させるサーバ40の識別情報を読出し(S4)、読出されたサーバの識別情報と共に、起動コマンド発行部11aからサーバを起動させるための所定の起動コマンド信号をネットワーク50に発信する(S5)。その後、クライアント機器10側で、CPU11は、まだ初期化されていない残りのデバイス(例えば、ディスク、キーボード、グラフィックス等)の初期化設定を全て行い(S6)、クライアント機器10のOSの立上げを完了させる(S7)。
【0031】
サーバ40側は、通信部43が副電源部47により駆動され、通信部43の通信制御部43aにより、通信部43自体の初期化が完了されると(S11)、通信部43はデータリンク層のレベルで通信可能となり、サーバ40はスタンバイ状態に保たれる。このスタンバイ状態において、通信制御部43aは、起動コマンド検知部43cで、ステップのS5においてクライアント側で発信されたサーバ識別情報を含む起動コマンド信号を検出すると(S12)、主電源部46を起動するための電源制御信号を発生して、主電源部46をオンさせる(S13)。この主電源部46がオンすると、主電源部46に接続するCPU41、表示部44、ハードディスク45等が起動される。そしてサーバ40のOSが立ち上がり(S14)、CPU11はサーバ40全体を制御する。これにより、クライアント機器10側からネットワーク50を介して自動的にサーバ40を起動することができる。
【0032】
上記動作手順により、本実施形態のHNWシステムは、クライアント機器10の電源を投入したときに、データリンク層で通信可能になった段階で直ちにサーバ40を自動的に起動することができる。これにより、ユーザは、クライアント機器10の起動時に、利用するサーバ40を起動する手間を無くすことができると共に、クライアント機器10が立上がってから、サーバ40の立上りまでの待ち時間を短縮することができ、サーバ40側のコンテンツをより早く利用することができる。したがって、例えば、クライアント機器10をDMP対応テレビ受像機とし、サーバ40をDMS対応DVDレコーダとしたHNWシステムにおいては、ユーザは、DMP対応テレビ受像機側で電源をオンしてコンテンツを視聴しようとする段階で、DMS対応DVDレコーダのコンテンツを直ぐに視聴することができる可能性が高い。なお、クライアント機器10において、CPU11に設けた起動コマンド発行部11a、サーバ検出部11b及びサーバ決定部11cは、通信部13の通信制御部13aに設けてもよい。
【0033】
上述のように、本実施形態のHNWシステムによれば、クライアント機器10で電源が投入されると、通信部13がデータリンク層のレベルで通信可能になった段階で、直ぐにネットワーク50上に接続されたスタンバイ状態にあるサーバ40を自動的に立上げることができる。これにより、ユーザが行うサーバ起動の作業手間を軽減すると共に、従来のクライアント機器10が完全に立上がってからサーバ40を起動する場合に比べて、クライアント機器10の起動後に、ユーザがサーバ40の立上りを待つ時間を短縮することができ、サーバをより早く利用することができる。したがって、例えば、PLNA準拠のAV機器によるHNWシステムとして、クライアント機器10側をDMP対応テレビ受像機とし、サーバ40側をDPS対応DVDレコーダとした場合のHNWシステムにおいては、ユーザは、テレビ受像機側が立上がってから直ぐにDVDレコーダのコンテンツを楽しむことが可能となる。
【0034】
また、クライアント機器10において、フラッシュROM14がクライアント機器10の初期化プログラムと共に、起動するサーバの識別情報を記憶しているので、クライアント機器10は、その起動と同時に、フラッシュROM14からサーバ識別情報を得ることができ、起動させたいサーバ40にサーバ識別情報を直ぐに送信して、サーバ40を早期に起動させることができる。
【0035】
さらに、クライアントにおいて、ネットワーク上に接続されるサーバの識別情報を全て検出でき、送信先のサーバ識別情報を決定して、このサーバの識別情報をフラッシュROMに自動的に記憶しておくことができる。これにより、クライアントの起動時にサーバ識別情報を簡単に得ることができると共に、サーバ識別情報を入力する手間を省くことができる。
【0036】
また、クライアントは、起動コマンド信号の送信先のサーバを選択可能なグラフィック・ユーザ・インターフェースを備えているので、ユーザはGUI画面上でサーバを任意に選択することができ、必要なサーバを選び易く、予めサーバ識別情報を確実に選択して記憶しておくことができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、サーバが複数個有る場合には、クライアントに電源が投入されると、利用したい複数のサーバの全てにそれぞれのサーバ識別情報を含む起動コマンド信号を送信して自動的に立上げることも可能である。また、複数のクライアント同士の間で自動的に互いの立上げを行うことも可能である。また、サーバにクライアント起動の機能を持たせることにより、サーバからクライアントを立上げることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係るホームネットワークシステムの概略構成図。
【図2】同上ホームネットワークシステムにおけるクライアントとサーバの電気ブロック図。
【図3】同上ホームネットワークシステムにおける動作手順を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0039】
10、20、30 クライアント機器
11 CPU(クライアント側制御手段)
11a 起動コマンド発行部(起動コマンド発行手段)
11b サーバ検出部(サーバ検出手段)
11c サーバ決定部(サーバ決定手段)
13 通信部(通信デバイス)
13a 通信制御部(通信デバイス)
14 フラッシュROM(起動用メモリ)
15 表示部(GUI)
40 サーバ
43 通信部(通信デバイス)
43a 通信制御部(通信制御手段)
43c 起動コマンド検知部(起動コマンド検知手段)
46 主電源部
47 副電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのクライアントと、該クライアントが接続されるサーバとを含み、前記クライアントとサーバとが通信を行うための通信デバイスをそれぞれ備えたホームネットワークシステムにおいて、
前記クライアントは、
該クライアントに電源が投入されたとき、該クライアント側の通信デバイスをデータリンク層のレベルで通信可能にするための初期化プログラムを記憶する起動用メモリと、
前記サーバの電源を起動させるための起動コマンド信号を、該サーバに送信する起動コマンド発行手段と、
前記初期化プログラムの実行を含む、前記クライアント側の処理の制御を行うクライアント側制御手段と、を備え、
前記サーバは、
前記サーバの通信デバイスを制御する通信制御手段と、
前記サーバの通信デバイスを常時データリンク層のレベルで通信可能とするために電源を供給する副電源部と、
前記サーバの通常使用時に、該サーバの各部に電源を供給する主電源部と、
前記起動コマンド発行手段により送信された起動コマンド信号を検知する起動コマンド検知手段と、を備え、
前記クライアント側制御手段は、前記クライアントに電源が投入されたときに、
前記起動用メモリに記憶された初期化プログラムを実行して、該クライアント側の通信デバイスをデータリンク層のレベルで通信可能にした後に、
前記起動コマンド発行手段により、前記サーバの電源を起動させるための起動コマンド信号を前記サーバに送信するように制御し、
前記サーバの通信制御手段は、前記起動コマンド検知手段により起動コマンド信号を検知したときに、前記主電源部をオンにするようにしたことを特徴とするホームネットワークシステム。
【請求項2】
前記起動用メモリは、前記起動コマンド信号の送信先のサーバを識別するためのサーバ識別情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載のホームネットワークシステム。
【請求項3】
前記クライアントは、
ホームネットワーク上のサーバを検出するサーバ検出手段と、
前記サーバ検出手段により検出されたサーバの中から、前記起動コマンド信号の送信先のサーバを決定するサーバ決定手段とをさらに備え、
前記クライアント側制御手段は、前記サーバ決定手段により決定された送信先のサーバを識別するためのサーバ識別情報を前記起動用メモリに記憶することを特徴とする請求項2に記載のホームネットワークシステム。
【請求項4】
前記クライアントは、前記起動コマンド信号の送信先のサーバを選択可能なグラフィック・ユーザ・インターフェース(GUIという)を、さらに備え、
前記クライアント側制御手段は、予めユーザが前記GUI上で選択したサーバの識別情報を前記起動用メモリに記憶することを特徴とする請求項2に記載のホームネットワークシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−287560(P2008−287560A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132753(P2007−132753)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】