説明

ホールカバー取付構造

【課題】ホールカバー取付け状態でのホールカバー周りの見栄えを改善する。
【解決手段】バックドアトリム1に形成された略矩形状のサービスホール3に略矩形状のホールカバー5を取り付けるホールカバー取付構造において、第1開口縁3aに、サービスホール3内側に向かって裏側方向に傾斜する傾斜面9を形成し、第2開口縁3bに、バックドアトリム1の表面に対して略垂直な垂直面12を形成し、第3開口縁3cに、延出端面14aが第1開口縁3a側から第2開口縁3b側に向かって表側方向に傾斜する延出部14を裏側方向に向かって延設する。ホールカバー5の裏側には、バックドアトリム1の延出端面14aに第3開口縁3cに沿って当接する当接部19を有する引掛部15を突設し、ホールカバー5の外縁6を、バックドアトリム1の垂直面12に当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルに形成された略矩形状の開口に略矩形状のホールカバーを取り付けるホールカバー取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パネルに形成された略矩形状の開口に略矩形状のホールカバーを取り付けるホールカバー取付構造が開示されている。このホールカバー取付構造では、上記パネルの開口の一辺に対応する開口縁に、開口内側に向かって上記パネルの裏側方向に傾斜する傾斜面を形成するとともに、該傾斜面に対向する開口縁に上記パネルの表面に対して略垂直な垂直面を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−211276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のようなホールカバー取付構造では、パネルの開口にホールカバーを取り付けた状態において、パネルの垂直面とホールカバーの外縁との間の隙間が製作誤差等により目立ち、見栄えを悪化させる場合がある。また、パネルの外縁が傾斜面を滑ってパネル全体が反垂直面側にずれ、その結果、パネルの垂直面とホールカバーの外縁との間の隙間が広くなり、見栄えを悪化させるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ホールカバー取付け状態でのホールカバー周りの見栄えを改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、上記パネルの垂直面にホールカバーの外縁を当接させた状態で、ホールカバーの反垂直面側への移動を規制したことを特徴とする。
【0007】
具体的には、請求項1に記載の発明は、互いに対向する第1開口縁及び第2開口縁と、これら第1開口縁及び第2開口縁の両端側で第1開口縁及び第2開口縁と略直交する方向に延び各々の両端を繋ぐ互いに対向する第3開口縁及び第4開口縁とで略矩形状の開口がパネルに形成され、該開口に略矩形状のホールカバーを取り付けるホールカバー取付構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記第1開口縁には、開口内側に向かって上記パネルの裏側方向に傾斜する傾斜面が形成され、上記第2開口縁には、上記パネルの表面に対して略垂直な垂直面が形成され、上記第3開口縁には、延出部が上記パネルの裏側方向に向かって延設され、該延出部の延出端縁は上記第1開口縁側から第2開口縁側に向かって上記パネルの表側方向に傾斜し、上記開口の開口縁には、該開口にホールカバーを取り付けた状態で該ホールカバーを裏側から支持する支持部が開口内側に向かって突設され、上記ホールカバーの外縁には、ホールカバー取付け状態で、上記パネルの傾斜面に略平行に対向する傾斜対向面と、上記パネルの上記第3開口縁を除く開口縁に係止する係止部とが形成され、上記ホールカバーの裏側には、ホールカバー取付け状態で、上記パネルの延出部の延出端縁に上記第3開口縁に沿って当接する当接部を有する引掛部が突設され、上記ホールカバーの上記傾斜対向面と反対側の外縁は、ホールカバー取付け状態で、上記パネルの垂直面に当接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、ホールカバー取付け状態で、パネルの垂直面にホールカバーの外縁が当接するとともに、パネルの延出部の延出端縁がホールカバーの引掛部の当接部に当接してホールカバーの反垂直面側(第1開口縁側)への移動を規制するので、ホールカバーの外縁とパネルの垂直面との間に隙間が生じない。また、ホールカバー取付け状態でホールカバーの傾斜対向面がパネルの傾斜面と略平行に対向するので、傾斜対向面と傾斜面との間に生じる隙間がホールカバーの表側から見えない。したがって、ホールカバー取付け状態におけるホールカバー周りの見栄えが改善される。
【0010】
また、引掛部の当接部を延出部の延出端縁に当接させることにより、ホールカバーを第3開口縁に沿う方向に位置決めできるので、取付け作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ホールカバーが取り付けられた状態のバックドアトリムを示す平面図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】図1のB−B線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0013】
図1〜3は、ホールカバー5が取り付けられた状態のパネルとしてのバックドアトリム1(以下、トリム1という)を示す。このトリム1は、樹脂製の内装材であり、図示しない自動車のトランクルームの車幅方向両側に配置されている。
【0014】
このトリム1には、バックライトの交換等に用いられる開口としてのサービスホール3が、互いに対向する第1開口縁3a及び第2開口縁3bと、これら第1開口縁3a及び第2開口縁3bの両端側で第1開口縁3a及び第2開口縁3bと略直交する方向に延び各々の両端を繋ぐ互いに対向する第3開口縁3c及び第4開口縁3dとで略矩形状に形成されている。このサービスホール3には、略矩形状のホールカバー5が開閉可能に取り付けられている。この状態で、ホールカバー5の表面と上記トリム1のサービスホール3周縁とが段差なく連続している。
【0015】
上記トリム1の第1開口縁3aには、板状傾斜枠部7がサービスホール3内側に向かって上記トリム1の裏側方向に傾斜するように全体に亘って突設され、該傾斜枠部7のサービスホール3内側の面が、トリム1の裏側方向に向かってサービスホール3内側に傾斜する傾斜面9を構成している。
【0016】
上記トリム1の第2開口縁3b、第3開口縁3c及び第4開口縁3dには、板状垂直枠部11が上記トリム1の表面に対して略垂直にトリム1の裏側方向に向かって一体に突設されている。この垂直枠部11のサービスホール3内側の面が、上記トリム1の表面に対して略垂直な垂直面12を構成している。
【0017】
上記傾斜枠部7及び垂直枠部11の先端には、サービスホール3内側に向かって上記トリム1の表面と略平行に延出する板状支持部10が全周に亘って一体に延設されている。
【0018】
上記第3開口縁3cに対応する支持部10の先端には、平面視略三角形状の板状延出部14が、上記トリム1の裏側方向に向かって上記第1開口縁3a近傍から上記第3開口縁3cの略中央にかけて延設されている。この延出部14の延出長さは第2開口縁3b側端部から第1開口縁3a側に向かって徐々に長くなって第1開口縁3a寄りの箇所で最長となり、この最長箇所から第1開口縁3a側に向かって徐々に短くなっている。上記延出長さの最長箇所より第2開口縁3b側の延出部14の延出端縁には、上記第1開口縁3a側から第2開口縁3b側に向かって上記トリム1の表側方向に傾斜する延出端面14aが形成されている。一方、上記延出長さの最長箇所より第1開口縁3a側の延出部14の延出端縁には、上記第1開口縁3a側から第2開口縁3b側に向かって上記トリム1の裏側方向に傾斜する延出端面16aが形成され、この延出端面16aは、上記傾斜面9と平行になっている。
【0019】
上記ホールカバー5は、上記トリム1のサービスホール3を覆う略板状のカバー本体部5aを備えている。また、上記ホールカバー5の外縁6は、上記トリム1の第1開口縁3aに対向する第1外縁部6a、上記トリム1の第2開口縁3bに対向する第2外縁部6b、上記トリム1の第3開口縁3cに対向する第3外縁部6c、及び上記トリム1の第4開口縁3dに対向する第4外縁部6dからなる。
【0020】
上記第3外縁部6c近傍のカバー本体部5aの裏面には、断面略L字状の板状引掛部15が突設されている。この引掛部15は、板面を第1外縁部6a及び第2外縁部6bに沿う方向に向けてカバー本体部5aの裏面から略垂直に突出する突出板部17と、該突出板部17の突出端から略垂直に外側に突出する板状当接部19とを備えている。上記突出板部17の突出長さは、第1外縁部6a側から第2外縁部6b側に向かって徐々に短くなり、上記当接部19の上記カバー本体部5aに対向する面19aは、上記第1外縁部6a側から第2外縁部6b側に向かってカバー本体部5a側に傾斜し、上記トリム1の延出部14の延出端面14aに上記第3開口縁3cに沿って当接している。上記当接部19の突出端には、板状延出片部21が外側に向かって上記引掛部15の突設方向に傾斜するように延設されている。
【0021】
上記第4外縁部6d近傍のカバー本体部5aの裏面には、一対の係止部としての抜け止め爪部23が、第4外縁部6dに沿う方向に互いに間隔を空けて突設されている。また、各抜け止め爪部23の第3外縁部6c側のカバー本体部5aの裏面には、平面視三角形状の一対の板状補強リブ25が略垂直に突設されて各抜け止め爪部23に連結されている。
【0022】
上記第4外縁部6dの中央近傍のカバー本体部5aには、略矩形状の取り外し用切欠部27が形成されている。
【0023】
上記第3外縁部6cの引掛部15対向箇所、上記第4外縁部6dの抜け止め爪部23対向箇所、及び上記切欠部27形成箇所を除く上記ホールカバー5の外縁6には、全体に亘って略板状のフランジ部29が該ホールカバー5の裏側方向に突設されている。このフランジ部29の先端面は、全体に亘って上記トリム1における支持部10に表側から当接している。
【0024】
上記第1外縁部6aのカバー本体部5aの外周面と、上記第1外縁部6aのフランジ部29の外側の面とは、両者で連続する傾斜対向面31を構成している。この傾斜対向面31は、ホールカバー5の内側に向かって該ホールカバー5の裏側方向に傾斜して上記トリム1の傾斜面9に略平行に対向している。
【0025】
上記傾斜対向面31を除く上記カバー本体部5aの外周面と、上記傾斜対向面31を除くフランジ部29の外側の面とは、カバー本体部5aの表面に対して略垂直に形成されている。上記第2外縁部6bのカバー本体部5aの外周面と、上記第2外縁部6bのフランジ部29の外側の面とは、両者で連続する垂直当接面33をなし、この垂直当接面33は、トリム1の第2開口縁3bの垂直面12に当接している。
【0026】
上記傾斜対向面31及び垂直当接面33を除くフランジ部29の外側の面は、上記傾斜対向面31及び垂直当接面33を除くカバー本体部5aの外周面とで、連続する垂直対向面35をなし、この垂直対向面35は、上記トリム1の第3開口縁3c及び第4開口縁3dの垂直面12と略平行に対向している。
【0027】
上記フランジ部29の内側の面は、全体に亘ってカバー本体部5aに対して略垂直になっている。
【0028】
上記のように構成されたホールカバー5をトリム1に取り付けるにはまず、ホールカバー5の裏側をトリム1側に向けてホールカバー5をサービスホール3に対応させ、上記第3外縁部6cが第4外縁部6dよりもトリム1に接近するようにホールカバー5を傾けて、ホールカバー5の引掛部15をサービスホール3内に挿入して引掛部15の延出片部21を上記トリム1の延出部14の延出端縁にトリム1の裏側方向から当接させる。次に、この状態で、ホールカバー5の第4外縁部6d側をトリム1側に押圧する。これにより、上記引掛部15の延出片部21が反第4外縁部6d側に移動して当接部19のカバー本体部5aに対向する面19aが上記トリム1の延出部14の延出端面14aに当接し、ホールカバー5が上記第3開口縁3cに沿う方向に位置決めされる。一方、抜け止め爪部23が上記トリム1の第4開口縁3d(支持部10の先端面10a)により内側に押されて撓み、該第4開口縁3d(先端面10a)を通過して離れ、該第4開口縁3d(先端面10a)の押圧力から解放されて外方に復帰して上記トリム1の第4開口縁3d(先端面10a)に係止し、トリム1のサービスホール3がホールカバー5により閉じられる。
【0029】
このような取付け状態では、トリム1の第2開口縁3bの垂直面12にホールカバー5の第2外縁部6bが当接するとともに、トリム1の延出部14の延出端面14aがホールカバー5の引掛部15の当接部19のカバー本体部5aに対向する面19aに当接してホールカバー5の第1開口縁3a側への移動を規制するので、ホールカバー5の垂直当接面33とトリム1の垂直面12との間に隙間が生じない。また、ホールカバー5取付け状態でホールカバー5の傾斜対向面31がトリム1の傾斜面9と略平行に対向するので、傾斜対向面31と傾斜面9との間に生じる隙間がホールカバー5の表側から見えない。したがって、ホールカバー5取付け状態におけるホールカバー5周りの見栄えが改善される。
【0030】
また、トリム1に取り付けられたホールカバー5の切欠部27にマイナスドライバー等を挿入してホールカバー5を引き上げると、抜け止め爪部23が上記トリム1の第4開口縁3d(支持部10の先端面10a)により内側に押されて撓み、該第4開口縁3d(先端面10a)を通過して離れ、その結果、ホールカバー5がトリム1から取り外される。
【0031】
本実施形態によると、上述のように、上記ホールカバー5における当接部19のカバー本体部5aに対向する面19aを上記トリム1の延出部14の延出端面14aに当接させることにより、ホールカバー5を上記第3開口縁3cに沿う方向に位置決めできるので、取付け作業が容易になる。
【0032】
なお、上記実施形態では、抜け止め爪部23をトリム1の第4開口縁3dに係止させたが、第3開口縁3cを除く開口縁であれば、第1開口縁3a又は第2開口縁3b等、他の開口縁に係止させてもよい。
【0033】
また、本発明のホールカバー取付構造は、バックドアトリム1に限らず、トランクサイドトリム、シートバック、ドアトリム、及びインストルメントパネル等、他のパネルにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、パネルに形成された略矩形状の開口に略矩形状のホールカバーを取り付けるホールカバー取付構造として有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 バックドアトリム(パネル)
3 サービスホール(開口)
3a 第1開口縁
3b 第2開口縁
3c 第3開口縁
3d 第4開口縁
5 ホールカバー
6 外縁
9 傾斜面
10 支持部
12 垂直面
14 延出部
14a 延出端面(延出端縁)
15 引掛部
19 当接部
23 抜け止め爪部(係止部)
31 傾斜対向面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1開口縁(3a)及び第2開口縁(3b)と、これら第1開口縁及び第2開口縁(3b)の両端側で第1開口縁(3a)及び第2開口縁(3b)と略直交する方向に延び各々の両端を繋ぐ互いに対向する第3開口縁(3c)及び第4開口縁(3d)とで略矩形状の開口(3)がパネル(1)に形成され、該開口(3)に略矩形状のホールカバー(5)を取り付けるホールカバー取付構造であって、
上記第1開口縁(3a)には、開口(3)内側に向かって上記パネル(1)の裏側方向に傾斜する傾斜面(9)が形成され、
上記第2開口縁(3b)には、上記パネル(1)の表面に対して略垂直な垂直面(12)が形成され、
上記第3開口縁(3c)には、延出部(14)が上記パネル(1)の裏側方向に向かって延設され、該延出部(14)の延出端縁(14a)は上記第1開口縁(3a)側から第2開口縁(3b)側に向かって上記パネル(1)の表側方向に傾斜し、
上記開口(3)の開口縁には、該開口(3)にホールカバー(5)を取り付けた状態で該ホールカバー(5)を裏側から支持する支持部(10)が開口(3)内側に向かって突設され、
上記ホールカバー(5)の外縁には、ホールカバー(5)取付け状態で、上記パネル(1)の傾斜面(9)に略平行に対向する傾斜対向面(31)と、上記パネル(1)の上記第3開口縁(3c)を除く開口縁(3a,3b,3d)に係止する係止部(23)とが形成され、
上記ホールカバー(5)の裏側には、ホールカバー(5)取付け状態で、上記パネル(1)の延出部(14)の延出端縁(14a)に上記第3開口縁(3c)に沿って当接する当接部(19)を有する引掛部(15)が突設され、
上記ホールカバー(5)の上記傾斜対向面(31)と反対側の外縁(6)は、ホールカバー(5)取付け状態で、上記パネル(1)の垂直面(12)に当接していることを特徴とするホールカバー取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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