説明

ボツリヌス毒素成分HAを核酸の細胞内導入キャリアーとして利用する方法

【課題】核酸医薬品として使え、安全で導入効率が良く、簡便で利便性の高い、非ウイルス性のベクターによる生体への核酸導入システムを提供する。
【解決手段】クロストリジウム属菌由来の赤血球凝集活性蛋白を核酸の細胞内導入キャリアーとして使用する方法及び当該蛋白と細胞内に導入する任意の核酸とからなる医薬組成物。当該赤血球凝集活性蛋白は、好ましくはAsn-X-Asn-X-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号1)又はAsp-X-X-Gly-Gly-Gln-Thr-X-X-Gly-Thr(配列番号2)(Xは任意の蛋白質構成アミノ酸)で示されるアミノ酸配列を含む。細胞内に導入する核酸としては、微生物感染症における感染防御抗原、生理活性物質、感染防御抗原、生理活性物質、酵素阻害物質、レセプター阻害物質、発ガン抑制物質、アポトーシス促進物質、アポトーシス抑制物質、細胞再生促進物質、免疫反応促進物質及び免疫反応抑制物質からなる群より選ばれた物質をコードする遺伝子が組み込まれた遺伝子発現カセット、リボザイムやアンチセンス遺伝子の機能遺伝子が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロストリジウム属菌、とりわけ、クロストリジウム・ボツリヌス菌が産生する赤血球凝集活性蛋白の用途に関する。更に詳しくは、本発明は、ボツリ ヌス毒素の構成成分の一つである赤血球凝集活性蛋白を、核酸を細胞内に導入するためのキャリアーとして利用する方法及び当該赤血球凝集活性蛋白と細胞内に導入する任意の核酸とからなる医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸を医薬品に利用する試みはおよそ40年間に亘って続けられているが、これまでに上市された人体用の核酸医薬品はアンチセンスとアプタマーの2製品である。核酸医薬品が製品化されにくい原因として、臨床試験に耐えうる、安全で導入効率の高い核酸の細胞内への導入方法が見つかっていないことが挙げられる。核酸を細胞内に導入する方法として、大きく分けて、ウイルスをベクターとして利用する方法と非ウイルス性のベクターを使用する方法の2通りが知られている。
【0003】
ウイルスをベクターとして利用する研究は、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、センダイウイルス等で行なわれている。ウイルスベクターを利用した場合は、細胞への高い導入効率が得られ、投与された核酸の長期発現が可能であると言われている。その反面、1)ウイルスベクターに対する抗体が産生され、連続投与が出来ない、2)また、その免疫反応によって副作用が発生する危険性がある、3)宿主の遺伝子に組み込まれた場合、変異を生じさせ、ガン等を発生させる危険性がある、4)細胞に対する毒性がある、5)ベクターウイルス自体が変異を起こす危険性がある、6)発現量のコントロールが難しい等、安全性が要求される医薬品にとって、解決しなければならない多くの課題がある。
【0004】
非ウイルス性のベクターを使用する方法としては、リポソームを用いる方法、カチオン性の蛋白質やペプチドを用いる方法、糖類を用いる方法、ウイルスの殻を利用する方法、ナノ粒子を用いる方法、金粒子に結合させて遺伝子銃で打ち込む方法等、数多くの方法が報告されている。非ウイルス性ベクターは、安全面で優れているが、筋肉内投与、静脈内投与、経鼻投与、経口投与、及び経皮投与等を行なった場合には、1)細胞への導入の効率が低い、2)発現が一過性である、3)製造コストが高い等の問題がある。
【0005】
これらの他に、トキシンB鎖蛋白質と核酸を結合剤で化学結合させた核酸運搬体を用いることにより核酸を細胞内に導入させる方法に関する報告がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これは、細菌の産生するトキシン蛋白質には、細胞表面のレセプターと結合して毒素蛋白質を細胞内に導入する作用があるという性質に着目して行なわれたものである。しかしながら、この報告では、培養細胞を用いたin vitroの実験系で核酸が細胞内に導入されたことが示されているのみで、動物個体に投与した場合の結果は開示されておらず、その有効性は明らかにされていない。
【0006】
また、インフルエンザウイルスの赤血球凝集活性蛋白由来の膜融合活性をもつペプチドがプラスに荷電して遺伝子と結合する事から、該ペプチド、目的の遺伝子を含むプラスミド、及びトランスフェリンを化学結合させたポリリジンの3者を静電気的に結合させて細胞へ導入する方法が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。この静電的に結合させた複合体は細胞のトランスフェリンレセプターに結合し、細胞内へ取り込まれ、細胞質内の酸性pHで該ペプチドが膜融合を起こして膜を破壊し、プラスミドを細胞質内に放出させることができる。該ペプチドは導入効率をあげるために使われるが、本方法も動物個体に投与した場合の効果は知られておらず、その有効性は明らかにされていない。非ウイルス性ベクターの多くはin vitroの実験では細胞導入作用が認められるが、in vivoではその作用が実用的に不十分かあるいは認められないものが殆どである。
【0007】
更に、遺伝子の導入効率が高い方法としてプラスミドを電気パルスにより細胞に穴を開けて直接取り込ませるエレクトロポレーション法が開発されている。しかしながら、この方法は、動物細胞で1)投与した局所の細胞を壊死させる事、2)ウサギやサル等の大型の動物では導入効率が低くなるなどの問題が指摘されている。動物個体内での核酸の運搬は血液成分や体液成分との結合による阻害や酵素による分解を受け、レセプターと結合しなければ細胞内に取り込まれず、核への移行もハードルが高い。動物への投与では培養細胞を対象にした核酸のデリバリーのノウハウは通用しない。このため核酸医薬品として使える、安全で導入効率が良く、簡便で利便性の高い生体への核酸導入システムの開発が望まれている。
【特許文献1】特許第3095248号
【特許文献2】国際公開WO96/29422
【非特許文献1】Proc. Natl.Acad. Sci. 89, 7934-7938, 1992
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
遺伝子を非ウイルス性のベクターと共に用いる場合には、自己増殖の心配がなく、宿主の遺伝子に組み込まれない様に作製できるため、該遺伝子がヒトや環境に対して危険な影響を及ぼす可能性を限りなく小さくできる。それ故、遺伝子を運ぶベクターに毒性が無いものを用いて、生体に投与して薬効が認められる量さえ発現させられるならば、安全な核酸医薬品として使うことができる。しかしながら、非ウイルス性のベクターで動物に所望の生物活性を発現出来るものについての報告は少ない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、ボツリヌス菌が産生する赤血球凝集活性蛋白(Botulinum Toxin Hemagglutinin;以下、BoHAと略す)が、小腸、鼻腔、眼の粘膜細胞を通して、ボツリヌス毒素の毒性成分である神経毒素を生体内へ送り込むときに主要な役割を演じる事に着目し、この作用を利用して生体内に薬物を送達させる方法を鋭意検討した。その結果、BoHAが核酸と会合する事、このBoHA・核酸会合体が培養細胞や生体細胞に損傷を与えることなく当該細胞内に有効に導入される事を見出した。更に、本発明者らは、BoHAには核酸と会合することのできる特定のアミノ酸配列が存在することをも見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の目的は、BoHAを培養細胞や生体細胞内に核酸を導入するためのキャリアーとして利用する方法を提供することにある。更に本発明は、BoHAと細胞内に導入する任意の核酸とからなる医薬組成物を提供することを目的とする。
【0011】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.クロストリジウム属菌由来の赤血球凝集活性蛋白を核酸の細胞内導入キャリアーとして使用する方法。
2.クロストリジウム属菌がクロストリジウム・ボツリヌス菌であることを特徴とする、上記1の方法。
3.クロストリジウム・ボツリヌス菌がA型、B型、C型、D型及びG型からなる群より選択された血清型であることを特徴とする、上記2の方法。
4.赤血球凝集活性蛋白がHA1又はHA3であることを特徴とする、上記1ないし3の何れかの方法。
5.Asn-X-Asn-X-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号1)又はAsp-X-X-Gly-Gly-Gln-Thr-X-X-Gly-Thr(配列番号2)(Xは任意の蛋白質構成アミノ酸)で示されるアミノ酸配列を含む赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、上記1ないし4の何れかの方法。
6.Asn-Ser-Asn-Tyr-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号3)又はAsp-Leu-Tyr-Gly-Gly-Gln-Thr-Ala-Asp-Gly-Thr(配列番号4)で示されるアミノ酸配列を含む赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、上記1ないし4の何れかの方法。
7.遺伝子組換え技術により得られた赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、上記1ないし6の何れかの方法。
8.クロストリジウム属菌由来の赤血球凝集活性蛋白と細胞内に導入する任意の核酸とを含有してなる医薬組成物。
9.クロストリジウム属菌がクロストリジウム・ボツリヌス菌であることを特徴とする、上記8の医薬組成物。
10.クロストリジウム・ボツリヌス菌がA型、B型、C型、D型及びG型からなる群より選択された血清型であること特徴とする、上記9の医薬組成物。
11.赤血球凝集活性蛋白がHA1又はHA3であることを特徴とする、上記8ないし10の何れかの医薬組成物。
12.Asn-X-Asn-X-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号1)又はAsp-X-X-Gly-Gly-Gln-Thr-X-X-Gly-Thr(配列番号2)(Xは任意の蛋白質構成アミノ酸)で示されるアミノ酸配列を含む赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、上記8ないし11の何れかの医薬組成物。
13.Asn-Ser-Asn-Tyr-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号3)又はAsp-Leu-Tyr-Gly-Gly-Gln-Thr-Ala-Asp-Gly-Thr(配列番号4)で示されるアミノ酸配列を含む赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、上記8ないし11の何れかの医薬組成物。
14.遺伝子組換え技術により得られた赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、上記8ないし13の何れかの医薬組成物。
15.細胞内に導入する核酸が、微生物感染症における感染防御抗原、生理活性物質、酵素阻害物質、レセプター阻害物質、発ガン抑制物質、アポトーシス促進物質、アポトーシス抑制物質、細胞再生促進物質、免疫反応促進物質及び免疫反応抑制物質からなる群より選ばれた物質をコードする遺伝子が組み込まれた遺伝子発現カセットである、上記8ないし14の何れかの医薬組成物。
16.細胞内に導入する核酸が、エリスロポエチン遺伝子が組み込まれた遺伝子発現カセットである、上記8ないし14の何れかの医薬組成物。
17.細胞内に導入する核酸が、リボザイム、アンチセンス遺伝子及び抑制性のリボ核酸からなる群より選ばれた機能核酸である、上記8ないし14の何れかの医薬組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、任意の核酸と結合する赤血球凝集活性蛋白を、核酸を細胞内に導入するためのキャリアーとして使用する方法が提供される。本発明の方法に従って斯かる赤血球凝集活性蛋白を用いることにより、当該赤血球凝集活性蛋白と核酸を結合させる結合剤を用いる必要がなく、両者を混合するだけで簡便に核酸をin vitro及びin vivoの何れの系においても細胞内に導入する事が出来る。
【0013】
とりわけ、ボツリヌス菌が産生する赤血球凝集活性蛋白(BoHA)は、細胞表面にあるガラクトースやシアル酸等の糖鎖に結合する事が知られており(Inoueら、「Microbiology」第145巻、p.2533-2542, 1999;Fujinagaら、「Microbiology」第150巻、p.1529-1538, 2004)、核酸と特異的に結合してBoHA・核酸会合体を形成したBoHAは、ついでBoHAのレセプターである細胞表面の糖鎖と結合し、糖鎖に結合した該会合体は細胞中にエンドサイトーシスによって取り込まれ、かくして核酸を細胞内に導入する事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、任意の核酸との結合能を有する赤血球凝集活性蛋白(以下、「HA」と称することもある)を、核酸の細胞内導入キャリアーとして使用する方法及び当該HAと特定の機能を有する核酸を含有してなる医薬組成物によって特徴付けられる。
【0015】
HAとしては、任意の核酸と結合する能力を有するものであれば特に制限されない。このようなHAとして、クロストリジウム属菌が産生するHAが挙げられるが、とりわけクロストリジウム・ボツリヌス菌の産生する赤血球凝集活性蛋白(BoHA)が好ましい。ボツリヌス菌は、抗血清との反応性によりA型、B型、C型、D型、E型、F型、G型に分類される。これらの内、E型及びF型を除く全てのボツリヌス菌がBoHAを産生する。BoHAは、HA-33(HA1)、HA-17(HA2)、HA-70(HA3)に分類され、HA-70(HA3)は、更にHA-20(HA3a)とHA-50(HA3b)の2つに分類される。本発明においては、HA-33(HA1)、HA-70(HA3)、とりわけHA-50(HA3b)を使用するのが好ましい。
【0016】
上記のBoHAには、homology検索及びsimilarity検索により、糖鎖の結合に関与するAsn-X-Asn-X-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号1)及びDNAとの結合に関与するAsp-X-X-Gly-Gly-Gln-Thr-X-X-Gly-Thr(配列番号2)(Xは任意の蛋白質構成アミノ酸)で示されるアミノ酸配列が存在することが推定される。より具体的に言えば、Asn-Ser-Asn-Tyr-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号3)及びAsp-Leu-Tyr-Gly-Gly-Gln-Thr-Ala-Asp-Gly-Thr(配列番号4)で示されるアミノ酸配列が存在する。これらのアミノ酸配列領域は核酸が細胞内に導入されるときの中心的役割を果たす。すなわち、本発明のBoHAと任意の核酸を混合することにより、核酸はBoHAのAsp-X-X-Gly-Gly-Gln-Thr-X-X-Gly-Thr(配列番号2)で示されるアミノ酸配列領域で結合する。このBoHA-核酸結合物を細胞に接触させることにより、BoHA-核酸結合物は、BoHAのAsn-X-Asn-X-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号1)で示されるアミノ酸配列領域で細胞表面の糖鎖と結合し、エンドサイトーシスによって取り込まれると考えられる。結果として、細胞に損傷を与えることなく、核酸が細胞内に導入されることになる。斯かるメカニズムに従えば、上記の2種類のアミノ酸配列領域を含むHA蛋白は、核酸の細胞内導入キャリアーとして機能を発揮する最小の単位となることが示唆される。それ故、本発明の方法には、BoHAに限らず、上記のアミノ酸配列を含む他のHA又は人工的に(例えば、遺伝子組換え技術により)上記のアミノ酸配列を挿入したHAを使用することが可能と考えられる。このようなHAの候補として、インフルエンザウイルスのHemagglutinin(FuHA)、百日咳菌の繊維状赤血球凝集活性蛋白(Filamentous hemagglutinin:FHA)、Concanavalin A(Con A)などが挙げられる。
【0017】
また、本発明のHAを蛋白分解酵素や化学試薬(例えば、シアノジェンブロマイド)により部分分解して得られるペプチド又はポリペプチドであって、上記の特定アミノ酸配列を含み、且つ赤血球凝集活性を保持しているペプチド又はポリペプチドを用いることもできる。本発明の方法においては、これらの赤血球凝集活性蛋白やペプチドあるいはポリペプチド(以下、単に「誘導体」と称することもある)を単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【0018】
本発明のHAを菌体や菌体の培養液から抽出・精製する場合には、以下の方法が取られる。細菌を増殖させるときには、カゼイン酸加水分解物、カゼイン製ペプトン、でんぷん分解物、酵母エキス、リン酸二水素カリウム、塩化ナトリウムなどを適当に含有する培地が使用される。例えば、KIブロス、レフレル培地(極東製薬)、普通ブイヨン培地(日本製薬)、ミューラのカゼイン水解培地(極東製薬)、Bordet-Gengou寒天培地(極東バイタルメディア社)、メチル化βシクロデキストリン添加 Stainer and Scholte変法液体培地、コーエン・ウイラー培地などが挙げられるが、細菌の分離、マスターシードの調製、大量培養など、目的に合わせて、適宜選択すれば良い。培養条件は、通常、温度34〜38℃、期間1〜5日間の範囲で行なわれるが、使用目的、培養形態、植え付けた菌量、培地スケール等に応じて適宜調節すれば良い。菌体又は菌体の培養液から目的のHAを採取・精製する際には、一般に、蛋白質化学において使用される精製方法、例えば、遠心分離、塩析、限外ろ過、等電点沈殿、電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過、アフィニティクロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、CSレジンクロマトグラフィーなどの方法を組み合わせた方法が用いられる。得られた蛋白質の量は、BCA Protein Assay Reagent Kit(Pierce Biotechnology, Inc)、Protein Assay Kit (BIO-RAD, Inc)などの蛋白測定試薬を用いて測定される。
【0019】
本発明のHAを遺伝子組換え技術により取得する場合は、以下の方法が取られる。HAをコードする遺伝子は、菌体からから抽出した全RNA、mRNA又はゲノムDNAを出発材料として、Sambrookらが述べている一般的な遺伝子組換え技術(Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y., 1989)に従って調製することができる。実際には、市販のキットが使用される。例えば、RNAの抽出には、TRIzol試薬(インビトロジェン社)、ISOGEN(ニッポンジーン社)、StrataPrep Total RNA Purification Kit(東洋紡)などの試薬、染色体DNAの抽出には、ISOPLANT(和光純薬)、mRNAの精製には、mRNA Purification Kit(アマシャムバイオサイエンス社)、Poly(A) Quick mRNA Isolation Kit(東洋紡)、mRNA Separator Kit(クロンテック社)などのキット、cDNAへの変換には、SuperScript plasmid system for cDNA synthesis and plasmid cloning(インビトロジェン社)、cDNA Synthesis Kit(宝酒造)、SMART PCR cDNA Synthesis & Library Construction Kits(クロンテック社)、Directionary cDNA Library Construction systems(ノバジェン社)、GeneAmp PCR Gold(アプライドバイオシステムズ社)などが使用される。得られたHA遺伝子の塩基配列は、一旦pBluescript II SK+(ストラタジーン社)又はpCR2.1-TOPO(インビトロジェン社)等のプラスミドにクローニングした後、DNAシークエンサー(ABI Prism 377アプライドバイオシステムズ社)により決定される。
【0020】
HA遺伝子の一部に変異を入れる方法としては、サイトダイレクティドミュータジェネシス法を使用するのが一般的である。実際には、本技術を応用したTakara社のSite-Directed Mutagenesis System (Mutan-Super Express Km、Mutan-Express Km、Mutan-Kなど)、 Stratagene社のQuickChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit、QuickChange XL Site-Directed Mutagenesis Kit、Invitrogen社のGeneTailor Site-Directed Mutagenesis Systemなどの市販のキットを用い添付のプロトコールに従って行われる。
【0021】
こうして得られたHA遺伝子又は改変したHA遺伝子を適当な発現ベクターに組み込み、当該発現ベクターを宿主に導入することによって、HA遺伝子又はその改変体遺伝子の発現が行なわれる。外来蛋白を発現させるための宿主として、細菌、酵母、動物細胞、植物細胞及び昆虫細胞などが常用されるが、目的に合わせて選択すれば良い。例えば、本発明の実施例で用いた大腸菌を宿主とする場合には、trpプロモーター、T7プロモーター、cspAプロモーターを有する種々の大腸菌用発現ベクターが開発・市販されているのでこれらの中から適宜選択して使用すれば良い。発現ベクターに合わせて適当な大腸菌、例えば、BL21、HMS174、DH5α、HB101、JM109などが宿主として選択される。目的蛋白の精製を容易にするために他のポリペプチドやペプチドと融合させた形で発現させても良い。このような融合蛋白を発現させるベクターとして、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白を作製することができるGST融合タンパク質精製システム(アマシャムファルマシア社)、オリゴヒスチジンを付加することができるHAT蛋白質発現・精製システム(Clonetech Inc)、MagneHis Protein Purification System(Promega Inc)などが挙げられる。例えば、本発明の実施例で行っているようにグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白として発現させた後、グルタチオン−セファロースを用いてBoHA-GSTを採取し、その後ヒトライノウイルスの蛋白分解酵素(アマシャム社)を用いてBoHAとGSTを分離し、BoHAが精製される。BoHAの精製には、上記の精製方法が使用される。BoHAの検出は、SDS-PAGE、ゲルろ過などの分子サイズに基づく方法やELISA法、ウェスタンブロット法、ドットブロット法などの抗原抗体反応に基づく方法により行なわれる。いずれも外来蛋白を検出する際の一般的な方法であり、目的に応じて適宜選択すれば良い。
【0022】
こうして得られたHAやその誘導体は、任意の核酸を細胞内に導入するキャリアーとして利用される。細胞内に導入される核酸のサイズや種類は特に限定されない。例えば、線状二本鎖DNA、環状二本鎖DNA、線状二本鎖RNA、線状一本鎖RNA、オリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA等を使用することができる。より具体的には、微生物感染症における感染防御抗原、生理活性物質、酵素阻害物質、レセプター阻害物質、発ガン抑制物質、アポトーシス促進物質、アポトーシス抑制物質、細胞再生促進物質、免疫反応促進物質、及び免疫反応抑制物質などの物質をコードする遺伝子が組み込まれた遺伝子発現カセット、リボザイム又はアンチセンス遺伝子、抑制性のリボ核酸などの機能を有する核酸が挙げられる。ここで、遺伝子発現カセットとは、外来遺伝子が細胞内で発現するように適切に構築された発現ベクターを意味する。
【0023】
本発明のHA又はその誘導体(以下、「キャリアー」と称することもある)を核酸と混合するときの緩衝液としては、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液など、細胞や生体に悪影響を及ぼすものでなければ特に制限されない。緩衝液のpHは、pH6.0からpH8.5の範囲で用いる事が出来るが、好ましくは、pH7.0〜pH8.0の範囲である。塩濃度は、0〜10%、好ましくは0.7%〜1.1%の濃度範囲が良い。塩の種類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどが使用できるが、好ましくは、塩化ナトリウムである。キャリアーと核酸との混合液に蛋白質や糖類を共存させてもよい。キャリアーと核酸の混合比は、モル比換算で、核酸1に対して1/100から10000倍のキャリアーを用いることができるが、好ましくは、1/10から1000倍である。例えば、核酸1.0molに対してキャリアーは0.01〜10000mol、好ましくは0.1〜1000molを使用するのが良い。本発明のキャリアーと核酸からなる組成物の動物への投与は、例えば、経鼻投与、静脈内投与、筋肉内投与、及び経口投与など、何れの経路を用いても行う事が出来る。本発明のキャリアーは、キャリアーと核酸とを結合させる結合剤を用いることなく、キャリアーと核酸を混合するだけで簡便に所望の核酸を細胞内に導入する事が可能であり、核酸医薬分野において治療剤、あるいはワクチンとして用いる事が出来る。
【0024】
以下、実施例に従い、本発明を更に詳細に説明するが、下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
BoHAの細胞内導入能のin vitro評価
(1)BoHA及びGFPプラスミドの調製
ボツリヌス菌A型HA1(AHA1)、A型HA3b(AHA3b)、B型HA1(BHA1)及びB型HA3b(BHA3b)の各BoHAとグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白(BoHA-GST)を産生する組換え大腸菌は、岡山大学の小熊先生より供与された(Fujinaga et al (2000)FEBS Lett 467、179-183)。これらのBoHA産生大腸菌を超音波で破砕後、15,000G、60分間遠心し、その上清をグルタチオン-セファロース(アマシャム社)にかけ、10mMグルタチオンを含む50mMTris(pH7.5)で溶出してBoHA-GSTを単離した。これをヒトライノウイルスの蛋白分解酵素(アマシャム社)で消化してBoHAとGSTを分離し、グルタチオン-セファロース4B(アマシャム社)にかけてGST及びBoHA-GSTを吸着させ、素通りするBoHAを集めた。得られたBoHAは、0.1M PBS(pH7.4)に透析後、-20℃で保存した。pCAG-mcs-PolyAプラスミドにオワンクラゲの緑色蛍光蛋白質(Green Fluorescent Protein;GFP)の遺伝子をクローニングし、マーカーとして用いたGFPプラスミドは、pEGFP-N1ベクター(Clontech社)を購入し、常法に従って制限酵素(BamHI・HindIII)処理及びリガーゼ反応でpCAGmcs-polyAベクターに組み込み大腸菌TOP10を形質転換した。目的配列と完全に一致している事が確認されたクローンのプラスミドをプラスミド精製キット(QIAGEN社)により精製した。精製したプラスミドは-20℃に保存した。
【0026】
(2)BoHAを用いたGFPプラスミドの細胞内導入
ヒト大腸上皮株化細胞T-84細胞、ヒト肺上皮株化細胞NCI-H727細胞、ヒト肝株化細胞、及びマウス肺上皮株化細胞を、それぞれ6wellの細胞培養プレート(コーニング社製、9.5cm2/well)に蒔いて70〜80%コンフルエントになるまで培養した。
【0027】
培地を吸引した上記細胞に、(1)で調製した各BoHA(AHA1、AHA3b、BHA1、BHA3b)20μg蛋白/mLとGFPプラスミド(表1では、DNAと表示)4μg/mLを等量混合した各混液1.0mLを各ウェルに添加し、37℃、20時間CO2フラン器で培養した。蛍光顕微鏡下に、GFPが発現している細胞数を計測した。対照として、各BoHA-GST(AHA1-GST、AHA3b-GST、BHA1-GST、BHA3b-GST)とGFPプラスミドの混合液、市販のLipofectaminとGFPプラスミドの混合液、GFPプラスミドのみの溶液を用いた。その結果を表1に示す。
【0028】
BoHA-GFPプラスミドを添加した全ての細胞にGFPの発現が認められた。また、該会合体の添加により、細胞の剥離や死細胞の増加は認められず、細胞に対する毒性は観察されなかった。Lipofectaminを用いたものは、遺伝子が導入された細胞数はBoHA-GFPよりも多かったが、死細胞の増加が観察された。一方、BoHA-GST/GFPプラスミドとGFPプラスミドのみを添加した細胞では、GFPの発現が全く認められなかった。表1の「多数」は計測ができなかったことを示す。
【0029】
【表1】

【実施例2】
【0030】
BoHAの細胞内導入能のin vivo評価
ヒトのエリスロポエチン(EPO)遺伝子を用いて、BoHAのin vivoに於ける細胞内導入能を調べた。EPO遺伝子はヒトEPOクローンをインビトロジェン社より購入した。購入したEPOクローンよりプラスミドを抽出し、目的領域をPCRにて増幅した。このPCR産物を制限酵素(BamHI・HindIII)処理及びリガーゼ反応でpCAGmcs-polyAベクターに組み込み、大腸菌TOP10を形質転換した。目的配列と完全に一致している事が確認されたクローンのプラスミドをプラスミド精製キット(QIAGEN社)により精製した。精製したプラスミドは1.0mg/mLの濃度になるように20%グリセリン溶液で調製し、-20℃に保存した。
【0031】
(1)AHA1の静脈内及び筋肉内注射による評価
実施例1−(1)で得たAHA1 40μg蛋白/mLと4、20、100μg/mLの各EPOプラスミドをそれぞれ等量混合し、これらを6週令の雌性、ICRマウス(5匹/群)に尾静脈内注射(200μL/マウス;n=5)及び筋肉内注射(200μL/マウス;n=5)して、投与前(0日)と投与後(10日)の赤血球数を調べた。赤血球数は、動物用の全自動血球計数機(日本光電社)を用いて計測した。その結果、「AHA1:EPO=20μg蛋白:50μg」を静脈注射した群及び「AHA1:EPO=20μg蛋白:50μg」を筋肉内注射した群では0日目と比較して有意な増加が認められた(p<0.05;対応がある場合のt-検定)(図1)。これらの投与群ではEPOが発現し、赤血球数を増加させたものと思われる。AHA1はin vivoに於いても遺伝子を細胞に導入できる事が分かった。
【0032】
(2)BHA3bの静脈内注射及び経鼻投与による評価
経鼻投与は、以下のように行った。実施例1−(1)で得たBHA3b 1mg/mLとEPOプラスミド1mg/mLを等量混合し、これを6週令の雌性、ICRマウス(9匹/群)の鼻腔に20μL滴下した(n=9)。
【0033】
また、静脈内投与は、以下のように行なった。実施例1−(1)で得たBHA3b 400μg/mLとEPOプラスミド200μg/mL及び1mg/mLのそれぞれを等量ずつ混合し、各混合物を6週令の雌性、ICRマウスの尾静脈内へ100μL注射した(n=9)。
【0034】
接種後10日目に採血し、動物用の全自動血球計数機(日本光電社)を用いてヘマトクリット値(HCT)を測定した。その結果、経鼻投与群及び「BHA3b・EPOプラスミド=20μg蛋白:50μg」を静脈内投与した群で0日目と比較してHCTの有意な上昇が認められた(P<0.01;対応がある場合のt-検定)(図2)。BHA3bはマウスへ経鼻投与及び静脈内投与によりEPO遺伝子を細胞内に導入出来る事が分かった。
【実施例3】
【0035】
インフルエンザウイルスのHemagglutinin(FuHA)、百日咳菌の繊維状赤血球凝集活性蛋白(Filamentous hemagglutinin:FHA)、Concanavalin A(Con A)、及び実施例1−(1)で得たBoHAを用いてマウスへEPO遺伝子を導入する作用の比較を行なった。マウスは6週令の雌性、ICRマウス(10匹/群)を用いた。FuHAはA/ニューカレドニア/0621株を有精鶏卵に接種して2日間35℃で増殖させた後に、しょう尿腔液を600mL採取した。30%量のPEG6000をしょう尿腔液に添加してウイルスを沈殿物として集め、ショ糖濃度勾配遠心で精製を行なった。ウイルス液の蛋白濃度の3倍量のTritonX100を添加し、室温で1時間攪拌後、Sephacryl S300のゲルクロマトグラフィーによりFuHAを精製した。FHAは百日咳菌東浜株をStainer and Scholte変法液体培地に埴菌し、35℃、3日間培養した培養上清液を35%硫安塩析し、0.1M PB(pH8.0)の緩衝液で平衡化したSepharose CL 6B カラムでゲルろ過を行った後、CSレジンカラムを用いて精製した。Con Aはシグマ社の製品を使用した。
【0036】
核酸は実施例1−(1)で得たEPOプラスミド(EPO-pCAG-mcs-polyA)を用いた。投与方法は、静脈内投与は接種するときの注入圧により肝臓に取り込まれる可能性がある事、筋肉内注射は接種によって筋肉細胞が傷つけられ、傷害された細胞から取り込まれる可能性がある事から、鼻腔内投与で比較する事にした。このため、BoHAはHA3bを用いる事にした。6週令の雌性ICRマウスを用いて、HA:EPOプラスミドを2.5μM:5μgに調製した検体を20μL/マウス鼻腔内に接種した。接種は2日間連続で2回接種した。接種前(0日目)と接種後10日目に採血し、動物用の全自動血球計数機(日本光電社)でHCTを測定した。
BHA3b・EPOプラスミド投与群は0日目と比較してHCTの有意な増加が認められたが(P<0.05;対応がある場合のt-検定)、FuHA・EPOプラスミド、Con A・EPOプラスミド、FHA・EPOプラスミド、及びEPOプラスミドを投与した群では有意な増加は認められなかった。BHA3bが他の赤血球凝集活性を有する蛋白質よりもin vivoにおいて核酸の導入作用が強いことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明における核酸を細胞内に導入するためのBoHAは核酸と結合することができるので、これを生理活性物質や病原微生物の感染防御抗原をコードする遺伝子を発現する遺伝子発現カセットやアンチセンス遺伝子、リボザイムなどの機能核酸と共に生体内に投与することにより、当該物質が関与する疾病の予防や治療に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、AHA1とEPOプラスミドの混合物をICRマウスへ尾静脈内(iv)あるいは筋肉内(im)へ注射したときの0日目と10日目の赤血球数(RBD)を示す。0日目と10日目のRBDの比較は対応のある場合のt-検定を用いた。(20:10)の20はAHA1のマウスへ投与した蛋白量(μg蛋白n)を表し、10はEPOプラスミドの量(μg)を表す。
【0039】
【図2】図2は、BHA3bとEPOプラスミドの混合物をICRマウスへ経鼻接種(in)あるいはiv接種したときの0日目と10日目のヘマトクリット値(HCT)を示す。0日目と10日目のHCTの比較は対応のある場合のt-検定を用いた。
【0040】
【図3】図3は、種々の赤血球凝集活性をもつ蛋白質とEPOプラスミドの混合物をICRマウスへin接種したときの0日目と10日目のヘマトクリット値(HCT)を示す。0日目と10日目のHCTの比較はt-検定を用いた。FuHAはInfuluenza virus hemagglutinin、Con AはConcanavalin A、FHAはBordetella pertussis Filamentous Hemagglutinin、EPOはErythropoietin plasmidを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロストリジウム属菌由来の赤血球凝集活性蛋白を核酸の細胞内導入キャリアーとして使用する方法。
【請求項2】
クロストリジウム属菌がクロストリジウム・ボツリヌス菌であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
クロストリジウム・ボツリヌス菌がA型、B型、C型、D型及びG型からなる群より選択された血清型であることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
赤血球凝集活性蛋白がHA1又はHA3であることを特徴とする、請求項1ないし3の何れか一項記載の方法。
【請求項5】
Asn-X-Asn-X-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号1)又はAsp-X-X-Gly-Gly-Gln-Thr-X-X-Gly-Thr(配列番号2)(Xは任意の蛋白質構成アミノ酸)で示されるアミノ酸配列を含む赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、請求項1ないし4の何れか一項記載の方法。
【請求項6】
Asn-Ser-Asn-Tyr-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号3)又はAsp-Leu-Tyr-Gly-Gly-Gln-Thr-Ala-Asp-Gly-Thr(配列番号4)で示されるアミノ酸配列を含む赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、請求項1ないし4の何れか一項記載の方法。
【請求項7】
遺伝子組換え技術により得られた赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、請求項1ないし6の何れか一項記載の方法。
【請求項8】
クロストリジウム属菌由来の赤血球凝集活性蛋白と細胞内に導入する任意の核酸とを含有してなる医薬組成物。
【請求項9】
クロストリジウム属菌がクロストリジウム・ボツリヌス菌であることを特徴とする、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
クロストリジウム・ボツリヌス菌がA型、B型、C型、D型及びG型からなる群より選択された血清型であること特徴とする、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
赤血球凝集活性蛋白がHA1又はHA3であることを特徴とする、請求項8ないし10の何れか一項記載の医薬組成物。
【請求項12】
Asn-X-Asn-X-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号1)又はAsp-X-X-Gly-Gly-Gln-Thr-X-X-Gly-Thr(配列番号2)(Xは任意の蛋白質構成アミノ酸)で示されるアミノ酸配列を含む赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、請求項8ないし11の何れか一項記載の医薬組成物。
【請求項13】
Asn-Ser-Asn-Tyr-Ile-Lys-Ile-Ile-Glu(配列番号3)又はAsp-Leu-Tyr-Gly-Gly-Gln-Thr-Ala-Asp-Gly-Thr(配列番号4)で示されるアミノ酸配列を含む赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、請求項8ないし11の何れか一項記載の医薬組成物。
【請求項14】
遺伝子組換え技術により得られた赤血球凝集活性蛋白であることを特徴とする、請求項8ないし13の何れか一項記載の医薬組成物。
【請求項15】
細胞内に導入する核酸が、微生物感染症における感染防御抗原、生理活性物質、酵素阻害物質、レセプター阻害物質、発ガン抑制物質、アポトーシス促進物質、アポトーシス抑制物質、細胞再生促進物質、免疫反応促進物質、及び免疫反応抑制物質からなる群より選ばれた物質をコードする遺伝子が組み込まれた遺伝子発現カセットである、請求項8ないし14の何れか一項記載の医薬組成物。
【請求項16】
細胞内に導入する核酸が、エリスロポエチン遺伝子が組み込まれた遺伝子発現カセットである、請求項8ないし14の何れか一項記載の医薬組成物。
【請求項17】
細胞内に導入する核酸が、リボザイム、アンチセンス遺伝子及び抑制性のリボ核酸からなる群より選ばれた機能核酸である、請求項8ないし14の何れか一項記載の医薬組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−81997(P2009−81997A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251502(P2007−251502)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000173555)財団法人化学及血清療法研究所 (86)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】