説明

ボリコナゾール含有の薬物製剤及びその調製方法

本発明はボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体と、式(I)に示される添加物と、を含有する薬物製剤を開示し、添加剤はモノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体mPEG−PDLLAである。本発明の薬物製剤が安定、安全であることが実験によって証明された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物製剤技術に係り、より具体的に言うと、ボリコナゾールと、モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体mPEG−PDLLAと、を含有する新しい薬物製剤に係る。
【背景技術】
【0002】
ボリコナゾール(Voriconazole CAS No.:137234−62−9)の化学構造がすでにヨーロッパ特許Ep0440372において開示され、その構造式は以下の通りである。
【0003】
【化1】

【0004】
該製品はすでに2002年5月にて米国FDAの許可を得て市販され、商品名は「Vfend」「威凡」である。ボリコナゾールは第2代合成のトリアゾール抗真菌薬であり、作用メカニズムは真菌におけるシトクロムP450により媒介される14α−ラノステロールの脱メチル化を抑制することにあり、それによってエルゴステロールの生物合成を抑制する。体外試験は、ボリコナゾールは広範囲の抗真菌作用を有することが示された。該製品はカンジダ属(フルコナゾールを耐えるカンジダ−クルセイ、カンジダグラブラタ及び耐性カンジダアルビカンスを含む)に対して抗菌作用を有し、測定されたすべてのアスペルギルス属真菌に対して殺菌作用を有する。また、ボリコナゾールは体外においてその他の病原真菌、従来の抗真菌薬に対する敏感性が比較的低い属、例えばスケドスポリウム属及びフザリウム属を含み、に対しても殺菌作用を有する。総じて言えば、ボリコナゾールは抗菌範囲が広く、抗菌効力が強い長所を有し、特に侵襲性アスペルギルス浸潤感染に対する治療の効果が良い長所を有する。ボリコナゾールの市販製剤の種類は凍結乾燥粉末注射剤、錠剤、ドライ懸濁剤を有し、経口投与及び静脈投与をしてもよく、重症ICU病室特に腫瘍科、血液科、熱傷科、一般外科の手術中または手術後において静脈投与が多くに使用されている。ボリコナゾールは水における溶解度が非常に低い(pH=7時ほぼ溶けず、pH=3時0.2mg/ml)ため、その化学性質が溶液状態において不安定で、加水分解してその鏡像異性体(2S,3R)構造型を形成しやすいため、十分に長い保管期間を有する静脈内含水製剤を開発することはキーの溶解性問題を解決しなければならない。これらの問題は半極性の化合物(logD=1.8)のボリコナゾールに対しては特に深刻であり、ルーチンの手段例えばオイル、界面活性剤などでボリコナゾールを溶解することができない。
【0005】
ヨーロッパ特許EP0440372はシクロデキストリンによってボリコナゾールを調製することができることを開示した。但し現在、ほぼ全部の研究者たちは、誘導されなかったシクロデキストリンまたは代謝されなかったシクロデキストリンは人体に対して毒副作用を有し、薬物の付形剤に適用ではないことを認識している。
【0006】
ファイザーが市販している注射用ボリコナゾール(200mg/本)の凍結乾燥製剤において、ボリコナゾールの溶解度を増加するように、溶解補助剤「スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム(SBECD)」が使用されている。市販されているボリコナゾールの凍結乾燥製剤において、ミリリットルのボリコナゾール(標示量)に含有されているSBECDは15mg〜18mgの間(約1:15倍)であり、凍結乾燥製剤には、大量の「スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム」を使用しボリコナゾールに対して被包を行って溶解補助をしている。前記方法はボリコナゾールの水溶性問題をほぼ解決するが、β−シクロデキストリン系の誘導体に対する人々の更なる研究に伴って、臨床における「スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム」の使用の安全性も配慮されている。ますます多くの研究は、スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム等のシリーズ的なβ−シクロデキストリン誘導体は薬理毒理の研究において人体に対して比較的大きいリスクを示していることを表明した。「スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム」の重複投与の毒性研究は、SBECDは主に尿路上皮細胞の空胞形成に影響を与え、及び肝臓と肺内の大食細胞を活性化することを表明した。モルモットマキシマイゼーション法(GMPT)から陽性結果が得られ、実験結果は、静脈製剤は過敏を引き起こす可能性を有することが示された。動物の催奇形性と発がん性において、2年間の実験の根拠によって、それは齧歯動物に対して発がん性(膵臓癌)を有することが示され、実験結果は人体に対しても発がん性を有する可能性があることを示した。「スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム」の主な欠点は腎毒性及び溶血性に集中しており、該添加剤の体内の代謝は主に腎臓によって代謝され、特に添加剤自身が有する不純物「ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン」の腎毒性が比較的大きく、一方、ボリコナゾール自身の腎毒性も比較的大きく、2つが結合した後の凍結乾燥静脈投与製剤は臨床において腎不全者が厳格に注意して扱わなければならないことを制限している!「スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム(SBECD)」の溶血性試験結果は、静脈投与のルートにおいて、0.02mg/mlの場合は軽微な溶血現象が発生され、0.04mg/mlの場合は顕著な溶血現象が発生されることを示した。「スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム(SBECD)」に対する長期毒性研究結果によると、ボリコナゾールと「スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム」との薬用凍結乾燥静脈投与製剤の治療過程は6ヶ月以下はずであることを表明した。該種類の添加剤は前記の欠点が存在しているため、ヨーロッパ薬事会、米国FDA及び中国FDAも該種類の薬用添加剤の安全性に対して改めて科学的に評価を行うことを要求した。「スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンナトリウム(SBECD)」によってボリコナゾールの溶解性を増加することは臨床において使用されるときに安全性の疑問が存在しているため、より科学・安全の注射用ボリコナゾール製剤を開発することは特に重要になっている。
【0007】
国内の珠海麗珠集団製薬工場はプロピレングリコールとアルコールとを所定の割合(2:3)で混合した専用の有機溶媒によってボリコナゾールの無菌粉末を溶解し、その後さらに輸液に溶解させて輸注を行い、それによってボリコナゾールの溶解性問題を解決する。プロピレングリコール及びアルコールは臨床において低量で使用されるときに比較的安全であるが、該溶媒溶解補助法は臨床の運用において顕著な欠点も存在しており、第1、ボリコナゾールを溶解するための専用有機溶媒(100mg無菌粉末は5ml(2:3)プロピレングリコール及びアルコールを用いて溶解する必要があり、1人の成人は通常400mgボリコナゾールを使用する必要で、20ml(2:3)プロピレングリコール及びアルコールを用いて溶解する必要がある)は血液において主に肝臓及び腎臓によって代謝され、血液における有機溶媒は患者の肝臓及び腎臓の代謝負担を加重する。第2、専用有機溶媒は細菌エンドトキシンの測定に対して干渉が大きく、測定及び品質コントロールが難しい。第3、専用有機溶媒はボリコナゾールの溶解性の改善に対して比較的大きな局限性を有し、一般的に、1人の成人が1回に使用する必要な400mgボリコナゾールは20ml専用溶媒によって溶解する必要で、その後少なくとも500mlの輸液で希釈した後輸注する必要で、250mlの輸液で希釈する場合は結晶体が析出する可能性があり、安全性面には極大なリスクが存在している。且つ例え500mlの輸液で希釈しても、得た溶液の安定性は環境温度に大きく影響される。総じて言うと、臨床使用は非常に不便であり、普及が難しい。
【0008】
また、前記のすでに市販しているボリコナゾール注射剤の加速試験においてボリコナゾール不活発異性体が検出され、製品の安定性には不足が存在していることを表明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】ヨーロッパ特許Ep0440372
【特許文献2】ヨーロッパ特許EP0440372
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記欠点を克服し、添加剤「モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体mPEG−PDLLA」を使用してボリコナゾールの溶解性を増加し、ボリコナゾールの水における溶解性を向上した。
【0011】
本発明の目的はボリコナゾールとモノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体とを含有する新型の薬物製剤を提供することにある。
【0012】
本発明の他1つの目的は前記薬物製剤の調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
具体的に言うと、本発明はボリコナゾールまたはその薬用可能な酸付加塩例えば塩酸塩、リン酸塩などの薬用誘導体と、式(I)に示される共重合体と、を含有する薬物製剤を提供し、
共重合体において、a=30〜55、b=10〜55、好ましくは、a=35〜50、b=12〜36、最も好ましくは、a=40〜45、b=14〜30、
その平均分子量範囲は2800〜10000で、好ましくは3300〜7500で、最も好ましくは3800〜6300である。
【0014】
【化2】

【0015】
ここで、前記ボリコナゾールの薬用可能な誘導体は薬学的に許容される酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、またはベンゼンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸塩、またはその薬学的に許容される酸エステル、例えばリン酸エステル(調製方法はZL97192005.2を参照する)などを含む。
【0016】
好ましくは、本発明はボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体と、式(I)に示される共重合体と、を含有する薬物製剤を提供し、ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体(ボリコナゾールで計算する)の含量は2.0%〜20.0%重量百分比であり、好ましくは3.0%〜10.0%重量百分比で、より好ましくは3.5%〜7.0%重量百分比であり、ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体(ボリコナゾールで計算する)と式(I)共重合体との重量比が1:5〜1:40であり、好ましくは1:10〜1:30で、より好ましくは1:15〜1:25である。
【0017】
より好ましくは、本発明の薬物製剤は非経口投与の薬物製剤、例えば静脈内または筋肉内または皮下投与の注射剤で、凍結乾燥注射剤または注射溶液であり、最も好ましくは凍結乾燥注射剤である。
本発明はボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体と、式(I)に示される共重合体と、を含有する凍結乾燥注射剤を提供する。ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体(ボリコナゾールで計算する)の含量は2.0%〜20.0%重量百分比であり、好ましくは3.0%〜10.0%重量百分比で、より好ましくは4.0%〜7.0%重量百分比であり、ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体(ボリコナゾールで計算する)と式(I)の共重合体との重量比が1:5〜1:50であり、好ましくは1:10〜1:30で、より好ましくは1:15〜1:25である。
本発明の凍結乾燥注射剤は長期的に保管されることができ、且つ使用するときに注射用水を加えて溶解した後混合に輸注することができる。
もう一方、本発明は前記薬物製剤の調製方法を提供し、
具体的に言うと、モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体の調製は所定割合のモノメトキシポリエチエングリコール(「Acros」由来)と所定割合のラクチド(「Acros」由来)とを不活性環境において、120℃より高い反応温度の反応条件下で、微量のオクタン酸第一スズの触媒作用によって所定分子構成を有する両性ブロック共重合体を生成するステップを含む。(モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体の相関理論スペクトルは添付図面を詳細に参照する)
前記の調製によって得た添加剤「モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体」に水、有機溶剤(例えばアセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノールなど)または2つの混合物を加えて撹拌して溶解させ、連続的な撹拌下で、ボリコナゾール(またはボリコナゾール有機溶剤の溶液)を加えて溶解まで撹拌し、均一な溶液に適量の活性炭を加えて30min十分に撹拌し、0.45μmろ過膜を通過させ(炭を除去する)、ろ液をさらに0.22μmのろ過膜を通過させた後所定量の溶液をバイアル瓶に分注し、冷凍乾燥を行い、凍結乾燥製剤を得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有益な技術効果は、冷凍乾燥(凍結乾燥)を利用することによってボリコナゾールと添加剤「モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体mPEG−PDLLA」との複合物の水における溶解性及び安定性をより向上することができることにある。本発明に適用する前記製剤の添加剤「モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体mPEG−PDLLA」は、最終の凍結乾燥生成物の高レベル水分含有(3.0%、4.0%、5.0%)を確保できる一方、その薬物の安定性に対して影響しない。
【0019】
また、前記添加剤を使用した試験は、ボリコナゾールの不活発異性体(2S,3R)及びその他の不純物の生成を制御且つ減少することができることを証明した。
【0020】
ボリコナゾールが形成する不活発異性体の化学名は(2S,3R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(5−フルオロピリミジン−4−基)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−基)−2−ブタノールで、その化学構造式は以下の通りである。
【0021】
【化3】

【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】溶媒法によって得たmPEG−PDLLA製品のDSC示差熱量走査である(0℃から100℃に加熱し、昇温速度は10℃/minである)。
【図2】溶媒法によって得たmPEG−PDLLA製品の核磁気共鳴スペクトルである(H−NMR CDCl3 BRUKER DPX 300)。
【図3】溶媒法によって得たmPEG−PDLLA製品の赤外吸収スペクトルである(Nexus 870 FT−IR)。
【図4】真空法によって得たmPEG−PDLLA製品のDSC示差熱量走査である(0℃から100℃に加熱し、昇温速度は10℃/minである)。
【図5】真空法によって得たmPEG−PDLLA製品の核磁気共鳴スペクトルである(H−NMR CDCl3 303K AV−300)。
【図6】真空法によって得たmPEG−PDLLA製品の赤外吸収スペクトルである(Nexus 870 FT−IR)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下は実施例を通じて本発明の技術案をさらに説明し、本分野の当業者にとって、以下の実施例は本発明の請求項に対する制限であることを理解すべきではない。
【0024】
調製例、モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体(異なる分子量)の調製
方法1、溶媒法mPEG−PDLLAの調製
反応方程式、
【0025】
【化4】

【0026】
投入量:
【0027】
【表1】

【0028】
操作、
1.ガス保護下で反応ボトルに乾燥のモノメトキシポリエチエングリコール(MPEG)8g、ラクチド(PLA)12g、トルエン80ml、オクタン酸第一スズ0.24mlを加える。
2.回流するまで撹拌昇温し、計時して16h反応させる。
3.反応液の温度を60℃まで下げ、且つ60℃で乾燥まで減圧濃縮する。
4.ジクロロメタン8mlを加えて撹拌溶解した後冷凍のエーテル200mlを加え、1h撹拌して結晶成長させる。
5.吸引ろ過を行い、冷凍エーテルでろ過ケーキをリンスする。
6.4〜5の操作を重複して2回精製する。
7.製品を20℃で真空乾燥して白色固体15gを得る。収率:75%。
【0029】
備考:(1)核磁気共鳴によって測定された分子量の計算値:4878(理論値:5000)。
(2)PLA/MPEG重量比:59/41=1.44(理論値:1.5)。
(3)製品のDSC、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトルはそれぞれ図1、2、3を参照する。
方法2、真空固相合成法mPEG−PDLLAの調製
反応方程式、
【0030】
【化5】

【0031】
投入量:
【0032】
【表2】

【0033】
操作、
1.シングルネックボトルに乾燥のモノメトキシポリエチエングリコール(MPEG)8gを加え、窒素ガスで3回置換した後真空吸引し、120℃まで加熱昇温し、溶融脱水2h、120℃まで温度を下げて使用待ちとする。
2.もう1つのシングルネックボトルにラクチド(PLA)を加えて真空吸引して80℃まで昇温し、2h脱水する。
3.窒素ガスで真空を破壊し、12gラクチド(PLA)を量ってMPEGに加え、オクタン酸第一スズ0.24mlを加える。
4.真空吸引し、150℃まで昇温して10h反応させ、真空を破壊し、反応液の温度を20℃下げる。
5.ジクロロメタン8mlを加えて、撹拌溶解した後冷凍のエーテル200mlを加え、1h撹拌して結晶成長させる。
6.吸引ろ過を行い、冷凍エーテルでろ過ケーキをリンスする。
7.5〜6の操作を重複して湿潤製品を2回精製する。
8.ろ過ケーキを20℃で真空乾燥して白色固体15gを得る。収率:75%。
【0034】
備考:(1)核磁気共鳴によって測定された分子量の計算値:4651(理論値:5000)。
(2)PLA/MPEG重量比:57/43=1.33(理論値:1.5)。
(3)得た製品のDSC、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトルはそれぞれ図4、5、6を参照する。
【0035】
前記調製方法及びプロセスに基づき、MPEGとラクチドとの投入比を変更して得たmPEG−PDLLAの異なる分子量結果は以下の表に示す。
【0036】
【表3】

【実施例1】
【0037】
方法1.
ボリコナゾールの静脈内投与製剤:
【0038】
【表4】

【0039】
調製方法:
添加剤「モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体mPEG−PDLLA」に注射用水を加えて撹拌して溶解させ、連続的な撹拌下で、ボリコナゾールを加えて溶解まで撹拌し、ボリコナゾールが溶解された後活性炭を加え、30min十分に撹拌した後0.45μmろ過膜を通過させて炭を除去し、ろ液をさらに0.22μmのろ過膜を通過させた後所定量の溶液をバイアル瓶に分注し、冷凍乾燥を行い、凍結乾燥製剤を得る。
方法2.
ボリコナゾールの静脈内投与製剤:
【0040】
【表5】

【0041】
調製方法:
添加剤「モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体mPEG−PDLLA」にアセトニトリルを加えて撹拌して溶解させ、連続的な撹拌下で、ボリコナゾールのアセトニトリル溶液をを加え、2種の溶液が混合された後30min十分に撹拌し、混合溶液を乾燥まで減圧濃縮し、得た粘性液体に撹拌下で注射用水を加え、撹拌して得た均一な溶液に活性炭を加え、30min十分に撹拌した後0.45μmろ過膜を通過させて炭を除去し、ろ液をさらに0.22μmのろ過膜を通過させた後所定量の溶液をバイアル瓶に分注し、冷凍乾燥を行い、凍結乾燥製剤を得る。
方法3.
ボリコナゾールの静脈内投与製剤:
【0042】
【表6】

【0043】
調製方法:
添加剤「モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体mPEG−PDLLA」にエタノールを加えて撹拌して溶解させ、連続的な撹拌下で、ボリコナゾールのエタノール溶液を加え、2種の溶液が混合された後30min十分に撹拌し、混合溶液を乾燥まで減圧濃縮し、得た粘性液体に撹拌下で注射用水を加え、撹拌して得た均一な溶液に活性炭を加え、30min十分に撹拌した後0.45μmろ過膜を通過させて炭を除去し、ろ液をさらに0.22μmのろ過膜を通過させた後所定量の溶液をバイアル瓶に分注し、冷凍乾燥を行い、凍結乾燥製剤を得る。
方法4.
ボリコナゾールの静脈内投与製剤:
【0044】
【表7】

【0045】
調製方法:
添加剤「モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体mPEG−PDLLA」にアセトンを加えて撹拌して溶解させ、連続的な撹拌下で、ボリコナゾール粉末を加え、撹拌溶解させた後さらに30min十分に撹拌し、前記溶液を乾燥まで減圧濃縮し、得た粘性液体に撹拌下で注射用水を加え、撹拌して得た均一な溶液に活性炭を加え、30min十分に撹拌した後0.45μmろ過膜を通過させて炭を除去し、ろ液をさらに0.22μmのろ過膜を通過させた後所定量の溶液をバイアル瓶に分注し、冷凍乾燥を行い、凍結乾燥製剤を得る。
【0046】
前記実施例1中の方法1に調製された凍結乾燥製剤を注射用水で希釈した後10℃、20℃、30℃で1、2、3、4、6、8、12、18、24h静置した後溶液におけるボリコナゾールの関連物質、異性体(2S,3R)及び含量の変化状況を測定し、結果の詳細は付表1、付表2及び付表3を参照する。
【0047】
前記実施例1中の方法1に調製された凍結製剤を中国薬典加速試験の方法に基づき、それの40℃高温、RH75%湿度状況下の1、2、3、6ヶ月の関連物質、異性体(2S,3R)及び含量の変化状況を測定し、結果の詳細は付表4を参照する。
【0048】
前記凍結乾燥製剤の関連物質、異性体(2S,3R)及び製品含量の測定方法は以下の通りである。
【0049】
1.関連物質:
測定方法:高速液体クロマトグラフィー法
機器:高速液体クロマトグラフィー
測定条件方法:
オクタデシルシリル化シリカゲルをバルク剤とし、アセトニトリル−1%トリメチルアミン水溶液(リン酸でpHを6.0に調節する)(50:50)を移動相とし、検出波長は256nmである。
【0050】
前記製剤の粉末を適量に取り(約50mgボリコナゾールに相当する)、100mlのメスフラスコに入れ、移動相を加えて溶解させて且つ目盛りまで希釈し、振り混ぜて、試料溶液とし、試料溶液1mlを精密に量り、100mlのメスフラスコに入れ、移動相を加えて溶解させて且つ目盛りまで希釈し、振り混ぜて、標準液とする。定量法項下のクロマトグラフィー条件に基づき、標準品溶液20μlを取り、液体クロマトグラフィーに注入し、主成分のピックの高さを記録機器のフルスケールの10〜25%であるように検出感度を調節し、さらに試料溶液20μlを取り、液体クロマトグラフィーに注入し、クロマトグラムを記録する。
【0051】
計算方法:
試料溶液のクロマトグラムに不純物のピックが認められた場合、各不純物のピック面積の和を量り、標準溶液のメインピック面積より大きいことはできない(1.0%)。
【0052】
2.異性体(2S,3R):
測定方法:高速液体クロマトグラフィー法
機器:高速液体クロマトグラフィー
測定条件方法:
キラルカラム(CHIRALCEL OD−RH 150×4.6mm)を採用し、アセトニトリル−水(30:70)を移動相とし、検出波長は256nmである。システム適用性試験溶液における2つの異性体のピックの分離度が規定に適合すべきである。
【0053】
ボリコナゾール標準品25mgを取り、精密に量り、50mlのメスフラスコに入れ、移動相を加えて溶解させて且つ目盛りまで希釈し、振り混ぜて、10ml及び異性体標準品保存溶液1mlを量り、50mlのメスフラスコに入れ、移動相で目盛りまで希釈し、振り混ぜて、ミリリットルごとに約ボリコナゾール100μg及びボリコナゾール鏡像異性体10μgを含有する溶液を調製し、システム適用性試験溶液とする。
【0054】
ボリコナゾール鏡像異性体標準品約25mgを取り、精密に量り、50mlのメスフラスコに入れ、移動相を加えて溶解させて且つ目盛りまで希釈し、振り混ぜて、ボリコナゾール鏡像異性体標準品保存溶液とし、精密に1ml量り、200mlのメスフラスコに入れ、移動相で目盛りまで希釈し、振り混ぜて、ボリコナゾール鏡像異性体標準溶液とする。
【0055】
本品約50mgを取り、100mlのメスフラスコに入れ、移動相を加えて溶解させて且つ目盛りまで希釈し、振り混ぜて、試料溶液とする。
【0056】
前記異性体標準品溶液及び試料溶液20μlを量り、液体クロマトグラフィーにそれぞれ注入し、クロマトグラムを記録する。
【0057】
計算方法:
試料溶液のクロマトグラムに標準溶液のクロマトグラムにおける異性体ピックの相応保持時間のピックが認められた場合、外部標準法に基づいて異性体含量を計算する。
【0058】
3.含量:
測定方法:高速液体クロマトグラフィー法
機器:高速液体クロマトグラフィー
測定条件方法:
オクタデシルシリル化シリカゲルをバルク剤とし、アセトニトリル−1%トリメチルアミン水溶液(リン酸でpHを6.0に調節する)(50:50)を移動相とし、検出波長は256nmである。
【0059】
前記製剤の粉末を適量に取り(約50mgボリコナゾールに相当する)、精密に量り、100mlのメスフラスコに入れ、移動相を適量に加え、振り混ぜて溶解させて且つ移動相で目盛りまで希釈し、振り混ぜて、10mlを精密に量り、50mlのメスフラスコに入れ、移動相を加えて目盛りまで希釈し、振り混ぜて、試料溶液とし、前記試料溶液20μlを精密に取って液体クロマトグラフィーに注入し、クロマトグラムを記録し、ボリコナゾール標準品を別に適量に取り、同法で測定する。
【0060】
計算方法:
外部標準法に基づいてピック面積によって計算を行って得る。
【0061】
前記実施例1中の方法1に調製された凍結乾燥製剤を中国薬典長期試験の方法に基づき、それの25℃常温、RH60%湿度状況下の3、6、9、12、18、24ヶ月の関連物質、異性体(2S,3R)及び含量の変化状況を測定し(測定方法は前記方法と同様である)、結果の詳細は付表5を参照する。
【0062】
【表8】

【0063】
【表9】

【0064】
【表10】

【0065】
【表11】

【0066】
【表12】

【0067】
前記実施例1中の方法1に調製された凍結乾燥製剤に注射用水を加え、溶解させて水溶液に調製し、その後0.9%塩化ナトリウム注射液で希釈して臨床用輸注用溶液に調製する。実施例サンプルの溶解性データ及び同法で測定した市販製剤の溶解性データは付表6を参照する。
【0068】
【表13】

【0069】
式(I)添加剤モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体(mPEG−PDLLA)とスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウム(SBECD)、専用有機溶媒(プロピレングリコール−エタノール2:3)との安全性比較は付表7を参照する。
【0070】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体と、式(I)に示される添加物「モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体mPEG−PDLLA」と、を含有する薬物製剤であって、
共重合体において、a=30〜55、b=10〜55、
平均分子量範囲は2800〜10000である、薬物製剤。
【化1】

【請求項2】
前記薬用可能な誘導体は薬学的に許容される酸付加塩、または薬学的に許容される酸エステルから選択される、請求項1に記載の薬物薬剤。
【請求項3】
前記式(I)共重合体は、aが35〜50、bが12〜36で、平均分子量範囲が3300〜7500である、請求項1に記載の薬物薬剤。
【請求項4】
前記式(I)共重合体は、aが40〜45、bが14〜30で、平均分子量範囲が3800〜6300である、請求項3に記載の薬物薬剤。
【請求項5】
ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体の含量は、ボリコナゾールで計算すれば、2.0%〜20.0%重量百分比であり、
ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体は、ボリコナゾールで計算すれば、式(I)共重合体との重量比が1:5〜1:50である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬物製剤。
【請求項6】
ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体の含量は、ボリコナゾールで計算すれば、3.0%〜10.0%重量百分比であり、
ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体は、ボリコナゾールで計算すれば、式(I)共重合体との重量比が1:10〜1:30である、請求項5に記載の薬物製剤。
【請求項7】
ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体の含量は、ボリコナゾールで計算すれば、4.0%〜7.0%重量百分比であり、
ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体は、ボリコナゾールで計算すれば、式(I)共重合体との重量比が1:15〜1:25である、請求項6に記載の薬物製剤。
【請求項8】
該製剤は非経口投与の形式に適用する、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
該製剤は凍結乾燥製剤である、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体と、式(I)に示される共重合体と、を含有する凍結乾燥注射剤であって、
共重合体において、a=30〜55、b=10〜55、
平均分子量範囲は2800〜10000で、
ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体は、ボリコナゾールで計算すれば、含量が2.0%〜20.0%重量百分比であり、
ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体は、ボリコナゾールで計算すれば、式(I)の共重合体との重量比が1:5〜1:50である、凍結乾燥注射剤。
【化2】

【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬物製剤の調製方法であって、
添加剤モノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体を水、有機溶剤または2つの混合物に加えて撹拌して溶解させ、その後ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導物を加え、または、ボリコナゾールまたはその薬用可能な誘導体の有機溶剤溶液を加え、溶解までに撹拌する、薬物製剤の調製方法。
【請求項12】
さらにモノメトキシポリエチエングリコール−ポリ−DL−乳酸ブロック共重合体の調製を含み、モノメトキシポリエチエングリコールとラクチドとを不活性環境、120℃より高い反応温度の反応条件下で、微量のオクタン酸第一スズの触媒作用によってブロック共重合体を生成する、請求項11に記載の調製方法。
【請求項13】
ろ過、凍結乾燥を含む任意選択に行われる、請求項11に記載の調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−514012(P2012−514012A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543971(P2011−543971)
【出願日】平成21年12月31日(2009.12.31)
【国際出願番号】PCT/CN2009/076328
【国際公開番号】WO2010/075801
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(509330138)ナンジン キャベンディッシュ バイオ−エンジニアリング テクノロジー カンパニー,リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Nanjing Cavendish Bio−Engineering Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.6 Maiyue Road,Maigaoqiao Pioneering Park,Qixia District,Nanjing,Jiangsu 210028,China
【出願人】(509330149)
【氏名又は名称原語表記】XU,Yongxiang
【住所又は居所原語表記】Room 105,No.9,Yijing Garden,Gulou Digest,Nanjing,Jiangsu 210001,China
【Fターム(参考)】