説明

ボルト締め端子の端子斜め防止構造、及び電気接続箱

【課題】ボルト本締めの際の端子傾きを防止することが可能な端子斜め防止構造と、このような構造を採用してなる電気接続箱とを提供する。
【解決手段】ヒューズボックス1は、ハウジング3と、このハウジング3に保持されるナット4及びバスバー5と、ナット4に組み付くボルト6とを含んで構成されている。ヒューズボックス1には、端末にボルト締め端子7を設けてなる電線8が、また、ボルト締め端子9を設けてなる電線10が電気的に接続されている。ハウジング3には、押し付けリブ25が形成されている。押し付けリブ25は、ボルト締め端子7をバスバー5に向けて押し付ける部分として、また、ボルト締め端子9をヒューズ端子11に向けて押し付ける部分として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト本締めの際に端子が斜め状態で締め付けられることを防止する構造に関する。また、この構造を採用してなる電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、電気接続箱が搭載されている。電気接続箱は、リレーボックスやヒューズボックス、或いはジャンクションブロックや電子制御ユニットボックス等を総称するものとして知られている。
【0003】
図7において、従来の電気接続箱のうちヒューズボックス101にあっては、絶縁性を有するハウジング102を備えて構成されている(例えば特許文献1参照)。ハウジング102の側面には、端子固定部103が設けられている。この端子固定部103には、ナット104が保持されている。ハウジング102の上面には、キャビティ105が設けられている。このキャビティ105は、ヒュージブルリンク106の装着部分として設けられている。ヒュージブルリンク106には、一対の端子107が設けられている。各端子107には、貫通孔108が形成されている。ヒュージブルリンク106は、これがキャビティ105に装着されると、端子107がキャビティ105を貫通してナット104の接合面109に重なるようになっている。この時、端子107の貫通孔108は、ナット104のねじ穴に一致するようになっている。
【0004】
引用符号110は、電線111の端末に設けられたボルト締め端子を示している。このボルト締め端子110は、所謂丸端子であって、ボルト112を挿通するための貫通孔113を有している。ボルト締め端子110は、この貫通孔113を端子107の貫通孔108に一致させ、そして、貫通孔113、108に挿通したボルト112をナット104に締め付けていくことにより、端子107との電気的な接続が完了するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−261443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7の従来技術にあっては、作業者が電線111を持ち、この状態でボルト112の締め付け作業を行うことから、作業中にボルト締め端子110に傾き(斜めになる状態)が生じた場合には、図8に示す如く、ボルト締め端子141がねじ山142に引っ掛かった状態になり、このままで本締めがなされると接続不良が生じてしまうという虞を有している(図8のボルト締め端子141は図7のボルト締め端子110に相当するものとする)。
【0007】
尚、例えば電動工具を用いてボルト112の本締めを行う場合、ボルト締め端子141がねじ山142に引っ掛かり斜めの状態となっていても、設定トルク値が出てしまうことになる。従って、作業者がトルク値のみで締め付け状態を判断すると、接続不良が生じてしまうことになる。
【0008】
ボルト締め端子141は、ねじ山142との引っ掛かりが振動等で解除されると当然にガタ付いてしまい、これにより接続不良が生じてしまうことになる。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、ボルト本締めの際の端子傾きを防止することが可能な端子斜め防止構造と、このような構造を採用してなる電気接続箱とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のボルト締め端子の端子斜め防止構造は、ボルト及びナットと、該ナットを固定する絶縁性のハウジングと、前記ボルト及び前記ナットにより締め付けられる導電性のボルト締め端子と、該ボルト締め端子の接続対象となる導電性の接続対象部材とを備え、前記ハウジングは、前記ナットの接合面の斜め前方に配設され且つ前記ナットの側に突出する押し付け部を有し、前記ボルト締め端子は、スライド移動をしつつ前記押し付け部に係合すると、該押し付け部の作用により電気接触部が前記接続対象部材に対し面接触することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の本発明のボルト締め端子の端子斜め防止構造は、請求項1に記載のボルト締め端子の端子斜め防止構造に係り、前記接続対象部材は、前記ボルト締め端子の端子側部が当接可能となる端子回り止め部を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するためになされた請求項3記載の本発明の電気接続箱は、請求項1又は請求項2に記載のボルト締め端子の端子斜め防止構造を採用してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された本発明によれば、スライド移動をさせつつボルト締め端子をハウジングの押し付け部に係合させると、この押し付け部からの作用を受けてボルト締め端子の電気接触部が接続対象部材に対し面接触する。従って、この面接触により、ボルト本締め前の、また、ボルト本締めの際の端子傾きを防止することができるという効果を奏する。
【0014】
請求項2に記載された本発明によれば、接続対象部材に端子回り止め部を設けることから、ボルト締め端子がボルト本締めに際して回ろうとしても、これを防止することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、ボルト締め端子の回り止めをすることから、押し付け部による係合状態を維持することができるという効果を奏する。従って、ボルト本締め途中でのボルト締め端子の傾きを防止することができるという効果を奏する。
【0015】
請求項3に記載された本発明によれば、請求項1又は請求項2に記載のボルト締め端子の端子斜め防止構造を採用してなるものであることから、より良い電気接続箱を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る端子斜め防止構造を示す断面図である。
【図2】上流側の端子斜め防止構造を示す分解斜視図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】端子斜め防止構造の拡大斜視図(一部破断有り)である。
【図5】下流側の端子斜め防止構造を示す分解斜視図である。
【図6】図5の断面図である。
【図7】従来例のヒューズボックスの分解斜視図である。
【図8】ボルト締め端子がねじ山に引っ掛かり斜めになった状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
端子斜め防止構造は、ボルト本締めの前に、ボルト締め端子をハウジングの押し付け部に係合させる構造であり、この係合によってボルト締め端子の電気接触部が接続対象部材に面接触する。このような構造は、自動車等の車両に搭載される電気接続箱に採用することが好適である。上記係合の維持には、接続対象部材に設けた端子回り止め部が有効である。
【実施例】
【0018】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明に係る端子斜め防止構造を示す断面図である。また、図2は上流側の端子斜め防止構造を示す分解斜視図、図3は図2の断面図、図4は端子斜め防止構造の拡大斜視図、図5は下流側の端子斜め防止構造を示す分解斜視図、図6は図5の断面図である。
【0019】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
【0020】
自動車等の車両には、各種電気機器が搭載されている。各種電気機器のうち、電気接続箱は重要な機能を担っている。電気接続箱は、リレーボックスやヒューズボックス、或いはジャンクションブロックや電子制御ユニットボックス等を総称するものとして知られている。以下では、ヒューズボックスを例に挙げて説明をするものとする。
【0021】
尚、本発明は、端子固定部におけるボルト及びナット、電線端末のボルト締め端子等の接続に係る構造に特徴を有しており、この他となるヒューズボックスの基本的な構成及び構造については図示及び説明を省略するものとする。
【0022】
図1において、自動車等の車両に搭載されるヒューズボックス1(電気機器、電気接続箱)は、ヒュージブルリンク2と、このヒュージブルリンク2を装着するハウジング3と、このハウジング3に保持されるナット4及びバスバー5と、ナット4に組み付くボルト6とを含んで構成されている。このような構成のヒューズボックス1には、端末にボルト締め端子7を設けてなる電線8が、また、ボルト締め端子9を設けてなる電線10が電気的に接続されている。
【0023】
ここで、図中の矢印について説明をすると、矢印Pは上下方向を示している。また、矢印Qはヒュージブルリンク2の上流側において、この前方となる方向を示している。また、矢印Rはヒュージブルリンク2の下流側において、この前方となる方向を示している。また、矢印Sは左右方向を示している。
【0024】
図1、図2、及び図5において、ヒュージブルリンク2は、大電流用のヒューズであって、公知のものが用いられている。ヒュージブルリンク2は、一対のヒューズ端子11を有している。ヒューズ端子11は、特許請求の範囲に記載された接続対象部材に相当する部分であって、導電性を有している。特に符号を付さないが、本実施例のヒューズ端子11は、長方形の板状となる端子本体と、この端子本体の両側全体に連成される鍔部とを有している。端子本体は、電気接触部としての機能を有している。鍔部は、内向きに折り曲げるようにして形成されている。ヒューズ端子11には(端子本体には)、円形の貫通孔12(図2及び図5参照)が形成されている。
【0025】
図1〜図3、図5〜図6において、ハウジング3は、絶縁性を有する略箱形の樹脂部品として備えられている。ハウジング3の上面側には、各種ヒューズに対するキャビティが複数設けられている。引用符号13で示すキャビティは、ヒュージブルリンク2を装着するキャビティとして設けられている。図中のキャビティ13は、複数のうちの一つを示しているものとする。仮想線で示すキャビティにも本発明が適用されるものとする。
【0026】
図1、図3、及び図6において、キャビティ13の底部分には、ヒュージブルリンク2の一対のヒューズ端子11に対する端子挿通部14がそれぞれ貫通形成されている。一対の端子挿通部14には、対応するヒューズ端子11がそれぞれ挿通されるようになっている。一対の端子挿通部14の間には、下方へ向けてのびる隔壁15が形成されている。
【0027】
隔壁15の両側には、矢印Q、矢印Rを前方とする端子固定部16がそれぞれ設けられている。一方の端子固定部16は、上流側のボルト締め端子7を固定する部分として設けられている。また、他方の端子固定部16は、下流側のボルト締め端子9を固定する部分として設けられている。一方及び他方の端子固定部16は、それおぞれ同じ構造を有するように形成されている。
【0028】
端子固定部16は、上下方向にのびる矩形筒状に形成されている。このような形状の端子固定部16において、引用符号17は隔壁15に対し平行な前面壁を示している。また、引用符号18は隔壁15に対し直角な左右の側面壁を示している。この側面壁18は、隣り合う別の端子固定部(図示省略)との隔壁として機能するように形成されている。
【0029】
引用符号19、20は開口部を示している。開口部19は、ボルト6の締め付け作業をする部分として前面壁17を切り欠くように形成されている。また、開口部20は、ボルト締め端子7、9の挿入を開始する部分として開口形成されている。開口部20には、ボルト締め端子7、9を収容する内部空間21が連成されている。
【0030】
端子固定部16には、ナット保持部22及びナット案内部23が形成されている。ナット保持部22は、ナット4を回ることなく保持する部分として形成されている。ナット保持部22は、前面壁17の開口部19から臨む位置に配置形成されている。一方、ナット案内部23は、上記開口部20を介して挿入されるナット4をナット保持部22まで案内する部分として形成されている。ナット案内部23は、略溝状であって、各側面壁18に形成されている。
【0031】
端子固定部16には、上記部分の他に、凸壁24が形成されている。この凸壁24は、キャビティ13の底部分を構成する壁から下方へ短く突出するような壁として形成されている。凸壁24は、隔壁15及び前面壁17に対し平行に突出形成されている。凸壁24は、端子挿通部14の近傍に位置するように配置形成されている。また、ナット4の後述する接合面29に対し、この斜め前方に位置するように配置形成されている。このような凸壁24には、一対の押し付けリブ25(押し付け部)が形成されている。また、逃がし部26も形成されている。
【0032】
押し付けリブ25は、ナット4の側に突出する断面略三角形状のリブとして形成されている(形状は一例であるものとする)。押し付けリブ25は、ボルト締め端子7をバスバー5に向けて押し付ける部分として、また、ボルト締め端子9をヒューズ端子11に向けて押し付ける部分として形成されている。本実施例の押し付けリブ25は、ボルト締め端子7、9の押し込みにより突出先端が潰れるように形成されている。具体的には、所謂圧縮リブとなるように形成されている。
【0033】
押し付けリブ25は、これが一対となる二本に限らず、三本であってもよいものとする。また、押し付けリブ25の数に関しては、ボルト締め端子7とバスバー5との面接触が確保できれば、また、ボルト締め端子9とヒューズ端子11との面接触が確保できれば特に限定されないものとする。仮に一つで対応するのであれば、比較的大きな面を有してボルト締め端子7、9を真っ直ぐ押し付ける形状が好適であるものとする。
【0034】
押し付け部は、本実施例において押し付けリブ25であるが、ボルト締め端子7をバスバー5に向けて押し付ける部分であれば、また、ボルト締め端子9をヒューズ端子11に向けて押し付ける部分であれば、リブ状となる形状でなくてもよいものとする。
【0035】
逃がし部26は、ボルト6の締め付け作業の際に支障を来さないようにするための円弧状の切り欠き部分として形成されている。
【0036】
ナット4は、金属製であって、導電性を有する公知のものが用いられている。ナット4は、ナット案内部23に案内された後にナット保持部22において保持されるようになっている。ナット4は、四隅が面取りされた平板状の基部27と、この基部27の前面に突出するナット機能部28とを有している。ナット機能部28の突出先端面は平坦であって、接合面29として形成されている。接合面29の中央位置には、ねじ穴30が形成されている。
【0037】
図1〜図6において、ボルト6は、金属製であって、導電性を有する公知のものが用いられている。ボルト6は、六角形状の頭部31と、ねじ山32を形成してなる軸部33とを有している。頭部31は、この座面が円形状に形成されている。
【0038】
バスバー5は、導電性を有する金属板をプレス加工してなるものであって、上流側の電線8及びボルト締め端子7を介して供給される電源を分配することができるように形成されている。バスバー5は、この表裏が平坦に形成されている。バスバー5の所定位置には、円形の貫通孔34が形成されている。貫通孔34は、ボルト6の軸部33を挿通することが可能に形成されている。このようなバスバー5において、貫通孔34の周辺は電気接触部35として形成されている。バスバー5は、ナット4の接合面29に載置されると、貫通孔34及びねじ穴30の位置が合うようになっている。
【0039】
バスバー5における引用符号36は端子回り止め部を示している。この端子回り止め部36は、貫通孔34の周辺となる位置に配置されている。端子回り止め部36は、ボルト締め端子7、9の後述する端子側部43を当接可能とするように形成されている。端子回り止め部36は、バスバー5の側部を立ち上げるような形状に形成されている。
【0040】
また、バスバー5における引用符号37は端子挿入規制部を示している。この端子挿入規制部37は、ボルト締め端子7、9の挿入量を規制する部分として形成されている。端子挿入規制部37は、バスバー上部を立ち上げるような形状に形成されている。
【0041】
バスバー5は、スリット38を介してハウジング3の内部所定位置に保持されるようになっている。に
【0042】
図1、図2、及び図5において、ボルト締め端子7、9は、導電性を有する金属板をプレス加工してなるものであって、本実施例においては、基本的に同じ構造を有するように形成されている。ボルト締め端子7は、ヒュージブルリンク2の上流側に対応する丸端子として設けられている。また、ボルト締め端子9は、ヒュージブルリンク2の下流側に対応する丸端子として設けられている。ボルト締め端子7、9は、電気接触部39と、電線接続部40とを有している。
【0043】
電気接触部39は、表裏平坦な板状に形成されている。電気接触部39の中央には、円形の貫通孔41が形成されている。貫通孔41は、ボルト6の軸部33を挿通することが可能に形成されている。電気接触部39の先端部には、テーパ42が形成されている。このテーパ42は、ハウジング3の押し付けリブ25に対し電気接触部39をスムーズに係合させる部分として形成されている。電気接触部39における引用符号43は端子側部を示している。端子側部43は、電気接触部39の両側部分であって、バスバー5の端子回り止め部36に対し当接可能な部分として形成されている。
【0044】
電線接続部40は、電線8、10との電気的な接続部分として形成されている。本実施例のボルト締め端子7、9は、圧着端子であって、圧着部を有している(圧接端子であってもよいものとする)。
【0045】
上記構成及び構造において、図1に示す如く電線8の端末のボルト締め端子7は、この端子自体に傾きがない状態で接続対象部材に接続されている。すなわち、バスバー5及びヒューズ端子11に対し電気的に接続されている。また、電線10の端末のボルト締め端子9も、この端子自体に傾きがない状態で接続対象部材に接続されている。すなわち、ヒューズ端子11に対し電気的に接続されている。
【0046】
これは、ボルト締め端子7、9がハウジング3の一対の押し付けリブ25により押し付けられて面接触が確保されているからであり、ボルト6の締め付け作業を行っても、ボルト6のねじ山32(図2及び図5参照)にボルト締め端子7、9が引っ掛かることはない。ボルト6の本締めは、端子斜め状態で行われることがなく、良好に完了することになる。以下、上流側、下流側の順で、もう少し詳しく説明をする。
【0047】
図2〜図4において、ハウジング3の端子固定部16におけるナット保持部22にナット4を回ることなく保持するとともに、スリット38を介してハウジング3の内部所定位置にバスバー5を保持し、この後にヒュージブルリンク2をキャビティ13に装着すると、端子挿通部14を介して端子固定部16にヒューズ端子11が挿通される。ヒューズ端子11は、ナット4の接合面29に載置され、また、接合面29とバスバー5の電気接触部35との間に挿入される。この時、ヒューズ端子11の貫通孔12と、バスバー5の貫通孔34と、ナット4のねじ穴30とが略一致する。
【0048】
そして、端子固定部16の下側の開口部20を介してボルト締め端子7を挿入すると、ボルト締め端子7の電気接触部39は、この先端部からバスバー5の電気接触部35とハウジング3の一対の押し付けリブ25との間に挿入される。ボルト締め端子7は、この貫通孔41がバスバー5の貫通孔34の位置に重なるまで挿入される(或いは、バスバー5の端子挿入規制部37に当接するまで挿入される)。
【0049】
一対の押し付けリブ25は、ボルト締め端子7の電気接触部39の挿入により潰れるものの電気接触部39をバスバー5の電気接触部35に向けて押し付け、これらを面接触させる。電気接触部39及び電気接触部35同士の面接触により、ボルト締め端子7はバスバー5に対し傾いた状態でなく、この後にボルト6の締め付け作業を行っても、ボルト6のねじ山32にボルト締め端子7が引っ掛かることはない。ボルト6の本締めは、端子斜め状態で行われることがなく、良好に完了することになる。
【0050】
ボルト締め端子7は、一対の押し付けリブ25の存在により、挿入完了時からボルト6による締め付け作業時まで、端子固定部16に仮保持された状態になる。従って、作業者は電線8を持ちつつボルト6の締め付け作業を行う必要性はない。
【0051】
ボルト締め端子7は、ボルト6による締め付け作業の際に、自身が回ろうとしても、電気接触部39の端子側部43がバスバー5の端子回り止め部36に当接して回り止めされる。ボルト締め端子7の回り止めをすることで、一対の押し付けリブ25による係合状態が維持され、これによりボルト本締め途中においては、ボルト締め端子7が斜め状態になることはない。
【0052】
図5〜図6において、ハウジング3の端子固定部16におけるナット保持部22にナット4を回ることなく保持し、この後にヒュージブルリンク2をキャビティ13に装着すると、端子挿通部14を介して端子固定部16にヒューズ端子11が挿通される。ヒューズ端子11は、ナット4の接合面29に載置される。この時、ヒューズ端子11の貫通孔12と、ナット4のねじ穴30とが略一致する。
【0053】
そして、端子固定部16の下側の開口部20を介してボルト締め端子9を挿入すると、ボルト締め端子9の電気接触部39は、この先端部からヒューズ端子11とハウジング3の一対の押し付けリブ25との間に挿入される。ボルト締め端子9は、この貫通孔41がヒューズ端子11の貫通孔12の位置に重なるまで挿入される。
【0054】
一対の押し付けリブ25は、ボルト締め端子9の電気接触部39の挿入により潰れるものの電気接触部39をヒューズ端子11(の電気接触部)に向けて押し付け、これらを面接触させる。電気接触部39及びヒューズ端子11同士の面接触により、ボルト締め端子9はヒューズ端子11に対し傾いた状態でなく、この後にボルト6の締め付け作業を行っても、ボルト6のねじ山32にボルト締め端子9が引っ掛かることはない。ボルト6の本締めは、端子斜め状態で行われることがなく、良好に完了することになる。
【0055】
ボルト締め端子9は、一対の押し付けリブ25の存在により、挿入完了時からボルト6による締め付け作業時まで、端子固定部16に仮保持された状態になる。従って、作業者は電線10を持ちつつボルト6の締め付け作業を行う必要性はない。
【0056】
以上、図1〜図6を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、スライド移動をさせつつボルト締め端子7、9をハウジング3の一対の押し付けリブ25に係合させると、この押し付けリブ25からの作用を受けてボルト締め端子7、9の電気接触部39が接続対象部材に対し面接触する。従って、この面接触により、ボルト本締め前の、また、ボルト本締めの際の端子傾きを防止することができるという効果を奏する。
【0057】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
1…ヒューズボックス(電気接続箱)
2…ヒュージブルリンク
3…ハウジング
4…ナット
5…バスバー(接続対象部材)
6…ボルト
7、9…ボルト締め端子
8、10…電線
11…ヒューズ端子(接続対象部材)
12…貫通孔
13…キャビティ
14…端子挿通部
15…隔壁
16…端子固定部
17…前面壁
18…側面壁
19、20…開口部
21…内部空間
22…ナット保持部
23…ナット案内部
24…凸壁
25…押し付けリブ(押し付け部)
26…逃がし部
27…基部
28…ナット機能部
29…接合面
30…ねじ穴
31…頭部
32…ねじ山
33…軸部
34…貫通孔
35…電気接触部
36…端子回り止め部
37…端子挿入規制部
38…スリット
39…電気接触部
40…電線接続部
41…貫通孔
42…テーパ
43…端子側部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト及びナットと、該ナットを固定する絶縁性のハウジングと、前記ボルト及び前記ナットにより締め付けられる導電性のボルト締め端子と、該ボルト締め端子の接続対象となる導電性の接続対象部材とを備え、
前記ハウジングは、前記ナットの接合面の斜め前方に配設され且つ前記ナットの側に突出する押し付け部を有し、
前記ボルト締め端子は、スライド移動をしつつ前記押し付け部に係合すると、該押し付け部の作用により電気接触部が前記接続対象部材に対し面接触する
ことを特徴とするボルト締め端子の端子斜め防止構造。
【請求項2】
請求項1に記載のボルト締め端子の端子斜め防止構造において、
前記接続対象部材は、前記ボルト締め端子の端子側部が当接可能となる端子回り止め部を有する
ことを特徴とするボルト締め端子の端子斜め防止構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のボルト締め端子の端子斜め防止構造を採用してなる
ことを特徴とする電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−244877(P2012−244877A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115813(P2011−115813)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】