説明

ボンディングウェハにMEMSを取付ける方法

【課題】MEMSの製造における応力を軽減する。
【解決手段】MEMS12は、MEMSの上方に支持層を形成することによって部分的にボンディングウェハに取付けられる。第1共晶層は支持層の上方に形成される。応力を軽減するために、第1共晶層はセグメント24、26、28、30にパターン化される。第2共晶層34はボンディングウェハの上方に形成される。共晶接合がセグメントおよび第2共晶層で形成され、ボンディングウェハがMEMSに取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して微小電気機械システム(MEMS)に関するものであり、さらに詳しくはボンディングウェハ接触部にMEMSを形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)は、トランスデューサとして機能することの重要性が増加している。加速度計の例では、まずMEMS内での動きによって加速度が検出され、その動きが、キャパシタンス等の電気特徴の変化に変換される。キャパシタンスの変化は、加速度の測定値を提供する電気信号に変換される。電気信号が、様々の用途で使用されてもよく、1つの用途ではエアバッグを起動するために用いられる。このような用途での使用は重大であるので、適切に機能することは重要である。MEMS内での動きがあるので、可動構造が一体性を有する必要がある。したがって、可動構造に関する応力が、可動構造の故障を生じさせるほど大きくなるべきではない。
【0003】
したがって、MEMSの製造における応力を軽減についての改良が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4077854号明細書
【特許文献2】米国特許第5276955号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0067604号明細書
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】一実施形態の処理の工程におけるMEMSデバイスの断面図である。
【図2】処理の後の段階における図1のMEMSデバイスの断面図である。
【図3】図2のMEMSデバイスの上面図である。
【図4】MEMSデバイスとボンディングウェハとの間の共晶接合を形成する前のボンディングウェハおよび図2のMEMSデバイスの断面図である。
【図5】共晶接合を形成した後、図2のMEMSデバイスおよびボンディングウェハの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は例示の方法により説明されており、添付の図面により限定されるものではなく、図面において、同様の参照符号は類似の要素を示す。図中の要素は簡潔かつ明確に説明されており、必ずしも寸法通りに描かれていない。
【0007】
1つの態様において、MEMSデバイスがMEMSデバイス上に形成される接触部を有する。接触部が、MEMSデバイスの上にあるポリシリコン層であり得る付着と、付着層上にあるシリコンゲルマニウムであり得る第1共晶層とを有する。第1共晶層は,第1共晶層の形成により生成される応力を減少するようにパターン化される。ボンディングウェハは、第1共晶層の材料と共晶対である材料(共晶接合形成層が2以上である場合には複数の材料)からなる第2共晶層である共晶接合形成層を有する。共晶接合形成層が熱および圧力を用いて第1共晶層に適用されて、ボンディングウェハとMEMSデバイスとの間に共晶接合が形成される。これは、図面および以下の説明を参照することによってより良く理解される。
【0008】
図1には、MEMS12MEMS12上にあるポリシリコンギャップストップ14、MEMS12上にあり、ポリシリコンギャップストップ14内においてポリシリコンギャップストップ14から離間されたポリシリコン層15、ポリシリコン層15上にある漸変シリコンゲルマニウム層16、および漸変シリコンゲルマニウム層16上にあるシリコンゲルマニウム層18が示されている。漸変シリコンゲルマニウム層16が、非常に低い濃度のゲルマニウムで開始し、最終濃度のゲルマニウムに達するまでゲルマニウムの濃度が増加する。シリコンゲルマニウム層18が、漸変シリコンゲルマニウム層16の最終のゲルマニウム濃度と同一のゲルマニウム濃度である連続ゲルマニウム濃度を有する。ゲルマニウムの漸変により、最後のシリコンゲルマニウムの接触部分とシリコンゲルマニウム層18との間の付着が改善される。いくつかの場合において、ゲルマニウムの漸変が必要でない場合がある。段階的漸変の代わりに、シリコンゲルマニウム層18のゲルマニウム濃度より低い濃度である連続濃度のシリコンゲルマニウム層も使用され得る。シリコンとゲルマニウムとの間の良好な付着によりアルミニウムと有効な共晶接合が形成されるので、このシリコンおよびゲルマニウムの組み合わせは特に有効である。しかしながら、他の材料は有効であると認められ得る。ゲルマニウムは、十分な付着を提供するシリコンとは異なる材料を使用し得る。同様に、後に適用される導電性材料と有効な共晶接合を提供する異なる材料も使用され得る。例えば、銅および錫も、金およびシリコンと同様に有効な共晶接合を形成し得る。よって、ゲルマニウムが、例えば、アルミニウムのような材料と共晶接合を形成し得るので、ゲルマニウムは共晶材料であるものと見なし得る。この例において、共晶結合を形成する後で適用される材料(この場合、導電性材料)も共晶材料として見なし得る。圧力および熱の下でゲルマニウムおよびアルミニウムが接触する時、ゲルマニウムおよびアルミニウムが共晶接合を形成するので、ゲルマニウムおよびアルミニウムは共晶対として見なし得る。
【0009】
図2が、漸変シリコンゲルマニウム層16およびシリコンゲルマニウム層18がチェッカーボードパターンにエッチングされた後のMEMS12を示す。図2に示すように、パターンの一部であるセグメント24、26、28、及び30が存在している。シリコンゲルマニウム層18の一部である頂部22および漸変シリコンゲルマニウム層16の一部である部分20を示すことによって、セグメント30が、セグメント24、26および28等の他のセグメントを代表する。
【0010】
図3は、チェッカーボードパターンとしてのパターン31を示す図2のMEMS12の上面図を示す。線2−2は図2の断面箇所を示す。この例において、パターン31を形成する4つの行および4つの列のセグメントがある。1つの行はセグメント24、26、28および30から形成される。列の1つの列はセグメント23、25、24および27から形成される。パターン31を形成することによって、漸変シリコンゲルマニウム層16およびシリコンゲルマニウム層18によって生成される応力が軽減される。漸変シリコンゲルマニウム層16およびシリコンゲルマニウム層18によって生成される応力は著しく、MEMS12に伝達され、後にMEMS12に損傷を与える。パターン31は、チェッカーボードパターンと見なし得る。セグメントは、四角として示されるが、示されたものよりも丸くしてもよいが、その場合もチェッカーボードパターンと見なし得る。
【0011】
図4は、セグメント24、26、28および30を有するMEMS12と、ボンディングウェハ32とを示し、ボンディングウェハ32は、ボンディングウェハ32上の共晶接合形成ボンディング層34を有する(この場合、共晶接合形成ボンディング層34は導電性を有するが、必ずしも導電性を有していなくてもよい)。本実施形態では、共晶接合形成ボンディング層34はアルミニウムからなる。ボンディングウェハ32が、MEMS12に接続される集積回路を含んでもよい。図4において、共晶接合形成層34とパターン31との間に共晶接合を形成する前に、MEMS12およびボンディングウェハ32は位置合わせされる。
【0012】
図5は、MEMS12およびボンディングウェハ32が圧力および熱を使用して互いに押し付けられて、パターン31と導電性層34との間に共晶接合36が形成された後のMEMS12およびボンディングウェハ32を示す。ポリシリコンギャップストップ14により、共晶接合36が内包されることが保障される。
【0013】
従って、漸変シリコンゲルマニウム層16およびシリコンゲルマニウム層18にパターンを付加することにより、ボンディングウェハとMEMSとの間に有効な共晶接合を形成しつつ応力が軽減される。
【0014】
このようにMSMSをボンディングウェハに取付けるための方法が提供されていると理解されるべきである。該方法は、ボンディングウェハの上方に第2材料の第2共晶層を形成することを含み、第1材料および第2材料は共晶対である。該方法は、第1共晶層および第2共晶層が接触した状態で熱および圧力を加えてMEMSとボンディングウェハとの間に共晶接合を形成することを含む。該方法は、第1材料がシリコンゲルマニウムからなることを特徴し得る。該方法が、第2材料がアルミニウムからなることをさらに特徴とし得る。該方法が、第1共晶層を形成することの前に、MEMS上に付着層を形成することをさらに含み、ここで、第1共晶層は付着層上に形成される。該方法は、第1共晶層を形成することの前に、MEMS上に付着層を形成することをさらに特徴してもよく、ここで、第1共晶層は付着層上に形成される。該方法が、付着層がシリコン層を含むことをさらに特徴としてもよい。該方法は、付着層がシリコンゲルマニウム層をさらに含むことをさらに特徴としてもよく、ここで、シリコンゲルマニウム層はシリコン層上にあり、第2シリコンゲルマニウム層が、第1材料のゲルマニウム濃度よりも低い平均ゲルマニウム濃度を有する。該方法が、シリコンゲルマニウム層が漸変濃度のゲルマニウムを有することをさらに特徴としてもよい。該方法は、漸変濃度が、シリコン層との境界よりも第1共晶層との境界において高い濃度のゲルマニウムを有することによって特徴付けられることをさらに特徴し得る。該方法は、第1材料および第2材料がシリコンと金の共晶対を備えることをさらに特徴とし得る。該方法は、第1材料および第2材料が銅と錫の共晶対を備えることをさらに特徴とされ得る。方法は、パターン化することが、シリコンゲルマニウムのエッチングを実行することを含むことを特徴とし得る。方法は、チェッカーボードパターンが、第1共晶層の行および列のセグメントを含むことを特徴とし得る。
【0015】
ボンディングウェハにMEMSを取付ける方法も記載される。該方法は、MEMSの上方に支持層を形成することを含む。該方法が、支持層層の上方に第1共晶層を形成することをさらに含む。該方法は、応力を軽減するために共晶層をセグメントにパターン化することをさらに含む。該方法は、ボンディングウェハの上方に第2共晶層を形成することをさらに含む。該方法は、セグメントと第2共晶層との間に共晶接合を形成して、MEMSをボンディングウェハに取付けることをさらに含む。該方法は、パターン化するステップがセグメントを行および列に形成することをさらに特徴し得る。該方法は、パターン化するステップによりセグメントがチェッカーボードパターンに形成されることをさらに特徴とし得る。該方法は、セグメントは四角形状であることをさらに特徴とし得る。該方法は、支持層と第1共晶層との間に付着層を形成することをさらに含んでもよい。該方法は、支持層がシリコンからなり、第1共晶層がシリコンゲルマニウムからなり、第2共晶層がアルミニウムからなることをさらに特徴し得る。
【0016】
共晶接合形成層を有するボンディングウェハに取付けるために準備されたMEMSも記載される。MEMSデバイスは、MEMSの上方にある支持層およびボンディング層に取付けるための、支持層の上方にある複数のセグメントを備える。複数のセグメントは行および列の交差点に存在する。複数のセグメントは、共晶接合形成層と共晶対である第1材料である。MEMSは、セグメントがシリコンゲルマニウムからなることをさらに特徴とし得る。
【0017】
前述の詳細な説明は、具体的な例示の実施の形態を参照しながら本発明を説明するものである。しかし、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が加えられ得ることが理解されよう。詳細な説明及び添付図面は限定するものではなく、単に例と見なされるべきであり、そのような修正又は変更は、すべて本明細書で説明され定義された本発明の範囲内に入るものとする。以上、具体的な実施例に関して、利益、他の利点、及び問題の解決方法について説明してきたが、利益、利点、問題の解決方法、及びこうした利益、利点、問題 の解決方法をもたらし、又はより顕著なものにする構成要素は、全ての請求項又は何れかの請求項において重要とされ、要求され、不可欠とされる機能や構成要 素であると見なされるべきではない。
【0018】
特に明記しない限り、「第1」及び「第2」等の用語は、そのような用語が述べる要素間を任意に区別するために用いる。したがって、これらの用語は、必ずしもそのような要素の時間的な又は他の優先順位付けを示そうとするものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディングウェハにMEMSを取付ける方法であって、
前記MEMSの上方に第1材料の第1共晶層を形成すること、
チェッカーボードパターンに第1共晶層をパターン化すること、
前記ボンディングウェハの上方に第2材料の第2共晶層を形成することであって、前記第1材料および前記第2材料は共晶対である、前記第2共晶層を形成すること、
前記第1共晶層および前記第2共晶層が接触した状態で熱および圧力を加えて前記MEMSと前記ボンディングウェハとの間に共晶接合を形成すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1材料がシリコンゲルマニウムからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2材料がアルミニウムからなる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1共晶層を形成することの前に、前記MEMS上に付着層を形成することを含み、前記第1共晶層は前記付着層上に形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記付着層がシリコン層を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記付着層が、シリコンゲルマニウム層をさらに備え、前記シリコンゲルマニウム層は、前記シリコン層上にあり、第2のシリコンゲルマニウム層が、前記第1材料のゲルマニウム濃度より低い平均ゲルマニウム濃度を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコンゲルマニウム層が、漸変濃度のゲルマニウムを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
漸変濃度は、前記シリコン層との境界よりも前記第1共晶層との境界において高い濃度のゲルマニウムを有することによって特徴付けられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1材料および前記第2材料が、シリコンと金の共晶対を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1材料および前記第2材料が、銅と錫の共晶対を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記パターン化することが、シリコンゲルマニウムのエッチングを実行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記チェッカーボードパターンが、前記第1共晶層の行および列のセグメントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
MEMSをボンディングウェハに取付ける方法であって、
前記MEMSの上方に支持層を形成すること、
前記支持層の上方に第1共晶層を形成すること、
応力を軽減するために、前記第1共晶層をセグメントにパターン化すること、
前記ボンディングウェハの上方に第2共晶層を形成すること、
前記セグメントおよび前記第2共晶層で共晶接合を形成して、前記MEMSを前記ボンディングウェハに取付けること、
を含む、方法。
【請求項14】
前記パターン化するステップが、前記セグメントを行および列に形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記パターン化するステップにより、前記セグメントがチェッカーボードパターンに形成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記セグメントは四角形状である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記支持層と前記第1共晶層との間に付着層を形成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記支持層がシリコンからなり、前記第1共晶層がシリコンゲルマニウムからなり、前記第2共晶層がアルミニウムからなる、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
共晶接合形成層を有するボンディングウェハに取付けるように準備されたMEMSであって、
前記MEMSの上方にある支持層と、
前記ボンディングウェハに取付けるための、前記支持層の上方にある複数のセグメントであって、
前記複数のセグメントは行および列の交互点に存在し、
前記複数のセグメントは、前記共晶接合形成層と共晶対である第1材料である、複数のセグメントと、
を備える、MEMS。
【請求項20】
前記セグメントがシリコンゲルマニウムからなる、請求項19に記載のMEMS。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−39660(P2013−39660A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−168421(P2012−168421)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】