説明

ボンベ開封装置、エアバック式プロテクタ、およびボンベ開封装置の初期設定方法

【課題】一度ボンベを開封した後にも新たなボンベを取り付けて再利用可能なボンベ開封装置、それを用いたエアバッグ式プロテクタ、およびそのボンベ開封装置にボンベを開封可能な状態に取り付けるボンベ開封装置の初期設定方法を提供する。
【解決手段】ボンベ18aを取り付けるためのメスねじ部20aの奥方に延びる孔部20bが形成された本体20と、孔部20b内に配設され、ボンベ18aに向かうよう付勢された駆動部材24と、駆動部材24に、先端がボンベ18aの端面18aaに向かうよう取り付けられた針26と、針26が端面18aaから離間した位置で駆動部材24の移動を係止する第一係止部と、第一係止部の係止を解除することで、針26を端面18aaの外壁に貫通させて、ボンベ18aを開封する解除制御手段36と、駆動部材24の端面18aaに向かう駆動を、針26が前記外壁を貫通する所定位置で係止する第二係止部20bbとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体が封入されたボンベを開封するボンベ開封装置、そのボンベ開封装置を用いた、身体の所定部位の損傷を防止するエアバッグ式プロテクタ、および、そのボンベ開封装置の初期設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人が転倒した際に、骨折等の損傷を負ってしまう場合がある。特に高齢者や骨粗しょう症患者においては、若年の健常者に比較して骨の強度が弱くなっており、転倒したときに臀部の側部を地面や床に打って大腿骨頚部を骨折することが多い。特に高齢者が大腿骨頚部を骨折すると、統計上、寝たきり状態や認知症(痴呆症)になることが多いことが知られている。
【0003】
そこで、転倒時に大腿骨頚部等を骨折しないよう、従来、衝撃吸収パッドを装着したパンツ等の衣類が用いられている。このような衝撃吸収パッド付き衣類が、特許文献1に開示されている。
特許文献1には、転倒時に打つことの多い身体の所定部位(例えば大腿骨頚部近傍の臀部)の対応位置に、衝撃吸収パッドを配設した、パンツ、ズボン下、アンダーシャツ等の衝撃吸収パッド付き衣類が記載されている。
【0004】
しかしながら、衝撃吸収パッドが装着された衣類では、強い衝撃に対しては衝撃吸収効果が不十分であるという問題があり、また、衝撃吸収性を高めるべく衝撃吸収パッドを厚く形成した場合には、衝撃吸収パッドの対応部位(関節等)の動きを妨げてしまうといった問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、エアバッグ式のプロテクタを用いることが考えられている。
特許文献2には、不測事故の発生を感知するセンサ(生理的センサおよび物理的センサ)と、センサからの信号に応じて開封されるガスボンベと、ガスボンベが開封された際にガスボンベ内のガスが流入して展開する防護袋(エアバッグ)とを備える防護装置(エアバッグ式プロテクタ)が記載されている。
このようなエアバッグ式のプロテクタによれば、従来の衝撃吸収パッドを備えたプロテクタと比較し、強い衝撃をも好適に吸収して身体の損傷を防げるとともに、バッグが萎んだ状態のときには、身体の対応部位(関節等)の動きを妨げるといった問題もないというメリットがある。
【0006】
さて、特許文献2には、ガスボンベを開封するための機構(装置)についても記載されている。
特許文献2に記載されたガスボンベの開封機構(装置)の一つを、図19(a),(b)に示す。ガスボンベ29のカバーリング32にはスプリング37が収納されている。また、カバーリング32の側外壁には小型のソレノイド17が固定されており、ソレノイド17のロッド17aは上記リング32の側壁にあけられた貫通孔32bを貫通して配置されている。スプリング37の先端部には円板39が設けられ、常時伸長状態にあるソレノイド17のロッド17aが、スプリング37を圧縮した状態にして円板39を掣肘(ストップ)している。円板39の中央にはパイプ40が固定されており、パイプの先端40aは斜めにカットされて鋭利に形成されている。
【0007】
そして、前記センサが不測事故の発生を監視した際、制御部(コントローラー)が信号(弁開放信号)をソレノイド17に入力すると、図19(c)に示すように、ロッド17aを退入する。すると、円板39の掣肘が解除され、圧縮状態で保持されているスプリング37が伸長して円板39を下方に移動し、パイプ40がその鋭利な先端40aにて蓋41を突き破る。これにより、ガスボンベ29内の圧縮ガスは、パイプ40から外部に放出され、連通孔32aを通って防護袋内に供給される。
【0008】
【特許文献1】特開2003−3004号公報
【特許文献2】特開2004−352113号公報(第9図、段落0034−0035)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、身体の保護に用いるエアバッグを展開させるためには、ボンベの内部の気圧はある程度高いことが求められる。例えば、通常、内部の気圧が60気圧程度のボンベが用いられる。そして、この程度の内部気圧を安全に保持するために、ボンベの外壁は、一般的に0.5mm厚程度の鉄板等が用いられる。そして、特許文献2に記載されたようなガスボンベの開封装置により、このようなボンベの外壁を、先鋭状の針やパイプで打ち破るためには、スプリング等の付勢部材により、数十kgFの力を発生させる必要がある。
【0010】
特許文献2記載のガスボンベの開封装置は、一度開封動作を行うと、前述の様な強い付勢力を有するスプリングを再度縮めて新たなボンベを再設定することが困難であるため、ガスボンベとその開封装置とをともに廃棄して新たなものに交換する必要があり、非経済的であるという課題がある。
【0011】
また、特許文献2記載のガスボンベの開封装置においては、ソレノイド17のロッド17aによりスプリング37により生じる数十kgFの力を受けており、ソレノイド17のロッド17aを、カバーリング32から抜く方向に移動させることにより、スプリング37を開放している。
【0012】
しかしながら、この機構では、スプリング37による強い付勢力がそのままロッド17aに掛かるため、ロッド17aと円板39との間の摩擦力が非常に大きく、ソレノイド17によるロッド17aの駆動に非常に大きな力が必要となる。したがって、小型のソレノイド17を用いることができず、ボンベの開封装置の大型化および高重量化が避けられないという課題がある。特に、高齢者等の転倒時の骨折等を防ぐためにエアバッグ式のプロテクタを用いる場合、小型かつ軽量なものが求められる。
【0013】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その主たる目的は、一度ボンベを開封した後にも新たなボンベを取り付けて再利用可能なボンベ開封装置、それを用いたエアバッグ式プロテクタ、およびそのボンベ開封装置にボンベを開封可能な状態に取り付けるボンベ開封装置の初期設定方法を提供することにある。
また、その副たる目的は、小型かつ軽量に構成可能なボンベ開封装置、およびそれを用いたエアバッグ式プロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明に係るボンベ開封装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、流体が封入されたボンベを取り付けるための、ボンベの端部の外周面に形成されたねじ部に螺合可能なメスねじ部が、一端側に設けられるとともに、メスねじ部の奥方に延びる孔部が形成された本体と、前記孔部内に配設され、前記本体に設けられた付勢部材により、前記メスねじ部に取り付けられたボンベの端面に向かうよう付勢された駆動部材と、該駆動部材に、先端が前記ボンベの端面に向かうよう取り付けられた針と、該針が前記ボンベの端面から離間した位置で、前記付勢部材の付勢力による前記駆動部材の移動を係止する第一係止部と、所定のトリガ信号が入力された際、前記第一係止部の係止を解除することで、前記駆動部材を前記付勢部材の付勢力により駆動させ、前記針を前記ボンベの端面の外壁に貫通させて、ボンベを開封する解除制御手段と、前記第一係止部の係止が解除されたことによる前記駆動部材の前記ボンベの端面に向かう駆動を、前記針が前記外壁を貫通する所定位置で係止する第二係止部とを備えることを特徴とする。
これによれば、ボンベ開封後も駆動部材が第二係止部により孔部内に係止されるから、駆動部材を付勢部材の付勢力に抗して押し込むことでボンベ開封装置を再利用することができる。
【0015】
さらに、前記第二係止部は、前記孔部の内径が前記駆動部材の径よりも小径に形成された小径部により構成され、前記駆動部材は、前記所定位置にあるとき、前記小径部を密閉するよう設けられ、前記本体には、前記小径部よりも前記メスねじ部側において前記孔部と外側面とを結ぶ連通孔が、ボンベから流出する流体の流路として形成されていることを特徴とする。
これによれば、ボンベから流出する流体の流路をシンプルな機構で実現できるとともに、本体内のスペースを有効に活用して、ボンベ開封装置の小型化および軽量化を図ることができる。
【0016】
また、前記針には、前記ボンベの外壁に貫通した際にボンベ内の流体をボンベ外に導くための、少なくとも側面に開口する流路が形成されていることを特徴とする。
これによれば、ボンベの外壁に針が刺さったままの状態で、好適に流体をボンベ外に流出させることができる。
【0017】
また、前記孔部は、前記本体を貫通する貫通孔に設けられ、前記第一係止部は、前記駆動部材に一端が取り付けられたワイヤと、一端面に前記ワイヤの他端が取り付けられ、前記孔部の、前記メスねじ部側の反対側から前記本体外に出る棒状部材と、前記本体の外面に形成され、前記棒状部材の前記一端面の、前記ワイヤの取り付け位置から径方向にずれた一部に当接して、前記付勢部材の付勢力による棒状部材の該一端の移動を係止する凸部と、前記棒状部材の一端面の前記一部が前記凸部で係止されていることで前記付勢部材の付勢力により棒状部材の他端部に生じる回転モーメントに抗して、該他端部を係止するストッパ部とを有し、前記解除制御手段は、前記所定のトリガ信号が入力された際、前記ストッパ部による前記棒状部材の他端部の係止を解除することを特徴とする。
これによれば、付勢部材の付勢力に抗して、凸部により棒状部材の前記一端面を係止するとともに、ストッパ部により前記他端部に生じる回転モーメントを係止するから、てこの原理によって、ストッパ部により係止する力を弱く設定することができる。したがって、解除制御手段は、駆動力の弱いものを採用できるから、解除制御手段を小型かつ軽量に構成することが可能となる。
【0018】
さらに、前記凸部は、前記孔部の開口縁部に形成されていることを特徴とする。
これによれば、ボンベ開封装置の機構をシンプルに構成することができる。
【0019】
また、前記孔部は、前記本体を貫通する貫通孔に設けられ、前記第一係止部は、前記駆動部材に一端が取り付けられたワイヤと、一端に前記ワイヤの他端が取り付けられ、前記孔部の、前記メスねじ部側の反対側から前記本体外に出る棒状部材と、該棒状部材の一端を前記孔部の開口縁部に当接させ、前記付勢部材の付勢力による前記ワイヤの付勢方向に対して90°以上回転させた状態で、該付勢力により棒状部材の他端部に生じる回転モーメントに抗して、該他端部を係止するストッパ部とを有し、前記解除制御手段は、前記所定のトリガ信号が入力された際、前記ストッパ部による前記棒状部材の他端部の係止を解除することを特徴とする。
これによれば、付勢部材の付勢力に抗して、孔部の開口縁部で棒状部材の前記一端を係止するとともに、ストッパ部により前記他端部に生じる回転モーメントを係止するから、てこの原理によって、ストッパ部により係止する力を弱く設定することができる。したがって、解除制御手段は、駆動力の弱いものを採用できるから、解除制御手段を小型かつ軽量に構成することが可能となる。
【0020】
また、前記解除制御手段は、前記ストッパ部を駆動するソレノイドを有することを特徴とする。
これによれば、小型かつ軽量なソレノイドを採用できる。
【0021】
また、前記本体には、前記ストッパ部による前記棒状部材の係止が解除された際に、前記回転モーメントによる棒状部材の回転軌道を案内する案内部が設けられていることを特徴とする。
これによれば、ストッパ部を解除した際の棒状部材の運動をスムーズにすることができる。
【0022】
また、前記付勢部材は、前記孔部内に、孔部と同軸に、一端が前記駆動部材に当接して配設されたコイルスプリングであり、前記ワイヤは、前記コイルスプリング内を通過して設けられていることを特徴とする。
これによれば、ボンベ開封装置の機構をシンプルに構成するとともに本体内のスペースを有効に活用して、ボンベ開封装置の小型化および軽量化を図ることができる。
【0023】
また、本願発明に係るエアバッグ式プロテクタは、上記課題を解決するために以下の構成を備える。すなわち、身体の所定部位の損傷を防止するエアバッグ式プロテクタにおいて、請求項1〜8のうちのいずれか一項記載のボンベ開封装置と、該ボンベ開封装置に取り付けられたエアボンベと、前記ボンベ開封装置により開封された前記エアボンベから流出する流体が流入するよう設けられ、前記所定部位、または該所定部位の近傍に取り付け可能に設けられたエアバッグと、前記ボンベ開封装置の前記解除制御手段に対し前記所定のトリガ信号を出力するトリガ出力手段とを備えることを特徴とする。
これによれば、ボンベ開封後も駆動部材が第二係止部により孔部内に係止されるから、駆動部材を付勢部材の付勢力に抗して押し込むことでボンベ開封装置を再利用することができる。
【0024】
さらに、前記トリガ出力手段は、人が転倒することを推知する転倒推知手段を有し、該転倒推知手段により人の転倒を推知した際に前記解除制御手段に対し前記トリガ信号を出力することを特徴とする。
【0025】
また、本願発明に係るボンベ開封装置の初期設定方法は、上記課題を解決するために以下の構成を備える。すなわち、請求項1〜8のうちのいずれか一項記載のボンベ開封装置にボンベを開封可能な状態に取り付けるボンベ開封装置の初期設定方法であって、前記メスねじ部に螺合可能なオスねじ部と、該オスねじ部を前記メスねじ部に螺合させるべくユーザーが回転操作可能なハンドル部と、該オスねじ部を前記メスねじ部に螺合させた際に前記孔部内の前記駆動部材に当接する延出部とを備えた初期設定用治具を用い、前記駆動部材が前記所定位置にある状態から、前記初期設定用治具の前記オスねじ部を前記メスねじ部に螺合させて前記ハンドル部を回転させることで、駆動部材を、前記延出部で押して前記付勢部材の付勢力に抗して前記所定位置より移動させ、前記第一係止部により前記駆動部材の移動を係止し、前記ハンドル部を回転させて前記初期設定用治具を前記メスねじ部から取り外し、前記メスねじ部にボンベ端部の外周面に形成されたねじ部を螺合させることで、前記ボンベ開封装置にボンベを取り付けることを特徴とする。
これによれば、初期設定用治具を用いて、その延出部により前記第二係止部に係止されている駆動部材を押して付勢部材の付勢力に抗して移動させ、第一係止部により駆動部材の移動を係止することで、ボンベ開封装置を、ボンベを開封可能な状態に初期設定(再設定)することができる。
【0026】
さらに、前記初期設定用治具の前記延出部は、前記針を避けて前記駆動部材に当接するよう、針が内部に進入可能な筒状に設けられていることを特徴とする。
これによれば、延出部を、針を避けて駆動部材に当接させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るボンベ開封装置、エアバッグ式プロテクタ、およびボンベ開封装置の初期設定方法によれば、一度ボンベを開封した後にも新たなボンベを取り付けて再利用することができる。
また、本発明に係るボンベ開封装置およびエアバッグ式プロテクタは、小型かつ軽量に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本願発明に係るボンベ開封装置、エアバッグ式プロテクタ、およびボンベ開封装置の初期設定方法を実施するための最良の形態を説明する。
【0029】
図1は、ボンベ開封装置を備えたエアバッグ式プロテクタの実施の形態としての転倒用プロテクタPの説明図である。
転倒用プロテクタPは、人の腰回りおよび臀部回りに着脱可能に設けられた長方形状の布体2を備える。布体2は、その一長辺の縁部に、伸縮性を有する材料であるゴムにより構成されたベルト部2aを有する(図1は、ベルト部2aを伸ばした状態を示している)。また、布体2は、その両短辺の縁部に、互いにくっつき合うマジック部2b,2cを有する。
【0030】
図2は、転倒用プロテクタPを人の腰回りおよび臀部回りに着けた状態を示し、(a)は、その正面説明図であり、(b)は、X−X断面説明図である。転倒用プロテクタPは、布体2を人の腰回りおよび臀部回りを覆うように巻いて、マジック部2b,2c(図1参照)同士を貼り合わせることで、人の腰回りおよび臀部回りに取り付けることができる。この際、ゴムから成るベルト部2aの伸縮性により、転倒用プロテクタP(布体2)は腰回りおよび臀部回りに保持される。
【0031】
布体2上には、2つのエアバッグ4a,4bが取り付けられている。図2(a),(b)に示すように、エアバッグ4a,4bは、人が布体2を着けた際に、大腿骨頚部B近傍の臀部、すなわち臀部の側面がわに位置するよう、布体2上に配設されている。
エアバッグ4a,4bは、特に限定されないが、それぞれ容積が200〜300ml程度のものを採用するとよい。なお、エアバッグの容積は、使用者の体格に応じて、体重が重いほど大きい容積のエアバッグを採用するようにするとよい。
【0032】
さらに、布体2上には、制御ユニットUが取り付けられている。図2(a),(b)に示すように、制御ユニットUは、人が布体2を着けた際に、腹部の臍の位置またはその近傍に位置するよう、布体2上に配設されている。
制御ユニットUは、後述する転倒推知装置Aと、エアバッグ4a,4b内にエアを吹き込ませてエアバッグ4a,4bを展開させるための後述するエアバッグ展開手段18とを有する。
転倒推知装置Aは、布体2上に設けられ、布体2が人に取り付けられることで人の体幹に取り付けられる。すなわち、布体2は、転倒推知装置Aを人の体幹に取り付けるための取り付け手段を成している(兼ねている)。
またさらに、布体2上には、エアバッグ展開手段18のエアボンベ18a(後述)から吹き出すエアを各エアバッグ4a,4b内へ導くチューブ6a,6bが設けられている。
【0033】
また、布体2上には、感圧センサ8a,8bが設けられている。図2(a),(b)に示すように、感圧センサ8a,8bは、人が布体2を着けた際に臀部に位置するよう、布体2上に配設されている。感圧センサ8a,8bは、薄膜状に設けられ、その少なくとも一部に、面に垂直な方向の押圧力が掛かったことを検出するセンサであり、例えば人が座ったり寝転がったりしたこと等により、臀部に押圧力が掛かったことを検出するために設けられている。
感圧センサ8a,8bは、制御ユニットUの転倒推知装置Aに接続され、臀部に押圧力が掛かった際に、転倒推知装置Aに対し信号を出力する。
感圧センサ8a,8bは、特に限定されないが、厚さ0.2mm程度の薄膜感圧センサを採用するとよい。
【0034】
次に、制御ユニットUの構成について説明する。
図3は、制御ユニットUおよびそれに含まれる転倒推知装置Aの構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御ユニットUは、転倒推知装置Aと、流体が封入されたボンベとしてのエアが封入されたエアボンベ18a、およびボンベ開封装置としてのエアボンベ開封装置18bから成るエアバッグ展開手段18とを有する。
【0035】
転倒推知装置Aは、人の体幹の前後方向の軸の軸周りの角速度を検出可能に設けられた角速度センサ10と、前記体幹の左右方向の加速度を検出可能に設けられた横軸加速度センサ12と、前記体幹の上下方向の加速度を検出可能に設けられた縦軸加速度センサ14と、CPUやメモリ等を有し、CPUによりROMに記録されたファームウェアプログラムを実行することにより、各種の機能を実現する制御部16とを備える。
【0036】
なお、「人の体幹の前後方向の軸」とは、図4中のx軸のことであり、言い換えれば、体幹の正面が向かう方向の軸のことである。また、「人の体幹の左右方向の軸」とは、図4中のy軸のことであり、「人の体幹の上下方向の軸」とは、図4中のz軸のことである。
すなわち、制御ユニットUが取り付けられる人の腹部の臍の位置を原点とする体幹の前後方向、左右方向、上下方向にそれぞれ対応するx軸,y軸,z軸の3軸を想定し、角速度センサ10はx軸の軸周りの角速度を検出可能なように、制御ユニットU(転倒推知装置A)内に位置決めされて配設されている。同様に、横軸加速度センサ12はy軸の、縦軸加速度センサ14はz軸の、それぞれ加速度を検出可能なように、制御ユニットU(転倒推知装置A)内に位置決めされて配設されている。
【0037】
制御部16は、ROMに記録されたファームウェアプログラムを実行することにより、角速度検知手段16a、傾斜角度検知手段16b、重力方向加速度検知手段16c、および転倒推知手段16dを実現可能に設けられる。
【0038】
角速度検知手段16aは、角速度センサ10の検出値に基づいて、体幹の前後方向の軸(x軸)の軸周りにおける、体幹の運動の角速度を検知する。
【0039】
傾斜角度検知手段16bは、角速度検知手段16aにより検知された前記体幹の角速度と、横軸加速度センサ12により検出された前記体幹の左右方向の加速度とに基づいて、公知のカルマンフィルタ処理を実行して、前記体幹の傾斜角度を算出して検知する。
図5はカルマンフィルタの原理を表す式であり、この式に基づいて体幹の傾斜角度θestが求められる。なお、傾斜角度検知手段16bが実行するカルマンフィルタ処理は、図5で表された数式に基づく演算をそのままソフトウェア的に実現するものであるから、具体的な処理アルゴリズムについては説明を省略する。
【0040】
なお、図5中のθACCは、横軸加速度センサ12で検出された左右方向加速度Ayに基づいて、θACC= sin-1 (Ay/g) (gは重力加速度)の計算によって算出される値である。すなわち、図6に示すように、体幹が、直立状態から、体幹の前後方向の軸(x軸)の軸周りのみで傾斜した場合、横軸加速度センサ12は、その傾斜角度θACCに応じた加速度Ay = g・sinθACCを検出することになる。θACCは、この式で表される傾斜角度を示すものである(なお、実際には、体幹はx軸の軸周りのみで傾斜するとは限らないため、このθACCをもって体幹のx軸の軸周りの傾斜角度とするのは、精度を欠く)。
【0041】
重力方向加速度検知手段16cは、縦軸加速度センサ14の検出値に基づいて、体幹の重力方向の加速度を検知する。
【0042】
転倒推知手段16dは、角速度検知手段16aにより検知された体幹の角速度、および傾斜角度検知手段16bにより検知された体幹の傾斜角度が、それぞれ所定の閾値よりも大きく、なおかつ、重力方向加速度検知手段16cにより検知された体幹の重力方向の加速度が所定の閾値よりも小さく、さらになおかつ、感圧センサ8a,8bが前記臀部への押圧を検出していないとき、エアバッグ展開手段18(エアボンベ開封装置18b)に対して所定のトリガ信号を出力する。
好適には、前記体幹の角速度の所定の閾値は、毎秒50°、前記体幹の傾斜角度の所定の閾値は、15°、前記体幹の重力方向の加速度の所定の閾値は、8.82m/s2に設定するとよい。
【0043】
転倒推知手段16dの処理を図7のフローチャートを用いて説明する。
転倒推知手段16dは、転倒推知装置Aの電源が投入されて制御部16による所定の初期化処理が終了すると実行され、図7のフローチャートで表される所定の処理を行う。
【0044】
転倒推知手段16dは、まず、前述した角速度検知手段16aが検出した角速度ωgyroを取得する(ステップS1)。同様に、転倒推知手段16dは、傾斜角度検知手段16bが検出した傾斜角度θestを取得する(ステップS2)。さらに、転倒推知手段16dは、重力方向加速度検知手段16cが検出した重力方向加速度Azを取得する(ステップS3)。
なお、これらステップS1〜S3の処理は、特に限定されるものではないが、例えば、角速度検知手段16a、傾斜角度検知手段16b、重力方向加速度検知手段16cの処理をサブルーチン化して転倒推知手段16dが呼び出すよう構成してもよいし、または、角速度ωgyro、傾斜角度θest、重力方向加速度Azの各値をメモリの所定領域に随時記憶させ、それを転倒推知手段16dが参照するよう構成してもよい。
【0045】
続いて、転倒推知手段16dは、角速度ωgyro、傾斜角度θestの各値が所定の閾値(それぞれ、毎秒50°,15°)より大きく、なおかつ、重力方向加速度Azの値が所定の閾値(8.82m/s2)より小さいか否かを判定する(ステップS4)。
ステップS4の判定で、これらの値のうち少なくとも一つでも前記条件を満たさないものがあれば(図7中のステップS4の"NO")、転倒推知手段16dは前記ステップS1〜S4の処理を再び繰り返して実行する。
また、ステップS4の判定で、全ての値が前記条件を満たした場合には(図7中のステップS4の"YES")、感圧センサ8a,8bのいずれかが、臀部の押圧を感知しているか否かを判定する(ステップS5)。
ステップS5の判定で、感圧センサ8a,8bが押圧を感知していれば、転倒推知手段16dは前記ステップS1〜S5(もしくはS1〜S4)の処理を再び繰り返して実行する。
また、ステップS5の判定で、感圧センサ8a,8bが押圧を感知していない場合には、転倒推知手段16dは、エアバッグ展開手段18(エアボンベ開封装置18b)へ前記所定のトリガ信号の出力を行う(ステップS6)。
すなわち、転倒推知手段16dは、ステップS6に係るエアバッグ展開手段18(エアボンベ開封装置18b)へのトリガ信号出力の処理を行わない限り、ステップS1〜S4もしくはステップS1〜S5の処理を繰り返し、角速度ωgyro、傾斜角度θest、重力方向加速度Azを常時監視するポーリング状態となっている。
【0046】
エアボンベ開封装置18bは、転倒推知手段16dから前記所定のトリガ信号を受けると、エアボンベ18aを開封することで、チューブ6a,6bを介してエアボンベ18a内のエアをエアバッグ4a,4b内に導入してエアバッグ4a,4bを展開させる。
【0047】
次に、本転倒推知装置Aによって、転倒を的確に推知できるとともに、日常動作を転倒と誤推知することがほとんどないことを、実験データに基づいて説明する。
【0048】
図8は、本転倒推知装置Aにより検出された、人が転倒した際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフ(図8(a))と、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフ(図8(b))である。
図8(a),(b)のグラフの縦軸は、前記軸周りにおける体幹の傾斜角度および体幹の角速度をそれぞれ表しているが、便宜上、プラスの値は被験者からみて右回り、マイナスの値は被験者からみて左回りの方向の傾斜角度および各速度を、それぞれ表している。なお、本グラフにおいては、便宜上、右回り方向の値と左回り方向の値をそれぞれ正と負の値で表しているが、本願特許請求の範囲および詳細な説明における各閾値は、それぞれ傾斜角度および角速度の絶対値により表現されている。
【0049】
図8のグラフでは、時間軸(横軸)上の6.93sの時点あたりで人がバランスを崩し、7.20sの時点あたりで、前記体幹のx軸周りの傾斜角度と角速度との両者が、それぞれ15°と毎秒50°を超えている。このケースでは、身体が地面に接地する時点は、7.49sあたりであり、前記閾値を超えることにより転倒推知手段16dが転倒を推知してエアバッグ展開手段18を起動してから、身体が接地するまでに、290ms程度の時間がある。
本実施の形態に係る200〜300ml程度のエアバッグ4a,4bの展開を完了するには、エアボンベの開封から約200ms程度掛かるところ、このケースでは、身体が接地するまでにエアバッグ4a,4bを展開することが可能である。
【0050】
図9は、図8とは別人の転倒時のケースを示した同様のグラフであるが、この場合も、5.74sあたりの時点で転倒を推知でき、接地までに330ms程度の時間があり、接地前にエアバッグ4a,4bを展開することができることが分かる。
【0051】
さて、図8と同じ実験データを用い、前記傾斜角度と前記角速度との前記所定の閾値を、それぞれ22°と毎秒62°とした場合について考察する。この場合、図10(a),(b)に示すように、転倒の推知時点は7.34sあたりとなり、接地までに150ms程度の余裕しかなく、エアバッグ4a,4bの展開が間に合わなくなることが分かる。
【0052】
本願発明者らは、鋭意実験を重ねた結果、前記傾斜角度の閾値は20°以下、前記各速度の閾値は毎秒60°以下に設定すれば、転倒の推知から身体が接地するまでに、約200ms以上の、エアバッグ4a,4bを展開するのに十分な時間を確保できることを確認した。
【0053】
さて、前述の通り前記傾斜角度の閾値は20°以下、前記各速度の閾値は毎秒60°以下に設定すべきであることが明らかとなったが、これらの閾値をあまりに低く設定すると、転倒以外の日常動作でも転倒であると誤推知してしまう場合が出る。したがって、以下、各閾値の好適な下限値について考察する。
【0054】
図11、図12、図13は、日常動作として、それぞれ、歩行動作、階段の上り動作、椅子への着席動作をした時の、前記体幹の傾斜角度および角速度の遷移を、それぞれ傾斜角度検知手段16bおよび角速度検知手段16aにより検出したグラフである。
これらのグラフからも読み取れるが、本願発明者らは実験の結果、日常動作では、前記角速度は大きく振れる場合があるものの、体幹の前後方向の軸の軸周りでの前記傾斜角度は、10°を超えることはほとんどなく、15°を超えることはさらにほぼ皆無に等しいことを見出した。また、前記角速度に関しては、毎秒40°以上とすれば、日常動作では傾斜角度と同時にそれぞれ閾値を超えることはほとんどなく、より好適には毎秒50°程度に設定することが望ましいことを見出した。
【0055】
なお、本実施の形態においては、転倒推知手段16dは、転倒を推知する上で、重力方向の加速度も参酌するよう構成したが、これは、重力方向の加速度を参酌しない構成を採用して実験した結果、被験者が一歩毎に足を踏み出す方向を左右に入れ替えるようなジグザグ歩行やS字歩行を行った際に、本実施の形態の転倒推知装置Aが、被験者が転倒したと誤推知するケースがあったためである。すなわち、この誤推知を防ぐために、体幹の重力方向の加速度が、重力加速度gよりも小さい所定の閾値よりさらに小さい(すなわち体幹が重力方向に所定の加速度で落下している)ことを、転倒を推知する条件に加えたものである。したがって、このような不自然な動作を転倒と誤推知してしまう特殊なケースを除けば、必ずしも、転倒を推知する上で重力方向の加速度を参酌する構成を採る必要はない。特に本転倒推知装置Aを、高齢者等の動作がゆっくりで単調である人に適用する場合には、必ずしも重力方向の加速度を参酌する構成は採用しなくともよい。
【0056】
また、本実施の形態に係る転倒用プロテクタPおいては、臀部に感圧センサ8a,8bを設け、これが押圧を感知しているときにはエアバッグ4a,4bの展開を行わない構成とした。これは、例えば椅子に座った状態から身をよじりながら背もたれにもたれかかる動作や、床に座った状態から身をよじりながら寝転がる動作を行った際に、転倒であると誤推知してしまうことを防ぐものである。この構成も有効であるが、用途条件に応じて取捨選択してよい。
【0057】
また、本実施の形態においては、角速度検知手段16aおよび傾斜角度検知手段16bは、角速度センサ10および横軸加速度センサ12を用いて前記体幹の角速度および傾斜角度を検出するよう構成したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、前記体幹の角速度および傾斜角度を検知や算出することができるものであれば、他のセンサを採用してもよい。
【0058】
また、本実施の形態に係る転倒用プロテクタPにおいては、大腿骨頚部Bの対応位置にエアバッグ4a,4bを配設したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば転倒時に打ちやすい頭部や肘や肩や背中等の他の部位の対応位置に、エアバッグを配設してもよい。
また、布体をパンツやズボン状に構成してもよいし、上半身に装着する場合にはベスト状等に構成してもよい。特に転倒用プロテクタPを上半身に取り付ける場合には、転倒推知装置や制御ユニットは、曲げ動作等の動きの少ない胸部に位置するよう配設すると、位置ずれを起こしにくく好適である。
【0059】
本転倒推知装置Aによれば、人がバランスを崩して転倒に至ることを短時間で推知できるとともに誤推知が少ない。また、体幹の前後方向の軸の軸周りに所定の角速度を持った転倒、すなわち側方への転倒は特に確実に推知できることから、大腿骨頚部の骨折を起こしやすい、臀部側面から地面等に落ちるような転倒は、特に確実に検出することができる(なお、転倒の際にはほとんどの場合、体幹は、その前後方向の軸の軸周りに所定の角速度を持った運動を行うことから、ほとんどの転倒は検知可能である)。さらに、従来のように3軸の角速度センサおよび3軸の加速度センサを採用する構成に比較して、少ないセンサ数で正確な推知を行うことができ、小型かつ軽量に構成することができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る転倒用プロテクタPによれば、人がバランスを崩してから短時間に、かつ日常動作と誤認することなく、転倒(特に臀部側面から地面等に落ちるような転倒)を推知して、エアバッグ4a,4bの展開をすることができる。
【0061】
さて、次に、エアボンベ開封装置18bの実施の形態を説明する。
図14はエアボンベ開封装置18bの外観図であり、図15はエアボンベ開封装置18bの構成を説明するための断面説明図である。
【0062】
図15に示すように、エアボンベ開封装置18bの本体20の一端20c側には、エアボンベ18aを取り付けるための、エアボンベ18aの端部の外周面に形成されたねじ部に螺合可能なメスねじ部20aが設けられる。
また、本体20には、メスねじ部20aの奥方に延びて本体20の他端20dに貫通して開口する孔部20bが形成されている。孔部20bは、メスねじ部20aとほぼ同径に連続する流体導入部20ba、付勢部材としてのコイルスプリング22が収められるばね室20bc、流体導入部20baとばね室20bcとの間の小径部20bb、および、ばね室20bcと本体20の他端20dとを結ぶ開口部20bdとから成る。
【0063】
孔部20bのばね室20bc内には、円板状の駆動部材24が設けられる。コイルスプリング22は、一端が、本体20の他端20d側の内壁部に当接し、他端が、駆動部材24の一面に当接し、駆動部材24を、メスねじ部20aに取り付けられたエアボンベ18aの端面18aaに向かうよう付勢する。
コイルスプリング22は、ばね室20bc内に、孔部20b(ばね室20bc)と同軸となるよう配設される。
【0064】
駆動部材24には、先端がエアボンベ18aの端面18aaに向かう針26が取り付けられる。針26の側面には、その長手方向に沿って溝部(図示せず)が形成される。溝部は、針26がエアボンベ18aの端面18aaの外壁に貫通した際にエアボンベ18a内のエアをエアボンベ18a外に導くための流路を成す。
【0065】
エアボンベ開封装置18bは、針26がエアボンベ18aの端面18aaから離間した位置で、コイルスプリング22の付勢力による駆動部材24の移動を係止する第一係止部を備える。
第一係止部は、図14および図15に示すように、ワイヤ28と、棒状部材30と、凸部31と、ストッパ部33とを有する。
【0066】
図15に示すように、ワイヤ28は、一端が、駆動部材24のエアボンベ18aとの対向面の反対面に取り付けられる。
棒状部材30は、一端面30aにワイヤ28の他端が取り付けられ、孔部20bの、メスねじ部20a側の反対側の開口部20bdから本体20外に出るよう配設される。
凸部31は、本体20の外面の、開口部20bdの縁部に形成される。凸部31は、棒状部材30の一端面30aの、ワイヤ28の取り付け位置から径方向にずれた一部に当接して、コイルスプリング22の付勢力による棒状部材30の一端の移動を係止する。
ワイヤ28は、コイルスプリング22内を通過して設けられる。
【0067】
図14に示すように、ストッパ部33は、棒状部材30が勘合する爪部33aを有し、軸部33bにより本体20に回動可能に軸支される。ストッパ部33は、その回動位置が所定位置(以下、係止位置と呼ぶ)にあるときに、棒状部材30の、一端面30aの他端部30bを係止する。詳しくは、ストッパ部33は、棒状部材30の一端面30aの前記一部が凸部31で係止されていることでコイルスプリング22の付勢力により棒状部材30の他端部30bに生じる回転モーメントに抗して、他端部30bを係止する。また、ストッパ部33は、棒状部材30の他端部30bを係止した状態(係止位置にある状態)から、所定方向に回動動作されることで、他端部30bの係止を解除する(この係止を解除するストッパ部33の位置を、以下、解除位置と呼ぶ)。
【0068】
なお、本実施の形態に係るエアボンベ開封装置18bにおいては、棒状部材30の一端面30aを凸部31で係止する構成をとったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図15に示した構成において、凸部31をなくして、棒状部材30の一端面30aが開口部20bdの中央部に位置する状態で他端部をストッパ部33で係止するよう構成してもよい。この構成でも、開口部20bdの縁部により、棒状部材30の一端側を支持できるとともに、コイルスプリング22の付勢力により他端部30bに生じる、その開口部20bdの縁部を中心とした回転モーメントを、ストッパ部33により係止することができる。なお、この凸部31のない構成では、係止状態においてコイルスプリング22の付勢力により棒状部材30が孔部20b内に引き込まれてしまわないよう、コイルスプリング22の付勢力によるワイヤ28の付勢方向に対して、棒状部材30を90°以上回転させた状態で係止する必要がある。他方、凸部31のある構成では、棒状部材の30一端面30aが凸部31に係止されて、棒状部材30が孔部20b内に引き込まれてしまうことがないから、この角度を90°未満にすることもできる。
【0069】
また、エアボンベ開封装置18bは、前記所定のトリガ信号が入力された際、ストッパ部33による棒状部材30の他端部30bの係止を解除する(すなわち前記第一係止部の係止を解除する)解除制御手段を備える。
解除制御手段は、前記所定のトリガ信号が入力された際にロッド36aを駆動するソレノイド36を有する。ソレノイド36はアタッチメント42を介して本体20に取り付けられる。ロッド36aはストッパ部33に連繋され、ストッパ部33は、ロッド36aが駆動することで、前記係止位置と前記解除位置とに選択的に位置するよう、回動制御される。
【0070】
解除制御手段によりストッパ部33による棒状部材30の他端部30bの係止が解除されると、コイルスプリング22の付勢力により、駆動部材24がエアボンベ18aに向かって駆動し、それに伴って、図16に示すように、棒状部材30は、前記回転モーメントにより一端面30aの凸部31との当接部を中心に回転動作し(図16の点線部)、最終的には凸部31から外れて開口部20bd内に引き込まれる。
図14に示すように、このときの棒状部材30の回転移動の軌道を安定させるように、本体20には、棒状部材30の回転軌道を案内する案内部としての溝部20gが設けられている。溝部20gは、棒状部材30の回転起動が駆動部材24の駆動方向と平行な平面内となるよう、当該駆動方向と平行な平面に沿って形成される。
【0071】
また、エアボンベ開封装置18bは、前記第一係止部の係止が解除されたことによる駆動部材24の、エアボンベ18aの端面18aaに向かう駆動を、針26が端面18aaの外壁を貫通する所定位置で係止する第二係止部を備える。第二係止部は、孔部20bの、内径が駆動部材24の径よりも小径に形成された小径部20bb(図15参照)により構成される。
すなわち、本体20の孔部20bには、駆動部材24よりもエアボンベ18a側に、駆動部材24の径よりも小径の小径部20bbが形成されているから、駆動部材24の、エアボンベ18aの端面18aaに向かう駆動は、駆動部材24が配設されたばね室20bcと小径部20bbとの間の段差20eにより係止される(図16参照)。
【0072】
また、駆動部材24は、前記第二係止部により係止されて前記所定位置にあるとき、小径部20bbを密閉して、ばね室20bcと流体導入部20baとの間の流路を塞ぐ(図16参照)。
本体20には、小径部20bbよりもメスねじ部20a側において孔部20bの流体導入部20baと本体20の外側面とを結ぶ連通孔20fが、エアボンベ18aから流出するエアの流路として形成されている。連通孔20fは、チューブ6a,6bに連通され、エアボンベ18aから吹き出したエアは、連通孔20fおよびチューブ6a,6bを介してエアバッグ4a,4b内へ導入される。
【0073】
続いて、エアボンベ開封装置18bにエアボンベ18aを開封可能な状態に取り付けるエアボンベ開封装置の初期設定方法の実施の形態を説明する。
【0074】
エアボンベ開封装置の初期設定方法では、初期設定用治具38を用いる。図17は、初期設定用治具38の外観図である。初期設定用治具38には、その一端側に、エアボンベ開封装置18bの本体20のメスねじ部20aに螺合可能なオスねじ部38aが設けられる。また、初期設定用治具38には、オスねじ部38aをメスねじ部20aに螺合させるべくユーザーが回転操作可能なハンドル部38bが設けられる。ハンドル部38bは、オスねじ部38aと同軸に設けられ、オスねじ部38aより大径な円柱状に形成される。さらに、初期設定用治具38には、オスねじ部38aをメスねじ部20aに螺合させた際に、孔部20b内の駆動部材24に当接する延出部38cが設けられる。
【0075】
図18は、初期設定用治具38を用いてエアボンベ開封装置18bの初期設定を行っている際の説明図である。
ユーザーは、駆動部材24が前記所定位置にある状態(図16参照)から、初期設定用治具38のオスねじ部38aをエアボンベ開封装置18bの本体20のメスねじ部20aに螺合させてハンドル部38bを回転させることで、駆動部材24を、延出部38cで押してコイルスプリング22の付勢力に抗して前記所定位置より移動させる(図18参照)。なお、延出部38cは、針26を避けて駆動部材24に当接するよう、針26が内部に進入可能な筒状(例えば円筒状)に設けられている。
【0076】
続いて、ユーザーは、前記第一係止部により駆動部材24の移動を係止するよう設定を行う。
以下、具体的に説明する。前工程において、駆動部材24がコイルスプリング22の付勢力に抗してエアボンベ18aの取り付けられるメスねじ部20aから離間する方向に移動されたことで、棒状部材30は開口部20bdから本体20外に露出可能となる。ユーザーは、棒状部材30の一端面30aの、ワイヤ28の取り付け位置から径方向にずれた一部を、凸部31に当接させ、さらに、棒状部材30の他端部30bを、ストッパ部33を係止位置に移動させることでストッパ部33により係止させる。
【0077】
続いてユーザーは、ハンドル部38bを反対方向に回転させて初期設定用治具38を本体20のメスねじ部20aから取り外し、初期設定用治具38に替えてメスねじ部20aに、エアボンベ18a端部の外周面に形成されたねじ部を螺合させることで、エアボンベ開封装置18bにエアボンベ18aを取り付ける。
【0078】
このエアボンベ開封装置の初期設定方法による初期設定が完了した後に、転倒推知装置Aから前記所定のトリガ信号が出力されると、ソレノイド36が駆動してストッパ部33を前記解除位置に回動駆動し、棒状部材30の他端部30bの係止が解除される。これにより、駆動部材24がコイルスプリング22の付勢力によりエアボンベ18aに向かって駆動し、針26がエアボンベ18aの端面18aaの外壁を貫通し、エアボンベ18aが開封される。
【0079】
エアボンベ18aが開封されると、エアボンベ18a内のエアは針26の側面に形成された溝部を通じてエアボンベ18a外に流出し、本体20内の流体導入部20baおよび連通孔20fを通じてチューブ6a,6bに流入し、エアバッグ4a,4b内に導入されてエアバッグ4a,4bが展開する。
【0080】
その後、ユーザーは必要に応じて前記エアボンベ開封装置の初期設定方法により、エアボンベ開封装置18bにエアボンベ18aを再設定して、エアボンベ開封装置18bを繰り返し利用することができる。
【0081】
本実施の形態に係るエアボンベ開封装置18bによれば、エアボンベ18aの開封後も駆動部材24が前記第二係止部により孔部20b内に係止されるから、駆動部材24をコイルスプリング22の付勢力に抗して押し込むことで再利用することができる。
特に、初期設定用治具38を用いた前記エアボンベ開封装置の初期設定方法によれば、簡単にエアボンベ開封装置18bの初期設定方法を行うことができる。
【0082】
また、エアボンベ開封装置18bによれば、コイルスプリング22の付勢力に抗して、凸部31により棒状部材30の一端面30aを係止するとともに、ストッパ部33により棒状部材30の他端部30bに生じる回転モーメントを係止するから、てこの原理によって、ストッパ部33により係止する力を弱く設定することができる。したがって、解除制御手段としてのソレノイド36に、駆動力の弱いものを採用できるから、ソレノイド36を小型かつ軽量に構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係るエアバッグ式プロテクタ(転倒用プロテクタ)の説明図である。
【図2】本発明に係るエアバッグ式プロテクタ(転倒用プロテクタ)を人の腰回りおよび臀部回りに着けた状態を示し、(a)は、その正面説明図であり、(b)は、X−X断面説明図である。
【図3】制御ユニットUおよびそれに含まれる転倒推知装置Aの構成を示すブロック図である。
【図4】人の体幹の前後方向の軸(x軸)、左右方向の軸(y軸)、上下方向の軸(z軸)の説明図である。
【図5】カルマンフィルタの原理を示す式を表す図である。
【図6】横軸加速度センサによる傾斜角度θACCの求め方の説明図である。
【図7】転倒推知手段の処理を表すフローチャートである。
【図8】(a)は、人が転倒した際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。
【図9】(a)は、人が転倒した際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。
【図10】(a)は、人が転倒した際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。
【図11】(a)は、人が歩行動作をした際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。
【図12】(a)は、人が階段の上り動作をした際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。
【図13】(a)は、人が椅子への着席動作をした際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。
【図14】本発明に係るボンベ開封装置(エアボンベ開封装置)の外観図である。
【図15】本発明に係るボンベ開封装置(エアボンベ開封装置)の断面説明図である。
【図16】本発明に係るボンベ開封装置(エアボンベ開封装置)の断面説明図である。
【図17】初期設定用治具の外観図である。
【図18】本発明に係るボンベ開封装置の初期設定方法の説明図である。
【図19】従来のボンベ開封装置を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
P 転倒用プロテクタ(エアバッグ式プロテクタ)
A 転倒推知装置
U 制御ユニット
2 布体
4a,4b エアバッグ
8a,8b 感圧センサ
10 角速度センサ
12 横軸加速度センサ
14 縦軸加速度センサ
16 制御部
16a 角速度検知手段
16b 傾斜角度検知手段
16c 重力方向加速度検知手段
16d 転倒推知手段
18 エアバッグ展開手段
18a エアボンベ(ボンベ)
18b エアボンベ開封装置(ボンベ開封装置)
20 エアボンベ開封装置の本体
20a メスねじ部
20b 孔部
20bb 小径部(第二係止部)
20f 連通孔
20g 溝部(案内部)
22 コイルスプリング(付勢部材)
24 駆動部材
26 針
28 ワイヤ(第一係止部)
30 棒状部材(第一係止部)
30a 棒状部材の一端面
30b 棒状部材の他端部
31 凸部(第一係止部)
33 ストッパ部(第一係止部)
36 ソレノイド(解除制御手段)
38 初期設定用治具
38a オスねじ部
38b ハンドル部
38c 延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が封入されたボンベを取り付けるための、ボンベの端部の外周面に形成されたねじ部に螺合可能なメスねじ部が、一端側に設けられるとともに、メスねじ部の奥方に延びる孔部が形成された本体と、
前記孔部内に配設され、前記本体に設けられた付勢部材により、前記メスねじ部に取り付けられたボンベの端面に向かうよう付勢された駆動部材と、
該駆動部材に、先端が前記ボンベの端面に向かうよう取り付けられた針と、
該針が前記ボンベの端面から離間した位置で、前記付勢部材の付勢力による前記駆動部材の移動を係止する第一係止部と、
所定のトリガ信号が入力された際、前記第一係止部の係止を解除することで、前記駆動部材を前記付勢部材の付勢力により駆動させ、前記針を前記ボンベの端面の外壁に貫通させて、ボンベを開封する解除制御手段と、
前記第一係止部の係止が解除されたことによる前記駆動部材の前記ボンベの端面に向かう駆動を、前記針が前記外壁を貫通する所定位置で係止する第二係止部とを備えることを特徴とするボンベ開封装置。
【請求項2】
前記第二係止部は、前記孔部の内径が前記駆動部材の径よりも小径に形成された小径部により構成され、
前記駆動部材は、前記所定位置にあるとき、前記小径部を密閉するよう設けられ、
前記本体には、前記小径部よりも前記メスねじ部側において前記孔部と外側面とを結ぶ連通孔が、ボンベから流出する流体の流路として形成されていることを特徴とする請求項1記載のボンベ開封装置。
【請求項3】
前記針には、前記ボンベの外壁に貫通した際にボンベ内の流体をボンベ外に導くための、少なくとも側面に開口する流路が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のボンベ開封装置。
【請求項4】
前記孔部は、前記本体を貫通する貫通孔に設けられ、
前記第一係止部は、
前記駆動部材に一端が取り付けられたワイヤと、
一端面に前記ワイヤの他端が取り付けられ、前記孔部の、前記メスねじ部側の反対側から前記本体外に出る棒状部材と、
前記本体の外面に形成され、前記棒状部材の前記一端面の、前記ワイヤの取り付け位置から径方向にずれた一部に当接して、前記付勢部材の付勢力による棒状部材の該一端の移動を係止する凸部と、
前記棒状部材の一端面の前記一部が前記凸部で係止されていることで前記付勢部材の付勢力により棒状部材の他端部に生じる回転モーメントに抗して、該他端部を係止するストッパ部とを有し、
前記解除制御手段は、
前記所定のトリガ信号が入力された際、前記ストッパ部による前記棒状部材の他端部の係止を解除することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載のボンベ開封装置。
【請求項5】
前記凸部は、前記孔部の開口縁部に形成されていることを特徴とする請求項4記載のボンベ開封装置。
【請求項6】
前記孔部は、前記本体を貫通する貫通孔に設けられ、
前記第一係止部は、
前記駆動部材に一端が取り付けられたワイヤと、
一端に前記ワイヤの他端が取り付けられ、前記孔部の、前記メスねじ部側の反対側から前記本体外に出る棒状部材と、
該棒状部材の一端を前記孔部の開口縁部に当接させ、前記付勢部材の付勢力による前記ワイヤの付勢方向に対して90°以上回転させた状態で、該付勢力により棒状部材の他端部に生じる回転モーメントに抗して、該他端部を係止するストッパ部とを有し、
前記解除制御手段は、
前記所定のトリガ信号が入力された際、前記ストッパ部による前記棒状部材の他端部の係止を解除することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載のボンベ開封装置。
【請求項7】
前記解除制御手段は、前記ストッパ部を駆動するソレノイドを有することを特徴とする請求項4〜6のうちのいずれか一項記載のボンベ開封装置。
【請求項8】
前記本体には、前記ストッパ部による前記棒状部材の係止が解除された際に、前記回転モーメントによる棒状部材の回転軌道を案内する案内部が設けられていることを特徴とする請求項4〜7のうちのいずれか一項記載のボンベ開封装置。
【請求項9】
前記付勢部材は、前記孔部内に、孔部と同軸に、一端が前記駆動部材に当接して配設されたコイルスプリングであり、
前記ワイヤは、前記コイルスプリング内を通過して設けられていることを特徴とする請求項4〜8のうちのいずれか一項記載のボンベ開封装置。
【請求項10】
身体の所定部位の損傷を防止するエアバッグ式プロテクタにおいて、
請求項1〜9のうちのいずれか一項記載のボンベ開封装置と、
該ボンベ開封装置に取り付けられたエアボンベと、
前記ボンベ開封装置により開封された前記エアボンベから流出する流体が流入するよう設けられ、前記所定部位、または該所定部位の近傍に取り付け可能に設けられたエアバッグと、
前記ボンベ開封装置の前記解除制御手段に対し前記所定のトリガ信号を出力するトリガ出力手段とを備えることを特徴とするエアバッグ式プロテクタ。
【請求項11】
前記トリガ出力手段は、人が転倒することを推知する転倒推知手段を有し、該転倒推知手段により人の転倒を推知した際に前記解除制御手段に対し前記トリガ信号を出力することを特徴とする請求項10記載のエアバッグ式プロテクタ。
【請求項12】
請求項1〜9のうちのいずれか一項記載のボンベ開封装置にボンベを開封可能な状態に取り付けるボンベ開封装置の初期設定方法であって、
前記メスねじ部に螺合可能なオスねじ部と、該オスねじ部を前記メスねじ部に螺合させるべくユーザーが回転操作可能なハンドル部と、該オスねじ部を前記メスねじ部に螺合させた際に前記孔部内の前記駆動部材に当接する延出部とを備えた初期設定用治具を用い、
前記駆動部材が前記所定位置にある状態から、前記初期設定用治具の前記オスねじ部を前記メスねじ部に螺合させて前記ハンドル部を回転させることで、駆動部材を、前記延出部で押して前記付勢部材の付勢力に抗して前記所定位置より移動させ、
前記第一係止部により前記駆動部材の移動を係止し、
前記ハンドル部を回転させて前記初期設定用治具を前記メスねじ部から取り外し、
前記メスねじ部にボンベ端部の外周面に形成されたねじ部を螺合させることで、前記ボンベ開封装置にボンベを取り付けることを特徴とするボンベ開封装置の初期設定方法。
【請求項13】
前記初期設定用治具の前記延出部は、前記針を避けて前記駆動部材に当接するよう、針が内部に進入可能な筒状に設けられていることを特徴とする請求項12記載のボンベ開封装置の初期設定方法。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−315457(P2007−315457A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144175(P2006−144175)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(591137949)株式会社西澤電機計器製作所 (7)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(506372852)
【Fターム(参考)】