説明

ボード貼り付け装置

【課題】ボード固定用ビスを内装ボードにねじ込んだときに発生するボード粉によってボード固定用ビスを内装ボードにねじ込むことが不能になることを防止することのできるボード貼り付け装置を提供する。
【解決手段】ビスホルダ28cによりビスねじ込み機構の先端側に保持されたボード固定用ビス25は、ビスホルダ28cの先端面281に開口する貫通孔282から押し出されて内装ボード10にねじ込まれる。ビスホルダ28cの先端面281はボード固定用ビス25を内装ボードにねじ込んだときに発生するボード粉をビスホルダ28cの周囲に逃がすボード粉逃がし溝42を有し、このボード粉逃がし溝42によってボード粉がビスホルダ28cの貫通孔282に侵入することを抑制している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスターボード等の内装ボードを軽量鉄骨などからなる内装下地に貼り付けるときに用いられるボード貼り付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の内装施工時に使用されるプラスターボード等の内装ボードは、例えば幅910mm、長さ1820mm、厚さ9.5mmのサイズで形成されていることが多い。このため、このような内装ボードを複数本のボード固定用ビスにより内装下地に貼り付ける場合、従来では、ボード貼り作業者の手作業によって内装ボードを内装下地にビス止めしていたため、内装ボードの貼り付け作業に多くの労力や時間を要していた。そこで、例えば図6〜図8に示すボード貼り付け装置を用いてプラスターボード等の内装ボードを内装下地に貼り付ける方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6〜図8に示すボード貼り付け装置は内装ボード10を吸引して内装下地に押し付けるボード押し付け機構12と、このボード押し付け機構12により内装下地に押し付けられた内装ボード10を複数本のボード固定用ビスにより内装下地に装着するボード装着機構22とを具備し、ボード装着機構22はボード固定用ビス25(図8参照)を内装ボード10にねじ込む複数のビスねじ込み機構24と、ボード固定用ビス25をビスねじ込み機構24の先端側に保持する複数のビスホルダ28とを含んで構成されている。そして、ビスホルダ28は内装ボード10と接触する先端面281を有し、ビスホルダ28に保持されたボード固定用ビス25は上記先端面281の中央部に開口する貫通孔282から押し出されて内装ボード10にねじ込まれるようになっている。
このようなボード貼り付け装置によると、プラスターボード等の内装ボードを内装下地に貼り付ける際に、多くの労力や時間を要することなく多数枚の内装ボードを内装下地に貼り付けることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−101438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ボード固定用ビス25を内装ボード10にねじ込んだときに発生するボード粉がビスホルダ28の先端面281に開口する貫通孔282に侵入し、ビスホルダ28の貫通孔282がボード粉によって閉塞されると、ボード固定用ビス25を内装ボード10にねじ込むことができなくなるという問題点があった。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ボード固定用ビスを内装ボードにねじ込んだときに発生するボード粉によってボード固定用ビスを内装ボードにねじ込むことが不能になることを防止することのできるボード貼り付け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、内装ボードを吸引して内装下地に押し付けるボード押し付け機構と、該ボード押し付け機構により前記内装下地に押し付けられた内装ボードを複数本のボード固定用ビスにより前記内装下地に装着するボード装着機構とを具備し、前記ボード固定用ビスを前記内装ボードにねじ込む複数のビスねじ込み機構と、該ビスねじ込み機構を前記内装ボードの厚さ方向と幅方向に対して直角な方向に動かして前記ビスねじ込み機構を前記内装ボードの所定位置に位置決めする位置決め機構と、前記ボード固定用ビスを前記ビスねじ込み機構の先端側に保持する複数のビスホルダとを含んで前記ボード装着機構が構成されるボード貼り付け装置において、前記ボード固定用ビスを前記内装ボードにねじ込んだときに発生するボード粉を前記ビスホルダの周囲に逃がすボード粉逃がし溝を、前記内装ボードの表面と接触する前記ビスホルダの先端面に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ボード固定用ビスを内装ボードにねじ込んだときに発生するボード粉がビスホルダの先端面から貫通孔に侵入し、ビスホルダの貫通孔がボード粉によって閉塞されることを阻止することができる。従って、ボード固定用ビスを内装ボードにねじ込んだときに発生するボード粉によってボード固定用ビスを内装ボードにねじ込むことが不能になることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置の側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置の正面図である。
【図3】図1のA−A断面を示す図である。
【図4】図3に示すビスホルダの平面図である。
【図5】図4のB−B断面を示す図である。
【図6】従来のボード貼り付け装置の一例を示す側面図である。
【図7】従来のボード貼り付け装置の一部を示す平面図である。
【図8】図7に示すビスホルダの一部断面側面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置の側面図、図2は同実施形態に係るボード貼り付け装置の正面図である。また、図3は図1のA−A断面を示す図、図4は図3に示すビスホルダの平面図、図5は図4のB−B断面を示す図であり、本発明の一実施形態に係るボード貼り付け装置は、ボード押し付け機構12、ボード装着機構22、ボード位置調整機構30、ビス供給チューブ38a,38b,38c,38d,38e(図3参照)及び搬送台車40を備えて構成されている。
ボード押し付け機構12はプラスターボード等の内装ボード10を内装下地に押し付けるものであって、内装ボード10を吸引する複数個(例えば6個)のボード吸引パッド14と、これらのボード吸引パッド14を内装ボード10の左右両側に複数個(例えば3個)ずつ支持する吸引パッド支持フレーム16とを含んで構成されている。
【0010】
また、ボード押し付け機構12は吸引パッド支持フレーム16を内装ボード10の厚さ方向に進退駆動するフレーム進退機構18と、ボード吸引パッド14に吸引された内装ボード10の向きを調整するボード向き調整機構20とを含み、フレーム進退機構18は内装ボード10の厚さ方向にスライド自在に設けられたスライダ181と、このスライダ181を内装ボード10の厚さ方向に送り駆動するボールねじ(図示せず)と、このボールねじのねじ軸を回転駆動するボールねじ駆動モータ182とを有して構成されている。
【0011】
ボード向き調整機構20は、吸引パッド支持フレーム16を水平な軸回りに回動自在に支持するフレーム支持軸201を有している。また、ボード向き調整機構20はフレーム支持軸201の軸回りに吸引パッド支持フレーム16を駆動する左右一対のエアーシリンダ202,202を有し、これらのエアーシリンダ202,202はフレーム進退機構18のスライダ181に設けられている。
【0012】
ボード装着機構22はボード押し付け機構12により内装下地に押し付けられた内装ボード10を複数本のボード固定用ビスにより内装下地に装着するものであって、ビスねじ込み機構24a,24b,24c,24d,24e、位置決め機構26及びビスホルダ28a,28b,28c,28d,28eを含んで構成されている。
ビスねじ込み機構24a〜24eはボード固定用ビス25(図4参照)を内装ボード10にねじ込むものであって、例えば電動式のスクリュウドライバ241と、このスクリュウドライバ241を内装ボード10の厚さ方向に進退駆動するエアーシリンダ242とを有して構成されている。
【0013】
位置決め機構26はビスねじ込み機構24a〜24eを内装ボード10の厚さ方向と幅方向に対して直角な方向に動かしてビスねじ込み機構24a〜24eを内装ボード10の所定位置に位置決めするものであって、ビスねじ込み機構24a〜24eのエアーシリンダ242を内装ボード10の幅方向に所定の間隔で支持するシリンダ支持部材261と、このシリンダ支持部材261を内装ボード10の厚さ方向と幅方向に対して直角な方向に案内するリニアガイド262,263とを有している。
【0014】
また、位置決め機構26は駆動モータ264を有し、この駆動モータ264の回転トルクが駆動側タイミングプーリ265と従動側タイミングプーリ266との間に架け渡されたタイミングベルト267に伝わり、さらにシリンダ支持部材261に回転自在に軸支されたピニオンギヤ268に伝わることによってビスねじ込み機構24a〜24eが内装ボード10の厚さ方向と幅方向に対して直角な方向に移動するようになっている。
【0015】
ビスホルダ28a〜28eはボード固定用ビス25をビスねじ込み機構24a〜24eの先端側に保持するものであって、ボード押し付け機構12のボード吸引パッド14に吸引された内装ボード10の表面と接触する先端面281(図4参照)を有している。また、ビスホルダ28a〜28eは先端面281の中央部に開口する貫通孔282(図4及び図5参照)を有し、ビスホルダ28a〜28eに保持されたボード固定用ビス25は貫通孔282から押し出されて内装ボード10にねじ込まれるようになっている。
ボード位置調整機構30はボード装着機構22により内装下地に装着される内装ボード10の位置を調整するものであって、第1のボード位置調整機構部32、第2のボード位置調整機構部34及び第3のボード位置調整機構部36を含んで構成されている。
【0016】
第1のボード位置調整機構部32はボード押し付け機構12を鉛直な軸回りに動かして内装ボード10の位置を調整するものであって、例えば回転テーブル321と、この回転テーブル321を鉛直な軸回りに駆動するテーブル駆動モータ321とを有して構成されている。
第2のボード位置調整機構部34は第1のボード位置調整機構部32を左右方向に動かして内装ボード10の位置を調整するものであって、例えばスライドテーブル341と、このスライドテーブル341を左右方向に送り駆動するボールねじ342と、このボールねじ342を駆動するボールねじ駆動モータ343とを有して構成されている。
【0017】
第3のボード位置調整機構部36は第2のボード位置調整機構部34を上下方向に動かして内装ボード10の位置を調整するものであって、例えば昇降テーブル361と、この昇降テーブル361を昇降駆動する油圧式の昇降ユニット362とを有して構成されている。
ビス供給チューブ38a〜38eはボード装着機構22のビスホルダ28a〜28eにボード固定用ビス25を供給するものであって、搬送台車40に搭載されたビス供給装置(図示せず)に接続されている。
【0018】
搬送台車40はボード押し付け機構12、ボード装着機構22及びボード位置調整機構30を内装施行現場へ搬送するものであって、左右一対の前輪401と後輪402を有している。また、搬送台車40は電動モータ403を有し、この電動モータ403により前輪401を回転させて自走するように構成されている。さらに、搬送台車40は4つのアウトリガー404を有し、これらのアウトリガー404は搬送台車40の前後左右に設けられている。
【0019】
ビスホルダ28a〜28eは、ボード粉逃がし溝42(図4及び図5参照)を有している。このボード粉逃がし溝42はボード固定用ビス25を内装ボード10にねじ込んだときに発生するボード粉をビスホルダ28a〜28eの周囲に逃がすものであって、内装ボード10の表面と接触するビスホルダ28a〜28eの先端面281に放射状に設けられている。
【0020】
上述のように、ボード固定用ビス25を内装ボード10にねじ込んだときに発生するボード粉をビスホルダ28a〜28eの周囲に逃がすボード粉逃がし溝42を内装ボード10の表面と接触するビスホルダ28a〜28eの先端面281に設けると、ボード固定用ビス25を内装ボード10にねじ込んだときに発生するボード粉がビスホルダ28a〜28eの先端面281に開口する貫通孔282に侵入し、ビスホルダ28a〜28eの貫通孔282がボード粉によって閉塞されることを阻止することができる。従って、ボード固定用ビス25を内装ボード10にねじ込んだときに発生するボード粉によってボード固定用ビス25を内装ボード10にねじ込むことが不能になることを防止することができる。
【0021】
上述した本発明の一実施形態では、ボード粉逃がし溝42をビスホルダ28a〜28eの先端面281に放射状に設けたものを例示したが、ボード粉逃がし溝の形状は放射状に限られるものではなく、たとえばボード粉逃がし溝をビスホルダの先端面に十字状に設けてもよい。
また、内装ボード10を内装下地に押し付けるボード押し付け機構として、ボード吸引パッド14に吸引された内装ボード10の向きを調整するボード向き調整機構20を含むものを例示したが、これに限られるものではなく、ボード向き調整機構を含まないボード押し付け機構を備えたボード貼り付け装置についても本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0022】
10…内装ボード
12…内装ボード押し付け機構
14…ボード吸引パッド
16…吸引パッド支持フレーム
18…フレーム進退機構
20…ボード向き調整機構
22…ボード装着機構
24,24a,24b,24c,24d,24e…ビスねじ込み機構
25…ボード固定用ビス
26…位置決め機構
28,28a,28b,28c,28d,28e…ビスホルダ
281…ビスホルダの先端面
282…ビスホルダの貫通孔
30…ボード位置調整機構
38a,38b,38c,38d,38e…ビス供給チューブ
40…搬送台車
42…ボード粉逃がし溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装ボードを吸引して内装下地に押し付けるボード押し付け機構と、該ボード押し付け機構により前記内装下地に押し付けられた内装ボードを複数本のボード固定用ビスにより前記内装下地に装着するボード装着機構とを具備し、前記ボード固定用ビスを前記内装ボードにねじ込む複数のビスねじ込み機構と、該ビスねじ込み機構を前記内装ボードの厚さ方向と幅方向に対して直角な方向に動かして前記ビスねじ込み機構を前記内装ボードの所定位置に位置決めする位置決め機構と、前記ボード固定用ビスを前記ビスねじ込み機構の先端側に保持する複数のビスホルダとを含んで前記ボード装着機構が構成されるボード貼り付け装置において、
前記ボード固定用ビスを前記内装ボードにねじ込んだときに発生するボード粉を前記ビスホルダの周囲に逃がすボード粉逃がし溝を、前記内装ボードの表面と接触する前記ビスホルダの先端面に設けたことを特徴とするボード貼り付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−92620(P2012−92620A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242590(P2010−242590)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(594102544)萬産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】