ボールジョイント用ダストカバー
【課題】ソケットに対するボールスタッドの傾斜角度が大きい場合（揺動角度が大きい場合）においても、ダストカバーの小径開口部に設けたダストリップの機能が損なわれる事の無い、長期間使用可能なボールジョイント用ダストカバーを提供することを目的とする。
【解決手段】ボールスタッドの一端に形成された球頭部がソケット内に保持され、前記ボールスタッドの他端の柄はナックルに締め付け固定され、一端大径開口部が前記ソケットの外周面に円環状押さえリングにより固定保持され、他端小径開口部が前記柄に保持されたゴム状弾性材製ボールジョイント用ダストカバーにおいて、前記ナックルの外周面には、環状段部が形成されており、前記小径開口部は、前記環状段部の周面と密封接触するダストリップを備える構成とした。
【解決手段】ボールスタッドの一端に形成された球頭部がソケット内に保持され、前記ボールスタッドの他端の柄はナックルに締め付け固定され、一端大径開口部が前記ソケットの外周面に円環状押さえリングにより固定保持され、他端小径開口部が前記柄に保持されたゴム状弾性材製ボールジョイント用ダストカバーにおいて、前記ナックルの外周面には、環状段部が形成されており、前記小径開口部は、前記環状段部の周面と密封接触するダストリップを備える構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ボールジョイント用ダストカバーに関する。
また、本発明は、自動車懸架装置、操舵装置等に使用されるボールジョイント用ダストカバーに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、ボールジョイント継ぎ手部の防塵、防水を目的としてダストカバーが装着されているボールジョイントとしては図５に記載のボールジョイント用ダストカバーが知られている。（特許文献１）
【０００３】
この種ボールジョイント用ダストカバーのシール構造は、ボールスタッド１００の一端に形成された球頭部２００がソケット３００内に保持されている。
そして、ボールスタッド１００の他端の柄４００は、ナックル５００に締め付け固定されている。
一方、ゴム状弾性材製ダストカバー６００の一端大径開口部８００が、ソケット３００の外周面に円環状押さえリング７００により固定保持され、他端小径開口部１５０が柄４００に保持された構成となっている。
【０００４】
この種、従来のダストカバー６００の小径開口部１５０には、ナックル５００の下面に押し当てられ、ダストカバー６００内へのダストの侵入を阻止する為のダストリップ１６０が形成されている。
しかし、ソケット３００に対するボールスタッド１００の傾斜角度が大きい場合（揺動角度が大きい場合）、図６に示す様に、小径開口部１５０が、ボールスタッド１００の柄４００上を、球頭部２００側へ滑り移動を起こす可能性が有った。
そして、この小径開口部１５０の滑り移動に伴い、ダストリップ１６０が、ボールスタッド１００の柄４００側（径方向内径側）に変形する問題を生起した。
この結果、ダストリップ１６０の機能が損なわれ、ダストカバー６００内へのダストの侵入を許容してしまう問題を惹起した。
【０００５】
そこで、ダストリップをナックルの下面側角部に設けた傾斜面に当接する態様が提案されたが、小径開口部がボールスタッドの柄上を球頭部側へ滑り移動した際の、ダストリップの機能を低下させる問題を十分解決することは出来なかった。（特許文献２）
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２００９−０２４８３４号公報
【特許文献２】再公表特許２００６−０９８１２４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ソケットに対するボールスタッドの傾斜角度が大きい場合（揺動角度が大きい場合）においても、ダストカバーの小径開口部に設けたダストリップの機能が損なわれる事の無い、長期間使用可能なボールジョイント用ダストカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明のボールジョイント用ダストカバーは、ボールスタッドの一端に形成された球頭部がソケット内に保持され、前記ボールスタッドの他端の柄はナックルに締め付け固定され、一端大径開口部が前記ソケットの外周面に円環状押さえリングにより固定保持され、他端小径開口部が前記柄に保持されたゴム状弾性材製ボールジョイント用ダストカバーにおいて、前記ナックルの外周面には、環状段部が形成されており、前記小径開口部は、前記環状段部の周面と密封接触するダストリップを備える構成とした。
【発明の効果】
【０００９】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項１記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、ソケットに対するボールスタッドの傾斜角度が大きい場合（揺動角度が大きい場合）においても、ダストカバーの小径開口部に設けたダストリップの機能を損なう事が無い。
【００１０】
更に、請求項２記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、ダストカバーの小径開口部が、ボールスタッドの柄上を球頭部側へ滑り移動する力は、ダストリップを環状段部の周面に押付ける力として作用する為、ダストリップの機能を損なう事が無い。
更に、請求項３記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、ダストカバーの小径開口部が、ボールスタッドの柄上を球頭部側へ滑り移動する力は、ダストリップを環状段部の周面に押付ける力として作用する為、ダストリップの機能を損なう事が無いばかでなく、ダストリップ先端部の拡径に伴い、ダストリップ先端部に十分な密封押圧力（締め代）を与えることができるため、更に良好なダストリップの密封機能を発揮出来る。
【００１１】
更に、請求項４記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、ダストカバーの小径開口部が、ボールスタッドの柄上を球頭部側へ滑り移動する力は、ダストリップを環状段部の周面に押付ける力として作用する為、ダストリップの機能を損なう事が無いばかでなく、ダストリップ先端部の拡径に伴い、ダストリップ先端部に十分な密封押圧力（締め代）を与えることができるため、更に良好なダストリップの密封機能を発揮出来ると共に、ダストリップ全体に均一な密封押圧力（締め代）を与えることができる。
更に、請求項５記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、ナックル外周面に沿って落下するダストが、ダストリップの先端部と環状段部の周面との接触界面に侵入することを効果的に阻止出来るため、ダストリップの良好な密封機能を長期間に渡って維持出来る。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明に係る、ボールジョイント用ダストカバーの縦断面図。
【図２】図１の要部拡大図。
【図３】第２の態様を図２と同様に示した図。
【図４】第３の態様を図２と同様に示した図。
【図５】従来技術に係る、ボールジョイント用ダストカバーの縦断面図。
【図６】図５が不具合を起こした状態の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図１及び図２に示される様に、本発明に係るボールジョイント用ダストカバーの第１の態様は、ボールスタッド１の一端に形成された球頭部２がソケット３内に保持され、ボールスタッド１の他端の柄４はナックル５に締め付け固定され、ダストカバー６の一端大径開口部８がソケット３の外周面に円環状押さえリング７により固定保持され、ダストカバー６の他端小径開口部１５が柄４に保持された構成を備えている。
【００１４】
更に、ナックル５の外周面には、環状段部５１が形成されており、ダストカバー６の小径開口部１５には、この環状段部５１の周面５１１と密封接触するダストリップ１６が設けられている。
また、この周面５１１は、環状段部５１の端面５１２に向って収斂する円錐台形状を呈している。
すなわち、周面５１１とナックル５の下面５１３との成す角度αは、９０°以下の鋭角である。
この為、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動する力は、ダストリップ１６を環状段部５１の周面５１１に押付ける力として作用する為、ダストリップ１６の周面５１１に対する密封押圧力を更に高める結果を招来する。
従って、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動したとしても、ダストリップ１６の密封機能が損なわれることは無い。
【００１５】
更に、環状段部５１の端面５１２は、ダストリップ１６の先端部１６１を完全に覆う幅（径方向長さ）を有している。
このため、ナックル５外周面に沿って落下するダストは、ダストリップ１６の先端部１６１と環状段部５１の周面５１１との接触界面に侵入することを効果的に阻止出来る。
すなわち、ナックル５外周面に沿って落下するダストは、ダストリップ１６の外周面に沿って、ダストカバー６外周面側に移動し、外部に排除されるものである。
【００１６】
ついで、本発明に係る第２の態様につき、図３に基づき説明する。
先に説明した第１の態様と相違する点は、環状段部５１の周面５１１が、２段円錐台形状となっている点である。
すなわち、周面５１１は、環状段部５１の端面５１２に向って収斂した後、端面５１２に向って発散する２段円錐台形状と成っている。
【００１７】
このことにより、第１の態様で述べた、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動する力は、ダストリップ１６を環状段部５１の周面５１１に押付ける力として作用する為、ダストリップ１６の周面５１１に対する密封押圧力を更に高める結果を招来し、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動したとしても、ダストリップ１６の密封機能が損なわれることは無い効果を維持すると共に、ダストリップ１６の先端部１６１の拡径に伴い、ダストリップ１６の先端部１６１に十分な密封押圧力（締め代）を与えることができるため、更に良好なダストリップの密封機能を発揮出来る。
【００１８】
ついで、本発明に係る第３の態様につき、図４に基づき説明する。
先に説明した第１の態様と相違する点は、環状段部５１の周面５１１が、断面略円弧状の窪み形状を呈している点である。
すなわち、周面５１１は、環状段部５１の端面５１２に向って縮径した後、最小径の底部５１１１を通過した後、端面５１２に向って拡径する円弧状の窪み形状と成っている。
【００１９】
このことにより、第１の態様で述べた、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動する力は、ダストリップ１６を環状段部５１の周面５１１に押付ける力として作用する為、ダストリップ１６の周面５１１に対する密封押圧力を更に高める結果を招来し、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動したとしても、ダストリップ１６の密封機能が損なわれることは無い効果を維持すると共に、ダストリップ１６の先端部１６１の拡径に伴い、ダストリップ１６の先端部１６１に十分な密封押圧力（締め代）を与えることができるため、更に良好なダストリップの密封機能を発揮出来るばかりでなく、ダストリップ１６全体に均一な密封押圧力（締め代）を与えることができる。
また、ダストカバー６内には、グリースが封入されている。
【００２０】
また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【００２１】
自動車の懸架装置及び操舵装置等に使用されるボールジョイントに使用できる。
【符号の説明】
【００２２】
１ ボールスタット
２ 球頭部
３ ソケット
４ 柄
５ ナックル
６ ダストカバー
７ 押さえリング
８ 大径開口部
１５ 小径開口部
１６ ダストリップ
５１ 環状段部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ボールジョイント用ダストカバーに関する。
また、本発明は、自動車懸架装置、操舵装置等に使用されるボールジョイント用ダストカバーに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、ボールジョイント継ぎ手部の防塵、防水を目的としてダストカバーが装着されているボールジョイントとしては図５に記載のボールジョイント用ダストカバーが知られている。（特許文献１）
【０００３】
この種ボールジョイント用ダストカバーのシール構造は、ボールスタッド１００の一端に形成された球頭部２００がソケット３００内に保持されている。
そして、ボールスタッド１００の他端の柄４００は、ナックル５００に締め付け固定されている。
一方、ゴム状弾性材製ダストカバー６００の一端大径開口部８００が、ソケット３００の外周面に円環状押さえリング７００により固定保持され、他端小径開口部１５０が柄４００に保持された構成となっている。
【０００４】
この種、従来のダストカバー６００の小径開口部１５０には、ナックル５００の下面に押し当てられ、ダストカバー６００内へのダストの侵入を阻止する為のダストリップ１６０が形成されている。
しかし、ソケット３００に対するボールスタッド１００の傾斜角度が大きい場合（揺動角度が大きい場合）、図６に示す様に、小径開口部１５０が、ボールスタッド１００の柄４００上を、球頭部２００側へ滑り移動を起こす可能性が有った。
そして、この小径開口部１５０の滑り移動に伴い、ダストリップ１６０が、ボールスタッド１００の柄４００側（径方向内径側）に変形する問題を生起した。
この結果、ダストリップ１６０の機能が損なわれ、ダストカバー６００内へのダストの侵入を許容してしまう問題を惹起した。
【０００５】
そこで、ダストリップをナックルの下面側角部に設けた傾斜面に当接する態様が提案されたが、小径開口部がボールスタッドの柄上を球頭部側へ滑り移動した際の、ダストリップの機能を低下させる問題を十分解決することは出来なかった。（特許文献２）
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２００９−０２４８３４号公報
【特許文献２】再公表特許２００６−０９８１２４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ソケットに対するボールスタッドの傾斜角度が大きい場合（揺動角度が大きい場合）においても、ダストカバーの小径開口部に設けたダストリップの機能が損なわれる事の無い、長期間使用可能なボールジョイント用ダストカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明のボールジョイント用ダストカバーは、ボールスタッドの一端に形成された球頭部がソケット内に保持され、前記ボールスタッドの他端の柄はナックルに締め付け固定され、一端大径開口部が前記ソケットの外周面に円環状押さえリングにより固定保持され、他端小径開口部が前記柄に保持されたゴム状弾性材製ボールジョイント用ダストカバーにおいて、前記ナックルの外周面には、環状段部が形成されており、前記小径開口部は、前記環状段部の周面と密封接触するダストリップを備える構成とした。
【発明の効果】
【０００９】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項１記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、ソケットに対するボールスタッドの傾斜角度が大きい場合（揺動角度が大きい場合）においても、ダストカバーの小径開口部に設けたダストリップの機能を損なう事が無い。
【００１０】
更に、請求項２記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、ダストカバーの小径開口部が、ボールスタッドの柄上を球頭部側へ滑り移動する力は、ダストリップを環状段部の周面に押付ける力として作用する為、ダストリップの機能を損なう事が無い。
更に、請求項３記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、ダストカバーの小径開口部が、ボールスタッドの柄上を球頭部側へ滑り移動する力は、ダストリップを環状段部の周面に押付ける力として作用する為、ダストリップの機能を損なう事が無いばかでなく、ダストリップ先端部の拡径に伴い、ダストリップ先端部に十分な密封押圧力（締め代）を与えることができるため、更に良好なダストリップの密封機能を発揮出来る。
【００１１】
更に、請求項４記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、ダストカバーの小径開口部が、ボールスタッドの柄上を球頭部側へ滑り移動する力は、ダストリップを環状段部の周面に押付ける力として作用する為、ダストリップの機能を損なう事が無いばかでなく、ダストリップ先端部の拡径に伴い、ダストリップ先端部に十分な密封押圧力（締め代）を与えることができるため、更に良好なダストリップの密封機能を発揮出来ると共に、ダストリップ全体に均一な密封押圧力（締め代）を与えることができる。
更に、請求項５記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、ナックル外周面に沿って落下するダストが、ダストリップの先端部と環状段部の周面との接触界面に侵入することを効果的に阻止出来るため、ダストリップの良好な密封機能を長期間に渡って維持出来る。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明に係る、ボールジョイント用ダストカバーの縦断面図。
【図２】図１の要部拡大図。
【図３】第２の態様を図２と同様に示した図。
【図４】第３の態様を図２と同様に示した図。
【図５】従来技術に係る、ボールジョイント用ダストカバーの縦断面図。
【図６】図５が不具合を起こした状態の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図１及び図２に示される様に、本発明に係るボールジョイント用ダストカバーの第１の態様は、ボールスタッド１の一端に形成された球頭部２がソケット３内に保持され、ボールスタッド１の他端の柄４はナックル５に締め付け固定され、ダストカバー６の一端大径開口部８がソケット３の外周面に円環状押さえリング７により固定保持され、ダストカバー６の他端小径開口部１５が柄４に保持された構成を備えている。
【００１４】
更に、ナックル５の外周面には、環状段部５１が形成されており、ダストカバー６の小径開口部１５には、この環状段部５１の周面５１１と密封接触するダストリップ１６が設けられている。
また、この周面５１１は、環状段部５１の端面５１２に向って収斂する円錐台形状を呈している。
すなわち、周面５１１とナックル５の下面５１３との成す角度αは、９０°以下の鋭角である。
この為、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動する力は、ダストリップ１６を環状段部５１の周面５１１に押付ける力として作用する為、ダストリップ１６の周面５１１に対する密封押圧力を更に高める結果を招来する。
従って、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動したとしても、ダストリップ１６の密封機能が損なわれることは無い。
【００１５】
更に、環状段部５１の端面５１２は、ダストリップ１６の先端部１６１を完全に覆う幅（径方向長さ）を有している。
このため、ナックル５外周面に沿って落下するダストは、ダストリップ１６の先端部１６１と環状段部５１の周面５１１との接触界面に侵入することを効果的に阻止出来る。
すなわち、ナックル５外周面に沿って落下するダストは、ダストリップ１６の外周面に沿って、ダストカバー６外周面側に移動し、外部に排除されるものである。
【００１６】
ついで、本発明に係る第２の態様につき、図３に基づき説明する。
先に説明した第１の態様と相違する点は、環状段部５１の周面５１１が、２段円錐台形状となっている点である。
すなわち、周面５１１は、環状段部５１の端面５１２に向って収斂した後、端面５１２に向って発散する２段円錐台形状と成っている。
【００１７】
このことにより、第１の態様で述べた、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動する力は、ダストリップ１６を環状段部５１の周面５１１に押付ける力として作用する為、ダストリップ１６の周面５１１に対する密封押圧力を更に高める結果を招来し、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動したとしても、ダストリップ１６の密封機能が損なわれることは無い効果を維持すると共に、ダストリップ１６の先端部１６１の拡径に伴い、ダストリップ１６の先端部１６１に十分な密封押圧力（締め代）を与えることができるため、更に良好なダストリップの密封機能を発揮出来る。
【００１８】
ついで、本発明に係る第３の態様につき、図４に基づき説明する。
先に説明した第１の態様と相違する点は、環状段部５１の周面５１１が、断面略円弧状の窪み形状を呈している点である。
すなわち、周面５１１は、環状段部５１の端面５１２に向って縮径した後、最小径の底部５１１１を通過した後、端面５１２に向って拡径する円弧状の窪み形状と成っている。
【００１９】
このことにより、第１の態様で述べた、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動する力は、ダストリップ１６を環状段部５１の周面５１１に押付ける力として作用する為、ダストリップ１６の周面５１１に対する密封押圧力を更に高める結果を招来し、ダストカバー６の小径開口部１５が、ボールスタッド１の柄４上を球頭部２側へ滑り移動したとしても、ダストリップ１６の密封機能が損なわれることは無い効果を維持すると共に、ダストリップ１６の先端部１６１の拡径に伴い、ダストリップ１６の先端部１６１に十分な密封押圧力（締め代）を与えることができるため、更に良好なダストリップの密封機能を発揮出来るばかりでなく、ダストリップ１６全体に均一な密封押圧力（締め代）を与えることができる。
また、ダストカバー６内には、グリースが封入されている。
【００２０】
また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【００２１】
自動車の懸架装置及び操舵装置等に使用されるボールジョイントに使用できる。
【符号の説明】
【００２２】
１ ボールスタット
２ 球頭部
３ ソケット
４ 柄
５ ナックル
６ ダストカバー
７ 押さえリング
８ 大径開口部
１５ 小径開口部
１６ ダストリップ
５１ 環状段部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ボールスタッド（１）の一端に形成された球頭部（２）がソケット（３）内に保持され、前記ボールスタッド（１）の他端の柄（４）はナックル（５）に締め付け固定され、一端大径開口部（８）が前記ソケット（３）の外周面に円環状押さえリング（７）により固定保持され、他端小径開口部（１５）が前記柄（４）に保持されたゴム状弾性材製ボールジョイント用ダストカバー（６）において、前記ナックル（５）の外周面には、環状段部（５１）が形成されており、前記小径開口部（１５）は、前記環状段部（５１）の周面（５１１）と密封接触するダストリップ（１６）を備えたことを特徴とするボールジョイント用ダストカバー。
【請求項２】
前記周面（５１１）が、前記環状段部（５１）の端面（５１２）に向って収斂する円錐台形状であることを特徴とする請求項１記載のボールジョイント用ダストカバー。
【請求項３】
前記周面（５１１）が、前記環状段部（５１）の端面（５１２）に向って収斂した後、前記端面（５１２）に向って発散する２段円錐台形状であることを特徴とする請求項１記載のボールジョイント用ダストカバー。
【請求項４】
前記周面（５１１）が、断面略円弧状の窪み形状を呈していることを特徴とする請求項１記載のボールジョイント用ダストカバー。
【請求項５】
前記環状段部（５１）の端面（５１２）が、前記ダストリップ（１６）の先端部（１６１）を完全に覆う幅を備えていることを特徴とする請求項１〜４いずれか一項に記載のボールジョイント用ダストカバー。
【請求項１】
ボールスタッド（１）の一端に形成された球頭部（２）がソケット（３）内に保持され、前記ボールスタッド（１）の他端の柄（４）はナックル（５）に締め付け固定され、一端大径開口部（８）が前記ソケット（３）の外周面に円環状押さえリング（７）により固定保持され、他端小径開口部（１５）が前記柄（４）に保持されたゴム状弾性材製ボールジョイント用ダストカバー（６）において、前記ナックル（５）の外周面には、環状段部（５１）が形成されており、前記小径開口部（１５）は、前記環状段部（５１）の周面（５１１）と密封接触するダストリップ（１６）を備えたことを特徴とするボールジョイント用ダストカバー。
【請求項２】
前記周面（５１１）が、前記環状段部（５１）の端面（５１２）に向って収斂する円錐台形状であることを特徴とする請求項１記載のボールジョイント用ダストカバー。
【請求項３】
前記周面（５１１）が、前記環状段部（５１）の端面（５１２）に向って収斂した後、前記端面（５１２）に向って発散する２段円錐台形状であることを特徴とする請求項１記載のボールジョイント用ダストカバー。
【請求項４】
前記周面（５１１）が、断面略円弧状の窪み形状を呈していることを特徴とする請求項１記載のボールジョイント用ダストカバー。
【請求項５】
前記環状段部（５１）の端面（５１２）が、前記ダストリップ（１６）の先端部（１６１）を完全に覆う幅を備えていることを特徴とする請求項１〜４いずれか一項に記載のボールジョイント用ダストカバー。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１１−５８５１８（Ｐ２０１１−５８５１８Ａ）
【公開日】平成２３年３月２４日（２０１１．３．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２０６５６８（Ｐ２００９−２０６５６８）
【出願日】平成２１年９月８日（２００９．９．８）
【出願人】（０００００４３８５）ＮＯＫ株式会社 (1,527)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年３月２４日（２０１１．３．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年９月８日（２００９．９．８）
【出願人】（０００００４３８５）ＮＯＫ株式会社 (1,527)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]