説明

ポイント−ツウ−ポイントに適用して用いられる改良型リピータアンテナ

本発明は、マイクロ波領域における通信システムにおいてポイント−ツウ−ポイント通信に適用して用いられ、第1の設置場所の第1の無線ユニット(110)から第2の設置場所の第2の無線ユニット(160)への送信接続が意図されているリピータアンテナ(130,200)を開示する。そのリピータアンテナは、実質的に平面であり、少なくとも第1のアンテナビーム(120)と第2のアンテナビーム(150)とをもつ進行波アンテナとして設計され、第1のアンテナビーム(120)が第1の無線ユニット(110)からの、そして、第1の無線ユニット(110)への送信に用いられ、第2のアンテナビーム(150)が第2の無線ユニット(160)からの、そして、第2の無線ユニット(160)への送信に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波領域における通信システムにおいてポイント−ツウ−ポイント通信に適用して用いられ、第1の設置場所の第1の無線ユニットから第2の設置場所の第2の無線ユニットへの送信接続が意図されているリピータアンテナを開示する。
【背景技術】
【0002】
例えば、マイクロ波領域におけるセルラ電話システムのような通信システムにおいて、基地局には、その基地局によりカバーされる領域に位置するユーザとの通信を試みようとする際に多くの課題がある。都市の地域では、そのような課題の例は、ある狭い領域への視線を遮る高層ビルであるかもしれず、ある狭い領域ではユーザが集中しその基地局により処理できる限界を超えてしまうことであるかもしれない。
【0003】
これらの課題を扱うための1つの方法は、問題となっているその狭い領域をカバーすることのできる別の基地局を設置することである。通常、その基地局は小さな容量をもち、“ピコ−ステーション”と呼ばれている。これら“ピコ−ステーション”は、ある方法でネットワークと接続される必要があり、ポイント−ツウ−ポイント接続における複数のポイントの1つとしてピコ−ステーションが備えられるのが適切である。問題となっている狭い領域は通常、基地局に対する視線(LOS)をもっていないので、前記ポイント−ツウ−ポイント接続は、基地局或いはネットワークのより上位の局からの“ピコ−ステーション”で管理されるリピータ局によりなされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のリピータアンテナは通常、しばしば放物線形状の皿のような2つの反射型アンテナによりデザインされ、導波管により接続され、異なる方向に向いている。そのようなリピータアンテナを、特に、都会の地域で設置することは、美的感覚を考慮することや、リピータアンテナの設置場所のための十分な空間を見出す難しさがあるといった数多くの要素のためにますます困難になってきている。
【0005】
別の種類の以前から知られているリピータは、金属のような大きなシート状の反射材に過ぎない。そのようなリピータは数多くの欠点がある。例えば、指向性が小さいために損失が大きいといったことなどである。それは一般には都会の地域での使用には適していない。
【0006】
従って、上述のように、上述した公知のリピータアンテナの欠点を克服するリピータアンテナがポイント−ツウ−ポイント通信システムにおいて必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この必要は本発明によって扱われるものであり、本発明では、マイクロ波領域における通信システムにおいてポイント−ツウ−ポイント通信に適用して用いられ、第1の設置場所の第1の無線ユニットから第2の設置場所の第2の無線ユニットへの送信接続が意図されているリピータアンテナを開示する。
【0008】
そのリピータアンテナは実質的に平面であり、少なくとも第1のアンテナビームと第2のアンテナビームとをもつ進行波アンテナとして設計され、それは、第1のアンテナビームが、例えば、基地局のような第1の無線ユニットからの、そして、第1の無線ユニットへの送信に用いられ、第2のアンテナビームが、適切には“ピコ−ステーション”のような第2の無線ユニットからの、そして、第2の無線ユニット(160)への送信に用いられることを意味とする。
【0009】
1実施例では、そのリピータアンテナは、電気伝導材のシートでできているアンテナ要素を有し、そのリピータアンテナはさらに誘電体によりそのアンテナ要素からは離間された接地平面を有する。
【0010】
本発明について、添付図面を参照し、次の記載から詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明のリピータアンテナが用いられるシステム100を示している。図示されたシステム100はセルラ電話システムであり、本発明の説明を容易にするために意図された実施例の1つに過ぎないものとして理解されたい。そのリピータアンテナは当業者であれば具体化できるように、数多くの幅広いアプリケーションにおいて用いられる。
【0012】
第1の無線ユニット110、この場合は、セルラシステム100の無線基地局は、建築物170が基地局110による無線カバレッジからある領域を覆い隠すので、セル内のその領域に対して適切なサービスを提供することができない。
【0013】
その覆い隠された領域にサービスを行なうために、第2の無線ユニット或いは基地局160が建築物170に展開されて、基地局160のアンテナがその覆い隠された領域をカバーできるようにする。第2の無線ユニット160は基地局110に類似の基地局であっても良いが、基地局110と比較して小さい能力をもった基地局、所謂、“ピコ−ステーション”であっても良い。
【0014】
第1の無線ユニット110を第2の無線ユニット160に接続するために、本発明のリピータアンテナ130が建築物140に展開される。その展開位置で、そのリピータアンテナは基地局110をピコ−ステーション160に接続できる。
【0015】
システム100の運用者に見た目の美しさをさほど損なうことなく広い様々な場所にリピータアンテナ130を展開する可能性を与えるために、リピータアンテナ130は実質的に平面で、従って、特に適切なレドームで覆われるならば、背景に容易に溶け込ませることができると良い。
【0016】
リピータアンテナ130は第1のアンテナビーム120と第2のアンテナビームとをもち、それらビーム両方により、基地局110、160はカバーされる。
【0017】
図1に示されているように、第1のビーム120はリピータアンテナ130を基地局110に接続するために用いられる。言い換えると、第1のビームはリピータ130と基地局110との間の送信に用いられる。そして、リピータアンテナ130の第2のビーム150はリピータアンテナ130を基地局160に接続するのに用いられる。言い換えると、第2のビームはリピータアンテナ130と“ピコ−ステーション”160との間の送信に用いられる。
【0018】
次に、リピータアンテナ130のデザインとともに、前記デザインのいくつかの変形例について、図2〜図6を参照して説明する。
【0019】
図2は本発明で用いられるアンテナ200の例を示している。アンテナ200は、少なくとも第1の放射要素211と第2の放射要素212を備え、それらが互いから中心距離Dを保って直列に配列された、所謂“進行波”タイプのアレイアンテナである。その放射要素は互いに直列に接続されているので、第1の“終端”要素211と第2の“終端”要素とがあり、それらはアンテナ200の入出力ポート222、223に取り付けられる。
【0020】
図2に示されているように、アンテナ200は第1のアンテナビーム232と第2のアンテナビーム233とがあり、それらは各々、アンテナポート222、223の1つと関係付けられる。このことは第1のビーム232が第1のポート222にアクセスすることにより用いられ、同様にして、第2のビーム233が第2のポート223と関係付けられる。そのビーム間の角度は、そのアンテナのアンテナ要素間の中心距離Dにより決定される。
【0021】
また、図2から分かるように、進行波アンテナの2つのアンテナビームはアンテナに垂直な方向に伸びる仮想線に関して、互いの“鏡像”となる。従って、これら2つのビームはしばしば“+(プラス)”或いは“−(マイナス)”方向として言及される。
【0022】
図3は本発明のアンテナの別のバージョン300を示している。このバージョンでは、アンテナ300は、図2に関連して示され、また説明した種類の進行波アンテナを複数有している。図3では、3つのアンテナ310、311、312が示されている。しかし、アンテナの数はもっと自由に変えられても良いことは当然である。
【0023】
前に説明した原理に従って、3つの進行波アンテナを用いる結果、6つの異なるアンテナビーム3L−3Rが生み出され、各ビームは6つの異なるアンテナポート331−337の1つに関係付けられる。
【0024】
もしアンテナ300が所謂MIMOに応用するものとして用いられるなら、これは次のような方法で実行されると良い。MIMO(マルチアンテナ信号伝送法:Multiple Input Multiple Output)システムはM個のビームをもつアンテナでN個のデータストリームを送信する。ここで、M≧2Nであり、異なるビーム間では適度な程度の非相関がある。1つのMIMOビームはM個のアンテナビーム各々で受信され、それらアンテナビームの別の1つで再送信される。再送信時に保持されるMIMOデータストリーム間には設計され用いられるアンテナのために非相関があり、受信と再送信夫々に用いられるアンテナビーム間には十分な非相関があるようにする。
【0025】
図4aには、本発明に従うアンテナ400の別のバージョンが示されている。アンテナ400と図3に示されたアンテナ300との間の主な相違点は、アンテナ300が3つの一次元進行波アンテナを有しており、これにより、6つのビーム(各アンテナより2つ)が生成され、これら全てが同じ立面上に存在する点である。
【0026】
アンテナ300とは反対に、図4のアンテナ400は、各終端部で相互接続された1次元進行波アレイを複数410〜440有し、従って、2次元アレイアンテナを構成している。この2次元アレイアンテナは当業者には公知の概念であり、従って、ここでは詳細には説明しない。しかしながら、図4に示されているように、アンテナ400はスイッチユニット450と接続点460とを有している。接続点460でアンテナに接続されるデータストリームはスイッチユニットにより、図4に示されているように、A点、B点、C点、或いは、D点のいずれかに接続される。
【0027】
図4bでは、A点、B点、C点、D点の各点に接続されたときに生成される4つの異なるアンテナビームが示されている。これらのビームは図4aのアンテナと同じ平面、即ち、紙面に関して“正面向き”の平面で示されている。
【0028】
図5では、本発明で用いられる別のアンテナ500が示されている。アンテナ500は図4のそれとは、各終端部で相互接続された1次元進行波アレイを複数511、521、531、541有し、従って、2次元アレイアンテナを構成している点で類似している。しかしながら、アンテナ500では、可変移相器510が個々のアレイの放射要素間に配置されるとともに、可変移相器520が1次元アレイを互いに接続する接続点に配置されている。
【0029】
そのアンテナはA点とB点の2つの点で給電され、その両方とも図6に示されており、これらが2つのビームを生じさせる。これらのビームは公知の方法で移相器により適合的にその方向が変えられる。つまり、移相器510が用いられてアンテナビームを第1の方向に導き、移相器520が用いられて第1の方向とは実質的に垂直な第2の方向にアンテナビームを導く。
【0030】
アンテナへの接続は接続点A、Bを介してなされる。
【0031】
アンテナ500はまた、図4のアンテナ400で用いられ、この場合、4つのビームが生成される4つの点で給電することができる。
【0032】
当然なことであるが、アンテナ500を変形して、例えば、図5に示されている移相器510、520の全てを有する必要はないようにしても良い。
【0033】
本発明は上述した実施例によって限定されるものでなく、添付の請求の範囲に記載の範囲内で自由に変形することができる。例えば、進行波アンテナであるアンテナが上述した以外の方法で設計されても良く、必ずしも共振要素を有する必要はない。所謂、漏洩ケーブルは共振要素をもたない進行波アンテナの一例である。
【0034】
図6は進行波アンテナの実施例の別の例600である。この例では、導波管は放射要素として動作する数多くの開口部610〜660をもっている。図2に示されたアンテナ200と類似して、アンテナ600はそのアンテナの2つの終端点A、B夫々で給電され、アンテナ200と同様に2つのビームを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明が適用されるシステムの全体概要を示す図である。
【図2】、
【図3】、
【図4a】、
【図4b】、
【図5】、
【図6】本発明のリピータアンテナの異なる実施例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波領域における通信システムにおいてポイント−ツウ−ポイント通信に適用して用いられ、第1の設置場所の第1の無線ユニット(110)から第2の設置場所の第2の無線ユニット(160)への送信接続が意図されているリピータアンテナであって、
前記リピータアンテナは実質的に平面であり、
少なくとも第1のアンテナビーム(120)と第2のアンテナビーム(150)とをもつ進行波アンテナとして設計され、
前記第1のアンテナビーム(120)が前記第1の無線ユニット(110)からの、そして、前記第1の無線ユニット(110)への送信に用いられ、前記第2のアンテナビーム(150)が前記第2の無線ユニット(160)からの、そして、前記第2の無線ユニット(160)への送信に用いられることを特徴とするリピータアンテナ。
【請求項2】
電気伝導材のシートでできているアンテナ要素をさらに有し、
前記アンテナは誘電体により前記アンテナ要素からは離間された接地平面をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のリピータアンテナ。
【請求項3】
前記リピータアンテナは、実質的に平面であることに加えて、実質的にフラットであることを特徴とする請求項1又は2に記載のリピータアンテナ。
【請求項4】
前記リピータアンテナは、受動型リピータアンテナであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリピータアンテナ。
【請求項5】
前記リピータアンテナは、能動型リピータアンテナであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリピータアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−545329(P2008−545329A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519213(P2008−519213)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001083
【国際公開番号】WO2007/004932
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】