説明

ポイントツーポイント通信およびポイントツーマルチポイント通信

【課題】ポイントツーポイントとポイントツーマルチポイントとを混合した通信ネットワークを提供する。
【解決手段】有線および/または無線LAN等のネットワークは、ポイントツーポイントおよびポイントツーマルチポイント接続の両方をもつよう構成され、ネットワーク内の複数のステーション間で情報を通信するにはポイントツーマルチポイント接続を利用し、一方、ネットワーク内の二つのステーション間だけで情報を通信するにはポイントツーポイント接続を利用して、例えば、これら二つのステーション間の性能(レート/到達距離/BER/待ち時間等)を最大化し、マスターステーションは、様々なポイントツーマルチポイントおよびポイントツーポイント接続に一つ以上の周波数帯を割当てる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願のデータ】
【0001】
本出願は、2006年6月13日出願の米国特許出願第60/815、555号、発明の名称「ポイントツーポイントとポイントツーマルチポイントとを混合したネットワーク」に対する35USC§119(e)の特典および同条項に基づく優先権を請求し、全文を引用して本明細書に組み込む。
【背景】
【0002】
通信システムは、ポイントツーポイント(PtP)またはポイントツーマルチポイント(PtM)システムの何れかに分類されるのが普通である。ポイントツーポイントシステムの例は、音声帯域モデムおよびxDSLモデムシステムのような従来からの有線モデムシステムである。ポイントツーマルチポイントシステムの例は、有線LAN(イーサネット(商標)、ホームPNA、ホームプラグ(登録商標)等)のような従来のLANシステムである。
【0003】
PtPシステムは、通信チャンネル上で最高の性能を発揮するよう特別に設計された送信パラメータを決定することにより、二台の送受信機間の性能(データレート/到達距離)を最大化するのが典型である。例えば、音声帯域モデムおよびxDSLモデムは、送信機および受信機が通信チャンネル上の性能を最大化するために使用する送信パラメータの情報を交換する初期化手続きを実行する。例えば、全文を引用して本明細書に組み込む、ITU勧告のADSL G.992.xおよびVDSL G.993.xで規定されるDSLモデム等の、マルチキャリアモデムは、何ビットを各サブチャンネル上で送信すべきかを規定するビットアロケーションテーブル(BAT)を交換する。
【0004】
ポイントツーマルチポイントシステムは、一台の送受信機から、同じ伝送媒体へ接続される複数の送受信機に信号を送信することにより、ネットワーク内の幾つかの送受信機を接続する。例えば、イーサネット(商標)システムは、周知のキャリア検知多重アクセス技法を用いる。これらのポイントツーマルチポイント技法は、一つのステーション(または送受信機)が幾つかの他のステーションと通信できるようにするが、これら技法は、2ステーション間通信の最高性能(レート/到達距離)を提供しないのが普通である。接続される全ステーション間の最低性能の通信チャンネルと関係するチャンネル状態により、伝送パラメータが制限されることが多いためである。
【発明の分野】
【0005】
本発明は、一般に通信システムに関する。より詳細には、本発明の例示の実施の形態は、ポイントツーポイント(PtP)とポイントツーマルチポイント(PtM)とを混合した通信ネットワークに関する。特に、例示の実施の形態は、PtPおよびPtMネットワークにおける周波数帯割当ての管理に関する。
【概要】
【0006】
本発明の一例示の態様によれば、有線および/または無線LAN等のネットワークは、ポイントツーポイントおよびポイントツーマルチポイント接続の両方を備えるように構成される。ネットワーク内の複数のステーション(またはモデムまたは送受信機)間の情報を通信するには、ポイントツーマルチポイント接続を利用し、一方、ネットワーク内の二つのステーション間だけで情報を通信するにはポイントツーポイント接続を利用して、例えば、これら二つのステーション間の性能(レート/到達距離/BER/待ち時間等)を最大化する。
【0007】
本発明の一例示の実施の形態では、情報通信のネットワーク内の他のステーションへの周波数帯域幅および/または時間を制御し、かつ割当てるマスターステーションがある。このマスターステーションは、例えば、ネットワーク内の全てのステーションを接続するポイントツーマルチポイント接続上で管理情報を送信することができる。この管理情報は、他のステーションで受信され、他のステーションが、ポイントツーポイントおよび/またはポイントツーマルチポイント通信に対して、どの周波数帯域幅および/またはタイムスロットを使用できるかを規定する。
【0008】
本発明の態様は、PtPおよびPtM接続の両方を含む通信ネットワークに関する。
【0009】
本発明の態様は、同じ時間に、すなわち同時に、動作する少なくとも一つのポイントツーマルチポイント(三つ以上のステーション間)の通信接続、および少なくとも一つのポイントツーポイント(二つのステーション間)の通信接続を備えることができる複数のステーションを含むネットワークにも関する。
【0010】
本発明の態様はさらに、少なくとも一つのポイントツーマルチポイント通信接続に対する第1周波数帯、および少なくとも一つのポイントツーポイント通信接続に対する第2周波数帯を用いる能力に関する。
【0011】
本発明の態様は、ポイントツーポイント(point-to-point)およびポイントツーマルチポイント(point-to-multipoint)通信接続を管理することができるマスターステーションをも指向している。
【0012】
本発明の態様はさらに、少なくとも一つのポイントツーポイントステーション通信接続、または少なくとも一つのポイントツーマルチポイント通信接続のための周波数帯を割当てることができるマスターステーションに関する。
【0013】
本発明の態様は、ポイントツーマルチポイント通信接続を用いてステーション間の管理情報を送信する能力にも関する。
【0014】
本発明の態様は、最初のPtM通信接続をディスエーブルにして、そのPtM接続が使用する周波数帯を、異なるPtMおよび/またはPtP通信接続に再割当てする能力に関する。
【0015】
本発明の態様は、PtP通信接続をディスエーブルにして、そのPtP接続が使用する周波数帯を、異なるPtPおよび/またはPtM通信接続に再割当てする能力に関する。
【0016】
本発明の態様はさらに、第1期間の間は第1周波数帯を第1PtP通信接続に割当て、第2期間の間は第1PtP接続を無効にして、第1周波数帯を異なるPtPまたはPtM通信接続に再割当てすることができる複数のステーションを含むネットワークに関する。
【0017】
本発明の態様は、第1期間の間は第1周波数帯を第1PtM通信接続に割当て、第2期間の間は第1PtM接続を無効にして、第1周波数帯を異なるPtMおよび/またはPtP通信接続に再割当てすることができる複数のステーションを含むネットワークにも関する。
【0018】
本発明の態様は、三つ以上のステーション間の少なくとも一つのポイントツーマルチポイント通信接続を確立し、二つのステーション間の少なくとも一つのポイントツーポイント通信接続を確立することができる複数のステーションを含むネットワークに関し、そのポイントツーマルチポイント通信接続および一つのポイントツーポイント通信接続は、同時に実行することができる。
【0019】
本発明の態様は、第1周波数帯を少なくとも一つのポイントツーマルチポイント通信接続に割当て、第2周波数帯を少なくとも一つのポイントツーポイント通信接続に割当てる能力に関する。
【0020】
さらに本発明の態様は、一つ以上の周波数帯割当てと関連する一つ以上のプロファイルの使用に関する。
【0021】
さらに本発明の態様は、一つ以上の周波数帯割当て、タイムスロット管理および/または物理媒体種類の管理と関連する一つ以上のプロファイルの使用に関する。
【0022】
さらに本発明の態様は、一つ以上の周波数帯割当て、タイムスロット管理ならびに一つ以上のPtPおよびPtM接続の構成と関連する一つ以上のプロファイルの使用に関する。
【0023】
本発明の態様は、少なくとも一つのPtM接続と並行して動作する少なくとも一つのPtP接続を含むネットワークを構成するための方法にも関する。
【0024】
本発明の態様は、少なくとも一つのPtM接続と並行して動作する少なくとも一つのPtP接続の能力を含むネットワークに関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の例示のネットワークを示す。
【図2】図2は、本発明の第2の例示のネットワークを示す。
【図3】図3は、本発明の例示の周波数帯割当てを示す。
【図4】図4は、本発明の例示の周波数帯割当てを示す。
【図5】図5は、本発明の例示の周波数帯割当てを示す。
【図6】図6は、本発明の例示の周波数帯割当てを示す。
【図7】図7は、本発明によるPtPおよびPtM接続を含む例示のネットワークを示す。
【図8】図8は、本発明による多様な例示の周波数帯およびタイムスロットの割当てを示す。
【図9】図9は、本発明による多様な例示の周波数帯およびタイムスロットの割当てを示す。
【図10】図10は、本発明による多様な例示の周波数帯およびタイムスロットの割当てを示す。
【図11】図11は、本発明の例示のマスターステーションおよびステーションを示す。
【図12】図12は、本発明による周波数帯および/またはタイムスロットを割当てるための例示の方法を示す。
【0026】
本発明のこれらのおよび他の特徴および利点を、例示の実施の形態の以下の詳細な記述により説明し、またはその記述から明らかとする。
【詳細な説明】
【0027】
本発明の例示の実施の形態を、以下の図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
本発明の例示の実施の形態を、PtPおよびPtMのネットワークと、関係するステーションとの関連で説明する。但し、言うまでもなく本発明のシステムおよび方法は、概して、どんな環境のどの形式の通信システムに対しても等しく良好に機能する。
【0029】
本発明の例示のシステムおよび方法を、xDSLモデムおよびVDSLモデム、電力線モデム、有線または無線モデム、ネットワークインターフェースカード、ケーブルモデム等の、ステーション、モデムおよび/または送受信機と、関係する通信ハードウエア、ネットワーク、ソフトウエアおよび通信チャンネルとの関連でも説明する。但し、本発明を意味なく曖昧にするのを避けるために、以下の説明は、周知の構造および装置については省略して、ブロック図形式で示すか、あるいは要約する。
【0030】
説明のためにすぎないが、本発明の十分な理解を提供するよう多くの詳細な説明を行う。但し言うまでもなく、本発明は、本明細書で説明する特定の詳細を越える多様な方法で実施することができる。
【0031】
さらに、本明細書で示す例示の実施の形態は、配置される各種のシステム構成体を示すが、言うまでもなく、その各種システム構成体は、通信ネットワークおよび/またはインターネット等の分散ネットワークの離れた部分に配置でき、または専用のセキュリティシステム、非セキュリティシステム、および/または暗号化システム内に配置することができる。従って、言うまでもなく、そのシステムの構成体は、一つ以上の、モデム等の装置内に組み合せたり、または通信ネットワーク等の分散ネットワークの特定ノード上に配置したりすることができる。以下の説明から言うまでもなく、また計算効率の点からも、システム構成体は、システムの実行に影響しない分散ネットワーク内の任意の場所に編成することができる。例えば、各種の構成体は、中央オフィスモデム(CO、ATU−C、VTU−O)、加入者宅内モデム(CPE、ATU−R、VTU−R)、xDSL管理装置、ネットワークカード、またはこれらの任意の組み合せの中に配置することができる。同様に、本システムの一つ以上の機能的な部分を、モデムと関連計算装置との間に分散させることができる。
【0032】
さらに言うまでもなく、構成体を接続する、通信チャンネルを含む各種のリンクは、有線もしくは無線リンクでも、これらの任意の組み合せでも、または接続される要素への/からのデータを供給および/または通信できる任意の他の周知の、もしくは後に開発される要素でもよい。ネットワークには、従来技術で周知の、例えば、一つ以上のスイッチ、ハブおよび/またはルーターを含めることができる。本明細書で用いる用語「モジュール」は、周知のまたは後で開発され、その要素と関係付けられる機能を実行できる任意のハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、またはそれらの組み合せを指す。本明細書で用いる用語「計算、演算、およびそれらの変形」は交換可能に用いられ、任意の種類の方法論、プロセス、数学的操作または技法を含む。「受信モデム」と「受信する送受信機」、および「送信モデム」と「送信する送受信機」とは、本明細書では交換可能に用いられる。用語「送受信機、モデムおよびステーション」も本明細書では交換可能に用いられる。
【0033】
本発明の例示の一実施の形態では、情報通信のためのネットワーク内の他のステーションへの周波数帯域幅および/または時間を制御し、割当てるマスターステーションがある。この情報には、例えば、一つ以上のデータ、音声、マルチメディアおよび概して任意の形式の情報を含めることができる。例えば、マスターステーションは、ネットワーク内の全てのステーションを接続するPtM接続全体に管理情報を送信することができる。この管理情報は、他のステーションにより受信され、他のステーションが、PtPまたはPtM通信にどの周波数帯域幅および/またはタイムスロットを使用できるかを規定する。
【0034】
図1は、この種のネットワークの実施例を示す。ステーションは、同軸ケーブル、電話線、電力線、空気(無線)等の各種物理媒体(太線で示す)を通じて相互に接続されるが、二つ以上の種類の物理媒体により相互に接続することもできる。実施例として、物理媒体10は、電力線または他の種類の物理媒体の内の一つとすることができる。同様に物理媒体12は、例えば電話線、または他の種類の物理媒体の内の一つとすることができる。ステーション間の接続(PtMおよびPtP)は、これら物理媒体の何れかにより接続できる。
【0035】
マスターステーション100は、媒体10上の、例えば電力線を用いている、少なくとも一つのポイントツーマルチポイント(PtM)接続110を経由して、複数の他のステーションに接続される。さらに、PtP接続120のような、二つの特定ステーション間の一つ以上のポイントツーポイント(PtP)接続がある。図1は、同軸ケーブル12等の、PtM接続と異なる媒体上にあるステーション130と140との間の例示のPtP接続120を示す。図1は、マスターステーション100とステーション160との間のPtP接続125も示す。このPtP接続は、例えば、電力線等のPtM接続100と同じ媒体10を用いることができる。
【0036】
言うまでもなく、概して、PtP接続は任意の二つのステーション間で確立され、PtM接続は任意の二つ以上のステーション間で確立される。
【0037】
図1は4つのステーションだけを示すが、言うまでもなく任意の数のステーションが可能である。さらに、図1は、単一のPtM接続110だけを示すが、任意数のPtM接続が可能である(図7と関連させて後述する)。
【0038】
図2は、マスターステーション200が、ステーション210、220、230および240間のPtM接続205を確立した別の例示の実施の形態を示す。この例示の実施の形態では、マスターステーションは、PtM接続に参加していない。PtP接続215は、マスターステーション200とステーション210との間に存在する。図1に示すように、ステーションは、同軸ケーブル、電話線、電力線、空気(無線)、イーサネット(商標)(例えば、CAT5およびCAT6)、光ファイバ等の、各種物理媒体(太線で示す)を通じて互いに接続されるが、一つ以上の種類の物理媒体により互いに接続することもできる。実施例として、物理媒体10は、同軸ケーブルまたは他の種類の物理媒体の内の一つとすることができる。同様に、物理媒体12は、例えば、空気(無線)または他の種類の物理媒体の内の一つとすることができる。
【0039】
図3は、そのようなネットワークの周波数帯域が、PtP接続とPtM接続との間でどのように分割できるかの実施例を示す。例えば、f1 Hzとf2 Hzの間の第1周波数帯域を、ネットワーク内の複数のステーション間で情報を通信するのに使用するPtM接続に割当てることができる。例えば、管理情報は、他のステーションがどの周波数帯域および/またはタイムスロットをPtPまたはPtM通信に使用できるか、または使用すべきかを規定することができる。f2 Hzとf3 Hzの間の周波数帯域は、二つのステーション(例えば、図2のPtP接続215)間のPtP接続に使用することができる。f3 Hzとf4 Hzの間の周波数帯域は、他の二つのステーション(例えば、図2に追加されるPtP接続(図示せず))間のPtP接続に使用することができる。f4 Hzとf5 Hzの間の周波数帯域は、図7と関連させて後述するように、複数のステーション間の第2PtM接続に使用することができる。この方法で、順次、図3の他の周波数帯を所望のPtPまたはPtM接続に割当てることができる。図3および他の図に示すように、PtPおよびPtM接続を異なる周波数帯に割当てることができるので、これら接続を並行して、すなわち同時に、動作させることができる。注意すべきは、周波数帯域は、必ずしも同じ種類の媒体に対するものとは限らないということである。換言すると、PtM接続に対する周波数帯域f1〜f2は電話線接続に対するものとし、PtP接続に対する周波数帯域f3〜f4は、電力線接続に対するものとすることができる。この図には示していないが、言うまでもなく、各種接続に対する周波数帯域が異なる媒体を用いる場合、実際の周波数帯域は、後述するように重なっていてもよい。
【0040】
場合によっては、特定の周波数帯は割当て、または予約することができない。これらの割当てられないか、または予約されない帯域は、以下を含む幾つかの理由により通信には使用できない:
通信チャンネルがその周波数帯の伝送に対して余りに貧弱である;
例えば、ハム、AM/FM、軍事用等、ラジオ、xDSLシステム、電力線システム、HPNAシステム、ケーブルTVシステム等の、何らかの他の通信システムまたは電子装置が、その周波数帯を使用している;
特定周波数帯に既知の妨害がある。
【0041】
上記実施例は、PtPおよびPtMシステムの周波数帯を用いる帯域幅割当てを説明している。PtPおよびPtMシステムで管理できる別のパラメータは伝送時間である。例えば、PtM接続では、マスターステーションは、二つ以上のステーション間のデータ送信のために特定のタイムスロットを割当てることができる。特定のタイムスロットの間、指定されたステーションだけが送信を許可され、他のステーションは無信号であることを要求される。
【0042】
図4は、異なる媒体で重なり合う周波数帯がある別の例示の周波数帯割当てを示す。本実施例では、点線は、第1種媒体上のPtMに対する不連続な周波数割当てを表し、破線は、第1種媒体上の不連続PtP接続に対する周波数割当てを表す。従って、PtM周波数帯割当ては、f1〜f2、f3〜f4、およびf5〜f6に拡がっている。周波数帯f4〜f5は、例えば上記の何れかの理由により使用されない。第1種媒体上のPtP接続は、周波数帯f2〜f3、およびf6〜f7に割当てられる。第2の種類の媒体に対する、例えばPtPまたはPtM接続のための周波数帯f12〜f22は、第1種媒体に割当てられた周波数帯のかなりの部分と重なり合っているとして示す。
【0043】
図5は、f1〜f2のPtM接続に対する割当て、およびPtP接続に対するf3〜f4の周波数帯割当てを示す。f2〜f3の周波数帯は使用されない。
【0044】
図6は、f1〜f2の周波数帯がPtM接続に割当てられる実施例を示す。
【0045】
図1および図2に説明したネットワークの実施例、および図3〜図6の例示の割当ての場合、この通信システムが、ステーションを接続する有線媒体として同軸ケーブルおよび/または電話線および/または電力線を使用する住宅内部に配置される有線LANに対するものであると仮定する。通信に使用できる全周波数帯が1MHz〜30MHzであると仮定する。例えば、通信チャンネルの第1周波数帯、例えばf1=1MHz〜f2=2MHz、は第1PtM接続に使用できる。この周波数帯では、マスターステーションは、残りの周波数帯、例えば2〜30MHz、を装置間の通信に割当てる方法を規定する情報をLANに接続された複数のステーションに送る。例えば、マスターステーションは、LANの二つのステーション間の第1PtP通信に対してf2=2〜f3=5 MHzの周波数帯、LANの二つのステーション間の第2PtP通信に対してf3=5〜f4=9 MHzの周波数帯、LANの二つのステーション間の第3PtP通信に対してf4=9〜f5=15 MHzの周波数帯、LANの複数のステーション間の第2PtM通信に対してf5=25〜f6=30 MHzの周波数帯等々を割当てることができる。
【0046】
例えば、あるユーザーが第1ステーションと関係するTVで映画を観たいと思っているが、映画は第2ステーションと関係する装置でしか利用できない。例えば、第2ステーションは、DVDプレーヤ、マルチメディアストレージアプライアンスに取り付けるか、または映画をダウンロードできるインターネットに取り付けることができる。この場合、マスターステーションは、第2ステーションから第1ステーションに映画のデータを通信するために使用すべき、例えば4MHz〜6MHzの周波数帯を割当てることになる。これはポイントツーポイント接続なので、標準のポイントツーポイント伝送法を用いて性能(レート/到達距離/BER/待ち時間等)を最大限発揮できる。例えば、第1と第2ステーション間の接続は、通信パラメータ(例えば、BAT)を最適化し、性能を最大化するための長い初期化手続きを用いるVDSL2 ITU−T 勧告G.993.2(全体を引用して本明細書に組み込む)で規定する伝送法に基づくことができる。このポイントツーポイント通信は二重伝送を必要とし、これが周波数分割双方向(FDD)(VDSL2システムと同様に)を介して達成される場合、マスターステーションにより割当てられる周波数帯は、アップストリーム(US)帯とダウンストリーム(DS)帯とにさらに分割する必要があり、US方向は、第1ステーションから第2ステーションへのデータ送信であり、DSは第2ステーションから第1ステーションへの方向である。DSはUSよりずっと多くのデータを搬送するのが普通なので、接続は著しく非対称なデータレートとなることが多い。例えば、DSのデータレートをビデオデータ転送のために4MHzとすると、アップストリームは、制御情報(例えば、パケット肯定応答)および管理情報(例えば、ユーザーによるTVチャンネル変更リクエスト)を転送するために僅か100kbps程度しか要しない。USとDSとの間の帯域幅の分割は、予め規定することができ、例えば、4〜6MHz帯は、4〜4.5MHz帯をUSに常時使用し、4.5MHz〜6MHz帯をDSに常時使用する。
【0047】
代替および/または追加として、マスターステーションは、どれ位の全データレートが必要であるか、およびそれぞれの方向でどれだけのデータレートが必要であるかに基づいて帯域を割当てることができる。例えば、ポイントツーポイント接続を用いてHDTVチャンネルのデータを転送しようとする場合、マスターステーションは、その接続にもっと広い帯域幅を割当て、接続を著しく非対称のデータレートにすることができる。例えば、マスターステーションは、このポイントツーポイント接続に4〜8MHz帯を割当て、同時に、USが4〜4.3MHz、DSが4.3〜8MHzを使用するようUSとDSの間で帯域幅を分配することができる。こうして、大きなDSデータレートが、HDTVチャンネルに必要な接続を提供できる。言うまでもなく、合計データレートの要件が低すぎるか高すぎる場合、またはアプリケーションが対称データレートのUSおよびDSをさらに高くするよう要求した場合には、マスターステーションは帯域幅を適宜割当てることになる。例えば、アプリケーションが1Mbpsの対称データレートを要求した場合、マスターステーションは、2〜3MHzの帯域をデータの伝送用に割当て、2〜2.5MHzをDS用に使用し、2.5〜3MHzをUS用に使用する。
【0048】
代替および/または追加として、ポイントツーポイント接続で接続される二つのステーションが、どれ位の周波数帯が必要か、USとDS間の周波数帯をどのように分割するかを決定することができる。例えば、両ステーションは、チャンネル状態を測定し、この測定値に基づいて、要求される伝送用周波数帯を決定する初期化手順を実行できる。
【0049】
代替および/または追加として、一つまたは複数のステーションが、US用にどの帯域幅を使用すべきか、DS用にどの帯域幅を使用すべきかを決定することもできる。例えば、マスターステーションは、どの周波数帯が利用可能かをポイントツーポイントステーションに知らせることができる。例えば、マスターステーションは、4〜8MHzの帯域が利用できることを知らせることができる。次いで、これらステーションは、どの帯域幅を使用すべきか、それをどのように分配するかを決定する(例えば、データレートアプリケーション要件およびチャンネル状態に基づいて)。例えば、ステーションは、4〜4.5MHzの帯域はUS伝送に使用すべきであり、4.5MHz〜8MHzの帯域はDS伝送に使用すべきであると決定することができる。追加および/または代替として、ステーションは、アプリケーションのデータレート要件が全ての利用できる帯域を使用するのを要求していないと判断することができる。例えば、USは4〜4.2MHzしか必要とせず、DSは4.2〜5MHzしか必要としないと判断できる。この場合、ステーションは、5〜8MHzの帯域を使用しないので、別のポイントツーポイントまたはポイントツーマルチポイント接続に割当て可能なことをマスター装置に知らせる。追加および/または代替として、これら帯域をUSおよびDS帯域として別々に割当てことができる。例えば、マスター装置は、US帯域が4〜8MHzで、DS帯域が8〜15MHzであることをステーションに知らせることができる。次いでステーションは、これらの周波数帯を用いてポイントツーポイント接続を開始することができる。
【0050】
チャンネル状態を判断してから、データレート要件に基づいて、ステーションは、USおよびDS帯域の一部しか伝送に必要ないと判断できる。例えば、USには4〜6MHzしか必要なく、DSには8〜11MHzしか必要ないと判断できる。この場合、ステーションは、6〜8MHzのUS帯および11〜15MHxのDS帯を使用しないので、別のポイントツーポイントまたはポイントツーマルチポイント接続に割当て可能なことをマスターステーションに知らせる。
【0051】
PtPおよびPtM通信接続の動的な割当て。
【0052】
本発明の別の例示の態様によれば、PtPおよびPtM通信接続は、時間全体にわたって、変更されおよび/または動的に割当てられる。PtPおよびPtM接続は、アクティブアプリケーション内の変更および/またはチャンネル状態および/または利用可能な種類の物理媒体の変更を含む幾つかの理由により変更することができる。
【0053】
例えば、PtP通信接続を、映画ビデオを観るために二つのステーション間で確立することができる。例えば、図1で、ステーション130がTVに接続され、ステーション140がDVDプレーヤに接続される場合、リンク12上のPtP接続120が確立されてビデオコンテンツをステーション間で転送することができる。但し、ユーザーが映画鑑賞を終えると、PtP接続120は接続を遮断することができる。接続が遮断されると、PtP接続に使用されていた周波数帯は、別のPtPおよび/またはPtM接続に再割当てすることができる。例えば、最初の映画を観たあと、ユーザーは別のステーション(例えば、ステーション160)に接続されたTVで第2の映画を観たいと考えるかもしれない。第2の映画も、ステーション160に取り付けられたDVDプレーヤ上で再生されるものと仮定する。本実施例では、新規のPtP接続が、ステーション140とステーション160との間で確立されることになり、このPtP接続は、例えば、以前はPtP接続120が使用していた同一周波数帯を使用することになる。本実施例は、例えば、時間全体にわたるアプリケーションの状態変更に基づいて、時間全体にわたって様々なPtPまたはPtM接続に周波数帯をどのように割当てることができるかを示す。
【0054】
別の実施例として、チャンネル状態が変化したために、特定のPtPまたはPtM接続で使用する周波数帯を変更しなければならないことがある。例えば、外部装置(例えば、AM/FMラジオ伝送、調光器、顧客の電子装置)からの妨害により、特定周波数帯が使用できなくなることがある。例えば、ある周波数帯を、朝はPtPまたはPtM接続に割当てできるが、夕方にはこの周波数帯は新しい妨害源のために使用できないことがある。この場合、ステーション間のPtPまたはPtM接続に別の周波数帯を使用することができる。PtPまたはPtM接続の周波数帯を変更および/または動的割当てすることにより、ネットワークは、時間全体にわたって、アプリケーションおよびチャンネル状態が変化しても情報伝送を継続して提供できる。
【0055】
本発明の一例示の利点は、ネットワーク内の装置間のポイントツーマルチポイント通信に利用可能な全周波数帯を必ずしも使用しなくてもよいということにある。ポイントツーマルチポイント接続は、ポイントツーポイント接続(特定通信チャンネルに対して最適化された伝送パラメータを用いる)と比較するとデータレート性能が低いのが一般的である(CSMA方式を用いるため)。さらに、LAN内の多くの接続はアプリケーションの性質により、ポイントツーポイント接続となるので(例えば、DVDプレーヤからTVまでのビデオ伝送)、ポイントツーポイント伝送プロトコルを使用するのが当然である。
【0056】
言うまでもなく、これらの実施例では、マスターステーションは、LAN等のネットワークに接続された別の(第3の)ステーションはもとより、第1または第2ステーションの何れかとすることができる。
【0057】
図7は、本発明によるマスターステーションおよび複数のステーションを含む例示のネットワークを示す。周知の構成部品に加えて、ネットワークは、マスターステーション700およびステーション710、720、730および740を含む。マスターステーション700とステーション710、720、730および740との間に、PtM接続705がある。PtP接続735がステーション720と730との間にある。PtM接続725がステーション710、720および740の間にある。別のPtM接続715が、マスターステーション700とステーション740および730との間に存在する。図1と同様に、ステーションは、同軸ケーブル、電話線、電力線、空気(無線)、光ファイバ、イーサネット(商標)等の各種の物理媒体(太線で示す)を通じて別のステーションと接続され、二種類以上の物理媒体により相互に接続できる。実施例として、物理媒体12は電話線または他の種類の物理媒体の内の一つとすることができる。同様に物理媒体10は、例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、または他の種類の物理媒体の何れかとすることができる。
【0058】
図8〜図10は、図7に示す各種接続で使用できる様々なタイムスロットにおける周波数帯割当ての各種例示の構成を示す。図8〜図10に示す周波数帯は、図7の種類の接続と概ね対応する。説明を簡単にするために、特定の接続で使用される線の形式(例えば、破線または一点鎖線等)は、対応する周波数帯で使用する線の形式と同一としてある。例えば、図8では、周波数帯f1〜f2は、タイムスロットT1の間のPtM接続725に対するものである。f3〜f4の周波数帯は、タイムスロットT1の間のマスターステーション700とステーション740および730との間のPtM接続715と対応する。f4〜f5の周波数帯は、タイムスロットT1の間のステーション720と730との間のPtP接続735に対応する。注意すべきは、マスターステーション700とステーション710、720、730および740との間のPtM接続705は、タイムスロットT1の間は周波数帯を割当てられない。さらに、f2〜f3の周波数帯はどの接続にも割当てられない。
【0059】
タイムスロットT2の間の、図7のネットワークに対する周波数帯割当てを図9に示す。この時間の間は、PtM接続725は、f1〜f2の周波数帯を割当てられ、PtM接続715は、f2〜f3の周波数帯を割当てられ、そしてPtP接続735はf3〜f4の周波数帯を割当てられる。他の接続は、周波数帯を割当てられない。
【0060】
図10は、図7に示すネットワークの周波数帯割当てに対する第3のタイムスロットを表す。ここでf1〜f2の周波数帯は媒体10上のPtM接続705に割当てられる。媒体12上のPtP接続735はf12〜f22の周波数帯を割当てられる。同じく媒体10上のPtP接続745はf23〜f33の周波数帯を割当てられる。
【0061】
特定の例示の割当てを示すが、言うまでもなく、周波数帯の割当ては、一つ以上のPtPおよびPtM接続の間で任意の方法で構成でき、タイムスロットおよび/または媒体種類の間で変更でき、連続、不連続またはそれらの任意の組み合せとすることができ、例えば、帯域幅要件、アプリケーション、利用可能物理媒体、または概ね任意の通信局面に基づいて、動的に割当ておよび/または更新することもできる。
【0062】
図11は、例示のマスターステーション1100およびステーション1150を示す。マスターステーション1100は、周知の構成部品に加えて、PtP周波数帯域幅管理モジュール1110、PtM周波数帯域幅管理モジュール1112、メモリ1114、コントローラ1116、タイムスロット管理モジュール1118、プロファイルモジュール1120、動的割当て管理モジュール1122、送受信機1124および媒体管理モジュール1126を含む。
【0063】
ステーション1150は、周知の構成部品に加えて、周波数およびタイムスロット管理モジュール1152、送受信機1154、メモリ1156およびコントローラ1158を含む。
【0064】
動作に際して、マスターステーションとして指定されたステーションは、周波数帯を決定して、一つ以上のPtPおよびPtM通信チャンネルに割当てる。この決定は、帯域幅要件、測定した状態、BER要件、待ち時間要件、チャンネル状態、性能要件、妨害問題、利用可能な物理媒体種類および/またはプロファイル情報等を少なくとも含む幾つかの要因に基づくことができる。
【0065】
例えば、プロファイル情報には、最小待ち時間、通信チャンネルが必要とする予測継続時間、または一つ以上の通信局面と関連する概ね任意のパラメータまたは値のような情報を含めることができる。
【0066】
以下の表は、プロファイルと関係させて、適切な周波数、物理媒体および/またはタイムスロット割当てを決定するのを支援する際に使用することができる例示の情報を示す。
【0067】
【表1】

【0068】
例えば、ステーションが映画の接続を確立する場合、プロファイルは、その映画が長さ90分で高解像度であり、低BER要件があると指示できる。マスターステーション1100は、PtP周波数帯域幅管理モジュール1110、PtM周波数帯域幅管理モジュール1112、プロファイルモジュール1120、コントローラ1116およびメモリ1114の内の一つ以上と協調し、周波数およびタイムスロット管理モジュール1152ならびに一つ以上のメモリ1156およびコントローラ1158と協力して、ステーション1150とPtP接続を確立できる。接続は、ステーション1150への周波数帯割当ておよびタイムスロット情報の通信により確立される。さらに、接続の割当てが90分間(映画の長さ)続くことを指示する情報が存在することもある。
【0069】
代替または追加として、マスターステーション1100およびステーション1150の内の一つ以上は、チャンネル状態の評価が可能な測定ルーチンを開始することができる。この評価の結果を用いて、例えば、プロファイル要件と併せて、適切なPtPおよび/またはPtMチャンネルパラメータを決定することができる。一つ以上のステーションによる現在および/または将来の周波数帯使用量を、周波数帯をどのように割当てるかの決定に織り込むこともできる。
【0070】
周波数帯割当てに関する決定が完了したあと、その割当てを適切なステーションに通信し、割当てを実行する。任意の時点で、例えば、媒体種類、診断情報、プロファイル情報、通信形式の変更、一つ以上のステーションから受信した情報、通信パラメータ、またはチャンネル/通信要件に基づいて割当てを変更することができる。更新した割当てが必要となった場合、更新した割当てを決定し、適切なステーションに通信する。
【0071】
タイムスロット管理モジュール1118により、一つ以上のステーションに対するタイムスロットの動的な監視および割当て/再割当てが可能になる。例えば、タイムスロット管理モジュールは、帯域幅要件の変化に気付き、それに基づいてタイムスロット割当てを更新することができる。
【0072】
上記説明のように、かつ動的割当て管理モジュール1122と協調して、PtPおよびPtM接続の変更は、アクティブなアプリケーションの変更および/またはチャンネル状態の変化を含む幾つかの理由により行うことができる。
【0073】
動的割当て管理モジュール1122により、PtM周波数帯域幅管理モジュール1112、PtP周波数帯域幅管理モジュール1110および媒体管理モジュール1126の内の一つ以上と協調した、何らかのチャンネルの局面および/または通信要件に概ね基づく動的割当ての監視および更新が可能になる。
【0074】
図12は、周波数帯割当ておよび送受信機間通信のための例示の方法を示す。制御はステップS100で開始され、ステップS110に続く。ステップS110では、オプションで、受信したプロファイル情報および/または測定したチャンネル状態に基づいて、一つ以上のPtPおよびPtM通信チャンネルに割当てるための周波数帯および/またはタイムスロットおよび/または媒体種類が決定される。次に、ステップS120で、割当ておよび/または利用可能周波数帯および/または媒体種類および/またはタイムスロット情報が適切なステーションに通信される。例えば、特定ステーションが、利用可能な周波数帯および媒体種類に関する情報を持っている場合、この情報を周波数帯割当てステップで考慮することができる。
【0075】
実施例として、様々なステーションの内の一つ以上は、利用可能な周波数帯、タイムスロットおよび/または媒体種類の情報を、一つ以上の他のステーションに通信することができる。この情報を用いて、例えば、重なり合う帯域を同一媒体上の同一ステーションに割当てることがないように支援することができる。
【0076】
次いで、ステップS130では、割当てを、診断情報、プロファイル情報、アプリケーション、通信形式変更、パラメータまたは要件の内の一つ以上に基づいて変更すべきかどうかが決定される。割当ての変更が必要な場合、制御はS140に進んで、更新した割当てが決定され、適切なステーションに配布される。変更が要求されない場合、制御はステップS150に進んでチャンネルを遮断するかどうかの決定がなされる。チャンネルを遮断すべき場合、制御はステップS160に進み、そうでなければ制御はステップS170で終了する。
【0077】
あるステーションに対して、ステップS200で制御が開始され、ステップS210に続く。ステップS210で割当てが受信される。次に、ステップS220で、一つ以上の周波数帯が、割当てに基づいて構成される。次いで、ステップS230で、そのステーションは、オプションで、マスターステーションに情報を送り出して、割当てられた配置への更新をリクエストすることができる。更新割当てが必要な場合、ステップS240で更新割当てを受信すると、割当てが更新される。次いで、制御はステップS250に続き、制御シーケンスは終了する。
【0078】
上記説明のフロー図は、イベントの特定シーケンスに関連して説明したが、言うまでもなくこのシーケンスの変更は、本発明の実施に本質的な影響を与えずに行うことができる。さらに、イベントの正確なシーケンスを例示の実施の形態で述べたように行う必要はなく、双方の送受信機が使用する技法を知っている場合、通信システム内の一方または他方の送受信機がこれらステップを実行することができる。さらに、本明細書で示す例示の技法は、詳細に説明した実施の形態に制限されず、他の例示の実施の形態で利用することもでき、説明した特徴のそれぞれは個々に、かつ別々にクレームできるものである。
【0079】
上記説明のシステムは:モデム、マルチキャリアモデム、DSLモデム、ADSLモデム、xDSLモデム、VDSLモデム、ラインカード、電力線モデム、有線または無線モデム、試験装置、マルチキャリア送受信機のような、有線および/または無線の通信装置;IP、イーサネット(商標)またはATMシステム、診断能力を備えたモデム等の、有線および/または無線の広域/ローカルエリアネットワークシステム、衛星通信システム、ネットワーク型通信システム;または、通信装置を有するか、もしくは以下の通信プロトコル、すなわちCDSL、ADSL2、ADSL2+、VDSL1、VDSL2、HDSL、DSL Lite、IDSL、RADSL、SDSL、UDSL等の内のどれかと協調する別のプログラム型汎用コンピュータ;の上で実施することができる。
【0080】
さらに、本発明のシステム、方法およびプロトコルは:専用コンピュータ;プログラムされたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラおよび周辺集積回路素子;ASICまたは他の集積回路;デジタル信号プロセッサ;ディスクリート素子回路等の配線電子回路またはロジック回路;PLD、PLA、FPGA、PAL等のプログラマブルロジックデバイス;モデム;送信機/受信機;任意の互換手段;等に実装することができる。一般に、状態マシンを実装することができ、次いで本明細書で説明する方法論を実施できる任意の装置を用いて、本発明による様々な通信方法、プロトコルおよび技法を実施することができる。
【0081】
さらに、開示した方法は、各種コンピュータまたはワークステーションプラットフォーム上で使用することができる高移植性ソースコードを提供するオブジェクトを用いるソフトウエア、つまりオブジェクト指向ソフトウエアの開発環境で直ちに実施できる。代替として、開示したシステムは、標準ロジック回路またはVSLI設計を用いて、ハードウエアで部分的にまたは完全に実装することができる。実装に使用されるのがソフトウエアであれハードウエアであれ、本発明によるシステムは、システムの速度および/または効率の要件、特定機能、および特定のソフトウエアもしくはハードウエアのシステムまたは利用するマイクロプロセッサもしくはマイクロコンピュータのシステムに依存する。本明細書で説明する通信システム、方法およびプロトコルは、本明細書で提供された機能説明から適用可能な技術分野の技術者が、コンピュータおよび通信技術の一般的な基本知識により、何らかの周知のまたは後で開発されるシステムまたは構造、装置および/またはソフトウエアを用いて、ハードウエアおよび/またはソフトウエアで直ちに実装することができる。
【0082】
さらに、開示する本方法は、ストレージ媒体上に格納できるソフトウエアで直ちに実装して、コントローラおよびメモリ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ等と協調して、プログラムされた汎用コンピュータ上で実行することができる。これらの事例では、本発明のシステムおよび方法は、アプレット、JAVA(登録商標)またはCGIスクリプト等のパソコン上に組み込まれるプログラムとして、サーバまたはコンピューターワークステーションに常駐するリソースとして、専用通信システムに組み込まれたルーチンまたはシステムコンポーネント等として実装できる。本システムは、システムおよび/または方法を、通信送受信機のハードウエアおよびソフトウエアシステム等の、ソフトウエアおよび/またはハードウエアシステムに物理的に組み込むことにより実装することもできる。
【0083】
従って、本発明により、PtPおよびPtM接続の管理のためのシステムおよび方法が提供されたということは明らかである。幾つかの実施の形態と併せて本発明を説明してきたが、言うまでもなく、多くの代替物、改変および変形が、適用可能な技術分野の技術者には明らかである。従って、本発明の精神および範囲内にあるこのような全ての代替物、改変、均等物および変形を包含するよう意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのポイントツーマルチポイント接続と並行して動作する少なくとも一つのポイントツーポイント接続を含むネットワークを構成することを含む方法。
【請求項2】
一つ以上の周波数帯を割当てることをさらに含む請求項1の方法。
【請求項3】
少なくとも二つの周波数帯が、異なる種類の媒体と関係付けられる請求項1の方法。
【請求項4】
前記ポイントツーポイント接続は、第1の種類の物理媒体と関係付けられ、前記ポイントツーマルチポイント接続は第2の異なる種類の物理媒体と関係付けられる請求項1の方法。
【請求項5】
前記ポイントツーポイント接続は、第1の種類の物理媒体と関係付けられ、前記ポイントツーマルチポイント接続は第2の種類の物理媒体と関係付けられる請求項1の方法。
【請求項6】
前記ポイントツーポイント接続および前記ポイントツーマルチポイント接続は、同じ種類の物理媒体と関係付けられる請求項1の方法。
【請求項7】
前記物理媒体の種類は、同軸ケーブル、ツイストペア、電力線、無線、電話、光ファイバ、イーサネット(商標)ケーブルおよび空気の内の一つである請求項3〜6の何れかの方法。
【請求項8】
異種媒体上の周波数帯の内の少なくとも二つが、少なくとも部分的に重なり合っている請求項1の方法。
【請求項9】
異なる周波数帯が異なるタイムスロットに割当てられている請求項1の方法。
【請求項10】
同一周波数帯が同一タイムスロットで用いられる請求項1の方法。
【請求項11】
同一周波数帯が、異なる物理媒体上の同一タイムスロットで用いられる請求項1の方法。
【請求項12】
同一周波数帯が、異なる接続形式の異なる物理媒体上の同一タイムスロットで用いられる請求項1の方法。
【請求項13】
同一周波数帯が同一タイムスロットで用いられ、異なる接続形式の異なる物理媒体に割当てられる請求項1の方法。
【請求項14】
ステーションが、前記ポイントツーマルチポイント接続および前記ポイントツーポイント接続に接続される請求項1の方法。
【請求項15】
マスターステーションは、周波数帯、タイムスロット、アプリケーション、帯域幅要件、物理媒体種類および情報形式の内の一つ以上に基づいて前記ネットワークを構成する請求項1の方法。
【請求項16】
前記情報形式は、データ、音声、マルチメディアおよびビデオの内の一つ以上である請求項15の方法。
【請求項17】
三つ以上のステーション間の少なくとも一つのポイントツーマルチポイント通信接続、および二つのステーション間の少なくとも一つのポイントツーポイント通信接続を含む複数のステーションを備えるネットワークであって、前記ポイントツーポイント通信接続および前記ポイントツーマルチポイント通信接続は、ともに同時に前記ネットワーク上で動作するネットワーク。
【請求項18】
ポイントツーマルチポイント通信接続内部で相互接続されて通信する三つ以上のステーション;および、
ポイントツーポイント通信接続により内部で相互接続されて通信する二つのステーション、
を含む複数のステーションを備えるネットワークであって、前記通信は同時に行われるネットワーク。
【請求項19】
複数のステーションを備えるネットワークであって、三つ以上のステーションがポイントツーマルチポイント通信接続上で通信し、他の二つのステーションがポイントツーポイント通信接続上で通信するネットワーク。
【請求項20】
複数のステーションを備えるネットワークであって、複数のステーションの内の三つ以上がポイントツーマルチポイント通信接続上で通信し、複数のステーションの内の二つがポイントツーポイント通信接続上で通信するネットワーク。
【請求項21】
通信ネットワークであって、ポイントツーマルチポイント接続と同時に動作するポイントツーポイント接続を備える通信ネットワーク。
【請求項22】
前記ポイントツーマルチポイント接続は複数のステーション間にある請求項21のネットワーク。
【請求項23】
ステーションの内の一つはマスターステーションである請求項22のネットワーク。
【請求項24】
複数のマスターステーションがある請求項22のネットワーク。
【請求項25】
前記ポイントツーポイント接続は、第1の種類の物理媒体上にあり、前記ポイントツーマルチポイント接続は第2の種類の物理媒体上にある請求項21のネットワーク。
【請求項26】
前記ポイントツーポイント接続および前記ポイントツーマルチポイント接続は、同じ種類の物理媒体上にある請求項21のネットワーク。
【請求項27】
ネットワークであって、三つ以上のステーション間の少なくとも一つのポイントツーマルチポイント(PtM)通信接続、および二つのステーション間の少なくとも一つのポイントツーポイント(PtP)通信接続を備えることができる複数のステーションを含み、前記少なくとも一つのPtM接続および少なくとも一つのPtP接続を同時に動作可能とするネットワーク。
【請求項28】
前記少なくとも一つのポイントツーマルチポイント通信接続は、第1周波数帯を使用し、前記少なくとも一つのポイントツーポイント通信接続は、第2周波数帯を使用する請求項27のネットワーク。
【請求項29】
マスターステーションは、前記ポイントツーポイントおよびポイントツーマルチポイント通信接続を管理する請求項27のネットワーク。
【請求項30】
マスターステーションは、少なくとも一つのポイントツーポイントステーション通信接続または少なくとも一つのポイントツーマルチポイント通信接続の周波数帯を割当てる請求項27のネットワーク。
【請求項31】
ポイントツーマルチポイント通信接続を用いて前記ステーション間の管理情報を伝送する請求項30のネットワーク。
【請求項32】
前記第1PtM通信接続が無効にされ、前記第1周波数帯が、別のPtMまたはPtP通信接続に再割当てされる請求項31のネットワーク。
【請求項33】
前記第1のPtP通信接続が無効にされ、前記第2周波数帯が、別のPtMまたはPtP通信接続に再割当てされる請求項28のネットワーク。
【請求項34】
複数のステーションを含むネットワークにおける方法であって:
第1期間の間は、第1周波数帯を第1PtP通信接続に割当てること;
前記第1PtP接続を無効にすること;および
第2期間の間は、前記第1周波数帯を別のPtPまたはPtM通信接続に再割当てすることを含む方法。
【請求項35】
複数のステーションを含むネットワークにおける方法であって:
第1期間の間は、第1周波数帯を第1PtM通信接続に割当てること;
前記第1PtM接続を無効にすること;および
第2期間の間は、前記第1周波数帯を別のPtMまたはPtP通信接続に再割当てすることを含む方法。
【請求項36】
複数のステーションを含むネットワークにおける方法であって:
三つ以上のステーション間で少なくとも一つのポイントツーマルチポイント(PtM)通信接続を確立すること;
二つのステーション間の少なくとも一つのポイントツーポイント(PtP)通信接続を確立すること、
を含み、前記少なくとも一つのPtM接続および前記少なくとも一つのPtP接続を、同時に動作可能とする方法。
【請求項37】
第1周波数帯を前記少なくとも一つのポイントツーマルチポイント通信接続に割当て、第2周波数帯を前記少なくとも一つのポイントツーポイント通信接続に割当てることをさらに含む請求項36の方法。
【請求項38】
マスターステーションは、前記ポイントツーポイントおよびポイントツーマルチポイント通信接続を管理する請求項36の方法。
【請求項39】
マスターステーションは、少なくとも一つのポイントツーポイントステーション通信接続または少なくとも一つのポイントツーマルチポイント通信接続に対して前記周波数帯を割当てる請求項36の方法。
【請求項40】
ポイントツーマルチポイント通信接続を用いて前記ステーション間で管理情報を伝送する請求項36の方法。
【請求項41】
前記第1PtM通信接続を無効にし、前記第1周波数帯を別のPtMまたはPtP通信接続に再割当てすることをさらに含む請求項37の方法。
【請求項42】
前記第1PtP通信接続を無効にし、前記第2周波数帯を別のPtPまたはPtM通信接続に再割当てすることをさらに含む請求項37の方法。
【請求項43】
ネットワークであって、少なくとも一つのポイントツーマルチポイント接続と並行して動作できる少なくとも一つのポイントツーポイント接続を含むネットワーク。
【請求項44】
割当てられた一つ以上の周波数帯をさらに備える請求項43のネットワーク。
【請求項45】
少なくとも二つの周波数帯が別々の種類の媒体と関係付けられる請求項43のネットワーク。
【請求項46】
前記ポイントツーポイント接続は、第1の種類の物理媒体と関係付けられ、前記ポイントツーマルチポイント接続は、第2の異なる種類の物理媒体と関係付けられる請求項43のネットワーク。
【請求項47】
前記ポイントツーポイント接続は第1の種類の物理媒体と関係付けられ、前記ポイントツーマルチポイント接続は、第2の種類の物理媒体と関係付けられる請求項43のネットワーク。
【請求項48】
前記ポイントツーポイント接続および前記ポイントツーマルチポイント接続は、同じ種類の物理媒体と関係付けられる請求項43のネットワーク。
【請求項49】
前記物理媒体の種類は、同軸ケーブル、ツイストペア、電力線、無線、電話、光ファイバ、イーサネット(商標)ケーブルおよび空気の内の一つである請求項45〜48の何れかのネットワーク。
【請求項50】
異種媒体上の周波数帯の内の少なくとも二つが、少なくとも部分的に重なり合っている請求項43のネットワーク。
【請求項51】
異なる周波数帯が異なるタイムスロットに割当てられている請求項43のネットワーク。
【請求項52】
同一周波数帯が、同一タイムスロットで用いられる請求項43のネットワーク。
【請求項53】
同一周波数帯が、異なる物理媒体上の同一タイムスロットで用いられる請求項43のネットワーク。
【請求項54】
同一周波数帯が、異なる接続形式の異なる物理媒体上の同一タイムスロットで用いられる請求項43のネットワーク。
【請求項55】
同一周波数帯が同一タイムスロットで用いられ、異なる接続形式の異なる物理媒体に割当てられる請求項43のネットワーク。
【請求項56】
ステーションが、前記ポイントツーマルチポイント接続および前記ポイントツーポイント接続に接続される請求項43のネットワーク。
【請求項57】
マスターステーションは、周波数帯、タイムスロット、アプリケーション、帯域幅要件、物理媒体種類および情報形式の内の一つ以上に基づいて前記ネットワークを構成する請求項43のネットワーク。
【請求項58】
前記情報形式は、データ、音声、マルチメディアおよびビデオの内の一つ以上である請求項57のネットワーク。
【請求項59】
マスターステーションは、一つ以上の周波数帯を割当てる請求項43のネットワーク。
【請求項60】
マスターステーションは、一つ以上の周波数帯を再割当てする請求項43のネットワーク。
【請求項61】
マスターステーションは、通信要件の変化に基づいて一つ以上の周波数帯を再割当てする請求項43のネットワーク。
【請求項62】
マスターステーションは、通信要件の変化に基づいて一つ以上の重なり合う周波数帯を再割当てする請求項43のネットワーク。
【請求項63】
マスターステーションは、通信要件の変化に基づいて一つ以上の重なり合わない周波数帯を再割当てする請求項43のネットワーク。
【請求項64】
情報ストレージ媒体であって、実行すると上記方法クレームの何れかのステップを実行する情報を含む、情報ストレージ媒体。
【請求項65】
通信プロトコルであって、上記方法クレームの何れかのステップを実行する、通信プロトコル。
【請求項66】
手段であって、上記方法クレームの内の一つのステップを実行するための手段。
【請求項67】
本明細書で詳細に開示したような前記特徴の内の何れか一つ以上。
【請求項68】
ネットワークを構成するための手段であって、少なくとも一つのポイントツーマルチポイント接続と並行して動作する少なくとも一つのポイントツーポイント接続を含む、手段。
【請求項69】
一つ以上の周波数帯を割当てるための手段をさらに備える請求項68の手段。
【請求項70】
少なくとも二つの周波数帯が異なる種類の物理媒体と関係付けられる請求項68の手段。
【請求項71】
前記ポイントツーポイント接続は、第1の種類の物理媒体と関係付けられ、前記ポイントツーマルチポイント接続は第2の異なる種類の物理媒体と関係付けられる請求項68の手段。
【請求項72】
前記ポイントツーポイント接続は、第1の種類の物理媒体と関係付けられ、前記ポイントツーマルチポイント接続は第2の種類の物理媒体と関係付けられる請求項68の手段。
【請求項73】
前記ポイントツーポイント接続および前記ポイントツーマルチポイント接続は、同じ種類の物理媒体と関係付けられる請求項68の手段。
【請求項74】
前記物理媒体の種類は、同軸ケーブル、ツイストペア、電力線、無線、電話、光ファイバ、イーサネット(商標)ケーブルおよび空気の内の一つである請求項71〜73の何れかの手段。
【請求項75】
異種媒体上の周波数帯の内の少なくとも二つが、少なくとも部分的に重なり合っている請求項68の手段。
【請求項76】
異なる周波数帯が異なるタイムスロットに割当てられている請求項68の手段。
【請求項77】
同一周波数帯が同一タイムスロットで用いられる請求項68の手段。
【請求項78】
同一周波数帯が、異なる物理媒体上の同一タイムスロットで用いられる請求項68の手段。
【請求項79】
同一周波数帯が、異なる接続形式の異なる物理媒体上の同一タイムスロットで用いられる請求項68の手段。
【請求項80】
同一周波数帯が同一タイムスロットで用いられ、異なる接続形式の異なる物理媒体に割当てられる請求項68の手段。
【請求項81】
ステーションが、前記ポイントツーマルチポイント接続および前記ポイントツーポイント接続に接続される請求項68の手段。
【請求項82】
マスターステーションは、周波数帯、タイムスロット、アプリケーション、帯域幅要件、物理媒体種類および情報形式の内の一つ以上に基づいて前記ネットワークを構成する請求項68の手段。
【請求項83】
前記情報形式は、データ、音声、マルチメディアおよびビデオの内の一つ以上である請求項82の手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−257291(P2012−257291A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167994(P2012−167994)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【分割の表示】特願2009−515623(P2009−515623)の分割
【原出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(500167917)アウェア, インコーポレイテッド (39)
【Fターム(参考)】