説明

ポット構体製作装置およびポット構体

【課題】苗ポットに対するラベルの取り付け強度が高いポット構体を効率的に製作可能なポット構体製作装置を提供する。
【解決手段】苗ポット2の側壁部3にラベル6を溶着してなるポット構体1の製作装置10である。当該ポット構体製作装置10は、搬送路11a上に供給される苗ポット2を下流側に搬送する第1搬送手段11と、第1搬送手段11の下流側に配設され、苗ポット2を載置して昇降させる昇降テーブル13と、昇降テーブル13の上方に配設され、苗ポット2の側壁部3にラベル6を溶着してポット構体1を製作する溶着手段20と、第1搬送手段11と昇降テーブル13との間を往復動し、搬送路11a上の最も下流側にある苗ポット2を昇降テーブル13に搬入する搬入アーム14とを備える。搬入アーム14は、昇降テーブル13に載置されたポット構体1の下流側への排出と、昇降テーブル13への苗ポット2’の搬入とを連続的に行うように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗ポットにラベルを取り付けてなるポット構体の製作装置およびポット構体に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の種苗は、樹脂シート材、例えばPPシートから熱成形されたいわゆる苗ポットに収容された状態で店頭販売に供されるのが一般的である。そして、従来、植物の種苗を販売に供するにあたり、種苗の品種名やバーコード等が表示されたラベルと称される板状部材をポット内の土壌に差し込んで店頭に陳列していた。しかし、ラベルをポット内の土壌に差し込むだけではラベルが倒れたり抜けたりし易く、また、ラベルの差し込み位置によってはラベルの先端部で苗の根が傷つけられるという問題がある。
【0003】
そこで、本願出願人は、特開2002−34344号公報(特許文献1)において、苗ポットの上端開口縁に沿ってスリットを設け、このスリットに、屈曲部と、スリットの両端に係止する係止部とを有するラベルを差し込んでなるポット構体を提案している。かかる構成のポット構体であれば、苗ポットのスリットにラベルを差し込むだけでラベルを所定の姿勢で保持することができ、しかもラベル先端部で苗の根を傷つけることもない。
【特許文献1】特開2002−34344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構造を有する苗ポットおよびラベルは、形状が複雑化する分製作コストが嵩むことから製品単価の高騰が避けられない。そのため、広く実用されるに至っておらず、苗農家等においてラベルを苗ポットにステープル止めしているのが実情である。しかし、ステープル止めは通常手作業で行われるため、手間とコストを要するという問題が依然として残る。
【0005】
そこで、本発明の第1の目的は、苗ポットに対するラベルの取り付け強度が高いポット構体を効率的に量産可能なポット構体の製作装置を提供することにある。
【0006】
また、本発明の第2の目的は、苗ポットに対するラベルの取り付け強度が高く、しかも低コストなポット構体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的を達成すべく、本発明では、苗ポットの側壁部にラベルを溶着してなるポット構体の製作装置であって、搬送路上に供給される苗ポットを下流側に搬送する搬送手段と、搬送手段の下流側に配設され、苗ポットを載置して昇降させる昇降テーブルと、昇降テーブルの上方に配設され、ポット構体を製作する溶着手段と、搬送手段と昇降テーブルとの間を往復動し、搬送路上の最も下流側にある苗ポットを昇降テーブルに搬入する搬入アームとを備え、搬入アームが、昇降テーブルに載置されたポット構体の下流側への排出と、昇降テーブルへの苗ポットの搬入とを連続的に行うように構成されていることを特徴とするポット構体製作装置を提供する。
【0008】
上記のように、本発明に係るポット構体の製作装置は、苗ポットの側壁部にラベルを溶着してなるポット構体を製作するものである。この場合、溶着条件(溶着面積、溶着時間、溶着方法等)を適切に設定しておけば、ラベルの取り付け強度の高いポット構体を自動的に量産することができる。そのため、手作業でポット構体を製作する場合に比べ、大幅に手間を減じ、ポット構体の製作コストを低廉化することができる。また、搬入アームが、昇降テーブルに載置されたポット構体の下流側への排出と、昇降テーブルへの苗ポット(側壁部にラベルが溶着されていないもの)の搬入とを連続的に行うように構成されているので、各工程間でタイムラグが生じる事態を回避して、ラベル取り付け強度の高いポット構体を効率的に量産することができる。なお、かかる構成は、搬入アームの形状、当該製作装置の構成部材の動作速度、動作タイミング等を調整することによって得ることができる。
【0009】
搬送手段は、常時搬送駆動させることができるが、この場合、搬送路に対して進退可能に設けられ、前進状態で苗ポットを係止して、苗ポットの下流側への搬送を一時的に停止させる係止部材をさらに設けることができる。このようにすれば、搬送路上に苗ポットを連続的に供給した場合であっても、搬送路の下流端から苗ポットが脱落するような事態を防止することができるので、搬送路上の最も下流側にある苗ポットの昇降テーブルへの搬入、ひいてはポット構体の製作を適切に行うことができる。
【0010】
溶着手段は、超音波溶着機と、ラベルの一方の面を支持する支持部材と、超音波溶着機と支持部材との間にラベルを供給するラベル供給機構とを有するものとすることができる。このように、溶着機として超音波溶着機を用いるようにすれば、苗ポットとラベルとを瞬時に溶着することができるので、サイクルタイムを減じてポット構体の生産効率を高めることができる。また、超音波溶着機は、高周波溶着機等、公知のその他の溶着機に比べてポット構体製作装置の簡素化およびコンパクト化を図る上で有利である。さらに、超音波溶着機は、基本的には熱可塑性樹脂同士であればいかなる樹脂の組み合わせであっても溶着可能であるから、苗ポットやラベルの形成用樹脂材料の選択自由度が高く、汎用性に富むというメリットもある。
【0011】
上記のように、溶着手段として、超音波溶着機と、ラベルの一方の面を支持する支持部材と、超音波溶着機と支持部材との間に(溶着すべき)ラベルを供給するラベル供給機構とを有するものを用いる場合、ラベルの他方の面側に苗ポットの側壁部を配置した後、超音波溶着機と支持部材とを相対的に接近移動させることにより、苗ポットの側壁部にラベルを溶着してなるポット構体を製作し、その後、ラベル供給機構を停止させた状態でポット構体を支持部材に対して離反移動させるように構成することができる。
【0012】
このように、ラベル供給機構を停止させた状態(ラベル送りを停止した状態)でポット構体を支持部材に対して離反移動させるようにすれば、超音波溶着機と支持部材との間にラベルが重複供給されるような事態を防止することが可能となる。これにより、溶着不良が生じるような事態を回避して、ポット構体を精度良く製作することができる。また、装置故障を未然に防止する上でも好適である。
【0013】
上記構成は、例えば、支持部材にラベル検出センサーを設け、このラベル検出センサーでラベル供給機構の駆動および停止の切り替えを制御するように構成することで得ることができる。支持部材はラベルの一方の面を支持するものであるから、当該支持部材にラベル検出センサーを設けておけば、超音波溶着機と支持部材との間にラベルが有るのか無いのかを容易かつ正確に検出することができる。そのため、上記の作用効果を容易にかつ確実に得ることができる。
【0014】
また、上記第2の目的を達成すべく、本発明では、苗ポットの側壁部にラベルを溶着してなるポット構体を提供する。この場合、溶着条件さえ適切に設定しておけば、苗ポットおよびラベルの双方に特段形状的な工夫を凝らさずともラベルの姿勢が変化したり、苗ポットからラベルが分離したりするような問題を効果的に防止することができる。そのため、上記特許文献1に比べ、苗ポットおよびラベルの形状を単純化して製作コストを低廉化しつつ、高い取り付け強度を誇るポット構体を提供することができる。また上記特許文献1に記載のように、苗ポットのスリットにラベルを差し込む構成を採用する場合、差し込み性を考慮するとラベルに高い剛性を持たせておく必要があったが、ポットにラベルを溶着する本発明の構成においてはラベル自体にそれほどの剛性は不要である。そのため、ラベルの薄肉化も可能であり、この点からもポット構体の低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上に示すように、本発明によれば、苗ポットに対するラベルの取り付け強度が高いポット構体を安価にかつ効率的に量産可能なポット構体製作装置を提供することができる。また、苗ポットに対するラベルの取り付け強度が高く、しかも低コストなポット構体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0017】
図1および図2は、本発明に係るポット構体1、より厳密には培土7が充填されて苗8が植生されたポット構体1の実施形態を示すものであり、図1はポット構体1の斜視図を、図2はポット構体1の断面図をそれぞれ示す。図2に示すように、ポット構体1は、上端が開口した筒状の側壁部3、および側壁部3の下端を閉塞する底部4が一体のコップ状をなす苗ポット2と、苗ポット2の側壁部3に取り付けられたラベル6とで構成される。
【0018】
苗ポット2は、樹脂シート、例えばポリプロピレン(PP)を主成分としたPPシートをブロー成形、真空成形等することによって得られるいわゆる熱成形品であり、底部4の略中央には排水孔として機能する貫通孔5が設けられている。なお、苗ポット2はPPシートのみならず、例えば、ポリエチレン(PE)を主成分とするものや生分解性樹脂を混合したもの等、熱可塑性樹脂を主成分とするシート材であれば適宜選択使用可能である。また、図示例では、排水孔5を底部4の略中央に一箇所設けているが、排水孔5の形成態様は任意であり、底部4にミシン目状に多数設けることもできるし、底部4のみならず側壁部3に形成することもできる。
【0019】
一方、ラベル6は、硬質の樹脂シートから得られる板状部材であり、苗ポット2の側壁部3に取り付けられる取付部6aと、苗ポット2上に突出し、表面に苗8の品種名やバーコードが表示される表示部6bとを一体に有する。
【0020】
以上の構成からなるポット構体1は、苗ポット2の側壁部3とラベル6の取付部6aとを重ね合わせた状態で両者を溶着することによって得られる。このように、ラベル6を苗ポット2の側壁部3に溶着する場合、溶着条件さえ適切に管理しておけば、上記特許文献1に記載のように苗ポットおよびラベルの双方に形状的な工夫を凝らさずとも、またラベルをホッチキス止めせずとも、ラベル6の姿勢が変化したり、苗ポット2からラベル6が分離したりするような事態を効果的に防止することができる。以上から、安価でありながら、高いラベル取り付け強度を誇るポット構体1を提供することができる。
【0021】
また、苗ポットのスリットにラベルを差し込む場合には、ラベル自体に高い剛性を持たせておく必要があったが、苗ポット2とラベル6とが溶着される本発明の構成においては、ラベル6自体に従来ほどの剛性は不要であるから、ラベル6を薄肉化することができる。加えて、苗ポット2にラベル6の取付部6aを溶着する場合、取付部6aは、苗ポット2に対して溶着できるだけの長さを有していれば足りるので、取付部6a長さを従来に比べて短小化することができる。以上から、ラベル6の材料コストを低減して、ポット構体1の更なる低コスト化も達成することができる。因みに、本願発明者らが確認したところ、苗ポットのスリットに差し込み固定するラベルでは0.4mm程度の厚みが必要であったが、苗ポット2に溶着固定するラベルでは0.2mm程度の厚みがあれば十分であることが判明した。
【0022】
以上の構成からなるポット構体1は、例えば以下のようにして製作することができる。
【0023】
図3は、以上で説明したポット構体1の製作装置を模式的に示す平面図である。同図に示すポット構体製作装置10は、図中右側(上流側)から左側(下流側)へ苗ポット2を搬送しながら、搬送経路上の所定位置で苗ポット2(の側壁部3)とラベル6(の取付部6a)とを溶着してなるポット構体1を製作し、この製作されたポット構体1をさらに下流側へと搬送するという一連の動作を自動的に行うものである。具体的に述べると、このポット構体製作装置10は、昇降テーブル13と、該昇降テーブル13の上流側および下流側にそれぞれ配設された第1および第2搬送手段11,12と、昇降テーブル13の上方(図3では紙面と直交する方向)に配設された溶着手段20と、搬入アーム14と、第1搬送手段11の下流端から所定量上流側に配設された係止部材16とを主要部として構成される。なお、当該製作装置10は、例えば苗農家等から小売店へ出荷する直前に使用することを想定しており、従い、詳細な図示は省略しているが、第1搬送手段11に供給される苗ポット2には培土7が充填されると共に苗8が植生されている。
【0024】
第1搬送手段11は、本発明でいう「搬送手段」に相当する。すなわち第1搬送手段11は、直線的に延びる搬送路11a上に供給される苗ポット2を下流側に搬送するものである。一方、第2搬送手段12は、昇降テーブル13からその上流端に順次搬入されるポット構体1を下流側に搬送するものである。これら両搬送手段11,12は常時搬送駆動可能(連続運転可能)に構成される。第1搬送手段11の下流端から所定量上流側には、一対の第1ポット検出センサー17が搬送路11aの幅方向両側に配されている。
【0025】
昇降テーブル13は、図示しないシリンダによって昇降可能に設けられている。この昇降テーブル13は、その下降限において、苗ポット2の載置面が第1搬送手段11の搬送路11aおよび第2搬送手段12の搬送路と略同一高さとなるように構成される一方、その上昇限においては、載置した苗ポット2の側壁部3(厳密には側壁部3のうち、ラベル6が溶着される部分)が、図6に示す超音波溶着機21の超音波ホーン21aと略同一高さに位置するように構成される。また、本実施形態に係る昇降テーブル13は、後述する(b)溶着ステップ中に苗ポット2が載置面から脱落しないように、苗ポット2の下端外周を覆う段部を有する(図6を参照)。
【0026】
昇降テーブル13の外径側には一対の第2ポット検出センサー18が配設されている。第2ポット検出センサー18は、2つのセンサーを結ぶ線分が昇降テーブル18の中心を通るように180°対向配置されている。
【0027】
搬入アーム14は、第1搬送手段11(の下流側端部)と昇降テーブル13との間を往復動し、搬送路11a上にある苗ポット2のうち最も下流側にある苗ポット2を、先端部に設けたコの字形状の保持部14aで保持して昇降テーブル13に搬入するものである。搬入アーム14の動作態様についてより具体的に述べると、搬入アーム14は、搬送手段11,12と平行配置されたガイド部材15に沿って図中X1−X2方向に平行移動可能で、かつ、シリンダによって搬送手段11の搬送路11aに対して進退移動可能(図中Y1−Y2方向に移動可能)に構成される。すなわち、この搬入アーム14は、平面視で矩形状の動作軌跡を描く。
【0028】
係止部材16は、シリンダによって搬送手段11の搬送路11aに対して進退移動可能に構成された軸状部材であり、前進状態で苗ポット2を係止して、苗ポット2の下流側のへの搬送移動を規制する。
【0029】
溶着手段20は、図6にも示すように、超音波ホーン21aおよび超音波発振器21bを有する超音波溶着機21と、ラベル6の一方の面を支持する支持部材26と、超音波溶着機21と支持部材26との間にラベル6を供給するラベル供給機構22とで主要部が構成される。ラベル供給機構22は、多数並べられたラベル6(以下、これをストックラベルという)を支持部材26側に弾性的に附勢する附勢部材25と、ラベル送りモータ23の回転軸に取り付けられ、ストックラベルのうち、最も支持部材26に近接した側にあるラベル6を超音波ホーン21aと支持部材26との間に送り込むラベル送りローラ24と、支持部材26に取り付けられて、支持部材26のラベル支持面側にラベル6が有るか無いかを検出するラベル検出センサー27とを主要な構成部材として備える。
【0030】
主に以上の構成からなるポット構体製作装置10は以下示すステップを経て、苗ポット2の側壁部3にラベル6を溶着してなるポット構体1を自動的に連続生産する。
【0031】
(a)運転準備ステップ
この段階では、まず第1および第2搬送手段11,12を駆動し、第1搬送手段11の搬送路11a上に苗ポット2を連続供給する。搬送路11aに乗って苗ポット2が下流側に搬送され、最も下流側にある苗ポット2が第1ポット検出センサー17で検出されると、搬入アーム14が搬送路11aから離隔する方向(以下、Y2方向という)に後退移動する。搬入アーム14が後退限まで移動すると、係止部材16が搬送路11aに接近する方向(以下、Y1方向という)に前進移動し、最も下流側にある苗ポット2の上流側で搬送路11aを横断する。これにより、搬送路11a上にある苗ポットのうち、最も下流側にある苗ポット2よりも上流側にある全ての苗ポット2の下流側への搬送移動が(一時的に)規制される(以上、図4(a)を参照)。
【0032】
次いで、所定時間が経過し、最も下流側にある苗ポット2が搬送路11aの所定位置まで搬送されると、搬入アーム14がY1方向に前進移動し、搬入アーム14の保持部14a内に苗ポット2が保持される。このように搬入アーム14がY1方向に前進移動し、搬入アーム14が前進限まで移動すると、係止部材16がY2方向に後退移動し、下流側への搬送移動が規制されていた苗ポット2の下流側への搬送移動が再開される(以上、図4(b)を参照)。そして、下流側への搬送移動が再開された苗ポット2のうち、最も下流側にある苗ポット2(以下、これを苗ポット2’という)を第1ポット検出センサー17が検出すると、係止部材16がY1方向に前進移動し、苗ポット2’の上流側にある苗ポットの下流側への搬送移動を規制する(以上、図4(c)を参照)。
【0033】
また、上記の動作と並行して、溶着手段20では、苗ポット2の側壁部3にラベル6を溶着するための準備が行われる。具体的には、図4(a)に示すように、第1ポット検出センサー17が最も下流側にある苗ポット2を検出すると、ラベル送りモータ23が駆動し、ラベル送りローラ24によって超音波ホーン21aと支持部材26(のラベル支持面)との間に一枚のラベル6が送り込まれる。このように支持部材26のラベル支持面側にラベル6が送り込まれたことをラベル検出センサー27が検出すると、ラベル送りモータ23が停止し、ラベル送り動作が完了する。すなわち、ラベル検出センサー27は、ラベル送りモータ23の駆動および停止(ON/OFF)を切り替える切り替えスイッチの役割を担う。なお、ラベル送り動作が完了した状態で、送り込まれたラベル6の上端部(表示部6b)は、ラベル送りローラ24とストックラベルとの間に挟持され、これにより支持部材26のラベル支持面側に送り込まれたラベル6の脱落が防止されるようになっている(以上、図6を参照)。すなわち、ラベル送りローラ24は、ラベル送りの機能と、ラベル保持の機能とを兼ね備えている。
【0034】
(b)ラベル溶着ステップ(ポット構体製作ステップ)
以上のようにして運転準備ステップが完了すると、図5に示すように、搬入アーム14が図中X1方向に平行移動し、保持部14a内に保持された苗ポット2が昇降テーブル13に搬入、載置される。昇降テーブル13上に苗ポット2が載置されたことを第2ポット検出センサー18が検出すると共に、搬入アーム14が左端限まで移動すると、昇降テーブル13が上昇移動して苗ポット2が所定高さまで搬送され、これにより、苗ポット2の側壁部3が、超音波ホーン21aとラベル6の間に入り込む(図6を参照)。昇降テーブル13が上昇限まで上昇移動すると、超音波溶着機21が支持部材26に対して接近移動する。超音波ホーン21aと支持部材26との間に苗ポット2の側壁部3およびラベル6が挟持された状態で超音波溶着機21が前進限まで移動すると、超音波発振器21bから所定時間超音波が発振され、苗ポット2の側壁部3にラベル6の取付部6bが溶着されてなるポット構体1が製作される。そして、所定時間が経過すると、超音波溶着機21が後退移動を開始し、また、昇降テーブル13が下降移動を開始する(ポット構体1が支持部材26から離反する方向に移動する)。
【0035】
上述のとおり、この製作装置10に供給される苗ポット2には培土7が充填され、かつラベル6は苗ポット2の側壁部3に溶着されていることから、昇降テーブル13が下降すると、ラベル送りローラ24とストックラベルとの間に上端部が挟持されたラベル6(苗ポット2の溶着されたラベル6。すなわちポット構体1を構成するラベル6)は、ポット構体1の自重によってラベル送りローラ24とストックラベルとの間から引き抜かれる。このとき、上述のとおり、ラベル検出センサー27がラベル送りモータ23の駆動および停止の切り替えスイッチの役割を担っていることから、ラベル6の引き抜きが完了し、さらに支持部材26のラベル支持面側にラベル6が無くなったことをラベル検出センサー27が検出するまでラベル送り機構22(ラベル送りモータ23)は駆動しない。ポット構体1が所定量下降した後(例えば昇降テーブル13が下降限まで下降した後)、ラベル送りモータ23が駆動し、次に溶着されるべきラベル6が超音波溶着機21と支持部材26との間に送り込まれる。
【0036】
かかる構成を採用することにより、超音波溶着機21と支持部材26との間にラベル6が重複供給されるような事態を防止することができる。従い、苗ポット2の側壁部3にラベル6を精度良く溶着することができることに加え、装置の誤動作や装置故障を未然に防止することができる。特に、ラベル検出センサー27を支持部材26に設けたことから、上記構成を比較的容易にかつ確実に得ることができる。すなわち、支持部材26はラベル6の一方の面を支持するものであるから、支持部材26にラベル検出センサー27を設けておけば、超音波溶着機21と支持部材26との間にラベル6が有るのか無いのかを容易かつ正確に検出することができるからである。
【0037】
以上のようにしてポット構体1が製作され、さらに昇降テーブル13が原点復帰する間に、搬入アーム14は、第1搬送手段11の搬送路11a上を下流側に搬送される苗ポット2(次にラベル6が溶着されるべき苗ポット2’)を保持しに行くように構成されている。苗ポット2’の保持に至るまでの搬入アーム14の動作は次のとおりである。まず、搬入アーム14が苗ポット2を昇降テーブル13上に載置するようにして左端限まで平行移動すると、搬入アーム14はY2方向に後退移動する。次いで、図7に示すように、搬入アーム14は、X2方向に平行移動し、これが右端限まで至ると、搬入アーム14はY1方向に前進移動し、保持部14a内に苗ポット2’を保持する。
【0038】
上記のように搬入アーム14が前進限まで移動し、保持部14a内に苗ポット2’を保持すると、係止部材16がY2方向に後退移動し、係止部材16によって下流側への搬送が規制されていた苗ポット2”(苗ポット2’の上流側に隣接する苗ポット)の下流側への搬送が再開される(図7を参照)。そして、下流側へ搬送される苗ポット2”を第1ポット検出センサー17が検出すると、係止部材16がY1方向に前進移動し、苗ポット2”の上流側で係止部材16が搬送路11aを横断する(図8を参照)。
【0039】
(c)ポット排出・搬入ステップ
昇降テーブル13が原点復帰すると共に、係止部材16が前進限まで前進移動すると、保持部14a内に苗ポット2’を保持した搬入アーム14が、図8に示すようにX1方向に平行移動する。この搬入アーム14のX1方向への平行移動に伴い、ポット構体1の第2搬送手段12への排出(払い出し)と、苗ポット2’の昇降テーブル13への搬入とが連続的に行われる。すなわち、搬入アーム14のX1方向への平行移動に伴い、ポット構体1が保持部14aによってX1方向に加圧される結果、ポット構体1は徐々にX1方向に平行移動する。そして、搬入アーム14がX1方向へ所定量平行移動すると、ポット構体1の第2搬送手段12への排出が完了する。搬入アーム14のX1方向への平行移動がさらに進行すると、苗ポット2’が昇降テーブル13に搬入・載置される。昇降テーブル13上に載置された苗ポット2’は、上述した(b)ラベル溶着ステップに供される。なお、図示は省略しているが、第2搬送手段12に排出されたポット構体1は第2搬送手段12によって下流側に搬送され、そして整列される。
【0040】
そして、以上で説明した(b)ラベル溶着ステップと、(c)ポット排出・搬入ステップとを連続して行うことにより、苗ポット2の側壁部3にラベル6を溶着してなるポット構体1が自動的に連続生産される。
【0041】
以上に示すように、本発明に係るポット構体製作装置10を用いた場合、溶着条件を適切に設定しておけば、ラベル6の取り付け強度の高いポット構体1を自動で連続生産することができる。そのため、従来のように手作業でポット構体1を製作する場合に比べ、ポット構体1を効率的に製作することができ、ポット構体1の製作コストを低廉化することができる。特に、搬入アーム14を、昇降テーブル13に載置されたポット構体1の下流側(第2搬送手段12)への排出と、昇降テーブル13への苗ポット2’の搬入とを連続的に行うように構成したので、各ステップ間でタイムラグが生じる事態を極力回避して、ポット構体1を一層効率的に製作することができる。
【0042】
また、本発明でいう搬送手段としての第1搬送手段11を常時搬送駆動しているが、第1搬送手段11の搬送路11a上に、搬送路11aに対して進退可能で、前進状態で苗ポット2と係合して、苗ポット2の下流側への搬送を一時的に停止させる係止部材16を設けた。このようにすれば、本実施形態のように搬送路11a上に苗ポット2を連続的に供給した場合であっても、搬送路11aの下流端から苗ポット2が脱落するような事態を回避しつつ、搬送路11a上の最も下流側にある苗ポット2の昇降テーブル13への搬入、ひいてはポット構体1の製作を適切に行うことができる。
【0043】
また溶着手段20を構成する溶着機として超音波溶着機21を用いるようにしたので、高周波溶着機等、その他の種類の溶着機を用いる場合に比べ、苗ポット2とラベル6の溶着に要する時間は短くとも足りる。そのため、溶着ステップのサイクルタイムを減じてポット構体1の生産効率を高めることができる。また、超音波溶着機21は、上記その他の溶着機に比べてポット構体製作装置10の簡素化およびコンパクト化を図る上で有利である。さらに、超音波溶着機21は、基本的には熱可塑性樹脂同士であればいかなる樹脂の組み合わせであっても溶着可能であるから、苗ポット2やラベル6の形成用樹脂材料の選択自由度が高く、汎用性に富むというメリットもある。
【0044】
本発明に係るポット構体製作装置10は上記実施形態に限定されず、種々の変更を加えることももちろん可能である。例えば、昇降テーブル13は、苗ポット2の外底面を支持する内径部と、苗ポット2の下端外径面を拘束し得る外径部とが鉛直方向に相対移動可能なものとすることができる。かかる構成において、ポット搬入および排出時には内径部と外径部とを同一平面上に位置させるようにする一方、昇降テーブル13の昇降時(ラベル6溶着時)には両者間に所定の段差が形成されるように構成すれば、昇降テーブル13昇降時におけるポットの脱落を効果的に防止しつつ、ポット搬入および排出を一層スムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るポット構体の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すポット構体の断面図である。
【図3】本発明に係るポット構体製作装置を模式的に示す概略平面図であり、図1に示すポット構体を製作するための製作装置の概略平面図である。
【図4】(a)〜(c)図は、図3に示すポット構体製作装置の運転準備ステップの各段階を模式的に示す概略平面図である。
【図5】ポット搬入ステップを模式的に示す概略平面図である。
【図6】ラベル溶着ステップを模式的に示す概略断面図である。
【図7】ラベル溶着ステップ中における搬入アーム等の動作態様を模式的に示す概略平面図である。
【図8】ポット排出・搬入ステップを模式的に示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ポット構体
2、2’、2” 苗ポット
3 側壁部
6 ラベル
10 ポット構体製作装置
11 第1搬送手段
11a 搬送路
12 第2搬送手段
13 昇降テーブル
14 搬入アーム
16 係止部材
17 第1ポット検出センサー
18 第2ポット検出センサー
20 溶着手段
21 超音波溶着機
22 ラベル供給機構
26 支持部材
27 ラベル検出センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗ポットの側壁部にラベルを溶着してなるポット構体の製作装置であって、
搬送路上に供給された苗ポットを下流側に搬送する搬送手段と、該搬送手段の下流側に配設され、苗ポットを載置して昇降させる昇降テーブルと、該昇降テーブルの上方に配設され、苗ポットにラベルを溶着してポット構体を製作する溶着手段と、前記搬送手段と前記昇降テーブルとの間を往復動し、前記搬送路上の最も下流側にある苗ポットを前記昇降テーブルに搬入する搬入アームとを備え、
前記搬入アームが、前記昇降テーブルに載置されたポット構体の下流側への排出と、前記昇降テーブルへの苗ポットの搬入とを連続的に行うように構成されていることを特徴とするポット構体製作装置。
【請求項2】
前記搬送手段は常時搬送駆動されるものであり、
前記搬送路に対して進退可能に設けられ、前進状態で苗ポットを係止して、苗ポットの下流側への搬送を一時的に停止させる係止部材をさらに備える請求項1に記載のポット構体製作装置。
【請求項3】
前記溶着手段は、超音波溶着機と、ラベルの一方の面を支持する支持部材と、前記超音波溶着機と前記支持部材との間にラベルを供給するラベル供給機構とを有する請求項1又は2に記載のポット構体製作装置。
【請求項4】
苗ポットの側壁部にラベルを溶着してなるポット構体の製作装置であって、
超音波溶着機と、ラベルの一方の面を支持する支持部材と、前記超音波溶着機と前記支持部材との間にラベルを供給するラベル供給機構とを有し、
ラベルの他方の面側に苗ポットの側壁部を配置した後、前記超音波溶着機と前記支持部材とを相対的に接近移動させることにより、苗ポットの側壁部にラベルを溶着してなるポット構体を製作し、その後、ラベル供給機構を停止させた状態でポット構体を前記支持部材に対して離反移動させるように構成したことを特徴とするポット構体製作装置。
【請求項5】
前記支持部材にラベル検出センサーを設け、該ラベル検出センサーで前記ラベル供給機構の駆動および停止の切り替えを制御する請求項3又は4記載のポット構体製作装置。
【請求項6】
苗ポットの側壁部にラベルを溶着してなるポット構体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−136693(P2010−136693A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317290(P2008−317290)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(591268368)アンドウケミカル株式会社 (9)
【Fターム(参考)】