説明

ポリアスパラギン酸誘導体およびそれを含有するナノ粒子

【課題】ナノ粒子を形成しやすく、且つ該ナノ粒子中に難溶性薬剤を内包しやすい性質を有する、難溶性薬剤の可溶化剤として好適なポリアスパラギン酸誘導体を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される繰り返し単位を含む、重量平均分子量が20,000以上のポリアスパラギン酸誘導体であって、水性媒体中で平均粒径が450〜650nmのナノ粒子を形成することができる、ポリアスパラギン酸誘導体を提供する。


式中、Rは、-NHR1又は-OX(Xは水素又は金属イオン根を表す)を表し、ここで、Rが-NHR1である割合は全Rの1〜40%であり、R1は、炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノ粒子を形成させるに有用なポリアスパラギン酸誘導体及びそれをシェル形成に用いたナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品製剤においては、難溶性薬剤の生体利用率を向上させることは長い間の課題であり続けている。このような課題に対して開発された技術としては、例えば、リポソーム中に薬剤を内包させる方法などがあげられる(非特許文献1参照)。この技術によっても薬剤の生体利用率の向上は認められたが、十分なものではなかった。近年ではナノ粒子技術が開発され、ナノ粒子が難溶性薬剤の吸収性を向上させるとの報告がある(非特許文献2参照)が、この技術では難溶性薬剤の内包化は十分ではなかった。
【0003】
一方、ポリアミノ酸誘導体を用いた薬剤の可溶化技術が知られており(特許文献1参照)、架橋ポリアミノ酸及び有用成分を含有する粒子とその製造方法についても知られている(特許文献2参照)。また、ポリアスパラギン酸を結晶化制御剤として、沈降炭酸カルシウムのナノ粒子を作製する技術も知られている(特許文献3参照)。しかしながら、ポリアミノ酸又はその誘導体が薬剤の担体としてのナノ粒子の作製に好適であること、即ち、ポリアミノ酸又はその誘導体がシェルとしてのナノ粒子を形成しやすく、且つ、薬剤を内包しやすい性質を有することは全く知られていない。
【非特許文献1】Am. J. Vet. Res. 2002 Sep;63(9):1309-12.
【非特許文献2】J. Drug Target. 2002 Sep;10(6):489-95
【特許文献1】特開平11−292965号公報
【特許文献2】特開2001−131283号公報
【特許文献3】特表2004−533396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ナノ粒子を形成しやすく、且つ該ナノ粒子中に難溶性薬剤を内包しやすい性質を有する、難溶性薬剤の可溶化剤として好適なポリアスパラギン酸誘導体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題の解決のため鋭意研究を重ねた結果、フリーのカルボキシル基の一部に脂肪族アミンをアミド結合で導入したポリアスパラギン酸誘導体において、脂肪族アミンの導入の程度と該ポリアスパラギン酸誘導体の重量平均分子量とを調節することにより、該ポリアスパラギン酸誘導体に対してナノ粒子形成に好適な性質を付与できることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)一般式(1)で表される繰り返し単位を含む、重量平均分子量が20,000以上のポリアスパラギン酸誘導体であって、水性媒体中で平均粒径が450〜650nmのナノ粒子を形成することができる、ポリアスパラギン酸誘導体。
【化1】

式中、Rは、-NHR1又は-OX(Xは水素又は金属イオン根を表す)を表し、ここで、Rが-NHR1である割合は全Rの1〜40%であり、R1は、炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基を表す。
(2)前記炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基が炭素数10〜30のアルキル基であることを特徴とする、(1)に記載のポリアスパラギン酸誘導体。
(3)(1)又は(2)に記載のポリアスパラギン酸誘導体により形成されるシェルに、有効成分を内包してなる、ナノ粒子。
(4)有効成分がビタミン、テルペン、アルキルレゾルシノール誘導体、免疫抑制剤、抗ウィルス剤、ステロイドから選ばれるものであることを特徴とする(3)に記載のナノ粒子。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリアスパラギン酸誘導体を用いることにより、容易にナノ粒子を形成させ、かつ、その粒子中に難溶性薬剤を内包させることができる。水に難溶性の薬剤を本発明のナノ粒子中に封入することにより、水に可溶化することができる。その結果、薬剤の血中安定性が高まり、静脈内投与が可能になる。さらに、体内における薬剤の放出をコントロールすることも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のポリアスパラギン酸誘導体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリアスパラギン酸誘導体である。
【0009】
【化2】

【0010】
本発明のポリアスパラギン酸誘導体においては、全ての繰り返し単位がα結合で結合していても良く、全ての繰り返し単位がβ結合で結合していても良い。あるいは、α結合で結合している繰り返し単位とβ結合で結合している繰り返し単位とが、任意の位置及び比率で混在していても良い。
【0011】
式中、Rは、-NHR1(R1は脂肪族炭化水素基を表す)又は-OX(Xは水素又は金属イオン根を表す)を表す。
【0012】
本発明のポリアスパラギン酸誘導体において、Rが−NHR1である割合は全Rの1〜
40%であることが好ましい。この割合は、1H−NMRの測定により求めることができる。R1で表される脂肪族炭化水素基は、炭素数が10〜30であることが好ましく、炭素数が10〜20であることがより好ましく、また、不飽和結合を有しても、分岐構造を有してもよいが、直鎖のアルキル基であることが好ましい。直鎖のアルキル基としては、例えば、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。これらの内、ドデシル基、ヘキサデシル基が好ましい。また、Xで表される金属イオン根としては、アルカリ金属が好ましく、通常、ナトリウム又はカリウムが用いられる。
【0013】
本発明のポリアスパラギン酸誘導体の重量平均分子量は、20,000〜40,000であることが好ましく、20,000〜30,000であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により決定でき、例えば、カラムとしてHLC−8120GPC(東ソー製品)、検出器として示差屈折計を用いて、ポリスチレン換算値として算出することができる。
【0014】
本発明のポリアスパラギン酸誘導体を水性媒体に溶解させた場合、該ポリアスパラギン酸誘導体をシェルとするナノ粒子が形成される。ここで、水性媒体とは、水、又は、水と他の溶媒との混合物を意味する。他の溶媒は、水と一相に混合できる溶媒であることが好ましく、例えば、エタノール等のアルコール類が挙げられる。水の含量は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。さらに、水性媒体は、クエン酸、リン酸等の溶質を含んでいてもよい。本発明のポリアスパラギン酸誘導体は、純水中で平均粒径450〜650nmのナノ粒子を形成する。なお、ナノ粒子の粒径は粒度分布計により測定できる。
【0015】
本発明のポリアスパラギン酸誘導体は、例えば、アスパラギン酸の重縮合反応によりポリスクシンイミドを製造し、該ポリスクシンイミドに、イミド環との反応性を有する官能基と脂肪族炭化水素基とを有する化合物を反応させ、次いで該反応生成物を加水分解することにより製造できる。イミド環との反応性を有する官能基と脂肪族炭化水素基とを有する化合物の好ましい一例として、モノアルキルアミンが挙げられる。
【0016】
前記モノアルキルアミンの例としては、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等が挙げられるが、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミンが好ましい。
【0017】
ポリスクシンイミドの製造に用いるアスパラギン酸は、D体でもL体でもそれらの混合物でも良い。重縮合反応時、触媒を使用すると重合速度、重合度が向上するため好ましい。触媒としては酸触媒が好ましく、例えばリン酸などが挙げられる。酸触媒はアスパラギン酸モノマー100重量部に対し、30重量部以下で用いることが好ましい。
【0018】
反応時に使用する溶媒は、前記イミド環との反応性を有する官能基と脂肪族炭化水素基とを有する化合物及びポリスクシンイミドを溶解する溶媒が好ましく、例えばN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。使用する溶媒量は、好ましくはポリスクシンイミド100重量部に対して、100〜1,000重量部である。脂肪族炭化水素基が導入されたポリスクシンイミドは常法により単離できる。一例として、該脂肪族炭化水素基が導入されたポリスクシンイミドに対する貧溶媒中に放出して析出させる方法が挙げられる。
【0019】
上記製造法により得られた脂肪族炭化水素基が導入されたポリスクシンイミドを加水分解し、残存するイミド環を開環させることにより、遊離カルボキシル基の一部にアミド結合を介して脂肪族炭化水素基が結合したポリアスパラギン酸が得られる。加水分解は常法に従って行うことができるが、代表的な例として、J.Am.Chem.Soc. 1985; 80: 3361
、米国特許第5,221,733号明細書、米国特許第5,288,783号明細書等に記載される方法が挙げられる。例えば、前記脂肪族炭化水素基が導入されたポリスクシンイミド100重量部に対して500〜2,000重量部の水を加え、更に前記イミド環に対して等モル以上の量となるアルカリ金属水酸化物を加えて、低温で1日反応させる。これによりイミド環の殆どが開環する。なお、アルカリ金属水酸化物としては、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが用いられる。
【0020】
上記方法により得られる加水分解生成物は、遊離カルボキシル基の一部にアミド結合を介して脂肪族炭化水素基が結合したポリアスパラギン酸のアルカリ金属塩であるが、このような塩も本発明のポリアスパラギン酸誘導体に含まれる。
【0021】
上記製造法により得られたポリアスパラギン酸誘導体を溶媒に溶解させると、該ポリアスパラギン酸誘導体をシェルとするナノ粒子が形成される。溶媒としては前記水性媒体が好ましい。
【0022】
前記ナノ粒子はカルボキシル基を親水部、脂肪族炭化水素基を疎水部に持ち、疎水部を内側にしたシェルを形成する。このシェル内に有効成分を内包させることができる。該ナノ粒子に対して内包させる有効成分の量は、前記ポリアスパラギン酸誘導体100重量部に対して0.1重量部〜1,000重量部であることが好ましい。
【0023】
前記ナノ粒子に内包させる有効成分としては難溶性薬剤が挙げられる。具体的には、トコフェノール、レチノール、レチノイン酸、リボフラビン、ピリドキシン、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル塩等のビタミン類、ウルソール酸、ウルソール酸ベンジル、その他ウルソール酸誘導体等のテルペン類、4−n−ブチルレゾルシノールに代表されるアルキルレゾルシノール誘導体、シクロスポリンに代表される免疫抑制剤、ビダラビンに代表される抗ウィルス剤、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、リン酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、ベタメゾン、リン酸ベタメタゾン、エストラジオール等のステロイド類が挙げられる。
【0024】
有効成分を本発明のポリアスパラギン酸誘導体により形成されるナノ粒子に内包させる方法としては、ポリアスパラギン酸誘導体を含む溶液と難溶性薬剤の溶液とを混合し、相を転移させる方法が挙げられる。ここで、難溶性薬剤を溶解させる溶媒としては、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、エタノール、メタノール等が好ましい。また、ポリアスパラギン酸誘導体を溶解する溶媒としては水性媒体が好ましい。この方法により、難溶性薬剤は前記ナノ粒子の内部に取り込まれ、本発明のポリアスパラギン酸誘導体をシェルとし、コア部に難溶性薬剤を担持するナノ粒子が形成される。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例により限定されるものではない。
【0026】
分析方法
1)重量平均分子量は、GPCによりポリスチレン換算値として算出した。分析条件を以下に示した。カラム;5μm HLC−8120 GPC(東ソー製品)4本、溶離液;臭化リチウム一水和物を0.01mol/L溶解させたジメチルホルムアミド、検出器;示差屈折計。
2)ポリアスパラギン酸誘導体におけるアルキル基の導入量は、1H−NMRの測定より求めた。
3)本発明のポリアスパラギン酸誘導体により形成される微粒子の粒子径の測定は、ポリアスパラギン酸誘導体を純水中に十分溶解させ、粒度分布計(コールター社)を用いて行
った。
4)本発明のナノ粒子内に内包された有効成分の量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。なお、ここでは有効成分の例としてウルソール酸ベンジルを用いた。
【0027】
<製造例>
ポリスクシンイミドの製造
窒素ガス雰囲気下、約67gのL−アスパラギン酸と85%リン酸28g、及び水5gをナスフラスコ内で十分に混合した。重縮合反応は、エバポレーター(SHIBATA社)を用い、以下の通り行った。減圧下、180℃で6時間以上反応を行い、得られた生成物をN,N−ジメチルホルムアミドに分散させ、室温で攪拌し溶解させた。次にこの溶液を純水中に添加し、沈殿物を減圧濾過により回収した。この作業をリン酸が除去されるまで繰り返し行った。リン酸が除去された沈殿物を真空乾燥機にて3日〜4日程度乾燥させ、完全に水分を除去した。ここで得られたポリスクシンイミドの重量平均分子量は、20,000であった。
【0028】
<実施例1>
ポリアスパラギン酸誘導体の製造
4つ口ナスフラスコに前記ポリスクシンイミド(10.0g)及び60mLのN,N−ジメチルホルムアミドを仕込みポリスクシンイミドを溶解させた。続いて0.95gのドデシルアミンを反応液に加えた後、窒素雰囲気下で8時間攪拌を行った。反応終了後、反応混合液を純水にゆっくり滴下することにより晶析し、生成した固体を減圧濾過した後メタノールで洗浄し、その後、真空乾燥機を用いて3日以上乾燥させることにより、黄白色の粉末9.75gを得た。1H−NMRによる測定ではドデシル基の導入率は5.2%だった。
【0029】
次に、加水分解を行うため、ビーカーに97%水酸化ナトリウム(3.82g)及び純水を仕込み、水酸化ナトリウムを溶解させた。次いで上記黄白色の粉末9.75gを少量ずつ添加し、2℃にて24時間攪拌を行った。得られた反応液を濃縮し、メタノールに少量ずつ滴下することにより晶析した。生成した固体を減圧濾過した後、真空乾燥機を用いて3日以上乾燥させ水分を完全に除去し、白色の固体9.56gを得た。
【0030】
次に、ナノ粒子を形成させるため、20mL容サンプル瓶に上記で得られた粉末を純水100重量部に対して4重量部を添加し、1時間ほど室温で放置した。この水溶液10mLに対して、ウルソール酸ベンジル5mgをクロロホルム10mLに溶解させた溶液をゆっくり添加し、緩やかに1時間攪拌した。次にこの混合液を減圧処理し、クロロホルムをほぼ完全に除去した。得られた水溶液に対して遠心分離を行い、沈殿したウルソール酸ベンジルを分離、除去し、最終的にウルソール酸ベンジルを内包したナノ粒子を含む水溶液を得た。ここで得られたナノ粒子含有水溶液を水溶液Aとした。水溶液Aにおけるポリアスパラギン酸誘導体により形成されたナノ粒子の粒子径の測定結果を表1に示した。また、水溶液Aに含まれるウルソール酸ベンジル量の測定結果を図1に示した。
【0031】
<実施例2>
ポリアスパラギン酸誘導体の製造
4つ口ナスフラスコに前記ポリスクシンイミド(10.0g)及び60mLのN,N−ジメチルホルムアミドを仕込みポリスクシンイミドを溶解させた。続いて1.90gのドデシルアミンを反応液に加えた後、窒素雰囲気下で8時間攪拌を行った。反応終了後、反応混合液を純水にゆっくり滴下することにより晶析し、生成した固体を減圧濾過した後メタノールで洗浄し、その後、真空乾燥機を用いて3日以上乾燥させることにより、黄白色の粉末8.56gを得た。1H−NMRによる測定ではドデシル基の導入率は5.2%だ
った。
【0032】
次に、加水分解を行うため、ビーカーに97%水酸化ナトリウム(3.17g)及び純水を仕込み、水酸化ナトリウムを溶解させた。次いで上記黄白色粉末8.56gを少量ずつ添加し、2℃にて24時間攪拌を行った。得られた反応液を濃縮し、メタノールに少量ずつ滴下することにより晶析した。生成した固体を減圧濾過した後、真空乾燥機を用いて3日以上乾燥させ水分を完全に除去し、白色の固体7.87gを得た。
【0033】
次に、ナノ粒子を形成させるため、20mL容サンプル瓶に上記で得られた粉末を純水100重量部に対して4重量部を添加し、1時間ほど室温で放置した。この水溶液10mLに対してウルソール酸ベンジル(5mg)をクロロホルム10mLに溶解した溶液をゆっくり添加し、緩やかに1時間攪拌した。次にこの混合液を減圧処理し、クロロホルムをほぼ完全に除去した。得られた水溶液に対して遠心分離を行い、沈殿したウルソール酸ベンジルを分離、除去し、最終的にウルソール酸ベンジルを内包したナノ粒子を含有する水溶液を得た。ここで得られたナノ粒子含有水溶液を水溶液Bとした。水溶液Bにおけるポリアスパラギン酸誘導体により形成されたナノ粒子の粒子径の測定結果を表1に示した。また、水溶液Bに含まれるウルソール酸ベンジル量の測定結果を図1に示した。
【0034】
【表1】

【0035】
<比較例>
20mL容サンプル瓶に純水(10mL)を入れ、ウルソール酸ベンジル(5mg)をクロロホルム10mLに溶解した溶液をゆっくり添加し、緩やかに1時間攪拌した。次に減圧下でクロロホルムをほぼ完全に除去した。得られた水溶液を遠心分離し、沈殿したウルソール酸ベンジルを分離、除去し、上清を分析に供した。上清中のウルソール酸ベンジル濃度の測定結果を図1に示した(H2Oのみ)。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のポリアスパラギン酸誘導体により形成されるナノ粒子を含有する水溶液中(水溶液A及び水溶液B)、並びに純水中のウルソール酸ベンジル量を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される繰り返し単位を含む、重量平均分子量が20,000以上のポリアスパラギン酸誘導体であって、水性媒体中で平均粒径が450〜650nmのナノ粒子を形成することができる、ポリアスパラギン酸誘導体。
【化1】

式中、Rは、-NHR1又は-OX(Xは水素又は金属イオン根を表す)を表し、ここで、Rが-NHR1である割合は全Rの1〜40%であり、R1は、炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基を表す。
【請求項2】
前記炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基が炭素数10〜30のアルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアスパラギン酸誘導体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリアスパラギン酸誘導体により形成されるシェルに、有効成分を内包してなる、ナノ粒子。
【請求項4】
有効成分がビタミン、テルペン、アルキルレゾルシノール誘導体、免疫抑制剤、抗ウィルス剤、ステロイドから選ばれるものであることを特徴とする請求項3に記載のナノ粒子。

【図1】
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【公開番号】特開2008−24866(P2008−24866A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200594(P2006−200594)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】