ポリアゾールの架橋体、その製造方法、それを含む燃料電池用電極と電解質膜、その製造方法及びそれを含む燃料電池
【課題】ポリアゾールの架橋体、その製造方法、それを含む燃料電池用電極、燃料電池用電解質膜、燃料電池用電解質膜の製造方法及びそれを含む燃料電池の提供。
【解決手段】下記の化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール及びベンゾオキサジン系モノマーを含む組成物。
【解決手段】下記の化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール及びベンゾオキサジン系モノマーを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリアゾールの架橋体、その製造方法、それを含む燃料電池用電極、燃料電池用電解質膜、その製造方法及びそれを含む燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子電解質でもって高分子電解質膜を使用した燃料電池は、動作温度が比較的低温であると同時に小型化できるため、電気自動車や家庭用分散発電システムの電源として期待されている。高分子電解質膜燃料電池に使われる高分子電解質膜としては、ナフィオン(登録商標)で代表されるパーフルオロカルボンスルホン酸系ポリマー膜が使われている。
【0003】
しかし、このタイプの高分子電解質膜がプロトン伝導を発現するためには、水分が必要なため、加湿が必要である。また、電池システム効率を高めるために100℃以上の温度での高温運転が求められるが、この温度では電解質膜内の水分が蒸発して枯渇し、固体電解質としての機能が失われるという問題がある。
【0004】
これらの従来の技術に起因する問題を解決するために、無加湿でありつつも100℃以上の高温で作動できる無加湿電解質膜が開発されている。前記無加湿電解質膜の構成材料として、燐酸がドーピングされたポリベンズイミダゾールなどの材料が開示されている。
【0005】
高温(150〜200℃)で作動させる燐酸型燃料電池では、電解質として液体である燐酸を使用するが、この液状の燐酸が電極内に多量で存在してガス拡散を阻害させる。したがって、電極触媒に撥水材であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を混合し、電極内の細孔が燐酸によって閉塞されることを防止できる電極触媒層が使われている。
【0006】
また、高温無加湿電解質である燐酸を保持するポリベンズイミダゾール(PBI)を電解質膜に使用した燃料電池では、電極と電解質膜との界面接触を良好にするために、液状の燐酸を電極に含浸させることが試みられ、金属触媒のローディング含有量を高める試みが行われたが、満足すべき特性として機械的特性、化学的安定性及び燐酸保液能を得難くて改善の余地が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
物理化学的な特性及び広い温度範囲で燐酸を保有する能力が向上した組成物、ポリアゾールの架橋体、その製造方法、それを含む燃料電池用電極及び燃料電池用電解質膜、その製造方法及びそれを含む燃料電池が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によって、下記の化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、及びベンゾオキサジン系モノマーを含み、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である組成物が提供される。
【0009】
【化1】
【0010】
前記式中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されて、C4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは、0.01ないし1であり、aは、0または1である。
【0011】
本発明の他の側面によって、前述した組成物の架橋反応を通じて得られた架橋体であるポリアゾールの架橋体が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の側面によって、下記の化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー、及び燐酸系物質を混合する工程と、前記混合物を熱処理する工程と、を含んで、前記ポリアゾールの架橋体を得て、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である組成物が提供される。
【0013】
【化2】
【0014】
前記式中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは、0.01ないし1であり、aは、0または1である。
【0015】
本発明のさらに他の側面によって、前述した組成物または前述したポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電解質膜が提供される。
【0016】
本発明の他の側面によって、下記の化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、燐酸系物質及びベンゾオキサジン系モノマーを混合する第1工程と、前記混合物を基板にキャスティングし、これを熱処理する第2工程と、前記熱処理された結果物を燐酸系物質に含浸させる第3工程と、前記結果物を乾燥する第4工程とを含んで、燃料電池用電解質膜を得て、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である燃料電池用電解質膜の製造方法が提供される。
【0017】
【化3】
【0018】
前記式中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは0.01ないし1であり、aは、0または1である。
【0019】
前記第3工程以前に、−20ないし30℃、相対湿度5ないし50%条件で恒温恒湿処理する工程をさらに含む。
【0020】
前記化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、燐酸系物質及びベンゾオキサジン系モノマーを混合する第1工程は、前記ポリアゾール及び燐酸系物質を100ないし160℃で攪拌した後、これをベンゾオキサジン系モノマーと混合する。
【0021】
本発明のさらに他の側面によって、前述した組成物、または前述したポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電極が提供される。
【0022】
本発明のさらに他の側面によって、カソード、アノード及びこれらの間に介在された電解質膜を備え、前記カソード、アノード及び電解質膜のうち選択された一つ以上が、前述した組成物または前述したポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電極が提供される。
【発明の効果】
【0023】
物理化学的な安定性に優れたポリアゾールの架橋体が提供される。これを利用すれば、広い温度範囲で燐酸を保有する能力が改善されて長期耐久性が確保され、水素イオン伝導度特性が向上した燃料電池用電極及び電解質膜を製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】合成例1Aによって製造された共重合架橋体の固体状態の核磁気共鳴(NMR)スペクトルである。
【図1B】合成例1Aないし1Cによって製造された共重合架橋体のIR(Infrared)分析スペクトルである。
【図1C】実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、電解質膜が保有する燐酸の含有量を示したグラフである。
【図1D】実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、引張強度を示したグラフである。
【図1E】実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、破断強度を示したグラフである。
【図1F】実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、電解質膜の厚さによる燐酸含有量変化を示したグラフである。
【図2】合成例1AによるABPBI及び合成例3によって製造された共重合架橋体の固体状態核磁気共鳴スペクトルである。
【図3】製作例1、製作例8及び比較製作例1によって製造された燃料電池において、温度による伝導度変化を示したグラフである。
【図4】製作例1及び製作例4によって製造された燃料電池において、電流密度によるセル電圧特性を示したグラフである。
【図5】製作例1による燃料電池において、経時的なセル電圧変化を示したグラフである。
【図6】製作例6A〜6C及び比較製作例1によって製造された燃料電池において、温度による伝導度変化を示したグラフである。
【図7】製作例6A及び比較製作例4による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を示したグラフである。
【図8】製作例6Aによる燃料電池において、経時的なセル電圧変化を示したグラフである。
【図9】製作例7による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を示したグラフである。
【図10】製作例8による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を示したグラフである。
【図11】製作例8による燃料電池において、経時的なセル電圧変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
下記の化学式1で表示される第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールと、ベンゾオキサジン系モノマーとを含む組成物、及びこの組成物の架橋反応を通じて得られた架橋体であるポリアゾールの架橋体が提供される。特定化学式または化学式のグループにおいて記述されるAr、R1、R2、X、Aなどのような置換基または変数の定義は、その特定化学式及び化学式のグループに対してのみ適用され、他の化学式または他の化学式に示した同じ置換基または変数定義にまで適用されるものではない。
【0026】
【化4】
【0027】
前記式中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、
mは、ポリアゾールで第1反復単位の相対的なモル含有量を示し、0.01ないし1であり、
aは、0または1である。
【0028】
前記アゾール第2反復単位は、少なくとも一つのアミノ基を持つ。
【0029】
前記ポリアゾール反復単位を構成する百分率として、化学式1の第1反復単位とアゾール第2反復単位との総和を1とすれば、前記化学式1の第1反復単位の混合比が0.01ないし1である場合、前記アゾール第2反復単位の混合比は0ないし0.99である。これをさらに説明すれば、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である。
【0030】
これと関連してアミノ基は、アリール環の一部分またはアリール環の置換基部分であって、1次アミノ基、2次アミノ基または3次アミノ基として存在できる。
【0031】
前記アゾール第2反復単位は、米国特許第2005/256296号明細書に公示されているポリアゾール系物質が有している反復単位をいう。
【0032】
非制限的な例として、前記ポリアゾール系物質は、下記の化学式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIIIまたはXIVで表示されるアゾールユニットを含む。
【0033】
【化5】
【化6】
【化7】
【0034】
前記化学式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII及びXIVで、Arは、互いに同一または相異なり、これらそれぞれは、単環または多環である4価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar1は、互いに同一または相異なり、これらそれぞれは単環または多環である2価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar2は、互いに同一または相異なり、これらそれぞれは単環または多環である2価または3価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar3は、互いに同一または相異なり、単環または多環である3価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar4は、互いに同一または相異なり、これらそれぞれは単環または多環である3価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar5は、互いに同一または相異なり、これらそれぞれは単環または多環である4価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar6は、互いに同一または相異なり、単環または多環である2価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar7は、互いに同一または相異なり、単環または多環である2価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar8は、互いに同一または相異なり、単環または多環である3価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar9は、互いに同一または相異なり、単環または多環である2価、3価または4価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar10は、互いに同一または相異なり、単環または多環である2価または3価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar11は、互いに同一または相異なり、単環または多環である2価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Xは、同一または相異なり、酸素、硫黄または−N(R’)であり、前記R’は、水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基であり、
Rは、同一または相異なり、水素、C1−C20アルキル基またはC6−C20アリール基を表して、
nは、ポリアゾールでアゾール第2反復単位の相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99であり、kは、2ないし10の整数である。
【0035】
前記アリールまたはヘテロアリール基は、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、ビピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、テトラアジン、ピロール、ピラゾール、アントラセン、ベンゾピロール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサチアゾール、ベンゾオキサチアゾール、ベンゾピリジン、ベンゾピラジン、ベンゾピラジジン、ベンゾピリミジン、ベンゾトリアジン、インドリジン、キノリジン、ピリドピリジン、イミダゾピリミジン、ピラジノピリミジン、カルバゾール、アジリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジジン、ベンゾプテリジン、フェナントロリンまたはフェナントレンであり、これらは置換基を持つことができる。
【0036】
前記Ar1、Ar4、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11は、あらゆる可能な置換パターンを持つことができる。例えば、Ar1、Ar4、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10及びAr11がフェニレンである場合には、Ar1、Ar4、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10及びAr11は、オルトフェニレン、メタフェニレンまたはパラフェニレンである。
【0037】
前記アルキル基には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル及びt−ブチル基のようなC1−C4単鎖アルキル基であり、前記アリール基は、例えば、フェニルまたはナフチル基である。
【0038】
前記置換基には、フッ素のようなハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、またはメチル、エチルのような単鎖アルキル基である。
【0039】
前記ポリアゾール系物質の具体的な例として、ポリイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノキサリン、ポリチアジアゾール、ポリピリジン、ポリピリミジンまたはポリテトラアザピレンを挙げることができる。
【0040】
前記ポリアゾール系物質は、前記化学式(I)ないし(XIV)のうち少なくとも2個のユニットを含むコポリマーまたはブレンドでありうる。前記ポリアゾール系物質は、化学式(I)ないし(XIV)のうち少なくとも2個のユニットを含むブロックコポリマー(ジブロック、トリブロック)、ランダム共重合体、周期共重合体または交互ポリマーである。
【0041】
例えば、前記化学式I及び/またはIIのユニットから選択された一つ以上を含むアゾール第2反復単位が使われる。
【0042】
【化8】
【0043】
前記式中、nは、アゾール第2反復単位の相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99である。
【0044】
前記アゾール第2反復単位は、下記の化学式で表示される反復単位を例として挙げることができる。
【0045】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0046】
前記式中、n、n1、n2、n3は、アゾール第2反復単位の相対的なモル含有量を示し、前記式がn1及びn2のみを含有する場合は、n1とn2との和はnであり、前記式がn1、n2、及びn3を含有する場合は、n1とn2とn3との和はnであり、nは0ないし0.99である。
【0047】
前記アゾール第2反復単位は、下記の化学式2で表示されうる。
【0048】
【化13】
【0049】
前記化学式2中、R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Lは、リンカーを表し、nは、アゾール第2反復単位の相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99である。
【0050】
前記化学式1及び2中、mとnは、高分子反復単位を構成する百分率であって、これらの和は1である時、mは、0.01ないし1であり、nは、0ないし0.99である。一実施形態によれば、mは、0.01ないし1未満であり、具体的に0.1ないし1であり、nは、0より大きくて0.99以下であり、具体的に0ないし0.9である。
【0051】
前記化学式でm:nは、第1反復単位と第2反復単位との混合モル比でありうる。
【0052】
前記化学式1の反復単位と化学式2の第2反復単位とをいずれも含む場合、mは、0.1ないし0.9であり、nは、0.1ないし0.9である。
【0053】
前記化学式2の第2反復単位の例として、下記の化学式2aまたは化学式2bの反復単位がある。
【0054】
【化14】
【0055】
前記化学式2a−2b中、R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Lは、リンカーを表し、nは、アゾール第2反復単位の相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99である。
【0056】
前記化学式2、2a、2bで、Lは、単純に化学結合を表すか、または−CH2−、−C(CH3)2−、または−C(CF3)2−である。
【0057】
前記組成物はポリアゾール組成物である。
【0058】
前記ポリアゾール組成物でポリアゾールの含有量は、前記ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として、40ないし210重量部である。
【0059】
もし、ポリアゾールの含有量が前記範囲である時、ポリアゾール組成物及びこれより形成されたポリアゾールの架橋体が、機械的物性が優れる。
【0060】
前記化学式1の反復単位は、下記の化学式で表示される反復単位でありうる。
【0061】
【化15】
【0062】
前記式中、Arは、下記式で表示される基から選択される。
【0063】
【化16】
【0064】
前記ポリアゾールは、前記化学式2で、Lは、単純に化学結合を表すか、または−CH2−、−C(CH3)2−、または−C(CF3)2−である。
【0065】
前記ポリアゾールは、前記化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位とを含み、前記化学式2の第2反復単位は、化学式1の第1反復単位1モルを基準として0.25ないし4モルである。
【0066】
化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位との混合比(例えば、混合モル比)は、1:9ないし9:1であり、例えば、8:2ないし2:8であり、例えば、8:2、5:5、または2:8である。
【0067】
前記ポリアゾールは、化学式1の反復単位のみを含むホモポリマーでありうる。すなわち、m及びnは、ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、m及びnの総和が1であるとき、ポリアゾールは一具現例によれば、化学式1の第1反復単位のみを含むホモポリマー(m=1、n=0)である。
【0068】
これらの高分子を利用して作ったポリアゾールの架橋体は、ベンズイミダゾール高分子が持つ高い重合度に基づいて、ベンゾオキサジン系モノマーとの重合を通じて機械的強度をはじめとした、燃料電池電解質膜に要求される物理化学的な安定性を持つようになる。
【0069】
したがって、前述したポリアゾール組成物または前述したポリアゾールの架橋体を含む電解質膜は、強い燐酸ラッピング能を持つようになって、広い温度範囲で燐酸を保有できる能力が非常に改善され、かつ燐酸に対する安定性が向上して長期的な耐久性が保証される。
【0070】
前記ポリアゾールは、化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位とを含む共重合体であって、一実施形態によれば、化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位とを含むブロック共重合体でありうる。これらのブロック共重合体は、化学式1の反復単位のような堅い構造を保有していて、電解質膜の形体を保持できる支持体の役割を行えるだけではなく、化学式2の反復単位を保有して重合度が高く、その影響により電解質膜の機械的強度が改善される。
【0071】
したがって、前述したブロック共重合体を利用して生成されたポリアゾール組成物、及びこれより形成されたポリアゾールの架橋体は、電解質膜の長期耐久性を向上させることができ、ベンゾオキサジン系モノマーの燐酸との親和性及び強い酸トラッピング能を持つようになって、優秀な燐酸保有能及び水素イオン伝導度を持つ。
【0072】
本発明の一具現例によれば、前記ポリアゾールは、例えば、ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体(pPBI−ABPBIブロック共重合体)であり、この時、1:9ないし9:1であり、例えば、8:2ないし2:8であり、例えば、8:2、5:5、または2:8である。
【0073】
前述した電解質膜は、高温無加湿燃料電池に有効に使用できる。
【0074】
また前記ポリアゾールの重合度は、1ないし900、例えば、10ないし900、または20ないし900の数である。
【0075】
前記ポリアゾールは、非制限的な例として、下記の化学式3で表示される化合物でありうる。
【0076】
【化17】
【0077】
前記化学式3中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは、相対的なモル含有量を示し、0.01ないし1であり、例えば、0.01以上1未満であり、aは、0または1であり、R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Lは、リンカーを表し、nは、相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99であり、例えば、0超過0.99であり、m+n=1であり、kは、ポリアゾールの重合度を示し、10ないし300の数である。
【0078】
前記ポリアゾールは、一実施形態によれば、下記の化学式4または化学式5で表示される化合物でありうる。
【0079】
【化18】
【0080】
前記式中、kは、重合度であって、10ないし300の数である。
【0081】
【化19】
【0082】
前記式中、mは、相対的なモル含有量を示し、0.01ないし1であり、例えば、0.01ないし1未満であり、具体的には、1または0.1ないし0.9であり、nは、相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99であり、0より大きく0.99以下であり、一実施形態によれば、0または0.1ないし0.9であり、m+n=1であり、kは、10ないし300の数である。
【0083】
前記ベンゾオキサジン系モノマーは特別に制限されず、例えば、下記の化学式6ないし11で表示される化合物から選択された一つ以上を使用できる。
【0084】
【化20】
【0085】
前記化学式6中、R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立して水素、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはシアノ基であり、
R5は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基である。
【0086】
【化21】
【0087】
前記化学式7中、R5’は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
R6は、置換または非置換のC1−C20アルキレン基、置換または非置換のC2−C20アルケニレン基、置換または非置換のC2−C20アルキニレン基、置換または非置換のC6−C20アリーレン基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリーレン基、−C(=O)−、−SO2−からなる群から選択される。
【0088】
【化22】
【0089】
前記化学式8中、A、B、C、D、Eはいずれも炭素であるか、またはA、B、C、D、Eから選択された一つまたは二つは窒素(N)であり、その残りは炭素(C)であり、R1及びR2は、互いに連結されて環を形成し、前記環は、C6−C10炭素環基、C3−C10ヘテロアリール基、融合されたC3−C10ヘテロアリール基、C3−C10ヘテロ環基または融合されたC3−C10ヘテロ環基である。
【0090】
【化23】
【0091】
前記化学式9中、Aは、置換または非置換のC1−C20ヘテロ環基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、または置換されたC1−C20アルキル基であり、Aは、少なくとも一つのオキサジンモイエティを含み、R1ないしR8は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、またはヒドロキシ基である。
【0092】
【化24】
【0093】
前記化学式10中、R1及びR2は、互いに独立してC1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基または下記の化学式9Aで表示される基である。
【0094】
【化25】
【0095】
前記化学式10及び化学式10A中、R3は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である。
【0096】
【化26】
【0097】
前記化学式11中、R2、R3及びR4から選択された隣接した2つ以上の基は、互いに連結されて下記の化学式12Aで表示される基であり、前記R2、R3及びR4から選択されない残りの基は、水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基であり、
R5、R6及びR7から選択された隣接した2つ以上の基は、互いに連結されて下記の化学式12Aで表示される基であり、前記R5、R6及びR7から選択されない残りの基は、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である。
【0098】
【化27】
【0099】
前記化学式12A中、R1は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
*は、化学式11のR2、R3及びR4から選択された隣接した2つ以上の基と、R5、R6及びR7から選択された隣接した2つ以上の基とにそれぞれ連結される位置を表示する。
【0100】
前記化学式12A中、R1は、下記構造式で表示される基から選択される一つである。
【0101】
【化28】
【0102】
前記化学式6で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物を挙げることができる。
【0103】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【0104】
前記化学式7で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物を挙げることができる。
【0105】
【化33】
【0106】
前記式中、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示される基である。
【0107】
【化34】
【0108】
例えば、前記化学式7の化合物は、下記化学式で表示される化合物から選択できる。
【0109】
【化35】
【0110】
前記化学式8及び8Aで表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物がある。
【0111】
【化36】
【0112】
前記化学式8A中、Rは、水素またはC1−C10アルキル基である。
【0113】
【化37】
【0114】
前記化学式8で前記:
【化38】
は、下記構造式:
【化39】
で表示される基のうち一つである。
【0115】
前記化学式8で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例は、下記化学式で表示される化合物から選択される。
【0116】
【化40】
【化41】
【0117】
前記化学式9で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物がある。
【0118】
前記化学式9のAは、下記化学式9Aまたは化学式9Bで表示される基のうち一つでありうる。
【0119】
【化42】
【0120】
前記化学式9A及び化学式9B中、R1は、水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である。
【0121】
前記化学式9の燐含有ベンゾオキサジン系モノマーは、下記化学式9Cまたは化学式9Dで表示される化合物でありうる。
【0122】
【化43】
【0123】
前記化学式9Cまたは化学式9D中、R1は、下記構造式で表示される基から選択された一つである。
【0124】
【化44】
【0125】
前記化学式9の化合物は、下記化学式で表示される化合物から選択される一つでありうる。
【0126】
【化45】
【0127】
前記化学式10で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式10B、10Cまたは10Dで表示される化合物がある。
【0128】
【化46】
【0129】
前記化学式10B、10C中、R2は、C1−C10アルキル基、C1−C10アルコキシ基、C6−C10アリール基、またはC6−C10アリールオキシ基であり、R3は、下記構造式:
【化47】
で表示される基から選択される。
【0130】
【化48】
【0131】
前記化学式10D中、R4及びR5は、いずれもC6−C10アリール基であり、R3は、下記構造式:
【化49】
で表示される基から選択される。
【0132】
前記化学式10の化合物は、下記化学式10Eまたは化学式10Fで表示される化合物から選択される一つでありうる。
【0133】
【化50】
【0134】
前記化学式10Eまたは10F中、R3は、下記構造式:
【化51】
で表示される基から選択される。
【0135】
前記化学式10のベンゾオキサジン系モノマーは、下記の化学式で表示される化合物でありうる。
【0136】
【化52】
【0137】
前記化学式11で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記の化学式11Aないし11Cで表示される化合物を挙げることができる。
【0138】
【化53】
【0139】
前記化学式11Aないし11C中、R1は、下記構造式:
【化54】
で表示される基のうち一つである。
【0140】
前記化学式11で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記の化合物がある。
【0141】
【化55】
【化56】
【0142】
用語「ポリアゾールの架橋体」の定義について説明する。
ポリアゾールとベンゾオキサジン系モノマーとを含むポリアゾール組成物を熱処理すれば、ベンゾオキサジン系モノマーの重合反応が起きてベンゾオキサジン系モノマーの重合体が形成され、前記ベンゾオキサジン系モノマーの重合体及び/またはベンゾオキサジン系モノマーとポリアゾールとの共重合反応生成物、架橋反応生成物または共重合及び架橋反応生成物が形成される。
【0143】
以下、ポリアゾールの架橋体の製造方法を説明する。
前記化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する。
【0144】
一具現例では、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位が存在していないが(すなわち、m=1及びn=0であるが)、化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位を持つポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明が、化学式1の第1反復単位のみを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明も含むと理解されねばならない。
【0145】
燐酸系物質には、ポリ燐酸、ホスホン酸(H3PO3)、オルト燐酸(H3PO4)、ピロ燐酸(H4P207)、トリ燐酸(H5P3O10)、メタ燐酸及びその誘導体から選択された一つ以上を使用する。例えば、前記燐酸系物質にはオルト燐酸を使用できる。
【0146】
前記燐酸系物質の濃度は、90〜100重量%、例えば、95〜100重量%、98〜100重量%である。
【0147】
前記ポリ燐酸は、例えば、Riedel−de Haen社で入手可能な通例的なポリ燐酸である。前記ポリ燐酸Hn+2PnO3n+1(n>1)は、一般的に少なくともP2O5(酸滴定により)濃度で83%と計算される。
【0148】
前記化学式1の反復単位と、反復単位内に少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、加水分解時に燐酸を生成する物質を使用する重合反応を通じて製造される。前記加水分解時に燐酸を生成する物質は、溶媒として使われうる。
【0149】
前記加水分解時に燐酸を生成する物質にはポリ燐酸を使用するが、これに制限されるものではない。
【0150】
前記ポリアゾールは、ベンゾオキサジン系モノマーと混合される前に燐酸系物質を付加し、これを100ないし160℃で攪拌した後、これをベンゾオキサジン系モノマーと混合することにより、ポリアゾールとベンゾオキサジン系モノマーとが均一によく混合されうる。
【0151】
前記燐酸系物質の含有量は、ポリアゾール100重量部を基準として、100ないし50000重量部である。
【0152】
次いで、前記混合物を熱処理してポリアゾールとベンゾオキサジン系モノマーとの重合反応を実施する。
【0153】
前記熱処理は60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で行われる。
【0154】
もし、熱処理が前記範囲である時、機械的物性に優れたベンズイミダゾール系高分子の架橋体を製造できる。前記熱処理を通じてポリアゾールとベンゾオキサジン系モノマーの重合反応(架橋反応、共重合反応または共重合架橋反応)が進められる。
【0155】
前記ポリアゾールの製造方法を説明するが、化学式2の反復単位のうち、化学式2aの反復単位を例として説明する。
【0156】
まず、化学式1の反復単位を含むホモポリアゾールは、下記反応式1に現れた製造過程によって得られる。
【0157】
【化57】
【0158】
前記式中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは、第1反復単位の相対的なモル含有量を示し、この一具現例では、前記生成物がホモポリマーであるので、mは1であり、aは、0または1である。
【0159】
まず、加水分解時に燐酸を生成できる物質にDABAを入れて、100ないし160℃で溶解する。
【0160】
前記加水分解時に燐酸を生成できる物質には、例えば、ポリ燐酸(PPA)を使用できる。
【0161】
ここで、前記ポリ燐酸の含有量は、DABA 100重量部を基準として、1000ないし4000重量部である。
【0162】
前記混合物を60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で熱処理して重合反応を実施すれば、化学式1の反復単位を含むABPBI(ポリ(2,5−ベンズイミダゾール))を製造できる。ここで、前記熱処理温度が前記範囲である時、重合反応の反応性に優れて目的物の収率が良好である。
【0163】
化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位とを含むポリアゾールは、例えば、ブロック共重合体でありうる。このブロック共重合体は、下記反応式2に示された方法によって製造できる。
【0164】
【化58】
【0165】
前記式中R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは、相対的なモル含有量を示し、0.01ないし1であり、nは、相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99であり、m+n=1であり、Lは、リンカーを示し、aは、0または1であり、kは、10ないし300の数である。
【0166】
まず、化合物(A)との加水分解時に燐酸を生成できる物質を混合し、これを100ないし160℃で攪拌する。ここで、加水分解時に燐酸を生成できる物質の含有量は、化合物(A)100重量部を基準として1000ないし4000重量部であることが望ましい。
【0167】
前記加水分解時に燐酸を生成できる物質には、例えば、ポリ燐酸(PPA)を使用する。
【0168】
次いで、前記混合物に化合物(B)を付加及び攪拌して、60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で反応を実施してオリゴマーを得る。ここで、化合物(B)の含有量は、化合物(A)1モルを基準として、0.9ないし1.15モルであることが望ましい。
【0169】
前記オリゴマーが含まれた混合物の温度を60ないし250℃、例えば、100ないし220℃に調節し、これに前記反応式1のDABAを付加し、これを60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で重合反応を実施する。
【0170】
前記重合反応が完結すれば、化学式3のブロック共重合体を得ることができる。
【0171】
例えば、前記化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールが、ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)である場合、前記ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)は、3,4−ジアミノ安息香酸とポリ燐酸とを100ないし160℃で混合し、これを60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で熱処理して製造できる。
【0172】
さらに他の例を挙げれば、前記化学式1の反復単位と少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールが、ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体である場合、前記ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体は、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラアミン四塩酸塩とポリ燐酸とを100ないし160℃で混合し、これを60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で熱処理して(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを得る工程を含み、前記(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを3,4−ジアミノ安息香酸と混合し、これを60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で熱処理して製造される。
【0173】
前記ポリアゾールの架橋体を利用して電解質膜を製造する方法を説明すれば、次の通りである。
【0174】
まず、下記の化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、燐酸系物質及びベンゾオキサジン系モノマーを混合してこれを攪拌する。
【0175】
一具現例では、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位が存在していないが(すなわち、m=1及びn=0であるが)、化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位を持つポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明が、化学式1の第1反復単位のみを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明も含むと理解されねばならない。
【0176】
前記燐酸系物質は、化学式1の反復単位とアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール100重量部を基準として、100ないし5000重量部、例えば、1000ないし4000重量部である。
【0177】
前記ポリアゾールは、燐酸系物質と先ず混合し、これを100ないし160℃で攪拌した後、これをベンゾオキサジン系モノマーと混合できる。このような過程によれば、ポリアゾールとベンゾオキサジン系モノマーとの混合が均一に行われる。
【0178】
前記混合物を基板にキャスティングし、これを熱処理する。
【0179】
前記熱処理温度は、60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で行われる。
【0180】
前記熱処理された結果物を、燐酸系物質に常温(20℃)で含浸させる。ここで燐酸系物質には、ポリ燐酸、ホスホン酸(H3PO3)、有機ホスホン酸、オルト燐酸(H3PO4)、ピロ燐酸(H4P207)、トリ燐酸(H5P3O10)、メタ燐酸及びその誘導体から選択された一つ以上を使用し、例えば、オルト−燐酸自体を使用するか、または5ないし30重量%の燐酸水溶液またはポリ燐酸を使用する。
【0181】
前記燐酸系物質に含浸する前に、熱処理された結果物を恒温恒湿条件で放置する工程を経ることができる。このような恒温恒湿条件下での処理時、ポリ燐酸の加水分解反応が起きる。
【0182】
前記恒温恒湿条件について説明すれば、温度は−20ないし30℃、相対湿度は5ないし50%RH範囲で調節される。
【0183】
前記温度は、例えば、−10ないし15℃であり、相対湿度は、例えば、5ないし25%RH範囲である。他の例には、−10℃、25%RHで48時間以上徐々にポリ燐酸の加水分解過程を経ることができる。
【0184】
前記温度が前記範囲である時、加水分解反応性の低下なしに水分解速度に優れる。
【0185】
前記相対湿度が前記範囲である時、加水分解反応性が低下せずに電解質膜の物性が優れる。
【0186】
前記過程によって得られた結果物を常温(20℃)で真空乾燥すれば、前記ポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電解質膜を得ることができる。
【0187】
本発明の一具現例によれば、前述したポリアゾール組成物またはポリアゾールの架橋体及び触媒を含む燃料電池用電極が提供される。
【0188】
前記電極は、カソードに空気を利用しながらも酸素透過度が改善され、電極内部での燐酸(H3PO4)の湿潤(wetting)能及び熱的安定性を向上させることができる。したがって、これらの電極を採用した燃料電池は高温無加湿条件下で動作でき、熱的安定性が補強されるだけではなく、改善された発電性能を発現させることができる。
【0189】
前記触媒には、白金(Pt)単独、または金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された一種以上の金属と白金との合金あるいは混合物を使用するか、または前記触媒金属がカーボン系担体に担持された担持触媒を使用できる。特に白金(Pt)、白金コバルト(PtCo)及び白金ルテニウム(PtRu)からなる群から選択された一つ以上の触媒金属であるか、または前記触媒金属がカーボン系担体に担持された担持触媒を使用することが望ましい。
【0190】
前記電極は、燃料電池電極の製造時に通例的に使用可能なバインダーをさらに備えることができる。
【0191】
前記バインダーには、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体及びパーフルオロエチレンからなる群から選択された一つ以上を使用する。
【0192】
前記バインダーの含有量は、触媒1重量部を基準として0.001ないし0.5重量部であることが望ましい。もし、バインダーの含有量が前記範囲である時、支持体に対する電極触媒層の結着力に優れる。
【0193】
前記燃料電池用電極の製造方法を説明すれば、次の通りである。
【0194】
先ず、溶媒に触媒を分散して分散液を得る。この時、溶媒にはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)などを使用し、その含有量は触媒1重量部を基準として、1ないし10重量部である。
【0195】
前記分散液に、化学式1の第1反復単位とアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー、バインダー、溶媒及び燐酸系物質を含む混合物を付加及び混合して攪拌する。
【0196】
一具現例では、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位が存在していないが(すなわち、m=1及びn=0であるが)、化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位を持つポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明が、化学式1の第1反復単位のみを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明も含むと理解されねばならない。
【0197】
前記溶媒には、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)などを使用する。
【0198】
前記燐酸系物質の含有量は、ポリアゾール100重量部を基準として、1ないし10重量部である。
【0199】
前記混合物をカーボン支持体の表面にコーティングして電極を完成する。ここで、カーボン支持体はガラス基板上に固定させるのがコーティング作業し容易である。そして、前記コーティング方法は特別に制限されないが、ドクターブレードを利用したコーティング、バーコーティング、スクリーンプリンティングなどの方法を利用できる。
【0200】
前記混合物をコーティング後に乾燥する過程を経るが、溶媒を除去する過程として20ないし150℃の温度範囲で実施する。そして、乾燥時間は乾燥温度によって変わり、10ないし60分範囲内で実施する。
【0201】
また前記電極は、プロトン伝導体をさらに含むことができる。
【0202】
前記プロトン伝導体には、ポリ燐酸、ホスホン酸(H3PO3)、オルト燐酸(H3PO4)、ピロ燐酸(H4P207)、トリ燐酸(H5P3O10)、メタ燐酸、有機ホスホン酸またはその誘導体を例として挙げることができる。前記プロトン伝導体の濃度は、少なくとも80重量%、90重量%、95重量%、または98重量%でありうる。例えば、燐酸を使用する場合、80重量%の燐酸水溶液を使用し、燐酸含浸時間は80℃で2.5時間ないし14時間範囲である。
【0203】
前記プロトン伝導体の含有量は、電極の総重量100重量部に対して、10ないし1000重量部で使われる。
【0204】
電極製造時に前述したように燐酸を使用できる。または、これと別途に電極を完成した後、完成された電極の燐酸への2次含浸過程を経ることもできる。この時に使われる燐酸は、5〜30重量%の燐酸水溶液を使用できる。
【0205】
本発明の一具現例による燃料電池は、電解質膜形成材料及び/または電極形成材料を最適化し、これから形成された電池のセル性能を極大化させる。
【0206】
前記燃料電池用電極を含む燃料電池を製造する方法を説明する。
【0207】
前記電解質膜は、燃料電池で通例的に使われる電解質膜を使用することもでき、または前述したポリアゾール組成物または前述したポリアゾールの架橋体を含む電解質膜も使用できる。
【0208】
前記ポリアゾール組成物または前述したポリアゾールの架橋体を含む電解質膜は、電解質膜と電極との接触抵抗が減少することによって、燃料電池のセル性能が極大化される。
前記燃料電池で通例的に使われる電解質膜には、例えば、ポリベンズイミダゾール電解質膜、ポリベンゾオキサジン−ポリベンズイミダゾール共重合体電解質膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜などを使用できる。
【0209】
燃料電池用電極−膜アセンブリを製造する過程を説明すれば、次の通りである。用語「電極−膜アセンブリ(MEA:Membrane and Electrode Assembly)」は、電解質膜を中心に、この両面に触媒層と拡散層とで構成された電極が積層されている構造を称する。
【0210】
前記MEAは、前述した電極触媒層を備えている電極を、前記過程によって得た電解質膜の両面に位置させた後、高温及び高圧で接合して形成し、これに燃料拡散層を接合して形成できる。
【0211】
この時、前記接合のための加熱温度及び圧力は、電解質膜が軟化する温度まで加熱した状態で0.1ないし3ton/cm2、例えば、約1ton/cm2の圧力で加圧して実行する。
【0212】
次いで、前記電極−膜アセンブリにそれぞれバイポーラプレートを装着して、燃料電池を完成する。ここでバイポーラプレートは燃料供給用溝を持っており、集電体の機能を持っている。
【0213】
燃料電池は特別にその用途が限定されるものではないが、望ましい一面によれば、高分子電解質膜燃料電池として使われる。
【0214】
本発明の一具現例によれば、活性化時間が短縮して電流密度による電圧性能が改善された燃料電池用電極と、高温での熱的安定性及び膜自体の酸保有能に優れた燃料電池用電解質膜を製作できる。
【0215】
化学式で使われる置換基の定義について説明すれば、次の通りである。
【0216】
化学式で使われるアルキル基の具体的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシルなどを挙げることができ、前記アルキルのうち一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたC1−C20のアルキル基(例:CCF3、CHCF2、CH2F、CCl3など)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、燐酸やその塩、またはC1−C20のアルキル基、C2−C20アルケニル基、C2−C20アルキニル基、C1−C20のヘテロアルキル基、C6−C20のアリール基、C6−C20のアリールアルキル基、C6−C20のヘテロアリール基、またはC6−C20のヘテロアリールアルキル基で置換されうる。
【0217】
化学式で使われるアルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどがあり、アルコキシ基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換される。
【0218】
化学式で使われるアルケニル基の具体的な例には、ビニレン、アリレンなどを挙げることができ、前記アルケニルのうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換される。
【0219】
化学式で使われるアルキニル基の具体的な例には、アセチレンなどを挙げることができ、前記アルキニルのうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換できる。
【0220】
化学式で使われるアリール基は単独または組み合わせて使われて、一つ以上の環を含む芳香族システムを意味し、例として、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルなどがある。前記アリール基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換される。
【0221】
化学式で使われるアリールオキシ基の例には、フェノキシ基などがあり、前記アリールオキシ基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換できる。
【0222】
化学式で使われるヘテロアリール基は、N、O、PまたはSから選択されたヘテロ原子を含むヘテロ環及び脂肪族有機化合物を意味する。前記ヘテロアリールのうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換される。
【0223】
化学式で使われる炭素環基は、シクロヘキシル基のように炭素原子のみで構成された非芳香族環基を称し、前記炭素環基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換できる。前記置換基中、C1−C20のアルキル基は除外される。
【0224】
化学式で使われるヘテロ環基は、窒素、硫黄、リン、酸素などのヘテロ原子を含有する環基を称し、具体的な例としてピリジルなどがあり、これらのヘテロ環のうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じく置換される。
【0225】
化学式で使われるハロゲン原子は、例としてフッ素、塩素、ブロームなどがあり、化学式で置換基の定義時に使われた用語「ハロゲン化された」は、フッ素、塩素、ブロームなどのハロゲン原子またはハロゲン原子含有有機基で置換された場合を示す。前記有機基の例には、C1−C20アルキル基などを挙げることができる。
【0226】
化学式で使われるアリーレン基、ヘテロアリーレン基、ヘテロアリールオキシ基、炭素環基、ヘテロ環アルキル基、炭素環アルキル基及びヘテロアリールアルキル基は、これらが持っている一つ以上の水素原子を、前述したアルキル基の場合と同じく置換される。
【0227】
以下、下記実施例を挙げて説明するが、下記実施例のみ限定されるものではない。
【0228】
[合成例1A:ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)(ABPBI)及びこれを利用したPBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI共重合架橋体)]
【化59】
150℃で、ポリ燐酸(polyphosphoric acid:PPA)溶媒にジアミノ安息香酸(DABA)を入れて完全に溶解させた。この混合物を攪拌して均一な溶液になれば、220℃に温度を高めて30分間重合反応を実施した。
【0229】
重合が進行し終われば、反応混合物は粘度の高い溶液になり、この溶液にオルト燐酸を添加し、150℃で溶解して混合物Cを製造した。この重合反応によって得られたポリ(2,5−ベンズイミダゾール)(ABPBI)の数平均分子量は約15万であった。
【0230】
前記混合物Cにベンゾオキサジン系モノマーである下記の化学式で表示される4FPh2AP 67重量部を付加し、これを攪拌して混合物Aを用意した。前記混合物Aで、ベンゾオキサジン系モノマーと反応するABPBIの含有量は33重量部であった。
【0231】
【化60】
【0232】
前記攪拌された混合物Aを窒素ガス雰囲気下、100ないし220℃まで温度を徐々に昇温させた(約3時間)後、1時間220℃で熱処理を実施した。
【0233】
前記反応混合物に水を付加して固体を形成し、これをろ過及び水で洗浄し、これを乾燥させてPBOA−co−ABPBI共重合架橋体を収得した。
【0234】
[合成例1B:PBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI共重合架橋体)]
混合物Aの代わりに混合物Bを使用したことを除いては、合成例1Aと同じ過程によって実施した。
【0235】
前記混合物Bは、合成例1Aの混合物Cに4FPh2AP 50重量部を付加して製造し、前記混合物Bは、4FPh2AP 50重量部とABPBI50重量部とを含む。
【0236】
[合成例1C:PBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI共重合架橋体)]
混合物Aの代わりに混合物Dを使用したことを除いては、合成例1Aと同じ過程によって実施した。
【0237】
前記混合物Dは、4FPh2AP 33重量部とABPBI 67重量部とを混合して用意した。
【0238】
[実施例1A:電解質膜の製造]
合成例1AによるPBOA−co−ABPBI共重合架橋体を利用して電解質膜を製造した。
【0239】
前記電解質膜は、合成例1Aによって得た攪拌された混合物Aを石英板の上部にキャスティングし、これを窒素ガス雰囲気下で100℃のオーブンに入れてこれを硬化させた。
【0240】
100ないし220℃まで温度を約3時間にわたって高めた後、1時間220℃に温度を固定し、前記温度をオーブンで徐々に常温に冷やした。
【0241】
前記反応結果物を−10℃、25%RHで48時間以上徐々に加水分解過程を経て膜を形成した。
【0242】
約20重量%の燐酸水溶液に、製造された膜を常温で24時間浸漬して2次加水分解過程を進めた。次いで、燐酸水溶液から膜を取り出して表面の燐酸を拭い取り、真空オーブンで24時間以上乾燥させて、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜Aを得た。電解質膜Aは、4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部とを含む。
【0243】
[実施例1B:電解質膜の製造]
合成例1BによるPBOA−co−ABPBI共重合架橋体を利用して電解質膜を製造した。
【0244】
合成例1Aによって得た攪拌された混合物Aの代わりに、合成例1Bによって得た攪拌された混合物Bを使用したことを除いては、実施例1Aと同一に実施してPBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜Bを得た。電解質膜Bは、4FPh2AP 50重量部とABPBI50重量部とを含む。
【0245】
[実施例1C:電解質膜の製造]
合成例1CによるPBOA−co−ABPBI共重合架橋体を利用して電解質膜を製造した。
【0246】
合成例1Aによって得た攪拌された混合物Aの代わりに、合成例1Cによって得た攪拌された混合物Dを使用したことを除いては、実施例1Aと同一に実施してPBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜Dを得た。電解質膜Dは、4FPh2AP 33重量部とABPBI 67重量部とを含む。
【0247】
前記合成例1Aによって製造されたPBOAとABPBIとの共重合架橋体は、固体核磁気共鳴スペクトル(Sold state NMR(Nuclear Magnetic Resonance))を通じてその構造を確認した(図1A)。図1AでABPBIは、合成例1Aによって製造されたABPBIについてのものであり、PBOA(P4FPh2AP)は、P4FPh2APポリマーについてのものである。
【0248】
前記合成例1Aないし1Cによって製造された共重合架橋体のIR分析を実施し、その分析結果を図1Bに示した。
【0249】
図1BでP(4FPH2AP)は、4FPH2APポリマーについてのものであり、ABPBIは、ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)についてのものであり、4FPh2AP−ABPBI(2:1)は、合成例1Aによる4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部とを利用して作った共重合架橋体であり、4FPh2AP−ABPBI(1:1)は、合成例1Bによる4FPh2AP 50重量部とABPBI50重量部とを利用して作った共重合架橋体であり、合成例1Cによる4FPh2AP−ABPBI(1:2)は、4FPh2AP 33重量部とABPBI 67重量部とを利用して作った共重合架橋体についてのものである。
【0250】
前記実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、燐酸含有量を評価し、評価結果を図1Cに示した。
【0251】
前記燐酸含有量評価方法は、次の通りである。
【0252】
前記電解質膜A、B、Dをそれぞれ2.5重量%、5重量%、10重量%及び20重量%の燐酸水溶液バスに24時間浸漬した後、前記電解質膜A、B、Dに含浸される燐酸の含有量を調べて図1Cに示す。図1Cで、4FPh2AP−ABPBI(2:1)は、電解質膜Aについてのものであり、4FPh2AP−ABPBI(1:1)は、電解質膜Bについてのものであり、4FPh2AP−ABPBI(1:2)は、電解質膜Dについてのものである。
【0253】
図1Cを参照すれば、電解質膜A、B、Dは、燐酸親和力に優れて高い燐酸含有量を保有できるということが確認できた。
【0254】
前記実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dを、20−21℃、19−23%相対湿度で燐酸含有量による引張強度及び破断強度を調べ、その結果を図1D及び図1Eに示した。図1D及び図1Eで、4FPh2AP−ABPBI(2:1)は、電解質膜Aについてのものであり、4FPh2AP−ABPBI(1:1)は、電解質膜Bについてのものであり、4FPh2AP−ABPBI(1:2)は、電解質膜Dについてのものである。
【0255】
図1D及び図1Eを参照して、電解質膜A、B、Dは、機械的安定性が優れることが分かり、高含有量の燐酸を保有した場合にも機械的強度に優れることが確認できた。
【0256】
前記実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、電解質膜の厚さによる燐酸含有量を調べて、図1Fに示した。
【0257】
図1Fを参照すれば、電解質膜の厚さが増加するにつれて、電解質膜の面積当り燐酸含有量が増加するということが分かった。
【0258】
[合成例2:ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体(pPBI−ABPBIブロック共重合体)、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体の製造]
【化61】
【0259】
前記反応式中、mは0.67であり、nは0.33である。
【0260】
150℃で、ポリ燐酸(PPA)溶媒にDABIT(ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラアミン四塩酸塩)を付加し、これを攪拌してDABITからHClを除去した。
【0261】
HClが除去され終われば、テレフタル酸(TA)を添加して攪拌後に均一な溶液になれば、240℃に温度を高めて3時間重合反応を実施した。
【0262】
重合された溶液(pPBIオリゴマー)の温度を150℃に低め、3,4−ジアミノ安息香酸(DABA)を添加してDABAを溶かした後、240℃に温度を高めて2時間重合反応を実施した。
【0263】
重合が終われば、粘度の高い溶液になり、この溶液にオルト燐酸を添加して150℃で溶解した。この重合反応によって得られたpPBI−ABPBIブロック共重合体の数平均分子量は約15万であった。
【0264】
混合物Eにベンゾオキサジン系モノマーである4FPh2AP 67重量部を付加し、これを攪拌して混合物Fを形成した。
【0265】
前記混合物Eで、ベンゾオキサジン系モノマーと反応するpPBI−ABPBIブロック共重合体の含有量は33重量部であり、前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は8:2であった。
【0266】
前記攪拌された混合物Fを窒素ガス雰囲気下で、100ないし220℃まで温度を徐々に高めた(約3時間)後、1時間220℃で熱処理を実施した。
【0267】
前記反応結果物に水を付加して固体を形成し、これをろ過及び水で洗浄し、これを乾燥させて、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体を製造した。
【0268】
[実施例2:電解質膜の製造]
合成例2のPBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体を利用して、電解質膜を次のように製造した。
【0269】
合成例2によって得られた混合物Eにベンゾオキサジン系モノマーである4FPh2AP 67重量部を付加して攪拌する。この溶液の一定量を石英板上にキャスティングし、これを窒素ガス雰囲気下で100℃オーブンに入れて硬化させた。
【0270】
100℃ないし220℃まで温度を徐々に高めた(約3時間)後、1時間220℃に温度を固定させた。次いで、前記温度をオーブンで徐々に常温に冷やしてから、これを−10℃、25%RHで48時間以上徐々に加水分解過程を実施して膜を形成した。
【0271】
濃度約30重量%の燐酸水溶液に製造された膜を常温で24時間浸漬して、2次加水分解過程を実施した。
【0272】
燐酸水溶液から膜を取り出して表面の燐酸を拭い取り、真空オーブンで24時間以上乾燥させてPBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体を製造した。
【0273】
[合成例3:PBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI共重合架橋体)の製造]
ベンゾオキサジン系モノマーである4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、合成例1Aと同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体を製造した。
【0274】
【化62】
【0275】
前記合成例3によって製造されたPBOA−co−ABPBI共重合架橋体は、固体状態核磁気共鳴スペクトル(Solid state NMR)を通じてその構造を確認した(図2)。図2で、ABPBIは、合成例1Aによって製造されたABPBIについてのものであり、PBOA(P4FPh2AP)は、P4FPh2APのポリマーについてのものである。
【0276】
[実施例3:電解質膜の製造]
ベンゾオキサジン系モノマーである4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜を製造した。
【0277】
[合成例4:PBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI共重合架橋体)の製造]
4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、tBuPha 80重量部とABPBI 20重量部を使用したことを除いては、合成例1Aと同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体を製造した。
【0278】
[実施例4:電解質膜の製造]
4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、tBuPha80重量部とABPBI20重量部とを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜を製造した。
【0279】
[合成例5:PBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI)の製造]
tBuPha 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、tBuPha 50重量部とABPBI 50重量部とを使用したことを除いては、合成例3と同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体を製造した。
【0280】
[実施例5:電解質膜の製造]
tBuPha 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、tBuPha 50重量部とABPBI 50重量部とを使用したことを除いては、実施例3と同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜を製造した。
【0281】
[合成例6A:PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、合成例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は8:2であった。
【0282】
[合成例6B:PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、合成例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は5:5であった。
【0283】
[合成例6C:PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、合成例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体の共重合架橋体を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は2:8であった。
【0284】
[実施例6A:電解質膜の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、実施例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体電解質膜を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は8:2であった。
【0285】
[実施例6B:電解質膜の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、実施例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体電解質膜を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は5:5であった。
【0286】
[実施例6C:電解質膜の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、実施例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体電解質膜を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は2:8であった。
【0287】
[合成例7:PB0A−co−ABPBI共重合架橋体の製造]
4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、HFa 67重量部とABPBI 33重量部とを使用し、混合物Aの熱処理時に最大温度が250℃に変わったことを除いては、合成例1Aと同じ方法によって実施して、PB0A−co−ABPBI共重合架橋体を製造した。
【0288】
【化63】
【0289】
[実施例7:電解質膜の製造]
4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、HFa 67重量部とABPBI 33重量部とを使用し、混合物Aの熱処理時に最大温度が250℃に変わったことを除いては、実施例1Aと同じ方法によって実施して、PB0A−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜を製造した。
【0290】
【化64】
【0291】
[比較例1:ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)(ABPBI)を利用した電解質膜の製造]
150℃で、ポリ燐酸(polyphosphoric acid:PPA)溶媒にDABAを入れて完全に溶解させた。この混合物を攪拌して均一な溶液になれば、220℃に温度を高めて30分間重合反応を実施して、ABPBIを得た。
【0292】
前記ABPBIに85重量%燐酸を80℃で4時間以上含浸して、電解質膜を形成した。ここで燐酸の含有量は、電解質膜総重量100重量部に対して約530重量部であった。
【0293】
[比較例2:ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体(pPBI−ABPBIブロック共重合体)を利用した電解質膜の製造]
【化65】
【0294】
150℃で、ポリ燐酸(PPA)溶媒にDABIT(ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラアミン四塩酸塩)を付加し、これを攪拌してDABITからHClを除去した。
HClがすべて除去されれば、テレフタル酸(TA)を添加して攪拌後に均一な溶液になれば、240℃に温度を高めて3時間重合反応を実施して、pPBIオリゴマー溶液を得た。
【0295】
pPBIオリゴマー溶液の温度を150℃に低め、3,4−ジアミノ安息香酸(DABA)を添加してDABAを溶かした後、240℃に温度を高めて2時間重合反応を実施して、pPBI−ABPBIブロック共重合体を得た。pPBI−ABPBI共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は2:8であった。
【0296】
前記pPBI−ABPBI共重合体を、85重量%燐酸に80℃で4時間以上含浸して、電解質膜を形成した。ここで、燐酸の含有量は、電解質膜総重量100重量部に対して約530重量部であった。
【0297】
[比較例3:ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体(pPBI−ABPBIブロック共重合体)を利用した電解質膜の製造]
pPBI−ABPBI共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比が5:5であることを除いては、比較例2と同じ方法によって実施して電解質膜を製造した。
【0298】
[製作例1:実施例1Bの電解質膜を利用した燃料電池の製作]
攪拌容器に、カーボンに50重量%PtCoが担持された触媒1g及び溶媒NMP3gを付加し、これを攪拌してスラリーを作った。前記スラリーに5重量%のポリフッ化ビニリデンのNMP溶液を付加して、ポリフッ化ビニリデンが0.025gになるように添加し、10分間混合してカソード触媒層形成用スラリーを製造した。
【0299】
カーボン紙を4×7cm2に切ってガラス板上に固定し、ドクターブレード(Sheen instrument社製)でコーティングするが、この時にギャップ間隔は600μmに調節した。
【0300】
前記カーボン紙の上部に前記カソード触媒層形成用スラリーをコーティングし、これを常温で1時間乾燥し、80℃で1時間乾燥し、120℃で30分乾燥し、150℃で15分間乾燥してカソードを製造した。完成されたカソードでの白金コバルト中の白金のローディング量は、3.0mg/cm2値を持つ。
【0301】
アノードとしては、下記過程によって得た電極を利用した。
【0302】
攪拌容器に、カーボンに50重量%Ptが担持された触媒2g及び溶媒NMP 9gを付加し、これを高速攪拌器を利用して2分間攪拌した。
【0303】
次いで、前記混合物にポリフッ化ビニリデン0.05gをNMP 1gに溶解した溶液を付加し、2分間さらに攪拌してアノード触媒層形成用スラリーを製作する。これを微細多孔層がコーティングされたカーボン紙上にバーコーターでコーティングして製作した。完成されたアノードの白金ローディング量は1.4mg/cm2値を持つ。
【0304】
前記過程によって完成されたカソードでの白金コバルトローディング量は約2.33mg/cm2値を持ち、完成されたアノードでの白金のローディング量は1.4mg/cm2値を持つ。
【0305】
前記カソードとアノードとの間に前記実施例1Bの電解質膜Bを介してMEAを製作した。ここで、前記カソードとアノードとは燐酸の含浸なしに使用した。
【0306】
前記カソードとアノードとの間のガス透過を防止するために、主ガスケット用として厚さ200μmのテフロン(登録商標)膜と、サブガスケット用として厚さ20μmのテフロン(登録商標)膜とを、カソードと電解質膜との界面及びアノードと電解質膜との界面に重ねて使用した。そして、MEAに加えられる圧力は、トルクレンチを使用して調節し、1、2、3 N−mトルクまで段階的に増加させつつ組立てた。
【0307】
温度150℃、電解質膜に対して加湿しない条件で、アノードに水素(流速:100ccm)、カソードに空気(250ccm)を流通させて発電させ、電池特性の測定を行った。
【0308】
作動電圧が最高点に達するまでエージングした後燃料電池の性能を評価する。そして、前記カソードとアノードとの面積は2.8×2.8=7.84cm2に固定し、カソードの電極の厚さは約430μmであり、そしてアノードの厚さは約390μmであった。
【0309】
[製作例2〜5:実施例2〜5の電解質膜を利用した燃料電池の製作]
実施例1Bによって得た電解質膜Bの代わりに実施例2〜5によって得た電解質膜を使用したことを除いては、製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0310】
[製作例6A〜6C:電解質膜の製造]
実施例1Bによって得た電解質膜Bの代わりに実施例6A〜6Cによって得た電解質膜を使用したことを除いては、製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0311】
[製作例7:実施例7の電解質膜を利用した燃料電池の製作]
実施例1Bによって得た電解質膜Bの代わりに、実施例7によって得た電解質膜を使用し、完成されたカソードでの白金コバルト中の白金のローディング量は1.7mg/cm2値を持ち、アノードの白金ローディング量は0.9mg/cm2値を有することを除いては、製作例3と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0312】
[製作例8:実施例1Aの電解質膜Aを利用した燃料電池の製作]
実施例1Bの電解質膜Bの代わりに実施例1Aの電解質膜Aを使用し、完成されたカソードでの白金コバルト中の白金のローディング量は1.7mg/cm2値を持ち、アノードの白金ローディング量は0.9mg/cm2値を持つことを除いては、製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0313】
[比較製作例1:ABPBI電解質膜を利用した燃料電池の製作]
実施例1の電解質膜の代わりに比較例1のABPBI電解質膜を使用したことを除いては、製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0314】
[比較製作例2及び3:燃料電池の製作]
比較例2及び3の電解質膜を使用したことを除いては、比較製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0315】
[比較製作例4:PBI[ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)]電解質膜を利用した燃料電池の製作]
実施例1の電解質膜の代わりにPBI[ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)]電解質膜を使用したことを除いては、比較製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0316】
前記製作例1、8及び比較製作例1によって製造された燃料電池において、温度による伝導度変化を調べ、その結果を図3に示した。
【0317】
図3を参照すれば、製作例1の燃料電池は、比較製作例1の場合と比較して、イオン伝導度特性が改善されるということが分かった。
【0318】
前記製作例1及び4によって製造された燃料電池において、電流密度によるセル電圧特性を調べ、これを図4に示した。
【0319】
図4を参照すれば、製作例1及び製作例4の燃料電池はセル電圧に優れる。
【0320】
前記製作例1による燃料電池において、経時的なセル電圧変化を調べ、その結果を図5に示した。
【0321】
図5で“OCV”は、開放回路電圧でのセル電圧を表し、“0.3A/cm2”は、電流密度0.3A/cm2でのセル電圧を表す。
【0322】
図5を参照して、製作例1の寿命特性が優れることが分かる。
【0323】
前記製作例6A〜6C及び比較製作例1によって製造された燃料電池において、温度による伝導度変化を調べ、その結果は図6に示した通りである。
【0324】
図6を参照すれば、製作例6の燃料電池は、比較製作例1の場合と比較して伝導度改善効果が改善されるということが分かった。
【0325】
前記製作例6A及び比較製作例4による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を調べ、図7に示した。
【0326】
図7を参照すれば、製作例6Aの燃料電池は、比較製作例4の場合に比べてセル電圧性能が向上することが分かった。
【0327】
前記製作例6Aによる燃料電池において、経時的なセル電圧変化を調べて図8に示した。図8で“OCV”は、開放回路電圧でのセル電圧を表し、“0.3A/cm2”は、電流密度0.3A/cm2でのセル電圧を表す。
【0328】
図8から、製作例6Aの燃料電池は寿命特性が優れることが分かる。
【0329】
前記製作例7による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を調べ、その結果を図9に示した。
【0330】
図9を参照すれば、製作例7の燃料電池はセル性能に優れることが分かった。
【0331】
前記製作例8による燃料電池において、電流密度によるセル電圧特性及び経時的なセル電圧変化を調べ、その結果をそれぞれ図10及び図11に示した。図11で“OCV”は、開放回路電圧でのセル電圧を表し、“0.3A/cm2”は、電流密度0.3A/cm2でのセル電圧を表す。
【0332】
図10を参照して、製作例8の燃料電池はセル電圧特性に優れ、図11から、寿命特性が優れることが分かった。
【0333】
前記で本発明の望ましい製造例を参照して説明したが、当業者は特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させうることを理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0334】
本発明は、燃料電池関連の技術分野に好適に用いられる。
【技術分野】
【0001】
ポリアゾールの架橋体、その製造方法、それを含む燃料電池用電極、燃料電池用電解質膜、その製造方法及びそれを含む燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子電解質でもって高分子電解質膜を使用した燃料電池は、動作温度が比較的低温であると同時に小型化できるため、電気自動車や家庭用分散発電システムの電源として期待されている。高分子電解質膜燃料電池に使われる高分子電解質膜としては、ナフィオン(登録商標)で代表されるパーフルオロカルボンスルホン酸系ポリマー膜が使われている。
【0003】
しかし、このタイプの高分子電解質膜がプロトン伝導を発現するためには、水分が必要なため、加湿が必要である。また、電池システム効率を高めるために100℃以上の温度での高温運転が求められるが、この温度では電解質膜内の水分が蒸発して枯渇し、固体電解質としての機能が失われるという問題がある。
【0004】
これらの従来の技術に起因する問題を解決するために、無加湿でありつつも100℃以上の高温で作動できる無加湿電解質膜が開発されている。前記無加湿電解質膜の構成材料として、燐酸がドーピングされたポリベンズイミダゾールなどの材料が開示されている。
【0005】
高温(150〜200℃)で作動させる燐酸型燃料電池では、電解質として液体である燐酸を使用するが、この液状の燐酸が電極内に多量で存在してガス拡散を阻害させる。したがって、電極触媒に撥水材であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を混合し、電極内の細孔が燐酸によって閉塞されることを防止できる電極触媒層が使われている。
【0006】
また、高温無加湿電解質である燐酸を保持するポリベンズイミダゾール(PBI)を電解質膜に使用した燃料電池では、電極と電解質膜との界面接触を良好にするために、液状の燐酸を電極に含浸させることが試みられ、金属触媒のローディング含有量を高める試みが行われたが、満足すべき特性として機械的特性、化学的安定性及び燐酸保液能を得難くて改善の余地が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
物理化学的な特性及び広い温度範囲で燐酸を保有する能力が向上した組成物、ポリアゾールの架橋体、その製造方法、それを含む燃料電池用電極及び燃料電池用電解質膜、その製造方法及びそれを含む燃料電池が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によって、下記の化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、及びベンゾオキサジン系モノマーを含み、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である組成物が提供される。
【0009】
【化1】
【0010】
前記式中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されて、C4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは、0.01ないし1であり、aは、0または1である。
【0011】
本発明の他の側面によって、前述した組成物の架橋反応を通じて得られた架橋体であるポリアゾールの架橋体が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の側面によって、下記の化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー、及び燐酸系物質を混合する工程と、前記混合物を熱処理する工程と、を含んで、前記ポリアゾールの架橋体を得て、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である組成物が提供される。
【0013】
【化2】
【0014】
前記式中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは、0.01ないし1であり、aは、0または1である。
【0015】
本発明のさらに他の側面によって、前述した組成物または前述したポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電解質膜が提供される。
【0016】
本発明の他の側面によって、下記の化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、燐酸系物質及びベンゾオキサジン系モノマーを混合する第1工程と、前記混合物を基板にキャスティングし、これを熱処理する第2工程と、前記熱処理された結果物を燐酸系物質に含浸させる第3工程と、前記結果物を乾燥する第4工程とを含んで、燃料電池用電解質膜を得て、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である燃料電池用電解質膜の製造方法が提供される。
【0017】
【化3】
【0018】
前記式中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは0.01ないし1であり、aは、0または1である。
【0019】
前記第3工程以前に、−20ないし30℃、相対湿度5ないし50%条件で恒温恒湿処理する工程をさらに含む。
【0020】
前記化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、燐酸系物質及びベンゾオキサジン系モノマーを混合する第1工程は、前記ポリアゾール及び燐酸系物質を100ないし160℃で攪拌した後、これをベンゾオキサジン系モノマーと混合する。
【0021】
本発明のさらに他の側面によって、前述した組成物、または前述したポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電極が提供される。
【0022】
本発明のさらに他の側面によって、カソード、アノード及びこれらの間に介在された電解質膜を備え、前記カソード、アノード及び電解質膜のうち選択された一つ以上が、前述した組成物または前述したポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電極が提供される。
【発明の効果】
【0023】
物理化学的な安定性に優れたポリアゾールの架橋体が提供される。これを利用すれば、広い温度範囲で燐酸を保有する能力が改善されて長期耐久性が確保され、水素イオン伝導度特性が向上した燃料電池用電極及び電解質膜を製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】合成例1Aによって製造された共重合架橋体の固体状態の核磁気共鳴(NMR)スペクトルである。
【図1B】合成例1Aないし1Cによって製造された共重合架橋体のIR(Infrared)分析スペクトルである。
【図1C】実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、電解質膜が保有する燐酸の含有量を示したグラフである。
【図1D】実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、引張強度を示したグラフである。
【図1E】実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、破断強度を示したグラフである。
【図1F】実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、電解質膜の厚さによる燐酸含有量変化を示したグラフである。
【図2】合成例1AによるABPBI及び合成例3によって製造された共重合架橋体の固体状態核磁気共鳴スペクトルである。
【図3】製作例1、製作例8及び比較製作例1によって製造された燃料電池において、温度による伝導度変化を示したグラフである。
【図4】製作例1及び製作例4によって製造された燃料電池において、電流密度によるセル電圧特性を示したグラフである。
【図5】製作例1による燃料電池において、経時的なセル電圧変化を示したグラフである。
【図6】製作例6A〜6C及び比較製作例1によって製造された燃料電池において、温度による伝導度変化を示したグラフである。
【図7】製作例6A及び比較製作例4による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を示したグラフである。
【図8】製作例6Aによる燃料電池において、経時的なセル電圧変化を示したグラフである。
【図9】製作例7による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を示したグラフである。
【図10】製作例8による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を示したグラフである。
【図11】製作例8による燃料電池において、経時的なセル電圧変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
下記の化学式1で表示される第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールと、ベンゾオキサジン系モノマーとを含む組成物、及びこの組成物の架橋反応を通じて得られた架橋体であるポリアゾールの架橋体が提供される。特定化学式または化学式のグループにおいて記述されるAr、R1、R2、X、Aなどのような置換基または変数の定義は、その特定化学式及び化学式のグループに対してのみ適用され、他の化学式または他の化学式に示した同じ置換基または変数定義にまで適用されるものではない。
【0026】
【化4】
【0027】
前記式中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、
mは、ポリアゾールで第1反復単位の相対的なモル含有量を示し、0.01ないし1であり、
aは、0または1である。
【0028】
前記アゾール第2反復単位は、少なくとも一つのアミノ基を持つ。
【0029】
前記ポリアゾール反復単位を構成する百分率として、化学式1の第1反復単位とアゾール第2反復単位との総和を1とすれば、前記化学式1の第1反復単位の混合比が0.01ないし1である場合、前記アゾール第2反復単位の混合比は0ないし0.99である。これをさらに説明すれば、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である。
【0030】
これと関連してアミノ基は、アリール環の一部分またはアリール環の置換基部分であって、1次アミノ基、2次アミノ基または3次アミノ基として存在できる。
【0031】
前記アゾール第2反復単位は、米国特許第2005/256296号明細書に公示されているポリアゾール系物質が有している反復単位をいう。
【0032】
非制限的な例として、前記ポリアゾール系物質は、下記の化学式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIIIまたはXIVで表示されるアゾールユニットを含む。
【0033】
【化5】
【化6】
【化7】
【0034】
前記化学式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII及びXIVで、Arは、互いに同一または相異なり、これらそれぞれは、単環または多環である4価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar1は、互いに同一または相異なり、これらそれぞれは単環または多環である2価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar2は、互いに同一または相異なり、これらそれぞれは単環または多環である2価または3価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar3は、互いに同一または相異なり、単環または多環である3価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar4は、互いに同一または相異なり、これらそれぞれは単環または多環である3価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar5は、互いに同一または相異なり、これらそれぞれは単環または多環である4価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar6は、互いに同一または相異なり、単環または多環である2価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar7は、互いに同一または相異なり、単環または多環である2価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar8は、互いに同一または相異なり、単環または多環である3価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar9は、互いに同一または相異なり、単環または多環である2価、3価または4価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar10は、互いに同一または相異なり、単環または多環である2価または3価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Ar11は、互いに同一または相異なり、単環または多環である2価のC6−C20アリール基またはC2−C20ヘテロアリール基であり、
Xは、同一または相異なり、酸素、硫黄または−N(R’)であり、前記R’は、水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基であり、
Rは、同一または相異なり、水素、C1−C20アルキル基またはC6−C20アリール基を表して、
nは、ポリアゾールでアゾール第2反復単位の相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99であり、kは、2ないし10の整数である。
【0035】
前記アリールまたはヘテロアリール基は、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、ビピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、テトラアジン、ピロール、ピラゾール、アントラセン、ベンゾピロール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサチアゾール、ベンゾオキサチアゾール、ベンゾピリジン、ベンゾピラジン、ベンゾピラジジン、ベンゾピリミジン、ベンゾトリアジン、インドリジン、キノリジン、ピリドピリジン、イミダゾピリミジン、ピラジノピリミジン、カルバゾール、アジリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジジン、ベンゾプテリジン、フェナントロリンまたはフェナントレンであり、これらは置換基を持つことができる。
【0036】
前記Ar1、Ar4、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11は、あらゆる可能な置換パターンを持つことができる。例えば、Ar1、Ar4、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10及びAr11がフェニレンである場合には、Ar1、Ar4、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10及びAr11は、オルトフェニレン、メタフェニレンまたはパラフェニレンである。
【0037】
前記アルキル基には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル及びt−ブチル基のようなC1−C4単鎖アルキル基であり、前記アリール基は、例えば、フェニルまたはナフチル基である。
【0038】
前記置換基には、フッ素のようなハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、またはメチル、エチルのような単鎖アルキル基である。
【0039】
前記ポリアゾール系物質の具体的な例として、ポリイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノキサリン、ポリチアジアゾール、ポリピリジン、ポリピリミジンまたはポリテトラアザピレンを挙げることができる。
【0040】
前記ポリアゾール系物質は、前記化学式(I)ないし(XIV)のうち少なくとも2個のユニットを含むコポリマーまたはブレンドでありうる。前記ポリアゾール系物質は、化学式(I)ないし(XIV)のうち少なくとも2個のユニットを含むブロックコポリマー(ジブロック、トリブロック)、ランダム共重合体、周期共重合体または交互ポリマーである。
【0041】
例えば、前記化学式I及び/またはIIのユニットから選択された一つ以上を含むアゾール第2反復単位が使われる。
【0042】
【化8】
【0043】
前記式中、nは、アゾール第2反復単位の相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99である。
【0044】
前記アゾール第2反復単位は、下記の化学式で表示される反復単位を例として挙げることができる。
【0045】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0046】
前記式中、n、n1、n2、n3は、アゾール第2反復単位の相対的なモル含有量を示し、前記式がn1及びn2のみを含有する場合は、n1とn2との和はnであり、前記式がn1、n2、及びn3を含有する場合は、n1とn2とn3との和はnであり、nは0ないし0.99である。
【0047】
前記アゾール第2反復単位は、下記の化学式2で表示されうる。
【0048】
【化13】
【0049】
前記化学式2中、R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Lは、リンカーを表し、nは、アゾール第2反復単位の相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99である。
【0050】
前記化学式1及び2中、mとnは、高分子反復単位を構成する百分率であって、これらの和は1である時、mは、0.01ないし1であり、nは、0ないし0.99である。一実施形態によれば、mは、0.01ないし1未満であり、具体的に0.1ないし1であり、nは、0より大きくて0.99以下であり、具体的に0ないし0.9である。
【0051】
前記化学式でm:nは、第1反復単位と第2反復単位との混合モル比でありうる。
【0052】
前記化学式1の反復単位と化学式2の第2反復単位とをいずれも含む場合、mは、0.1ないし0.9であり、nは、0.1ないし0.9である。
【0053】
前記化学式2の第2反復単位の例として、下記の化学式2aまたは化学式2bの反復単位がある。
【0054】
【化14】
【0055】
前記化学式2a−2b中、R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Lは、リンカーを表し、nは、アゾール第2反復単位の相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99である。
【0056】
前記化学式2、2a、2bで、Lは、単純に化学結合を表すか、または−CH2−、−C(CH3)2−、または−C(CF3)2−である。
【0057】
前記組成物はポリアゾール組成物である。
【0058】
前記ポリアゾール組成物でポリアゾールの含有量は、前記ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として、40ないし210重量部である。
【0059】
もし、ポリアゾールの含有量が前記範囲である時、ポリアゾール組成物及びこれより形成されたポリアゾールの架橋体が、機械的物性が優れる。
【0060】
前記化学式1の反復単位は、下記の化学式で表示される反復単位でありうる。
【0061】
【化15】
【0062】
前記式中、Arは、下記式で表示される基から選択される。
【0063】
【化16】
【0064】
前記ポリアゾールは、前記化学式2で、Lは、単純に化学結合を表すか、または−CH2−、−C(CH3)2−、または−C(CF3)2−である。
【0065】
前記ポリアゾールは、前記化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位とを含み、前記化学式2の第2反復単位は、化学式1の第1反復単位1モルを基準として0.25ないし4モルである。
【0066】
化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位との混合比(例えば、混合モル比)は、1:9ないし9:1であり、例えば、8:2ないし2:8であり、例えば、8:2、5:5、または2:8である。
【0067】
前記ポリアゾールは、化学式1の反復単位のみを含むホモポリマーでありうる。すなわち、m及びnは、ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、m及びnの総和が1であるとき、ポリアゾールは一具現例によれば、化学式1の第1反復単位のみを含むホモポリマー(m=1、n=0)である。
【0068】
これらの高分子を利用して作ったポリアゾールの架橋体は、ベンズイミダゾール高分子が持つ高い重合度に基づいて、ベンゾオキサジン系モノマーとの重合を通じて機械的強度をはじめとした、燃料電池電解質膜に要求される物理化学的な安定性を持つようになる。
【0069】
したがって、前述したポリアゾール組成物または前述したポリアゾールの架橋体を含む電解質膜は、強い燐酸ラッピング能を持つようになって、広い温度範囲で燐酸を保有できる能力が非常に改善され、かつ燐酸に対する安定性が向上して長期的な耐久性が保証される。
【0070】
前記ポリアゾールは、化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位とを含む共重合体であって、一実施形態によれば、化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位とを含むブロック共重合体でありうる。これらのブロック共重合体は、化学式1の反復単位のような堅い構造を保有していて、電解質膜の形体を保持できる支持体の役割を行えるだけではなく、化学式2の反復単位を保有して重合度が高く、その影響により電解質膜の機械的強度が改善される。
【0071】
したがって、前述したブロック共重合体を利用して生成されたポリアゾール組成物、及びこれより形成されたポリアゾールの架橋体は、電解質膜の長期耐久性を向上させることができ、ベンゾオキサジン系モノマーの燐酸との親和性及び強い酸トラッピング能を持つようになって、優秀な燐酸保有能及び水素イオン伝導度を持つ。
【0072】
本発明の一具現例によれば、前記ポリアゾールは、例えば、ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体(pPBI−ABPBIブロック共重合体)であり、この時、1:9ないし9:1であり、例えば、8:2ないし2:8であり、例えば、8:2、5:5、または2:8である。
【0073】
前述した電解質膜は、高温無加湿燃料電池に有効に使用できる。
【0074】
また前記ポリアゾールの重合度は、1ないし900、例えば、10ないし900、または20ないし900の数である。
【0075】
前記ポリアゾールは、非制限的な例として、下記の化学式3で表示される化合物でありうる。
【0076】
【化17】
【0077】
前記化学式3中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは、相対的なモル含有量を示し、0.01ないし1であり、例えば、0.01以上1未満であり、aは、0または1であり、R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Lは、リンカーを表し、nは、相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99であり、例えば、0超過0.99であり、m+n=1であり、kは、ポリアゾールの重合度を示し、10ないし300の数である。
【0078】
前記ポリアゾールは、一実施形態によれば、下記の化学式4または化学式5で表示される化合物でありうる。
【0079】
【化18】
【0080】
前記式中、kは、重合度であって、10ないし300の数である。
【0081】
【化19】
【0082】
前記式中、mは、相対的なモル含有量を示し、0.01ないし1であり、例えば、0.01ないし1未満であり、具体的には、1または0.1ないし0.9であり、nは、相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99であり、0より大きく0.99以下であり、一実施形態によれば、0または0.1ないし0.9であり、m+n=1であり、kは、10ないし300の数である。
【0083】
前記ベンゾオキサジン系モノマーは特別に制限されず、例えば、下記の化学式6ないし11で表示される化合物から選択された一つ以上を使用できる。
【0084】
【化20】
【0085】
前記化学式6中、R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立して水素、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはシアノ基であり、
R5は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基である。
【0086】
【化21】
【0087】
前記化学式7中、R5’は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
R6は、置換または非置換のC1−C20アルキレン基、置換または非置換のC2−C20アルケニレン基、置換または非置換のC2−C20アルキニレン基、置換または非置換のC6−C20アリーレン基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリーレン基、−C(=O)−、−SO2−からなる群から選択される。
【0088】
【化22】
【0089】
前記化学式8中、A、B、C、D、Eはいずれも炭素であるか、またはA、B、C、D、Eから選択された一つまたは二つは窒素(N)であり、その残りは炭素(C)であり、R1及びR2は、互いに連結されて環を形成し、前記環は、C6−C10炭素環基、C3−C10ヘテロアリール基、融合されたC3−C10ヘテロアリール基、C3−C10ヘテロ環基または融合されたC3−C10ヘテロ環基である。
【0090】
【化23】
【0091】
前記化学式9中、Aは、置換または非置換のC1−C20ヘテロ環基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、または置換されたC1−C20アルキル基であり、Aは、少なくとも一つのオキサジンモイエティを含み、R1ないしR8は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、またはヒドロキシ基である。
【0092】
【化24】
【0093】
前記化学式10中、R1及びR2は、互いに独立してC1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基または下記の化学式9Aで表示される基である。
【0094】
【化25】
【0095】
前記化学式10及び化学式10A中、R3は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である。
【0096】
【化26】
【0097】
前記化学式11中、R2、R3及びR4から選択された隣接した2つ以上の基は、互いに連結されて下記の化学式12Aで表示される基であり、前記R2、R3及びR4から選択されない残りの基は、水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基であり、
R5、R6及びR7から選択された隣接した2つ以上の基は、互いに連結されて下記の化学式12Aで表示される基であり、前記R5、R6及びR7から選択されない残りの基は、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である。
【0098】
【化27】
【0099】
前記化学式12A中、R1は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
*は、化学式11のR2、R3及びR4から選択された隣接した2つ以上の基と、R5、R6及びR7から選択された隣接した2つ以上の基とにそれぞれ連結される位置を表示する。
【0100】
前記化学式12A中、R1は、下記構造式で表示される基から選択される一つである。
【0101】
【化28】
【0102】
前記化学式6で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物を挙げることができる。
【0103】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【0104】
前記化学式7で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物を挙げることができる。
【0105】
【化33】
【0106】
前記式中、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示される基である。
【0107】
【化34】
【0108】
例えば、前記化学式7の化合物は、下記化学式で表示される化合物から選択できる。
【0109】
【化35】
【0110】
前記化学式8及び8Aで表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物がある。
【0111】
【化36】
【0112】
前記化学式8A中、Rは、水素またはC1−C10アルキル基である。
【0113】
【化37】
【0114】
前記化学式8で前記:
【化38】
は、下記構造式:
【化39】
で表示される基のうち一つである。
【0115】
前記化学式8で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例は、下記化学式で表示される化合物から選択される。
【0116】
【化40】
【化41】
【0117】
前記化学式9で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式で表示される化合物がある。
【0118】
前記化学式9のAは、下記化学式9Aまたは化学式9Bで表示される基のうち一つでありうる。
【0119】
【化42】
【0120】
前記化学式9A及び化学式9B中、R1は、水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である。
【0121】
前記化学式9の燐含有ベンゾオキサジン系モノマーは、下記化学式9Cまたは化学式9Dで表示される化合物でありうる。
【0122】
【化43】
【0123】
前記化学式9Cまたは化学式9D中、R1は、下記構造式で表示される基から選択された一つである。
【0124】
【化44】
【0125】
前記化学式9の化合物は、下記化学式で表示される化合物から選択される一つでありうる。
【0126】
【化45】
【0127】
前記化学式10で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式10B、10Cまたは10Dで表示される化合物がある。
【0128】
【化46】
【0129】
前記化学式10B、10C中、R2は、C1−C10アルキル基、C1−C10アルコキシ基、C6−C10アリール基、またはC6−C10アリールオキシ基であり、R3は、下記構造式:
【化47】
で表示される基から選択される。
【0130】
【化48】
【0131】
前記化学式10D中、R4及びR5は、いずれもC6−C10アリール基であり、R3は、下記構造式:
【化49】
で表示される基から選択される。
【0132】
前記化学式10の化合物は、下記化学式10Eまたは化学式10Fで表示される化合物から選択される一つでありうる。
【0133】
【化50】
【0134】
前記化学式10Eまたは10F中、R3は、下記構造式:
【化51】
で表示される基から選択される。
【0135】
前記化学式10のベンゾオキサジン系モノマーは、下記の化学式で表示される化合物でありうる。
【0136】
【化52】
【0137】
前記化学式11で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記の化学式11Aないし11Cで表示される化合物を挙げることができる。
【0138】
【化53】
【0139】
前記化学式11Aないし11C中、R1は、下記構造式:
【化54】
で表示される基のうち一つである。
【0140】
前記化学式11で表示されるベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記の化合物がある。
【0141】
【化55】
【化56】
【0142】
用語「ポリアゾールの架橋体」の定義について説明する。
ポリアゾールとベンゾオキサジン系モノマーとを含むポリアゾール組成物を熱処理すれば、ベンゾオキサジン系モノマーの重合反応が起きてベンゾオキサジン系モノマーの重合体が形成され、前記ベンゾオキサジン系モノマーの重合体及び/またはベンゾオキサジン系モノマーとポリアゾールとの共重合反応生成物、架橋反応生成物または共重合及び架橋反応生成物が形成される。
【0143】
以下、ポリアゾールの架橋体の製造方法を説明する。
前記化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する。
【0144】
一具現例では、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位が存在していないが(すなわち、m=1及びn=0であるが)、化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位を持つポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明が、化学式1の第1反復単位のみを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明も含むと理解されねばならない。
【0145】
燐酸系物質には、ポリ燐酸、ホスホン酸(H3PO3)、オルト燐酸(H3PO4)、ピロ燐酸(H4P207)、トリ燐酸(H5P3O10)、メタ燐酸及びその誘導体から選択された一つ以上を使用する。例えば、前記燐酸系物質にはオルト燐酸を使用できる。
【0146】
前記燐酸系物質の濃度は、90〜100重量%、例えば、95〜100重量%、98〜100重量%である。
【0147】
前記ポリ燐酸は、例えば、Riedel−de Haen社で入手可能な通例的なポリ燐酸である。前記ポリ燐酸Hn+2PnO3n+1(n>1)は、一般的に少なくともP2O5(酸滴定により)濃度で83%と計算される。
【0148】
前記化学式1の反復単位と、反復単位内に少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、加水分解時に燐酸を生成する物質を使用する重合反応を通じて製造される。前記加水分解時に燐酸を生成する物質は、溶媒として使われうる。
【0149】
前記加水分解時に燐酸を生成する物質にはポリ燐酸を使用するが、これに制限されるものではない。
【0150】
前記ポリアゾールは、ベンゾオキサジン系モノマーと混合される前に燐酸系物質を付加し、これを100ないし160℃で攪拌した後、これをベンゾオキサジン系モノマーと混合することにより、ポリアゾールとベンゾオキサジン系モノマーとが均一によく混合されうる。
【0151】
前記燐酸系物質の含有量は、ポリアゾール100重量部を基準として、100ないし50000重量部である。
【0152】
次いで、前記混合物を熱処理してポリアゾールとベンゾオキサジン系モノマーとの重合反応を実施する。
【0153】
前記熱処理は60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で行われる。
【0154】
もし、熱処理が前記範囲である時、機械的物性に優れたベンズイミダゾール系高分子の架橋体を製造できる。前記熱処理を通じてポリアゾールとベンゾオキサジン系モノマーの重合反応(架橋反応、共重合反応または共重合架橋反応)が進められる。
【0155】
前記ポリアゾールの製造方法を説明するが、化学式2の反復単位のうち、化学式2aの反復単位を例として説明する。
【0156】
まず、化学式1の反復単位を含むホモポリアゾールは、下記反応式1に現れた製造過程によって得られる。
【0157】
【化57】
【0158】
前記式中、R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは、第1反復単位の相対的なモル含有量を示し、この一具現例では、前記生成物がホモポリマーであるので、mは1であり、aは、0または1である。
【0159】
まず、加水分解時に燐酸を生成できる物質にDABAを入れて、100ないし160℃で溶解する。
【0160】
前記加水分解時に燐酸を生成できる物質には、例えば、ポリ燐酸(PPA)を使用できる。
【0161】
ここで、前記ポリ燐酸の含有量は、DABA 100重量部を基準として、1000ないし4000重量部である。
【0162】
前記混合物を60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で熱処理して重合反応を実施すれば、化学式1の反復単位を含むABPBI(ポリ(2,5−ベンズイミダゾール))を製造できる。ここで、前記熱処理温度が前記範囲である時、重合反応の反応性に優れて目的物の収率が良好である。
【0163】
化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位とを含むポリアゾールは、例えば、ブロック共重合体でありうる。このブロック共重合体は、下記反応式2に示された方法によって製造できる。
【0164】
【化58】
【0165】
前記式中R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、mは、相対的なモル含有量を示し、0.01ないし1であり、nは、相対的なモル含有量を示し、0ないし0.99であり、m+n=1であり、Lは、リンカーを示し、aは、0または1であり、kは、10ないし300の数である。
【0166】
まず、化合物(A)との加水分解時に燐酸を生成できる物質を混合し、これを100ないし160℃で攪拌する。ここで、加水分解時に燐酸を生成できる物質の含有量は、化合物(A)100重量部を基準として1000ないし4000重量部であることが望ましい。
【0167】
前記加水分解時に燐酸を生成できる物質には、例えば、ポリ燐酸(PPA)を使用する。
【0168】
次いで、前記混合物に化合物(B)を付加及び攪拌して、60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で反応を実施してオリゴマーを得る。ここで、化合物(B)の含有量は、化合物(A)1モルを基準として、0.9ないし1.15モルであることが望ましい。
【0169】
前記オリゴマーが含まれた混合物の温度を60ないし250℃、例えば、100ないし220℃に調節し、これに前記反応式1のDABAを付加し、これを60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で重合反応を実施する。
【0170】
前記重合反応が完結すれば、化学式3のブロック共重合体を得ることができる。
【0171】
例えば、前記化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールが、ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)である場合、前記ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)は、3,4−ジアミノ安息香酸とポリ燐酸とを100ないし160℃で混合し、これを60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で熱処理して製造できる。
【0172】
さらに他の例を挙げれば、前記化学式1の反復単位と少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールが、ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体である場合、前記ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体は、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラアミン四塩酸塩とポリ燐酸とを100ないし160℃で混合し、これを60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で熱処理して(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを得る工程を含み、前記(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを3,4−ジアミノ安息香酸と混合し、これを60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で熱処理して製造される。
【0173】
前記ポリアゾールの架橋体を利用して電解質膜を製造する方法を説明すれば、次の通りである。
【0174】
まず、下記の化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、燐酸系物質及びベンゾオキサジン系モノマーを混合してこれを攪拌する。
【0175】
一具現例では、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位が存在していないが(すなわち、m=1及びn=0であるが)、化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位を持つポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明が、化学式1の第1反復単位のみを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明も含むと理解されねばならない。
【0176】
前記燐酸系物質は、化学式1の反復単位とアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール100重量部を基準として、100ないし5000重量部、例えば、1000ないし4000重量部である。
【0177】
前記ポリアゾールは、燐酸系物質と先ず混合し、これを100ないし160℃で攪拌した後、これをベンゾオキサジン系モノマーと混合できる。このような過程によれば、ポリアゾールとベンゾオキサジン系モノマーとの混合が均一に行われる。
【0178】
前記混合物を基板にキャスティングし、これを熱処理する。
【0179】
前記熱処理温度は、60ないし250℃、例えば、100ないし220℃で行われる。
【0180】
前記熱処理された結果物を、燐酸系物質に常温(20℃)で含浸させる。ここで燐酸系物質には、ポリ燐酸、ホスホン酸(H3PO3)、有機ホスホン酸、オルト燐酸(H3PO4)、ピロ燐酸(H4P207)、トリ燐酸(H5P3O10)、メタ燐酸及びその誘導体から選択された一つ以上を使用し、例えば、オルト−燐酸自体を使用するか、または5ないし30重量%の燐酸水溶液またはポリ燐酸を使用する。
【0181】
前記燐酸系物質に含浸する前に、熱処理された結果物を恒温恒湿条件で放置する工程を経ることができる。このような恒温恒湿条件下での処理時、ポリ燐酸の加水分解反応が起きる。
【0182】
前記恒温恒湿条件について説明すれば、温度は−20ないし30℃、相対湿度は5ないし50%RH範囲で調節される。
【0183】
前記温度は、例えば、−10ないし15℃であり、相対湿度は、例えば、5ないし25%RH範囲である。他の例には、−10℃、25%RHで48時間以上徐々にポリ燐酸の加水分解過程を経ることができる。
【0184】
前記温度が前記範囲である時、加水分解反応性の低下なしに水分解速度に優れる。
【0185】
前記相対湿度が前記範囲である時、加水分解反応性が低下せずに電解質膜の物性が優れる。
【0186】
前記過程によって得られた結果物を常温(20℃)で真空乾燥すれば、前記ポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電解質膜を得ることができる。
【0187】
本発明の一具現例によれば、前述したポリアゾール組成物またはポリアゾールの架橋体及び触媒を含む燃料電池用電極が提供される。
【0188】
前記電極は、カソードに空気を利用しながらも酸素透過度が改善され、電極内部での燐酸(H3PO4)の湿潤(wetting)能及び熱的安定性を向上させることができる。したがって、これらの電極を採用した燃料電池は高温無加湿条件下で動作でき、熱的安定性が補強されるだけではなく、改善された発電性能を発現させることができる。
【0189】
前記触媒には、白金(Pt)単独、または金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、スズ、モリブデン、コバルト、クロムからなる群から選択された一種以上の金属と白金との合金あるいは混合物を使用するか、または前記触媒金属がカーボン系担体に担持された担持触媒を使用できる。特に白金(Pt)、白金コバルト(PtCo)及び白金ルテニウム(PtRu)からなる群から選択された一つ以上の触媒金属であるか、または前記触媒金属がカーボン系担体に担持された担持触媒を使用することが望ましい。
【0190】
前記電極は、燃料電池電極の製造時に通例的に使用可能なバインダーをさらに備えることができる。
【0191】
前記バインダーには、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体及びパーフルオロエチレンからなる群から選択された一つ以上を使用する。
【0192】
前記バインダーの含有量は、触媒1重量部を基準として0.001ないし0.5重量部であることが望ましい。もし、バインダーの含有量が前記範囲である時、支持体に対する電極触媒層の結着力に優れる。
【0193】
前記燃料電池用電極の製造方法を説明すれば、次の通りである。
【0194】
先ず、溶媒に触媒を分散して分散液を得る。この時、溶媒にはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)などを使用し、その含有量は触媒1重量部を基準として、1ないし10重量部である。
【0195】
前記分散液に、化学式1の第1反復単位とアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー、バインダー、溶媒及び燐酸系物質を含む混合物を付加及び混合して攪拌する。
【0196】
一具現例では、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位が存在していないが(すなわち、m=1及びn=0であるが)、化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位を持つポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明が、化学式1の第1反復単位のみを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する過程についての説明も含むと理解されねばならない。
【0197】
前記溶媒には、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)などを使用する。
【0198】
前記燐酸系物質の含有量は、ポリアゾール100重量部を基準として、1ないし10重量部である。
【0199】
前記混合物をカーボン支持体の表面にコーティングして電極を完成する。ここで、カーボン支持体はガラス基板上に固定させるのがコーティング作業し容易である。そして、前記コーティング方法は特別に制限されないが、ドクターブレードを利用したコーティング、バーコーティング、スクリーンプリンティングなどの方法を利用できる。
【0200】
前記混合物をコーティング後に乾燥する過程を経るが、溶媒を除去する過程として20ないし150℃の温度範囲で実施する。そして、乾燥時間は乾燥温度によって変わり、10ないし60分範囲内で実施する。
【0201】
また前記電極は、プロトン伝導体をさらに含むことができる。
【0202】
前記プロトン伝導体には、ポリ燐酸、ホスホン酸(H3PO3)、オルト燐酸(H3PO4)、ピロ燐酸(H4P207)、トリ燐酸(H5P3O10)、メタ燐酸、有機ホスホン酸またはその誘導体を例として挙げることができる。前記プロトン伝導体の濃度は、少なくとも80重量%、90重量%、95重量%、または98重量%でありうる。例えば、燐酸を使用する場合、80重量%の燐酸水溶液を使用し、燐酸含浸時間は80℃で2.5時間ないし14時間範囲である。
【0203】
前記プロトン伝導体の含有量は、電極の総重量100重量部に対して、10ないし1000重量部で使われる。
【0204】
電極製造時に前述したように燐酸を使用できる。または、これと別途に電極を完成した後、完成された電極の燐酸への2次含浸過程を経ることもできる。この時に使われる燐酸は、5〜30重量%の燐酸水溶液を使用できる。
【0205】
本発明の一具現例による燃料電池は、電解質膜形成材料及び/または電極形成材料を最適化し、これから形成された電池のセル性能を極大化させる。
【0206】
前記燃料電池用電極を含む燃料電池を製造する方法を説明する。
【0207】
前記電解質膜は、燃料電池で通例的に使われる電解質膜を使用することもでき、または前述したポリアゾール組成物または前述したポリアゾールの架橋体を含む電解質膜も使用できる。
【0208】
前記ポリアゾール組成物または前述したポリアゾールの架橋体を含む電解質膜は、電解質膜と電極との接触抵抗が減少することによって、燃料電池のセル性能が極大化される。
前記燃料電池で通例的に使われる電解質膜には、例えば、ポリベンズイミダゾール電解質膜、ポリベンゾオキサジン−ポリベンズイミダゾール共重合体電解質膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜などを使用できる。
【0209】
燃料電池用電極−膜アセンブリを製造する過程を説明すれば、次の通りである。用語「電極−膜アセンブリ(MEA:Membrane and Electrode Assembly)」は、電解質膜を中心に、この両面に触媒層と拡散層とで構成された電極が積層されている構造を称する。
【0210】
前記MEAは、前述した電極触媒層を備えている電極を、前記過程によって得た電解質膜の両面に位置させた後、高温及び高圧で接合して形成し、これに燃料拡散層を接合して形成できる。
【0211】
この時、前記接合のための加熱温度及び圧力は、電解質膜が軟化する温度まで加熱した状態で0.1ないし3ton/cm2、例えば、約1ton/cm2の圧力で加圧して実行する。
【0212】
次いで、前記電極−膜アセンブリにそれぞれバイポーラプレートを装着して、燃料電池を完成する。ここでバイポーラプレートは燃料供給用溝を持っており、集電体の機能を持っている。
【0213】
燃料電池は特別にその用途が限定されるものではないが、望ましい一面によれば、高分子電解質膜燃料電池として使われる。
【0214】
本発明の一具現例によれば、活性化時間が短縮して電流密度による電圧性能が改善された燃料電池用電極と、高温での熱的安定性及び膜自体の酸保有能に優れた燃料電池用電解質膜を製作できる。
【0215】
化学式で使われる置換基の定義について説明すれば、次の通りである。
【0216】
化学式で使われるアルキル基の具体的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシルなどを挙げることができ、前記アルキルのうち一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたC1−C20のアルキル基(例:CCF3、CHCF2、CH2F、CCl3など)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、燐酸やその塩、またはC1−C20のアルキル基、C2−C20アルケニル基、C2−C20アルキニル基、C1−C20のヘテロアルキル基、C6−C20のアリール基、C6−C20のアリールアルキル基、C6−C20のヘテロアリール基、またはC6−C20のヘテロアリールアルキル基で置換されうる。
【0217】
化学式で使われるアルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどがあり、アルコキシ基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換される。
【0218】
化学式で使われるアルケニル基の具体的な例には、ビニレン、アリレンなどを挙げることができ、前記アルケニルのうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換される。
【0219】
化学式で使われるアルキニル基の具体的な例には、アセチレンなどを挙げることができ、前記アルキニルのうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換できる。
【0220】
化学式で使われるアリール基は単独または組み合わせて使われて、一つ以上の環を含む芳香族システムを意味し、例として、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルなどがある。前記アリール基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換される。
【0221】
化学式で使われるアリールオキシ基の例には、フェノキシ基などがあり、前記アリールオキシ基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換できる。
【0222】
化学式で使われるヘテロアリール基は、N、O、PまたはSから選択されたヘテロ原子を含むヘテロ環及び脂肪族有機化合物を意味する。前記ヘテロアリールのうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換される。
【0223】
化学式で使われる炭素環基は、シクロヘキシル基のように炭素原子のみで構成された非芳香族環基を称し、前記炭素環基のうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じ置換基で置換できる。前記置換基中、C1−C20のアルキル基は除外される。
【0224】
化学式で使われるヘテロ環基は、窒素、硫黄、リン、酸素などのヘテロ原子を含有する環基を称し、具体的な例としてピリジルなどがあり、これらのヘテロ環のうち一つ以上の水素原子は、前述したアルキル基の場合と同じく置換される。
【0225】
化学式で使われるハロゲン原子は、例としてフッ素、塩素、ブロームなどがあり、化学式で置換基の定義時に使われた用語「ハロゲン化された」は、フッ素、塩素、ブロームなどのハロゲン原子またはハロゲン原子含有有機基で置換された場合を示す。前記有機基の例には、C1−C20アルキル基などを挙げることができる。
【0226】
化学式で使われるアリーレン基、ヘテロアリーレン基、ヘテロアリールオキシ基、炭素環基、ヘテロ環アルキル基、炭素環アルキル基及びヘテロアリールアルキル基は、これらが持っている一つ以上の水素原子を、前述したアルキル基の場合と同じく置換される。
【0227】
以下、下記実施例を挙げて説明するが、下記実施例のみ限定されるものではない。
【0228】
[合成例1A:ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)(ABPBI)及びこれを利用したPBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI共重合架橋体)]
【化59】
150℃で、ポリ燐酸(polyphosphoric acid:PPA)溶媒にジアミノ安息香酸(DABA)を入れて完全に溶解させた。この混合物を攪拌して均一な溶液になれば、220℃に温度を高めて30分間重合反応を実施した。
【0229】
重合が進行し終われば、反応混合物は粘度の高い溶液になり、この溶液にオルト燐酸を添加し、150℃で溶解して混合物Cを製造した。この重合反応によって得られたポリ(2,5−ベンズイミダゾール)(ABPBI)の数平均分子量は約15万であった。
【0230】
前記混合物Cにベンゾオキサジン系モノマーである下記の化学式で表示される4FPh2AP 67重量部を付加し、これを攪拌して混合物Aを用意した。前記混合物Aで、ベンゾオキサジン系モノマーと反応するABPBIの含有量は33重量部であった。
【0231】
【化60】
【0232】
前記攪拌された混合物Aを窒素ガス雰囲気下、100ないし220℃まで温度を徐々に昇温させた(約3時間)後、1時間220℃で熱処理を実施した。
【0233】
前記反応混合物に水を付加して固体を形成し、これをろ過及び水で洗浄し、これを乾燥させてPBOA−co−ABPBI共重合架橋体を収得した。
【0234】
[合成例1B:PBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI共重合架橋体)]
混合物Aの代わりに混合物Bを使用したことを除いては、合成例1Aと同じ過程によって実施した。
【0235】
前記混合物Bは、合成例1Aの混合物Cに4FPh2AP 50重量部を付加して製造し、前記混合物Bは、4FPh2AP 50重量部とABPBI50重量部とを含む。
【0236】
[合成例1C:PBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI共重合架橋体)]
混合物Aの代わりに混合物Dを使用したことを除いては、合成例1Aと同じ過程によって実施した。
【0237】
前記混合物Dは、4FPh2AP 33重量部とABPBI 67重量部とを混合して用意した。
【0238】
[実施例1A:電解質膜の製造]
合成例1AによるPBOA−co−ABPBI共重合架橋体を利用して電解質膜を製造した。
【0239】
前記電解質膜は、合成例1Aによって得た攪拌された混合物Aを石英板の上部にキャスティングし、これを窒素ガス雰囲気下で100℃のオーブンに入れてこれを硬化させた。
【0240】
100ないし220℃まで温度を約3時間にわたって高めた後、1時間220℃に温度を固定し、前記温度をオーブンで徐々に常温に冷やした。
【0241】
前記反応結果物を−10℃、25%RHで48時間以上徐々に加水分解過程を経て膜を形成した。
【0242】
約20重量%の燐酸水溶液に、製造された膜を常温で24時間浸漬して2次加水分解過程を進めた。次いで、燐酸水溶液から膜を取り出して表面の燐酸を拭い取り、真空オーブンで24時間以上乾燥させて、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜Aを得た。電解質膜Aは、4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部とを含む。
【0243】
[実施例1B:電解質膜の製造]
合成例1BによるPBOA−co−ABPBI共重合架橋体を利用して電解質膜を製造した。
【0244】
合成例1Aによって得た攪拌された混合物Aの代わりに、合成例1Bによって得た攪拌された混合物Bを使用したことを除いては、実施例1Aと同一に実施してPBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜Bを得た。電解質膜Bは、4FPh2AP 50重量部とABPBI50重量部とを含む。
【0245】
[実施例1C:電解質膜の製造]
合成例1CによるPBOA−co−ABPBI共重合架橋体を利用して電解質膜を製造した。
【0246】
合成例1Aによって得た攪拌された混合物Aの代わりに、合成例1Cによって得た攪拌された混合物Dを使用したことを除いては、実施例1Aと同一に実施してPBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜Dを得た。電解質膜Dは、4FPh2AP 33重量部とABPBI 67重量部とを含む。
【0247】
前記合成例1Aによって製造されたPBOAとABPBIとの共重合架橋体は、固体核磁気共鳴スペクトル(Sold state NMR(Nuclear Magnetic Resonance))を通じてその構造を確認した(図1A)。図1AでABPBIは、合成例1Aによって製造されたABPBIについてのものであり、PBOA(P4FPh2AP)は、P4FPh2APポリマーについてのものである。
【0248】
前記合成例1Aないし1Cによって製造された共重合架橋体のIR分析を実施し、その分析結果を図1Bに示した。
【0249】
図1BでP(4FPH2AP)は、4FPH2APポリマーについてのものであり、ABPBIは、ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)についてのものであり、4FPh2AP−ABPBI(2:1)は、合成例1Aによる4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部とを利用して作った共重合架橋体であり、4FPh2AP−ABPBI(1:1)は、合成例1Bによる4FPh2AP 50重量部とABPBI50重量部とを利用して作った共重合架橋体であり、合成例1Cによる4FPh2AP−ABPBI(1:2)は、4FPh2AP 33重量部とABPBI 67重量部とを利用して作った共重合架橋体についてのものである。
【0250】
前記実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、燐酸含有量を評価し、評価結果を図1Cに示した。
【0251】
前記燐酸含有量評価方法は、次の通りである。
【0252】
前記電解質膜A、B、Dをそれぞれ2.5重量%、5重量%、10重量%及び20重量%の燐酸水溶液バスに24時間浸漬した後、前記電解質膜A、B、Dに含浸される燐酸の含有量を調べて図1Cに示す。図1Cで、4FPh2AP−ABPBI(2:1)は、電解質膜Aについてのものであり、4FPh2AP−ABPBI(1:1)は、電解質膜Bについてのものであり、4FPh2AP−ABPBI(1:2)は、電解質膜Dについてのものである。
【0253】
図1Cを参照すれば、電解質膜A、B、Dは、燐酸親和力に優れて高い燐酸含有量を保有できるということが確認できた。
【0254】
前記実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dを、20−21℃、19−23%相対湿度で燐酸含有量による引張強度及び破断強度を調べ、その結果を図1D及び図1Eに示した。図1D及び図1Eで、4FPh2AP−ABPBI(2:1)は、電解質膜Aについてのものであり、4FPh2AP−ABPBI(1:1)は、電解質膜Bについてのものであり、4FPh2AP−ABPBI(1:2)は、電解質膜Dについてのものである。
【0255】
図1D及び図1Eを参照して、電解質膜A、B、Dは、機械的安定性が優れることが分かり、高含有量の燐酸を保有した場合にも機械的強度に優れることが確認できた。
【0256】
前記実施例1Aないし1Cによる電解質膜A、B、Dにおいて、電解質膜の厚さによる燐酸含有量を調べて、図1Fに示した。
【0257】
図1Fを参照すれば、電解質膜の厚さが増加するにつれて、電解質膜の面積当り燐酸含有量が増加するということが分かった。
【0258】
[合成例2:ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体(pPBI−ABPBIブロック共重合体)、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体の製造]
【化61】
【0259】
前記反応式中、mは0.67であり、nは0.33である。
【0260】
150℃で、ポリ燐酸(PPA)溶媒にDABIT(ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラアミン四塩酸塩)を付加し、これを攪拌してDABITからHClを除去した。
【0261】
HClが除去され終われば、テレフタル酸(TA)を添加して攪拌後に均一な溶液になれば、240℃に温度を高めて3時間重合反応を実施した。
【0262】
重合された溶液(pPBIオリゴマー)の温度を150℃に低め、3,4−ジアミノ安息香酸(DABA)を添加してDABAを溶かした後、240℃に温度を高めて2時間重合反応を実施した。
【0263】
重合が終われば、粘度の高い溶液になり、この溶液にオルト燐酸を添加して150℃で溶解した。この重合反応によって得られたpPBI−ABPBIブロック共重合体の数平均分子量は約15万であった。
【0264】
混合物Eにベンゾオキサジン系モノマーである4FPh2AP 67重量部を付加し、これを攪拌して混合物Fを形成した。
【0265】
前記混合物Eで、ベンゾオキサジン系モノマーと反応するpPBI−ABPBIブロック共重合体の含有量は33重量部であり、前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は8:2であった。
【0266】
前記攪拌された混合物Fを窒素ガス雰囲気下で、100ないし220℃まで温度を徐々に高めた(約3時間)後、1時間220℃で熱処理を実施した。
【0267】
前記反応結果物に水を付加して固体を形成し、これをろ過及び水で洗浄し、これを乾燥させて、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体を製造した。
【0268】
[実施例2:電解質膜の製造]
合成例2のPBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体を利用して、電解質膜を次のように製造した。
【0269】
合成例2によって得られた混合物Eにベンゾオキサジン系モノマーである4FPh2AP 67重量部を付加して攪拌する。この溶液の一定量を石英板上にキャスティングし、これを窒素ガス雰囲気下で100℃オーブンに入れて硬化させた。
【0270】
100℃ないし220℃まで温度を徐々に高めた(約3時間)後、1時間220℃に温度を固定させた。次いで、前記温度をオーブンで徐々に常温に冷やしてから、これを−10℃、25%RHで48時間以上徐々に加水分解過程を実施して膜を形成した。
【0271】
濃度約30重量%の燐酸水溶液に製造された膜を常温で24時間浸漬して、2次加水分解過程を実施した。
【0272】
燐酸水溶液から膜を取り出して表面の燐酸を拭い取り、真空オーブンで24時間以上乾燥させてPBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体を製造した。
【0273】
[合成例3:PBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI共重合架橋体)の製造]
ベンゾオキサジン系モノマーである4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、合成例1Aと同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体を製造した。
【0274】
【化62】
【0275】
前記合成例3によって製造されたPBOA−co−ABPBI共重合架橋体は、固体状態核磁気共鳴スペクトル(Solid state NMR)を通じてその構造を確認した(図2)。図2で、ABPBIは、合成例1Aによって製造されたABPBIについてのものであり、PBOA(P4FPh2AP)は、P4FPh2APのポリマーについてのものである。
【0276】
[実施例3:電解質膜の製造]
ベンゾオキサジン系モノマーである4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜を製造した。
【0277】
[合成例4:PBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI共重合架橋体)の製造]
4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、tBuPha 80重量部とABPBI 20重量部を使用したことを除いては、合成例1Aと同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体を製造した。
【0278】
[実施例4:電解質膜の製造]
4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、tBuPha80重量部とABPBI20重量部とを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜を製造した。
【0279】
[合成例5:PBOAとABPBIとの共重合架橋体(PBOA−co−ABPBI)の製造]
tBuPha 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、tBuPha 50重量部とABPBI 50重量部とを使用したことを除いては、合成例3と同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体を製造した。
【0280】
[実施例5:電解質膜の製造]
tBuPha 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、tBuPha 50重量部とABPBI 50重量部とを使用したことを除いては、実施例3と同じ方法によって実施して、PBOA−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜を製造した。
【0281】
[合成例6A:PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、合成例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は8:2であった。
【0282】
[合成例6B:PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、合成例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は5:5であった。
【0283】
[合成例6C:PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、合成例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体の共重合架橋体を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は2:8であった。
【0284】
[実施例6A:電解質膜の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、実施例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体電解質膜を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は8:2であった。
【0285】
[実施例6B:電解質膜の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、実施例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体電解質膜を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は5:5であった。
【0286】
[実施例6C:電解質膜の製造]
4FPh2AP 67重量部の代わりにtBuPha 67重量部を使用したことを除いては、実施例2と同じ方法によって実施して、PBOAとpPBI−ABPBIブロック共重合体との共重合架橋体電解質膜を製造した。前記pPBI−ABPBIブロック共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は2:8であった。
【0287】
[合成例7:PB0A−co−ABPBI共重合架橋体の製造]
4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、HFa 67重量部とABPBI 33重量部とを使用し、混合物Aの熱処理時に最大温度が250℃に変わったことを除いては、合成例1Aと同じ方法によって実施して、PB0A−co−ABPBI共重合架橋体を製造した。
【0288】
【化63】
【0289】
[実施例7:電解質膜の製造]
4FPh2AP 67重量部とABPBI 33重量部の代わりに、HFa 67重量部とABPBI 33重量部とを使用し、混合物Aの熱処理時に最大温度が250℃に変わったことを除いては、実施例1Aと同じ方法によって実施して、PB0A−co−ABPBI共重合架橋体電解質膜を製造した。
【0290】
【化64】
【0291】
[比較例1:ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)(ABPBI)を利用した電解質膜の製造]
150℃で、ポリ燐酸(polyphosphoric acid:PPA)溶媒にDABAを入れて完全に溶解させた。この混合物を攪拌して均一な溶液になれば、220℃に温度を高めて30分間重合反応を実施して、ABPBIを得た。
【0292】
前記ABPBIに85重量%燐酸を80℃で4時間以上含浸して、電解質膜を形成した。ここで燐酸の含有量は、電解質膜総重量100重量部に対して約530重量部であった。
【0293】
[比較例2:ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体(pPBI−ABPBIブロック共重合体)を利用した電解質膜の製造]
【化65】
【0294】
150℃で、ポリ燐酸(PPA)溶媒にDABIT(ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラアミン四塩酸塩)を付加し、これを攪拌してDABITからHClを除去した。
HClがすべて除去されれば、テレフタル酸(TA)を添加して攪拌後に均一な溶液になれば、240℃に温度を高めて3時間重合反応を実施して、pPBIオリゴマー溶液を得た。
【0295】
pPBIオリゴマー溶液の温度を150℃に低め、3,4−ジアミノ安息香酸(DABA)を添加してDABAを溶かした後、240℃に温度を高めて2時間重合反応を実施して、pPBI−ABPBIブロック共重合体を得た。pPBI−ABPBI共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比は2:8であった。
【0296】
前記pPBI−ABPBI共重合体を、85重量%燐酸に80℃で4時間以上含浸して、電解質膜を形成した。ここで、燐酸の含有量は、電解質膜総重量100重量部に対して約530重量部であった。
【0297】
[比較例3:ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)−ポリ(2,5−ベンズイミダゾール)ブロック共重合体(pPBI−ABPBIブロック共重合体)を利用した電解質膜の製造]
pPBI−ABPBI共重合体で、pPBIとABPBIとの混合モル比が5:5であることを除いては、比較例2と同じ方法によって実施して電解質膜を製造した。
【0298】
[製作例1:実施例1Bの電解質膜を利用した燃料電池の製作]
攪拌容器に、カーボンに50重量%PtCoが担持された触媒1g及び溶媒NMP3gを付加し、これを攪拌してスラリーを作った。前記スラリーに5重量%のポリフッ化ビニリデンのNMP溶液を付加して、ポリフッ化ビニリデンが0.025gになるように添加し、10分間混合してカソード触媒層形成用スラリーを製造した。
【0299】
カーボン紙を4×7cm2に切ってガラス板上に固定し、ドクターブレード(Sheen instrument社製)でコーティングするが、この時にギャップ間隔は600μmに調節した。
【0300】
前記カーボン紙の上部に前記カソード触媒層形成用スラリーをコーティングし、これを常温で1時間乾燥し、80℃で1時間乾燥し、120℃で30分乾燥し、150℃で15分間乾燥してカソードを製造した。完成されたカソードでの白金コバルト中の白金のローディング量は、3.0mg/cm2値を持つ。
【0301】
アノードとしては、下記過程によって得た電極を利用した。
【0302】
攪拌容器に、カーボンに50重量%Ptが担持された触媒2g及び溶媒NMP 9gを付加し、これを高速攪拌器を利用して2分間攪拌した。
【0303】
次いで、前記混合物にポリフッ化ビニリデン0.05gをNMP 1gに溶解した溶液を付加し、2分間さらに攪拌してアノード触媒層形成用スラリーを製作する。これを微細多孔層がコーティングされたカーボン紙上にバーコーターでコーティングして製作した。完成されたアノードの白金ローディング量は1.4mg/cm2値を持つ。
【0304】
前記過程によって完成されたカソードでの白金コバルトローディング量は約2.33mg/cm2値を持ち、完成されたアノードでの白金のローディング量は1.4mg/cm2値を持つ。
【0305】
前記カソードとアノードとの間に前記実施例1Bの電解質膜Bを介してMEAを製作した。ここで、前記カソードとアノードとは燐酸の含浸なしに使用した。
【0306】
前記カソードとアノードとの間のガス透過を防止するために、主ガスケット用として厚さ200μmのテフロン(登録商標)膜と、サブガスケット用として厚さ20μmのテフロン(登録商標)膜とを、カソードと電解質膜との界面及びアノードと電解質膜との界面に重ねて使用した。そして、MEAに加えられる圧力は、トルクレンチを使用して調節し、1、2、3 N−mトルクまで段階的に増加させつつ組立てた。
【0307】
温度150℃、電解質膜に対して加湿しない条件で、アノードに水素(流速:100ccm)、カソードに空気(250ccm)を流通させて発電させ、電池特性の測定を行った。
【0308】
作動電圧が最高点に達するまでエージングした後燃料電池の性能を評価する。そして、前記カソードとアノードとの面積は2.8×2.8=7.84cm2に固定し、カソードの電極の厚さは約430μmであり、そしてアノードの厚さは約390μmであった。
【0309】
[製作例2〜5:実施例2〜5の電解質膜を利用した燃料電池の製作]
実施例1Bによって得た電解質膜Bの代わりに実施例2〜5によって得た電解質膜を使用したことを除いては、製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0310】
[製作例6A〜6C:電解質膜の製造]
実施例1Bによって得た電解質膜Bの代わりに実施例6A〜6Cによって得た電解質膜を使用したことを除いては、製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0311】
[製作例7:実施例7の電解質膜を利用した燃料電池の製作]
実施例1Bによって得た電解質膜Bの代わりに、実施例7によって得た電解質膜を使用し、完成されたカソードでの白金コバルト中の白金のローディング量は1.7mg/cm2値を持ち、アノードの白金ローディング量は0.9mg/cm2値を有することを除いては、製作例3と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0312】
[製作例8:実施例1Aの電解質膜Aを利用した燃料電池の製作]
実施例1Bの電解質膜Bの代わりに実施例1Aの電解質膜Aを使用し、完成されたカソードでの白金コバルト中の白金のローディング量は1.7mg/cm2値を持ち、アノードの白金ローディング量は0.9mg/cm2値を持つことを除いては、製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0313】
[比較製作例1:ABPBI電解質膜を利用した燃料電池の製作]
実施例1の電解質膜の代わりに比較例1のABPBI電解質膜を使用したことを除いては、製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0314】
[比較製作例2及び3:燃料電池の製作]
比較例2及び3の電解質膜を使用したことを除いては、比較製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0315】
[比較製作例4:PBI[ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)]電解質膜を利用した燃料電池の製作]
実施例1の電解質膜の代わりにPBI[ポリ(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)]電解質膜を使用したことを除いては、比較製作例1と同じ方法によって実施して燃料電池を製作した。
【0316】
前記製作例1、8及び比較製作例1によって製造された燃料電池において、温度による伝導度変化を調べ、その結果を図3に示した。
【0317】
図3を参照すれば、製作例1の燃料電池は、比較製作例1の場合と比較して、イオン伝導度特性が改善されるということが分かった。
【0318】
前記製作例1及び4によって製造された燃料電池において、電流密度によるセル電圧特性を調べ、これを図4に示した。
【0319】
図4を参照すれば、製作例1及び製作例4の燃料電池はセル電圧に優れる。
【0320】
前記製作例1による燃料電池において、経時的なセル電圧変化を調べ、その結果を図5に示した。
【0321】
図5で“OCV”は、開放回路電圧でのセル電圧を表し、“0.3A/cm2”は、電流密度0.3A/cm2でのセル電圧を表す。
【0322】
図5を参照して、製作例1の寿命特性が優れることが分かる。
【0323】
前記製作例6A〜6C及び比較製作例1によって製造された燃料電池において、温度による伝導度変化を調べ、その結果は図6に示した通りである。
【0324】
図6を参照すれば、製作例6の燃料電池は、比較製作例1の場合と比較して伝導度改善効果が改善されるということが分かった。
【0325】
前記製作例6A及び比較製作例4による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を調べ、図7に示した。
【0326】
図7を参照すれば、製作例6Aの燃料電池は、比較製作例4の場合に比べてセル電圧性能が向上することが分かった。
【0327】
前記製作例6Aによる燃料電池において、経時的なセル電圧変化を調べて図8に示した。図8で“OCV”は、開放回路電圧でのセル電圧を表し、“0.3A/cm2”は、電流密度0.3A/cm2でのセル電圧を表す。
【0328】
図8から、製作例6Aの燃料電池は寿命特性が優れることが分かる。
【0329】
前記製作例7による燃料電池において、電流密度によるセル電圧変化を調べ、その結果を図9に示した。
【0330】
図9を参照すれば、製作例7の燃料電池はセル性能に優れることが分かった。
【0331】
前記製作例8による燃料電池において、電流密度によるセル電圧特性及び経時的なセル電圧変化を調べ、その結果をそれぞれ図10及び図11に示した。図11で“OCV”は、開放回路電圧でのセル電圧を表し、“0.3A/cm2”は、電流密度0.3A/cm2でのセル電圧を表す。
【0332】
図10を参照して、製作例8の燃料電池はセル電圧特性に優れ、図11から、寿命特性が優れることが分かった。
【0333】
前記で本発明の望ましい製造例を参照して説明したが、当業者は特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させうることを理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0334】
本発明は、燃料電池関連の技術分野に好適に用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、及びベンゾオキサジン系モノマーを含み、m及びnは、ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である組成物。
【化1】
[前記式中、
R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、
mは、0.01ないし1であり、
aは、0または1である。]
【請求項2】
前記アゾール第2反復単位が、下記の化学式2で表示される反復単位である請求項1に記載の組成物。
【化2】
[前記化学式2中、
R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Lは、リンカーを表し、
nは、0ないし0.99である。]
【請求項3】
前記ポリアゾールの含有量は、ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として、40ないし210重量部である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記化学式1の第1反復単位は、下記の化学式:
【化3】
で表示される反復単位から選択された一つである請求項1に記載の組成物。
[前記式中、Arは、下記式:
【化4】
で表示される基から選択される。]
【請求項5】
前記化学式2で、Lは、単純に化学結合を表すか、CH2−、−C(CH3)2−または−C(CF3)2−である請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記化学式2で表示される第2反復単位は、下記の化学式2aまたは化学式2bで表示される請求項2に記載の組成物。
【化5】
【化6】
[前記化学式2a−2b中、
R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Lは、リンカーを表し、
nは、0ないし0.99である。]
【請求項7】
前記ポリアゾールは、前記化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位とを含むブロック共重合体である請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリアゾールの重合度が1ないし900である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリアゾールは、下記の化学式3で表示されるブロック共重合体である請求項1に記載の組成物。
【化7】
[前記化学式3中、
R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、
mは、0.01ないし1であり、
aは、0または1であり、
R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Lは、リンカーを表し、
nは、0ないし0.99であり、
kは、ポリアゾールで重合度を示し、10ないし300の数である。]
【請求項10】
前記ポリアゾールは、下記の化学式4:
【化8】
[前記式中、kは、重合度であって、10ないし300の数である]
または、下記の化学式5:
【化9】
[前記式中、mは、0.01ないし1であり、nは、0ないし0.99であり、
kは、重合度であって、10ないし300の数である]
で表示される化合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ベンゾオキサジン系モノマーは、下記の化学式6ないし11で表示される化合物から選択された一つ以上である請求項1に記載の組成物。
【化10】
[前記化学式6中、
R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立して水素、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはシアノ基であり、
R5は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基である]
【化11】
[前記化学式7中、
R5’は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
R6は、置換または非置換のC1−C20アルキレン基、置換または非置換のC2−C20アルケニレン基、置換または非置換のC2−C20アルキニレン基、置換または非置換のC6−C20アリーレン基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリーレン基、−C(=O)−、−SO2−からなる群から選択される]
【化12】
[前記化学式8中、
A、B、C、D、Eはいずれも炭素であるか、またはA、B、C、D、Eから選択された一つまたは二つは窒素(N)であり、その残りは炭素(C)であり、
R1及びR2は、互いに連結されて環を形成し、
前記環は、C6−C10炭素環基、C3−C10ヘテロアリール基、融合されたC3−C10ヘテロアリール基、C3−C10ヘテロ環基または融合されたC3−C10ヘテロ環基である]
【化13】
[前記化学式9中、
Aは、置換または非置換のC1−C20ヘテロ環基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、または置換されたC1−C20アルキル基であり、Aは少なくとも一つのオキサジンモイエティを持ち、
R1ないしR8は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、またはヒドロキシ基である]
【化14】
[前記化学式10中、
R1及びR2は、互いに独立してC1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基または下記の化学式9Aで表示される基であり、
【化15】
前記化学式10及び化学式10A中、
R3は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である]
【化16】
[前記化学式11中、
R2、R3及びR4から選択された隣接した2つ以上の基は、互いに連結されて下記の化学式12Aで表示される基であり、前記R2、R3及びR4から選択されない残りの基は、水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基であり、
R5、R6及びR7から選択された隣接した2つ以上の基は、互いに連結されて下記の化学式12Aで表示される基であり、前記R5、R6及びR7から選択されない残りの基は、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基であり、
【化17】
前記化学式12A中、R1は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
*は、化学式11のR2、R3及びR4から選択された隣接した2つ以上の基と、R5、R6及びR7から選択された隣接した2つ以上の基とにそれぞれ連結される位置を表示する。]
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のうちいずれか1項に記載の組成物の架橋反応を通じて得られた架橋体であるポリアゾールの架橋体。
【請求項13】
下記の化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する工程と、
前記混合物を熱処理する工程と、を含んで、請求項12に記載のポリアゾールの架橋体を得て、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99であるポリアゾールの架橋体の製造方法。
【化18】
[前記式中、
R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、
mは、0.01ないし1であり、
aは、0または1である。]
【請求項14】
前記熱処理が60ないし250℃で行われる請求項13に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項15】
前記燐酸系物質は、ポリ燐酸、ホスホン酸(H3PO3)、有機ホスホン酸、オルト燐酸(H3PO4)、ピロ燐酸(H4P207)、トリ燐酸(H5P3O10)、メタ燐酸及びその誘導体から選択された一つ以上である請求項13に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項16】
前記化学式1の反復単位と少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、加水分解時に燐酸を生成する物質を使用する重合反応を通じて製造される請求項13に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項17】
前記加水分解時に燐酸を生成する物質は、ポリ燐酸である請求項16に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項18】
前記化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール(m=1、n=0)は、3,4−ジアミノ安息香酸とポリ燐酸とを混合し、これを60ないし250℃で熱処理して製造される請求項13に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項19】
前記化学式1の反復単位と少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、
ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラアミン四塩酸塩とポリ燐酸とを100ないし160℃で混合し、これを60ないし250℃で熱処理して、(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを得る工程と、
前記(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを3,4−ジアミノ安息香酸と混合し、これを60ないし250℃で熱処理する工程と
を経て製造される請求項13に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項20】
請求項1ないし請求項11のうちいずれか1項に記載の組成物を含む燃料電池用電解質膜。
【請求項21】
請求項12に記載のポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電解質膜。
【請求項22】
下記の化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、燐酸系物質及びベンゾオキサジン系モノマーを混合する第1工程と、
前記混合物を基板にキャスティングし、これを熱処理する第2工程と、
前記熱処理された結果物を燐酸系物質に含浸させる第3工程と、
前記結果物を乾燥する第4工程と
を含んで、請求項12に記載の電解質膜を得て、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である燃料電池用電解質膜の製造方法。
【化19】
[前記式中、
R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、
mは0.01ないし1であり、
aは、0または1である。]
【請求項23】
前記第3工程以前に、−20ないし30℃、相対湿度5ないし50%条件で恒温恒湿処理する工程をさらに含む請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項24】
前記化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、燐酸系物質及びベンゾオキサジン系モノマーを混合する第1工程は、前記ポリアゾール及び燐酸系物質を100ないし160℃で攪拌した後、これをベンゾオキサジン系モノマーと混合する請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項25】
燐酸系物質は、ポリ燐酸、ホスホン酸(H3PO3)、有機ホスホン酸、オルト燐酸(H3PO4)、ピロ燐酸(H4P207)、トリ燐酸(H5P3O10)、メタ燐酸及びその誘導体から選択された一つ以上である請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項26】
前記化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、加水分解時に燐酸を生成する物質を溶媒として使用する重合反応を通じて製造される請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項27】
前記加水分解時に燐酸を生成する物質は、ポリ燐酸である請求項26に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項28】
前記化学式1の反復単位と少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、3,4−ジアミノ安息香酸とポリ燐酸とを混合し、これを60ないし250℃で熱処理して製造される請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項29】
前記化学式1の反復単位と少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、
ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラアミン四塩酸塩とポリ燐酸とを混合し、これを60ないし250℃で熱処理して(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを得る工程と、
前記(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを3,4−ジアミノ安息香酸と混合し、これを60ないし250℃で熱処理する工程と、
を含んで製造される請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項30】
請求項1ないし11のうちいずれか1項に記載の組成物を含む燃料電池用電極。
【請求項31】
請求項12に記載のポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電極。
【請求項32】
カソード、アノード及びこれらの間に介在された電解質膜を備え、前記カソード、アノード及び電解質膜のうち選択された一つ以上が、請求項1ないし11のうちいずれか1項に記載の組成物を含む燃料電池。
【請求項33】
カソード、アノード及びこれらの間に介在された電解質膜を備え、前記カソード、アノード及び電解質膜のうち選択された一つ以上が、請求項12に記載のポリアゾールの架橋体を含む燃料電池。
【請求項1】
下記の化学式1の第1反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、及びベンゾオキサジン系モノマーを含み、m及びnは、ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である組成物。
【化1】
[前記式中、
R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、
mは、0.01ないし1であり、
aは、0または1である。]
【請求項2】
前記アゾール第2反復単位が、下記の化学式2で表示される反復単位である請求項1に記載の組成物。
【化2】
[前記化学式2中、
R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Lは、リンカーを表し、
nは、0ないし0.99である。]
【請求項3】
前記ポリアゾールの含有量は、ベンゾオキサジン系モノマー100重量部を基準として、40ないし210重量部である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記化学式1の第1反復単位は、下記の化学式:
【化3】
で表示される反復単位から選択された一つである請求項1に記載の組成物。
[前記式中、Arは、下記式:
【化4】
で表示される基から選択される。]
【請求項5】
前記化学式2で、Lは、単純に化学結合を表すか、CH2−、−C(CH3)2−または−C(CF3)2−である請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記化学式2で表示される第2反復単位は、下記の化学式2aまたは化学式2bで表示される請求項2に記載の組成物。
【化5】
【化6】
[前記化学式2a−2b中、
R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Lは、リンカーを表し、
nは、0ないし0.99である。]
【請求項7】
前記ポリアゾールは、前記化学式1の第1反復単位と化学式2の第2反復単位とを含むブロック共重合体である請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリアゾールの重合度が1ないし900である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリアゾールは、下記の化学式3で表示されるブロック共重合体である請求項1に記載の組成物。
【化7】
[前記化学式3中、
R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、
mは、0.01ないし1であり、
aは、0または1であり、
R3、R3’、R3”、R3”’、R4、R4’、R4”、R5、R5’、及びR5”は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Lは、リンカーを表し、
nは、0ないし0.99であり、
kは、ポリアゾールで重合度を示し、10ないし300の数である。]
【請求項10】
前記ポリアゾールは、下記の化学式4:
【化8】
[前記式中、kは、重合度であって、10ないし300の数である]
または、下記の化学式5:
【化9】
[前記式中、mは、0.01ないし1であり、nは、0ないし0.99であり、
kは、重合度であって、10ないし300の数である]
で表示される化合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ベンゾオキサジン系モノマーは、下記の化学式6ないし11で表示される化合物から選択された一つ以上である請求項1に記載の組成物。
【化10】
[前記化学式6中、
R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立して水素、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはシアノ基であり、
R5は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基である]
【化11】
[前記化学式7中、
R5’は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
R6は、置換または非置換のC1−C20アルキレン基、置換または非置換のC2−C20アルケニレン基、置換または非置換のC2−C20アルキニレン基、置換または非置換のC6−C20アリーレン基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリーレン基、−C(=O)−、−SO2−からなる群から選択される]
【化12】
[前記化学式8中、
A、B、C、D、Eはいずれも炭素であるか、またはA、B、C、D、Eから選択された一つまたは二つは窒素(N)であり、その残りは炭素(C)であり、
R1及びR2は、互いに連結されて環を形成し、
前記環は、C6−C10炭素環基、C3−C10ヘテロアリール基、融合されたC3−C10ヘテロアリール基、C3−C10ヘテロ環基または融合されたC3−C10ヘテロ環基である]
【化13】
[前記化学式9中、
Aは、置換または非置換のC1−C20ヘテロ環基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、または置換されたC1−C20アルキル基であり、Aは少なくとも一つのオキサジンモイエティを持ち、
R1ないしR8は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、またはヒドロキシ基である]
【化14】
[前記化学式10中、
R1及びR2は、互いに独立してC1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基または下記の化学式9Aで表示される基であり、
【化15】
前記化学式10及び化学式10A中、
R3は、互いに独立して水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基である]
【化16】
[前記化学式11中、
R2、R3及びR4から選択された隣接した2つ以上の基は、互いに連結されて下記の化学式12Aで表示される基であり、前記R2、R3及びR4から選択されない残りの基は、水素、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基であり、
R5、R6及びR7から選択された隣接した2つ以上の基は、互いに連結されて下記の化学式12Aで表示される基であり、前記R5、R6及びR7から選択されない残りの基は、C1−C20アルキル基、C1−C20アルコキシ基、C6−C20アリール基、C6−C20アリールオキシ基、ハロゲン化されたC6−C20アリール基、ハロゲン化されたC6−C20アリールオキシ基、C1−C20ヘテロアリール基、C1−C20ヘテロアリールオキシ基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリール基、ハロゲン化されたC1−C20ヘテロアリールオキシ基、C4−C20炭素環基、ハロゲン化されたC4−C20炭素環基、C1−C20ヘテロ環基、またはハロゲン化されたC1−C20ヘテロ環基であり、
【化17】
前記化学式12A中、R1は、置換または非置換のC1−C20アルキル基、置換または非置換のC1−C20アルコキシ基、置換または非置換のC2−C20アルケニル基、置換または非置換のC2−C20アルキニル基、置換または非置換のC6−C20アリール基、置換または非置換のC6−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC7−C20アリールアルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリール基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールオキシ基、置換または非置換のC2−C20ヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のC4−C20炭素環基、置換または非置換のC4−C20炭素環アルキル基、置換または非置換のC2−C20ヘテロ環基、または置換または非置換のC2−C20ヘテロ環アルキル基であり、
*は、化学式11のR2、R3及びR4から選択された隣接した2つ以上の基と、R5、R6及びR7から選択された隣接した2つ以上の基とにそれぞれ連結される位置を表示する。]
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のうちいずれか1項に記載の組成物の架橋反応を通じて得られた架橋体であるポリアゾールの架橋体。
【請求項13】
下記の化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、ベンゾオキサジン系モノマー及び燐酸系物質を混合する工程と、
前記混合物を熱処理する工程と、を含んで、請求項12に記載のポリアゾールの架橋体を得て、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99であるポリアゾールの架橋体の製造方法。
【化18】
[前記式中、
R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、
mは、0.01ないし1であり、
aは、0または1である。]
【請求項14】
前記熱処理が60ないし250℃で行われる請求項13に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項15】
前記燐酸系物質は、ポリ燐酸、ホスホン酸(H3PO3)、有機ホスホン酸、オルト燐酸(H3PO4)、ピロ燐酸(H4P207)、トリ燐酸(H5P3O10)、メタ燐酸及びその誘導体から選択された一つ以上である請求項13に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項16】
前記化学式1の反復単位と少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、加水分解時に燐酸を生成する物質を使用する重合反応を通じて製造される請求項13に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項17】
前記加水分解時に燐酸を生成する物質は、ポリ燐酸である請求項16に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項18】
前記化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール(m=1、n=0)は、3,4−ジアミノ安息香酸とポリ燐酸とを混合し、これを60ないし250℃で熱処理して製造される請求項13に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項19】
前記化学式1の反復単位と少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、
ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラアミン四塩酸塩とポリ燐酸とを100ないし160℃で混合し、これを60ないし250℃で熱処理して、(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを得る工程と、
前記(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを3,4−ジアミノ安息香酸と混合し、これを60ないし250℃で熱処理する工程と
を経て製造される請求項13に記載のポリアゾールの架橋体の製造方法。
【請求項20】
請求項1ないし請求項11のうちいずれか1項に記載の組成物を含む燃料電池用電解質膜。
【請求項21】
請求項12に記載のポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電解質膜。
【請求項22】
下記の化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、燐酸系物質及びベンゾオキサジン系モノマーを混合する第1工程と、
前記混合物を基板にキャスティングし、これを熱処理する第2工程と、
前記熱処理された結果物を燐酸系物質に含浸させる第3工程と、
前記結果物を乾燥する第4工程と
を含んで、請求項12に記載の電解質膜を得て、m及びnは、前記ポリアゾールで第1反復単位とアゾール第2反復単位との相対的なモル含有量をそれぞれ示し、前記m及びnの総和が1になるように選択され、mは0.01ないし1であり、nは0ないし0.99である燃料電池用電解質膜の製造方法。
【化19】
[前記式中、
R1、R1’及びR2は、互いに独立して水素、非置換または置換のC1−C20アルキル基、非置換または置換のC1−C20アルコキシ基、非置換または置換のC6−C20アリール基、非置換または置換のC6−C20アリールオキシ基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリール基、非置換または置換のC3−C20ヘテロアリールオキシ基であるか、またはR1及びR2は、互いに連結されてC4−C20炭素環またはC3−C20ヘテロ環を形成し、
Arは、非置換または置換のC6−C20アリーレン基または非置換または置換のC3−C20ヘテロアリーレン基であり、
mは0.01ないし1であり、
aは、0または1である。]
【請求項23】
前記第3工程以前に、−20ないし30℃、相対湿度5ないし50%条件で恒温恒湿処理する工程をさらに含む請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項24】
前記化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾール、燐酸系物質及びベンゾオキサジン系モノマーを混合する第1工程は、前記ポリアゾール及び燐酸系物質を100ないし160℃で攪拌した後、これをベンゾオキサジン系モノマーと混合する請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項25】
燐酸系物質は、ポリ燐酸、ホスホン酸(H3PO3)、有機ホスホン酸、オルト燐酸(H3PO4)、ピロ燐酸(H4P207)、トリ燐酸(H5P3O10)、メタ燐酸及びその誘導体から選択された一つ以上である請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項26】
前記化学式1の反復単位と、少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、加水分解時に燐酸を生成する物質を溶媒として使用する重合反応を通じて製造される請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項27】
前記加水分解時に燐酸を生成する物質は、ポリ燐酸である請求項26に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項28】
前記化学式1の反復単位と少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、3,4−ジアミノ安息香酸とポリ燐酸とを混合し、これを60ないし250℃で熱処理して製造される請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項29】
前記化学式1の反復単位と少なくとも一つのアミノ基を持つアゾール第2反復単位とを含むポリアゾールは、
ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラアミン四塩酸塩とポリ燐酸とを混合し、これを60ないし250℃で熱処理して(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを得る工程と、
前記(2,2−(m−フェニレン)−5,5−ビベンズイミダゾール)オリゴマーを3,4−ジアミノ安息香酸と混合し、これを60ないし250℃で熱処理する工程と、
を含んで製造される請求項22に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
【請求項30】
請求項1ないし11のうちいずれか1項に記載の組成物を含む燃料電池用電極。
【請求項31】
請求項12に記載のポリアゾールの架橋体を含む燃料電池用電極。
【請求項32】
カソード、アノード及びこれらの間に介在された電解質膜を備え、前記カソード、アノード及び電解質膜のうち選択された一つ以上が、請求項1ないし11のうちいずれか1項に記載の組成物を含む燃料電池。
【請求項33】
カソード、アノード及びこれらの間に介在された電解質膜を備え、前記カソード、アノード及び電解質膜のうち選択された一つ以上が、請求項12に記載のポリアゾールの架橋体を含む燃料電池。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−254997(P2010−254997A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101109(P2010−101109)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【出願人】(508298075)ソウル大学校産学協力団 (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【出願人】(508298075)ソウル大学校産学協力団 (27)
【Fターム(参考)】
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