説明

ポリアミド成形材料から成る透明成形物

【課題】選択されたポリアミド成形材料から形成された、層の厚さが2mmのものの透明度が少なくとも88%である、透明な成形物を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドを含むポリアミド成形材料から成る透明な成形物であって、厚さ2mmの層の形態の光透過率が少なくとも75%であり、固定曲げ試験における耐性が少なくとも60,000測定サイクルであり、前記少なくとも1種のポリアミドが、ヘキサメチレンジアミン、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン及び/又はビス−(4−アミノ−シクロヘキシル)メタンから成る群より選択された少なくとも1種のジアミンと、イソフタル酸、テレフタル酸及び/又はドデカン二酸から成る群より選択された少なくとも1種のジカルボン酸から形成され、又は前記ジアミン及び前記ジカルボン酸と、ラクタム及び/若しくはα−/ω−アミノ酸との組合せから形成された成形物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択されたポリアミド成形材料から成り、その物理的特性が、特に透明性及び力学的耐性において、ポリカーボネートよりも優れた透明成形物に関する。本発明の該成形物は、部分的に、より大きな圧力の下、成形部分を損傷することなくポリカーボネートよりも何倍も多くの曲げ回数を達成する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド又はポリカーボネートで作られた透明な成形物は、当該技術の水準において公知である。例えば、フレームなし眼鏡のレンズのような特別な用途において、ポリカーボネートは一般的に用いられる。該眼鏡には、例えば、眼鏡のつる及びブリッジを留めるネジがついている。
【0003】
しかし、動的曲げ負荷を与えた場合、特にポリカーボネートの場合、破断の原因となりうる機械的応力によるひびが、これらの接合部分で生じる。
【0004】
フレームなし眼鏡を作るために、つる及びブリッジをレンズに固定するための数多くの構築法が文献に記載されている。すべての場合において、レンズにおける例えばせん孔、ねじ穴、止まり穴、ブッシング又は溝によりこの構築が行なわれ、例えばスクリュー、ピン、ボルト、クランプ装置又はナイロン糸で固定される。
【0005】
EP 1 630 590に、ガラスレンズの固定及びレンズ及び眼鏡の修理方法が記載されている。レンズが、例えばポリカーボネート、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びポリアミドから成るプラスチックレンズにも、これを適用できる。利用可能なポリアミドのより的確な情報は提供されなかった。更に、該ポリアミドが、フレームなし眼鏡のレンズとして適したものとなるために達成しなければならない特徴は記載されていない。フレームなし眼鏡の例は単線の図に示されている。
【0006】
該レンズに固定された、つる、ブリッジ又は鼻あてのような固定部材を持つ、このような縁なしのガラスの構築物では、透明な材料が動的な性能を持つことが非常に強く要求される。米国特許7,014,315号から分かるように、ポリカーボネート、PMMA、CR39(ジエチレングリコール (ビス) アリルカーボネート系デュロプラスト)及びガラスでは、これらの要求が満足に達成できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の課題は、動的負荷がかかった場合に、機械的な応力によるひびが起きる傾向の少ない、ポリアミド成形材料から成る透明な成形物を開発することである。
【0008】
この課題は、請求項1の特性を持つ透明な成形物により解決する。従属請求項は有利な態様を表している。請求項26において用途が列挙される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドを含むポリアミド成形材料から成り、ASTM D 1003により測定された、厚さ2mmの層の形態にある場合の光透過率が少なくとも75%であり、特別な試験片でISO 178に従って測定した固定曲げ試験における耐性が少なくとも60,000測定サイクルである透明な成形物が提案される。前記少なくとも1種のポリアミドは、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)及び/又はビス−(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン(PACM)から成る群より選択された少なくとも1種のジアミンと、イソフタル酸(IPS)、テレフタル酸(TPS)及び/又はドデカン二酸(DDS)から成る群より選択された少なくとも1種のジカルボン酸から形成され、又は前記ジアミン及び前記ジカルボン酸と、ラクタム及び/若しくはα−/ω−アミノ酸との組合せから形成される。
【0010】
驚くべきことに、透明な成形物を成形でき、一連の目的を達成できる、ポリアミド成形材料を生成することを可能とするモノマーの組み合わせが見出された。例えばレンズとして用いられた場合、該成形物は、例えば、せん孔、ねじ穴、止まり穴、ブッシング、溝、のこぎりで切られ、研磨され、又は磨かれた縁により、レンズの材料構造が損傷を受け弱くなっているにもかかわらず、少なくとも60,000回の曲げ回数を達成することは特に驚くべきことである。
【0011】
透明な成形物に含まれるポリアミド成形材料は、材料構造への構造上の損傷に耐える。現在まで、このことは透明物質では満足に可能ではなかった。ポリアミドの公知の優れた耐薬品性は、同時に保たれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の透明な成形物は、良好な耐熱性、剛性、硬度をも持つ。
【0013】
成形物は高い動的負荷耐性及び、非常に高い光透過性を示し、フレームなし眼鏡で好適に用いられる矯正及び非矯正レンズを製造するのに特に適している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
有利な態様においては、少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドは、ジカルボン酸として約100モル%のDDSと、
a)20から100モル%のMASM、と
b)80から0モル%のPACM及び/又は
c)80から0モル%のHMDA
からなるジアミン100モル%とから形成される。
【0015】
他の態様では、少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、ジアミンとして約100モル%のHMDAと、
a)60から100モル%のIPS、及び
b)40から0モル%TPS及び/又は
c)40から0モル%のDDS
からなるジカルボン酸100モル%とから形成される場合、有利である。
【0016】
別の有利な態様によれば、少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、ジカルボン酸として約100モル%のDDSと、
a)65から85モル%、好ましくは67から80モル%、更に好ましくは約71モル%のPACM、及び
b)15から35モル%、好ましくは20から33モル%、更に好ましくは約29モル%のMACM
からなるジアミン100モル%とから形成される。
【0017】
少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、MACM、PACM及び/又は HMDAと、IPS及び/又はTPS、並びに必要ならば、さらにラクタム及び/又はα-/ω-アミノ酸により形成される場合も有利である。さらに、少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、15から60モル%、好ましくは15から55モル%、更に好ましくは25から50モル%、最も好ましくは約29モル%のMACM、40から85モル%、好ましくは45から85モル%、更に好ましくは50から75モル%、最も好ましくは約71モル%のHMDA及び0から20モル%、好ましくは0から15モル%、更に好ましくは0から10モル%PACMであるジアミン100 モル%と、40から60モル%、好ましくは45から55モル%、更に好ましくは約50モル%のIPS及び40から60モル%、好ましくは45から55モル%、更に好ましくは約50モル%のTPSであるジカルボン酸100モル%とから形成される場合もまた有利である。
【0018】
別の有利な態様によれば、少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、約39モル%のMACM、約52モル%のHMDA及び約9モル%のPACMであるジアミン100モル%と、約50モル%のIPS及び約50モル%のTPSであるジカルボン酸100モル%とから形成される。
【0019】
特に、これらの態様によれば、ポリアミド成形材料の総重量の10重量%以下、好ましくは0.5から10重量%、更に好ましくは0.5から8重量%、最も好ましくは0.5から6重量%が、ラクタム及び/又はα-/ω-アミノ酸から形成される。
【0020】
特別な態様においては、ポリアミド成形材料の総重量の約4.6重量%が、ラクタム及び/又はα-/ω-アミノ酸から形成される。
【0021】
他の特別な態様においては、ポリアミド成形材料の総重量の約3重量%が、ラクタム及び/又はα-/ω-アミノ酸から形成される。
【0022】
前記ラクタム及び/又は前記α-/ω-アミノ酸がLC11、LC12、α-/ω-アミノウンデカン酸及び/又はα-/ω-アミノドデカン酸であると有利である。
【0023】
少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、等量のIPSとTPSを有する態様が特に好ましい。
【0024】
更に、本発明は、少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドがHMDAと、IPS及び/又はTPSにより形成されている別の有利な態様を包含する。少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドがジアミンとして約100モル%のHMDAと、
a) 60から75モル%、好ましくは62から70モル%、更に好ましくは約66.7モル%のIPS、及び
b)25から40モル%、好ましくは30から38モル%、更に好ましくは約33.3モル%のTPS
からなるジカルボン酸100モル%とから形成されることが好ましい。
【0025】
前記した成形物の場合、前記ジカルボン酸を最大でモル含有量の半分をナフタレンジカルボン酸、好ましくは2,6-ナフタレンジカルボン酸と置き換えることができる。
【0026】
前記した配合において、ジカルボン酸の量及び/又はジアミンの量もまた、100モル%より僅かに大きく又は小さくてよい。「僅か」とは±5モル%の偏差を意味するものと理解される。
【0027】
本発明の成形物は、非常に優れた光学的及び力学的性質により特徴付けられる。該成形物は、ASTM1003によって測定した、厚さ2 mmの層の形態における光透過率が、少なくとも88%、好ましくは少なくとも90%、更に少なくとも好ましくは91%、最も好ましくは少なくとも92%である。さらに、好ましい固定繰り返し曲げ耐性は、ISO 178によって特別試験片(後述の実施例に記載)で測定された値が、少なくとも75,000測定サイクル、好ましくは少なくとも100,000測定サイクル、最も好ましくは少なくとも140,000測定サイクルである。
【0028】
特に、本発明の成形物は、屈折率が1.490から1.75、好ましくは、1.550から1.75、更に好ましくは1.570から1.75であることにより特徴付けられる。該成形物のもう1つの有利な特徴は、アッベ数が少なくとも25、好ましくは少なくとも27、更に好ましくは少なくとも28であることである。該成形物は着色することも出来る。該成形物に、光学活性塗装及び/又は保護塗装をすることも出来る。
【0029】
さらに、該成形物は、所望の特性を備えるように、当業者に公知の添加物を含有することが出来る。特に、該添加物は当業者によって、縮合触媒、鎖調整剤、消泡剤、安定剤、滑沢剤、染料、ホトクロム添加物、帯電防止剤、脱型剤、蛍光増白剤、天然層状珪酸塩、合成層状珪酸塩、及びこれらの添加物の混合物よりなる群から選択される。
【0030】
特に、本発明の透明な成形物は、光学成形物である。光学成形物は、180から1200nmの範囲の波長の電磁波と相互作用(例えば吸収、遮断、分散、反射)する。光学成形物は、例えば光学装置又は光学システムにおいて使用される成形物でもある。
【0031】
高剛性、高耐薬品性、高い許容動荷重及び高耐応力ひび及びより高い耐熱性を持った透明な成形物もまた、上記成形物により入手が可能となりうる。これらの特性は、高い破裂強度を伴う圧縮膨張過程が急激な圧力の変化の結果として制御されなければならない、家庭用若しくは商用の飲料水システム又は圧縮空気システムにおける、フィルターカップの高い要求水準を同時に満たす。
【0032】
本発明の前記成形物は、高許容動負荷及び高耐薬品性を持つ用途にも適している。特に、矯正レンズ、非矯正レンズ、縁なし眼鏡のレンズ、縁なし眼鏡、眼鏡フレーム、サングラス、矯正眼鏡、安全眼鏡、スキー用眼鏡、オートバイ用眼鏡、保護眼鏡、バイザー、ヘルメットバイザー、カバー、観察用眼鏡、保護シールド、保護キャップ、 カメラレンズ、拡大鏡、プリズム、自動車カバー、鏡、流量計、フィルターカップ、ダイビングコンピューター、携帯時計のハウジング、携帯電話のハウジング及びディスプレイ、モニターコーティング、偏光コーティング、容器、油脂容器、包装、自動車のフロントガラス、光伝導体、光伝導体部品、ランプシェード、装飾物及びこれらの特性を必要とする他の透明な部品に適している。
【0033】
本発明の成形物は高い許容動荷重、高耐薬品性、高剛性を持つ用途にも適している。特に、げっ歯類耐性チューブ、ライン、ケーブルの被覆、フィルムヒンジ、保護フィルム、ケーブル結合剤、コネクター、光学光伝導体に適している。
【0034】
本発明の前記成形物のためのポリアミド成形材料は、材料構造の弱化が、例えば継ぎ目又は溶接シームから来るような成形物の製造にも適している。
【実施例】
【0035】
1.)一般的な製造の詳細
本発明は、実施例及び試験結果に基づき、以下でより詳細に記載されるが、本発明は、言及された特別な特性に限定されない。
【0036】
前記ポリアミドの製造は、公知の方法で、公知の撹拌可能な圧力オートクレーブにおいて、受け容器及び反応容器を用いて行なわれる。
【0037】
脱イオン水を前記受け容器に入れ、前記モノマー及び添加物を加える。次に、窒素により複数回不活性化する。均質な溶液を得るため、撹拌しながら、生成される圧力の下、180から230℃まで加熱する。この溶液を篩を通して吸出し、反応容器に入れ、次いで、最大圧力30 barの下、270℃から310℃の所望の温度まで加熱する。圧力段階において、該調製物を2時間から4時間、反応温度に保つ。次の膨張段階においては、圧力を1時間から2時間以内に大気圧まで下げる。その間、温度は僅かに下がりうる。
【0038】
次の脱気段階において、調製物を大気圧の下、0.5時間から1時間、270から340℃に保つ。
【0039】
前記ポリマー溶融物は繊維状で与えられ、これを水浴で15から80℃に冷却し、粒状にする。該粒状体は、窒素雰囲気下80から120℃で12時間乾燥し、含水率0.1重量%とした。
【0040】
前記ポリアミドの相対粘度(20℃で0.5重量%のm-クレゾール溶液において計測)は1.43から2.15、好ましくは1.50から2.15、更に好ましくは、1.55から2.15である。
【0041】
前記相対粘度及び、ひいては前記モル質量の設定は、公知の方法により、例えば、鎖調整剤として単官能性のジアミン又はジカルボン酸、又は二官能性のジアミン又はジカルボン酸を介して行なわれる。
【0042】
前記ポリアミドのガラス転移温度(DSCにより加熱速度20℃/分でISO規格11357-1/-2に従って計測)は120℃から180℃、好ましくは140℃から175℃、更に好ましくは150℃から174℃である。
【0043】
前記ポリアミドの引張疲労率(ISO 527に従いISOテンションロッドにより計測した)は1500から3600MPa、好ましくは2000から3500MPa、更に好ましくは2500から3400MPaである。
【0044】
乾燥した粒状体を、シリンダー温度260〜350℃及び金型温度60〜120℃の射出成形機で、透明な造形品に加工することが出来る。
【0045】
混合成分として、PA6、PA66、PA69、PA610、PA612、PA614、PA66/6、PA6/12、PA11、PA12、PA912、PA1212、ポリエステルアミド、ポリエーテルアミドよりなる群から、好ましくはPA6、PA612、PA614、PA6/12、PA11、PA12、ポリエステルアミド、ポリエーテルアミドよりなる群から少なくとも1種のポリマーを選択することができる。
2.) 複数回負荷の場合の固定曲げ試験による動負荷容量の測定
【0046】
25 mm幅の一片がフィルムゲートの反対の側面で切り取られ、中央に3 mmのせん孔を備えた100 x 80 x 2 mmのプレートにおいて測定を行なう。切り取られた縁は、バリ取りが行われ、例えば、ベルトグラインダー及びグラニュレーション100(granulation 100)と共にジルコニウムコランダムポリエステルベルトを用いて研磨することにより滑らかにされる。ゴム製のワッシャー(直径3 mm、厚さ2 mm)をプレートの両面に置き、3 mmのネジとナットを、まだプレートがネジの周りを動くことが出来るように固定する。
【0047】
せん孔及びネジ及びのこぎりで切り取った縁を持つこの80 x 25 x 2 mmのプレートを、曲げ装置に水平に両端で接して置き、ISO 178に従って検査する。その結果、前記ネジをダイス型が上から押し、4 mmの曲げが形成される。この0 mmから4 mmに、そして0 mmへと戻る曲げを、サイクルと呼び、試験片にひびが見つかるまで1 Hzの周波数で繰り返す。
【0048】
前記曲げに用いる力(曲げ負荷)は材料の剛性に依存し、試験片にひびが出来るとすぐに減少する。
【0049】
公知の繰り返し曲げ試験とは対照的に、本明細書で用いられる複数回の負荷に対する固定曲げ試験におけるたわみは、該繰り返し試験ではゼロ点から二方向に生じるのに対し、ゼロ点から一方向にのみ生じる。せん孔及びのこぎりで切られ研磨された縁から試験片の材料構造が弱化するため、本明細書で用いられる曲げ試験もまた、材料に対してより過酷な要求をする。
【0050】
驚くべきことに、ポリカーボネートよりも高い剛性を持ち、ひいてはより高い曲げ負荷を持つポリアミドで出来た透明な成形物が、より小さい曲げ負荷を与えられたポリカーボネートよりも、かなり多くの曲げサイクルを達成することが示された。
【0051】
固定曲げ試験における材料の性能は、該材料の耐衝撃性又はノッチ付衝撃抵抗度から推定することは出来ない。
【0052】
前記測定は以下の基準に従って及び以下の試験片において行なわれた。
【0053】
引張り弾性率:
ISO 527に従い、引張り速度1 mm/minのISOテンションロッドを用いる。規格:ISO/CD 3167、類型 A1、170 x 20/10 x 4 mm、温度 23℃
【0054】
引張り強度及び破断伸び:
ISO 527に従い、引張り速度50 mm/minのISOテンションロッドを用いる。規格:ISO/CD 3167、類型 A1、170 x 20/10 x 4 mm、温度 23℃
【0055】
シャルピーによる耐衝撃性
ISO 179/*eU
ISOテンションロッド、規格:ISO/CD 3167、類型B1、80 x 10 x 4 mm、温度23℃
* 1 = 非計装、2 = 計装
【0056】
シャルピーによるノッチ付衝撃抵抗度
ISO 179/*eU
ISOテンションロッド、規格:ISO/CD 3167、類型B1、80 x 10 x 4 mm、温度23℃
* 1 = 非計装、2 = 計装
【0057】
固定曲げ強度:
ISO 178
試験片 2.) 測定参照
温度 23℃
たわみ 4 mm
複数回負荷を与えた固定曲げ強度の測定を、ISO178に従って、Dyna-Mess社(アーヘン)による装置、CIMTronic 2000で行なった。該曲げ負荷は、ゼロ点(0 mm)から4 mmまで、4 mmのたわみで周波数1Hzで繰り返す。ゼロ点から4 mm点へ行き、またゼロ点に戻る動作がサイクルである。前記試験片において目に見えるひびが生成するまでのサイクル数を特定する。該サイクル数は、必要な力の滑らかな(tangent)増加における特有の変化によっても示される。
【0058】
ガラス転移温度(Tg):
ISO規格 11357-1/-2
粒状体
加熱速度20℃/minで示差走査熱量測定法(DSC)を行なった。開始温度を特定する。
【0059】
光透過率:
ASTM D 1003
円形プレート、厚さ2 mm、半径37.5 mm
温度23℃
測定装置としてCIE bight type Cと共に、Byk GardnerのHaze Gard plusを用いる。光透過バルブ(light transmission valve)を、入ってくる光の量の%として特定する。
【0060】
屈折率及びアッベ数:
DIN 53491
円形プレート、厚さ2 mm、半径37.5 mm
温度20℃
屈折率nD20:標準波長(黄色ナトリウムD線)で、20℃で測定。
【0061】
相対粘度:
ISO 307に従い、0.5重量%のm-クレゾール溶液において測定
温度20℃
該規格の11章に従い、RV = t/t0として相対粘度(RV)を計算。
【0062】
すべての試験片を乾燥状態で用いる。従って、ダイカストの後、試験体を乾燥した環境で少なくとも48時間室温で保存する。
【0063】
標準試験片は、使われる材料及び作製される試験片に依存してシリンダー温度を260から350℃とし、金型温度を60から120℃としたArburg社製、型式Allrounder 320-210-750 Hydronicaの射出成形機で作製された。研磨した成形型が、光学特性(光透過率、屈折率及びアッベ数)を計測するための円形プレートの製造に用いられる。
3,)結果
表1は実施例で用いられるモノマーの特性を表す。
但し表中の略語は以下の通り:
DDS ドデカン二酸
IPS イソフタル酸
Lactam 12 ラウリンラクタム(Laurinlactam)
MACM ビス−(4−アミノ−3−メチル−シクロヘキシル) メタン
oB 破断せず
PACM ビス−(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン
Tg ガラス転移温度
TPS テレフタル酸
RV 相対粘度
【表1】

【表2】

【表3】

【0064】
ポリカーボネートは、すぐに微小なひびを形成しやすく、該ひびは好ましくは、のこぎりで切った縁又はせん孔に形成され、ポリカーボネートでできた試験片は、固定曲げ試験において、1500から4000サイクルしか耐えない(比較実施例8及び9)。
【0065】
しかし、本発明の透明なポリアミド成形材料で出来た試験片は、この試験によれば、少なくとも60,000回のこのようなサイクルに耐え、その際検出できる破断及びひいては曲げ負荷の低下がない(実施例1から6)。
【0066】
この試験において、ポリメチルメタクリレート(PMMA、比較例7)で出来た試験片は、既に、最初の曲げサイクルにおいて破断する。従って、ポリメチルメタクリレートはこれらの動的負荷に対して全く不適合である。
【0067】
実施例2において、本発明のポリアミド成形材料で出来た試験片は、試験中いかなる破断もなく200,000サイクル耐えた。
【0068】
実施例4において、本発明のポリアミド成形材料で出来た試験片は、その剛性がポリカーボネートで出来た試験片の剛性よりも高いが、試験中いかなる破断もなく110,000サイクル耐えた。
【0069】
実施例5及び6における成形材料でできた試験片は、固定曲げ試験の間、動負荷に対して特に耐性があり、それぞれ、190,000サイクル及び170,000サイクル耐え、その際、試験片にいかなる破断もなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドを含むポリアミド成形材料から成る透明な成形物であって、ASTM D 1003により測定された、厚さ2mmの層の形態にある場合の光透過率が少なくとも75%であり、特別な試験片でISO 178に従って測定した固定曲げ試験における耐性が少なくとも60,000測定サイクルであり、前記少なくとも1種のポリアミドが、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)及び/又はビス−(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン(PACM)から成る群より選択された少なくとも1種のジアミンと、イソフタル酸(IPS)、テレフタル酸(TPS)及び/又はドデカン二酸(DDS)から成る群より選択された少なくとも1種のジカルボン酸から形成され、又は前記ジアミン及び前記ジカルボン酸と、ラクタム及び/若しくはα−/ω−アミノ酸との組合せから形成された成形物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、ジカルボン酸として約100モル%のDDSと、
a)20から100モル%のMASMと、
b)80から0モル%のPACM及び/又は
c)80から0モル%のHMDA
からなるジアミン100モル%とから形成されることを特徴とする、請求項1記載の成形物。
【請求項3】
前記ポリアミド成形材料がMACM及びDDSから形成されるポリアミドであることを特徴とする、請求項2記載の成形物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、ジアミンとして約100モル%のHMDAと、
a)60から100モル%のIPSと、
b)40から0モル%のTPS、及び/又は
c)40から0モル%のDDS
からなるジカルボン酸100モル%とから形成されることを特徴とする、請求項1記載の成形物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、ジカルボン酸として約100モル%のDDSと、
a)65から85モル%、好ましくは67から80モル%、更に好ましくは約71モル%のPACMと、
b)15から35モル%、好ましくは20から33モル%、更に好ましくは約29モル%のMACM
からなるジアミン100モル%とから形成されることを特徴とする、請求項1記載の成形物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドがMASM、PACM及び/又はHMDAと、IPS及び/又はTPSから形成されることを特徴とする、請求項1記載の成形物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、
a)15から60モル%、好ましくは15から55モル%、更に好ましくは25から50モル%のMACM、
b)40から85モル%、好ましくは45から85モル%、更に好ましくは50から75モル%のHMDA及び
c)0から20モル%、好ましくは0から15モル%、更に好ましくは0から10モル%のPACM
からなるジアミン100モル%と、
d)40から60モル%、好ましくは45から55モル%、更に好ましくは約50モル%のIPS、及び
e)40から60モル%、好ましくは45から55モル%、更に好ましくは約50モル%のTPS
からなるジカルボン酸100モル%とから形成されることを特徴とする、請求項6記載の成形物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、
a)約29モル%のMACM、及び
b)約71モル%のHMDA
からなるジアミン100モル%と、
c)約50モル%のIPS及び
d)約50モル%のTPS
からなるジカルボン酸100モル%とから形成されることを特徴とする、請求項6又は7記載の成形物。
【請求項9】
前記少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドブレンドが、
a)約39モル%のMACM、
b)約52モル%のHMDA、及び
c)約9モル%PACM
からなるジアミン100モル%と、
d)約50モル%のIPS、及び
e)約50モル%のTPS
からなるジカルボン酸100モル%とから形成されることを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の成形物。
【請求項10】
前記ポリアミド成形材料の総重量に対して10重量%以下、好ましくは0.5から10重量%、更に好ましくは0.5から8重量%が、ラクタム及び/又はα-/ω-アミノ酸から成ることを特徴とする、請求項6ないし9のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項11】
前記ポリアミド成形材料の総重量に対して約4.6重量%が、ラクタム及び/又はα-/ω-アミノ酸から成ることを特徴とする、請求項6ないし10のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項12】
前記ポリアミド成形材料の総重量に対して約3重量%が、ラクタム及び/又はα-/ω-アミノ酸から成ることを特徴とする、請求項6ないし10のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項13】
前記ラクタム及び/又は前記α-/ω-アミノ酸がLC11、LC12、α-/ω-アミノウンデカン酸及び/又はα-/ω-アミノドデカン酸であることを特徴とする、請求項6ないし12のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項14】
前記少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドの混合物がHMDAと、IPS及び/又はTPSから形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の成形物。
【請求項15】
前記少なくとも1種のポリアミド及び/又はポリアミドの混合物が、ジアミンとして約100モル%のHMDAと、
a) 60から75モル%、好ましくは62から70モル%、更に好ましくは約66.7モル%のIPS、及び
b)25から40モル%、好ましくは30から38モル%、更に好ましくは約33.3モル%のTPS
からなるジカルボン酸100モル%とから形成されることを特徴とする、請求項10記載の成形物。
【請求項16】
前記ジカルボン酸は、最大でモル含有量の半分がナフタレンジカルボン酸、好ましくは2,6-ナフタレンジカルボン酸と置き換えられていることを特徴とする、請求項1ないし15のいずれかに記載の成形物。
【請求項17】
ASTM D1003によって測定した、厚さ2 mmの層の形態にある場合の光透過率が少なくとも88%、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも91%、最も好ましくは少なくとも92%であることを特徴とする、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項18】
前記固定繰り返し曲げ耐性が、ISO 178によって特別な試験片で測定された、少なくとも75,000測定サイクル、好ましくは少なくとも100,000測定サイクル、更に好ましくは少なくとも140,000測定サイクルであることを特徴とする、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項19】
屈折率が1.490から1.75、好ましくは1.550から1.75、更に好ましくは1.570から1.75であることを特徴とする、請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項20】
アッベ数が少なくとも25、好ましくは少なくとも27であることを特徴とする、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項21】
前記成形物が光学成形物であることを特徴とする、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項22】
前記光学成形物が、レンズ、好ましくは、縁なし眼鏡のレンズであることを特徴とする、請求項21記載の成形物。
【請求項23】
着色されていることを特徴とする、請求項1ないし22のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項24】
光学活性塗装及び/又は保護塗装がなされていることを特徴とする、請求項1ないし23のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項25】
前記少なくとも1種のポリアミドが縮合触媒、鎖調整剤、消泡剤、安定剤、滑沢剤、染料、ホトクロム添加物、帯電防止剤、脱型剤、蛍光増白剤、天然層状珪酸塩、合成層状珪酸塩、及びこれらの添加物の混合物よりなる群から選択される添加物を含むことを特徴とする、請求項1ないし24のいずれか1項に記載の成形物。
【請求項26】
レンズ、縁なし眼鏡のレンズ、縁なし眼鏡、眼鏡フレーム、サングラス、矯正眼鏡、安全眼鏡、スキー用眼鏡、オートバイ用眼鏡、保護眼鏡、バイザー、ヘルメットバイザー、カバー、観察用眼鏡、保護シールド、保護キャップ、カメラレンズ、拡大鏡、プリズム、自動車カバー、鏡、流量計、フィルターカップ、ダイビングコンピューター、携帯時計のハウジング、携帯電話のハウジング及びディスプレイ、モニターコーティング、包装、容器、パイプ、自動車のフロントガラス、光伝導体、光伝道体部品、ランプシェード及び/又は装飾物の製造のための、請求項1ないし25のいずれか1項に記載の成形物の使用。

【公開番号】特開2008−144170(P2008−144170A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316560(P2007−316560)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(507233291)エムズ−ヒェミー・アクチェンゲゼルシャフト (6)
【Fターム(参考)】