説明

ポリアミン/モノ(メタ)アクリレート反応生成物を含むポリ尿素コーティング

イソシアネートおよび(メタ)アクリル化アミンを含む反応混合物から形成されるポリ尿素を含むコーティング組成物が開示される。(メタ)アクリル化アミンは、ポリアミンとモノ(メタ)アクリレートとの反応生成物であり;イソシアネート基の当量対アミン基の当量の比が1を超え、イソシアネートおよび(メタ)アクリル化アミン反応生成物は体積混合比1:1で基材に塗布され得る。このコーティングを使用する方法、およびそれでコーティングされた基材も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2005年8月25日に出願された特許出願第11/211,188号の部分継続(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)である。
【0002】
発明の分野
本発明は、イソシアネートを含む第1の成分ならびにポリアミンおよびモノ(メタ)アクリレートの(メタ)アクリル化アミン反応生成物を含む第2の成分を含む反応混合物から形成されるポリ尿素を含むコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリ尿素を含むコーティング組成物は、自動車、船、航空機、工業設備、建設用機器、軍装備品、スポーツ用品などを含むレクレーション設備などの広範で種々の産業において使用されている。これらの産業において、コーティングされている基材または物品に所望の性質を与えるコーティング組成物を開発するためにかなりの努力が払われてきた。例えば、コーティングは、腐食、摩擦、衝撃、化学物質、紫外線、火炎、熱、および/または他の環境曝露による損傷に対して保護するために用いられる。これらの任意の機能的特性に加えて、コーティングは装飾目的でも用いられ得る。
【0004】
ポリ尿素は一般に、アミンとイソシアネートとを反応させることによって形成される。架橋剤または「硬化剤(culative)」としてのポリアミンなどのアミンの使用は、よく知られている。例えば、アミンは、イソシアネートと架橋して尿素化合物を形成することが知られている。アミンは、活性化不飽和基、エポキシ基、芳香族活性化アルデヒド基、環状カーボネート基、および酸と無水物ならびにエステル基と反応性であり、したがって、それらと一緒に用いられることも知られている。第一級アミノ基を有するポリアミン架橋剤は、一部のこれらの官能性と、周囲温度またはそれより低い温度条件(すなわち、100℃未満)下で極めて反応性であり得る。この高い反応性は、高圧衝突スプレーにおいてなどの用途において短かすぎるポットライフまたは他の困難を生じ得る。しかし、ある種の脂肪族第二級アミンは、これらの種々の官能性と十分に反応性でない。したがって、十分に反応性であるが、適切なポットライフを与えるアミン硬化剤を提供することが望まれている。それらが使用される最終組成物に所望の特性を与えるようなアミン硬化剤を提供することのさらなる要望がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、イソシアネートを含む第1の成分およびポリアミンとモノ(メタ)アクリレートとの(メタ)アクリル化アミン反応生成物を含む第2の成分を含む反応混合物から形成されるポリ尿素を含むコーティング組成物であって、イソシアネート基の当量対アミン基の当量の比が1を超え、イソシアネートおよび(メタ)アクリル化アミン反応生成物が体積混合比1:1で基材に塗布され得るコーティング組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、イソシアネートを含む第1の成分およびポリアミンとモノ(メタ)アクリレートとの(メタ)アクリル化アミン反応生成物を含む第2の成分を含む反応混合物から形成されるポリ尿素を含むコーティング組成物であって、イソシアネート基の当量対アミン基の当量の比が1を超え、イソシアネートおよび(メタ)アクリル化アミン反応生成物が体積混合比1:1で基材に塗布され得るコーティング組成物に関する。ポリアミンとモノ(メタ)アクリレートとの反応生成物は、本明細書において、「(メタ)アクリル化アミン反応生成物」または単に「(メタ)アクリル化アミン」もしくは「反応生成物」もしくは同様の用語と称されることがあり、これはイソシアネートと反応または硬化して、ポリ尿素を形成するので、硬化剤と称されることもある。特定の実施形態において、(メタ)アクリル化アミン反応生成物は、芳香族ポリアミンもキシリレンジアミンも含まない。
【0007】
本明細書で用いられるように、「イソシアネート」という用語には、ヒドロキシルまたはアミン官能基などの反応性基と共有結合を形成することができる非ブロック化化合物が含まれる。したがって、イソシアネートは「遊離のイソシアネート」を指すことができ、これは当業者に理解される。代わりの非限定的な実施形態において、本発明のイソシアネートは、1個のイソシアネート官能基(NCO)を含む単官能性であり得るか、または本発明で使用されるイソシアネートは、2個以上のイソシアネート官能基(NCO)を含む多官能性であり得る。
【0008】
本発明における使用のための好適なイソシアネートは多数あり、広範に変わり得る。このようなイソシアネートには、当分野で知られているものが含まれ得る。好適なイソシアネートの非限定的な例には、モノマーおよび/またはポリマーイソシアネートが含まれ得る。ポリイソシアネートは、モノマー、プレポリマー、オリゴマー、またはそれらのブレンドから選択され得る。ある実施形態において、ポリイソシアネートは、C〜C20の直鎖、分枝鎖、環状、芳香族、またはそれらのブレンドであり得る。
【0009】
本発明における使用のために好適なイソシアネートには、限定されないが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)(これは、3,3,5−トリメチル−5−イソシアナト−メチル−シクロヘキシルイソシアネートである);水素化物質(シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)など);混合アラルキルジイソシアネート(テトラメチルキシリルジイソシアネート、OCN−C(CH−CC(CH−NCOなど);ポリメチレンイソシアネート(1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,7−ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートならびに2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネートなど);およびそれらの混合物が含まれ得る。
【0010】
本発明における使用のための芳香族イソシアネートの非限定的な例には、限定されないが、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、クロロフェニレン2,4−ジイソシアネート、ビトルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、アルキル化ベンゼンジイソシアネート、メチレン割り込み芳香族ジイソシアネート[メチレンジフェニルジイソシアネート、4,4’−アイソマー(MDI)(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネートなどアルキル化類似体を含む)など]、およびそれらの混合物が含まれ得る。
【0011】
非限定的な実施形態において、ポリイソシアネートモノマーが使用され得る。ポリイソシアネートモノマー(すなわち、プレポリマーの調製由来の残留遊離モノマー)の使用は、ポリ尿素組成物の粘度を低下させ、それによりその流動性を向上させることができ、前に塗布されたコーティングおよび/またはコーティングをしていない基材に対するポリ尿素コーティングの接着性向上を与えることができると考えられている。例えば、基材に前に塗布されたコーティングは、イソシアネートと反応性である官能基(例えば、ヒドロキシ基)を含むことができ、それによりこのコーティングの上に塗布される本発明のポリ尿素組成物に対するこのコーティングの接着性を強化させる。より低い粘度のポリ尿素組成物も、より高い粘度を有する比較組成物と比べて、より長い期間「流動性」状態のままであり得る。本発明の代わりの実施形態において、イソシアネート成分の少なくとも1重量%、または少なくとも2重量%、または少なくとも4重量%は、少なくとも1種のポリイソシアネートモノマーを含む。
【0012】
本発明のさらなる実施形態において、イソシアネートには、限定されないが、ダイマー(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオンなど)、トリマー(1,6−ヘキサンジイソシアネートのビューレットおよびイソシアヌレートならびにイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートなど)、およびポリマーオリゴマーを含むオリゴマーポリイソシアネートが含まれ得る。限定されないが、カルボジイミドおよびウレトジオン、ならびにそれらの混合物を含む変性ポリイソシアネートも使用することができる。好適な物質には、限定されることなく、ペンシルベニア州、ピッツバーグのBayer Corporation製の名称DESMODURの下で入手可能なものが含まれ、DESMODUR N3200、DESMODUR N3300、DESMODUR N3400、DESMODUR XP2410、およびDESMODUR XP2580が含まれる。
【0013】
本明細書で用いられるように、「イソシアネートプレポリマー」は、ポリアミンまたはポリオールなどの別のイソシアネート反応性基と予備反応されるポリイソシアネートを意味する。好適なポリイソシアネートには、本明細書において前に開示されたものが含まれる。好適なポリアミンは多数あり、当分野で知られている幅広い種類から選択され得る。好適なポリアミンの例には、限定されないが、本明細書において列挙される任意のものなどの第一級および第二級アミン、ならびにそれらの混合物が含まれる。アミン末端ポリ尿素も使用され得る。第三級アミン官能性を含むアミンは、アミンが少なくとも2個の第一級および/または第二級アミノ基をさらに含むことを条件にして、使用され得る。好適なポリオールは多数あり、当分野で知られている幅広い種類から選択され得る。好適なポリオールの例には、限定されないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ尿素ポリオール(例えば、アミノ官能性ポリ尿素とヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートのマイケル反応生成物)、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリビニルアルコール、不飽和モノマーとペンダントヒドロキシル基との付加ポリマー(ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート、アリルアルコールを含むものなど)およびそれらの混合物が含まれる。
【0014】
特定の実施形態において、イソシアネートには、イソシアネートプレポリマーが含まれ、他の実施形態において、イソシアネートには、イソシアネートプレポリマーおよび1種以上のさらなるイソシアネート(例えば、上記のポリイソシアネートの1種以上)が含まれる。
【0015】
上で述べたように、本組成物のポリ尿素は、イソシアネートならびにポリアミンおよびモノ(メタ)アクリレートの反応生成物を含む反応混合物から形成される。本明細書で用いられるように、かつ当業者によって理解されるように、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレートおよび対応する(メタ)アクリレートの両方を意味する。(メタ)アクリレートは、任意の好適なモノ(メタ)アクリレートまたはそれらの混合物であり得る。好適なモノ(メタ)アクリレートには、式:
【0016】
【化1】

[式中、RはHまたはメチルであり、Rは、限定されることなく、アルキルまたはヒドロキシアルキル(例えば、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、イソボルニル、ラウリル、ステアリルなど)であり得る]
を有するものが含まれる。モノ(メタ)アクリレートの非限定的な例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシ(メタ)アクリレートとラクトンとのアダクト(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとのアダクト)が含まれる。
【0017】
本発明の反応生成物における使用に好適なポリアミンは、少なくとも2個の官能基、例えば、二官能性、三官能性、またはそれより多い官能性のポリアミンおよびそれらの混合物を有するポリアミンを含む、幅広い種類の知られている第一級アミン、およびそれらの混合物から選択され得る。アミンは芳香族もしくは脂肪族、例えば、脂環式、またはそれらの混合物であってもよい。好適な脂肪族ポリアミンの例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノペンタン(DYTEK EP、Invista)、1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(DYTEK A、Invista)、2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,3−および/または1,4−シクロヘキサンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチル−シクロヘキサン、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジアミン、2,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM−20、Air Products)および3,3’−ジアルキル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン[例えば、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(DIMETHYL DICYKANまたはLAROMIN C260、BASF;ANCAMINE2049、Air Products)および3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン]、2,4−および/または2,6−ジアミノトルエンならびに2,4’−および/または4,4’−ジアミノジフェニルメタン、あるいはそれらの混合物が含まれる。さらなる好適なアミンには、限定されないが、3−(シクロヘキシルアミン)プロピルアミン、3,3’−[1,4−ブタンジイルビス]−1−プロパンアミン、および脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するジアミノ官能性ポリエーテルアミン(この例には、Huntsman Corporationから入手可能なJEFFAMINE D−230、JEFFAMINE D−400、JEFFAMINE D−2000、およびJEFFAMINE D−4000が含まれる)が含まれる。アミンが立体的に込み合っている(hindered)場合、(メタ)アクリル化アミンとイソシアネートとの間の反応時間はより遅くなることが認められる。これは、より長い処理時間が望まれる状況においてより長いポットライフまたは作業処理時間を与える。
【0018】
特定の実施形態において、ポリアミンはトリアミンである。好適なトリアミンの例には、ジプロピレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンおよび脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するトリアミノ官能性ポリエーテルポリアミン(Huntsman Corporation製のJEFFAMINE T−403、JEFFAMINE T−3000、JEFFAMINE T−5000)が含まれる。他の実施形態において、アミンはテトラアミンまたは他のより多い官能性のアミンであり得る。
【0019】
本発明の特定の具体的な実施形態において、ポリアミンは4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンを含む。特定の他の具体的な実施形態において、ポリアミンは3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタンを含む。特定の他の具体的な実施形態において、ポリアミンはイソホロンジアミン(「IPDA」)を含む。これらのポリアミンは、例えば、本明細書に列挙される任意のモノ(メタ)アクリレートと反応させることができる。
【0020】
ポリアミンおよびモノ(メタ)アクリレートは、好適な生成物を与える任意の比で反応させることができる。特定の実施形態において、ポリアミン対モノ(メタ)アクリレートの当量比は、実質的に化学量論的である。他の実施形態において、わずかに過剰のアミン(例えば、最大1.05、または1.03未満から1のアミン対(メタ)アクリレートの当量比)は、(メタ)アクリレート基が本質的に消費されることを確実にするため、または一部の未反応第一級アミンを残すために用いられる。特定の実施形態において、(メタ)アクリル化アミンは未反応第一級アミノ基を実質的に含まない。(メタ)アクリル化アミン中の残留第一級アミンの量を最小化すると、イソシアネートとのその反応速度を遅らせ;したがって、アミン対モノ(メタ)アクリレートの比は、得られる(メタ)アクリル化アミンにおいて望まれる反応性の程度によって変えることができる。したがって、特定の他の実施形態において、モノ(メタ)アクリレートに対する過剰のアミンは、結果として生じるポリ尿素組成物の硬化速度を変えるために使用され得る。
【0021】
ポリアミン対モノ(メタ)アクリレートの当量比は、(メタ)アクリル化アミン反応生成物に所望の特性を与える任意の好適な比であり得る。例えば、比は1:1または1.5:1または2:1であり得る。
【0022】
本発明で使用される(メタ)アクリル化アミン反応生成物は、例えば、実施例において記載される方法、または任意の他の適切な方法で形成され得る。特定の実施形態において、(メタ)アクリレートは、反応温度を制御するために時間をかけてアミンに添加されるが、反応がしばしば発熱であるからである。添加は周囲温度で開始することができるか、または添加の開始前にアミンを加熱することもできる。特定の実施形態において、発熱を制御するために添加中に反応混合物を冷却することが望ましいことがあり得る。添加の終了時に、反応を完了させるために反応混合物を加熱することができる。他の実施形態において、反応物質すべてを反応容器中で一緒に混合し、反応温度まで加熱することができる。一般に、反応は<100℃の温度で行われる。反応混合物には、添加剤(例えば、ヒドロキノン、4−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルp−クレゾール、およびフェノチアジンなどのフリーラジカル重合防止剤)、触媒[限定されないが、錫化合物(ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート)、Zn化合物、Ti化合物、第三級アミンを含む]、および溶媒(限定されないが、アルコールを含む)がさらに含まれ得る。反応は窒素または空気下で行われ得る。
【0023】
本発明によって使用される(メタ)アクリル化アミン反応生成物は、ポリアミンとモノ(メタ)アクリレートとの任意の組合せの反応の結果であり得る。すわなち、本ポリ尿素組成物は、1種以上のポリアミンおよび/または1種以上のモノ(メタ)アクリレートを含み得る。本ポリ尿素組成物は、本明細書に記載されたとおりの2種以上の(メタ)アクリル化アミン反応生成物または(メタ)アクリル化アミン反応生成物に加えて1種以上の他のアミン硬化剤も含み得る。例えば、アミン成分は、アミン、(メタ)アクリレートならびにジアルキルマレエートおよび/またはジアルキルフマレートの反応生成物である1種以上のアミン(例えば、本明細書と同日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる「(Meth)Acrylate/Aspartate Amine Curatives and Coatings and Articles Comprising the Same」との表題の米国特許出願に記載されたもの);ポリアミンとポリ(メタ)アクリレートとモノ(メタ)アクリレートまたはモノアミンとの反応生成物である1種以上のアミン(例えば、本明細書と同日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる「Polyurea Coating Comprising an Amine/(Meth)Acrylate Oligomeric Reaction Product」との表題の米国特許出願に記載されたもの);モノアミンと(メタ)アクリレートとの反応生成物である1種以上のアミン(例えば、本明細書と同日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる「Substrates Coated with a Polyurea Comprising a (Meth)acrylated Amine Reaction Product」との表題の米国特許出願に記載されたもの);ならびに/あるいはトリアミンとジアルキルマレエートおよび/またはジアルキルフマレートとの反応生成物である1種以上のアミン(例えば、本明細書と同日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる「Triamine/Aspartate Curative and Coatings Comprising the Same」との表題の米国特許出願に記載されたもの)を含み得る。
【0024】
本(メタ)アクリル化アミン反応生成物およびイソシアネートを含むポリ尿素には、限定されないが、本明細書に列挙された任意のポリアミンまたはそれらの組合せを含む当分野で知られているものなどの他のアミンがさらに含まれ得る。他のアミンには、第二級脂環式ジアミン[例えば、JEFFLINK754(Huntsman Corporation、ヒューストン、テキサス州)およびCLEARLINK1000(Dorf−Ketal Chemicals,LLC)]、アスパラギン酸エステル官能性アミン[例えば、DESMOPHEN NH1220、DESMOPHEN NH1420、およびDESMOPHEN NH1520などのDESMOPHEN(Bayer Corporation)の名称の下で入手可能なもの]、他のアスパラギン酸エステル官能性物質(例えば、限定されないが、本明細書に記載されるような、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、およびビス−ヘキサメチレントリアミンと、ジアルキルマレエートおよび/またはジアルキルフマレートとの反応生成物を含む、ジアルキルマレエートおよび/またはジアルキルフマレートとの反応前に少なくとも1種の第二級アミノ基を含むトリアミンの反応生成物)が含まれ;このような物質の例には、ジプロピレントリアミンとジエチルマレエートとのアダクト、ジプロピレントリアミンとジブチルマレエートとのアダクト、ビス−ヘキサメチレントリアミンとジエチルマレエートとのアダクト、ならびにビス−ヘキサメチレントリアミンとジブチルマレエートとのアダクトが含まれる。ポリオキシアルキレンアミンも好適である。ポリオキシアルキレンアミンは、例えば、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの混合物由来の骨格に結合した2個以上の第一級または第二級アミノ基を含む。このようなアミンの例には、名称JEFFAMINE、例えば、限定されることなく、JEFFAMINE D−230、D−400、D−2000、HK−511、ED−600、ED−900、ED−2003、T−403、T−3000、T−5000、SD−231、SD−401、SD−2001、およびST−404(Huntsman Corporation)の下で入手可能なものが含まれる。このようなアミンは、200から7500の範囲のおよその分子量を有する。2種以上の(メタ)アクリル化アミン反応生成物および/またはイソシアネートが使用される場合、それぞれのポリアミン、モノ(メタ)アクリレートならびに/あるいはイソシアネートは同じかまたは異なっていることができる。
【0025】
本組成物中に含まれ得る他の好適な第二級アミンは、第一級アミン官能性を含む物質とアクリロニトリルとの反応生成物である。好適なアミンには、第一級アミノ官能性を含む本明細書で列挙される任意のポリアミンが含まれる。このような物質の一例は、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとアクリロニトリルとのアダクトである。市販されている物質の例は、名称POLYCLEAR136(Hansen Group LLC)の下で販売されるイソホロンジアミンとアクリロニトリルとのアダクトである。
【0026】
使用され得る他のアミンは、第一級ポリアミンとモノまたはポリエポキシとのアダクトであり;このような物質の例は、イソホロンジアミンとCARDURA E10P(Hexion Speciality Chemicals,Inc.から入手可能)とのアダクトである。
【0027】
特定の実施形態において、ポリ尿素のアミン成分、および/またはポリ尿素それ自体は、第一級アミン官能性(未反応第一級アミノ基)を実質的に含まない。「第一級アミン官能性を実質的に含まない」および同様の用語は、理論的に第一級アミン官能性は存在しないが、まったく偶発的である一部の第一級アミン官能性(すなわち、そうでなければ第二級アミン官能性であるアミン中の不純物および/または反応しなかった痕跡の第一級アミン官能性)が存在しているかもしれないことを意味する。
【0028】
ある実施形態において、本発明のコーティング組成物には、ポリ尿素およびポリウレタンのブレンドが含まれ得る。したがって、本明細書で用いられるように、「ポリ尿素」には、ポリ尿素ならびにポリ尿素およびポリウレタンのブレンドの両方が含まれる。ポリウレタンは、本発明の反応において副生物として形成され得ることが当業者によって認められる。代わりの実施形態において、ポリウレタンはその場(in situ)で形成させることができおよび/またはこれは反応混合物に添加することができ;非限定的な例は、本明細書で開示されたとおりのポリオールとポリイソシアネートとの反応によって形成されるNCO官能性プレポリマーである。その場で形成されるポリウレタンの非限定的な例には、ポリイソシアネートとヒドロキシル官能性物質との反応生成物が含まれ得る。好適なポリイソシアネートの非限定的な例には、本明細書で記載されるものが含まれ得る。好適なヒドロキシル官能性物質の非限定的な例には、本明細書で記載されるものなどのポリオールが含まれ得る。その場で形成されるポリウレタンの別の例には、ヒドロキシル官能性プレポリマーとイソシアネート官能性物質との反応生成物が含まれ得る。これらの反応物質の好適な例には、本明細書で記載されるものが含まれ得る。
【0029】
本発明のポリ尿素コーティング組成物は、当分野で知られている種々の技術を用いて処方および塗布され得る。したがって、本発明はさらに、本明細書で記載される任意のコーティング組成物を基材の少なくとも一部に塗布する工程を含む基材をコーティングする方法に関する。ある実施形態において、従来のスプレー技術を用いることができる。この実施形態において、イソシアネートおよびアミンは、イソシアネート基の当量対アミン基の当量の比が1を超えるように混合することができ、イソシアネートおよびアミンは、1:1の体積混合比で基材に塗布することができ;反応混合物は、コーティングしていないまたはしている基材に塗布して、コーティングしていない基材に第1のコーティングまたはコーティングしている基材にその後のコーティングを形成し得る。イソシアネート基の当量対反応性アミン基の当量の比を決定する場合、全アミン基が考慮に入れられ、これは(メタ)アクリル化アミン硬化剤からのアミン基ならびにコーティングに使用される任意の他のアミンである。
【0030】
本組成物は、2つの成分または「2K」組成物であり、イソシアネート含有成分およびアミン含有成分は、塗布直前まで別々に保存されることが認められる。このような組成物は、周囲条件下での硬化として理解されるが、最終硬化を促進させ、または接着性などのコーティング特性を向上させるために加熱強制空気または熱硬化が適用され得る。ある実施形態において、スプレーできるコーティング組成物は、2成分混合装置を用いて調製され得る。この実施形態において、イソシアネートおよびアミンは、高圧衝突混合装置に加えられる。イソシアネートは「A側」に加えられ、アミンは「B側」に加えられる。A側およびB側の流れは、互いに衝突し、コーティングしていないかまたはしている基材の少なくとも一部に直ちにスプレーされる。イソシアネートとアミンとは反応して、コーティング組成物を生成し、これはコーティングしていないかまたはしている基材に塗布後に硬化される。A側および/またはB側は、塗布前に、例えば、140°Fの温度に加熱することもできる。加熱は、2成分間のより良い粘度適合、したがって、より良い混合を促進し得るが、硬化反応が生じるのに必要ではない。
【0031】
イソシアネート基対アミン基の当量の比は、本発明のコーティング組成物の硬化速度を制御するために選択され得ると考えられる。イソシアネート基対アミン基の当量の比(反応インデックス(reaction index)としても知られている)が1を超える(例えば、1.01から1.10:1、または1.03から1.10:1、または1.05から1.08:1、あるいは1.01から1.4:1、または1.01から1.5:1、または1.3:1を超える)1:1体積比のコーティングを塗布する場合、硬化および接着性の利点が生じ得ることがわかった。例えば、良好な接着性は、硬化後に低い表面官能性を有するクリアコート、例えば、カルバメートメラミン、ヒドロキシルメラミン、2Kウレタン、および生理食塩水含有クリアコート上にこれらの比を用いて本発明のコーティングを使用した場合に得ることができる。「1:1体積比」という用語は、体積比がそれぞれの成分について、最大20%、または最大10%もしくは最大5%で変化することを意味する。
【0032】
非限定的な実施形態において、GUSMER Model GX−7スプレーガンを備えた名称GUSMER VR−H−3000配合装置の下で市販されている市販の混合装置を使用し得る。この装置において、A側成分およびB側成分の加圧された流れは、2つの別々のチャンバーから供給され、高速度で互いに激突または衝突して、2成分を混合し、コーティング組成物を形成し、これは、スプレーガンを用いてコーティングしていないかまたはしている基材に塗布され得る。成分の流れによって受ける混合力は、単位時間当たりに混合チャンバーに入るそれぞれの流れの体積および成分の流れが供給される圧力に依存し得る。単位時間当たりのイソシアネートとアミンとの1:1体積比は、これらの力を均等にし得る。
【0033】
この産業において知られている別の好適な塗布装置には、「静的混合チューブ」アプリケータが含まれる。この装置では、イソシアネートとアミンとは別々のチャンバーにそれぞれ保存される。圧力がかかると、それぞれの成分は体積で1:1の比で混合チューブに導入される。成分の混合は、チューブ内の蛇行性またはラセン形の通路によって行われる。チューブの出口端部は、反応混合物のスプレー塗布に有用な噴霧化能力を有し得る。あるいは、流動性反応混合物は、ビーズとして基材に塗布され得る。静的混合チューブアプリケータはCammda Corporationから入手可能である。
【0034】
本発明のポリ尿素コーティング組成物は、幅広い種類の基材に塗布され得る。したがって、本発明はさらに、本明細書に記載される任意の組成物でコーティングされた基材に関する。好適な基材の非限定的な例には、限定されないが、金属、天然および/または合成石、セラミック、ガラス、レンガ、セメント、コンクリート、軽量コンクリートブロック、木ならびにそれらの複合材および積層材;人造壁板、乾式壁、石膏ボード、セメント板、プラスチック、紙、PVC、発泡スチレン、プラスチック複合材、アクリル複合材、弾道複合材、アスファルト、ガラスファイバー、土、砂利などが含まれ得る。金属には、限定されないが、アルミニウム、冷延鋼板、電気亜鉛メッキ鋼、溶融亜鉛メッキ鋼、チタンおよび合金が含まれ得;プラスチックには、限定されないが、TPO、SMC、TPU、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリアミド(Nylon)が含まれ得る。基材は、下塗りされた金属および/またはプラスチックであることもでき;すなわち、有機または無機の層がそれに適用される。さらに、本発明のコーティング組成物は、前記基材に塗布されて、限定されないが、耐腐食性、耐摩耗性、耐衝撃損傷性、耐火炎性および/または耐熱性、耐化学性、紫外線抵抗性、構造統合性、弾道緩和性、爆風緩和性、音波減衰性、装飾性などの幅広い種類の特性の1種以上を与え得る。非限定的な例において、本発明のコーティング組成物は、建造物の少なくとも一部または限定されないが乗物などの製造品に塗布され得る。「乗物」には、限定されないが、民間車両、商用車、軍用の陸上輸送機関、水用輸送機関、および空中輸送機関、例えば、乗用車、トラック、ボート、船、潜水艦、航空機、ヘリコプター、高機動多目的装輪車(humvee)および戦車が含まれる。製造品は、建造物であることができる。「建造物」には、限定されないが、居住用、商業用および軍用構造物、例えば、屋根、床、支持梁、壁などを含む構造物の少なくとも一部が含まれる。本明細書で用いられるように、「基材」という用語は、製造品の少なくとも一部の表面(外側または内側のいずれか)またはその製造品それ自体を指し得る。ある実施形態において、基材はトラックの荷台である。
【0035】
ある実施形態において、本発明のポリ尿素コーティング組成物は、キャリアフィルムに塗布され得る。キャリアフィルムは、幅広い種類の当分野で知られているような材料から選択され得る。好適なキャリアフィルムの非限定的な例には、限定されないが、熱可塑性材料、熱硬化性材料、金属ホイル、セルロース紙、合成紙、およびそれらの混合物が含まれ得る。本明細書で用いられるように、「熱可塑性材料」という用語は、加熱されると軟化または溶融し、冷却されると再び固化(硬化)することができる任意の材料を指す。好適な熱可塑性材料の非限定的な例には、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、アクリル、およびそれらの混合物が含まれ得る。本明細書で用いられるように、「熱硬化性材料」という用語は、加熱および/または硬化後に永久的に硬くなる任意の材料を指す。非限定的な例には、ポリウレタンポリマー、ポリエステルポリマー、ポリアミドポリマー、ポリ尿素ポリマー、ポリカーボネートポリマー、アクリルポリマー、アミノ樹脂、イソシアネート、エポキシ、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が含まれ得る。
【0036】
上に述べたように、特定の実施形態において、本発明のポリ尿素コーティング組成物は、裸の(例えば、未処理、コーティングしていない)基材、前処理基材および/または少なくとも1種の他のコーティングを有するコーティングしている基材に塗布され得る。非限定的な実施形態において、本発明のコーティング組成物は、多層コーティング複合材の一部として塗布され得る。基材に塗布される第1のコーティングは、表面コーティング基材のために当分野で知られている幅広い種類のコーティング組成物から選択され得る。非限定的な例には、限定されないが、電着可能フィルム形成性組成物、プライマー組成物、色素性または非色素性モノコート組成物、色素性または非色素性ベースコート組成物、透明トップコート組成物、工業用コーティング組成物などが含まれ得る。別の非限定的な実施形態において、本発明のコーティング組成物は、前処理基材およびコーティング層(例えば、限定されないが、電気塗装、プライマー、ベースコート、クリアコート、およびそれらの組合せ)を含む多層コーティング複合材の一部として塗布され得る。ある実施形態において、クリアコートは架橋および硬化の前または後のいずれかでシラン官能基を含む。
【0037】
さらなる実施形態において、本発明のポリ尿素コーティング組成物は、テクスチャード加工表面を生じるツーコート(two−coat)塗布において使用され得る。第1のコートはコーティングしていないかまたはしている基材に塗布して、滑らかな実質的にタックフリーの層を生じる。「タックフリー法(Tack−Free Method)」は、層が実質的にタックフリーであるかどうかを決定するために用いられる。タックフリー法には、10から15ミル(254〜381ミクロン)の厚さに非接着性プラスチックシート上に1つのコートでコーティング組成物をスプレーすることが含まれる。スプレーが終了したとき、操作者は、Marigold Industrial、Norcross GAによりAMBIDEX Disposable Vinyl Gloveとして市販されているものなどの緩く適合した使い捨てビニル手袋を用いて、コーティングの表面に穏やかに触れる。コーティングは異なる指先を用いることによって2回以上触れることができる。手袋先が層の表面にもはや粘着しないか、または手袋先を層の表面からもはや引っ張らなくてもよいときに、層は実質的にタックフリーであるといわれる。スプレーの終了から始まり、コーティングが実質的にタックフリーになるときまでの時間はタックフリー時間といわれる。非限定的な実施形態において、タックフリー時間および硬化時間は、第一級アミン対第二級アミンの比などの種々の組成物成分のレベルを均衡させることによって制御され得る。
【0038】
次いで、第2のコートは、きめを与える層または「粉衣」として、第1のコーティング層に塗布され得る。第2のコーティング層は、塗布/混合装置とコーティングしている基材との間の距離を増加させ、コーティングしている基材と接触する前にコーティング組成物の個々の液滴を形成し、それにより、第2の層の表面に調節された非均一性を形成することによって塗布され得る。コーティングの実質的にタックフリーの第1の層は、第2の層に少なくとも部分的に抵抗性であり、すなわち、表面のきめを作り出すために、液滴が前の層に接着するが、融合しないように、第2の層または粉衣としてそれらの上にスプレーされたコーティング組成物の液滴の融合に対して少なくとも部分的に抵抗性である。最終コーティング層は通常、第1または前のコーティング層に比べてより表面のきめを示す。コーティング層の全体厚さは、20から1000ミル、または40から150ミル、または60から100ミル(1524〜2540ミクロン)、または500から750ミルの範囲であり得る。非限定的な実施形態において、第1の層は、全厚さの大部分であってもよく、粉衣は、15〜50ミル(381〜1270ミクロン)であってもよい。
【0039】
本発明の種々の実施形態において、「第1の」コーティング層は、1層、2層、3層またはそれより多い層を含んでもよく;「第2の」コーティング層は、その上に塗布される1以上のそれに続く層であってもよい。例えば、4層のポリ尿素層が塗布され、第4層が粉衣であり、それぞれの層が15から25ミル(381〜635ミクロン)の厚さを有する層であってもよい。これらのコーティング層は比較的「厚い」ことが認められる。本発明のコーティング組成物は、同様に非常に薄い層(例えば、0.1から15ミル未満、例えば、0.1から10、0.5から3または1から2ミル)として塗布することもできる。このような層は、単独で、または他のコーティング層(例えば、当分野で知られているまたは別に本明細書において記載される任意のもの)と併用して用いることができる。十分な厚さ(例えば、10から1000ミル、例えば、100から200ミル、または125ミル±10ミル)で塗布される場合、本ポリ尿素層は、爆風緩和性を与え得る。「爆風緩和性」は、例えば、ごく近接した爆風または爆発の場合の保護を意味する。この保護には、例えば、建造物、車両、航空機、船/ボート、輸送用コンテナーなどの構造または構造の一部の、崩壊および/または破壊からの保護、飛行破片および爆風断片に対する保護などが含まれ得る。
【0040】
代わりの実施形態において、コーティング層は、同じかまたは異なるポリ尿素コーティング組成物を含み得る。例えば、第1の層は、脂肪族および/または芳香族アミン成分ならびに/あるいは脂肪族および/または芳香族ポリイソシアネートを含むポリ尿素組成物であってもよく、第2の層は、脂肪族および/または芳香族アミン成分ならびに/あるいは脂肪族および/または芳香族ポリイソシアネートの同じかまたは異なる組合せを含んでもよい。この文脈での「アミン成分」は、本コーティングで使用される任意のアミンを意味する。さらなる実施形態において、最も外側のコーティング層は、所望の耐久性を与えるコーティング組成物を含み得る。所望の耐久性は、本発明のコーティング組成物の使用および/またはそれが塗布され得る基材に依存し得る。ある実施形態において、脂肪族および/または芳香族アミンならびに/あるいはポリイソシアネートの組合せは、最も外側の層の組成物が実質的な耐久性を有するように選択され得る。例えば、最も外側のコーティング層は、法SAE J1960に従って、Weatherometer(Atlas Material Testing Solutions)を用いて試験した場合、1000kJから6000kJまたは800時間から4000時間の耐久性を有し得る。この実施形態において、第1層は、ポリイソシアネートおよびアミンを含むポリ尿素組成物であることができ、ここで、アミンおよび/またはポリイソシアネートの少なくとも1種は芳香族部分を含んでよく、第2の層は、少ししかまたはまったく芳香族性を有さずに、脂肪族アミンおよび脂肪族ポリイソシアネートを優勢に含むポリ尿素組成物であることができる。
【0041】
本発明のポリ尿素コーティング組成物は、限定されないが、充填剤、ガラスファイバー、安定剤、増粘剤、充填剤、接着促進剤、触媒、着色剤、酸化防止剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、レオロジー改良剤、流動添加剤、静電防止剤および表面コーティングの分野でよく知られている他の性能または特性改良剤、およびそれらの混合物などの当分野で標準的な材料が場合によって含まれ得る。例えば、本コーティングは、耐火炎性および/または耐熱性材料(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/591,312号明細書に開示された任意の1種以上のものなど)をさらに含み得る。充填剤には、クレーおよび/またはシリカが含まれることができ、接着促進剤には、アミン官能性材料、アミノシランなどが含まれることができ;充填剤および接着促進剤の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2006/0046068号明細書にさらに記載されている。これらの添加剤は、イソシアネート、(メタ)アクリル化アミン反応生成物、または両方と一緒に混合され得る。特定の実施形態において、コーティングは少量の溶媒をさらに含むことができ、特定の実施形態において、コーティングは実質的に溶媒を含まないことができる。「実質的に溶媒を含まない」は、コーティングが少量の溶媒、例えば、5%、2%、1%またはそれ未満を含み得ることを意味する。
【0042】
本明細書で用いられるように、「着色剤」という用語は、組成物に色および/または他の不透明性および/または他の視覚効果を与える任意の物質を意味する。着色剤は、任意の適切な形態、例えば、個別の粒子、分散液、溶液および/または薄片でコーティングに添加することができる。単一の着色剤または2種以上の着色剤の混合物を本発明のコーティングに用いることができる。
【0043】
着色剤の例には、顔料、染料および毛髪染料(例えば、塗料業界で用いられるおよび/またはDry Color Manufacturers Association(DCMA)に列挙されるもの)ならびに特殊効果組成物が含まれる。着色剤には、例えば、使用条件下で不溶性であるが湿らすことができる微粉化した固体粉末が含まれ得る。着色剤は、有機または無機であることができ、凝集または非凝集であることができる。着色剤は、粉砕または単なる混合によってコーティング中に取り込むことができる。着色剤は、その使用が当業者によく知られている粉砕ビヒクル(grind vehicle)、例えば、アクリル粉砕ビヒクルを使用してコーティング中に粉砕することによって取り込むことができる。粉砕ビヒクルは、本発明の(メタ)アクリル化アミン硬化剤を全体でまたは本明細書において記載されたとおりの任意の他のアミンおよびポリオールと組み合わせて含むこともできる。
【0044】
顔料および/または顔料組成物の例には、限定されないが、カルバゾールジオキサジン粗顔料、アゾ、モノアゾ、ジスアゾ、ナフトールAS、塩タイプ(レーキ)、ベンズイミダゾロン、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリンおよび多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン、インダンスロン、アントラピリミジン、フラバンスロン、ピランスロン、アンタンスロン、ジオキザジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、二酸化チタン、カーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト、他の導電性顔料および/または充填剤ならびにそれらの混合物が含まれる。「顔料」および「着色充填剤」という用語は、同義的に使用することができる。
【0045】
染料の例には、限定されないが、フタログリーンまたはフタロブルー(pthalo green or blue)などの溶媒系であるもの、酸化鉄、バナジウム酸ビスマス、アントラキノン、ペリレン、アルミニウムおよびキナクリドンが含まれる。
【0046】
毛髪染料の例には、限定されないが、水系または水混和性の担体に分散した顔料(例えば、Degussa,Inc.から市販されているAQUA−CHEM896、Eastman Chemical,Inc.のAccurate Dispersions divisionから市販されているCHARISMA COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTSなど)が含まれる。
【0047】
上に述べたように、着色剤は、限定されないが、ナノ粒子分散を含む分散の形態であることができる。ナノ粒子分散液には、所望の可視的な色および/または不透明性および/または視覚効果を生ずる1種以上の高度に分散したナノ粒子着色剤および/または着色剤粒子が含まれ得る。ナノ粒子分散液には、150nm未満、例えば、70nm未満、または30nm未満の粒径を有する顔料または染料などの着色剤が含まれ得る。ナノ粒子は、0.5mm未満の粒径を有する粉砕媒体で原料の有機または無機顔料を摩砕することによって製造され得る。ナノ粒子分散液およびそれらを製造する方法の例は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,875,800B2号明細書に特定されている。ナノ粒子分散液は、結晶化、沈殿、気相凝縮、および化学的摩滅(すなわち、部分的溶解)によって製造することもできる。コーティング内のナノ粒子の再凝集を最小化するために、樹脂コーティングしているナノ粒子の分散液を使用することができる。本明細書で用いられるように、「樹脂コーティングしているナノ粒子の分散液」は、ナノ粒子およびナノ粒子上の樹脂コーティングを含む別個の「複合微粒子」が分散している連続相を指す。樹脂コーティングしているナノ粒子の分散液およびそれらを製造する方法の例は、参照により本明細書に組み込まれる、2004年6月24日に出願された米国特許出願第10/876,031号明細書、および参照によりまた本明細書に組み込まれる、2003年6月24日に出願された米国仮特許出願第60/482,167号明細書に特定されている。
【0048】
本発明のポリ尿素コーティングに使用され得る特殊効果組成物の例には、反射率、真珠光沢、金属光沢、リン光、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、ゴニオクロミズムおよび/または色変化などの1種以上の外観効果を生じる顔料および/または組成物が含まれる。さらなる特殊効果組成物は、他の知覚できる特性、例えば、反射力、不透明性、またはきめを与えることができる。非限定的な実施形態において、特殊効果組成物は、色ずれを生じることがあり、その結果、コーティングが異なる角度で見られる際に、コーティングの色が変化する。色効果組成物の例は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,894,086号明細書に特定されている。さらなる着色効果の組成物には、透明コーティングしている雲母および/または合成雲母、コーティングしているシリカ、コーティングしているアルミニウム、透明液晶顔料、液晶コーティング、ならびに/あるいは、干渉が材料内の屈折率差から生じ、材料の表面と空気との間の屈折率差のためではない任意の組成物が含まれ得る。
【0049】
特定の非限定的な実施形態において、1種以上の光源にさらされると、その色を可逆的に変える感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物が、本発明のコーティングに使用され得る。フォトクロミック組成物および/または感光性組成物は、特定の波長の放射への曝露によって活性化され得る。組成物が励起されると、分子構造は変化し、変化した構造は組成物の元来の色と異なる新しい色を呈する。放射への曝露が除かれると、フォトクロミック組成物および/または感光性組成物は、静止の状態に戻ることができ、ここで、組成物の元来の色が戻る。1つの非限定的な実施形態において、フォトクロミック組成物および/または感光性組成物は非励起状態で無色であることができ、励起状態で色を呈することができる。フルカラー変化は、ミリ秒から数分、例えば、20秒から60秒の範囲内で出現できる。フォトクロミック組成物および/または感光性組成物の例には、フォトクロミック染料が含まれる。
【0050】
非限定的な実施形態において、感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は、ポリマーおよび/または重合性成分のポリマー材料と会合し得る、および/または、例えば、共有結合によって少なくとも部分的にそれらに結合し得る。感光性組成物がコーティングから外に移行して、基材中に結晶化し得る一部のコーティングと対照的に、本発明の非限定的な実施形態によるポリマーおよび/または重合性成分と会合した、および/または少なくとも部分的にそれらに結合した感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は、コーティングから外への移行は最小である。感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物ならびにそれらを製造する方法の例は、参照により本明細書に組み込まれる、2004年7月16日に出願された米国特許出願第10/892,919号明細書に特定されている。
【0051】
一般に、着色剤は、所望の特性、視覚および/または色効果を与えるのに十分な任意の量でコーティング組成物中に存在し得る。着色剤は、組成物の全重量を基準として重量%で、本組成物の0.1から65重量%、例えば、3から40重量%または5から35重量%を構成し得る。特定の実施形態において、顔料の重量%は、0.1から1.0重量%であり得る。
【0052】
別の実施形態において、基材に塗布される場合、本発明のポリ尿素コーティング組成物は、関連した基材の色と調和する色を保有する。本明細書で用いられるように、カラーマッチングを指す場合に、「調和する」という用語または同様の用語は、本発明のコーティング組成物の色が、所望の色または関連した基材の色に実質的に一致することを意味する。例えば、ポリ尿素コーティング組成物に対する基材が、トラックの荷台などの乗物の一部である場合、コーティングの色は、関連した車体の色と実質的に調和する。これは、視覚的に観察できるか、または分光装置を用いて確認することができる。
【0053】
本発明のコーティングは、種々のコーティング層、例えば、前処理層、電着塗装、プライマー、ベースコートおよびクリアコートを有する基材を含む多層コーティング複合材の一部であり得る。ベースコートおよびクリアコートの少なくとも1つは、顔料を含むことができ、および/またはクリアコートは接着促進剤を含むことができ、ならびに任意のこれらのコーティングは、本明細書に記載されるコーティングであることができる。クリアコート、またはその表面への接着促進剤の添加は、クリアコートおよびその上に塗布されるコーティング組成物との間の接着性を向上させ得ると考えられているが、本発明者らはいずれの機構によっても拘束されることを望まない。この実施形態において、本発明のコーティング組成物は、顔料添加剤と一緒の、イソシアネートと(メタ)アクリル化アミンとの反応生成物であり得る。顔料を含む本発明のコーティング組成物は、物品または構造物の少なくとも一部に塗布され得る。コーティングしている物品または構造物の色は、関連した基材の色と調和し得る。「関連した基材」は、物品もしくは構造物を含むが、本発明のコーティング組成物でコーティングされていない基材または、物品もしくは構造物に付着し、接合し、またはごく近接しているが、本発明のコーティング組成物でコーティングされていない基材を指すことができる。
【0054】
本明細書で用いられるように、別に明記されない限り、値、範囲、量またはパーセントを表すものなどのすべての数字は、用語が明示的に見られない場合でさえも、語「約」で前置きされているかのように読むことができる。本明細書において説明されるいずれの数値範囲も、その中に含められた下位の範囲すべてを含むことが意図される。複数形は、単数形を包含し、その逆もまた同様である。例えば、本発明は、特許請求の範囲を含めて本明細書において、「1つの」ポリ尿素、「1つの」イソシアネート、「1つの」ポリアミン、「1つの」モノ(メタ)アクリレート、「1つの」(メタ)アクリル化アミン反応生成物などによって説明してきたが、このようなものの混合物を用いることができる。また、本明細書で用いられるように、「ポリマー」という用語は、プレポリマー、オリゴマーならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方を指し;接頭語「ポリ」は2以上を指すことが意味される。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は、本発明を例証することが意図され、本発明を限定すると決して解釈されるべきではない。当業者によって認められるように、MWは平均分子量を指し、Mは重量平均分子量を指し、Mは数平均分子量を指す。
【0056】
(実施例A)
アミン/アクリレート硬化剤を以下の成分から調製した:
成分 重量(g)
チャージ(charge)1
イソホロンジアミン 937.2
2,6−ジ−tert−ブチルp−クレゾール 2.31
チャージ2
ブチルアクリレート 1382.0
チャージ3
イソホロンジアミン 18.0
チャージ1をオーバーヘッド攪拌機、熱電対、コンデンサー、およびN吸気口を備えた適切な反応器に添加した。このチャージをNブランケット下に置いた。21℃の温度で開始して、チャージ2を、4.5時間かけて反応器に添加した。添加中、穏やかな発熱が見られた。添加の終了時に、反応混合物の温度は31℃であった。反応器の内容物を、外部熱源を用いて70℃に加熱し、この温度で5.8時間保持した。反応混合物の赤外スペクトルの検査は、ブチルアクリレートの存在を示した(1621、1635cm−1におけるピーク)。反応混合物の温度を80℃に上昇させ、この温度に14.7時間保持した。この時点で赤外スペクトルの検査は、少量のブチルアクリレートの存在を示した。チャージ3を反応混合物に添加した。反応混合物を85℃に加熱し、6時間保持した。この時点で赤外スペクトルの検査は、ブチルアクリレートの消費を示した。得られた物質は、測定固形分(110℃、1時間)96.3パーセント、粘度A+(Gardner−Holtスケール上)、全アミン含量4.797ミリ当量/g、残留第一級アミン含量0.042ミリ当量/g、第二級アミン含量4.643ミリ当量/g、第三級アミン含量0.112ミリ当量/g、ならびにM359およびM314(ポリスチレン標準に対して、ゲル透過クロマトグラフィーで測定して)を有することがわかった。
【0057】
(実施例B)
アミン/アクリレート硬化剤は、以下の成分から調製した:
成分 重量(g)
チャージ1
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン 417.2
4−メトキシフェノール 0.4
チャージ2
メチルアクリレート 289.0
チャージ3
メタノール 42.6
チャージ1を、オーバーヘッド攪拌機、熱電対、コンデンサー、および空気吸気口を備えた適切な反応器に添加した。このチャージをライトエアー(light air)ブランケット下に置いた。22℃の温度で開始して、チャージ2を10分間かけて反応器に添加した。このチャージの終了時に、反応混合物の温度は20℃であった。次いで、チャージ3を5分かけて反応混合物に添加した。穏やかな発熱が見られ;このチャージの終了時に、反応混合物の温度は31℃であった。反応器の内容物を、外部熱源を用いて75℃に加熱し、この温度で11.9時間保持した。この時点で赤外スペクトルの検査は、メチルアクリレートの消費を示した(1621、1635cm−1におけるピークの消失)。反応器を簡単な真空蒸留用に装備した。75から85℃の温度範囲で1.4時間かけて系から揮発物を除去した。得られた物質は、測定固形分(110℃、1時間)99.5%、粘度K(Gardner−Holtスケール上)、密度8.51ポンド/ガロン、全アミン含量5.089ミリ当量/g、残留第一級アミン含量0.603ミリ当量/g、第二級アミン含量3.995ミリ当量/g、第三級アミン含量0.491ミリ当量/g、残留メタノール含量<0.01パーセント(ガスクロマトグラフィーによる)、およびM335およびM348(ポリスチレン標準に対して、ゲル透過クロマトグラフィーで測定して)を有することがわかった。
【0058】
(実施例C)
アミン/メタクリレート/アクリレート硬化剤を以下の成分から調製した:
成分 重量(g)
チャージ1
イソホロンジアミン 170.4
メチルメタクリレート 160.0
2,6−ジ−tert−ブチルp−クレゾール 2.2
ジブチル錫ジラウレート 1.7
チャージ2
ブチルアクリレート 43.5
チャージ3
4−メトキシフェノール 0.7
チャージ1を、オーバーヘッド攪拌機、熱電対、コンデンサー、およびスパージ管を備えた適切な反応器に添加した。このチャージを約0.5SCFHのライトエアスパージ下に置いた。反応混合物を80℃の温度に加熱し、この温度で約35.3時間保持した。反応の進行後、固形分を測定した(110℃、1時間)。反応混合物は測定固形分85.0%に保持した。温度を52℃に低下させた。チャージ2を、1分かけて反応器に添加し;この添加の終了時の温度は49℃であった。温度を60℃に上昇させ、反応混合物をこの温度で約9時間保持した。この時点で反応混合物の赤外スペクトルの検査は、ブチルアクリレートの消費を示した(1621、1635cm−1におけるピークの不在)。チャージ3を反応混合物に添加し、反応器を簡単な真空蒸留用に構成した。反応混合物に真空を1時間かけて揮発物を除去し、温度範囲は51〜60℃であり、得られた最大真空は180mmHgであった。得られた物質は、測定固形分(110℃、1時間)96.2%、密度8.33ポンド/ガロン、粘度Z3(Gardner−Holtスケール上)、全アミン含量4.892ミリ当量/g、残留第一級アミン含量0.055ミリ当量/g、第二級アミン含量4.766ミリ当量/g、第三級アミン含量0.071ミリ当量/g、残留メチルメタクリレートおよびブチルアクリレート含量、それぞれ0.94および0.51パーセント(ガスクロマトグラフィーによる)、およびM399およびM335(ポリスチレン標準に対して、ゲル透過クロマトグラフィーで測定して)を有することがわかった。
【0059】
(実施例D)
アクリレート/アスパルテート硬化剤は、以下の成分から調製した:
成分 重量(g)
チャージ1
イソホロンジアミン 2982.0
2,6−ジ−tert−ブチルp−クレゾール 3.5
チャージ2
ジブチルマレエート 1995.0
チャージ3
2,6−ジ−tert−ブチルp−クレゾール 3.5
チャージ4
ブチルアクリレート 3270.4
チャージ1を、オーバーヘッド攪拌機、熱電対、コンデンサー、およびN吸気口を備えた適切なフラスコに添加した。このチャージをNブランケット下に置いた。21℃の温度で開始して、チャージ2を5.75時間かけてフラスコに添加した。添加中に穏やかな発熱が見られた。このチャージの添加時に、35℃の最高温度が見られた。チャージの終了時に、反応混合物の温度は33℃であった。反応混合物を外部熱源を用いて35〜37℃の温度に加熱し、この温度に3時間保持した。反応混合物の赤外スペクトルの検査は、ジブチルマレエートの消費を示した(1646cm−1におけるピークの消失)。チャージ3を反応器に添加し、反応混合物を43℃に加熱した。チャージ4を反応混合物に3.6時間添加し;穏やかな発熱が見られた。チャージ4の過程にわたって反応混合物の温度範囲は、43から50℃であり;チャージ4の終了時に、温度は45℃であった。次いで、反応混合物の温度を50℃に上昇させ、3時間保持した。反応混合物の赤外スペクトルの検査は、未反応アクリレートの存在を示した(1621、1635cm−1におけるピーク)。反応混合物の温度を70℃に上昇させ、10.9時間保持した。反応混合物の赤外スペクトルの検査は、アクリレートに帰属する前述のピークの存在がベースラインノイズと区別できないことを示し;この時点で反応は終了したと判断した。得られた物質は、測定固形分(110℃、1時間)98.9%、粘度D(Gardner−Holtスケール上)、密度8.17ポンド/ガロン、全アミン含量4.21ミリ当量/g、残留第一級アミン含量0.230ミリ当量/g、第二級アミン含量3.985ミリ当量/g、第三級アミン含量0.000ミリ当量/g、およびM450およびM406(ポリスチレン標準に対して、ゲル透過クロマトグラフィーで測定して)を有することがわかった。
【0060】
(実施例E)
アクリレート変性アミン硬化剤を以下の成分から調製した:
成分 重量(g)
チャージ1
JEFFAMINE D2000 3490.5
2,6−ジ−tert−ブチルp−クレゾール 7.77
ジブチル錫ジラウレート 19.4
チャージ2
ブチルアクリレート 437.9
約2000MWのポリオキシアルキレンジアミン、Huntman Corporationから入手可能である。
【0061】
チャージ1をオーバーヘッド攪拌機、熱電対、コンデンサー、および空気吸気口を備えた適切なフラスコに添加した。このチャージを空気ブランケット下に置いた。22℃の温度で開始して、チャージ2を18分かけて添加した。発熱は見られなかった。反応温度を70℃に上昇させ、2.9時間保持した。反応混合物の赤外スペクトルの検査は、未反応アクリレートの存在を示した(1621、1635cm−1でのピーク)。反応混合物の温度を90℃に上昇させ、8.8時間保持した。この時点で、混合物の赤外スペクトルはアクリレートが消費されたことを示した。得られた物質は、測定固形分(110℃、1時間)95.4パーセント、粘度G−(Gardner−Holtスケール上)、全アミン含量0.884ミリ当量/g、第一級アミン含量0.155ミリ当量/g、第二級アミン含量0.702当量/g、第三級アミン含量0.022ミリ当量/g、M2180、M769、およびM2993(ポリスチレン標準に対して、ゲル透過クロマトグラフィーで測定して)を有することがわかった。
【0062】
(実施例F)
アミン/エポキシアダクトを以下の成分から調製した:
成分 重量(g)
チャージ1
イソホロンジアミン 2044.8
チャージ2
CARDURA E10P 6000.0
ネオデカン酸のグリシジルエーテル、Hexion Specialty Chemicals,Inc.から入手可能である。
【0063】
チャージ1をオーバーヘッド攪拌機、熱電対、コンデンサー、およびN吸気口を備えた適切なフラスコに添加した。このチャージをNブランケット下に置き、反応器を加熱した。62℃の温度で開始して、チャージ2を62から92℃の温度範囲にわたって6.9時間かけて反応器に加えた。供給の間、加熱マントルを上昇または低下させ、反応温度を制御するために必要に応じて反応器に冷却(水浴または空気流)を適用した。添加の終了時に、反応混合物の温度は77℃であった。反応混合物を80℃で8.6時間、次いで85℃で1.6時間保持した。この時点でエポキシ当量は55556であることがわかり、反応は終了したと判断した。得られた物質は、測定固形分(110℃、1時間)98.7パーセント、粘度Z10(Gardner−Holtスケール上)、全アミン含量2.969ミリ当量/g、残留第一級アミン含量0.170ミリ当量/g、第二級アミン含量2.504当量/g、第三級アミン含量0.295ミリ当量/g、ヒドロキシル価160.1、およびM657、M562(ポリスチレン標準に対して、ゲル透過クロマトグラフィーで測定して)を有することがわかった。
【0064】
(実施例1)
イソシアネート官能性「A側」処方物を以下の成分から調製した:
成分 重量%
TERATHANE650 21.0
1,2−ブタンジオール 1.2
ネオペンチルグリコール 1.2
イソホロンジイソシアネート 27.1
DESMODUR N3400 49.4
ポリテトラメチレンエーテルグリコール、Invistaから入手可能である。
【0065】
ヘキサメチレンジイソシアネートベースの脂肪族ポリイソシアネート樹脂、Bayer Corporationから入手可能である。
【0066】
TERATHANE650、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、および触媒量のジブチル錫ジラウレート(3つのグリコールの0.013重量%)を窒素下に適切な反応器に入れた。イソホロンジイソシアネートを36〜37℃の温度範囲で105分かけて反応器に添加した。50分間かけて、混合物の温度は52℃に上昇した。60分間かけて、温度は最高125℃に上昇した。もう60分後に、得られたプレポリマーの当量は、仕様範囲内にあることがわかった。得られたプレポリマーを71℃に冷却し、DESMODUR N3400の87.9%を注ぎ入れ、30分間攪拌した。最終イソシアネート当量264.9に調整するために、残りのDESMODUR N3400を添加した。
【0067】
(実施例2〜実施例4)
顔料粉砕物を表1中の処方に従って調製した:
【0068】
【表1】

約3000MWのポリオキシアルキレントリアミン、Huntsman Corporationから入手可能である。
脂肪族第二級アミン、Huntsman Corporationから入手可能である。
脂肪族第二級アミン、Dorf−Ketal Chemicals,LLCから入手可能である。
ヒンダードアミン光安定剤、Ciba Speciality Chemicals Corporationから入手可能である。
カーボンブラック顔料、Cabot Corporationから入手可能である。
10オルガノクレー流動添加剤、Elementis Specialities,Inc.から入手可能である。
【0069】
それぞれの実施例において、成分を混合して、188mL Zirconox 1.0mm ビーズ(Jyoti Ceramic Industries Pvt.Ltd.)を使用してModel M250 ビーズミル(Eiger Machinery,Inc.)に入れ、ミル速度3500rpmで粉砕した。粒径が粉砕ゲージの細かさに関してドローダウン後に7.5Hegmanであることがわかったときに、粉砕は終了したと判断した。
【0070】
(実施例5〜実施例7)
以下の「B」側処方物を表2に示されるように製造した:
【0071】
【表2】

上記表2のB側処方物および実施例1のA側処方物を別々の小型缶に入れて、スプレー前にオーブン中4〜6時間140°F(実施例8から実施例11)および160°F(実施例12および実施例13)に加熱した。Cammda Corporationから入手可能な静的混合チューブアプリケータ装置において1:1体積比のA側成分対それぞれのB側成分を混合することによって、ポリ尿素コーティング組成物を製造した。実施例8から実施例11において、電着プライマーおよびエポキシ酸クリアコート(ACT Laboratories,Inc.から入手可能なAPR26241)でコーティングされた冷延スチールパネルに、このコーティング組成物を塗布した。実施例12および実施例13において、Dupont GEN Vクリアコートでコーティングされたスチールパネルにコーティングを塗布した。コーティングのタック時間を前述したとおりに手袋をはめた手でパネルに定期的に触れることによって測定し、手袋がコーティングにもはや粘着しなくなったときにタックフリーであると判断した。
【0072】
硬度の値を、静的混合チューブおよび「Pneumatic applicator」(PC Cox Limited)を備えた二連式注射器の中に、A側成分およびB側成分を入れて、これらの成分を型の中へ1:1の比で注入して、直径約6cmおよび厚さ約0.2cmの円形の「パック(puck)」を形成することによって測定した。周囲温度におけるポリ尿素コーティングパックの硬度を、Model212Pencil Style Digital Durometer(Pacific Transducer Corp.)を用いて、塗布後1日にショアDスケールについて測定した。次いで、パックを140°Fの「高温室」に1日間置き、冷却を防ぐために高温室におけるパックでコーティングのショアD硬度を測定した。パックを高温室から周囲温度に取り出し、1日後に周囲温度で再度硬度を測定した。
【0073】
実施例5のB側成分を含むポリ尿素処方物に対して約1.10、実施例6のB側成分を含むポリ尿素処方物に対して1.09、および実施例7のB側成分を含むポリ尿素処方物に対して1および1.104であるように、イソシアネート対アミンの当量の比を計算した。
【0074】
表3は、得られたコーティングの特性の結果を示す:
【0075】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)イソシアネートを含む第1の成分;および
b)ポリアミンとモノ(メタ)アクリレートとの(メタ)アクリル化アミン反応生成物を含む第2の成分
を含む反応混合物から形成されるポリ尿素を含むコーティング組成物であって、
イソシアネート基の当量対アミン基の当量の比が1を超え、前記イソシアネートおよび(メタ)アクリル化アミン反応生成物が体積混合比1:1で基材に塗布され得る、コーティング組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル化アミン反応生成物が芳香族ポリアミンもキシリレンジアミンも含まない、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
イソシアネート基の当量対アミン基の当量の比が、1.01から1.15:1.0を超える、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
イソシアネート基の当量対アミン基の当量の比が、1.01から1.5:1.0である、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記イソシアネートがイソシアネートプレポリマーを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記ポリアミンがイソホロンジアミンを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記ポリアミンが4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記ポリアミンが3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタンを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記ポリアミンがポリオキシアルキレンアミンを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記モノ(メタ)アクリレートが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、および/またはブチルアクリレートを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記ポリアミンが、イソホロンジアミンを含み、前記モノ(メタ)アクリレートがブチルアクリレートを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
1種以上のさらなるアミンをさらに含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記1種以上のさらなるアミンが、(メタ)アクリレート、ジアルキルマレエートおよび/またはジアルキルフマレート、ならびにアミンの反応生成物を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
前記1種以上のさらなるアミンが、
a.構造
【化2】

(式中、R3〜R6は独立してC1〜C10アルキルである)
のジアミン;
b.構造
【化3】

(式中、R7〜R10は独立してC1〜C10アルキルである)
のジアミン;
c.ポリオキシアルキレンジアミンおよび/またはポリオキシアルキレントリアミンと(メタ)アクリレートとの反応から生じない第一級アミノ基または第二級アミノ基を含むポリオキシアルキレンジアミンおよび/またはポリオキシアルキレントリアミン;
d.イソシアネートと反応性である他の官能基を有さないアスパラギン酸エステル官能性ジアミン;
e.トリアミンとジエチルマレエートおよび/またはジブチルマレエートとの反応生成物;ならびに/あるいは
f.ポリアミンとモノまたはポリエポキシとの反応生成物
の1種以上を含む、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
2種以上の(メタ)アクリル化アミン反応生成物を含み、それぞれの反応生成物における前記ポリアミンおよびモノ(メタ)アクリレートが同じであるかまたは異なっていることができる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
難燃剤成分をさらに含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
請求項1に記載のコーティング組成物を基材の少なくとも一部に塗布する工程を含む、前記基材をコーティングする方法。
【請求項18】
前記コーティング組成物の前記第1および/または第2の成分が前記基材への塗布前に加熱される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載のコーティングで少なくとも一部コーティングされた基材。
【請求項20】
乗物の少なくとも一部を構成する、請求項19に記載の基材。
【請求項21】
トラックの荷台を構成する、請求項20に記載の基材。
【請求項22】
建造物の少なくとも一部を構成する、請求項19に記載の基材。
【請求項23】
前記トラックの荷台が、ポリ尿素の塗布前に、硬化後に低い表面官能性を有するクリアコートで少なくとも部分的にコーティングされた、請求項21に記載の基材。
【請求項24】
反応インデックスが1.01から1.5:1である、請求項1に記載のコーティング。
【請求項25】
前記イソシアネートが遊離のイソシアネートである、請求項1に記載のコーティング。
【請求項26】
a)イソシアネートを含む第1の成分;および
b)ポリアミンとモノ(メタ)アクリレートとの(メタ)アクリル化アミン反応生成物を含み、以下:
a.(メタ)アクリレート、ジアルキルマレエートおよび/またはジアルキルフマレート、ならびにアミンの反応生成物;
b.構造
【化4】

(式中、R3〜R6は独立してC1〜C10アルキルである)
のジアミン;
c.ポリオキシアルキレンジアミンおよび/またはポリオキシアルキレントリアミンと(メタ)アクリレートとの反応から生じない第二級アミノ基を含むポリオキシアルキレンジアミンおよび/またはポリオキシアルキレントリアミン;
d.トリアミンとジエチルマレエートおよび/またはジブチルマレエートとの反応生成物;ならびに/あるいは
e.ポリアミンとモノまたはポリエポキシとの反応生成物
から選択される1種以上のアミンをさらに含む第2の成分
を含む反応混合物から形成されるポリ尿素を含むコーティング組成物。

【公表番号】特表2010−521540(P2010−521540A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543047(P2009−543047)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/086719
【国際公開番号】WO2008/076665
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ インコーポレーテツド (267)
【Fターム(参考)】