説明

ポリイミドを含むデータ記憶媒体

一つの態様において、本発明はデータ用記憶媒体を提供する。この記憶媒体は、a)その物理的な一部分が1種以上のポリイミドからなる基材、及び、b)その基材上の1種以上のデータ層からなる。このポリイミドからなる基材は、低い軸方向変位と有益な減衰特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーからなる振動減衰(制振)材料に関する。本発明はさらに、その振動減衰材料(制振材)から製造されたデータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
振動減衰は、通常の摂動によって所望でない共振が励起されることがある多くの機械系において不可欠である。例えば、自動車のサスペンション系は、適切に減衰されないと道路の凹凸に応答して大きな望ましくない振動を示す。自動車で使う消振ダンパーは自動車のシートアセンブリから衝撃と振動を隔離するスプリングからなる。エネルギーを吸収するエラストマー性材料の層は他のタイプの制振材である。ポリエチレン、ポリプロプレン、非共役ジエン、ゴム架橋剤及び類似の材料がこれらの振動系の例である。金属とポリマーの複合材が、コンピューター内のハードディスクドライブのノイズを低減するために多くのコンピューターハードディスクドライブの外側に使用されている。消振ダンパーはまた、印刷回路基板及び内蔵ディスクドライブ用途のスピンドルモーターにも使用されている。特に、振動減衰材料は、ディスクドライブの内部を外部の衝撃力から保護するのに使用される。
【0003】
振動減衰に用いられる材料は変形に応答して大きな粘性損失を示すべきである。これらの損失は通例動的ヤング率又は動的剪断弾性率のいずれかによって定量化される。どちらの場合も、動的貯蔵弾性率は、定義により、応力と同位相でかかる正弦歪みに応答して生ずる応力の振幅に比例している(ここで、この歪みは剪断又はヤング率のいずれを目的とするかに応じてそれぞれ剪断又は伸びであり得る)。同様に、損失弾性率は、定義により、応力と異なる位相でかかる正弦歪み速度の適用に応答して生ずる応力の振幅に比例している。特定の振動周波数における動的剪断損失弾性率と動的剪断貯蔵弾性率の比、又は動的ヤング損失弾性率と動的ヤング貯蔵弾性率の比はtanδといわれることが多い。ある材料の損失弾性率の大きさはその変形に対する粘性様抵抗を定量化し、一方tanδはこの抵抗の弾性応答に対する相対的大きさを定量化する。以後、この量tanδを機械的減衰係数ということが多い。
【0004】
広範囲の可能な用途のため、振動を減衰することができるポリマー系について熱心な研究が行われて来ている。殆どのポリマー系は低い基本振動周波数を有している。これらの系の多くが、単相材料とは対照的に、エラストマーをガラス様ポリマー、金属、又はこれらの組合せと組み合わせて使用している。従って、分散ゴム相又は多相ポリマー系を使用することなく室温で減衰できる減衰系を開発することが望ましいであろう。
【0005】
振動を減衰することができるポリマー系において熱心な研究が行われた一つの領域は「第1表面」媒体である。コンパクトディスク(CD)やディジタルバーサタイルディスク(DVD)とは異なり、通例5ギガビット/平方インチより大きい高い面積密度能を有する記憶媒体は、面積密度を増大するために第1表面又は近場リード/ライト技術を利用する。一般に、求める密度が高くなればなる程、リード/ライトデバイスは記憶媒体の表面に近くならなければならない。その結果、基材の軸方向変位は、振動、衝撃条件、又はこれらの組合せの間リード/ライトデバイスの記憶媒体表面に対する損傷を防ぐために、許容可能な系の軸方向変位距離より充分に小さくなければならない。本明細書で使用する場合「第1表面」とは、光学系が基材を通過しない場合の基材の表面上にあるデータ層をいう。本明細書で使用する場合「近場リード/ライト技術」とは、開口数が約0.08より大きい光学メカニズムをいう。かかる記憶媒体の場合、光学品質はCDやDVDの場合のような関連がなく、基材の物理的及び機械的性質がますます重要になっている。使用中の記憶媒体の物理的特性はデータを記憶し引き出す能力に影響し得る。第1表面用途を始めとする高面積密度用途の場合、記憶媒体の表面品質は、読み出しデバイスの精度、データを記憶する能力、及び基材の複製品質に影響し得る。さらに、使用中の記憶媒体の物理的特性は、ディスクを一時的にチルト規格から外れさせることによってデータを記憶し引き出す能力にも影響し得る。例えば、媒体の軸方向変位が大き過ぎると、軸方向変位はデータの正確な取り出しを阻害し得、及び/又はリード/ライトデバイスを損傷し得る。従って、改良された振動性能は高い弾性率又は高い減衰のいずれかにより達成され得る。従来、これらは金属、例えば、アルミニウム、及びガラス基材を利用することによって対処してきた。これらの基材はディスク上に形成され、目的とする層は各種技術によって基材上に設けられる。
【特許文献1】米国特許第4886874号明細書
【特許文献2】米国特許第6017618号明細書
【特許文献3】米国特許第6329035号明細書
【特許文献4】米国特許第6392004号明細書
【特許文献5】米国特許第6764734号明細書
【特許文献6】米国特許第6716505号明細書
【特許文献7】米国特許第6715200号明細書
【特許文献8】米国特許第6764734号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第0811648号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第1215043号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
振動の問題及び高い軸方向変位は、光ディスクドライブやハードディスクドライブのようなデータ記憶デバイスの設計において決定的に重要である。従って、幾何学的設計及び/又は材料の特性変化によって軸方向変位を最小にする手段が非常に大きな関心事である。産業界では記憶媒体の寸法が各特定の媒体用途に対して規定されていることを考えると、検討すべき重要な点は本来的に改良された軸方向変位を可能にする材料の開発である。また、データ記憶デバイス、特に基材用途に使用するのに適切なポリマーを利用する減衰系を開発することも望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明において、ポリイミドからなる基材が低い軸方向変位と有益な減衰特性を示すことが見出された。一つの態様において、本発明はデータ用記憶媒体を提供し、この記憶媒体は、
a)物理的な一部分が1種以上のポリイミドからなる基材、及び
b)この基材上の1以上のデータ層
を含んでなり、この1種以上のポリイミドは次式の構造単位を含んでいる。
【0008】
【化1】

式中、「A」は次式の構造単位又は以上の構造単位の混合物を含んでいる。
【0009】
【化2】

式中、「D」は二価芳香族基であり、R及びR10〜R12は独立して水素、ハロゲン、及びC〜Cアルキル基から選択され、「q」は1〜芳香環上の置換可能な部位の数までの値を有する整数であり、「W」は結合基である。また、前記式中のBは6〜約30個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びこれらの置換誘導体から選択される二価有機基からなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、本発明の好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明及びその後の実施例を参照するとより容易に理解されよう。本明細書及び特許請求の範囲において多くの用語を使用するが、その意味は以下の通り定義される。
【0011】
前後関係から他の意味が明らかでない限り、単数形態は複数の場合も包含する。
【0012】
「任意」又は「場合により」とは、その後に記載されている事象又は状況が起こってもよいし起こらなくてもよいことを意味し、その事象が起こる場合と起こらない場合を包含する。光学的又は磁気データ記憶の場合、情報はポリマー基材の表面に記憶され得、本明細書においては「データ層」といわれる。
【0013】
減衰特性が高まった本発明の基材は構造(I)のポリイミド構造単位を含んでなる。加えて、この材料は、従来の材料より低い密度と高い弾性率を有する成形ディスクの形成に適切である。
【0014】
本発明のポリイミド組成物は次式(I)の構造単位を含んでいる。
【0015】
【化3】

式中、「A」は1種以上の二無水物から誘導された構造単位からなり、「B」は1種以上のジアミンから誘導された構造単位からなる。幾つかの実施形態において、「A」は次式(II)を有している。
【0016】
【化4】

式(II)中、各Rは独立して水素、ハロゲン、及びC〜Cアルキル基から選択され、「q」は1〜芳香環上の置換可能な部位の数までの値を有する整数であり、「D」はジヒドロキシ置換芳香族炭化水素から誘導された二価芳香族基であり、次の一般式(III)を有する。
【0017】
【化5】

式中、「A1」は、限定されることはないがフェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、などを始めとする芳香族基を表す。幾つかの実施形態において、「E」は、限定されることはないがメチレン、エチレン、エチリデン、プロピレン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブチレン、ブチリデン、イソブチリデン、アミレン、アミリデン、イソアミリデン、などを始めとするアルキレン又はアルキリデン基であり得る。他の実施形態において、「E」がアルキレン又はアルキリデン基である場合、「E」はまた、アルキレン又はアルキリデンとは異なる部分、例えば、限定されることはないが、芳香族結合、第三窒素結合、エーテル結合、カルボニル結合、ケイ素含有結合、シラン、シロキシ、又はイオウ含有結合、例えば限定されることはないがスルフィド、スルホキシド、スルホン、など、又はリン含有結合、例えば限定されることはないがホスフィニル、ホスホニル、などによって連結された2以上のアルキレン又はアルキリデン基から成っていてもよい。他の実施形態において、「E」は環式脂肪族基、例えばその非限定例のシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン、メチルシクロヘキシリデン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イリデン、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、及びアダマンチリデン、イオウ含有結合、例えば限定されることはないがスルフィド、スルホキシド又はスルホン、リン含有結合、例えば限定されることはないがホスフィニル又はホスホニル、エーテル結合、カルボニル基、第三窒素基、又はケイ素含有結合、例えば限定されることはないがシラン又はシロキシでもよい。Rは水素又は一価炭化水素基、例えば、限定されることはないが、アルケニル、アリル、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、若しくはシクロアルキルを表す。様々な実施形態において、Rの一価炭化水素基はハロゲン置換、特にフルオロ又はクロロ置換されていてもよく、例えば式C=CZのジハロアルキリデン基があり、この式中の各Zは水素、塩素、又は臭素であるが、1以上のZは塩素若しくは臭素であり、及び以上の部分の混合物である。特定の実施形態において、ジハロアルキリデン基はジクロロアルキリデン、特にgem−ジクロロアルキリデン基である。Yは水素、無機原子、例えば限定されることはないがハロゲン(フッ素、臭素、塩素、ヨウ素)、1より多くの無機原子を含有する無機基、例えば限定されることはないがニトロ、有機基、例えば限定されることはないが一価炭化水素基、例えば限定されることはないがアルケニル、アリル、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、若しくはシクロアルキル、又はオキシ基、例えば限定されることはないがORであり得、ここでRは一価炭化水素基、例えば限定されることはないがアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、又はシクロアルキルであり、必要なことはYがポリマーを製造するのに使用する反応体及び反応条件に対して不活性であり、かつそれらの影響を受けないということだけである。幾つかの特定の実施形態において、Yはハロ基又はC〜Cアルキル基からなる。文字「m」は0〜A上の置換可能な部位の数までの任意の整数を表し、「p」は0〜E上の置換可能な部位の数までの整数を表し、「t」は1以上の整数を表し、「s」は0又は1に等しい整数を表し、「u」は0を含む任意の整数を表す。
【0018】
「D」が上記式(III)で表されるジヒドロキシ置換芳香族炭化水素において、1より多くのY置換基が存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。同じことがR置換基についてもいえる。式(II)で「s」が0であり、「u」が0でない場合、芳香環はアルキリデンその他の橋架けを介在することなく原子価結合により直接結合する。炭化水素残基の2以上の環炭素原子がY及びヒドロキシル基で置換されている場合、芳香核残基A上のヒドロキシル基とYの位置はオルト、メタ、又はパラ位で変化することができ、その配置は隣接、非対称又は対称関係であることができる。幾つかの特定の実施形態において、パラメーター「t」、「s」、及び「u」は各々が1の値を有し、両方のA基が非置換フェニレン基であり、Eがイソプロピリデンのようなアルキリデン基である。幾つかの特定の実施形態においては、両方のA基がp−フェニレンであるが、両方がo−若しくはm−フェニレンであってもよいし、又は一方がo−若しくはm−フェニレンで、他方がp−フェニレンであってもよい。
【0019】
ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素の幾つかの実施形態において、「E」は不飽和アルキリデン基であり得る。このタイプの適切なジヒドロキシ置換芳香族炭化水素としては、次式(IV)のものがある。
【0020】
【化6】

式中、各Rは独立して水素、塩素、臭素、又はC〜C30一価炭化水素若しくは炭化水素オキシ基であり、各Zは水素、塩素又は臭素であるが、1以上のZが塩素又は臭素である。
【0021】
適切なジヒドロキシ置換芳香族炭化水素には次式(V)のものもある。
【0022】
【化7】

式中、各Rは独立して水素、塩素、臭素、又はC1−30一価炭化水素若しくは炭化水素オキシ基であり、R及びRは独立して水素又はC1−30炭化水素基である。
【0023】
ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素の幾つかの実施形態において、「E」がアルキレン又はアルキリデン基である場合、「E」は1つのヒドロキシ置換基を有する1以上の芳香族基に結合した1以上の縮合環の一部であり得る。このタイプの適切なジヒドロキシ置換芳香族炭化水素としては、3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダン−5−オール及び1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン−5−オールのようなインダン構造単位を含有するものがある。また、縮合環の一部として1以上のアルキレン又はアルキリデン基を含むタイプの適切なジヒドロキシ置換芳香族炭化水素として、2,2,2’,2’−テトラヒドロ−1,1’−スピロビ[1H−インデン]ジオールもあり、その具体例としては2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビ[1H−インデン]−6,6’−ジオール(「SBI」といわれることもある)。
【0024】
本発明の実施形態において、使用できるジヒドロキシ置換芳香族炭化水素としては、名称又は式(一般名若しくは一般式又は個々の名称若しくは式)が米国特許第2991273号、同第2999835号、同第3028365号、同第3148172号、同第3271367号、同第3271368号、及び同第4217438号に開示されているものがある。本発明の幾つかの実施形態において、ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,4−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−オキシジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び以上のジヒドロキシ置換芳香族炭化水素の混合物がある。他の実施形態において、使用できるジヒドロキシ置換芳香族炭化水素には、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、レゾルシノール、C1−3アルキル置換レゾルシノール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、3,3−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、及びビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドがある。
【0025】
本発明の他の実施形態において、「A」は次式(VI)又は(VII)を有する。
【0026】
【化8】

式中、Wは原子価結合、酸素、イオウ、スルホキシド、スルホン、ケイ素、カルボニル、又はヘキサフルオロイソプロピリデンからなる群から選択される結合基であり、R10〜R12は各々独立して水素、ハロゲン、及びC〜Cアルキル基から選択され、「q」は1〜芳香環上の置換可能な部位の数までの値を有する整数である。幾つかの特定の実施形態において、ポリイミドは、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、及び混合二無水物である2−[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]−2−[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−オキシ二フタル酸無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリト酸二無水物、3,4,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]エーテル二無水物、並びに2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物からなる群から選択される1種以上の二無水物から誘導された構造単位を含む。2種以上の二無水物を含む混合物から誘導された構造単位を有するポリイミドも本発明の範囲内である。
【0027】
特定の実施形態において、ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素はビスフェノールAからなる。一つの実施形態において、本発明のポリイミド組成物は、式(I)で「A」が次式(VIII)〜(X)及びこれらの混合物からなる群から選択される構造単位を含んでいる。
【0028】
【化9】

式(VIII)〜(X)の構造単位は、それぞれ、二無水物の2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、混合二無水物の2−[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]−2−[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、及び2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物から誘導される。以上の二無水物のあらゆる混合物も使用することができる。一つの特定の実施形態においては、約90モル%以上の2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物を含む二無水物組成物をポリイミド組成物の合成に使用する。別の特定の実施形態においては、約95モル%以上の2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物を含む二無水物組成物をポリイミド組成物の合成に使用し、以後この特定の二無水物組成物を「BPADA」ということがある。これらの二無水物は、ビスフェノールAと、例えば、4−クロロフタル酸無水物、3−クロロフタル酸無水物、又はこれらの混合物のような適切なフタル酸無水物誘導体との反応で得ることができる。
【0029】
ポリイミド組成物は、「B」が次式(XI)の1種以上のジアミンから誘導された構造単位からなる式(I)の構造単位を含んでいる。
【0030】
【化10】

他の実施形態において、式(I)中のBは6〜約30個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びこれらの置換誘導体から選択される二価有機基からなる。様々な実施形態において、この芳香族炭化水素基は単環式、多環式又は縮合であり得る。
【0031】
さらに他の実施形態において、式(I)中のBは次の一般式(XII)の二価芳香族炭化水素基からなる。
【0032】
【化11】

式中、芳香環に関して指定されてない位置異性体はQに対してメタ又はパラであり、Qは原子価結合又は次式(XIII)及び式C2yのアルキレン若しくはアルキリデン基でyが1〜5の整数であるものからなる群から選択される一員である。
【0033】
【化12】

幾つかの特定の実施形態において、yは1又は2の値を有する。具体的な結合基としては、限定されることはないが、メチレン、エチレン、エチリデン、ビニリデン、ハロゲン置換ビニリデン、及びイソプロピリデンがある。他の特定の実施形態において、式(XII)で芳香環に関して指定されてない位置異性体はQに対してパラである。
【0034】
様々な実施形態において、ジアミンから誘導された芳香族炭化水素基中の2つのアミノ基は2以上、ときには3以上の環炭素原子により隔てられている。1以上のアミノ基が多環式芳香族部分の異なる芳香環中に位置する場合、それらは直接結合又は任意の2つの芳香環の間の結合部分から2以上、ときには3以上の環炭素原子により隔てられていることが多い。芳香族炭化水素基の具体的な非限定例としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ビス(フェニル)メタン、ビス(フェニル)−2,2−プロパン、及びこれらの置換誘導体がある。特定の実施形態において、置換基には、1以上のハロゲン基、例えばフルオロ、クロロ、若しくはブロモ、又はこれらの混合物、又は1〜22個の炭素原子を有する1以上の直鎖−、枝分かれ−、若しくはシクロアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、若しくはこれらの混合物がある。特定の実施形態において、芳香族炭化水素基の置換基が存在する場合それらは1以上のクロロ、メチル、エチル又はこれらの混合物である。他の特定の実施形態において、この芳香族炭化水素基は非置換である。幾つかの特定の実施形態において、Bの由来となり得るジアミンとしては、限定されることはないが、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、2−メチル−1,3−ジアミノベンゼン、4−メチル−1,3−ジアミノベンゼン、2,4,6−トリメチル−1,3−ジアミノベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジアミノベンゼン、1,2−ビス(4−アミノアニリノ)シクロブテン−3,4−ジオン、ビス(4−アミノフェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)−メタン、4,4’−ジアミノジフェニル、3,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、PI23:3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシベンゼン)、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4−(3−アミノフェノキシ)−4’−(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、2,6−ジアミノトルエン、及び2,4−ジアミノトルエンがある。2種以上のジアミンを含む混合物も使用することができる。例えば、Albemarle Corporation、Baton Rouge、Louisianaから入手可能なETHACUREジアミン、例えば2,6−ジエチル−4−メチル−1,3−フェニレンジアミンと4,6−ジエチル−2−メチル−1,3−フェニレンジアミンの80:20の重量比の組合せであるETHACURE 100、及び2,6−ビス(メルカプトメチル)−4−メチル−1,3−フェニレンジアミンと4,6−ビス(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−フェニレンジアミンの80:20の重量比の組合せであるETHACURE 300も使用することができる。前記ジアミンのペルフッ素化アルキル又は一部フッ素化アルキル類似体も使用するのに適切である。
【0035】
本発明の一つの態様において、構造部分Bの由来となるジアミンは、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、3,6−ジエチル−2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、3,5’−ジメチルベンジデン、2,2’,6,6’−テトラメチルベンジデン、3,5’−ジメトキシベンジデン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上からなる。
【0036】
本発明のポリイミドは、本質的に1種類のジアミンと本質的に1種類の二無水物から誘導された構造単位を含み得る。幾つかの実施形態において、本発明のポリイミドは1種類より多くのジアミンと本質的に1種類の二無水物から誘導された構造単位を含み得る。他の実施形態において、本発明のポリイミドは1種類より多くの二無水物と本質的に1種類のジアミンから誘導された構造単位を含み得る。さらに他の実施形態において、本発明のポリイミドは1種類より多くのジアミンと1種類より多くの二無水物から誘導された構造単位を含み得る。ポリイミドが第1のジアミンと第2のジアミンから誘導された構造単位を含む場合、通例、ジアミンから誘導された構造単位の総重量を基準にして約45重量%以上のジアミンから誘導された構造単位が、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、3,6−ジエチル−2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、3,5’−ジメチルベンジデン、2,2’,6,6’−テトラメチルベンジデン、3,5’−ジメトキシベンジデン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のジアミンから誘導される。
【0037】
プラスチック樹脂のような粘弾性材料の場合、貯蔵弾性率と損失弾性率の両方が存在する。貯蔵弾性率は弾性剛性を表し、損失弾性率は粘性剛性を表す。本発明の一つの実施形態において、構造単位(I)を含むポリイミドからなる基材は、好ましくは、約25℃の温度、約1.6Hzの周波数で測定して約0.019以上又は約0.022以上の機械的減衰係数を有する。本発明の別の実施形態において、構造単位(I)を含むポリイミドからなる基材は、好ましくは、約50℃の温度、約1.6Hzの周波数で測定して約0.022以上又は約0.028以上の機械的減衰係数を有する。本発明のもう一つ別の実施形態において、構造単位(I)を含むポリイミドからなる基材は、好ましくは、約100℃の温度、約1.6Hzの周波数で測定して約0.025以上又は約0.028以上の機械的減衰係数を有する。本発明の別の実施形態において、構造単位(I)を含むポリイミドからなる基材は、好ましくは、約25〜約100℃の範囲の温度、約1.6Hzの周波数で測定して約0.019以上の機械的減衰係数を有する。本発明のさらに別の実施形態において、構造単位(I)を含むポリイミドからなる基材の機械的減衰係数は、好ましくは、約130℃より高いか又は約140℃より高い温度、約1.6Hzの周波数で測定して約0.05以上、又は約0.06以上、又は約0.07以上の最大値を有する。機械的減衰係数の値が満たされるという条件で、本発明のポリイミドは2種以上の混和性ポリイミドのブレンドからなっていてもよい。本発明の一つの実施形態において、構造単位(I)を含むポリイミドからなる基材は、約150〜約350℃の範囲のガラス転移温度(T)を有する。本発明の別の実施形態において、構造単位(I)を含むポリイミドからなる基材は、好ましくは、約170〜約300℃の範囲のガラス転移温度を有する。本発明のさらに別の実施形態において、構造単位(I)を含むポリイミドからなる基材は、好ましくは、約180〜約280℃の範囲のガラス転移温度を有する。
【0038】
本明細書に記載した記憶媒体は、従来の光学、光磁気、及び磁気系に、並びにより高い品質の記憶媒体、高い面積密度、又はこれらの組合せを要求する先進系に使用することができる。使用中、記憶媒体は、リード/ライトデバイスに対して、エネルギー(例えば、磁気、光、電気、又は組合せ)が記憶媒体に入射するエネルギー場の形態でデータ記憶層と接触するように配置される。エネルギー場は記憶媒体上に配置されたデータ記憶層(1以上)と接触する。このエネルギー場は記憶媒体内に幾らかの物理的又は化学的変化を生じさせて層上のその点におけるエネルギーの入射を記録する。例えば、入射した磁場はその層内の磁区の配向を変化させることがあり、又は入射した光ビームはその光がその材料を加熱するところで相変態を起こし得るであろう。
【0039】
記憶媒体を製造するには、当技術分野で公知の何らかの方法、例えば、限定されることはないが、射出成形、発泡法、スパッタリング、プラズマ蒸着、真空蒸着、電着、スピンコート、スプレーコート、メニスカス発泡、データスタンプ(打ち抜き)、エンボス加工、表面研磨、フィクスチャリング(fixturing)、積層、回転成形、ツーショット成形、共射出、フィルムのオーバーモールディング、ミクロセル成形、及びこれらの組合せを使用することができる。使用する技術は、所望の特徴、例えばピットや溝を有する基材がその場で生成できるものが好ましい。一つのかかるプロセスは射出成形−圧縮技術からなる。この技術では、本明細書で定義した溶融ポリマーを金型に充填する。この金型はプリフォーム、インサート、などを含んでいてもよい。ポリマー系を冷却し、少なくとも一部がまだ溶融状態にあるうちに圧縮して、螺旋状、同心状、又はその他の配向に配列された所望の表面構造を基材の目的とする部分、すなわち所望の領域の片面又は両面に刻印する。その後、基材を室温に冷却する。
【0040】
基材上に光学的又は磁気的にデータを記憶させるには、記憶される情報を基材の表面上の1以上のデータ層として記憶させる。この情報は、直接表面上にピット、溝、又はこれらの組合せ(例えばCDの場合)として刻印してもよいし、又は基材の表面上に設けた光−、熱−、又は磁気的に規定できる媒体中に記憶してもよい。
【実施例】
【0041】
当業者は、本明細書の説明により、さらに苦労することなく、本発明を最大限に利用することができると考えられる。以下の実施例は、特許請求の範囲に記載の本発明を実施する際の追加の指針を当業者に提供するために挙げるものである。以下の実施例は本出願の教示に関与する研究の単なる代表例である。従って、これらの実施例は特許請求の範囲に記載の本発明をいかなる意味でも限定するものではない。
【0042】
ポリイミド調製手順:機械的攪拌機と還流凝縮器を備えた100ミリリットル(mL)の三ツ首丸底フラスコに、ビスフェノールA二無水物(BPADA)(23.81グラム、4.57ミリモル)、ジアミン(4.57ミリモル)、4−ジメチルアミノピリジン(0.01グラム、0.09ミリモル)及びo−ジクロロベンゼン(60mL)を入れた。混合物を撹拌しながら徐々に140℃まで加熱し、この温度に1時間維持した。この均一な溶液を3〜5時間加熱還流し、その間Dean−Starkトラップを用いて水を除去した。その後、溶液を室温に冷却し、o−ジクロロベンゼン又はクロロホルムで希釈し、ブレンダー内でメタノール中に沈殿させた。この沈殿をろ過により集め、メタノールで繰返し洗浄し、160〜180℃の真空オーブン中で一晩乾燥した。
【0043】
以下のジアミンから誘導された構造単位を有するポリイミドを調製した。
PI 12:メタ−フェニレンジアミン、
PI 13:2−メチル−1,3−ジアミノベンゼン、
PI 14:4−メチル−1,3−ジアミノベンゼン、
PI 15:2,4,6−トリメチル−1,3−ジアミノベンゼン、
PI 16:2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン、
PI 17:2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジアミノベンゼン、
PI 20:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
PI 22:2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
PI 23:3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、
PI 24:3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
PI 27:ETHACURE 100、
PI 31:ビス(4−アミノフェニル)メタン、及び
PI 32:4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン。加えて、以下のジアミンから誘導された構造単位及び構造部分「D」を有するポリイミドを調製した。
PI 25:メタ−フェニレンジアミン及び4,4’−(4,4’−ジフェニル)、並びに
PI 28:メタ−フェニレンジアミン及び4,4’−(4,4’−フェニレン)。さらに、PI 20と24の50/50コポリマーであるPI 30に見られるような混合構造部分を有するポリイミドを調製した。
【0044】
材料の減衰は、位相角δにより関係付けられる損失弾性率と貯蔵弾性率の比として定義される機械的減衰係数「tanδ」に関係している。
tanδ=E”/E’=G”/G’
減衰性能は温度の関数としてtanδにより測定される。試験中かかった歪みと荷重を連続的に測定し、これらのデータから貯蔵弾性率(G’)、捻れにおける損失弾性率(G”)及び正接損失(tanδ)を計算した。減衰測定では、各種材料系の圧縮成形試験片に対する捻れ弾性率の測定を、矩形捻れ試験ジオメトリーを用いるRheometrics Dynamic Spectroscope(モデル7700)で、一定の周波数での温度掃引法を使用して行った。これらの試験に用いた試験片は公称寸法が長さ6.35センチメートル(cm)、幅1.27cm及び厚さ0.318cmであった。全ての試験は、0.1%の歪みを周波数10ラジアン/秒で試験片にかけて行った。試料を、2℃/分の加熱速度で−150℃〜各材料のガラス転移温度(Tg)までの熱走査サイクルにかけた。試験中かかった歪みと荷重を連続的に測定し、これらのデータから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)及び機械的減衰係数(tanδ)を計算した。様々な温度でのβ領域におけるtanδの値を含めてデータを表1に示す。比較のため、2つの比較例を表に含めた。すなわち、比較例1はビスフェノールAポリカーボネートであり、比較例2はBPADAとメタ−フェニレンジアミンから誘導された構造単位を有するポリイミドである。Tgの値は第2の加熱サイクル中に20℃/分の加熱速度で窒素下示唆走査熱量分析(DSC)により決定した。
【0045】
【表1】

これらのデータは、本発明のポリイミドが有益な減衰特性を有していることを示している。
【0046】
本明細書では本発明の幾つかの特徴のみについて本発明を例示し記載したが、多くの修正及び変化が当業者には自明であろう。従って、特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内に入るかかる修正と変化を全て包含するものであると了解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)物理的な一部分が1種以上のポリイミドからなる基材、及び
b)基材上の1以上のデータ層
を含んでなり、
1種以上のポリイミドが次式の構造単位を含む、データ用記憶媒体。
【化1】

式中、「A」は次式の構造単位、又は以上の構造単位の混合物を含む。
【化2】

式中、「D」は二価芳香族基であり、R及びR10〜R12は独立して水素、ハロゲン、及びC〜Cアルキル基から選択され、「q」は1〜芳香環上の置換可能な部位の数までの値を有する整数であり、「W」は原子価結合、酸素、イオウ、スルホキシド、スルホン、ケイ素、カルボニル、又はヘキサフルオロイソプロピリデンである結合基である。また、前記式中のBは6〜約30個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びその置換誘導体から選択される二価有機基からなる。
【請求項2】
「D」が次式を有する、請求項1記載のデータ記憶媒体。
【化3】

式中、Aは芳香族基であり、Eはアルキレン、アルキリデン、環式脂肪族基、イオウ含有結合、リン含有結合、エーテル結合、カルボニル基、第三窒素基、又はケイ素含有結合であり、Yは一価炭化水素基、アルケニル、アリル、ハロゲン、臭素、塩素、及びニトロからなる群から選択され、「m」は0〜A上の置換可能な部位の数までの任意の整数を表し、Rは水素又は一価炭化水素基であり、「p」は0〜E上の置換可能な部位の数までの整数を表し、「t」は1以上の整数を表し、「s」は0又は1に等しい整数を表し、「u」は0を含む任意の整数を表す。
【請求項3】
「A」が、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、混合二無水物2−[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]−2−[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−オキシ二フタル酸無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリト酸二無水物、3,4,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、又は以上の二無水物の混合物から誘導された構造単位を含んでいる、請求項1記載のデータ記憶媒体。
【請求項4】
「A」が次式及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載のデータ記憶媒体。
【化4】

【請求項5】
「B」が、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、3,6−ジエチル−2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、3,5’−ジメチルベンジデン、2,2’,6,6’−テトラメチルベンジデン、3,5’−ジメトキシベンジデン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、前記ジアミンのフッ素化アルキル類似体、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンジアミン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される1種以上のジアミンから誘導された構造単位を含んでいる、請求項1記載のデータ記憶媒体。
【請求項6】
前記ポリイミド組成物が第2のポリイミドを含むブレンドであり、前記ブレンドが混和性ブレンドである、請求項1記載のデータ記憶媒体。
【請求項7】
前記ポリイミド組成物が、約25℃の温度、約1.6ヘルツの周波数で約0.019以上の機械的減衰係数を有する、請求項1記載のデータ記憶媒体。
【請求項8】
前記ポリイミド組成物が、約150〜約350℃の範囲のガラス転移温度を有する、請求項1記載のデータ記憶媒体。
【請求項9】
a.物理的な一部分が1種以上のポリイミドからなる基材、及び
b.基材上の1以上のデータ層
を含んでなり、1種以上のポリイミドが次式の構造単位を含む、データ用記憶媒体。
【化5】

式中、「A」は次式の構造単位及びこれらの混合物からなる群から選択される構造単位を含んでいる。
【化6】

また、前記式中のBは6〜約30個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基及びこれらの置換誘導体から選択される二価有機基からなる。
【請求項10】
前記ポリイミド組成物が、約25℃の温度、約1.6ヘルツの周波数で約0.019以上の機械的減衰係数を有する、請求項20記載のデータ記憶媒体。

【公表番号】特表2007−526587(P2007−526587A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517217(P2006−517217)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/018519
【国際公開番号】WO2005/005515
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】