説明

ポリウレタンの製造方法

本発明は、ポリイソシアネートa)と、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物b)とを反応させることによりポリウレタンを製造する方法であって、使用するポリイソシアネートa)が、2を超える平均官能価、ポリイソシアネートai)の質量に対して、2質量%以下のジイソシアネートの含有量、及びポリイソシアネートai)の質量に対して、4質量%以下のウレトンイミニンの含有量を有する、少なくとも1種のポリイソシアネートai)であることを特徴とするポリウレタンを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレトンイミンの含有量が低いポリイソシアネートを、イソシアネート基に対して反応性の水素を少なくとも2個有する化合物と反応させることによりポイウレタンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは、従来から公知であり、そして広く記載されている。ポリウレタンは、多くの技術分野で使用されている。エアゾールフォーム又はアセンブリフォームとも称される、エアゾール容器からの1−成分フォーム及び接着剤(粘着材)及びシーリング(遮水)化合物は、ポリウレタンの使用分野の重要な領域を構成する。
【0003】
これらの使用分野では、ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(しばしば粗製MDI又はポリマーMDIとも称される)及び/又はポリイソシアネートと、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物、いわゆるNCOプレポリマーとの反応生成物がポリイソシアネートとして通常使用される。
【0004】
上述した適用(アプリケーション)では、反応混合物中の通気性(breathable)イソシアネートの含有量を低減させる必要がしばしば生じる。
【0005】
プレポリマーの使用において、未反応(未変換)のモノマー性イソシアネートを、反応の後に、例えば蒸留によって除去することにより、このことを行うことができる。
【0006】
エアゾールフォームに使用されるポリウレタンの場合、ポリイソシアネートとして、通常、ポリマーMDIが使用される。通常、これは複核MDIを高い割合で含む。エアゾール又はアセンブリフォームは、特に1−成分フォームである。
【0007】
エアゾールフォームは、建設工業でしばしば使用される組立手段(assembly)であり、そして、構造物に窓やドアを導入するのに使用することが意図されており、及び建設作業の結果生じる空洞部分、又はパイプを導入するためのメーソンリーを通る通路を充填するための充填材料としての使用が意図されている。このようなエアゾール容器は、プレポリマーと発泡剤及び添加剤を含む。発泡剤を使用して、その内容物を「あふれ」させ、発泡剤の蒸発により発泡させ、いわゆる泡効果により、そして雰囲気中の湿分で硬化させることにより、所望のフォームが形成される。
【0008】
NCO−含有プレポリマーに基いた1成分フォームが、この種の最も良く知られたフォームである。成分に依存して、硬質〜柔軟性及び弾力性フォームをもたらす、異なる生成物が存在する。
【0009】
これら全ての処方物の不利な点は、相当量のモノマー性イソシアネートが、NCO含有プレポリマー中に存在し、発泡工程の間、通気性のイソシアネートによって、危険の可能性が発生し得ることにある。しかしながら、フリーな状態のモノマー性イソシアネートが、実質的に低減されている処方物も、このフォームの群に属するものとして公知である。
【0010】
従って、特許文献1(EP1518874)に従えば、モノマー含有量が低いイソシアネートが、1−成分フォームを製造するために使用されており、この1−成分フォームは、定義されたポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートから、蒸留によってモノマー性イソシアネートを除去することにより得られている。従って、この生成物を、適切であれば、希釈材と更なる化合物(この化合物はイソシアネート基を含む)との混合物として使用することにより、モノマー含有量が低い1成分のフォームが得られる。ここで、不利な点は、このようにして製造された1−成分エアゾールフォームは、保管について安定性が良好ではなく、この結果、圧縮化されたエアゾール容器の内容物が数週間で固体になり、そして従って使用できなくなることにある。
【0011】
更に、特許文献2(WO2005/007721A1)には、NCO末端基を有し、モノマー含有量が低いプレポリマーの混合物を使用する方法が記載されている。このプレポリマーの混合物は、ポリオールとモノマーが除去されている化学量論的に過剰のジフェニルメタンジイソシアネート、脱モノマー化したポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、三量化したヘキサメチレンジイソシアネート及び希釈剤の反応生成物である。ここで、不利な点は、イソシアネートのモノマー含有量を、必要なレベルにまで低下させると、出発材料の粘度が極端に高くなってしまうことであり、このために使用する技術が困難なものになり、そして特許文献1(EP1518874)に従う溶液の場合と同様に、保管安定性が確保できなくなることである。
【0012】
【特許文献1】EP1518874
【特許文献2】WO2005/007721A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、保管安定性が改良され、そして加工特性(処理特性)が良好な、モノマーの含有量が低い(粗製MDIに基いた)イソシアネート成分を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、平均官能価が2を超え、それぞれポリイソシアネートの質量に対して、ジイソシアネートの含有量が2質量%以下、及びウレトンイミンの含有量が4%以下であるポリイソシアネートを使用することにより達成可能であった。
【0015】
従って、本発明は、ポリイソシアネートa)を、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物b)と反応させることによりポリウレタンを製造する方法に関する。ここで、使用するポリイソシアネートa)は、平均官能価が2を超え、それぞれポリイソシアネートai)の質量に対して、ジイソシアネートの含有量が2質量%以下、及びウレトンイミンの含有量が4質量%以下である、少なくとも1種のポリイソシアネートai)である。ポリマーMDI中のウレトイミンの含有量は、三核ウレトイミンを使用したキャリブレーションに基いたFT−IR分析を用いて決定される。
【0016】
本発明は、請求項10及び11に従うポリイソシアネート混合物を、ポリウレタン、特に、1−成分ポリウレタンスプレーフォーム、ポリウレタン接着剤、及び/又はシーリング化合物、ポリウレタンエラストマー、2−成分ポリウレタンフォーム、特に2−成分硬質ポリウレタンフォームを製造するために使用する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートとの混合物(この混合物は、ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量が2質量%以下である。)を、ポリイソシアネートaii)として使用することが好ましい。
【0018】
本発明に従うポリイソシアネートai)は、使用する分野に依存して、ポリウレタンを製造するために、単独で使用可能であり又は他のポリイソシアネートとの混合物として使用可能である。
【0019】
本発明に従うポリイソシアネートai)は、2−成分系及び1−成分系に使用可能である。2−成分系の場合、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物が、ポリイソシアネートと反応してポリウレタンが形成される。
【0020】
1−成分系の場合、NCO−含有プレポリマーが、ポリイソシアネートと、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物の化学量論未満の量とから製造され、プレポリマーは、例えば、エアゾールフォームの場合で既に述べたように、雰囲気中湿分によって硬化して、ポリウレタン−ポリウレアが得られる。この実施の形態は、特に、エアゾールフォームの場合に使用される。1−成分系の場合、本発明に従うポリイソシアネートai)は、通常、他のポリイソシアネート(好ましくはイソシアネート基を含むプレポリマー)との混合物として使用される。
【0021】
ポリイソシアネートai)は、ジフェニルメタンジイソシアネートとウレトンイミンを、(ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートとの)混合物から除去することによって得られ、この場合、最初にウレトンイミンを除去し、そしてこの後に始めてジフェニルメタンジイソシアネートを除去することが有利である。混合物からジフェニルメタンジイソシアネートを除去することについては、例えばEP1518874に記載されている。EP1518874の教示に類似した、脱モノマー化工程(demonomerization process)の後、(DIN6162及びDIN6164に従って測定して)L*値が90を超え、及びb*値が70未満の生成物が、ウレトイミンの含有量が低い、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート混合物から得られる。
【0022】
上述のように、(ポリイソシアネートai)を製造するために使用される)ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートの混合物が、最初に、ウレトイミン等の第二化合物(副化合物)から取り出される(除去される)。これらは、製造と処理(working-up)、特にポリイソシアネートの熱負荷によって形成されるものである。製造工程からの(ウレトジオン、ウレトンイミン、カルバモイルクロリド等の)これらの第二化合物は、出発ポリイソシアネート中に、最大で25質量%の量で存在する。除去(取り出し)は、極性又は非極性溶媒を使用した液−液抽出によって行うことが好ましい。特定の実施の形態では、シクロヘキサン等の炭化水素が好ましい。このような方法は、例えばDE1543258又はEP133538に記載されている。
【0023】
ウレトイミンを除去する好ましい実施の形態では、使用されるポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、例えばBASFからのLupranat(登録商標)MGradeが、イソシアネート中のシクロヘキサンと接触され、この場合溶媒比は、1:1〜1:15、好ましくは1:1.5〜1:12、及び特に好ましくは1:2.5〜1:10で、温度が20〜90℃及び好ましくは30〜80℃で、接触時間は、1〜180分及び好ましくは5〜150分である。この後、生成混合物は、相形成が完了するまで、20〜40℃、及び好ましくは室温で保持される。下部相は、いわゆる「ラフィネート」であり、このラフィネートは、分離するべきウレトイミンとより多くの核を有するMDIホモログを含んでいる。上部相は、いわゆる「抽出物」であり、この抽出物は、ウレトイミン含有量が低い所望のポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート及び溶媒を含んでいる。この2相は分離され、そして溶媒は真空蒸留によって完全に除去される。シクロヘキサンの残留含有量は、20ppm未満であることが好ましい。
【0024】
次にモノマー性ジイソシアネートが、このように処理された混合物から分離される。モノマー性ジイソシアネートの除去は、(好ましくは減圧下での)蒸留によって完全に行うことができる。薄フィルム蒸発器又はショートパス蒸発器を使用して蒸留を行うことが好ましい。このような方法は、例えばEP1518874に記載されている。モノマーの除去は、好ましくは160℃未満、特に好ましくは100〜158℃及び特に120〜155℃の温度で行われる。圧力は、好ましくは0.001〜10mbar、特に好ましくは0.01〜1mbar及び特に0.02〜0.9mbarである。
【0025】
本発明に従う方法の好ましい実施の形態では、出発材料として使用されるポリマーMDI混合物は、以下の組成を有している:
二核MDI 45.0±25.0%
三核MDI 25.0±10.0%
四核MDI 10.5±5.5%
≧五核MDIホモログ 17.5±15.5%
【0026】
この出発材料から製造される、本発明に従う生成物は、ウレトンイミンの含有量が4質量%以下、二核MDIの含有量が2質量%以下、三核MDIの含有量が25〜65質量%、四核MDIの含有量が5〜45質量%、及び≧五核MDIの含有量が1〜40質量%であり、そして平均官能価が2.2〜5.2である。本発明に従う、(ウレトイミンとモノマーMDI含有量が低い)ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートの粘度は、25℃で7000mPa・s未満であり、そして特に25℃で500〜5000mPa・sである。
【0027】
この生成物から製造されるポリイソシアネートai)は、良好な保管安定性で区別されるだけでなく、特にこのポリイソシアネートai)は、固有色が(相対的に)非常に低いという事項によっても区別され、そして高官能価を有するポリイソシアネートとして、(有利なことには、架橋剤として)、特に2−成分プリウレタン系、特に好ましくは2−成分系硬質PUフォーム系に使用することができる。
【0028】
本発明による教示に従い製造されたイソシアネート成分の良好な保管安定性が、2−成分の適用のために、及び1−成分の適用におけるイソシアネート成分としての使用において、例えば、1−成分エアゾール成分フォームの場合の加圧容器中での使用において保証される。
【0029】
上述のように、本発明に従うポリイソシアネートai)は、単独で、又は他のポリイソシアネートと組合せて使用することができる。好ましくは、ポリイソシアネートai)は、他のポリイソシアネートとの混合物として使用される。
【0030】
本発明に従う方法の好ましい実施の形態では、ウレタン基とイソシアネート基を含む、少なくとも1種のプレポリマーaii)が、ポリイソシアネートai)と一緒に使用される。
【0031】
このような化合物及びその製造方法は公知である。これらは、通常、ポリイソシアネートを、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物の化学量論未満の量と反応させることにより製造される。使用して良いポリイソシアネートは、通常の、そして公知のジ−及びポリイソシアネートである。トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)との混合物、及びヘキサメチレンジイソシアネートオ(HDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂肪族ジイソシアネートが例示されて良い。MDI又は粗製MDI、特にMDIを使用することが特に好ましい。通常、少なくとも2官能性のアルコール、好ましくは、ポリエーテルアルコールが、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物として使用される。ポリエーテルアルコールは、特に好ましくは2官能性〜3官能性であり、そして分子量が100〜6000g/molの範囲である。
【0032】
反応の後、未反応のジイソシアネートが、反応混合物から分離される。この分離は、通常、蒸留によって行われ、ここで蒸留は、薄フィルム又はショートパス蒸発器内で行われるべきである。このような方法は、例えば、DE102004038784に開示されている。
【0033】
ポリイソシアネートai)及びaii)及びこれらの化合物の混合物の粘度は、多くの使用分野にとって非常に高く、従って不活性希釈剤aiii)をポリイソシアネートに加えることが好ましい。適切な成分aiii)は、ポリウレタンの製造に使用される化合物に対して不活性の化合物である。適切な化合物は、例えば、高沸点溶媒、可塑剤及び難燃剤、例えば、ジフェニルクレシルホスフェート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジパート、トリエチルホスフェート、又はトリクロロアルキルホスフェートである。難燃剤は、可塑剤として使用され、特に難燃性であることが要求される最終製品、例えばエアゾールフォームに使用される。
【0034】
ai)、aii)及び適切であればaiii)の相互間の割合は、最終製品が適合するべき必要条件に依存する。
【0035】
エアゾールフォームの場合、イソシアネート化合物は、20〜65質量%の成分ai)、15〜55質量%の成分aii)、及び5〜65質量%の成分aiii)を含むことが好ましい。架橋剤として(特に硬質ポリウレタンフォームを製造するために)使用する場合、イソシアネート化合物は、20〜96質量%の成分ai)、0〜55質量%の成分aii)、及び5〜65質量%の成分aiii)を含むことが好ましい。接着剤及びシーリング化合物を製造するために使用する場合、イソシアネート化合物は、0〜45質量%の成分ai)、35〜85質量%の成分aii)、及び5〜65質量%の成分aiii)を含むことが好ましい。
【0036】
本発明に従うポリイソシアネートを使用してのポリウレタンの製造は、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物と反応させることにより、通常の、そして公知の方法で行うことができる。この目的のために、公知の化合物、特に、ポリエーテルアルコール、ポリエステルアルコール、ポリエステルアルコール、及びポリエーテルアミンが、イソシアネートに対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物として使用可能である。
【0037】
2−成分法の場合、ai)及び適切であれば、aii)及びaiii)の混合物(適切であれば、更なるポリイソシアネートとの混合物としてのもの)が、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物と反応され、ポリウレタンが得られる。ポリウレタンキャスティング樹脂として公知のコンパクトポリウレタン反応樹脂、又は発泡剤を使用した硬質ポリウレタンフォームをこの方法によって製造することができる。イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物として、官能価が少なくとも3であり、及び水酸基価(ヒドロキシル価:hydroxyl number)が100〜700mg/KOG/gの範囲のポリエーテルアルコール及び/又はポリエステルアルコールを使用することが好ましい。
【0038】
硬質フォームの製造では、ポリイソシアネート成分の粘度と官能価を調節するために、成分ai)に加え、二核及び多核MDIの更なる非脱モノマー化混合物も使用することができる。これは、このような適用に耐え得るものである。成分ai)に加え、プレポリマー、好ましくは官能価が2を超え、特に官能価が3以上のプレポリマーを使用することもできる。
【0039】
1−成分法は、特に、エアゾールフォームの製造に使用される。ここで、ポリイソシアネートは、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物の化学量論未満の量と反応し、これによりプレポリマーを得、そしてこのように形成されたプレポリマーを発泡剤と一緒に加圧容器内に充填する。この目的のために、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する更なる化合物が計量導入され、フリーな(遊離した)イソシアネート基の含有量が低いプレポリマーが、加圧容器中に形成される。
【0040】
本発明に従うポリイソシアネートai)を使用することにより、揮発性ジイソシアネートの含有量が低い(そして保管安定性が良好な1−成分PUエアゾールフォームに使用することもできる)保管安定性が良好なポリイソシアネート混合物を得ることができる。
【0041】
ポリイソシアネートai)は、抽出に付されることがない生成物のものと比較して、明るく、そして粘度が低い。ヨードカラーナンバーが20であり、L*値が85.6及びb*値が70.1のポリマーMDI(Luprant(登録商標)M20)から出発して、ウレトンイミン及び他の二次的な化合物を抽出除去した後、ヨードカラーナンバーが0.8であり、L*値が99.3及びb*値が5.1のポリマーMDIが得られる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を使用して本発明を詳細に説明する。
【0043】
処理例1
ジフェニルメタンジイソシアネートとOH−官能性化合物の、NCO官能化された反応混合物(出発材料aii)の製造
反応器内で、4,4’−MDI及び平均モル量が900のポリプロピレングリコール混合物を、不活性条件下で、4.6〜1のモル割合で、65℃で反応させた。次に反応を1時間、65℃で行った後、NCO含有量が15.5質量%、粘度が25℃で1963mPa・s及び50℃で312mPa・s、及びMDIモノマー含有量が47.6%のプレポリマー生成物が得られた。このプレポリマーを、2工程蒸留法を使用し、0.17mbarと190℃及び0.03mbarと168℃で脱モノマー化した。モノマーの含有量が低い、得られたMDIプレポリマーは、NCO含有量が5.8質量%、粘度が50℃で5973mPas・s、及びモノマーMDIの含有量が0.1%未満であった。
【0044】
処理例2
ウレトイミン含有量が低い、脱モノマー化されたポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(出発材料ai)の製造
MDI含有量が37%、NCO含有量が31.2質量%、粘度が25℃で213mPa・s、ウレトンイミンの含有量が8.4%、ヨードカラーナンバーが20.6、L*値が85.0及びb*値が70.3のポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(BASF:Lupranat(登録商標)M20)を、以下に記載したように、シクロヘキンサンを使用して1工程抽出法によって抽出した。ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(BASF:Lupranat(登録商標)M20)を、イソシアネート中シクロヘキサンと接触させた(1:3の溶媒割合、50℃で60分)。この後、生成混合物を、相の形成が完了するまで室温で維持した。下部相は、いわゆる「ラフィネート」であり、このラフィネートは、分離するべきウレトイミンと、より多くの核を有するMDIホモログを含んでいる。上部相は、いわゆる「抽出物」であり、この抽出物は、ウレトイミン含有量が低い所望のポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート及び溶媒を含んでいる。この2相は分離され、そして溶媒は真空蒸留によって完全に除去される(シクロヘキサンの残留含有量は、20ppm未満)。蒸留によって抽出剤を除去した後、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)が得られた。ここで、このポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)は、ウレトンイミンの含有量が低く、そしてNCO含有量が33.0質量%、粘度が25℃で30mPa・s、及びヨードカラーナンバーが0.3、L*値が99.8及びb*値が1.8である。
【0045】
1工程ショートパス蒸発器中での脱モノマー化の後、モノマーMDIとウレトンイミンの含有量が低く、そしてNCO含有量が32.2質量%、粘度が25℃で1258mPa・s、モノマーMDI含有量が424ppm、ウレトンイミン含有量が2.2%、ヨードカラーナンバーが1.6、L*値が98.1及びb*値が9.7のポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)が得られた。
【0046】
【表1】

【0047】
処理例3
1−成分及び2−成分PU系のためのイソシアネート化合物の製造
3.1 1−成分PUエアゾールフォームのためのイソシアネート成分
処理例1に従う165gのモノマー除去MDIプレポリマー、ウレトンイミン含有量が低く及びモノマーMDI含有量が低い、処理例2に従う225gのポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、及び110gのトリエチルホスフェートからイソシアネート成分を製造した。上記イソシアネート成分は、次の特性を有していた:イソシアネート含有量:16.2NCO質量%;25℃における粘度:150mPa・s。
3.2 2−成分硬質PUフォーム及びPUキャスティング樹脂のためのイソシアネート成分
ウレトンイミン含有量が低く及びモノマーMDI含有量が低い、処理例2に従う425gのポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、及び75gのトリエチルホスフェートから(攪拌により)イソシアネート成分を製造した。上記イソシアネート成分は、次の特性を有していた:イソシアネート含有量:27.2NCO質量%;25℃における粘度:98mPa・s。
【0048】
処理例4
1−成分PUエアゾールフォームの製造
ポリオール成分の製造
グリセロール/プロピレンオキシド/エチレンオキシドに基づく306gのポリエーテルポリオール(OH価:42mgKOH/g)、グリセロール/プロピレンオキシドに基づく185gのポリエーテルポリオール(OH価:155mgKOH/g)、OH価が330mgKOH/gの臭素化ポリエーテルポリオール(商号IXOL B251、Solvay Fluor&Derivate,hanoverより)、25gのシリコンフォーム安定剤(商号Tegostab B2219、Goldschmidtより)、8gのジモルホリノジエチルエーテル、330gのトリクロロプロピルホスフェート、0.5gの低粘度液体パラフィン及び0.3gのシリコンオイルM100(Bayerより)から、ポリオール成分を製造した。
【0049】
イソシアネート成分
処理例3.1に従うイソシアネート成分をこの目的のために使用した。
【0050】
エアゾール缶の製造
171gのポリオール成分、及びこの後に428gのイソシアネート成分を1リットルエアゾール缶に計量導入し、そしてエアゾール缶をバルブでシールした。
【0051】
次に57gのジメチルエーテル、38gの4バールプロパン/ブタン混合物(90%のプロパン及び10%のブタン)及び95gのテトラフルオロエタンを、バルブを介してエアゾール缶に計量導入した。
【0052】
缶中の内容物を、シェイクすることによって均質化し、これによりプレポリマー反応が開始された。50℃で24時間保管(室温で4日間保管することに替える)した後、プレポリマー反応が、(1−成分PUエアゾールフォームが加工可能な程度にまで)発生した。
【0053】
フォームの製造
エアゾール缶のバルブを開けることにより、湿った(濡れた)紙の上に、フォームストランドの状態で、内容物を排出した。約9分の後、フォームは非粘着性になり、約20分の後、切断可能になり、そして約8時間の後、硬化して以下の特性を有するフォームを得た。
【0054】
【表2】

【0055】
処理例5
2−成分硬質PUフォームの製造
ポリオール成分の製造
377gのLupranol3424(サッカロース、ペンタエリチリトール、ジエチレングリコール及びプロピレンオキシドに基づく、OH価が403mgKOH/gのポリエーテルポリオール)、230gのLupranol3423(サッカロース、グリセロール、及びプロピレンオキシドに基づく、OH価が490mgKOH/gのポリエーテルポリオール)、20gのグリセロール、300gのLupranol100(プロピレングリコール、及びプロピレンオキシドに基づく、OH価が104mgKOH/gのポリエーテルポリオール)、54gのLuprano VP9319(トリメチロールプロパン及びプロピレンオキシドに基づく、OH価が160mgKOH/gのポリエーテルポリオール)、10gのTegostab B8443安定剤、5gのNiax Silicone SR393安定剤及び4.5gの水からポリオール混合物を製造した。34gの触媒混合物(23.3%のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、18.7%の1−メチルイミダゾール、28%のテトラメチルヘキサンジアミン及び30%のLuprano1200[プロピレングリコール及びプロピレンオキシドに基づく、OH価が248mgKOH/gのポリエーテルポリオール])及び50gのグリセロール/グリコール水性混合物(9%のグリセロール及び31%のジプロピレングリコールを含む)の両方を、この混合物に加え、そしてこれから、ポリオール成分を製造した。
【0056】
イソシアネート成分
処理例3.2に従うイソシアネート成分をこの目的のために使用した。
【0057】
成分の(PUフォームを得るための)加工(処理)
成分を、ポリオール成分:イソシアネート成分=100:164の混合割合で混合し、そして発泡と硬化の後、白色の硬質フォームが得られた。このフォーム(フリーライズ発泡によって製造)は、以下の特性を有していた。
【0058】
クリーム時間 15秒
フィーバー時間 46秒
ライズ時間 84秒
密度 43kg/m3
圧縮強度 32N/cm2
【0059】
処理例6
2−成分PUキャスティング樹脂の製造
ポリオール成分の製造
730gの、脂肪化学では通常であり大豆油に基づく、官能価が3.5及び水酸基価(ヒドロキシル価)が170mgKOH/gのポリオール(商号Sovermol 805)、200gの、脂肪化学では通常であり大豆油に基づく、官能価が2.1及び水酸基価が227mgKOH/gのポリオール(商号Sovermol 1102)、70gの、ナトリムシリケートに基づくゼオライト乾燥剤、50%濃度のヒマシ油、及び0.5gのシリコン消泡剤からポリオール成分を製造した。
【0060】
イソシアネート成分1
処理例3.2に従うイソシアネート成分をこの目的のために使用した。
【0061】
イソシアネート成分2(比較成分)
現在公知である、市販のポリマーMDIを、比較の目的で使用した。
【0062】
系の成分を、架橋を同様の程度(113%)にして反応させた。
【0063】
得られた機械的特性の比較
【0064】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネートa)と、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物b)とを反応させることによりポリウレタンを製造する方法であって、
使用するポリイソシアネートa)が、2を超える平均官能価、ポリイソシアネートai)の質量に対して、2質量%以下のジイソシアネートの含有量、及びポリイソシアネートai)の質量に対して、4質量%以下のウレトンイミニンの含有量を有する、少なくとも1種のポリイソシアネートai)であることを特徴とするポリウレタンを製造する方法。
【請求項2】
ポリイソシアネートai)が、ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートとの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリイソシアネートai)が、ジイソシアネートと、平均官能価が2を超えるポリイソシアネートとの混合物を抽出し、そして次に蒸留によって、ポリイソシアネートをジイソシアネートから取り出すことにより製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリイソシアネートai)が、ジフェニルメタンジイソシアネートと、平均官能価が2を超えるポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートとの混合物を抽出し、そして次に蒸留によって、これらをジフェニルメタンジイソシアネートから取り出すことにより製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ポリイソシアネートai)のみをポリイソシアネートa)として使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ポリイソシアネートai)が、他のポリイソシアネートとの混合物として使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ポリイソシアネートai)が、イソシアネート基とウレタン基とを含む、少なくとも1種のプレポリマーaii)との混合物として使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
プレポリマーaii)が、ポリイソシアネートを、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物とを、後者を化学量論未満の量で反応させることにより製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
プレポリマーaii)が、プレポリマーaii)の質量に対して1質量%未満の未反応のモノマー性イソシアネートを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートからなり、それぞれがポリイソシアネート混合物の質量に対して、ジイソシアネートを2質量%以下の量、ウレトンイミンを4質量%以下の量で含むことを特徴とする平均官能価が2を超えるポリイソシアネート混合物。
【請求項11】
平均官能価が2を超える少なくとも1種のポリイソシアネートai)及びプレポリマーaii)を含むポリイソシアネート混合物であって、
ポリイソシアネートai)は、それぞれがポリイソシアネートai)の質量に対して、ジイソシアネートを2質量%以下の量、及びウレトンイミンを4質量%以下の量で含み、そしてプレポリマーaii)は、イソシアネート基とウレタン基を含み、且つプレポリマーaii)の質量に対して、未反応のモノマー性イソシアネートを1質量%以下の量で含むことを特徴とするポリイソシアネート混合物。
【請求項12】
ポリウレタンを製造するために、請求項10又は11に記載のポリイソシアネート混合物を使用する方法。
【請求項13】
1−成分ポリウレタンスプレーフォームを製造するために、請求項10又は11に記載のポリイソシアネート混合物を使用する方法。
【請求項14】
ポリウレタン接着剤及び/又はシーリング化合物を製造するために、請求項10又は11に記載のポリイソシアネート混合物を使用する方法。
【請求項15】
ポリウレタンエラストマーを製造するために、請求項10又は11に記載のポリイソシアネート混合物を使用する方法。
【請求項16】
2−成分ポリウレタンフォームを製造するために、請求項10又は11に記載のポリイソシアネート混合物を使用する方法。
【請求項17】
2−成分硬質ポリウレタンフォームを製造するために、請求項10又は11に記載のポリイソシアネート混合物を使用する方法。

【公表番号】特表2009−533506(P2009−533506A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504689(P2009−504689)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053216
【国際公開番号】WO2007/115971
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】