説明

ポリエステルフィルム

【課題】 黄変着色が少なく高品質であり、光学フィルター(例えばARフィルム、NIRフィルム、EMIフィルム)、液晶用フィルム(例えば拡散フィルム、プリズムフィルム)、電子材料、包装用フィルム、グラフィック材料(写真材料)、製版フィルム、OHPフィルム等に有用なポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 フィルムを構成する層の少なくとも一つのポリエステル層が、塗布層を有するポリエステルフィルムの再生原料を含有し、当該ポリエステル層中に熱減量開始温度が290℃以上の燐系酸化防止剤を含有することを特徴とするポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生原料として塗布層を設けたフィルムを用いた、黄変着色が少ないポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは再生原料を含むポリエステルを用いて製膜しても黄変着色が少なく、光学フィルター(例えばARフィルム、NIRフィルム、EMIフィルム)、液晶用フィルム(例えば拡散フィルム、プリズムフィルム)、電子材料、包装用フィルム、グラフィック材料(写真材料)、製版フィルム、OHPフィルム等に有用なポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルムは、光学フィルター(ARフィルム、NIRフィルム、EMIフィルム等)、液晶用フィルム(拡散フィルム、プリズムフィルム等)等の光学フィルム、電子材料、包装材料、グラフィック材料(写真材料)、製版フィルム、OHPフィルム等の一般工業材料用として広く使用されている。
【0003】
かかるポリエステルフィルムは、各用途での上塗りの機能層との密着性が悪いため、後加工により積層した種々の層の密着が弱く剥離しやすいこと、摩擦等で帯電するためフィルム表面にゴミやほこりが付着しやすいこと等の欠点を有している。
【0004】
このような欠点を改良するため、ポリエステルフィルムの表面に易接着塗膜、制電性塗膜等の塗布層を設けたポリエステルフィルムが通常用いられている。
【0005】
ポリエステルフィルムをテンター法、あるいは同時二軸法等の端部を挟んで延伸して製造する際には、製品とならないフィルム(例えば製品から切断除去したフィルム端部等)および製膜中破断および、品質不良等で規定長さの製品に達しなかったフィルムが生じる。フィルムを経済的に製造するには、このような製品とならないフィルム等を回収し、再生原料として再利用する方法が採られる。
【0006】
ところが、前記のような再生原料として塗布層を設けたフィルムにこの方法を用いると、ポリエステルレジンの製膜の際に樹脂の融点以上(ポリエチレンテレフタレートの場合は260℃以上、ポリエチレンナフタレートの場合は270℃以上)での溶融押出を行うため、再生原料中に含まれる塗布層成分が熱分解・劣化し、製品となるポリエステルフィルムを黄変着色させるため、再生原料を含むポリエステルを用いて得られたポリエステルフィルムは、著しく黄変着色した実用性に欠けるものとなる。
【0007】
特に、耐熱性が260℃より低い構造(ポリビニルアルコール:200℃以上で分解等)、および分子内に窒素、硫黄、塩素等の元素を有する化合物、特には窒素元素を有する化合物が塗膜成分に含まれる場合には、これらの化合物が熱劣化しやすいため黄変着色が著しくなる。このため塗布層に含まれる化合物が制約され、易接着性、制電性に優れ、かつ回収性に優れたポリエステルフィルムを得ることは困難である。
【0008】
この問題に対し、従来再生ペレット作成時に酸化防止剤を活用する技術(特許文献1、2)や、ポリエステルフィルム製膜時に積層中に酸化防止剤を添加する技術(特許文献3〜5)が知られている。これらの技術によって、黄変着色に対する改善効果はあるものの、ポリエステル樹脂の融点(約260℃)の高さと加工温度の高さ(約290℃)から、実用上十分な黄変着色防止性能・フィルム品質を達成するものではなかった。
【0009】
具体的には、特許文献1で開示されている燐系酸化防止剤を用いた場合には、常温液体であるため、ポリエステルの樹脂乾燥工程(ポリエチレンテレフタレートの場合、約180℃)や押出工程(ポリエチレンテレフタレートの場合、約290℃)で燐系酸化防止剤が蒸散する。また、このときの臭気や発煙がポリエステルフィルムの生産環境に影響を与えるほか、フィルムを熱固定した後、酸化防止剤がロールに付着したり、後工程での塗布乾燥時に塗布層の均一性が損なわれたり、酸化防止剤の熱減量開始温度がポリエステルの溶融押出温度(約290℃以上)より低くいことから、黄変着色改善効果が十分とはいえないことがあった。また、特許文献2で開示されている酸化防止剤を用いた場合にも、同様に酸化防止剤の熱減量開始温度がポリエステルの溶融押出温度(約290℃以上)より低いことから、黄変着色改善効果が十分とは言えないことがあった。添加量を多くすることで改善効果の向上はみられるが、十分ではなかったり、多くすることで酸化防止剤が表面に析出しフィルムロールを加工する系内を汚染したりすることがある。
【特許文献1】特開平3−275727号公報
【特許文献2】特開平4−59828号公報
【特許文献3】特開平8−217892号公報
【特許文献4】特開平8−217893号公報
【特許文献5】特開2000−119417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、かかる従来技術の問題点を解消し、再生原料として塗布層を設けたフィルムを用いても黄変着色が少ない高品質なポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を採用することにより、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の要旨は、フィルムを構成する層の少なくとも一つのポリエステル層が、塗布層を有するポリエステルフィルムの再生原料を含有し、当該ポリエステル層中に熱減量開始温度が290℃以上の燐系酸化防止剤を含有することを特徴とするポリエステルフィルムに存する。
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、塗布層を設けたポリエステルフィルムを再生原料として使用するポリエステルフィルムであり、再生原料と熱減量開始温度が290℃以上の燐系酸化防止剤を再生原料と同じ層に含む。本発明のポリエステルフィルムは、単層、積層どちらでもよいが、再生原料と、酸化防止剤は、同じ層に含まれている必要がある。また、後工程において高品質なポリエステルフィルムを提供するために、再生原料と酸化防止剤を含む層は中間層であり、表層には酸化防止剤を含まないことが好ましい。
【0014】
本発明におけるポリエステルフィルムは、従来知られている方法で製造することができる。例えば、前記再生原料を含むポリエステルを押出機にて溶融し、単層のダイスから単層シートとして冷却ドラム上にキャストし、あるいは複数の押出機の少なくとも一つにて溶融し多層のダイスの少なくとも1層から多層シートとして冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを縦方向に延伸し、続いて横方向に延伸することで製造できる。
【0015】
さらに縦方向および/または横方向に再度延伸することもできる。延伸処理は前記単層シートまたは多層シートを構成するポリエステルの二次転移点(Tg)−10℃より高い温度で、夫々の方向に2倍以上、さらには3倍以上延伸することで行うのが好ましい。その際、面積延伸倍率は8倍以上、さらには9倍以上とするのが望ましい。面積延伸倍率の上限は、フィルムの用途にもよるが、35倍迄、さらには30倍迄とするのが好ましい。延伸後に熱処理して配向結晶化を完結させることもできる。
【0016】
単層のポリエステルフィルム、あるいは多層のポリエステルフィルムの最外層の少なくとも1つの層には、フィルムの滑り性を良好なものとするため、平均粒径が0.01〜20μm程度の有機や無機の微粒子を滑剤として、例えば0.005〜20重量%の配合割合で含有させることができる。かかる微粒子の具体例として、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アミルニウム、酸化チタン、グラファイト、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等を好ましく挙げることができる。
【0017】
ポリエステルフィルムには前記微粒子以外にも帯電防止剤、有機滑剤、触媒、顔料、蛍光増白剤、可塑剤、架橋剤、滑り剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を必要に応じて添加することができる。
【0018】
本発明のポリエステルフィルムは、塗布層を有していてもいなくてもよい。例えば、ポリエステルあるいは再生原料を含むポリエステルを熱溶融せしめ、そのままフィルム状とした未延伸フィルム;未延伸フィルムを縦方向(長手方向)または横方向(幅方向)の何れか一方に延伸せしめた一軸延伸フィルム;縦方向あるいは横方向の一軸延伸フィルムを横方向あるいは縦方向に逐次延伸せしめた二軸延伸フィルム、または未延伸フィルムを縦方向および横方向の二方向に同時延伸せしめた二軸延伸フィルム;二軸延伸フィルムを熱固定および/または熱弛緩せしめた二軸延伸熱処理フィルムを挙げることができる。
【0019】
かかるポリエステルフィルムの厚さは、未延伸フィルムでは10〜3000μm、二軸延伸フィルムおよび二軸延伸熱処理フィルムでは1〜400μmが代表的な範囲として挙げられる。
【0020】
本発明のポリエステルフィルムに用いるポリエステル原料は、ジカルボン酸成分とグリコール成分からなる線状ポリエステルであり、代表例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレートが挙げられる。これらは、高ヤング率である等の機械的特性に優れ、耐熱寸法安定性が良い等の熱的特性等に優れるポリエステルフィルムが得られるため好ましい。
【0021】
本発明で用いるポリエステル原料について、以下に詳しく説明する。ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を挙げることができ、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。また、グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を挙げることができ、特にエチレングリコールが好ましい。
【0022】
このポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレン―2,6―ナフタレートは、これらにさらに上記ジカルボン酸成分あるいはグリコール成分等を数モル%共重合し、所望のフィルム特性を付与したポリエステルであってもよく、三官能以上の多価カルボン酸成分あるいはポリオール成分をポリエステルが実質的に線状となる範囲(例えば5モル%以下)で少量共重合したポリエステルであってもよい。
【0023】
かかるポリエステルは常法によりつくることができ、数平均分子量は10,000以上であることがポリエステルフィルムの機械的特性が良好となるため好ましい。
【0024】
本発明のポリエステルの重合触媒は、燐系酸化防止剤の還元作用のため、不活性化され、析出してフィルム中の異物となる可能性があるため、光学用途などの異物要求の厳しいフィルムの用途によっては、より少ない触媒含有量であることが好ましい。触媒金属の含有量は、通常300ppm以下、好ましくは、200ppm以下、より好ましくは、100ppm以下、特に好ましくは、50ppm以下である。
【0025】
本発明において、ポリエステルフィルムに含まれる酸化防止剤は、熱減量開始温度が290℃以上の燐系化合物である。本発明において、ポリエステルフィルムに含まれる酸化防止剤の例としては、下記の構造式を有する燐系化合物が、熱減量開始温度が295℃と高く、塗布層を設けたポリエステルを再生原料として含む場合においてもポリエステルフィルムの黄変着色が少なく色相が良好なものとなるため好ましい。
【0026】
【化1】

【0027】
なお、上記式中、t−Buは、第三級ブチル基を示す。
本発明の燐系酸化防止剤のポリエステルに対する配合量は、再生原料として塗布層を設けたポリエステルフィルムの含有量と塗布層の種類に合わせて任意に選択することができる。実際に用いる場合の添加量は、例えば10ppm〜10000ppmであり、200ppm〜5000ppmが好ましい。この量が10ppm%未満では黄変着色防止の効果が不足し、10000ppmを超えると経済的でなくかつ、表面に析出した酸化防止剤による加工プロセスへの汚染等の影響を無視できなくなる。
【0028】
ポリエステルに酸化防止剤を配合する方法は、再生原料として塗布層を設けたポリエステルフィルムを含むポリエステル層中に酸化防止剤が均一に分散するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステルと酸化防止剤とを溶融混合し、ペレットとして使用する方法、酸化防止剤の高濃度マスターペレットを原料の1種として使用する方法、溶融製膜の際にポリエステルに対して酸化防止剤を直接添加する方法、ポリエステルを重合する時に酸化防止剤を配合する方法等を例示することができる。
【0029】
本発明で用いる酸化防止剤として、熱減量開始温度が290℃以上の燐系化合物に加えてフェノール系酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を併用してもよい。フェノール系酸化防止剤だけでは、290℃以上で着色を抑制することはできないが、本発明の燐系酸化防止剤と組み合わせて用いることでポリエステルフィルムを製造する際の黄変着色防止の効果がより向上することもあり、好ましい。
【0030】
この場合、併用するフェノール系酸化防止剤は、特に限定されるものではないが、水素元素の少なくとも一つが第三級ブチル基で置換されたフェノール基を分子内に有するフェノール系酸化防止剤であり、さらに下記に示す骨格を有する化合物が代表例として挙げられる。
【0031】
【化2】

【0032】
上記式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基、R3は、炭素数2以上のアルキレン基を示す。
【0033】
かかる化合物のうち、特に、水酸基に隣接する位置に少なくとも一つの第三級ブチル基を有し、かつエステル結合を有する置換基を有するフェノール系酸化防止剤は、本発明の燐系酸化防止剤と併用することでポリエステルフィルムの色相が良好なものとなるため好ましい。フェノール系酸化防止剤の好ましい具体例としては、例えば下記構造のフェノール系酸化防止剤(CAS Reg.No.6683−19−8:熱減量開始温度=313℃)を挙げることができる。
【0034】
【化3】

【0035】
上記式中、t−Buは、第三級ブチル基を示す。
【0036】
また、下記構造のフェノール系酸化防止剤(CAS Reg.No.1709−70−2:熱減量開始温度=290℃)も好適に利用することができる。
【0037】
【化4】

【0038】
上記式中、t−Buは、第三級ブチル基を示す。
【0039】
本発明の燐系酸化防止剤と併用するフェノール系酸化防止剤においても、熱減量開始温度は、290℃以上であることが好ましい。熱減量開始温度が、290℃以下の場合には、ポリエステルの溶融押出において、塗布層の熱劣化と共に、酸化防止剤の熱劣化が進行するため黄変着色がより強くなる場合がある。
【0040】
本発明で用いる再生原料あるいは再生ペレットは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、塗布層を設けたポリエステルフィルムから生じる屑フィルムを粉砕した粉砕物、あるいは粉砕物を溶融押出して得た再生ペレットである。この再生原料は単独あるいは他のポリエステルバージンペレットと混合して溶融製膜に用いることができる。
【0041】
ポリエステルフィルムをつくるのに用いるポリエステル原料に占める再生原料として用いる塗布層を設けたポリエステルの割合は、通常15重量%以上、好ましくは30重量%以上、特に好ましくは45%以上である。上限は特に設けないが、ポリエステルの溶融粘度、フィルムの着色度および生産時の原料歩留まりから、60重量%以下とすることが実用的である。
【0042】
本発明で使用する、塗布層を設けたポリエステルフィルムの塗布層は、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂・ビニル系樹脂、ポリエーテル樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン系樹脂、ゼラチン類、カルボジイミド樹脂、メラミン・尿素系架橋剤、オキサゾリン架橋剤等からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むものが好ましい。
【0043】
塗布層を設けたポリエステルフィルムの塗布層を形成する樹脂の分子量は、数平均分子量が下記に示す範囲のものが好ましい。数平均分子量が、この範囲にあると塗布層とポリエステルフィルムとの密着性や塗布層の靱性が優れたものになる。
【0044】
ポリウレタン樹脂は、多官能イソシアネートとポリヒドロキシ基を有する化合物とから得られる重合体あるいは共重合体であり、数平均分子量が5,000〜25,000のものが好ましい。ポリウレタン樹脂としては、例えばジイソシアネート、ポリエーテル、ポリエステル、グリコール、ジアミン、ジメチロールプロピオン酸塩等を用いて造ることができ、エマルジョンや水溶液としたものが好ましい。
【0045】
アクリル樹脂は、例えばアクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸ソーダ、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等で示されるアクリル系単量体を主成分とする重合体あるいは共重合体であり、数平均分子量が5,000〜250,000のものが好ましい。
【0046】
ビニル樹脂は、スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ソーダ、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニルスルホン酸ソーダ、メタリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を主成分とする分子内に不飽和二重結合を有する単量体から得られる重合体あるいは共重合体であり、数平均分子量が5,000〜250,000のものが好ましい。
【0047】
ポリエーテル樹脂としては、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、フェノキシ樹脂等を挙げることができ、数平均分子量が800〜400,000のものが好ましい。
【0048】
セルロース系樹脂とは、メチルセルロース、ニトロセルロース等分子内にセルロース構造を有する樹脂である。
【0049】
エポキシ樹脂は、分子内に2官能以上のグリシジル基を有する化合物から得られる重合体あるいは共重合体であり、数平均分子量が150〜30,000のものが好ましい。上記の化合物としては例えばビスフェノールグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、アミノグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0050】
ナイロン樹脂としては、6ナイロン、6,6ナイロン等をメトキシメチル化樹脂およびこれらにアクリル酸などの共重合体を挙げることができる。
【0051】
ゼラチンとは、高分子量のポリペプチドのことであり、コラーゲン等のタンパク質原料から得られるものを用いることができる。
【0052】
カルボジイミド系架橋剤としては、分子内に2官能以上のカルボジイミド基を有する化合物で、多官能カルボジイミド含有樹脂が好ましく用いられる。
【0053】
メラミンは、分子内にメトキシメチル基、メチロール基等の熱反応性架橋基を2官能以上有する化合物として、ヘキサメトキシメチルメラミン、メトキシ尿素メラミン等を挙げることができる。
【0054】
オキサゾリン系架橋剤は、分子内に2官能以上のオキサゾリン基を有する化合物で、イソプロペニルオキサゾリンを共重合した、多官能オキサゾリン含有樹脂が好ましく用いられる。
【0055】
これらの樹脂は単独または複数組み合わせて使用することができる。
【0056】
塗布層を設けたポリエステルフィルムにおいて、少なくとも片面のフィルム表面に塗布層を設ける方法は特に限定されないが、例えば、塗布層形成樹脂を含む水性塗液を用いて塗工する方法、塗布層形成樹脂を含む溶剤系と液を塗工する方法等を例示することができる。このうち、水性塗液を用いた塗膜を塗工する方法が特に好ましい。以下この方法を例にとり説明する。
【0057】
塗布層を設けたポリエステルフィルムにおいて、塗工した塗膜の厚さは5〜1g/m、さらに10〜500mg/m、特に15〜200mg/mが好ましい。塗布量が5mg/mよりも薄いと黄変着色防止効果が不足することがあり、1g/mを超えると塗膜がブロッキングしやすくなったり、削れやすくなったりすることがある。
【0058】
塗布層を設けたポリエステルフィルムにおいて、前記塗布層形成樹脂を含む水性塗液を用いて塗膜を塗工する場合、水性塗液には塗膜表面の滑り性を良好なものとし、フィルムの耐ブロッキング性を良好なものとするため、平均粒径が0.002μm〜1μm程度の有機や無機の微粒子を滑剤として、塗膜中に0.5重量%〜20重量%の配合割合となるよう添加することができる。
【0059】
かかる滑剤としては、例えば炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アミルニウム、酸化チタン、グラファイト、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫等の無機微粒子、例えばポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の有機微粒子を挙げることができる。これらの有機微粒子は、塗膜に固体の微粒子状で含まれるものであれば熱可塑性樹脂微粒子であってもよく、架橋構造を有する樹脂微粒子であってもよい。
【0060】
水性塗液には、さらにその他の成分として、上記以外の塗布層形成樹脂(ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂他)、界面活性剤、低分子帯電防止剤、可塑剤、架橋剤、滑り剤(ワックス等の滑り性付与剤)、紫外線吸収剤等を配合することができる。
【0061】
水性塗液の固形分濃度は、1〜30重量%が好ましく、特に2〜20重量%が好ましい。固形分濃度がこの範囲にあると水性塗液の粘度が塗布に適したものになる。本発明に用いる水性塗液は、水溶液、水分散液、乳化液等任意の形態で用いることができる。また、水性塗液には少量の有機溶剤が含まれていてもよい。
【0062】
塗布層を設けたポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、前記水性塗液を塗布し、加熱乾燥、延伸することにより塗膜を塗工する場合、水性塗液の塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用でき、例えばグラビアコート法、リバースロールコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、オフセットグラビアコート法、マイヤーバーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組み合わせて適用することができる。水性塗液のWET塗布量は走行しているフィルム1m2 当り1〜20g、特に2〜10gが好ましい。塗布量がこの範囲にあると乾燥が容易になり、かつ塗布斑が生じ難いので好ましい。
【0063】
塗布層を設けたポリエステルフィルムにおいて、水性塗液は前記ポリエステルフィルムあるいはポリエステルフィルムのうち延伸可能なフィルム、例えば一軸延伸フィルム、特に縦方向の一軸延伸フィルムに塗布し、乾燥、延伸、熱固定(200℃以上)することが、塗膜の基材ポリエステルフィルムとの接着性が強固なものになり、かつ効率よく塗布層を設けたポリエステルフィルムを製造できるため好ましい。例えば、ポリエステルあるいは塗布層を設けたポリエステルフィルムを、再生原料を含むポリエステルを熱溶融し、シート状に押出し冷却して未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムを縦方向に延伸して一軸延伸フィルムとした後、水性塗液を塗布し、乾燥しつつ横方向に延伸し、必要ならさらに縦や横に再延伸した後熱処理して塗膜を塗工する。
【発明の効果】
【0064】
本発明によれば、黄変着色が抑止され、実用性のあるポリエステルフィルムが得られ、光学フィルター(例えばARフィルム、NIRフィルム、EMIフィルム)、液晶用フィルム(例えば拡散フィルム、プリズムフィルム)、電子材料、包装用フィルム、グラフィック材料(写真材料)、製版フィルム、OHPフィルム等に有用な易接着プライマー層を有するポリエステルフィルムの製造において、環境、コスト面での貢献度が高く、工業的価値は高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。各特性値は下記の方法で測定した。なお、実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のものである。
【0066】
<ポリエステル(A)>
三酸化アンチモンを触媒として含む、極限粘度0.66dl/gのポリエステル(A)であり、ポリエステル中に含まれる、触媒金属化合物の量は、約200ppmであった。
【0067】
<ポリエステル(B)>
テトラブトキシチタネートを触媒として含む、極限粘度0.63dl/gのポリエステル(B)であり、ポリエステル中に含まれる、触媒金属の量は、約10ppmであった。
【0068】
<ポリエステル(C)>
酢酸マグネシウム・四水塩および二酸化ゲルマニウムを触媒として含む、極限粘度0.65dl/gのポリエステル(C)であり、ポリエステル中に含まれる、触媒金属の量は、約10ppmであった。
【0069】
<ポリエステル(D)>
三酸化アンチモンを触媒として含む、極限粘度0.65dl/gのポリエステル(A)に平均粒径2.0μmのシリカ粒子を0.2重量%含むポリエステル(D)であり、ポリエステル中に含まれる触媒金属の量は、約200ppmであった。
【0070】
(1)極限粘度
ペレット1gをフェノール/テトラクロルエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlに溶解し、30℃で測定した。
【0071】
(2)触媒金属量
蛍光X線分析装置(XRF)で測定し検量線により求めた。
【0072】
(3)熱減量開始温度
窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で熱重量分析(TG/DTA)により、1%重量減少した温度を熱減量開始温度として求めた。
【0073】
(4)ポリエステルペレットの黄変着色度1
180℃で乾燥結晶化したポリエステルペレットを、小型押出機(ラボプラストミル:東洋精機社)にて約300℃にて溶融し再ペレット化し、ブランクペレットを作成した。一方、再生原料として塗布層を設けたポリエステルフィルムを含むポリエステルペレットとの黄変着色度を下記の基準により評価した。黄変着色度の測定は、ペレットの色をブランクペレットと比較して目視評価した。
◎:ペレットの黄変着色度がブランクペレット並み
○:ペレットがわずかに黄変着色しているが実用上問題ない
△:ペレットが黄変着色しており、実用上配合量に制限が必要である
×:ペレットの黄変着色度が大で実用性に欠ける
【0074】
(5)ポリエステルフィルムの黄変着色度2
塗布層を設けないポリエステルフィルムを粉砕し、押出機にて約300℃にて溶融しペレット化した。次いで、得られたペレットを用いて溶融製膜し、ブランクフィルムとした。一方、再生原料として塗布層を設けたポリエステルフィルムを含むポリエステルフィルムを作成した。このフィルムの黄変着色度を下記の基準により評価した。得られたフィルムの厚さは、約100μmであった。黄変着色度の測定は、フィルムをロール状に巻いたときの黄変着色程度を端面方向からブランクフィルムと比較して目視評価した。
◎:端面の黄変着色度がブランクフィルム並み
○:端面のフィルムがやや黄変着色しているが、実用上問題ない
△:端面のフィルムが黄変着色しており、実用上配合量に制限が必要である
×:端面のフィルムの黄変着色度が大で実用性に欠ける
【0075】
(6)臭気
ポリエステルの溶融押出工程で、押出機周辺の臭気を確認した。酸化防止剤の使用によって押出機周辺で、特に通常と異なる臭気を感じなかった場合には「○」、不快な臭気を感じた場合には「×」として判定した。
(7)ロール汚れ
ポリエステルの製膜工程で、巻き取り機の周辺のロール汚れ状況を確認した。酸化防止剤の使用によってテンター後のワインダー工程およびスリッター工程において、通常とおりロールの白化が見られない場合には「○」、通常と比べてロール汚れが早く連続生産した場合に1日以上7日以内の生産でロールの白化が見られた場合には「△」、1日以内にロールの白化が見られる場合に「×」として判定した。
【0076】
実施例において使用した酸化防止剤は以下のものである。
・酸化防止剤[P1]:テトラキス(2,4−ジ第3級ブチル−5−メチルフェニル)−4,4' −ビフェニレンジホスホナイト(CAS Reg.No.178358−58−2:熱減量開始温度=295℃)
【0077】
【化5】

【0078】
上記式中、t−Buは、第三級ブチル基を示す。
【0079】
・酸化防止剤[P2]:トリデシルホスファイト(CAS Reg.No.25448−25−3:熱減量開始温度=176℃(液体))
【0080】
【化6】

【0081】
・酸化防止剤[P3]:ビス(2,6−ジ第3級ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(CAS Reg.No.80693−00−1:熱減量開始温度=261℃)
【0082】
【化7】

【0083】
上記式中、t−Buは、第三級ブチル基を示す。
【0084】
・酸化防止剤[PH]:テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(CAS Reg.No.6683−19−8:熱減量開始温度=313℃)
【0085】
【化8】

【0086】
上記式中、t−Buは、第三級ブチル基を示す。
【0087】
[ポリウレタン1]無黄変ポリエステル系ポリウレタン:ハイドランAP−40(大日本インキ化学工業社)
【0088】
[ポリウレタン2]無黄変ポリエーテル系ポリウレタン:ネオレッツR−600(DSMネオレジン社)
【0089】
[ポリウレタン3]無黄変ポリカーボネートポリウレタン:タケラックW−511(三井武田ケミカル社)
【0090】
[カルボジイミド]ポリカルボジイミド樹脂:カルボジライトV−02(日清紡社)
【0091】
[アクリル樹脂]Nメチロール基、カルボキシ基含有MMA・EA共重合アクリルエマルション:ニカゾールA−08(日本カーバイド社)
【0092】
[PVA]ポリビニルアルコール(鹸化度=88%):ゴーセノールGL−05(日本合成社)
【0093】
[オキサゾリン架橋剤]オキサゾリン基含有ビニル樹脂:エポクロスWS−500(日本触媒社)
【0094】
[メラミン]メトキシメチル化メラミン:ベッカミンJ101(大日本インキ化学工業社)
【0095】
[ポリエステル]スルホイソフタレート含有共重合ポリエステル:ファインテックES670(大日本インキ化学工業社)
【0096】
[シリカ]コロイダルシリカ:スノーテックスYL(日産化学社)
【0097】
【表1】

【0098】
[塗布フィルムA1]塗布層1を有するポリエステルフィルム
ポリエステル(A)を285〜295℃で加熱溶融し、T字型口金より40度に冷却したドラム上に冷却固化させて、未延伸シートを作成した。次いで85〜100℃で縦方向に3.6倍延伸して一軸延伸フィルムとした。この一軸延伸フィルムの両面に、上表の塗布層1の塗布組成物をバーコーターで塗布した。次いで塗布フィルムを90〜105℃で乾燥後、110℃で横方向に4.3倍延伸し、225〜230℃で熱処理して厚さ100μm、塗膜量は0.1g/mである塗布フィルムA1を作った。
【0099】
[塗布フィルムA2]塗布層2を有するポリエステルフィルム
塗布フィルムA1と同様の工程において、塗布液を2に変えることで、塗布フィルムA2を得た。
【0100】
[塗布フィルムA3]塗布層3を有するポリエステルフィルム
塗布フィルムA1と同様の工程において、塗布液を3に変えることで、塗布フィルムA3を得た。
【0101】
[塗布フィルムA4]塗布層4を有するポリエステルフィルム
塗布フィルムA1と同様の工程において、塗布液を4に変えることで、塗布フィルムA4を得た。
【0102】
[塗布フィルムA5]塗布層5を有するポリエステルフィルム
塗布フィルムA1と同様の工程において、塗布液を5に変えることで、塗布フィルムA5を得た。
【0103】
[塗布フィルムA6]塗布層6を有するポリエステルフィルム
塗布フィルムA1と同様の工程において、塗布液を6に変えることで、塗布フィルムA6を得た。
【0104】
[塗布フィルムA7]塗布層7を有するポリエステルフィルム
塗布フィルムA1と同様の工程において、塗布液を7に変えることで、塗布フィルムA7を得た。
【0105】
比較例1:
まず、塗布層1を含むポリエステルペレット(酸化防止剤なし)を製造した。すなわち、塗布フィルムA1を粉砕し、290〜300℃で溶融押出しし、再ペレット化することによって、再生ペレット1A0を得た。
【0106】
比較例2:
塗布層2を含むポリエステルペレット(酸化防止剤なし)を製造した。すなわち、再生ペレット1A0と同様の工程において、塗布フィルムをA2に変えることで、再生ペレット2A0を得た。
【0107】
実施例1:
塗布層1を含むポリエステルペレット(酸化防止剤含あり)を製造した。すなわち、塗布フィルムA1を粉砕し、酸化防止剤を直接添加しながら、290〜300℃で溶融押出しし、再ペレット化することによって、再生ペレット1A1を得た。添加した酸化防止剤は、再生ペレットに対して、500ppmとした。
【0108】
また、酸化防止剤の種類と量によって、下記表2のとおりに実施例1〜12,比較例1〜13の再生ペレットを得た。
【0109】
参考例1:
塗布層のないポリエステルフィルムを再生原料として含むポリエステルペレット(酸化防止剤なし)を製造した。
【0110】
【表2】

【0111】
以下の要領で、再生フィルムを製造した。
【0112】
比較例1:
中間層に、再生原料として塗布フィルムA1を粉砕したフレークを30部とポリエステル(A)を70部、表層にポリエステル(A)を95部、ポリエステル(D)を5部と成るように混合し、それぞれ285〜295℃で加熱溶融し、2種3層のT字型口金より40度に冷却したドラム上に冷却固化させて、未延伸シートを作成した。次いで85〜100℃で縦方向に3.6倍延伸して一軸延伸フィルムとした。この一軸延伸フィルムの両面に、上表の塗布層1の塗布組成物をバーコーターで塗布した。次いで塗布フィルムを90〜105℃で乾燥後、110℃で横方向に4.3倍延伸し、225〜230℃で熱処理して厚さ100μm(表層それぞれ5μm、中間層90μm)、塗膜量は0.1g/mである再生フィルム1A0を得た。
【0113】
実施例1:
中間層に、再生原料として塗布フィルムA1を粉砕したフレークを30部とポリエステル(A)を70部、表層にポリエステル(A)を95部、ポリエステル(D)を5部と成るように混合し、中間層に酸化防止剤を直接添加しながら、それぞれ285〜295℃で加熱溶融し、2種3層のT字型口金より40度に冷却したドラム上に冷却固化させて、未延伸シートを作成した。次いで85〜100℃で縦方向に3.6倍延伸して一軸延伸フィルムとした。この一軸延伸フィルムの両面に、上表の塗布層1の塗布組成物をバーコーターで塗布した。次いで塗布フィルムを90〜105℃で乾燥後、110℃で横方向に4.3倍延伸し、225〜230℃で熱処理して厚さ100μm(表層それぞれ5μm、中間層90μm)、塗膜量は0.1g/mである再生フィルム1A1を得た。添加した酸化防止剤は、再生フィルム層に対して、100ppmとした。
【0114】
また、酸化防止剤の種類と量によって、下記表3のとおりに実施例1〜7,比較例1〜12の再生フィルムを得た。
【0115】
実施例8:
再生原料として塗布フィルムA1を粉砕したフレークを30部とポリエステル(A)を67部、ポリエステル(D)を3部と成るように混合し、酸化防止剤を直接添加しながら、285〜295℃で加熱溶融し、T字型口金より40度に冷却したドラム上に冷却固化させて、未延伸シートを作成した。次いで85〜100℃で縦方向に3.6倍延伸して一軸延伸フィルムとした。この一軸延伸フィルムの両面に、上表の塗布層1の塗布組成物をバーコーターで塗布した。次いで塗布フィルムを90〜105℃で乾燥後、110℃で横方向に4.3倍延伸し、225〜230℃で熱処理して厚さ100μm(単層)、塗膜量は0.1g/mである再生フィルム1A8を得た。添加した酸化防止剤は、再生フィルム層に対して、100ppmとした。
【0116】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明のフィルムは、例えば、光学フィルター(例えばARフィルム、NIRフィルム、EMIフィルム)、液晶用フィルム(例えば拡散フィルム、プリズムフィルム)、電子材料、包装用フィルム、グラフィック材料(写真材料)、製版フィルム、OHPフィルム等に好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを構成する層の少なくとも一つのポリエステル層が、塗布層を有するポリエステルフィルムの再生原料を含有し、当該ポリエステル層中に熱減量開始温度が290℃以上の燐系酸化防止剤を含有することを特徴とするポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2009−220311(P2009−220311A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65000(P2008−65000)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】