説明

ポリエチレンテレフタレートペレットを生成するための方法

本発明は、
−ポリエチレンテレフタレート材料のメルトを生成するステップ、
−プロセス流体への水中ペレット化の手段によってメルトからペレットを生成するステップ、
−プロセス流体における水中ペレット化の部位からペレットを除去するステップ、
−プロセス流体中のペレットを結晶化するステップ、
−プロセス流体中のペレットを抽出するステップ、
−プロセス流体からペレットを分離するステップ
によってポリエチレンテレフタレートペレットを生成するための方法であって、結晶化ステップにおいて、ペレットの内部が非結晶のままとなるようにペレットの表面だけが結晶化され、プロセス流体の温度が、ポリエチレンテレフタレート材料の配合に依存して、ペレットのポリエチレンテレフタレート材料の事前に実験的に決定される最大結晶化速度が達せられる値に調整され、結晶化ステップの後に、ペレットの表面の不透明性が、達成された結晶化度の測度として、およびペレットの表面での達成された結晶化深度の測度として決定される方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによるポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットを生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、今日、プラスチックシートまたは包装用途のためのボトルなどの中空物品の製造を含めて、多様な分野において使用されている。これに関して特別重要なのは、高い弾力性と組み合わせた高靭性および高温安定性などの様々な肯定的な特徴にある。
【0003】
ポリエチレンテレフタレート(PET)を生成するための、現在熟練した方法および装置において、メルトは一般にポリ縮合を受ける。こうして生成されるメルトは次いでまず第一に、例えばストランドペレット化または水中ペレット化の手段によってペレット化される。しかし70℃を超える高温で、こうしたペレット化されたPET材料は凝集する傾向がある。こうしたペレット化されたPET材料のさらなる加工中の凝集によって引き起こされる問題を回避するために、ペレットは、例えば結晶化しなければならない。結晶化度は、例えば、生成後の完成ペレットの比較的複雑な密度測定によって決定される。
【0004】
米国特許US7,192,545B2は、液媒体中のペレット形態におけるポリエステルポリマー材料の熱結晶化のための方法に関し、ここで、材料の流入時における液媒体の温度は、関連材料の温度がそのガラス転移点温度を下回る温度に下がる前に該材料のガラス転移点温度を超えている。これに関して、水中ペレット化装置を使用することができる。こうして得られたペレットの達成された結晶化度は、引き続いて、融点測定の手段によって、または粘度測定の手段によって手間および時間のかかる方法で決定される。
【0005】
ドイツ特許出願DE19848245A1は、例えばホットカットペレット化による、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を含めて熱可塑性のポリエステルまたはコポリエステルのペレット化および結晶化のための方法に関し、ここで、液体への関連一次生成物の流入時に、一次生成物の材料の結晶化は、100℃を超える温度に液体を維持しながら加速される。前記特許出願に示されている詳細によると、達成された結晶化度は、引き続いて、動的示差熱量測定の方法の手段によって手間および時間のかかる方法で決定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の不利な点を克服すること、および特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットを生成するための方法を提供することであり、ここで、前記方法は、簡便で費用効果的であるが再現可能および制御可能な方法で、容易にさらなる加工が可能なポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットの生成を確実に可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、請求項1に記載の特徴を有する方法によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の有利な実施形態は、それぞれの下位請求項において定義されている。
【0009】
ポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットを生成するための本発明による方法は、以下のステップを含む。
−ポリ縮合の手段によって、またはリサイクル材料からポリエチレンテレフタレート(PET)のメルトを生成するステップ、
−水中ペレット化の手段によって、例えばAutomatik Plastics Machinery GmbHによってSPHERO(登録商標)の製品名称で作製され、市場に出されている種類の水中ペレタイザーの手段によってメルトからペレットを生成するステップであって、ここで、ペレットはプロセス流体にペレット化されるステップ、
−プロセス流体における水中ペレット化の部位からペレットを除去するステップ、
−プロセス流体中のペレットを結晶化するステップ、
−プロセス流体中のペレットを抽出するステップであって、ここで、好ましくは、インペラー抽出器を提供することができ、好ましくは、ペレットがその中に含有されているプロセス流体の周囲圧力を超える任意の過剰の圧力を排除することができるステップ、および
−プロセス流体からペレットを分離するステップ、ここで、
結晶化ステップにおいて、ペレットの内部が非結晶のままとなるようにペレットの表面のみが結晶化され、プロセス流体の温度が、ポリエチレンテレフタレート材料の配合に依存してペレットのポリエチレンテレフタレート材料の事前に実験的に決定された最大結晶化速度が達する値に調整され、結晶化ステップの後に、ペレットの表面の不透明性が、達成された結晶化度の測度として、およびペレットの表面での達成された結晶化深度の測度として決定される。好ましいことに、必要であれば、水などの後冷却流体中において例えば40℃の温度で、特に好ましくはプロセス流体とともにペレットを抽出した後、ペレットを後冷却するための追加の後冷却ステップを提供することができ、ここで、特に好ましいことに、プロセス流体自体が後冷却流体として働くことができる。
【0010】
したがって本発明によると、ペレットの内部が非結晶のままとなるように最初に生成ペレットの少なくとも表面のみが最大結晶化速度で結晶化され、さらに、こうして生成されたペレットの表面の不透明性は、引き続いてオンラインで、即ち本発明による方法の一部として直接、好ましくは例えば結晶化後に直接、前記方法の材料の流れの中で、達成された結晶化度として、即ち結晶化領域における結晶化の強度の測度として、および達成された結晶化の深度、即ちペレットの表面の結晶化の3次元拡張の測度として決定される。本発明によると、ペレットの表面の不透明性は、好ましいことに、ペレットが未だプロセス流体中にある間に決定することができる。本発明によると、ペレットの不透明性は、好ましいことに、ペレットがプロセス流体から分離された後に決定することもできる。ペレットの表面の不透明性は、好ましいことに、ペレットの結晶化の部位で直接決定することができる。従来技術とは異なり、ペレットを最初に乾燥させる必要がなく(しかしこれも、本発明によって可能である)、本発明によると、ペレットは、それらが生成工程を通過した後でのみ、追加の手間のかかる実験室ベースの測定方法にてそれらの結晶化に関してオフラインで試験する必要がない。
【0011】
本発明による方法は、ポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットの特に簡便および費用効果的な生成を可能にし、ここで、本発明による方法は、再現可能および制御可能な方法で、容易に、さらなる加工が可能なペレットをポリエチレンテレフタレート(PET)材料から確実に生成し、ここで、前記ペレットは、それらが使用される時までの時間に凝集することがない。
【0012】
本発明によると、ペレットの表面の不透明性は、ペレットの表面の前記不透明性が屈折によって光学的に決定されるならば、特に迅速および簡便な方法で決定することができる。これには、ペレットに向けられるレーザー光などの光が伴い、ここで、本発明によると、光の測定偏向、または光の強度における低減を利用することで、好ましいことに、不透明性およびしたがってペレットの表面での達成された結晶化を低減することができる。
【0013】
特に有効であるのは、好ましくはペレットの表面の不透明性の決定ステップにおいて、特に好ましくは光学的屈折によって決定されるペレットの表面の不透明度が変化する場合、プロセス流体温度および/または結晶化ステップの持続期間が、好ましくは直接、(前述の)結晶化ステップにおいて適宜変えられる本発明による方法の実施形態である。プロセス流体の温度、およびしたがって結晶化ステップにおいてペレットに作用する温度のパラメータに影響を与えることによって、ならびに/またはペレットが結晶化ステップにおいて決定された温度のプロセス流体に曝露される持続期間を変えることによって、好ましいことに、本発明によると、効率的および迅速に、特に簡便および速い方法でペレットの表面のみの最適な結晶化度を達成することが可能である。
【0014】
有利なことに、事前の実験において、結晶化ステップにおけるプロセス流体の温度は、前記温度が180℃±10℃の範囲である場合に適当であったと証明される。ポリエチレンテレフタレート材料の、これまでに研究されてきた配合に関して、ポリエチレンテレフタレート材料の、事前に実験的に決定された最大結晶化速度は、前記温度の範囲である。
【0015】
好ましいことに、本発明による方法を用いると、結晶化ステップにおいて、プロセス流体中のペレットの保持時間は、好ましくは0.5分から10分の範囲、特に好ましくは1分から5分の範囲であるべきであることが判明した。
【0016】
生成ペレットの十分な表面結晶化を達成するために、および同時に、本発明によって提供されている通り、ペレットの内部が確実に非結晶のままであることを確実にするために、ペレットの表面の結晶化深度が好ましくはペレットの半径の最大10%までだけであるように結晶化ステップを実行するべきである。
【0017】
好ましいことに、本発明による方法において、水中ペレット化、ペレットの除去および結晶化ステップに関して、プロセス流体は、周囲圧力を超える増加した圧力であってよく、該圧力は、好ましくは1バール以上、より好ましくは3バール以上、さらにより好ましくは4バール以上、および特に好ましくは10バール以上である。例えば、水がプロセス流体として使用される場合、圧力は10バール以上であるべきであり、なぜならば前記圧力範囲において、プロセス流体としての水が蒸気相にクロスオーバーすることなく180℃±10℃の好ましい温度を有し得るからである。
【0018】
本発明によって生成されるペレットのさらなる加工性をさらに改善することを可能にするために、結晶化ステップの後に、ペレットは、それらが使用される時まで、最大結晶化速度の温度を下回る温度に維持されなければならない。これは、特に、ペレットが例えば後縮合(SSP)を追加として受けることができる追加の下流加工ステップを指す。本発明によって生成されるペレットをさらに加工する場合のみ、例えばプラスチックボトルの生成(本発明によって生成されるペレットを使用することができる)において、そこで用いられる加工温度は、次いで、本発明による結晶化ステップにおける最大結晶化速度の、ここで調節される温度を超えて調節することができ、なぜならばペレットの溶融が次いで、それに続く使用中に再度要求されるからである。
【0019】
好ましくは、プロセス流体は、水、周囲空気または窒素の未完全な群から選択される流体である。
【実施例】
【0020】
ここで本発明を、実施例を参照してより詳細に説明するが、ここで、下に記載されている試験は本出願人によって行われた。
【0021】
0.75dl/gの固有粘度を有するポリエチレンテレフタレート(PET)材料を、Automatik Plastics Machinery GmbHによって製造されたSPHERO(登録商標)水中ペレタイザーのダイプレートを介して1時間当たり1ノズル穴当たり35kgの押出し速度で、プロセス流体として水中に押し出し、ノズル穴から出した直後に、刃物装置によってペレットに切断した。こうして水中にペレット化した後、水中ペレット化の部位から水中でペレットを除去した。水の温度は、次いで結晶化を確実にするステップ中の3つの段階において実験的には多様であり、水圧をそれぞれの水温に従って調節したので、水が蒸発しなかった。本発明による結晶化ステップに従った均一な保持時間の後、引き続いてペレットを、インペラー抽出器を介して水中ペレット化のゾーンから抽出し、水から分離し、その後、追加の水浴中にて40℃でさらに冷却し、その後、乾燥ステップにかけた。その後すぐに、ペレットの試料を取り出して、本発明によって不透明度を決定した。こうして得られたペレットの薄片の追加の顕微鏡検査に基づいて、それぞれのペレットの結晶質表面層の決定された不透明度と厚さとの間の相関関係を次いで確定した。
【0022】
こうして実行された試料の試験は以下の結果を生じた。
全ての試料に関して、
−生成ペレットの平均直径:2.7mm
−結晶化ステップにおけるプロセス流体(水)中のペレットの各保持時間:75秒
【0023】
【表1】

【0024】
こうして生成されたペレットは、例えば、PETボトル生成におけるさらなる加工のために使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−ポリエチレンテレフタレート材料のメルトを生成するステップ、
−プロセス流体への水中ペレット化の手段によってメルトからペレットを生成するステップ、
−プロセス流体における水中ペレット化の部位からペレットを除去するステップ、
−プロセス流体中のペレットを結晶化するステップ、
−プロセス流体中のペレットを抽出するステップ、
−プロセス流体からペレットを分離するステップ
によってポリエチレンテレフタレートペレットを生成するための方法において、
結晶化ステップにおいて、ペレットの内部が非結晶のままとなるようにペレットの表面だけが結晶化され、プロセス流体の温度が、ポリエチレンテレフタレート材料の配合に依存して、ペレットのポリエチレンテレフタレート材料の事前に実験的に決定される最大結晶化速度が達せられる値に調整され、結晶化ステップの後に、ペレットの表面の不透明性が、達成された結晶化度の測度として、およびペレットの表面での達成された結晶化深度の測度として決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
ペレットの表面の不透明性が屈折によって光学的に決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ペレットの表面の不透明度が変化する場合、プロセス流体の温度および/または結晶化ステップの持続期間が結晶化ステップにおいて適宜変えられることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
結晶化ステップにおいて、プロセス流体の温度が180℃±10℃の範囲であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
結晶化ステップにおいて、プロセス流体中のペレットの保持時間が0.5分から10分の範囲、好ましくは1分から5分の範囲であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ペレットの表面の結晶化深度がペレットの半径の最大10%までであるように、結晶化ステップが実行されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
水中ペレット化、ペレットの除去および結晶化ステップに関して、プロセス流体が周囲圧力を超える増加した圧力であり、前記圧力が好ましくは1バール以上、より好ましくは3バール以上、さらにより好ましくは4バール以上、および特に好ましくは10バール以上あることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
結晶化ステップの後に、ペレットが、それらが使用される時まで、最大結晶化速度の温度を下回る温度に維持されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
プロセス流体が、水、周囲空気または窒素の未完全な群から選択される流体であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−518742(P2013−518742A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551557(P2012−551557)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000566
【国際公開番号】WO2011/095361
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(509267269)オートマティック プラスティックス マシーナリー ゲーエムベーハー (11)
【Fターム(参考)】