説明

ポリオキシメチレン共重合体成形材料からなる射出成形体

【課題】表面外観良好で、且つ高い熱安定性を有するポリオキシメチレン共重合体成形材料からなる射出成形体を提供する。
【解決手段】限定された重合温度及び/又は重合収率条件下でトリオキサンと1,3ジオキソランを、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、及び酸素原子またはイオウ原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の重合触媒の存在下に共重合することにより、射出成形片の表面10mm×10mm当たりに存在する長径250μm以上、深さ2μm以上の凹部の数が20個以下の表面外観良好で且つ熱安定性に非常に優れるポリオキシメチレン共重合体成形材料からなる射出成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリオキシメチレン共重合体成形材料からなる射出成形体に関し、更に詳しくは、外観及び熱安定性良好なポリオキシメチレン共重合体成形材料からなる射出成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシメチレン共重合体は、優れた機械物性や成形加工性を有するため、成形材料として種々の分野で幅広く利用されているエンジニアリングプラスチックである。ポリオキシメチレン共重合体成形材料が、例えば自動車内装部品等に使用される場合には表面外観性に優れていることが重要である。表面外観が不良であると高級感を損なう等大きな支障となることがある。ポリオキシメチレン共重合体は、一般に公知の、例えば、三フッ化ホウ素系の触媒を用いて、トリオキサンとトリオキサンと共重合しうるエチレンオキサイド、1,3ジオキソラン等の環状エーテルとを共重合させて得られるが、これら公知の方法で得られたポリオキシメチレン共重合体を成形材料として使用すると、成形後の製品の表面に凹部が存在し、表面外観性が充分でないという問題があった。
また、ポリオキシメチレン共重合体は熱安定性の高いことが重要である。ポリオキシメチレン共重合体の熱安定性については、例えば、環状エーテルとして1,3ジオキソランを使用すると、エチレンオキサイドを使用する場合に比べて、ポリオキシメチレン共重合体の熱安定性を向上させうるということが知られている。しかし、この方法でも、得られたポリオキシメチレン共重合体の熱安定性は充分ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は表面外観良好で、且つ高い熱安定性を有するポリオキシメチレン共重合体成形材料からなる射出成形体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは鋭意検討した結果、トリオキサンと1,3ジオキソランとを、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、及び酸素原子または硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の重合触媒の存在下に共重合させてポリオキシメチレン共重合体を得る際に、ある特定の重合条件下及び/又は後処理条件下で得られたポリオキシメチレン共重合体のみが、表面外観良好で且つ高い熱安定性を有することを見出し本発明に到った。
即ち、本発明は、射出成形体の平滑な表面10mm×10mm当たりに存在する長径250μm以上、深さ2μm以上の凹部の数が20個以下のポリオキシメチレン共重合体成形材料からなる射出成形体に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、限定された重合温度及び/または重合収率条件下でトリオキサンと1,3ジオキソランを、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、及び酸素原子または硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の重合触媒の存在下に共重合することにより、表面外観良好で且つ熱安定性に非常に優れるポリオキシメチレン共重合体成形材料からなる射出成形体が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明が提供する成形材料は表面外観性の改良されたものであるが、本発明の表面外観性とは、具体的には、射出成形体の平滑な表面に存在している凹部の数の多い少ないを示している。図1に凹部の形状の1例を示した。図1はあくまで1例であり凹部の形状のすべてに当てはまるわけではない。凹部の形成機構の詳細については不明であるが、凹部のポリオキシメチレン共重合体の分子量、結晶化度、分子のからみ方、融点等が凹部以外の部分と極端に異なることによって、成形時に溶融したポリオキシメチレン共重合体が冷却固化するときの固化速度が凹部と凹部以外の部分で異なること等によって図1の様な凹部が形成されるものと推定される。
【0007】
本発明において、凹部は次の方法により測定される。まず、射出成形機は住友重機械工業株式会社製のネスタール75Aを使用し、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、成形サイクルタイム33秒(射出10秒、冷却20秒、インターバル3秒)、射出圧力430kgf/cm2 で縦50mm、横70mm、厚さ3mmの平板成形片を作成し、その平板表面の10mm×10mmの範囲の三次元形状を株式会社キーエンス製のレーザーフォーカス変位形LT−8010にて測定する。測定結果から、表面外観上問題となる長径250μm以上、深さ2μm以上の凹部の数をカウントし表面外観性の良悪を判断した。ここで、長径及び深さは図1に定義されたものである。
【0008】
尚、凹部の数は、金型温度及び射出圧力に対して依存性があり、金型温度が高い程、また、射出圧力が高い程減少する傾向にある。よって、凹部の数を比較する場合は、必ず金型温度と射出圧力を一定にして比較する必要がある。また、凹部の数は、ポリオキシメチレン共重合体のメルトフローレートにも若干依存する。よって、凹部の数を厳密に比較する場合には、ほぼ同一のメルトフローレートのポリオキシメチレン共重合体同志で比較する必要がある。本発明は、上記方法で測定される長径250μm以上、深さ2μm以上の凹部の数が20個以下のポリオキシメチレン共重合体成形材料からなる射出成形体を提供するものである。更に、本発明では、ポリオキシメチレン共重合体の凹部の数が少ない程熱安定性に優れることを意外にも見出し、表面外観良好であると同時に熱安定性にも優れたポリオキシメチレン共重合体射出成形体を提供する。
【0009】
本発明のポリオキシメチレン共重合体は、主モノマーとしてトリオキサン、コモノマーとしては環状エーテルを用い、これらを三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、及び酸素原子または硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の重合触媒の存在下に共重合させて得られる。先に述べたように、好ましいコモノマーとしては1,3ジオキソランである。1,3ジオキソランを用いると、最も一般的で広く使用されているコモノマーであるエチレンオキサイドを用いた場合と比較して熱安定性に非常に優れるという利点を有する。しかしながら、表面外観性は充分でないという問題があった。本発明者らは、この優れた熱安定性を維持しつつ、表面外観性の問題を解決すべく鋭意研究した結果、表面外観性を大幅に改善すると同時に元々優れていた熱安定性を更に向上させる方法を見出し本発明に到達したものである。
【0010】
本発明においては、トリオキサンと1,3ジオキソランとを三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、及び酸素原子または硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の重合触媒の存在下に共重合させるときの重合温度と重合収率が重要な点である。本発明では、重合温度が90℃以上125℃以下であるか、または、重合温度が70℃以上90℃未満で且つ重合収率が85%以下である必要がある。重合温度が70℃以上90℃未満では成形時に凹部の原因になるポリオキシメチレン共重合体が生成し、その生成量は重合収率が高いほど多くなる。特に、重合収率が85%を超えると成形時に凹部になるポリオキシメチレン共重合体の生成量が急激に増加し実用上問題となる外観不良が発生する。したがって、重合温度が70℃以上90℃未満では重合収率は85%以下にする必要がある。一方、重合温度が90℃以上125℃未満である場合は重合収率は特に規定されない。重合温度が90℃以上125℃未満では重合収率が85%を超えても成形時に凹部の原因になるポリオキシメチレン共重合体は殆ど生成しない。
【0011】
本発明において、例えば、重合収率90%で外観良好なポリオキシメチレン共重合体を得ようとする場合には、重合温度90℃以上125℃以下で重合収率90%まで重合を行うか、または、重合温度70℃以上90℃未満で重合収率85%まで重合を行い、その後温度を上げて重合温度90℃以上125℃未満で重合収率85%超から90%まで重合を行うことによって得ることが出来る。重合収率は重合温度、重合触媒濃度、重合時間、コモノマーである1,3ジオキソラン濃度等により変わるため、例えば、重合温度とコモノマー濃度が規定されている場合には、重合触媒濃度と重合時間を適当に選択することにより所定の重合収率を得ることが出来る。
重合温度が125℃以上では解重合が優先になり、重合収率が大幅に低下するため工業的に適用できない。また、重合温度が70℃未満では表面外観不良のポリオキシメチレン共重合体しか得られない。重合温度が90℃以上125℃未満、または、重合温度が70℃以上90℃未満で、且つ、重合収率が85%以下という限定された条件で共重合させた場合のみ射出成形時に凹部の原因になるポリオキシメチレン共重合体の生成が抑制され、この条件で得られたポリオキシメチレン共重合体のみが、射出成形体の平滑な表面10mm×10mm当りに存在する長径250μm以上、深さ2μm以上の凹部の数が20個以下のポリオキシメチレン共重合体成形材料を提供できる。
【0012】
本発明の共重合反応は、例えば塊状重合で行われ、塊状重合はバッチ式、連続式いずれによっても可能である。この塊状重合は、溶融状態にあるモノマーを用い、重合の進行とともに固体塊状のポリマーを得る方法が一般的である。本発明に用いられる重合装置としては、バッチ式では一般に用いられる攪拌機付きの反応槽が使用でき、また連続式としては、コニーダー、2軸スクリュウ式連続押出機、2軸のパドル型連続混合機等のセルフクリーニング型リアクターが使用可能であり、また2種以上タイプの重合装置を組み合わせて使用することも可能である。
本発明では、重合装置としてジャケット付きの2軸セルフクリーニングリアクターが好んで使用される。ジャケットは、分割タイプ、非分割タイプいずれも使用可能であるが、分割タイプの方が各分割領域ごとに温度制御が可能でリアクター内での重合反応制御が厳密に行えるため好んで使用される。本発明において2軸セルフクリーニングリアクターを使用する場合は、2軸セルフクリーニングリアクターのバレル内面温度が規定される。通常2軸セルフクリーニングリアクターにおいては、リアクター内のモノマーまたは、生成するポリマーの温度を検出し、これらの温度を所定値にするようにジャケット温度を制御する。
【0013】
ジャケットは、リアクター内で発生する重合熱を除去するためリアクター内のモノマー及び生成するポリマーの温度よりも通常低温度に制御される。また、2軸セルフクリーニングリアクターのサイズが大きくなると重合熱の除去効率が低下するためジャケットはより低温度に制御する必要がでてくる。この様に運転が行われるため2軸セルフクリーニングリアクターではバレル内面が最も低温度となりバレル内面からリアクターの中心軸に向かって徐々に温度が高くなるという温度勾配が生じる。
よって、本発明の重要な点は、重合温度を規定することであるが、バレルから離れたところの温度を規定してもバレル内面壁近傍はその規定温度よりも低い温度で重合されていることになり、バレル内面壁近傍で成形時に凹部の原因となるポリキシメチレン共重合体が生成するため、2軸のセルフクリーニングリアクターを用いる場合には最も低温度となるバレル内面温度を規定する必要がある。バレル内面温度は熱電対等により測定される。また、重合熱除去をより効率的に行うため2軸セルフクリーニングリアクターの攪拌軸に冷媒を流して冷却する方法が知られているが、この場合攪拌軸表面も低温度となって凹部の原因となるポリオキシメチレン共重合体が生成するため、この方法を実施する場合はバレル内面温度と同様に当然攪拌軸表面温度も規定してやる必要がある。
【0014】
また、本発明において2軸セルフクリーニングリアクターを使用する場合には、バレル全領域についての内面温度を規定してやる必要はない。成形時に凹部の原因になるポリオキシメチレン共重合体は、重合反応の後半、つまり重合収率が40%以上で塊状もしくは粉体状のポリオキシメチレン共重合体が生成して以降に発生する。したがって、バレル内面温度は、2軸セルフクリーニングリアクターの少なくとも後半20%の範囲、つまり、2軸セルフクリーニングリアクターの長さLに対して排出側から少なくとも0.2Lの長さに相当する範囲について規定する必要がある。もちろん、排出側から0.2L以上の長さの範囲であれば、更に長い範囲のバレル内面温度を規定しても何ら差し支えない。例えば、排出側から30%、つまり0.3Lの長さの範囲のバレル内面温度を規定した場合、残りの70%の部分、つまり供給口側から0.7Lの長さの範囲のバレル内面温度は任意であるが、通常はトリオキサンの融点以上の温度が選ばれる。この様に、2軸セルフクリーニングリアクターでは重合反応の各領域の温度を細かく制御できる。
【0015】
本発明では、重合装置として2軸セルフクリーニングリアクターを使用する場合には、ジャケット温度を制御することにより、排出口側から2軸セルフクリーニングリアクターの長さの20〜100%に相当する連続する範囲のバレル内面温度を90℃以上125℃以下に制御するか、または、20〜100%に相当する連続する範囲のバレル内面温度が70℃以上90℃未満では、重合収率が85%以下になるように共重合を行うことが必要である。バレル内面温度が90℃以上125℃以下では、重合収率は任意であるが、バレル内面温度が70℃以上90℃未満では、重合収率が85%を超えると成形時に凹部の原因になるポリオキシメチレン共重合体が大量に生成するため、重合収率は85%以下にする必要がある。
【0016】
本発明において、重合装置としてジャケット付き2軸セルフクリーニングリアクターを使用する場合は、2軸セルフクリーニングリアクターを複数台直列につないで使用することも可能である。工業的には、経済性を考えて、2軸セルフクリーニングリアクターを2台直列につないで使用することが好ましい。2台直列につなぐと原料供給流量が同じ場合には1台単独に比べて滞留時間が増えるためにより高い重合収率で運転可能で、例えば、未反応トリオキサンの回収処理費用が少なく経済的である。また、重合収率を上げる必要がない場合には、例えば、原料供給流量を増やして、ポリオキシメチレン共重合体の生産能力を上げることも可能である。
【0017】
本発明において、重合装置として2軸のセルフクリーニングリアクターを2台直列で使用する場合には、2台目の2軸セルフクリーニングリアクターの排出口側から2台の2軸セルフクリーニングリアクターの長さの和の少なくとも20%〜100%に相当する範囲、つまり、1台目と2台目の2軸セルフクリーニングリアクターの長さの和L(1台目がL1、2台目がL2だとするとL=L1+L2)に対して、2台目の2軸セルフクリーニングリアクターの排出側から0.2L〜Lに相当する連続する範囲のバレル内面温度を90℃以上125℃以下にするか、または、20%〜100%に相当する連続する範囲のバレル内面温度が70℃以上90℃未満では、重合収率が85%以下になるように共重合を行うことが必要である。
【0018】
バレル内面温度が90℃以上125℃以下では、重合収率は任意であるが、バレル内面温度が70℃以上90℃未満では、重合収率が85%を超えると成形時に凹部の原因になるポリオキシメチレン共重合体が大量に生成するため、重合収率は85%以下にする必要がある。重合機と重合機の連結部は、閉塞防止のためジャケット付きで、且つバフ仕上げ等により内面が平滑にされた短管が通常好んで使用され、短管内面の壁温は、壁面での重合防止のため125℃以上に維持されることが好ましい。本発明において、重合時間は特に制限はないが、一般に10秒〜200分以下が選ばれる。
本発明に用いられる1,3ジオキソランは、主モノマーであるトリオキサン1モルに対して0.02モル%以上15モル%以下の量で用いられる。好ましくは0.1モル%以上10モル%以下である。また、1,3ジオキソラン中に含有される2メチル−1,3ジオキソランの含有量が500重量ppm以下で、且つパーオキサイドの含有量が過酸化水素換算で15重量ppm以下、更に少なくとも一種の立体障害性フェノールが10〜500重量ppm添加された1,3ジオキソランを用いると好ましい。
【0019】
本発明における重合触媒は、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、及び酸素原子または硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種であり、ガス状または適当な有機溶剤の溶液として使用される。特に好ましい重合触媒は、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジブチルエーテルのような三フッ化ホウ素の配位錯化合物である。これらの重合触媒の濃度は、全モノマー1モルに対して0.3×10-5から10×10-5モル、好ましくは全モノマー1モルに対して0.8×10-5から5×10-5モル、更に好ましくは全モノマー1モルに対して0.8×10-5から3×10-5モルである。重合触媒が全モノマー1モルに対して0.3×10-5モルより少ないと重合反応速度が非常に遅くなり、例えば重合装置が非常に大型化する等の問題が発生し実際の使用には適さない。また、重合触媒が全モノマー1モルに対して10×10-5モルより多いと副反応により高分子量のポリオキシメチレン共重合体の製造が困難になる。
【0020】
重合装置出口より排出された塊状または粉体状のポリオキシメチレン共重合体は、通常触媒の失活操作及び/又は乾燥操作により処理された後末端安定化処理に供される。本発明において、末端安定化前に行う操作としては、触媒の失活操作を行わずにポリオキシメチレン共重合体の融点以下の温度で、不活性ガス雰囲気下において加熱乾燥する方法や、塩基性物質を添加してポリオキシメチレン共重合体の融点以下の温度で、不活性ガス雰囲気下で触媒の失活操作を行った後乾燥する方法、また、ポリオキシメチレン共重合体を塩基性物質を含有する水および/または有機溶剤の溶液中に添加して触媒の失活操作を行った後、ポリオキシメチレン共重合体を濾過分離し、ポリオキシメチレン共重合体の融点以下の温度で不活性ガス雰囲気下で乾燥する方法、等のいずれの方法も実施可能である。
【0021】
以下に末端安定化前に行う操作について詳細に説明する。
まず、本発明においては、重合装置出口より排出された塊状または粉体状のポリオキシメチレン共重合体は、触媒の失活操作を行わずにポリオキシメチレン共重合体の融点以下の温度で、不活性ガス雰囲気下で加熱乾燥する方法が実施可能である。加熱乾燥により未反応モノマーや重合触媒が揮発低減される。重合装置出口より排出されたポリオキシメチレン共重合体は、未反応モノマーや重合触媒の揮発除去効率向上のために必要に応じて加熱乾燥前に粉砕される。加熱乾燥温度は通常ポリオキシメチレン共重合体の重合装置出口温度以上融点以下であり、120℃から150℃程度が好ましい。温度が低いと未反応トリオキサンや重合触媒の除去効率が低下し装置が大型化する。また、融点を超えるとポリオキシメチレン共重合体が溶融してしまう。また、加熱乾燥時間は、5分間から200分間、好ましくは10分間から90分間である。加熱乾燥時間が短いと未反応モノマーや重合触媒の除去不足となり、200分間を超えると除去は十分であるが、装置が大型化する。
【0022】
加熱乾燥後のポリオキシメチレン共重合体は、従来公知の塩基性物質水溶液にポリオキシメチレン共重合体を添加する等の重合触媒の失活操作を行った後末端安定化操作に供するか、または、直接末端安定化操作に供する。
また、本発明においては、重合装置出口より排出された塊状または粉体状のポリオキシメチレン共重合体に塩基性物質を添加して、ポリオキシメチレン共重合体の融点以下の温度で、不活性ガス雰囲気下触媒の失活操作を行い、その後不活性ガス雰囲気下で乾燥する方法も実施可能である。重合装置出口より排出されたポリオキシメチレン共重合体は、失活を効率的に行うために、更に乾燥時の未反応モノマーや重合触媒の揮発除去効率向上のために必要に応じて失活操作の前に粉砕される。重合触媒の失活に用いられる塩基性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機弱酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
【0023】
具体的な例としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ストロンチウム、もしくはバリウムの水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩等である。また、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物も失活剤として使用することが出来る。これら塩基性物質は、常温で固体状のものは固体のままで、また、液体状のものは液体のままの状態で添加することも可能であるし、また、水やその他適当な有機溶剤に溶解または分散した状態で添加することも可能である。また、アンモニアやトリエチルアミン等についてはその蒸気をポリオキシメチレン共重合体と接触させることにより重合触媒の失活を行うことも可能である。
失活温度は、通常ポリオキシメチレン共重合体の重合装置出口温度以上融点以下であり、70℃から150℃が好ましい。
【0024】
塩基性物質は、ポリオキシメチレン共重合体に対して通常0.001重量%から5重量%が添加される。また、塩基性物質を水その他適当な有機溶剤に溶解または分散して添加する場合には、塩基性物質溶液はポリオキシメチレン共重合体に対して通常10重量%以下で添加される。アンモニアやトリエチルアミン等の蒸気をポリオキシメチレン共重合体と接触させて失活する場合には、不活性ガス中の塩基性物質蒸気の含有量は、体積%で1%から100%である。
失活時間は1分間から200分間、好ましくは10分間から90分間である。失活時間が短いと重合触媒の失活が不十分となり、200分間を超えると失活は十分であるが装置が大型化する。失活後のポリオキシメチレン共重合体は乾燥操作に供される。乾燥温度は通常失活温度以上ポリオキシメチレン共重合体の融点以下であり、120℃から150℃程度が好ましい。温度が低いと未反応トリオキサンや重合触媒の除去効率が低下する。また、融点を超えるとポリオキシメチレン共重合体が溶融してしまう。
【0025】
また、加熱乾燥時間は、5分間から200分間、好ましくは10分間から90分間である。加熱乾燥時間が短いと未反応モノマーや重合触媒の除去不足となり、200分間を超えると除去は十分であるが、装置が大型化する。また、失活温度における塩基性物質の蒸気圧が低い場合には、失活と同時に乾燥を行ってもポリオキシメチレン共重合体中に含有される塩基性物質含有量の揮発低下が少ないため、失活と同時に乾燥を行うことも可能である。この方法では、乾燥時間の短縮、場合によっては乾燥操作が不要になる。乾燥後のポリオキシメチレン共重合体は、末端安定化操作に供する。
また、本発明においては、重合装置出口より排出された塊状または粉体状のポリオキシメチレン共重合体を、塩基性物質を含有する水及び/または有機溶剤の溶液中に添加して触媒の失活操作を行った後、ポリオキシメチレン共重合体の融点以下の温度で、不活性ガス雰囲気下で乾燥する方法も実施可能である。重合装置出口より排出されたポリオキシメチレン共重合体は、失活を効率的に行うために、更に乾燥時の未反応モノマーや重合触媒の揮発除去効率向上のために必要に応じて失活操作の前に粉砕される。
【0026】
重合触媒の失活に用いられる塩基性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機弱酸塩、有機酸塩等が挙げられる。具体的な例としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ストロンチウム、もしくはバリウムの水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩等である。また、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物も失活剤として使用することが出来る。特に、トリエチルアミン等のアミン化合物の水溶液やアミン化合物の水/メタノール混合溶液等が好ましく使用される。ポリオキシメチレン共重合体は、重量でポリオキシメチレン共重合体の1.5倍量から10倍量の塩基性物質を含有する水及び/または有機溶剤溶液に添加され失活される。
【0027】
失活温度は、重合反応を停止させるために重合装置出口温度より低くされるのが通常であり、ポリオキシメチレン共重合体の温度を30℃以下に急冷する方法等が知られているが、この場合、重合触媒が失活されるまでの間に若干重合反応が進行し、成形時に凹部の原因になるポリオキシメチレン共重合体が生成する可能性がある。したがって、ポリオキシメチレン共重合体を、塩基性物質を含有する水及び/または有機溶剤の溶液中に添加して触媒の失活操作を行う場合には、成形時に凹部の原因になるポリオキシメチレン共重合体の生成を抑制するために、重合触媒濃度は、全モノマー1モルに対して0.8×10-5から3×10-5モル、好ましくは0.8×10-5から2×10-5モルの条件で共重合することが必要である。
【0028】
更に、失活温度は50℃以上、塩基性物質を含有する水および/または有機溶剤の溶液の沸点以下の温度であることが好ましい。失活温度が50℃未満だと重合触媒の失活に時間がかかり成形時に凹部に原因になるポリオキシメチレン共重合体が生成しやすい。また、塩基性物質を含有する水および/または有機溶剤の溶液の沸点を超える温度だと、常圧での操作が困難である。失活時間は1分間から200分間、好ましくは10分間から120分間である。失活時間が短いと失活が不十分になり、200分間を超えると失活は十分であるが装置が大型化する。失活後のポリオキシメチレン共重合体は濾別分離された後乾燥操作に供される。乾燥温度は通常失活温度以上ポリオキシメチレン共重合体の融点以下であり、120℃から150℃程度が好ましい。温度が低いと未反応トリオキサン、重合触媒や塩基性物質含有溶液の除去効率が低下する。また、融点を超えるとポリオキシメチレン共重合体が溶融してしまう。
また、加熱乾燥時間は、5分間から200分間、好ましくは10分間から90分間である。加熱乾燥時間が短いと未反応モノマー、重合触媒や塩基性物質含有溶液の除去不足となり、200分間を超えると除去は十分であるが、装置が大型化してしまう。乾燥後のポリオキシメチレン共重合体は、末端安定化操作に供する。
【0029】
本発明において、ポリオキシメチレン共重合体の末端安定化は、従来公知の方法、例えば、ベント付き単軸スクリュウ式押出機、またはベント付き2軸スクリュウ式押出機を用い塩基性物質の存在下で溶融加水分解によって行うことが出来る。
末端安定化の温度は、ポリオキシメチレン共重合体の融点以上250℃以下である。
塩基性物質としては、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族のアミン化合物が挙げられる。他の塩基性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機弱酸塩、有機酸塩等が挙げられる。具体的な例としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ストロンチウム、もしくはバリウムの水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩等である。特に、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物が好ましい。
【0030】
これらの塩基性物質の添加量はポリオキシメチレン共重合体に対してアミン化合物の場合には、0.01重量%から5重量%、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機弱酸塩、有機酸塩等の場合には2ppmから5000ppm添加される。また、本発明においては水及び/または有機溶媒を塩基性物質と共に添加することもできる。
末端安定化の完了したポリオキシメチレン共重合体は、末端安定化前のポリオキシメチレン共重合体に含まれる未反応モノマーや末端安定化で発生したホルムアルデヒド等をベント部で減圧下で除去した後ペレタイズされる。
尚、本発明においては、熱、光、酸化等に起因する分解に対する安定剤の添加及びその他の添加剤の添加は末端安定化の前後いずれにおいても添加することが出来る。
【0031】
本発明において得られるポリオキシメチレン共重合体成形材料の融点は150℃以上173℃未満であることが好ましい。
また、本発明で得られるポリオキシメチレン共重合体成形材料は、添加剤を含有していても良く、具体的には、ポリオキシメチレン共重合体100重量部に対し、(A)酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体又は化合物、ギ酸捕捉剤、耐候安定剤及び離型剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.1〜10重量部、(B)補強材、導電材、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を0.1〜60重量部、及び/又は(C)顔料を0.001〜5重量部含有していることが好ましい。
【0032】
以下に各添加剤で好ましいものを例示する。
酸化防止剤としては、少なくとも一種のヒンダードフェノール系酸化防止剤が、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体又は化合物としては、ポリアミド樹脂、ポリアクリルアミドまたはその誘導体、アクリルアミドと他のビニルモノマーとの共重合体、及びアミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種が、ギ酸捕捉剤としては、アミノ置換トリアジン、アミノ置換トリアジンとホルムアルデヒドとの重縮合物、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩またはアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも一種が、耐候安定剤としては、ベンゾトリアゾール系物質、シュウ酸アニリド系物質及びヒンダードアミン系物質からなる群より選ばれる少なくとも一種が、離型剤としては、アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物及びシリコーンオイルからなる群より選ばれる少なくとも一種が、補強剤としては、無機フィラー、ガラス繊維、ガラスビーズ及びカーボン繊維からなる群より選ばれる少なくとも一種が、導電剤としては、導電性カーボンブラック、金属粉末及び金属繊維より選ばれる少なくとも一種が、熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及び未硬化のエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種が、熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー及びポリアミド系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく用いられる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例中の次の諸特性は次の方法によって測定される。
(1)重合収率:
重合後、乾燥して得られたポリオキシメチレン共重合体の重量を測定し、重合前の全モノマー仕込み重量に対する割合を重量%で求めた。
(2)MI(meltindex):
ASTM−D−1238により東洋精機社製のMELT INDEXERを用いて190℃、2169gの条件下でメルトインデックス(g/10min)を測定した。
【0034】
(3)射出成形体の平滑な表面10mm×10mm当たりに存在する長径250μm以上 、深さ2μm以上の凹部の数:
射出成形機は住友重機械工業株式会社製のネスタール75Aを使用し、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、成形サイクルタイム33秒(射出10秒、冷却20秒、インターバル3秒)、射出圧力430kgf/cm2 で縦50mm、横70mm、厚さ3mmの平板成形片を作成し、その平板表面の10mm×10mmの範囲の三次元形状を株式会社キーエンス製のレーザーフォーカス変位形LT−8010にて測定し長径250μm以上、深さ2μm以上の凹部の数を数えた。
(4)230℃空気中5%重量減に要する時間:
理学電機(株)製熱天秤を用い、電気炉にポリオキシメチレン共重合体を50mgと空気5Nl/Hrをフィードし、40℃から20℃/分の割合で昇温させる。230℃になってから、サンプル重量が5%減少するのに要した時間(分)を測定した。この値が大きい程ポリオキシメチレン共重合体の熱安定性が高いことを示す。
【0035】
(実施例1〜15、及び比較例1〜7)
表1及び表2に各実施例及び比較例の製造条件(2軸セルフクリーニングリアクターのバレル内面温度、重合触媒濃度、重合装置より排出されたポリオキシメチレン共重合体の処理方法)、重合収率、及び得られたポリオキシメチレン共重合体成形材料のMI、凹部の数、230℃空気中5%重量減に要する時間の測定結果をまとめて示す。
また、ポリオキシメチレン共重合体成形材料は以下の方法により製造した。
【0036】
〔重合装置〕
重合装置は、2インチのジャケット付き2軸セルフクリーニングリアクター(L/D=8)を使用した。ジャケットは2軸セルフクリーニングリアクターの長さ方向に対して5等分(ジャケット1つで2軸セルフクリーニングリアクターの長さの20%に相当)されており、原料供給口側よりNo.1〜No.5となっている。各ジャケットは個別に温度制御可能で、バレル内面温度が表1及び表2に示す温度になるようにジャケットを通す熱媒体の温度を制御した。
〔重合方法〕
3kg/Hrのトリオキサンに1,3ジオキソランをトリオキサン1モルに対して4.2モル%、分子量調整剤としてメチラールをMIが9〜10g/10分になるように0.8×10-3〜1.2×10-3の範囲で添加混合し2軸セルフクリーニングリアクターに連続的に供給した。この混合物に重合触媒として三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートを表1及び表2に示す量を加えて重合を行った。
【0037】
〔重合装置より排出されるポリオキシメチレン共重合体の処理方法〕
表1及び表2に示したように各実施例、比較例は次の3つの方法の内の1つを実施した。
(A)2軸セルフクリーニングリアクターから排出されたポリオキシメチレン共重合をジャケット付き攪拌ホッパーに受け入れ、窒素雰囲気下140℃で60分間加熱乾燥した。
(B)2軸セルフクリーニングリアクターから排出されたポリオキシメチレン共重合体をジャケット付き攪拌ホッパーに受け入れ、水酸化カルシウムをポリオキシメチレン共重合体に対して0.03重量%に添加し、窒素雰囲気下140℃で60分間失活及び乾燥を同時に行った。
(C)2軸セルフクリーニングリアクターから排出されたポリオキシメチレン共重合体を、ポリオキシメチレン共重合体の5倍量の1重量%トリエチルアミン水溶液で30分間失活後脱水し、窒素雰囲気下140℃で60分間乾燥した。
【0038】
〔末端安定化方法〕
乾燥後のポリオキシメチレン共重合体100重量部に対して酸化防止剤として2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)を0.3重量部添加し、池貝鉄鋼所製30mmベント付き2軸押出機に供給した。押出機の回転数は100rpm、温度は200℃とした。末端安定化に使用する塩基性物質として、トリエチルアミン水溶液を用いた。トリエチルアミン水溶液は、重量でトリエチルアミン1に対して水2の割合とした。トリエチルアミン水溶液の添加量は、ポリオキシメチレン共重合体100重量部に対して3重量部とし、溶融したポリオキシメチレン共重合体に連続的に添加した。末端安定化されたポリオキシメチレン共重合体は、ベント真空度30Torrの条件下において脱揮された。押出機ダイスより得られたポリオキシメチレン共重合体はストランドとして押出されペレタイズし、ポリオキシメチレン共重合体成形材料を得た。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
(実施例16)
重合装置としては、実施例1〜15と同一の重合機を2台直列にして用いた。バレル内面温度は1段目重合機のNo.1〜No.4は75℃、No.5は100℃とし、2段目重合機は全て100℃とした。この重合機に3kg/Hrのトリオキサンに1,3ジオキソランをトリオキサン1モルに対して4.2モル%、分子量調整剤としてメチラールをトリオキサン1モルに対して1.1×10-3モル添加混合し連続的に供給した。この混合物に重合触媒として三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートをトリオキサン1モルに対して1.5×10-5モル加えて重合を行った。重合機より排出されたポリオキシメチレン共重合体は実施例1〜15の(A)の方法で処理し、実施例1〜15と同じ末端安定化方法を行ってポリオキシメチレン共重合体成形材料を得た。重合収率は90%、MIは10.2g/分、凹部の数は6個、230℃空気中5%重量減に要する時間は70分であった。
【0042】
(比較例8)
重合装置は実施例1〜15と同じものを用い、バレル内面温度は、No.1〜No.5すべて80℃とした。3kg/Hrのトリオキサンにコモノマーとしてエチレンオキサイドをトリオキサン1モルに対して4.5モル%、メチラールを0.95×10-3モル添加混合し2軸セルフクリーニングリアクターに連続的に供給した。この混合物に重合触媒として三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートを4.5×10-3モル加えて重合を行った。重合機より排出されたポリオキシメチレン共重合体は実施例1〜15の(C)の方法で処理し実施例1〜15と同じ末端安定化方法を行ってポリオキシメチレン共重合体成形材料を得た。重合収率は73%、MIは9.9g/分、凹部の数は29個、230℃空気中5%重量減に要する時間は23分であった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明による限定された重合温度及び/または重合収率条件下でトリオキサンと1,3ジオキソランを、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、及び酸素原子または硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の重合触媒の存在下に共重合して得られたポリオキシメチレン共重合体成形材料を射出成形体に成形することにより、表面外観良好で且つ熱安定性に非常に優れるポリオキシメチレン共重合体成形材料射出成形体に供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】射出成形体の平滑な表面に存在する凹部の形状の一例を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形体の平滑な表面10mm×10mm当たりに存在する長径250μm以上、深さ2μm以上の凹部の数が20個以下のポリオキシメチレン共重合体成形材料からなる射出成形体。
【請求項2】
該ポリオキシメチレン共重合体がトリオキサンと1,3ジオキソランとを共重合させて得られたポリオキシメチレン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形体。
【請求項3】
ポリオキシメチレン共重合体成形材料の融点が150℃以上173℃未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形体。
【請求項4】
ポリオキシメチレン共重合体成形材料が、ポリオキシメチレン共重合体100重量部に対し、(A)酸化防止剤を0.1〜10重量部含有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形体。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−117947(P2006−117947A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336457(P2005−336457)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【分割の表示】特願平8−299291の分割
【原出願日】平成8年10月24日(1996.10.24)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】