説明

ポリオレフィンの重合媒体の静電荷を減少させる方法

【課題】ポリオレフィンの製造に際して発生する静電荷の問題を解決する。
【解決手段】重合条件下でオレフィン及び/又はオレフィンと少なくとも1種もしくはそれ以上の他のオレフィンを、オレフィン重合触媒及び重合媒体中の静電荷を減少させるのに充分な量の一酸化二窒素と、接触させることを含む、オレフィンのホモポリマー及びインターポリマーの製造方法並びに、オレフィンの重合において一酸化二窒素の添加によって静電荷を減少させる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンの重合に際して発生する触媒及び重合反応器中の静電荷を減少させる方法に関し、充分な量の一酸化二窒素を用いるポリオレフィンを製造する重合方法に関し充分な量の一酸化二窒素を使用することにより成形及びフィルムへの使用に適したポリオレフィンが生成する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンのようなポリオレフィンは公知であり、多くの用途に使用できる。特に、線状ポリエチレンポリマーは、LDPE(低密度ポリエチレン)と一般に称される分枝鎖エチレンホモポリマーのような他のポリエチレンポリマーとは異なる特性を有する。これらの特性のいくつかはAndersonらの特許文献1によって記載されている。
【0003】
ポリエチレン及びポリプロピレンポリマーを製造する特に有用な重合媒体は気相法である。その例は、特許文献2〜11に記載されている。
【0004】
オレフィンを重合するための種々の触媒が知られている。このような触媒の代表例は次の通りである:
1.分子量分布の広い高分子量高密度ポリエチレン(HDPE)にエチレンを重合する酸化クロム触媒。これらの触媒は典型的にはCr(6+)を基材とし、担体上に担持されている。
2.シリカ上に担持され且つ有機アルミニウム化合物で活性化されたビス(トリフェニルシリル)クロメート及びシリカ上に担持されたビス(シクロペンタジエニル)クロムのような有機クロム触媒。
3.遷移金属成分と典型的には有機アルミニウム化合物である有機金属助触媒からなるチーグラー−ナッタ触媒。
4.オレフィンを重合して、分子量分布(MWD)が1〜2.5のオレフィンのホモポリマー及びインターポリマーを生成するオレフィン重合触媒。
5.少なくとも1個の置換もしくは未置換シクロペンタジエニルもしくはシクロペンタジエニル部分を有する遷移金属と、典型的にはメチルアルミノキサンのようなアルキルアルミノキサン又はアリール置換硼素化合物である有機金属助触媒から典型的になるメタロセン触媒。
6.特許文献12に記載された型の第13族触媒、例えば典型的にはメチルアルミノキサンのようなアルキルアルミノキサン又はアリール置換硼素化合物である有機金属助触媒との陽イオン性アルミニウムアルキルアミジナート錯体。
7.例えば、典型的にメチルアルミノキサンのようなアルキルアルミノキサン又はアリール置換硼素化合物である有機金属助触媒との陽イオン性ニッケルアルキルジイミン錯体のような特許文献13に記載された型の触媒。
8.中性ニッケルアルキルサリチルアルジミナト錯体のような非特許文献1に記載された型の触媒。
9.典型的にはメチルアルミノキサンのようなアルキルアルミノキサン又はアリール置換硼素化合物である有機金属助触媒との陽イオン性鉄アルキルピリジンビスイミン錯体のような非特許文献2に記載された型の触媒。
10.典型的にはメチルアルミノキサンのようなアルキルアルミノキサンである有機金属助触媒又はアリール置換硼素化合物との陽イオン性チタンアルキルジアミド錯体のような非特許文献3に記載された型の触媒。
【0005】
前記触媒は不活性多孔質粒状担体上に担持されているか、又は担持させることができる。
【0006】
重合方法、特に気相重合法において一般に生じる問題は、凝集塊の形成である。凝集塊は、重合反応器及び気体流の再循還ラインのような種々の場所で形成されるおそれがある。凝集塊形成の結果、反応器を停止させなければならない場合がある。
【0007】
重合反応器内で凝集塊が形成される場合には、多くの悪影響が起こるおそれがある。例えば凝集塊はポリマー排出システムを塞ぐことによって重合反応器からのポリマーの取り出しを中断させる場合がある。更に、凝集塊が落下して、流動化グリッドの一部を覆う場合には、流動化効率の低下を招くおそれがある。その結果、より大きい凝集塊が形成される場合があり、それが更に流動床全体を損なうおそれがある。いずれにしても、反応器を停止しなければならないおそれがある。
【0008】
凝集塊は、重合媒体中に非常に微細なポリマー粒子が存在する結果として形成され得ることがわかっている。これらの微細ポリマー粒子は、触媒微粒子の投入又は重合媒体内における触媒の破壊の結果として存在する可能性がある。
【0009】
これらの微粒子は、重合反応器及び気体流再循還用の関連機器、例えば熱交換器の内壁に沈着し且つ静電気によって付着すると考えられている。微粒子が依然として活性であって、重合反応が引き続き進行する場合には、粒子は大きくなり、その結果、凝集塊が形成される。この凝集塊は、重合反応器内で形成される場合には、シートの形態になる傾向がある。
【0010】
気相重合法における凝集塊の形成の問題を解決するために、いくつかの解決方法が提案された。これらの解決方法は、ポリマー微粒子の非活性化、触媒活性の制御及び静電荷の減少などである。これらの解決方法の代表例は次の通りである。
【0011】
特許文献14は、重合速度又は生成されるポリマー中の遷移金属量を実質的に一定に保つために、重合反応器中に少量の活性抑制剤を投入することを記載している。この方法は凝集塊を形成することなくポリマーを生成すると言われている。
【0012】
特許文献15は、ポリマー同士の付着又は重合装置内壁へのポリマーの付着を防止するために、気体酸素含有化合物又は液体もしくは固体活性水素含有化合物を使用することを記載している。
【0013】
特許文献16には、反応器中に正電荷及び負電荷を共に発生する一群の化学添加剤を用いて、シート形成を減少させる方法が記載されており、化学添加剤は不所望の正電荷又は負電荷の形成を防止するようにモノマー部あたり数ppm(百万分率)の量で反応器に供給される。
【0014】
流動床反応器中の静電荷を中和するために使用できる他の方法及び他の添加剤は、特許文献16〜22に記載されている。
【0015】
静電荷を減少又は除去する別の方法は、(1)流動床中への接地装置の設置、(2)粒子上の静電荷を中和するイオンを発生させるための、放電による気体又は粒子のイオン化、及び(3)粒子上の静電荷を中和するイオンを発生できる放射線を発生させる放射線源の使用を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第4,076,698号明細書
【特許文献2】米国特許第3,709,853号明細書
【特許文献3】米国特許第4,003,712号明細書
【特許文献4】米国特許第4,011,382号明細書
【特許文献5】米国特許第4,302,566号明細書
【特許文献6】米国特許第4,543,399号明細書
【特許文献7】米国特許第4,882,400号明細書
【特許文献8】米国特許第5,352,749号明細書
【特許文献9】米国特許第5,541,270号明細書
【特許文献10】カナダ特許第991,798号明細書
【特許文献11】ベルギー特許第839,380号明細書
【特許文献12】米国特許第5,777,120号明細書
【特許文献13】米国特許第5,866,663号明細書
【特許文献14】欧州特許出願0 359 444 Al公報
【特許文献15】米国特許第4,739,015号明細書
【特許文献16】米国特許第4,803,251号明細書
【特許文献17】米国特許第4,792,592号明細書
【特許文献18】米国特許第4,855,370号明細書
【特許文献19】米国特許第4,876,320号明細書
【特許文献20】米国特許第5,162,463号明細書
【特許文献21】米国特許第5,194,526号明細書
【特許文献22】米国特許第5,200,477号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Organometallics, 1998, Vol.17, 3149〜3151頁
【非特許文献2】Journal of the American Chemical Society, 1998, Vol.120, 7143〜7144頁
【非特許文献3】Journal of the American Chemical Society, 1996, Vol.118, 10008〜10009頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、静電荷に伴う問題が減少されたポリオレフィン、特にポリエチレンを製造する方法を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の重合方法は、オレフィン、特にエチレンと、場合によっては少なくとも1種又はそれ以上の他のオレフィンとを含む重合媒体中に、オレフィン重合触媒と、同一重合法において一酸化二窒素(N2O)の不存在下に生じる静電荷のレベルよりも低いレベルに重合媒体中の静電荷を減少させるのに充分な量の一酸化二窒素を投入することを含んでなる。
【0020】
本発明はまた、重合媒体、特に気相中、オレフィン重合触媒と、同一重合法において一酸化二窒素(N2O)の不存在下で生じる静電荷のレベルよりも低いレベルに重合媒体中の静電荷を減少させるのに充分な量の一酸化二窒素の存在下において、オレフィン、特にエチレンと、場合によっては少なくとも1種又はそれ以上の他のオレフィンとの重合における静電荷を減少させる方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書における周期表の族の元素への言及は全て、“Chemical and Engineering News”,63(5),27,1985中に掲載された元素の周期表に関連して行う。この方式では、族は1〜18の番号を付す。
【0022】
本発明の重合方法は、オレフィン、特にエチレンと、場合によっては少なくとも1種又はそれ以上の他のオレフィンを含む重合媒体中に、オレフィン重合触媒と、同一重合法において一酸化二窒素(N2O)の不存在下に生じる静電荷のレベルよりも低いレベルに重合媒体中の静電荷を減少させるのに充分な量の一酸化二窒素を投入することを含んでなる。
【0023】
本発明はまた、重合媒体、特に気相中、オレフィン重合触媒と、同一重合法において一酸化二窒素(N2O)の不存在下に生じるであろう静電荷のレベルよりも低いレベルに重合媒体中の静電荷を減少させるのに充分な量の一酸化二窒素の存在下において、オレフィン、特にエチレンと場合によっては少なくとも1種又はそれ以上の他のオレフィンの重合における静電荷を減少させる方法に関する。
【0024】
場合によっては、ハロゲン化炭化水素を重合媒体に添加することができる。
本発明の方法には、任意のハロゲン化炭化水素を使用できる。所望ならば、2種又はそれ以上のハロゲン化炭化水素を使用できる。このようなハロゲン化炭化水素の代表例は、炭素数1〜12のモノハロゲン及びポリハロゲン置換飽和又は不飽和脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素である。本発明の方法に使用するのに好ましいのは、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、フルオロジクロロメタン、クロロトリフルオロメタン、フルオロトリクロロメタン及び1,2−ジクロロエタンである。本発明の方法に使用するのに最も好ましいのは、クロロホルムである。
【0025】
本発明においては、オレフィンを重合させる任意の触媒を使用できる。好ましくは、オレフィン重合触媒は、本明細書中において定義した元素の周期表の第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族及び/又は第13族から選ばれた少なくとも1種の金属を含む。オレフィン重合触媒は中性でも陽イオン性(カチオン性)でもよい。オレフィン重合触媒の代表的な金属はチタン、ジルコニウム、バナジウム、鉄、クロム、ニッケル及びアルミニウムである。
【0026】
このような重合触媒の代表例は次の通りである:
1.第6族の元素を含む任意の化合物。好ましいのはクロム含有化合物である。代表例は、エチレンを分子量分布の広い高分子量高密度ポリエチレン(HDPE)に重合する酸化クロム触媒である。これらの触媒は一般にCr(6+)を基材とし、担体上に担持されている。別の代表例は、シリカ上に担持され且つ有機アルミニウム化合物で活性化されたビス(トリフェニルシリル)クロメート及びシリカ上に担持されたビス(シクロペンタジエニル)クロムのような有機クロム触媒である。
2.一般に遷移金属成分と代表的には有機アルミニウム化合物である有機金属助触媒からなるチーグラー−ナッタ触媒。
3.オレフィンを重合して、分子量分布(MWD)が1〜2.5のオレフィンのインターポリマーを生成するオレフィン重合触媒。
4.置換もしくは未置換シクロペンタジエニル、置換もしくは未置換ペンタジエニル、置換もしくは未置換ピロール、置換もしくは未置換ホスホール、置換もしくは未置換アルソール(arsole)、置換もしくは未置換ボラタベンゼン、及び置換もしくは未置換カルボランから選ばれた少なくとも1個の部分を有する遷移金属成分と、代表的にはメチルアルミノキサンのようなアルキルアルミノキサン又はアリール置換硼素化合物である有機金属助触媒からなるメタロセン触媒。
5.第13族の元素を含む任意の化合物。好ましいのはアルミニウム含有化合物である。代表例は、米国特許第5,777,120号に記載された型の触媒、例えば、代表的にはメチルアルミノキサンのようなアルキルアルミノキサン又はアリール置換硼素含有化合物である有機金属助触媒との陽イオン性アルミニウムアルキルアミジナート錯体である。
6.第10族の元素を含む任意の化合物。好ましいのはニッケル含有化合物である。代表例は、米国特許第5,866,663号に記載された型の触媒、例えば、代表的にはメチルアルミノキサンのようなアルキルアルミノキサン又はアリール置換硼素含有化合物である有機金属助触媒との陽イオン性ニッケルアルキルジイミン錯体である。更に、代表的なのは、Organometallics,1998,Volume17,3149〜3151ページに記載された型の触媒、例えば、中性ニッケルアルキルサリチルアルジミナト錯体である。
7.第8族の元素を含む任意の化合物。好ましいのは鉄含有化合物である。代表例は、the Journal of the American Chemical Society、1998,Volume 120,7143〜7144に記載された型の触媒、例えば、代表的にはメチルアルミノキサンのようなアルキルアルミノキサン又はアリール置換硼素含有化合物である有機金属助触媒との陽イオン性鉄アルキルピリジンビスイミン錯体である。
8.第4族の元素を含む任意の化合物。好ましいのはチタン及びジルコニウム含有化合物である。代表例はthe Journal of the American Chemical Society、1996,Volume 118,10008〜10009に記載された型の触媒、例えば、代表的にはメチルアルミノキサンのようなアルキルアルミノキサン又はアリール置換硼素含有化合物である有機金属助触媒との陽イオン性チタンアルキルジアミド錯体。
【0027】
前記触媒は不活性多孔質粒状担体上に担持されているか、又は担持させることができる。
【0028】
前記オレフィン重合触媒は、本発明の方法に任意の方法で投入できる。例えば、触媒成分は溶液、スラリー又はさらさらした乾燥粉末の形態で重合媒体中に直接投入することができる。触媒は助触媒を必要とする場合には、重合媒体中に添加する前に予備混合して活性化触媒を形成することもできるし、あるいは成分を別個に重合媒体中に添加することもできるし、あるいは成分を予備混合してから1種又はそれ以上のオレフィンと接触させることによってプレポリマーを形成し、次いでプレポリマーの形態で重合媒体に添加することもできる。反応器への投入前に触媒成分を予備混合する場合には、触媒活性のレベルをコントロールするために触媒に任意の電子供与化合物を添加することができる。更に、前述のように、オレフィン重合触媒の存在下で重合反応を実施している間に、追加の有機金属化合物を添加することができる。追加の有機金属化合物は、助触媒として使用する化合物と同一でも異なっていてもよい。
【0029】
オレフィン重合触媒の任意又はは全ての成分を担体に担持させることができる。担体は、任意の粒状有機又は無機材料であることができる。好ましくは、担体の粒度は、直径で約200ミクロン以下でなければならない。担体材料の最も好ましい粒度は実験によって容易に確定することができる。好ましくは、担体の平均粒度(直径)は5〜200ミクロン、より好ましくは10〜150ミクロン、最も好ましくは20〜100ミクロンでなければならない。
【0030】
適当な無機担体の例としては、金属酸化物、金属水酸化物、金属ハロゲン化物又は他の金属塩、例えば硫酸塩、炭酸塩、燐酸塩、硝酸塩及び珪酸塩が挙げられる。ここで使用するのに適当な無機担体の代表例は、元素の周期表の第1族及び第2族からの金属の化合物、例えばナトリウム又はカリウムの塩及びマグネシウム又はカルシウムの酸化物又は塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム又はカルシウムの塩化物、硫酸塩、炭酸塩、燐酸塩又は珪酸塩及び酸化物又は水酸化物、例えばマグネシウム又はカルシウムの酸化物又は水酸化物である。無機酸化物、例えばシリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、クロミア、酸化硼素、シラン化シリカ、シリカヒドロゲル、シリカキセロゲル、シリカエアロゲル及び混合酸化物、例えばタルク、シリカ/クロミア、シリカ/クロミア/チタニア、シリカ/アルミナ、シリカ/チタニア、シリカ/マグネシア、シリカ/マグネシア/チタニア、燐酸アルミニウムゲル、シリカコゲルなども使用に適している。無機酸化物は少量の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩及び酸化物、例えばNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O及びLi2Oを含むことができる。MgCl2、SiO2、Al23からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分又はそれらの混合物を主成分として含む担体が好ましい。
【0031】
適当な有機担体の例としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとα−オレフィンとのインターポリマー、ポリスチレン、官能化ポリスチレン、ポリアミド及びポリエステルのようなポリマーが挙げられる。
【0032】
チーグラー−ナッタ触媒は当業界でよく知られている。最も単純な形態のチーグラー−ナッタ触媒は少なくとも1種の遷移金属を含む成分と少なくとも1種の有機金属化合物を含む助触媒を含んでなる。遷移金属成分の金属は、“Chemical and Engineering News”,63(5),27,1985中に掲載された元素の周期表の第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族及び/又は第10族から選ばれた金属である。この方式では族は1〜18の番号が付される。このような遷移金属の代表例はチタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルなど及びそれらの混合物である。好ましい実施態様において、遷移金属はチタン、ジルコニウム、バナジウム及びクロムからなる群から選ばれ、更に好ましい実施態様においては遷移金属はチタンである。チーグラー−ナッタ触媒は場合によってはマグネシウム及び/又は塩素を含むことができる。このようなマグネシウム及び塩素を含む触媒は公知の任意の方法で調製できる。
【0033】
本発明の方法に使用する助触媒は、オレフィンの重合においてチーグラー−ナッタ触媒中の遷移金属成分を活性化できる任意の有機金属化合物又はそれらの混合物であることができる。特に遷移金属成分と反応する有機金属助触媒化合物は、前記の元素の周期表の第1族、第2族、第11族、第12族、第13族及び/又は第14族から選ばれた金属を含む。このような金属の代表例はリチウム、マグネシウム、銅、亜鉛、硼素、珪素など又はそれらの混合物である。
【0034】
好ましくは、助触媒は式:
nER3-n
[式中、Xは水素、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選ばれたハロゲン又はハロゲン混合物であり;
nは0〜2の範囲であり;
Eは元素の周期表の第13族の元素、例えば硼素、アルミニウム及びガリウムであり;
Rは炭素又は酸素結合によって第13族元素と結合した、1〜100個の炭素原子及び0〜10個の酸素原子を含む炭化水素基である]
の少なくとも1種の化合物又はそれらの混合物である。
【0035】
本明細書中において使用するのに適当なR基の代表例はC1-100アルキル、C1-100アルコキシ、C2-100アルケニル、C4-100ジエニル、C3-100シクロアルキル、C3-100シクロアルコキシ、C3-100シクロアルケニル、C4-100シクロジエニル、C6-100アリール、C7-100アルアルキル、C7-100アルアルコキシ及びC7-100アルカリールである。R基の代表例はまた1〜100個の炭素原子及び1〜10個の酸素原子を含む炭化水素である。
【0036】
本発明の方法に使用する助触媒の代表例は、n=0である場合には、トリメチルアルミニウム;トリエチルボラン;トリエチルガラン;トリエチルアルミニウム;トリ−n−プロピルアルミニウム;トリ−n−ブチルアルミニウム;トリ−n−ペンチルアルミニウム;トリイソプレニルアルミニウム;トリ−n−ヘキシルアルミニウム;トリ−n−ヘプチルアルミニウム;トリ−n−オクチルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム;トリイソブチルアルミニウム;トリス(シクロヘキシルメチル)アルミニウム;ジメチルアルミニウムメトキシド;ジメチルアルミニウムエトキシド;ジエチルアルミニウムエトキシドなどである。n=1の化合物の代表例は、ジメチルアルミニウムクロリド;ジエチルアルミニウムクロリド;ジ−n−プロピルアルミニウムクロリド;ジ−n−ブチルアルミニウムクロリド;ジ−n−ペンチルアルミニウムクロリド;ジイソプレニルアルミニウムクロリド;ジ−n−ヘキシルアルミニウムクロリド;ジ−n−ヘプチルアルミニウムクロリド;ジ−n−オクチルアルミニウムクロリド;ジイソプロピルアルミニウムクロリド;ジイソブチルアルミニウムクロリド;ビス(シクロヘキシルメチル)アルミニウムクロリド;ジエチルアルミニウムフルオリド;ジエチルアルミニウムブロミド;ジエチルアルミニウムヨージド;ジメチルアルミニウムヒドリド;ジエチルアルミニウムヒドリド;ジ−n−プロピルアルミニウムヒドリド;ジ−n−ブチルアルミニウムヒドリド;ジ−n−ペンチルアルミニウムヒドリド;ジイソプレニルアルミニウムヒドリド;ジ−n−ヘキシルアルミニウムヒドリド;ジ−n−ヘプチルアルミニウムヒドリド;ジ−n−オクチルアルミニウムヒドリド;ジイソプロピルアルミニウムヒドリド;ジイソブチルアルミニウムヒドリド;ビス(シクロヘキシルメチル)アルミニウムヒドリド;クロロメチルアルミニウムメトキシド;クロロメチルアルミニウムエトキシド;クロロエチルアルミニウムエトキシドなどである。n=2である化合物の代表例は、メチルアルミニウムジクロリド;エチルアルミニウムジクロリド;n−プロピルアルミニウムジクロリド;n−ブチルアルミニウムジクロリド;n−ペンチルアルミニウムジクロリド;イソプレニルアルミニウムジクロリド;n−ヘキシルアルミニウムジクロリド;n−ヘプチルアルミニウムジクロリド;n−オクチルアルミニウムジクロリド;イソプロピルアルミニウムジクロリド;イソブチルアルミニウムジクロリド;(シクロヘキシルメチル)アルミニウムジクロリドなどである。また、例としては、アルキルアルミニウムセスキアルコキシド、例えば、メチルアルミニウムセスキメトキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド;n−ブチルアルミニウムセスキ−n−ブトキシドなどがある。更に、例としては、アルキルアルミニウムセスキハライド、例えばメチルアルミニウムセスキクロリド;エチルアルミニウムセスキクロリド;イソブチルアルミニウムセスキクロリド;エチルアルミニウムセスキフルオリド;エチルアルミニウムセスキブロミド;エチルアルミニウムセスキヨージドなどがある。
【0037】
本発明において助触媒として使用するのに好ましいのは、トリアルキルアルミニウム、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリイソヘキシルアルミニウム、トリ−2−メチルペンチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム;並びにジアルキルアルミニウムハライド、例えばジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド及びジエチルアルミニウムヨージド;更にアルキルアルミニウムセスキハライド、例えばメチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、n−ブチルアルミニウムセスキクロリド、イソブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキフルオリド、エチルアルミニウムセスキブロミド及びエチルアルミニウムセスキヨージドである。
【0038】
本発明において助触媒として使用するのに最も好ましいのは、トリアルキルアルミニウム、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリイソヘキシルアルミニウム、トリ−2−メチルペンチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム;並びにジアルキルアルミニウムハライド、例えばジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド;並びにアルキルアルミニウムセスキハライド、例えばメチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、n−ブチルアルミニウムセスキクロリド及びイソブチルアルミニウムセスキクロリドである。
【0039】
前記助触媒の混合物も、本発明において助触媒として使用できる。
更に、任意の電子供与体をチーグラー−ナッタ触媒に添加できる。電子供与化合物は好ましくは、エーテル、チオエーテル、エステル、チオエステル、アミン、アミド、ケトン、ニトリル、ホスフィン、シラン、酸無水物、酸ハロゲン化物、酸アミド、アルデヒド及び有機酸誘導体からなる群から選ばれる。電子供与体としてより好ましいのは、1〜50個の炭素原子並びに元素の周期表の第14族、第15族、第16族及び第17族から選ばれた元素の1〜30個のヘテロ原子又はそれらの混合物を含む化合物である。
【0040】
チーグラー−ナッタ触媒は公知の任意の方法で調製できる。この触媒は溶液、スラリー又はさらさらした乾燥粉末の形態とすることができる。チーグラー−ナッタ触媒の使用量は、所望の量のポリオレフィンを生成するのに充分な量である。
【0041】
メタロセン触媒は当業界でよく知られており、典型的には遷移金属成分及び助触媒を含んでなる。遷移金属成分は、置換もしくは未置換シクロペンタジエニル、置換もしくは未置換ペンタジエニル、置換もしくは未置換ピロール、置換もしくは未置換ホスホール、置換もしくは未置換アルソール(arsole)、置換もしくは未置換ボラタベンゼン及び置換もしくは未置換カルボランからなる群から選ばれた少なくとも1個の部分を有する。遷移金属は、元素の周期表の第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族及び第10族から選ばれる。このような遷移金属の代表例はチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルなど及びそれらの混合物である。好ましい実施態様において、遷移金属は第4族、第5族又は第6族、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム及びクロムから選ばれ、更に好ましい実施態様において、遷移金属はチタンもしくはジルコニウム又はそれらの混合物である。
【0042】
メタロセン触媒の助触媒成分は、オレフィン重合においてメタロセン触媒の遷移金属成分を活性化できる任意の化合物又は混合物とすることができる。代表的には、助触媒は、アルキルアルミノキサン、例えばメチルアルミノキサン(MAO)並びにアリール置換硼素化合物、例えばトリス(ペルフルオロフェニル)ボラン及びテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレートの塩である。
【0043】
メタロセン触媒を非常に詳細に説明している多くの参考文献がある。例えば、メタロセン触媒は、米国特許第4,564,647号;同第4,752,597号;同第5,106,804号;同第5,132,380号;同第5,227,440号;同第5,296,565号;同第5,324,800号;同第5,331,071号;同第5,332,706号;同第5,350,723号;同第5,399,635号;同第5,466,766号;同第5,468,702号;同第5,474,962号;同第5,578,537号及び同第5,863,853号に記載されている。
【0044】
本発明の重合方法の実施に際して、助触媒は使用するならば、目的ポリオレフィンの生成を行うのに充分な任意の量で重合媒体に添加する。助触媒対オレフィン重合触媒の金属成分のモル比約0.5:1〜約10000:1で助触媒を使用するのが好ましい。より好ましい実施態様において、助触媒対金属成分のモル比は約0.5:1〜約1000:1の範囲である。
【0045】
本発明の重合方法は、任意に適当な方法、例えば溶液、スラリー及び気相を用いて実施できる。本発明によるポリオレフィンポリマーの特に望ましい製造方法は、好ましくは流動床反応器を用いる気相重合法である。この型の反応器及びこの反応器の操作手段は公知であり、米国特許第3,709,853号;同第4,003,712号;同第4,001,382号;同第4,012,573号;同第4,302,566号;同第4,543,399号;同第4,882,400号;同第5,352,749号;同第5,541,270号;カナダ特許第991,798号及びベルギー特許第839,380号に完全に記載されている。これらの特許は、重合媒体を機械的に撹拌するか又は気体モノマー及び希釈剤の連続流によって流動化する気相重合法を開示している。これらの特許の全内容を引用することによって本明細書中に取り入れるものとする。
【0046】
一般に、本発明の重合法は流動床法のような連続気相法として行うことができる。本発明の方法に使用する流動床反応器は通常、反応ゾーンといわゆる減速ゾーンを含む。反応ゾーンは、反応ゾーンを通る、重合熱を除去する気体モノマー及び希釈剤の連続流によって流動化される、生長しているポリマー粒子、形成されたポリマー粒子及び微少量の触媒粒子の床を含む。場合によっては、再循環された気体の一部は冷却及び圧縮されて液体を形成し、液体が反応ゾーンに再び入る際の循環気体流の熱除去能を増大させる。気体流の適当な速度は、簡単な実験によって容易に求めることができる。循環気体流への気体モノマーの補給は、粒状ポリマー生成物及びこれに付随するモノマーが反応器から取り出す速度に等しい速度であり、反応器中を通る気体の組成は、本質的に定常状態の気体組成が反応ゾーン内に保持されるように調整する。反応ゾーンを出た気体は、減速ゾーンに入り、そこで同伴粒子を除去する。比較的微細な同伴粒子及びダストは、サイクロン及び/又は細目フィルター中で除去することができる。気体は熱交換器を通り、そこで重合熱を除去し、圧縮機中で圧縮し、次いで反応ゾーンに戻す。
【0047】
更に詳しくは、流動床法の反応器温度はここでは約30〜約150℃の範囲である。一般に、反応器温度は、反応器内のポリマー生成物の焼結温度を考慮に入れて実現可能な最も高い温度とする。
【0048】
本発明の方法は、オレフィン、特にエチレンのホモポリマー、並びに/又はオレフィン、特にエチレンと少なくとも1種もしくはそれ以上の他のオレフィンとのコポリマー、ターポリマーなどの製造に適当である。好ましくは、オレフィンはα−オレフィンである。オレフィンは、例えば2〜16個の炭素原子を含むことができる。本発明の方法によるここでの製造に特に好ましいは、ポリエチレンである。このようなポリエチレンは、好ましくはエチレンのホモポリマー及びエチレン含量が関与する全ポリマーの重量の少なくとも50重量%である、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィンとのインターポリマーである。ここで使用できる代表的なオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチルペンタ−1−エン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセンなどである。1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、4−ビニルシクロヘキサ−1−エン、1,5−シクロオクタジエン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン及び5−ビニル−2−ノルボルネン、そして重合媒体中でその場で生成されたオレフィンもここで使用できる。オレフィンを重合媒体中でその場で生成する場合には、長鎖分岐を含むポリオレフィンの生成が起こり得る。
【0049】
本発明の重合方法の実施に際して、重合媒体中の静電荷を減少させるのに使用する一酸化二窒素は任意の方法で添加する。例えば、一酸化二窒素は予備形成された触媒に、予備重合工程の間にプレポリマーに、予備形成されたプレポリマーに及び/又は重合媒体に加えることができる。一酸化二窒素は場合によっては、使用時に助触媒と予備混合することもできる。一酸化二窒素は、同一重合法において一酸化二窒素の不存在下に生じる静電荷のレベルより低いレベルまで重合媒体中の静電荷を減少させるのに充分な任意の量で添加する。一酸化二窒素は、重合媒体中に約1〜約10,000容積ppmの範囲の量で混和するのが好ましい。
【0050】
本発明の重合方法を実施する際には、ハロゲン化炭化水素は目的とするポリオレフィンを生成するのに充分な任意の量で重合媒体中に添加することができる。ハロゲン化炭化水素の混和はハロゲン化炭化水素対オレフィン重合触媒の金属成分のモル比約0.001:1〜約100:1の範囲で行うのが好ましい。より好ましい実施態様において、ハロゲン化炭化水素対金属成分のモル比は約0.001:1〜約10:1の範囲である。
【0051】
一酸化二窒素及び任意成分のハロゲン化炭化水素は任意の方法で重合媒体に添加できる。一酸化二窒素及びハロゲン化炭化水素は、重合媒体に添加する直前にオレフィン重合触媒に添加することもできるし、触媒とは別個に公知の任意の方法で重合媒体に添加することもできる。例えば一酸化二窒素は、場合によっては、重合媒体への添加の前にハロゲン化炭化水素と予備混合することもできる。
【0052】
オレフィンの重合に気相流動床法を用いる場合には、重合反応器中の静電荷を減少させる他に、熱除去手段の汚染速度を遅くするために、熱除去手段、例えば熱交換器の前に一酸化二窒素を添加するのが有利な場合もある。
【0053】
本発明によって製造されるポリオレフィンの分子量は公知の任意の方法で、例えば水素を用いることによって制御することができる。ポリエチレンの分子量制御は、例えば重合媒体中の水素対エチレンのモル比が増加したときにポリマーのメルトインデックス(I2)が増加することによって立証することができる。
【0054】
分子量分布(MWD)又は多分散度は、ポリマーのよく知られた特性である。MWDは一般に数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比として記載される。Mw/Mn比は、ゲル透過クロマトグラフィー技術によって直接測定できる。ポリマーのMWDはウルトラスチロゲル(Ultrastyrogel)カラム及び屈折率検出器を装着したWaters Gel Permeation Chromatograph Series 150Cによって測定する。この展開において、機器の操作温度は140℃に設定し、溶離溶媒はo−ジクロロベンゼンであり、検量線作成標準は、分子量が正確にわかっている、分子量1000〜1300000の10種のポリスチレンとポリエチレン標準、NBS1475であった。
【0055】
本発明によって得られるポリオレフィンには任意の常用の添加剤を添加することができる。添加剤の例としては、成核剤、熱安定剤、フェノール型、硫黄型及び燐型の酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤、架橋剤、流動性改良剤、例えば過酸化物、紫外線吸収剤、光安定剤、耐候安定剤、溶接強さ改良剤、スリップ剤、粘着防止剤、防曇剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤及びゴム成分が挙げられる。
【0056】
本発明のポリオレフィン、特にポリエチレンからは、公知の任意の方法によってフィルムを製造できる。例えばフィルムは、公知のキャストフィルム法、インフレート法及び押出被覆法によって製造できる。
【0057】
更に、ポリオレフィン、特にポリエチレンからは公知の任意の方法によって他の製品、例えば成形品を製造できる。
【実施例】
【0058】
本発明は、以下の実施例を参照することによってよりわかりやすくなるであろう。本発明の全体が開示されれば、当業者には本発明の多くの他の形態が明白になるのは言うまでもなく、従って、これらの実施例は本発明を単に説明するために記載するものであり、本発明の範囲を限定するものと介してはならないことはいうまでもない。
【0059】
以下の実施例において、本明細書中においてはポリオレフィンの分析的性質の評価に以下の試験方法を用いた。
a)密度はASTM D1928に従って作成したプラックからASTM D−4883に従って求める。
b)メルトインデックス(MI)、I2は、ASTM D−1238,条件Eに従って求める。測定は190℃で行い、デシグラム/分として報告する。
c)高荷重メルトインデックス(HLMI),I21は、ASTM D−1238,条件Fに従って求める。測定は、前記メルトインデックス試験で使用する重量の10.0倍の重量で行う。
d)メルトフロー比(MFR)=I21/I2又は高荷重メルトインデックス/メルトインデックス。
e)生成物中の残留チタン量。生成物中の残留チタン量は、Philips Sequential X−Ray Spectrometer Model PW 1480を用いて、X線螢光分光分析(XRF)によって測定する。評価すべきポリマーのサンプルを、分光計のサンプルホルダーにフィットするように直径が約43mmであり且つ厚さが3〜5mmである、平滑で平らな表面を有する円形プラックに圧縮成形した。次いで、成形試験片をXRF装置中に入れ、試験片中のチタンから発生するX線螢光を測定した。次に、既知量のチタンを含むポリエチレン検量線作成用試験片からの測定値によって得た検量線に基づいて、残留チタン量を求めた。残留チタン量を、ポリマーマトリックスに対する百万分率(ppm)として報告する。
【0060】
例1に使用したチーグラー−ナッタ触媒は、ヨーロッパ特許出願EP 0 703 246 Alの例1−aに従って製造した。触媒はプレポリマーの形態で使用し、ヨーロッパ特許出願EP 0 703 246 Alの例1−bに従って製造した。このようにして、チタンミリモル当たり約34gのポリエチレンを含むプレポリマーを得た。
【0061】
重合プロセス
本明細書中の例1で使用した重合方法は、減速室を上部に装着した、直径0.74m及び高さ7mの縦型シリンダーからなる気相重合用流動床反応器中で行った。反応器の下部には、流動化グリッドと、流動化グリッドの下の地点で減速室の上部を反応器の下部に接続する気体再循還用外部ラインとを設けた。再循還ラインには、循環気体用の圧縮機と熱交換器のような熱伝達手段を装着した。詳細には、流動床を通る気体反応混合物の主成分であるエチレン、1−ヘキセン、水素及び窒素の供給ラインは、再循還ラインに注ぐ。反応器は流動化グリッドの上に、重量平均直径約0.5mm〜約1.4mmの粒子で構成されたポリエチレン粉末からなる流動床を含む。エチレン、オレフィンコモノマー、水素、窒素及び微少量の他の成分を含む気体反応混合物は、約280〜約300psigの範囲の圧力下で約1.6〜約2.1フィート/秒の範囲の上昇流動化速度(ここでは流動化速度と称する)で流動床を通過する。
【0062】
例1においては、プレポリマーの形態の前記チーグラー−ナッタ触媒を、反応器に断続的に供給した。この触媒はマグネシウム、塩素及びチタンを含んでいた。プレポリマーの形態は、チタンミリモル当たり約34gのポリエチレンと、モル比Al/Tiが1.1:1であるような量のトリ−n−オクチルアルミニウム(TnOA)を含んでいた。反応器中へのプレポリマーの投入速度は、所望の生産速度の実現するように調節した。重合の間に、追加の助触媒を用いる場合には、熱伝達手段の下流の点で、助触媒を気体反応混合物の再循還ラインに連続的に投入した。追加の助触媒の供給速度は、トリアルキルアルミニウム対チタン(Al/Ti)のモル比として表し、助触媒の供給速度(トリアルキルアルミニウム(モル)/時)対プレポリマー供給速度(チタン(モル)/時)の比と定義する。約0.5重量%の濃度のn−ヘキサン中クロロホルム(CHCl3)の溶液を、気体反応混合物の再循還ラインに連続的に投入した。任意成分のハロゲン化炭化水素の供給速度を、CHCl3対チタンのモル比(CHCl3/Ti)として表し、CHCl3供給速度(CHCl3(モル)/時)対触媒又はプレポリマー供給速度(チタン(モル)/時)の比と定義する。
【0063】
一酸化二窒素(N2O)は、以下の実施例中で使用する場合には、重合媒体中の静電荷を減少させるために使用した。気体一酸化二窒素は、気体反応混合物の再循還ラインに連続的に投入した。重合媒体中の一酸化二窒素の濃度は容積ppmの単位で表す。
【0064】
流動床の静電荷は、Auburn International,Inc.(Danvers,Massachusetts)によって供給されるCorreflow Model 3400 Electrostaic Monitor(ESM)によって測定した。静電プローブは、反応器の縦型シリンダー部に、ポリマー粒子の流動床内に入るような高さで取り付けた。静電プローブは、重合媒体と地面との間の電流の流れを測定する。静電荷の減少は、測定した電流の絶対的大きさの減少及び/又は測定した電流の変動の減少として定義する。
【0065】
例1
初期作業条件を表Iに示す。メルトインデックス0.6dg/分及び密度0.920g/ccのエチレンと1−ヘキセンとのインターポリマーを生成する重合反応器をラインから外した。静電荷のレベルを測定した。その後、一酸化二窒素を60容積ppmのレベルで反応器ループに添加した。トリメチルアルミニウムを添加して、生産速度を160ポンド/時に保持した。重合反応器中の静電荷のレベルを測定したところ、一酸化二窒素の添加の結果、静電荷のレベルが減少することがわかった。
【0066】
【表1】

【0067】
例2
以下のことを除いて、例1の方法に従う。例2で使用するチーグラー−ナッタ触媒は、東邦チタニウム株式会社から製品名THC−Cで得られる。この触媒は、塩化マグネシウム上に担持したチタン基材触媒である。この触媒を重合媒体に直接添加する。トリメチルアルミニウムを助触媒として重合媒体に添加する。触媒の添加速度及び助触媒の添加速度は、残留チタン含量約1ppmのポリマー生成物を時間当たり約200ポンド生成するように調節する。
【0068】
更に、約0.6dg/分の目標メルトインデックス及び約0.920g/ccの目標密度を有するエチレン/1−ヘキセンインターポリマーを生成するようにモル比C6/C2及びH2/C2を調節する。
【0069】
重合反応器中の静電荷のレベルを測定する。その後、一酸化二窒素を重合媒体に添加すると、静電荷のレベルは減少すると予想される。
【0070】
例3
以下のことを除いて、例1の方法に従う。例3に使用するチーグラー−ナッタ触媒はGrace Davison(Baltimore,Maryland)から製品名XPO−5021で得られる。触媒はシリカ上に担持されたチタン基材触媒である。この触媒を重合媒体に直接添加する。トリエチルアルミニウムを助触媒として重合媒体に添加する。触媒の添加速度及び助触媒の添加速度は、残留チタン含量約1ppmのポリマー生成物を時間当たり約200ポンド生成するように調節する。
【0071】
更に、約0.6dg/分のメルトインデックス及び約0.920g/ccの密度を有するエチレン/1−ヘキセンインターポリマーを生成するようにモル比C6/C2及びH2/C2を調節する。
【0072】
重合反応器中の静電荷のレベルを測定する。その後、一酸化二窒素を重合媒体に添加する。静電荷のレベルは減少すると予想される。
【0073】
例4〜6
チーグラー−ナッタ触媒の代わりに、以下のような、シリカ上に担持されたメタロセン触媒を用いる以外は、例1の方法に従う:
例4 ビス(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ウムジクロリド及びメチルアルミノキサン、
例5 ビス(1−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジメチルジ
ルコノセン及びトリス(ペルフルオロフェニル)ボラン
例6 (tert−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シク
ペンタジエニル)シランチタンジメチル及びトリフェニルメチリウ
ムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート。
【0074】
約0.6dg/分の目標メルトインデックス及び約0.920g/ccの目標密度を有するエチレン/1−ヘキセンインターポリマーを生成するようにモル比C6/C2及びH2/C2を調節する。
【0075】
重合反応器中の静電荷のレベルを測定する。前記例4〜6のそれぞれにおいて、一酸化二窒素の添加の結果として、重合媒体中の静電荷のレベルは減少すると予想される。
【0076】
本発明のポリオレフィンからフィルムを製造できる。
本発明のポリオレフィンから成形品のような製品も製造できる。
【0077】
本明細書中に記載した発明の形態は単なる実例であり、本発明の範囲を制限するものではないことをはっきりと理解されたい。本発明は、「特許請求の範囲」の範囲内の全ての変形を含む。
【0078】
以下に本発明の関連態様を記載する。
態様1.重合条件下に、オレフィン及び/又はオレフィンと少なくとも1種もしくはそれ以上の他のオレフィンとを、オレフィン重合触媒及び一酸化二窒素と接触させることを含んでなり、一酸化二窒素の不存在下に得られる静電荷のレベルよりも低いレベルに重合媒体中の静電荷を減少させるのに充分な量で一酸化二窒素が存在する、オレフィン及び/又はオレフィンと少なくとも1種又はそれ以上の他のオレフィンの重合方法。
態様2.前記オレフィン重合触媒が本明細書中で定義した元素の周期表の第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族及び/又は第13族から選ばれた少なくとも1種の金属を含む態様1に記載の方法。
態様3.前記金属がチタン、ジルコニウム、バナジウム、鉄、クロム、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選ばれる態様2に記載の方法。
態様4.前記金属がチタン、ジルコニウム及びバナジウムからなる群から選ばれる態様3に記載の方法。
態様5.前記オレフィン重合触媒が担体上に担持されている態様1に記載の方法。
態様6.前記担体がシリカ、アルミナ、塩化マグネシウム及びそれらの混合物からなる群から選ばれる態様5に記載の方法。
態様7.前記オレフィン重合触媒が酸化クロム触媒、有機クロム触媒、チーグラー−ナッタ触媒、オレフィンを重合させて1〜2.5の分子量分布(MWD)を有するオレフィンのホモポリマー及びインターポリマーを生成するオレフィン重合触媒、メタロセン触媒、陽イオン性アルミニウムアルキルアミジナート触媒、陽イオン性ニッケルアルキルジイミン触媒、中性ニッケルアルキルサリチルアルジミナト触媒、陽イオン性鉄アルキルピリジンビスイミン触媒並びに陽イオン性チタンアルキルジアミド触媒からなる群から選ばれる態様2に記載の方法。
態様8.前記オレフィン重合触媒が酸化クロム触媒、有機クロム触媒、チーグラー−ナッタ触媒、メタロセン触媒並びにオレフィンを重合させて1〜2.5の分子量分布(MWD)を有するオレフィンのホモポリマー及びインターポリマーを生成するオレフィン重合触媒からなる群から選ばれる態様7に記載の方法。
態様9.前記オレフィン重合触媒が酸化クロム触媒、チーグラー−ナッタ触媒及びメタロセン触媒からなる群から選ばれる態様8に記載の方法。
態様10.重合媒体にハロゲン化炭化水素を添加することを更に含む態様1に記載の方法。
態様11.前記ハロゲン化炭化水素がジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、フルオロジクロロメタン、クロロトリフルオロメタン、フルオロトリクロロメタン及び1,2−ジクロロエタンからなる群から選ばれる態様10に記載の方法。
態様12.前記ハロゲン化炭化水素がクロロホルムである態様11に記載の方法。
態様13.1〜10,000容積ppmの範囲の量で一酸化二窒素を添加する態様1に記載の方法。
態様14.前記重合媒体が気相である態様1に記載の方法。
態様15.前記重合媒体がスラリー相である態様1に記載の方法。
態様16.前記オレフィンがエチレンであり、前記の少なくとも1種又はそれ以上の他のオレフィンが炭素数3〜16のオレフィンからなる群から選ばれる態様1に記載の方法。
態様17.前記の少なくとも1種又はそれ以上の他のオレフィンが1−オクテン、1−ヘキセン、4−メチルペンタ−1−エン、1−ペンテン、1−ブテン及びプロピレンからなる群から選ばれる態様16に記載の方法。
態様18.エチレンと少なくとも1種又はそれ以上のオレフィンの重合によって得られるインターポリマーが該インターポリマーの少なくとも50重量%の量でエチレンを含む態様16に記載の方法。
態様19.重合媒体中、オレフィン重合触媒の存在下におけるオレフィン及び/又はオレフィンと少なくとも1種もしくはそれ以上の他のオレフィンの重合において、一酸化二窒素の不存在下で得られる静電荷のレベルよりも低いレベルに重合媒体中の静電荷を減少させるのに充分な量で一酸化二窒素を重合媒体中に投入して静電荷を減少させる方法。
態様20.前記オレフィン重合触媒が本明細書中で定義した元素の周期表の第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族及び/又は第13族から選ばれた少なくとも1種の金属を含む態様19に記載の方法。
態様21.前記金属がチタン、ジルコニウム、バナジウム、鉄、クロム、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選ばれる態様20に記載の方法。
態様22.前記金属がチタン、ジルコニウム及びバナジウムからなる群から選ばれる態様21に記載の方法。
態様23.前記オレフィン重合触媒が担体上に担持されている態様19に記載の方法。
態様24.前記担体がシリカ、アルミナ、塩化マグネシウム及びそれらの混合物からなる群から選ばれる態様23に記載の方法。
態様25.前記オレフィン重合触媒が酸化クロム触媒、有機クロム触媒、チーグラー−ナッタ触媒、オレフィンを重合させて1〜2.5の分子量分布(MWD)を有するオレフィンのホモポリマー及びインターポリマーを生成するオレフィン重合触媒、メタロセン触媒、陽イオン性アルミニウムアルキルアミジナート触媒、陽イオン性ニッケルアルキルジイミン触媒、中性ニッケルアルキルサリチルアルジミナト触媒、陽イオン性鉄アルキルピリジンビスイミン触媒並びに陽イオン性チタンアルキルジアミド触媒からなる群から選ばれる態様20に記載の方法。
態様26.前記オレフィン重合触媒が酸化クロム触媒、有機クロム触媒、チーグラー−ナッタ触媒、メタロセン触媒並びにオレフィンを重合させて1〜2.5の分子量分布(MWD)を有するオレフィンのホモポリマー及びインターポリマーを生成するオレフィン重合触媒からなる群から選ばれる態様25に記載の方法。
態様27.前記オレフィン重合触媒が酸化クロム触媒、チーグラー−ナッタ触媒及びメタロセン触媒からなる群から選ばれる態様26に記載の方法。
態様28.重合媒体にハロゲン化炭化水素を添加することを更に含む態様19に記載の方法。
態様29.前記ハロゲン化炭化水素がジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、フルオロジクロロメタン、クロロトリフルオロメタン、フルオロトリクロロメタン及び1,2−ジクロロエタンからなる群から選ばれる態様28に記載の方法。
態様30.前記ハロゲン化炭化水素がクロロホルムである態様29に記載の方法。
態様31.1〜10,000容積ppmの範囲の量で一酸化二窒素を重合媒体に添加する態様19に記載の方法。
態様32.前記重合媒体が気相である態様19に記載の方法。
態様33.前記重合媒体がスラリー相である態様19に記載の方法。
態様34.前記オレフィンがエチレンであり、前記の少なくとも1種又はそれ以上の他のオレフィンが炭素数3〜16のオレフィンからなる群から選ばれる態様19に記載の方法。
態様35.前記の少なくとも1種又はそれ以上の他のオレフィンが1−オクテン、1−ヘキセン、4−メチルペンタ−1−エン、1−ペンテン、1−ブテン及びプロピレンからなる群から選ばれる態様34に記載の方法。
態様36.エチレンと少なくとも1種又はそれ以上のオレフィンの重合によって得られるインターポリマーが該インターポリマーの少なくとも50重量%の量でエチレンを含む態様34に記載の方法。
態様37.態様19の方法に従って製造されたポリオレフィンから製造されたフィルム。
態様38.態様19の方法に従って製造されたポリオレフィンから製造された製品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合媒体中、オレフィン重合触媒の存在下におけるオレフィン及び/又はオレフィンと少なくとも1種もしくはそれ以上の他のオレフィンの重合において、一酸化二窒素の不存在下で得られる静電荷のレベルよりも低いレベルに重合媒体中の静電荷を減少させるのに充分な量で一酸化二窒素を重合媒体中に投入して静電荷を減少させる方法。
【請求項2】
前記オレフィン重合触媒が本明細書中で定義した元素の周期表の第3族、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族及び/又は第13族から選ばれた少なくとも1種の金属を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属がチタン、ジルコニウム、バナジウム、鉄、クロム、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属がチタン、ジルコニウム及びバナジウムからなる群から選ばれる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記オレフィン重合触媒が担体上に担持されている請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記担体がシリカ、アルミナ、塩化マグネシウム及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記オレフィン重合触媒が酸化クロム触媒、有機クロム触媒、チーグラー−ナッタ触媒、オレフィンを重合させて1〜2.5の分子量分布(MWD)を有するオレフィンのホモポリマー及びインターポリマーを生成するオレフィン重合触媒、メタロセン触媒、陽イオン性アルミニウムアルキルアミジナート触媒、陽イオン性ニッケルアルキルジイミン触媒、中性ニッケルアルキルサリチルアルジミナト触媒、陽イオン性鉄アルキルピリジンビスイミン触媒並びに陽イオン性チタンアルキルジアミド触媒からなる群から選ばれる請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記オレフィン重合触媒が酸化クロム触媒、有機クロム触媒、チーグラー−ナッタ触媒、メタロセン触媒並びにオレフィンを重合させて1〜2.5の分子量分布(MWD)を有するオレフィンのホモポリマー及びインターポリマーを生成するオレフィン重合触媒からなる群から選ばれる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記オレフィン重合触媒が酸化クロム触媒、チーグラー−ナッタ触媒及びメタロセン触媒からなる群から選ばれる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
重合媒体にハロゲン化炭化水素を添加することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ハロゲン化炭化水素がジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、フルオロジクロロメタン、クロロトリフルオロメタン、フルオロトリクロロメタン及び1,2−ジクロロエタンからなる群から選ばれる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ハロゲン化炭化水素がクロロホルムである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1〜10,000容積ppmの範囲の量で一酸化二窒素を重合媒体に添加する請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記重合媒体が気相である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記重合媒体がスラリー相である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記オレフィンがエチレンであり、前記の少なくとも1種又はそれ以上の他のオレフィンが炭素数3〜16のオレフィンからなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記の少なくとも1種又はそれ以上の他のオレフィンが1−オクテン、1−ヘキセン、4−メチルペンタ−1−エン、1−ペンテン、1−ブテン及びプロピレンからなる群から選ばれる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
エチレンと少なくとも1種又はそれ以上のオレフィンの重合によって得られるインターポリマーが該インターポリマーの少なくとも50重量%の量でエチレンを含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
オレフィン重合触媒がチーグラー−ナッタ触媒である請求項1に記載の方法。
【請求項20】
オレフィン重合触媒がメタロセン触媒である請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2010−261053(P2010−261053A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191443(P2010−191443)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【分割の表示】特願2001−520747(P2001−520747)の分割
【原出願日】平成11年10月14日(1999.10.14)
【出願人】(507141712)ウエストレイク ロングビュー コーポレイション (17)
【Fターム(参考)】