説明

ポリオレフィン系樹脂組成物及びそれを用いた樹脂成形体の組み合わせ

塩化ビニル系樹脂と接触又は近接した状態で用いられる、(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、(B)脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤及び/又は脂肪族エステル基を含有しないイオウ系酸化防止剤0.01〜5重量部、必要に応じて(C)脂肪族エステル基を含油しない金属不活性化剤0.01〜3重量部、必要に応じて(D)金属水和物及び/又は金属水酸化物50〜250重量部を含有する樹脂組成物。及び、この樹脂組成物からなる成形体と塩化ビニル系樹脂成形体との組み合わせ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、環境安定性等に優れたポリオレフィン系樹脂組成物に関し、特に塩化ビニル系樹脂と接触又は近接して用いた場合でも、樹脂の劣化を起し難い安定なポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
また、本発明は、塩化ビニル系樹脂成形体と、上記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる成形体との組み合わせに関する。
【背景技術】
現在、塩化ビニル系樹脂は優れた性質を有しかつコストが安いため広く使用されており、特に電線の被覆材や壁や床などの住宅等の内装材としての利用が多く、その需要は膨大な数量となっている。しかしながら、この塩化ビニル系樹脂は使用後のリサイクルや廃棄処分に際して、添加されている可塑剤や燃焼時に発生するダイオキシンが人体や環境に対して悪影響を与えることが懸念されており、ポリオレフィン系材料への置き換えが進められている。特に家庭電気製品、自動車メーカーでは、その傾向が顕著である。例えば、電線被覆材としては、エコケーブルとしてポリオレフィンと金属水和物の複合材を使用するケースが増加してきている。また、この複合材はテープやチューブ材としても用いられている。
しかし、塩化ビニル系樹脂は、安価で、それ自体難燃性を持ち、機械物性も優れているため、完全にポリオレフィン系材料への置き換えは進んでおらず、現在、ポリオレフィン系樹脂とともに塩化ビニル系樹脂が接触又は近接する状態で一緒に使用されているのが実情である。
ところで、本発明者は、ポリプロピレン系樹脂組成物の改良研究をしている過程で、酸化防止剤として一般的なフェノール系とリン系の酸化防止剤を併用して配合したポリプロピレン系樹脂組成物(例えば、特開昭62−34934号公報参照)について、これらの同じ樹脂組成物を使用した成形品を複数の場所で使用した場合に、それらを類似した使用環境で使用しているにもかかわらず、一部に著しく劣化が進行しているものがあることを発見した。そしてこの現象の原因を追求した結果、ポリプロピレン系樹脂組成物が塩化ビニル系樹脂と接触していたり、極めて近接した状態で使用されている場合にその劣化が著しいことを見出し、更に検討した結果、使用時の温度が比較的高くなると、塩化ビニル系樹脂の可塑剤が散逸したり、場合によっては塩化水素ガスが発生するため、ポリオレフィン樹脂の酸化劣化が一層促進されることを見出した。
【発明の開示】
本発明は、上記のような、塩化ビニル系樹脂と接触したり、極めて近接した状態で使用することによって促進されるポリオレフィン樹脂の酸化劣化を抑止し、塩化ビニル系樹脂と接触したり、近接した状態で安定して使用することのできるポリオレフィン系樹脂組成物、特にポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを第一の目的とするものである。
また、本発明は、塩化ビニル系樹脂成形体と、上記のような特性を有するポリオレフィン系樹脂組成物からなる成形体との組み合わせを提供することを第二の目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、特定の酸化防止剤を選択してポリオレフィン系樹脂とともに使用することにより、塩化ビニル系樹脂と接触又は近接した状態で使用しても、その劣化促進を著しく抑制できることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の内容をその要旨するものである。
(1)塩化ビニル系樹脂と接触又は近接した状態で用いられる樹脂組成物であって、(A)ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、(B)脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤及び/又は脂肪族エステル基を含有しないイオウ系酸化防止剤0.01〜5質量部を含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
(2)塩化ビニル系樹脂成形体とポリオレフィン系樹脂成形体との組み合わせであって、両成形体は接触又は近接した位置関係にあり、かつ、ポリオレフィン系樹脂成形体が、(A)ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、(B)脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤及び/又は脂肪族エステル基を含有しないイオウ系酸化防止剤0.01〜5質量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形体の組み合わせ。
(3)ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、更に(C)脂肪族エステルを含有しない金属不活性化剤0.01〜5質量部を配合した、前記(1)記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
(4)ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、更に(D)金属水和物及び/又は金属水酸化物50〜250質量部を配合した、前記(1)記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
(5)前記(B)フェノール系酸化防止剤が、下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種である、前記(1)記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii)下記一般式(I)で示される化合物、

[一般式(I)において、Xは次の一般式(II)を示す。Xで表される3つの基は互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。]

[一般式(II)において、R1及びR4は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基を表す。前記一般式(II)において、R2、R3、R5及びR6は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
(6)前記(C)脂肪族エステルを含有しない金属不活性化剤が、1,2ビス(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジンである、前記(3)記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
(7)前記(D)金属水和物及び/又は金属水酸化物が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムである、前記(4)記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
(8)塩化ビニル系樹脂と接触又は近接した状態で用いられる樹脂組成物であって、ポリプロピレン100質量部、1,2ビス(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン0.01〜3質量部、および下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤0.01〜5質量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii) 1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン、
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
(9)塩化ビニル系樹脂と接触又は近接した状態で用いられる樹脂組成物であって、ポリプロピレン100質量部、水酸化マグネシウム50〜250質量部、および下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤0.01〜5質量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii) 1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン、
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
(10)塩化ビニル系樹脂成形体がポリオレフィン系樹脂成形体に内包されている前記(2)記載の成形体の組み合わせ。
(11)ポリオレフィン系樹脂成形体が塩化ビニル系樹脂成形体に内包されている前記(2)記載の成形体の組み合わせ。
(12)塩化ビニル系樹脂成形体からなる層とポリオレフィン系樹脂成形体からなる層が、直接または間接に積層されている前記(2)記載の成形体の組み合わせ。
(13)ポリオレフィン系樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、更に(C)脂肪族エステルを含有しない金属不活性化剤0.01〜5質量部を配合したものである、前記(2)記載の成形体の組み合わせ。
(14)ポリオレフィン系樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、更に(D)金属水和物及び/又は金属水酸化物50〜250質量部を配合したものである、前記(2)記載の成形体の組み合わせ。
(15)前記(B)フェノール系酸化防止剤が、下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種である、前記(2)記載の成形体の組み合わせ。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii)下記一般式(I)で示される化合物、

[一般式(I)において、Xは次の一般式(II)を示す。Xで表される3つの基は互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。]

[一般式(II)において、R1及びR4は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基を表す。前記一般式(II)において、R2、R3、R5及びR6は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
(16)前記(C)脂肪族エステルを含有しない金属不活性化剤が、1,2ビス(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジンである、前記(13)記載の成形体の組み合わせ。
(17)前記(D)金属水和物及び/又は金属水酸化物が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムである、前記(14)記載の成形体の組み合わせ。
(18)塩化ビニル系樹脂成形体とポリオレフィン系樹脂成形体との組み合わせであって、両成形体は接触又は近接した位置関係にあり、かつ、ポリオレフィン系樹脂成形体が、ポリプロピレン100質量部、1,2ビス(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン0.01〜3質量部、および下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤0.01〜5質量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする、成形体の組み合わせ。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii) 1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン、
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
(19)塩化ビニル系樹脂成形体とポリオレフィン系樹脂成形体との組み合わせであって、両成形体は接触又は近接した位置関係にあり、かつ、ポリオレフィン系樹脂成形体が、ポリプロピレン100質量部、水酸化マグネシウム50〜250質量部、および下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤0.01〜5質量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする、成形体の組み合わせ。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii) 1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン、
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
以上のように、ポリオレフィン系樹脂とともに脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤及び/又は脂肪族エステル基を含有しないイオウ系酸化防止剤を使用し、更に必要に応じて金属不活性化剤および金属水和物および/又は金属水酸化物を配合することによって、塩化ビニル系樹脂と接触又は近接した状態で使用してもポリオレフィン系樹脂の酸化等による劣化を著しく抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず本発明に使用するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体、ポリブテン−1、エチレン・ブテン−1ランダム共重合体及びポリメチルペンテン−1等のポリ−α−オレフィン樹脂、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等のポリ−α−オレフィンとビニル単量体との共重合体樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ポリプロピレンであり、特にエチレン・プロピレンブロック共重合体が好ましい。
ここで、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物とともに使用して効果のある塩化ビニル系樹脂の具体例としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・アクリル酸アルキルエステル共重合体及び塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂は、可塑剤を含むものであると、従来の酸化防止剤処方のポリオレフィン系樹脂組成物と比べて、本願ポリオレフィン系樹脂組成物の劣化抑制効果が、より顕著に現れる。
可塑剤としては、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、塩素化パラフィン、トリメット酸エステル、エポキシ化植物油、ピロメリット酸エステル、ポリエステル系の可塑剤が挙げられる。これらの可塑剤は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、20〜150質量部、特に30〜100質量部含まれていることが好ましい。
「塩化ビニル系樹脂と近接して」とは、塩化ビニル樹脂中の可塑剤や、塩化ビニル系樹脂の一部が分解してできる塩化水素が、移行したり、飛散したり、充満することで、(A)ポリオレフィン系樹脂に接触できる距離を意味する。
普通は1cm以内であるが、塩化ビニル系樹脂を含む筐体、カバー、箱等の成形品に、ポリオレフィン系樹脂成形品が囲われている場合や、その反対のケースでは、もう少し両成形品の距離が離れている場合、例えば50cm以内であっても、前記可塑剤や塩化水素が、移行したり、飛散したり、充満することで、(A)ポリオレフィン系樹脂に接触できる。
また、両成形品が、共に置かれている場所が、50℃以上の高温になる場所である場合も、可塑剤や塩化水素が移行、飛散、充満しやすくなるため、例えば50cm以内であっても「塩化ビニル系樹脂と近接して」に相当する。
次に、本発明で使用する酸化防止剤としては、脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤及び/又は脂肪族エステル基を含有しないイオウ系酸化防止剤であれば特に制限はない。
このうちの脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤としては、例えば、下記の(i)〜(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
(i)2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii)下記一般式(I)で示される化合物、

[一般式(I)において、Xは次の一般式(II)を表す。Xで表される3つの基は互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。]

[一般式(II)において、R1及びR4は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基を表す。前記一般式(II)において、R2、R3、R5及びR6は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
これらの酸化防止剤の中でも、上記一般式(I)で表わされる酸化防止剤が好ましく、その中でも特に1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン(商品名:GSY−242、(株)エーピーアイ コーポレーション製、CASレジストリー番号:180002−86−2)が好ましい。
尚、前記一般式(II)において、R1およびR4は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基を表す。アルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基及び2−エチルヘキシル基等の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。これらの中で好ましいのは、炭素数1〜5のアルキル基である。この中でも、tert−ブチル基が特に好ましい。
前記一般式(II)において、R2、R3、R5及びR6は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基及び2−エチルヘキシル基等の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。これらの中でも好ましいのは、炭素数1〜5のアルキル基である。この中でも、R2又はR3は水素原子又はメチル基が特に好ましく、R5は水素原子が特に好ましく、R6はtert−ブチル基が特に好ましい
脂肪族エステル基を持たないイオウ系酸化防止剤としては、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル)スルフィド(商品名:AO−23、旭電化株式会社製)等が挙げられる。
(B)脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤及び/又はイオウ系酸化防止剤の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部であり、好ましくは0.1〜3質量部であり、特に好ましくは0.2〜2質量部である。
酸化防止剤の配合量が0.01質量部未満の場合は、酸化防止剤としての効果を殆ど発現しない。3質量部を超えると、配合量が多いわりには酸化防止効果が発現しないうえ、ブリード等の問題が起きやすくなる。
本発明で使用する酸化防止剤は、脂肪族エステル基を含有しないものを含むことが必要であり、分子内に脂肪族エステル基を有する酸化防止剤、例えば、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名:イルガノックス1010、(株)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)や、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:イルガノックス1076、(株)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、その他分子内に脂肪族エステル基を有する各種のイオウ系酸化防止剤などは、本発明で規定する酸化防止剤と併用しない限り、本発明の目的に使用しても効果を示さない。
即ち、脂肪族エステルを含有する「フェノール系及び/又はイオウ系酸化防止剤」のみを用いた場合や、リン系酸防剤のみ用いた場合は、塩化ビニル系樹脂と接触又は近接する部材に用いると、酸化防止効果は十分発現されず、樹脂部がボロボロになる恐れがある。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、例えば電線被覆材料やテープ、チューブ材として使用する場合には、塩化ビニル系樹脂と接触又は近接するうえ、更に銅含有材料と接触する状態で使用される。このように更に銅等の金属を含有する材料と接触する状態で使用する場合には、ポリオレフィン樹脂組成物に、更に(C)脂肪族エステルを含有しない銅害防止剤等の金属不活性化剤を配合した組成物とすることが好ましい。
好ましい銅害防止剤としては、例えば、1,2ビス(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン(商品名:イルガノックスMD1024、(株)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)等が挙げられる。
金属不活性化剤の配合量はポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部であり、好ましくは0.03〜2質量部であり、特に好ましくは0.05〜1質量部である。金属不活性化剤の配合量が0.01質量部未満の場合は、金属不活性化剤としての効果が殆ど発現しない。3質量部を超えると、配合量が多いわりには金属不活性化剤が発現しないうえ、ブリード等の問題が起きやすくなる。脂肪族エステルを含有する金属不活性化剤を用いた場合は、塩化ビニル系樹脂と接触又は近接する部材に用いると、金属不活性化剤、酸化防止剤の効果とも充分に発現せず、劣化が進行して樹脂部がボロボロになる恐れがある。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、難燃性を向上させるために更に(D)金属水和物および/又は金属水酸化物を配合することが出来る。(D)金属水和物および/又は金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトが挙げられる。これらのうちで水酸化マグネシウムが好ましく、特に粒径が2μm以下で、脂肪酸やシランカップリング剤等で表面処理したものが好ましい。その配合量はポリオレフィン系樹脂100質量部に対し50〜250質量部であり、好ましくは60〜200質量部である。ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して50質量部未満であると、特に高い難燃性能が必要な用途、例えば電線被覆材等への適用が難しくなり、250質量部を超えると樹脂組成物が硬くなり過ぎるため電線被覆材等への適用が困難となり、その上成形性、外観が悪化する。
以上のような各成分を添加配合した本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の具体的な例として、次のような樹脂組成物が挙げられる。
(A)ポリプロピレン 100質量部、
(B)下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤 0.01〜5質量部、
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii) 1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン、
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
(C)1,2ビス(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン 0.01〜3質量部
(D)水酸化マグネシウム 50〜250質量部。
このポリオレフィン系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂と接触又は近接する部材に用いても、酸化防止効果を充分に発現するともに、塩化ビニル系樹脂に比べダイオキシン発生等の問題も少ない難燃性を示す。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、この外に更に必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、種々の充填材や添加剤を配合することが出来る。
充填材としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、マイカ、ウィスカー、クレイ等の無機質充填材が挙げられる。添加剤としては、酸化防止剤、カーボンブラック、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、顔料、シリコーン系ポリマー、超高分子ポリエチレン等が挙げられる。これらの充填材や添加剤の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部である。
更に、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、特にノンハロゲン系難燃処方が必要な場合には、例えば無水カルボン酸又はその誘導体で変性した変性エラストマーや、スチレン系水添ポリマー等の熱可塑性エラストマーも配合することが出来る。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂と近接した状態で用いられる成形体の材料として用いると、その特性を十分に発揮できる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を含む成形体と、塩化ビニル系樹脂成形体との組み合わせとしては、前者がポリオレフィン樹脂、後者が塩化ビニル系樹脂で例示すると、電線被覆材−電線を束ねるテープ、電線被覆材−電線又は電線の束を囲うカバーや筐体、電線被覆材−電線被覆材、及び、材料について、これらの反対の組み合わせがある。
すなわち、本願の第二発明は、塩化ビニル系樹脂成形体とポリオレフィン系樹脂成形体との組み合わせであって、両成形体は接触又は近接した位置関係にあり、かつ、ポリオレフィン系樹脂成形体が、(A)ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、(B)脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤及び/又は脂肪族エステル基を含有しないイオウ系酸化防止剤0.01〜5質量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形体の組み合わせであり、本願の第一発明のポリオレフィン系樹脂組成物で述べた、言葉の定義及び全ての発明の要件を包含するものである。
また、本願の第二発明の具体的な態様として、次の三つがある。
(1)塩化ビニル系樹脂成形体がポリオレフィン系樹脂成形体に内包されている請求項2記載の成形体の組み合わせ。
(2)ポリオレフィン系樹脂成形体が塩化ビニル系樹脂成形体に内包されている請求項2記載の成形体の組み合わせ。
(3)塩化ビニル系樹脂成形体からなる層とポリオレフィン系樹脂成形体からなる層が、直接または間接に積層されている請求項2記載の成形体の組み合わせ。
【実施例】
表1及び表2に記載した配合割合になるように樹脂組成物の各成分をブレンドしたものを、二軸混練機(東芝機械製,TEM35)で溶融混練して種々の樹脂組成のペレットを得た。得られた各ペレットを射出成形機により成形して、試験片として厚さ2mmのダンベル状の成形品を作成した。このダンベル状の成形品の中央部に市販の塩化ビニル製粘着テープを貼り付け、140℃に保持したオーブン中に放置した。表1又は表2に記載したそれぞれ所定の時間経過後に試験片を取り出し、JIS K 7162に従い引張試験を行い、各試験片の引張強度と伸びを求めた。なお、各試験片の加熱処理前のものについても同様に伸びを測定しておき、次の計算式によって伸び保持率を求めた。
伸び保持率=〔(L−M)/L〕×100(%)
L:加熱処理前の試験片の伸び(mm)
M:加熱処理後の試験片の伸び(mm)
この伸び保持率は劣化の進行程度を示す目安となる。
比較サンプルとして、前記試験片のみ(塩化ビニルテープ貼り付けなし)を、前記オーブンとは別の、140℃に保持したオーブン中に放置し、表1又は表2記載したそれぞれ所定の経過後に試験片を取り出し、同様にJIS K7162の引張試験を行い、伸び保持率を求めた。
これらの測定結果を表1及び表2に記載する。
尚、表1はナチュラル材用のポリオレフィン系樹脂組成物であり、表2はノンハロゲン難燃処方用のポリオレフィン系樹脂組成物である。


尚、表中の各成分の記号は下記のものである。
(A)ポリオレフィン系樹脂:
・J−466HP:出光石油化学株式会社製ブロックポリプロピレン
・M110B(旧名称MR110M):出光石油化学株式会社製マレイン酸変性熱可塑性エラストマー
・AD89G:出光石油化学株式会社製マレイン酸変性ポリプロピレン
・M142E:出光石油化学株式会社製熱可塑性エラストマー
(B)酸化防止剤:
脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤
・GSY−242:(株)エーピーアイ コーポレーション製、1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン
・Irg−1330:(株)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
・AO−20:旭電化株式会社製、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
・BHT:住友化学株式会社製、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
脂肪族エステル基を含有するフェノール系酸化防止剤
・Irg−1010:(株)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
リン系酸化防止剤
・Irg−168:(株)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
イオウ系酸化防止剤
・スミライザーTPL:住友化学株式会社製、ジラウリル−3,3’−チオプロピオネート
(C)金属不活性化剤(銅害防止剤):
・MD1024:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、1,2ビス(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン、イルガノックスMD1024
・CDA−1:旭電化株式会社製、3(N−サリシロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール
・ナウガードXD−L:ユニロイヤル・ケミカル株式会社製、2,2’−オキサリルジアミドビス(エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピナート
(E)その他添加剤;
・BY27−001:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製シリコーンポリマー
表1及び表2の伸び保持率の結果から明らかなように、本発明のポリプロピレン樹脂組成物は良好な安定性を示す。表1では、336時間経過後でもほぼ良好な伸び保持率の値を維持しているが、本発明の酸化防止剤を使用しない比較例のものは急激にその値が低下している。又、表2では、更に金属不活性化剤を加え、銅に接触する雰囲気での安定性を試験したものであるが、本発明のポリプロピレン樹脂組成物では221時間経過しても良好な伸び保持率の値を保持しており、384時間経過しても僅かに着色する程度であるが、本発明の酸化防止剤及び金属不活性化剤を使用しない比較例のものは急激にその値が低下し、変色したりぼろぼろになっている。
【産業上の利用可能性】
本発明の特定の脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤及び/又はイオウ系酸化防止剤を配合したポリオレフィン系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂と接触又は近接した状態で使用しても、酸化防止効果を充分に発現でき、塩化ビニル樹脂の存在によるポリオレフィン系樹脂組成物の劣化を十分に抑制することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル系樹脂と接触又は近接した状態で用いられる樹脂組成物であって、(A)ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、(B)脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤及び/又は脂肪族エステル基を含有しないイオウ系酸化防止剤0.01〜5質量部を含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項2】
塩化ビニル系樹脂成形体とポリオレフィン系樹脂成形体との組み合わせであって、両成形体は接触又は近接した位置関係にあり、かつ、ポリオレフィン系樹脂成形体が、(A)ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、(B)脂肪族エステル基を含有しないフェノール系酸化防止剤及び/又は脂肪族エステル基を含有しないイオウ系酸化防止剤0.01〜5質量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形体の組み合わせ。
【請求項3】
ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、更に(C)脂肪族エステルを含有しない金属不活性化剤0.01〜5質量部を配合した、請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項4】
ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、更に(D)金属水和物及び/又は金属水酸化物50〜250質量部を配合した、請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)フェノール系酸化防止剤が、下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii)下記一般式(I)で示される化合物、

[一般式(I)において、Xは次の一般式(II)を示す。Xで表される3つの基は互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。]

[一般式(II)において、R1及びR4は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基を表す。前記一般式(II)において、R2、R3、R5及びR6は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
【請求項6】
前記(C)脂肪族エステルを含有しない金属不活性化剤が、1,2ビス(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジンである、請求項3記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項7】
前記(D)金属水和物及び/又は金属水酸化物が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムである、請求項4記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項8】
塩化ビニル系樹脂と接触又は近接した状態で用いられる樹脂組成物であって、ポリプロピレン100質量部、1,2ビス(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン0.01〜3質量部、および下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤0.01〜5質量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii) 1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン、
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
【請求項9】
塩化ビニル系樹脂と接触又は近接した状態で用いられる樹脂組成物であって、ポリプロピレン100質量部、水酸化マグネシウム50〜250質量部、および下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤0.01〜5質量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii) 1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン、
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
【請求項10】
塩化ビニル系樹脂成形体がポリオレフィン系樹脂成形体に内包されている請求項2記載の成形体の組み合わせ。
【請求項11】
ポリオレフィン系樹脂成形体が塩化ビニル系樹脂成形体に内包されている請求項2記載の成形体の組み合わせ。
【請求項12】
塩化ビニル系樹脂成形体からなる層とポリオレフィン系樹脂成形体からなる層が、直接または間接に積層されている請求項2記載の成形体の組み合わせ。
【請求項13】
ポリオレフィン系樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、更に(C)脂肪族エステルを含有しない金属不活性化剤0.01〜5質量部を配合したものである、請求項2記載の成形体の組み合わせ。
【請求項14】
ポリオレフィン系樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、更に(D)金属水和物及び/又は金属水酸化物50〜250質量部を配合したものである、請求項2記載の成形体の組み合わせ。
【請求項15】
前記(B)フェノール系酸化防止剤が、下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項2記載の成形体の組み合わせ。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii)下記一般式(I)で示される化合物、

[一般式(I)において、Xは次の一般式(II)を示す。Xで表される3つの基は互いに同一の基であっても、異なる基であってもよい。]

[一般式(II)において、R1及びR4は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基を表す。前記一般式(II)において、R2、R3、R5及びR6は互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
【請求項16】
前記(C)脂肪族エステルを含有しない金属不活性化剤が、1,2ビス(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジンである、請求項13記載の成形体の組み合わせ。
【請求項17】
前記(D)金属水和物及び/又は金属水酸化物が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムである、請求項14記載の成形体の組み合わせ。
【請求項18】
塩化ビニル系樹脂成形体とポリオレフィン系樹脂成形体との組み合わせであって、両成形体は接触又は近接した位置関係にあり、かつ、ポリオレフィン系樹脂成形体が、ポリプロピレン100質量部、1,2ビス(3,5−ジ−ターシャルブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン0.01〜3質量部、および下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤0.01〜5質量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする、成形体の組み合わせ。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii) 1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン、
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。
【請求項19】
塩化ビニル系樹脂成形体とポリオレフィン系樹脂成形体との組み合わせであって、両成形体は接触又は近接した位置関係にあり、かつ、ポリオレフィン系樹脂成形体が、ポリプロピレン100質量部、水酸化マグネシウム50〜250質量部、および下記の(i)ないし(v)からなる群から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤0.01〜5質量部を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする、成形体の組み合わせ。
(i) 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
(ii) 1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン、
(iii)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(iv)トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
(v)4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)。

【国際公開番号】WO2004/092263
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505405(P2005−505405)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005247
【国際出願日】平成16年4月13日(2004.4.13)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】