説明

ポリカーボネートジオールを含有する硬化性塗料用組成物

【課題】塗膜の柔軟性、耐磨耗性等の塗膜の物理的強度と、耐酸性、耐アルカリ性、耐アルコール性、耐オレイン酸性等の塗膜の化学的耐性の物性バランスに優れ、かつ手触り感覚がソフトな塗膜が形成を可能にする硬化性塗料用組成物を提供すること。
【解決手段】(a)、(b)及び(c)を必須成分として含有することを特徴とする硬化性塗料用組成物;(a)1分子中に少なくとも2つ以上のイソシアナート基を有するポリイソシアナート化合物;(b)下記式(1)及び(2)の繰り返し単位からなる脂肪族ポリカーボネートジオール;


−[−O−(−CH−)−O−CO−]− (2)(c)平均粒子径が0.1〜10μm以下のシリカ系艶消し剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1分子中に少なくとも2つ以上のイソシアナート基を有するポリイソシアナート化合物と、特定の構造式で表される、1分子中に少なくとも2つ以上の水酸基を有するポリカーボネートジオール、及び特定の平均粒子径の艶消し剤からなる硬化性塗料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリウレタン樹脂は、合成皮革、人工皮革、接着剤、家具用塗料、自動車塗料等の幅広い領域で使用されており、イソシアネ−トと反応させるポリオール成分としてポリエーテルやポリエステルが用いられてきた。しかしながら、近年、耐熱性、耐候性、耐磨耗性等の樹脂自体の物理的耐性、そして加水分解性、耐黴性、耐油性等、樹脂の化学的耐性への要求の高度化、さらには、物理的強度とは相反する実用性能である、手触りがソフトである塗料への要求が高まってきている。通常、耐磨耗性等の物理的強度、耐薬品性等の化学的耐性を向上させるためには、ポリマーへの架橋構造の導入が一般的であるが、この手段によると、塗料の塗膜は硬くなってしまうため、耐性に関するハイレベルの要求とソフトな手触りを両立させることには困難があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、塗膜の柔軟性、耐磨耗性等の物理的強度に優れ、かつ耐酸性、耐アルカリ性、耐アルコール性、耐オレイン酸性等の化学的耐性にも優れ、手触りがソフトな塗膜形成を可能にする硬化性塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリイソシアナート硬化剤と特定構造のポリカーボネートジオール、及び特定の平均粒子径の艶消し剤を組み合わせることにより、所期目的を達成しうることを見出し、本発明に至った。
(1) (a)1分子中に少なくとも2つ以上のイソシアナート基を有するポリイソシアナート化合物;
(b)下記式(1)及び(2)の繰り返し単位からなり、(1)と(2)の割合が(1)/(2)=90/10から30/70(モル比)であり、数平均分子量が550から3500であって、末端基が水酸基である脂肪族ポリカーボネートジオール;及び
【0005】
【化1】

【0006】
【化2】


(c)平均粒子径が0.1から10μmのシリカ系艶消し剤
を必須成分として含有する硬化性塗料用組成物であって、前記(c)のシリカ系艶消し剤を、前記硬化性塗料用組成物の全固形分において3から30質量%含有する組成物。
(2) 前記硬化性塗料組成物が、更に下記(d)を前記硬化性塗料用組成物の全固形分において0から30質量%含有する(但し、0質量%は除く)、(1)に記載の硬化性塗料用組成物;
(d)平均粒子径が2〜20μmのポリウレタン粒子。
(3) 前記ポリイソシアナート化合物(a)が、1分子中に少なくとも2.5以上のイソシアナート基を有する、(1)又は(2)に記載の硬化性塗料用組成物。
(4) 更に不活性有機溶剤を0から90質量%含有する(但し、0質量%は除く)、(1)又は(2)記載の硬化性塗料用組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塗膜の柔軟性、耐磨耗性等の塗膜の物理的強度と、耐酸性、耐アルカリ性、耐アルコール性、耐油性等の塗膜の化学的耐性の物性バランスに優れ、かつ手触りがソフトな塗膜が形成を可能にする硬化性塗料用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳述する。本発明で用いる、1分子中に少なくとも2つ以上のイソシアナート基を有するポリイソシアナート化合物としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ジイソシアナートシクロヘキサン、トリデンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサンジイソシアナート,1,5−ナフタレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、2,6−ジイソシアナートメチルカプロエート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)−ジイソシアナート、4,4′メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)などの芳香族、脂肪族、脂環族系イソシアナートが挙げられる。また前記ポリイソシアナート化合物として、これらのイソシアナートの単独又は混合物から誘導されるイソシアヌレート型ポリイソシアナート、ビュレット型イソシアナート、及びこれらのジイソシアナートとエチレングリコール、ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、カプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールやイソシアナート基と反応する官能基を有する低分子量のポリエステル樹脂(油変性タイプを含む)やアクリル系共重合体などとのランダム型付加物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアナート等モル付加物、イソシアナートエチル(メタ)クリレートなどのイソシアナート基と共重合性不飽和基を有するビニル系モノマーを必須成分として得られたイソシアナート基を有する共重合体等が挙げられる。特に耐候性の点から、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)等の脂肪族脂環族ジイソシアナートから誘導されたポリイソシアナートが好ましい。更には、これらのポリイソシアナートを、例えば、ブタノール、2−エチルヘキサノール等の低級アルコール、メチルエチルケトンオキシム、ラクタム類、フェノール類、イミダゾール類、活性メチレン化合物など公知のブロック剤でブロックした、いわゆるブロックドイソシアナート系硬化剤を用いることができる。これらポリイソシアナート化合物としては、スミジュール44S、44V70(いずれも住化バイエルウレタン製)、TDI(トリレンジイソシアナート)とHDIのコポリマーであるディスモジュールHL(住化バイエルウレタン製)、旭化成ケミカルズ製の各種デュラネート、すなわちデュラネート24A−100、デュラネート22A−75PX、デュラネート18H−70B、デュラネート21S−75E、デュラネートTHA−100、デュラネートTPA−100、デュラネートMFA−75X、デュラネートTSA−100、デュラネートTSS−100、デュラネートTSE−100、デュラネートD−101、デュラネートD−201、デュラネートP−301−75E、デュラネートE−402−90T、デュラネートE−402−90T、デュラネートE−405−80T、デュラネートME20−100、デュラネート17B−60PX、デュラネートTPA−B80X、デュラネートMF−B60X、デュラネートE−402−B80T、デュラネートME20−B80S、デュラネートWB40−100、デュラネートWB40−80D、デュラネートWT20−100、デュラネートWT30−100、デュラネートMHG−80B等として入手可能である。硬化塗膜の耐酸性、耐アルカリ性、耐アルコール性、耐油性、耐磨耗性、耐傷付き性を向上させるためには、ポリイソシアナート化合物が、1分子中に少なくとも2.5以上のイソシアナート基かつ/又はブロックドイソシアナート基を有することが好ましく、具体的にはビウレット、アロファナート、ウレチジンジオン、イソシアヌラート等のジイソシアナート誘導体、及び多価アルコールアダクト型がより好ましい。
【0009】
これらのポリイソシアナート化合物は、2種類以上併用することも可能である。
【0010】
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、下記式(1)及び(2)の繰り返し単位からなり、(1)と(2)の割合が(1)/(2)=90/10〜30/70(モル比)であり、末端基が水酸基であることを特徴とする脂肪族ポリカーボネートジオールである。
【0011】
【化3】

【0012】
【化4】


本発明者らは、各種ポリカーボネートジオールを本用途に検討した結果、上記特定の構造のカーボネートジオールを用いることにより、磨耗性等の物理的強度と化学的耐性のバランスに優れた塗料が得られることを見出した。
【0013】
本発明の効果発生メカニズムについてはよく分かってはいないが、単位重量当たりのカーボネート基総数が、従来使用されていた1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールから得られるポリカーボネートジオール等と比較して増加するため、高分子鎖間の分子間相互作用が強くなったことにより、耐磨耗性や化学的耐性が向上したものと予想している。また、高分子間相互作用が大きくなったことによっても樹脂自体の柔軟性がほとんど変化しないのは、2−メチル−1,3−プロパンジオールの側鎖メチル基による効果と予想している。
【0014】
本発明のポリカーボネートジオールは、Schell著、Polmer Review第9巻、第9〜20ページ(1964年)に記載された種々の方法により、2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールから合成される共重合ポリカーボネートジオールである。
【0015】
ポリカーボネートジオールを構成する繰り返し単位である(1)と(2)の割合が(1)/(2)=90/10(モル比)を超えると、得られる塗膜の柔軟性が損なわれるので好ましくない。また、ポリカーボネートジオールを構成する繰り返し単位である(1)と(2)の割合が(1)/(2)=30/70(モル比)未満においても得られる塗膜の柔軟性が損なわれるばかりではなく、耐油性、耐磨耗性も悪化するので好ましくない。より好ましいポリカーボネートジオールを構成する繰り返し単位である(1)と(2)の割合は(1)/(2)=85/15〜35/65(モル比)、さらに好ましくは(1)/(2)=80/20〜40/60(モル比)である。
【0016】
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールから合成される共重合ポリカーボネートジオールであるが、その特徴を阻害しない範囲で、その他の低分子量ジオールを共重合成分として含有することができる。具体的に使用できるその他のジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,3−ブタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられるが、それらジオールの割合は、2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールを含む全モノマージオールに占める割合として、40質量%未満、好ましくは20質量%未満、さらに好ましくは10質量%未満である。
【0017】
本発明における、ポリカーネートジオールの数平均分子量は550〜3500、さらに好ましくは数平均分子量700〜3000である。数平均分子量が500未満になると、塗膜の柔軟性が低下する可能性がある。また、数平均分子量が3500を超えると、イソシアナートとの反応が著しく遅くなり、乾燥に長時間を要するばかりではなく、得られる塗料組成物の粘度が高くなり、実際の塗工が難しくなるので好ましくない。
【0018】
本発明に用いられるポリカーボネートジオールのポリマー末端は、実質的にすべてヒドロキシル基であることが好ましい。
【0019】
本発明においては、2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールの他に、1分子に3個以上のヒドロキシル基を持つ化合物、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等を更に少量用いることで得られる、一分子中の平均水酸基数が2.5未満、好ましくは2.4未満の多官能化したポリカーボネートも含まれる。2.5以上に多官能化したポリカーボネートの場合、得られる塗料組成物の粘度が高くなり、実際の塗工が難しくなるばかりではなく、得られる塗膜が硬くなる可能性があるので好ましくない。
【0020】
ポリイソシアナートの添加量はポリイソシアナート中のNCOと前記ポリカーボネートジオール中のOHとのモル比で決定される。前記ポリカーボネートジオールとポリイソシアナートとの配合比は、塗膜性能の点からOH/NCO=1/0.5〜1/1.5(当量比)、より好ましくはOH/NCO=1/0.8〜1/1.2(当量比)となるように配合する。OH1当量に対してNCOが0.5当量未満では所定の塗膜物性が得られず、1.5当量を超えると硬化速度が適切でなく好ましくない。
【0021】
本発明では得られる塗膜表面の強度、ブロッキング性改善と耐スクラッチ性をより高めるため、そして塗膜光沢を調整するためにシリカ系艶消し剤を用いる。使用可能なシリカ系艶消しとしては微粉末シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられ、Degussa社製AcemattOK、TS、OP、HKシリーズ、富士シリシア化学(株)社製サイシリア、サイロホービック、サイロスフェアシリーズ、扶桑化学(株)社製クォートロンシリーズ、(株)トクヤマ製ファインシール、東ソーシリカ(株)Nipsilシリーズ、水澤化学(株)ミズカシル等がある。
【0022】
使用する艶消し剤粒子の平均粒子径は0.1〜10μmである。平均粒子径が0.1μm未満では、得られる塗膜の光沢が高くなりすぎるばかりではなく、手触りがソフトな感じ(以下ソフト感と称す)も低下するので好ましくない。一方、平均粒子径が10μmを超えると、得られる塗膜の磨耗性が低下し、また塗膜の透明感が損なわれるので好ましくない。より好ましい平均粒子径は0.2〜8μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである。
【0023】
本塗料組成部におけるシリカ系艶消し剤粒子の添加量は、塗料組成物に含まれる全固形分の3〜30質量%である。シリカ系艶消し剤粒子の含有量が3質量%未満では、得られる塗膜のソフト感が得られず、またシリカ系艶消し剤粒子の含有量が30質量%を超えると、得られる塗膜の磨耗性が極端に悪化するので好ましくない。好ましいシリカ系艶消し剤粒子の添加量は5〜20質量%、さらに好ましくは8〜15質量%である。
【0024】
本発明では得られる塗膜のソフト感をより高めるために樹脂ビーズを用いてもよい。中でもポリウレタン粒子が好ましい。このポリウレタン粒子は、懸濁安定剤の存在下においてポリウレタンプレポリマーを水中に分散させた後重合し、洗浄、乾燥させて製造する方法(特開平1−185648号広報)、乳化剤の存在下に非水不活性液体中でポリウレタンを乳化重合する方法(特開平5−214054号広報、特開平7−97425号広報)、等で合成される球状のポリウレタン粒子である。このポリウレタン粒子の合成において、2官能以下のイソシアナートウレタンプレポリマーを使用した場合は熱可塑性ウレタン粒子が得られ、2官能を超える末端イソシアナートウレタンプレポリマーを使用すると3次元架橋したウレタン粒子が得られる。本発明で使用するポリウレタン粒子としては、本塗料組成物により得られる塗膜の、耐酸性、耐アルカリ性、耐アルコール性、耐油性、耐熱性、耐磨耗性を向上させるために、3次元架橋したウレタン粒子がより好適に用いられる。使用するポリウレタン粒子の平均粒子径は2〜20μmである。平均粒子径が2μm未満では、得られる塗膜の光沢が高くなり、高級感が得られなくなるばかりではなく、ソフト感も低下するので好ましくない。一方、平均粒子径が20μmを超えると、得られる塗膜の磨耗性が低下し、また表面のソフト感が損なわれるので好ましくない。より好ましい平均粒子径は4〜15μm、さらに好ましくは5〜10μmである。
【0025】
本塗料組成部におけるポリウレタン粒子の添加量は、塗料組成物に含まれる全固形分の0〜30質量%である。ポリウレタン粒子の含有量が30質量%を超えると、得られる塗膜の磨耗性が悪化するので好ましくない。好ましいポリウレタン粒子の添加量は3〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。
【0026】
本発明の硬化性塗料組成物には、各種用途に応じて硬化促進剤(触媒)、充填剤、難燃剤、染料、有機又は無機顔料、離型剤、流動性調整剤、可塑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤、溶剤等を添加することができる。
【0027】
硬化促進剤としては、モノアミンであるトリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアミンであるテトラメチルエチレンジアミン、その他トリアミン、環状アミン、ジメチルエタノールアミンのようなアルコールアミン、エーテルアミン、金属触媒としては酢酸カリウム、2−エチルへキサン酸カリウム、酢酸カルシウム、オクチル酸鉛、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、ビスマスネオデカノエート、ビスマスオキシカーボネート、ビスマス2−エチルヘキサノエート、オクチル酸亜鉛、亜鉛ネオデカノエート、ホスフィン、ホスホリン等、一般的に用いられるものが使用できる。
【0028】
充填剤や顔料としては、織布、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、雲母、カオリン、ベントナイト、金属粉、アゾ顔料、カーボンブラック、クレー、シリカ、タルク、石膏、アルミナ白、炭酸バリウム等一般的に用いられているものが使用できる。
【0029】
また、艶消し剤や樹脂ビーズについては、必要に応じて1種類以上の艶消し剤、樹脂ビーズを併用してもよい。
【0030】
離型剤や流動性調整剤、レベリング剤としては、シリコーン、エアロジル、ワックス、ステアリン酸塩、BYK−331(BYKケミカル社製)のようなポリシロキサン等が用いられる。
【0031】
本発明に用いられる添加剤としては少なくとも酸化防止剤、光安定剤及び熱安定剤が用いられることが望ましい。これらの酸化防止剤としては燐酸、亜燐酸、の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや次亜燐酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物;フェノール系誘導体特にヒンダードフェノール化合物、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオン酸エステル等のイオウを含む化合物;スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等のスズ系化合物を用いることができる。これらは単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0032】
本発明の塗料組成物には、塗装時の作業性を良好にするために、必要に応じて不活性有機溶剤を0〜90質量%含有することができる。用いる不活性有機溶剤としては実質的にポリイソシアナート化合物に対して不活性な有機溶媒であり且つ活性水素を有しないものである。その例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、石油スピリット、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類、トリクロロフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、パーフルオロエーテル等の弗素化油等の弗素系不活性液体、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロデカリン、パーフルオロ−n−ブチルアミン、パーフルオロポリエーテル、ジメチルポリシロキサン等の単独又は混合物が挙げられる。さらには、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン等の溶媒が挙げられる。
【0033】
本組成物の塗装方法としては、各々の成分を塗装直前に混合した後、スプレー、ロール、はけ等で基材に塗布する方法が用いられる。予め、硬化剤である(a)成分以外を混合しておき、塗布直前に(a)成分を添加し均一に混合した後、塗布する方法も可能である。
【0034】
本発明の硬化性塗料組成物は、ソフトフィール塗料として、家電製品、OA製品、自動車内装部品、皮革の表面処理、合成皮革の表面処理、家具等木工製品の表面処理等に好ましく用いることができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例などを用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例において、各種ポリオール及びそのポリウレタンフィルムの諸物性は、下記の試験方法に従って試験を実施した。
【0036】
<試験方法>
1.OH価
無水酢酸12.5gをピリジン50mlでメスアップしアセチル化試薬を調製した。100mlナスフラスコに、測定するサンプルを2.5〜5.0g精秤する。アセチル化試薬5mlとトルエン10mlをホールピペットで添加後、冷却管を取り付けて、100℃で1hr撹拌加熱する。蒸留水2.5mlをホールピペットで添加、さらに10min加熱撹拌する。2〜3min冷却後、エタノールを12.5ml添加し、指示薬としてフェノールフタレインを2〜3滴入れた後に、0.5mol/lエタノール性水酸化カリウムで滴定する。アセチル化試薬5ml、トルエン10ml、蒸留水2.5mlを100mlナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、同様に滴定を行う(空試験)。この結果をもとに、下記数式(i)でOH価を計算した。
OH価(mg−KOH/g)={(b−a)×28.05×f}/e (i)
a:サンプルの滴定量(ml)
b:空試験の滴定量(ml)
e:サンプル重量(g)
f:滴定液のファクター
【0037】
2.分子量
実施例、比較例中のポリマーの末端は、13C−NMR(270MHz)の測定により、実質的に全てがヒドロキシル基であった。さらに、ポリマー中の酸価をKOHによる滴定により測定したが、実施例、比較例のポリマー全てが0.01以下であった。従って、得られたポリマーの数平均分子量は下式(ii)により求められる。
数平均分子量=2/(OH価×10―3/56.11) (ii)
【0038】
3.共重合組成比
本発明のポリカーボネートジオールの共重合組成比は、以下のように測定した。
100mlのナスフラスコにサンプルを1g取り、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、100℃で1hr反応する。室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを2〜3滴添加し、塩酸で中和する。冷蔵庫で1hr冷却後、沈殿した塩を濾過で除去し、ガスクロマトグラフィーにより分析を行った。分析は、カラムとしてDB−WAX(J&W製)をつけたガスクロマトグラフィーGC−14B(島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内標として、検出器をFIDとして行った。なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温した。
【0039】
4.塗膜硬度
ガラス板上に形成したフィルムについて、ペンドラム式硬度計で測定した。ガラス板上に塗布した塗装サンプルを装置に置き、振幅が5°になった時点かから振幅が2°になるまでの時間を測定した(t)。塗装していないガラス板につき、同様の測定を行い振幅が5°になった時点かから振幅が2°になるまでの時間を測定した(t)。硬度(X)は以下の式で計算した。数値は、大きいほど塗膜表面が硬い。
硬度:X=t/t
【0040】
5.耐磨耗性
JIS K5600−5−8の方法に準じ、テーバー型磨耗試験機を用い測定した。磨耗試験前の重量と磨耗試験(500回転)後の塗膜板の重量変化を測定し表記した。
【0041】
6.光沢度
JIS K5600−4−7の方法に準じ、85°での塗膜表面の光沢度を測定した。
【0042】
7.ソフト感
塗膜表面を手で触った感触によりソフト感を評価した。判定結果は以下の表記で表した。
◎:たいへん良好なソフト感 ○:良好なソフト感 △:まずまず良好なソフト感 ×:ソフトとは感じられない
【0043】
8.ベタツキ感
塗膜表面を手で触った時の感触により評価した。判定結果は以下の表記で表した。
○:べたつかない △:少々ベタツキ感あり ×:べたつく
【0044】
9.耐液体性
1)耐酸性:0.1N HSO水溶液に24h室温で浸漬後の塗膜外観を目視判定。
◎:外観に変化なし ○:外観にほぼ変化なし △:極小さい膨れ
×:明確な膨れ
2)耐アルカリ性:0.1N NaOH水溶液に室温で24h浸漬後の塗膜外観を目視判定。
◎:外観に変化なし ○:外観にほぼ変化なし △:極小さい膨れ
×:明確な膨れ
3)耐エタノール性:50%EtOH水溶液に室温で4h浸漬後の塗膜外観を目視判定。
◎:外観に変化なし ○:外観にほぼ変化なし △:極小さい膨れ
×:明確な膨れ
4)耐オレイン酸性:0.1gのオレイン酸を塗膜上に付着させ、4h後に塗膜の外観を目視判定。
◎:外観に変化なし ○:外観にほぼ変化なし △:極小さい膨れ
×:明確な膨れ
【0045】
製造例1
攪拌機、温度計、頭頂に還流ヘッドを有する真空ジャッケト付きオルダーショウを備えた2Lセパラブルフラスコに、2−メチル−1,3−プロパンジオール528g、1,4−ブタンジオール132g、エチレンカーボネート650gを仕込み、70℃で撹拌溶解した後、触媒として酢酸鉛三水和物を0.015g入れた。175℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140℃、真空度1.0〜1.5kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分の一部を抜きながら、12hr反応した。その後、オルダーショウを単蒸留装置に取り替え、温度を180℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140〜150℃、真空度を0.5kPaまで落として、セパラブルフラスコ内に残った、ジオールとエチレンカーボネートを除去した。その後、オイルバスの設定温度を185℃に上げ、フラスコの内温160〜165℃で、生成するジオールを除去しながら、さらに4hr反応した。この反応により、常温で粘ちょうな液体が得られた。得られた反応物のOH価は56.1(分子量2000)、共重合組成は2−メチル−1,3−プロパンジオール/1,4−ブタンジオール=80/20(モル比)であった。
【0046】
製造例2
製造例1において、2−メチル−1,3−プロパンジオール330g、1,4−ブタンジオール330gを用いた以外は同様の方法で合成した。得られた反応物のOH価は56.1(分子量2000)、共重合組成は2−メチル−1,3−プロパンジオール/1,4−ブタンジオール=50/50(モル比)であった。
【0047】
製造例3
製造例1において、2−メチル−1,3−プロパンジオール231g、1,4−ブタンジオール429gを用いた以外は同様の方法で合成した。得られた反応物のOH価は56.1(分子量2000)、共重合組成は2−メチル−1,3−プロパンジオール/1,4−ブタンジオール=35/65(モル比)であった。
【0048】
製造例4
製造例1の2Lセパラブルフラスコに、2−メチル−1,3−プロパンジオール330g、1,4−ブタンジオール330g、エチレンカーボネート650gを仕込み、70℃で撹拌溶解した後、触媒として酢酸鉛三水和物を0.015g入れた。175℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140℃、真空度1.0〜1.5kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分の一部を抜きながら、12hr反応した。その後、オルダーショウを単蒸留装置に取り替え、温度を180℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140〜150℃、真空度を0.5kPaまで落として、セパラブルフラスコ内に残った、ジオールとエチレンカーボネートを除去した。得られた反応物のOH価は140.3(分子量800)、共重合組成は2−メチル−1,3−プロパンジオール/1,4−ブタンジオール=50/50(モル比)であった。
【0049】
製造例5
製造例1において、2−メチル−1,3−プロパンジオール627g、1,4−ブタンジオール33gを用いた以外は同様の方法で合成した。得られた反応物のOH価は56.1(分子量2000)、共重合組成は2−メチル−1,3−プロパンジオール/1,4−ブタンジオール=95/5(モル比)であった。
【0050】
製造例6
製造例1において、2−メチル−1,3−プロパンジオール132g、1,4−ブタンジオール528gを用いた以外は同様の方法で合成した。得られた反応物のOH価は56.1(分子量2000)、共重合組成は2−メチル−1,3−プロパンジオール/1,4−ブタンジオール=20/80(モル比)であった。
【0051】
製造例7
製造例4において、2−メチル−1,3−プロパンジオール330g、1,4−ブタンジオール330gを用いた以外は同様の方法で合成した。得られた反応物のOH価は224.4(分子量500)、共重合組成は2−メチル−1,3−プロパンジオール/1,4−ブタンジオール=50/50(モル比)であった。
【0052】
製造例8
製造例1において、2−メチル−1,3−プロパンジオール330g、1,4−ブタンジオール330gを用いたことと、オイルバスの設定を185℃に上げたときに、フラスコの内温160〜165℃で、生成するジオールを除去する時間を延長した以外は同様の方法で合成した。得られた反応物のOH価は28.1(分子量4000)、共重合組成は2−メチル−1,3−プロパンジオール/1,4−ブタンジオール=50/50(モル比)であった。
【0053】
製造例9
製造例1において、1,5−ペンタンンジオール382g、1,6−ヘキサンジオール433gを用いた以外は同様の方法で合成した。得られた反応物のOH価は56.1(分子量2000)、共重合組成は1,5−ペンタンンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50(モル比)であった。
【0054】
実施例1
製造例1で得られたポリカーボネートジオール(PCDL−1: 2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールとを80/20のモル比で共重合して得られたポリカーボネートジオールで、分子量2000)41.58g、艶消し剤AcemattOK−500(平均粒径3μm、Degussa社製)5g、レベリング剤BYK−331(BYKケミカル社製)0.75g、ジブチル錫ジラウレート(Air Product社製)1.25g、及びシンナーとしてキシレン/酢酸ブチル(70/30)の混合溶媒を、最終的な塗料固形分が50%になるように添加して拌機し塗料主剤を得た。これに硬化剤としてデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製:ヘキサメチレンジイソシアナート系イソシアヌレート型硬化剤、固形分100%、NCO含量=23.1wt%)を8.42g添加、混合して塗布液を作製した。これをアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂板上に塗布した後、80℃で2時間加熱硬化させ膜厚み30〜40μmの塗膜を得た。塗料配合とその諸物性を表1に示した。
【0055】
実施例2
実施例1のポリカーボネートジオールの替わりに製造例2で作製したポリカーボネートジオール−2(PCDL−2: 2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールとを50/50のモル比で共重合して得られたポリカーボネートジオールで、数平均分子量2000)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表1に示した。
【0056】
実施例3
実施例1のポリカーボネートジオールの替わりに製造例3で作製したポリカーボネートジオール−3(PCDL−3: 2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールとを35/65のモル比で共重合して得られたポリカーボネートジオールで、数平均分子量2000)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表1に示した。
【0057】
実施例4
実施例1のポリカーボネートジオールの替わりに製造例4で作製したポリカーボネートジオール−4(PCDL−4: 2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールとを50/50のモル比で共重合して得られたポリカーボネートジオールで、数平均分子量800)33.2gを用い、デュラネートTPA−100の添加量を16.8gとした以外は、実施例1と同様の方法で塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表1に示した。
【0058】
実施例5
実施例2の硬化剤の替わりに、デュラネート24A−100(旭化成ケミカルズ社製:ヘキサメチレンジイソシアナート系ビュレット型硬化剤、固形分100%、NCO含量=23.5wt%)を8.29gとした以外は実施例2と同様に塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表1に示した。
【0059】
実施例6
実施例2で艶消し剤OK−500の添加量を15gにした以外は実施例2と同様の方法で塗料を作製した。塗料配合とその諸物性は表1に示した。
【0060】
実施例7
実施例2で艶消し剤OK−500の添加量を3gにした以外は実施例2と同様の方法で塗料を作製した。塗料配合とその諸物性は表1に示した。
【0061】
実施例8
実施例2で艶消し剤OK−500のかわりにシリカ1(粒径0.5μm)5gを使用した以外は実施例2と同様の方法で塗料を作製した。塗料配合とその諸物性は表1に示した。
【0062】
実施例9
実施例2で艶消し剤OK−500のかわりにAcemattHK440(平均粒径7μm、Degussa社製)5g使用した以外は実施例2と同様の方法で塗料を作製した。塗料配合とその諸物性は表1に示した。
【0063】
実施例10
ポリウレタン粒子(アートパール、C−800BK、平均粒子径=6μm、根上工業株式会社製)7gを使用した以外は実施例2と同様に塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表2に示した。
【0064】
実施例11
窒素ガスで充分に置換し、乾燥させた2LオートクレーブにアデカポリエーテルG−700(旭電化工業株式会社製、グリセリンPO付加物、水酸基価225mg/KOHg)175gとヘキサメチレンジイソシアネート101gを仕込み、120℃で20時間撹拌、反応させた。その後減圧下で未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを除去した後トルエンを加えて不揮発分90%の合成物(I)を得た。2L撹拌機付きセパラブルフラスコに水970gを仕込み、この中ヘメトローズ90SH−100(信越化学株式会社製品;メチルセルロース)30gを溶解して分散媒を作成した。該分散媒を1000rpm撹拌下に合成物(I)250gをトルエン87gで希釈した溶液を加え、懸濁液を作成した。撹拌継続下に懸濁液を60℃に昇温し、1.5時間反応した後室温まで冷却し、固液分離し、水で充分洗浄した後70℃、20時間乾燥して平均粒子径4μmのウレタン粒子(ビーズ1)を得た。実施例10のポリウレタン粒子の替わりに、上記方法にて合成したポリウレタン粒子を使用した以外は実施例2と同様に塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表2に示した。
【0065】
実施例12
ポリウレタン粒子(アートパール、C−400BK、平均粒子径=14μm、根上工業株式会社製)7gを使用した以外は実施例2と同様に塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表2に示した。
【0066】
実施例13
ポリウレタン粒子(アートパール、C−800BK、平均粒子径=6μm、根上工業株式会社製)4gを使用した以外は実施例2と同様に塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表2に示した。
【0067】
実施例14
ポリウレタン粒子(アートパール、C−800BK、平均粒子径=6μm、根上工業株式会社製)10gを使用した以外は実施例2と同様に塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表2に示した。
【0068】
比較例1
実施例1のポリカーボネートジオールの替わりに製造例5で作製したポリカーボネートジオール−5(PCDL−5: 2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールを95/5のモル比で共重合して得られたポリカーボネートジオールで、数平均分子量2000)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表3に示した。
【0069】
比較例2
実施例1のポリカーボネートジオールの替わりにポリカーボネートジオール−6(PCDL−6: 2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールとを20/80のモル比で共重合して得られたポリカーボネートジオールで、数平均分子量2000)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表3に示した。
【0070】
比較例3
実施例1のポリカーボネートジオールの替わりにポリカーボネートジオール−7(PCDL−7: 2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールとを50/50のモル比で共重合して得られたポリカーボネートジオールで、数平均分子量500)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表3に示した。
【0071】
比較例4
実施例1のポリカーボネートジオールの替わりにポリカーボネートジオール−8(PCDL−8: 2−メチル−1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールとを50/50のモル比で共重合して得られたポリカーボネートジオールで、数平均分子量4000)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表3に示した。
【0072】
比較例5
実施例1のポリカーボネートジオールの替わりに製造例9で作製したポリカーボネートジオール−9(PCDL−9: 1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとを50/50のモル比で共重合して得られたポリカーボネートジオールで、数平均分子量2000)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で塗料を作成した。塗料配合とその諸物性を表3に示した。
【0073】
比較例6
実施例2の艶消し剤OK−500のかわりに、クォートロンPL−2(粒径0.02μm、固形分20%、扶桑化学工業社製)5gを使用した以外は実施例2と同様の方法で塗料を作製した。塗料配合とその諸物性は表3に示した。
【0074】
比較例7
実施例2の艶消し剤OK−500のかわりに、シリカ2(粒径30μm)5gを使用した以外は実施例2と同様の方法で塗料を作製した。塗料配合とその諸物性は表3に示した。
【0075】
比較例8
実施例2の艶消し剤OK−500を1g使用した以外は実施例2と同様の方法で塗料を作製した。塗料配合とその諸物性は表3に示した。
【0076】
比較例9
実施例2の艶消し剤OK−500を25g使用した以外は実施例2と同様の方法で塗料を作製した。塗料配合とその諸物性は表3に示した。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
【表3】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1分子中に少なくとも2つ以上のイソシアナート基を有するポリイソシアナート化合物;
(b)下記式(1)及び(2)の繰り返し単位からなり、(1)と(2)の割合が(1)/(2)=90/10から30/70(モル比)であり、数平均分子量が550から3500であって、末端基が水酸基である脂肪族ポリカーボネートジオール;及び
【化1】


【化2】


(c)平均粒子径が0.1から10μmのシリカ系艶消し剤
を必須成分として含有する硬化性塗料用組成物であって、前記(c)のシリカ系艶消し剤を、前記硬化性塗料用組成物の全固形分において3から30質量%含有する、組成物。
【請求項2】
前記硬化性塗料用組成物が、更に下記(d)を硬化性塗料用組成物の全固形分において0から30質量%含有する(但し、0質量%は除く)、請求項1に記載の硬化性塗料用組成物;
(d)平均粒子径が2から20μmのポリウレタン粒子。
【請求項3】
前記ポリイソシアナート化合物(a)が、1分子中に少なくとも2.5以上のイソシアナート基を有する、請求項1又は2に記載の硬化性塗料用組成物。
【請求項4】
更に不活性有機溶剤を0から90質量%含有する(但し、0質量%は除く)、請求項1又は2記載の硬化性塗料用組成物。

【公開番号】特開2009−280665(P2009−280665A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132834(P2008−132834)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】