説明

ポリグリセロール部分エステルを含有する化粧料組成物

本発明は、直鎖状非置換カルボン酸のポリグリセロール部分エステルを含有する化粧料組成物に関し、但し、該ポリグリセロール部分エステルの加水分解またはアルコール分解によって得られるポリグリセロールは、2〜8の平均重合度を含み、前記ポリグリセロールの多分散指数は、0.75より大きい。本発明は、化粧料組成物の生成のための、および該組成物において使用するための、前述のポリグリセロールエステルの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直鎖状非置換カルボン酸のポリグリセロール部分エステルを含有する化粧料組成物であって、但し、該ポリグリセロール部分エステルの加水分解またはアルコール分解によって得られるポリグリセロールが、2〜8の平均重合度を含み、該前記ポリグリセロールの多分散指数が、0.75より大きい、化粧料組成物に関する。本発明は、化粧料組成物の生成のための、および該組成物において使用するための、前述のポリグリセロールエステルの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
化粧用途におけるポリグリセロールエステルの使用は、それ自体が公知である。
【0003】
ドイツ特許公開第DE3818292A1号公報は、ポリグリセロールのイソプロピリデン誘導体の脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸エステルの調製方法ならびに化粧料調製物およびスキンケア剤のためのそれらの使用に関する。
【0004】
欧州特許公開第EP0451461B1号公報は、化粧料および医薬調製物における乳化剤としてのポリグリセロール脂肪酸エステルの混合物の使用について記述している。これらは、12〜22個のC原子を有する少なくとも1つの飽和脂肪酸または16〜22個のC原子を有する少なくとも1つの不飽和脂肪酸によるポリグリセロールの部分エステル化によって得ることができ、ここで、用いられる不飽和脂肪酸または脂肪酸混合物は、16〜22個のC原子を有する最大10重量%の飽和脂肪酸をさらに含有し得る。混合物中の飽和または不飽和脂肪酸のエステル化度は、20〜70%の間である。
【0005】
欧州特許公開第EP0451461B1号公報は、化粧料および医薬調製物における乳化剤としてのポリグリセロール脂肪酸エステルの混合物の使用について記述している。これらは、12〜22個のC原子を有する少なくとも1つの飽和脂肪酸または16〜22個のC原子を有する少なくとも1つの不飽和脂肪酸によるポリグリセロールの部分エステル化によって取得可能であり、ここで、用いられる不飽和脂肪酸または脂肪酸混合物は、16〜22個のC原子を有する最大10重量%の飽和脂肪酸をさらに含有し得る。混合物中の飽和または不飽和脂肪酸のエステル化度は、20〜70%の間である。
【0006】
JP2008308415は、高湿度環境における毛髪のボリューム増加を抑制し、メタクリレートポリマー、脂肪酸ポリグリセリンエステル、アルジトールおよびカチオン性界面活性剤を含有する、ヘアリンス、ヘアトリートメントまたはヘアコンディショナーについて記述している。ポリグリセロールエステルの好適な例として、ジイソステアリン酸ジグリセロールが挙げられる。
【0007】
JP2008280329は、化粧用油用のゲル化剤としてのポリグリセリン脂肪酸エステルについて記述している。
【0008】
JP2008208050は、優れた起泡特性および良好な皮膚適合性を有するポリアルキルグルコシド誘導体およびポリグリセリンモノ脂肪酸エステル(モノエステル化度≧70%)を含有する洗浄剤について記述している。
【0009】
JP2008195689は、マイクロエマルジョンを含み、C8〜22脂肪酸を持ち13以上のHLB値を有するポリグリセリンエステルを含有する、スキンケアおよびヘアケア組成物について記述している。
【0010】
WO2005115328は、カチオン性ポリマーおよびポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する、改善された性能プロフィールを有するスキンケアおよびヘアケア製品を開示している。
【0011】
Mashikoらは、ヘアケア製品におけるイソステアリン酸ポリグリセリンの使用について記述している(Fragrance Journal 1998, 26(5), 64-70)。
【0012】
Takanoらは、ヘアコンディショナー用途のためのニッコームレーゼ(Nikkomulese)61H(ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10を含有する)の使用について記述している。
【0013】
EP780117は、C6〜22脂肪酸エステルをポリグリセロールとともに含有するヘアコンディショニングエマルジョンを開示している。
【0014】
DE3533600は、水溶性のポリグリセロール含有非イオン性界面活性剤を含有する毛髪用調製物を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、先行技術において収載されている少なくとも1つの欠点を克服する薬剤を提供することであった。
【0016】
驚くべきことに、請求項1のポリグリセロール部分エステルを含有する化粧料組成物が要件を満たすことが現在分かっている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、式(I)の構造
【化1】

[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、同じまたは異なり、
−OH、
−OR(ここで、Rは、16〜22炭素原子の鎖長を有する直鎖状非置換アシル基であり、但し、鹸化によって該アシル基から得られるモノカルボン酸は、50未満のヨウ素価を有する)、
一般式(II)の構造を有する基
【化2】

(式中、Rは、式(I)の構造を有する基であり、ここで、R、RおよびRの1つは、−ORの酸素との直接結合であり、Xは、2〜34個の炭素原子を有する二価有機残基である)、および
−OR(ここで、Rは上記と同様である)
からなる群から選択される]
を有するポリグリセロール部分エステルを含有する化粧料組成物であって、該ポリグリセロール部分エステルの各分子は、各−ORおよび式(II)の構造を有する基の少なくとも1つを含み、
但し、該ポリグリセロール部分エステルは、2〜10のHLB値を含み、かつ該ポリグリセロール部分エステルの加水分解またはアルコール分解によって得られるポリグリセロールは、2〜8の平均重合度を含み、該ポリグリセロールの少なくとも1%は環状構造を含む、化粧料組成物に関する。
【0018】
本発明はさらに、化粧料調製物におけるポリグリセロール部分エステルの使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の利点は、本発明による化粧料調製物が、長期保存に安定なことである。
【0020】
本発明のさらなる利点は、ポリグリセロール部分エステルを含む化粧料調製物が、高温で安定であり、凍結融解サイクルの繰り返しにも耐えることである。
【0021】
またさらなる利点は、本発明による化粧料調製物が、軽くてべたつかない皮膚感触を与え得ることである。
【0022】
本発明のまたさらなる利点は、化粧料調製物が、毛髪の梳かしやすさ(combability)を向上させ得ることである。
【0023】
本発明のまたさらなる利点は、化粧料調製物が、毛髪のまとまりやすさ(grip)を向上させ得ることである。
【0024】
本発明のまたさらなる利点は、化粧料調製物が、毛髪の外観を向上させ得ることである。
【0025】
本発明のまたさらなる利点は、化粧料調製物が、毛髪の弾力性を向上させ得ることである。
【0026】
本発明のまたさらなる利点は、化粧料調製物が、ヒトまたは動物の毛髪を熱損傷から保護し得ることである。
【0027】
本発明のさらに別の利点は、ポリグリセロール部分エステルが、繊維に定着するための付着補助をほとんど必要とし得ないことである。
【0028】
本発明のまたさらなる利点は、本発明による化粧料調製物が、アニオン性界面活性剤の存在下で、ポリグリセロール部分エステルの沈着増強を有し得ることである。
【0029】
別の利点は、本発明による化粧料組成物が、繊維に対する優れた静電気制御を提供し得ることである。
【0030】
さらなる利点は、本発明において使用されるポリグリセロール部分エステルが、優れた乳化特性を有し得ることである。
【0031】
別の利点は、本発明による化粧料組成物が、生分解性とすることができ、低いヒトおよび環境毒性を有し得ることである。
【0032】
また別の利点は、本発明による化粧料組成物が、酵素およびある特定の香料等の低pHでは安定でない材料との配合を可能にし得ることである。
【0033】
当業者であれば、ポリグリセロールエステルは、そのポリマー的性質および調製された方法により、異なる構造の統計的混合物であることを認識するであろう。
【0034】
故に、ポリグリセロール分子は、グリセロールモノマー単位の2つの第一級の位置の間、第一級と第二級の位置の間、または2つの第二級の位置の間のいずれかにエーテル結合を含み得る。1つまたは複数の環を含む環状構造も存在し得る。テトラグリセロールおよびより大きいオリゴマーでは、エーテル結合を介して3つのさらなるグリセロールモノマー単位に結合した少なくとも1つのグリセロールモノマー単位を含む分枝構造が存在し得る。ポリグリセロール混合物は、異なるオリゴマーおよびこれらの異性体を含有し得、オリゴマー分布、すなわち、混合物中におけるモノ−、ジ−、トリ−、…−グリセロール構造の割合によって特徴付けることができる。この分布は、例えば、誘導体化後のポリグリセロール混合物の高温ガスクロマトグラフィーによって決定され得る。単一オリゴグリセロール異性体の合成は、「Original synthesis of linear,branched and cyclic oligoglycerol standards」、Casselら、Eur.J.Org.Chem.2001、875〜896において記述されている。
【0035】
さらに、ポリグリセロール混合物のエステル化は、一般に、非エステル化ポリグリセロール、モノエステル、ジエステル、トリエステル等の分布が得られ、ここで、平均エステル化度は、合成において使用されるポリグリセロールに対する脂肪酸(またはその誘導体)の比によって決定される。異なる脂肪酸の混合物がエステル化に使用される場合、2個以上の同じまたは異なる脂肪酸残基が、エステル結合を介して1個のポリグリセロール分子に結合していてよい。
【0036】
ジカルボン酸による追加のエステル化は、ポリグリセロールエステル部分構造のオリゴマー化または架橋をもたらす。このようにして形成されたオリゴマーまたはポリマーは、一般構造A(BA)またはB(AB)の直鎖状ポリエステル[ここで、Aはポリグリセロールまたはポリグリセロール脂肪酸エステル部分であり、Bはジカルボン酸部分である]であってよいが、分枝または多分枝構造も含み得る。ポリエステルの平均重合度は、エステル化プロセスにおけるポリグリセロール脂肪酸エステルおよびジカルボン酸(またはその誘導体)の比によって決定される。
【0037】
本発明では、ポリグリセロール部分エステルの親水性−親油性バランス値(HLB値)が2〜10の間となることが重要である。HLB値は、分子の異なる領域についての値を算出することによって決定される、分子が親水性または親油性の度合を示す尺度である。本発明の目的のために、ポリグリセロール部分エステルのHLB値は、下記の通りに算出する。
HLB=(mp/(mp+ma))×20
式中、mpはポリグリセロールの質量であり、maはポリグリセロールエステルの合成において使用されるカルボン酸混合物(モノ−およびジカルボン酸を含む)の質量である。例えば、モノカルボン酸90gおよびジカルボン酸10gによるポリグリセロール100gのエステル化は、ポリグリセロールの重合度および使用されるカルボン酸の種類とは無関係に、(100g/(90g+10g+100g))×20=10のHLBとなる。
【0038】
本発明では、ポリグリセロール部分エステルのポリグリセロール骨格が、2〜8、好ましくは2.5〜6、特に好ましくは3〜4.5の平均重合度を含むことが重要である。
【0039】
所与のポリグリセロール部分エステルにおけるポリグリセロールのオリゴマー分布を決定するための好適な方法は、部分エステルの加水分解またはアルコール分解、得られたポリグリセロールの形成されたカルボン酸化合物からの分離、および誘導体化後のガスクロマトグラフィーによる分析を含む。
【0040】
この目的のために、ポリグリセロールエステル0.6gを、0.5Nエタノール性KOH25ml中で30分間還流させ、硫酸でpH2〜3に調整する。等体積の石油エーテルでの3回の抽出によって脂肪酸を分離する。合わせた抽出物を蒸発させて、およそ10mlの体積とする。0.5mlアリコートをオートサンプラーバイアルに移し、誘導体化剤としてMTBE0.5mlおよびTMPAH溶液1ml(メタノール中トリメチルアニリニウムヒドロキシド)を添加後、GCによって分析する。
【0041】
脂肪酸GC分析は、スプリット/スプリットレスインジェクタ、キャピラリーカラムおよびフレームイオン化検出器を備えたガスクロマトグラフによって行う。
条件:
インジェクタ: 290℃、スプリット30ml
注入体積: 1μl
カラム: 30m*0.32mm HP1 0.25μm
キャリアガス: ヘリウム、上部圧力70kPa
温度プログラム: 8℃/分で80℃〜300℃
(コンディショニング)
検出器:320℃でのFID
水素 35ml/分
空気 240ml/分
メークアップガス 35ml/分
【0042】
これらの条件を適用して、脂肪酸メチルエステルをそれらのアルキル鎖長によって分離する。
【0043】
個々の脂肪酸の相対含有量(鎖長分布)は、ピーク面積パーセンテージによって評価される。石油エーテルによる抽出後の残留物を、水酸化バリウム溶液の添加によってpH7〜8に調整する。硫酸バリウムの沈澱物を、遠心分離によって分離する。上清を除去し、残留物をエタノール20mlで3回抽出する。合わせた上清を、80℃/50mbarで蒸発させる。残留物をピリジンに溶解する。溶液500μlをオートサンプラーバイアルに移し、MSTFA(N-メチル-N-トリフルオロアセトアミド)1mlを添加する。バイアルを閉じ、80℃に30分間加熱する。
【0044】
ポリグリセロール成分(そのトリメチルシリル誘導体として)のGC分析は、オンカラムインジェクタおよびFID検出器を備えたガス−液体クロマトグラフによって行う。
条件:
インジェクタ: オンカラム、オーブントレイ
注入体積: 0.1μl
キャリアガス: 水素3ml/分(一定流量)
カラム: SimDist12m×0.32mm×0.1μm(Varian)
温度プログラム: 65℃〜365℃、10℃/分
検出器(FID): 375℃
【0045】
これらの条件下で、ポリグリセロールをそれらの重合度によって分離する。さらに、環状異性体と直鎖状のものとを最大重合度4までで分離する。
【0046】
個々のオリゴマーのピーク面積をピーク間の谷の最下点に引かれた垂線によって分離する。
【0047】
ヘキサグリセロールよりも大きいオリゴマーの分割は不十分であるため、ヘプタグリセロールおよびより大きいオリゴマーのピークを「ヘプタグリセロールおよびより大きいもの」として纏め、多分散指数算出の目的でヘプタグリセロールとして扱う。また、多分散指数の算出のために、直鎖状および環状異性体をまとめる。
【0048】
個々のポリグリセロールオリゴマーおよび異性体の相対比は、記述した通りに得られたGCのピーク面積から算出する。
【0049】
当然ながら、脂肪酸成分およびポリグリセロール成分の記述されているGC分析は、本発明によるポリグリセロールエステルの調製に使用した原材料に対して実施することもできる。
【0050】
ポリグリセロールは、その調製手法に応じて、異なるパーセンテージの環状構造を含み得る。市販のポリグリセロール混合物中に存在するいくつかの環状構造の概要は、「Original synthesis of linear,branched and cyclic oligoglycerol standards」、Casselら、Eur.J.Org.Chem.2001、875〜896において挙げられている。ポリグリセロール部分エステルでは、部分エステルのポリグリセロール骨格中のポリグリセロールが、少なくとも1%、好ましくは少なくとも2%、より一層好ましくは少なくとも3%の環状構造を含むことが重要である。
【0051】
挙げられているパーセンテージは、重量パーセンテージでもモルパーセンテージでもなく、上記したGC方法によって、全ポリグリセロールの量に基づいて決定される。
【0052】
ポリグリセロール部分エステルがポリグリセロール骨格を含む場合、ポリグリセロールが、0.6より大きい、好ましくは1.0より大きい、特に好ましくは1.2より大きい多分散指数を含むという点で、有利である。
【0053】
本発明の目的のために、多分散指数は、
【数1】

として算出され、式中、nは単一オリゴマーiの重合度であり、<n>はポリグリセロール混合物の平均重合度であり、xは上記したGC方法によって決定した際のポリグリセロール混合物中におけるオリゴマーiの割合である。この算出では、平均重合度<n>を、ヒドロキシル価(OHV、単位mg KOH/g)から、次式
<n>=(112200−18×OHV)/(74×OHV−56100)
によって算出する。
【0054】
ポリグリセロール部分エステル中の基Rは、1個の分子中で同じであっても異なっていてもよく、好ましくは異なっている。
【0055】
残基−ORは、ポリグリセロール部分エステルを調製するためのエステル化反応において使用されるモノカルボン酸HORによって決定されることが明らかである。好ましい残基−ORは、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸およびベヘン酸からなる群から選択される酸から適宜誘導される。そのヨウ素価が50未満、好ましくは30未満、より好ましくは25未満のものであれば、異なる酸の混合物、特に、例えば完全にまたは部分的水素添加パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、ココナツ脂肪酸、大豆脂肪酸、獣脂脂肪酸、ナタネ脂肪酸、高エルカ酸ナタネ脂肪酸またはこれらの蒸留画分等のテクニカル(technical)混合物も使用してよい。水素添加度および原材料に応じて、これらのテクニカル混合物はある特定の量の不飽和脂肪酸を含有してもよく、これらは次いで本発明によるポリグリセロール部分エステルに含有される。これらの不飽和脂肪酸の典型的な例は、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノール酸およびリノレン酸であり、ここで、オレイン酸およびエライジン酸が、部分的水素添加脂肪酸混合物の構成要素として最もよく見られる。この副産物の量は、ポリグリセロール部分エステルの鹸化によりアシル基から得られる脂肪酸のヨウ素価によって決定され得る。本発明のポリグリセロール部分エステルには、このヨウ素価が、50未満、より好ましくは30未満、より一層好ましくは1〜25となることが重要である。
【0056】
ヨウ素価は、DIN 53241−1:1995−05によって決定され得る。
【0057】
一般式(II)の構造を有する基は、一般式(IIb)の構造を有するジカルボン酸から誘導されることも明らかである。
【化3】

【0058】
好ましい実施形態において、式(II)の基は、二量体脂肪酸として公知であるジカルボン酸の群から誘導される。用いられる二量体脂肪酸は、12〜22個のC原子を有する不飽和脂肪酸の触媒二量体化によって得られ、かつ、2〜3、好ましくはおよそ2の平均官能価(functionality)を有する、非環式および環式ジカルボン酸の混合物である。これらは、少量の重合体脂肪酸(三量体及びより大きい官能価のもの)も含み得る。酸数は、150〜290、好ましくは190〜200の範囲内である。
【0059】
市販の製品は、平均して、およそ7〜15重量%のモノマー含有量、およそ70〜77重量%の二量体含有量、およびおよそ15〜16重量%のポリマー含有量を有する。これらは、公知の分離プロセスによって高含有量の特定の官能価(モノ、ジ、トリ)に調整され、および/または水素添加によって低含有量の不飽和脂肪酸(低ヨウ素数)に調整され得る。さらなる情報は、例えば、Croda/Uniqema(Pripol(登録商標))およびArizona Chem.(Unidyme(登録商標)、Century.RTM.)等の製造業者の製品シートにおいて見られる。二量体酸の調製および使用、ならびにその物理的および化学的特性については、刊行物「The Dimer Acids:The chemical and physical properties,reactions and applications」、E.C.Leonard編、Humko Sheffield Chemical、1975、Memphis、Tenn.も参照される。前述の参考文献の内容は、参照により本明細書で援用される。
【0060】
二量体酸の代わりに、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカン二酸等の比較的短鎖のジカルボン酸の使用が、本発明による化粧料原料としての用途に特に好適である。
【0061】
リンゴ酸および酒石酸等のヒドロキシジカルボン酸も好適である。
【0062】
芳香族ジカルボン酸、特にフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸も好適である。4〜14個のC原子を有するアルカンジカルボン酸が特に好ましい。
【0063】
したがって、好ましい化粧料組成物は、Xが、2〜12個の炭素原子を有する二価直鎖状不飽和アルキル基であるポリグリセロール部分エステルを含有する。
【0064】
したがって、本発明によれば、少なくとも2000g/mol、好ましくは少なくとも2400g/mol、より好ましくは少なくとも2700g/molの分子量(ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均分子量Mn)を有するポリグリセロール部分エステルを含有するのも好ましい。明らかに、ポリグリセロールエステルの分子量は、ポリグリセロールの重合度、モノカルボン酸によるエステル化度、ジカルボン酸によるエステル化度、または同時にこれらのパラメーターの2つ以上を増加させることによって、増加することができる。
【0065】
好ましくは、本発明による化粧料組成物は、ジカルボン酸成分に対するモノカルボン酸成分のモル比が、2〜20、好ましくは2.5〜10、より好ましくは3〜8であるポリグリセロール部分エステルを含有する。
【0066】
好ましくは、本発明による化粧料組成物は、ポリグリセロールに対するジカルボン酸成分のモル比が、0.1〜1.0、好ましくは0.15〜0.9、より好ましくは0.3〜0.8の範囲内であるポリグリセロール部分エステルを含有する。
【0067】
好ましくは、本発明による化粧料組成物は、少なくとも25℃、好ましくは少なくとも35℃、より好ましくは少なくとも40℃の融点を有するポリグリセロール部分エステルを含有する。
【0068】
本発明による化粧料組成物に含有される部分エステルは、
a)2〜8、好ましくは2.5〜6、特に好ましくは3〜4.5の平均重合度、および少なくとも1%の環状構造を含むポリグリセロール混合物と、
b)カルボン酸HOR[ここで、Rは、16〜22炭素原子の鎖長を有する直鎖状非置換アシル基である]を含み、但し、該カルボン酸またはカルボン酸の混合物は、50未満、好ましくは30未満、特に好ましくは25未満のヨウ素価を有する、少なくとも1つのモノカルボン酸、
c)一般式(IIb)の構造を有する少なくとも1つのジカルボン酸
【化4】

[式中、Xは、2〜34個の炭素原子を有する二価有機残基である]
またはそれらの混合物
とのエステル化のプロセスによって得ることができ、但し、モノカルボン酸およびジカルボン酸の合計に対するポリグリセロール混合物の重量比は、約0.11〜1の範囲内、好ましくは約0.11〜0.67の範囲内である。
【0069】
ヨウ素価および平均重合度は、上記した通りに決定され得る。
【0070】
本発明による化粧料組成物に含有されるポリグリセロールエステルを得るために、モノカルボン酸b)およびジカルボン酸c)の代わりに、カルボン酸の無水物、ハロゲン化物およびエステル、好ましくはメタノールまたはエタノール等の短鎖アルコールを有するカルボン酸のエステル等、カルボン酸の好適な誘導体を使用してよいことが明らかである。
【0071】
ポリグリセロール部分エステルを調製するためのプロセスは、それ自体が公知の様式で進行する2段階であってよい。まず工程1.)において、ポリグリセロールを少なくとも1つのカルボン酸によってエステル化し、第二工程2.)において、少なくとも1つのジカルボン酸を添加する。
【0072】
エステル化プロセスにおいて触媒(例えば、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩;アルカリ土類金属の水酸化物;p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸触媒;酸化亜鉛(II)または酸化スズ(II)等の金属酸化物)を適用することが有益となり得るが、反応は、触媒の添加なしに実施することができる。エステル化反応は、典型的には、160〜270℃の間、好ましくは180〜250℃の間の温度で実施される。該反応に適した圧力範囲は、約50mbar〜約1200mbar、好ましくは約600mbar〜周囲圧力である。さらに低い印加可能な圧力は、蒸留による反応混合物からのカルボン酸の損失によって限定される。本発明による化粧料組成物に含有されるポリグリセロール部分エステルを調製するためのプロセスにおいて使用される好ましいポリグリセロールは、2〜8、好ましくは2.5〜6、特に好ましくは3〜4.5の平均重合度を含む。
【0073】
上記したエステル化プロセスにおいて使用されるポリグリセロールは、数種の方法によって生成できる。
【0074】
ポリグリセロールの生成のための好適な方法は、グリシドールの重合(例えば塩基触媒による)、エピクロルヒドリンの重合(例えば、NaOH等の塩基等モル量の存在下で)、またはグリセロールの重縮合を含む。
【0075】
本発明の目的のために好ましい方法は、特に触媒量の塩基、好ましくはNaOHまたはKOHの存在下での、グリセロールの縮合である。混合物からの反応水の除去を容易にするための好適な反応条件は、220〜260℃の温度および減圧(20〜800mbar、好ましくは50〜500mbar)を含む。縮合反応の進行は、反応生成物の屈折率、粘性またはヒドロキシル価を計測することによって追跡できる。
【0076】
生成物の望ましいより広範な多分散性をもたらす特に好ましい方法は、
− グリセロールを、触媒量(0.2〜5重量%)の塩基の存在下で、約220〜260℃の温度、250〜1000mbarの間の圧力にて、反応混合物が含有するグリセロールが70%未満(好ましくは60%未満)になるまで蒸留によって反応水を除去しながら、縮合反応において反応させる工程と、
− 20〜200mbarの間の低圧にて、反応混合物のヒドロキシル価が1400より低く(好ましくは1200より低く)なるまで蒸留によって反応水およびグリセロールを除去しながら、該縮合反応を続ける工程と、
− 任意選択により酸で触媒を中和する工程と
を含む。
【0077】
本発明による化粧料組成物に含有されるポリグリセロール部分エステルを調製するための方法において、使用される好ましいモノカルボン酸は、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸およびベヘン酸からなる群から選択される。異なる酸の混合物、特に、若干量の不飽和脂肪酸を含有し得る上述した脂肪酸の技術的混合物等の技術的混合物も使用してよい。
【0078】
本発明による化粧料組成物に含有されるポリグリセロール部分エステルを調製するための方法における一般式(IIb)の好ましいジカルボン酸は、上記で挙げた二量体酸、ならびに、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカン二酸等の比較的短鎖のジカルボン酸である。リンゴ酸および酒石酸等のヒドロキシジカルボン酸も好適である。芳香族ジカルボン酸、特にフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸も好適である。4〜14個のC原子を有するアルカンジカルボン酸が、本発明による化粧料組成物に含有されるポリグリセロール部分エステルを調製するための方法において使用するのに特に好ましい。
【0079】
本発明による化粧料組成物に含有されるポリグリセロール部分エステルを調製するための好ましい方法において、成分c)に対する成分b)のモル比は、2〜20、好ましくは2.5〜10、より好ましくは3〜8である。
【0080】
さらに、本発明による化粧料組成物に含有されるポリグリセロール部分エステルを調製するための好ましい方法は、ポリグリセロールに対するジカルボン酸成分のモル比が、0.1〜1.0、好ましくは0.15〜0.9、より好ましくは0.3〜0.8であることを特徴とする。
【0081】
本発明による好ましい化粧料組成物は、前述のポリグリセロール部分エステルを、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%〜10.0重量%、より好ましくは0.15重量%〜5.0重量%、より一層好ましくは0.2重量%〜4.0重量%の量で含有する。
【0082】
本発明による好ましい化粧料組成物は、エマルジョン、好ましくは、水中油もしくは油中水エマルジョン、またはローション、クリーム、スプレーもしくはマイクロエマルジョンの形態の多重エマルジョンである。
【0083】
本発明による化粧料組成物は、例えば、
皮膚軟化剤、
乳化剤および界面活性剤、
増粘剤/粘性調節剤/安定剤、
UV光保護フィルター、
酸化防止剤およびビタミン、
ヒドロトロープ(またはポリオール)、
固体および充填剤、
塗膜形成要素、
真珠光沢添加物、
防臭剤および制汗活性成分、
防虫剤、
セルフタンニング剤、
保存剤、
調整剤、
香料、
染料、
生体活性成分、
ケア添加物、
過脂肪剤、ならびに
溶媒
からなる群から選択される少なくとも1つの追加成分を含み得る。
【0084】
追加成分として使用される物質は技術者に周知であり、さらなる例示的な物質については、例えばDE102008001788中のリストを閲覧することができる。
【0085】
本発明による好ましい化粧料組成物は、カチオン性界面活性剤、および少なくとも1個の第四級アンモニウム基を含有するポリマーから選択される少なくとも1種の追加成分を含有する。好ましいカチオン性界面活性剤は、例えば、セトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、クオタニウム−18、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ジステアロイルエチルジモニウムクロリド、パルミトアミドプロピルトリモニウムクロリド、リシノールアミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、ジステアリルジモニウムクロリドおよびクオタニウム−87等の、有機炭素鎖を含有する第四級アンモニウム塩から選択される。
【0086】
したがって、本発明による好ましい化粧料組成物は、
0重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜7.5重量%の少なくとも1種の乳化剤、
0重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜7.5重量%の少なくとも1種の稠度増強剤、
0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜7.5重量%の少なくとも1種のカチオン性界面活性剤、および/または少なくとも1個の第四級アンモニウム基を含有する少なくとも1種のポリマー、
0重量%〜20重量%、好ましくは0.1重量%〜17.5重量%の少なくとも1種の化粧用油もしくは皮膚軟化剤を含有してよく、ここで、すべてのパーセンテージは、組成物の総重量に基づく。
【0087】
好ましくは、化粧料組成物は、洗浄およびケア組成物である。
【0088】
洗浄およびケア組成物は、主として、毛髪または皮膚、特に毛髪の処置のための組成物を意味するものとして理解されている。そのようなヘアケア組成物は、例えば、ヘアシャンプー、液体石鹸、ヘアリンス、パーマネントウェーブ中和ローション、ヘアカラーシャンプー、ヘアセット組成物、ヘアアレンジ組成物、ヘアスタイリング調製物、ブロードライ(blow-drying)ローション、フォームセット組成物、ヘアトリートメント、リーブイン(leave-in)コンディショナー、ならびに他の洗浄およびケア配合物である。
【0089】
本発明の別の部分は、化粧料組成物、特にヘアケア組成物における、本発明による化粧料組成物に含有される上記のポリグリセロール部分エステルの使用であり、ここで、本発明による好ましい化粧料組成物に含有されるポリグリセロール部分エステルが特に好ましく使用される。
【0090】
本発明の別の部分は、毛髪用コンディショニング剤としての、本発明による化粧料組成物に含有される上記のポリグリセロール部分エステルの使用であり、ここで、本発明による好ましい化粧料組成物に含有されるポリグリセロール部分エステルが特に好ましく使用される。
【0091】
本発明の別の部分は、特に熱からの保護における毛髪保護剤としての、本発明による化粧料組成物に含有される上記のポリグリセロール部分エステルの使用であり、ここで、本発明による好ましい化粧料組成物に含有されるポリグリセロール部分エステルが特に好ましく使用される。
【0092】
本発明の別の部分は、特に細く繊細な毛髪を修復する際の毛髪修復剤としての、本発明による化粧料組成物に含有される上記のポリグリセロール部分エステルの使用であり、ここで、本発明による好ましい化粧料組成物に含有されるポリグリセロール部分エステルが特に好ましく使用される。
【0093】
本発明の別の部分は、特に細く繊細な毛髪を補強する際の毛髪補強剤としての、本発明による化粧料組成物に含有される上記のポリグリセロール部分エステルの使用であり、ここで、本発明による好ましい化粧料組成物に含有されるポリグリセロール部分エステルが特に好ましく使用される。
【0094】
本発明のまた別の部分は、上記ポリグリセロール部分エステルについて使用のそれぞれに記述されている領域における、本発明による化粧料組成物の使用であり、ここで、本発明による好ましい化粧料組成物が特に好ましく使用される。
【実施例】
【0095】
(実施例1)
[PGE37]の調製
グリセロール500gおよび水酸化カリウム2.5gを400mbarの圧力で240℃に加熱し、その間、窒素の泡を混合物に吹き込んだ。反応水を反応混合物から連続的に蒸留した。屈折率が1.4920に達したら、反応混合物を冷却し、250℃の温度および4mbarの圧力での薄膜蒸留に供した。蒸留残留物は、1150mg KOH/gのヒドロキシル価、0.71の多分散指数を有し、1.5%の環状ポリグリセロールを含有していた。この生成物215.1gを、20のヨウ素価を有する部分的水素添加獣脂脂肪酸(C16/18)494.3gと、240℃の温度で、窒素でスパージしながら反応させた。反応水を混合物から連続的に蒸留した。酸価が10mg KOH/g未満に達したら、セバシン酸90.6gを反応混合物に添加し、酸価が3mg KOH/g未満になるまで反応を続けた。その後、冷却することによって反応を停止させた。
ヒドロキシル価:112mg KOH/g
酸価:2.1mg KOH/g
鹸化価:201mg KOH/g
HLB(計算値):5.4
一酸:二酸のモル比:4.0
【0096】
(実施例2)
[PGE38]の調製
グリセロール500gおよび水酸化カリウム2.5gを400mbarの圧力で240℃に加熱し、その間、窒素の泡を混合物に吹き込んだ。反応水を反応混合物から連続的に蒸留した。屈折率が1.4920に達したら、反応混合物を冷却し、250℃の温度および4mbarの圧力での薄膜蒸留に供した。蒸留残留物は、1150mg KOH/gのヒドロキシル価、0.71の多分散指数を有し、1.5%の環状ポリグリセロールを含有していた。この生成物208gを、20のヨウ素価を有する部分的水素添加獣脂脂肪酸(C16/18)478.1gと、240℃の温度で、窒素でスパージしながら反応させた。反応水を混合物から連続的に蒸留した。酸価が10mg KOH/g未満に達したら、セバシン酸113.9gを反応混合物に添加し、酸価が3mg KOH/gを下回るまで反応を続けた。その後、冷却することによって反応を停止させた。
ヒドロキシル価:91mg KOH/g
酸価:1.7mg KOH/g
鹸化価:219mg KOH/g
HLB(計算値):5.2
一酸:二酸のモル比:3.1
【0097】
(実施例3)
[PGE39]の調製
グリセロール500gおよび水酸化カリウム2.5gを400mbarの圧力で240℃に加熱し、その間、窒素の泡を混合物に吹き込んだ。反応水を反応混合物から連続的に蒸留した。屈折率が1.4920に達したら、反応混合物を冷却し、250℃の温度および4mbarの圧力での薄膜蒸留に供した。蒸留残留物は、1150mg KOH/gのヒドロキシル価、0.71の多分散指数を有し、1.5%の環状ポリグリセロールを含有していた。この生成物204.3gを、20のヨウ素価を有する部分的水素添加獣脂脂肪酸(C16/18)352.1gと、240℃の温度で、窒素でスパージしながら反応させた。反応水を混合物から連続的に蒸留した。酸価が10mg KOH/g未満に達したら、二量体酸(Radiacid 0977、Oleon)243.6gを反応混合物に添加し、酸価が3mg KOH/g未満になるまで反応を続けた。その後、冷却することによって反応を停止させた。
ヒドロキシル価:121mg KOH/g
酸価:0.8mg KOH/g
鹸化価:158mg KOH/g
HLB(計算値):5.1
一酸:二酸のモル比:3.0
ポリグリセロールの平均DP:3.2(OHV 1150)
【0098】
(実施例4)
[PGE58]の調製
グリセロール500gおよび水酸化カリウム2.5gを、窒素でスパージしながら400mbarの圧力で240℃に加熱した。反応水を反応混合物から連続的に蒸留した。屈折率が1.4828に達したら、圧力を50mbarに低下させ、縮合反応を2時間続け、その間、グリセロールを生成物から蒸留した。生成物は、1120mg KOH/gのヒドロキシル価、1.39の多分散指数を有し、6.9%の環状ポリグリセロールを含有していた。この生成物110.2gを、20のヨウ素価を有する部分的水素添加獣脂脂肪酸(C16/18)443.3gと、240℃の温度で、窒素でスパージしながら反応させた。反応水を混合物から連続的に蒸留した。酸価が10mg KOH/g未満に達したら、セバシン酸46.5gを反応混合物に添加し、酸価が5mg KOH/g未満になるまで反応を続けた。その後、冷却することによって反応を停止させた。
ヒドロキシル価:19mg KOH/g
酸価:4.5mg KOH/g
鹸化価:207mg KOH/g
HLB(計算値):3.7
一酸:二酸のモル比:7.0
【0099】
(実施例5)
[PGE59]の調製
グリセロール500gおよび水酸化カリウム2.5gを、窒素でスパージしながら400mbarの圧力で240℃に加熱した。反応水を反応混合物から連続的に蒸留した。屈折率が1.4828に達したら、圧力を50mbarに低下させ、縮合反応を2時間続け、その間、グリセロールを生成物から蒸留した。生成物は、1120mg KOH/gのヒドロキシル価、1.39の多分散指数を有し、6.9%の環状ポリグリセロールを含有していた。この生成物123.2gを、20のヨウ素価を有する部分的水素添加獣脂脂肪酸(C16/18)424.8gと、240℃の温度で、窒素でスパージしながら反応させた。反応水を混合物から連続的に蒸留した。酸価が10mg KOH/g未満に達したら、セバシン酸51.9gを反応混合物に添加し、酸価が3mg KOH/g未満になるまで反応を続けた。その後、冷却することによって反応を停止させた。
ヒドロキシル価:41mg KOH/g
酸価:1.4mg KOH/g
鹸化価:206mg KOH/g
HLB(計算値):4.1
一酸:二酸のモル比:6.0
【0100】
(実施例6)
[PGE60]の調製
グリセロール500gおよび水酸化カリウム2.5gを、窒素でスパージしながら400mbarの圧力で240℃に加熱した。反応水を反応混合物から連続的に蒸留した。屈折率が1.4828に達したら、圧力を50mbarに低下させ、縮合反応を2時間続け、その間、グリセロールを生成物から蒸留した。生成物は、1120mg KOH/gのヒドロキシル価、1.39の多分散指数を有し、6.9%の環状ポリグリセロールを含有していた。この生成物120.1gを、20のヨウ素価を有する部分的水素添加獣脂脂肪酸(C16/18)414.1gと、240℃の温度で、窒素でスパージしながら反応させた。反応水を混合物から連続的に蒸留した。酸価が10mg KOH/g未満に達したら、セバシン酸65.8gを反応混合物に添加し、酸価が3mg KOH/g未満になるまで反応を続けた。その後、冷却することによって反応を停止させた。
ヒドロキシル価:24mg KOH/g
酸価:1.6mg KOH/g
鹸化価:215mg KOH/g
HLB(計算値):4.0
一酸:二酸のモル比:4.6
【0101】
(実施例7)
[PGE61]の調製
グリセロール500gおよび水酸化カリウム2.5gを、窒素でスパージしながら400mbarの圧力で240℃に加熱した。反応水を反応混合物から連続的に蒸留した。屈折率が1.4828に達したら、圧力を50mbarに低下させ、縮合反応を2時間続け、その間、グリセロールを生成物から蒸留した。生成物は、1120mg KOH/gのヒドロキシル価、1.39の多分散指数を有し、6.9%の環状ポリグリセロールを含有していた。この生成物106.3gを、20のヨウ素価を有する部分的水素添加獣脂脂肪酸(C16/18)366.3gと、240℃の温度で、窒素でスパージしながら反応させた。反応水を混合物から連続的に蒸留した。酸価が10mg KOH/g未満に達したら、二量体酸(Radiacid 0977、Oleon)127.4gを反応混合物に添加し、酸価が3mg KOH/g未満になるまで反応を続けた。その後、冷却することによって反応を停止させた。
ヒドロキシル価:33mg KOH/g
酸価:0.3mg KOH/g
鹸化価:175mg KOH/g
HLB(計算値):3.5
一酸:二酸のモル比:6.0
【0102】
配合物例:
いずれの場合も熱処理を適用したものであり、挙げられるすべての量は重量%である。
【0103】
【表1】

【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【0106】
【表4】

【0107】
【表5】

【0108】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、同じまたは異なり、
−OH、
−OR(ここで、Rは、16〜22の炭素原子の鎖長を有する直鎖状非置換アシル基であり、但し、鹸化によって前記アシル基から得られる脂肪酸は、50未満のヨウ素価を有する)、
一般式(II)の構造を有する基
【化2】

(式中、Rは、式(I)の構造を有する基であり、ここで、R、RおよびRの1つは、−ORの酸素との直接結合であり、Xは、2〜34の炭素原子を有する二価有機残基である)、および
−OR(ここで、Rは上記と同様である)
からなる群から選択される]
の構造を有するポリグリセロール部分エステルを含有する化粧料組成物であって、前記ポリグリセロール部分エステルの各分子が各−ORおよび式(II)の構造を有する基の少なくとも1つを含み、但し、前記ポリグリセロール部分エステルが2〜10のHLB値を含み、かつ、前記ポリグリセロール部分エステルの加水分解またはアルコール分解によって得られるポリグリセロールが2〜8の平均重合度を含み、前記ポリグリセロールの少なくとも1%が環状構造を含む、化粧料組成物。
【請求項2】
前記含有されるポリグリセロール部分エステル中のXが、2〜12の炭素原子を有する二価直鎖状非置換アルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記含有されるポリグリセロール部分エステルが、少なくとも2000g/molの分子量を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記含有されるポリグリセロール部分エステルのジカルボン酸成分に対するモノカルボン酸成分のモル比が、2〜20であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記含有されるポリグリセロール部分エステルのポリグリセロールに対するジカルボン酸成分のモル比が、0.1〜1.0であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記含有されるポリグリセロール部分エステルが、少なくとも25℃、好ましくは少なくとも35℃、より好ましくは少なくとも40℃の融点を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記含有されるポリグリセロール部分エステルが、
1.)
a)2〜8、好ましくは2.5〜6、特に好ましくは3〜4.5の平均重合度、および少なくとも1%の環状構造を含む、ポリグリセロール混合物と、
b)カルボン酸HOR[ここで、Rは、16〜22の炭素原子の鎖長を有する直鎖状非置換アシル基である]を含み、但し、前記カルボン酸またはカルボン酸の混合物は、50未満、好ましくは30未満、特に好ましくは25未満のヨウ素価を有する、少なくとも1つのモノカルボン酸と
のエステル化工程と、
2.)
c)一般式(IIb)の構造を有する少なくとも1つのジカルボン酸
【化3】

[式中、Xは、2〜34の炭素原子を有する二価有機残基である]
またはその混合物
の添加およびそれによるさらなるエステル化工程と
を含む方法であって、但し、モノカルボン酸およびジカルボン酸の合計に対するポリグリセロール混合物の重量比が約0.11〜1の範囲内である方法によって得ることができることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
ヘアケア組成物であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
化粧料組成物、特にヘアケア組成物における、請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化粧料組成物または請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリグリセロール部分エステルの使用。
【請求項10】
毛髪用コンディショニング剤として、毛髪保護剤として、毛髪修復剤として、または毛髪補強剤としての、請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化粧料組成物または請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリグリセロール部分エステルの使用。

【公表番号】特表2013−519634(P2013−519634A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552324(P2012−552324)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050311
【国際公開番号】WO2011/098313
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】