説明

ポリチオエーテルを含むシーラント組成物

航空宇宙用シーラント、コーティングおよび/またはポッティング組成物などの組成物が開示される。本発明の組成物は、ポリチオエーテルを含み、少なくとも場合によって、揮発性有機化合物を実質的に含まないときでも、スプレーすることができ、燃料耐性であり得る。特定の一態様では、本発明のこれらの組成物は、(a)イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含む第1の成分と、(b)アミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルを含む第2の成分とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府により資金援助された研究についての声明
本発明は、米国空軍によって授与された契約第F33615−03−D−5607/0002号の下、政府の援助によってなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有し得る。
【0002】
関連出願への相互参照
この出願は、2007年5月1日に出願された米国仮特許出願第60/915,166号(これは、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0003】
発明の分野
本発明は、ポリチオエーテルを含むシーラント組成物などの組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
チオール末端を有する硫黄含有化合物は、大部分において架橋時の燃料耐性に起因して、航空宇宙用シーラント組成物などのさまざまな用途に良好に適していることが知られている。航空宇宙シーラント組成物にとっての他の望ましい特性は、とりわけ、低温可撓性、短い硬化時間(予め定められた強度に達するのに要する時間)および高温耐性を含む。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9および特許文献10には、これらの特性の少なくともいくつかを示し、チオール末端を有する硫黄含有化合物を含むシーラント組成物が記載されている。
【0005】
最近、上記に記載されている望ましい特性の1つ以上を有し、スプレーすることが可能でもある航空宇宙シーラント組成物を提供することが望ましくなってきた。すなわち、それらの組成物は、スプレーガンを用いて、一度の通過で、基材に接着する連続的な比較的厚い膜として塗布することができる一方、実質的に溶媒を含まなくてもよい。
【0006】
本発明は、以上の要望に鑑みて開発された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第2,466,963号明細書
【特許文献2】米国特許第4,366,307号明細書
【特許文献3】米国特許第4,609,762号明細書
【特許文献4】米国特許第5,225,472号明細書
【特許文献5】米国特許第5,912,319号明細書
【特許文献6】米国特許第5,959,071号明細書
【特許文献7】米国特許第6,172,179号明細書
【特許文献8】米国特許第6,232,401号明細書
【特許文献9】米国特許第6,372,849号明細書
【特許文献10】米国特許第6,509,418号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
特定の態様では、本発明は、多成分組成物に関する。本発明のこれらの組成物は、(a)イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含む第1の成分と、(b)アミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルを含む第2の成分とを含む。
【0009】
他の態様では、本発明は、ポリチオエーテルを含むシーラント組成物に関する。本発明のこれらのシーラント組成物は、(a)揮発性有機化合物を実質的に含まず、(b)スプレーすることができ、(c)燃料耐性である。
【0010】
本発明は、とりわけ、本発明の組成物を利用して開口部を封止するための方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明に関して、本発明は、明確に反対のことを特定している場合を除いて、さまざまな代替の変化形および工程の順序を採用してよいと理解するべきである。さらに、任意の実施されている実施例、または他に指定される場合を除いて、例えば、本明細書および請求項中で用いられている成分の量を表すすべての数値は、すべての事例において用語「約」によって修飾されていると理解される。従って、反対の指示がない限り、以下の明細書および添付の請求項中に示されている数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変化することがある近似値である。最低限でも、請求項の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告されている有効桁数を考慮し、通常の丸め技法を適用して解釈されるべきである。
【0012】
本発明の広義の範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるとはいえ、特定の実施例中に示されている数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、あらゆる数値は、それぞれの試験測定において見いだされる標準的な変動の結果として必然的に生じる特定の誤差を固有に含んでいる。
【0013】
本明細書に挙げられているあらゆる数値範囲は、その中に包まれるすべての部分的な範囲を含むことも理解されるべきである。例えば、「1から10」の範囲は、挙げられている最小値1から挙げられている最大値10の間の(および両方の値を含む)、すなわち1以上の最小値および10以下の最大値を有するすべての部分的な範囲を含むものとする。
【0014】
指定されているように、本発明の特定の実施態様は、シーラント組成物、コーティング組成物および/または電気ポッティング(electrical potting)組成物などの組成物に関する。本明細書中で用いられる用語「シーラント組成物」は、湿気および温度などの大気条件に抵抗し、水、燃料ならびに他の液体および気体などの物質の透過を少なくとも部分的に遮る能力を有する膜を作り出すことができる組成物を指す。特定の実施態様では、本発明のシーラント組成物は、例えば、航空宇宙用シーラントおよび燃料タンク用の内張りとして有用である。
【0015】
本発明の組成物は、ポリチオエーテルを含む。本明細書中で用いられる用語「ポリチオエーテル」は、少なくとも1つのチオエーテル結合、すなわち−[−CH−S−CH−]−を含む重合体を指す。
【0016】
特定の実施態様では、本発明の組成物は、イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含む。本明細書中で用いられる用語「イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタン」は、ポリチオエーテル、ウレタン結合(−NH−C(O)−O−)および/またはチオウレタン結合(−NH−C(O)−S−)の少なくとも1つ、および1つ以上のイソシアネート官能基を含む化合物を指す。特定の実施態様では、本発明において利用されるイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、分子あたり複数のイソシアネート基、場合によっては2つのイソシアネート基を含む。
【0017】
本発明の組成物の特定の実施態様に含まれているイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、例えば、チオール官能および/またはヒドロキシ官能ポリチオエーテルなどの1つ以上のイソシアネート反応性ポリチオエーテルを、下記に詳細に考察されている1つ以上のイソシアネート官能化合物の過剰量と反応させることによって調製されてよい。
【0018】
特定の実施態様では、本発明の組成物に含まれているイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、少なくとも2つの反応性チオール基を含むポリチオエーテルから誘導され、場合によっては、そのようなポリチオエーテルは、2つの反応性チオール基を有する。本明細書中で用いられる用語「チオール」、「チオール基」、「メルカプト」および「メルカプト基」は、イソシアネート基とチオウレタン結合すなわち−NH−C(O)−S−結合を形成することができる−SH基を指す。
【0019】
特定の実施態様では、少なくとも2つの反応性チオール基を含むポリチオエーテルは、例えば以下の構造(I)
HS−R−[−S−(CH−O−[−R−O−]−(CH−S−R−]−SH
を有するものなどの2官能チオール末端ポリチオエーテルを含む。各Rは、独立に、C2−6n−アルキレン基などのC2〜10n−アルキレン基;例えば、メチル基またはエチル基などのアルキル基であってよい1つ以上の側鎖基(pendant group)を有する、C3〜6分岐アルキレン基などのC2〜6分岐アルキレン基;アルキレンオキシ基;C6〜8シクロアルキレン基;C6〜10アルキルシクロアルキレン基;複素環基、または−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−を示す。sは2から6の範囲の値を有する整数であり、qは1から5の範囲の値を有する整数であり、rは2から10の範囲の値を有する整数であり、Rは水素またはメチルであり、Xは、O、Sまたは−NR−を示す。Rはアルキル基を示す。各Rは、独立に、メチレン;C2〜6n−アルキレン基などのC2〜10n−アルキレン基;C3〜6分岐アルキレン基などのC2〜6分岐アルキレン基;C6〜8シクロアルキレン基;C6〜10アルキルシクロアルキレンなどのC6〜14アルキルシクロアルキレン;複素環基、または−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−を示す。s、q、r、RおよびXは、上記で定義されているとおりであり;mは0から10または1から10などの0から50の範囲の値を有する有理数であり;nは1から60の範囲の値を有する整数であり;pは2から6の範囲の値を有する整数である。
【0020】
本発明における使用に適するそのようなチオール末端を有するポリチオエーテルは、多くの方法によって調製されてよい。特定の実施態様では、構造(II)
HS−R−SH (II)
を有する化合物、または構造(II)を有する少なくとも2つの異なる化合物の混合物の(n+l)モルが、触媒の存在下で構造(III)
CH=CH−O−(−R−O−)−CH=CH (III)
を有する化合物または構造(III)を有する少なくとも2つの異なる化合物の混合物の(n)モルと反応させられる。上記の構造(II)および(III)において、R、Rおよびすべての指数は、構造(I)におけるものと同様に定義される。この方法は、チオール末端を有する2官能ポリチオエーテルを提供する。
【0021】
構造(II)の化合物は、ジチオール化合物である。特定の実施態様では、そのようなジチオールは、RがC2〜6n−アルキレン基である化合物、すなわち1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオールまたは1,6−ヘキサンジチオールを含む。
【0022】
他の適当なジチオールは、Rが、例えばメチル基またはエチル基であってよい1つ以上の側鎖基を有するC3〜6分岐アルキレン基である化合物を含む。分岐アルキレンRを有する適当な化合物は、1,2−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオールおよび1,3−ジチオ−3−メチルブタンを含む。他の有用なジチオールは、RがC6〜8シクロアルキレン基またはC6〜10アルキルシクロアルキレン基であるもの、例えばジペンテンジメルカプタンおよびエチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)を含む。
【0023】
さらなる適当なジチオールは、炭素主鎖中に1つ以上のヘテロ原子置換基、すなわち、XがO、Sまたは別の2価ヘテロ原子ラジカルなどのヘテロ原子であるジチオール;第2または第3アミン基、すなわち−NR−、式中、Rは、水素またはメチル;または別の置換された3価のヘテロ原子を含む。特定の実施態様では、Xは、OまたはSであり、従ってRは、−[(−CHR−)−O−]−(−CHR−)−または−[(−CHR−)−S−]−(−CHR−)−である。特定の実施態様では、指数sおよびrは等しく、場合によっては、両方が2の値を有する。この種類のジチオールの例は、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(s、r=2、q=1、X=S);ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(s、q、r=2、X=O);および1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(s、r=2、q=1、X=O)を含む。炭素主鎖中のヘテロ原子置換基とメチルなどの側鎖アルキル基との両方を含むジチオールを使用することも可能である。そのような化合物は、HS−CHCH(CH)−S−CHCH−SH、HS−CH(CH)CH−S−CHCH−SHなどのメチル置換DMDS、およびHS−CHCH(CH)−S−CH(CH)CH−SHおよびHS−CH(CH)CH−S−CHCH(CH)−SHなどのジメチル置換DMDSを含む。望まれるなら、構造(II)の2つ以上の異なるジチオールも使用されてよい。
【0024】
構造(III)の化合物はジビニルエーテルである。ジビニルエーテルそれ自体(m=0)が用いられてよい。他の適当なジビニルエーテルは、1から4のオキシアルキレン基などの少なくとも1つのオキシアルキレン基を有する化合物(すなわちmが1から4の整数である化合物)を含む。特定の実施態様では、mは2から4の整数である。適当なポリチオエーテルを作り出す際に市販のジビニルエーテル混合物を使用することも可能である。そのような混合物は、分子あたりのアルコキシ単位の数に関して、整数ではない平均値を特徴とする。従って、構造(III)のmは、1から10の間などの0から10の間、または場合によっては2から4の間などの1から4の間の整数ではない有理数の値を取ってよい。
【0025】
ジビニルエーテルの例は、RがC2〜6n−アルキレンまたはC2〜6分岐アルキレンである化合物、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(R=エチレン、m=1);ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(R=ブチレン、m=1);ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(R=ヘキシレン、m=1);ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(R=エチレン、m=2);トリエチレングリコールジビニルエーテル(R=エチレン、m=3);テトラエチレングリコールジビニルエーテル(R=エチレン、m=4)およびポリテトラヒドロフリルジビニルエーテルを含む。特定の実施態様では、ポリビニルエチルエーテルモノマーは、アルキレン基、ヒドロキシル基、アルケンオキシ基およびアミン基から選ばれた1つ以上の側鎖基をさらに含んでよい。有用なジビニルエーテルブレンドは、R=エチル、m=3.8であるPLURIOL(登録商標)E−200ジビニルエーテル(BASFから市販されている)などの「PLURIOL(登録商標)」型ブレンド、ならびにDPE−2およびDPE−3(International Specialty Products、Wayne、N.J.から市販されている)などの「DPE」重合体ブレンドを含む。
【0026】
ポリヒドロキシ化合物をアセチレンと反応させることによって、RがC2〜6分岐アルキレンである有用なジビニルエーテルが調製されてよい。この種類の化合物の例は、Rが−CH(CH)−などのアルキル置換メチレン基、または−CHCH(CH)−などのアルキル置換エチレンである化合物を含む。
【0027】
他の有用なジビニルエーテルは、場合によっては平均約3のモノマー単位を有するRがポリテトラヒドロフリル(ポリ−THF)またはポリオキシアルキレンである化合物を含む。
【0028】
場合によっては、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどのトリビニルエーテルモノマー;ペンタエリスリトールテトラビニルエーテルなどの4官能ビニルエーテルモノマー;およびそれらの混合物が用いられてよい。
【0029】
構造(III)の2つ以上の化合物が用いられてよい。従って、特定の実施態様では、さまざまなポリチオエーテルを作り出すために構造(II)の2つの化合物および構造(III)の1つの化合物、構造(II)の1つの化合物および構造(III)の2つの化合物、構造(II)の2つの化合物および構造(III)の2つの化合物、一方または両方の構造の2つより多い化合物が用いられてもよく、すべてのそのような化合物の組み合わせは、本発明における使用に適しているとみなされる。
【0030】
上記に示されているように側鎖アルキル基、例えば側鎖メチル基を有する構造(II)および(III)の化合物が本発明において有用であるが、側鎖メチル基または他のアルキル基を有しない構造(II)および(III)の化合物も本発明における使用に適しているポリチオエーテルを提供する。
【0031】
構造(II)および(III)の化合物の間の反応は、時に、フリーラジカル触媒によって触媒される。適当なフリーラジカル触媒は、アゾ化合物、例えばアゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN)などのアゾビスニトリル化合物;ベンゾイルペルオキシドおよびt−ブチルペルオキシドなどの有機過酸化物;および類似のフリーラジカル発生剤を含む。反応は、紫外線による照射によって実行されてもよく、ベンゾフェノンなどの光増感剤を用いても用いなくてもよい。
【0032】
本発明の特定の実施態様では、本発明の組成物に含まれているイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、少なくとも2つの反応性ヒドロキシ基を含むヒドロキシ官能ポリチオエーテルから誘導され、場合によっては、そのようなポリチオエーテルは2つの反応性ヒドロキシ基を有する。本明細書中で用いられる用語「ヒドロキシ基」は、イソシアネート基とウレタン結合、すなわち−NH−C(O)−O−結合を形成することができる−OH基を指す。
【0033】
本発明における使用に適しているヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、当業者によって理解される任意の適当な技法によって調製されてよい。本発明の特定の実施態様では、利用されるヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、本明細書中に既に記載されている種類のチオール官能ポリチオエーテルから誘導される。これらの実施態様では、チオール官能ポリチオエーテルは、チオール官能ポリチオエーテルを例えば低級アルキル置換エポキシドと反応させることによってヒドロキシ官能ポリチオエーテルに変換されてよい。例えば、2官能チオール末端ポリチオエーテルの場合、1モルのポリチオエーテルが2モルのプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドなどの低級アルキル置換エポキシドと反応させられてよい。
【0034】
既に示されているように、本発明の組成物の特定の実施態様に含まれているイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、例えば、上記に記載されているものの任意のものなどの1つ以上のチオール官能ポリチオエーテルおよび/または1つ以上のヒドロキシ官能ポリチオエーテルを過剰の1つ以上のイソシアネート官能化合物と反応させることによって調製されてよい。従って、特定の実施態様では、例えば、1つ以上のチオール官能ポリチオエーテルおよび/またはヒドロキシ官能ポリチオエーテルの(n)モルが1つ以上のイソシアネート官能化合物の(>n)モルと反応させられる。
【0035】
本発明の特定の実施態様において利用されるイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを調製する上で有用な適当なイソシアネート官能性化合物は、重合体およびC〜C20の直鎖、分岐、脂環および芳香族ポリイソシアネートを含むがそれらに限定されない。非限定的な例は、ウレタン結合(−NH−C(O)−O−)、チオウレタン結合(−NH−C(O)−S−)、チオカルバメート結合(−NH−C(S)−O−)、ジチオウレタン結合(−NH−C(S)−S−)およびそれらの組み合わせから選ばれる主鎖結合を有するポリイソシアネートを含んでよい。
【0036】
ポリイソシアネートの分子量は変化してよい。特定の実施態様では、それぞれの数平均分子量(Mn)は、少なくとも100グラム/モル、または少なくとも150グラム/モル、または15,000グラム/モル未満、または5000グラム/モル未満であってよい。数平均分子量は、既知の方法を用いて決定されてよい。本明細書中に挙げられている数平均分子量値は、ポリスチレン標準を用いるゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定されてよい。
【0037】
適当なポリイソシアネートの非限定的な例は、脂肪族ポリイソシアネート、イソシアナト基の1つ以上が脂環式の環に直接結合している脂環式ポリイソシアネート、イソシアナト基の1つ以上が脂環式の環に直接結合していない脂環式ポリイソシアネート、イソシアナト基の1つ以上が芳香環に直接結合している芳香族ポリイソシアネート、およびイソシアナト基の1つ以上が芳香環に直接結合していない芳香族ポリイソシアネートを含むがそれらに限定されない。特定の実施態様では、ポリイソシアネートは脂肪族ポリイソシアネートを含まない。
【0038】
特定の実施態様では、ポリイソシアネートは、脂肪族または脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、それらの環状二量体および環状三量体ならびにそれらの混合物を含むがそれらに限定されない。適当なポリイソシアネートの非限定的な例は、Bayerから市販されているDesmodur N3300(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体)およびDesmodur N3400(60%ヘキサメチレンジイソシアネート二量体および40%ヘキサメチレンジイソシアネート三量体)を含むがそれらに限定されない。
【0039】
特定の実施態様では、ポリイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび/またはその異性体混合物を含む。本明細書で用いられる用語「異性体混合物」は、ポリイソシアネートのcis−cis、trans−transおよびcis−trans異性体の混合物を指す。本発明における使用のための異性体混合物の非限定的な例は、以後「PICM」(パライソシアナトシクロヘキシルメタン)と呼ばれる4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネートのtrans−trans異性体、PICMのcis−trans異性体、PICMのcis−cis異性体およびそれらの混合物を含む。
【0040】
本発明における使用のための4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の3つの適当な異性体は、以下:
【0041】
【化1】

に示される。
【0042】
特定の実施態様では、異性体混合物は、10〜100パーセントの4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(PICM)のtrans、trans異性体を含んでよい。
【0043】
本発明の特定の実施態様において用いられてよい、さらなるジイソシアネートは、3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル−イソシアネート(「IPDI」)、および商品名TMXDI(登録商標)(Meta)Aliphatic IsocyanateでCytec Industries Inc.から市販されているメタ−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−ベンゼン)を含む。
【0044】
本明細書中で用いられる用語「脂肪族および脂環式ジイソシアネート」は、2つのジイソシアネート反応性末端基を有する直鎖で結合しているかまたは環化している6から100の炭素原子を指す。特定の実施態様では、本発明において用いられる脂肪族および脂環式ジイソシアネートは、TMXDI、および式R−(NCO)の化合物を含んでよい。Rは、脂肪族基または脂環基を表す
適当なポリイソシアネートのさらなる非限定的な例は、エチレン不飽和ポリイソシアネート;脂環式ポリイソシアネート;イソシアネート基が芳香環に直接結合していない芳香族ポリイソシアネート、例えばα、α’−キシリレンジイソシアネート;イソシアネート基が芳香環に直接結合している芳香族ポリイソシアネート、例えばベンゼンジイソシアネートまたは構造
【0045】
【化2】

を有するメチレンジベンゼンジイソシアネート;スルフィドおよび/またはジスルフィド結合を含むポリイソシアネート;スルホン結合を含む芳香族ポリイソシアネート;スルホン酸エステル型ポリイソシアネート、例えば4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナト−フェノールエステル;芳香族スルホン酸アミド型ポリイソシアネート;硫黄含有複素環ポリイソシアネート、例えばチオフェン−2,5−ジイソシアネート;そのポリシアネートのハロゲン化、アルキル化、アルコキシル化、ニトロ化、カルボジイミド修飾、尿素修飾およびビウレット修飾誘導体;ならびにそれらのポリシアネートの二量化および三量化生成物を含むがそれらに限定されない。
【0046】
特定の実施態様では、以下の構造(IV)
【0047】
【化3】

のジイソシアネートが用いられてよい。R10およびR11は、それぞれ独立に、CからCアルキルである。
【0048】
適当なエチレン不飽和ポリイソシアネートの例は、ブテンジイソシアネートおよび1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネートを含むがそれらに限定されない。
【0049】
適当な脂環式ポリイソシアネートの例は、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2、2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタンおよび2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタンを含むがそれらに限定されない。
【0050】
イソシアネート基が芳香環に直接結合していない適当な芳香族ポリイソシアネートの例は、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネートおよび2,5−ジ(イソシアナトメチル)フランおよびメタ−キシリレンジイソシアネートを含むがそれらに限定されない。
【0051】
芳香環に直接結合しているイソシアネート基を有する適当な芳香族ポリイソシアネートの例は、フェニレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、オルト−トルイジンジイソシアネート、オルト−トリリジンジイソシアネート、オルト−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(3−メチル−4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシ−ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、重合体4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、4−メチルジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)エチレングリコール、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)−1,3−プロピレングリコール、ベンゾフェノンジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネートおよびジクロロカルバゾールジイソシアネートを含むがそれらに限定されない。
【0052】
スルフィドまたはジスルフィド結合を含む適当な芳香族ポリイソシアネートの例は、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナトジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナトメチルベンゼン)−スルフィド、ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネートおよび4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアネートを含むがそれらに限定されない。
【0053】
スルホン結合を含む適当な芳香族ポリイソシアネートの例は、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、ベンジジンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、4−メチルジフェニルメタンスルホン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナトジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジ−tert−ブチル−ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネートおよび4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネートを含むがそれらに限定されない。
【0054】
適当なポリイソシアネートの例は、4−メチル−3−イソシアナト−ベンゼンスルホニルアニリド−3’−メチル−4’−イソシアネート、ジベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアネートおよび4−メチル−3−イソシアナト−ベンゼン−スルホニルアニリド−4−エチル−3’−イソシアネートなどの芳香族スルホン酸アミド型のポリイソシアネートを含むがそれらに限定されない。
【0055】
上記記載から理解されるように、特定の実施態様では、本発明の組成物は、構造(VIII)
【0056】
【化4】

のイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含む。R、R、p、mおよびnは、構造(I)に関して上記に記載されているとおりであり、各Xは独立にOまたはSであり、各Yは独立にイソシアネート基含有部分、場合によっては1つ以上の芳香環を含むイソシアネート基部分である。
【0057】
特定の実施態様では、上記に記載されているイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは室温で液体である。さらに、特定の実施態様では、既に記載されているイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、Brookfield CAP2000粘度計を用いてASTMのD−2849の§79−90に従って決定される、約25℃の温度および約760mmHgの圧力において、100%固体で400ポアズを超えない、例えば30〜200ポアズの粘度を有する。上記範囲内のいずれの端点も用いられてよい。
【0058】
特定の実施態様では、上記に記載されているイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、モルあたり500から2000グラム、例えばモルあたり800から950グラムの数平均分子量を有する。分子量は、ポリスチレン標準物を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって測定される。上記範囲内のいずれの端点も用いられてよい。
【0059】
本明細書中の実施例は、本発明における使用に適しているイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを作るための適当な方法をさらに例示するの例をさらに示す。
【0060】
既に示されているように、特定の実施態様では、本発明の組成物は、アミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルを含む。本明細書中で用いられる用語「アミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテル」は、1つ以上のアミン官能基および/または1つ以上のヒドロキシ官能基を含むポリチオエーテルを指す。本発明の特定の実施態様では、アミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、少なくとも1つ、場合によっては2つの第1アミン基、少なくとも1つ、場合によっては2つの第2アミン基、および少なくとも1つ、場合によっては2つのヒドロキシ基を含む。
【0061】
本発明の特定の実施態様において利用されているアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、さまざまな方法のいずれによって作られてもよい。特定の実施態様では、本発明の組成物の特定の実施態様中に含まれているアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、エポキシ官能ポリチオエーテルから誘導される。本明細書中で用いられる用語「エポキシ官能ポリチオエーテル」は、ポリチオエーテルおよび1つ以上のエポキシ官能基を含む化合物を指す。特定の実施態様では、本発明の組成物の特定の実施態様に含まれているアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、構造(V)
【0062】
【化5】

を含むエポキシ官能ポリチオエーテルから誘導される。R21は、C2〜6n−アルキレン基などのC2〜10n−アルキレン基;例えばメチル基またはエチル基などのアルキル基であってよい1つ以上の側鎖基を有するC3〜6分岐アルキレン基などのC2〜6分岐アルキレン基;アルキレンオキシ基;C6〜8シクロアルキレン基;C6〜10アルキルシクロアルキレン基;複素環基;または−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−を示す。sは2から6の範囲の値を有する整数であり、qは1から5の範囲の値を有する整数であり、rは2から10の範囲の値を有する整数であり、Rは水素またはメチルであり、XはO、Sまたは−NR−を示す。Rはアルキル基を示す。各R22は、3から20の炭素原子を含むアルキレンまたはオキシアルキレンなどの2価結合基である。
【0063】
特定の実施態様では、構造(V)のR21は、例えば既に記載されている構造(II)の化合物などの少なくとも2つのチオール基を有する化合物、モノマーおよび/または重合体から誘導される。本発明の特定の実施態様において利用されるアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルを作り出すために用いられるエポキシ官能ポリチオエーテルを調製する際に用いられる適当なジチオールは、既に詳細に記載されているジチオールを含むがそれらに限定されない。
【0064】
構造(V)を有するエポキシ官能ポリチオエーテルの特定の実施態様では、R21は、C2〜6n−アルキレン基、例えば1,2−エチレンジチオール、1,3−プロピレンジチオール、1,4−ブチレンジチオール、1,5−ペンチレンジチオールまたは1,6−ヘキシレンジチオールであってよい。他の実施態様では、構造(V)のR21は、1つ以上の側鎖基を有するC3〜6分岐アルキレン基、例えば1,2−プロピレンジチオール、1,3−ブチレンジチオール、2,3−ブチレンジチオール、1,3−ペンチレンジチオールおよび1,3−ジチオ−3−メチルブチレンであってよい。特定の実施態様では、R21は、C6〜8シクロアルキレン基またはC6〜10アルキルシクロアルキレン基、例えばジペンチレンジメルカプタンおよびエチルシクロヘキシレンジチオール(ECHDT)であってよい。
【0065】
特定の実施態様では、本発明の組成物に含まれるアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルはエポキシ官能ポリチオエーテルから誘導され、次に、エポキシ官能ポリチオエーテルは、例えばジビニルエーテルまたはジビニルエーテルの混合物と過剰のジチオールまたはジチオールとを反応させることによって調製される。特定の実施態様では、構造(II)を有するポリチオールまたは構造(II)を有する少なくとも2つのポリチオールの混合物の(n+1)モルが、既に記載されている構造(III)を有するポリビニルエチルエーテルの(n)モルと反応させられる。
【0066】
構造(II)を有するポリチオールを調製するジチオールとポリビニルエチルエーテルとの間の反応も、米国特許第5,912,319号に記載されている。
【0067】
構造(V)において、R22は2価結合基である。特定の実施態様では、R22は構造(VI)
【0068】
【化6】

を有するモノエポキシドから誘導されてよい。R22は、例えばオレフィン基などのチオールと反応性である基を含む。オレフィン基は、3から20の炭素原子、例えば3から5の炭素原子を有するアルキレン基またはオキシアルキレン基であってよい。特定の実施態様では、構造(VI)を有するモノエポキシドは、アリルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセン、4−ビニル−1−シクロヘキセン1,2−エポキシド、ブタジエンモノエポキシド、イソプレンモノエポキシドおよびリモネンモノエポキシドを含む。
【0069】
従って、特定の実施態様では、本発明の組成物に含まれるアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、以下の構造(VII)
【0070】
【化7】

を有するジチオール、ジオレフィンおよびモノエポキシオレフィンの反応生成物であるエポキシ官能ポリチオエーテルから誘導される。R21およびR22は、構造(V)に関して上記に記載されているとおりであり;pは2から6の整数であり、mは0から50の範囲の値を有する有理数、例えば0から10または1から10であり、nは1から60の整数、例えば1から10、場合によっては2であり;各R23は2価結合基である。
【0071】
PRC−DeSoto International,Inc.,Burbank,CaliforniaからPermapol(登録商標)L−5534という商標名で適当なエポキシ官能ポリチオエーテルが市販されている。
【0072】
特定の実施態様では、本発明の特定の実施態様において利用されるアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、既に記載されている種類の1つ以上のエポキシ官能ポリチオエーテルを過剰の1つ以上のポリアミンと反応させることによって調製される。従って、特定の実施態様では、例えば、1つ以上のエポキシ官能ポリチオエーテルの(n)モルが1つ以上のポリアミンの(>n)モルと反応させられる。本明細書中で用いられる用語「ポリアミン」は、分子あたり2つ以上のアミン基を含む化合物を指す。
【0073】
本発明の特定の実施態様において利用されるアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルの製造における使用に適しているポリアミンは、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミンおよびそれらの混合物を含む。特定の実施態様では、ポリアミンは、第1アミン(−NH)、第2アミン(−NH−)およびそれらの組み合わせから独立に選ばれた少なくとも2つの官能基を有するポリアミンを含んでよい。特定の実施態様では、ポリアミンは、少なくとも2つの第1アミン基を有する。
【0074】
特定の実施態様では、ポリアミンは硫黄含有ポリアミンである。適当な硫黄含有ポリアミンの非限定的な例は、ベンゼンジアミン−ビス(メチルチオ)−の異性体、例えば構造が以下:
【0075】
【化8】

に例示される、1,3−ベンゼンジアミン−4−メチル−2,6−ビス(メチルチオ)−および1,3−ベンゼンジアミン−2−メチル−4,6−ビス(メチルチオ)−である。Albemarle CorporationからEthacure 300という商標でそのような硫黄含有ポリアミンが市販されている。
【0076】
本発明における使用に適しているポリアミンは、例えば、以下の化学構造:
【0077】
【化9】

を有する物質も含む。RおよびRは、それぞれ独立に、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピル基から選ばれてよく、Rは水素および塩素から選ばれてよい。本発明において用いられるアミン含有硬化剤の非限定的な例は、Lonza Ltd.(Basel,Switzerland)によって製造されている以下の化合物、すなわち、LONZACURE(登録商標)M−DIPA(RはC;RはC;RはH)、LONZACURE(登録商標)M−DMA(RはCH;RはCH;RはH)、LONZACURE(登録商標)M−MEA(RはCH;RはC;RはH)、LONZACURE(登録商標)M−DEA(RはC;RはC;RはH)、LONZACURE(登録商標)M−MIPA(RはCH;RはC;RはH)、LONZACURE(登録商標)M−CDEA(RはC;RはC;RはCl)を含む。
【0078】
特定の実施態様では、ポリアミンは、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(Lonzacure(登録商標)M−CDEA、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン、2,6−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエンおよびそれらの混合物(全体として「ジエチルトルエンジアミン」または「DETDA」)、上記に記載されているEthacure 300などの硫黄含有ジアミン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)およびそれらの混合物などのジアミンを含む。他の適当なジアミンは、4,4’−メチレン−ビス(ジアルキルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)および/または4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチル−3−クロロアニリン)を含む。
【0079】
さらに、適当なポリアミンの非限定的な例は、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ピペラジン、モルホリン、置換モルホリン、ピペリジン、置換ピペリジン、ジエチレンジアミン(DEDA)、2−アミノ−1−エチルピペラジンおよびそれらの混合物などであるがそれらに限定されないエチレンアミン類を含んでよい。特定の実施態様では、ポリアミンは、3,5−ジメチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチル−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジイソプロピル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジイソプロピル−2,6−トルエンジアミンおよびそれらの混合物などであるがそれらに限定されないC〜Cジアルキルトルエンジアミンの1つ以上の異性体から選ばれてよい。特定の実施態様では、ポリアミンは、メチレンジアニリンまたはトリメチレングリコールジ(パラ−アミノベンゾエート)またはそれらの混合物であってよい。
【0080】
特定の実施態様では、ポリアミンは、以下の一般構造:
【0081】
【化10】

のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0082】
特定の実施態様では、ポリアミンは、以下の一般構造:
【0083】
【化11】

【0084】
【化12】

によって表されてよい1つ以上のメチレンビスアニリン、1つ以上のアニリンスルフィド、および/または1つ以上のビアニリンを含んでよい。RおよびRは、それぞれ独立に、CからCのアルキルを表してよく、Rは、水素、および塩素および臭素などであるがそれらに限定されないハロゲンから選ばれてよい。
【0085】
特定の実施態様では、ポリアミンは、以下の一般構造:
【0086】
【化13】

によって表されてよい物質を含んでよい。R20、R21、R22およびR23は、それぞれ独立に、H、CからCのアルキル、CH−S−、および塩素または臭素などであるがそれらに限定されないハロゲンから選ばれてよい。特定の実施態様では、直前の構造によって表されるポリアミンは、R23がメチルであり、R20およびR21がそれぞれはエチルであり、R22が水素であるジエチルトルエンジアミン(DETDA)であってよい。特定の実施態様では、ポリアミンは4,4’−メチレンジアニリンであってよい。
【0087】
上述の記載から理解されるように、特定の実施態様では、本発明の組成物は、構造(IX):
【0088】
【化14】

のアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルを含む。R21、R22、R23、p、mおよびnは、構造(VII)に関して上記に定義されているとおりであり、Yは、アミン基含有部分であり、場合によっては1つ以上の芳香環を含む第1アミン基含有部分である。
【0089】
特定の実施態様では、上記に記載されているアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは室温で液体である。さらに、特定の実施態様では、既に記載されているアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、Brookfield CAP2000粘度計を用いてASTMのD−2849の§79−90に従って決定される、約25℃の温度および760mmHgの圧力において測定されたとき、100%固体で50ポアズを超えない、例えば10ポアズを超えない粘度を有する。上記範囲内のいずれの端点も用いられてよい。
【0090】
特定の実施態様では、上記に記載されているアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、ポリスチレン標準を用いてゲル透過クロマトグラフィーによって分子量を測定されると、モルあたり500から2000グラム、例えばモルあたり1200から1300グラムの数平均分子量を有する。上記範囲内のいずれの端点も用いられてよい。
【0091】
本明細書における実施例は、本発明における使用に適しているアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルを作るための適当な方法をさらに例示する。
【0092】
既に記載されている成分に加えて、本発明の組成物の特定の実施態様は、追加の物質を含む。例えば、航空宇宙用途のための本発明の組成物の特定の実施態様において有用な充填材は、例えばカーボンブラックおよび/または炭酸カルシウム(CaCO)を含む。ポッティング化合物充填材は、例示として、硫化亜鉛および無機バリウム化合物などの高バンドギャップ材料を含む。特定の実施態様では、組成物は、組成物の総重量を基準として10から70重量%、例えば10から50重量%の選ばれた充填材または充填剤の組み合わせを含む。
【0093】
本発明の特定の実施態様のシーラントおよび/またはポッティング組成物は、1つ以上の接着促進剤を含んでよい。適当な接着促進剤は、Occidental Chemicalsから入手可能なMETHYLONフェノール樹脂などのフェノール樹脂、OSi Specialtiesから入手可能なA−187およびA−1100などのエポキシ、メルカプトまたはアミノ官能シランなどの有機シランを含む。特定の実施態様では、組成物の総重量を基準として0.1から15重量%の量の接着促進剤が使用される。
【0094】
特定の実施態様では、調合物の総重量を基準として1から8重量パーセントの範囲の量の可塑剤が組成物中に存在する。本発明の重合性組成物において有用である可塑剤は、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、水素化ターフェニル等を含む。
【0095】
特定の実施態様では、本発明の組成物は、例えば、調合物の総重量を基準として0から15重量パーセント、好ましくは15重量パーセント未満、より好ましくは10重量パーセント未満の範囲の量の1つ以上の有機溶媒、例えばイソプロピルアルコールをさらに含んでよい。
【0096】
しかし、特定の実施態様では、本発明の組成物は、有機溶媒または水性溶媒すなわち水などのいかなる溶媒も実質的に、場合によってはまったく含まない。言い換えると、特定の実施態様では、本発明のコーティング組成物は、実質的に100%活性である。本明細書中で用いられる用語「実質的に含まない」は、考察されている物質が、組成物中にあったとしても偶発的な不純物として存在することを意味する。言い換えると、その物質は、組成物の特性に影響を及ぼさない。本明細書中で用いられる用語「完全に含まない」は、考察されている物質が組成物中にまったく存在しないことを意味する。
【0097】
特定の実施態様では、本発明の組成物は着色剤を含む。本明細書中で用いられる用語「着色剤」は、色および/または他の不透明さおよび/または他の視覚効果を組成物に付与する任意の物質を意味する。着色剤は、離散粒子、分散物、溶液および/またはフレークなどの任意の適当な形でコーティングに加えられてよい。本発明のコーティング中に単一の着色剤、または2つ以上の着色剤の混合物が用いられてよい。
【0098】
着色剤の例は、塗料工業において用いられている、および/またはDry Color Manufacturers Association(DCMA)に挙げられているものなどの顔料、染料および色調剤(tint)、ならびに特殊効果組成物を含む。着色剤は、例えば、使用条件下で不溶性であるが濡れ性である微細に分割された固体粉末を含んでよい。着色剤は、有機であっても無機であってもよく、凝集していても凝集していなくてもよい。着色剤は、当業者にとって使用法が馴染み深い研削ビヒクル、例えばアクリル研削ビヒクルを用いてコーティング中に組み込まれてよい。
【0099】
顔料および/または顔料組成物の例は、カルバゾールジオキサジン粗製顔料、アゾ、モノアゾ、ジスアゾ、ナフトールAS、塩型(レーキ)、ベンゾイミダゾロン、縮合、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリンおよび多環フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン、インダンスロン、アンスラピリミジン、フラバンスロン、ピランスロン、アントアンスロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、二酸化チタン、カーボンブラック、およびそれらの混合物を含むがそれらに限定されない。用語「顔料」および「着色充填材」は交換可能に用いられてよい。
【0100】
染料の例は、フタログリーンまたはブルー、酸化鉄、バナジン酸ビスマス、アントラキノン、ペリレン、アルミニウムおよびキナクリドンなどの溶媒系および/または水系であるものを含むがそれらに限定されない。
【0101】
色調剤の例は、水系キャリアまたは水相溶性キャリア中に分散されている顔料、例えばDegussa,Inc.から市販されているAQUA−CHEM 896、Eastman Chemical,IncのAccurate Dispersions部門から市販されているCHARISMA COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTSを含むがそれらに限定されない。
【0102】
上記のように、着色剤は、ナノ粒子分散物を含むがそれに限定されない分散物の形であってよい。ナノ粒子分散物は、所望の眼に見える色および/または不透明さおよび/または視覚効果を生じる1つ以上の高度に分散したナノ粒子着色剤および/または着色剤粒子を含んでよい。ナノ粒子分散物は、150nm未満、例えば70nm未満または30nm未満の粒子サイズを有する顔料または染料などの着色剤を含んでよい。ナノ粒子は、0.5ミリメートルより小さな粒子サイズを有する研削媒体によって原料の有機または無機顔料を摩砕することによって作り出されてよい。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,875,800号に、ナノ粒子分散物およびそれらを作るための方法の例が特定されている。ナノ粒子分散物は、結晶化、沈殿、気相縮合および化学摩擦(すなわち部分溶解)によって作り出されてよい。コーティング内部のナノ粒子の再凝集をできるだけ少なくするために、樹脂被覆ナノ粒子の分散物が用いられてよい。本明細書中で用いられる「樹脂被覆ナノ粒子の分散物」は、内部にナノ粒子とナノ粒子上の樹脂コーティングとを含む離散的な「複合体微粒子」が分散している連続相を指す。参照によって本明細書に組み込まれる2004年6月24日出願の米国特許出願公開第2005−0287348 A1号、2003年6月24日出願の米国特許仮出願第60/482,167号および2006年1月20日出願の米国特許出願第11/337,062号の明細書に、樹脂被覆ナノ粒子の分散物およびそれらを作るための方法の例が特定されている。
【0103】
本発明の組成物中に用いられてよい特殊効果組成物の例は、1つ以上の外観効果、例えば反射率、真珠光沢、金属光沢、リン光、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、ゴニオクロミズムおよび/または色変化を作り出す顔料および/または組成物を含む。さらなる特殊効果組成物は、他の知覚可能な特性、例えば不透明度またはきめを提供してよい。非限定的な実施態様において、特殊効果組成物は、コーティングが異なる角度で見られたときコーティングの色が変化するように、色の変化を生じてよい。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,894,086号に、色彩効果組成物の例が特定されている。さらに別の色彩効果組成物は、透明な被覆雲母および/または合成雲母、被覆シリカ、被覆アルミナ、透明液晶顔料、液晶質コーティングおよび/または干渉が材料内の屈折率差異の結果であり、材料の表面と空気との間の屈折率差異の結果でない任意の組成物を含んでよい。
【0104】
一般に、着色剤は、所望の視覚および/または色彩効果を付与するのに十分な任意の量が存在してよい。着色剤は、本発明の組成物のうち1から65重量パーセント、例えば3から40重量パーセント、または5から35重量パーセントを構成してもよい。重量パーセントは組成物の総重量を基準とする。
【0105】
特定の実施態様では、イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンとアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルとは、イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタン 対 アミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルのモルの比が2:1より大きく、場合によっては少なくとも2.5:1、場合によっては少なくとも3:1および/または場合によっては5:1を超えない、場合によっては4.5:1を超えない、さらに他の場合には4:1を超えないような量で組み合わされる。
【0106】
特定の実施態様では、既に記載されているシーラント組成物などの組成物は、1つのパッケージが既に記載されているイソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含み、第2のパックが既に記載されているアミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルを含む2パック組成物などのマルチパック組成物として実体化される。所望または必要に応じて既に記載されている添加剤およびその他の物質がどちらかのパッケージに加えられてよい。2つのパッケージは、使用時または使用時近くに単純に一緒に混合される。
【0107】
本発明の組成物は、さまざまな基材のいずれにも塗布されてよい。本発明の組成物が塗布される通常の基材は、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、それらの陽極処理形態、下塗りされた(primed)形態、有機被覆形態およびクロマート被覆形態、エポキシ、ウレタン、黒鉛、ガラス繊維複合体、KEVLAR(登録商標)、アクリルおよびポリカーボネートを含んでよい。
【0108】
本発明の組成物は、当業者に既知の任意の適当な被覆プロセスによって、例えば、ディップコーティング、直接ロールコーティング、リバースロールコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、ブラシコーティング、真空コーティングおよびそれらの組み合わせによって基材の表面上に直接、または下地層の上に塗布されてよい。組成物を基材に塗布するための方法および装置は、少なくとも部分的に、基材材料の構成および種類によって決定されてよい。
【0109】
しかし、特定の実施態様では、本発明の組成物は、スプレー法による塗布に特に適しており、従って、揮発性有機化合物を実質的にまたはまったく含まないときでもスプレーすることができる組成物である。本明細書中で用いられる用語「スプレーすることができる」は、高体積−低圧(HVLP)スプレーガンなどのスプレーガンを用いて、航空機燃料タンクが経験する環境状態の間にこの燃料タンクからの内容物の漏れを防ぐのに十分に厚い層(約20から120ミルと考えられる)を膜が提供するように、基材に接着する連続した膜として1回の通過で塗布され得る組成物を指す。
【0110】
多くの場合、上記のシーラントまたはポッティング調合物は、周囲の温度および圧力で硬化するが、一般に、調合物は0℃から100℃の範囲の温度で硬化されてよい。驚くべきことに、本発明の少なくともいくつかの実施態様において、ポリチオエーテルを含み、(a)揮発性有機化合物を実質的に含まず、(b)スプレーすることができ、(c)燃料耐性であるシーラント組成物が提供され得ることが発見された。その結果、本発明は、そのようなシーラント組成物にも関する。
【0111】
本明細書中で用いられる用語「燃料耐性」は、本発明の組成物が、基材に塗布され、硬化したとき、参照によって本明細書に組み込まれるASTMのD792またはAMS の3269に記載されている方法と同様な方法による140°F(60℃)および常圧におけるジェット基準流体(JRF)1型中1週間の浸漬の後、40%より大きくない、場合によって25%より大きくない、場合によって20%より大きくないパーセント体積膨潤を有する、硬化したシーラントを提供することができることを意味する。燃料耐性の測定のために本明細書中で使用されるジェット基準流体JRF1型は、以下の組成を有する(SAE(Society of Automotive Engineers,Warrendale,Pa.)から入手可能な(参照によって本明細書に組み込まれる)1989年7月1日発行のAMS2629参照)、§3.1.1参照:
トルエン 28±1体積%
シクロヘキサン(工業用) 34±1体積%
イソオクタン 38±1体積%
第三ジブチルジスルフィド 1±0.005体積%
(doctor sweet) 。
【0112】
特定の実施態様では、硬化した本発明のシーラントは、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定したとき−50℃より高くない、場合によっては−50℃から−60℃のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0113】
特定の実施態様では、硬化した本発明のシーラントは、既知の方法、例えば参照によって本明細書に組み込まれるAMS(Aerospace Material Specification)3267 §4.5.4.7、MIL−S(Military Specification)−8802E §3.3.12およびMIL−S−29574に記載されている方法によって、およびASTM(American Society for Testing and Materials)のD522−88に記載されている方法と同様な方法によって測定されると良好な低温柔軟性を有する。良好な低温柔軟性を有する硬化した調合物は、これらの調合物が,温度および圧力などの環境条件の大きな変化、ならびに結合部収縮および膨張ならびに振動などの物理的条件にさらされるので、航空宇宙用途において望ましい。
【0114】
特定の実施態様では、本発明のシーラント組成物は、周囲条件下で比較的迅速に硬化する。例えば、特定の実施態様では、シーラント組成物は、周囲条件下での塗布および硬化後1時間以内に、場合によっては1/2時間以内に、粘着性のない膜を提供する。本発明に関しては、粘着性のなくなる時間は、AMS3265B、§3.6.8、試験手順AS5127/1、§5.8に記載されている手順によって測定される。
【0115】
特定の実施態様では、本発明のシーラント組成物は、AMS3279、§3.3.17.1、試験手順AS5127/1、§7.7に記載されている手順によって測定されたとき、少なくとも100%の伸長および少なくとも500psiの引張り強度を有する硬化したシーラントを提供する。
【0116】
特定の実施態様では、本発明のシーラント組成物は、BSS7272に記載されている手順に従って測定されたとき200psiより大きな、場合によっては少なくとも400psiのラップせん断強さ(lap shear strength)を有する硬化したシーラントを提供する。
【0117】
上記の記載から明らかになるはずであるように、本発明は、本発明の組成物を利用して開口部を封止するための方法も目的とする。これらの方法は、(a)本発明の組成物を封止する表面に塗布して開口部を封止する工程と、(b)組成物を、例えば周囲条件下で硬化させる工程とを包含する。同じく理解されるように、本発明は、本発明のコーティング組成物で被覆されている少なくとも1つの表面を含む航空宇宙ビークルならびに本発明のシーラント組成物で封止されている少なくとも1つの開口部を含む航空宇宙ビークルにも関する。
【0118】
以下の実施例は、本発明の例を示しているが、本発明を細部にわたって限定するものとはみなされない。特に明記しない限り、以下の実施例中ならびに本明細書全体にわたって部および百分率はすべて重量基準とする。
【実施例】
【0119】
(実施例1)
メルカプタンキャップされた(capped)ポリチオエーテルの合成
5リットル4つ口フラスコに2254.49g(12.37モル)のジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)を入れた。フラスコを窒素でフラッシュし、内容物を60℃に加熱し、温度を60〜65℃に維持して撹拌しながら1771.35g(11.20モル)のジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)中の1.61g(0.008モル)のラジカル開始剤Vazo−67[2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の溶液を5.5時間にわたって添加した。次に、混合物を70℃でさらに1.5時間撹拌した。反応を完了させるために、反応混合物の温度を70℃に維持しながら、9部のVazo−67(各0.901g、0.0046モル)を、1時間間隔で加えた。内容物を90℃で2時間加熱し、70℃に冷却し、10mmHgで1時間減圧にし、1702の当量および54ポアズの粘度(Brookfield CAP2000粘度計を用いてASTMのD−2849の§79−90に従って約25℃の温度および約760mmHgの圧力において測定された)を有する微黄色の液体ポリチオエーテル(4025.84g;収率:100%)を得た。
【0120】
(実施例2)
イソシアネートキャップされたポリチオエーテルの合成
5リットル4つ口フラスコに1932.62g(0.59モル)の実施例1のメルカプタンキャップされたポリチオエーテルを入れ、反応フラスコを、1mmHgで0.5時間排気し、窒素下で真空を解除した。Rubinate 9433(1210.44g、4.54モル、修飾ジフェニルメタンジイソシアネート、Huntsman International製品)を加え、15分間混合した。Polycat 8(0.94g、0.008モル、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、Air Productsの製品)を塩基触媒として加えた。穏やかな発熱が起こり、反応温度を37℃に上げた。外部加熱せずに、撹拌を37〜39℃で0.75時間続けた。反応混合物を、39〜50℃で2時間加熱された。反応混合物のメルカプタン当量は、この段階で117,660であった。反応混合物を、46℃/10mmHgで1時間排気した。窒素下で真空を解除した後、安定剤の塩化ベンゾイル(1.26g、0.009モル)を加え、10分間撹拌した。反応生成物は、黄色で、415のNCO当量および148ポアズの粘度(Brookfield CAP2000粘度計を用いてASTMのD−2849の§79−90に従って約25℃の温度および約760mmHgの圧力において測定された)を有していた。
【0121】
(実施例3)
アミンキャップされたポリチオエーテルの合成
3リットル4つ口フラスコに1703.46(1.47モル)のPRC−DeSoto International,Inc.から市販されているエポキシキャップされたポリチオエーテルであるPermapol(登録商標)L−5534、および628.52(2.94モル)のHuntsman Inc.からのジアミンであるEthacure 300を入れた。内容物を、真空下(10mmHg)で0.25時間混合された。Polycat 8(0.47g、0.0037モル)を加え、混合物を84〜92℃で10時間加熱した。生成物は、淡褐色であり、6ポアズの粘度(Brookfield CAP2000粘度計を用いてASTMのD−2849の§79−90に従って約25℃の温度および約760mmHgの圧力において測定された)を有していた。
【0122】
(実施例4)
スプレーすることができるシーラント調合物の調製
300グラムの実施例2のイソシアネートキャップされたポリチオエーテルを85グラムのカプロラクトンと混合することによってシーラント組成物のA部を調製した。191.6グラムの実施例3のアミンキャップされたポリチオエーテルを2.9グラムの黒色顔料ペーストおよび2.5グラムのSilquest A−1100(OSi Specialtiesから市販されているγ−アミノプロピルトリエトキシシラン)と混合することによって、シーラント組成物のB部を調製した。
【0123】
上記に示されている重量のA部とB部とを混合するか、またはスタティックミキサーを介して体積で1部のBに対する2部のAをスプレーすることによって試験用のシーラントを作製した。上記の組成物から調製されたシーラントは、表1に示される特性を示した。
【0124】
【表1】

例示を目的として、上記に本発明の特定の実施態様が記載されてきたが、添付の請求項において定義されている本発明から逸脱することなく本発明の詳細の多数の変化形が作られ得ることは当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリチオエーテルを含むシーラント組成物であって、
(a)揮発性有機化合物を実質的に含まず、
(b)スプレーすることができ、
(c)燃料耐性である
シーラント組成物。
【請求項2】
前記ポリチオエーテルは、イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含む、請求項1に記載のシーラント組成物。
【請求項3】
前記イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、チオール官能ポリチオエーテルとイソシアネート官能化合物との反応生成物である、請求項2に記載のシーラント組成物。
【請求項4】
前記チオール官能ポリチオエーテルは、構造:
HS−R−[−S−(CH−O−[−R−O−]−(CH−S−R−]−SH
を有し、式中、
各Rは、独立に、C2〜10n−アルキレン基、C2〜6分岐アルキレン基、アルキレンオキシ基、C6〜8シクロアルキレン基、C6〜10アルキルシクロアルキレン基、複素環基、または−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−を示し、式中、
sは、2から6の範囲の値を有する整数であり、
qは、1から5の範囲の値を有する整数であり、
rは、2から10の範囲の値を有する整数であり、
各Rは、独立に、水素またはメチルであり、
各Xは、独立に、O、Sまたは−NHR−を示し、式中、
Rは、Hまたはメチルを示し、
各Rは、独立に、メチレン、C2〜10n−アルキレン基、C2〜6分岐アルキレン基、C6〜8シクロアルキレン基、C6〜14アルキルシクロアルキレン、複素環基、または−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−を示し、式中、
s、q、rおよびXは、上記で定義されているとおりであり、
mは、0から50の範囲の値を有する有理数であり;
nは、1から60の範囲の値を有する整数であり;
pは、2から6の範囲の値を有する整数である、
請求項3に記載のシーラント組成物。
【請求項5】
前記イソシアネート官能化合物は、
【化15】

を含む、請求項2に記載のシーラント組成物。
【請求項6】
前記イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、構造:
【化16】

を有し、式中、
各Rは、独立に、C2〜10n−アルキレン基、C2〜6分岐アルキレン基、アルキレンオキシ基、C6〜8シクロアルキレン基、C6〜10アルキルシクロアルキレン基、複素環基、または−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−を示し、式中、
sは、2から6の範囲の値を有する整数であり、
qは、1から5の範囲の値を有する整数であり、
rは、2から10の範囲の値を有する整数であり、
各Rは、独立に水素またはメチルであり、
各Xは、独立にO、Sまたは−NHR−を示し、式中、
Rは、Hまたはメチルを示し;
各Rは、独立に、メチレン、C2〜10n−アルキレン基、C2〜6分岐アルキレン基、C6〜8シクロアルキレン基、C6〜14アルキルシクロアルキレン、複素環基、または−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−を示し、式中、
s、q、rおよびXは、上記で定義されているとおりであり;
mは0から50の範囲の値を有する有理数であり;
nは、1から60の範囲の値を有する整数であり;
pは、2から6の範囲の値を有する整数であり;
各Xは、独立に、OまたはSであり;
各Yは、独立に、イソシアネート基含有部分である、
請求項2に記載のシーラント組成物。
【請求項7】
前記イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンは、Brookfield CAP2000粘度計を用いてASTMのD−2849の§79−90に従って決定される、約25℃の温度および約760mmHgの圧力において、100%固体で400ポアズを超えない粘度を有する、請求項2に記載のシーラント組成物。
【請求項8】
前記ポリチオエーテルは、アミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルをさらに含む、請求項2に記載のシーラント組成物。
【請求項9】
前記アミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、エポキシ官能ポリチオエーテルとポリアミンとの反応生成物である、請求項8に記載のシーラント組成物。
【請求項10】
前記エポキシ官能ポリチオエーテルは、構造:
【化17】

を有し、式中、
21は、C2〜10n−アルキレン基;C2〜6分岐アルキレン基;アルキレンオキシ基;C6〜8シクロアルキレン基;C6〜10アルキルシクロアルキレン基;複素環基;または−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−を示し、式中、sは、2から6の範囲の値を有する整数であり、qは、1から5の範囲の値を有する整数であり、rは、2から10の範囲の値を有する整数であり、Rは、水素またはメチルであり、Xは、O、Sまたは−NR−を示し、式中、Rは、アルキル基を示し;
各R22は、2価の結合基である、
請求項9に記載のシーラント組成物。
【請求項11】
前記ポリアミンは、
【化18】

またはそれらの混合物を含む、請求項9に記載のシーラント組成物。
【請求項12】
前記アミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、Brookfield CAP2000粘度計を用いてASTMのD−2849の§79−90に従って決定され、約25℃の温度および約760mmHgの圧力において測定されたとき、100%固体で50ポアズを超えない粘度を有する、請求項8に記載のシーラント組成物。
【請求項13】
前記イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンと前記アミン/ヒドロキシ−キャップされたポリチオエーテルとは、イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタン 対 アミン/ヒドロキシキャップされたポリチオエーテルのモル比が2:1より大きくなるような量で存在する、請求項8に記載のシーラント組成物。
【請求項14】
(a)イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンを含む第1の成分と、
(b)アミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルを含む第2の成分と
を含む多成分組成物。
【請求項15】
前記組成物は、基材上に析出させられ、硬化させられたとき、燃料耐性航空宇宙シーラントを提供する、請求項14に記載の多成分組成物。
【請求項16】
前記イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、チオール官能ポリチオエーテルとイソシアネート官能化合物との反応生成物である、請求項14に記載の多成分組成物。
【請求項17】
前記イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、構造:
【化19】

を有し、式中、
各Rは、独立に、C2〜10n−アルキレン基、C2〜6分岐アルキレン基、アルキレンオキシ基、C6〜8シクロアルキレン基、C6〜10アルキルシクロアルキレン基、複素環基、または−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−を示し、式中、
sは、2から6の範囲の値を有する整数であり、
qは、1から5の範囲の値を有する整数であり、
rは、2から10の範囲の値を有する整数であり、
各Rは、独立に、水素またはメチルであり、
各Xは、独立に、O、Sまたは−NHR−を示し、式中、
Rは、Hまたはメチルを示し;
各Rは、独立に、メチレン、C2〜10n−アルキレン基、C2〜6分岐アルキレン基、C6〜8シクロアルキレン基、C6〜14アルキルシクロアルキレン、複素環基、または−[(−CHR−)−X−]−(−CHR−)−を示し、式中、
s、q、rおよびXは、上記で定義されているとおりであり;
mは、0から50の範囲の値を有する有理数であり;
nは、1から60の範囲の値を有する整数であり;
pは、2から6の範囲の値を有する整数であり;
各Xは、独立に、OまたはSであり;
各Yは、独立に、イソシアネート基含有部分である、
請求項14に記載の多成分組成物。
【請求項18】
前記イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンは、Brookfield CAP2000粘度計を用いてASTMのD−2849の§79−90に従って決定される、約25℃の温度および約760mmHgの圧力において、100%固体で400ポアズを超えない粘度を有する、請求項14に記載の多成分組成物。
【請求項19】
前記アミン/ヒドロキシ官能ポリチオエーテルは、Brookfield CAP2000粘度計を用いてASTMのD−2849の§79−90に従って決定され、約25℃の温度および約760mmHgの圧力において測定されたとき、100%固体で50ポアズを超えない粘度を有する、請求項14に記載の多成分組成物。
【請求項20】
前記第1の成分と前記第2の成分とが、前記イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタンおよび/またはポリチオウレタンと前記アミン/ヒドロキシキャップポリチオエーテルとが、イソシアネート官能ポリチオエーテル−ポリウレタン 対 アミン/ヒドロキシキャップされたポリチオエーテルのモル比が2:1より大きくなるような量で組み合わされるように、組み合わされる、請求項14に記載の多成分組成物。
【請求項21】
請求項1に記載のシーラント組成物から析出したシーラントで少なくとも部分的に封止されている開口部を含む航空宇宙ビークル。
【請求項22】
請求項14に記載の組成物から析出したシーラントで少なくとも部分的に封止されている開口部を含む航空宇宙ビークル。

【公表番号】特表2010−526173(P2010−526173A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506349(P2010−506349)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/055259
【国際公開番号】WO2008/137198
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(502328466)ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド (29)
【Fターム(参考)】