説明

ポリプロピレン多層延伸フィルム

【課題】熱収縮率が高く、かつ自然収縮率が低く、シュリンクラベルに好適なポリプロピレン多層延伸フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリプロピレン多層延伸フィルムは、プロピレンと、エチレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる1種以上のオレフィンから得られる共重合体であって、(1)前記オレフィンに由来する構成単位の含有量が0〜20重量%、(2)MFRが0.05〜20g/10分、(3)高温GPC法により求めたMz/Mnが20未満、かつMw/Mnが4.5未満である、ポリプロピレン(A)100〜55重量部と、石油樹脂(B)0〜45重量部とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(C)からなる層(I)と、ガラス転移点が20℃を超えかつ90℃未満であり、数平均分子量が1,00
0を超える非晶性樹脂(D)からなる層(II)とからなる積層体が延伸されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温における熱収縮率が急激に増加し、自然収縮率が小さいポリプロピレン多層延伸フィルムに関する。また、シュリンクラベル分野において好適に用いられるポリプロピレン多層延伸フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
シュリンクラベルは、熱可塑性樹脂たとえばポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂から形成される延伸フィルムであり、加熱により収縮する性質を利用して、工業用品、日用品、食料品等を密着包装する、いわゆるシュリンク(収縮)包装に広く用いられている。
【0003】
従来、ポリプロピレンに石油樹脂などを混合して延伸成形することにより、得られるフィルムの高温での熱収縮率を増加させることができることは、よく知られている。しかしながら、このようにして得られるフィルムは、室温下での後収縮(自然収縮)が大きいため、フィルム寸法が変化したり、ロール巻きした状態では変形などが起きたりして包装時や二次加工時にトラブルが生じる場合がある。フィルムの後収縮を抑えるには、製膜時に熱固定を施せばよいが、熱固定を施したフィルムは、高温での熱収縮特性が損なわれてしまい、使用に耐えられない。ポリオレフィン、特にポリプロピレン製のシュリンクフィルムでは、高温での熱収縮性を維持しながら、後収縮を小さくすることは極めて困難であり、この問題を解決することが技術的課題として掲げられていた。
【0004】
上記問題点を解決する方法として、例えば延伸フィルムを多層構成とすることが提案されている(特許文献1、2参照)。しかし、包装される容器やボトルなどの形状の変化や、フィルムの取り扱いの変化などにより、さらに熱収縮率を上げたり、自然収縮率を下げたりすることが求められている。
【特許文献1】特開2000−159946号公報
【特許文献2】特開2001−219503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、熱収縮率が高く、かつ自然収縮率が低く、例えばシュリンクラベルに好適なポリプロピレン多層延伸フィルムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、MFRおよび分子量分布が特定範囲にあるポリプロピレンを用いることによって、収縮特性を改善できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
プロピレンと、エチレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンから得られる共重合体であって、
(1)エチレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンに由来する構成単位の含有量が0〜20重量%の範囲にあり、
(2)ASTM D−1238に準じて230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(MFR)が0.05〜20g/10分の範囲にあり、
(3)高温GPC法により求めたMz/Mnが20未満、かつMw/Mnが4.5未満である、
ポリプロピレン(A)100〜55重量部と、石油樹脂(B)0〜45重量部とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(C)からなる層(I)と、ガラス転移点(Tg)が20℃を超えかつ90℃未満であり、GPC法により求めた数平均分子量(Mn)が1,00
0を超える非晶性樹脂(D)からなる層(II)とからなる積層体が延伸されてなるポリプロピレン多層延伸フィルムに関する。
【0007】
本発明では、前記層(II)が、非晶性樹脂(D)とポリエチレン系樹脂(E)との組成物からなること、前記ポリプロピレン系樹脂組成物(C)が、さらにエラストマー(F)を含有することが好ましい態様の一つである。
【0008】
また、上記のポリプロピレン(A)は、分解剤との接触によって狭分子量分布化されていることが好ましい。
本発明のポリプロピレン多層延伸フィルムは、シュリンクラベル用であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリプロピレン多層延伸フィルムは、熱収縮率が高く、自然収縮率が低いため、例えばシュリンクラベルに好適に用いることができる。本発明のポリプロピレン多層延伸フィルムは、収縮バランスが良く、常温での寸法安定性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の延伸フィルムは、特定のポリプロピレン(A)、必要に応じてさらに石油樹脂(B)および/またはエラストマー(F)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物(C)からなる層(I)と、非晶性樹脂(D)、必要に応じてさらにポリエチレン系樹脂(E)を含む組成物からなる層(II)とからなる。
【0011】
以下、本発明の延伸フィルムを構成する各成分について順次説明する。
『ポリプロピレン(A)』
ポリプロピレン(A)は、プロピレンと、エチレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンから得られる共重合体である。炭素数4以上のα−オレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィンが好適であり、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。本発明において好ましく用いられるポリプロピレン(A)は、プロピレンおよびエチレンから得られる共重合体である。また、共重合部体中のエチレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンに由来する構成単位の量は0〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、更に好ましくは3〜6重量%である。
【0012】
ポリプロピレン(A)中のエチレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンに由来する構成単位の量が上記範囲内にあると、得られる多層延伸フィルムは、収縮性に優れる。
【0013】
本発明に係るポリプロピレン(A)の、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)は、0.05〜20g/10分、好ましくは1〜15g/10分、特に好ましくは2〜8g/10分である。
【0014】
ポリプロピレン(A)のMFRが上記範囲内にあると得られる多層延伸フィルムは、押出性および延伸性に優れる。
本発明に係るポリプロピレン(A)は、高温GPC法により求めたMz/Mnが20未満、好ましくは15未満であり、かつMw/Mnが4.5未満、好ましくは4未満であることが好ましい。
【0015】
ポリプロピレン(A)の高温GPC法により求めたMz/MnおよびMw/Mnが上記範囲内にあると得られる多層延伸フィルムは、自然収縮性と熱収縮性のバランスに優れる。
【0016】
前記ポリプロピレン(A)は、分解剤との接触によって狭分子量分布化されていることが望ましい。ここで用いられる分解剤としては、好ましくは有機過酸化物である。この有機過酸化物の具体例として、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1,3−ビス(tert−ブチルペル
オキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレ
レ−ト、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロ
ロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。他の分解剤としては、アゾ系、その他PPを分解できるものであれば特に制限はない。
【0017】
通常は、公知のチタン系重合触媒、メタロセン触媒等の重合触媒によって製造されたプロピレン単独重合体、プロピレン系ブロック共重合体あるいはプロピレン系ランダム共重合体等のポリプロピレン(A')を、前述の有機過酸化物の存在下に溶融混練することに
よって分解剤との接触が行われる。この溶融混練により、収縮バランスに優れ、また加工性に優れ、且つ分子量分布を任意に制御したポリプロピレン(A)が得られる。溶融混練を行うにあたり、ポリプロピレン(A')と有機過酸化物が混合されるが、その混合方法
は特に制限されない。例えば、ブレンダー、ミキサー等の混合機を用いて機械的に混合する方法、有機過酸化物を適当な溶剤に溶解させてポリプロピレン(A')に付着させ、該
溶剤を乾燥することによって混合する方法等がある。
【0018】
溶融混練温度は、ポリプロピレン(A')の溶融温度以上でかつ分解剤の分解温度以上
の温度が採用される。しかし、あまり加熱温度が高いとポリマーの熱劣化を招く。一般に該混練温度は、170〜300℃、特に、180〜250℃の範囲内に設定することが好ましい。
【0019】
『石油樹脂(B)』
石油樹脂(B)としては、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、水素化炭化水素等からなる炭化水素樹脂、またはテルペン系樹脂が任意に使用できる。石油樹脂(B)は、通常ポリプロピレン(A)100〜55重量部に対して0〜45重量部、好ましくはポリプロピレン(A)90〜60重量部に対して、10〜40重量部の量で使用される。
【0020】
『非晶性樹脂(D)』
非晶性樹脂(D)は、ガラス転移点(Tg)が20℃を超えかつ90℃未満であり、好ましくは50〜80℃である。また、GPC法により測定される数平均分子量(Mn)が1,000を超える樹脂である。
【0021】
このような非晶性樹脂(D)としては、例えばガラス転移点(Tg)が20℃を超えかつ90℃未満、好ましくは50〜80℃であり、GPC法により測定される数平均分子量(Mn)が1,000を超え、好ましくは1,000を超え100万以下の、環状オレフィン系樹脂(D1)、ポリスチレン系樹脂(D2)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(D3)などが好ましく用いられる。本発明において、数平均分子量(Mn)が1,000以下である非晶性樹脂を用いると、積層フィルム化することが困難であるため、非晶性樹脂の数平均分子量(Mn)は1,000を超えていることが良い。また、非晶性樹脂(D
)のガラス転移点(Tg)が20℃未満の場合自然収縮率が増大してしまい、90℃を超えると熱収縮率が低下するので、上記特定の範囲内にあると多層延伸フィルムは収縮バランスに優れる。
【0022】
このような非晶性樹脂は、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,260℃、2.16kg荷重)は、通常0.1〜60g/10分、好ましくは2〜50g/10分、より好ましくは10〜30g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0023】
『ポリエチレン系樹脂(E)』
ポリエチレン系樹脂(E)は、エチレン単独重合体でもよく、エチレン・α−オレフィン共重合体、例えばエチレンと、炭素数3〜10のα−オレフィンから選ばれた1種以上のα−オレフィンとからなるランダム共重合体であってもよい。
【0024】
ポリエチレン系樹脂(E)を用いる場合は、ポリエチレン系樹脂(E)は、非晶性樹脂(D)100〜50重量部に対して、0〜50重量部、好ましくは非晶性樹脂(D)80〜60重量部に対してポリエチレン系樹脂(E)20〜40重量部の割合で用いられる。
【0025】
ポリエチレン系樹脂(E)を非晶性樹脂(D)に対して上記のような割合でブレンドすると多層延伸フィルムの皮脂白化を低減させることができる。
『エラストマー(F)』
エラストマー(F)としては、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、水素添加ブロック共重合体、その他弾性重合体、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0026】
エラストマー(F)を用いる場合は、エラストマー(F)はポリプロピレン系樹脂組成物(C)100〜60重量部に対して、通常0〜40重量部、好ましくはポリプロピレン系樹脂組成物(C)95〜80重量部に対して5〜20重量部の割合で用いられる。
【0027】
エラストマー(F)をポリプロピレン系樹脂組成物(C)に対して上記のような割合でブレンドすると、多層延伸フィルムの耐衝撃性や層間接着力が向上する。
『他の成分』
ポリプロピレン系樹脂組成物(C)には無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーとしては、タルク、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、ケイ酸塩類、炭酸塩類、ガラス繊維などが挙げられる。これらの中では、タルク、炭酸カルシウムが好ましく、特にタルクが好ましい。タルクの平均粒径は、1〜5μm、好ましくは1〜3μmの範囲内にあることが望ましい。フィラーは、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0028】
またポリプロピレン系樹脂組成物(C)には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤、種々の合成樹脂等の各種添加剤を必要に応じて配合することができる。
【0029】
『組成物の調製法』
ポリプロピレン系樹脂組成物(C)は、上記ポリプロピレン(A)、石油樹脂(B)および/またはエラストマー(F)、必要に応じて各種添加剤を用いて従来公知の方法で調製することができ、例えば一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、ニーダー等を用いて、上記各成分を溶融混練することにより得られる。
【0030】
また、非晶性樹脂(D)とポリエチレン系樹脂(E)とからなる組成物も、上記と同様
にして調製することができる。
『フィルムの製造方法』
本発明に係る積層体は、例えば以下のようにして製造することができる。ポリプロピレン(A)、必要に応じて石油樹脂(B)、エラストマー(F)、各種添加剤等の成分をドライブレンド、またはバンバリーミキサー、ロールミル、押出機等で溶融混合して層(I)に使用する原料を調製するとともに、非晶性樹脂(D)、必要に応じてポリエチレン系樹脂(E)、各種添加剤等の成分をドライブレンド、またはバンバリーミキサー、ロールミル、押出機等で溶融混合して層(II)に使用する原料を調製する。次いで、これらの原料を用い、共押出しフィルム成形法、例えばT−ダイ成形法またはインフレーション成形法により、例えば層構成が層(I)/層(II)である2層フィルム、層構成が層(I)/層(II)/層(I)または層(II)/層(I)/層(II)である3層フィルム等の多層フィルムを製造し、得られた多層フィルムを一軸または二軸延伸することによって得ることができる。本発明に係るポリプロピレン多層延伸フィルムは、層(I)と層(II)が交互に積層された4層以上であってもよい。
【0031】
多層フィルムの延伸は、例えばTダイからフラット状シートを押出し、冷却して引き取り、縦方向に1.0〜2.0倍ロール延伸し、横方向に3〜10倍テンター延伸し、幅方向に0〜12%弛緩させつつアニールし、次いで巻き取ることによって行うことができる。延伸は上記のようなテンターによる1軸または二軸延伸以外に、丸ダイからチューブ状シートを押出しチューブ状で延伸してもよい、すなわちチューブラー法同時二軸延伸であっても良い。
【0032】
[実施例]
次に本発明を代表的な実施例によって詳細に説明する。
本発明で採用した物性値の測定方法は次の通りである。
(1)メルトフローレート(MFR
ASTM D−1238の方法により230℃、荷重2.16kgで測定した。シリンダーには特に窒素は導入せず、直接ペレットをシリンダーに投入し溶融させた。
(2)Mz/Mn、Mw/Mn
高温GPCを用いた。測定条件は以下の通りである。
・カラム TSKgel GMH6HT×2
TSKgel GMH6−HTL×2
・カラム温度 140℃
・移動相 o-ジクロロベンゼン(ODCB)
・流量 1.0mL/分
・試料濃度 30mg/20mL−ODCB
・注入量 500μL
・装置/メーカ alliance GPC2000 /Waters
・解析装置 MILLENNIUM
また、本発明の実施例において用いた原料は以下の通りである。
ポリプロピレン(A)
プロピレン・エチレンランダム共重合体(a)
・エチレン単位含量=4重量%
・MFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg)=2g/10分
・密度(ASTM D1505)=0.90g/cm3
石油樹脂(B)
荒川化学製の石油樹脂(アルコン P−140(商品名))
非晶性樹脂(D)
エチレン−テトラシクロドデセン共重合体
(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンを、単に「テトラシクロド
デセン」と記載する。)
・MFR(ASTM D 1238,260℃、2.16kg)=15g/10分
・Tg=70℃
ポリエチレン系樹脂(E)
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
・エチレン単位含量=95.5モル%
・コポリマー=4−メチル−1−ペンテン
・MFR(ASTM D 1238,190℃、2.16kg)=2.3g/10分
・密度(ASTM D 1505)=0.915g/cm3
エラストマー(F)
エチレン・1−ブテンランダム共重合体ゴム(EBR)
・エチレン単位含量=81モル%
・1−ブテン単位含量=19モル%
・MFR(ASTM D 1238,190℃、2.16kg)=3.6g/10分
・密度(ASTM D 1505)=0.88g/cm3
【実施例1】
【0033】
[中間層原料の調整]
前記のプロピレン・エチレンランダム共重合体(a)にパーヘキサ25B−40(商品名、日本油脂(株)製)を200ppmブレンドして樹脂温度230℃で、神戸製鋼所KTX二軸混練機で造粒した。このようにして得られたポリプロピレン(A)のMFRは4.3g/10分であった。このポリプロピレン(A)70重量部に対し前記石油樹脂(B)30重量部を、神戸製鋼所KTX二軸混練機を用いて樹脂温度230℃で練りこみ、MFRが9.8g/10分のポリプロピレン系樹脂組成物(C)を得た。このポリプロピレン系樹脂組成物(C)90重量部に対し前記エチレン・1−ブテンランダム共重合体ゴム(F)を10重量部ドライブレンドした。
【0034】
[表裏層原料の調整]
前記エチレン・テトラシクロドデセン共重合体(D)65重量部と、前記直鎖状低密度ポリエチレン(E)35重量部をドライブレンドした。
【0035】
[原反シートの作成]
上記中間層原料および表裏層原料を2種3層(50mmφの中間層と40mmφの表裏層)のTダイ成形機にそれぞれ投入し、ダイス温度230℃、チルロール30℃、シート引き取り速度3m/分の条件で、厚み0.4mmの多層の原反シートを作製した。
【0036】
中間層と表裏層の厚み比率は、表層:中間層:裏層が1:8:1になるように調整した。
[延伸方法]
上記原反シートを85×85mmにカットしブルックナー社KAROIV二軸延伸機を用いて延伸フィルムを作成した。延伸は90℃、30秒予熱後、6m/分で5倍一軸延伸を行った。このようにして得られたフィルムの厚みは80μmであった。
【0037】
[試験方法]
上記延伸フィルムをスリットして得られた試験片を所定温度の温水に10秒浸漬し、この熱処理前後のフィルムの寸法から熱収縮率を求めた。
【0038】
また上記と同じ試験片を40℃のオーブンに7日間入れ、この熱処理前後のフィルムの寸法から自然収縮率を求めた。
結果を表1にまとめた。
【実施例2】
【0039】
前記のプロピレン・エチレンランダム共重合体(a)にパーヘキサ25B−40(日本油脂(株)製)を500ppmブレンドして樹脂温度230℃で、神戸製鋼所KTX二軸混練機で造粒した。このようにして得られたポリプロピレン(A)のMFRは6.8g/10分であった。このポリプロピレン(A)70重量部に対し前記石油樹脂(B)30重量部を、神戸製鋼所KTX二軸混練機を用いて樹脂温度230℃で練りこんだ。得られたポリプロピレン系樹脂組成物(C)のMFRは14.9g/10分であった。
【0040】
このポリプロピレン系樹脂組成物(C)を用いた以外は、実施例1記載の方法と同様に行った。
〔比較例1〕
前記のプロピレン・エチレンランダム共重合体(a)70重量部に対し石油樹脂(b)30重量部を、神戸製鋼所KTX二軸混練機を用いて樹脂温度230℃で練りこんだ。得られたポリプロピレン系樹脂組成物(C)のMFRは6.9g/10分であった。
【0041】
このポリプロピレン系樹脂組成物(C)を用いた以外は、実施例1記載の方法と同様に行った。
以上の結果を表1に示す。
【0042】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンと、エチレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンとから得られる共重合体であって、
(1)エチレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる一種以上のオレフィンに由来する構成単位の含有量が0〜20重量%の範囲にあり、
(2)ASTM D−1238に準じて230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(MFR)が0.05〜20g/10分の範囲にあり、
(3)高温GPC法により求めたMz/Mnが20未満、かつMw/Mnが4.5未満である、
ポリプロピレン(A)100〜55重量部と、石油樹脂(B)0〜45重量部とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(C)からなる層(I)と、ガラス転移点(Tg)が20℃を超えかつ90℃未満であり、GPC法により求めた数平均分子量(Mn)が1,00
0を超える非晶性樹脂(D)からなる層(II)とからなる積層体が延伸されてなることを特徴とするポリプロピレン多層延伸フィルム。
【請求項2】
前記層(II)が、非晶性樹脂(D)とポリエチレン系樹脂(E)との組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の積層されたポリプロピレン多層延伸フィルム。
【請求項3】
前記ポリプロピレン系樹脂組成物(C)が、さらにエラストマー(F)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層されたポリプロピレン多層延伸フィルム。
【請求項4】
ポリプロピレン(A)が、分解剤との接触によって狭分子量分布化されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン多層延伸フィルム。
【請求項5】
シュリンクラベル用である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレン多層延伸フィルム。

【公開番号】特開2006−346976(P2006−346976A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175442(P2005−175442)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(505130112)株式会社プライムポリマー (180)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】