説明

ポリマーゲル電解質及びそれを用いたポリマー電池

【課題】漏液することがなく、安全性の高いポリマーゲル電解質を提供する。
【解決手段】非水溶媒と支持塩とを含有する非水電解液をポリマーでゲル化することにより得られるポリマーゲル電解質において、前記非水溶媒に、下記一般式(I):
(R12PN)n ・・・ (I)
[式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し;nは3〜4を表す]で表される環状ホスファゼン化合物及び下記一般式(II):
【化1】


[式中、R2は、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す]で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーゲル電解質及びそれを用いたポリマー電池に関し、特に漏液することがなく、安全性の高いポリマーゲル電解質、並びに該ポリマーゲル電解質を用いた、サイクル特性及び安全性に優れるポリマー電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高電圧・高エネルギー密度という利点を有し、かつ、自己放電率も低いことから、鉛電池、ニッケルカドミウム電池等の水溶液系二次電池に代わるものとして、非水電解液二次電池が注日されており、その一部は既に商品化されている。例えば、ノート型パソコンや携帯電話等は、その半数以上が非水電解液二次電池によって駆動している。
【0003】
また、近年の電子機器等の小型化、軽量化の要求に対し、最近では電池ケースとして従来の金属ケースの代わりにラミネートフィルムを用いたラミネート電池が、より軽く、薄く、形状自由度が高いことから注目されている。しかしながら、ラミネート電池は、その構造から、内圧上昇等の内的刺激や、引き裂き等の外的刺激に対する抵抗力が弱く、変形や破損等による破裂、発火等の危険性も高く、結局、電池パックケースに格納して用いられることが多い。該ラミネート電池も、他の非水電解液電池と同様に、電解液としてエステル化合物及びエーテル化合物等の可燃性有機溶媒が一般に用いられており、該可燃性有機溶媒が電池の破裂、発火等の問題を引き起こす大きな原因の一つとなっている。
【0004】
このような問題を解決する一例として、高分子中に電解質が均一固溶した形態をとった高分子固体電解質が提案されているが、該高分子固体電解質は、イオン伝導度が液状電解質に比較して著しく低く、実用上問題がある。また、最近では、上記高分子に従来用いられている液状の電解質を含浸させたポリマーゲル電解質が、電池外部への液漏れによる電解液の着火の問題を解決する手法として提案されている。しかしながら、該ポリマーゲル電解質を用いた電池は、漏液以外(例えば、電池異常時の短絡・過充電等)に対する安全性の確保という点では、これまでの液状電解質を用いた電池と同様であり、電池そのものが根本的に安全であるわけではない。
【0005】
一方、電解液を難燃化する方法としては、例えば、電解液にリン酸トリメチル等のリン酸エステル類を用いたり、非プロトン性有機溶媒にリン酸エステル類を添加したりする方法が提案されている(下記特許文献1〜3参照)。しかしながら、これら一般的なリン酸トリエステル類は、充放電を繰り返すことで徐々に負極で還元分解されてしまうため、充放電効率、サイクル特性等の電池特性が大きく劣化してしまう。そして、この電池特性の低下は、上記リン酸トリエステル類の添加量を増加させた場合に顕著になるため、リン酸トリエステル類の添加量には制限がある。また、上記リン酸トリエステル類は、ポリマーに対する相溶性も悪い。
【0006】
また、その他の非水電解液に難燃性を付与する方法としては、電池用非水電解液にホスファゼン化合物を添加する技術が提案されている(下記特許文献4参照)。該ホスファゼン化合物は、その種類によっては高い不燃性を示し、電解液への添加量を多くするほど難燃性が向上する傾向がみられる。しかしながら、高い不燃性を示すホスファゼン化合物は、概して支持塩の溶解性や誘電率が低いため、添加量を多くすると支持塩の析出や導電性の低下を招き、結果として、電池の放電容量の低下や充放電特性に支障をきたしてしまうため、添加量が制限されてしまう。
【0007】
このように従来の技術は、電池の性能維持と安全性確保の点で、必ずしも十分とはいえなかった。
【0008】
【特許文献1】特開平4−184870号公報
【特許文献2】特開平8−22839号公報
【特許文献3】特開2000−182669号公報
【特許文献4】特開平6−13108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、漏液することがなく、安全性の高いポリマーゲル電解質、並びにそれを用いたサイクル特性及び安全性に優れるポリマー電池を提供することを目的とし、特には、軽量化、薄膜化、パッケージの簡略化が可能で、形状自由度の大きいラミネート電池の高温安定性と安全性とを大幅に向上できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討したところ、特定のホスファゼン化合物と特定のリン酸エステル化合物とを含む非水溶媒が電気化学的安定性に優れ、高い安全性を有することを見出した。しかしながら、上記化合物は、その構造、使用量によっては、揮発性が高く、特にラミネート電池等に応用した場合には、高温条件で電池の膨らみ等の問題があることが分った。本発明者は、これらの問題を解決するために更に検討を進めた結果、上記非水溶媒をポリマーに固定化させてポリマーゲル電解質とすることにより、漏液及び揮発性の問題を解決することができる上、広い温度領域に渡って電池性能を安定化でき、また、可燃性のポリマーを使用しても、ポリマーゲル電解質が高い安全性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明のポリマーゲル電解質は、非水溶媒と支持塩とを含有する非水電解液をポリマーでゲル化することにより得られるポリマーゲル電解質であって、
前記非水溶媒が、下記一般式(I):
(R12PN)n ・・・ (I)
[式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し;nは3〜4を表す]で表される環状ホスファゼン化合物及び下記一般式(II):
【化1】


[式中、R2は、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す]で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明のポリマーゲル電解質の好適例においては、前記ポリマーが、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート及びポリホスファゼンのいずれかの構造を含む。
【0013】
本発明のポリマーゲル電解質の他の好適例においては、前記一般式(I)中のR1のうち少なくとも3つがフッ素である。式(I)中のR1のうち少なくとも3つがフッ素である環状ホスファゼン化合物は、安全性に優れ且つ粘度が低い。
【0014】
本発明のポリマーゲル電解質の他の好適例においては、前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との体積比が5/95〜80/20の範囲である。この場合、電池性能と安全性とのバランスが優れる。
【0015】
本発明のポリマーゲル電解質は、前記非水電解液における前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量が10体積%以上であることが好ましく、20体積%以上であることが更に好ましい。式(I)の環状ホスファゼン化合物と式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量を10体積%以上とすることで、ポリマーゲル電解質を難燃化でき、20体積%以上とすることで、ポリマーゲル電解質を不燃化でき、また、電池釘刺し試験等における電池の安全性を飛躍的に向上させることができる。
【0016】
本発明のポリマーゲル電解質は、前記ポリマーの含有率が3〜30質量%であることが好ましい。この場合、非水電解液を十分にゲル化することができる一方、ポリマーと非水電解液との相溶性が良好で、ポリマーゲル電解質が高い導電性を有する。
【0017】
また、本発明のポリマー電池は、上記のポリマーゲル電解質と、正極と、負極とを備えることを特徴とする。ここで、本発明のポリマー電池は、前記ポリマーゲル電解質、前記正極及び前記負極が気密構造を有するラミネートフィルムで外装されていることが好ましく、即ち、ラミネート電池であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって提供される上記環状ホスファゼン化合物とジフルオロリン酸エステル化合物をポリマーに固定化させたポリマーゲル電解質は、高い安全性を有し、漏液することが無く、揮発性が低く、電気化学的安定性に優れるため、広範囲の電池用電解質として利用することができる。
【0019】
本発明のポリマーゲル電解質が電気化学的安定性に優れる理由は必ずしも明らかではないが、環状ホスファゼン化合物とジフルオロリン酸エステル化合物との相乗効果によって電極に安定な皮膜が形成されることにより、電解液の分解が抑制され、それに伴うガスの発生が抑制され、結果として、電池の膨れや電極の変形を防止できるものと考えられる。また、ポリマーゲル電解質が本来有する正極と負極間の距離を安定に保つ効果と、本発明のポリマーゲル電解質が特異的に有する優れた電極への濡れ性向上効果により、広い温度領域において電池性能を安定化できるものと考えられる。
【0020】
また、本発明のポリマーゲル電解質が高い安全性を示す理由についても必ずしも明らかではないが、可燃性ポリマー等の燃焼におけるラジカル反応の連鎖を環状ホスファゼン化合物及びジフルオロリン酸エステル化合物の分解反応が遮断し、また、この分解が吸熱反応により進行するため、温度上昇も抑制されるものと考えられる。これにより、ショート等が発生したとしても、発熱、破裂、発火の危険性が大幅に抑制された、即ち、安全性が著しく改善されたポリマー電池を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<電池用ゲル電解質>
以下に、本発明のポリマーゲル電解質を詳細に説明する。本発明のポリマーゲル電解質は、非水溶媒と支持塩とを含有する非水電解液をポリマーでゲル化してなり、上記非水溶媒が上記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物及び上記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明のポリマーゲル電解質に用いる環状ホスファゼン化合物は、上記一般式(I)で表される。式(I)中のR1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、nは3〜4を表す。
【0023】
式(I)のR1におけるハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。また、R1におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、二重結合を含むアリルオキシ基等、またはメトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられる。更に、R1におけるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基等が挙げられる。上記アルコキシ基及びアリールオキシ基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていてもよく、フッ素で置換されていることが好ましい。また、式(I)中のR1は他のR1と連結していてもよく、この場合、2つのR1は、互いに結合して、アルキレンジオキシ基、アリーレンジオキシ基又はオキシアルキレンアリーレンオキシ基を形成し、かかる二価の基としては、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、フェニレンジオキシ基等が挙げられる。
【0024】
上記一般式(I)中のR1は、同一でも異なってもよい。また、式(I)のR1は、安全性が向上する点で、ハロゲン元素であることが好ましく、更に、低粘度である点で、フッ素であることがより好ましい。また、安全性及び低粘性の両立の点で、R1のうち3つ以上がフッ素であることが好ましい。
【0025】
また、式(I)のnは、3〜4であるが、コスト及び調製が容易な点で、nとしては3が好ましい。なお、上記環状ホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
本発明のポリマーゲル電解質に用いるジフルオロリン酸エステル化合物は、上記一般式(II)で表される。式(II)中のR2は、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。
【0027】
式(II)のR2におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、二重結合を含むアリルオキシ基等、更にはメトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられる。これらアルコキシ基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていてもよく、フッ素で置換されていることが好ましい。これらの中でも、安全性に優れ、低粘度である点で、メトキシ基、エトキシ基、トルフルオロエトキシ基、プロポキシ基が好ましい。
【0028】
式(II)のR2におけるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基等が挙げられる。これらアリールオキシ基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていてもよく、フッ素で置換されていることが好ましい。これらの中でも、安全性に優れる点で、フェノキシ基、フルオロフェノキシ基が好ましい。
【0029】
式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物の具体例としては、ジフルオロリン酸メチル、ジフルオロリン酸エチル、ジフルオロリン酸トリフルオロエチル、ジフルオロリン酸プロピル、ジフルオロリン酸ブチル、ジフルオロリン酸シクロヘキシル、ジフルオロリン酸メトキシエチル、ジフルオロリン酸メトキシエトキシエチル、ジフルオロリン酸フェニル、ジフルオロリン酸フルオロフェニル等が挙げられる。これらの中でも、ジフルオロリン酸メチル、ジフルオロリン酸エチル、ジフルオロリン酸トリフルオロエチル、ジフルオロリン酸プロピル、ジフルオロリン酸フェニルがより好ましい。これら式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
本発明のポリマーゲル電解質に用いる非水電解液は、上記式(I)の環状ホスファゼン化合物と上記式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と支持塩とを含有する。ここで、非水電解液における、上記環状ホスファゼン化合物とジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量が5体積%以上であれば、ポリマーゲル電解質に自己消火性を付与することができるが、ポリマーゲル電解質を難燃化する観点では、上記環状ホスファゼン化合物とジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量を10体積%以上とすることが好ましい。また、ポリマーゲル電解質の不燃化や、電池釘刺し試験等における電池の安全性を飛躍的に向上できる点で、上記環状ホスファゼン化合物とジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量を20体積%以上にすることが更に好ましい。
【0031】
上記環状ホスファゼン化合物とジフルオロリン酸エステル化合物との体積比は、3/97〜90/10の範囲が好ましく、電池性能及び安全性のバランスの観点から、5/95〜80/20の範囲が更に好ましい。特に、上記環状ホスファゼン化合物及びジフルオロリン酸エステル化合物を電解液中30体積%以上用いる場合には、環状ホスファゼン化合物とジフルオロリン酸エステル化合物との体積比は、30/70〜70/30の範囲が特に好ましい。
【0032】
また、上記非水電解液には、非水溶媒として上記環状ホスファゼン化合物及びジフルオロリン酸エステル化合物の他に、従来より非水電解液に使用されている種々の非プロトン性有機溶媒を使用することができる。該非プロトン性有機溶媒として、具体的には、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジフェニルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)等の炭酸エステル類、1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル(DEE)、フェニルメチルエーテル等のエーテル類、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、メチルフォルメート(MF)等のカルボン酸エステル頬、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホン類が挙げられる。これら非プロトン性有機溶媒は、不飽和結合やハロゲン元素を含有していてもよい。これら非プロトン性有機溶媒の中でも、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)、プロピレンカーボネート(PC)が好ましい。また、これら非プロトン性有機溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
また、上記非水電解液には、本発明の目的を損なわない範囲で、アニソール誘導体、シクロヘキシルベンゼン誘導体、ナフタレン誘導体、ビフェニル誘導体等の過充電防止に効果があるとされる芳香族炭化水素等を添加してもよい。
【0034】
上記非水電解液に用いる支持塩としては、リチウムイオンのイオン源となる支持塩が好ましい。該支持塩としては、特に制限はないが、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiAsF6、LiC49SO3、Li(CF3SO2)2N及びLi(C25SO2)2N等のリチウム塩が好適に挙げられる。これらの中でも、不燃性に優れる点で、LiPF6が更に好ましい。これら支持塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
上記非水電解液中の支持塩の濃度としては、0.2〜1.5mol/L(M)の範囲が好ましく、0.5〜1mol/L(M)の範囲が更に好ましい。支持塩の濃度が0.2mol/L未満では、電解液の導電性を充分に確保することができず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがあり、1.5mol/Lを超えると、電解液の粘度が上昇し、リチウムイオンの移動度を充分に確保できないため、前述と同様に電解液の導電性を充分に確保できず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがある。
【0036】
本発明のポリマーゲル電解質において、上記非水電解液をゲル化するために用いるポリマーとしては、従来のポリマー電池等で使用される公知の高分子化合物を使用することができる。該ポリマーの代表例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィド、ポリスルホン、ポリホスファゼン、ポリシロキサン等を挙げることができる。また、これらを主として含む共重合体、例えば、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体[ポリ(VDF-HFP)]、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体[ポリ(VDF-TFE)]、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル-メタクリレート共重合体等を用いることもできる。これらポリマーの中でも、上記非水電解液に対する相溶性が良好な点で、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート及びポリホスファゼン、並びにそれらの構造を含んだ共重合体を用いることが好ましい。
【0037】
上記ポリマーは、非水電解液を保持できる限り、架橋型(3次元状)、非架橋型(鎖状)のいずれでもよいが、非架橋型ポリマーの場合、分子量が小さ過ぎると非水電解液をゲル化する能力が十分でないことから、使用するポリマーとしては、重量平均分子量(Mw)が10万以上のものが好ましい。
【0038】
また、低分子のモノマーやオリゴマーと非水電解液を含んだ溶液を加熱したり、該溶液に紫外線又は電子線を照射することによって、重合又は架橋(3次元化)させることにより、ポリマーゲル電解質を調製することもできる。
【0039】
上記ポリマーの使用量は、ポリマーゲル電解質全体の3〜30質量%の範囲が好ましく、3〜20質量%の範囲が更に好ましい。ポリマーゲル電解質中のポリマーの含有率が3質量%未満では、非水電解液を十分にゲル化できないことがあり、一方、30質量%を超えると、非水電解液と相溶し難くなったり、導電性が低下することがある。
【0040】
<ポリマー電池>
次に、本発明のポリマー電池を詳細に説明する。本発明のポリマー電池は、上述のポリマーゲル電解質と、正極と、負極とを備え、必要に応じて、セパレーター等のポリマー電池の技術分野で通常使用されている他の部材を備える。
【0041】
本発明のポリマー電池の負極活物質としては、リチウム金属自体、リチウムとAl、In、Sn、Si,Pb又はZn等との合金、リチウムイオンをドープした黒鉛等の炭素材料等が好適に挙げられ、これらの中でも安全性がより高く、電解液の濡れ性に優れる点で、黒鉛等の炭素材料が好ましく、黒鉛が特に好ましい。ここで、黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)等、広くは易黒鉛化カーボンや難黒鉛化カーボンが挙げられる。これら負極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
本発明のポリマー電池の正極活物質としては、V25、V613、MnO2、MnO3等の金属酸化物、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiFeO2及びLiFePO4等のリチウム含有複合酸化物、TiS2、MoS2等の金属硫化物、ポリアニリン等の導電性ポリマー等が好適に挙げられる。上記リチウム含有複合酸化物は、Fe、Mn、Co及びNiからなる群から選択される2種又は3種の遷移金属を含む複合酸化物であってもよく、この場合、該複合酸化物は、LiFexCoyNi(1-x-y)2[式中、0≦x<1、0≦y<1、0<x+y≦1]、或いはLiMnxFey2-x-y等で表される。これらの中でも、高容量で安全性が高く、更には電解液の濡れ性に優れる点で、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24が特に好適である。これら正極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記正極及び負極には、必要に応じて導電剤、結着剤を混合することができ、導電剤としてはアセチレンブラック等が挙げられ、結着剤としてはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。これらの添加剤は、従来と同様の配合割合で用いることができる。
【0044】
本発明のポリマー電池に使用できる他の部材としては、通常の非水電解液電池において、正負極間に、両極の接触による電流の短絡を防止する役割で介在させるセパレーターが挙げられる。セパレーターの材質としては、両極の接触を確実に防止し得、且つ電解液を通したり含んだりできる材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等が好適に挙げられる。これらは、単体でも、混合物でも、共重合体でもよい。なお、本発明のポリマー電池には、安全性に優れた上述のポリマーゲル電解質が用いられるため、セパレーターなしでも好適に電池を作製することができる。また、本発明では、上述のセパレーターの他にも、通常電池に使用されている公知の各部材が好適に使用できる。
【0045】
以上に説明した本発明のポリマー電池の形態としては、特に制限はなく、コインタイプ、ボタンタイプ、ラミネートタイプ、角型又はスパイラル構造の円筒型電池等、種々の公知の形態が好適に挙げられるが、これらの中でも、本発明のポリマーゲル電解質は、軽く、薄く、形状自由度の高いラミネートタイプの電池に好適である。ここで、ラミネートタイプの電池に使用するラミネートフィルムとしては、気密構造を有するものが好ましく、種々の構成のラミネートフィルムを使用することができ、例えば、アルミニウム又はその合金からなる金属箔に熱可塑性樹脂のフィルムをラミネートしたフィルム等を使用することができる。本発明のポリマー電池の作製法は特に限定されず、例えば、シート状の正極及び負極を作製し、該正極及び負極で本発明のポリマーゲル電解質を挟む等して、本発明のポリマー電池を作製することができる。また、ラミネートタイプのポリマー電池は、ポリマーゲル電解質、正極及び負極等の電池の各構成要素を気密構造を有するラミネートフィルムで外装することで製造することができる。
【実施例】
【0046】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
(1)非水電解液の調製
上記一般式(I)において、nが3であって、全R1のうち1つがフェノキシ基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 7体積%と、ジフルオロリン酸メチル 3体積%と、エチレンカーボネート 30体積%と、メチルエチルカーボネート 60体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて非水電解液を調製した。
【0048】
(2)ポリマーゲル電解質の作製
予め70℃に加熱しておいたアセトニトリル中にポリアクリロニトリル粉末(Mw=150万)を添加、撹拌し、得られた透明な粘性液体をすばやくステンレス平板上にドクターブレードを用いて塗布した。その後、アセトニトリル溶媒を蒸発、乾燥させ、ポリアクリロニトリルのドライゲルシートを作製した。その後、露点が-50℃以下の乾燥雰囲気で、矩形に切り取ったドライゲルシートに上記(1)で調製した非水電解液を密閉容器中、一昼夜含浸、膨潤させて、厚さ約150μmのポリマーゲル電解質シートを作製した。なお、使用したドライゲルシートの質量と非水電解液含浸後のポリマーゲル電解質シートの質量から、ポリマー/非水電解液の質量比は12/88であった。
【0049】
(3)安全性の評価
UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法をアレンジした方法で、大気環境下において着火した炎の燃焼長及び燃焼時間を測定・評価した。具体的には、UL試験基準に基づき、上記ポリマーゲル電解質シートを127mm×12.7mmのサイズに切り取り、ステンレスメッシュ上に載せ、燃焼評価を行った。結果を表1に示す。また、以下に、不燃性・難燃性・自己消火性・燃焼性の評価基準を示す。
<不燃性の評価>試験炎を添加しても全く着火しなかった場合(燃焼長:0mm)を不燃性ありと評価した。
<難燃性の評価>着火した炎が、装置の25mmラインまで到達せず、かつステンレスメッシュからの落下物にも着火が認められなかった場合を難燃性ありと評価した。
<自己消火性の評価>着火した炎が、25〜100mmラインの間で消火し、かつステンレスメッシュからの落下物にも着火が認められなかった場合を自己消火性ありと評価した。
<燃焼性の評価>着火した炎が、100mmラインを超えた場合を燃焼性ありと評価した。
【0050】
(4)ラミネート電池の作製
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を用い、該酸化物と、導電剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを、質量比94:3:3で混合し、これをN-メチルピロリドンに分散させてスラリーとしたものを、正極集電体としてのアルミニウム箔に塗布した後、乾燥・プレスを施すことで、厚さ70μmの正極シートを得た。これを矩形(4cm×50cm)に切り取り、アルミニウム箔の集電タブを溶接して正極を作製した。また、負極活物質として人造グラファイトを用い、該人造グラファイトと、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを質量比90:10で混合し、これを有機溶媒(酢酸エチルとエタノールとの50/50質量%混合溶媒)に分散させてスラリーとしたものを、負極集電体としての銅箔に塗布した後、乾燥・プレスを施すことで、厚さ50μmの負極シートを得た。これを矩形(4cm×50cm)に切り取り、ニッケル箔の集電タブを溶接して負極を作製した。次いで、上記(2)で得られたポリマーゲル電解質シートを矩形(4cm×50cm)に切り取り、これを正極と負極とを介して挟み込み、4cm×3cmのスペーサーをベースに平巻きにした後、熱融着アルミラミネートフィルム(ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム/ポリプロピレン)からなる外装材の中に挿入し、真空にしてすばやくヒートシールすることにより平板状ラミネート電池を作製した。
【0051】
(5)ラミネート電池による充放電試験及び膨れの評価
上記のようにして作製したラミネート電池を用い、55℃の環境下で、4.2〜3.0Vの電圧範囲で、0.25mA/cm2の電流密度による充放電サイクルを2回繰り返し、この時の放電容量を既知の電極質量で除することにより初期放電容量(mAh/g)を求めた。さらに同様の充放電条件で50サイクルまで充放電を繰り返し、50サイクル後の放電容量を求め、下記の式:
容量残存率S=50サイクル後の放電容量/初期放電容量×100(%)
に従って容量残存率Sを算出し、高温サイクル特性の指標とした。また、サイクル試験終了後、電池の膨れの状態を目視により確認した。結果を表1に示す。
【0052】
(6)ラミネート電池による釘刺し安全性試験
上記と同じラミネート電池を作製し、釘刺しによる安全性試験を行った。釘刺し試験の方法は、20℃の環境下で、4.2〜3.0Vの電圧範囲で、0.25mA/cm2の電流密度による充放電サイクルを10回繰り返し、さらに充電のみを行なった後、ラミネート電池を木製で溝をきった電池ホルダー上に置き、軸部の直径が3mmのステンレス鋼製の釘を用いて、速度0.5cm/sで電池の側面中心に直角に突き刺し、破裂・発火の有無及び破裂の際の発煙の有無を調べた。なお、ラミネート電池に釘を突き刺した際、電池全体が急激に膨張し、ラミネート部分が破れる現象が認められた場合に破裂ありと判断した。結果を表1に示す。
【0053】
(実施例2)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、上記一般式(I)において、nが4であって、全R1のうち2つがエトキシ基で、6つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 18体積%と、ジフルオロリン酸プロピル 32体積%と、エチレンカーボネート 25体積%と、メチルエチルカーボネート 25体積%との混合溶媒を用い、ポリマーとしてポリエチレンオキシド(Mw=100万)を用いた他は、実施例1と同様にしてポリマーゲル電解質、ラミネート電池を作製し、安全性の評価、高温サイクル試験、膨れ確認、及び釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
【0054】
(実施例3)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、上記一般式(I)において、nが3であって、全R1のうち1つがメトキシ基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 49体積%と、ジフルオロリン酸エチル 49体積%、ビニレンカーボネート 2体積%との混合溶媒を用い、ポリマーとしてポリフッ化ビニリデン(Mw=40万)を用いた他は、実施例1と同様にしてポリマーゲル電解質を作製し、安全性の評価を実施した。結果を表1に示す。また、以下のようにして、ラミネート電池を作製した。
【0055】
実施例1と同様にして得られた正極と負極とをポリエチレン製セパレーター介して挟み込み、4cm×3cmに平巻きにした後、熱融着アルミラミネートフィルム外装材の中に挿入した。次に、アクリレート変性されたエチレンオキシドオリゴマー(Mw=15000)と上記組成の電解液とを質量比88/12で混合して調製した溶液を、正極と負極間に注液し、真空含浸、ヒートシールした後、加熱処理することにより電池内でエチレンオキシドオリゴマーを架橋させてポリマーゲル電解質を含んだ平板状ラミネート電池を作製した。また、該電池に対して、実施例1と同様にして高温サイクル試験、膨れ確認、及び釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
【0056】
(比較例1)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、エチレンカーボネート 33体積%と、エチルメチルカーボネート 67体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にしてポリアクリロニトリルを用いたポリマーゲル電解質、およびラミネート電池を作製し、安全性の評価、高温サイクル試験、膨れ確認、及び釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
【0057】
(比較例2)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、リン酸トリメチル 10体積%と、エチレンカーボネート 30体積%と、エチルメチルカーボネート 60体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にしてポリアクリロニトリル(Mw=100万)を用いたポリマーゲル電解質、およびラミネート電池を作製し、安全性の評価、充放電試験、膨れ確認、及び釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
【0058】
(比較例3)
実施例3の非水電解液の調製においてジフルオロリン酸エチル 49体積%の代わりにリン酸トリエチル 49体積%を用いた以外は、実施例3と同様にしてポリマーゲル電解質、およびラミネート電池を作製し、実施例1と同様に安全性の評価、高温サイクル試験、膨れ確認、及び釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
【0059】
(比較例4)
実施例2の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、ジフルオロリン酸プロピル 50体積%と、エチレンカーボネート 25体積%と、エチルメチルカーボネート 25体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例2と同様にしてポリマーゲル電解質、およびラミネート電池を作製し、安全性の評価、高温サイクル試験、膨れ確認、及び釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
【0060】
(比較例5)
電解質にポリマーを使用しなかった以外は、実施例3と同じ組成の非水電解液を調製後、非水電解液を直接注入してラミネート電池を作製し、実施例1と同様に高温サイクル試験、膨れ確認、及び釘刺し試験を実施した。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1の実施例1〜3から明らかなように、式(I)の環状ホスファゼン化合物と式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物とポリマーとを含むポリマーゲル電解質が高い安全性を示すと共に、それを用いたポリマー二次電池が優れた高温サイクル特性と高い安全性を有することが分る。この結果から、本発明のポリマーゲル電解質が難燃性又は不燃性を発現し、これを用いたポリマー電池が優れた高温サイクル特性と高い安全性を示すことが確認された。
【0063】
一方、表1の比較例2及び3に示すように、通常のリン酸トリエステルを含有する非水電解液は、たとえ一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物を加えても、リン酸トリエステル自体の分解を抑制できず、サイクル寿命が大幅に低下してしまうことが分る。
【0064】
また、実施例2と比較例4の結果から、式(I)の環状ホスファゼン化合物と式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物を組み合わせた非水電解液の方が、式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物のみを用いた非水電解液よりも、高温でのサイクル特性に優れていることがわかる。
【0065】
更に、比較例5に示すように、ポリマーを使用せずに、式(I)の環状ホスファゼン化合物と式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物を組み合わせた非水電解液のみを用いた場合(特に沸点が低い化合物を用いた場合)、高温ではラミネートセルの膨らみが起こりやすく、これが電極間距離にばらつきを発生させ、電池のサイクル特性を悪化させてしまうことがわかる。
【0066】
以上の結果から、一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物及び一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含有することを特徴とするポリマーゲル電解質を用いることにより、高い安全性と優れた電池性能とを両立させたポリマー電池を提供できることが分る。これにより、軽く且つ薄く、形状自由度の高いラミネート電池用の電解質として、並びに、高い安全性が要求される大型のラミネート電池用の電解質として、本発明のポリマーゲル電解質が非常に有効であることが分る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶媒と支持塩とを含有する非水電解液をポリマーでゲル化することにより得られるポリマーゲル電解質であって、
前記非水溶媒が、下記一般式(I):
(R12PN)n ・・・ (I)
[式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し;nは3〜4を表す]で表される環状ホスファゼン化合物及び下記一般式(II):
【化1】


[式中、R2は、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す]で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含むことを特徴とするポリマーゲル電解質。
【請求項2】
前記ポリマーが、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート及びポリホスファゼンのいずれかの構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマーゲル電解質。
【請求項3】
前記一般式(I)において、Rlの少なくとも3つがフッ素であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーゲル電解質。
【請求項4】
前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との体積比が5/95〜80/20の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーゲル電解質。
【請求項5】
前記非水電解液における、前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量が10体積%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーゲル電解質。
【請求項6】
前記非水電解液における、前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量が20体積%以上であることを特徴とする請求項5に記載のポリマーゲル電解質。
【請求項7】
前記ポリマーの含有率が3〜30質量%であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーゲル電解質。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のポリマーゲル電解質と、正極と、負極とを備えたポリマー電池。
【請求項9】
前記ポリマーゲル電解質、前記正極及び前記負極が気密構造を有するラミネートフィルムで外装されていることを特徴とする請求項8に記載のポリマー電池。

【公開番号】特開2007−80651(P2007−80651A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266411(P2005−266411)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】