説明

ポリマーフィルムの製造方法

【課題】支持体から流延膜を容易に剥ぎ取り、かつ光学特性に優れるフィルムを製造する。
【解決手段】ドープ製造設備10により溶媒及びセルロースアシレートを含む原料ドープに添加剤を投入して複数種の流延用ドープを調製する。この流延用ドープを流延バンド85上に流延ダイ89から共に流延して、基層と、基層の両面に接する支持体面層とエア面層とからなる流延膜70を形成した後、これを流延バンド85から剥ぎ取り湿潤フィルム75とする。そして、湿潤フィルム75を乾燥させてフィルム76を得る。酢化度が低くCaや脂肪酸の含有量が調整されたセルロースアシレートを用いて支持体面層を形成させるようにしたので、流延バンド85から流延膜70が剥ぎ取りやすい。また、スタティックミキサーにより原料ドープと添加剤とが均一に攪拌混合されたドープを用いるため、レタデーション値等の光学特性に優れるフィルム76を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等の主要部材である光学フィルムとして好適に用いられるポリマーフィルムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリマーフィルムは、透明度が高いこと、加工性や取り扱い性に優れること、また、小型・軽量化が可能であること等の利点から、例えば、液晶表示装置の偏光板を保護する偏光板保護フィルムや視野角拡大フィルム等として広く利用されている。中でも、ポリマーとしてセルロースアシレートを使用したセルロースアシレートフィルムは、原料単価が安く、広視野角や高透過率である等の優れた光学特性を有するので、高機能・低コスト化を実現させ得る光学フィルムとして注目度が高い。
【0003】
ポリマーフィルムを製造する際には、主に溶液製膜方法が用いられている。溶液製膜方法とは、セルロースアシレートを代表とするポリマーや有機溶媒等を含むフィルムの各種原料を混合してドープを調製した後、このドープを走行する支持体上に流延して流延膜を形成する。そして、この流延膜を支持体から剥ぎ取って形成した溶媒を含んだフィルム、すなわち湿潤フィルムを乾燥することでポリマーフィルムを製造する方法である。
【0004】
ところで溶液製膜方法では、支持体から流延膜を剥ぎ取る場合に、支持体上に流延膜が剥げ残ったり、剥ぎ取りに要する時間が長くなるという問題がある。これでは作業性の低下や製造時間の増加に伴い生産性が低下するので改善が望まれる。そこで、支持体から流延膜を剥ぎ取る際の剥ぎ取りやすさである剥取性を向上させるために、剥離促進剤や剥ぎ取り助剤のような剥離促進効果を有する添加剤、すなわち剥離剤をドープ中に含ませることが一般的に行われている。このような剥離剤を用いた方法としては、例えば、特許文献1では、剥離性に優れるセルロースアシレートフィルムとして、所定のアルキル基やアラルキル基等を有する化合物を含有させたものが提案されている。
【0005】
また、セルロースアシレートフィルムを代表とするポリマーフィルムには、フィルムの特性を向上させることを目的として、剥離剤の他にも紫外線吸収剤や可塑剤等の添加剤が添加される。しかし、各添加剤とポリマー等は溶媒に対する相溶性が異なるので、各種原料を均一に攪拌して均質なドープを得ることが難しい。ここで、相溶性の向上を目的として攪拌時間を長くしたり、攪拌機の回転数を上げたりすると、製造時間或いは製造コストの増大を招いてしまうため好ましくない。そこで、これらの問題を改善した上で均質なドープを得る方法として、例えば、特許文献2には、ドープを流す配管のほぼ中央部に円管状の添加ノズルを備えた静止型混合機を設置して、この添加ノズルから添加剤を投入した後、添加加熱条件やドープの圧力を調整しながら各種原料を混合する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平2−110146号公報
【特許文献2】特開2003−053752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、剥取性向上を目的とする場合、特許文献1では、支持体上に剥げ残りが生じるおそれがあり、剥離性向上に係わる改善が必要である。また、剥離剤やその他添加剤が均一に分散されたドープを作る技術の構築が望まれているが、特許文献2では、添加剤が上記の配管の中央から内周壁の方向へ広がるまでに時間がかかってしまうために生産性が問題視されている。ここで、エレメントの数の多い混合機を用いれば生産性の改善が期待できるが、設備コストの増大や設備の大型化等を招くおそれがあるので不適である。
【0007】
本発明は、上記問題を解決することを目的とし、剥離性を向上させてポリマーフィルムを製造することができる方法の提供を第1の目的とする。更に、ポリマー、有機溶媒、及び添加剤等のドープ原料を均一に混合して均質なドープを調製することにより透明性や光学特性に優れるポリマーフィルムを提供することを第2の目的とする。なお、上記の添加剤としては、剥離剤や紫外線吸収剤及び可塑剤等が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のポリマーフィルムの製造方法は、走行する支持体上に、ポリマー及び有機溶媒を含む原料ドープに添加剤が添加された流延用ドープを流延して流延膜を形成する流延膜形成工程と、流延膜を支持体より剥ぎ取って溶媒を含んだ湿潤フィルムとする剥取工程と、湿潤フィルムを乾燥する乾燥工程とを有し、流延用ドープは、基層を形成させるための基層用ドープと、支持体側に位置する基層の表面に接するようにして配される支持体面層を形成させるための支持体面層用ドープと、基層を間にして支持体面層とは対向する位置に配されるエア面層を形成させるためのエア面層用ドープとからなり、支持体面層用ドープに含まれるポリマーは、酢化度が58.5%以上61.0%以下の第1のセルロースアシレートであり、基層用ドープ及びエア面層用ドープに含まれるポリマーは、酢化度が61.0%以上62.0%以下の第2のセルロースアシレートであることを特徴とする。
【0009】
第1のセルロースアシレートは、Caの含まれる割合が0.1ppm以上50ppm以下であり、脂肪酸の含まれる割合が0.1ppm以上30ppm以下であることが好ましい。脂肪酸は、12個以上30個以下の炭素が鎖状に配列した長鎖脂肪酸であることが好ましい。流延膜の厚みに占める支持体面層の厚みの比率が0.1%以上5%以下であることが好ましい。
【0010】
添加剤を入れた後の原料ドープをインラインミキサーで攪拌混合することが好ましい。インラインミキサーは、原料ドープが流される配管に取り付けられており、インラインミキサーの上流側には、インラインミキサーの直径方向に伸びたスリット状の添加口を有する添加ノズルが備えられていることが好ましい。
【0011】
添加口は、配管の径方向に平行である長さLが配管の内径の20%以上80%以下であることが好ましい。スリットの隙間Cが、0.1mm以上配管の内径の1/10mm以下であることが好ましい。また、添加口からインラインミキサーまでの距離Dが、1mm以上250mm以下であることが好ましい。
【0012】
配管内を流れる添加剤の流速V1及び原料ドープの流速V2は、1≦V1/V2≦5を満たすことが好ましい。なお、流延は、流延用ドープが支持体上に同時あるいは逐次に流延される共流延であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、支持体から流延膜を剥ぎ取る際の剥離性を向上させて、平面性に優れるポリマーフィルムを製造することができる。また、ポリマーとしてセルロースアシレートを用いることで透明性や光学特性に優れるポリマーフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るドープについて説明する。本発明では、基層と、この基層の両面に接するように配される表層とからなる複層構造のポリマーフィルムを形成させる。そこで、流延用ドープとして、2種類の表層用ドープと、1種類の基層用ドープとを調製する。本発明における基層とは、表層のうち支持体の上で空気に接触するエア面層と支持体との間に存在する層である。一方で、表層のうち、基層と支持体との間に存在する層を支持体面層と称する。以下の説明では、基層を形成させるドープを基層用ドープ、支持体面層を形成させる支持体面層用ドープ、エア面層を形成させるエア面層用ドープと称する。
【0015】
ポリマーは、セルロースをアセチル化することにより得られるセルロースアシレートを用いることが好ましい。中でも、トリアセチルセルロース(TAC)を用いることが好ましく、これにより、透明性に優れるポリマーフィルムを製造することが出来る。
【0016】
支持体面層用ドープには、酢化度が58.5%以上61.0%未満のセルロースアシレートを用いる。また、基層用及びエア面層用ドープには、セルロースが持つ水酸基中の水素原子に対するアシル基の置換度である酢化度が61.0%以上62.0%以下であるセルロースアシレートを用いる。なお、以下の説明では、酢化度が58.5%以上61.0%未満であるセルロースアシレートを第1のセルロースアシレートとし、酢化度が61.0%以上62.0%以下であるものを第2のセルロースアシレートと称する。
【0017】
第1のセルロースアセレートは、Caの含まれる割合が0.1ppm以上50ppm以下であり、脂肪酸の含まれる割合が0.1ppm以上30ppm以下であるものが好ましい。より好ましくはCaの割合が0.1ppm以上20ppm以下、脂肪酸の割合が0.1ppm以上20ppm以下であり、特に好ましくはCaの割合が0.1ppm以上10ppm以下、脂肪酸の割合が0.1ppm以上10ppm以下である。なお、Caや脂肪酸の含まれる割合は、セルロースアシレート100gに対するものであり、被対象となるセルロースアシレートをサンプルとし、これをガスクロマトグラフィー等の分析装置により測定することができる。また、上記の脂肪酸は12個以上30個以下の炭素が鎖状に配列した長鎖脂肪酸であることが好ましい。
【0018】
支持体上の剥げ残りが生じる要因としてはCa塩であると考えられる。Ca塩は、セルロースからセルロースアシレートを生成させる際に使用されるCa化合物に起因するCaイオンと、セルロースアシレート中に含まれる脂肪酸とが反応して生成すると推察される有機物であり、製膜中、支持体の表面に析出する。このようなCa塩が析出すれば、支持体と流延膜との接着強度にムラが生じ、Ca塩が析出した部分では剥げ残りが生じる可能性が高い。そこで、本発明では、上記のようにCa及び脂肪酸の含有量が低減されたセルロースアシレートからなるドープを用いてフィルムを製造するようにしたので、Ca塩の生成量を低減させることができ、その結果、少ない剥取応力で短時間のうちに支持体から流延膜を剥ぎ取ることが可能となる。これにより、エネルギーコストの低減や製造時間の短縮が実現されるので、生産性を向上させてフィルムを製造することが出来る等の効果が得られる。また、本発明では、第2のセルロースアシレートに比べて酢化度が小さい第1のセルロースアシレートを支持体層用ドープに用いたので、支持体上におけるCa塩の生成がより抑制されて、更に剥取性を向上させることができる。
【0019】
なお、本発明に係わる長鎖脂肪酸は、上記のように炭素数が12〜30個の脂肪酸を意味し、例えば、カルボキシドデカン、カルボキシトリデカン、カルボキシテトラデカン、カルボキシペンタデカン、カルボキシヘキサデカン、カルボキシヘプタデカン、カルボキシオクタデカン、カルボキシノナデカン、カルボキシイコサン、カルボキシジコサン、カルボキシトリコサン、カリボキシテトラコサン、カルボキシペンタコサン、カルボキシヘキサコサン、カルボキシヘプタコサン、カルボキシオクタコサン、カルボキシノナコサン、カルボキシデカコサン、カルボキシドデケン、カルボキシトリデケン、カルボキシテトラデケン、カルボキシペンタデケン、カルボキシヘキサデケン、カルボキシヘプタデケン、カルボキシオクタデケン、カルボキシノナデケン、カルボキシイコセン、カルボキシジコセン、カルボキシトリコセン、カルボキシテトラコセン、カルボキシペンタコセン、カルボキシヘキサコセン、カルボキシヘプタコセン、カルボキシオクタコセン、カルボキシノナコセン、カルボキシデカコセン等が挙げられる。
【0020】
セルロースアシレートに対するCaや脂肪酸の含まれる割合は、セルロースアシレートの洗浄を十分に行うことで低減することができる。このようなセルロースアシレートの洗浄はドープを調製する前にセルロースアシレートを有機化合物に溶かして液化物を調製し、続けて、この液化物を濾過手段により少なくとも1回以上濾過させれば良い。その他にも、支持体上に流延する前のドープを濾過手段により少なくとも1回以上濾過させるとCaや脂肪酸を効率良くかつ効果的に除去することができる。
【0021】
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。2種類以上のアシル基を用いるときには、その1つがアセチル基であることが好ましい。2位、3位および6位の水酸基がアセチル基により置換されている度合いの総和をDSAとし、2位、3位および6位の水酸基がアセチル基以外のアシル基によって置換されている度合いの総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、2.22〜2.90であることが好ましく、特に好ましくは2.40〜2.88である。
【0022】
また、DSBは0.30以上であることが好ましく、特に好ましくは0.7以上である。さらにDSBは、その20%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましく、より好ましくは25%以上であり、30%以上がさらに好ましく、特には33%以上であることが好ましい。さらに、セルロースアシレートの6位におけるDSA+DSBの値が0.75以上であり、さらに好ましくは、0.80以上であり、特には0.85以上であるセルロースアシレートも好ましく、これらのセルロースアシレートを用いることで、より溶解性に優れた溶液、すなわちドープを調製することができる。特に、非塩素系有機溶媒を使用すると、優れた溶解性を示し、低粘度で濾過性に優れるドープを調製することが可能となる。
【0023】
セルロースアシレートの原料であるセルロースは、リンター綿、パルプ綿のどちらから得られたものでもよいが、リンター綿から得られたものの方が、光学フィルムを製造する上では光学特性を制御し易く、かつ不純物が少なく、更には透明性に優れるフィルムを得ることができるため好ましい。ただし、本発明は、不純物を比較的多く含むパルプ綿を原料として使用する場合にも、優れた光学特性を有するフィルムを製造することができる。
【0024】
本発明におけるセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定はされない。例えば、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステル等が挙げられ、それぞれ、さらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等が挙げられる。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等がより好ましく、特に好ましくは、プロピオニル基、ブタノイル基である。
【0025】
なお、セルロースアシレートを含む液化物を調製する場合、使用する有機化合物はドープ調製用に使用する溶媒を用いることが好ましい。これにより、所望の性質を有するドープを調製しやすい。次に、ドープ調製用の溶媒について説明する。
【0026】
ドープ調製用の溶媒である溶剤としては、セルロースアシレートを溶解することができる化合物を用いることが好ましい。例えば、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジエチレングリコール等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等)等が挙げられる。なお、本発明においてドープとは、ポリマーを溶媒に溶解または分散させることで得られるポリマー溶液または分散液を意味している。
【0027】
溶媒としては疎水性のものが好ましく、この疎水性溶媒としてはジクロロメタンがもっとも好ましい。上記のハロゲン化炭化水素としては、炭素原子数1〜7のものが好ましく用いられる。また、セルロースアシレートの溶解度や、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、さらには、フィルムの機械強度、光学特性等の観点から、ジクロロメタンに炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないしは、数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対して2〜25重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等が挙げられるが、メタノール、エタノール、n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましい。
【0028】
最近、環境に対する影響を最小限に抑えるため、ジクロロメタンを用いない溶媒組成も提案されている。この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いる。なお、これらのエーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよいし、エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も有機溶媒として用いることができる。また、有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。そして、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合には、その炭素原子数が、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であれば良く、特に限定はされない。
【0029】
なお、ドープを調製する際のポリマーとしてトリアセチルセルロース(TAC)を使用する場合には、後述する原料ドープ中のTAC濃度が、5〜40重量%であることが好ましい。より好ましくは、TAC濃度が15〜30重量%であり、特に好ましくは、17〜25重量%である。このようなTACフィルムを製造する溶液製膜法での流延用ドープの製造方法(例えば、素材、原料の溶解方法および添加方法、濾過方法、脱泡等)は、特開2005−104148号公報の[0517]段落から[0616]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
【0030】
セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号公報の[0140]段落から[0195]段落に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
【0031】
次に、上記の各種原料を混合してドープを調製する方法について説明する。図1は、本実施形態に用いられるドープ製造設備10の概略図である。なお、ここに示す形態は本発明に係る一例であり、本発明を限定するものではない。
【0032】
ドープ製造設備10は、種類の異なるポリマーや添加剤等を使用して組成の異なるドープを調製するために、基層用ドープを製造する基層用ドープ製造装置10aと、支持体面層用ドープを製造する支持体面層用ドープ製造装置10bと、エア面層用ドープを製造するエア面層用ドープ製造装置10cとから構成されている。各装置は、その形態やドープが製造される手順は同じである。そこで以下の説明では、支持体面層用ドープ製造装置10bを用いて支持体層用ドープが製造される手順及び製造条件を代表して説明するものとし、他の装置に関しては説明を省略する。
【0033】
図1に示すように支持体面層用ドープ製造装置10bには、溶剤が入れられている溶媒タンク11と、フィルムの主原料であるポリマーとしてセルロースアシレートが入れられているホッパ13と、セルロースアシレートと溶剤とを混合して混合液17とする混合タンク15と、混合液17を加熱及び温度調整して内部の固形分を溶剤に溶解させることで原料ドープ20を得る加熱装置22、温調装置23とが備えられている。溶媒タンク11に貯留される溶剤は、ポリマーを溶解させるための有機溶媒として作用する。また、この他にも、原料ドープ20を濾過するための第1濾過装置25及び第2濾過装置26と、濾過した後の原料ドープ20を貯留するためのストックタンク28と、原料ドープ20の濃度を調整するためのフラッシュ装置31と、フラッシュ装置31内で発生した揮発溶剤を回収する回収装置32と、回収した溶剤を再生する再生装置33等とが備えられている。
【0034】
混合タンク15には、その外面を包み込むようにして設けられたジャケット35と、モータ37により回転する第1攪拌機38と、モータ39により回転する第2攪拌機40とが取り付けられている。第1攪拌機38としては、アンカー翼が備えられたものであることが好ましく、第2攪拌機40としては、ディゾルバータイプの偏芯型攪拌機であることが好ましい。混合タンク15の内部温度は、ジャケット35の内部に温度が調整された伝熱媒体が流されることで略一定に制御されている。混合タンク15の内部温度は−10〜55℃であることが好ましい。このように内部温度が調整された混合タンク15では、第1攪拌機38及び第2攪拌機40が適宜選択されて回転させることによりドープの原料が攪拌混合される。
【0035】
加熱装置22は、混合液17中の固形分の溶解度をより高める上で温調制御が可能なジャケット付き配管を用いることが好ましく、更に、上記の溶解度をより向上させるために、混合液17を加圧するための加圧手段が備えられていることが好ましい。加熱装置22では、混合液17に含まれる各種原料に熱ダメージを与えることなく溶解度を向上させるため、混合液17の加熱温度を0〜97℃とすることが好ましい。本発明における加熱装置22での加熱とは、室温以上の温度に混合液17を加熱するという意味ではなく、混合タンク15から送られてきた混合液17の温度を上昇させると言う意味である。例えば、送られてきた混合液17の温度が−7℃であるときには、0℃にする場合等が挙げられる。
【0036】
加熱装置22に代えて、混合液17を冷却しても溶剤に対する固形分の溶解度を向上させることができる。このような冷却溶解法を用いる場合には、混合液17を−100〜−10℃に冷却する。上記のような加熱溶解法および冷却溶解法を各原料の性状等に応じて適宜選択して実施すれば混合液17の溶解度を好適に制御することができる。
【0037】
温調装置23は、混合液17を略室温とする装置である。溶解度を高めた混合液17を温調装置23により略室温とすることで、溶剤に対するセルロースアシレートの溶解度が高い原料ドープ20が得られる。ここでは、温調装置23を出た後の液を原料ドープ20と称するが、加熱装置22を出た時点で既に、溶剤にセルロースアシレートが溶解している場合も多い。したがって、本発明では、セルロースアシレートを含むポリマーが溶剤に対して溶解した度合い、すなわち溶解度が高い液を原料ドープ20と称する。
【0038】
第1濾過装置25及び第2濾過装置26には所望の平均孔径のフィルタが備えられており、原料ドープ20を濾過することにより不溶解物等の異物が取り除かれる。フィルタの平均孔径は、原料ドープ20中の小さな異物を捕捉することができるように100μm以下であることが好ましい。ここでフィルタの平均孔径が小さすぎると、濾過に要する時間が長くなるのでドープ調製全体にかかる時間が長くなる。一方で、フィルタの平均孔径が大きすぎると、原料ドープ中に含まれる微小な異物を除去することが難しい。そのため、フィルタの平均孔径は特に限定されるものではないが、製造時間等を考慮しながら適宜選択することが好ましい。なお、第1濾過装置25及び第2濾過装置26において原料ドープ20を濾過する際の濾過流量は50L/時以上とすることが好ましい。これにより、濾過に長時間を費やさずに作業を進めることができる。
【0039】
ストックタンク28には、その外面を包み込むジャケット43と、モータ45により回転する攪拌機46とが取り付けられている。ストックタンク28では、混合タンク15と同様に、所定の温度に調整された伝熱媒体がジャケット43の内部に流されることで、その内部温度が調整される。また、ストックタンク28で原料ドープ20を貯留する間は、モータ45により攪拌機46が常時回転される。これにより異物の凝集を発生させずに原料ドープ20の均一な状態が保持される。
【0040】
また、ストックタンク28には送液ライン51が取り付けられている。送液ライン51は原料ドープ20の流路であり、その片端がフィルム製造設備50内に備えられた流延ダイに接続されている。これにより支持体面層用ドープ製造装置10bは、フィルム製造設備50と接続され、必要に応じて原料ドープ20がフィルム製造設備50にオンラインで送られる。送液ライン51の途中には、支持体面層用添加剤溶液52aが入れられたタンク52と、静止型混合器であるスタティックミキサー53とが取り付けられている。
【0041】
なお、各装置や部材は、耐食性や耐熱性に優れる等の利点からステンレス製の配管により接続されている。また、各配管の適当な箇所には、ポンプP1〜P4と、バルブV1、V2とが取り付けられている。これらポンプやバルブは、必要に応じて設置数及び配置箇所等を変更することができるものであり、本実施形態に限定されるものではない。
【0042】
次に、上記の支持体面層用ドープ製造設備10bにより支持体面層用ドープを調製する方法について説明する。先ず、バルブV1が開かれて溶媒タンク11から所定量の溶剤が混合タンク15へと送り込まれる。また、ホッパ13から、所望量のセルロースアシレートが混合タンク15へ送り込まれる。支持体面層用のポリマーとしては、酢化度が規定範囲を満たす第2のセルロースアシレートが用いられる。
【0043】
各種原料が送り込まれた混合タンク15では、第1攪拌機38及び第2攪拌機40が適宜回転され各種原料が混合される。これにより、均一に攪拌された混合液17が調製される。このとき、混合タンク15の内部温度はジャケット35の内部に温調した伝熱媒体を流すことで−10〜55℃に調節される。なお、混合タンク15に送液するドープ原料の順番を、溶剤、セルロースアシレートの順としたが、この順番に限定されるものではなく、例えば、セルロースアシレート、溶剤の順としても良い。
【0044】
混合液17は、ポンプP1により流量が調整されながら加熱装置22へと送り込まれる。加熱装置22では、混合液17が所定の温度に加熱されて溶剤に対する固形分の溶解が進められる。本実施形態では、温調制御が可能なジャケットと加圧機能とを有する配管を加熱装置22として用いて、その加熱温度を0〜97℃の範囲で略一定としながら加圧する。
【0045】
混合液17は、温調装置23に送られて略室温とされる。以上により、溶解度が高い原料ドープ20を得ることができる。この後、原料ドープ20は平均孔径が100μm以下のフィルタを備える第1濾過装置25により濾過されて含有する異物が除去される。このとき原料ドープ20が所望の濃度を満たす場合には、ストックタンク28へ送り込まれ、流延に供されるまでの間、ここに貯留される。ストックタンク28では、攪拌機46が常時回転されて原料ドープ28が攪拌される。また、ジャケット43の内部に温度が調整された伝熱媒体が流されることで、その内部温度が調整されている。
【0046】
上記のように混合液17を作ってから所望の濃度の原料ドープ20を調製する方法では、所望とする原料ドープ20の濃度が高いほど調製に要する時間が長くなるため、製造コストの増大を引き起こす等の問題が生じる。そこで、このような問題を回避するために、目的とする濃度よりも低濃度の原料ドープ20を調製した後、所望の濃度となるように濃縮させることが好ましい。本実施形態でも、この方法を採用し、以下に、濃縮方法の詳細を説明する。
【0047】
先ず、所望の濃度よりも低濃度の原料ドープ20を調製する。原料ドープ20の調製方法は上述した通りである。次に、原料ドープ20を第1濾過装置25で濾過した後、バルブV2を介してフラッシュ装置31に送り込み、ここで原料ドープ20に含まれる溶媒の一部を蒸発させる。これにより、原料ドープ20を濃縮して所望の濃度に調整することができる。蒸発により発生した溶媒ガスは、凝縮器(図示しない)により凝縮液化した後、回収装置32で回収し、さらに再生装置33で再生する。この再生した溶媒を、混合液17を調整する際に使用すると、原料コストを削減できる等の効果を得ることが可能となる。
【0048】
濃縮した原料ドープ20は、ポンプP2によりフラッシュ装置31から抜き出された後、第2濾過装置26に送り込まれて含有する異物が除去される。そして、ストックタンク28に送り込まれて貯留される。なお、第2濾過装置26で濾過する際の原料ドープ20の温度は0〜200℃であることが好ましい。また、原料ドープ20をフラッシュ装置31から抜き出す際には、原料ドープ20の中に発生した気泡を抜くため、泡抜き処理を施すことが好ましい。泡抜き処理の方法としては、公知の方法を適用することができ、例えば、超音波照射法が挙げられる。
【0049】
ストックタンク28に貯留されている原料ドープ20は、適宜、ポンプP3により送液ライン51内に送り込まれる。ポンプP4によりタンク52から送液ライン51内を流れる原料ドープ20に対して支持体面層用添加剤溶液52aが送り込まれる。この後、支持体面層用添加剤溶液52aが添加された原料ドープ20は、スタティックミキサー53で攪拌混合される。
【0050】
支持体面層用添加剤溶液52とは、予め所望の添加剤と溶剤とを混合させた液である。ここで溶剤は、特に限定されるものではないが、ドープ調製用と同じものを用いると原料ドープとの相溶性が良好である。また、添加剤が常温で液体の場合には、溶剤に混合させずとも単独で用いることも可能である。なお、添加剤の詳細は後で説明する。
【0051】
図2に示すように、スタティックミキサー53は、送液ライン51を構成する配管60に取り付けられており、その接続部は固定部材164でしっかりと固定されている。配管の長手方向に対してエレメント62、63が交互に配置されている。エレメント62、63は、長方形の板を180°ねじって形成されたものであり、エレメント62及びエレメント63は、ねじられる方向が逆にされている。また、各エレメント62、63は、板の側端部が直交するようにそれぞれ90°ずらされている。
【0052】
スタティックミキサー53の上流側には、支持体面層用添加剤溶液52aが流される添加用配管65が配置されている。添加用配管65は、配管60を貫通する円管状のパイプ66と、このパイプ66の先端に取り付けられる添加ノズル68からなる。また、この添加ノズル68の先端には、スリット状の添加口69が形成されている。
【0053】
図3に示すように、添加ノズル68は、先端部にかけて配管60の直径方向に広がるように形成されている。そして、スリット状の添加口69から配管60内を流れる原料ドープ20に支持体面層用添加剤溶液52aが添加される。また、添加ノズル68及び添加口69の長手方向と、最も添加ノズル68に近いエレメント62の側端部64とは、直交するように配置される。このような添加口69から添加剤を含む支持体面層用添加剤溶液52aを添加すると、スタティックミキサーの先頭から添加剤の分割が確実に行われるとともに、添加剤が回転することなく安定に注入されるので、原料ドープと添加剤とを効率よく攪拌混合することができる。このため、スタティックミキサーのエレメント数を減らして、工程の小型化及びコストを低減することが出来る。なお、図3では、図の煩雑化を避けるために、配管60とスタティックミキサー53との接合部の図示を省略している。
【0054】
添加剤を効率良くかつ好適に分散させながら原料ドープに添加する上で、添加口69から、添加口69に最も近いエレメント62の側端部62aとの間の距離Dは、1mm以上250mm以下であることが好ましく、より好ましくは、距離Dが、2mm以上250mm以下である。距離Dが近すぎると、原料ドープの抵抗で添加ノズル68が詰まってしまう恐れがあり、逆に遠すぎるとスタティックミキサー53の中心に添加剤を添加することができなくなる恐れがある。
【0055】
配管60を流れる原料ドープに対してその幅方向に均一に添加剤を添加する上で、図4に示すように、添加口69のスリットの長さLは、配管60の内径W(mm)に対して20%以上80%以下であることが好ましい。ここで、スリットの長さLが短すぎると攪拌効率が下がってしまい、逆にLが長すぎると配管60とエレメント62との隙間に添加剤が投入されてしまう恐れがあるため好ましくない。また、添加口69のスリットの隙間Cは、0.1mm以上配管60の内径Wの1/10以下であることが好ましい。これにより、より確実に効率良くかつ確実に原料ドープに対して添加剤を入れることができる。
【0056】
原料ドープに対して添加剤を効率良く均一に分散させるには、支持体面層用添加剤溶液52aの流速をV1、原料ドープの流速をV2としたときに、1≦V1/V2≦5であることが好ましい。V1は配管60内への送液時における支持体面層用添加剤溶液52aの流速であり、V2は配管60内への送液時における原料ドープの流速である。V1/V2の値が1未満だと送液方向に液切れが発生してしまう恐れがあり、逆にV1/V2が5を超えて大きくなるほど支持体面層用添加剤溶液52aがエネルギーを持ち、スタティックミキサー53を勢いよく通過してしまう恐れがあり、分散性が低下する。
【0057】
支持体面層用添加剤溶液52aの粘度をN1(Pa・s)、原料ドープの粘度をN2(Pa・s)とするとき、N1は1×10−4Pa・s〜1×10−1Pa・sであり、N2は5Pa・s〜5×10Pa・sであり、かつ、粘度比が、1000≦N2/N1≦1000000であることが好ましい。上記の粘度はいずれも20℃、せん断速度1(sec−1)としたときのせん断粘度の測定値である。粘度計は公知のものを用いれば良い。上記の粘度の規定は支持体面層用添加剤溶液52aに限らず、その他の溶液にも適用する。添加剤溶液の粘度を調節することにより、添加剤を添加した後の原料ドープン粘度を制御することができる。また、配管60を流れる原料ドープのせん断速度V3が、0.1(sec−1)〜30(sec−1)であることが好ましい。せん断速度V3が0.1sec−1未満では混合が進まない恐れがあり、逆に30sec−1を超えて大きくなると配管60での圧損が高くなり、20×9.8N程度の耐圧では耐えられない恐れがある。同様の理由から、原料ドープに関しては流体の流れの状態を示すレイノズル数ReがRe≦200であることが好ましい。
【0058】
以上により、ポリマーと溶剤と添加剤とが均一に攪拌混合された均質な支持体面層用ドープが得られる。また、上記でも説明した通り、支持体面層用ドープと同様にして、基層用ドープ製造設備10aでは基層用ドープが、エア面層用ドープ製造設備10cではエア面層用ドープが調製される。基層用ドープ及びエア面層用ドープを調製する際に使用する添加剤溶液は、支持体面層用添加剤溶液と同じでも良いし、異なっていても良い。なお、本実施形態では、基層用、支持体層用、エア面層用の各ドープを別々の装置で調製する形態を示したが、基層用及びエア面層用ドープは、使用するポリマー種等が同一の場合には、1つの装置で調製することも可能である。
【0059】
上記実施形態では、インラインミキサーとして、長方形の板をねじって形成されたエレメントを備えたスタティックミキサーを用いる例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のタイプのインラインミキサーを用いてもよい。インラインミキサーとしては、例えば、短冊状の複数の板を格子状に組み合わせることで形成されたエレメントを備えたスルーザーミキサーを用いるといったことが考えられる。
【0060】
本発明に係る添加剤としては、レタデーション制御剤、紫外線吸収剤、支持体である流延バンドからの剥離を容易とする剥離促進剤(例えば、クエン酸エステルなど)や、フィルムをロール状に巻き取った際にフィルム面間での密着を抑制するマット剤(例えば、二酸化ケイ素など)等を好適に用いることができる。
【0061】
上記の微粒子としては、二酸化ケイ素誘導体を用いることが好ましい。この二酸化ケイ素誘導体とは、二酸化ケイ素であり、三次元の網状構造を有するシリコーン樹脂も含まれる。このように微粒子として二酸化ケイ素誘導体であり、さらにはその表面がアルキル化処理されたものを使用すると、アルキル化処理という疎水化処理が施されているために、溶媒に対しての分散性がよい。したがって、微粒子同士の凝集を抑制してフィルムを製造することができるので、面状欠陥が少なく、かつ透明性に優れるフィルムを製造することが可能となる。
【0062】
なお、アルキル化処理された微粒子の表面に導入されるアルキル基は、炭素数が1〜20とする。より好ましくは、導入されるアルキル基の炭素数が、1〜12であり、特に好ましくは、炭素数が1〜8である。このようなアルキル基が導入された微粒子では、微粒子同士の凝集をより抑制し、かつ分散性を向上させることができる。上記のように表面に炭素数が1〜20のアルキル基を有する微粒子は、例えば、二酸化ケイ素の微粒子をオクチルシランで処理することにより得ることができる。また、表面にオクチル基を有する二酸化ケイ素誘導体の一例としては、アエロジルR805(日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、本発明では、これも好ましく用いることができる。
【0063】
原料ドープの固形分に対する微粒子の含有量は0.2%以下とすることが好ましい。微粒子の含有量は、原料ドープを調製に使用する溶剤に対する微粒子の添加量を決定して調整すれば良い。このように含有量を制御しながら微粒子を添加させた原料ドープでは、微粒子の凝集による異物の発生を抑制することができるために優れた透明性を発現する。なお、微粒子は、その平均粒径が1.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.3〜1.0μmであり、特に好ましくは、0.4〜0.8μmである。
【0064】
なお、本発明に用いることができる添加剤としては、上記のほかにも、例えば、レタデーション制御剤、劣化防止剤、光学異方性コントロール剤、染料等が挙げられるが、これらの添加剤に関しては、特開2005−104148号公報の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、種々の添加剤を原料ドープに添加する方法として、予め各種材料を溶剤に混合させた溶液を用いる形態を示したが、これらの材料が固体の場合には、ホッパ等を用いて各送液ラインに送り込んでも良い。さらに、原料ドープに複数種類の上記材料を添加したい場合には、予め、所望の材料を溶剤に溶解させた溶液を調製した後に、タンクを利用して各送液ラインに送り込んでも良い。各材料が常温で液体の場合には、溶剤を使用せずに各送液ラインへそのまま送り込んでも良い。また、添加剤は、原料ドープを調製する時点で添加しても良い。
【0066】
次に、上記の流延用ドープを用いてフィルムを製造する方法について説明する。図5は、本実施形態に用いるフィルム製造設備50の概略図である。
【0067】
フィルム製造設備50には、支持体上に流延用ドープを流延して流延膜70を形成させる流延室72と、この流延膜70を支持体から剥ぎ取り形成した溶媒を含んだフィルム、すなわち湿潤フィルム75を搬送させる渡り部77と、湿潤フィルム75の両側端部を保持し搬送する間に乾燥させてフィルム76とするテンタ78と、フィルム76の乾燥をより促進させる乾燥室80と、フィルム76を冷却させる冷却室81と、フィルム76をロール状に巻き取る巻取室82とが備えられている。
【0068】
流延室72の内部には、回転ローラ86a、86bに巻き掛けられ、支持体として作用する流延バンド85が配されている。また、流延バンド85の直上の所定の位置には、ドープ製造設備10から流延用ドープが供給されるフィードブロック88と、流延用ドープの流延口となるスリットが形成された流延ダイ89とを備える。その他にも、乾燥風を送り出して流延バンド85上に形成された流延膜70を乾燥させる送風装置90と、回転ローラ86a、86bの内部に伝熱媒体を送り込む伝熱媒体循環装置91と、凝縮器(コンデンサ)92と、回収装置93と、剥取ローラ95とが備えられている。流延室72の外部には、その内部温度を調整する温調設備97が取り付けられている。
【0069】
流延ダイ89には、流延用ドープを安定して流延させるために用いる減圧チャンバ98が取り付けられている。また、送風装置90の流延ダイ89側には、送風装置90から送り出す乾燥風により流延膜70の平面が波打つのを防止することを目的として遮風板99が取り付けられている。
【0070】
流延バンド85は、駆動装置(図示しない)により回転ローラ86bを回転させて無端で走行させる。流延バンド85の移動速度(流延速度)は10〜200m/分であることが好ましい。回転ローラ86a、86bの内部には、予め伝熱媒体流路(図示しない)が形成されており、この流路内に所定の温度に調整された伝熱媒体が送り込まれた後、伝熱媒体循環装置91により循環させることで、各回転ローラ86a、86bの表面温度が所望の値に調整される。なお、流延バンド85の表面温度は−20〜40℃の範囲内で略一定であることが好ましい。
【0071】
流延バンド85の幅は、特に限定されるものではないが、流延するドープの幅に対して、1.1〜2.0倍のものを用いることが好ましい。また、その長さは、20〜200mであり、厚みは0.5〜2.5mmであることが好ましい。その他にも、流延バンド85としては、全体の厚みムラが0.5%以下であり、表面粗さが0.05μm以下となるように研磨されているものを用いることが好ましい。これにより、表面に傷を付けることなく流延膜70を形成することができるので、平面性に優れる流延膜70を得ることが出来る。流延バンド85は、耐久性や耐熱性および、流延膜70の剥ぎ取り易さ等を考慮すると、ステンレス製であることが好ましく、中でも、十分な耐腐食性と強度とを有するSUS316製であることが好ましい。なお、流延バンドに替わる支持体として、ステンレス製等の金属ドラムを使用しても良い。
【0072】
流延室72の内部温度は流延膜70の乾燥に相応しい温度範囲となるように、常時温調設備97により調整されている。また、流延膜70の乾燥が進行すると、流延室72の内部には、流延膜70から蒸発した多量の溶媒が浮遊するが、凝縮器(コンデンサ)72により、蒸発した溶媒は凝縮液化された後、回収装置93に回収される。この回収された揮発溶媒は、再生装置(図示しない)で不純物が除去されて再生溶媒とされた後、ドープを調製する際の溶剤として再利用すると、原料コストの低減、すなわち製造コストの低減を図ることが出来る。
【0073】
流延ダイ89は、コートハンガー型のものを用いることが好ましい。流延ダイ89の幅は、特に限定されるものではないが、流延用ドープの流延幅の1.05〜1.5倍の範囲のものであり、最終製品となるフィルム76の幅に対して1.01〜1.3倍程度のものを用いることが好ましい。また、流延用ドープの流延を円滑に行なうために、その表面粗さは、0.05μm以下となるように研磨したものを用いることが好ましい。材質は、耐久性や耐腐食性を考慮して、ジクロロメタンやメタノールと水との混合液に3ヵ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じないものを用いることが好ましく、ステンレス製であることが好ましい。より好ましい流延ダイ89は、本実施形態のように、十分な耐腐食性と強度とを有するSUS316製である。ただし、電解質水溶液での強制腐食試験により、SUS316製と略同等の耐腐食性を有するものであれば好ましく用いることが出来るために、特に限定されるものではない。その他にも、熱膨張率が2×10−5(℃−1)以下である素材からなる流延ダイ89を用いると、熱ダメージを考慮する必要が低減されるので好ましい。
【0074】
流延ダイ89は、鋳造後1ヵ月以上経過したものを研削加工して作製することが好ましい。これにより、流延ダイ89の内部に円滑かつ一様に流延用ドープを流すことが出来るので、すじ等を発生させずに平面性に優れる流延膜70を形成することが可能となる。ただし、より優れた上記効果を得るために、流延ダイ89の接液面の仕上げ精度は、表面粗さで1μm以下であり、真直度が、いずれの方向にも1μm/m以下であることが好ましい。また、スリットのクリアランスは、自動調整により0.5〜3.5mmの範囲で調整可能なものを用いることが好ましい。さらに、流延ダイ89のリップ先端の接液部の角部分において、Rがスリット全巾に亘り50μm以下のものを用いることが好ましい。なお、流延ダイ89の内部の剪断速度は、1〜5000(1/秒)となるように調整されているものを用いることが好ましい。
【0075】
流延ダイ89としては、温調機(図示しない)が取り付けられているものを使用し、流延用ドープが流延される間、その内部温度が所定の範囲に保持されることが好ましい。そして、流延ダイ89の幅方向に、所定の間隔で厚み調整ボルト(ヒートボルト)と、このヒートボルトによる自動厚み調整機構とを取り付けて、さらに、予め設定されたプログラムでヒートボルトを制御することにより、ドープ製造設備10から流延用ドープを送り出す際に使用するポンプ(図示しない)の送液量を調整することが好ましい。また、フィルム製造設備11の内部に厚み計(例えば、赤外線厚み計)を設けて、プロファイルに基づく調整プログラムによりフィードバック制御を行っても良い。なお、流延エッジ部を除いて任意の2点の厚み差は1μm以内に調整し、幅方向での厚みの最小値と最大値との差が3μm以下であり、厚み精度が±1.5μm以下に調整されているものを用いることが好ましい。
【0076】
流延ダイ89のリップ先端には、耐摩耗性の向上等を目的として、硬化膜が形成されていることが好ましい。硬化膜の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、セラミックスコーティングやハードクロムめっき、および窒化処理方法等が挙げられる。ただし、硬化膜としてセラミックスを用いる場合には、研削加工が可能であり、低気孔率、かつ脆性および耐腐食性に優れるとともに、流延ダイ89に対しては密着性に優れるが、一方でドープに対しては密着性に劣るものが好ましい。具体的には、タングステン・カーバイド(WC)やAl、TiN、Cr等が挙げられる。中でも、WCを用いることが好ましい。なお、WCのコーティングは、溶射法で行うことが出来る。
【0077】
また、スリットの両端に溶媒供給装置(図示しない)を取り付けて、ドープを可溶化させる溶媒(例えば、ジクロロメタン86.5重量部、メタノール13重量部、n−ブタノール0.5重量部の混合溶媒)を流延ビードの両端部及びスリットと外気との両気液界面に供給することが好ましい。これにより、流延用ドープをスリットから流延している間、流延用ドープが局所的に乾燥固化することがない。可溶化溶媒の供給量は、特に限定されるものではないが、スリット端部の片側ごとに、0.1〜1.0mL/分の範囲で供給すると、流延膜70の内部への異物の混入を防止することが出来るので好ましい。なお、可溶化溶媒を供給する際には、脈動率が5%以下のポンプを用いることが好ましい。
【0078】
また、流延用ドープが流延される間は、スリットから流延バンド85までの間にある流延用ドープの流れ、すなわち流延ビードの背面が、減圧チャンバ98により減圧されることが好ましい。このように流延ビードの背部の減圧度を調整すると、周囲の風を受けて流延ビードの表面が波打ったりすることがないので、安定した流延ビードを形成させることが可能となり、しわやつれ等を発生させることなく平面性に優れる流延膜70を形成することができる。なお、流延ビードの背面の減圧度は、特に限定されるものではないが、平面性に優れる流延膜70を得る上で、(大気圧−2000Pa)以上(大気圧−10Pa)以下とすることが好ましい。
【0079】
渡り部77には、複数のローラと所望の温度に調整された乾燥風を湿潤フィルム75に吹き付けて乾燥を促進させるための乾燥装置100とが備えられている。また、テンタ78には、レールの配置にしたがって走行し、多数のクリップが取り付けられたチェーンと、乾燥装置(ともに図示しない)とが備えられている。そして、テンタ78の下流には、フィルム76の両側端部を切断するための耳切装置102が設けられている。
【0080】
乾燥室80には、複数のローラ105と吸着回収装置106とが備えられている。また、乾燥室80には、その内部の温度を調整する温度調整装置(図示しない)が取り付けられており、所定の範囲に調整される。そして本実施形態では、冷却室81の下流に、強制除電装置(除電バー)107とナーリング付与ローラ108とが設けられている。搬送途中のフィルム76は、強制除電装置107により帯電圧が所定の範囲(例えば、−3〜+3kV)となるように調整され、更にナーリング付与ローラ108によりナーリングが付与されるため、しわが伸ばされ平面性に優れる状態となる。また、巻取室82には、巻取ローラ110とプレスローラ111とが備えられている。
【0081】
次に、上記のフィルム製造設備50によりフィルム76を製造する手順について説明する。
【0082】
ドープ製造設備10で調製された流延用ドープである基層用ドープと支持体面層用ドープとエア面層用ドープとが、それぞれ各配管51、55、56に送り込まれてから、フィードブロック88に送られる。フィードブロック88の内部には、各ドープの流れる流路が所望の配置となるように形成されており、ここで各ドープは所望の配置とされる。
【0083】
次に、図6に示すように、流延ダイ89から基層用ドープ120とエア面用ドープ121及び支持体面用ドープ122が走行する流延バンド85上に同時に流延される。これにより、基層120aの両面に表層としてエア面層121aと支持体面層122aとを配した3層構造の流延膜70が形成される。
【0084】
ここで、支持体面層122aの厚みが流延膜70の厚みに対して0.1%以上5%以下であることが好ましい。このような厚みの支持体面層を形成させると、剥離性向上を目的として酢化度の低いセルロースアシレートを使用しても、非常に薄膜であるため、透明性やレタデーション値等の光学特性に優れるフィルムを得ることができる。また、表層を薄膜とすることで、短時間の内に膜化できるので、風により波打ち等が生じることなく平面性に優れるフィルムを得ることができる。なお、図6では、説明便宜上、流延膜における各膜の厚みを十分に取った形態を示しているが、実際には基層に対して支持体面層は薄い形態である等、異なる形態を示す。
【0085】
流延室72では、流延膜の搬送方向に向かって送風口が設けられた送風装置90から流延膜70に対して所望の温度に調整された乾燥風が送り出されるため、流延膜70の乾燥が促進される。このようにして送風口を設けた送風装置からは、流延膜70の搬送方向に向かって乾燥風が略平行に送り出されるため、乾燥風によって流延膜70の表面に厚みムラやしわ等の発生が抑制される。また、流延室72では、流延膜70から蒸発した溶剤は凝縮器92により凝縮液化された後、回収装置93で回収される。そして、回収された溶剤は再生装置(図示しない)により再生されてドープ調製用として再利用される。
【0086】
自己支持性を持つまで乾燥が促進された流延膜70は、剥取ローラ95で支持された状態で流延バンド85から剥ぎ取られ、湿潤フィルム75とされる。ここで、本発明では、Caや脂肪酸の含有量が少なく、かつ酢化度が低いセルロースアシレートを用いて支持体面層122aを形成させているので、流延バンド85から流延膜70を容易に剥ぎ取ることができる。形成直後の湿潤フィルム75の残留溶媒量は、10〜200重量%であることが好ましい。そして、この湿潤フィルム75は、渡り部77に送り込まれる。渡り部77では、多数のローラで支持し搬送される間に乾燥装置100から送り出される乾燥風により、湿潤フィルム75の乾燥が促進される。なお、乾燥装置100から送り出される乾燥風の温度は、20〜250℃で略一定とされることが好ましい。この乾燥風の温度は、流延用ドープに使用するポリマーや添加剤等の原料種、または製造速度等を考慮して上記の範囲内で任意に決定すればよい。
【0087】
なお、本発明における残留溶媒量とは、流延膜、湿潤フィルム、フィルム等に含まれる溶媒の量である。この残留溶媒量は乾量基準でのものであり、サンプリング時におけるサンプルの重量をx、そのサンプルを完全に乾燥した後の重量をyとするとき{(x−y)/y}×100で算出される値である。
【0088】
渡り部77では、複数のローラのうち下流側すなわち渡り部77の出口付近に配されるローラの回転速度が、上流側すなわち渡り部77の入口側に配されるローラの回転速度よりも速くされることが好ましい。これにより、搬送される湿潤フィルム75には適度の張力が付与されて、しわやつれ等の発生が抑制される。また、高残留溶媒量である湿潤フィルム75に張力が付与されるので、容易に分子配向が調整できる。そのため、フィルムとしてのレタデーション値を制御しやすい。
【0089】
続いて、湿潤フィルム75はテンタ78に送り込まれる。テンタ78では、湿潤フィルム75の両側端部がクリップ(図示しない)で把持された後、搬送される間に乾燥装置(図示しない)から乾燥風が供給されるため、湿潤フィルム75はよりいっそう乾燥が促進されてフィルム76となる。テンタ78の内部では、搬送する湿潤フィルム75を幅方向に延伸させることで、形成するフィルム76のレタデーション値を所望の値に調整することが好ましい。また、テンタ78の内部は、複数の区画に分けられていることが好ましく、各区画の温度は、上記の乾燥装置により異なる温度に調整されていることが好ましい。これにより、湿潤フィルム75を搬送する間に、異なる温度で段階的に乾燥することができるので、急激な溶剤の蒸発により形状が変化するのを抑制して平面性に優れるフィルム76を得ることができる。なお、本実施形態においてテンタ78としては、湿潤フィルム75の把持手段として複数のクリップを有するクリップ型テンタを示したが、クリップに代えてピンとし、このピンを湿潤フィルム75の両側端部に差し込んで固定した後、搬送する間に幅方向に延伸させることもできる。このようなピン型テンタは、比較的溶媒量が多く、形状が不安定である湿潤フィルム75を搬送する際に有効である。
【0090】
湿潤フィルム75を幅方向に延伸または緩和させる処理は、渡り部77でも行なうことができる。このとき、渡り部77及びテンタ78では、湿潤フィルム75の流延方向および幅方向の少なくとも1方向を、延伸前の幅に対して0.5〜300%の割合で延伸させることが好ましい。なお、渡り部77或いはテンタ78において湿潤フィルム75に張力を付与している間は、乾燥温度を略一定に保持することが好ましい。これにより、乾燥温度の違いにより延伸程度に差が生じるのを防止することができる。
【0091】
フィルム76は耳切装置102に送り込まれ、その両側端部が切断除去される。このとき、切断されたフィルム76の両側端部は、クラッシャ103に送り込まれて、チップとして粉砕される。このようにテンタ78の下流に耳切装置102を設けてフィルム76の両側端部を切断除去すると、先ほどテンタ78で傷付いた両側端部を除去することができるために、平面性に優れるフィルム76を得ることができる。なお、フィルム76の両側端部を切断する本処理は省略することもできるが、流延室72から巻取室82までのいずれかで行うことが好ましい。
【0092】
この後、フィルム76は乾燥室80に送り込まれる。乾燥室80では、フィルム76は多数のローラ105で支持し搬送される間に乾燥が十分に促進される。乾燥室80の内部温度は、特に限定されるものではないが、フィルム76の膜温度が60〜145℃となるように調整すると、フィルム76を構成するポリマーの熱ダメージを抑制しながらも効果的に溶剤を蒸発させることができるので好ましい。また、本実施形態では、乾燥室80の内部に浮遊するフィルム76から蒸発した揮発溶剤を含むガスを、吸着回収装置106により回収した後、溶剤成分を除去してから、再度、乾燥室80に乾燥空気とし送り込む。これにより、エネルギーコストを削減することができるので、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0093】
なお、耳切装置102と乾燥室80との間に予備乾燥室(図示しない)を設けて、フィルム76を予備乾燥すると、乾燥室805においてフィルム76の膜面温度が急激に上昇することによる形状変化を抑制することができる等の効果を得ることができるので好ましい。
【0094】
十分に乾燥されたフィルム76は冷却室81に送り込まれる。冷却室81では、フィルム76を略室温となるまで徐々に冷却させるようにするので、その表面にしわやつれが発生するのを抑制しながら冷却することができる。なお、乾燥室80と冷却室81との間に調湿室(図示しない)を設けて、フィルム76を調湿した後、冷却室81に送り込むようにすると、フィルム76の表面に対して優れたしわ伸ばし効果を得ることができるので好ましい。
【0095】
略室温とされたフィルム76は強制除電装置107に送り込まれて、その帯電圧が所定の範囲(例えば、−3〜+3kV)となるように調整される。なお、図5では、強制除電装置107の設置箇所を、冷却室81の下流側とする形態を示しているが、この位置に限定されるものではない。更に、フィルム76はナーリング付与ローラ108によりその両側端部に対してエンボス加工が施される。このようにナーリングを付与すると、フィルム76の平面性を向上させる効果が得られる。
【0096】
最後に、巻取室82において、フィルム76はプレスローラ111により巻き取り時の張力が調整されながら巻取ローラ110に巻き取られロール状のフィルム製品が製造される。なお、巻取り時の張力は、巻取開始時から終了時までの間で徐々に変化させることがより好ましい。また、巻き取るフィルム76は、搬送方向に少なくとも100m以上とすることが好ましく、幅方向が1400〜2500mmであることが好ましい。ただし、本発明は、2500mmより大きい場合にも効果を得ることができる。
【0097】
なお、完成したフィルム76の厚みは20〜100μmであることが好ましい。より好ましくは、厚みが20〜80μmであり、特に好ましくは、30〜70μmである。ただし、本発明は、完成したフィルム76の膜厚に、特に限定されるものではない。
【0098】
本発明により得られるフィルムは、優れた透明性を有する。また、原料ドープへの添加方法及び混合方法を工夫したので、添加剤としてレタデーション剤を用いる場合にも、無駄なく効率良く分散させて均質なドープを得ることができる。そのため、フィルムのレタデーション値も優れた値を示す。すなわち、フィルムの波長λnmにおける正面レタデーション値をRe(nm)とし、波長λnmにおける膜厚方向のレタデーション値をRth(nm)とし、λ=400のときのRe及びRthをRe′、Rth′、λ=700のときのRe及びRthを、Re′′、Rth′′とするとき、|Re′−Re′′|<10であり、|Rth′−Rth′′|<35を示す。このような値を示すフィルムは、光学特性に優れていることから、液晶表示装置をはじめとする装置に使用される光学フィルムとして好ましい。なお、Reは、フィルムの面内の遅相軸方向(搬送方向)の屈折率をnx、フィルムの面内の進相軸方向(幅方向)の屈折率をny、フィルムの膜厚をd(nm)とするとき、Re(λ)=(nx−ny)×dで表される数値であり、Rthは、フィルムの厚み方向での屈折率をnzとするとき、Rth(λ)={(nx+ny)/2−nz}×dで表される数値である。
【0099】
流延用ドープを流延する方法は特に限定されず、複数のドープを共に流延することができる公知の方法を用いれば良い。本実施形態のように2種類以上のドープを同時に流延させても良いし、複数のドープを逐次に流延させても良い。更には、同時或いは逐次に流延させる方法を組み合わせても良い。複数のドープを逐次に流延させる際には、図7に示すように、流延バンド85の上方にドープの数に応じた複数の流延ダイ150〜153を設置する。各流延ダイ150〜153にはドープ製造設備から支持体面層用ドープ、基層用ドープ、エア面層用ドープが適宜送られ、流延バンド85の上に支持体面層用ドープから逐次流延される。これにより、支持体面層の上に基層、エア面層が順重ねられ、3層構造の流延膜160が形成される。また、流延ダイは、フィードブロックを取り付けたものでも良いし、マルチマニホールド型でも良い。共流延により複層構造のフィルムを形成させる場合には、エア面側の層の厚さ及び支持体側の層の厚さがそれぞれフィルム全体の厚みに対して0.5%〜30%であることが好ましい。なお、図7において、フィルム製造設備50と同じ部材には同符号を付すると共に、説明は省略する。
【0100】
流延ダイ、減圧室、支持体等の構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取方法から、溶媒回収方法、フィルム回収方法まで、特開2005−104148号公報の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記述されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
【0101】
[性能・測定法]
(カール度・厚み)
巻き取られたセルロースアシレートフィルムの性能およびそれらの測定法は、特開2005−104148号公報の[1073]段落から[1087]段落に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
【0102】
[表面処理]
このセルロースアシレートフィルムにおいては、少なくとも一方の面が表面処理されていることが好ましい。そして、この表面処理は、真空グロー放電処理、大気圧プラズマ放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、火炎処理、酸処理またはアルカリ処理の少なくとも一種であることが好ましい。
【0103】
[機能層]
(帯電防止・硬化層・反射防止・易接着・防眩)
セルロースアシレートフィルムの少なくとも一方の面が下塗りされていてもよい。
【0104】
さらに、セルロースアシレートフィルムをベースフィルムとして、他の機能性層を付与した機能性材料として用いることが好ましい。機能性層としては、帯電防止層、硬化樹脂層、反射防止層、易接着層、防眩層、および光学補償層のうち、少なくとも1層を設けることが好ましい。そして、この機能性層は、少なくとも一種の界面活性剤を0.1〜1000mg/m含有することが好ましく、少なくとも一種の滑り剤を0.1〜1000mg/m含有することが好ましい。また、機能性層が、少なくとも一種のマット剤を0.1〜1000mg/m含有することが好ましく、少なくとも一種の帯電防止剤を1〜1000mg/m含有することが好ましい。なお、セルロースアシレートフィルムに、種々様々な機能、特性を実現するための表面処理機能性層の付与方法は、上記以外にも、特開2005−104148号公報の[0890]段落から[1072]段落に詳細な条件、方法も含めて記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
【0105】
本発明により得られるフィルムの用途について説明する。本発明により得られるフィルムは、高レタデーション値を有し、透明性に優れている。そのため、特に、偏光板保護フィルムとして有用である。なお、このフィルムを偏光子に貼り合わせた偏光板を液晶層に2枚貼ることにより作製した液晶表示装置は、液晶表示能力に優れる等の特長を示す。ただし、液晶層と偏光板との配置は限定されるものではなく、公知の各種配置とすることができる。特開2005−104148号公報(例えば、[1088]段落から[1265]段落)には、液晶表示装置として、TN型、STN型、VA型、OCB型、反射型、その他の例が詳しく記載されており、この方法も本発明に適用させることができる。また、同出願には光学的異方性層を付与した、セルロースアシレートフィルムや、反射防止、防眩機能を付与したセルロースアシレートフィルムについての記載や、適度な光学性能を付与し二軸性セルロースアシレートフィルムとして光学補償フィルムとしての用途も記載されている。これは、偏光板保護フィルムと兼用して使用することもできる。これらの記載も、本発明に適用させることができる。
【0106】
以下、本発明に係る実施例について説明する。ただし、ここに示す実施例が本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0107】
下記に示す原料を混合して、支持体面層用ドープ及びエア面層用ドープ、基層用ドープを調製した。なお、各実施例では、対応するドープ製造設備において、第1溶媒が入れられた溶媒タンク11以外に、下記の第2溶媒が入れられた第2の溶媒タンクを用意した。
【0108】
下記の材料を混合して、図1に示すドープ製造設備10により支持体面層用ドープとしてドープAを調製した。
〔ドープA〕
・セルローストリアセテート(置換度2.86、粘度平均重合度305、ジクロロメタン溶液6重量%の粘度 400mPa・s) 100重量部
・ジクロロメタン(第1溶媒) 390重量部
・メタノール(第2溶媒) 60重量部
・化1に示すレタデーション低下剤 12重量部
・化2に示す波長分散調整剤 1.8重量部
・微粒子(二酸化ケイ素(平均粒径15nm)、モース硬度 約7) 0.05重量部
セルローストリアセテートの酢化度は60.5%〜61.0%であり、Ca含有量が5ppm、長鎖脂肪酸の含有量が5ppmであった。また、上記のうち、レタデーション低下剤、波長分散調製剤及び微粒子は支持体面層用添加剤溶液52aとして用いた。
【0109】
【化1】

【0110】
【化2】

【0111】
先ず、溶媒タンク11から適量のジクロロメタンを混合タンク15に送り込むと共に、第2の溶媒タンクから、適量のメタノールを混合タンク15へと送り込んだ。また、ホッパ13からはセルローストリアセテートを送り込んだ。この後、混合タンク15では、各種材料を攪拌混合させて混合液17を得た。次に、混合液17を加熱装置22に送り込み、セルロースアシレートを溶媒に溶解させた後、温調装置23により略室温として濃縮前の原料ドープを得た。そして、この原料ドープをフラッシュ装置31に送り込み、ここで溶媒を蒸発させることにより所望の濃度の原料ドープ20を得た。
【0112】
濃縮した原料ドープ20は、ポンプP2によりフラッシュ装置31から抜き出した後、超音波照射法により泡抜き処理を施した。そして、第2濾過装置26により濾過して不純物を除去した後に、ストックタンク28へと送り込み、ここで貯留した。
【0113】
次に、原料ドープ20の一部を第1送液ラインL1に送り込んだ。続けて、この原料ドープ20に向かって第1タンク52からポンプP4により支持体面層用添加剤溶液52aを送り出し、図2に示すようにスリット状の添加口69からドープ用配管60内を流れる原料ドープ20に支持体面層用添加剤溶液52aを投入した。そして、これを第1スタティックミキサー53により攪拌混合して均質な基層用ドープを調製した。
【0114】
下記の原料を混合することにより基層用ドープ及びエア面層用ドープとしてドープBを調製した。なお、本実施例では、両ドープを同じ組成及び配合としたので、共通のドープ製造設備を用いた。
【0115】
〔ドープB〕
・セルローストリアセテート(置換度2.94、粘度平均重合度305、ジクロロメタン溶液6重量%の粘度 397mPa・s) 100重量部
・ジクロロメタン(第1溶媒) 390重量部
・メタノール(第2溶媒) 60重量部
上記のセルローストリアセテートの酢化度は61.5%〜62.0%である。
【0116】
そして、図6に示すように、上記により調製した基層用ドープ120、エア面層用ドープ121、支持体面層用ドープ122を、図2に示すフィルム製造設備50により製膜化してフィルム76を製造した。先ず、走行する流延バンド85上に流延ダイ89から上記3種類のドープを共に流延して、基層120aの各表面にエア面層121a及び支持体面層122aを有する3層構造の流延膜70を形成した。このとき、完成するフィルムの膜厚が80μmとなるようにドープの流延量を調節して、その厚みを制御すると共に、支持体面層の膜厚が5μmとなるようにした。次に、この流延膜70を流延バンド85から剥ぎ取り湿潤フィルム75とした後、渡り部77及びテンタ78で乾燥させてフィルム76とした。この後、続けて、フィルム76を乾燥室80に送り込み、多数のローラ105に巻き掛けながら搬送する間に乾燥を十分に促進させた。最後に、巻取室82の巻取ローラ110で巻取りフィルム76製品とした。完成したフィルム76の残留溶媒量は0.4重量%であり、膜幅が1900mm、膜厚は80μmであった。また、このフィルム76の支持体面層の厚みは1.0μmであった。
【0117】
なお、実施例1では、添加ノズル68として添加口69の長さLが配管60の内径に対して90%、スリットの隙間Cが3mmであるものを使用した。また、添加口69からこの添加口69に最も近いインラインミキサーのエレメントまでの距離Dを15mmとした。更に、配管60内を流れる支持体面層用添加剤溶液52aの流速V1、原料ドープ20の流速V2との比であるV1/V2を5とした。なお、これらの製造条件は、基層用ドープ及びエア面層用ドープを調製する際にも同様とした。
【0118】
本発明の効果を評価するため、剥離性及び光学特性を下記の方法により評価した。
【0119】
・ 剥離性〕
製膜途中において、目視により流延バンド85から流延膜70を剥ぎ取る際の状態を観察し、流延バンド85に対して剥げ残りがなく、かつ容易に剥ぎ取ることができた場合を◎とし、製造上問題はないが、若干の剥げ残り或いは剥ぎ取りに時間を要したものを○とし、流延バンド85の表面に大量の剥げ残りが確認され、かつ剥ぎ取りに時間を要し、製造上問題となったレベルを×とした。
【0120】
〔2.光学特性〕
完成したフィルムをサンプルとして、その正面レタデーション値Re(nm)を、波長λ=400nmにおけるRe(400)、λ=700nmにおけるRe(700)の2通り測定した。そして、Re(400)−Re(700)の値を算出し、この値が10未満であり製品として優れた光学特性とされる場合を○とし、この値が10以上であり製品として光学特性に劣る場合を×として、フィルムの光学特性をなお、Reの測定には、自動複屈折計(KOBRA−21ADH 王子計測機器(株)製)を用いた。
【0121】
各評価を行なった結果、実施例1では、剥離性は良好(◎)であった。また、Re(400)−Re(700)=5となり、光学特性も優れた値(○)を示した。
【実施例2】
【0122】
実施例2では、実施例1と同様の材料及び製造方法により80μmのフィルム76を製造した。ただし、完成した支持体面層の厚みが5.0μmとなるようにした。また、実施例1と同様にして剥離性及び光学特性を評価したところ、剥離性は若干ながら剥げ残りを確認したが製造上では問題のないレベル(○)であったのに対して、光学特性はRe(400)−Re(700)=15となり製品レベルとして悪い(×)ものであった。
【0123】
〔比較例1〕
比較例1では、実施例1と同様の材料及び製造方法により80μmのフィルム76を製造した。ただし、基層用ドープとしてドープAを用いると共に、エア面層用ドープ及び支持体面層用ドープとしてドープBを用いた。なお、完成したフィルム76での支持体層の厚みは1.0μmであった。また、実施例1と同様にして剥離性及び光学特性を評価したところ、光学特性はRe(400)−Re(700)=5となり良好(○)であったが、剥離性は剥げ残りを確認するなどして×であった。
【0124】
〔比較例2〕
比較例2では、実施例1と同様の材料及び製造方法により80μmのフィルム76を製造した。ただし、エア用ドープとしてドープAを用いると共に、基層用ドープ及び支持体面層用ドープとしてドープBを用いた。なお、完成したフィルム76での支持体層の厚みは1.0μmであった。また、実施例1と同様にして剥離性及び光学特性を評価したところ、光学特性はRe(400)−Re(700)=5となり良好(○)であったが、剥離性は剥げ残りを確認するなどして×であった。
【0125】
以上の結果から、本発明のように剥げ残りの成分となりうるCa含有量や脂肪酸含有量が低減され、かつ、エア面層や基層に用いるセルロースアシレートよりも酢化度の小さいセルロースアシレートを支持体面層用ドープに含有させてから、このドープを用いてフィルムを製造すると、支持体から流延膜を容易に剥ぎ取ることが出来るようになり、剥取性を向上させながらフィルムを製造することができることを確認した。また、本発明で得られるフィルムは、ポリマーと溶剤と添加剤とを均一に攪拌混合して均質なドープから形成されるので、優れた光学特性を示すことを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本実施形態で用いるドープ製造設備の一例の概略図である。
【図2】スタティックミキサーを用いて原料ドープに添加剤を添加させる際の一例の説明図である。
【図3】本発明に係る配管及び添加剤ノズル近傍の一例の概略図である。
【図4】配管の径方向から見た配管及び添加剤ノズル近傍の断面図である。
【図5】本実施形態で用いるフィルム製造設備の一例の概略図である。
【図6】流延ダイ近傍の一例の概略図である。
【図7】複数のドープを逐次流延する一例の概略図である。
【符号の説明】
【0127】
10 ドープ製造設備
10b 支持体面層用ドープ製造装置
50 フィルム製造設備
53 スタティックミキサー
70 流延膜
85 流延バンド
120a 基層
121a エア面層
122a 支持体面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する支持体上に、ポリマー及び有機溶媒を含む原料ドープに添加剤が添加された流延用ドープを流延して流延膜を形成する流延膜形成工程と、
前記流延膜を前記支持体より剥ぎ取って溶媒を含んだ湿潤フィルムとする剥取工程と、
前記湿潤フィルムを乾燥する乾燥工程とを有し、
前記流延用ドープは、基層を形成させるための基層用ドープと、前記支持体側に位置する前記基層の表面に接するようにして配される支持体面層を形成させるための支持体面層用ドープと、前記基層を間にして前記支持体面層とは対向する位置に配されるエア面層を形成させるためのエア面層用ドープとからなり、
前記支持体面層用ドープに含まれる前記ポリマーは、酢化度が58.5%以上61.0%以下の第1のセルロースアシレートであり、
前記基層用ドープ及びエア面層用ドープに含まれる前記ポリマーは、酢化度が61.0%以上62.0%以下の第2のセルロースアシレートであることを特徴とするポリマーフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記第1のセルロースアシレートは、Caの含まれる割合が0.1ppm以上50ppm以下であり、脂肪酸の含まれる割合が0.1ppm以上30ppm以下であることを特徴とする請求項1記載のポリマーフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記脂肪酸は、12個以上30個以下の炭素が鎖状に配列した長鎖脂肪酸であることを特徴とする請求項1または2記載のポリマーフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記流延膜の厚みに占める前記支持体面層の厚みの比率が0.1%以上5%以下であることを特徴とする請求項1ないし3いずれかひとつ記載のポリマーフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記添加剤を入れた後の前記原料ドープをインラインミキサーで攪拌混合することを特徴とする請求項1ないし4いずれかひとつ記載のポリマーフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記インラインミキサーは、前記原料ドープが流される配管に取り付けられており、
前記インラインミキサーの上流側には、前記インラインミキサーの直径方向に伸びたスリット状の添加口を有する添加ノズルが備えられていることを特徴とする請求項5記載のポリマーフィルムの製造方法。
【請求項7】
前記添加口は、前記配管の径方向に平行である長さLが前記配管の内径の20%以上80%以下であることを特徴とする請求項6記載のポリマーフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記スリットの隙間Cが、0.1mm以上前記配管の内径の1/10mm以下であることを特徴とする請求項6または7記載のポリマーフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記添加口から前記インラインミキサーまでの距離Dが、1mm以上250mm以下であることを特徴とする請求項6ないし8いずれかひとつ記載のポリマーフィルムの製造方法。
【請求項10】
前記配管内を流れる前記添加剤の流速V1及び前記原料ドープの流速V2は、1≦V1/V2≦5を満たすことを特徴とする請求項6ないし9いずれかひとつ記載のポリマーフィルムの製造方法。
【請求項11】
前記流延は、前記流延用ドープが前記支持体上に同時あるいは逐次に流延される共流延であることを特徴とする請求項1ないし10いずれかひとつ記載のポリマーフィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−283764(P2007−283764A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73313(P2007−73313)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】