説明

ポリマーミセル複合体およびそのドラッグデリバリービヒクル

コポリマーの疎水性セグメント上にベンゾイルスルホン酸基を有する両親媒性コポリマーの複合体が開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、ポリマーミセルまたはナノ粒子を形成し得る水溶性両親媒性ブロックコポリマーに関する。これらのポリマーミセルおよびナノ粒子は、それらが水溶性薬剤分子をカプセル化することで該分子のためのデリバリービヒクルとして作用できるように、ミセルを形成する両親媒性コポリマーの疎水性ドメイン中にベンゾイルスルホン酸基を含むように設計される。
【0002】
(背景技術)
一般的に、投与量の低下を成し遂げ、副作用を軽減し、および/または患者コンプライアンスを改善するために、疾患部位を標的とした処方中に医薬活性を提供することは望ましい。このことは、特に高用量で用いた場合に不快な副作用を有する傾向のある薬剤、例えば特定の抗癌剤の場合に特に当てはまるだろう。
【0003】
そのアベイラビリティ(例えば、投与量の最小限化を成し遂げること、患者コンプライアンスを改善すること)を高める処方中に医薬活性を提供することも望ましい。高分子治療剤は、ドラッグデリバリーシステムとして広く容認されている。高分子治療剤は、薬剤の循環半減期を向上し、かつその毒性を軽減するためのポリマー系の使用を含む。これらの特徴は、一般的にペグ化蛋白質として知られているポリエチレングリコール(PEG)がコンジュゲートした蛋白質により実証される。ポリマー結合した治療剤の重要な特徴は、epr効果(透過性の亢進および滞留性による効果)として知られている、腫瘍脈管構造の漏出性に起因する、腫瘍部位における受動的な蓄積である。この受動的ターゲティングは、肝硬変用に日本で認可されている抗腫瘍剤、SMANCSの作用機序である。SMANCSは、低分子量のスチレン無水マレイン酸コポリマーからなり、該コポリマーはポリマー中に存在する無水基を介してネオカルチノスタチンにコンジュゲートされている。SMANCSの分子量は約16−17kDaであるが、それは血清アルブミンとより大きな凝集体を形成する。コンジュゲートの凝集体の大きさは80kDaであり、腫瘍部位においてSMANCSの自然発生的であるが受動的な蓄積に関与していると言われる。
【0004】
受動的ターゲティング機序は、200nm未満の粒径を有するリポソーム、ポリマーミセルおよびナノ粒子によっても示される。ポリマーベースのナノ粒子およびポリマーミセルは、両親媒性コポリマーの自然発生的なセルフアセンブリにより形成される。これらの両親媒性コポリマーは疎水性および親水性セグメントからなり、ブロックまたはグラフト構造のいずれかで配置される。
【0005】
水性媒体中の両親媒性ブロックコポリマーは、疎水性ドメインの凝集によりミセル化される。イオン性および親水性セグメントを含むブロックコポリマーの場合、ミセル形成は、逆帯電した分子またはマクロ分子によりイオン性ブロックを縮合することにより誘導される。
【0006】
インビボにおいて、これらのポリマーミセルはマクロファージによる取り込みを回避することができ、それ故に、外側の親水性ドメインの存在に起因して、「内密の(stealth)」特徴を示す。多数の親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、HPMA、キトサン、ポリエチレングリコールが親水性ポリマーとして用いられ得るが、PEGが最も頻繁に用いられる。
【0007】
薬剤分子は、疎水結合、静電気的相互作用または不安的な結合を介する化学コンジュゲーションを通して、ポリマーミセルの内側の疎水性コアに組み込まれてもよい。静電気的相互作用は、DNAの凝縮の間に、親水性カチオン性セグメントを有するブロックコポリマーを伴ってポリマーミセル中へ自己構築するための駆動力である。この場合、中和された高分子電解質複合体はミセルの内側コアを形成し、そして外側シェルは親水性セグメントからなる。疎水性相互作用は、多くの場合、ポリマーミセルの疎水性ドメイン中に水不溶性薬剤を可溶化する際に利用される。
【0008】
ポリマーミセル系の大部分は親水性ポリマーとしてPEGを含むので、ポリマーミセルの分類は、その中の疎水性セグメントの種類に基づいてなされてもよい。
【0009】
多数の知られているポリマーミセル系は、腫瘍部位の漏れやすい脈管構造を介して、そのデリバリービヒクルの大きさに起因して、腫瘍部位に受動的に蓄積するように設計される。ポリマーミセル系は疎水性相互作用により内側の疎水性コア中に疎水性水不溶性生物活性剤をカプセル化できることが広く認識されている。しかし、古典的なポリマーミセルは水溶性生物活性剤についてカプセル化効率の悪さを示す。故に、ポリマーミセル系中、水溶性生物活性剤のカプセル化効率を高めることは、非常に多くの利点がある。
【0010】
(発明の開示)
本発明は(a)両親媒性ブロックまたはグラフトコポリマーおよび(b)カチオン性基を含む水溶性薬剤の複合体に関する。両親媒性ブロックまたはグラフトコポリマーは、疎水性セグメント中、ベンゾイルスルホン酸基を官能基導入され、結果として、それは水溶性カチオン性薬剤とイオン結合または水素結合いずれかによる相互作用を形成し得る。その両親媒性ブロックコポリマーは水性媒体中、自然発生的にセルフアセンブリし、ポリマーミセルを形成し得る。
【0011】
本発明は、融液中で両親媒性ブロックコポリマーを合成した後の融液中での反応により、両親媒性ポリマー上にベンゾイルスルホン酸基を形成する方法にも関する。
【0012】
本発明は、治療剤、診断剤または予後診断剤(アンタゴニスト活性に加えて)を含む薬剤デリバリービヒクルにも関する。
【0013】
(発明の詳細な記載)
本発明において、両親媒性ブロックコポリマーの疎水性ドメインへのベンゾイルスルホン酸部分の組み込みは、ポリマーミセル中の水溶性カチオン性薬剤のカプセル化効率を非常に高める。これらのベンゾイルスルホン酸基を導入されたポリマーミセルは、イオン結合および/または水素結合により、カチオン性基を付与された水溶性薬剤に結合し得る。さらに、これらのポリマーミセル複合体は生物環境において薬剤の放出を調節し得る。
【0014】
本発明は(a)両親媒性ブロックまたはグラフトコポリマーおよび(b)カチオン性基を含む水溶性薬剤の複合体に関する。両親媒性ブロックまたはグラフトコポリマーは、疎水性ブロック中、ベンゾイルスルホン酸基を官能基導入され、結果として、それは水溶性カチオン性薬剤とイオン結合または水素結合いずれかによる相互作用を形成し得る。両親媒性ブロックコポリマーは水性媒体中、自然発生的にセルフアセンブリし、ポリマーミセルを形成し得る。
【0015】
好ましい実施態様において、カチオン性生物活性剤は、両親媒性ブロックまたはグラフトコポリマーに複合体化されている。適当な両親媒性ブロックまたはグラフトコポリマーは親水性および疎水性セグメントを有し、その結果、コポリマーは水溶液中にてセルフアセンブリし、ポリマーミセルを形成し得る。ポリマーミセルの大きさは、両親媒性コポリマーの構築ブロックの大きさおよび性質を適切に選択することにより適切に設計され得る。ポリマーミセルの所望の大きさは200nm以内である。水中にて両親媒性コポリマーがセルフアセンブリし、ポリマーミセルを形成する間、外側シェルは親水性ポリマーからなり、その結果、ポリマーミセルはマクロファージによる取り込みを回避できる。従って、ポリマーミセルは長い血漿中循環半減期を有し、そして粒径が小さい(<200nm)おかげでepr効果により腫瘍部位に蓄積し得る。
【0016】
本発明に従って、ブロックまたはグラフトポリマーに複合体化された水溶性生物活性剤は、例えばデリバリーシステムとして用いられてもよく、またはそれは異なるポリマーミセル系に組み込まれてもよい。かかるポリマーミセル系の例は、ポリオキシアルキレンとポリオキシエチレンのブロックコポリマー、ポリ(アルファ−アミノ酸)およびその誘導体とポリオキシエチレンのコポリマー、疎水性生分解性ポリマー、例えば、PEG、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストランなどのごとき医薬上許容される親水性ポリマーに結合されたポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリカプロラクトン(PC)、ポリヒドロキシ酪酸またはポリカーボネートを含む両親媒性生分解性コポリマーを包含する。
【0017】
さらなる別の実施態様において、両親媒性グラフトまたはブロックコポリマーに複合体化されたカチオン性生物活性剤が水性媒体中にて自己構築し、ポリマーミセルを形成してもよいことが熟慮される。両親媒性グラフトおよび/またはブロックコポリマーは、親水性および疎水性セグメントからなる。これらのブロックコポリマーの設計および合成は、疎水性ポリマーセグメントが水溶性生物活性剤を複合体化するために用いられ得るベンゾイルスルホン酸基を有するように、行われる。水溶性カチオン性生物活性剤の複合体化は、水素結合またはイオン性相互作用のいずれかまたはその両方を含む。水溶性生物活性剤およびベンゾイルスルホン酸基を導入された両親媒性コポリマーの間のかかる特定の相互作用がないと、水溶性生物活性剤はポリマーミセル内に効果的にカプセル化され得ず、そして後者は前者のためのデリバリーシステムとして利用され得ない。親水性ポリマーセグメントは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド(PA)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリルアミド)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリサッカライド、ポリアミノ酸、ポリオキサゾリン、およびそれらのコポリマーおよび誘導体から選択されてもよい。疎水性ポリマーセグメントは、ポリ乳酸のごときポリ(アルファ−ヒドロキシ酸)、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリリジン、ポリアスパラギン酸およびポリグルタミン酸のごときポリ(アルファ−アミノ酸)の疎水性誘導体ならびにポリプロピレンオキシド、ポリオキシブチレンなどのごときポリオキシアルキレンを含んでもよい。
【0018】
本発明は、以下に示す単一段階工程を用いた、疎水性末端にベンゾイルスルホン酸基を有する両親媒性生分解性ポリマーの新規調製方法も提供する:
【化1】

【0019】
開環重合技法は当該技術分野において知られており、そして官能基導入されたポリマーを調製するために用いられてもよい。開環重合は溶液または融液中のいずれか、好ましくは融液中にて行われてもよい。適当な触媒が当該技術分野において知られており、好ましくは用いられる。遷移金属触媒、例えば、オクチル酸スズ、塩化スズ、酢酸亜鉛、亜鉛、SnO、SnO、Sb、PbOおよびFeClが好ましく、オクチル酸スズがより好ましい。適当な触媒の他の例は、GeOおよびNaHを含む。典型的には、重合反応温度は約100ないし約200℃であり得る。当業者に理解されるように、得られるポリマーの分子量は、アルファメトキシオメガヒドロキシポリアルキレングリコール上に存在する水酸基に対する疎水性モノマーのモル比により決定され得る。典型的に、ポリマーの分子量は約40、000またはそれ未満であるが、より大きな分子量が用いられてもよい。環状モノマーの開環重合を行い、生分解性ポリエステルを得た後、生分解性ポリマーへベンゾイルスルホン酸基を導入するこの方法が融液中で行われ得る。この方法により、ポリマーを単離することなく、融液中でポリマーに官能基導入することが可能になる。
【0020】
ベンゾイルスルホン酸基を有する上記ポリマーを用いて、ポリマー上のアニオン性スルホン酸基および生物活性剤上のカチオン性基を複合することにより、医薬活性剤をカプセル化する。医薬活性剤は治療剤および診断剤を含む。
【0021】
治療的な医薬活性剤は、例えば、以下の活性:抗血管新生、抗関節炎、抗不整脈、抗細菌、抗コリン、抗凝血、抗利尿、抗てんかん、抗真菌、抗炎症、代謝拮抗、抗偏頭痛、抗腫瘍形成、抗寄生虫、解熱、抗てんかん性発作、アンチ−シー(anti−see)、抗痙攣、鎮痛、麻酔、ベータ−遮断、生物学的応答修飾、骨代謝調節、心血管、利尿、酵素、生殖能力増強、成長促進、止血、ホルモン、ホルモン抑制、高カルシウム血症緩和、低カルシウム血症緩和、低血糖緩和、高血糖緩和、免疫抑制、免疫増強、筋肉弛緩、神経伝達、副交感神経作動、交感神経作動血漿増量、血漿増補、向精神、血栓溶解および血管拡張の活性を有する天然または合成化合物から選択されてもよい。本発明は、細胞障害性治療剤を送達するために特に有用であってもよい。
【0022】
送達され得る治療剤の例は、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼVII阻害剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、白金化合物、抗菌剤、キナゾリン・アンチホレート・チミジレート・シンターゼ・インヒビター、成長因子受容体阻害剤、メチオニンアミノペプチダーゼ−2阻害剤、血管新生阻害剤、血液凝固剤、細胞表面溶解剤、治療遺伝子、治療遺伝子を含むプラスミド、CoxII阻害剤、RNA−ポリメラーゼ阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ステロイドおよびNSAIDs(非ステロイド性抗炎症剤)を含む。
【0023】
治療剤の特定例は、トポイソメラーゼIを阻害するカンプトテシンおよびそれらのアナログまたは誘導体、例えば、SN−38((+)−(4S)−4,11−ジエチル−4,9−ジヒドロキシ−lH−ピラノ[3’,4’:6,7]−14 インドリジン[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン);9−アミノカンプトテシン;トポテカン(hycamtin;9−ジメチル−アミノメチル−10−ヒドロキシカンプトテシン);イリノテカン(CPT−11;7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]−カルボニルオキシ−カンプトテシン)、インビボにおいてSN−38に加水分解される);7−エチルカンプトテシンおよびその誘導体(Sawada,Sら,Chem.Pharm.Bull.,41(2):310−313(1993));7−クロロメチル−10,11−メチレンジオキシ−カンプトテシン;および他のもの(SN−22,Kunimoto,T.ら.,J.Pharmacobiodyn.,10(3):148−151(1987);N−ホルミルアミノ−12,13,ジヒドロ−1,11−ジヒドロキシ−13−(ベータ−D−グルコピラノシル)−SH−インドロ[2,3−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5,7(6H)−ジオン(NB−506,Kanzawa,G.ら.,Cancer Res.,55(13):2806−2813(1995);DX−8951fおよびルートテカン(lurtotecan)(GG−211または7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(S)カンプトテシン)(Rothenberg,M.L.,Ann.Oncol.,8(9):837−855(1997));7−(2−(N−イソプロピルアミノ)エチル)−(20S)−カンプトテシン(CKD602,Chong Kun Dang Corporation,Seoul Korea);BN80245,カンプトテシンのベータヒドロキシラクトン誘導体(Big,C H.ら.,Biorganic&Medicinal Chemistry Letters,7(17):15 2235−2238,1997)を含む。
【0024】
治療剤の他の例は、トポイソメラーゼI/IIを阻害する化合物、例えば、6−[[2−ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンジヒドロクロリド(TAS 103,Utsugi,T.,ら.,Jpn.J.Cancer Res.,88(10):992−1002(1997));3−メトキシ 1 1H−ピリド[3’,4’−4,5]ピロロ[3,2−c]キノリン−1,4−ジオン(AzalQD,Riou,J.F.,ら.,20 Mol.Pharmacol.,40(5):699−706(1991));アントラサイクリン、例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ピラルビシンおよびイダルビシン;ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンリューロシン(vinleurosine)、ビンロジシン(vinrodisine)、ビノレルビンおよびビンデシン;白金化合物、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オルマプラチン、オキサリプラチン、ゼニプラチン、エンロプラチン、ロバプラチン、スピロプラチン、((−)−(R)−2−アミノメチルピロリジン(1,1−シクロブタンジカルボキシラト)白金)、(SP−4−3(R)−1,1−シクロブタンジカルボキシラト(2−)−(2−メチル−1,4−ブタンジアミン−N,N7)白金)、ネダプラチンおよび(ビス−アセタート−アミン−ジクロロ−シクロヘキシルアミン−白金(IV));抗菌剤、例えば、ゲンタマイシンおよびニスタチン;キナゾリン・アンチホレート・チミジレート・シンターゼ・インヒビター、例えば、Hennequinらにより記載のもの(Quinazoline Antifolates Thymidylate Synthase Inhibitors:Lipophilic Analogues with Modification to the C2−Methyl Substituent(1996)J.Med.Chem.39,695−704);成長因子受容体阻害剤、例えば、SunL.らにより記載のもの(Identification of Substituted 3−[(4,5,6,7−Tetrahydro−lH−indol−2−yl)methylene]−1,3 dibydroindol−2−ones as Growth Factor Receptor Inhibitors for VEGF−R2(Flk 1/KDR),FGF−R1,and PDGF−Rbeta Tyrosine Kinases(2000)J.Med.Chem.43:2655−2663);およびBridges A.J.らにより記載のもの(Tyrosine Kinase Inhibitors.8.An Unusually Steep Structure−Activity Relationship for Analogues of 4−(3−Bromoanilino)−6,7 dimethoxyquinazoline(PD 153035),a Potent Inhibitor of the Epidermal Growth Factor Receptor(1996)J.Med.Chem.39:267−276)、血管新生阻害剤、例えば、アンジオスタチン、エンドスタチン、エキスタチン、トロンボスポンジン、抗血管新生蛋白質を発現する遺伝子を含むプラスミドおよびメチオニンアミノペプチダーゼ−2阻害剤、例えば、フマギリン、TNP−140およびその誘導体;ならびに他の治療化合物、例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、ミトキサントロン、シクロホスファミド、マイトマイシン、ストレプトゾシン、メクロレタミンヒドロクロリド、メルファラン、シクロホスファミド、トリエチレンチオホスホルアミド、カルムスチン、ロリムスチン、セムスチン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン、ダカルバジン、プロカルバジン、ミトキサントロン、ステロイド、シトシンアラビノシド、メトトレキセート、アミノプテリン、モトマイシン(motomycin)C、デメコルチン、エトポシド(etopside)、ミトラマイシン、ラッセルズバイパーの毒、活性化因子IX、活性化因子X、トロンビン、ホスホリパーゼC、コブラ毒因子[CVF]およびシクロホスファミドを含む。
【0025】
本発明の特定の実施態様において、治療剤は:a)抗悪性腫瘍剤、例えば、カンプトテシンまたはそのアナログ、例えば、トポテカンドキソルビシン、ダウノルビシン、ビンクリスチン、ミトキサントロン、カルボプラチンおよびRNA−ポリメラーゼ阻害剤、特にカンプトテシンまたはそのアナログ、そしてさらにより顕著にはトポテカン;b)抗炎症剤、例えば、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ステロイドおよびNSAIDs;c)抗血管新生剤、例えば、フマギリン、tnp−140、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アンジオスタチン、エンドスタチンおよびエキスタチン;d)抗感染剤;およびe)それらの組み合わせから選択される。
【0026】
診断剤の例は、常磁性、放射性または蛍光性イオンを含むイメージングのための造影剤を包含する。かかる診断剤の特定例は、米国特許第5,855,866号(1999年1月5日公開、Thorpeら)において開示されているものを含む。
【0027】
かかる剤は、特定の相互作用、例えば水素結合、静電気的および/またはイオン性相互作用により、ポリマーミセルの内側コアに結合され得る。これらの相互作用は、スルホン酸基を両親媒性ブロックコポリマーの疎水性セグメントへ導入することにより促進される。
【0028】
ポリマーミセルはポリマー成分として両親媒性コポリマーから調製され得る。ポリマーミセルの製造方法は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、M.C.Jones and J.C.Leroux,European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics,48(1999),101−111において記載されている。
【0029】
一般的に、ポリマーミセルは、自然発生的なセルフアセンブリ過程により形成されたミセルの臨界ミセル濃度(cmc)よりも大きい濃度で両親媒性ポリマーの凍結乾燥粉末を溶解することにより形成される。かかるミセルは疎水性コアおよび親水性外側ドメインを有し得る。ベンゾイルスルホン酸基を有する本発明によるポリマーも、複合体のcmcよりも大きい濃度で複合体の凍結乾燥粉末を溶解することにより、自然発生的にポリマーミセルを形成する。そのミセルは疎水性コアおよび親水性外側ドメインを有する。好ましい実施態様において、カチオン性生物活性剤が両親媒性高分子コポリマーの疎水性末端に複合体化されているならば、ミセル化の後に、生物活性剤がポリマーミセルの内側コアに存在する。
【0030】
本発明が適用されてもよい適応症は、血管新生、例えば炎症過程により特徴付けられる過程、例えば、骨関節炎および関節リウマチ、糖尿病性網膜症、血管腫、乾癬および癌性腫瘍(固形原発腫瘍ならびに転移性疾患)を含むが、これらに限定されない。
【0031】
典型的に、ポリマーミセルは患者に静脈内投与される。ビヒクルは循環系により標的組織まで運ばれ、そこでベシクルはその腫瘍組織と結合し、腫瘍の成長または転移を阻害する。加えて、ベシクルに結合した剤は標的組織に放出または拡散されてもよい。例えば、化学治療剤により腫瘍を処置してもよく、またはイメージングのために造影剤を用いてコントラストを与えてもよい。
【0032】
(実施例)
材料および方法
ポリカプロラクトン(Mn=1250)、メトキシポリエチレングリコール(Mn=2000)、スルホ安息香酸無水物およびオクチル酸スズは全てAldrich Chemical Company(MO,USA)から入手した。DL−ラクチドはPurac(IL,USA)から購入した。
【0033】
島津LC−10ADポンプ、SIL−10AXLオートサンプラー、SPD−10AUV検出器、Waters2410屈折率検出器およびViscotek T60A二元検出器からなる島津GPCシステムにより、ポリマーの分子量を測定した。ユニバーサルカリブレーションモードを用いてViscotek Trisec GPC 3.0 ソフトウェアにより、データ獲得および処理を行う。
【0034】
酸滴定により、ならびにMn(GPCにより測定する数平均分子量)および1鎖あたりの末端基の理論的数を考慮に入れることにより、官能基導入のパーセントを測定する。約0.2gのポリマーを正確に計量し、次いで、milliQ水中に溶解する。指標としてフェノールフタレインを用いて、この溶液を0.01Nの水酸化ナトリウム溶液に対して滴定した。
【0035】
Wilhemyのプレート法を用いてKruss K12 テンシオメーターにより臨界ミセル濃度(cmc)を測定した。K122ソフトウェアを用いてデータ獲得および処理を行った。既知濃度のポリマー溶液をmilliQ水中へ自動滴定した。各濃度に対して表面張力値を自動的に記録およびプロットして、cmcを算出した。上記cmcより大きい水中のポリマー濃度において、Malvern 5000 Zeta Sizerによりポリマーミセルの大きさを測定した。
【0036】
1)ベンゾイルスルホン酸基を用いたポリカプロラクトンジオールの官能基導入
Dean−Stark装置を用いてトルエン下、共沸蒸留により、30gのポリカプロラクトンジオール(Aldrich)を乾燥した。残りのトルエンを真空除去した。
【0037】
10gの乾燥ポリカプロラクトンジオール、1.43gのスルホ安息香酸無水物(Aldrich)およびトルエン中のオクチル酸スズの0.2Mの溶液(Aldrich)、0.1mLを火力乾燥した250mLの三口丸底フラスコへ加えた。乾燥窒素下で内容物を160℃に加熱し、次いで1時間攪拌した。そのフラスコを冷却し、次いで、内容物を10mLのアセトン中へ溶解した。このアセトン溶液をイソプロパノールおよびヘキサンの1:1の冷却混合物、100mLへ加え、濁った溶液を得た。この濁った溶液を遠心し、残渣を集めた。残渣をmilliQ水中に懸濁させ、次いで凍結乾燥した。収量6g。
酸滴定により測定した官能基導入の程度は96%だった。
【0038】
2)ポリ(ラクチド−ブロック−メトキシポリエチレングリコール)の合成
Dean−Stark装置を用いてトルエン下、共沸蒸留により、50gのメトキシポリエチレングリコール(Aldrich,Mn=2000)を乾燥した。残りのトルエンを真空除去した。
【0039】
乾燥窒素を充填した乾燥ボックス中、40gの乾燥メトキシポリエチレングリコールおよび50gのdl−ラクチド(Purac)を計り分け、ガラス反応器へ加えた。反応器を密封し、ドラフト中の油浴へ移した。反応器を3回排気し、乾燥窒素でパージした。乾燥トルエン中の0.01Mのオクチル酸スズ、0.5mlを、シリンジを用いて反応器へ加えた。反応器を真空下に置き、次いで乾燥窒素ガスで3回パージした。反応器を160℃の油浴中に浸した。機械式スターラーを用いて内容物を混合した。160℃で6時間、ポリマー化を続けた。反応混合物を冷却した後、コポリマーを収集した。
【0040】
実施例2からのポリマー、9gを50mlのアセトン中に溶解した。アセトン溶液を700mlのイソプロパノールへ分けて加えた。得られた濁った溶液を遠心した。残渣を集め、20mlの水に溶解し、凍結乾燥した。GPCにより測定したMnは3500だった。
【0041】
3)ベンゾイルスルホン酸基を用いた実施例2からのブロックコポリマーの官能基導入
実施例2からの10gの粗ブロックコポリマーを、乾燥窒素をパージした250mlの三口丸底フラスコへセットし、0.5gのスルホ安息香酸無水物およびトルエン溶液中の0.2Mのオクチル酸スズ、0.1mLをそのフラスコへ加えた。そのフラスコを160℃に維持した油浴中へ浸した。加熱しながら、1時間、反応混合物を攪拌した。そのフラスコを冷却し、内容物を50mLのアセトン中に溶解した。アセトン溶液を500mLのイソプロパノールに加えた。濁った溶液を遠心し、残渣を集めた。残渣をmilliQ水中に懸濁させ、凍結乾燥した。収量6.5g。
【0042】
酸滴定により測定した官能基導入のパーセントは70%だった。臨界ミセル濃度は0.015mg/mLだった。平均粒径は155nmだった。
【0043】
4)ポリ(ラクチド−ブロック−メトキシポリエチレングリコール)の合成および一工程での官能基導入
乾燥窒素を充填した乾燥ボックス中、実施例2において乾燥した4gの乾燥メトキシポリエチレングリコールおよび6gのdl−ラクチドを計り分け、火力乾燥した250mLの三口丸底フラスコへ加えた。その丸底フラスコを密封し、ドラフトへ移した。そのフラスコを油浴中に浸し、乾燥窒素を用いて3回排気およびパージした。オクチル酸スズ(乾燥トルエン中の0.01Mの溶液、0.5ml)を、シリンジを用いてそのフラスコへ加えた。そのフラスコを真空下に置き、次いで乾燥窒素ガスで3回パージした。油浴の温度を160℃に上昇させた。内容物を攪拌し、次いで乾燥窒素雰囲気下、160℃で6時間、ポリマー化を続けた。ポリマー化が完了したら、0.1gのスルホ安息香酸無水物を加え、さらに160℃で1時間反応を続けた。次いで、そのフラスコを冷却し、内容物を25mLのアセトン中に溶解した。そのアセトン溶液を300mLのイソプロパノールへ加えて、濁った溶液を得、これを遠心して、残渣を集めた。残渣を20mLの水中に溶解し、凍結乾燥した。
【0044】
5)トポテカンとスルホン誘導体化したPEG−PLAの複合体の調製
スルホン誘導体化したPEG−PLA(実施例3から)の一部(100.1mg)を2mLのメタノール中に溶解し、透明溶液を形成する。1:1のメタノールおよび塩化メチレン、3.0mL中のトポテカンHCl(7.26mg)の溶液を、メタノール溶液中のポリマーへ加えた。混合物を3時間攪拌し、1.5mLまで真空濃縮し、次いで、冷イソプロパノール(40mL)中にて沈殿させた。遠心により粉末を集め、初めに60%のイソプロパノールおよび40%のヘキサンを含有する混合溶媒、5mLを用いて、続いて、5mLのヘキサンを用いて洗浄し、窒素下で乾燥した。サイズ排除カラムおよびダイオードアレイ検出器装着のHPLCにより、薬剤含有量を分析した。薬剤およびポリマーの重量比は、1.4−2.1%であり、ローディング効率は14−22%だった。
【0045】
6)トポテカンとスルホン誘導体化したPEG−PLAの複合体の調製
スルホン誘導体化したPEG−PLA(72mg)(実施例3から)をメタノール(1mL)中に溶解し、72mg/mLの濃度の溶液を形成した。メタノール(1mL)中のトポテカンHCl(5mg)溶液をポリマー溶液へ加えた。24時間攪拌し、混合物を水(300mL)に対して透析し、次いで、脱イオン水を用いて媒体を1回交換した。96時間後、透析袋および媒体中の最終濃度をUV−Visにより分析し、遊離トポテカンを標準として用いた。同時に、PEG−PLA−スルホナート(72mg)(実施例3から)およびポリカプロラクトンスルホナート(16mg,実施例1から)を含む処方を調製した。ミセル溶液および透析用媒体の間のトポテカン濃度の差を図1で比較した。
【0046】
7)トポテカンおよびポリマー複合体からのポリマーミセルの調製
スルホン誘導体化したPEG−PLA(108mg)(実施例3から)を、飽和炭酸水素ナトリウムを用いてその水溶液を滴定することにより、そのナトリウム塩に変換した。ポリマー溶液を24時間凍結乾燥した後、白色粉末を得た。トポテカン複合体を調製するために、メタノール(2mL)中のトポテカンHCl塩(7.0mg)の溶液をメタノール(3mL)およびCHCN(2mL)中のポリマー溶液へ加えた。混合物を40分間攪拌し、サンプリングし(0.05mL)、次いでSEC−HPLCにより分析した。残りの混合物をロータリーエバポレーターに付し、完全に溶媒を除去した。塩化メチレン(3mL)を混合物へ加え、遊離トポテカンHClから可溶性トポテカン−ポリマー複合体を抽出した。液相を分け、SEC−HPLCによる分析のためにリン酸バッファー溶液を滴下して加えた。複合体中の薬剤含有量は1.4%であり、ローディング効率は13.4%だった。
【0047】
8)PEG−PLAスルホナートを用いたトポテカンの処方および放出の評価
メタノール(50mg/mL)中のポリマー溶液へ1:1のメタノール:塩化メチレン中のトポテカンHClの溶液を加えた。初めの薬剤/ポリマー比は、2−15%の範囲だった。混合物を40分間攪拌し、続いてそれをリン酸バッファー溶液(pH6.0)へ徐々に加えた。真空下で磁気攪拌しながら有機溶媒を徐々に蒸発させ、次いで、混合物を、再生セルロース製の、3500の分画分子量(VWR International,Bridgeport,NJ)を有する透析チューブへ移した。透析チューブをPBSバッファー(pH7.4)中にセットした。予め決定した時間間隔で試料を媒体から得、次いで、SEC−HPLCシステムへ注入し、薬剤含有量を分析した。ミセル形成がクロマトグラフから観察された(図1)。薬剤放出を図2および図3に示す。
【0048】
9)賦形剤の存在下においてPEG−PLAスルホナートを用いたトポテカンの処方
PEG−PLAスルホナート(100mg)および賦形剤(20mg)をメタノール(2mL)中に溶解した。ポリマーおよび賦形剤の重量比を5−25%の範囲に適合させた。そのポリマー溶液へ1:1のメタノール:塩化メチレン(2mL)中のトポテカンHCl(5mg)の溶液へ加えた。初めのポリマーおよび薬剤の比は2%ないし10%だった。混合物を40分間攪拌し、続いて、それをリン酸バッファー(pH6.0)へ徐々に加えた。真空下で磁気攪拌しながら有機溶媒を徐々に蒸発させ、次いで、混合物を、再生セルロース製の、3500の分画分子量を有する透析チューブへ移した。透析チューブをPBSバッファー(pH7.4)中にセットした。予め決定した時間間隔で試料を媒体から得、次いで、SEC−HPLCシステムへ注入し、薬剤含有量を分析した。薬剤放出を図4に示す。薬剤放出へのポリマー濃度およびpHの効果を図5および6に示す。
【0049】
10)スルホン誘導体化したPEG−PLAのトポテカン複合体に由来するポリマーミセルのラットにおけるインビボ評価
溶媒蒸発法により、トポテカンおよびスルホン誘導体化したPEG−PLAの処方を調製した。その処方は、200mgのPEG−PLA−スルホナート、12.5mgのPEG−PLA−COOHおよび11.25mgのトポテカンHClを含んだ。その溶液を凍結乾燥し、粉末とした。投与のために、その粉末を生理的食塩水溶液中に溶解し、5mg/kgの用量でラットに投与した。予め決定した時間間隔で血液試料を得、血清試料をHPLCにより分析した。生理的食塩水溶液(1.5mg/mL)中のトポテカンHClを対照として投与した。
【0050】
本発明は、本明細書中上記した特定の実施態様に限定されないが、添付の特許請求の範囲およびその均等物内に、その全ての修飾を含む。当業者は、慣例的な実験を通して、様々な変更および修飾が本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることを認識するだろう。特許、公開されているおよび公開されていない特許出願ならびに他の刊行物を含め、本明細書中にて引用または参照されている全ての文献は、出典明示によりその全てが本明細書の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、トポテカンおよびスルホナート−PEG−PLAのイオン性複合体の形成を示す。
【図2】図2は、トポテカンおよびPEG−PLA−スルホナートの複合体の形成を示す。
【図3】図3は、トポテカンとPEG−PLA−スルホナート中に処方されたトポテカンの比較を示す。
【図4】図4は、複合体ミセルからのトポテカンの放出を示す。
【図5】図5は、薬剤放出への賦形剤の効果を示す。
【図6】図6は、薬剤放出へのポリマー濃度の効果を示す。
【図7】図7は、薬剤放出へのpHの効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両親媒性コポリマーが該コポリマーの疎水性セグメント上にベンゾイルスルホン酸基を有するところの、両親媒性コポリマーと生物活性剤の複合体。
【請求項2】
水性媒体中にミセルを形成する、請求項1記載の複合体。
【請求項3】
両親媒性コポリマーが、ポリアルキルエーテル、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストラン硫酸塩、アミノデキストラン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、スクシニルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、ヒアルロン酸、デンプン、アルギン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、アルブミン、プルラン、カルボキシメチルプルラン、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリアスパラギン酸、HPMA、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ジビニルエチルエーテル無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールからなる群より選択される親水性ポリマーからなる、請求項1記載の複合体。
【請求項4】
両親媒性ポリマーが、親水性および疎水性ポリマーからなるブロックコポリマーである、請求項1記載の複合体。
【請求項5】
親水性ポリマーが、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン/プロピレングリコール、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストラン硫酸塩、アミノデキストラン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、スクシニルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、ヒアルロン酸、デンプン、アルギン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、アルブミン、プルラン、カルボキシメチルプルラン、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリアスパラギン酸、HPMA、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ジビニルエチルエーテル無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールである、請求項4記載の複合体。
【請求項6】
親水性ポリマーがポリエチレングリコールである、請求項5記載の複合体。
【請求項7】
ポリエチレングリコールが約1000−10000の分子量を有する、請求項6記載の複合体。
【請求項8】
ポリ(アルファ−ヒドロキシ酸)、ポリジオキサノン、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリオルトエステルおよびポリ(アルファ−アミノ酸)の疎水性誘導体から選択される疎水性ポリマーを含む、請求項1記載の複合体。
【請求項9】
疎水性ポリマーがポリ乳酸である、請求項8記載の複合体。
【請求項10】
生物活性剤が、トポテカン、ドキソルビシン、アドリアマイシン、ビンクリスチン、シスプラチンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の複合体。
【請求項11】
生物活性剤がトポテカンである、請求項1記載の複合体。
【請求項12】
有効量の請求項1記載の複合体をその必要のある患者へ投与することを含む、癌の処置方法。
【請求項13】
骨関節炎、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、血管腫または乾癬の処置方法であって、有効量の請求項1記載の複合体をその必要のある患者へ投与することを含む、方法。
【請求項14】
両親媒性コポリマーが該コポリマーの疎水性セグメント上にベンゾイルスルホン酸基を有する、両親媒性コポリマーと造影剤の複合体。
【請求項15】
有効量の請求項14記載の複合体をその必要のある患者へ投与することを含む、画像診断方法。
【請求項16】
融液または溶液中のいずれかにおいて両親媒性コポリマーとスルホ安息香酸無水物を反応させることにより、ベンゾイルスルホン酸基を有する両親媒性コポリマーを製造する、方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−526358(P2007−526358A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545549(P2006−545549)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042768
【国際公開番号】WO2005/058376
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】