説明

ポリマー含有組成物、その調製方法および使用方法

(a)無機アニオン性粘土と環状モノマーとの混合物を調製すること、および(b)当該モノマーを重合することの段階を含む、ポリマー含有組成物の調製方法。アニオン性粘土を重合反応に使用する前に、それに有機アニオンを層間挿入する必要がないことが発見された。重合触媒または重合開始剤の使用も必要ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層状物質の存在下にポリマー含有組成物を調製する方法に関する。もっととりわけ、この方法は粘土の存在下に環状モノマーを開環重合することを含む。本発明はさらに、この方法によって得られることができる組成物、およびこの組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
開環重合によって調製されることができるポリマーの例は、脂肪族ポリエステルであるポリ(ε−カプロラクトン)(PCl)である。ラクトンモノマーのカルボニル基が酸、アミン、またはアルコールによって攻撃される開環反応によって、その合成は開始される。このポリマーは、高度に結晶質の構造を有し、かつ生分解性および非毒性である。包装材料および医療品、たとえば分解性包装、薬剤の徐放、および整形外科用ギプスに、これは広く使用される。PClは容易に加工でき、他のポリマーとの良好な相容性を有するけれども、その低い融点(60℃)は多くの用途へのその使用を制限していた。したがって、カプロラクトンは他のポリマーとブレンドされて、または他のモノマーと共重合されて、その使用先を拡大してきた。
【0003】
ポリマーの特性を改良するために、ナノサイズの粒子が導入されることができて、いわゆるポリマーベースナノ複合材料が得られる。一般に、「ナノ複合材料」の語は、0.1〜100ナノメートルの範囲にある少なくとも1の次元を持つ無機相を、少なくとも1成分が含んでいる複合物質のことを言う。高アスペクト比の、極めて薄いナノメートルサイズの、少量の無機粒子をポリマーマトリクス中へと取り込むことによって得られる混成の有機−無機物質を、ポリマーベースナノ複合材料(PNC)の1の部類は含んでいる。少量のナノ粒子の添加は、そうでなければ互いに相反するポリマー特性、たとえば強度および靭性を改良するのに驚くほど効果的である。この部類のナノ複合材料の大きい利点は、普通には二律背反にある物質特性を同時に改良することである。慣用の鉱物充填剤で充填されたポリマーに比べて、改良された強度−重量比に加えて、改良された耐炎性、より良好な高温安定性、およびより良好な寸法安定性を、PNCは示す。とりわけ、膨張係数の有意の低減は、自動車用途への実際的な関心事である。改良されたバリア特性および透明性は、たとえば包装箔、ボトル、および燃料系の用途への、ナノ複合材料の類のない利点である。
【0004】
PNC中に存在するのに適したナノサイズの粒子は、層剥離された粘土層を包含する。従来技術で開示されているように、粘土の存在下にモノマーを重合することによって、このような粘土含有PNCは調製されることができる。
【0005】
カチオン性粘土、たとえばモンモリロナイトの存在下における環状モノマーの開環重合は、B.Lepoittevinら、Polymer誌、第44巻(2003年)、2033〜2040ページによって開示されている。カチオン性粘土は、その層間にカチオンおよび水の分子が存在するところの、四価、三価、および任意的に二価の金属水酸化物の特定の組み合わせから構成された、負に帯電した層からなる結晶構造を有する層状物質である。モンモリロナイトの層は、Si、Al、およびMgの水酸化物から構成される。
【0006】
上記の開示によれば、モンモリロナイトはε−カプロラクトンとかき混ぜられ、BuSn(MeO)の存在下に100℃で加熱され、該BuSn(MeO)は開環重合触媒の役割をした。モンモリロナイトの層間挿入および/または層剥離の程度は、カプロラクトンとの混合物中のモンモリロナイト濃度およびその層間カチオンの性質に依存した。
【0007】
D.Kubiesら(Macromolecules誌、第35巻(2002年)、3318〜3320ページ)は、Cloisite 25A(N,N,N,N−ジメチルドデシルオクタデシルアンモニウムモンモリロナイト)またはN,N−ジエチル−N−3−ヒドロキシプロピルオクタデシルアンモニウム臭化物でイオン交換されたモンモリロナイトの存在下にε−カプロラクトンを重合する。オクタン酸スズ(II)またはジブチルスズ(IV)ジメトキシドが、触媒として使用された。
【0008】
N.Pantoustierら(Polymer Engineering and Science誌、第42巻(2002年)、1928〜1937ページ)は、オクタン酸スズ(II)またはジブチルスズ(IV)ジメトキシドのような触媒の添加なしに、Na−モンモリロナイトの存在下に170℃においてε−カプロラクトンが重合されることができることを示す。これは、粘土表面上の酸性点との相互作用によるモノマーの活性化の故であると、彼らは理論付ける。
【0009】
その中に存在する層間アニオンの全数の少なくとも20%が、有機的性質のものであり、かつ、式R’−RCOO、R’−ROSO、またはR’−RSO(ここで、Rは、6〜22の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐のアルキルまたはアルキルフェニル基であり、R’は、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、ビニル、イソシアネート、カルボキシ、ヒドロキシフェニル、および酸無水物からなる反応基である。)を有するところの層状複水酸化物(アニオン性粘土またはハイドロタルサイト様物質とも呼ばれる。)の存在下における、各種のモノマー、とりわけカプロラクタムの重合を、米国特許第6,372,837号は開示する。既存のアニオン性粘土のイオン交換によって、またはこれらの有機アニオンの存在下に層状複水酸化物を合成することによって、これらの有機アニオンは層状複水酸化物中へと導入される。
【0010】
その層間にアニオンおよび水の分子が存在するところの、二価および三価の金属水酸化物の特定の組み合わせから構成された、正に帯電した層からなる結晶構造を、層状複水酸化物またはアニオン性粘土は有する。その層状構造は、一般式
(式)
(ここで、M2+は二価金属であり、M3+は三価金属であり、mおよびnは、m/n=1〜10、好ましくは1〜6であるような値を有し、並びにbは、0〜10の範囲の値、一般には2〜6の値、多くは約4の値を有する。Xz−は、層間に存在するアニオンを指す。)に相当する。
【0011】
本明細書の目的のためには:層間に存在するアニオンの少なくとも一部、すなわち1重量%超が、有機的性質のものであるときは、該アニオン性粘土は有機アニオン性粘土と定義され;層間中のアニオンの全量の実質的に全て、すなわち少なくとも99重量%、しかし好ましくは100重量%が、無機的性質のものであるときは、該アニオン性粘土は無機アニオン性粘土と定義される。
【0012】
慣用のアニオン性粘土は、無機アニオン性粘土である。ハイドロタルサイトは、天然に産出する無機アニオン性粘土の例であり、その中で三価金属はアルミニウムであり、二価金属はマグネシウムであり、主アニオンは炭酸イオンである。ミックスネライトは、無機アニオン性粘土であり、その中で三価金属はアルミニウムであり、二価金属はマグネシウムであり、主アニオンは水酸イオンである。
【0013】
有機アニオン性粘土を得るためには、イオン交換または修正された合成方法が要求される。
【特許文献1】米国特許第6,372,837号公報
【非特許文献1】B.Lepoittevinら、Polymer誌、第44巻(2003年)、2033〜2040ページ
【非特許文献2】D.Kubiesら、Macromolecules誌、第35巻(2002年)、3318〜3320ページ
【非特許文献3】N.Pantoustierら、Polymer Engineering and Science誌、第42巻(2002年)、1928〜1937ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
成功する開環重合およびポリマーマトリクス中へのアニオン性粘土層の均一な分散のために、慣用のアニオン性粘土、すなわち無機アニオン性粘土が使用されることができることが、今、驚いたことに発見された。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、
a. 無機アニオン性粘土と環状モノマーとの混合物を調製すること、および
b. 当該モノマーを重合すること
の段階を含む、ポリマー含有組成物の調製方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
段階a)の前に有機化合物を無機アニオン性粘土に層間挿入することは、本発明の方法では要求されないので、本発明の方法は、米国特許第6,372,837号に従う方法よりも、低度に煩雑であり、経済的に実行可能であり、また魅力的である。
【0017】
本明細書では、「ポリマー」の語は、少なくとも2の構成ブロック(すなわち、モノマー)の有機物質を言い、それによってオリゴマー、コポリマー、およびポリマー状樹脂が包含される。
【0018】
ポリマーで層間挿入されたアニオン性粘土、および/またはポリマー中に分散された、層剥離若しくは層剥落されたアニオン性粘土層を、得られた生成物は含んでいる。
【0019】
本明細書の中では、元の無機アニオン性粘土の層間隔の増加と、層間挿入(intercalation)は定義される。粘土構造を少なくとも部分的に層破壊し、それによって体積単位当り有意により多くの個別粘土粒子を含有する物質を生成することによる、粘土粒子の平均積層度の低減と、層剥離(delamination)は定義される。媒体中へ個々の層がランダムに分散するに至り、それによって積層秩序を全く残さない完全な層剥離、すなわち周期性の消失と、層剥落(exfoliation)は定義される。
【0020】
アニオン性粘土の層間挿入は、X線回折(XRD)を用いて観察されることができる。何故ならば、底面反射(すなわち、d(00L)反射)の位置は、層間距離を示し、該距離は層間挿入後に増加するからである。
【0021】
平均積層度の低減は、XRD反射の消失に至るまでの広幅化として、または底面反射(hk0)の非対称性の増加によって観察されることができる。
【0022】
完全な層剥離、すなわち層剥落の特性付けは、依然として分析上の難題であるが、元のアニオン性粘土からの非(hk0)反射の完全な消失から、一般に断定されることができる。本発明の方法の段階b)における透明溶融物の形成も、層剥落のしるしである。
【0023】
層の秩序状態、したがって層剥離の程度は、さらに透過型電子顕微鏡(TEM))で視覚化されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に従う方法に使用するのに適した環状モノマーは、(i)環状エステル、たとえばε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、プロピオラクトン、ピバロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、ラクチド(乳酸の環状ジエステル)、およびグリコリド(グリコール酸の2量体エステル)、(ii)環状カーボネート、たとえばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセロールカーボネート、およびトリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、(iii)ラクタム、たとえばε−カプロラクタム、(iv)酸無水物、たとえばN−カルボキシ酸無水物、(v)モノエポキシド、たとえばアルキルグリシジルエーテルおよびアルキルグリシジルエステル、(vi)ビスエポキシド、たとえば液状および固形のEpikote樹脂およびビスフェノールAに基づいた他のエポキシド、(vii)環状シロキサンモノマー、並びに(viii)前述のモノマーの2以上の組み合わせを包含する。
【0025】
その生分解性および比較的低い価格故に、環状エステルが、好まれる環状モノマーであり、ラクトン、ラクチド、およびグリコリドがとりわけ好まれる。ラクトンの例は、ブチロラクトン、バレロラクトン、およびカプロラクトンである。これらのラクトンはベータ、ガンマ、デルタおよび/またはエプシロンタイプのものであることができる。その安定性および入手性の観点から、ガンマ、デルタ、およびエプシロンラクトンが最も好まれる。このようなラクトンの具体的な例は、ε−カプロラクトンおよびピバロラクトンである。
【0026】
本発明に従う方法に使用するのに適した無機アニオン性粘土は、Ba3+、Al3+、Ga3+、In3+、Bi3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、Sc3+、La3+、Ce3+、およびこれらの混合物からなる群から選ばれた三価金属(M3+)、並びにMg2+、Ca2+、Ba2+、Zn2+、Mn2+、Co2+、Mo2+、Ni2+、Fe2+、Sr2+、Cu2+、およびこれらの混合物からなる群から選ばれた二価金属(M2+)を有する無機アニオン性粘土を包含する。とりわけ好まれるのは、Mg−Al無機アニオン性粘土(たとえば、ハイドロタルサイトまたはミックスネライト)、Ba/Al、Ca/Al、およびZn/Alの無機アニオン性粘土である。ぴったりの選択は、最終生成物の用途に依存する。
【0027】
段階a)で環状モノマーと混合されることになる、アニオン性粘土の層間に存在する電荷平衡アニオンは、無機性質のものである。好適な電荷平衡アニオンの例は、水酸イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、硝酸イオン、塩素イオン、臭素イオン、硫酸イオン、重硫酸イオン、バナジン酸イオン、タングステン酸イオン、ホウ酸イオン、リン酸イオン、支柱となるアニオン、たとえばHVO、V4−、HV124−、V3−、V10286−、Mo246−、PW12403−、B(OH)、B(OH)2−、[B(OH)、[B(OH)2−、HBO2−、HGaO2−、CrO2−、およびケギン(Keggin)イオンである。好まれる無機アニオン性粘土は、炭酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンおよび/または水酸イオンを層間に含有する。何故ならば、これらは最も容易に入手でき、容易に得ることができ、かつ最も安価な無機アニオン性粘土であるからである。本明細書の目的のためには、炭酸および重炭酸アニオンは、無機性質のものであると定義される。
【0028】
段階a)の混合物は、無機アニオン性粘土を環状モノマーと混合することによって調製される。混合温度において環状モノマーが液状であるか固形であるかに応じて、また溶媒が添加されるか否かに応じて(以下を参照せよ。)、この混合は懸濁物、ペースト、または粉体混合物をもたらす。
【0029】
段階a)の混合物中のアニオン性粘土の量は、該混合物の全重量当たり好ましくは0.01〜75重量%、より好ましくは0.05〜50重量%、さらにより好ましくは0.1〜30重量%である。
【0030】
ポリマーベースナノ複合材料、すなわち(層剥落に至るまでの)層剥離されたアニオン性粘土を含有する、本発明に従うポリマー含有組成物の調製に、10重量%未満、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%のアニオン性粘土量がとりわけ好都合である。
【0031】
たとえばポリマーのコンパウンドに使用される、いわゆるマスターバッチの調製には、10〜50重量%のアニオン性粘土量がとりわけ好都合である。このようなマスターバッチ中のアニオン性粘土は、一般に完全には層剥離されていないけれども、もっと後の段階で、所望であれば該マスターバッチをさらなるポリマーとブレンドするときに、さらなる層剥離は達成されることができる。
【0032】
市販の無機アニオン性粘土は、一般に自由流動性粉体として引き渡される。本発明に従う方法に使用される前に、このような自由流動性粉体の特別の処理、たとえば乾燥は要求されない。
【0033】
日常の処理に使用される前に、原則として(たとえば、CaH上で)乾燥されなければならない環状モノマーでさえも、本発明に従う方法に使用される前には、乾燥段階を必要としない。
【0034】
無機アニオン性粘土および(一または複数の)環状モノマーの他に、段階a)の混合物は、顔料、染料、紫外線安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、充填剤(たとえば、ヒドロキシアパタイト、シリカ、黒鉛、ガラス繊維、および他の無機物質)、難燃剤、核剤、耐衝撃改質剤、可塑剤、レオロジー改質剤、架橋剤、および脱ガス剤を含有することができる。
【0035】
これらの任意的な追加物およびその各々の量は、必要に従って選ばれることができる。
【0036】
該混合物中には溶媒も存在することができる。好適な溶媒は、重合反応を妨害しない全ての溶媒である。好適な溶媒の例は、ケトン(たとえば、アセトン、アルキルアミルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびジイソブチルケトン)、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルアセトアミド、エーテル(たとえば、テトラヒドロフラン、(ジ)エチレングリコールジメチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールジメチルエーテル、メチル3級ブチルエーテル、芳香族エーテル、たとえばDowtherm(商標)、並びに高級エーテル)、芳香族炭化水素(たとえば、(Dow社からの)Solvent Naphtha、トルエン、およびキシレン)、ジメチルスルホキシド、炭化水素溶媒(たとえば、アルカンおよびその混合物、たとえばホワイトスピリットおよび石油エーテル)、並びにハロゲン化溶媒(たとえば、ジクロロベンゼン、パークロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、ジクロロメタン、およびジクロロエタン)である。
【0037】
本発明の方法の間に形成されるポリマーの分子量および/または構造を調節するために、重合反応を妨害しうる、または本発明の方法の生成物と反応しうる、環状モノマーの部類に属さない反応性化学種が、段階a)の混合物に、または段階b)の間に、意図的に添加されることができる。たとえばコモノマーとして機能する非環状エステルが、たとえば添加されることができる。さらに、重合プロセスを停止することによって平均分子量を制限する化合物が添加されてもよく、このような化合物の例はアルコールである。一回よりも多く反応し、それによって分岐されたポリマー鎖またはゲル化された網状構造さえもの形成を促進する能力を有する反応試薬を添加することも可能である。
【0038】
段階a)の混合物に、ポリマーを添加することも可能である。好適なポリマーは、脂肪族ポリエステル、たとえばポリ(コハク酸ブチレン)、ポリ(コハク酸アジピン酸ブチレン)、ポリ(ヒドロキシブチル酸エステル)、およびポリ(ヒドロキシ吉草酸エステル)、芳香族ポリエステル、たとえばポリ(テレフタル酸エチレン)、ポリ(テレフタル酸ブチレン)、およびポリ(ナフタレン酸エチレン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(エーテルエステル)、たとえばポリ(ジオキサノン)、ポリ酸無水物、(メタ)アクリルポリマー、ポリオレフィン、ビニルポリマー、たとえばポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミド)およびポリ(ビニルアルコール)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアラミド、たとえばTwaron(商標)、ポリイミド、ポリ(アミノ酸)、多糖由来のポリマー、たとえば(変性)デンプン、セルロ−ス、およびキサンタン、ポリウレタン、ポリスルホン、およびポリエポキシドを包含する。
【0039】
環状モノマーの、および得られたポリマーの少なくとも融点の温度まで、無機アニオン性粘土と環状モノマーとの混合物を加熱することによって、好ましくは重合は実施される。好ましくは20〜300℃、より好ましくは50〜250℃、最も好ましくは70〜200℃の範囲の温度まで、該混合物は加熱される。温度、環状モノマーのタイプ、混合物の組成、および用いられる装置に応じて、好ましくは10秒間〜24時間、より好ましくは1分間〜6時間、この加熱は実施される。たとえば、本発明の方法が押出機中で実施されるならば、温度および用いられた(一または複数の)環状モノマーのタイプおよび混合物中の他の成分に応じて、数秒間〜数分間の範囲の加熱時間が実際に適用されることができる。
【0040】
不活性雰囲気、たとえばN雰囲気下に、本発明の方法は実施されることができるが、これは必要とはされない。
【0041】
所望であれば、重合開始剤または重合触媒が混合物に添加されることができる。開環重合を開始する能力があり、それからポリマー鎖が成長するところの化合物と、重合開始剤は定義される。開環重合用のこのような開始剤の例は、アルコールである。重合触媒(活性化剤とも呼ばれる。)は、ポリマー鎖の成長速度を増加する化合物である。このような触媒の例は、有機金属化合物、たとえば2−エチルヘキサン酸スズ(II)(通例、オクタン酸スズ(II)と言われる。)、スズアルコキシド(たとえば、ジブチルスズ(IV)ジメトキシド)、アルミニウムトリイソプロポキシド、およびランタニドアルコキシドである。
【0042】
本発明に従う方法に含まれる無機アニオン性粘土は、重合開始剤または重合触媒として挙動することができるけれども、本明細書中の「重合開始剤」および「重合触媒」の語は、無機アニオン性粘土を包含しない。
【0043】
重合開始剤または重合触媒は、環状モノマーの重量当たり0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%、さらにより好ましくは0〜1重量%の量で、混合物中に存在することができる。しかし、このような開始剤または触媒の使用は要求されず、追加のコストおよび得られる組成物の汚染を招くかも知れない。とりわけ、得られた生成物の医療または生分解性の用途が想定されるならば、重合開始剤または重合触媒の残渣は、有害な影響を与えかねない。したがって、最も好ましくは、本発明の方法に重合開始剤または重合触媒は使用されない。
【0044】
本発明に従う方法は、各種のタイプの重合装置、たとえば撹拌されたフラスコ、管型反応器、押出機等中で実施されることができる。混合物の中身および温度を均質化するために、本発明の方法の間、該混合物は好ましくは撹拌される。
【0045】
本発明に従う方法は、バッチ方式でまたは連続的に実施されることができる。好適なバッチ反応器は、撹拌されたフラスコおよび槽、バッチのミキサーおよび混練機、ブレンダー、バッチ押出機、および他の撹拌された容器である。連続様式で本発明の方法を実施するのに適した反応器は、管型反応器、二軸または単軸押出機、プラウミキサー、コンパウンド機、および他の適当な高強度ミキサーを包含する。
【0046】
所望であれば、段階b)で得られた組成物を後続の使用にもっと適するようにするために、たとえば該組成物がその中へとその後取り込まれうるところのポリマーマトリクスとの相容性を改良するために、段階b)で得られた組成物は変性されることができる。本発明の方法の際に形成されたポリマーのエステル交換、加水分解、若しくはアルコール分解、またはポリマー末端基を変性するための、水酸基と反応性である反応試薬、たとえば酸、酸無水物、イソシアネート、エポキシド、ラクトン、ハロゲン酸、および無機酸ハロゲン化物との反応を、このような変性は包含することができる。
【0047】
さらなる実施態様では、任意的に上記の変性段階の後に、段階b)で得られた組成物をマトリクスポリマーの溶融物または溶液と混合しまたはブレンドすることによって、当該ポリマーマトリクス中へと、当該組成物は取り込まれることができる。
【0048】
マトリクス化する目的に適したポリマーは、脂肪族ポリエステル、たとえばポリ(コハク酸ブチレン)、ポリ(コハク酸アジピン酸ブチレン)、ポリ(ヒドロキシブチル酸エステル)、およびポリ(ヒドロキシ吉草酸エステル)、芳香族ポリエステル、たとえばポリ(テレフタル酸エチレン)、ポリ(テレフタル酸ブチレン)、およびポリ(ナフタレン酸エチレン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(エーテルエステル)、たとえばポリ(ジオキサノン)、ポリ酸無水物、(メタ)アクリルポリマー、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらのコポリマー)、ビニルポリマー、たとえばポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミド)およびポリ(ビニルアルコール)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアラミド、たとえばTwaron(商標)、ポリイミド、ポリ(アミノ酸)、多糖由来のポリマー、たとえば(変性)デンプン、セルロ−ス、およびキサンタン、ポリウレタン、ポリスルホン、並びにポリエポキシドを包含する。
【0049】
層間挿入された、または相剥離されたアニオン性粘土のさらなる相剥離を、この取り込みはもたらすことができる。
【0050】
上記の本発明の方法によって得られることができるポリマー含有組成物は、コーティング、インク、樹脂、洗浄剤、若しくはゴムの配合物、掘削流体、セメント若しくはしっくいの配合物、または製紙用パルプに添加されることができる。熱可塑性樹脂に、または熱可塑性樹脂として、熱硬化性樹脂に、または熱硬化性樹脂として、および収着剤として、該組成物は使用されることもできる。
【0051】
たとえば、生体適合性ポリマー(たとえば、グリコリド、ラクチド、またはε−カプロラクトンの(コ)ポリマー)を含んでいる、本発明の方法によって得られることができるポリマー含有組成物は、たとえば、接着剤、外科用および医療用の器具、合成の創傷被覆材および包帯、発泡体、(生分解性の)物品(たとえば、ボトル、管若しくはライニング材)またはフィルム、薬剤、殺虫剤、または肥料の徐放用物質、不織布、整形用ギプス、並びに組織修復誘導法用または移植前の播種細胞の支持体用の多孔性生分解性物質の製造に使用されることができる。
【0052】
有機化合物を除去し、それによってセラミック物質、たとえば多孔性酸化物を残すために、ポリマー含有組成物を加熱することも可能であり、該セラミック物質、たとえば多孔性酸化物は、任意的な成形および/またはコーティングの段階の後で、触媒若しくは収着剤の組成物として、または触媒若しくは収着剤の組成物に使用されることができる。
【0053】
以下の実施例では、商業的に入手できる合成ハイドロタルサイト様化合物が使用された。それは、日本国の協和化学工業社の子会社であるKisuma Chemicals社によって供給されたDHT−4A(CAS番号11097−59−9)である。該物質は、受け取ったまま使用された。ε−カプロラクトンモノマー(ε−Cl)は、Aldrich社から購入され、これも何ら前処理なしに使用された。
【実施例1】
【0054】
機械式撹拌機、温度計/サーモスタット、および窒素流を備えた250mlの3口丸底フラスコ中で、種々の量のハイドロタルサイト(DHT−4A)(1、5、10、20、40または50重量%)がε−Cl中に分散された(懸濁物の全重量:100g)。
【0055】
各反応混合物は160℃まで油浴中で加熱され、4時間、該混合物を撹拌しながら、懸濁物中のε−Clが重合された。
【0056】
得られたポリマー含有組成物は半結晶質であり、示差走査熱量法によって測定された、20〜60℃の範囲の融点を持っていた。
【0057】
(購入したままの)純粋なε−Clは、ハイドロタルサイトがないと160℃で6時間以内に熱重合の何らの兆候も示さなかった。
【0058】
得られたポリマー含有組成物のXRDパターン(ラインCおよびD)が図1および図2において、純粋なポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマー(ラインA)および純粋なDHT−4A(ラインB)のそれと比較される。
【0059】
ハイドロタルサイトを10重量%まで含んでいる組成物のXRDパターン(図1)は、ハイドロタルサイトに関連した非(hk0)反射を示さなかった。これは該アニオン性粘土の層剥落、したがってナノ複合材料の形成を示している。TEM画像(図3および4)によって、および得られた反応混合物が本発明の方法の間に透明になった事実によって、このことは裏付けられる。
【0060】
対照的に、ハイドロタルサイトを20〜50重量%含んでいる組成物のXRDパターン(図2)は、ハイドロタルサイトに関連した反射をはっきりと示し、これは該アニオン性粘土の層剥離がないか、または少なくとも不完全な層剥離を示している。図5のTEM画像によって、並びにハイドロタルサイトを20、40、および50重量%有する反応混合物は透明な溶融物にならなかった事実によって、このことは裏付けられる。反応の間に、これらの分散物は粘稠になった。DHT−4Aを20重量%持つ分散物は、粘度が見かけ上一定になるまで160℃で撹拌された。DHT−4Aを40および50重量%持つ分散物は、3〜4時間の加熱後にあまりに粘稠になって撹拌できなくなった。
【0061】
これらの結果から、ハイドロタルサイトを20重量%持つ複合材料では、粘土シートの積層の無秩序化が積層の膨潤までに限定されること、すなわちハイドロタルサイトシートの体積分率が高くなり過ぎて、該シートは層間挿入のみされることができると結論付けることができる。該層間化合物は、特性的な14.6Åのd(00L)値(これは、元のハイドロタルサイトの7.6Åの層間隔よりもはるかに大きい。)を示し、そのXRDパターンは多くのより高次の反射を示す。DHT−4Aを50重量%含んでいる組成物は、層間挿入された物質と元のハイドロタルサイトとの混合物であった。
【0062】
[比較例1]
上記の実施例1に示された本発明の研究手法に従う方法が、アニオン性粘土とマトリクスポリマーとの混合物を直接溶融ブレンドするよりも優れていることを、この比較例は示す。溶融ブレンド操作は、(DSM社からの)5ccの容積を持つベンチ型同方向回転二軸押出機で実施された。スクリュー速度は150rpmに設定された。
【0063】
文献(たとえば、D.Kubiesら、Macromolecules誌、第35巻(2002年)、3318〜3320ページを参照せよ。)に記載されたように、100℃においてバルクでε−Clの開環重合によって、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマーが調製された。[BuSn(OMe)]/[ε−Cl]=1/300のモル比に相当する量のジブチルスズジメトキシドを添加する形を、開始はとった。
【0064】
得られた半結晶質のポリ(ε−Cl)ホモポリマーとハイドロタルサイト(Kusuma社からのDHT−4A)との固形混合物(重量比90/10)が、押出機に加えられ、100℃で15分間溶融ブレンドされた。
【0065】
得られた溶融物は押出機から吐出されると曇っており、XRDパターン(図1、ラインE)における7.5Åの層間隔に対応する鋭い反射は、影響を受けないHTCの存在を明らかに示す。溶融加工の時間または温度を増加しても、この結果は改良されなかった。
【0066】
ハイドロタルサイトとポリ(ε−カプロラクトン)との単純な溶融ブレンドによっては、ポリ(ε−Cl)/ハイドロタルサイトのナノ複合材料が調製されることができないことを、これは証明する。このようにして調製された溶融ブレンド組成物のTEM画像(図6)によって、このことは裏付けられる。
【0067】
[比較例2]
この実験の目的は、電荷平衡カチオン(CEC=92.6ミリ当量/粘土100g)としてNaを持つ、精製された天然モンモリロナイト粘土である、(Southern Clay Products社からの)Cloisite(商標)Naの存在下におけるε−Clの開環重合によってポリマー含有組成物を生成することであった。
【0068】
機械式撹拌機、温度計/サーモスタット、および窒素流を備えた250mlの3口丸底フラスコ中で、このカチオン性粘土5グラムが、95グラムのε−Cl中に分散された。該フラスコは100℃の温度の油浴中で加熱された。Cloisiteが、撹拌下のε−Cl中に懸濁された後、ジブチルスズジメトキシド([Sn]/[ε−Cl]モル比=1/300)が添加されて、重合が開始され、該重合は、反応混合物が室温まで放置冷却されることによって29時間後に停止された。重合反応の間、Cloisite Naとのポリマー溶融物は透明にならなかった。
【0069】
開始剤または触媒を添加しなくても、Cloisite Naの存在下に160℃においてε−Clは重合されることができた。しかし、ポリマー溶融物は茶色がかっていた。
【0070】
得られた物質中に、シートの高度に秩序化された積層として、Na−モンモリロナイトが依然として存在することを、図7に示されたTEM画像は示す。図1におけるのと相違して、重合反応の故の層間挿入または層剥落のしるしはない。
【実施例2】
【0071】
本発明の方法によって調製されたポリマー含有組成物は、高せん断ミキサー中で溶融コンパウンドすることによって、さらに層剥離され、マトリクスポリマーと均質に混合されることができることを、この実施例は証明する。
【0072】
該マトリクスポリマーは、モノマーであるテレフタル酸、アジピン酸、およびエトキシル化ビスフェノールAから構成された非晶質ポリエステル樹脂(Setafix P130)であった。ガラス転移温度は(DSCによって測定されて)57℃、および酸価は9mgKOH/樹脂gであった。(DSM社からの)5ccの容積を持つベンチ型同方向回転二軸押出機で、溶融混合は実施された。スクリュー速度は150rpmに設定された。
【0073】
80/20重量比で実施例1で調製された、ハイドロタルサイト20重量%を含んでいるポリマー含有組成物と、この非晶質ポリエステル樹脂は溶融混合された。図8のラインCによって示されるXRDパターンにおいて、元の層間化合物の反射が実質的に完全に消失していることによって証明されるように、完全に層剥離された(=層剥落された)粘土シートを、得られた生成物は含有していた。この生成物のXRDパターンにおける結晶質物質の唯一の反射は、非晶質ポリエステルに由来する広いバンド上に重なった、半結晶質のポリ(ε−Cl)の反射に帰属されることができる。元のハイドロタルサイトに帰属されることができる反射を、該XRDパターンは有していない。
【0074】
したがって、アニオン性粘土約4%の充填量を持つ、真のポリエステル−アニオン性粘土のナノ複合材料を、この方法はもたらすと結論されることができる。
【0075】
[比較例3]
(DSM社からの)5ccの容積を持つベンチ型同方向回転二軸押出機および150rpmのスクリュー速度を使用して、190℃で45分間、実施例2の非晶質ポリエステル樹脂(P130)3.8グラムが、ハイドロタルサイト(DHT−4A)0.2グラムと溶融ブレンドされた。ポリマーは非常に粘稠になったが、透明にはならなかった。変性されていないHTC中には、P130は層間挿入されないというXRDパターン(図9、ラインC)からの結論を、このことは裏付ける。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマー(ラインA)、市販ハイドロタルサイト(ラインB)、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマー95重量%とハイドロタルサイト5重量%とを含んでいる、本発明の方法に従って調製されたポリマー含有組成物(ラインC)、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマー90重量%とハイドロタルサイト10重量%とを含んでいる、本発明の方法に従って調製されたポリマー含有組成物(ラインD)、およびポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマーとハイドロタルサイトとの溶融ブレンドされた組成物(ラインE)のXRDパターンを示す。
【図2】図2は、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマー(ラインA)、市販ハイドロタルサイト(ラインB)、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマー80重量%とハイドロタルサイト20重量%とを含んでいる、本発明の方法に従って調製されたポリマー含有組成物(ラインC)、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマー50重量%とハイドロタルサイト50重量%とを含んでいる、本発明の方法に従って調製されたポリマー含有組成物(ラインD)のXRDパターンを示す。
【図3】図3は、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマー95重量%とハイドロタルサイト5重量%とを含んでいる、本発明の方法に従って調製されたポリマー含有組成物のTEM画像である。
【図4】図4は、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマー90重量%とハイドロタルサイト10重量%とを含んでいる、本発明の方法に従って調製されたポリマー含有組成物のTEM画像である。
【図5】図5は、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマー80重量%とハイドロタルサイト20重量%とを含んでいる、本発明の方法に従って調製されたポリマー含有組成物のTEM画像である。
【図6】図6は、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマーとハイドロタルサイトとの溶融ブレンドされた組成物(ラインE)のTEM画像である。
【図7】図7は、Na−モンモリロナイトの存在下におけるε−カプロラクトンの開環重合によって調製された、ポリ(ε−カプロラクトン)とモンモリロナイトとのポリマー含有組成物のTEM画像である。
【図8】図8は、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマー80重量%とハイドロタルサイト20重量%とを含んでいる、本発明の方法に従って調製されたポリマー含有組成物(ラインA)、非晶質ポリエステル樹脂(ラインB)、および該ポリエステル樹脂中に溶融混合することによって分散された当該ポリマー含有組成物25重量%を含んでいる組成物(ラインC)のXRDパターンを示す。
【図9】図9は、市販ハイドロタルサイト(ラインA)、非晶質ポリエステル樹脂(ラインB)、および当該非晶質ポリエステル樹脂を該市販ハイドロタルサイト5重量%と溶融ブレンドすることによって調製された組成物(ラインC)のXRDパターンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.無機アニオン性粘土と環状モノマーとの混合物を調製すること、および
b.当該モノマーを重合すること
の段階を含む、ポリマー含有組成物の調製方法。
【請求項2】
モノマーが、環状エステル、環状カーボネート、酸無水物、ラクタム、モノエポキシド、ビスエポキシド、環状シロキサンモノマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1に従う方法。
【請求項3】
モノマーが環状エステルである、請求項2に従う方法。
【請求項4】
エステルが、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、グリコリド、およびラクチドからなる群から選ばれる、請求項3に従う方法。
【請求項5】
無機アニオン性粘土が、ハイドロタルサイトまたはミックスネライトである、請求項1〜4のいずれか1項に従う方法。
【請求項6】
粘土とモノマーとの混合物を50〜250℃の範囲の温度で加熱することによって、当該重合が実施される、請求項1〜5のいずれか1項に従う方法。
【請求項7】
重合開始剤または重合触媒の不存在下に、当該重合が実施される、請求項1〜6のいずれか1項に従う方法。
【請求項8】
段階a)の混合物中の無機アニオン性粘土の量が、全混合物の重量当たり0.01〜75重量%である、請求項1〜7のいずれか1項に従う方法。
【請求項9】
段階a)の混合物が、粘土1〜20重量%を含んでいる、請求項8に従う方法。
【請求項10】
段階a)の混合物が、粘土1〜10重量%を含んでいる、請求項9に従う方法。
【請求項11】
段階b)から得られた組成物の化学変性が、引き続いて行われる、請求項1〜10のいずれか1項に従う方法。
【請求項12】
段階a)の混合物が、1以上のポリマーをさらに含んでいる、請求項1〜11のいずれか1項に従う方法。
【請求項13】
得られた組成物をポリマーマトリクス中に分散することが、引き続いて行われる、請求項1〜12のいずれか1項に従う方法。
【請求項14】
一または複数のポリマーが、ポリオレフィン、脂肪族および芳香族ポリエステル、ポリ(エーテルエステル)、ビニルポリマー、(メタ)アクリルポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアラミド、ポリイミド、ポリ(アミノ酸)、多糖由来のポリマー、ポリウレタン、ポリスルホン、並びにポリエポキシドからなる群から選ばれる、請求項12または13に従う方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に従う方法によって得られることができるポリマー含有組成物。
【請求項16】
コーティング、インク、洗浄剤、ゴム若しくは樹脂の配合物、掘削流体、セメント配合物、しっくい配合物、または製紙用パルプに、請求項15に従うポリマー含有組成物を使用する方法。
【請求項17】
接着剤、外科用および医療用の器具、合成の創傷被覆材若しくは包帯、発泡体、フィルム、薬剤、殺虫剤、若しくは肥料の制御された放出のための物質、不織布、整形用ギプス、吸着剤、またはセラミック物質の製造に、請求項15に従うポリマー含有組成物を使用する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2008−504384(P2008−504384A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517286(P2007−517286)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052869
【国際公開番号】WO2006/000550
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】